00/08/21 第3回精神病床設備構造等基準に関する専門委員会議事録             公衆衛生審議会精神保健福祉部会        第3回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会                 議  事  録              厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課             公衆衛生審議会精神保健福祉部会      第3回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会議事次第        日 時 平成12年8月21日(月)16:00〜18:10         於  厚生省特別第1会議室    1 開 会  2 議 事   1.精神病床の設備構造等の基準について   2.その他   3 出席委員  池上 直己  慶応義塾大学医学部医療政策・管理学教授  池原 毅和  (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事  伊藤 哲寛  (社)全国自治体病院協議会  伊藤 弘人  国立医療・病院管理研究所主任研究官 岡谷 恵子  (社)日本看護協会専務理事 金子 晃一  新潟県立小出病院精神科部長 吉川 武彦  国立精神・神経センター精神保健研究所長 末安 民生  東海大学健康科学部看護学科助教授 竹島  正  国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部長 津久江一郎  (社)日本精神病院協会副会長 西島 英利  (社)日本医師会常任理事 野中 邦子  弁護士(茨城県精神医療審査会委員) 山崎  學  医療法人慈光会病院院長 【重藤補佐】  定刻になりましたので、ただいまから「第3回 精神病床の設備構造等の基準に関す る専門委員会」を開催させていただきます。  本日の委員の出席状況をご報告いたします。本日は委員13名全員ご出席をいただくと いうことでございます。ただし池原委員、おくれられるということの連絡をいただいて おりませんので、ほどなく見えられると思います。  それでは、これより会の進行を吉川委員長にお願いしたいと思います。 【吉川委員長】  それでは、「第3回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」を開かせて いただきます。  本日は先回もお約束いたしましたように、これまでの議論の経過を踏まえた上で数字 を読み込んだたたき台を出させていただくことになっております。9月には何とか精神 病床の設備構造等の基準に関して、委員会としての成案を終えないとなりませんので、 本日はこうした手順にさせていただくことになります。前回にもこのことは申し上げま したけれども、確かに拙速ということではあると思いますけれども、限られた時間でご ざいますので、このような形にさせていただきますことを皆様方にお許しいただかなけ ればいけないと思います。ぜひ実質的な議論になりますよう、ご助力をお願いしたいと 思います。  それでは、早速議題1の「精神病床の設備構造等の基準について」ということで議論 を進めたいと思いますが、前回の専門委員会でお諮りいたしましたように、事務局に具 体的な案の数値を入れたものをつくっていただきました。私も議論の中に参加しており ますし、そうした議論のためのメモを事務局から読み上げさせていただきたいと思いま す。ではご説明いただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。 【重藤補佐】  それでは事務局から説明をさせていただきます。  その前に本日の資料の確認をさせていただきますけれども、会の次第と資料、それか ら各先生方よりいただいております意見を参考資料1、参考資料2という形で用意させ ていただいております。もし過不足等ございましたら事務局までお申し出くださいます ようお願いします。  それでは資料でございます。【議論のためのメモ】「精神病床の設備構造等の基準に ついて」ということでございます。これは先ほど座長よりお話ございましたように、事 務局で、これまでの意見を踏まえ、検討が具体的に進むためということで数値を入れ込 んだメモをつくらせていただきました。一読させていただきます。            精神病床の設備構造等の基準について 1.基本的考え方 ○ 精神病院の設備構造の基準に関して、現状では、精神病床以外の一般の病床と同じ く、 病床面積が4.3m2、廊下幅が1.2m(両側居室1.6m)となっているが、 現在の 国民の生活水準にふさわしい療養環境という観点から、病床面積や廊下幅につ いて、入院患者に快適な環境で医療サービスが提供されるよう見直すべきではないか。 ○ 精神病院の人員配置の基準については、昭和33年の厚生省事務次官通知により、 精神病院以外の一般の病院に比べて、緩やかな基準となっている。具体的には、主とし て精神病の患者を入院させる病院にあっては、医師数は患者48人に1人、看護婦等の 数は患者6人に1人となっている。現在の精神医療を取りまく背景は、入院患者や国民 が期待するニーズ、また医療職種の人数などの医療資源に関して、現行の医療法上の人 員配置の基準を設定した当時のそれとは、大きく変化しており、現在の精神医療に求め られるニーズや整備し得る医療資源の量を踏まえた人員配置の基準とするべきではない か。 ○ 特に、旧医療法上の総合病院に設置されている精神病棟においては、精神疾患以外 の重度の身体的疾患(以下「合併症」という。)を持つ入院患者に対する医療を提供す る機能や、地域において単科の精神病院との連携により一体的な精神医療の提供が求め られていること、また、現行の医療法上、精神病院以外の一般の病床と同じ基準により 人員が整備されていることを踏まえると、大学病院や旧医療法上の総合病院の精神病棟 においては、少なくとも新たな医療法上の一般病床と同じ人員配置の水準を確保すべき ではないか。 ○ また、早期の社会復帰を目指した積極的な医療の提供が求められていること、救急 医療、児童・思春期精神医療、老年期痴呆やうつ病に対する医療などの多様なニーズに 応じた専門医療の提供が望まれていることなど、精神医療を取りまく現状を踏まえる と、今後、こうした医療を提供するための人員配置の基準のあり方について、検討を進 めていくべきではないか。 2.設備構造の基準 ○ 具体的な設備構造の基準としては、新たな医療法上の療養病床の基準である病床面 積6.4m2以上、廊下幅1.8m以上(両側居室2.7m)を参考としてはどうか。 ○ また、1室当たりの病床数や、病室内の病床の配置についても、現在の国民の生活 水準に照らして、入院患者のプライバシーの確保に十分配慮されることが必要ではない か。 ○ 精神病院の設備構造に関する用語について、現行の施行規則においては、「危害防 止のための」など、精神障害者の人権上の観点から、不適切な使用が見られるが、新た な施行規則を作成するにあたっては、用語の使用について十分配慮するべきではない か。 3.人員配置の基準 (1)医師 ○ 精神科医師数については、医師・歯科医師・薬剤師調査によれば、平成8年が1万 93人、平成10年が1万586人であり、このうち病院に勤務している精神科医師数 は、平成8年が9千327人、平成10年が9千783人(増加率104.9%)であ り、病院に勤務する精神科医師は、年間約200人が増加している。 ○ 現在の医療法の人員配置の水準を満たしていない医療機関は、平成10年度医療監 視結果によると、1千193の精神病院のうち346病院、全体の29%となってい る。  また、充足率が80%未満の病院は、247病院、全体の20.4%の現状にある。 ○ 現在の医療法の主として精神病の患者を入院させる精神病院の人員配置の基準であ る患者48人に1人の水準を達成するためには、推計によれば、少なくとも約700名 の医師を新たに確保することが必要である。 ○ さらに、精神病床以外の一般の病床と同等の患者16人に1人の基準を達成するた めには、推計によれば、少なくとも約1万5千人の医師を新たに確保することが必要で あり、精神科医師の年間の増加人数を踏まえると、短期間に患者16人に1人の基準を 達成することは難しいのではないか。 ○ しかしながら、合併症を有する患者等の治療のためには、必要な病床数を確保する とともに、そき病床について、精神病床以外の一般の病床と同等の基準とするべきでは ないか。平成8年患者調査によれば、精神疾患以外の疾病による人口10万対入院者数 が合計で約1千人であり、これから推計すると合併症に対応する病床として少なくとも 3千500床を確保する必要がある。 ○ 一方、一定の診療科目を有する旧医療法上の総合病院の精神病床は、約2万床があ る。 ○ 旧医療法上の総合病院の精神病床における精神科医師の配置状況については、日本 総合病院精神医学会の調査によれば、全体の54%の病院が、既に、精神病床以外の一 般の病院の人員配置基準である患者16人に1人の医師が充足されており、81%の病 院が患者32人に1人の医師が充足されている現状にある。 ○ したがって、旧医療法上の総合病院や大学病院においては、合併症に対応する役割 も果たす施設として、精神病院以外の一般の病院と同等の水準を確保することが適切で はないか。 (2)看護婦等 ○ 精神病床のみを有する病院の看護婦等の人数については、平成10年医療施設調査  (動態調査)、病院報告によれば、平成8年が6万9千974人、平成9年が7万2 千62人、平成10年が7万4千132人であり、年間約2千人以上が増加している現 状にある。 ○ 現在の医療法上の看護婦等の人員配置の基準を満たしていない医療機関について は、平成10年度医療監視結果によると、1千193施設のうち53病院、全体の4. 4%となっている。また、充足率が80%未満の病院は、10病院、全体の0.8%と なっている。 ○ 診療報酬上の看護婦等の配置については、医療法上の基準以上の配置が定められて おり、例えば精神科急性期治療病棟Aが適用されている病棟においては、看護婦等が患 者2.5人に1人、精神科急性期治療病棟Bが適用されている病棟については、看護婦 等が患者3人に1人なっている。平成10年の精神保健福祉課調によると、看護婦等の 配置状況が、患者3人に1人以上となっている病院は、全体の36.3%、患者4人に 1人以上で61.3%である。 ○ このような実態を踏まえると、現在の主として精神病の患者を入院させる病院にお ける患者6人に1人という看護の基準を引き上げるべきではないか。 ○ 因みに、主として精神病の患者を入院させる病院について、患者4人に1人以上の 看護婦等を配置するため、平均的に看護婦等を配置したとすると、約7万6千人の看護 婦等が必要であるが、現在の看護婦等が約7万4千人であることを踏まえると、患者4 人に1人以上の水準を確保することは可能であると考えられないか。 ○ 一方、旧医療法上の総合病院における精神病棟に関しては、日本総合病院精神医学 会の調査によれば、調査を行った病院の93%が既に患者3人に1人以上の看護体制と なっている現状から類推すると、患者3人に1人以上の水準の確保は、可能ではない か。 (3)薬剤師 ○ 精神病床のみを有する病院の薬剤師の人数については、平成10年医療施設調査(動 態調査)・病院報告によれば、平成8年が2千756人、平成9年が2千820人、平 成10年が2千869人であり、年間約50人が増加している現状にある。 ○ 現在の主として精神病の患者が入院する病院における薬剤師の人員配置の基準であ る患者150人に1人の基準を満たしていない医療機関は、平成10年医療監視結果に よれば、全体の27.2%である。 ○ 新たな医療法上の薬剤師の配置の基準としては、一般病床においては患者70人に 1人、療養病床においては患者150人に1人なっている。 ○ 精神病床における薬剤師の配置の基準として、一般病床と同等の基準とした場合、 推計によれば、少なくとも現在の倍の数の薬剤師が必要となることから、療養病床にお ける基準を参考としてはどうか。 ○ しかし、旧医療法上の総合病院や大学病院にあっては、合併症を有する患者に対す る医療を提供することが多いという意味からは、他の診療科と処方の内容は同等であ り、新たな医療法上の一般病床と同等の患者70人に1人の水準を確保するべきではな いか。 ○ 将来的には、精神病院に入院する患者の高齢化による合併症への対応など、精神病 院における薬剤の種類や処方の件数が増加することが予測されるが、その一方で外来患 者に対する処方において医薬分業が推進することにより、病院で処方する必要性が減少 することも予測されることから、今後、精神医療における調剤の状況について把握して いくことが必要ではないか。 4.おわりに ○ この議論のためのメモは、精神病床の機能分化が未だ成熟していない状況や長期入 院患者の療養のあり方が未だ具体的に提言されていない状況を踏まえて、精神病床の設 備構造等の基準に関して論点を整理したものである。 ○ したがって、精神病院の機能分化の在り方を含め、21世紀の精神医療の方向性に ついては、別途、検討を開始するべきではないか。  以上でございます。 【吉川委員長】  ありがとうございました。ただいま事務局の方から読み上げさせていただきましたけ れども、この議論のメモのためのそれぞれの項目ごとにこれからは議論をしていただき たいと思っております。  まず第1に「基本的な考え方」というところで皆様方のご意見をいただければと思い ます。ちなみにいただきました資料がございますけれども、資料に関しましては、それ ぞれの項目、すなわち今読み上げていただきました「基本的な考え方」、「設備構造の 基準」、「人員配置の基準」、「その他」のところで読み上げさせていただきました、 その項目に当たったところでいただきました資料のご説明なりご意見なりをいただけれ ばと、そんなふうに考えております。以上で議論の進め方をそのような形に整理させて いただきます。 まず第1に「基本的な考え方」というところで、皆様方、御意見はい かがでございましょうか。 【山崎委員】  きょう資料を追加で出したので、それを配っていただきたいと思います。 【吉川委員長】  どうぞ。私のところにはいただいておりますので、皆様方にお配りいただきたいと思 います。                  (資料配付) 【吉川委員長】  山崎委員何か、この基本的なところで、どうぞご発言ください。 【山崎委員】  「基本的な考え方」で書かせていただいたのですが、一般病床とできるだけ格差がな いものにするという考えについては基本的には賛成であります。  しかし、この精神医療の政策というのが、長い間低医療費の中でずっとされてきたと いうことで、そういうものが大きな社会的な偏見をつくるということを助長したという ことも確かでありまして、それとこういうことを考える場合に、公立病院と民間病院が どういうふうに棲み分けをきちんとこれからしていくかということを考えなければいけ ないということになりますと、政策医療というのを公立がして、民間はまた政策医療以 外の精神科の治療領域をするのか、あるいは民間の病院も政策医療の方に踏み込んでい けるのかというふうな話も出てくると思うんです。  人員配置の問題についても、政策医療をするについての厚い人員配置ということなら ばわかるのですが、普通の精神医療をするについての厚い人員配置というのは何となく 納得ができないような気がいたします。  以上です。 【吉川委員長】  ありがとうございました。山崎先生の方からのご意見を今いただきましたが、ほかに 何かご意見がございますでしょうか。「基本的な考え方」として、私の方でご提示いた しました考え方、大体これでご了解いただけるでしょうか。 【金子委員】  今ほど山崎委員から、政策医療を展開する一つの手法として手厚い治療の基準を設定 するということがありましたが、基本的に賛成です。政策医療の中身として、例えば行 政的な強制入院である措置入院であるとか、応急入院であるとか、今回4月に始まりま した34条移送によります医療保護入院であるとか、それらの患者さんが入院すべき病 棟は手厚い人員配置が必要だと思いますし、最近、問題になっております児童・思春期 の専門に治療している病棟は教育的配慮も必要ですから手厚い人員配置が必要だと思い ます。また、薬物依存の専門病棟であるとか、幾つか医療機能とリンクさせた形で設定 する必要があると考えておりますので、ぜひ、この場で検討していただいて、この「基 本的な考え方」を見ますと、総合病院の精神科は実態としてなっているから、それだけ をという感じにも受け取れるので、検討していただければと思います。以上です。 【吉川委員長】  後の方にもちろん踏み込まざるを得ないご意見もあるのは当然だと思いますけれど も、とりあえず私の方で「基本的な考え方」として、それぞれマルをつけてお出しして ありますけれども、今の金子先生からのお話は、例えばマルの四つ目のところにありま すようなところ、私どもの方としては一応提示をしてあるわけで、こうしたものをどん な形で膨らませながら報告書にまとめていくかということだろうと思いますが、いかが でございますか。そんなふうに考えさせていただきます。  山崎先生からいただきましたものは、ここの中にはちょっとない点でございますし、 例えば、そこの中にもし取り入れるとすれば、「低医療費政策」というような表現が先 生の文章の中にありましたけれども、これまでの精神科医療に対する政策的な問題点と いうものをもう少し書き込むようにというふうに何かまとめさせていただければ、それ でもよろしゅうございますか。 【山崎委員】  はい。 【伊藤(哲)委員】  「基本的な考え方」は全体として時代に合った基準にしていくということですので異 論はないのですが、ただ、山崎先生がおっしゃったように、公的な病院とか民間病院と いう切りわけ方で医療のレベルを上げるのではなくて、公的であろうと私的な病院であ ろうと、全体としてレベルを上げるという方向に行くべきだと思います。余りそれを切 りわけしますと、公的な医療が担うべきものだけをレベルアップすればいいというふう になってしまうのは、むしろ民間病院に入院されている患者さんの方が圧倒的に数が多 いわけですから、そのことも含めて、全体をレベルアップするということを明確にして おかなければ、公と民を分けてしまうということを考えていくのは、私は全体をどうや ってレベルアップしていくかという形で進めていきたいというふうに思います。 【吉川委員長】  わかりました。山崎先生も冒頭にそれはちょっと言っておられたですね。全体的なレ ベルアップをすることには依存はないと最初に言っておられますので、私はそれは当然 山崎先生はお考えだろうと思います。 【伊藤(哲)委員】  ただ、強調されましたので、公的な病院だけがというふうに聞こえちゃうとまずいな という。 【吉川委員長】  はい。私が採用させていただこうとしていることは、今のそのことよりは、これまで の医療政策、特に精神科の医療政策というものに対するきちんとした総括をやはり書き 込むべきではないかということを、私は今山崎先生に確認させていただいたわけで、そ れでよろしゅうございますねと申し上げたんですね。 【伊藤(哲)委員】  それはよろしいと思います。 【野中委員】  ちょっとわかりませんので教えてください。山崎先生のちょうど真ん中より下あたり に、「また政策医療を担うべき公立病院も一部の病院を除いては多額な赤字補填を税金 で受けている存在根拠を無くしている」というんですけど、公的病院と経営内容はわか りませんけれども、普通の民間医療では、公的病院の方が赤字なんですか。どちらが。  けさ、大きく朝日新聞に病院の倒産なんかが載ってましたけれども、これはどちら が、この書き方がわからないんですけど、「多額な赤字を税金で補填」というのは、公 的病院が。 【吉川委員長】  山崎先生のご説明の方がいいですね。 【山崎委員】  これは前回の委員会でもあったのですが、公立的な病院は、津久江委員の資料にもあ りますが、大体人件費が総収入の 150%ぐらいという話でして、完全に民間病院ならと うの昔に倒産しちゃっているという話であります。民間病院の場合は大体総収入の50% から60%ぐらいを人件費に充てて、ぎりぎりの線で経営をしているというようなことで ありまして、したがって、 150%の人件費を使って赤字を出してもいいというのは、こ ういう医療とこういう医療と、こういう医療についてという政策医療を行うという前提 があったはずなんですね。ところがそういうふうな前提が一部の病院が一生懸命してい るということは認めるのですが、平均的に考えると、公立病院がそんなにきちんとした 政策医療を行っていないという実態があるわけでして、そうならそうで、していないの ならば、そのベッド数は返上しなさいよというのが私の持論なんです。病床を返上すれ ば、その分、人件費も少なくなって、税金の赤字の補填も減るでしょうというふうな話 なんです。以上です。 【吉川委員長】 御理解いただけましたか。 【野中委員】 はい。 【吉川委員長】 ちょっと細かいところに今入り過ぎた感じがいたしまして、全体の基本的な考え方と しての考え方は大体こんなところで、進めさせていただいてよろしいでしょうか。ほか にご意見はございませんでしょうか。あくまでも「基本的な考え方」のマルの三つ目の ところに、「旧医療法上」云々と書いてあるところは何も公的な病院云々ということを 言おうしているわけではございませんで、これは公的な病院と私的な病院とを分けて何 か議論しようと言っていることではないことは十分おわかりいただけると思いますの で、こういうような旧総合病院として……。 【山崎委員】  ちょっといいですか。 【吉川委員長】  どうぞ。 【山崎委員】  もう一つ、先ほども申し上げたんですけれども、政策医療するのが公的病院だという 枠組みでなくて、民間病院であっても十分に診療機能を持っている民間病院は、政策医 療の方にどんどん入っていって、それで政策医療を公立病院並みの補助金をきちんとく っつけて運営をできるようにしてほしいというのもあるわけです。  したがって、政策医療を公がやって、そのほかの部分をすべて民間がするという話で はないわけです。 【吉川委員長】  はい。どうでしょう。今の議論そのものが、ここの議論の中で必ずしもなじむもので もなくて、政策医療のあり方ということになろうかと思いますけれども、政策医療のあ り方そのものは、ここで今議論することではないのかもしれません。ただ、山崎先生が おっしゃろうとしていることは、基本的に非常に大事なことでありまして、民間病院が 従来から担わされてきている役割というものに対して、もう少しきちんとした認識をし てほしいということが、恐らく山崎先生からのご意見の真意だろうと思いますので、そ このところは少し私たちも、また、後で文章化をしていくときにそれを考えたいと思っ ています。 【伊藤(哲)委員】  基本的には、今の山崎先生がおっしゃったように、公的な病院でなくても公的な役割 を果たしていただかなければならない。というのは、私どもが調べたデータでは、2次 医療圏に公的な病院がほとんどない地域が相当のパーセントを占めているんですね。公 的な病院が、政策医療をやれと言われても、実際に建ってない地域がたくさんあるわけ です。そこは当然民間病院の先生方が公的な役割もやっておられるわけですから、そこ のところをきちんと保証するというシステムをやはりつくらなければ、全体のレベルア ップできないと思います。  その手法については、どうするか。いろいろ考え方、診療報酬できちんとやれるよう にして、政策的な医療も診療報酬でやれるようにするのか、税金を投入してやれるよう にするのか、その辺の手法は今後の課題だとは思いますけれども、実際問題として、公 的な病院がない地域が非常に多いというデータがありますので、将来的には山崎先生の お考えをやはり生かさないとならないということで、その点については私も同意見で す。 【吉川委員長】  ありがとうございました。  それでは「基本的な考え方」のところは一応終わらせていただきます。また、戻って 議論していただくのは一向に構いませんので、また後ほどご議論いただくことになるか もしれませんが、とりあえずは第1の「基本的な考え方」のところは終わらせていただ きます。  2番目は「設備構造の基準」ということでございますが、設備構造の基準に関して、 マルが三つほどついておりますけれども、これについてはいかがでございましょうか。 【山崎委員】  私の意見書の3ページに書いておいたんですけれども、基本的には1病床当たり4.3m2 で、 6.4m2というスペースについては構わないんですが、その差の 2.1m2についてはア メニティー空間というのを各病院の経営者の主張というんですか、そういうものを取り 入れたような形での弾力性のある空間スペースといったものでとりたいと思うんですけ れども、そうしませんと、 6.4m2でつくれという話になりますと、こういう長方形の病 院をつくって、真ん中に廊下をつくりまして、ずっと病室つくるという学校ですとか刑 務所みたいな、そういうふうな病院ばかりができて、実際ヨーロッパに行って病院を見 学したりしますと、病院のいろんなスペースにリビングルームがあったり、コーヒー コーナーがあったり、ビューティサロンがあったりということで、アメニティーの、見 る視覚的な目も非常にきれいなんですね。 したがって、一律 6.4という話ではなくて、もうちょっと病院の主体性に任せた平米 数というものをつくっていただきたいと思います。 【吉川委員長】 それに関して、事務当局の方で何か補足することありますか。特別ありませんか。 【重藤補佐】 特別ございません。 【吉川委員長】 そういうご意見はそのままいただいておいてよろしゅうございますか。 【重藤補佐】 はい。 【伊藤(哲)委員】  一般病床より病室を狭くする理由はちょっとないので、もし、精神科在院日数も一般 病床より長いわけですから、少しでも快適な空間をつくるということであれば、これは このままにして、むしろ、そういうリハビリテーションのためとか、あるいはデイルー ムの広さを余計にとるとかというような形で膨らませるような書き込みをすべきであっ て、これを狭くして、ほかの空間にとるという発想はない方がよろしいのではないかと 思うんですけれども。 【津久江委員】  おっしゃるとおりだと思うのですが、私が提出しました資料にもありますように、経 営が非常に苦しいんです。それから、一般科の療養型病床群というのは、これはベッド サイドで治療するわけですから、広ければ広い方がいいと思います。6.4 の病床面積は 必要だと思います。 しかし、精神科においては病室とは寝るだけのスペースがあれば良い。ですからプラ イバシーは、確かに考えないといけないと思いますが、あるいは新しくつくるもの、増 床に関しては 6.4もあるべきですが、今あるべきものは、私はそういうことよりも、む しろ治療効果という事を考えると、今、山崎先生がおっしゃったように、いろんなアメ ニティー、体育館とか運動場とか農場とか、そういうものが病院にはすでにあるんです ね。そういうものが治療効果を高めているわけですから、私はあながち病床面積あるい は廊下幅だけにこだわるのはちょっとおかしいと思っております。 【重藤補佐】 ちょっと事務局から、この療養型病床群の基準というのは、新築、改築の場合がこれ が適用されるということで、既存のものについては、今回のものについては制約を受け てないというのが今の療養型病床群の基準でございます。 【吉川委員長】 恐らく津久江先生は十分御存じの上でご発言なったと思いますけれども。ほかにどう ぞ、金子先生。 【金子委員】  2点あります。一つは新築又は改築 6.4m2のときに、四角い部屋でないとつくりにく いという山崎先生のご意見だったんですけれども、そこはよくわからないというのが1 点。  もう一つは、確かに運動場や体育館は治療のためというよりはリハビリのためには必 要なのかもしれませんが、これからの精神科医療が早期発見、早期治療と、なるべく短 い在院期間で症状を軽くして、一刻も早く地域へ戻ってもらうということを考えると、 やはりベッドサイドは重要な治療の道具になると思います。例えば体育館や運動場がな いところは精神科の治療機関として的確ではないという基準が出されたとしたら、特に 総合病院の精神科はほとんど全滅に近いわけです。我々は精神科の治療として不適正な ことをやっているかというとそうではないと思っていますから、ぜひ居室単位で1床当 たり 6.4m2という線は守っていただきたいと思います。以上です。 【岡谷委員】 私も今の金子先生の意見に賛成です。特にやはりパーソナルスペースということで、 病床のスペースがその人にとってどのぐらいあるのかということは私は精神科の患者さ んであれば、なおのこと非常に重要なものになるのではないかというふうに常々ケアを していて思っておりますので、やはり療養型病床群の基準で、個人のベッドの病床の面 積はきちんと決めておくべきだと思います。 その上で、個々の病院がそれぞれの治療の方針に従っていろいろなアメニティーをよ くしていくというのは、それはどんどん進めていかれたらいいのではないかと思いま す。 【津久江委員】 私は前に医療費改定のときに提案したことがあるのですが、先生の大学病院にはない からだめだという言い方ですが、大学病院でもつくればいいわけで、やはり患者さん一 人あたり1m2とか2m2とか、そういった運動場も慢性期治療に限らず、入院初期から治 療効果の観点より必要だという、むしろこっちからそういうことを提案してもいいので はないかと思っております。  ただ、厚生省の方は、屋根のないものは評価しないものですからなかなか通らないん ですけど、私は10年ぐらい前からこれは提案しております。 【金子委員】  私も運動場などが必要でないというふうには思っておりません。一部のリハビリテー ションを行う方には、今ほど津久江先生がおっしゃったように、診療報酬制度の中で療 養環境加算としてきちんと位置づけることが必要だと思いますが、ただ、患者さんがい るべきスペースの基準として位置づける今回の医療法関連のものとしては、やはり面積 を一般の療養型病床群と同等のものとするのが適正だろうと思います。 【津久江委員】  その辺で中間をとらないといけないものですから、 6.4m2確かに私もいいと思うんで す。しかし今の経営内容でしたら、日本精神病院協会が壊滅的に打撃を受けています。 今度の平成12年4月の医療費の改定でもっとひどいデータが出てくると思います。そ れは今回の中医協の医療経済実態調査に、平成9年と11年ですから、12年のデータは出 てませんけれど、ですから改築するに当たっては 6.4はよろしいと思います。それから 廊下幅については、これは療養型病床群というのは、長期入院患者さんでストレッチ ャーが交互するということもあるので、私は精神科の場合は、病床面積に関しては 6.4 でいいと思いますが、廊下幅に関しては今のままでもよろしいというように思っており ます。 【吉川委員長】 どうでしょう、かなり高齢の方などを考えなくちゃいけないという問題もありますか ら、そうはなかなか、津久江先生のおっしゃるような形ではいかないのかもしれません が。どうぞ、山崎先生。 【山崎委員】 この問題は、全面改築とか新築を前提で考えているのですが、10年前ぐらいに病院を 4.3m2でつくったというふうな病院の場合などは、そうするとあと20年か30年の償却年数 は 4.3m2でいいのかという話になって、むしろ、そういうふうな現有病床を工夫して6.4 にして、どこかにアメニティー空間をつくるといった改築を可能にしませんと、4.3で、 あと20年もたせますというふうな話が出てきちゃうと思うんですね。 したがって、そこのところは中間とって、ある程度そういった現存の建物を増改築を 上手にして、その平米数をとれるような余裕をつけさせてほしいと思います。 【吉川委員長】 病院側の工夫の問題も今話が出てまいりましたけれども、基本的には非常に単純化し てしまえば、新築の問題を今ここで議論しているわけでございまして、新しく病棟を建 てるときにはこういう基準をベースにしましょうということなのであって、つまり増改 築を頭に置いてのことではないので、そこはそれぞれの各病院の工夫を生かしながら、 できるだけこうした基準へ、今のアメニティーの問題、トータルに考えた上でもいいの ですが、ここへ近づけていくというのが現実的な私たちの精神病院における医療のバッ クグラウンドではないのかなと思いますけど、いかがでしょうか。 【山崎委員】 もう一個いいですか。 【吉川委員長】 どうぞ。 【山崎委員】 結局、新築といっても、都市部の精神病院の場合は、土地があって、そっちの方に新 築やって、旧の方は取り壊すといったことはできないわけですよね。この意見書の5番 にも書いておいたのですけれども、病院をつくったときと現在の状態で、建築基準法の 用途指定が変わっちゃっている病院か非常に多いんですね。そうすると建ぺい率ですと か容積率、高度制限といった法的な今度枠がはまっちゃいまして、実際新築を新たにす るということができなくなっちゃっている現状があるわけでして、そうすると現在の既 存の躯体を使って、どういうふうに病院を改築していくかといった話が現実的なんで す。 【吉川委員長】  事情は非常によくわかりますけれど、どうぞ、津久江先生。 【津久江委員】  金子先生、リハビリテーションの話がちょっと出たので、釈迦に説法かわかりません けれども、大学病院は急性期対応であって、リハビリテーションに入ったら、それは空 間があって運動場があった方がいいだろう、体育館があった方がいいだろうととれます けど、リハビリテーション学という学問では急性期のリハビリテーション、回復期のリ ハビリテーション、慢性期のリハビリテーションと一つのリハビリテーションという見 地で病期を区分しております。  だから、私は精神科の場合は、入院初期は病室だけで治療するという考えはどうもち ょっと納得がいかない。 【吉川委員長】  金子先生もまたそういうふうにおっしゃっているわけではないと思いますので、この 辺のところで治療論を少しストップさせたいと思いますが、末安先生。 【末安委員】  治療論をストップさせたいということなので、利用者の側から見たらどうかというこ とについてふれます。今、山崎先生のおっしゃっていることは現実的ですごくよくわか るんですけれども、療養病棟などに実際に入院されている方の病院とか幾つか拝見しま すと、高齢化がどんどん進んで、当初に登録した方法では治療やケアが難しいというこ とでかなり病床数で問題が生じています。一つの病室に可動範囲や行動がなかなかうま くいかなくなって、高齢で機能が落ちている方たちを集めてしまって、そのほかのとこ ろはアメニティーを高めるための部屋を昼間使うとかという形での治療環境をつくって いる。先ほど山崎先生の諸外国の例もありましたけれども、そのような病棟では、例え ば50床あったところを20床にして自由に使っていくという空間をつくるとすると。  今のここの議論でいくと、限界はいろいろあるというのはわかるんですけれども、こ れまで10年間ぐらいたった病院のことも大事だと思うんですけど、これから10年間ぐら いで建て替えていく病院のことを現行でやっている人たち、サービスを提供している人 たちのことを考えながら、最低病床を規制するということで 6.4以上がほしい。明らか に病床として規定して、それ以外のところでどう工夫していくかということを考える必 要があるのではないかと思います。 【吉川委員長】 アメニティーということの考え方なんだろうと思いますけれども、その辺のところ は、恐らく山崎先生も十分承知をした上で今お話をなられているのだと思いますが、い ずれにしても、今ここで議論をしているのは、新築の問題を議論しているわけでござい ますが、改築などの場合ですと、今、現実に精神病院の中でもかなり病床を減らしなが らアメニティー空間をどうやって生み出すかということを工夫してくださっているとこ ろもあることは私も十分承知しておりますし、これらはこういうふうにしろとかああし ろとかと決めることではなくて、それぞれの病院が工夫していただくしかないことでも あるかと思うんですね。それは改築の問題ということになれば、こういう問題は避けて 通れないと思います。 それだけに、今、新築の問題として新たに医療法上決めていくときに、せめてここの ところだけはきちんとしておきたいというような、そんな考え方として提示させていた だいているわけでございますので、いかがでございましょうか。上のマル二つの部分 が、今大体議論させていただいているところでございますけれども、どうぞ。 【野中委員】  二つ目に、「入院患者のプライバシーの確保に十分配慮される」というのですけれど も、これはどういうことでございますか。例えばカーテンがないのをつけるとか、カー テンがないようなところもございますね。そういう問題でしょうか。 【吉川委員長】  これはおっしゃるとおりで、そうしたこともないところもあったりはするし、それは スペースが足りないためにカーテンすら張れないというような、そうした問題もあるも のですから、まずスペースを確保すること、せめてカーテンをするとか、そういうよう な問題も含めてプライバシー保護ということを考えると、そうした文脈でございます。 【野田委員】  わかりました。 【吉川委員長】  3番目のマルのところは、先日、参考人の方に参考意見を言っていただいたときにお 話が出た問題でございまして、従来から医療法上非常に粗雑なといってもいいような言 葉の使い方がされていたことに関して、参考人の方からご意見が述べられましたので、 個々に文章を検討させていただいて、不適切な表現はできるだけ取り除いていくという ことを考えてのことでございますが、これはよろしゅうございますですよね。  それでは、2番目のところまで、ご議論いただいたことに結論出しているわけではご ざいませんので、いろんなご意見をいただいているということでございまして、また、 それを私たちの作業として、また組み立てさせていただきますので、とりあえずそこま でにさせていただきます。  3のところでございますが「人員配置の基準」でございます。医師と看護婦と薬剤師 と分けてございますので、医師のところから先に入りたいと思いますが、医師の関係で はいかがでございましょうか。このところでこのような形で、一応今までお話をいただ いたことも含めて、そして可能性として考えられるのはこういうところかなというよう な、私自身と事務局当局の方で考えさせていただいて、こんなような文章にさせていた だきました。ご意見をいただければと思います。 【池上委員】  技術的なことですけれども、一つ目のマルで(増加率104.9%)というのは間違 いではないでしょうか。 【重藤補佐】  そのとおりでございます。 【池上委員】  これは4.9%で2倍ではないです。 【吉川委員長】  失礼いたしました。 【伊藤(哲)委員】  人員配置の基準の三つ目のマルのところで「48人に1人の基準を達成するためには、 推計すれば、少なくとも約 700名の医師を新たに確保する必要がある」というのは、現 在の精神病床が医療法の基準を満たすためという意味ですね。 【吉川委員長】 そうですね。 【伊藤(哲)委員】 そうすると、少なくとも現在の医療法を満たすだけの、この間の伊藤(弘)先生の推 計でしたね。何年か書かれている、そのことを言っているわけですね。 【吉川委員長】  そうですね。 【津久江委員】  提出しました資料のNo1の一番上の方を見ていただければよくわかるのですが、これ は日本精神病院協会の会員のデータでございまして、これによりますと、残念ながら、 一番下にありますように、医師対患者の比率は48対1の達成率が68.9%が実情でござ います。中でも私は問題にしたいのは、北海道が50%、その対照的な関東は80.8%、あ るいは四国が57.7というように非常に地域格差があるのが問題だと思います。だから、 ただグロスとして 700人足せばそれでいいのだという、そう単純な問題ではない点が含 まれていると思いますね。 だから、私はこの地域差の問題、数を増やせば増やしたほど良いという発想はよくわ かりますけれど、現状はこれであるという、非常に勇ましくないあさましい話でござい ますが、お伝えしておきます。 【吉川委員長】 ありがとうございました。おっしゃるとおりで、地域格差があることは、従前からも かなり考えられてきたことですし、また、それは数字の上でも示されてきたところでご ざいますし、改めて日精協からこういう数字を出していただきました。かといって、全 国的な視野で考えなければいけないというのも、また、これも現実的な問題でございま すので、とりあえず 700人というのは一つの数字でございまして、全国でそれぐらいの 数は今足りないということはここで改めて言っているだけでございます。  48対1を満足させるだけでも、これだけ必要なのだという数字を、とにかく一応今出 させていただいたということでございます。 【金子委員】  医師の人員配置の基準ですが、総合病院の精神科については、五つ目や七つ目のマル にもございますように評価していただいて大変にありがたいと思います。  ただ、ここで一つ確認をいたしたいのは、つまり16対1を満たしているところが現状 であり、48対1を全体的にならすとあと 700人必要だということですけれども、病床区 分するということと理解してよろしいでしょうか。そこが重要なポイントだと思いま す。 【西島委員】 この議論は済んでいると思いますので、ここに持ってこられた部分は、あくまでも精 神病床一つに対しての人員基準、構造基準だというふうに私は考えております。ですか ら病床を二つに区分するということ自体は、公衆衛生審議会の方で一つの決着をみてい るというふうに思います。 【重藤補佐】  その実態を申しますと、公衆衛生審議会で1月に出したものの中で、要するにまだ病 床区分についてはまだ成熟していないので時期尚早であると。ただ、そういった機能と いうものが必要があるので、そうしたもので一段一段進めましょうというものをいただ いております。  医療法上はどうなっていますかというと、病床区分というものは法律上定めるという ことになっていまして、今の医療法の、この前つぶれまして、まだ出されておりません が、この前、廃案となった医療法上では、病床の種別としては、精神病床、結核病床、 感染症病床、療養病床、一般病床という五つの種別ということが規定されているという ことでございまして、精神病床は一つの種別であるというふうに今のところはなってお ります。 【伊藤(哲)委員】  公衆衛生審議会の考え方の解釈の違いというふうになったらおかしなことになっちゃ うわけですが、私は、確かに医療法では精神病床として一つの病床として位置づける と、しかし、その機能のあり方については、別な基準を定めて新たな機能区分をすると いうふうに解釈してよろしいかと思って、今まで議論に臨んできたわけです。そういう ことで、具体的に別な基準で病床のあり方を考えていくということになっている。それ を議論しているというふうに考えているわけですけれども。 【重藤補佐】  病床の種別とか区別というと、それは法律事項になってしまうので、基準ということ で、それは幾つかあり得るということで今御議論をいただいている。病床の種別とか区 分ということではなくて、概念の問題であります。 【津久江委員】  西島先生のおっしゃるように、医療法上に精神病床と規定しているわけですから、そ れ以上の規定はないと思うんですね。だから、そうではないけれども、病棟機能分化と いう観点から、診療報酬上の対応はすでに六つあるんです、精神科の機能分化ですね。 だから、それは進めていくことは賛成だと思います。 【吉川委員長】  それは診療報酬上の問題でございますので、ここの議論ではないということですね。 【津久江委員】  だから医療法上は精神病床一つで、病床区分を二つに割る必要はないと思います。 【吉川委員長】  それは西島先生がおっしゃったことですね。 【津久江委員】  そのとおりです。 【吉川委員長】  それでは、今、お話が出ましたけれども、医師数に関して、少なくとも今の現状を踏 まえて考えたときにこういうふうに整理をしてみたということなんですが、これに関し てはいかがでございましょうか。もう少し総体としての問題のところで何かご議論いた だければと思いますけれども。 【伊藤(哲)委員】  ちょっと同じことの蒸し返しになるかもしれませんけれども、少なくとも今の考え方 といいましょうか、病床は一つの種別しかないのだと、精神病床は。という前提で話を 進めると、すべての病院のレベルを同時に上げるということです。レベルを適正に持っ ていくことしか考えられないわけですが、そうすると当然のことながら、医師の不足と いう現状に合わせて、全体でどこへ落ちつくかという議論しかできなくなります。必要 なところに医師の配置数を多くする。現状でいいところは何とかもう少し現状でやって いく、そういうメリハリをつけた精神医療のあり方ということの議論が全然進まなくな ってしまうのではないか。機能区分は余り考えないで進めるという前提に立ちますと。  それであれば、現状から脱出することはできないのではないかというのが、私の一番 心配しているところですけれども。 【西島委員】  それは前回の議論の中で、私が申し上げたことだと思うのですが、つまり、これから の精神病院というのはどうあるべきかという議論が実はなされてないし、環境整備がさ れていない中で、そういうのが全然されてない中で、病床だけを区分していくというこ とになりますと、じゃあ、本当にそれでいいのかどうかという検証も今後必要になって くると思うんです。でも一番大事なことは、私、前回も申し上げましたけれども、これ からは地域で患者さんが生活する時代、療養する時代、絶対そういうふうになっていく と。そのための環境を整備する中で、初めてこれからの精神病院というのはどうあるべ きなのかということを検討していくべきだろう。  ですから、今、伊藤(哲)委員がおっしゃったように、必ずしも、今のやつをそのま ま固定する話ではございませんで、これは将来そういうものがなってきたときには当然 それは変えていかなければいけない話だろうというふうに思うんですね。それから、医 師が充足してくれば、当然それはそれに合わせてレベルアップしていかなければいけな い。当然そういう話は出てくるだろうというふうに思うんですけれども、ですから今い ろんなものが整備されてない中で、そういうものだけを抜き出して議論するのはいかが なものかということで、公衆衛生審議会で私は強調させていただいたというふうに思っ ています。 【吉川委員長】  私の方で、今の議論を少しまとめさせていただきますと、きょう提出させていただき ました一番最後のところに、たかだか2行か3行程度でしか書いてございませんけれど も、ここで議論していますのは、ある意味では、これから5年ぐらいの間にまずは考え ておかなくちゃいけないことかもしれないことを議論していることでございまして、も っと長いサイズで精神科の医療のあり方であるとか、あるいは精神保健福祉行政の進み 方というものを念頭にした、もっと長いサイズの議論はやはりしておかなければいけな いのではないかと考えています。  これは、西島先生も公衆衛生審議会でも、また、この専門委員会の中でもご発言にな っておられまして、それに関しては、西島先生だけのご意見ということでなくて、恐ら くここにおられる皆様方もこうした一つひとつの個々の問題に関して専門委員会をつく って、ここの部分だけで議論しろと言われても、総体としての方向が見えてないときに なかなか議論しにくいということがあると思いますので、私は改めて、ここで議論して いることは比較的短時間のサイズの問題を議論することであって、これからの将来に関 してはもう少し別な議論をする機会をつくるべきではないか、こんなふうに考えて、一 番最後のところに少し提案をさせていただいているわけでございます。  このような形で、今後の問題を含めて考えることを前提にして、なおかつ、今、「医 師数」というところでひっかかっているわけですけれども、医師数の問題をまずは答え を出しておきませんと、先ほど申しましたように、9月中にある程度の結論を出してお きませんと、医療法の改正の議論にのれないということもありますので、どこかで答え を出しておきたいという気持ちで、議論のためのメモを提出させていただいているよう なわけです。こんなふうにお考えいただいていかがでございましょうか。将来性のある 議論というのは、また改めて起こすという前提をまず頭に入れていただいて議論をして いただければと思います。どうぞ、金子先生。 【金子委員】  今の吉川先生の言われたことは全くそのとおりでして、ぜひ今後の精神病床を機能別 に区分していくという検討を早急に初めていただきたいと思います。ただ、今後5年間 のことというふうに先生はおっしゃったのですが、実際にこの事務次官通知が出たのは 昭和33年ですし、通知よりも今度高いレベルで精神病床は区分しないということに決め るわけですから、それが今後何十年使われるスタンダードとなるかは不明だと思いま す。  ただ、ここで公衆衛生審議会の議論をひっくり返すわけにはいかないのであれば、も う言っても詮無きことだとは思いますけれども、その点だけは指摘しておきたいと思い ます。もう一つは、総合病院精神科について評価していただいたのは非常にありがたい のですが、それを何かの形で規定するのだとすれば、つまり施行規則よりも下のレベ ル、現在の精神病院特例のような特例措置ということになるわけですね。そう考えます と、現在特例としてあるものがスタンダードなものになり、一部手厚い部分を特例とし て残すということは相対的に法体系として評価しますと、精神科医療のレベルをダウン させるものと解釈もされ得ると思います。その点も指摘したいと思います。以上です。 【吉川委員長】  私の方で申し上げた申し上げ方が少し悪かったのかもしれませんが、5年というサイ ズで物を考えているというのは、現在法律に、あるいは法律に準ずるものの考え方の期 限を大体5年ぐらいずつに置いていますよね。ですから見直しが当然5年後には来ると いうふうに考えているということであって、5年間でどうこうしようということではも ちろんありませんが、先ほど、確かに特例ができてから何十年という話が出ましたけれ ども、それはある意味では特異な時代をそういうふうに過ごしたということだと思うん ですよね。  ですから近年の精神保健福祉法の改正の手順を見てもおわかりのように、かなり急ピ ッチでいろんな問題を時代に合わせて変えていこうとしている今の時代背景を考えます と、私はそんなに固定化されるとは実際に認識をしてない。だからこそ少し長期的に方 向を立てて、その上で手順よく改正をするなり何なりするということを考えたいなと思 っている。その気持ちを今申し上げました。何か、どうぞ、重藤さん。 【重藤補佐】  先ほど金子委員から、基準が施行規則と通知と書き分けるのかということで意見ござ いましたけれども、そういうこともございましょうし、一つの技術的なことですけれど も、二つの基準を施行規則の中で書くということ。それはまた可能かどうかも含めて検 討をしなければならないと思いますけれども、ただ、そういう選択肢もあるということ でございますので、いちがいに金子委員御指摘のようにはならないということでござい ます。 【吉川委員長】  そうですね。金子先生が言われることは大変よくわかりますけれども、私自身は退行 させるなんていうことは毛頭考えてませんので、そこだけは信じていただければと思っ ています。 【野中委員】  よくわからないのですが、すいません。今の人員配置の一番下のところなんですが、 「したがって、旧医療法上の総合病院や大学病院においては、合併症に対応する役割も 果たす施設として、精神病院以外の一般の病院と同等の水準を確保することが適切では ないか」ということで、そうするとここは16人に1人という医師ということですか。そ うすると民間病院はここには入らないんですか。民間病院という言葉はないんです。 【吉川委員長】  ここは「旧医療法上の総合病院」といいますから、必ずしも民間でないなんて言って いるわけではありません。 【野中委員】  そうですか。わかりました。 【吉川委員長】  そういうことではありません。 【野中委員】  これは特に急性期の場合にとかいうのではなくて、一般的に普通のと一緒にしようと いうことですか。16対1の。 【吉川委員長】  これだけの機能を持った病院であれば、16対1の人員配置をしていただくという意味 合いです。 【野中委員】  わかりました。 【津久江委員】  この春の診療報酬の改定で、これは評価されておるわけですから、それ以上、点数を 上げるのは構わないと思いますけど、医療法上これを規定するというのは、私は反対で す。 【吉川委員長】  ちょっと待ってください。津久江委員のおっしゃる医療法上規定することには反対だ という、その中身がちょっとよくわかりません。 【津久江委員】  先ほど先生かおっしゃったように、逆特例の話を出されたので、私はその必要はない と思います。 【吉川委員長】  それは逆特例の、先ほど逆特例みたいなものは別に提案されたわけではなくて、そう いうふうに解釈されるというのが金子委員の。 【津久江委員】  重藤先生は。 【吉川委員長】  重藤さんが言われたことです。 【津久江委員】  金子先生のお話なんですが、たかだか2万床のことで、病床区分するということは私 は反対です。それから、単に、「合併症」に関してと書いておりますけど、合併症だけ が問題じゃないと思うんですね。3次救急もあれば、身体合併症もあるし、応急入院も あるし、措置入院もある。それから司法精神医療患者もあるし、それらのことを書かず に、ただ「合併症」と書くのは、これもまた片手間な話でございまして、言えばきりが ないので、ただ、これは既に4月1日で診療報酬上評価されている問題ですから、それ はそれでいいと思います。 【伊藤(哲)委員】  私もある意味では津久江先生に近い考え方なんですが、この医師に関して言えば、現 状がこうだから、これなら法律違反の病院ができないから、これでいいということだけ であって、何らか精神医療がどうあるべきだという、そういう理念の入らない基準をつ くろうとしているわけですね。現状で満足できるところだけ当てはめていきましょう と。総合病院は16対1を何とかクリアーするから当てはめてもいいでしょうという、た だ、現状追認の発想だけで、精神医療がどうあるべきかという、そういう視点からの基 準は全くない。ですからこれだと医療法改正する必要ない。何ら議論する必要もないと いう結論になっちゃうわけですね。診療報酬でだんだん機能分化しているのですしとい うことで、医療法そのものの存在の意義がなくなってくるのではないか。こういう決め 方をしていけば。  それで、この発想を変えない限り、この議論はどうもむだな議論になってくるのでは ないか。医者がいないからレベルが低くていいと。総合病院は少し満足しているから高 いレベルにしてもいいという、ただ、それだけの作業をしているだけであると。これは 医師に関しての議論ですけれども、これだったら余りここで議論する意味も、データだ け出して、現状はこうですから、これでよろしいですということの議論になるのではな いかと。 【吉川委員長】  確かにそういうふうに言われれば、私がこれをまとめるに当たって考えたことをいろ いろと告白しなくちゃいけないこともありますけれども、もし伊藤委員がそういうふう におっしゃるのだったら、本当にあるべき姿を議論したときに、一体どれぐらいかけた らばそこへ到達し得るか、それをやっぱり出さないとどうにもならないですよね。そし て、あるべき姿で法律を決められると法律違反ばかりが出てきちゃいますよね。法律と いうのは、かなり現状に合わせたものをつくっていかなければ、法律とか通知とか何か というのは成り立たないのではないでしょうか。そういう現実論というのを無視はでき ないのだろうと思うんですよ。  ですから確かにおっしゃるように、現状追認ではないかと言われるのは、私も十分に ご批判は覚悟していますけれども、現状追認だからだめだと言われると、じゃあ、どう しろというのかということになって、現実からかなり遊離したものを議論するしかなく なってしまうのではないかと思うんですよね。その辺はどうでしょう。 【伊藤(哲)委員】  ですから前に、私少し提案させていただきましたけれども、ある特定の病床しか、今 の段階では、16対1という基準が望ましいとしても、できないのであるから、機能分化 は最低限必要であると。機能分化しない限りはこういう形にならざるを得ないと。だか ら機能分化するにはどの程度の患者さんに対しての機能分化から始めればいいかという 試算をきちんとしてないわけです。現在、社会的入院といわれる方が相当数いるわけで すから、それが少しずつ減っていくにつれて機能分化も進みやすくなると、そういう試 算をして、例えば一般病床であれば、2〜3年で医療法をクリアーできるような誘導す ると。ところが精神病床は非常に厳しいから5年ぐらいはかかるだろうと。そうしない と違反病院ばかりできてしまうと。ですから経過措置を何年とれば、しかも社会的入院 が少しずつ福祉の方に移行していくことによってスピードがどの程度上がるのか、そう いう試算をした上で、きちんとどう持って行くかをやらなければならないのであって、 機能分化はしないという前提で現在進めているから、今委員長のおっしゃるように動き がとれないのだろうと思います。 【吉川委員長】  それは時間が必要ですよね。だから私はさっき申し上げているんですね。例えば、こ れがある期間を規定をするかもしれないけれども、この間にやはり10年とか20年ぐらい のサイズを考えた病院のあり方、精神保健福祉のあり方というものを議論するきちんと した会を組織すべきだという議論を言っているわけですよね。  先生がおっしゃるような議論というのはかなり積み上げた議論がないとだめですよ ね。今ばたばた集めている資料だけで整理をしてみても、決してそれが本当に正当性が あるかどうかということもはっきりしないんですよね。それがやはり私の頭の中にある ことであって、したがって、どうしてもこの際は、ここのところで一たん議論をこの形 で収束するか。ただし、それはこれで終わりというのではなくて、将来性の高い専門委 員会ということではなくて、もっと議論をする場を構築をした上で、精神保健福祉のあ り方、あるいは将来を考えたいというふうに私は先ほど申し上げたんですよね。  ですから確かにそれは伊藤先生のおっしゃることすごくよくわかりますけれども、こ こでどうするかといったときに、これだけの枠組みの中で、確かに議論しなくちゃいけ ないということがネックではあるけれども、それはそれとして将来をどう考えるかとい うことを考えておかなければしようがないと思うんですよね。 【竹島委員】  すいません、今の合併症に対する対応の問題、そのほかにもいろんな重要な問題があ るのではないかというご意見があったのですけれど、やはりここでは現実に総合病院と か大学病院では短期間の入院で患者さんを動かしていることを理解すべきだろうと思い ます。私どもの調査の中でも、救急隊の方から身体合併症がありかつ精神症状の強い人 に対する対応の問題は緊急の課題として挙げられております。  そんなことから考えましても、合併症に対する対応は、プラス精神症状というものを 見た場合に、明確に国民の同意も得られて切り出せる部分というふうに考えられるので はないかということです。  それから、そのほか、もちろん重症でかつ長期に療養がわたる人もいますけれど、そ れは先ほど委員長の方でも言われたような、その人たちがどれぐらいの患者数を構成す るかきちんと推計する必要があるではないかというふうに考えております。  その意味で、私は自分の関係した範囲では、この「合併症に対応する役割も果たす施 設として」という設定は十分理解できる。合意の得られるまずはその1つ目ではないか と理解しております。 【池上委員】  ちょっと技術的なことでまたお聞きしたいのですけれども、二つの基準を施行規則で 示すという場合、前のところでも申し上げるべきかわかりませんけれども、総合病院と いう規定は今医療法上ございませんし、大学病院という規定もなくて、医療機関で、こ れは特定機能病院というのは本院に限られるわけですので、具体的に旧医療法上の精神 病棟及び大学病院というのは具体的にどういうふうに規定されるのでしょうか。そのこ とを。 【吉川委員長】  ここでは比較的わかりやすいような言い方で整理はさせていただきましたけれども、 また整理をするときには正式な使われる言葉でもって整理をすることになりますよね。 いかがですか。 【重藤補佐】  今回は議論のためのメモですし、理念というか考え方をあらわすものでございますの で、そうした考え方を提示させていただいたと。実際に施行規則に盛り込むときには、 例えば、それは技術上の問題になると思いますけれども、例えば旧医療法の条文の中 で、内科、外科、小児科、耳鼻科、眼科を備えていて、病床何床以上というような書き ぶりができるのかできないのか。そうしたものを具体的に理念が整理された段階はそれ はもちろん整理していくということになると思います。 【吉川委員長】  よろしゅうございますか。 【池上委員】  新しいものを規定する上で、旧医療法の基準に従った規定をするというのは何か矛盾 するような気もしたものですから、5年先のことを規定しようとしているときに、病院 区分に従ったものを別の基準にするというのはやや奇異な感じがしたものですから、ど ういう工夫をされるかなと思った次第でございます。 【吉川委員長】  いかがでございましょうか。 【池原委員】  先ほどの伊藤(哲)委員からの現状追認的な規定だけでは理念が見えないと、そうい うご意見だったのですけれども、私は現状追認的なものでもやはり今話題になっていま す3番の一番下のマルのところですね。旧医療法上の総合病院、大学病院における16対 1というのをはっきり規定するということは意味があると思っています。  特に法解釈の上で、法律そのものには理念をもちろん書き込むことはできないわけで すけれども、改正の趣旨あるいは規定の趣旨を明らかにしておくと。あるいは記録に残 しておくことによって、なぜ、それがあえて規定されたのかということを後々読み取る ことができるだろうと思うんですね。  そういう意味ではもう既に合意されている部分ですけれども、1番の「基本的な考え 方」の中の3番目のマルのところで、下から2行目のところですけれども、ここには 「少なくとも新たな医療法上の一般病床と同じ人員配置の水準を確保すべきではない か」と、大学病院等について。この「少なくとも」という言葉の中に、できれば、これ が一般的にもっと広がっていくことが望まれるという意味が含まれているというふうに 理解できるのだろうと思うんですけれども、この3番の方の(1)の一番下のところには そのような表現がないので、できれば、おまとめになるときに、「当面」とか何かここ が一つのパイロット的な部分となって、よりこういう方向が広がっていくことが望まれ るということが読み取れるような何か言葉の工夫をしていただけるといいのではないか と思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。それでは、今の池原先生のご発言もまた考慮させていただ きます。  それでは、大変大きな関連がありますけれども、看護婦の方に入らせていただきま す。看護婦の方で、幾つかまたご意見もいただいておりますので、それも含めて一緒に 議論をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  まとめさせていただきました趣旨は、ほぼ医師の場合と同じような手順で書かせてい ただいています。どうぞ。 【金子委員】  看護の基準のことについてですが、ここにも総合病院の方の実態をお示しいただいて 3対1程度で可能であるし、それはそれでよろしいのではないかということが書いてご ざいますが、私もそれには賛成であります。最低の基準として3対1は必要だろうと思 いますし、以前より日本総合病院精神学会は合併症という治療は身体病とともに精神病 の治療の看護ケアも必要ですから、2対1が必要であるという主張はしていますけれど も、ここでは最低基準を考えているわけですから、3対1ということでもよろしいかと 思います。  ただ、ここで申し上げておきたいのは、看護の方の算定は一般科の病棟と精神科の病 棟と区分して要員を算定していると思いますけれども、ここの検討項目ではないかもし れませんが、医者の方が病院全体で算定しているというのはいかがなものか、整合性が とれないというふうに考えております。というのは、医者も16対1以下のところが46% の病院であるわけですから、そこのところのきちんと精神科医を確保するためには精神 病床について医者も看護も算定するのだという方式が必要だろうと思います。それは通 知・通達等のレベルの問題だと思いますが、よろしくお願いします。○岡谷委員 皆様 のお手元の方に、看護の立場からの委員、私と末安さんの2名の連名で、「看護職員の 配置について」ということで資料をお配りしていると思いますが、看護の立場から、精 神病床における看護職員の配置について考え方を述べさせていただくとともに一応試算 した数値をお示ししたいと思います。  これは一般病床のときもそうだったのですが、病院の中で24時間体制で患者さんをケ アしているというのは看護職員だけでございまして、そういう立場から考えますと、や はり昼間は充足されていても、夜勤帯でどのぐらいのケア量があるのかということは非 常に看護職員の配置を考えるときには重要な点ですので、この夜勤看護職員の配置とい うことが一つと、それから、これは一般病院ほどではないにしても、早期発見、早期治 療ということでだんだん精神病床でも平均在院日数を短縮していくという傾向はあると 思いますが、平均在院日数の短縮ということにも一つ力点を置いて試算をしておりま す。  まず一つは、夜勤看護職員なんですけれども、精神科でも夜勤体制がだんだんと充実 してきておりまして、資料1にありますように、資料1の病床数というのは病棟数の間 違いですので直していただけたらと思います。大体96%以上の病棟が2人以上の夜勤体 制をとっています。しかし精神病床の場合には1病棟あたりの在院患者数が 57.27人と いうことで非常に一般病床に比べると多いために、1人の夜勤看護職員の受持ちの人数 が約29人ということになって、かなり多い人数を受け持つということになります。これ をせめて一般病床の最低レベルである20人というふうに考えますと、病棟の患者数と看 護職員の数は大体2.6 対1という試算が出てきます。ですから看護をする側、夜間に安 心してケアが受けられるという患者さんの立場から考えますと、2〜3対1というよう な基準が必要になってくるのではないかというふうに考えます。  それから、資料4を見ていただきますとわかりますように、これは協会の調査の結果 なんですが、病院の看護部長さんに、自分のところの精神病棟について、どういう種別 というか、どういうふうな機能を病棟ごとに果たしているかということでお聞きする と、ここに挙がっていますように、診療報酬上の病床区分と同じような感じで救急とか 急性期、慢性期というふうにかなり実態としては看護職員の病棟ごとの傾斜配置という のが進んでいるという実態がございます。これを見ていただいてわかりますように、大 体3対1以上の配置の場合には入院日数がかなり短縮されてきておりますし、それ以上 になりますと、非常に入院日数が多くなってくるということで、大体平均在院日数が急 性期というふうに位置づけられている病棟は、慢性期や社会復帰の病棟に比べて、約平 均在院日数が3分の1ということで、そういうところの一つの線が3対1というところ は出てくるのではないかと思いますので、看護の立場からは、最低の基準であれば、や はり病床区分をしないということで、精神病床ということで考えれば、3対1という線 は一つ重要な線かなというふうに考えます。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 【津久江委員】  よくわかります。私が提出しました資料No2に、これが日精協の今年4月1日の1,200 病院のデータでございます。これでいきますと、残念ながら4対1をクリアーしている のは58.6%、5対1で78%、6対1が90.8%というのが実情でございまして、これは先 日の8月18日の『メディアファックス』にも出ておりましたけれども、全日病のデータ で3対1の基準を満たすためには、3.5 対1と4対1の病院 127 病院に対してアンケー トをとって、2割の病院ができないという数値が発表されております。  それからいきますと、5対1が丁度一般科病院の3対1に相当するギリギリの線で す。残念ながら3対1という数字はとても我々は残念ながら達成できないと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。もちろんいろいろとご意見ありますでしょうが、どうぞ、 西島先生。 【西島委員】  3対1という、それは非常に理想的だと思うんですが、3対1にするための看護婦さ ん、一体どこから連れていくのかという問題があるだろうと思うんですね。要するに人 がいなければ3対1が満たせないわけでございますので、まず、その問題が一つ。言う ことは簡単ですけれども、それを達成するには時間がかかるだろうという問題と、もう 一つは、看護教育に対して看護科が、精神科の実習をどういうふうにやってきたのか。 これは事務局ちょっと答えていただけますか。 【重藤補佐】  それでは、看護婦さんの実習につきまして報告いたしますと、平成9年までは看護婦 の養成に当たりまして、看護婦の実習はしなくていいということになっておりまして、 ところが平成9年から看護婦の実習というものが看護婦の養成課程の中で入ったという ことで、平成9年以前には実習というものが存在しなかったということでございます。 【西島委員】  私のところも実は看護学校持っているんですね。と同時に、私の病院に五つの看護学 校が実習に来ているわけですね。そういう看護婦の学生たちに聞きますと、まず実習に 来る前にどういうイメージを持っていたのかというと、「怖い」というイメージがある のだということなんですよ。実際、実習してみますと変わってくるわけですけれども、 ですから、今まで少なくとも平成8年までは、そういう機会を持たせていなかったとい う現実はあるわけです。もちろん昭和61年前はそれをやっていたみたいですけれども、 一番でも大事な期間を全く実習をしてもしなくてもいいというような、そういういいか げんな行政をやっていて、だから、精神科の看護ということの理解を学生に全く持たせ ていなかったというところは非常に大きな問題かなと。  ですから、これをこれから先の学生たちは実習するわけですから、その理解は増える でしょうけれども、しかしその看護婦さんたちがまずどの科に行くのかといいますと、 一番あこがれているのは、やはり救急なんですね。ですから精神科というのは、看護学 校の教師にも、私問題あるだろうと思うんですが、精神科の看護は難しいから、ほかの 科をやってからでいいのではないかというような指導も一部にあるやに聞いています し、それからある程度人生体験を得なければ精神科の看護婦はできないというような、 そういう言い方も私も聞いております。  しかし、それは大きな間違いであって、人生経験と精神科看護というのは全く関係な いことでありまして、人生経験が深ければ、自分の経験を相手に押しつけてしまうとい う、そういう弊害も出てくるわけでございますので、やはりきちんとした教育をしてい くことが、やはり今後岡谷委員が言われるような精神科に学生たちといいますか、看護 婦たちが就職するようになり、そこで初めて質が高くなってくるのではないかと私は考 えるわけです。  そういう意味で、今回3対1ということは、とてもこれは対応できない数字ではない かと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。どうぞ、岡谷先生。 【岡谷委員】  私は精神科看護を心から愛して情熱を持って教育をしている者なんですけれども、医 師の不足がどういう理由で医師が不足しているのかよくわかりませんが、看護の場合に は、今御指摘ありましたように、平成9年から精神科看護ということでカリキュラムが きちんと出されておりまして、そのための専門の教員も各看護学校で増やしていくとい うようなことができて、確かに精神科看護に対する認識というのが随分変わってきてい ると思います。  ですから今までとは違って、これから先5年間ずっと見ていくと、医師よりは看護の 方が得やすいというか、看護婦の不足というものを精神科医療の中での看護婦が得やす くなってくるというのはそうだと思うので、特に大学教育が今非常に多くなっておりま して、この10年で約10倍ぐらいに大学が増えております。大学ではやはり精神科看護を 志向していく学生が非常に多いということが実態としてはございますし、そういう意味 では非常に優秀な看護職員が得られていく可能性は今後は非常に高いのではないかとい うふうに思いますし、決して3対1が無謀な数字というふうには思いません。  特に医師が現状維持ということであるならば、せめて看護職員は十分に配置をしてい ただくということも一つ考えていくべきではないかと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 【西島委員】  ですから、今ようやく環境整備が始まったんです。ですからその経過を見ていかない と、言うは易し、ですけど実態はどうかなということが一番重要な問題でございますの で、そういう意味で、今回の改正に関しての3対1というのは非常に難しいということ を言っているわけです。 【吉川委員長】  山崎先生、何か。 【山崎委員】  私の意見書の2ページに書かせていただいたんですが、先ほど津久江先生の方からも ご指摘があったように、4対1で満たす病院も58.6%なんですね。それとあと、准看と 普通の看護婦さんとの比率が45%対55%というふうに10%准看の比率の方が高いわけで す。  こういうふうな現状が一方にありまして、それで厚生省もそれから看護協会も准看制 度の養成を廃止をするという話で、私の周りの准看護婦の学校もほとんど養成を廃止し ちゃうんですね。そうすると供給源の准看の学校を廃止されて、それで供給源がなくな って、しかも看護配置を上げろと言われても、これは小学生が考えてもできるような算 数の問題なんでありまして、それならばそういうふうにきちんと国で看護学校の養成を してくれないと、実際基準を上げろといっても、看護婦さんが現場に今いないんです ね。  したがって、5対1をクリアーしても、会員の病院の約2割は落ちこぼれちゃうとい うふうな現状があるわけです。その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。岡 谷委員に聞きたいのですが。 【吉川委員長】  岡谷先生どうぞ。 【岡谷委員】  私は一つはなぜ精神病院に准看護婦の方が看護婦よりも多く就職していくのかという のは、またいろいろな理由があるし、いろいろな問題があるというふうに考えていま す。  准看護婦制度の問題とこれは今全体で 112〜 113万人ぐらいの看護婦、准看護婦合わ せて全国で就業しているわけですけれども、今厚生省の看護課の方で、これから5年間 の需給見通しということで、各都道府県で算定をしておりますが、その算定の中で考え ても、看護婦の供給というのは非常にスムーズに進んでおりまして、平成12年度に達成 すべき数値もほとんどクリアーしておりますので、それは全体に准看護婦の養成数が全 くなくなって、それでまた看護婦がその分養成が少なくなるということではないと考え ています。これは看護の質の問題であって、人員の問題とは違うことなんだろうという ふうに思います。  ただ、精神病院の場合には、私は精神の看護というのは、心という非常に見えないも のをケアしていくわけですから、本当に准看護婦の教育を受けただけで精神病院の精神 科のケアができるかというふうに考えますと、それはむしろ看護婦の教育をきちんと受 けて、そういう人が精神病院に働くということは患者さんにとっても非常に重要なこと だと思いますので、そちらの方向に変えていくように努力をすべきだろうというふうに 思っています。 【山崎委員】  いいですか。 【吉川委員長】  より高度な看護がやはり供給されるべきだということは当たり前のことといえば当た り前のこと。ただ、現状の問題としてどうかということが山崎先生のご指摘だろうと思 います。  これに関しましては、今ここでちょっと議論することではないような気もいたします ので、ともあれ、こここで議論すべきことは、いわば看護基準といいますか、ここで言 えば、患者さんに対して一体どれぐらいの看護者を必要とするのか、医療法上どういう ふうに規定おいたらいいのかいう、その視点でやはり議論をせざるを得ないと思うんで すね。  その意味で少し議論を深めさせていただきたいと思いますが、どうぞ。 【西島委員】  今までの現状というお話がございましたし、精神科に対する看護対策というのが、平 成8年まではいいかげんになされていたという言葉が適当なのかどうかわかりません が、真剣になされていなかったということはおかわりになったと思います。  そういう意味で、今回水準を上げるのが適当ではないか、可能ではないかというよう な言葉が書いてあるわけですけれども、当然特例があった時期と今とでは状況が違うわ けですから、当然今までの特例以上の水準を上げなければいけないことは当然だと思い ます。でも、やはり大事なことは行政が責任持って看護学校の対策をとらないことに は、いつまでたってもこれは変わらないわけでして、そのあたりをこの中に書き込んで いただいて、やはり行政が責任持って看護の教育といいますか、確保といいますか、そ ういう対策をやっていくというものも入る中で初めて基準を上げるという話がスタート するのではないかと思いますので、ぜひ、そのあたりの文章を書き込んでいただきた い。 【吉川委員長】  具体的にご指摘いただきましたけれども、少なくとも教育の中身に関してもう少しき ちんと書き込むことと、それから確保に関してやはり書き込むということを考えたいと 思います。何か、津久江先生。 【津久江委員】  おっしゃるとおりでございまして、それに異論はございませんが、「看護婦等」とい うのがあるわけですね。「等」についての議論がきょうはなされていない。前回もなさ れていない。だから、私は前回コンシューマの広田さんがお話なさって、コメディカル スタッフが多い病院は評価される。いい病院ですよというお話なさったと思うんです ね。やっぱりここで看護婦さんのかわりをコメディカルと決して言うわけではございま せんけれど、社会復帰に向けてとか、あるいは世界的なこれは一つの流れだと思うんで すが、そういったコメディカルスタッフも織り込んでいかないといけないのではない か。それがNo2の、私の出した資料の下にありますように、既に精神保健福祉士の合格 者は 2,000名を超えておりますし。こういった人が病院に勤務している・心理療法士は 1病院で 1.5人、OTRについては1病院について 2.9人というデータがありますの で、これらの評価もやはり忘れてはならないものではないかと思います。 【吉川委員長】  事務当局の方はいかがですか。今、津久江先生が言われた「看護婦等」というときの 「等」の中にパラメディカルスタッフというものをどういうふうに書き込むかというこ とだろうと思いますけれども、それに関してはご意見ありますか。 【重藤補佐】  今のところ、この文章を書いた段階で、「等」の中に含めているのは、看護婦、看護 士、准看護婦、准看護士でございます。この文章の中ではそのようにしておりますが、 コメディカルスタッフというところで、もう少しご議論いただければ、またどうするの かということはまた決めていただければと思います。 【吉川委員長】  わかりました。 【末安委員】  先ほど西島先生がおっしゃったように確保対策を書き込むということはむずかしい。 環境整備がまだ始まったばかりだからということで併せておっしゃっていたんですけれ ども、日精協さんのほかのデータを見ても、私ども日本精神科看護技術協会のデータで も、精神病院の職員の高齢化というのも相当深刻な問題だというふうに認識していま す。単にプラスアルファの人間がというだけではなくて、人間が入れ替わっていくとい うことも含めて計画を立てていただきたいなと思っております。  その点では、特に西島先生もこれもおっしゃっていましたけれども、職員がどうして 集まりにくいかという問題なんですけれども、利用者に対してディスクローズも、流れ としては出てきているんですけれども、本来医療法の本則の問題になるかもしれません けれども、医療従事者に対しても、病院の中身がどんどん公開されて、積極的にどうい う医療を提供しているかということを示していくことが大事なのではないかと思うわけ です。  その点について、証拠といっては何ですが、西島先生から何度もご指摘を受けている ので、一つ、こちらで弱点を言ってしまいますと、岡谷先生と一緒に配りました資料4 のところに「病棟ごとの平均在院日数と実際の看護職員配置」というのがありまして、 一見見落としがちになってしまうんですけれども、1.5 対1看護をやっているところ が、2対1とか 2.5対1看護よりも実際の在院日数が長くなっているんですね。これは 日精看の調査でも出てきているんですけれども、やはり重症で合併症を負ってらっしゃ る方たちを、比較的なんですけれども、公的病院中心になるんですけれども、かなり手 厚くやっていても苦戦するということが、これはきょうの場所に直接ふさわしい話題で はないのかもしれませんけれども、そういうデータもあります。看護職員が多ければい いものではない。確かにそうなんですけれども、しかし多くてもなかなかうまくいかな いこともあるということが、言うまでもないですけれども、現実なので、そういうこと も多くの方たちに知っていただいて、さらに人を集めていくという工夫をしていく必要 があるのではないかと思います。 【吉川委員長】  看護職員の質の問題ということで考えなければいけない。その質の中にやはり年齢の 問題もあるということを、今御指摘いただいたことだろうと思います。 【伊藤(哲)委員】  看護職員の人数をどうするかということですけれども、先ほども出ましたけれども、 現状では少なくとも医師については16対1は無理だということであれば、どこかでそこ をカバーする意味でも、看護婦の職員をぎりぎりまで上げるべきだと思います。特に人 と人とのかかわりということが精神科では特に重要な看護の仕事になりますので、患者 さんが救われるのは看護婦しかおりませんので、せめてぎりぎりまで看護基準を上げて いただきたい、そういうお願いをします。  それから、津久江先生がおっしゃったように、その他のコメディカル職員について も、基本を看護婦さんを何対何というふうに決めて、その上でつけるというふうにし て、さっきの病室の問題に似たような発想になりますけれども、まず看護婦さんをきち んとして、その上に精神科にはこういう職員がコメディカルが必要であるというふうに 書き込んでいただきたいと思います。 【伊藤(弘)委員】  4ページの資料の対象はどのような方であったかという質問をさせてください。 【吉川委員長】  何の4ページですか。 【伊藤(弘)委員】  岡谷先生と末安先生の資料です。 【岡谷委員】  これは日本看護協会の会員が2名以上いる精神病院、総合病院の精神病棟を対象にし ているものです。 【伊藤(弘)委員】  それは日本の全体の病床を大体代表しているというふうに考えればよろしいでしょう か。 【岡谷委員】  はい。 【池上委員】  これはご参考までにPRになって恐縮ですけれども、今、厚生科学研究で、私どもの 研究しておりまして、 2,000人の患者さんを5年後どうなっているか。それは重症度を 補正した上での看護人員配置が多いところがアウトカウントとしてすぐれているかどう かということの研究成果を今年度末にまとまりますので、そうしますと、この議論はも う少しエビデンスに基づいて申し上げることができると思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。この一応の結論そのものは9月ぐらいということでござい ましたけれども、実際に医療法の改正の議論は来年ですよね。 【重藤補佐】  秋に臨時国会が開かれれば、恐らく再提出されまして、それは状況次第ですけれど も、厚生省の希望によれば、できるだけ速やかに審議をしていただくということでござ います。 【吉川委員長】  わかりました。またそのときにも、今の池上委員のデータなども、また積み重ねられ るかもしれませんので、そのときはまた活用させていただきたいと思っています。  それでは、一応看護のところをいろいろとご議論ありましたけれども、今までご議論 いただきましたものを書き込みながら、また文章化させていただくことにしたいと思い ます。  あと薬剤師のところでございますけど、これに関してはいかがでございましょうか。 ご意見はございますでしょうか。これに関してはどうでしょう。特にないようでござい ますか。何かございますか、津久江先生。 【津久江委員】  これは既に日精協で調査しておりますけれども、一般科のちょうど半分なんですね、 処方箋、臨時処方を含めて。それから、病棟別の処方箋の枚数出してみたのですが、精 神科の場合、急性期治療病棟と一般精神科病棟、精神療養病棟との処方箋の枚数はそれ ほどの差がいない、そういうデータがあります。 【吉川委員長】  そうですか。ありがとうございました。データの上でのご説明を少し加えていただき ましたけれども、私の方で提出いたしました、こうした論点メモそのものには、それほ どのつけ加え、あるいはご意見がなければ、薬剤師の部分はこれで通過させていただき ます。 【池上委員】  すいません、1点だけ、これは外来患者は考慮されているわけですか。 【吉川委員長】  外来患者は入っていますよね。 【重藤補佐】  はい。 【吉川委員長】  入っています。  それでは、最後のところでございますけど、おわりにと……。 【伊藤(哲)委員】  今の話に関連して、外来患者さんが考慮されてない数字だとすれば、ここの中へ出て いる、院内処方の話はこれに関連しなくなりますね。この部分は要らないのではないで しょうか。 【吉川委員長】  含まれています。 【伊藤(哲)委員】  わかりました。ちょっと聞き間違いました。 【吉川委員長】  では「おわりに」ということでございますけれども、「おわりに」というのは、要す るに先ほど私がご説明したようなことを最終的に将来を見据えた議論をきちんとしたい という、そうした気持ちを込めてこの中に書き込まさせていただきました。これは先ほ ど申しましたように、西島先生からも公衆衛生審議会の中でも幾たびもご発言をいただ いておりましたし、私自身がこの専門委員会の委員長をお引き受けするに当たりまして も、私自身が考えてきたことでもありますし、したがいまして、この委員会だけでこの 問題を論ずるということではなしにしたいという気持ちを先ほど申し上げたような次第 でございます。  あくまでもマル1のところは、この論点メモを作成した意味合いをちょっと書いてあ るだけでございまして、マル2のところが、私が申し上げたようなわけで、気持ちを込 めて、私お話申し上げたので、これをまた文章化させていただいた上で、皆様方にご提 示いたしまして、その上でさらに文章を練り直させていただきたいと思います。  以上、一応各パートごとに話を進めさせていただきましたけれども、時間そろそろ参 りましたが、何か全体を通じてご意見ございますでしょうか。竹島先生どうぞ。 【竹島委員】  手短に申し上げたいと思うんですが、人員配置のところで、「旧医療法上の総合病院 や大学病院においては、合併症に対応する役割も果たす施設」とあります。こういう合 併症に対応する役割を果たすということになれば、精神症状と身体症状の両方に対して 対応していくということになって、恐らく既存の施設の中ではそれに対する設備構造の 不足という問題もまた出てくるのではないかという感じがいたします。  その意味で設備構造の基準の中に、合併症等に対応できるための設備構造の部分とい って、そこに反映する部分としての論拠がちょっとでもできれば、より医療機関相互の 長所を生かし合った相互後送もまた可能になるのではないかと思います。よろしくお願 いいたします。 【吉川委員長】  後意見承りました。  それでは、ここまでいろいろなご意見をいただきましたことを、うまくいくかどうか わかりませんけれども、ともかく、また文章化した上で皆様方にご提示したいと思いま す。いずれにしましても、事務当局の方にかなりご負担をおかけすることになりますけ れども、よろしくお願いしたいと思います。  さて、議題2と書いてありますことに何か事務当局の方は。 【重藤補佐】  9月の日程。 【吉川委員長】  そちらの方で何かご意見あるんですか。 【重藤補佐】  事務局としましては、次回までにある程度まとめないといけないと。きょう出た意見 もいろいろあって、時間多少必要かなということで2週間程度以上あけていただければ ありがたいということでございます。 【吉川委員長】  わかりました。そうしますと、2週間というのは、1週、2週ですから、9月4日以 降の週ということにはなりますけれども、何か案がございますか。また、これは調整さ せていただけますか。 【重藤補佐】  今もしお集まりのところで決めていただくことができれば、全員おそろいですし。                 (次回日程調整) 【西島委員】  いろいろありますので、できましたら、日程表で午前、午後とか、時間を括っていた だいて。 【吉川委員長】  その方がわかりやすいのではないでしょうか。そうさせていただきます。また、ファ ックスを流していただいて、時間をできるだけもう少し細かく時間を区切って、この時 間帯ならという、そうした時間帯をご指定させていただきたいと思います。  それでは、本日ここまで議論を進めさせていただきました。どうもありがとうござい ました。何とか次回までには文章化をさせていただきたいと思います。その節はまた十 分なご議論をいただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。 −了− 照会先 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 (森 内線3056)