00/08/02 第2回介助犬に関する検討会議事録        第2回 介助犬に関する検討会                  議事録         日時 平成12年8月2日(水)15時00分〜17時15分         場所 厚生省特別第2会議室                (開会・15時00分) 板山座長  それでは3時、定刻でありますから、第2回の介助犬に関する検討会をはじめたいと 思います。  6月のあれは確か21日でしたか、第1回の検討会をスタートさせていただいたのです が、もう1か月半少々、忘却の彼方にという声もあるかもしれません。役所の方も課長 さんがお代わりになったなんていうこともあるようでありますから、これからはじめた いと思いますが、はじめに新課長からご挨拶を兼ねて若干のご連絡をいただきたいと思 います。どうぞ。 企画課長  私、7月24日付で遠藤課長の後任で企画課長に就任いたしました仁木でございます。 前職は障害福祉課でございまして、同じ部の中の異動でございますけれども、何とぞ、 よろしくお願いいたします。  先生方には大変お忙しい中、この介助犬検討会の委員をお引き受けいただきまして、 また、大変暑い盛りにお集まりをいただきまして改めて厚くお礼申し上げます。よろし くお願いいたします。  それでは引き続きまして本日のご出席の状況について報告をさせていただきます。東 日本旅客鉄道株式会社の前田委員の代理として白石様が、今日、代わりにご出席をいた だいております。  東京都の福祉局の在宅福祉課長の専通委員でございますけれども、専通委員、8月1 日付で異動になられまして、後任の在宅福祉課長様の土本様に後任の委員としてご就任 をお願いしておりますけれども、本日はご欠席ということでございます。  なお、中部盲導犬協会の河西委員につきましてはご都合によりまして本日、ご欠席と のご連絡をいただいております。なお、秋山委員におかれましては30分程、遅れるとい うご連絡をいただいております。  また、前回に引き続きまして運輸省の方から運輸政策局の消費者行政課と運輸政策局 の観光部観光地域振興課の担当官の方にもオブザーバーとしてご出席いただいておりま す。よろしくお願いいたします。  続いて恐縮でございますけれども、次回のことで恐縮でございますが、第3回目の検 討会の開催日につきまして早めに決定したいと思っておりまして、お手元にご都合をお 書きいただく用紙を配付させていただいておりますけれども、のちほど事務局の方で回 収をさせていただきますので、それをもとにしまして今日、本日の討議が終了次第、次 回の日程を決めさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。以上で ございます。 板山座長  ありがとうございました。それではこれから議事に入りますが、まず、事務局から今 日、お配りをしております資料の確認並びに若干の追加説明等ありますれば、お願いを いたします。 社会参加推進室長  それでは資料の確認の資料の説明をさせていただきます。その前に私、7月1日付で 障害保健福祉部社会参加促進室長に就任しました吉田と申します。よろしくお願いいた します。  資料でございますが、資料番号が検討会の次の頁から入っておりますが、右肩の方に 資料番号が振ってございますが、資料が全部で1から5までございます。  まず、資料1でございますが、これは2枚綴りでございます。この資料は本日、説明 をいただく内容を事前に事務局の方で作成いたしまして、育成団体及び介助犬使用者の 方々にそれぞれ送付したものでございます。本日、このヒアリング事項を中心に説明い ただくこととなっております。  1枚目は育成団体用のもので、介助犬育成の流れを中心に説明していただくこととし ております。2枚目は介助犬使用者用のものでございます。介助犬を利用しようとした 動機や、あるいは利用して良かった点とか、あるいは困っている点等につきまして説明 していただくことにしております。  次に資料2でございます。これは2枚綴りでございますが、この資料は本日、ご説明 をいただく育成団体、日本介助犬トレーニングセンターの概要でございます。所在地は 京都市、団体成立が平成10年6月でございます。管理責任者であり、訓練士でもある本 岡様から本日、説明をいただくことになっております。  なお、別綴じでございますが、日本介助犬トレーニングセンター説明資料というもの を用意してございますが、これは日本介助犬トレーニングセンターの本岡様から本日、 説明するにあたって用意していただいた資料でございます。  次に資料3でございますが、1枚ものでございます。この資料は同じく育成団体であ ります介助犬協会の概要でございます。所在地は東京都八王子市、団体設立が平成7年 7月です。本日はトレーナーの矢澤様より説明をいただくことになっております。  なお、これも別添でここにございますが、介助犬協会説明資料というものを用意して ございます。これも介助犬協会の矢澤様から本日、説明するにあたりまして用意された 資料でございます。  次に資料4でございますが、1枚でございますが、この資料は介助犬使用者である木 村様の略歴でございます。現在、兵庫県宝塚市にご在住で、三菱電機株式会社に勤務さ れております。平成6年12月から介助犬使用のための訓練を開始いたしまして、平成8 年7月から介助犬シンシアを利用しております。  次に資料5でございます。これは前回、検討会の議事録でございます。前回、検討会 終了後に委員の皆様方にはお目通していただいた後のものでございます。  最後に小冊子、3冊ございますが、これは当検討会の委員でもございます高柳友子委 員様からご提供がありました資料でございますが、参考にお手元にお配りしてございま す。  以上、資料の確認と若干の説明をさせていただきました。資料の不足等がございまし たらお申し出いただきたいと思います。よろしいでしょうか。 板山座長  資料、揃っておりましょうか。はい。 社会参加促進室長  以上で説明、終わらせていただきます。 板山座長  ちょっと質問ですが、それぞれのご説明の時間は何分ぐらいを予定しておるのですか 。 社会参加促進室長  だいたい20分ぐらいでご説明していただいて、その後、質疑を。 板山座長  はい。これから前回のときにお諮りをいたしておりますように、育成団体並びに介助 犬をお使いになっていらっしゃるご本人からそれぞれお話を頂戴をするわけであります が、だいたい20分ぐらいの時間でお話をいただくことにさせていただきます。  それではさっそく、よろしゅうございましょうか。はじめに育成団体であります日本 介助犬トレーニングセンターの本岡さんからお話をいただきたいと思います。よろしく どうぞ。 本岡氏  よろしくお願いいたします。さきほどご紹介いただきました日本介助犬トレーニング センターでトレーナーをやっております本岡と申します。よろしくお願いいたします。  さっそくなのですけれども、厚生省の方から事前にいただきました答申書のお答えを させていただきたいと思います。  まず、最初にナンバー1なのですけれども、候補犬の適性、購入先、購入費等につい てご質問がありました。それに対しまして当センターでは、まず、適性としまして血統 から股関節形成不全などの遺伝的疾患のある犬が大変多いもので、まず、これをないこ とを前提に探しております。  第2に便や体重など、購入の際に健康状態がその子犬のみならず、母体、その他の子 犬にも良好であることを選んでおります。第3に人間に興味を持つことですね。第4に 物品意欲があること。第5にその子犬1頭にしても怯えないことですね。6つめに仰向 けにしておとなしいこと。これは従順性、人間に従うということを重要視しております ので、選定の基準にしております。  7番目に拘束しても暴れないこと。8番目に大きな突発的な音響がしても驚かないこ と。これは当センターでは競技用のピストルがありますけれども、それを子犬の選定の ときに鳴らしております。9番目に他の成犬を怖がらないこと。これは将来的にこの子 犬の性格というものがこの時期にはっきりしますので、将来のことを考えてやっており ます。10番目に衛生的な環境で管理されていること。11番目に介助犬使用予定者の体格 や介助内容により性別を決定しております。  子犬の性格は成長に伴い変化をしていくため、両親犬のみならず、何代もさかのぼり 訓練性能をはじめ、性格、また、健康状態を把握し購入する必要があると当センターで は考えております。雄雌、適性は変わりませんけれども、去勢や避妊手術の費用面で雄 を中心に購入しております。  1年間かかる獣医等の費用は、資料の中で9番目なのですけれども、これで一応、掲 示しております。この資料は私のセンターの方の嘱託獣医師、京都に2つに獣医さん、 おるわけですけれども、その獣医さんの1年間を通しての介助犬に関わる獣医の費用、 これを換算して出しております。 板山座長  今のは何頁ですか。 本岡氏  資料説明の中のナンバー9ですね。 板山座長  ナンバー9。ずっと後ろの方ですね。よろしいですか。 本岡氏  そうですね。これに1年間にかかる介助犬の費用等を出しております。  次のご質問なのですけれども、購入先及び購入費のことに関してお答えします。当セ ンターのトレーナーが警察犬訓練士であるために、警察犬関係の訓練所及び警察犬の繁 殖所、また、一般繁殖所から購入しております。購入費はだいたい業者値で6万から10 万を目安にしております。  第2に育成の流れ、期間、育成費等のご質問がありましたけれども、育成費、障害の 程度により150 万〜200 万程度。これは現在、法人資格を持っている盲導犬がございま すけれども、団体がありますけれども、この団体の計算を目安に人件費込みの値段で出 しております。  育成の流れ、期間、『トレーニングマニュアル』というのが参考資料の中にあります 。 ナンバーが3番です。介助犬のトレーニングの流れというのがあるのですけれども、先 にこの介助犬の『トレーニングマニュアル』なのですけれども、これは大変申し訳ござ いませんけれども、ナンバー6、7に関しましての共通しておりますけれども、これは 現在、私の方のセンターで『トレーニングマニュアル』というものは京都市、京都府、 岐阜県庁、JR各社及び航空4社等に提出しております。  このマニュアル自体は私と航空関係者の方と協議の下にマニュアルを作成しまして、 現時点でこのマニュアルに沿ってチェックが行われているようであります。そのチェッ ク事項も介助犬のトレーニングの流れの中に鉄道関係と航空機関係用の2枚が入ってお りますので、後でご参照していただければ結構です。  第3にトレーナーの養成方法、養成カリキュラム、トレーナーの適性等があります。 これは参考資料の中にナンバー4番の中で出させていただいておりますけれども、当セ ンターではこのようなものを下にトレーナーの養成を行っております。また、専門的な 知識につきましてはそれぞれ専門家による勉強会を開いております。また、これは法律 なんかも入れておりますので、弁護士さん等の専門家等を入れましてトレーナーたちの 卵たちにそういう法的なことも含めて教えております。  トレーナーの適性についてですが、動物愛護の思想普及と犬の能力を最大に活用し、 障害者福祉へ貢献できるものが最適と考えております。また、障害者のリハビリテーシ ョンについての知識を有し、障害者が日常生活に即した介助犬の介助動作を有効に使用 できるように訓練に取り組める者としております。  4番なのですけれども、介助犬利用者の適性基準、障害の種類、程度、年齢、性別の 制限など、問い合わせがありましたけれども、これも付属の書類の中に、5番の中に日 本介助犬トレーニングセンター『レシピエント規約』とあります。このレシピエントと いう、当センターでは障害者のことを、介助犬を必要とする障害者の方をレシピエント と呼んでおります。他団体によってはいろいろな呼び方の団体もありますけれども、当 センターではレシピエントとして決めております。  『介助犬定義』というものも書いておりますけれども、また、いろいろな団体で介助 犬の位置づけというものを暫定的にやっております。当センターではさきほどお話しま したナンバー3の資料の最初の方に介助犬の定義というものを出しております。これは 今、現在、考えられる任意の団体が地方条例及び法律に基づいて最大の訳で、うちのセ ンターの相談役である弁護士が一応、介助犬の定義づけをしております。それに基づい て介助犬の『トレーニングマニュアル』というのは作られております。  5番目に介助犬の利用者の決定に対してリハビリテーション医学的評価が必要かとい う問いがありました。これは必ず必要であると私の方は考えております。  ナンバー6に介助犬育成においての必要な専門職(獣医など)の設備。このご質問に 関しましては専門職の犬のトレーナー、獣医師、作業療法士、理学療法士、ソーシャル ワーカー、介助犬と障害者とトレーナーを結ぶコーディネーター、心理カウンセラー、 医療従事者等が必ず必要になってくると思っております。  7番に介助犬育成についての必要な医学的情報。まず、一番目に身体医学的情報、2 番目に精神医学的情報、これはパーソナリティーですね。3番目に獣医学的情報。この 3つを考えております。  8番目の問い合わせに、介助犬の訓練にあたり共通して求められる介助の基本動作は どのような項目があると考えられるか。また、コマンド数はとの問いがあります。介助 犬の基本動作としまして、当センターではくわえる、引く、押す、指示された場所に手 をかけ、また、指示をされて吠える、また、緊急時の人を呼ぶ。その他、ここには書い てはいませんけれども、あと2、3の言葉があります。これは専門訓練の中で継続して 教えていっておりますので、一応、基本的にはこの6つと考えていただいたら結構です 。  コマンド数、だいたい基本的には基本訓練としましては30前後と考えております。  9番目に介助犬の利用にあたり、ホテル、公共交通機関、どのような環境整備が必要 かという、場面毎にというお問い合わせがあります。当センターでは公共交通機関にお いては現在のところ、利用を希望する交通機関各社の利用許可を得なければならず、介 助犬使用者に多大な心身的、また、金銭的な負担が強いられています。  改善策としまして、当センターでは暫定的ではあっても定められた交通機関の利用許 可を得た介助犬においては国内公共交通機関の利用許可を与えることによって負担の軽 減が図られるべきと考えております。  また、宿泊施設利用においては利用の度に許可を得なければならず、心身的負担が大 きい。この改善策として、各宿泊施設事業組合等が障害者と介助犬の利用可能施設のリ ストの提示を求め、現段階ではリスト内で利用をする。また、リスト外の施設利用の際 に関しましては障害者本人が許可を得るということで、最善策としては各関係省庁から 関係団体への通達が出されることが望ましいと考えております。  これに関しまして当センターでは資料ナンバー10なのですけれども、関西のJTB、 旅行会社なのですけれども、旅行会社の協力の下に、まず、京都からホテル、旅館等の JTB関連の旅館等に関しましてはアンケートを出しております。それに対して一部の 回答がきております。また、その調査は現在、続行中です。現在、京都、大阪、岐阜等 にJTBを通じて全国的なJTB関係の旅館等にはアンケートを出し、その集約を求め て、また、何らかの形で表に出していきたいと考えております。  ナンバー10、リタイヤの犬の対応。当センターの場合はアニマルセラピーとして法人 施設に贈与。また、2番として一般家庭の家庭犬としての贈与。3番、センターにて管 理。  まさに、10に関しまして今年なのですけれども、これは提出した資料の中に6番、7 番の中に介助犬のハッピーという犬が出ているはずなのですけれども、これはJR及び 航空4社と覚書の締結された当センターが出した介助犬なのです。  この介助犬のハッピー号につきまして、実はまだ年齢は3歳なのですけれども、うち の嘱託の獣医師の方が異変を感じましてアメリカの方にも組織細胞の検査を送ったので すけれども、偏平上皮癌という大変ラブラドールにしては特殊な場所にできる一種の肉 腫なのですけれども、それが口の中にできまして、年に3回の除去手術が必要となりま す。その手術の費用が1回10万程、かかります。現在、障害者の方が持って活動された わけですけれども、年に3回の手術代というのが大変大きな負担になります。  そこで当センターでは障害者との話し合いの中でその犬をリタイヤさせることに決定 しまして、各覚書等は返却し、現在、日本介助犬トレーニングセンターからは介助犬と してのリタイヤとして、現在は当センターで理事をされている精神科の開業医がいるわ けですけれども、そこでセラピー犬として活動しております。また、その手術費用にし ましては当センターの理事が実費で行うということで、現在、精神科の病院でセラピー として活動しております。 板山座長  今の犬は何という名前ですか。 本岡氏  ハッピーと言います。 板山座長  ハッピーね。 本岡氏  はい。現在、資料の6番、7番の中にハッピーというのを出しておりますけれども、 各それぞれの交通機関等には覚書等は返却しておりますので。  最後に11番なのですけれども、介助犬が一時的に利用不可能になった場合の対応です 。 さきほど少しお話したのですけれども、障害者の方との話し合いにより当センターから リタイヤした場合は当センターのボランティアの方、現在、当センターには80人ぐらい のボランティアの方がいらっしゃいます。年齢層ですけれども、学生から主婦まで含め て幅広い年齢層が現在、おります。当センターのボランティアの派遣、もしくは有償 サービスへの要請をしております。この有償サービスの方も私の方のセンター、リンク をしておりまして、いろいろと情報提供、もしくは協力体制を取っております。これは 京都市内ですけれども。  その他としまして、まず、第1に国内には様々な育成方法を取る団体があります。介 助犬を希望される方に多くの誤解を招いている。最近では家庭で飼育されていた犬を介 助犬へ育成するという依頼を請け負い訓練をするという方法をとっている団体がありま す。  現実的に私の方の団体にもそういう問い合わせは何件かきております。しかし、訓練 期間を拘束せず、多くの時間を費やした挙げ句、介助犬に必ず育成されるという約束は されず、多大な訓練費用を払ったにも関わらず、介助犬にならず返されるというケース も出てきています。  同じような事例で個人所有を希望し、犬の購入費から訓練費用まで使用者負担であり 、介助犬トレーナーが介助犬の子犬を購入したにも関わらず、介助犬になるかどうかも 約束せず訓練を請け負っているケースもあります。実例として4例、私の方のセンター では把握しておりますけれども、個人名もありますのでここでは記載はしておりません 。  もちろん訓練期間は未定のままである。このようなケースは障害者に金銭的な負担を かけるだけではなく、精神的にも大きな負担になります。進行性の場合は、訓練中にも 症状が進む可能性が高く、肉体的な負担になり得ないことも考えております。  中断になりますけれども、今、現在、筋ジスの方を訓練しております。訓練するにあ たって主治医の先生とのご相談の上で、今、当センターでは進行性の方に関してはそれ 対応の訓練をしております。例えばレーザーポインターですね。光を当ててそれに犬に 認識させるようなシステムを取っております。  以上のようなケースは介助犬の育成経験のない訓練所に育成団体から依頼されること もあり、同じ団体の中でも育成方法はもとより、介助犬のレベルに差が生じてきている のが現実です。このことを踏まえ、当センターでは介助犬の育成はセンターが購入した 犬をセンター所属の専属トレーナーが訓練し、希望者に無償永久貸与するシステムを取 っております。これにつきましては『介助犬貸与の流れ』、資料ナンバー2番、この形 式をとって訓練をしております。  また、2つめとしまして当センターの介助犬は障害者の方の安全性を第一に考えてお ります。また、障害者の自立生活を豊かにする立場から、交通機関の利用ができなけれ ば目的がなされないため、国内主要公共交通機関の利用許可を得なければならず、現在 のところ、介助犬としては認定しておりません。  介助犬の安全性についてきちんとしたチェックで確認できるものは、現段階では航空 各社及びJR各社のご協力の下に作成いたしました乗車チェックリスト、これはさきほ どお話しました『トレーニングマニュアル』の中にあります。と認識しております。国 内各関係団体のチェック項目は介助犬の安全性が確実にチェックされるものであるとは 、我々、育成団体にしては言い切れるものが少なく、介助犬使用者の安全性については 不安を抱いております。  介助犬が国レベルの認知が困難な現段階では、介助犬の介助動作はもちろん必要です が、体にハンディを持っておられる方が使用される以上は、安全面での基準だけでも先 に統一されるべきと考えております。  第3に介助犬の国内育成頭数が不足しており、定義もないことから海外からトレー ナーを呼び、育成活動を行ったり、海外をモデルケースにそのまま日本に持ち込もうと したり、また、障害者自身が海外で育成されて介助犬を購入したりするケースなど、最 近、活発になってきておりますが、日本と海外の犬を取り巻く環境が異なり、障害者を 取り巻く考え方にも大きな差があります。やはり犬の文化とか、社会生活の文化、違い ますので、このようなことから日本においては日本独自の介助犬の育成カリキュラム及 びトレーナー育成カリキュラム、介助犬定義、トレーナー定義が必要であると考えます 。  これをクリアするには各育成団体が抱えている問題を明らかにし、介助犬育成の実績 に基づき、現場の意見を取り入れ作成しなければ日本の介助犬は適さないものになると 思っております。現日本社会の中で障害者の立場や介助犬の立場から共存できない存在 になることを考えております。  4つめに京都府、岐阜県、兵庫県では個別ではあるが介助犬の取り組みがなされてお ります。暫定的なものであるため、様々な問題が生じております。京都に関しまして同 じように介助犬のIDカードを持っているにも関わらず、施設利用が可能な犬と不可能 な犬が出てきております。これは介助犬とされているにも関わらず、訓練が不十分であ り、施設の利用に不安があるためとされています。  これは公立学校で起こった問題で、一方は訓練不十分で利用ができず、もう一方は利 用許可を出すわけにはいかず、両方が利用不可であったのであります。これは養護学校 のことなのですけれども、このようなことが今後、国内においても生じる可能性が現段 階ではあり得るのではないでしょうかと、当センターでは不安を抱いております。  ここに提出しましたナンバー7番とナンバー8番ですけれども、これは日本航空株式 会社、全日空空輸株式会社、エアーニッポン、日本エアシステム、西日本旅客鉄道株式 会社、東海旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、帝都高速道交通営団、京都市 交通局、このご協力の下に資料を提出していただきました。現時点で日本介助犬トレー ニングセンターが調査した結果では、公共交通機関の覚書を締結している犬と一覧表が 資料として提出しております。以上であります。 板山座長  ありがとうございました。大変ポイント、ポイントについてご説明をいただきました が、短い時間で意を十分に尽くせない面があったようにも思いますが、お聞き取りいた だいておられます委員の皆様方、しばらくの時間、質問等を、ここで議論しても仕方が ありませんから、むしろただいまのお話についてのご質問を中心にして本岡さんから少 しお話をいただきたいと思います。どうぞ、どなたでも結構ですから、お出しいただけ ないでしょうか。はい。松尾さん、どうぞ。 松尾委員  日本身体障害者団体の連合会の会長の松尾ですが、まず、定義のところで実質的定義 と形式的定義と書いてあって、実質的の方には聴覚障害のためというようなことも書い てあるのですね。片方では肢体不自由というようなことと聴覚というのはここに入って くるのかどうか。その点がひとつ。  もうひとつは、交通関係とさきほど説明があった覚書というのが、もう少し詳しくど の程度の覚書であるのか。障害者の負担というのが言われたけれども、実際、障害者の 負担というのはどういうふうになっているのか。普通でいった場合、どういうふうな負 担があるのか。そこら辺の3点についてお訊ねしたいのですけれども。 本岡氏  まず、第1点目ですけれども、聴覚に関しましては当センターでは聴導犬も訓練して おります。介助犬のみならず聴導犬も訓練しておりますので、こちらの方にはちょっと 入ってないのですけれども、厚生省の方が持っておられる資料の中には聴導犬の訓練、 これは京都市の消防局の全面的な協力の下にカリキュラムを作成しまして聴導犬の訓練 も行っております。  第2点に覚書の内容なのですけれども、これは障害者の覚書の内容、これはあくまで も各鉄道事業者、もしくは航空関係事業者との話し合いの中で外部には出さないという ことが前提になっておりますけれども、内容から言えば大変障害者に負担の大きい、リ スクの大きい覚書の内容となっております。はっきり関西弁で言えばお前らを乗せてや っているのやと。一人の障害者よりも多くの、他の多くのお客さんということを全面的 に考えておりますので、大変障害者の方にとってはリスクの大きい覚書の内容です。  ですから、当センターの場合は『トレーニングマニュアル』の最後の方になりますけ れども、見ていただければいいのですけれども、傷害保険をかけております。その傷害 保険と言いますのは対人、もしくは対物にかけて介助犬が第三者に対しての危害を与え ときには保険会社等がそれを代わりに対処するという、これも保険会社と最初の当時の 話ではそういう介助犬に対しての保険というものは全然設定はしてなかったのですけれ ども、最近、介助犬がいろいろな意味で取り上げられ、漸く介助犬に関して傷害保険を つけるという形を取りまして当センターではデビューさせる介助犬につきましては傷害 保険をかけております。その費用に関しましてはセンターが持っております。契約内容 は個人と傷害保険会社となっております。 板山座長  今の傷害保険は資料のどこかに出ていますか。 本岡氏  ええ、介助犬『トレーニングマニュアル』というのがあるのですけれども、『トレー ニングマニュアル』の最後の方です。バックの絵が描いてある手前の方なのですけれど も。ナンバー3番の資料の最後の方ですね。 板山座長  必要最低条件とか、採点基準と最終評価表、その後ぐらいですか。 本岡氏  そうです。その後の方です。狂犬病予防注射済というのがあるのですけれども、その 下の方に保険、これはコピーなのですけれども。千代田生命のやつですけれども。千代 田火災のやつですけれども。この保険をつけることによって障害者の方のリスクは大変 少なくなると考えております。  障害者の負担の負担のことをおっしゃっていましたけれども、これは介助犬育成はも ちろん無償貸与なのですけれども、試乗するにあたってだいたい京都から東京まで出て くるわけですけれども、1回の試乗費用がだいたい40万程、かかるわけです。その40万 という費用はやはり。 板山座長  それは今のは試みの乗る費用。 本岡氏  そうです。公共交通機関を利用する試乗という形でやっているわけですけれども、育 成の費用にプラス試乗の費用というのがかかってきます。 板山座長  40万円ぐらい。 本岡氏  それは人数から言えば障害者、介助犬、トレーナー1人、もしくは障害者の家族の方 がついていきます。その費用がだいたい40万程、かかります。その行程はJRもしくは 航空機等を利用しますので大変高額な金額になります。その一部が障害者の方の負担と なりますので、その辺の負担のことをちょっとお話したのです。 板山座長  これは試乗費用という名前を使っているのですね。傷害保障の保険もあると。 本岡氏  この保険に関してはセンター、微々たる金額ですのでセンターが支払っていますけれ ども。あくまでも介助犬自体がセンターが所有権を持っておりますので。 板山座長  松尾さん、よろしゅうございますか。 松尾委員  もう1回いいですか。公共交通機関との締結に障害者のリスクが非常に大きいという ことはちょっと心配ですけれどもね。障害者のためにこういうことをやっていただくの にリスクが大きい締結しかできなかったというのはいわゆる公共交通機関が理解がまだ 足らないということですか。 本岡氏  まだ、足らないと思いますね。 松尾委員  足らない。交通バリアーフリー法案等もできているから、足らないということでそう いうリスクを障害者が負うというのは導入そのものが否定されるような、極端に言って 否定しているというような意味ですか。 本岡氏  そうですね。現実的に飛行機に乗る場合ですけれども、障害者の方と介助犬が利用す るにあたっては、座席2つ分を確保しなければ駄目なわけなのですね。付添いがいれば 別なのですけれども。そういう面に関しましても今後、これから委員の皆さん方で考え ていただければ駄目な部分かなと。 板山座長  はい。これは松尾さんから疑問を呈せられておりますけれども、介助犬というものが 公的な、あるいは制度的な裏付けを持たないがためにという面もある。盲導犬がかつて はそうであった。最近は盲導犬を公共交通機関や施設に連れて入ることをもう普通にな ってきていますがね。介助犬というのはまだそうならない。だから、この検討委員会で その有り様について検討すると、こういうことになると思うのですね。 本岡氏  ですから、ソフト面とハード面の差があまりにも大きすぎるということを考えており ますけれども。 板山座長  どうぞ、その他、ご質問。さっき本岡さんが4つか5つ、最初に希望を含めた問題提 起をされましたね。安全面のせめてガイドラインは作ってくれとか、あるいはトレーナ ー不足を解消しなければいけないけれども、海外からのものを丸写ししては駄目だと。 文化の違い等を考えなければいけないよというようなご指摘がありましたが、その一番 最後に障害者のそれぞれの障害の種別によって違うということをおっしゃった。  そのことについて何かこの資料の中で障害の種類別に適性の犬、あるいは訓練の仕様 、こんなことについて触れたものがありますか。この中に。 本岡氏  こちらの方には提出しておりませんけれども、一部、厚生省にお渡ししている資料の 中には入っておると思います。ですから、当センターではまず、介助犬の使われる障害 者の方、まず、第1に頚椎損傷と考えております。 板山座長  頚椎損傷を中心に考える。 本岡氏  頚椎損傷、また軽度の脳性麻痺。筋ジストロフィー、多発性硬化症、この4つに関し ましてはやはり一番介助犬を持たれる障害者の方にとっては有効性があると考えており ます。 板山座長  頚椎損傷、軽度のCP、脳性麻痺。それから。 本岡氏  筋ジストロフィー、これもいろいろな形がありますけれども、それとあとは多発性硬 化症。補足になりますけれども、現在、多発性硬化症のトレーナーを今、私どの方では 教えております。 板山座長  初山先生、何か専門的な立場で何かございますか。 初山委員  今のお話であった適応ですけれども、軽度の脳性麻痺とはどういう範疇を示しておら れるのかご説明ください。  さきほどご説明いただいた資料の2の中で、介助犬トレーニングの流れで、利用者の 選考方法が書いてございます。介助犬が障害がある方に貸与されるまでの子犬を選ぶ項 目が書いてありますけれども、利用者を選考するというのは誰が責任を持って選考する のか。どういう基準で選考するのか。そこら辺について少しお話し願えますか。 本岡氏  私の方も96年に脳性麻痺の方の介助犬を1頭訓練して、これは他団体ではあったので すけれども、そこで育成側としまして大変言語の問題がございます。やはり重度の方と 何度もお話をしているのですけれども、犬に意思の伝達という面で大変困難な部分が生 じてきます。  その点、軽度の、どの辺までが医学的には軽度と言うべきかは私は専門外でわかりま せんけれども、やはり少なくとも言葉を通じて意思の伝達ができる程度の状態であれば 可能と考えております。  さきほどレシピエントの選考するにあたって誰が選ぶのかというお問い合わせもあり ましたけれども、現在、私の方のセンターには京大の医療従事者、作業療法士、その他 、また、障害に関する団体の役員等がいます。その中で選考委員会を開いております。 そこで決められた障害者の方にトレーナーが会って貸与していくという形を取っており ます。ですから、一応、センターの理事とかメンバーが選ぶわけではございません。あ くまでも医療従事者の意見を参考に選定はしております。 板山座長  例えばそれを障害者が利用するのに相応しいか、相応しくないか、介助犬を使用する のに相応しいか、相応しくないかという選考をこういうメンバーでこういうスタッフで チームで選考委員会というふうなものを作ってやったらどうかと、そういうご提案はな いですか。 本岡氏  それは必要だと思います。 板山座長  必要だと思う。 本岡氏  はい。私はそう思います。やはりその中で犬のトレーナー、これは以前、高柳先生が おっしゃっていたようにやはり犬のトレーナーだけでは無理ですし、また、素人だけで も無理です。やはりその中に専門職のやはり医療従事者というのは必ず必要になってき ますし、やはりこれは今まで5年間、介助犬の訓練をしてきまして感じたことなのです けれども、やはり専門的な心理カウンセラーという今、職業的なものというのはないで すけれども、やはりそれに近いカウンセリングのできる精神科のお医者さん等が加わる ことによってより的確な適性基準ができているのではないかなと考えております。 谷口委員  私も脳性麻痺という障害を持っているわけなのですけれども、脳性麻痺の軽度と言わ れると想像はつくのですが、極めて脳性麻痺の、私、一応、専門にそういうことを勉強 しているので、脳性麻痺の軽度と言われるともう介助はいらないということを想像する わけで、そうすると重度となってくると介助を必要とすると。  さきほどのお話を聞いていますと、日本の障害分布を見ると脳性麻痺が圧倒的に多い わけですよね。その中でも極めて限られた人たちしか介助犬を利用することができない とすれば、それを盲導犬の場合は目がご不自由だということで、これはほとんどの方に 対応するような形を取れるわけですけれども、介助犬の場合はその一部、ほんの肢体障 害、あるいは重複障害は別として肢体障害のほんの一部の人しか対応できないとすれば 、それを一般化していくことがどれぐらい重要なことなのかということに関してご意見 ございませんでしょうか。 本岡氏  現段階で介助犬のトレーナーという立場の人間というのはやはり公的な機関もあれも ありませんので、大変不安定な状態で訓練をされているのが現状なのですね。その中で 現段階ではそこまでの責任というものがやはりついてまわってきますので、やはり今の 技術的な面も含めまして現段階では軽度の脳性麻痺の方が対象になる。  往き行きこれが充実、法的な面も含めてハード面、ソフト面が整備され、やはりひと つの方向づけがされた時点ではもっと奥の深い方には進んでいくとは思うのですけれど も、現段階では犬を訓練するトレーナーの、やはり重度の方に渡したときの当センター の目的である安全性という面を考えれば、現段階ではやむを得ないかなと。今後、技術 的な面でもう少し煮詰まっていければ、それも対処できる時期は来るとは思いますけれ ども、現段階ではそこまでまだ考えている余裕はないというのが現実的な意見です。 初山委員  私の考えですけれども、脳性麻痺だけ重度、軽度と分けると問題があるので。 本岡氏  そうですね。それは失言です。すみません。 初山委員  介助犬とはという定義の中で並べてございますね。その中で日常生活動作の基本的な 動作に障害のある人ということでありますから、脳性麻痺だけ軽度のという表現をされ ない方がいいのではないかと思います。 本岡氏  それは失言。すみません。申し訳ありません。この筋ジス、今の先生のお話にもちょ っと例はあるのですけれども、やはり筋ジスと、一般的に筋ジストロフィーと言いまし たけれども、やはりこの筋ジスの中でも今の脳性麻痺の方と一緒のような形で考えてお りますので、ちょっと言葉の足らない部分がありましたけれども。 初山委員  もう1点よろしいですか。この定義のところで脊髄損傷と頚椎損傷と並んでいるので すけれども、これはできれば今度、修正する機会がございましたら頚髄損傷という形に していただい方がいいかと思います。 本岡氏  わかりました。何かのミスだと思います。申し訳ございません。 板山座長  谷口さんのお出しになった問題などはこの介助犬制度がどこまで成熟するか。はじめ から重度は除くなんていうふうには考えていないと思って議論をしておいていただきた いと思うのですね。  たまたま今、お話が現実的には開拓的な立場で今、挑戦しているのはその辺だと、こ ういうお話だというふうご理解をいただきたいと思いますがね。どうぞ、何かあります か。 谷口委員  よろしいですか。さきほどの続きなのですが、重度の脳性麻痺の方に対する安全性が 保障できないというお話なのですが、どういう危険性が考えられるのですか。 本岡氏  やはり私が今、極端な話、脳性麻痺の方に訓練、声の出さない方、これに関しては笛 を使っております。笛で合図をさせております。というのは1回吹けば座れ、2回吹け ば伏せ、そういう形で笛の音色で教えたりもしております。  その中でやはりこれは試乗のときに96年なのですけれども、脳性麻痺の方の介助犬を 作り、試乗したわけですけれども、やはり一人でいらっしゃるときに大変大きな犬です から、ラブラトールレトルリバーを使っておりますので、やはり瞬間的に犬が障害者の 方から気が散ったときに、それを障害者の方が犬をコントロールするのに少し時間がか かる。そういうときに大変安全面を考えたときにちょっと疑問を感じたもので、そうい う話になったのですけれども。 谷口委員  何か具体的にどういうことか。 本岡氏  例えば駅のホームで介助犬を連れて脳性麻痺の方が待っていると。奥様がたまたまジ ュースを買いに行ったと。そのときに小さい子どもたちが後方の方で大きな声で走って 風船を割ったと。そのときに一瞬ですけれども、その音に犬が反応してストッパーつけ て車椅子止まっているのですけれども、若干、車椅子を横に引いたという経験がありま したので、場所が場所でしたから大変そういう安全面のことを考えれば、やはり少しも う少し考えなければ駄目かなというのが、具体的な例と言えばそういうことですね。そ れは京都駅であったわけですけれども。 板山座長  短い時間でご説明をいただき私たちが学習をさせていただくわけですが、最後に本岡 さんの立場からこの検討委員会への期待というものがあるとすれば、あるいは厚生省が 行政的にこんな取り組みをしてほしいということで2つ、3つ、ありましたら重点的に ちょっとご指摘をいただいて終わりたいと思いますが、どうでしょうか。 本岡氏  今、確かに介助犬、95年から私どものセンターでは以前、海外から介助犬が1頭来て 、またアメリカの方に連れて返られていますけれども、実質的に公的な交通機関を利用 できる介助犬が誕生したのは95年、私が作ったマークという犬なのですけれども、それ は人所有の犬なのですけれども、これからの出発だと思っております。まだ、僅か5年 しか経っておりません。  その中で各、いろいろな育成団体等が分裂、再編を起こし、また、現在、当センター では13団体を日本中で確認しております。その中でやはり介助犬の名前を使って普及と いう目的で資金集めをしている団体も数団体あります。実際、また介助犬を出している 団体もあります。  現在、私どもの団体としては毎年、介助犬は世に出しておりますけれども、やはりこ れだけ厚生省の方で初めてこの検討委員会を開かれ、今後、日本の介助犬の位置づけを される出発点に立ったと思うのですけれども、やはりその中で委員の先生方にひとつお 願いしたいのは、やはり学識経験者の中でいろいろなソフト面、ハード面を含めて介助 犬の位置づけをされていくとは思うのですけれども、やはりその中に介助犬を実際、作 っている団体のやはり意見、もしくはそういう要素を取り込んでいただきたいなと。  今、大変、海外から情報等が大変多く入ってきております。その中でやはり先進国で ありますからやはり海外の情報というものを中心に考えやすい方もいらっしゃるとは思 うのですけれども、やはりその海外におきましても非営利団体が、日本で言うボランテ ィアが作っている団体が結構多いものですし、やはり欠点も大変多くあります。  それを日本の社会の中でそれを流用していくということは、やはり日本のさきほどお 話したように日本の犬の文化、また日本の社会的な文化、大きなずれがあります。根本 を考えて、また、住宅問題等もございます。  そういこうことを考えていけば、やはり海外のひとつの参考にはいいとは思うのです けれども、それをそのまま日本の中で社会の中で介助犬の位置づけとして決めてしまう のはどうかなと。まして、犬を作っていくトレーナーというものはやはり現場の仕事で すから、机の上だけで考えられた部分で行ってしまうというのもやはり問題も出てくる と思いますので、やはりひとつの介助犬の位置づけをするのであれば、やはり学識経験 者及び犬の関係者が中に入ってやるべきとは考えております。以上です。 板山座長  ありがとうございました。それではまた、もし、不十分な点等ありますければ、後ほ ど、次回以降におきましてご意見を頂戴することもあるかもしれませんが、今日は本岡 さん、どうもありがとうございました。 本岡氏  ありがとうございました。 板山座長  育成、あるいは訓練という立場での本岡さんからのお話を伺っていただきましたが、 ここでちょっと事務局から説明、その他、お願いしたいことがあるようでありますが、 お聞き取りをいただきたいと思います。 社会参加促進室長  第3回の日程の表を冒頭、ご配付していますが、もし、よろしければこの時間を使い ましてご記入していただければありがたいと思うのでございますが。 板山座長  この日程表、このことですね。 社会参加促進室長  はい。 板山座長  この日程表にご都合の悪い日を斜線を引いてくださいと書いてありますが、今、私、 一応、書きおわったところですが、どうぞ。室長さん、矢澤さんは見えている。 社会参加促進室長  はい。今。 板山座長  それでは休憩も取らないで申し訳ないのでありますが、トイレ休憩は随時お取りいた だくことにして、会議を続けさせていただきたいと思いますが、次に介助犬協会の矢澤 さんから同様にお話を伺いたいと思いますが、よろしくお願いします。 社会参加促進室長  あと1、2分。今、こちらに向かっているところです。すみません。 板山座長  それでは介助犬協会の矢澤さんから少しお話をいただきたいと思います。約20分でお 願いします。 矢澤氏  はい。どうもはじめまして。介助犬協会でトレーナーをしております矢澤と申します 。 今日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。  先日、質問事項をいろいろいただいたのですけれども、今日、お配りいたしましたレ ジュメと書いてあるのですが、レジュメとか、何かちょっと誤字がかなりあるのですが 、すみません。だいたいの各項目についての質問の返答はそちらの方に書いてあります ので、目を通していただければと思います。  今日、質問の内容等を含めながらいろいろちょっとお話をしたかったなということが 、実際、介助犬と言いますのはやはりいわゆる在宅介護の現場で何が求められているか とか、あとはこれからいったいどういうものが求められるかということにやはり注目を 置いて、その上で介助犬の持つ役割とか、そういったものを私たちは考えていきたいな と思っています。  例えば在宅で過ごされている障害者の方々が私から見て一番必要としているものとい うのは、すべて人的な介護に頼るということへの不安というのが結構大きいのではない かと私の中では日頃、思っていまして、例えば家族の方に介護をしてもらっている方と かも、いずれ先立たれる両親とかがいなくなってしまったら自分はいったいどうなって しまうのだろうとか、夜間とかかなり寝返り介助とか、かなりやってもらうことが必要 な障害者の方というのはどうしても家族に対して申し訳ない、あるいは介助者に対して 凄く申し訳ないなという気持ちの中で過ごされていて、あとは例えば24時間、介助者が 必要な障害者の方も、私たちもそうだと思うのですけれども、24時間、誰かしら必ずい るというのは結構、息が詰まることもあると思うのですが、そういう方というのは本当 にプライベートの時間とか、プライバシーの時間がなくて、ただ、介助犬が緊急時の対 応さえしてくれれば1日、例えば3時間とか6時間とか、凄くプライベートの時間が持 てるとかということもあるのですね。  あとは逆に介助者側からしてみれば、どうしても常時、どうしても介助者側としても 何か、例えば家族の方が介助している家族の方にしても、やはりどうしても心の余裕と いうか、自分自身の生活の余裕が持てない家族の方もいっぱいいて、外にお買い物に行 っていても車椅子から落ちていないかなとか、いろいろ心配しながら買い物に行ったり お仕事をされたりということもあるのですね。  だから、やはり介助犬が本当、緊急時の対応とかしてもらえれば何かあったらすぐ電 話を持ってきてもらうとか、隣の人を呼びに行くとか、そういったものがあればお互い にとってとてもいいのではないかなと私は常日頃、思っております。  ちょっと簡単に質問の方をあれしていきたいと思います。1番なのですけれども、ち ょっと盲導犬協会の方の参考にさせていただいたのですが、だいたい1頭、ちゃんと適 性のある犬を1頭購入するのに、だいたいこれはオーストラリアの方からあれしている らしいのですけれども、だいたい60万から70万というお金がかかるそうです。私たちは 今、現在はほとんど盲導犬協会の方から盲導犬として不適格な犬を見せていただいて、 その中で介助犬として適性のある子を選ばせていただいています。  実際問題、今、私たちのところにいる訓練犬はすべて盲導犬協会の方から提供してい ただいた犬です。ただ、今後は飼い主さんの放棄犬、いわゆる保健所の犬の中から適性 のある子を選んで、少しでもいい意味でリサイクルというか、そういうことを考えてい きたいなと思っています。  あと、実際に訓練犬に1頭の介助犬が育つまでにだいたい約70万ぐらいかかっており ます。この70万と言いますのは餌代とか犬の獣医療費、あとはトレーニング費。このト レーニング費というのはトレーニングに行くための交通費であったり、施設利用費であ ったりというのがだいたい含まれて、だいたい70万ぐらいかかっていおります。  3番の介助犬を育成するトレーナーについてなのですけれども、私たちの団体ではと りあえず日本では介助犬トレーナー、もしくは介助犬についての明確な基準とか、資格 とかというのがありませんので、これは私たちがやっていることなのですけれども、だ いたいトレーナー志望の方は面接をして様子を見て1年から2年ぐらいは関わっていた だいて、その中でこの人なら犬を渡してもいいかなと思う方がいれば、担当犬を渡して 、あとはもう担当犬を渡して自分自身でいろいろ勉強しながら育てていってもらうと。  ただ、その上でとても大切なのが、ただ単に犬を育てるのではなくて、やはりその都 度、私とか、いろいろ犬の専門家の方とかにアドバイスを貰いながら1頭の犬を育てて もらって、だいたいでもトレーナーとして本当に任されるようになるまで最低3年は今 の時点ではかかっています。  育成のカリキュラムについては全然システム的なことは私たちもできていないので、 今現在はとにかく個人指導ということでやっています。それだけではなくて犬のことだ けではなくて、やはり一番大切なのは介助、在宅介護の現場を知ってもらう、あるいは 介助を実際、そのトレーナーたちにやってもらうということがとても大切で、私自身、 在宅介護をずっとやっていまして、その上で介助犬を育てられたということは確信して おりますので、今後、トレーナーとして私たちの団体でやっていきたい子に関しては、 極論から言えば介護福祉士のような国家資格をきちんと取っていただいて、プラス在宅 介護のやはり実績も並行して積んでいってもらうおうかなということを思っております 。  4番の介助犬使用者の適性基準ですけれども、これはなかなか私たちの育成団体だけ では判断できないものがありまして、医療的、私たちは今、現在は日本介助犬アカデ ミーさんの方にちょっとお願いをしていろいろないい作業療法士の先生や理学療法士の 先生、あるいはリハ医の先生を紹介していただいて、介助犬の使用者として適性がある かないかというのを一緒に考えてもらっている状況です。  これはとても大切なことで、例えば筋ジストロフィー、皆さんもご存じの筋ジストロ フィーのような進行性の病気を持っていらっしゃる方というのは果して進行の具合がど うなのか。それによっては介助犬が行くことで逆にマイナスになってしまうのではない かとか、こういったことというのはどうしても私たちにはわからないのですね。どうし てもやはりお医者さまの方が関わっていただかないとわからないので、この4番につい ては今はアカデミーさんの方とちょっと連携を取ってやっております。  5番の介助犬使用者の決定に対してリハビリテーション医学的評価が必要かというの は、もう絶対に総合評価はリハビリテーション医学的観点は絶対に必要です。さきほど 言ったことと同じことになってしまうのですが、やはり残存機能の評価であったり、予 後の評価、あるいは痛みなどを含めた可動域の評価、あるいはこれに関しては介助犬よ りも福祉機器とか、補助具の方が例えばいいのではないかとか、そういったこともとて も大切なので、こういうこともやはり医療従事者の方にやはり見ていただかないと私た ちでは判断できません。  こういうことをおろそかにしてしまうと、ある意味、大きな事故につながってしまう ということがあるのですね。例えば先日、今年の春、うちで出した介助犬のユーザーさ んというのは膀胱に穴を直接、ポッと開けて直接、管を通していて、それで排尿してい らっしゃる方なのですけれども、例えばそういうことも知らずに犬を訓練していて、ど うしても犬は仕事の内容によってはお腹のあたりに前足をかけてしまったりするのです ね。でも、そういうユーザーさんであれば、絶対にお腹のあたりは前足をかけないよう に最初から犬に伝えておかなければいけなかったりとか。  あるいは今、うちにユーザー希望で出ている方はリューマチの方がいらっしゃいまし て、先日、アカデミーさんの方で紹介していただいた先生と実は訪問調査に行ってきた のですが、この方は今は何とかお一人で生活されているのですけれども、こういう生活 を今後、続けていくとおそらく車椅子からだんだん寝たきりになってしまうという、も う医者が見てもそういう判断が出て、今の時点でもう出てしまうようなユーザーさんで 、ところがそれがもし、私一人で行った場合はそこまでは絶対気づかなかったのですね 。 だから、そういった意味でもやはり医療従事者の方、リハビリテーション医学的な評価 というのはとても重要だなと思っております。  6番、専門職と言いますとあれなのですけれども、一応、そこに書いてあるように常 勤としてはトレーナーとトレーナー指導員、これは必ずリハビリ医療、もしくは福祉の 方の国家資格を持っている人、あるいは獣医さんというのは常勤で必ず必要かなと思っ ております。非常勤としてはリハ医とか理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカー のような方がいてくださればとてもいいのではないかと思っております。  設備については読んでいただければわかると思うのですが、それぞれの私たちの団体 では常時10頭ぐらい育成、訓練犬を育成するいうことが今、現在は、多分、これぐらい しかちょっと今の規模ではできないかなと思っております。  7番はだいたい5番と重複しておりますので、それを参考にしてください。  8番は指示語表をお渡ししたと思うのですが、だいたいそれは私たちの団体が介助犬 に伝える動詞です。動詞60ぐらい、約60ぐらいの動詞です。この他に名詞、だいたい30 ぐらいを犬には理解してもらってから卒業という形を取っております。この動詞なので すけれども、このひとつひとつのコマンド、指示語に対して確実に犬に行動させて、あ とは障害者の方のニーズのよってその動詞を組み合わせていきます。  組み合わせることでかなり多くの介助動作が犬ができることが、犬が可能になってい くという、例えば、Take、くわえてとか、Bring、持ってきて、Give、放 してという組み合わせで、例えば寝返りの介助とかを犬にさせるときに、例えばCom e by heelで左側について、Take、膝で膝をくわえさせて、Pullで引 っ張って、自分の程よい場所にGiveと言うと犬が放すのですね。そうすると梃子の 原理で人間というのは膝をピッとやるとピッと寝返りができるようになるのですけれど も、そういった形でいろいろ動詞とか名詞を組み合わせて介助動作にしていきます。指 示語はあと参考にしていただければ。  あと、公共機関とか、ホテルのことなのですけれども、基本的には合同トレーニング のとき、合同トレーニングと言いますのはユーザーさんとトレーナーと犬と三者で行う トレーニングなのですけれども、そのときにかなり私たちはユーザーさんに対していろ いろな指導を行ってますので、基本的にはどういう状況、どういう設備、どういう機関 に行ったとしても基本的にはユーザーさんがすべて対応できるという状況なのですね。 ただし、例えば宿泊施設とかにおいてはできれば犬の排泄できる場所等だけ確認をして 、そういうものだけ用意していただければ助かるかなという形ですね。  リタイヤした犬については、今、現在、私どもの団体ではリタイヤした犬はまだ実際 、おりませんので、今、活躍している子で最高齢の子、8歳で、まだ現役、あと2年ぐ らいはできそうな子で、ただ、今からでも私たちも準備しているのは、これは盲導犬協 会の方を参考にさせてもらっているのですけれども、リタイヤした犬がまた新しい第2 の生活を送れるようにそういった犬を快く家族の一員として迎えてくれるようなボラン ティアホームの確保を考えております。だいたいこれで盲導犬の方は何かクリアになっ ていると伺っております。  介助犬が実際、病気になってしまったときはということなのですけれども、その辺は なかなか難しい判断なのですけれども、できるだけユーザーさんの持っている環境で対 処していただくようにしております。ただ、とは言ってもなかなか今まで介助犬がやっ ていたので、人的な介助が少し不足しているということも確かにあり得るので、今、現 在は私、さきほども言ったように私たちもトレーナー、あるいはトレーナー見習いの子 というのは在宅経験を積ませるという意味もありまして、どうしても足りないとき、そ ういう場面で足りないときとかは私たちの会から今、人材を派遣しているというのも現 状です。  ただ、あと、地域で自立生活センターのような有料介助派遣を行っている団体とかに も緊急なのですがよろしくお願いしますということで対応してもらったりも、今、現在 はしております。だいたい以上です。 板山座長  ありがとうございました。介助犬協会の矢澤さんからご説明がありましたが、どうぞ ご質問をお出しください。どうぞ。 満野委員  ホテル協会の満野でございますが、私どもホテルの業界というのはやはり客室があっ て、飲食施設があって、盲導犬での受け入れをということでやっておりますけれども、 共通した問題なのでちょっとトレーニングなっている方にお伺いしてみたいと思うので すけれども、私どもの業界で一番問題なのはやはりワンちゃんの排泄なのですね。です から、ホテルではほとんど洋式のトイレがあると。和式のはほとんどないと思うのです けれども、そういった場合、果して客室のバスルームでいいのか。実際、一体になって いますし、パブリックのトイレがいいのか。それとも外に連れていかれるのか。そうい ったタイミングとかというのはどういうふうになるのでしょうか。  例えば障害をお持ちの方を介助、犬から受けている方は離していいのか、一緒でない とまずいのかですね。 矢澤氏  その辺はケースバイケースなのですけれども、もし、介助者と一緒にホテルに宿泊さ れている方であれば、その介助者の方に犬の排泄だけは外に連れ出してもらってお願い している方もいらっしゃれば、実はちょっと先日、別のあるユーザーさんは、私たちの 育てる犬というのは基本的にはペットシーツというものを皆さん、ご存じですか。紙オ ムツの平たい大きい版、だいたい新聞紙、広げたサイズぐらいなのですけれども、どん な状況下でもどんな場所でもペットシーツの上では必ずしなさいということを教えてあ りますので、この間のユーザーさんに関してはユニットバスにペットシーツをバッと敷 きつめて、そこでさせていますが、便に関してはトイレットペーパーで取ってそのまま 流していただいて、おしっこがついているペットシーツはそのまま持って返っていただ くということをしてもらいましたけれども、あとはその辺はケースバイケースですね。 満野委員  どうもありがとうございました。 板山座長  その他、どうぞご質問。 初山委員  よろしいですか。この介助犬協会の概要というのを拝見していたのですが、この組織 の中にペットサポート部門とか、デスク部門とか、いろいろとございますね。そうする と介助犬協会というのは介助犬のトレーニング以外に他の業務もやっておられる。ある いはどのくらいのウエイトで介助犬のトレーニングをやっておられるのか。  介助犬をセレクションする方法であるとか、あるいはそれを使用する人をセレクショ ンする方法であるとか、そういう基準みたいなものはお持ちなのか。 矢澤氏  まず、ひとつめなのですけれども、実は介助犬というのは盲導犬ほど、社会には認知 されておりませんので、私たちが何をしなければいけないか。例えばテレビとか新聞等 の広報に出るということもひとつのあれなのですけれども、やはり一番、私が日本で介 助犬を育ていて根深いものがあるなというのは日本の犬に対するレベルが低いというか 、例えば躾けにひとつにしても日本人が考える犬の社会性が低いというか、そういった ものも私たちのような働く犬を育てている団体は、例えば家庭犬の躾けとかにもちょっ と目を向けてやっていく必要、このことに関してはかなり草の根運動なのですけれども 、と思って始めたのですが、実は凄くこの5年、介助犬協会が始まって約5年になるの ですけれども、多分、この間に関わった飼い主さん、あるいは犬というのは何百頭って 実はなっています。  そういったところからやっていくことが必要だということと、実際、そのトレーナー も介助犬の育成だけを勉強しても何もならなくて、やはりいろいろ家庭犬の訓練とか、 そういったものも必要になってきますので、その辺、ドッキングさせてペット部門の方 で躾け方教室みたいなものを行っています。ただ、これは介助犬の育成に影響するよう な程度ではなくて、3か月1クールでだいたい年に1回乃至2回ぐらい行っております 。  もうひとつは、適性なのですけれども、今日はお渡しできなかったのですが、犬の適 性評価、もしくはレシピエントさんの適性評価というのはかなり私たちは細かくやって おります。ここにも犬の適性評価がガッーとあるのですけれども、ユーザーさんには約 30枚ぐらいのアンケートとか書いていただいたりとかしております。私たちの団体独自 の適性評価はあります。 板山座長  よろしいですか。その他、どうぞ。 谷口委員  2点お伺いしたいのですが、まず、第1点目は介助犬というのは介助犬協会さんとし てはあくまでも人間の介助を補完するものとお考えなのか、それとも独立して介助犬と いうものをお考えなのかというのがまず1点です。  レシピエントさんの適性なのですが、こういう方は絶対に向かない。こういう方はも う絶対に向かないという方はどういう方なのか。そのご説明、お願いいたします。 矢澤氏  はい。まず、最初にレシピエントさんのこういう方は向かないというのは、基本的に はわかりやすく言えば多分、ベット上で寝たきりの方とかには、まず、難しいだろうと 思っています。そういう方の場合は介助犬よりもアニマルセラピーみたいなコンパニオ ンドックみたいな形で、でないと対応できないかなと思っていまして、あとはさきほど 言ったように医療従事者の方、ご本人が絶対、飼いたいと言ってもちょっと医療従事者 の方から、例えば呼吸器とかつけていらしていて犬の毛に対してそれが危険だとなれば 断念さぜるを得ないってありますよね。  だから、そういう形で総合的に見て、もちろんご本人の方とも綿密に打合せをしてい い悪いというのを評価していきたいなと思っています。  あとはとってもとってもお年寄りの方とか、あと、お子様、子ども、要は犬を飼うと いうことは大変な責任が伴うので、犬の責任を負えないような年齢の子どもに対しては 私たちは今は受け付けておりません。  もう1点は、介助犬というものは人間が人が生きていく上で衣食住と絶対必要ですよ ね。衣食住のプラスやはり介助というものが必要な方がいて、私はそのすべての介助動 作を介助犬が行うということは絶対、不可能だと思っていますので、いろいろ介助の内 容によってはやはり人的な介助の方が絶対いい、でないとできないというものもありま すけれども、でも、人でなくても犬でも十分できる介助動作というのがいっぱいありま すので、だから、その辺はケースバイケースで、あくまでも介助という選択肢のひとつ として介助犬を考えていただければなというスタンスで考えております。  あとは福祉機器と併用してひとつの介助動作が生まれていたりとか、介助犬だけでで きる介助動作があったりとか、あとは例えば今まで2人でトイレ介助とかをして、でな いとできなかったのが、介助犬がちょっと台の代わりになることで2人でやっていたこ とが1人で、1人プラス介助犬でトイレ介助ができるようになるとか、そういった場合 もあります。 板山座長  谷口さん、よろしいですか。 谷口委員  はい。 板山座長  その他、どうぞ。 高柳(哲)委員  大変理知的な説明で非常に皆さんにわかりやすかったと思います。大変いい説明だっ たと思います。 矢澤氏  ありがとうございます。 高柳(哲)委員  介助犬協会としてかなり今まで育成をされたのですけれども、目下、一番困っておら れることは何ですか。 矢澤氏  やはり一昨日もちょっと横浜にラーメンを食べに介助犬と行こうということで行った のですが断られたのですね。せっかく横浜まで来たのにとちょっとユーザーさんと言っ ていたのですが、やはり介助犬は社会の認知がない。でも認知がないというのは当然の ことで、やはり介助犬の基準もなければ育成団体、トレーナーの基準もない。そんな危 険なことに対して社会が受け入れるわけがないと私たちは思っております。  だから、やはり今、私たちが一番今まで何年もやっていて、私個人でも3頭の介助犬 を世の中に出してしまって、やはりここに来てやはりこういうことは必要だなというの は、もう公的な資格というか、基準というか、やはり認知を公、公的な認知というもの がやはり一番、今は必要だなと感じております。 板山座長  よろしいでしょうか。さっきの初山さんからもご質問がありましたが、お宅の協会に はトレーナーはあなた1人ね。 矢澤氏  はい。今のところはそうです。 板山座長  あなたはどういう勉強をしてトレーナーになられたの。 矢澤氏  私はもともとトレーナーになるつもりは全然なかったのですね。高校卒業して介護福 祉士を取ってそのまま在宅介護をずっと行って仕事としてやっていたのですけれども、 たまたま福祉の勉強をしにアメリカの方に8か月間ぐらいちょっと研修に行くことがで きまして、そのときに実は介助犬という存在を向こうで知りまして、もともとアメリカ の方に福祉の勉強に行ったのも在宅介護をやっていてやはり少し矛盾、自分の中で矛盾 が生じてきたりというのもあって、実は勉強しようと思って行ったのですね。  その中で出会ったのが介助犬で、やはり向こうで見ている介助犬はとてもストレスも なく、きちんと多分、介助犬としての適性評価を受けて、それなりに叩いたり、蹴った りみたいな強制訓練ではなくて、犬の個性に合わせた自主的なものを重んじるトレーニ ングを受けて育った犬が障害者の方と生活をしていて、とても相互に助け合っていい関 係だし、実際、介助内容についても凄くメリットのある内容だなというのを気づきまし て、行っている8か月間のほぼほとんど半分ぐらいは実は介助犬のトレーナー、そこの 施設の介助犬のトレーナーさんについてトレーニングの勉強をして戻ってきたのですね 。  あとは自分のある程度、在宅経験を踏まえて、とは言え犬に対してはちょっとかなり 無知だったので、いろいろな獣医さんで行っている家庭犬の躾け教室とか、そういうも のに通わせてもらって犬の方は独自に勉強をして今に至っているという感じですね。だ から、私もまだ自称、介助犬訓練士ということですね。 板山座長  まさにあなたも自称ですな。ここに3人ぐらい、トレーナー見習いという人がいます ね。この人たちはどういう訓練を今、しているのですか。 矢澤氏  さきほど言いましたように、とりあえず犬の訓練に関しては様々な犬の介助犬のト レーニングだけではなくて、さきほど言ったように犬にとってとてもいいと思われるト レーニング方法を取っている個人のトレーナーさんのところに研修に行かせたりとか、 あるいはさきほど言ったように極力、在宅介護の研修に行かせたり、あるいは障害者の 方が何かやるイベント等には必ず参加をしてもらったりとか、今、現在はそれぞれの子 たちに担当犬を1頭ずつ渡していろいろ試行錯誤しながら、私がある程度、アドバイス をしながら、実際、犬を実践的にやっているという今は状態です。 板山座長  そうするとそのテキストとかガイドブック、そんなものはないと言ってもいいの。 矢澤氏  そうですね。さきほどあれしたある程度の適性的な評価のものはあるのですけれども 、私の中ではトレーニングのマニュアル、トレーニング方法のハウツーというのはやは りある程度のベースは同じであっても、やはり犬にとってそれぞれ個性とか、いろいろ ありますので、犬によってやはり違ってくるなと思っていますので、敢えて作っていな いという部分もあるのですけれども。全部、実際にやって極論から言えば犬から学びな がらやろうという考えですね。 板山座長  職人芸だな。 矢澤氏  よく言われます。 板山座長  それでは制度化は難しくなっちゃうのです。 矢澤氏  そうですね。はい。 板山座長  そういう説明をしておったのでは駄目ね。 矢澤氏  はい。 板山座長  僕は今、話を聞きながら大変難しいなと思いながら聞いていましたけれどもね。 矢澤氏  ただ、今、盲導犬協会の方といろいろちょっと仕事上で一緒になることがありまして 、実際、盲導犬の方はどうなのかということで、私も盲導犬協会の方に実は今、研修に 行かせていただいているのですね。その中でもちろん今、おっしゃった、座長さんがお っしゃったようなトレーニングのいわゆるマニュアルみたいなものがあるのかとか伺っ たときに、例えばこういうものは時間数はこれだけやらなければいけないとか、そうい ったものはガッーと出ているのですね。それを見てこういうものは私たちもとても必要 だなと。  例えば電車の訓練、何百時間以上とか、それに対して犬がどういう行動まで取るよう になれば合格としていいのかとか、そういったものはしっかりもちろん盲導犬協会さん のはできていて、こういうものは介助犬も私たちも作っていかなければいけない。今ま での経験を踏まえて作っていかなければいけないなとは思っております。 板山座長  そう思っている。 矢澤氏  はい。 板山座長  はい。それで結構。あと質問どうですか。どうぞ。 松尾委員  私の方から2点だけお伺いしたいわけなのですが、今まで何人、障害者に介助犬をお 世話してその満足度はどの程度、あったのか。さきほど障害者のニーズと組み合わせて 云々、これから介助犬を必要とされている障害者が、対象者が何人ぐらいいらっしゃる のか。  これは大変失礼な言い方かもしれませんけれども、資産の構成と書いて賛助会費、寄 附金、事業収入とあるのですが、これは協会がこの程度のことで立派に成立してやって いけるのか。途中でお手上げになったらパンクするのではないかという危惧がしないわ けでもないのですけれども、そこら辺の資産的には絶対、大丈夫と、パンクしないとい うようなことの裏付けがあるのかどうか。ちょっとこれだけでは不安な気もするのです が、2点についてちょっと。 板山座長  松尾先生、最後のはこれは矢澤さんは協会の責任者ではないからね。ちょっと。トレ ーナーですからちょっと無理だと思うのです。前段の質問に対して。ただ、全体をユー ザーはどのくらいいるかなんていうのは、これはちょっと無理かもしれないけれどもね 。答えられるだけのところを答えてください。 矢澤氏  今、現在、私たちの団体で育てた犬、介助犬というのは3頭です。ということは3人 の障害者の方のところに行っております。それに対しての満足度はそれぞれレシピエン トさんから伺うのが一番よろしいかと思うのですけれども、私が見る限りでは最高だろ うなと思っております。あと、今、現在、私たちの協会には約8名ぐらいの介助犬と生 活をされたいという、待っていらっしゃる方が8名ぐらい今、いらっしゃいます。  ただ、今回、凄く思ったのは、今回、春に出した介助犬のレシピエントさんの回りに は実際、同じ例えば頚損なら頚損仲間の方がいて、皆さん、介助犬って凄く興味を持っ ていらっしゃる方がいっぱいいるのですね。でも、犬が果して何をやるのだとか、犬の 世話でまた大変なことになるのではないかとか、そういうことを危惧されてなかなか登 録に至らない、実は方が多いのですね。ところが自分の身近にポンと介助犬を飼う方が 現れると、それをだいたい皆さん、じっくり見て、それで、ああ、これだったら自分も 必要だし、飼えるなというのを見て実感してということで、例えばある方にポンと行き ますと、その方のだいたい3人から5人ぐらいはちょっと様子を見て登録をしたいかど うかとおっしゃってくださっている方がいますね。  今、ウエイティングで待っている8人の方もやはり回りの方も例えば車椅子バスケッ トをされている方であれば、やはりチームメイトの人からも、では君が飼って見ていて 自分にとっても必要だと思えば、僕も登録するよというような形で言ってくださってい る方は結構いるとかというお話は伺っておりますので、ちょっとこの辺は未知数なので すけれども、私は今後、やはり今後の日本で人的介護がどんどん不足になっていく今後 のことを考えると、介助犬も介助のひとつにしてもいいのではないかなと思っておりま す。 板山座長  ありがとうございました。それでは時間が予定よりだいぶ超過しておりますので、矢 澤さん、ありがとうございました。ますます頑張ってください。 矢澤氏  どうもありがとうございました。 板山座長  それでは今日は今は育成訓練の立場からお二方のお話を伺いましたが、最後に介助犬 を実際にお使いになっていらっしゃる立場、使用者という立場で木村さんからお話を伺 いたいと思います。木村さん、いらしておられますか。よろしくどうぞお願いします。 木村氏  どうもはじめまして。兵庫県宝塚市で介助犬のシンシアと生活しています木村佳友と 言います。今日は本当に介助犬のことについて貴重な時間をいただきどうもありがとう ございます。事前にいただいている質問事項に沿った形でお話を進めたいと思います。  まず、その前に僕自身の障害のことについて少しお話をさせていただきます。現在、 私は40歳になるのですけれども、今から13年前の交通事故で頚髄損傷、第6頚椎脱臼骨 折による頚髄損傷で車椅子の生活になりました。下半身だけではなくて、腹筋や背筋、 胸筋も効きませんし、腕は動くのですけれども、指が、全く動かないのですね。物を拾 う動作ができませんから、物を落としてしまえば、それで何もできなくなるという状態 です。  もともとコンピューターの仕事をしていて、一旦は退職したのですけれども、在宅勤 務の嘱託社員として現在はプログラミングの仕事をしています。基本的には在宅作業な のですけれども、車の運転が何とかできますので、月に2、3回、出社する形で打合せ とか、セットアップなどの仕事をしています。  今、ここにいるのが介助犬のシンシアなのですけれども、現在、6歳になりまして、 さきほどの矢澤トレーナーが訓練した介助犬です。介助犬として私と生活をはじめて4 年になります。  まず、1番目の介助犬を使用しようと考えた動機は何ですかという質問ですけれども 、私はさきほども言いましたように、頚髄損傷で車椅子の生活をしているのですね。妻 もいるのですけれども、妻も仕事を持っている関係で、朝の8時から夕方の6時ぐらい までは1人で留守番するような形になります。1人で家にいますからちょっとバランス を崩したことで車椅子から落ちてしまうと車椅子に自力では乗り移れないのですね。で すから、妻が帰ってくるまで何時間も床に転がったままということもありましたし、仕 事中に僕はキーボードが指では叩けないので、手にお箸のような棒をつけてキーボード を叩くのですけれども、その装具を落としてしまったり、書類を落としたり、フロッピ ーディスクを落とすとその仕事が中断してしまって凄く仕事の能率が悪かったりしたの ですね。  そういう形でいつ落ちるかわからないし、いつ物を落とすかわからないというような 状況で、家族にとっても凄く心配があったのですね。そこでヘルパーさんを頼もうとい うことを考えた時期もあるのですけれども、ヘルパーさんを雇うにはお金もかかります し、あと、いつ落ちるかわからないとか、そういう不確定な仕事にヘルパーさんを使う というのは凄く不経済なので、不自由な生活なのですけれども、ずっと我慢をして生活 をしていまして、そういう中でペット雑誌の中で介助犬の記事を見つけて連絡を取った ところ、シンシア、特例なのですけれども、もともとは家のペットだったのですね。そ れを適性試験をしてそれに満足すれば訓練もすることが可能ですという形で試験を受け たら合格をして訓練を受けることになりました。  今から4年前に介助犬になったのですけれども、そこで最初に介助犬にしてもらおう と思った動機は落ちたときにコードレス電話を僕の手元まで持ってきてもらう。そうす れば家族や近所の人に電話をすればいつでも連絡がつく。あと、仕事中に落とした装具 とかフロッピーディスクが落ちればそれをいつでも拾ってくれれば仕事の能率も上がる という、そういう気持ちで介助犬に対する詳しい情報は全くなかったのですけれども、 まず、それだけでもしてくれれば僕の生活は改善されるだろうと思って介助犬をお願い することにしました。  2番目に介助犬を利用しようとしたときにどのような不安や失敗がありましたかとい う件ですけれども、この時点では介助犬というのは日本にいなかったのですね。海外で の状況しかありませんし、僕自身は介助犬がどんなふうな社会状況にあるのとか、介助 犬の世話がどんなふうに大変なのか、全く知らなかったのですね。ですから、そのとき は来ればそういうさきほど言ったことをしてくれるからプラスの面しかないという形で 頼みました。  実際、ですから、多分、今だったら今のいろいろな状況を知っていたらかなり二の足 を踏むところもあるのですけれども、その時点では本当にもういいことづくめのことし か知らなかったので頼むことにしました。  3番目の介助犬との共同訓練はどのような内容でどれぐらいの期間でしたかというこ となのですけれども、共同訓練はトレーナーの方が介助犬のシンシアと一緒に家に泊り 込んで約1か月、共同訓練してくれました。僕の家は宝塚で介助犬協会が東京にありま すので通うというのが無理だったものですから、家に来ていただきました。  1か月というのはどちらかと言うと詰め込み的な訓練で、僕にとってはちょっと体力 的にも無理があったりして、毎日、毎日、散歩に行ったり、犬の歩行訓練のために外出 したりすることで寝込んだりもしたのですね。ですから、もう少し体力的な面を考えて できるだけ余裕を持った形でしてもらいたいのですけれども、実際、距離が遠いとかで 通えない状況では無理なところもあるかもしれないのですけれども、使用者の立場から すると比較的訓練センターがいろいろなところにあって、近くからトレーナーの人が毎 日、通ってきて問題があればすぐ指摘してくれるような合同訓練が望ましいと思います 。  4番は今、述べたような形で本当に時間に余裕を持って問題があったときに合同訓練 が終わった後でも少し問題があれば指摘してくれるような状況で訓練ができればと思い ます。  5番目の介助犬を利用するようになってあなたの生活はどのように改善されましたか で、具体的な機能代替は何ですかということですけれども、まず、具体的に僕の場合は 主に手指の代わりをしてもらっています。具体的に言うと電灯や扇風機などのスイッチ を押してもらったりして、それをつけたり消したりしてもらっています。  さきほど言いましたように、装具や鞄、お金なんかが落ちたときに指示したものを取 ってもらう。ドアには紐がついていまして、それを引っ張ってドアを開けてもらう。冷 蔵庫にも紐がついていて、それを開けてジュースとか溢れないものだけですけれども、 取ってもらうことができます。  車の外出時なんかですけれども、昔は高速道路に乗りに行ってもだいたい人がいてお 金を取ったりしてくれていたのですけれども、今は自動的に券が出るようになっている のですね。僕、何とか車は、手動式で運転できますが、指が動かないので、チケットが 取れなかったのですね。そのチケットを取るためにいつも券売機のところで待って後ろ から来る人に窓から大きな声を出して頼むとかという形で凄くストレスがあったのです 。 そういうものをシンシアに窓から顔を出して取ってもらうというような動作をしてもら っています。  5cmぐらいの段差であれば何とか前の小さなキャスターを上げることができるのです ね。でも、後ろのタイヤを、手の力があまりないのでそのまま押すことができないので 越えられなかったのですけれども、前の車輪さえ上げるとシンシアが引っ張って段差、 5cmぐらいの低い段差ですけれども、越えることができるようになりました。  あと、スーパーなんかに行ったときにも一人で買い物に行ったときにはスーパーの係 の人に物を取ってもらうような形で買い物をしていたのですけれども、それだと何かも のを買うのに凄く係の人に悪いなというような気持ちでストレスを感じていたのですけ れども、今ではシンシアが品物を取ってくれるので自由に買い物ができるようになりま した。でも、今は食品とかは何となく取ってもらうのはあまり良くないと思うので、そ ういうものは係の人に取ってもらっています。  6番目の介助犬を利用して良かったこと、悪かったということなのですけれども、さ きほど言ったような項目がいろいろありますので、自宅でも外出先でも緊急なことが起 きたときにすぐに電話とか、外出のときに鞄の中にコードレス電話を入れているのです ね。そういうときに車椅子から車に乗り移るときにちょっと落ちそうになって本当に落 ちてしまうことがあるのですけれども、そういうときに届かないところにある鞄を手元 まで持ってきてくれますから、それで携帯電話で電話をすれば連絡がつくようになって 安心感が増えました。だから、今まで何となく外出を躊躇していた点があったりしたの ですけれども、介助犬がいることで積極的に外出ができるようになりました。  そういうこともあって、僕が何かあれば連絡してくるだろうということで、家族も僕 から連絡がなければ正常に活動しているのだろうということが確認できるので安心した というふうに喜んでくれています。  また、仕事とは別なのですけれども、家で1人で在宅で仕事をしていたので少し孤独 感みたいなものがあったのですけれども、犬だから話はしてくれないのですけれども、 何か2人でいるような感じでそういう孤独感もなくなりました。落としたものをいつも 拾ってくれますからかなり仕事の能率も上がっています。  困ったことなのですけれども、実際、介助犬はそういう形でいろいろ役立ってくれる のですけれども、車椅子であることでエレベーターがないとか、段差がないということ で、行けるところがもともと少ないので、そこにもってきて介助犬を連れていると受け 入れをしてくれないお店とかが多いですから、行けるところが少なくなってしまったと いうことが困ったことのひとつにあります。  特に鉄道とか、飛行機なんかの場合も交通機関を利用する場合には介助犬が問題を起 こしたときに事故につながるのではないかという危険の心配があるようで、一般の小売 店とかとは違って事前にかなり書類を出したり、面接の試験があったり、試乗の試験が あったりするのですね。  実際、僕はJR西日本と東海と東日本さんと地元の阪急電鉄さんとJASさんに乗れ るようになったのですけれども、JRさんの場合には試乗試験がどうしても必須項目で すから、東京と大阪を往復したり、JR東日本さんに乗るためにJR東日本さんの路線 に乗らないといけないというような形で経済的にも費用は自己負担ですから、経済的に も負担になりますし、精神的にも肉体的にも負担になるということがわかりました。  僕はさきほども月に2、3回、会社に行っていると言ったのですけれども、実際、シ ンシアがいないと車椅子から落ちそうになったときも不安があるので一緒に行きたかっ たのですけれども、やはりなかなか会社も認めてくれなくて、6か月ぐらいいろいろ会 社と交渉して今は一緒に行けるようになったのですけれども、介助犬協会が東京という ことでそういう交渉事をすべて自分でしないといけなかったのですね。  そういうことでそういう交渉事が負担になって、凄く一時は介助犬を持って外出する ことが嫌になった時期もあります。介助犬シンシアがいなければどこでも行けるのにと いうこともあったのですけれども、でも、介助犬を世間の人に知ってもらわないといけ ないということで、考え直してできるだけいろいろなところに今では連れていくように しています。  次、7番目の介助犬を世話をするのは誰ですかという件なのですけれども、基本的に 僕のできる範囲、餌を上げたり、散歩、ブラッシングをかけてあげたり、体を撫ぜてあ げたりという世話は僕がしています。でも、シャンプーやそういうものは自分ではでき ないので僕の場合は妻がやっています。散歩も車椅子で一人で行けるような公園という のは近所になかなかないのですね。ですから、家族と一緒に行くか、近所でボランティ アで散歩を手伝ってくれる方と一緒に散歩に行って散歩の世話をしています。  世話をする上で困ったことはどんなことですかということなのですけれども、僕の場 合は妻がいるので比較的そういうサポートをよくしてくれるので困ったということは今 のところないのですけれども、もし、1人で在宅されている方であればボランティアの 人を頼むとかということも考えないといけないので、少し大変な面もあると思います。  8番目の介助犬を利用するにあたりどれぐらいの費用を必要としますかということな のですけれども、だいたい、まず、食費がドックフードが月に8千円かかります。夏場 はフィラリアの薬が約3千円。ノミ、ダニの予防の薬が約2千円。普通にかかるのが1 万3千円ぐらいです。1年間にすると15万円ちょっとで、あと、介助犬協会から年に1 回は介助犬の健康診断を義務づけられていますので、検尿とか検便とか血液検査とか、 そういう総合的な検査をするのに約2万円かかります。だから、それだけで約17〜18万 かかります。  あと、不慮の事故とかあればもう少しかかるとは思うのですけれども、今のところシ ンシアは大きな病気もしたこともありませんし、元気でやっていますので費用はその程 度です。  9番目の介助犬が一時的に使用できない状況になったときはどのようにしていますか ということで、シンシアが今まで病気になったことはないのでそういう経験はないので すけれども、実際にシンシアがいなくなれば僕の生活は元通りになってしまいますので 、元の生活になるというのは凄く大変ですから、ヘルパーさんを頼むか、あとは家族に 手伝ってもらうかしないと駄目なのですけれども、多分、短期間であれば不自由な生活 を我慢すると思います。  最後にその他の意見がありましたらということですけれども、本当に介助犬というの は手とか口を使って介助してくれるので、ヘルパーさんの仕事と比べるとその中のごく 一部しかしてくれないのですね。でも、ヘルパーさんがそばにいるというのは凄く僕に とっても負担になりますし、物を落としたときにすぐ拾ってもらって、また、すぐ落と したりすると家族でも何か取ってもらうのは諦めて我慢してしまうのですね。それが介 助犬であれば物を落としても何度落としても喜んで取ってくれるので、そういう障害者 のストレスが少なくなると思いますし、ヘルパーさんであれば時間給でも千円とか、2 千円ぐらいかかりますので、そういう全体の介助ができるわけではないのですけれども 、ヘルパーさんの補完的な役目として介助犬は認められれば障害者の生活が改善される と思います。  でも、こういう形で介助犬が役立ってくれるのですけれども、実際には公的な基準が ありませんから、どこに行ってもそんな訳のわからない介助犬協会が認めた基準では受 け入れないというような対応も僕自身もわかるのですね。介助犬を見たこともない人が いきなり犬を連れてこられて、この犬が本当に大丈夫なのかというのがわかりませんか ら、早く公的な団体が認めた基準なり、介助犬訓練士さんの基準なんかができて、どこ に行っても介助犬が受け入れられるような社会になってほしいと思っています。以上で す。 板山座長  ありがとうございます。大変わかりやすいご説明を頂戴をいたしました。どうぞ時間 があまりありませんが、ご質問をいただきましょうか。金田さん、どうですか。何か。 金田委員  今、一般的な感じで、保健所でという形ではないのですけれども、介助犬、犬と介助 犬と一緒に生活していて、やはり今の日本の社会とか文化とかというのが犬を受け入れ られるような社会になっていないというのは凄くお感じになりますか。 木村氏  基本的に犬を大好きな人は受け入れてもいいというふうに思ってくれるのですけれど も、その犬を受け入れるにあたって責任を持つ方が最終的に判断するので、会社の場合 もそうなのですけれども、僕の直属の上司なんかはすぐにOKと言ってくれるのですけ れども、やはり総務とか、何か問題があったときに、誰が認めたんだというようなこと になるので、やはり犬は吠えるとか、噛むとかという心配があって認められないような 状況が多いと思います。 板山座長  よろしいですか。どうぞ。 秋山委員  この前も一緒に札幌にご一緒させていただきまして、飛行機の中は非常に特殊な一種 、狭い、離着陸時の気圧の変化ですとか、音ですとか、いろいろあるのですけれども、 これは木村さんがどういうことというのでは、皆さんに前のちょっとこんな状況であっ たというようなところなのですけれども、非常に盲導犬でもちろん私どもも何度も経験 ありますし、介助犬も何回かの経験があるのですけれども、私自身は初めてご一緒させ ていただきまして本当に見事なぐらいに、何と言うのでしょうか、単なる静かというの ではなくてちゃんと弁えたというところがちゃんとあるなと。  余談ですけれども、機内で迷惑旅客の方も非常に多いのですけれども、ワンちゃんの 方が余程、紳士であったという感じで、というのはこの前、ご一緒させていただいて、 本当にまわりの方も私たちが思う程には、まわりの何も知らないお客様は盲導犬と介助 犬、わかっていないかもわかりませんけれども、少しは盲導犬とかというふうなことと 一緒のようなことかと思いますけれども、見られていて、特別、奇異なと申しますか、 そういうふうな感じは機内の雰囲気ではございませんでしたですね。そんなような感じ でございました。 木村氏  ありがとうございます。 板山座長  どうぞ。前田さん、何かありませんか。 白石氏(前田委員代理)  さきほどから鉄道をご利用になるときの試験乗車の話ですとか、あるいは覚書の話、 さきほどの認定団体の方がおっしゃっていましたけれども、特に今回、関西の方からお 出でになったということで、私ども東日本エリアの会社ですので、西日本や東海で問題 なくご乗車いただいている中で、私どもがまた改めてそういったチェックをさせていた だくというのは大変心苦しい部分もあったのですけれども、現状ではさきほどから話が 出ておりますけれども、他のお客様の関係もありますので、どうしてもそういうチェッ クをさせていただかなければいけない状況にありますので、その辺はぜひ、ご了解をい ただきたいと申しますか、ご理解いただきたいとお願いしてもしょうがないのかもしれ ませんけれども、その辺の状況はぜひ、ご理解いただければというふうに思います。 板山座長  もう、盲導犬についてはそういう試乗をするとか、チェックをするとかということは 。 白石氏  ございません。 板山座長  ないのですね。そこなのだね。 白石氏  あともうひとつ今、申し上げるところなのですけれども、そういう中でできれば鉄道 事業者全体でという話にはなかなかならないのかもしれませんが、私どもJRグループ でそういった相互にどこかの会社で認定を受けた介助犬は別の会社でもご乗車いただけ るような対応ができないかという勉強は今、しておりますけれども、なかなか別の会社 であるということもあってすぐ結論が出ない状況ではありますが、そういう勉強を遅ま きながらやっております。 板山座長  どうぞ。 谷口委員  2点あるのですが、まず、1点目は介助犬のお世話なのですが、主にやられていると は思うのですけれども、例えばが障害が重くて餌をあげられないとか、ブラッシングが できないとかというような方に対しては、京都でもそういう例があったのですが、奥さ んの方を自分の主人だと思ってしまったというような状況というのはあるわけなのです が、そこら辺の何ができれば自分を主人だと思ってくれるのかというようなことがひと つと、介助犬を今、ずっとお使いになっていて危険だなと思ったようなことがどのよう なことがあったかというのをちょっとお聞かせ願えればと思います。 木村氏  まず、1点目の家族ではなくて僕を主人と思うという件なのですけれども、正直言っ てシンシアは妻の方が好きです。でも、言うことは聞くのは僕の方の言うことを聞くの ですね。妻は何かTakeと言っても自分で取れるというのがわかっているのですけれ ども、僕はもう絶対、取れませんから、いつまでも取らないで待っているので仕事は僕 の言うことを聞いてくれます。好きなのは妻です。  僕は餌も全部自分でやることはできないのですね。ですから、そういうときにはシン シアを別の部屋に連れていっておいて、妻がお皿に餌を入れて僕の目の前に置いて、そ こでシンシアを呼んであげるようにすれば、全部僕がやっているわけではないのですけ れども、僕からご飯を貰うような気持ちになっているようです。  シンシアにとっては、散歩に一緒に行ってあげるのが一番いいのですね。僕は1人で 行けませんから、ボランティアの人に車椅子を押してもらったりして行くのですけれど も、そのときにボールを投げてもらうのは健常者の人でいいのですけれども、ボールを 渡すのを僕にしておけば今のところは言うことを聞いてくれているのですけれども。  危険な面というのは今までホームを歩くときなんかに凄く狭くなっているところとか あるのですね。それは車椅子でもそうなのですけれども、ちょっと介助犬がいると前と かに連れていって歩くのですけれども、そういうときに自力で歩いてくるときよりは自 由が効かないので、ホームから転落するのではないかと思ったりしたことはありますけ れども、基本的にシンシアが何か暴走したり、僕に飛びついて怪我をさせたりというこ とは今までのところ経験がありません。 高柳(友)委員  さきほどの世話のことで補足なのですけれども、犬によっておそらく違うのだろうと 思います。と申し上げるのはアメリカで何人も介助犬使用者の方とお会いすると、して いる世話の内容というのがまちまちなのですね。やはり餌もあげれない、散歩にも行け ないという方もいらっしゃるのです。どこまでやっていらっしゃるかというのをお聞き すると、実は餌もあげないし、散歩にも全く行かないという方もいらっしゃるのですね 。  ではどうしているのだろうというと、その犬に関しては撫でることがその人が大好き と教える。信頼関係を築きあげる上で、撫でることだけで十分というような犬のケース もあるのです。シンシアは見ているとお散歩が一番好きなようなのでお散歩にさえ行っ てくれればもう満足というところなのだと思うのですけれども。その犬によっても違う と思うのですね。ですから、おそらくそこを見極めるのがトレーナーの力量なのではな いかなと思います。 板山座長  また、高柳さんは次回以降の委員会で今のようなひとつ補足、ご意見をぜひ、頂戴を したいと思いますが、高嶋さん、何か。 高嶋委員  我々も流通で仕事をしていて、実は木村さんにはいろいろお世話になっていまして、 いろいろな場面でお手伝いしていただいているのですけれども、流通の中でもダイエー グループは8千店舗ぐらいでコンビニ含めてレストランも含めて今、介助犬は店内全部 、認めているのですが、流通ではほとんどの流通、我々の仲間は盲導犬についてはもち ろん認めています。  ところがどうしても介助犬と盲導犬の境というのがわからなくて、わかりにくくて、 さっき木村さんもちょっとおっしゃっていましたけれども、例えば食料品の売り場で犬 を連れてこられていて、それに対しては我々は実は保健所の指導で食料品売り場には衛 生上の問題でペットは入れないでくださいというのをずっとうたっているわけですね。 それと介助犬と盲導犬の違いがいったい何だろうという部分が非常に曖昧になっている ということがあると思います。  ダイエーではそれを敢えて一歩進んでやったのは実は木村さんであるとか、いろいろ な方のお話を聞いていて、これではいけるということで実際、木村さんには宝塚の方で お店、ご利用していただいているのですけれども、トラブル、全くないのですよね。他 のお客様とのトラブルもないですし、ただ、もっともっと認知度を上げていかないとな かなか、もちろんいろいろな法整備とか必要なのでしょうけれども、それでもやはり認 知度を先に上げていっていくのが、特に我々、流通のようなところだと思うのですね。 普通の犬と違うのだという認識をぜひ、作るような環境整備が必要ではないかなという ふうに感じています。 板山座長  ありがとうございました。当初の予定は5時までという予定でありましたが、もう既 に超過をしております。実は今日は養成訓練の団体2つ、木村さんのようにお1人です けれども、実際に介助犬をお使いいただいている方のお話を伺うことができました。あ りがとうございました。 木村氏  ありがとうございました。 板山座長  どうも。実はこれからフリートーキングを含めてせっかく資料を高柳さんの方から配 っていただいた。この資料などについてもお話を伺いたかったのですが、ご覧のとおり の時間でありますから、次回以降のご議論の中でこの資料のまた高柳さんからのお話を いただいたり、フリートーキングをいたしたいと、こう思っています。  今日、特に厚生省の方は質問をいくつか用意して具体的に介助犬を育成する団体、介 助犬を実際に使っていらっしゃる木村さんに10項目乃至は9項目等の疑問を投げかけま して、それにお答えをいただいた形になっています。おそらくこの項目が次回以降のこ の検討会の研究討議をするテーマになっていくだろうと思うのです。  さらにそれに今、高嶋さんや前田さんから、あるいはさきほど満野さんあたりからお 出しいただいたように事業者サイドから見て盲導犬との違いというふうなもの、あるい は多くの人々に認知してもらうためには何が大切かといったことについてご協議を頂戴 をすることになると思いますので、次回以降にひとつご期待をいただきたいと思うので す。  今日はお三方のお話を伺うことに重点があったと、このようにご理解をいただきまし て研究会、これでだいたい終わろうと思いますが、さきほど事務局の方で皆様方の次回 以降の開催についてのご都合をお聞きいただきました。その結果をひとつお話をいただ き、スケジュールを決めていただきたいと思うのです。 社会参加促進室長  事務局からさきほどの各委員の皆様方からいただいた日程を集計いたしましたところ 、9月12日、火曜日の15時から17時が最も都合がよいということになりました。以上で ございます。 板山座長  はい。今、お聞きのとおり、9月12日、火曜日、15時から17時ということで多くの方 のご都合がよろしいようですが、ご確認をいただきたいと思いますが、よろしゅうござ いましょうか。  それでは次回、9月12日、火曜日の15時、3時からですね。午後3時から17時、5時 までということで第3回目の介助犬検討会を開かさせていただきたいと思います。次回 はさきほど申しましたようにかなり突っ込んだ個別の具体的なご意見を頂戴をいたした いと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは本日はこれをもって会議を閉じたいと思います。どうもありがとうございま した。                (閉会・17時15分) 照会先 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 社会参加推進室 社会参加係               新 城 TEL 03-5253-1111(内線3075) 直通 03-3595-2097 FAX 03-3503-1237