00/07/25 生殖補助医療技術に関する専門委員会(第17回)議事録     厚 生 科 学 審 議 会 先 端 医 療 技 術 評 価 部 会      生 殖 補 助 医 療 技 術 に 関 す る 専 門 委 員 会                 ( 第 17 回 )                 議   事   録         厚 生 省 児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        生殖補助医療技術に関する専門委員会(第17回)議事次第 日 時 平成12年7月25日(火) 15:30〜18:50 場 所 霞山会館(霞山ビル9F)  1 開 会  2 議 事   (1)第三者の配偶子提供等による生殖補助医療のあり方について   (2)その他  3 閉 会 〔出席委員〕    中 谷 委員長    石井(ト)委員  石井(美)委員  加 藤 委 員  高 橋 委 員    辰 巳 委 員  田 中 委 員  丸 山 委 員  矢内原 委 員    吉 村 委 員 ○小林主査 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第17回 厚生科学審議会先端医療 技術評価部会・生殖補助医療技術に関する専門委員会」を開催いたします。  本日は、大変お忙しい中、おいでいただきまして誠にありがとうございました。 それでは、議事に入りたいと思います。中谷委員長に議事の進行の方、よろしくお願 いいたします。 ○中谷委員長  私が遅刻いたしまして、大変申しわけございませんでした。きょうはきのうまでに比 べると少し涼しいのが幸いということでございますけれども、議事に入ります前に、事 務局からきょうの資料の確認をお願いしたいと思います。どうぞよろしく。 ○小林主査 資料の方、確認させていただきます。 まず「議事次第」がございまして、その裏に、2枚目「第三者の配偶子提供等による 生殖補助医療のあり方に関するたたき台」ということで、きょう添付させていただいた のは、前回までの議論を踏まえまして、事務局の方で若干の修正をさせていただいたも のということになります。それと机上配付資料として、前回との修正点、相違点を明記 したものを配付させていただいています。  もう一個、参考資料として「インターネットに寄せられた御意見」ということで配付 させていただいております。  資料は以上のとおりになります。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。  では、本論に入りまして、議事(1)の「第三者の配偶子提供等による生殖補助医療 のあり方について」に入りたいと思いますが、これは前々回、前回に引き続いて、ワー キンググループにおいて作成していただきました「第三者の配偶子提供等による生殖補 助医療のあり方に関するたたき台」について御議論をいただきたいと思います。前回も かなり白熱した御議論が展開されまして、だんだんに焦点が絞られてくるのだろうと思 いますけれども、まだまだたくさんの議論が残っておりますので、御遠慮なく御意見を おっしゃっていただければよろしいと思います。 どうぞよろしく。どなたからでも。 ○石井(美)委員  事前にいただいたのが今日の机上配付資料だと思うのですが、それについて若干気に なったところを申し上げてもよろしゅうございますでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○石井(美)委員  まず机上配付資料の2ページ目、一番最初の線の引いてあるのは、矢内原先生の御意 見で削除したということでよろしいのですが、2番目の線のところが違うように思いま す。確かに何に優先するのかが問題になったので加えられているのだと思いますが、 「子を持ちたいという希望との関係においては」が「生まれてくる子の福祉を優先す る」の前に入っているのはどうかと思います。これについても優先するんですけれども ほかの事柄についても優先するので。 ○辰巳委員  ここは私が言ってこういう文章になった。私もここはこういう形になってもらいたい と思って言ったわけではなくて、「優先」という言葉ではなくて、「重視する」とか、 そういう言葉の方がいいのではないかと言ったのです。私もこういう形になると、ちょ っと石井先生のお考えと違うのかもしれないなという気がいたしておりました。  こういうことが当然ということであれば、もとの下線部分を削除していただいても構 わないし、私は「優先」というのが少しひっかかるので、「重視する」とかそういう言 葉の方がいいのではないかと思っています。 ○中谷委員長  ほかに御意見は。丸山委員どうですか。 ○丸山委員  確かに下線部分はとらないといけないと思いますね。「優先」か「重視」かというの は、難しいですね。 ○吉村委員  逆に辰巳先生にお聞きしたいんですが、前はこれは「最優先」だったんです。私が 「優先」に変えていただいたんです。私は「優先」でいいのではないかと思うんです が、「重視」と「優先」はどういうふうに違うんでしょうか。 ○辰巳委員  比べる相手があるとない、なんです。何かよりも優先するじゃないでしょうか。優先 という以上、何かに比べる、その対象がもう一つはっきりしない。 ○吉村委員  ということは「最優先」でよろしいんですか。 ○中谷委員長  「重視」だと。 ○辰巳委員  「最優先」だと、例えば母体よりも子の福祉を優先するとか、そういうふうなことに もなるわけで、ですから何に対しての優先がはっきりしないので、「重視」の方がいい のではないか。 ○吉村委員  わかりました。 ○中谷委員長  いかがでしょうか、今の辰巳委員の御意見に対して。 ○吉村委員  これは、石井先生の御意見が一番。 ○石井(美)委員  「優先」よりは「重視」の方が弱いような気がするのですが。 ○丸山委員  「重視」よりももうちょっと強い言葉があればいいんでしょうけど。 ○加藤委員  これは親の幸福追求権と子どもの福祉を受ける権利とが齟齬した場合には、子どもの 福祉を受ける権利の方を優先的に扱うと、そういう趣旨ですよね。 ○吉村委員  そういうことです。 ○辰巳委員  そういうことが当然として認められるのであれば私も「優先」でいいんですけれど も、ほかのとり方をする人がいるといけないと思うので「重視」にした方がいいかな と。 ○加藤委員  権利と権利というのは、それぞれ独立に決められていて、ほかのものを遠慮しながら 権利を決めることはないので、どっちが優先するかということをあらかじめ判断枠とし て掲げておいてもいいのではないでしょうか。親の幸福追求権よりも子どもの福祉を受 ける権利の方を優先するというのが、この基本的な姿勢だという。 ○辰巳委員  親の幸福追求権ならいいんですが、親の生存権と比べるとまずいと、そういう意味な んですけれども。 ○吉村委員  先生おっしゃっているのは、幸福追求権のみならずですよね。 ○石井(美)委員  そうですね。ただ、親の命より優先するとは思ってません。 ○中谷委員長  今まで御意見のない田中委員、どうですか。 ○田中委員  私も「優先」という言葉より「重視」の方がいいと思いますね。これから治療してい くときに、子どもを持ちたいという親の気持ちと子どもの福祉とは必ずぶつかると思い ます。だから「優先する」という言葉を使ってしまいますと、子どもの福祉の方が子を 持ちたいという親の希望より重要視されてしまうでしょう。子どもを希望している両親 の夢をなんとか叶えてあげたいという、私達の純粋な気持ちを損なってしまうような気 がします。やはり「重視」ぐらいにしておいてもらった方がやりやすいような気がする んですけれどもね。 ○中谷委員長  同じ「重視」と「優先」という解釈でも、それぞれのニュアンスが違いますね。いか がでしょうか。高橋委員いかがでしょうか。 ○高橋委員  常識的ですが、親の幸福がなければ子の福祉はないのですが、それ以上に子の福祉が 優先するとすると、「優先」という言葉を使っても別におかしくないとは思います。 ○田中委員  先生は「優先」でいいということですか。 ○高橋委員  はい、そうです。 ○田中委員  いろんな先生方の意見を聞いて思うのは、どうしても子どもの権利といいますか、い ろんな権利をおっしゃいますね。幸せになる権利だとか、余りにも私はこだわりすぎる ような気がするんですね。世界中には不幸な子どももいますよね。戦災に遭った子だと か、そういう自分を守ることのできない子どもたちの権利を守るという点はよくわかり ます。自分はどこの親の子かもわからない、どこの民族の子かわからない、そういう子 どもが自分の生い立ちを知りたいというのはわかるのですが、私たちが今問題としてい る子どもというのは、親がちゃんといて、一生懸命子どもが欲しいと願っている親です から、それで生まれてくる子どもと戦災児のような子どもとを同じレベルでその子の権 利を保障するということに固執する必要はあるのでしょうか。もう一つピンときませ ん。そこまで「子どもの福祉」ということを強く訴えると、治療ができなくなってしま うような場合が出てくると危惧します。 ○中谷委員長  ちょっとニュアンス、理解が違うんだと思います。石井美智子委員の方からちょっと 御説明いただいた方が。 ○石井(美)委員  説明できるかわからないのですが、生まれてくる子どもの福祉を優先するということ をなぜ強調するかといえば、親はそこにいて自分の権利を主張するけれども、生まれて くる子はそこにいないために、権利主張ができないのです。  ですから私たちはそれを一番に考えなくてはいけません。そういう趣旨で「優先す る」ということを言いたかったのです。「重視」でも構わないのですけれども、意図す ることが伝われば。 ○田中委員  そうしますと、先生、これから新しい医療技術がどんどん出てくると思います。そう すると、まだ誰も見たことがない新しい技術が出てくるときには、必ず未知のものに対 するリスクについて患者さんに説明しなければなりません。そのリスクというものが子 どもの福祉に反するものというふうに解釈されれば、新しい治療技術の開発はやっては いけないということにはなりませんか。 ○石井(美)委員  それはそうですね。動物実験なり何なり、安全性を最大限……。 ○田中委員  動物実験は所詮動物のレベル、人体とは異なる。子どもの福祉を優先するというこの 一文をもって反対することは容易なことでしょう、“君達は子の福祉を考えてないじゃ ないか、危険なことはやめなさい”と。新しい治療の開発や研究がやりにくくなるので はないかと、私はそういう意図で言っています。 ○中谷委員長  ただ、そういう場合、そういう研究と実際に治療かわからないけれども、医療として 行うのとはちょっと段階的な差があるような気がするんですね。 ○田中委員  実際そうなると思うんですけれどもね。 ○吉村委員  これは先生、臨床応用ですから、臨床研究では全くないので、着床前診断のときにも 非常に言われたことなんですけど、臨床応用となると、田中先生や石井先生の言われた ようなことも考えておかなくちゃいけない。  私は思うんですけど、さっき加藤先生もおっしゃいましたけれども、幸福追求権にお いては、この文章は字句はいろいろ問題あるかもしれないけれども、生まれてくる子の 福祉が優先される、これは私はいいと思うんです。例えば、狭義のリプロダクティブ・ ヘルスみたいな、母体の安全性について、母体が死んでもいいのかと、子どもが生まれ れば、そういうことについては優先されるべきものではないと思うんですね。ですか ら、一番明確になってくるのは、子どもが欲しいという親の権利、親の希望ですか、幸 福の追求権と子の福祉だと思うんですね。ですから、こういう書き方の方が、私はみん なにわかりやすいと思うんですけど、いかがでしょうか。 ○吉村委員  要するにこういうことがあった方が、先ほどおっしゃったように、何に対して優先す るのかという問題点は明確になってくる。 ○田中委員  非常に明確になりますね。親のものよりも優先するというのがはっきりしますね。 ○吉村委員  そうですね。だから、先生が心配されたように、これがなくなって、生まれてくる子 の福祉を優先するだけが文章に出てきますと、母体は死んでもいいのかという問題点は 必ず残ってくる。リプロダクティブ・ヘルスという言葉はそれ以外のことも指している んだろうと思うんですけれども、母親が死んではどうしようもないことで。 ○矢内原委員  母親が死んでしまうことは、子どもの福祉にはやっぱりよくないわけだから。私はこ のままでいいと思うんですね。「〜福祉を優先する」。優先するというのは、親とかと いうものに比較するということよりも、ここで挙げる基本条件の中では最もこれは大切 ですよという意味にも入っていると思うんです。それなもんで、前のところの下線はや っぱりとっていただきたいし、そういう意味では「子を欲しながら〜」というところも 当然技術自身が子を欲するということが前提なんですから、いきなり「生まれてくる子 どもの福祉を優先する」でいいと思うんですけど。 ○加藤委員  表現はちょっと舌足らずな感じがするので、もうちょっと洗練させた方がいいんだけ れども、基本的には「子の福祉を優先する」は入ってないとまずいんじゃないかと思う んですね。というのは、これは刑法的な性格、刑罰を伴うという答申案なんですよね。 そうすると、一種のどこまで法で規制していいかということになるわけですけれども、 親の場合にはこういうふうにリプロダクティブ・ヘルス権利の可能性を拡張して、その ことによっていろいろ泥沼が起こっても自業自得なんですよね。子どもは全然自業自得 じゃありませんから、ですから立法にあたっての精神として、まず子どもは自業自得じ ゃないんだから、子どもについては泥沼がかぶらないように配慮するというのが基本的 な姿勢として必要で、そうでないとすると、いわゆる他者危害の原則が、子どもの福祉 を守るために厳密な意味での当事者だけの他者危害の原則ではカバーし切れないような 一種の規制をこのガイドラインは含んでいると思うんですね。その場合に子どもを泥沼 に巻き込まないというか、権利喪失になる危険を防ぐために、そこまで踏み込んだ規制 をせざるを得ないのだということが正当化の根拠になるのではないかと思うんですね。 ですから、私はこの条項が必要なのではないかと思うんです。 ○田中委員  生まれてくる子どもの福祉を害するようなことというのは、具体的にどういうことな んでしょうか。治療の中でどういうことが実際にあり得るとお考えでしょうか。 ○加藤委員  生まれてみたけどこの子どもは気に入らないから夫婦別れして子どもを押しつけ合う とか、そういうことは実際には起こらないし、子どもさんを欲しがっている御夫婦とい うのは普通の夫婦よりよっぽど熱心ですからね。そういう心配はないと思いますけれど も、ただ、立法の場合には、そういう可能性も考えて、そういう可能性が起こらないよ うに配慮するのが立法というか、ガイドラインをつくる側の考え方であるということも 明らかにするということですね。  そうでないと、ここまで踏み込んだ規制はできなくなっちゃうということになるんじ ゃないかと思うんです。全部自業自得主義で考えると。 ○田中委員  よくわかりました。そういう意味ですね。 ○石井(美)委員  私も、「優先」に絶対こだわるというつもりはないのですが。 ○中谷委員長  その後の方へつながってくるわけですよね。代理母出産を禁止するとか、あるいは独 身者がそういう治療を受けるとかというようなことの因子にかかわってきますので。  また、もとに戻って申しわけありませんけれども、カットされた「子を欲しながら 〜」、これはどうしてカットなんですか。 ○吉村委員  前のページに入りました、下に。 ○中谷委員長  それで重複するからということですね。 ○加藤委員  重複というか、こっちへ移したんです、場所を。 ○中谷委員長  前に。 ○矢内原委員  生まれてくる子どもの福祉のことを強める意味で、それを第1番目に持ってきたかっ たので。 ○加藤委員  移動したわけじゃないんだ、重複しているということですか。 ○中谷委員長  重複している。 ○矢内原委員  前に入れてもらったんです。 ○加藤委員  これが新しく加わったんですね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○加藤委員  これは古いバージョンという意味じゃないんですか。 ○辰巳委員  結局、「優先」ということで残すということでしょうか。 ○中谷委員長  ええ、よろしいと思いますけど。 ○石井(ト)委員  下線を外して言葉が生きるということですね。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  下線をなくすでよろしいですね。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  「生まれてくる〜」以降ですね。 ○矢内原委員  要するに妊娠するということが目的じゃありませんよと。その結果として子どもがち ゃんとできるのだから、それはそういうことですということですね。 ○吉村委員  そういうことです。 ○中谷委員長  次の幾つかの後に「優生思想に基づく措置を排除する」。 ○石井(美)委員  これも気にはなったのですが、加藤先生が思想を排除するのはいかんというので。 ○加藤委員  優生思想を排除するというのは、俗流には言いますけれども、ちょっとそういう言い 方は変ではないかという、むしろ哲学的な問題より国語の問題なんですけど、商業主義 の場合には排除してもいいような気がするんだけれども。 ○石井(美)委員  措置を排除するというと、具体的な事柄を、例えば受精卵診断をやめますとか、そう いう感じがするのですけれども。 ○中谷委員長  ドイツでも結局優生主義を排除すると言いながら、結果的にはそれを認めるような結 果になっているんですね。刑法の堕胎罪規定との関係で。 ○田中委員  優生思想を排除するという文章ですけど、これが残りますとこれから先、いろんな問 題が起きてくると思うんですね。一番の問題は今行われている出生前診断だとか、将 来、着床前診断が必要と十分考えられた際に、これらの行為が優生思想に関連すると解 釈される危険性があると思います。だから、そういう意味も含めて、この「排除する」 というのは全部なくした方がいいような気がしますけれども。 ○石井(美)委員  全部なくすことには反対です。 ○田中委員  先生は、優生思想を排除するという項目がどうして必要とお考えになるのでしょう か。実際に今行われようとしているどの部分が危ないと想定しておられるのでしょう か。 ○吉村委員  例えばドナーの精子を受けるとしますね。この人の精子をいただこう、卵はスマート なモデルさんの卵をいただこう、と極端な例が挙がるわけですね。ただ、こういう配偶 子をいただきたいということは言えることになってしまうので、こういうことは基本的 に……。 ○田中委員  それは「商業主義を排除する」の中に含まれませんか。 ○吉村委員  それもそうですけど、商業主義じゃないとそういうことは起こり得ないんですが、優 生思想であることも事実ですね。 ○田中委員  そうですね。 ○吉村委員  スマートな子どもを生みたい、頭のいい人を生みたいという、加藤先生みたいな頭の いい方を生みたいとか、先生、あるかもしれません。 ○田中委員  でも先生、一度決まるとこういう文章で実際に一番問題になってくる問題は出生前診 断ですね。本人達は優生思想と意識しないで、異常がある場合はほとんど中期中絶され ていますよね。そうするとこれは罰則の対象になるわけでしょうか。かなり困ってくる ケースが増えると思うんですが。 ○加藤委員  ただ、ここでカバーしている技術の中には、出生前診断的な、あるいは選択的人工妊 娠中絶的な要素が、このカバーしている範囲内では含まれていないから、だから今、吉 村さんがおっしゃったような、よりすぐれた遺伝子を持った精子を選択したいとか卵子 を選択したいとか、そういうよりすぐれたものを選択したいという、選択の余地を与え ない、そういう考え方になる。 ○田中委員  それはよくとれば、逆にそういう染色体異常を持っている、例えばダウンのお子さん の御両親が、次もならないように、いい卵子だけを戻したいということにつながります よね。 ○加藤委員  だけど、その場合にはダウンの可能性のある卵を排除するということですよね。それ とファッションモデルの卵子をもらうというのは、私は意味が違うと思います。 ○田中委員  もちろん違いますけど、この文章が残ると、本来意図していなかったような事柄もす べてその中に含まれてきて、全部ができなくなるような、というふうになってしまう可 能性が高いのではないでしょうか。 ○吉村委員  ただ、先生、もし逆の立場で、これが入ってないとすると、そういったことはしても いいんですかということは必ず質問で来ますよね。 ○加藤委員  だから、出生についての、いわば恣意的な選択について、それを拡大しようとする気 持ちがないというか、この中で病理的な判断を重視するとか、そういう言葉でしたか、 何ていう言葉だったか忘れたけれども、そういうふうな言葉遣いがありますが、それに 対応する、いわば前置きの言葉だと思うんですね。「優生思想を排除する」という考え 方はどこにあらわれてきますかというならば、そういう出生、子どもを持つことができ ない、そういう状況におかれている人にこれは適用されるので、子どもができる人なの に、おれは長嶋選手の精子が欲しいとかという人には適用できないということに結びつ いていくのではないでしょうか。 ○田中委員  先生のおっしゃっているのは非常に極端な例ですよね。日本では子どもが欲しい人に そういう人はいないと思うんですね。 ○加藤委員  日本ではね。 ○田中委員  優秀な人のものをもらうという。 ○加藤委員  ただ、こういう新しい出生の可能性を拡大するときに、そこまで拡大しているわけで はないんだという但し書きがないと、社会的にこのプランが認めてもらいにくいという 事情があると思うんですね。私は優生思想というのは極めて曖昧な思想で、これを定義 しろと言われるとめちゃめちゃなことになるので、曖昧であるという点から言うと非常 に哲学的には気に入らないせりふなんですけれども、でもそういう恣意的な選択を拡張 しようとするものではないと。あくまで広い意味での治療の範囲内で認めてあげようと いう考えなんだということを表現したいのだろうと思うんですけれどもね。 ○中谷委員長  なかなか難しいですよね。 ○田中委員  先生のおっしゃっているように幅広く理解もできますし、一方逆に、先鋭的に束縛し てしまうようようにもとれます。 ○辰巳委員  私達、患者さんを治療する側にとっては、一つひとつの言葉で何かひっかかってくる ものがないか非常に心配なところがあるんです。 ○田中委員  罰則が来るわけでしょう。 ○辰巳委員  はい。 ○吉村委員  いや、先生そうじゃないんですよ、これはあくまでも基本的な考え方ですから。た だ、基本的な考え方の中に、じゃああなたたちは優生思想を是認するような態度でもっ てこういった医療はできるのですかといった質問に対して、基本的な考え方としては優 生思想に基づかない医療をやっていきたいんですよという姿勢を示すことが必要です。 ○辰巳委員  胚の提供を受けて、やはりちょっと心配だから染色体の検査を受けたいといった場合 に、受けていただいて……。 ○吉村委員  それは御本人が受けたいと言われているわけですから、それは全然問題にならないん じゃないですか。 ○辰巳委員  それならいいんですが。 ○中谷委員長  それはまた非常に広い範囲でDNAの診断治療というのは総括的にどこでも問題にな ってくるわけですから、それはそれで考えていい……。 ○吉村委員  例えば第三者の卵子をもらいましたと。あなた、第三者の卵子をもらったのに何を言 っているの、染色体を調べるなんて何事よと、そういうことは言えないんじゃないです か。その御夫婦の考え方でもってそうしているわけで、それは子どもの福祉に優先する とかという以前の問題だと私は思うんですけれどもね。 ○中谷委員長  きのうあるところで問題になったんですけど、低身長症、あれも非常に問題があるん ですね。別にそれがいろんな病気やなんか、感染症とかいろんなものとの関連がない場 合にどうかというあれでしたから、背の低い方で優秀な方はたくさんいらっしゃいます よね。 ○吉村委員  います。 ○中谷委員長  だから、あなたは何も別にほかのあれがないんだから、法学でも末弘厳太郎先生がそ うだったし、仏文の鈴木信太郎先生がそうだった。兄たり難く弟たり難しと言われたあ れですけれどもね。そういう立派な方がいらっしゃるんだから、背が低い人は別に何も 恥ずかしくもなければ何でもないんだというふうな話をすればいいじゃないのという話 をしたんですけれども、いろんなことで問題になるわけで、少なくともデザイナーベ ビーみたいなものは認めませんよということをはっきりすればいいんじゃないんでしょ うか。 ○加藤委員  だったら、この前文のところを誤解の余地がないようにわかりやすく書き直した方が いいかもしれませんね。「優生思想」というと、何を言っているのかそもそもわからな いですから。 ○田中委員  第三者の配偶子をもらうことに対してこの文章があるというのはわかるんですけれど も、これをほかの不妊治療一般の中においても優生思想を禁止する、排除するんだとい うふうに受け取られる可能性があるのではないでしょうか。 ○丸山委員  しかし、それがないと今度は優生思想を容認しているのかという非難を招くかもしれ ないですね。 ○吉村委員  それはありますよ。 ○田中委員  でも先生、ある程度容認する必要もあるんじゃないですか。 ○吉村委員  それはちょっと……。 ○丸山委員  容認はできないんじゃないか。 ○田中委員  出生前診断とか着床前診断は優生思想でしょう。 ○矢内原委員  それは考え方だと思うんです。 ○田中委員  そうですか。 ○矢内原委員  先生、着床前診断とか胚の選別とかというときに、ルーチン化してくる可能性はそこ からだと思うんですね。それでも、ある夫婦の持ってきた幾つかの卵の中からよさそう な受精卵を戻しますよね。今、日課的にやっていますでしょう。これがある遺伝子診断 で、その中から選んでいくというのはそんなに将来、可能性、この条文が入っても、禁 止したり逮捕されたりすることにはならないと思うんです。 ○田中委員  そうですか。 ○矢内原委員  ええ。先生、心配されているのは、そこをすごく心配されていると思うんですけれど も。 ○田中委員  そういうのを優生思想と言わないんですか。 ○矢内原委員  解釈の仕方ですから……。 ○丸山委員  曖昧模糊とした。 ○矢内原委員  曖昧なというところが逆にいいんですよ。 ○吉村委員  優生思想の説明がなかなかできないわけだから、具体的にそういう事例を挙げると、 これは優生思想に抵触するとか、そういう問題ですから。 ○矢内原委員  そこだけ議論すればいいと思うんですね。これは優生思想に基づく。案外加藤先生の おっしゃるように、曖昧なところが逆にいいんじゃないかなと思う。 ○高橋委員  私も曖昧な方がいいと思います。障害者団体の方とかは、こういうように書かないと 批判してくると思います。どういう文言を使ったらいいか、それはわかりませんけれど も、こういうような文言を一つ入れないと……。 ○田中委員  入れておかないと逆にいけないということですね。 ○高橋委員  曖昧な表現でもいいから入れておいた方がよいと思います。 ○田中委員  よくわかりました。 ○矢内原委員  結婚する相手を決めるときに、この人はどうも嫌だということも言えなくなりますで すね。 ○吉村委員  ここは「優生思想に基づかない」というふうに言っちゃいけない。 ○矢内原委員  逆に。 ○中谷委員長  どうするんですか、基づかない。 ○吉村委員  基づかないで終わるの。 ○石井(美)委員  排除するのではなくて。 ○加藤委員  「優生思想を排除する」でもいいですよ。こんなに面倒くさくなるんだったら。 ○丸山委員  加藤先生さえよろしければ、もとの「優生思想を排除する」というのがわかりやすい と思いますけど。 ○高橋委員  「措置」という表現を使うと、先生のような解釈の心配が出てくるんです。 ○中谷委員長  利用者の方で悩んじゃいますね。 ○吉村委員  そうですね。 ○田中委員  そういうふうにしておいた方がいいですね。見えませんからね。 ○丸山委員  これの意味は余り突き詰めてはいけないかもしれないんですけれども、人の種の改善 を目指してはいけないということですね、医療が。 ○高橋委員  そうですね。 ○丸山委員  だから、おっしゃっているような治療として成功することを目指すのは許されるんじ ゃないですか。それと今は……。 ○加藤委員  優生主義というのは、平均よりもよい、病気だとか不妊症だとかといえるような原因 がなくてもよりよい遺伝的な素因を選択する態度である、という定義を下せば非常には っきりするんですけれども、悪いものを排除するということもそれは優生思想だからい けない、というふうに障害者の団体は言っているんですよね。だから、その点でもって 今、丸山先生が言ったような形で優生思想というのが統一見解ができていれば申し分な いんですけど、実際には障害者側の考え方は、悪い、例えば重篤な遺伝的な病気の素因 を排除することすらも優生思想だというふうに、障害者の側は言っているわけですよ ね。  ですから、その意味では共通了解がないんですよね、優生思想について。 ○丸山委員  そのような意見を持たれている方でも、個人的な選択によってするということに対し てまでは咎め立てはなさらないんじゃないですか。 ○加藤委員  大体は最近そうなってきましたけれども、一般的にそうとは必ずしも言えないと思い ますね。 ○田中委員  そうじゃないですか。それはもっと厳しいですよ。 ○中谷委員長  種の介入ができないようにするというのは、フランスの1994年7月29日の生命倫理法 の中にその規定がありますよね。あの規定の方が、今、丸山委員が言われたような意味 だったら非常に明快な用語だったと思いますけれども、どうなんでしょうか。 ○石井(ト)委員  「優生」という言葉の中に、積極的な優生と消極的な優生という概念がありますね。 ○加藤委員  なんだけれども、実際にはナチスそれ自身が、「優生」という概念それ自身を歪曲し て使ったわけでしょう。その歪曲のあとが、今でも我々の普通の言葉遣いの中にまで残 っているわけですよね。だから、本当は「優生」という言葉を使わないで、こういう場 合は認める、こういう場合は認めないと言った方がはっきりするんだと思いますけれど もね。 ○石井(ト)委員  そういうことを考えますと、「措置」、この言葉を私はカットして、「優生思想を排 除する」というだけでよいと思います。 ○矢内原委員  先ほど「優生主義」という言葉をお使いになりましたけれども、主義、思想というこ とを並べて考えたら、もうちょっと何か言葉としては……。 ○加藤委員  主義というと普通……。 ○矢内原委員  主義・思想。 ○加藤委員  主義というと、観念形態だけではなくて、それに基づく態度だとか、それに基づくい ろいろな行為の体系だとかを含んだ言い方なわけですよね。 ○矢内原委員  基づく措置ですね。 ○加藤委員  ええ。 ○矢内原委員  おかしいんですか、「優生主義・思想を排除する」。 ○丸山委員  「優生主義」でもいいんですよね。「優生主義を排除する」だって構わないですが、 その次は「商業主義」なんだから。商業思想を排除するといったら非常に変でしょう。 ○矢内原委員  「優生思想」だったらおかしくないですものね。「優生主義」もおかしくありません ね。ただ、ニュアンスがちょっと違いますよね。 ○丸山委員  やっぱりもとの言葉が違うんだから、「優生思想」の方が、私は個人的には、このも との「優生思想を排除する」がよろしいんじゃないかと思いますが。 ○中谷委員長  その次は「商業主義の排除」、これは問題ないですね、このままで。 ○吉村委員  はい。 ○中谷委員長  「人間の尊厳を守る」、これは当然のことでよろしいわけで。 ○矢内原委員  「基づく措置」は切っていいんですね。 ○小林主査  そうしますと、今の項は「優生思想を排除する」。 ○中谷委員長  「優生主義・思想」ですか。 ○加藤委員  ポチは要らないんじゃないですか。 ○中谷委員長  要らないですか。 ○加藤委員  ポチなんてつけないで、どっちかにしたらいいじゃないですか。 ○中谷委員長  優生思想ですか。 ○加藤委員  丸山さんは「優生思想」の方が定着しているというから優生思想。 ○丸山委員  ユージェニックスでコマーシャリズムですよね。ユージェニズムとは言わないので、 やっぱり「優生思想」じゃないかと思うんですけれどもね。 ○中谷委員長  アンダーラインを引いているところを削除するということですね。それで決定です ね。 ○吉村委員  はい。 ○中谷委員長  ありがとうございました。 ○石井(美)委員  次は3ページの「余剰胚」のところで、題目までこうしてしまわず、題目は「提供胚 による体外受精」にして、その1番目に「提供される胚は余剰胚に限る」と入れた方が よいと思ったのですが。 ○吉村委員  どこですか。 ○中谷委員長  4)余剰胚による体外受精。 ○辰巳委員  最初のころ、よく議論が出たと思いますが、提供胚による体外受精というのはやはり 変な気がするんですけど……。 ○吉村委員  そうですね。 ○辰巳委員  提供胚の移植。 ○吉村委員  これは私もきょう言おうと思っていたんですけど。 ○吉村委員  「提供胚による胚移植」ですね、厳密には。 ○石井(美)委員  提供胚の移植。 ○吉村委員  提供胚の移植。 ○丸山委員  提供胚の移植でよろしいんですか。 ○吉村委員  はい。 ○中谷委員長  それは「余剰胚」にしますか、「提供胚」にしますか。 ○矢内原委員  「提供胚」。 ○中谷委員長  「提供胚」ですか。 ○吉村委員  「提供胚」の方がいいという。 ○加藤委員  「提供卵子による体外受精」というのは、これはこっちでいいわけですね。 ○吉村委員  これはいいですね。 ○石井(美)委員  体外受精をしますから。 ○吉村委員  するわけですから。 ○吉村委員  胚は体外受精されてますから。 ○加藤委員  ああ、そうか。 ○石井(美)委員  移植するわけだから。 ○加藤委員  そうか。 ○中谷委員長  そうしますと、案1、2、3についてはいかがでしょうか。提供の是非。 ○吉村委員  ここも、だから胚移植になります、体外受精が。 ○中谷委員長  そうですね。 ○加藤委員  石井先生、問題点というのはまだ続くんですか。 ○石井(美)委員  もう一つだけ、これは全く文章の問題なのですが、4ページの「提供精子による体外 受精」のところの下の方、「2個以上の胚の移植が必要な場合には3個までとする」と いうのは何となくおかしい。 ○吉村委員  4ページです。 ○加藤委員  「一回に移植する胚は原則2個までとし、2個以上の胚の移植が必要な場合には3個 までとする」、これは言い方が日本語としてはおかしいというんですね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○加藤委員  変ですよね。 ○加藤委員  キャラメル食べるときには2個までとし、2個以上のキャラメルを食べる場合には3 個までとするというのは変ですよね。 ○矢内原委員  原則、だから3個を超えないものとするんです。 ○石井(美)委員  でも原則は2個なんです。3個を超えないよりは、2個で、場合によっては3個が許 される場合があるということです。 ○中谷委員長  そうしますと、原則2個までとする。ただし、何とかの場合には。 ○吉村委員  それでもいいですね。 ○加藤委員  これは産婦人科の先生に言葉を考えてもらって、「○○の場合には3個まで認める」 というので「2個以上必要な場合には3個まで認める」というのは、日本語……、正し いですけどね。 ○田中委員  2個以上の胚が必要な場合というのはよく理解できます。原則は2個までだけど、例 えば胚の状態が不良な場合は3個とする、ということですね。 ○吉村委員  おかしいですよ、やっぱり言葉として。 ○田中委員  だったら2個以上。 ○矢内原委員  必要に応じなんていうこと。 ○吉村委員  これは「原則3個以内にする」でもいいんですよね。それでもすっきりしますよね。 石井先生がよければ。 ○石井(美)委員  「原則2個」というのは生かされないといけない。 ○吉村委員  15人になっちゃいますからね。 ○加藤委員  「例外的に3個まで認める」という言い方した方がいいかもしれないですね。 ○石井(美)委員  そういうことです。「必要な場合には3個」。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢内原委員  前の2個以上は……。 ○吉村委員  原則2個までとし、必要な場合……。 ○田中委員  2個以上の胚はとってしまう。 ○矢内原委員  「必要に応じ」の方がいいと思うな。「必要な場合」というのはどういう場合ですか と聞かれちゃう。 ○吉村委員  「必要に応じ」……。 ○石井(美)委員  「原則は2個」というのは……、吉村先生が。 ○吉村委員  私は別にこれは、科学的根拠が余りないので。 ○高橋委員  4ページのそのほかのことでよろしいですか。 ○吉村委員  はい。 ○高橋委員  「提供者の記録は永久保存する」と書いていますけれども、「永久保存」という言葉 は非常に抽象的で、果たして永久保存というのはあり得るのか。大学であっても、これ から統廃合とかいろんな問題が起こる可能性があるときに……。 ○加藤委員  永久保存というのは法律用語なんですか。 ○高橋委員  永久という。 ○中谷委員長  聞いたことないですね。 ○加藤委員  法律用語として、例えば会社なんかで非常に長期にわたって保存しなければならない ときにはどういう言い方するんですか。 ○中谷委員長  大抵普通は5年とか10年とかで決めて、それをまた期日が来たときにさらに延長する ことにしていますよね。 ○吉村委員  スウェーデンの人工授精法は何年でしたか。 ○中谷委員長  70年。 ○吉村委員  70年。 ○高橋委員  年限を区切るべきではないかと思うんですね。 100年でもいいし。 ○田中委員 永久保存できません。 ○加藤委員 永久保存というのがもし法律用語にないのだとすれば大げさですよね。法律用語で永 久保存というのは、大体50年を相場とするとか決まっているならいいけど。 ○辰巳委員 提供を受けた人の代を過ぎれば要らないんじゃないでしょうか。 ○吉村委員 そうですね。その人の……。 ○辰巳委員 その人の人生を基礎として70年としたんでしょうか。 ○石井(美)委員 100 年。 ○加藤委員 78年とか女性の場合は80とか。 ○中谷委員長 物心がついて、判断力が出たときに要求できる範囲というので70年、あるいは八十幾 つになりますね。そういうふうな決め方でしたよね。 ○加藤委員  提供されたけど、もう長生きし過ぎたら断念しなさいということになるわけですね。 だったら、60歳だって構わないわけですよね。生存可能年齢という意味じゃないとすれ ば。 ○辰巳委員  永久にする必要はないですよ。 ○加藤委員  もちろん永久にしたら大変ですよ。 ○吉村委員  必要ないですね。 ○加藤委員  何年かって決めたらいいじゃないですか、60年とか70年とか。 ○吉村委員  そうね。70年もすれば十分でしょう。 ○加藤委員  十分過ぎますよ、60年でいいじゃないですか、日本は。 ○中谷委員長  でも、今、日本の平均寿命は世界一なんです。 ○加藤委員  そうですね。 ○石井(美)委員  60というのは。 ○丸山委員  75年。 ○加藤委員  平均寿命に合わせてこの年齢を決めるのではなくて、中谷先生がおっしゃるように… …。 ○吉村委員  子どものことだから。 ○加藤委員  その年になったら出自を知るのはあきらめなさいという趣旨であれば、別に何十だっ ていいわけですよね。 ○矢内原委員  20歳の人が提供したとして、それで生まれた子どもが20歳になったときに、提供者は 80歳だよね、60年にしたら。 ○吉村委員  ええ、そうです。 ○石井(ト)委員  ここで言う意味は、生まれた子どものことを考えてのことですね。ですから別に、提 供者の年齢は考えなくてもよいと思います。 ○吉村委員  その人が80になっても、そういうことは余り関係ない。子どもが60歳ということで す。それで私は別に問題ないと思うんですけど。この提供者の記録は出自を知る権利の ためだけでしょう、はっきり言えば。そうすると子どものためだけですね。 ○石井(ト)委員  そうです。子どものためだけです。そうしますと、大抵こういう問題に直面するのは 自分が結婚するときとか、そういう年齢だと思うんですよね。ですから、それこそ30年 ぐらいで私は十分ではないかなと思います。 ○加藤委員  60で結婚する人もいる。 ○吉村委員  それはあり得るかもしれない。 ○丸山委員  近親婚で子どもをつくらなければいいんですかね。 ○吉村委員  60年ぐらいでいいと思いますけれどもね。 ○加藤委員  70年から60年、10年減らすだけでも負担は随分減りますよね、経費だとか。 ○辰巳委員  大変ですね。 ○田中委員  次の代まで。 ○矢内原委員  記録だから、フロッピー化すればそんなに。 ○吉村委員  フロッピー化できますかね。 ○矢内原委員  なくなっちゃうんじゃない、台帳ということは。 ○吉村委員  うちは台帳にしてますね。 ○矢内原委員  フロッピーに写してください。 ○吉村委員  でもそれだと、どこかでアクセス化されるとかいろんなことがあるかもしれないから ……。 ○矢内原委員  ディスクに。 ○吉村委員  そういう意味で一番大事なのは、今までどおりキープじゃないですか。先生だって大 事な資産は銀行に預けてあるでしょう、それと同じですよ。60年でだめということはな いでしょう。可及的に短い方がいいですよ。 ○中谷委員長  50年ぐらいでもよさそうな気がする。 ○田中委員  長過ぎるかもしれない、もっと短くていいんじゃないですか。 ○中谷委員長  50年でいいような気がする。 ○田中委員  自分が治療しても責任負えないですよ、60年後生きてないでしょう。 ○丸山委員  記録は中央機関がするんですから。 ○田中委員  この記録というのは中央機関が……。 ○吉村委員  そうです、先生。先生のカルテなんかすぐなくなってもいいんです。 ○田中委員  そうですか。わかりました。 ○矢内原委員  提供者ですから。 ○吉村委員  これは国がやるんですよ。 ○矢内原委員  国が滅びるまでという、永久にしたんですけどね。 ○吉村委員  60年でいいかな。 ○石井(美)委員  提供のときからですね。 ○加藤委員  提供してから60年ですね。 ○吉村委員  はい。ほとんど生殖年齢超えないわけですから、生殖年齢超えないということが入っ てますから、提供してから15年から20年ですね。最高にみても、保存できている期間 が。最高20年も保存できていることはないですね。 ○吉村委員  30で体外受精受けて余剰胚が余って50ですからね。そうすると15年から20年。50年で も十分なような感じがしますね。60年だったら完璧ですね。 ○加藤委員  コストを考えれば短い方がいい。だったら50年ということになる。ただ、50年ではど ういう場合に危ないとかなんかごちゃごちゃ言われるぐらいだったら10年ぐらい延ばし ていった方が……。 ○中谷委員長  ありますか、50年。 ○加藤委員  ないと思いますけれどもね。 ○吉村委員  ないと思いますけど、ただ、提供の卵子が30歳で提供して、生殖年齢までだと15年か ら20年置いて、子どもがそこで生まれて、30でということになると、60が一番そういう 意味ではいいかもしれませんね。どんなに多く見積もっても15年から20年、それに40年 子どもが40に達してますから。 ○中谷委員長  その保存の方法がまた問題になりますよね。だから特定できないように数値化して何 かやるという、そっちの方が。 ○加藤委員  期間としては、今、吉村先生が60年でいいんじゃないかという、50年を60年に10年延 ばされたので。 ○中谷委員長  慎重ですね。 ○加藤委員  今、高橋先生が、永久保存は言い過ぎたというので。 ○石井(美)委員  戸籍の記録等と同じように考えると、かなりきちんと保存することに……。 ○加藤委員  戸籍というのは何年保存するんですか。 ○石井(美)委員  ずっと保存するのではないでしょうか。 ○吉村委員  先生、戸籍と同じようにして保存する必要性はありますか。 ○中谷委員長  ないと思いますけれどもね。 ○石井(美)委員  子どもの知る権利の保障をどこまでするかということにかかわるだと思いますが、永 久である必要性は私もないと思います。 ○加藤委員  だって、孫がおじいさんを知る権利と考えたら永久である必要はあるかもしれないで すよ。私のおじいさんは誰だったんだろうなんていって。 ○中谷委員長  それは子どもの出自を知る権利、子どもについてだけ考えるわけにいかないですよ ね。 ○吉村委員  そうですよね。60年で十分じゃないですかね。 ○加藤委員  お寺の過去帳なんか永久保存ですよね。教会の出生台帳なんていうのもね。 ○高橋委員  お寺は廃寺になるまで。 ○矢内原委員  出生台帳は永久保存。 ○吉村委員 かぎがありますね。 ○矢内原委員 かぎがあるでしょう。 ○矢内原委員 火事になったら一番最初に持って出るということを教えているからね。 ○吉村委員  どこにあるか、私、今覚えてないですけど。 ○矢内原委員  病棟にありますよ。 ○中谷委員長  先生が60年とおっしゃる理由は。 ○吉村委員  今、計算しますと、30で体外受精を受けて胚が余った。25でもいいですけど、そうす るとその人が生殖年齢を超えないとすると20年あるわけですね。子どもが40になるま で、子どもを産みたいと思ったときに、結婚したいと思ったときに、そうすると40に20 足すと60、大体いいんではないか。別にそれは、50歳で結婚してはいけないとかそうい うことにまたなりますけれども、そういうことを言い出すときりがないので、それはも ちろん長い方がいいでしょうが、70年の方がいいんでしょうけど、60年以上は余り意味 がないんじゃないかなと思います。 ○矢内原委員  何か根拠がほしいね。 ○中谷委員長  そうなんです、根拠がね。 ○加藤委員  今、吉村先生がおっしゃったのが……。 ○矢内原委員  ちょっとややこしいです。 ○吉村委員  そういうことを考えないと。 ○矢内原委員  もうちょっと簡単に。例えば日本人の平均寿命が大体80歳、80歳とか、そういうのが 簡単ですよ。その人の生殖年齢は何年と考えて……。 ○中谷委員長  そうですね。 ○吉村委員  生殖年齢を超えないで廃棄するでしょう、そういうふうに書いてありましたね、胚の 廃棄は。明文化してあったでしょう。 ○丸山委員  記録を残すというのは、同じ精子を用いてできた子どもが……。 ○吉村委員  結婚するときに。 ○丸山委員  結婚して、子どもがつくられるのを防止するためか、そういう夫婦が性交渉を持つこ ともやっぱり避けるべきかと。どっちなんですか、やっぱり子どもできることさえ避け られれば、性交渉を持つことは兄弟姉妹間でも構わないとするんですか。 ○吉村委員  それは先生、難しくてわからないです。 ○丸山委員  80か90、どこまで行くか知らないんですけど、もう少し長くてもいいような感じもす る。 ○吉村委員  そもそもが提供者の記録というのは出自を知る権利のためあるわけでしょう。そのと きには、出自を権利というのは、例えば近親婚を排除するとか、子どもが、親がだれだ ったかということを知りたいということでしょう。 ○丸山委員  だから近親婚で、70同士の近親婚、80の近親婚もあり得ますよね。 ○石井(美)委員  私、矢内原先生と同じで、少なくともその人の世代のあれはというのがわかりやすく ていいと思うんですね。80とか 100歳。 ○丸山委員 寿命になるでしょう。 ○石井(美)委員 寿命。 ○矢内原委員 生まれた子どもが育って、生まれた子どもだって同定できないにしても、そういう記 録は……。 ○吉村委員 生まれた子どもというのは、要するに生まれた子どもの寿命をという意味ですか。 ○石井(美)委員  そうです。 ○吉村委員 わかりました。 ○矢内原委員 近親婚とかということも大切なんだけれども……。 ○吉村委員 保存することはある。スウェーデンは70年というのは寿命ですか、子どもの寿命、そ うですか、やっぱり。 ○中谷委員長 あれ、何ででしょうね。 ○加藤委員 70年というのは提供されたときから数えて70年。 ○中谷委員長 提供というか、そういう医療を受けたとき、医療記録の保存ですから。 ○吉村委員 それは平均寿命から算出されているのかもしれないですね。 ○矢内原委員 でも親が80歳で死ぬ前に、実はあなたは私の子として育てたけれども、あなたはAI Dの子ですと言ったとするよね。そのとき子どもが50だとするでしょう。50歳の男が初 めて事実を知ったときに、ちょっとどんな親だったんだろうといって、本当かななんて いって聞きに行くときはあり得るでしょう。 ○吉村委員 そうですか、わかりました。そうすると子どもの平均余命。 ○矢内原委員 自分が80歳になったときには、もう私はいいわということになるかもしれないけれど も、50ぐらいだったら、まだ。 ○吉村委員 そうかもしれないですね。 ○矢内原委員 知りたいと思う気があるかもわからない。 ○中谷委員長 生殖年齢よりは平均寿命の方がわかりやすいですよね。 ○吉村委員 わかりました。 ○高橋委員 4ページの「対価」というところに(献血、骨髄提供に準ずる)という文言がありま すけれども、これは削除した方がよいと思います。前の議論のときにちょっと申し上げ ましたけれども、献血という、これは無償で善意によるものというように先生方は考え ているようですが、この前、ある新聞で「献血にポイントカード導入、慢性不足、窮余 の対策」というのを読みました。宮城県赤十字血液センターが、図書券やテレホンカー ドとか買物カードなどを与える方法を実施している。  同様の制度は、個別の献血ルームで取り組んだケースはあるそうです。日赤本社で は、こういうケースはあるものの、全県的に実施するのは非常に珍しいと言っていま す。  骨髄提供について、提供した方のご主人から話を聞いてきましたが、その方は旅費、 タクシー代以外はもらってない。ただし公務員の場合は「ドナー休暇」と称して1週間 の休暇をくれるそうです。 ○加藤委員  有給、無給? ○高橋委員  有給です。 ○丸山委員  雇っている側が与えるのですね。 ○高橋委員  そうです。そういうようにして、ある恩典を与えているそうです。 ○丸山委員  骨髄の方は、私もちょっと提供のパンフレットを見ましたら、休業のための保障とい うのはバンクからは出ない。ですから交通費だけなんですね。本当の無償ですね。 ○中谷委員長  そうしますと、案1の方で、この括弧の中は「献血」をとって「骨髄提供に準ず る」。 ○高橋委員  そうですね。 ○中谷委員長  案2の方ですと「実費相当とする」と。(額は治験に準ずる)と。これは吉村先生の 案ですか。案の2は。 ○吉村委員  これは胚提供は無償とする。私は卵子提供は認めておりませんので、これは私の案で はありません。 ○石井(美)委員  精子も実費相当。 ○中谷委員長  精子は。 ○吉村委員  精子に関しては実費相当です。 ○中谷委員長  1万円は実費ですか。 ○吉村委員  実費と考えています。特に桁外れた金額ではない。治験は、今、うちなんかは1万円 あげるようにしてますから。それはポイント制になっていますので、業者が払うわけで すね、患者さんに対して。 ○中谷委員長  治験の方はね。 ○吉村委員  はい。 ○中谷委員長  そうですね。 ○矢内原委員  どっちにしても「原則として」という言葉があるから、括弧は両方とってもいいよう な感じがするんですね。献血と骨髄なんていうことは入れないで、「治験に準ずる」、 何もなしにして「原則として無償」。原則として無償だけど、実費相当。 ○吉村委員  そうすると、どのぐらいの額かということは必ず聞かれるわけですね。具体的にこの ぐらいですということを提示した方がわかりやすい。 ○中谷委員長  そのような解釈でやればということですから。 ○吉村委員  みんな「実費相当」と書いてあるんですけれども、説明の意味でわかりやすく、あ と、一般の方が聞いたときに、どうですか。案の2になった場合には。 ○矢内原委員  そうすると治験は 7,000円なんだから、先生のところ1万円取っているのは……。 ○吉村委員  いや、そうじゃなくて、病院との契約でポイント制でやっているわけですから、別に 1万円出しても何もおかしくないと思うんですけど。 ○中谷委員長  課長、何か。 ○母子保健課長  一つの標準として示してほしいということで示してあるということだろうと思いま す。 ○吉村委員  これは、先生、全然おかしくないですよ、「治験に準ずる」。 ○矢内原委員  この質問というか、あれば、どうせ、こういうものに関しては施行細則みたいなもの が出てくるような感じがするんですよね。そういうところで書いた方がいいような気が ……。 ○吉村委員  そうなんです。だからワーキンググループとして、この案は、括弧内は省いても全然 構わないんです。 ○矢内原委員  文章化するときは。 ○吉村委員  文章化するときは。要するに皆さんに御説明するときにわかりやすいから書いてある だけです。 ○中谷委員長  そうしますと、いかがでしょうか、案1と案2で、皆様方、どちらの方を適当とお考 えになるか。それを決めた方がよろしいでしょう。 ○石井(美)委員  それはまだなのではないですか。 ○吉村委員  それはまだ。 ○加藤委員  そろそろ、実質審議、いよいよこれから入る。 ○吉村委員  この間は、5ページの……この間はどこまでいきましたか。 ○母子保健課長  一応「胚の処分」までやっていただいて、きょうは「規制方法及び条件整備につい て」、大きい2からというふうに一応理解しています。 ○辰巳委員  すいません、一つその前にいいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○辰巳委員  今の5ページの「配偶子の処分」から「胚の処分」のところなんですけれども、これ はあくまでも提供されたということですね。提供配偶子の処分、提供胚の処分というこ とですね。 ○石井(美)委員  その点ですが、この間、私と理解が違っていたのですが、提供に使われることになる ので、すべての胚についてかかわるのではないかと思ったのですが。 ○辰巳委員  そういうことがあるので、(5)が非常にややこしい文章になってまして、最初の二 つの点は、これは提供をしない、提供の前の段階の胚の話が入っておりますよね。提供 に限るということになれば、これは3番目だけ、あるいは3番目にもう少し付随して、 ほかのものをつけなくちゃいけないんじゃないかという気がするんです。ここをもう少 しクリアーカットにしてもらった方がいいと思うんですけど。 ○石井(美)委員  余剰胚というのがどういう形で生じるかということが問題になるので、提供される前 から胚の処分のことを考えておく必要性があると思ったのですけれども。 ○吉村委員  確かにそうですね。 ○辰巳委員  やはりここは3番目だけでいいんじゃないでしょうか。 ○石井(美)委員  提供された胚だけでしたら、辰巳先生がおっしゃるように1、2はおかしい。 ○辰巳委員  「両者の合意により、余剰胚を提供することができる」。3番目の点のところですけ れども、胚を提供するというと、やはりそのためにつくるみたいなことがあってはいけ ないので、余剰胚を提供することができる。余剰胚にした方がいいんじゃないか。 ○吉村委員  辰巳先生、それどこですか。 ○辰巳委員  すいません、5ページの真ん中、「(5)胚の処分」というところです。 ○吉村委員  どれを余剰胚にした方がいいんですか。 ○辰巳委員  ポイント1とポイント2のところは提供でない場合ですね。 ○吉村委員  提供じゃない場合ですね。一般的なことですね。 ○辰巳委員  その部分を省いた方がいいんじゃないかというところと、3番目の「両者の合意によ り、余剰胚を提供することができる」とした方がいいんじゃないか。 ○吉村委員  なるほど「余剰胚」、これは入れてもいいんじゃないか。 ○中谷委員長  ポイント1つ上の、保存期間ですけれども、「保存の合意がある場合には、保存期間 は1年〜」、1年とそんな短期なものなんですか。 ○吉村委員  私、ちょっとわからなかったんですけど。 ○母子保健課長  これは前回、毎年確認をしておられるとおっしゃったので、実務的にはこんな感じか というので、事務局の方で「1年」とあえてしただけのことでございます。 ○辰巳委員  これは余剰胚じゃなくて……。 ○中谷委員長  余剰胚じゃないですけど……。 ○辰巳委員  これは生殖年齢を超えないことになっていますから、1年ごとに継続の確認を確かめ ておりますので、そういうことから……。 ○中谷委員長  普通は何年間として、そして、ただし毎年それを確認する……。 ○辰巳委員  それは生殖年齢を超えないことです。毎年……。 ○中谷委員長  そうすると保存期間を1年というのは、ちょっと普通の表現としては奇異に感じるも のですから。 ○辰巳委員  ここの部分がこの全体の中に入るべきかどうかということ。 ○中谷委員長  そうですね。 ○田中委員  普通の体外受精の余剰胚に関しては、日本産婦人科学会で規定がはっきり書いてあり ますね。凍結した場合はいついつまでとはっきり書いてありますから。 ○矢内原委員  生殖年限を超えない。 ○田中委員  ここはだから、提供する胚のことだけ書けばいいのではないでしょうか。 ○辰巳委員  話がすごく混同しちゃうので、できれば3番目だけの方がすっきりすると思いますか ら。 ○田中委員  一般の提供じゃない場合のことを削除。 ○辰巳委員  はい。 ○田中委員  それでいいと思いますね。 ○丸山委員  よろしいですか。もう一つ、ちょっとほかの、よろしいんですね。提供がある場合。  4ページの冒頭、冒頭というのはそのさらに前の3ページの末尾から続いておるんで すが、「提供者等の条件について」として「精子提供者は成人で40歳以下とする」。 「卵子提供者は、すでに子のいる成人に限り、35歳以下とする」、「胚は、余剰胚のみ 提供することができる」として、その下に案1として、これは提供者はだれからもらえ るかというので、第三者に限ると。兄弟姉妹・父母からの提供を認めない。案2が兄弟 姉妹から提供は認める(父母は認められない)。案3が、兄弟姉妹・父母双方からも第 三者とともに認めると、こう書きますと、精子の提供とか卵子の提供はいいんですが、 兄弟姉妹・夫婦が体外受精して余剰胚があるような場合にその余剰胚の提供もできるよ うに読めますよね。そこまでは認めてなかったですね。認めてというか、個人の意見で すけど、考えてなかったと思うんですが、片一方、配偶子を兄弟姉妹から提供を認める というときに、私、個人的には配偶子の提供、片一方、精子か卵子かいずれかの提供を 認めるつもりはあったんですが、妹夫婦なり兄夫婦が体外受精でつくった胚の凍結され たものの提供までは認めるつもりはなかったんですが、もう少し幅広くお考えの田中先 生は、この点についていかがですか。 ○田中委員  そこまで入っていると思っていませんでした。 ○丸山委員  そこまでは、ですから片一方ですね。 ○田中委員  ええ、と思います。 ○丸山委員  ですから、この場所であると、ちょっとその誤解を招くので、あるいはこの場所をそ のままにしておいて、精子、卵子の提供について、第三者以外からの精子、卵子の提供 についてというのを、案1の前に置くか、何か表記に工夫をしていただきたいと思いま すね。 ○田中委員  今のところで、兄弟姉妹からもらう案を認めた場合はほとんどがまだ結婚してなかっ たり、年齢が若い場合には上の条件に合致しませんね。そうすると案1、案2、案3と いうのは最初から上の条件を満たさないので存在しなくなりますね。兄弟姉妹からの場 合には、この条件は必要ないのではと思うんです。書いておかなくてもいいと思うんで すが。  ○石井(美)委員  私はいると思います。 ○吉村委員  それはいると思います。 ○田中委員  そうですか。 ○吉村委員  いると思います、それは。自分が産んでないのに、自分が結婚してなくて子どもも産 んでないのに、卵をお姉さんにあげるということは、私は許されるべきことではないと 思います。 ○田中委員  そういうことですか。 ○吉村委員  ええ。 ○田中委員  弟さん、お兄さんでも子どもを産んでない場合はできないということですね。 ○吉村委員  男は書いていません。 ○高橋委員  だから男は……。 ○田中委員  男はいいのですか。 ○中谷委員長  いいんです。 ○高橋委員  男はよくて女性の場合は……。 ○田中委員  女性はだめでしょう? ○吉村委員  それはおかしい。 ○中谷委員長  それはおかしいと私は思うんですけど、皆さんは。 ○高橋委員  私もこれはおかしいなと思います。 ○石井(美)委員  精子提供者も同じ条件を入れるという話もあったのですが……。 ○吉村委員  これはAIDも入りますからね。 ○田中委員  そうですね。 ○石井(美)委員  卵子と精子のもつ重みの違い……。 ○田中委員  それは確かにあります、リスクがあるから。 ○高橋委員  ですけれども、一般の社会でそういう考えが通用するかどうか。女性の場合はテスト の上で決めてやるけれども、男性の場合は……。 ○田中委員  多分その辺は撤収されるでしょうね。 ○石井(美)委員  先ほどの丸山先生の余剰胚はいかんというのはなぜですか。 ○石井(ト)委員  いけないというわけじゃなくて、ここに胚も一緒に入ると、案1、2、3がというこ とですよね。混乱するということですよね。 ○石井(美)委員  認めない……。 ○吉村委員  認めないんです。 ○石井(ト)委員  認めなくても……。 ○丸山委員  匿名でない余剰胚をなぜ認めないかですよね。認めてもいいんでしょうかね……。 ○吉村委員  私は先生の今までご意見をずっと考えてみると、何か非常につじつまが合わないよう な気がしますね。要するに兄弟になるわけですよ。 ○丸山委員  兄弟が……。 ○吉村委員  兄弟が自分の子どもになるわけですよ。 ○丸山委員  そうですね。 ○吉村委員  兄弟が自分の子どもになるというのはおかしな意見ですけれども、それは、先生、弟 から精子をもらうのと、それは特別に変わりはないんじゃないですか。 ○丸山委員  クライアント夫婦の遺伝的要素はその子どもには全くないことになりますね。 ○吉村委員  それこそ同じ行為だと思います。私はもともと兄弟からの提供は認めてませんけれど も、先生は弟からもらってもいい、妹からもらってもいいというお考えですよね。 ○丸山委員  精子、卵子は。 ○吉村委員  精子、卵子に関しては。そしたら、受精卵はどうしてもらってはいけないのかという ことです。 ○丸山委員  もらう側の配偶子の利用が全くないからということなんですね。 ○吉村委員  そうです。 ○丸山委員  それがなぜ、そうなのかということですね。 ○吉村委員  質問です。 ○中谷委員長  要するにこういう親族関係で提供を認めるということは立法例ではないんですよね。 だから、誠に日本的な発想、丸山先生がそういう発想なさることに、私は大変感心して いるんですけれども。 ○丸山委員  日本人ですから。 ○吉村委員  養子と同じことですよね。普通の養子と。 ○丸山委員  兄弟から養子もらう。 ○吉村委員  ええ。 ○丸山委員  そういうことですよね。 ○吉村委員  生まれたての赤ん坊をもらうと。 ○中谷委員長  それなら、むしろ兄弟から養子もらった方がいいんじゃないですか。 ○丸山委員  ですけど、子宮の、出産の体験だけは奥さんに、あるいは私がしたいということです ね。 ○吉村委員  それはわかりますけど。 ○辰巳委員  姉妹も、もう自分では子どもを産みたくない。 ○石井(美)委員  余剰胚ですから、あくまで。 ○辰巳委員  もう一遍出産してあげることは……。 ○吉村委員  もう一遍出産したくないということはありますね。 ○田中委員  基本的に受精した胚をもらって治療を行うというのが、今、第三者からの提供による 治療として皆さんのコンセンサスを得ようとしているようですが、両方他人の配偶子か らできた胚の提供を希望されるご夫婦は非常に少ないというか珍しいと思います。大体 どっちかが精子か卵子をもらって、自分たちの血を半分残すというのが大半の方の希望 だと思います。私の経験では、どっちかやっぱり夫婦の一方だけでも血を入れたいとい うのが一般的だと思います。これは日本的ですかね。 ○矢内原委員  日本的ですね。 ○田中委員  日本的ですか。 ○丸山委員  じゃあ、これは残しておきましょうか。 ○吉村委員  私は両方とも反対だから。 ○中谷委員長  案1でしょう、先生。 ○吉村委員  私は認めないですけど、先生たちが父母か兄弟からいいと言われるならば、兄弟の胚 をつくったものをもらっても何ら間違いはない。 ○中谷委員長  ということになるわけですね。 ○吉村委員  全然おかしくない、認めても。 ○中谷委員長  案3ならね。 ○吉村委員  ええ。と思うんですけれどもね。 ○丸山委員  じゃあ、ほうっておきましょうか。 ○辰巳委員  すいません、ちょっと話が違うんですけれども、この間、イギリスの方で、5年間凍 結していた胚を大量に処分することになって、それに対して随分問題が出ましたです ね。今、イギリスの方でドナーが随分減ってきているんですね。 ○中谷委員長  減ってきている。 ○辰巳委員  向こうの方で胚の提供は認められているんですね。 ○吉村委員  認められていますよ。 ○辰巳委員  希望者は余りないんでしょうか。 ○中谷委員長  と思いますね。 ○辰巳委員  やっぱり卵は欲しいけれども、胚は欲しいと思わないと、イギリスの人もそう思って いるんでしょうか。 ○中谷委員長  卵の提供は非常に少ないでしょう。それをどうしてカバーするかというので大変苦し んで、一時は胎児からの……。 ○辰巳委員  胚は随分余っているわけですね。胚が大量に処分されたことになったわけですね。ど うして、向こうの人は余り胚の提供を受けたがらないのでしょうか。 ○石井(美)委員  受けたがらないのではなくて……。 ○田中委員  あげたがらないんじゃない。 ○石井(美)委員  そうだと思う。あげるという、決定されていないから、処分せざるを得ない。 ○辰巳委員  そういうことですか。 ○石井(美)委員  そういうことです。 ○田中委員  胚、両方、自分の子がどこかで生まれるのは嫌だと。 ○辰巳委員  そうですか。 ○吉村委員  はい。 ○辰巳委員  わかりました。 ○石井(美)委員  余剰胚は出ても、それをあげるという決定をしない限りは……。 ○田中委員  多分少ないと思いますね。卵子をあげるよりも……。 ○中谷委員長  余剰胚については、もし余剰胚を提供してくれれば治療費を減免するというのもやっ ているわけですからね。 ○辰巳委員  そうですか。 ○田中委員  捨ててもいいけど、あげたくないという人ですね。 ○辰巳委員  5ページの(4)の「配偶子の処分」、「精子並びに卵子は本人の死亡により廃棄さ れる」、これは遺産とかそういうふうな問題にかかわるという意味でこういうことを設 けているわけですね。 ○吉村委員  同意が得られないからです。 ○辰巳委員  提供した段階で同意は済んでいるんです。 ○田中委員  あげるというふうに言ったら、本人は死んでも使ってもいいということでしょう。 ○石井(美)委員  夫が死んだ後に使うと、夫婦間ではなくなりますよね。 ○辰巳委員  提供配偶子ですね、これはあくまでも。 ○石井(美)委員  夫婦の一方が死んだ後で使ったら第三者と同じ問題になるので、死んだ後では廃棄さ れるということを明確にしておく必要性はあるのではないかと思うのですけれども。 ○田中委員  それは一般の夫婦、それは死別とか離婚とかそういう場合には廃棄する、と日産婦の 会則にちゃんと書いてありますね。 ○吉村委員  死亡によりというのは日産婦に書いてないんじゃないかな。 ○田中委員  あります、先生。 ○吉村委員  書いてある。 ○田中委員  ええ。片方、死別。離婚でもそうですね、自動的に。 ○吉村委員  書いてありましたっけ。 ○田中委員  書いてあると思います。 ○辰巳委員  そういう理由でということですか、廃棄というのは。何か提供してしまったら、それ でまた……。 ○石井(美)委員  提供後に死んだか死んでないかは、把握できないですよね。 ○矢内原委員  つまりある夫婦がいて胚をつくったとしますね。それが死んでしまったときにだめだ というのはどうしてですか。 ○石井(美)委員  夫が死んだ後、それを妻が産むということはしない方がよいと私は思います。 ○丸山委員  これは提供の場合に限っているんですね。 ○矢内原委員  提供の胚だから……。 ○中谷委員長  妻じゃないですね。 ○矢内原委員  残すものは何もないけど、我々夫婦の胚はあると、これをどなたかお使いくださいと ……。 ○田中委員  言った場合には本人の意思は残りますよね。 ○矢内原委員  そういうウィルを残したとしたらどうなんだろう。 ○吉村委員  胚の処分に関しては、どちらか死亡した胚は廃棄されるということは削りましたよ ね。 ○石井(美)委員  (4)の方。 ○吉村委員  (4)の問題ですか。 ○石井(美)委員  今おっしゃっているのは。 ○吉村委員  今は胚のことでしょう。 ○辰巳委員  最初(4)の話をしておりましたが。 ○吉村委員  今、先生、胚の話。 ○矢内原委員  胚の話。 ○吉村委員  現実面で卵子というのはあり得ない、今のところ。 ○辰巳委員  まあ、そうですね。 ○吉村委員  難しいから。 ○辰巳委員  はい。 ○吉村委員  現実的ではありませんね。 ○辰巳委員  今のところ。 ○吉村委員  今のところ。将来的なことかもしれないから。 ○辰巳委員  それは倫理的な意味と考えてよろしいんですか、これは。 ○田中委員  消してあるというのは、前もここで話し合って、そういうふうにしたんでしょうね。 ○丸山委員  凍結精子の提供がない場合で、通常の夫婦間で精子を凍結する場合の契約期間は1年 単位なんですか。 ○辰巳委員  決めてなくて困ってます。生存不明の精子がいっぱいタンクに残ってしまって困って ます。 ○丸山委員  受精卵は1年というのは……。 ○辰巳委員  最初から、これは。 ○丸山委員  精子の場合……。 ○石井(美)委員  精子は、お金は取らないのですか。 ○辰巳委員  取ってないんですよ。タンクいっぱい占めて困ってます。 ○吉村委員  先生、精子は何に使うの? ○辰巳委員  だから、化学療法を受ける前に保存して、がんが直ったときに使いたいということ で。 ○吉村委員  なるほど、わかりました。 ○辰巳委員  凍結して。 ○吉村委員  AIDなんかの場合にはほとんど使っちゃいますからね。凍結して6カ月間置いてお いて、6カ月後には使っていきますから、だから余っていることはない。 ○丸山委員  6カ月置いて、残りの6カ月ぐらいでもうはけてしまいます? ○吉村委員  それぐらいしか採ってませんから。 ○丸山委員  ですから採取時から1年ぐらいでもうなくなってしまう。 ○吉村委員  1年も全然もちません。6カ月たって1カ月以内に終わりです。それだけのものしか 採ってませんから。 ○丸山委員  死亡からそんなに……。 ○石井(美)委員  問題にすることはない。 ○丸山委員  ですね。 ○吉村委員  でもそういうところばっかりじゃないかもしれないし、非常にドナーの少ないところ でやっているかもしれないし、こういうことは書いておいた方が私はいいと思いますけ ど。 ○田中委員  そうですね。いいと思いますね。 ○高橋委員  明記した方がいい。 ○吉村委員  「精子及び卵子は本人の死亡により廃棄される」というのは書いておいた方がいいと 思いますよ。 ○中谷委員長  例外的になると使用できませんね。例えば精子を保存しておいたけれども、その後、 夫が死亡したと。精子を使って妻が妊娠をして、出産するというようなことは。 ○辰巳委員  できません。 ○中谷委員長  フランスではそういうのあったんですよね。それを保存しておりまして、要するに夫 のものですよね。それを妻は夫の財産の相続権がないんです。それで両親がそれを出し ましたね。それで両親からの提供を受けて出産したという大変例外的なケースがあって 評判になりましたね。 ○田中委員  そういうことが出てくる可能性がありますよね。だから、明記した方がいいんじゃな いでしょうかね。 ○中谷委員長  そうですね。 ○矢内原委員  夫婦に限るから、片方は死亡すると夫婦でなくなる。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  配偶者たりしも。 ○丸山委員  もう一言なんですが、(4)も(5)も配偶子の保存期間を1年とか明記した方がい いんじゃないかと思うんです。もし、さっきのを使い切るようであれば。 ○石井(美)委員  提供されたものについてですね。 ○吉村委員  いや、使い切るかどうかはわからないですよ、先生。 ○丸山委員  そうなると、さっき石井美智子委員がおっしゃったように、死亡の連絡というのは必 ず来るわけではないので、10年、20年たった精子を利用して、本人は17年前に死んでい るのに、それを利用した子どもができるかもしれない。 ○石井(美)委員  提供だけの問題なら、なくてもよいような気がする。 ○田中委員  そうですね。 ○石井(美)委員  1年で。大量に保存しちゃいけないという趣旨ですね。 ○吉村委員  多分保存できないですけどね。 ○矢内原委員  スペースだけの問題……。 ○吉村委員  ドナーが余ってしようがないということは余り考えない方がいいと思いますけど。 ○矢内原委員  卵はね。 ○吉村委員  はい。胚もそうですし、精子だけたくさんあってもしょうがないですからね。卵がな ければ。 ○中谷委員長  保存だけの機関てありませんよね。 ○吉村委員  ありませんね。 ○中谷委員長  イギリスなんかは保存だけの機関があるわけですが、でも、それはまた別なんです ね。 ○吉村委員  ええ。 ○田中委員  この保存期間の1年というのは、御夫婦の胚を凍結保存したときのことだと思うんで すね。ですから、今度は提供を受けた胚ですから1年というのは短いような気がします ね。 ○中谷委員長  そう思いますね。 ○吉村委員  これは除くんでしょう。 ○田中委員  これからは10年といいますね。 ○吉村委員  これは要らない。 ○丸山委員  ですから、今、私がまた新たに提供精子の場合も保存期間を設けたらいかがでしょう かという。 ○石井(美)委員  5年とか、1年は短い。 ○田中委員  短いですね、確かに。 ○吉村委員  捨てるのはもったいないですね。 ○田中委員  確かにね。 ○吉村委員  貴重だから。 ○石井(美)委員  更新できるんだったらいい。ああ、そうか、連絡がとれないからね。でも世代を超え ないという程度の期限は必要だと思いますけれども、死亡によって廃棄される必要性は ないけど、 100年後に使われることはやはりいけないんじゃないかと思いますけど。 ○田中委員 そうですね。 ○辰巳委員 5年ぐらいが。 ○田中委員  5年か10年。 ○吉村委員  3番目の文章は生きているわけでしょう。両者の合意により、余剰胚を提供できるべ し。ですから、それは何年だっていいわけです、両者の合意が得られれば。 ○辰巳委員  だから期限を設定した方がいい。 ○石井(美)委員  というのが、丸山先生の、配偶子を 100年。 ○丸山委員 100 年も残しておいてはまずい。 ○吉村委員 生殖年齢を超えないというのもちょっとかわいそうな気がします。胚が少ないから、 5年ごとに更新することができる、でいいじゃないですか、その合意は。 ○田中委員  そうですね。更新するという余地を残して5年ぐらいでいいかもしれませんね。 ○辰巳委員  何に対して更新するんですか。 ○吉村委員  胚の提供。 ○石井(美)委員  提供者にもう一度連絡をとるんですか。 ○吉村委員  うん。 ○辰巳委員  また、連絡とるんですか。 ○吉村委員  それは大変ですか。 ○辰巳委員  とれるかどうかわからない。 ○吉村委員  とれるかどうかわからない。 ○丸山委員  5年ぐらい、5年以上使いたいですか。 ○辰巳委員  5年ぐらいで私はいいと思うんですが。 ○田中委員  なかなか提供胚ってないと思うんですね。くれる人は。だから、長く置いておきたい と思いますね、多分。 ○辰巳委員  すぐなくなる。 ○加藤委員  いくら置いても危険はないんですか。 ○田中委員  ありません。管理体制がしっかりしていれば。 ○吉村委員  まずないでしょうね。5年でも私はいいですけど、できる限り、こういうのは長く、 もし、そういうことをやりたいという人がいれば。やるとなったら、5年まで保存して おかなくてもちゃんと使い切っちゃうと思いますけれどもね。そんなに余剰卵はないで すからね。 ○矢内原委員  5年たって、更新制度を残した場合に、更新するときに、提供した夫婦にもう一遍確 認をとらなければいけないんですか。 ○丸山委員  それがまさに更新という意味。 ○吉村委員  それが更新という意味ですね。 ○矢内原委員  ですね。そうすると……。 ○石井(美)委員  その必要性があるかというのを。 ○矢内原委員  その必要性は、私は、もう一回あげてしまったものだから……。 ○田中委員  そうですね。 ○吉村委員  でも5年たったら嫌と言うかもしれないですよ。 ○石井(美)委員  それはでも。 ○加藤委員  生きていることを確認できますね、提供者が。 ○石井(美)委員  確認できない限りは更新できないということですね。 ○丸山委員  配偶子の処分のこの理念に反しますでしょう。 ○加藤委員  こういう書き方をすると、私は5年でも10年でも永久にどうぞ構いませんというふう な形で提供することはできないという形になるんですね。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○加藤委員  必ず5年たってからもう一遍更新するという手続をとらなければならない。 ○高橋委員  そうですね。限定付きの提供。 ○石井(ト)委員  結局善意で余剰胚を提供するわけですから、それなのに負担かかりますよね、今のや る分ですと。 ○中谷委員長  5年後に住所、氏名は大丈夫なんですか。 ○辰巳委員  1年でもわからなくなる人もいます。 ○吉村委員  3カ月でわからなくなる人もいる。 ○中谷委員長  そうすると、5年経過後に継続するかどうかの確認はほとんどできない。 ○吉村委員  できない可能性の方が高いですね。 ○中谷委員長  高いですね。 ○田中委員  そうですね。                             ○丸山委員  よくわかりません。提供者は夫婦の希望次第にしてよいものかもしれないですね。 ○加藤委員  実際問題として5年以上保存するということは事実上あり得ないとすると、5年と決 めようと10年と決めようとそんなに関係ないわけですね。 ○吉村委員  このままでいけば、何年でもできるわけですね。だから、このままの文章がやっぱり いいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  提供する人にとっては永遠に残っているということは嫌だと思うかもしれませんね。 使われなかったら、一定期間で廃棄された方が。 ○田中委員  そうですね。 ○丸山委員  そういう人が非常に多ければ制度化したらいいんですね、踏み込めば。 ○石井(ト)委員  「提供した胚は、使用前であればいずれか1人の申し出があれば廃棄できる」というと ころ、そこは生きるんじゃないですか。ですから、永遠に永久保存じゃなくて、期間に 関係なく、そこでノーと言いたければという項目がありますから。 ○矢内原委員  返せ、戻せはいいんですか。 ○吉村委員  はい? ○矢内原委員  一回提供しますね、胚を。心変わりして、それも自分の子どもがもう一人欲しいとか というときに、戻せということはどこにも書いてない。 ○吉村委員  でも、「提供した胚は、使用前であればいずれか1人の申し出があれば廃棄できる」 と書いてある。 ○矢内原委員  廃棄はできるけれども、再使用。 ○吉村委員  再使用の余地も残しておいた方がいいのかな。 ○田中委員  廃棄と同時に、最初言った契約を廃棄できるといいますか、あげますよという契約を 無効にできると。 ○吉村委員  その方がいいかもしれないですね。 ○加藤委員  自分で使いたいという場合もあるわけでしょう。 ○矢内原委員  そういうこともあり得ます。 ○田中委員  そうですね。お子さんが途中病気になって亡くなったという経験がありますからね。 ○矢内原委員  この場合、提供した人の所有権というのは、保存してある限りはその夫婦のものだと いうことがベースなんですね、この考え方は。 ○石井(美)委員  そうではないと思うのです。両者の合意がないと提供できないから、心変わりして、 片方が嫌だと言ったら廃棄しましょうというので、戻せるという話とは別だと思います けれども。 ○吉村委員  この趣旨は違うんです、別なんです。 ○矢内原委員  提供した胚の所有権はどこにあるかです。 ○石井(美)委員 所有権を認めるかどうかは別として、提供した段階で権利がなくなるのだと思います けれども。 ○矢内原委員  それが本当でしょうね、寄付したものは。 ○石井(美)委員  そうした方がいいだろうとは思います。 ○加藤委員  提供された胚というのはどこで保存するんですか。慶應大学で提供されたら慶應大学 に保存しておくんですか。 ○吉村委員  これはまだその先があるので何とも言えないんですけど、多分そうなるんでしょう ね。もし、うちがこういうことをやるとなったら、やるということが認可されれば。 ○加藤委員  田中先生のところで胚が欲しいんだけど、慶應に一つ余っているのだったらば、移植 コーディネーターみたいにして、全国利用共同ネットワークみたいな形になるのでしょ うか。 ○吉村委員  そういうようなことも考えているんです。 ○田中委員  移植のネットワークですよね。まさしく我々がやっていることを、移植の一分野とす るならば、一番いい方法はそれだと思いますね。要するに日赤の輸血みたいに、そうい う施設があって、精子も卵子も受精卵も全部一括で統合してくれれば、本当は一番いい と思います。そうすれば、凍結の技術だとか施設間の差がなくなりますね。実際には各 施設間での胚の凍結の技術差は想像以上でしょう。ある施設は凍結が逆に進んでない施 設もある。やめなさい、かえってよくないですよというところもありますし、凍結に自 信があれば、凍結しなさいということがありますから、今のところは各施設間でやって いるしかないんですけれども、本当はそれが一番いいのですが、ただ、実現は難しいで しょうね。 ○辰巳委員  凍結する方法、解凍する方法は施設によって全然違いますから、戻すときに違う方法 で戻したらうまく戻らないとかいろんなことがあるんじゃないかと。 ○吉村委員  それはありますね。 ○辰巳委員  同じ施設でためておいて同じ施設で戻す、という形でないと現実では無理ではない か。 ○田中委員  溶かして戻すというふうに。 ○矢内原委員  辰巳先生のところは胚を凍結して置いてありますね。それに保険はかけていますか。 ○辰巳委員  一応最初に紙を渡しまして、何らかの事故とか天災とか、そういうふうなことで胚が 使えなくなっても、こちらでは責任持てません、そういうふうな承諾書をとっておきま す。 ○矢内原委員  仮にさぼって、何とか窒素の供給をやめてしまって、先生の管理の不十分でだめにな ったような場合には、それでも先生方の責任はないというような一札をとっているんで すか。 ○辰巳委員  そういうふうな書き方をしておりますけれども。 ○田中委員  実際やってみて、おっしゃることがあると思うんですね。2通りあるんですね。 ○矢内原委員  病気になってしまったとか。 ○田中委員  一つは胚は液体窒素に入れているんですけど、この液体窒素の消費は物すごい早いの です。ですからタンクにいろんな工夫がしてあって、ある一定量減るとブザーが鳴るア ラーム付のタンクがあるんですよ。これを使っていれば安全なのですけど、普通のとこ ろは大体重さではかったり、大体5日に一遍というふうにやっていると、気がついたら 半分ぐらい無くなっていて胚がだめになったということが実際あるんです。それは管理 上の問題と、もう一つは凍結・融解のテクニックですね。やっぱり上手い、下手が出ま す。 ○加藤委員  マグロと同じですね。 ○田中委員  マグロの凍結ですか。ああ、そうですか。習熟した人が行うときと、未熟な人がやる のとでは結果に差が出ます。マグロの差以上だと思いますね。すごく差が出ますから、 凍結に関しては、患者さんには慎重に言います。決して 100%は戻らないということは 一応言っておきますね。絶対大丈夫というのを言うと、自分の首を締めちゃいます。ま た、液体窒素のタンクはある一定の温度の部屋に置いておかないと液体窒素の蒸気が充 満して危ないですから、常に換気しなければいけないとかそういうことがありますよ ね。だから、どこでもできるというものではないと思います。 ○中谷委員長 よろしゅうございますか、今までのところ。いろんな問題がだんだんに浮き彫りにな ってきまして、まさに規制方法、条件整備がどうあるべきかということにつながってく ると思いますので、2の規制方法……。 ○小林主査  今の胚の処分のところなんですが、(5)の「胚の処分」の一番最後に、また、両者 の合意により提供した余剰胚の返還を求めることができるとか、そういうふうな文言を 入れることなんでしょうか。 ○石井(美)委員  私は入れない方がよいと思いますが。 ○小林主査  入れなくても……。 ○辰巳委員  それも提供胚みたいなものですので、プライオリティーがもとの人にあるというふう な感じでとらえたらいいので、何も書かなくていいんじゃないか。 ○加藤委員  石井さんは、取戻しはできないというのはどういうわけ。 ○矢内原委員  それはドネーションしてしまったんだから、もう権利は放棄と。 ○石井(美)委員  慎重に考えた上で提供をする。そのような不安定な意思で提供してもらっては困る。 ○加藤委員  さっき田中さんがおっしゃったように、子どもを産んでみたけど、産んだ子どもは亡 くなっちゃったと。やっぱり提供した胚を使えばまた子どもができるというのはそれは 合理的な理由で、別に余り出来心でどうのこうのという、同情に値する理由じゃないで すか。 ○丸山委員  提供胚が既に子どもになっていたら取り戻せないんですよね。まだ、胚で凍結受精卵 だったら取り戻せるというのはちょっと不安定じゃないですか。やっぱり提供した段階 で胚の所有権というか、管理権は医療機関に移った、バンクに移ったというふうに処理 する方が……。 ○吉村委員  それは先生、法律的にそんなこと言えるんですか。非常に難しい。 ○田中委員  実際のことでそういうことはあります。お子さんが亡くなって、だから卵管を縛った 人や精管を縛った人がもう一回つくりたい、同じことですよね。 ○吉村委員  そういうことですよ。 ○田中委員  あるんだったら使いたいというのが人情でしょうね。 ○丸山委員  匿名なんですよね、提供……。 ○加藤委員  もう一つ、提供というのが、これがあたかも一つの所有物として考えられていて、提 供した以上は、提供を受けた側のものになっているというふうに考えるのか、胚という のは、たとえ提供するといっても、それは所有権が移転するという意味ではなくて、あ くまで生命の原型だから、だれのものでもないという考え方で、所有権の移転ではない というふうに考えるのかという問題がありますよね。 ○石井(美)委員  所有権の移転ではないです。 ○加藤委員  だから、取戻しできないというと、これは所有権として考えているのではないかとい う感じもするわけね。 ○吉村委員  そうですね。 ○加藤委員  あくまで生命の原型だから所有の対象ではないと考えると、提供した人が困っている のだったら戻してあげたらいいのではないかというようなこともあり得ると思うんです ね。 ○丸山委員  現実に可能であれば。 ○吉村委員  そういうことも現実に結構あると思いますよ。 ○加藤委員  だから共同利用するかどうかということもそうだけれども、提供されたものというの は、提供とはそもそも一体何なのかということはちょっとひやっとするような問題なん ですけれども。 ○中谷委員長  法律的な解釈論としてはいろんな可能性が出てきた問題はありますよね。検討してみ ないといけないことで。 ○矢内原委員  そのある夫婦が胚をつくりますね。「その所有権」という言葉を使ってはいけないん ですか。それは構わないんでしょう。それは夫婦にあるわけですよね。 ○加藤委員  よくわからないけれども、仮に使うとしますよね、決定権とかね。 ○矢内原委員  もというものに対しては、「所有権」という言葉を使ってはいけないんですか。例え ば、ある夫婦が離婚して、子どもがどっち行くか、「子どもの所有権」という言葉を使 ってますでしょう。 ○石井(美)委員  いいえ。 ○矢内原委員  使わないですか。養育権ですか。 ○中谷委員長  一番最初のころに、アメリカで問題になったんですよね。受精卵を何とかしようとい うことでやっていたところが、そういうのはけしからんといって、同じクリニックのお 医者さんが流してしまっちゃったんですね。そのときに問題になりまして、訴訟になっ たんですよね。 ○吉村委員  それは両親が所有権があるからということを訴えたからじゃないですか。 ○中谷委員長  もしあれだったら、自分のところの受精卵をあれしてやれば、世界で初めての体外受 精児の親になれたとのにというので、訴訟を起こしたんですよね。それは、たくさんの 損害賠償のあれではないけれども、妻に対しては、20万か30万かですか、3万ドルとい ったら。夫に対しては 100ドルかなんかの、そういう非常におもしろい判決が出まし て、そういうこともありまして、法律論はまだまだここのところでは……。 ○矢内原委員 法律的には胚は所有ですか。 ○石井(美)委員 所有権の対象になるかどうかということについては言えないと思います。 ○矢内原委員 所有権というのは……。 ○丸山委員 自由に好きなように所有者が処分などをできるものであれば物として所有権の対象に なるということができるんですけど、胚の場合は自由に好き勝手に両親が処分していい ものでもないでしょうね。 ○中谷委員長 そういうことです。 ○矢内原委員 まだ不確かなんですね、法律的には。 ○中谷委員長 その辺に落ちている砂とか石ころでもないということなんですよね。 ○丸山委員 提供された受精卵について、ES細胞の場合は、提供の撤回をアイデンティファイで きる限りは認めてましたね。それをアナロジーでやると。 ○加藤委員  あの場合も、連結可能匿名性の中にそういうシステムがあって、それで取り消しでき るという。 ○丸山委員  連結可能な限りはできる。だからこの場合に……。 ○加藤委員  私、この間も発言したけれども、アメリカでは、自由に財産としてお金を使って処分 していいという形で細胞を売っている人がいるわけですよね。だから、アメリカ側で使 っている組織は商品化されているんですよ。日本では無償原則で商品化されていないん ですよ。それで共同研究を実際やっているんですよね。 ○田中委員  種は何ですか、人間ですか。 ○加藤委員  人間。 ○吉村委員  ジエロン社がやってます。 ○田中委員  そうですか。 ○丸山委員  そうなると提供の撤回を認めてもいいのかなと思いますね。 ○加藤委員  例えば、無償原則についても、無償というのは、結局提供されたものを財産権の対象 としては考えていないんだと。だから、あくまで法の、自発的に提供するということで あって、それを商品化しているわけではないという考え方に基づくと、例えばネット ワークでもってそれを配分するという場合でも、それはあくまでいただいたお預かり品 かもしれない、授かり物かもしれないけれども、それを売買したりなんかする対象にな らないという別枠になると思うんですよね。  ただ、実際にES細胞だとか、例えば手術で切り取ったあらゆる臓器の破片なんかが 全部凍結保存されています。血液もそうですし、アメリカでは商品化された実験用細胞 というのもありますしね。だから、日本はどうするかという問題があるわけですね。 ○丸山委員  商品化されるということになれば、もう撤回は不可能という方にいきますね。 ○加藤委員  だから、この場合にはむしろ撤回可能という形にしておいて、一応まだ商品化されて いるようなものではないと。あくまで一人の人間が生まれる可能性を持っているものを 商品化してはいけない。そういう考え方にした方が安全なんじゃないでしょうか。 ○高橋委員  そのとき提供した卵の保存にも費用がかかりますよ。例えば5年とか3年、保存の費 用はそちらで持ってください。5年後に、自分は心が変わりましたので戻してもらう、 そういうことは恐らく現実にはないでしょうけど。 ○加藤委員  その場合には費用は負担するんですよね。キャンセル手数料を。 ○高橋委員  期限をつくらなかったら、目的のないままいつまでも医療施設は費用を出して保存し ないと思います。 ○中谷委員長  それは使用するときは、医療費として請求はできるわけでしょう、それを含めて。 ○加藤委員  余り長く保存しておいてもらったら、もう一遍撤回して、自分で使おうと思ったら高 くつくと。 ○吉村委員  そうですね。 ○加藤委員  そうなりますよね。じゃあ、もう一遍やり直そうかとか。 ○田中委員  そうなると保存期間を決めておいた方がいいですね。何年かという。 ○中谷委員長  それを考えても、保存期間は1年でよろしいんですか。 ○田中委員  1年は短いですね。5年か10年ぐらいじゃないですか。 ○丸山委員  (5)の「胚の処分」の「〜提供した胚は、使用前であれば〜」というところの文章 は、「提供胚の保存期間は5年か10年とする。提供した胚は、使用前であれば、配偶子 の由来する両者の合意により提供を撤回でき、また、いずれか一方の申し出があれば廃 棄できる」。廃棄は一方で構わない。戻してもらうのは両方、というふうな文章です か。 ○吉村委員  それでいいんじゃないですか。 ○中谷委員長  はい、おかげさまでまとまりましたね。 ○母子保健課長  もう一回言っていただけますか、メモをとらせますので。 ○丸山委員  「提供胚の保存期間は5年か10年とする。提供した胚は、使用前であれば、配偶子の 由来する両者の合意により提供を撤回でき、また、いずれか一人の申し出があれば廃棄 できる」。 ○矢内原委員  胚を所有するというのは、物に対して言うんですか。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢内原委員  胚は物とみてませんよね。それを所有するという言葉はおかしいんですね。 ○加藤委員  実際問題として、ES細胞の方はたしか余剰胚を使うということになっているんです よね。そうするとES細胞の方と両方とも余剰胚の奪い合いになりますよね。提供され たものを、どちらが管理権を持っているかとか、そういうようなことは問題になるんで すよね。 ○吉村委員  なります。 ○加藤委員  実際日本では不妊治療の方で、余剰胚を全部使ってしまって、いわゆるES細胞の実 験に回される例が一つもないとすると、今度アメリカから買ってくるという形になりま すね、ES細胞の方はね。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  やっぱり体制をつくるためには国家的な機関をどうしてもつくらなければいけないと いうことになるわけですね。 ○田中委員  インターネットで買えますね。今、外国の株も簡単に買えますからね。そういう可能 性は出てきますよね。 ○丸山委員  ES細胞をつくるために「受精卵を壊す」というのが、提供したくなくなる背景にな るんじゃないですか。受精卵を壊して、ES細胞をとり出すというあたり。 ○小林主査  最後にもう一度なんですが、(5)の胚の処分の一番最後、残った一文なんですけれ ども、最初から読みますと、「両者の合意により、余剰胚を提供することができる。提 供した胚は〜」 ○丸山委員  「提供胚の保存期間は〜」 ○小林主査  「〜の保存期間は5年とする」。 ○丸山委員  あるいは「10年」とする。 ○小林主査  5年か10年とする。 ○丸山委員  どっちかなんですね。 ○小林主査  次に「提供した胚は、使用前であれば、配偶子の由来する両者の合意により、提供の 撤回ができ、いずれか一人の申し出があれば廃棄できる」ということですね。 ○田中委員  吉村先生、アメリカではES細胞での不妊治療は認められているんですか。 ○吉村委員  認められてはいないです。 ○田中委員  まだだめなんですか。 ○吉村委員  まだそこまでいってないです。 ○田中委員  いってないですね。 ○吉村委員  いってないです。だから、今、細胞レベルで言われているのは、血液と肝臓と骨ぐら いですかね。不妊までは全然まだいってないです。  臓器移植なんていうことを言っていますけど、まだ臓器を形成するところまでは全然 いってませんので、まだ20年ぐらいかかると思いますよ。でも、あれはジエロン社とい う会社がパテントを持ってますから、政府がそれに対して、これ以上はつくるなという ような答申をアメリカは出しているみたいですね。ジョーンズホプキンスのグループと ウイスコン州のグループが両方やったんですけど、ウイスコン州のグループがESを作 製しました。ジョーンズホプキンスのグループは中絶胎児から作ったのです。  今、日本の科技庁の方針ではESでいこうと、中絶胎児は使わないでおこうというス タンスみたいですから。 ○中谷委員長  中絶胎児を使えば、卵の提供はほとんど問題なく解決しますでしょう。 ○吉村委員  ちょっとそこまではいってないんじゃないですか。まだ10年以上かかると思いますけ ど、卵を成熟させることが大変ですから、なかなかちょっと難しいと思います。同じぐ らい時間かかると思います。 ○中谷委員長  イギリスは大分前にそれをやって、意見を公募しまして、それで結局やめましたけ ど。研究はいいけれども、臨床応用はだめだという結論でした。  それでは、以上のところまではよろしゅうございますか、事務局の方も、御確認いた だきましたしょうか。 ○小林主査  はい。 ○中谷委員長  それでは、いよいよ規制方法及び条件整備についてに入りたいと思います。(1)の 「規制方法」について、ワーキンググループの先生。 ○吉村委員  これは石井先生ですね。 ○中谷委員長  石井委員だそうです。 ○吉村委員  規制方法です。 ○中谷委員長  これは一応御意見はまとまったんですね。案1、案2、案3というのが出てこないで すから。 ○吉村委員  これは皆さんの意見が。 ○辰巳委員  アメリカに、卵子提供とか借り腹のために行きたいんだけれども、血液検査だけして くださいといって来る人がいます。向こうから頼まれて、これだけのデータをそろえて アメリカに来なさいといって、そのデータを日本の方でしてもらいなさいといってよく 来られるんですけれども、そういうふうなこともしてはいけないということ。 ○吉村委員  これはそうなります。石井先生、そうですね。 ○中谷委員長  仮に禁止規定があったとしても違反があるのは、当然それを予定してはいるでしょう けれども。 ○矢内原委員  例えば幾つぐらいの検査を言われますか、感染症の検査とか、ドナトロピンの値とか ……。 ○辰巳委員  いや、そういうのではなくて、ゴナトロピンの値とエストラジオールの値、そういう ふうなこと。 ○矢内原委員  その目的だと知らなければいいわけですね。 ○辰巳委員  知らなければいいわけです。 ○矢内原委員  だから聞かなかったといえばいいね。 ○高橋委員  抜け道はありますよ。 ○矢内原委員  どっちにしても、そういうものの検査と言われたらやりますでしょう、普通。それは 斡旋には私はならないと思います。 ○辰巳委員  よく来られるので。実際そういう患者さんがみえる施設は随分多いと思うので。そこ で皆さん、罰則になったら困るなと思うんですけど。 ○吉村委員  本当の意味では罰則なんですよ。 ○辰巳委員  そうでしょうね。 ○田中委員  もっと治療に近い話をしますと、子宮がないので産んでもらいたい。ただ、卵巣はあ るので夫婦の受精卵はできます。それを子宮の中で宿して産む。そこだけアメリカでし たい場合、受精卵を空輸するという方法があります。日本で御夫婦の精子、卵子でつく った胚を空輸して、これは実際、私、経験あるんです。まだ日はそんなにたってないん ですけど、それも禁止になりますね。もっと治療に近くなりますけど。 ○中谷委員長  どのくらいもつんですか、輸送期間、時間的に。 ○田中委員  結構長いんです。 ○石井(美)委員  空輸できますとおっしゃいますが、本人に戻せないということがわかっていてそれを そもそも行うべきではないという考え方をとっているのだと思います。 ○田中委員  だから最終的に戻すところは外国でするわけですね、日本でできなければ。ただ、ア メリカに行くとお金が高いですし、何度も行けないということがあるので、胚にするま では日本でして、空輸して向こうでやると。それはどうでしょうか。 ○吉村委員  これは先生、禁止。 ○田中委員  これも禁止ですか。そっちが禁止なら当然禁止ですね。 ○高橋委員  空輸しないで、本人が私に下さいといって持ち帰った場合はどうなりますか。 ○矢内原委員  それは胚だけをつくる目的の行為はだめなんです。 ○田中委員  でも、子宮……。 ○高橋委員  所有権はその両親にあるわけでしょう。 ○石井(美)委員  そもそもその人の子宮に戻せないのに胚をつくること自体がしてはならないこととい うことです。 ○田中委員  そうなんですか。 ○矢内原委員  提供用にいってもだめですか。 ○丸山委員  そうですか。 ○石井(美)委員  余剰胚ですから、提供のためにはつくってはいけないということです。 ○吉村委員  丸山先生、そうですかというのはおかしいですよ。それはなぜかというと、我々のス タンスは代理母も禁止しているんですから。 ○中谷委員長  そういう場合、代理母の例外として認められないかということはあり得ませんね。そ れ以外に方法がないと。 ○矢内原委員  遺伝的にはそれが一番欲するんですよね。 ○田中委員  出てくる子は両親のDNAを持ってますからね。遺伝的な両親ですね。 ○中谷委員長  そうなんですね。 ○丸山委員  代理母というのはそうやってできた胚を代理母になる人に移植すること、あるいはそ のための契約が代理母じゃないんですか、代理母の実行行為というのはそういうもので はないのですか。 ○吉村委員  そうです。 ○丸山委員  そこに至ってないですよね。 ○田中委員  そうです。 ○石井(美)委員  その人の子宮に戻せないのに、何のために胚をつくるのですか。医師としてすべきで はないのではないですか。 ○丸山委員  それはすべきではないとは言えるけど、刑罰の対象とまでは……。 ○加藤委員  刑罰の場合だと普通は区別しますよね。 ○丸山委員  実行行為に入るのですか。 ○石井(美)委員  幇助にはなる。 ○加藤委員  幇助になったり、準備罪になったりするけれども、実行行為者とは同じには扱われな いですね。 ○丸山委員  刑法の先生がいらっしゃるのですが・・・・・・。 ○石井(美)委員  要するにそういう営利行為に医師は加担すべきではないという・・・・・・。 ○田中委員  営利行為ではないと思いますけれどもね。 ○中谷委員長  でも、それは代理母はやっぱり……。 ○中谷委員長  代理母は費用はもらいますよね。 ○田中委員  日本でやった場合ですか。 ○中谷委員長  ええ、どこにしても。 ○石井(美)委員  外国でやることまでは禁じ得ないということは確かですが……。 ○吉村委員  それも一生懸命話したんです。 ○石井(美)委員  ええ。 ○吉村委員  外国へ行く人はどうするんだということが一番ここで問題になったんです。ただ、 ワーキンググループのスタンスは代理母は人を専ら生殖の手段として使っているんだ と。第三者に産ませるなんていうのは、専ら生殖の手段として使っているので、代理母 は禁止しましょうという一応のコンセンサスが5人の中で得られたわけです。ですから こういう話になった。  となると、先生の今おっしゃったような行為は、結局代理母を推奨しているというこ とになるわけです。 ○田中委員  そうですね。 ○加藤委員  でも、それは普通は同じに罰するということはできないと思いますね。 ○石井(美)委員  同じには罰せられないですけれども……。 ○加藤委員  ですから、自殺した人がいたら、薬屋さんは自殺幇助にはならない。例えば、先生の 行為は好ましくないかもしれないけれども、それは禁止の対象になるかどうかもちょっ と危ないところではないでしょうかね。つまり、一つの例えば代理母という行為がある といろんなプロセスがあるわけですね。本当の禁止というのは、実際に子宮に戻す行為 を禁止の対象としていて、それ以外の行為も全部同じに扱うということは普通は考えら れないと思いますね。 ○吉村委員  なるほど。 ○石井(美)委員  同じには扱わないけれども、医師が関与すべきではないと思っているので……。 ○加藤委員  そんなに、だけど厳しく代理母を取り締まる必要あるのかな。私は今、空輸の例を聞 いたけれども、空輸したっていいんじゃないかという気がしますけれどもね。 ○石井(美)委員  なぜ外国でやってよいのを日本でやってはいけないのだという話になりますね、そう したら。 ○加藤委員  そうですね。 ○石井(美)委員  反倫理的な行為で許されないとすれば、外国でも本当は望ましくはないけれども、外 国のことを禁止できないからそれは禁止しない、そういうことではないのですか。 ○中谷委員長  アメリカでも、そういう法の規定を持っている州法というのは、全部の州がそうじゃ ないわけですね。 ○田中委員  ちょっといいですか、先生。私は先生の意見に反対ですね。その夫婦が子どもが欲し くて、こういう治療ができて子どもができるのであればできる限り協力してあげたい。 ただ、日本では子どもを産むところまでは現実問題できない。法律的な問題も何も整備 されてない。だから、アメリカの州によってできる州は、そこで成績のいいそういう施 設があるならばそうしてあげたいと思うのは間違ってないような気がしますけれども ね。  例えば心臓移植が日本でまだ認められないとき、外国にたくさんの方が行きましたよ ね。そのときに、手術がうまくいくように協力した医師はおられたわけでしょう。 ○加藤委員  送り出した医者は……。 ○田中委員  送り出した医者はやっぱり……。 ○石井(美)委員  心臓移植は禁止されていたわけではないですよね、日本で。 ○田中委員  心臓移植は禁止されていたんじゃないのですか。 ○石井(美)委員  いいえ、禁止はされていません。 ○田中委員  死体移植はできなかったんじゃないですか。 ○石井(美)委員  それは殺人になるかどうかという問題はありましたけれども。 ○田中委員  判定が難しかったんでしょう。実際は禁止ですよね。できなかったんでしょう。 ○石井(美)委員  代理母はできない……。 ○田中委員  だから決めてもらっていいんですよ。だめならだめでいいんですよ、はっきり言って もらってね。 ○丸山委員  だめならだめとはっきり書きましょう。 ○石井(美)委員  そういうことですね。 ○吉村委員  ただ、先生、世界でも商業主義的な代理母というのはアメリカだけですよね。それは 先生、やはり一人産んでもらうと、今、大体3万ドルですよね。 ○田中委員   300万。 ○吉村委員 300 万。そういうようなことを考えると、イギリスみたいに、例えば妹に産んでもら うとか、母親に産んでもらうとか、それはいろんな問題があるにしても、やっぱりその 辺はどこかで何らかの線を引かなければなりません。代理母までいいとなると、斡旋し た人が、そこまで行為をした人が、同じ罰則かどうかわからないけれども、代理母をど うするかというスタンスでこれは決まってくると思うんですね。刑罰に触れるという か、そういうふうになり得るという可能性は、私は残しておいた方がいいという感じが しますけれどもね。 ○辰巳委員 営利でなければいいんですか。 ○吉村委員 いや、我々の場合は代理母はだめと。 ○辰巳委員 「営利の」と付いている「代理懐胎の斡旋を行った者」。 ○吉村委員 これは斡旋だから、アメリカへ行くために、例えばマージンを取るわけですね。 ○辰巳委員 営利じゃなければいいと。向こうでお金を取らないところがあって、何とかしてあげ ようということで……。 ○中谷委員長 そういうのはない。 ○辰巳委員 そういうことができたときは、そこはいいんでしょうか。 ○吉村委員 そこまでは考えませんでした。 ○中谷委員長 法律で許容することは恐らくできないだろうと思いますから、禁止は禁止でしょう。 禁止するということは全然できないということではなくて、禁止に反する行為というの はいくらでもあり得るわけですから、それはまた別論なんですよね。それの評価はまた 別に考えて。 ○辰巳委員 イギリスに行ってするのはいい。営利の代理懐胎あるいは代理懐胎そのものはだめと いうのではないんでしょうか。 ○中谷委員長 イギリスは契約そのものは、商業主義的な営利のものはだめだけれども、そうでない ものは、契約そのものは有効なんですよね。それによって子どもが生まれますでしょ う。子どもは要するに産んだ人が母親というのが原則ですから、そうなりますから、養 子縁組かなんかするのかと思うと、そうではなくて裁判所に申し立てますと、依頼夫婦 が出まして、そして二人の間の嫡出子として判決で、決定で決まるんですよ。唄先生に 言わせるとウルトラCだと言うんですけど、日本では恐らくそういう形で公開はしない にしても、法廷で親子関係を決めてもらう、そういう感覚は日本はないですから、日本 には、そういう規定は持ち込めないと思いますけれども、1990年のイギリスの法律は、 90年11月1日に公布されて7日から施行されましたけど、その規定だけは4年後に初め て発効して、それで実際に……。 ○加藤委員  それは実際問題として、遺伝学上の両親である場合には嫡出子として認めるという判 断が使えるようにするということなんでしょうか。 ○中谷委員長  そういうことなんでしょうね。 ○吉村委員  辰巳先生の質問あったので、石井先生、これは代理懐胎の場合は「営利」もやめるん ですかね。 ○石井(美)委員  私は「営利で代理懐胎の斡旋を行った者」と思っていたんですけれども。 ○丸山委員  代理懐胎自体も認めてないんですよね。 ○石井(美)委員  ええ。 ○丸山委員  その前の行のは、これは配偶子、胚の保存等は、これは営利でなければできるんです よね。 ○石井(美)委員  はい。 ○吉村委員  できるかどうかわからないです、まだ。 ○丸山委員  可能性のあるものとして。ありましたですね。 ○中谷委員長  その場合、問題なのは、引き受けた方の代理母がお金をもらうとか何とかではなく て、それに斡旋する方の……。 ○石井(美)委員  要するに外国に営利で斡旋する、そういう斡旋業を認めないという趣旨です。 ○田中委員  だから斡旋業という、何かそういう専門のちょっといかがわしいようなアウトローの 人間がやっているように聞こえますけれども、逆なんですよね。 ○石井(美)委員  今、現にありますよね。 ○田中委員  いや、ありませんよ。そんなところないですよ。 ○吉村委員  ○○さんのところ。 ○石井(美)委員  インターネット等でもありますね。 ○田中委員  先生が言っているのは、○○さんのことを言っているんですか。 ○吉村委員  そうですよ。ああいうことを言っているんですよ。 ○田中委員  ああ、そうか。 ○石井(美)委員  ○○さんがいかがわしいかどうか……。 ○吉村委員  わかりやすく言えば。 ○田中委員  ああ。そうすると胚を空輸するというのも、これも斡旋業になると思うんですけれど も。 ○石井(ト)委員  それを職業としていることだから、意味が全然違うんじゃないですか。 ○高橋委員  もし空輸しないで、自分でアメリカに持っていって、向こうの病院に依頼した場合、 黙って行ったらわからないのでは。 ○吉村委員  それはどうなんですか。さっき言ったように、イギリスでボランティアベースでやっ ている人がいると。商業主義的代理母はイギリスでは一般的に認められてないわけです から、普通の代理母、ボランティアベースの代理母に関してはどうなるんですか。 ○中谷委員長  この契約それ自体は有効なんですよ。 ○石井(美)委員  斡旋自体を……。 ○中谷委員長  イギリス。 ○石井(美)委員  日本でも。 ○吉村委員  それはいいわけですか。 ○石井(美)委員  イギリスでも問題になっているようです。本当に無償かどうかが。 ○吉村委員  そうです。辰巳先生の質問。 ○辰巳委員  「商業主義を排除する」のか、あるいは「人を専ら生殖の手段として扱ってはならな い」のか、どちらがメインなのかということ。 ○吉村委員  ですから、代理懐胎に関しては、「営利」を除けばすっきりするわけです。 だけど、そうじゃないという意見もあるかもしれないし。 ○石井(美)委員  代理懐胎を認めないということはどこかにあるはずです。 ○吉村委員  ありますよ。 ○母子保健課長  これの3ページで、Bの(2)の5)ですね。「代理懐胎」ということで。 ○加藤委員  代理懐胎を認めないというのは、刑法の概念としては相当難しいんじゃないかと思い ますね。刑法の対象とするのはね。だから、ほとんど前例のない規制対象になると思う んですよ。ですから代理懐胎について、日本の国内の世論が成熟していないとか、ある いはかなり重大な異論が考えられるとか、アメリカの実際の実例について、個別的に見 てかなりいろいろな精神的な障害のおそれがあるとかということが禁止の理由になると 思うんですけど、それは、いきなりそれをすぐストレートに刑法上の処罰対象にできる というほどはっきりとした論拠はないと思うんですね。  ですから、この委員会で代理懐胎はいけないという判断を出したにしても、非常に厳 しい刑法上の処置の対象にするのは、ちょっと刑法の扱いとしてはやり過ぎではないか と思いますけれどもね。 ○中谷委員長  特別法の中で刑罰規定を設けること、それも専門的に言えば、刑法には違いないです けど、いわゆるの刑法のそれに該当する規定はありませんから。そういう意味で罰則規 定を考えなければいけないということですよね。 ○加藤委員  だから、ある程度、何かゆとりがあるというか、余り厳しくはないというところがど こかないとちょっとまずいんじゃないかと思いますけれどもね。 ○石井(美)委員  代理懐胎の斡旋を行った者は営利でなくても許されない。それでもよいかもしれませ ん。 ○矢内原委員  精神は何人であろうと、生殖の人を道具にしてはいけないという精神を生かすために は、それの幇助もいかんということですね。 ○吉村委員  逆の例を言えば、子宮のない人は産んではいかんということですよね。 ○田中委員  そういうことを言えますかね。ある意味ではファッショじゃないですか、それは。子 宮がない人は産んではいけないというのは、どうですかね。 ○矢内原委員  子宮のない人は産めないから産んじゃいけないんですけれども、産めないんですけれ ども、そういう人のときに、日本ではこれはだめなんですよ、なんて言っちゃいます ね。 ○中谷委員長  生殖補助医療とは一体何でしょうかということになりそうですね。 ○田中委員  卵子ができない人には産んじゃいけないというのと一緒ですね、子宮があって も……。 ○加藤委員  出ていますよね。卵子や精子や子宮のない人たちの団体から、代理母を認めてもらい たいという申請書かなんか出ているんじゃないですか。 ○高橋委員  この前のインターネットでは代理母の、認めろというようなものが出ていますね。で すけどインターネットに載れば、多数の意見ではないわけですからある程度の規制はし なくちゃならないけど、私は「営利」という言葉を付けておいた方が……。 ○加藤委員  子宮のない人は子どもを持つことができるようになった場合には、本来持つことがで きるようにしてあげるというのが正しいやり方だと思うんですね。ただ、代理母の場合 には、それを引き受ける人がいるということと、生まれる子どもがいるというので、例 えば、普通治療方法が確立されたけれども、そんなすごい営利主義的な治療をやるべき ではないというのとは場合が違いますからね。だから、ある意味で法律としてはパター ナリズム的な法律をつくるという形になろうと思うんですけれども、それにしては、パ ターナリズムでもって法律をつくるときには余り厳しい法律はつくれないという方が正 しいのではないかと思うんですけれどもね。 ○石井(美)委員  代理母になった人に、刑罰を科すつもりはないのです。 ○吉村委員  全くそれはないですね。 ○石井(美)委員  あくまで斡旋した人なのです。 ○吉村委員  これはみんな医療従事者なんです。医療関係者、そうですよね。 ○石井(美)委員  医療者以外でも、だから営利はいけません。 ○吉村委員  加藤先生の御意見みたいなときに、例えば、今の民法では、産んだ母親が母親ですよ ね。出産した人が母親。 ○中谷委員長  ローマ法以来そうなんです。 ○吉村委員  そうなりますと、それも母親ではないから、例えば養子縁組をしなくちゃいけないと いうことですよね。先生の御意見からすると、そういうことをもし認められるならば、 そういった法律がないとまずできないですよね。 ○加藤委員  そうですね。 ○吉村委員  基本的には。根幹にかかわる問題ですよね。代理母禁止に関してもいろんな意見があ る。 ○石井(美)委員  前回は異論はなかった。 ○加藤委員  代理母を勧める会の人が来て、代理母をもう薦める気がないとここで言ったわけでし ょう。それでは、何もそんなことだったならこっちが薦めてやることはないじゃないか という気になったんですけれどもね。 ○中谷委員長  基本的にはそれでいいということじゃないですか。例外的な場合はどうするかという ことで。 ○田中委員  具体的にさっき言ったように、胚にして空輸して、向こうでその先の治療をされるわ けで、私はこの行為を斡旋とは思わないんですけど、単に手助けしているという気持ち でいるんですけれども、そういうものも含まれるかどうかはっきりしてもらわないと、 非常に少ないですがそういう話はあるんですよ。ただ、莫大なお金がかかるので、ほと んどは渡米しませんけれども、お金に余裕のある人はやっぱり行こうかという気になり ますよね。 ○吉村委員  やっぱりお金持ちですよ。 ○田中委員  すごい莫大な金です。 ○吉村委員 1,000 万以上かかるでしょう、向こうでやって。 ○田中委員 それは事実ですね。弁護士への費用が一番高いようですね。実際支払われる金額は、 エージェントと弁護士ですね。実際に移植を行う医者は、それほどお金は取ってないで すね。 ○石井(美)委員 お医者さんも取っていると思います。代理母自身はそんなにお金は取ってなくて、周 りがお金をもらっているのだと思います。 ○田中委員 そんな気がしますね。実際には少ないと思いますけれども。 ○加藤委員 代理母は3万ドルで、お医者さん自身は幾らぐらい。 ○吉村委員  3万ドル払うんですよね。 ○加藤委員  代理母が3万ドルだとして、お医者さんは幾らぐらい。 ○吉村委員  それは知りませんね。それは60万とか70万とか80万とか、そういう普通の体外受精の お金じゃないですか。 ○田中委員  私の経験で調べた範囲内では、大体 1,000万です。。1年契約です。有効期間は1年 間、そのかわり何回でもいいですと。それで代理母本人に支払われる分は 300万より少 ないと思います。私が聞いた人は 100万ぐらいでした。 ○中谷委員長 そうですね、私も 100万。 ○田中委員 100 万で、残りの半分が弁護士です。 ○中谷委員長 だけど、 100万のほかに、妊婦服とか産婦人科に通いますね。そういう費用はまた別 に払うんですよね。 ○田中委員 医者は病院の中にいても技術だけを担当して、話し合いとかどこで相手と会うとかの 話は全部弁護士がやるみたいですね。医者は 200万〜 300万ぐらいじゃないですか。体 外受精が1回100 万、200 万アメリカは取りますからね。そんなもので、ゼロが一つ多 いような感じがします、我々の感覚でいくと。 ○高橋委員  アメリカ人が体外受精やるときに、アメリカはプロシードの……。 ○吉村委員  使えますよ、3回までは。 ○高橋委員  使っているんでしょう。 ○吉村委員  3回まで使えます。 ○高橋委員  だからアメリカ人がやる場合はそんなにコストかからないんですよね、実際はね。 ○石井(美)委員  代理母のときも。 ○吉村委員  代理母は知りません。普通の体外受精です。 ○石井(美)委員  それは保険によると思います。 ○吉村委員  そうでしょうね。 ○中谷委員長  大分残り時間が少なくなってきましたけれども。 ○吉村委員  先生、きょうは親子関係まで行っていただけませんか、少なくとも。きょうは全然進 まなかったので。 ○中谷委員長  そうですね。親子関係まではやって、出自を知る権利を次回に延ばす。 ○吉村委員  そうですね。親子関係は余り問題ないと思うんですけど。 ○中谷委員長  そうですね。 ○小林主査  代理懐胎の斡旋の営利の部分なんですけれども、ここは「営利」と今なっております けれども、営利なのか、それとも削ってしまうのか。 ○吉村委員  これはほかの方の意見が大切。 ○高橋委員  「営利」を付けるか付けないか。 ○吉村委員  ええ。 ○高橋委員  私はこのままでいいと思います、付けた方が。 ○田中委員  例えばさっき言った胚の空輸行為も禁止になるわけですね。 ○高橋委員  営利でなければ禁止にならないのでしょう。 ○田中委員  お金を取らなければいいんですか。 ○高橋委員  現実の話として、営利とは何かという議論になりますよ。先生のところで、凍結の保 存費用とか、いろんな実際にかかった費用を医療費としていただくのであれば、医療費 は営利じゃないと思います。営利を目的とした斡旋行為には入らないと思います。先生 のお考えで営利でないと言えば営利でないでしょう。、加藤先生の持論によると罰則に も入らないようですし、あとは、倫理的にみてどうかではないかなと個人的にはそう思 います。 ○母子保健課長  こちらの整理する側で見ますと、Bの規制方法の二つ目のポチのところに「〜におい て認められていない生殖補助治療を行った者」というのがあるんですね。ここのところ に、基本的に認められてないものはすべて入っているわけで、今のような国外に、例え ば代理懐胎の一部分を国内で払うわけですね、先生の場合に。もし、これを厳格に適用 するならば、ここの生殖補助医療の一部又は全部を行ったものというものを入れます と、これは今先生が言ったケースもだめですよということがもし合意であれば、その表 現で足りることになるんですが、もし、そういうことになるのかどうなのかということ を先にお決めいただいて、文言上はそのあたりのところで整理がつくかなという感じは いたします。 ○矢内原委員  根本的な問題も、この委員会の精神が問われますね、今のところは。一生懸命考えた つもりなんだけれども、きょうは完全に困窮しましたね。 ○丸山委員  ワーキンググループの際には、付記のCの1−(2)にありますように、輸出入もだ めとしましたね。 ○吉村委員  一応話して、そういうことに。これは我々の意見はそうですけど、反対の意見もある でしょうから。だから、今、課長さんがおっしゃったように、「〜において、認められ てない生殖補助医療の一部」、もしくは「全部」ですよね。 ○中谷委員長  「一部を行った者」とあれば。 ○吉村委員  だから、このままであれば、逃げ道もある。 ○加藤委員  「一部」という表現は、例えば辰巳先生みたいな場合も、検査もまた一部ということ になるのか、それこそ体重を計ったのも一部だということになるかもしれませんから、 一部では表現として安全とは言えないと思いますね。  でも8月3日には新聞記者会見にならないんじゃないですかね。 ○石井(美)委員  絶対ならないです。 ○母子保健課長  最後に御相談させていただきますが……。 ○吉村委員  ワーキンググループ以外の先生の御意見を今聞いた方がいいと思いますね。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○吉村委員  例えば営利の代理懐胎、先生は営利の代理懐胎、このままでよろしいということです か。 ○高橋委員  これは厳しくやっても、その精神はいいですよ。本委員会としては、こういうものは すべて倫理的判断に基づいて禁止すると、それはいいです。ですけれども、実際に体外 受精をやっているいろんな施設の中には、外国の施設を紹介して斡旋するところがあり ます。その方々は黙っていればそのまま通用しているわけです。法律だけで厳しく取り 締まるようなことをしても、その人たちまで規制することができるかというと問題だと 思います。やはりやる人たちの倫理観の問題ではないでしょうか。  田中先生は正直ですからこういうことをお話になりましたけれども、あとはドクター の倫理観に任せる以外ないと思います。 ○石井(美)委員  禁止をして実効性が保たれないということはないと思うのです。後の方で出てくるよ うに一定の施設には制限しますから、そのような違反行為を行っているところはそもそ も実施施設として認められない、という形で実効性は保たれるのではないかと思います けれどもね。 ○田中委員  先生のおっしゃるのはよくわかるんですよ。やってはいけないというのはいいと思う んですよ。ただ、胚を送るということをやっちゃいけないのか、私はそこを聞きたいん ですよ。日本で代理母をするとかそういうことを言っているのではないんです。そうい う患者の、本人たちはアメリカへ行ってでも欲しいと、いろんな条件、クリアーできる 条件がある人たちが、ある一定部分をしてくれないかという、そこまでも禁止ですか と。 ○石井(美)委員  ただ、日本人は生殖医療の手段として使ってはいけないけれども、外国人は手段とし て使うことはよいですよということになりませんか。外国でやることについて手を貸す ことはよいということは。 ○田中委員  そうですね。 ○吉村委員  例えば、それだと胚はあると。日本で胚をつくると。東南アジアへ行って安いお金 で、アメリカは 800万円もかかった、 1,000万円もかかった。あそこだったら50万でや ってくれる、30万円でやってくれる。これは絶対あると思うんですよ。やっぱり先生の 考え方もある意味で極端だけど、私の言っている考え方もある意味で極端なんですよ。 両方とも極端な話を例に挙げるわけですよ。 そうすると物事というのは全然決まらないんですよ。どういうスタンスをとっていく のかを決めてからじゃないと、極端な例と極端な例、今、私が言ったのは極端な例。 ○石井(美)委員 でも、あり得ると思います。 ○吉村委員  だから、臓器移植だって腎臓がどうのこうのということでいろんな問題になるとき に、やはり安い腎臓をどこから買ってくる。そうすると腎臓を売る人は必ず出てくる。 そういうようなこともやっぱり考えていかなくちゃいけない。高橋先生もおっしゃった けれども、そういうようなことだってあると思うんですね。だけど、どこかで線を引か ないと、みんなが意見を言い合っているだけで終わってしまうというような。 ○中谷委員長 一定の法律というのは、法が制定されても、基本的なものは決まっても、もともと違 反を予定しているものなんですから、法律というものはね。だから、違反は……。 ○田中委員 そういうものですかね。 ○中谷委員長 そうなんですよ。だから、そういうものとして考えていただければいいので、ただ、 この委員会としての基本的なスタンスはどこにあるかだけを明記しておくという、それ が必要なんだろうと思いますけれども。 ○石井(ト)委員 今回は代理母を禁止しているわけですから、私は今言った幇助行為みたいなところも 禁止すべきではないかと思っているんですよね。法というのは、先ほど先生がおっしゃ いましたけど。 ○加藤委員 法律上の禁止といっても、禁止はしても実際には罰則が科せられないというそういう 禁止もあって、日本国民としては代理母というものは禁止してもいいという、日本人の 倫理感の表現であると考えると、それを私はどうしても同意できないと。私の場合は、 先生方が心配するほど悪い事例ではないんだと。だから、私だけは例外に認めてくださ いという人に対して、国内では禁止だけれども外国へ行ってやるところまでいちいち深 追いはしないと。それは田中先生のところへ行って、空輸してもらいなさいというぐら いの隙間をつくっておいていいのではないかと思うんですけれども、これを余り隙間な しでやるような論拠でないと思うんですよ、大もとの論拠が。 ○吉村委員 「営利の」ということを入れればいいんじゃないんですか。 ○田中委員 私はやったことないんです、言っておきますけれども。 ○吉村委員 いや、そうじゃなくてわかりやすく言っているんです。 ○田中委員 ただ、そういう話は実際あるんですよ。 ○矢内原委員  あり得ますね。 ○田中委員 あります。どうせ、やるならちゃんとしたものを送ってあげたいんですよ。 ○石井(ト)委員 その負担はどうなるんですか。母は自分の子どもを産んだ、産んだ子の母とするとい うところはどうなんですか。 ○田中委員 アメリカの法律で決められます。 ○石井(ト)委員 アメリカの法律で自分の子どもとするというのは。 ○中谷委員長 領事館かなんかに行って、子どもが生まれましたと届け出るでしょう。そうして、そ の人の子どもとして登録されますから、それが日本に戸籍は送られますから、そのまま になるんです。本来ならば養子縁組かなんかで。 ○石井(ト)委員 そうですよね。ですから、そういう法にも抵触するような形を先生方は手助けするわ けですよね。 ○田中委員 もし、そういう患者さんがいたら、やっぱり必要だと思えば、それがその夫婦にとっ て幸せにつながると思えば、手助けというと、盗人の哲学じゃないですけど、お手伝い したいと思いますね。間違っているとは思わない。 ○吉村委員 加藤先生がいいことをおっしゃったのですが、意見はいつまでたっても平行線だと思 うので「営利の代理懐胎を斡旋した者」でよろしいんじゃないですか。そうすれば、代 理懐胎は一応全面的に禁止すると。しかし、それを営利で斡旋するとかお金をそれでも うけるとか、そういうようなことはやめると。そういった刑罰の規定は一番少ないもの にしていこうという考え方でいけませんか。 ○石井(美)委員 空輸するためになら子宮のない人の胚もつくってもよいということは、あちこちで行 われることになっていくということですね。空輸するかどうかはわからないですから。 ○田中委員 空輸しかないでしょう。 ○石井(美)委員 医師としては、本人に戻す以外の体外受精を行ってはならない。 ○田中委員 そんなあれはありませんよ、どこにも。 ○石井(美)委員 そういう考え方です、基本は。 ○田中委員 本人に戻す、戻さないより、本人の子どもをつくってあげたいです。 ○中谷委員長 要するに代理母の場合は、精子も卵子も夫婦の依頼、御夫婦のものですから、まさに 子どもなんですよね。だから、そういう子どものあれのために援助するのは認められて いいんじゃないかというのが田中先生の基本的な……。 ○田中委員 卵子、精子もらうよりは……。 ○矢内原委員 最初の原則のところの四つか五つありますね。そこに人間の体を生殖の道具にしては いけないというようなところなんですよ。その精神がどこまで、我々が貫けるかという ことになってくると思うんですよ。 ○石井(ト)委員  先生のおっしゃっていることを極端に言えば、要するに日本は禁止しているけれど も、外国へどうぞ行って、外国でやりなさいということですよね。 ○矢内原委員  やりなさいとは言ってない。 ○石井(ト)委員  言葉はちょっと悪いですけれども。 ○田中委員  それは斡旋でしょう。 ○石井(ト)委員  ですけど、日本は禁じているから外国でやりなさい、これは外交問題にも発展するん じゃないですか。向こうの外国人の体を生殖に使うわけですから。 ○田中委員  どうしてそういう問題があるんですか。向こうでは、州によって認められているわけ でしょう。 ○石井(ト)委員  ですから、日本は禁じているからそちらの方でどうぞというのが、まさに臓器移植の 問題と同じだと思いますが。 ○吉村委員  いろんな状況を見てますと、今おっしゃったことも一部あるかもしれません。いろん な状況を見ていると、アメリカでは代理母というのはだんだん減ってきたんですよね。 それはやる人がいなくなってきている。自分をそういうことで痛めつけたくない。そう すると大体自然消滅する傾向はあるんですよね。○○さんも斡旋が嫌になっている。そ ういう斡旋業者の方も嫌になっている。それはなぜかというと、そういう患者さんを見 ていると、一般に患者さんは子ども欲しい欲しいと思っている人たちが、本当に欲しい ものなのかということを真剣に悩むようになってくるわけですね。それは倫理的にもい ろんな意味で○○さん自体も悩まれる。これは加藤先生がおっしゃったように、「営利 の」ということを付けることでよろしいんじゃないかと私は石井先生にお願いしたいん ですけれどもね。 ○中谷委員長  私はこういう御議論を通じてしみじみまた思い起こすんですけれども、スウェーデン で体外受精法をつくったときに、基本的にあるのはやっぱりクリスチャンというのが非 常に基礎にあるんですよね。だからたった3箇条の規定しかないんです。非常に限定的 なものだったんですよね。  この間、全国大学医学部・医科大学倫理委員会連絡協議会というのがありまして、そ れの学術集会というのがありまして、倫理委員会の会議ですから、倫理というのが問題 になったんですけれども、結局医療において、そういうクリスニティーみたいな宗教観 というか、基本的な倫理観というか、そういうものは非常に大事だということを痛感し てまいったんですけど、同じように、今スウェーデンの体外受精法をつくったときの委 員会の報告書を思い起こしまして考えさせられました。  ですから、法的にはどういうふうにするかという基本的な姿勢は姿勢として、それを 運用において、どのように考えていくのかということは、またある程度の配慮をしてい くということしか方法はないような気がいたします。  もう時間になってしまいましたので、本来ならば、「親子関係の確定」までやりたか ったんですが、これも次回にということになりまして、それと「出自を知る権利」につ いて、引き続き御議論いただきたいと思いますが、次回は8月3日、時間、場所は同じ でございます。違いますか。 ○母子保健課長  同じだったと思います。 ○加藤委員  場所も同じです。 ○吉村委員  先生、この結論だけ出してください。営利はどうするんですか。また話すとまた長く なるから。これは事務局が迷っちゃうから「営利」は。 ○中谷委員長  一応「営利」というのは……。 ○吉村委員  入れてよろしいですね。 ○加藤委員  当たり前ですけど、これは営利的でないという言い逃れはいくらでもできるんだか ら。1万円だったら営利的か、10万円だったら営利的かということがまた蒸し返しにな りますよね。 ○母子保健課長  そうするとこのままでよろしいということですね。 ○吉村委員  そういうことです。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  次回は親子関係からということでよろしいでしょうか。 ○石井(美)委員  ただ、今の問題は結論が出ているとは思わないです。 ○吉村委員  それは思わないです。それはわかってます。 ○矢内原委員  最初のところから思考はとまりましたね。胚の所有というところから。           (8月3日以降委員会スケジュール調整) ○母子保健課長  8月31日(木曜日)1時から5時、9月12日(火曜日)。 ○中谷委員長  それでは、どうもありがとうございました。 照会先:児童家庭局 母子保健課 03−3503−1711(代) 椎葉(内線:3173) 小林(内線:3178)