00/07/21 第3回検証会議(1)家族の心情等の把握について   脳死下での臓器提供事例に係る検証会議第3回議事録  日時 平成12年7月21日(金)15時00分〜17時25分  場所 厚生省共用第9会議室(26階)  出席者: 宇都木 伸  川口 和子  竹内 一夫  アルフォンス・デーケン       平山 正実  藤森 和美 ○藤原 研司  柳田 邦男  ○:座長  (略)  藤原座長  全体討議に入らせていただきます。まず、資料の1についてのご意見をお願いいたし たいと思います。趣旨、把握する事項、把握方法と家族状況等の把握にあたっての基本 的な考え方、家族の状況等の把握の具体的方法というふうに大きな項目に分けてござい ますが、これにつきまして。  事務局  先生、もし、よろしければ事前に資料のご説明を簡単にさせていただければと思いま すが。  藤原座長  それではお願いいたします。  朝浦室長  それでは事務局の方から資料の説明をさせていただきます。  資料1、2、3につきましては一連のものでございますので、その旨でご了解いただ きたいと思いますが、まず、ドナーのご家族についての心情を把握するにあたっては第 6例目の事例から作業に入ろうということで事前に先生方にお手紙の案をご相談をして おったのですけれども、やはり必要に応じてドナーのご家族の心情を把握するにあたっ ては、まず、基本的な考え方というものをこの検証会議の場で十分議論した上で具体的 な作業に入るべきではないかというご意見も頂戴いたしまして、こういった形で本日、 ドナーの心情の把握についての考え方についてのご議論を賜りたいなというふうに思っ ております。  まず、資料の1でございます。ドナー家族の心情等の把握についての基本的な考え方 について事務局の方でまとめさせていただいたものでございます。まず、この心情の把 握の趣旨でございますけれども、ひとつは臓器移植ネットワークによる臓器斡旋業務が 適切に行われたのかどうかということの検証のために行うという目的がございます。も うひとつは、それと併せてご家族への精神的支援ということに資するためにその心情把 握をすると、こういう2つの趣旨で行うということだろうと思います。  2番目でございますけれども、把握する事項といたしましては、臓器提供の手続きに 関するご家族のご意見、あるいはご感想とご家族が提供された、決意された事情ですと か、あるいは臓器提供が終わってからの心境などについてお聞きをするということだろ うと思います。  把握の方法でございますけれども、ひとつは文書による照会をさせていただいて回答 を得る形。もうひとつは直接、面談をしてそこで心情把握する形。2つぐらいの方法が 考えられるのではないかなというふうに思っております。  その際の基本的な考え方でございます。これはあくまで事務局の方で考えたものでご ざいますので、基本的な考え方の中でもっと他にもあるというお考えもありますし、考 え方そのものが間違っているということがあるかもしれませんので、よろしくご審議を お願いいたします。  まず、1番目はご家族への十分な説明と同意ということでございます。文書による照 会、または面談を行うにあたっては十分にその目的をご家族に説明をいたしましてご家 族の同意を得ると。その際にはこの把握を行う趣旨についてご家族から誤解を受けるこ とがないように十分配慮した形で実施をしたいということが必要だろうと思います。  2番目の任意性の確保でございますけれども、これはあくまでご家族の任意の同意に 基づく必要がありまして、強制することがあってはならない。こういうのを基本に置く 必要があるのではないかなというふうに考えました。  3番目でございますけれども、ご家族を亡くされたご遺族の心情に十分配慮した形で 作業を進めていく必要があるだろうということで、まず、この辺のところ、おそらく議 論があるかもしれませんけれども、まず、文書による照会、回答というものを行った上 で、それをもとに検証会議でご議論をいただいて直接、面談に赴くということの方がご 家族にとっては負担が軽いのではないかなというふうに考えております。  ご家族との連絡、面談を行う者につきましては検証会議の先生方のうち、精神的支援 の分野の専門家の方にお願いしたらどうかと。照会の回数とか面談の回数はできるだけ 最小限度に留める必要があるのではないかなと。照会、または面談の時期ですけれども 、やはり臓器提供が終わってから十分な時間を置いて行っていくということが必要なの ではないかなというふうに考えた次第でございます。  4番目でございますけれども、これはもう言わずもがなのことでございますけれども 、個人のプライバシーにかなり関わってまいりますので、その知り得たドナー及び家族 の秘密を漏らしてはならないということが必要になってくるのではないかと思います。  以上が基本的な考え方でございますけれども、では具体的にどうするかということが 2頁目に出てきております。家族の状況の把握の具体的な方法ということでございます が、まず、1番目に文書による照会及び家族による面談の承諾というふうになっており ますが、まず、事務局の方でご家族の住所、ご氏名、あるいは電話番号を臓器移植ネッ トワークの方から聴取いたしまして、その際にはご家族に当然、承諾を取らないといけ ないと思いますけれども、取った上で事務局の方から検証会議を行う前にご家族に対し ましては文書によって、さきほど申し上げましたご家族の意見とか感想、具体的に面談 を行う場合について、それに応じていただけるかどうかということを照会をすると。検 証会議は仮に文書による回答を得た場合にはその結果を踏まえて面談を行う必要がある と判断したときはご家族の承諾を得てご家族の面談を行うという段取りにしてはどうか というふうに考えたところでございます。  具体的にご家族との面談でございますけれども、これについてはさきほど申し上げま した精神的支援分野の専門家が複数で面談を行うことになるだろうと。お一人ですとか なり大変でしょうし、客観的な内容が一人では担保できないという面もあろうかと思い ますので、複数で面談を行っていただく方がいいのかなと。  ただ、その場合にはご家族の負担にならない範囲の人数で行った方がよろしいのでは ないだろうかと。あまり多い人数でまいりますとご家族にかなり心理的な負担がかかっ てしまう可能性もあるのではないかなというふうに考えたところでございます。面談は 原則1回という形で十分お時間を取っていただいて、こちらの方も十分用意をして伺う ということになるとしたらをどうかというふうに考えています。  検証会議の検証作業でございますけれども、文書による回答、面談があった場合に、 その結果を踏まえて専門家の方において文書を作成して検証会議に提出をしていただき 、検証会議はこれをもとに検証作業を行うということを考えております。  報告書の取りまとめ及び公表ですけれども、その報告書を専門家によって取りまとめ ていただきまして、ご家族の承諾を得て公表用の報告書を作成をすると。検証会議が取 りまとめた報告書を厚生大臣に提出をし、公表用のものについては公表するという形で ございます。この検証会議においてはご家族の心情の把握とそれ以外に医学的検証作業 、斡旋行為そのものについてネットワークから聴取をしてその評価をしておりますけれ ども、その報告書とこのご家族の心情の報告というものが時間的な関係でかなりずれが 出てくる可能性もありますので、その辺のところはそういうこともあるということを了 解しておくことが必要ではないかなと思っております。以上でございます。  資料2につきましてはただいま申し上げましたことをフローチャートの形で記載させ ていただいたものでございまして、中身については特段、変更、資料1と変わっている ものではございません。  資料3につきましてはただいまのご報告、説明をしたことがご了解いただければ資料 3のような形にお手紙としてはなるのではないかなということでございます。以上でご ざいます。  藤原座長  ありがとうございました。ただいま、お聞きのように資料1と2につきましてはでき ましたら一括した形でご討論願いたいと存じます。資料3に関連したものはその後にお 願いしたいと思います。  まず、最初にこの資料1、2に関連しまして今、全体の概略、ご説明願ったわけでご ざいますが、この趣旨と把握事項についてはいかがでしょうか。何かご発言ございます か。先日来、いろいろな審議の中で立て上げられたものがここに網羅されているという ふうに取れるのでございますが、あまり問題ないと。いかがでしょうか。斡旋業務の検 証と家族への精神的な支援であるということが趣旨であって、把握する事項が家族の臓 器提供手続きに関するご意見と感想、そして承諾したときの事情とか、あるいはその後 、日が経ってからの心境ということになろうかと存じますが、よろしゅうございますか 。  何かご発言ございましたら。どうぞ、先生。  柳田委員  特に大きな問題ではないのですけれども、精神的支援ということが何か困っているか らお手伝いするということ、とても大事なことなのですが、もうひとつはやはり把握す る事項の方にはちゃんと書いてありますように臓器提供の心境とか、世の人々に対して 何か訴えたいこと、伝えたいこと、与えたいこと、そういうものを知りたいというか、 あるいは知らせたいというか、そのことはとても大事で、そのことは把握する事項の中 に書いてあるのですが、趣旨の方に何かそのニュアンスを入れられたらいいなという気 もするのです。  藤原座長  趣旨の方の3つめに遺族等の立場から世間に知らせておきたいと思うことということ でございますか。  柳田委員  ええ。そういうニュアンスのものを今、趣旨としてはネットワークがちゃんとやった かみたいなものを検証するという話と、そこが困っていたらお手伝いしましょうという 、そういう趣旨が。  藤原座長  何かメッセージを、対社会に対するメッセージという項目も趣旨に入れようというこ とでございますが、いかがなものでございましょうか。  藤森委員  あとでおそらく関わってくる問題だと思うのですけれども、文書なりでご家族の方の 意向を聞いたときに、もし少し詳しく知りたいのだというような問い合わせが厚生省に 入ったときに、やはりその辺のことをきちんと厚生省の方がご説明できる状況にないと いけないというところで、社会へのフィードバックも含めてこの検証というのは非常に 意味のあることなので参加していただきたい、面談に関しても文書に関してもなるべく 協力をしていただきたいという意味ではそういう項目を入れておいた方が。  藤原座長  むしろこちらからも積極的に問いかけて、その経験、体験を通した社会へのフィード バックという積極的な意味があるだろうということ。  藤森委員  はい。  藤原座長  そういことでございますが。どうぞ。  デーケン委員  私は今、ちょうど国際死別トヒサン学会から戻ったばかりですが、そこで今日のテー マも随分ディスカッションされました。そしてひとつのマスキャスターは今、参考にな ると思いますけれども、例えば一時的にドナーの家族をサポートしてドナーの家族も立 ち直る状態にあって、アメリカでニューヨークのコーディネーターの発表でしたけれど も、大危機は2つあったそうですね。  つまり、アメリカのテレビ番組で脳死状態の患者さんはまた元気になったという、そ ういう無責任の2回、違う番組があって、そうしてもう朝から晩までやはり電話が入っ て、私は悪かったじゃないの、私の主人を殺したじゃないかとか、もう少し待っていれ ばまた戻ったじゃないかと、医学的に不可能なことはやはりマスメディアで見せるとい うことはそれは大危機になったということでして、ですから、そういう意味でもしかし たら、私たちももちろん一方ではそういうマスメディアに対する無責任な番組を見せな いようにもちろん大事ですけれども、もし、そういうことがあったらそういう危機のチ ーム、クライシスチームも必要かもしれませんね。つまり、そういうときもまた大変な 困難があったという発表でしたね。  藤原座長  それは趣旨というよりも、そういった側面も検証会議としてファンクションとして展 開しましょうということのご意見と承ってよろしゅうございますか。  それでは趣旨につきましては柳田先生からご提案いただいた世間に体験者として知ら せたいこと、世間へのメッセージというような書き方でよろしゅうございますか。体験 を通したメッセージとか、何かまた文言はあとで考えて、どういう文言が一番適切か、 そういう部分も趣旨に取り入れていくということでございます。はい、先生、どうぞ。  平山委員  これは別に全体のこれに対する問題提起ではないのですけれども、私は思いますのは 、あくまでもドナー家族の心情でございますね。アメリカなんかのいろいろな報告を見 ますとレシピエント自身の精神的な危機というものがあるやに聞くのですね。  これは日本はまだそこまで問題にならないかもしれませんけれども、今後、精神的支 援というものを考える場合に、ドナーだけではなくてやはり受けた人の後のやはり精神 的な支援というものも、今回は関係ございませんけれども、どこかにやはり我々、頭の 中に置いておく必要があるのではないかと。  藤原座長  ありがとうございました。この点に関しましては確かにこれは私、肝臓の立場で申し 上げますけれども、生体肝移植をやった患者さんのフォローで、先日、信州大学が主催 した会で、まさに先生、ご指摘の部分があったと。FAPの患者さんが実は思ったより も良くなっていないのだと。従って、本当にやって良かったかなという議論があったと 伺っていますし、アメリカでは既にそういった議論が出ているということでございます 。  ただ、しかし、この問題については。先生、どうぞ。  柳田委員  この検証会議のテリトリーを臓器提供側の方に最初から区切っちゃっていたわけです ね。その経緯については僕はあまりよく理解しかねているところもあるのですけれども 、とにかくそういうことでスタートしましたけれども、どこかでそういう問題があるの だということは捨てないで継続的にやはり念頭に置きながら、検証会議としてのフォロ ーする範囲はドナー家族の方だけれども、しかし、レシピエント側についてもどこかで 、もし、発言の必要が出てきたら何かそういうことを議論する場というものを作る必要 があるかなと思います。  私の知り合いの青山学院の英語の先生の野村先生という方がハーバードで肝移植を受 けてもう10年近くになりますけれども、向こうで肝移植を受けた後、言わば人格同一性 障害のような大変な精神的な葛藤に襲われた時期が相当長くあったらしいのですね。ご 自身、話してくださったのですけれども。そういうときにカウンセリングの体制なり、 あるいは既にレシピエントで経験した先輩の人が非常にいい形でフォローして支えてく れる、そういうボランティア的なシステムができているのですね。  日本の場合がそれができていないというか、ほとんどないわけで、そのあたりの問題 というのはいずれ症例が増えていくにつれて検討しなければいけないかと思います。  藤原座長  私、この会議の立場で申し上げますと、今までおっしゃっていただいた内容、非常に 重大なことだと思いますが、この会議としましてはやはり臓器提供のところに取りあえ ず絞らせていただきたいと思います。私ども、常に審議する際に頭の片隅に置いておく という課題にさせていただくということでよろしゅうございますか。  それでは趣旨はもうひとつだけ加えるということにさせていただきます。把握する事 項はここに2つ書いてございますが、これでよろしゅうございますか。それではこんな ことになろうかと存じますが、承諾した事情と日が経ってからの心境ということでいず れもカバーできているように思いますし、世間へのご意見というのはまた別の側面です ので。  柳田委員  何度もすみません。2の把握する事項のその他に入れちゃっていいわけなのですけれ ども、1の趣旨にもう1項、入れるなら、既に第1項は割と手続き的なこと、第2項が いろいろな事情、内面的な心情といったことであるわけですけれども、社会に対して例 えば臓器移植なり、脳死移植についてどう考えるかとか、大変それによってその後の人 生が支えられたからこういうことも皆さん、知ってほしいとか、そういう第1項の趣旨 に入れる社会に対してのアピールのようなものが把握する事項のところへ、その他に入 れないで臓器移植、あるいは脳死移植に対する意見について考えることとか、何かそう いう積極的な記述をした方がご家族の方もいろいろなアンケートに対して答えやすくな るというのかな、ああ、なるほど、そういう意味で自分の発言する意味があるのだと、 面接に会う必要があるのだという意味がより明確になってくるから。  藤原座長  わかりました。他にどなたか。はい、どうぞ。  川口委員  質問でよろしいでしょうか。こちらの具体的な方法と書いてあるのはやはりこちらの 検証会議のための資料としてというような形なのかなということと、2番の家族との面 談の中で面談は原則1回に限り行うというふうなはっきりした提示があるのですが、こ れはどういう。  藤原座長  申し訳ございません。趣旨と把握する事項に限ってひとつひとつ進めさせていただき ます。  川口委員  そうですか。では、こういうことはまたその後にご質問できるような形になっていま すか。  藤原座長  後で触れさせていただきます。  今、話、戻します。柳田先生、おっしゃっていただきましたように、把握する事項の 中に積極的にさきほどの趣旨の点を加えるということはいかがかということになります が。これに関連して何か、もし、ご異存なければそのように、文言については今すぐに 、先生、どうぞ。  宇都木委員  これをどういう形で公表するかということと関わってくるのですが、公表はここにご 家族が書いてくださいますね。こういう質問表に。原則としてそのまま公表されること になるのでしょうかね。ご家族の承認があれば。  朝浦室長  公表する際には公表する文言をもう一度、ご家族に見ていただいてご承認を受けた後 に公表することになろうかと思います。  宇都木委員  しかし、考え方としてはそのままが出る。  朝浦室長  どういう形で公表するのかということについても、まさにこの検証会議においてご議 論いただくことになろうかと思います。  藤原座長  ケースバイケースで考えるようになるだろうと思うのですが。  柳田委員  それは2枚目の5の4で議論したいと思いますけれども。  藤原座長  はい。それでは取りあえずよろしゅうございますね。  藤森委員  ごめんなさい。最後に支援のところなのですが、要するにここの会議で調査、検証す るだけで本当に支援のところまで踏み込めるのかどうかというのがひとつ足りないのだ と思うのですね。実際、お困りになっている、何かあったというときに、厚生省はこの 会議はいったい何を家族に提供できるのかということが、支援となると何かを支援をし なくてはいけなわけで。  藤原座長  責任を負うわけですね。  藤森委員  そうですね。ただ、調べるだけ、問題があった、大変だということで終わってしまう のか、その後のフォローアップをどうするのかというところが。  藤原座長  ここに書いている精神的支援というものがいまいち、輪郭がはっきりしないと、こう いうご意見ですね。  藤森委員  そうです。  藤原座長  いかがでしょうか。先日、第1回目のときに、確かデーケン先生がアメリカで1年ぐ らいまできちんとフォローしていろいろな相談にも乗るというような話もあったのです が、柳田先生が確かそこまではまだ今、無理だとしても一月ぐらいのところ時点までと いうようなことはいかがかというお話があったようにも思いますし、その他にさらに困 ったときとか、相談する先も提供してみてはというような話、こんなところが出たかと 私、思うのですが、何か。はい、どうぞ。  柳田委員  第1回の会議で議論した検証手続きについての最後のところに、その他として最後の 最後のところに家族に対する長期的な精神的支援のため必要に応じて適当な精神的支援 の専門家を家族に紹介すること等を行うと、今後の取り組み方を書いたわけですけれど も、これをここのドナー家族の心情等の把握についてのところに書き込むかどうかとい う問題ではないかなという気がするのですね。  書き込むとなれば2枚目の大きな5プラス大きな6ができるのではないかという気が するのですね。というのは5は把握のところで終わっているわけで、発表して終わっち ゃうわけですね。これですと。支援の問題というのは大きな6としてどうするかをここ に書くのか、別途、何かそういう取り組み方の文章を作るのか、そういうことになるの かなと思うのです。  藤原座長  はい。確かに内容を具体的にどういう心境で提供したかということと、その後の経っ てからのものとは分けて考えるべきで、今、ここで精神的支援というのはどちらを指す のかということも含んでいるかと思うのですね。つまり提供してしばらく時間が経って からいったいどういうふうに考えて、また全然別の悩みが出てきて、それに対してこち らで何を提案できるのかと、こういう側面は確かにあると思うのですね。  そのことを直接的に精神的支援と言うのか、それとももうちょっと別のいわゆる臓器 提供に至るまでのいろいろな細かいやりとりの中での悩みがあったとすれば、それに対 してはどういうような形で納得できる説明をしていくかとか。  柳田委員  私の具体的なお付き合いの中では、腎提供された方のご家族ですけれども、お子さん の腎臓を提供された方がレシピエントがどこで何をしているのかわからなくて、子ども が行方不明なったような大変神経症に近い状態で半年ぐらい大変悩まれた例がひとつあ るのです。  もうひとつは、奥さんの腎臓提供をしたら、その後、裏で金貰ったろうということで 親戚、近所から村八分的に白い目で見られて大変辛い人生を2年ぐらい送ったという、 そういう例があります。  そういうときにどういうふうにカウンセリングが関われるのか、あるいは関わるのか 。そういうことだろうと思うのですね。  藤原座長  それではこの趣旨のところはこのままにして具体的に内容が何を指すのかというとこ ろはその後の実施というところでもう一度、議論すればう少し輪郭が見えてこようかと 思うのですが、どうぞ。  事務局  支援のケアの内容については、既に検証手続きについてということで3月22日の検証 項目等のご議論の中で先生方のご議論、既にございまして、そこでは必要に応じて適当 な精神的支援の専門家を家族に紹介するということになっておりますので、この会議で 直接的な、例えば治療を行うとか、そういうことは今までの議論では全くございません のでその範囲で、あくまで検証でございますので、これはご議論いただくのかなという ふうに考えております。  藤原座長  はい。確かにこの会議の性格からしますと、移植医療そのもの全体に渡ってのいろい ろな問題点に対処するということではなかろうかと存じます。  そんなことで柳田先生、いかがでしょうか。今のお話、また別の会議が必要になろう かというふうにも思うのですが、取りあえず何か。  宇都木委員  ここはだから、やはり任務としては精神的な支援状況の検証ということで、必要があ ればいくつかのことを指摘して終わらざるを得ないのではないかなと思ってしまうです けれどもね。  事務局  この案を作る際の話というよりは、むしろ既にご議論はされているのではないかなと いうふうに認識しておりますし、その際、おそらくこのためだけのメンタルヘルスシス テムを作るというのはかなり実際的ではないのかなというふうには思いますけれども。  柳田委員  3月22日の検証手続きで議論したときに、紹介すること等を行うということになった わけで、現実に検証したら非常に困っている問題を抱えておられるというときに、それ はそうですかで、そこで切っちゃうわけにはいかないと思うのですよね。  そうすると面接された専門官が何らかの意味で助言をするとか、あるいはこういうと ころへ行って、こういうふうに相談するがいいとか、より積極的にはこういうカウンセ リングをする人がいるから紹介しますとか、何かそこに関わざるを得ないのではないで しょうか。  藤原座長  よろしゅうございますか。例えば検証した結果がそういう側面が多いということであ れば、それをまとめて大臣に報告し、また、ある意味での提言ということになろうかと 存じますが、場合によってはまた別の会議を立て上げるという提言ということで終わる のではないでしょうか。おそらくそこまで全部踏み込むことはなかなか意見として上げ るのが。  柳田委員  ええ、微妙なところだとは思うのですけれども。  藤原座長  そんなことで、確か第1回目のときはそんなようなお話がありましたですね。  柳田委員  つまり私が危惧しているのは、移植医療というものが非常に善意の提供によっていい 形で行われるという面だけが表面的に強調されて、助かった側がとても喜んでおられて 、それだけが強調されて、提供した側が事実関係は調べられたけれども、後、放置され ているというのでは、これは大変なより良い移植医療というものとは縁遠いものになり かねないという。  藤原座長  ですから、ある数の症例がまとまった時点で、臓器提供サイドの検証ではあったけれ ども、そこに様々な問題があって、こういうようなことも今後の課題として必要ではな かろうかと取りまとめて報告するということでは。  柳田委員  実は第5項の4の報告書にも関係するのですけれども、報告書がここでは個別事例に ついてその都度、報告書を作って、その中で問題点があれば指摘するとか何かあるので すけれども、私、今日、ちょっと皆さんのご意見を聞きたいなと思ったのは、例えば10 例ぐらい集まった段階で総括というか、中間まとめ的に全体の傾向なり、そこから出て きた問題点なりというものもあるいは作って報告するなり、公表するなりという、そう いう作業も必要なのではないかなと思うのですね。  個別事例ですべて済ましていくということではなくて、それは医学的検証についても 同じだろうと思うのですね。何回繰り返しても脳死判定手続き、些細であってもそれが 何かの形でいつも欠落部分ができてくるとか、そうした場合にいったいどうしたらそう いうのが整然と行われるようになるのだろうかというようなことも5例、10例と積み重 ねた段階ではやはり何か見解をまとめて公表する必要があるのではないかということを 思っています。後ほど、また議論したいと思います。  事務局  大変申し訳ないのですが、この検証会議の主な使命としては個々の症例についてきち んと検証していただくというようなことが非常に重要なミッションであるというふうに 考えております。  もし、例えば今、先生方がご議論されているような、例えば制度面の問題ですとか、 あるいは移植医療全体の問題に、座長がおっしゃいましたような点につきましては臓器 移植専門委員会という公衆衛生審議会の場がございますので、当然、個々のこのような 症例の報告についてはすべて公衆衛生審議会に報告するというふうに私どもしておりま すので、この中の何名かもその委員になっていただいているのですけれども、そこでの 議論ということになろうかというふうに考えております。  柳田委員  その趣旨はわかりますが、ここで何らかの意思表示をしないで、ただ症例だけを文書 でいくだけではどうなるか担保がないわけですね。それは良心的に検討してくださるこ とはわかるのだけれども、検証会議というのは現実に細かいところを見て検証して問題 点を発見していくわけですから、それがいくつか積み重なった段階であるまとまった中 間意見的なものを出すことは、これは検証会議の主体性としてあっていいのではないか なと。  藤原座長  事務局にちょっとお伺いしますけれども、この検証会議の位置づけというのは今、柳 田先生がご発言されましたように、症例だけやればいいのだということを、それを通し て何かまとまった提言とまでは言えないまでも、問題指摘をすることまではやってよろ しいということではなかったでしょうか。第1回目の会議のときは確かそんなような話 があったと思うのですが。  朝浦室長  各ケース毎に制度的問題がおそらく出てくる可能性がありますので、そのケース毎に ついて制度的な提言をしていただくと、こういうことは私どもも承知しておりました。  おそらくまだ5例目の検証が、また、最終報告書の形になっていない段階で、将来的 に10例目を目指してまとまったものを作った方がいいのではないかというご議論もよく わかるのですけれども、まず、5例目、6例目という、ひとつまず検証していくことを 私どもとしてお願いしたいなというふうに思っておりまして、また時期が来ればどうい う形でまとめていただけるのかということをご議論いただけないだろうかなというふう に思っているのですが。  藤原座長  それではこの議論は先生、もう少し症例、積み重ねた段階でもう一度、議論するとい うことで先に進めさせていただきます。  その次に把握の方法、これは次の家族の状況等の把握にあたっての基本的考え方、こ こからまず先にご審議願いたいのですがいかがでしょうか。  家族の十分な説明と同意。まず、この中で私、一番問題かなと思うのは文書でやるの か、面談を先にさせるのか。ひとつの考え方とすれば当然、ご家族が会ってくれるかど うかが最初にまず問題ですので、意見を聞いて趣旨を述べて、最初にいきなり会っても らえるのかどうなのか。それともある程度の意見を聞いた上でこちらの必要に応じて会 ってくれと言ってお願いするのか。その辺のところが最も基本的な点かと思いますが。  柳田委員  その点は今日は専門家であって実際、臨床経験、たくさん積んでおられる専門家の意 見を一番聞きたいところなのですね。  もうひとつは、最初に出すお手紙がある意味でそれを左右するから、その手紙をどう いう文面、文脈にするかということが決定的に重要なような気がします。その2点でご ざいます。  藤原座長  藤森先生、何か。  藤森委員  はい。やはり面接をする、家族への十分な説明と同意を文書で得られるかどうかとい うのは非常に難しいですよね。多分。もちろんお手紙をお送りしてこういう趣旨のこと を考えているということはあると思うのですけれども、例えば、では話すだけ話して、 さっき元に戻ってしまいますけれども、何も支援はしてくれないのかという話になって しまったりとか、また、臓器を提供した上にまた次の新しいチャレンジというか、壁、 問題にまた晒されるのではないかというようなご家族の不安というのは非常に大きいの で、その辺のご理解をどうやって受けていくのかということが重要ですし、もし、会っ てくださらないという家族が出てきたら、もしかしたらそちらの方のご家族の方が問題 が大きいかもしれないということも十分考えられるということが非常に大きい壁になる のかなというふうに考えております。  藤原座長  そういう場合に最初に面談の方を優先していくか、それともまず文書でやりとりした 上で必要に応じて面談をするという、おそらく私、個人の考えではどちらかと言うとこ の方がプラクティカルな気でおりますが、最初に面談をやった方がいいのだよというご 意見もあろうかと存じます。どっちの手段がベターであるかについていかがしょうか。  藤森委員  最初に面談というのはまずほとんど無理だと思うのですね。実際に直接お会いするの は、全国各地にいらっしゃるわけですから、まず、だから、こういうことを考えている ということに関しての文書の送付というのが非常に重要だと思うのですけれども、いき なり会ってもいいとおっしゃる方もいらっしゃるだろうし、文書のみという方もいらっ しゃるかもしれないし、文書も会いたくもないという方もいらっしゃるというのは現実 に出てくると思います。  藤原座長  柳田先生、何かこれに関連してご意見ありますか。  柳田委員  今までの例で言いますと、本当に藤森先生、おっしゃったように千差万別でして、既 に提供された方で積極的に個人的にメディアの記者に会いたがって会った方もいるし、 一方ではもうノータッチにしてくれ、すべては放っておいてくれという人もいますし、 非常に難しい。では、放っておいてくれという人、本当に放っておいていいのかという と、結構、半年、1年経つといろいろとまた言いたいことが出てきたりして、そういう 葛藤の中で揺れ動きがありますね。  時間というのは凄く大きな要素で、直後と半年後、1年後では全然違う考えを持った りする。そのあたりをどう睨むかというのは大変大きな問題で、ですから、最初に出す お手紙の中に何か1回ぽっきりで会いたくないというので切れちゃうというのではなく て、今後、どんなに時間が経っていても、また、何かお気持ちに変化があって、何かお 話したいことがあるというときはいつでも対応しますというようなことをつけておかな いと、そういう人たちをフォローすること、できないかなという気がしますね。  僕の個人的な考えでは、最初はできるだけ簡単な了解を得た上で面談に持っていけた ら一番いいのではないかなと。と言いますのは、一般庶民にとって手紙や文書やアンケ ートを書くというのは大変な負担なのですね。そういう公的な要請に対して何かを書く というのは凄く苦手で億劫なのですね。どちらかと言うと会って喋った方がいいし、お 会いして専門家が面接しますと語りかけ方、その雰囲気なり、人格全部で関わる中でご 家族の方も喋りやすくなる、いろいろ言いたいことがだんだん吹き出してくるというよ うなことがあるのではないかと思うのですね。  臨床心理の面接の場面なんかで本当に向かい合ってじっくり時間をかけて急かさない で耳を傾ける中で本音が出てくる、あるいは本当の内面が出てくるという場面が普通で すから、できれば面談に持っていきたい。その代わりそのタイミングは急かない方がい い。一月でも早いかもしれないぐらいに思いますね。  藤原座長  他の先生方、いかがでしょうか。  平山委員  今、柳田先生がおっしゃったように、実際に悲嘆のプロセスということを考えると時 期が非常に問題がありますね。いつ、それを例えば面接をするのか、いつ、手紙を出す のか。この辺はもの凄いこれは難しい問題。  藤原座長  ちょっと話が前後します。先生のご発言に対応したことになろうかと思いますが、さ きほど言いましたのは、意見と感想を聞くという話と、提供後の心境を聞くという内容 、おそらく面談の内容には2つがあろうと思うのですね。  そのいずれに関してもいつ会うのか、2回会えばいいのか、それも実際問題、困難だ ろうと思うのですね。そうすると1回きり会って、なおかつその2つの内容をうまく把 握できるにはいったいどの時期がいいかという問題がまずあって、そしてその時期にど ういう形で面談するのがいいのかと、このようになろうかと思うのですが、これに関連 していかがですか。  柳田委員  私の全くプライベートな経験ですけれども、もう息子を亡くして7年になりますが、 息子を看取って腎提供した後、1か月ぐらいほとんど放心状態で人と会うことも嫌だっ たですね。ごく身近な人に挨拶状を書いたのが3週間後ぐらいです。二月ぐらい経って やっと人前に出られるというか、社会的な活動に少しは気持ちが動くというか、そうし なければいけないなという気持ちで、一生懸命、自分を動かしたというか、何か平静心 で喋れるようになったのは3、4か月ぐらいでしょうか。  私は表現活動をしているというので特殊ですから、半年ぐらい経ってから逆に自分を ネジまくような意味で、敢えて雑誌に体験を書いたりしましたけれども、その時間の流 れの中で考えてみますと、一般の方にとって表現する、人に話すということは相当大変 なことかもしれないなと思いますね。  藤原座長  その場合に先生、さきほど臓器提供に至った感想としばらく経ってからの心境とのど ちらについても一定の期間以上、経たないととても語れる心境ではないという、こうい うふうに考えてよろしゅうございますか。  柳田委員  そうですね。本当に日頃、付き合っている親しい人ならば一月ぐらいで喋れるけれど も、公的な立場の人が来て聞かせてください、こんにちはと言って来て、そして何かペ ラペラ喋るということはかなり一月以内では難しいのではないかなという気がしますね 。もちろん個人差ありますから、いろいろ中には本当にその直後に発言したい方もいる というのも知っていますし、しかし、それは必ずしも多いとは限らない。公的な立場で 訊ねられたときに2、3か月ぐらい経たないと落ちつかないかなという気がします。  自分自身、あるいは家族が家族自身を見つめ直すということも心理的に必要ですね。 そういう自分をもう一度客観的に見つめ直すだけのゆとりができる期間が必要だと思い ますね。それにはやはりかなり時間がかかる。欲を言えばもう本当に半年、1年という こと、先になってしまうわけですが、その間を取ると一月から三月ぐらいの間ぐらいの ところで何か接触できるかなという感触を持ちますけれども。  藤原座長  藤森先生、何か今の時期の問題に関して。  藤森委員  私は奥尻でやはりご家族を津波で亡くされた方に面接したのはやはり1年を過ぎて、 1周忌を過ぎてからでしたけれども、やはりそれでもお子さんを亡くされた方に関して は非常に悲嘆が強くて、インタビューをしながらもやはり涙が止まらないというような 状況が続きましたけれども、その方たちに関してはフォローアップをするという約束の 下で私が電話なり、随時会うということでお話を聞かせていただいたので、非常にその 点は自分が面接をしていて安心はありました。要するに刺激だけしてその場を去るとい う立場ではなかったので。  藤原座長  要するにその後の心境ということでは確かに1年でも2年でも何年経っても必要だろ うと思うのですが、今、繰り返しになりますが、ある程度、臓器提供そのものが適切か どうかを検証するという立場に絞って、それができる最大限はどうだろうかという、そ んなようなまとめをしてみたいのですが。  藤森委員  多分、クリアにご家族の方、分けられないと思うのですね。  藤原座長  かなり個人差がございますですね。  藤森委員  例えば家族でも父親と母親では全然認知が違うとか、やはり男性は仕事があってとか と、奥さんはもう子どものことしか考えていないとかということになると、かなりその 辺の差が大きいので、コーディネートのチームからお名前を伺うわけですよね。住所を 教えてもいいというご家族がここでもう段階で絞られるのですね。厚生省の方で。  藤原座長  その話はまた後でていただきますが、取りあえず、まず今、会うとした場合にはいっ たいどの時期がいいのかと、ここだけに絞らせていただきますが、他にどうぞ。  デーケン委員  私は基本的にいいと思いますけれども、今、ひとつの考えというのは支援ということ は、もちろん一人は例えば専門家でカウンセリングをやれば、そういうようなカウンセ リングをやるということもとてもいいと思いますけれども、もしたしたら私はちょうど そういう体験があった、死別体験者の集まりがあったからお互い同士のサポート、大変 大きな機能を、ほとんど皆、そう言ったのです。やはり共通の体験があったから、やは り昨日は別にドナーではなくて一般の配偶者を失ったグループでしたけれども、お互い 同士の、ですから、もし、将来できればやはりそういうような場を作ったら同じ体験の ある人はお互いにやって共通の体験のある人はお互いはとても大きなお互いのサポート になれるのではないかと思いますね。  宇都木委員  実際には資料の3は提供者のところに行くという、そういうスタイルになっているわ けですよね。第1番目に。これは検証会議がいつあるからその辺に返せというスタイル になっているのですが、これは割合、早い時期に送っておいて書けるようになったら書 いてくれというようなことではどうですか。  藤原座長  ちょっと先生、よろしゅうございますか。さきほど、柳田先生、その件に関してはむ しろ簡単な文書で面談を申し込んで、最初に会う方がいいではないだろうかというお話 もございましたですね。先生のご意見では、それをまず優先させて、資料の3にあるよ うな文言はまたその後でもいいのではないかという、こういうふうなご意見かと存じま す。それで文書で取るのを先にするのか、それとも最初にまず面談をするのか、最初に 問題を設定させていただいたのも実はそんなことです。仮に会うとした場合にはいつが いいのか。では、その時期は最初に面談から入るのか、それとも文書として出すのか、 そちらの方を先にする方が進みやすいかなと思って私、ちょっと話を前後させてしまっ たのですが、問題の原点はそちらにありました。   柳田委員  フローチャートは資料3に書いたような文書回答を先に置きながら基本的な流れを作 っているわけですが、やはりさっき言いましたように文書で書いた方がいいという人も もちろんいるかもしれないけれども、やはり言いにくいから会って何なりと聞いてくだ さいという人もいるだろうと思うのですよね。  ですから、そこの選択肢を分けた方がいいのかもしれない。最初からこういうアンケ ートに答えた人にさらに追いかけて聞くというよりは、今は文書で答えるよりもお会い した方がいいという方に丸をつけるとか、丸をつけるというか選択するというか。  さきほど藤森さんのお話の中でちらっと出てきたので、ああ、そうだ、忘れていたと 思ったのが電話。電話でならお話しますという人がいるのですね。いろいろな悩み事相 談とか、あるいは死別体験者の悲嘆なんかについて電話でいろいろなことを話してくだ さる方もいるわけです。それを話を1時間ぐらい聞いていると、その中で話したこと自 体で癒されていくとか、そういうこともあるわけで、場合によったら最初のコンタクト が電話と専門家との間で、その専門家の感触によって、ああ、なるほど、こうやって話 して聞いてくれるのだという安心感の上で、さらに一歩踏み込んでお会いしてもいいで すよということになるかもしれないし、また、その電話の話の中でだいたいの輪郭を話 してくださるかもしれない。そういうことも視野に入れていいのかなという気がするの ですが、いかがですか。先生のお立場で。  藤森委員  そうですね。ですから、最初の申込みの段階から行政の方ではなくて、こういう趣旨 でお会いしたいのだけれども、多少、文書は送られてもいいとは思うのですけれども、 私がお邪魔したいのだけれどもというような形の方がもしかしたら相手の方は安心され るのかなと。専門家と言っても普通の方にもわからないわけですよね。誰が来るか。ど ういう形で来るかということが。  藤原座長  ただ、かなり個人差もあると思いますし、人によっては僕なんか、もし、子どもがそ うなったりすれば文書でやって、何か非常に重大なことがあればむしろ会いましょうと いうのになりますが。ですから、個人差をできたら最大公約数を満たすのはどうかとい うことになろうかと思うのですが。  宇都木委員  最大公約数というとなるべく選択肢を増やしておいて。  藤森委員  そうですね。ですから、これも多分、後になると思うのですけれども、さきほど柳田 先生がおっしゃったようにこういう真っ白の質問紙が送られてくること自体は非常に答 えにくいというのはあると思います。それはあとでまた検討していただければとは思う のですが。  藤原座長  いかがでしょうか。電話でまず最初、連絡して選択させたらいかがかという話も出て おります。どうぞ。  デーケン委員  私は今、柳田先生がおっしゃったこと、とても重大だと思います。と言いますのは、 個人差もあるのですね。例えばある人にとってもちろん文書の方がいいかもしれません けれども、大勢の人は例えば会うよりもやはり電話で話すのは安心できるとか、やはり 電話で聞く人もいろいろな声の表現でいろいろなことがわかるとか、あるいは表現でき るとか、やはり文書はちょっと冷たいというような、やはり人間の声を聞きながら何よ りも自分自身の悩み、苦しみを表現する、誰か共感を持って聞くのは場合によって一番 大切になるかもしれませんですが、そういう選択があった方がいいかもしれません。  川口委員  私、上手に言えないかもしれないのですけれども、お手紙にしても電話にしても面談 にしても最初の一番最初に接する部分が大事だと思うのですね。だから、誰がするかと いうところの問題が凄く大きいなと思っているのです。  私も患者家族で心臓病ですから移植以外にはなくなっている方、たくさんおられます よね。その中でやはり例えばこういうお手紙で来て検証会議とか固いことになってしま うと、さっと引くとか、だから、この中にサポートの中、こういう支援の中で支援をし ていくという趣旨がきちんと相手方にわからないとやはり答えるときにお手紙だって面 談でもやはり躊躇しますよね。  こういう固い部分のところだと、いや、こういうことを言ってはいけないかとか、書 いては、やはりそうじゃなくて素直に今の心境をお話しできるような場を作っていただ きたいという、そこをどういうふうにしたらいいかというのを考えていただきたいと思 います。  藤原座長  さきほど私、ちょっと途中で後回しというふうに申し上げましたのですが、実はその 問題も非常に重大で、つまり最初の接点はコーディネーターにあるのですね。先日の第 5例目の検証のときもコーディネーターの話を私どもはそれ以上、家族に会う必要はな いというふうに判断したわけでございますけれども、さきほど来、電話が非常にいい手 段であって、しかもその中で選択肢を作りなさいというご意見がかなり強いように思う のですが、その電話はいったい誰がするかというのは今の話を総合しますとコーディネ ーターに依頼するということになるのかなというふうに思うのですが、はい、どうぞ。  事務局  議論がややどの部分をお話しされているかというのが少し錯綜しているように思うの ですが、まず、この検証会議として患者さんのドナーのご家族にはまずしなくてはいけ ないのは、この検証会議そのものの位置づけというものについてはきちんとご説明しな い中で何となく会っていただくということについては限りなく戒めるべき事項ではない かなというふうに思います。  これはあくまで検証会議でございますので、何かあなたのためになりますよというよ うなことを前面に立てて、実は検証会議なのですよというようなやり方はこれは非常に 、いわゆる患者さんの家族にとっても非常にこれは嘘をつかれたというふうな印象を与 えてもいけませんし、検証会議の尊厳を損なうことになろうかというふうに思います。  家族に対してはまず、どのようなものなのかということをご説明する方法としては、 電話というより、電話も非常に暴力的な面がございますので、そうではなくてそこはや はり書類というか、お手紙というか、そういうものによるしかないのではないかなと。 それ以外のものはなかなかちょっと考えにくいのではないかなというふうに思いますけ れども。   藤原座長  私、コーディネーターに電話の代理を頼むと申し上げたのは、もちろん検証会議とい うのはこういう性格のものであって、こういう人たちが実は会いたい、乃至は文章を送 りたいと言っているけれどもいかがなものか、会ってもらえるか、乃至は文章にしてい ただけますかということを誰かが電話する代わりにコーディネーター、一番接点があっ たという点ですね。そういうふうに申し上げたのですが、事務局とすれば手紙をまずや っておいて、その後に電話するならまだいいというお考えですか。それともそのこと自 体、もう電話すること、依頼すること自体、おかしいというふうに。  事務局  もし、それはコーディネーターの役割ではないので、ひとつは協力していただけるか どうか、コーディネーターの方に協力していただけるかどうかはわかりませんし、検証 会議としてこれだけ様々なご議論がいただけているので、その中でやはりもう電話をす るならば、検証会議の方々からではないかなと。そうでないとやや筋論から言っておか しいのではないかというふうに思います。  藤森委員  現在、ご家族の方はこの検証会議が行われていることは皆さん、どの症例の方もご存 じなのでしょうか。  事務局  ご存じの方もおられます。5例目の方についてはこちらに資料を提示するということ がございましたのでご存じです。  柳田委員  コーディネーターの業務についての検証も我々がやるわけですから、何か仲介をコー ディネーターがスタートすること自体、ちょっと矛盾があると思うのですね。  私は前回のときでしたか、コーディネーターがいろいろなコーディネートの仕事をし て、提供が済んでお別れするという、その流れのどこかで今後、検証会議というものが こういう仕事をしますよというようなことをコーディネーターは説明するのですか、す るような形になっているのですかと言ったら、前回、出ておられた山中さんでしたか、 コーディネーターの代表の方が、いや、とてもそんなことはと聞いてもいないし、そん なゆとりはないみたいニュアンスのことをちらっと言って、それでお流れになっちゃっ たわけですが、僕はそうだと思うのです。  今まできちんと検証会議なり、あるいは事務局である厚生省がコーディネーターの業 務の中に検証作業がその後につきますよということをきちんとコーディネーターの組織 の中に伝えて、その中でどこまで受け持つのか、どういうふうに引き継ぐのかというの は今まで何の議論もないわけですね。  私の考えでは、この間、ちょっと言いかけたのは資料3の手紙の第1面の真ん中あた りにあるような検証会議の役割のようなことを書いて、今後、フォローするということ を実は同意書を取ったり、臓器提供したりする、その流れの中でコーディネーターが了 解を得るというよりも、その案内文を今後、こういうふうに提供後、関わりがあります と言いますか、そういう説明文書ですね。そういうものをお渡ししておるというのがコ ーディネーターの精一杯の仕事かなと思うのですね。  その後、ここのフローチャートにあるように改めて検証会議が接触していいかどうか のコーディネートまでするというのは、これはちょっと何かここの検証会議の前に立ち はだかっちゃうような変な感じがするのですね。そのあたりはきちんと整理する必要が あるのだろうと思うのです。  臓器提供下においてそんな文書に目を通すゆとりは家族にないとか、いろいろな問題 があるのですけれども、しかし、移植医療というのは極めて公的な命の、他者の命の関 わる問題で、公開性なり、透明性なりというのは一方で要求されているわけですから、 プライベートなものとのバランスの中でこれをやっていく、その中で最低限、検証しな ければいけないことというのがあったりする。そういう中で検証作業があるのだという ことはむしろ早い段階でそういう文書でお知らせしておくということ。  藤原座長  先生のご意見ですと、コーディネーターがいろいろと説明するときに同時にこういう ものも先行きありますよということを言ったらいかがなものかと、こういうご意見でご ざいますか。  柳田委員  ええ、そうです。  藤原座長  これに関連していかがでしょうか。手続き上はそれは問題ないことですね。事務局で は。コーディネーターがいろいろ説明する。  朝浦室長  おそらく臓器提供の時点で検証会議があるということで、もしかしたら臓器を提供さ れる気持ちに変化があって、もうやめたいといったようなことになると、これもまずい なというふうに思いますので、その辺も含めてやはりアプローチの仕方というのは十分 、慎重に対応すべきではないかなというふうに思いますけれども。  藤原座長  この話は電話のことから私が余計なことを言ったところがどうもきっかけのようなの ですが、もう一度、話を戻しまして電話をするのが非常にいい手段であるというご意見 ですが、いったい誰がどういうふうに電話するのか。はい、どうぞ。  事務局  よろしいですか。まず、話としては電話をするべきなのか、しないべきなのかという のは、ご家族が電話してもいいよというふうにご了解を得てからではないかなというふ うに、もし、するにしても考えられます。  その前には当然、してもいいよというご家族からの了解というものは十分考えていた だく時間をご家族に持っていただくためには、当然、書類、お手紙の中でこういうよう なオプションがありますというようなことを提示して、それでよくお考えになっていた だいた上でどうぞ電話してくださいということがあってという話だと思います。  藤原座長  川口さん、いかがですか。今のお話。  川口委員  やはり電話をする方がどなたかというのは凄く大きな問題ですよね。あと、電話は私 はやはり。ちょっとそれよりもやはり最初はお手紙か、面談という形の方がいいのでは ないかなと。  藤原座長  柳田先生、いかがでしょうか。  柳田委員  いきなり電話というの当然、とんでもないことになりかねないので、これはさきほど 言った選択肢のひとつの1項目だろうと思います。  さきほどの朝浦さんのご説明はインフォームド・コンセントをやりながら同意書を取 っていくという、その中で検証会議の話までする必要はないので、むしろ臓器提供が終 わって退出されるときに今後のいろいろと今後の問題についてというのを何か袋に入っ て、おそらく臓器ネットにしても今後、必要があればコンタクトしてくるとか、何かそ ういうのを最後、渡すべきだと思うのですね。  それと一緒にこういう検証会議の説明文というのが入っていてもいいのではないかと いうことで、それがやはりどうも具合が悪いというのであれば、やはり一月ぐらい経っ てから改めて今、議論しているような形でお手紙で出して、その中で選択肢をいくつか 書いておくという、このどちらかと思うのですけれども。  藤原座長  他にございませんか。私はやはりある時間が経ってからお手紙を差し上げて選択して いただくというのが現実的なような気がするのですが、その場合に手紙というのは最初 から後の資料3で出てくるようなものをいきなり渡すのかどうかということになるのか と思うのですが。  藤森委員  一般調査ですけれども、これは参考になるかどうかわからないのですが、手紙に対す る対応ということになりますと、調査法なんかで郵送法で送りますね。リスポンスがあ るのが催促なしで20%なのですね。全体の。調査に対して。かなり回収率を上げるとい う意味で、回収率、要するに相手から反応をいただくためにはかなりこちらから催促と いうか、もう一度アプローチがあったりという形での。今回の場合、特殊な例で一般調 査とは比べ物にはならないのかもしれないのですけれども、郵便のインパクトの弱さと いうのはそこにあると思います。かなり。  ですから、その検証会議がどれくらい家族のために役立つかということを懇切丁寧に 示したお手紙でない限りは、ただ、本当に読んでおしまいという形になりかねないなと いう危惧は少しあります。  藤原座長  はい。実はさきほど最初に申し上げました施設の先生にずっとお待ちいただいている ようで、このテーマにつきましては、次回、持ち越しということで今日はまだ決めない というふうにさせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。どうぞ。  柳田委員  せっかくここまで議論してだいたい何となくぼやっとまとまりかかっているところも あるわけですね。そうすると基本的には一月ぐらい経った段階で手紙を出す。それは3 週間か4週間か5週間で、そのあたりは若干のばらつきはあってもいいと思いますが、 およそ一月前後ぐらいのところで出す。日本人の心性としては35日とか49日とかという 節目がありますから、それぐらいのところで少し落ちつきが出てくるかなという気もし ますね。そのあたりで手紙を出しますと実質的にお会いしたり何かするのは実際には49 日済んでからになると思うのですね。そのあたりでだいたい皆さんのご意見がまとまる のではないかと思うのですね。  もうひとつは、お手紙の中に選択肢をなるべく多く書いておくということ、それから 行動を起こすということ。当然、検証会議の仕事ですからコンタクトするのは検証会議 の専門家になるであろうと。電話にしろ、あるいは面談にしろ、専門家になる。そのあ たりは今日の議論の中でだいたいよろしいのではないでしょうか。その上で具体的に次 回でより実践的に。  藤原座長  はい。私、今、まとめようと思っていたのもほぼそれに近いのですが、まず、趣旨と 把握する事項についてはさきほどのことで、もう一度繰り返しますとここに書いてある 内容に世間に対して何かご意見があればということを趣旨に加えるということと、把握 する事項については考え方、意見、特に移植医療というものを具体的な内容として文言 に付け加えるということ、あとは手紙を出すとした場合にはいつがいいかということに ついては柳田先生、2、3か月というお話もありましたが、もっと一般的には1か月ぐ らいだということ。  選択肢としてはどんな形で手紙を完成させるか。この検証会議の主体性で接触するな ら、常に委員が主体であるということでございますね。実際の文言については今日、こ こでちょっと時間の都合で無理かと思いますので、次回、持ち越しということでよろし ゅうございますか。だいたいそんなところだろうと思うのですが、先生、どうぞ。  デーケン委員  今、柳田先生、おっしゃったこと、とても重大だと思います。私はオーストラリアで そういうことちょっと調べたところで、やはり向こうもいろいろな経験があって、あま り早く送りますと、手紙。やはり反応はあまりないですね。なぜかと言うと、皆、まだ いろいろな意味で忙しいとか、しかし、だいたい向こうで6週間とか良かったという話 でしたけれども、ですから、もしかしたら日本でちょっと見て、例えばあまり早くしま すと反応は少なければもう少し延ばしてもいい。今、柳田先生、おっしゃった49日の後 でいいタイミングだと思いますね。 (略)     問い合わせ先:厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室   電 話: 03−5253−1111  担 当: 小森(2362)、衣笠(2366)