00/07/19 女性と年金検討会議事録    「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」                (略称:女性と年金検討会)                  議 事 録            厚 生 省 年 金 局 年 金 課  「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」議事次第                 日 時 平成12年7月19日(水)10:30〜12:00                  於  厚生省特別第1会議室(7階) 1.開 会 2.厚生大臣挨拶 3.委員出席状況報告 4.委員の紹介 5.座長代理の選出 6.公開の取扱いの報告 7.議 事  (1)検討会設置の趣旨等について  (2)年金制度の概要について 8.閉 会 ○中原企画官  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「女性のライフスタイルの変化等に 対応した年金の在り方に関する検討会」を開催いたします。  開会に当たりまして、津島厚生大臣よりご挨拶申し上げます。 ○津島厚生大臣  おはようございます。厚生大臣の津島でございます。  皆様方におかれては、「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関 する検討会」、長い名前でございますが、女性と年金検討会にご参加いただきまして、 心から感謝を申し上げます。  申すまでもなく年金は社会保障の最も重要な柱でございまして、少子高齢化が急速に 進む中、安心できる年金制度を構築していくことは何よりも大切なことであります。そ のゆえに、この検討会についても大変関心を集めておりまして、早速今朝の日刊紙で社 説が出ていることはご承知のとおりでございます。  さきの通常国会におきましては、将来世代の過重な負担を防ぐとともに確実な給付を お約束するという考え方に立ちまして、年金制度の大幅な見直しが行われたところでご ざいます。しかしながら、女性と年金の在り方につきましては、今回の制度改正に当た って、重要な検討課題とされておりますものの、国民の意見が分かれたため、今後の検 討に委ねざるを得なかったものでございます。  今日、女性のライフスタイルは大きく変化しております。一生通じて働く女性が増え ていただかなければならない。また、離婚の増加の傾向もございますし、家族や就業形 態の多様化など著しいものがあります。また、これらに伴い、女性の意識も大きく変化 し、男女共同参画の視点に立った社会制度や慣行の見直しが求められております。年金 制度におきましても、このような女性のライフスタイルの変化に対応した制度に改めて いくべきであるという声が上がるのは当然であろうと思います。  しかしながら、一方では、今日 1,200万の専業主婦がいらっしゃいますし、女性の就 労条件や賃金水準には、残念なことでありますが、まだ厳しいものがあるということで ございます。したがいまして、年金制度の見直しに当たりましては、このような女性の 現状、社会的実態に対する配慮もまた必要であることは申すまでもございません。ま た、女性の年金問題は、他の社会保障制度ばかりでなくて、税制や民事法制などとも密 接に関連しておりまして、単に年金制度の分野だけにとどまらず幅広い分野にわたる検 討が必要でございます。 皆様方、御承知だと思いますが、今、アメリカの議会で、税制改正の一つの焦点にな っておりますのは、結婚をすると税が重くなると。これは税制としてどういうことだと いう議論がございますし、また、外国ではいわゆる2分2乗制度というような税制上の 制度を持っておったところもございます。そういう全体としての検討をしていただかな ければならない。  きょうお集まりいただいた皆様方は、民事法制や税制、社会保障、年金数理などの専 門家の方々でございまして、また、農業経営者や主婦などいろいろな立場におられる 方々がおられますので、それぞれのお立場からの貴重なご意見が伺えるものと期待して おります。大変難しいテーマではございますが、平成13年中の取りまとめを目指して、 皆様方の精力的なご検討をお願い申し上げる次第でございます。  なお、袖井先生には座長をお願いしたいと存じますので、大変御苦労をおかけいたし ますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。 ○中原企画官  カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、ご協力よろしくお願いいたしま す。                (報道関係者退室)  次に、本日御出席の委員の皆さんをご紹介させていただきますが、本日は第1回目の 検討会でございますので、僣越ながら事務局の方から委員の皆さんをご紹介させていた だきます。  委員総数は16名でございますが、本日は全員御出席いただいております。五十音順に ご紹介申し上げます。  今井延子委員でございます。  大島敬子委員でございます。  翁百合委員でございます。  駒村康平委員でございます。  佐藤英明委員でございます。  下村美恵子委員でございます。  住田裕子委員でございます。  袖井孝子委員でございます。  高島順子委員でございます。  永瀬伸子委員でございます。  中田正委員でございます。  藤野真紀子委員でございます。  堀勝洋委員でございます。  堀岡弘嗣委員でございます。  宮武剛委員でございます。  山口剛彦委員でございます。  以上でございます。  次に厚生省の職員をご紹介させていただきます。  年金局長の矢野でございます。  審議官の吉武でございます。  年金局企画課長の福井でございます。  年金局年金課長の大谷でございます。  年金局数理課長の坂本でございます。  そのほか、関係各部の職員が出席させていただいております。  最後に、私、年金局企画官の中原でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入らせていただきますが、本検討会につきましては、先ほど大臣か ら申し上げましたように、座長をお茶の水女子大学生活科学部教授の袖井委員にお願い することにいたしております。それでは、袖井座長よろしくお願いいたします。 ○袖井座長  袖井でございます。僣越ながら座長を務めさせていただきます。  ただいま大臣の方からお話がありましたように、本当に大変難しいテーマでございま して、今でも、私逃げ出したいような気分でございますが、女性の生き方が今非常に多 様化してきておりまして、横に切った場合に多様であると、専業主婦もいる、フルタイ ムもいる、パートもいる、派遣もいるということだけじゃなくて、女性が一生を通じ て、あるときは専業主婦であり、あるときは働いて、あるときは学生になるというよう な、非常に複線的な生き方をするようになりまして、今、年金制度だけではなくて、税 制から賃金システムから、あらゆる社会システムが、女性の生き方にマッチしなくなっ ているということを感じております。非常に難しい問題でありますし、何か一つの意見 でがっとまとめるということはなかなか難しいとは思いますが、委員の皆様方のご協力 を得て、円滑に運営していきたいと思っております。  幸い、今回のメンバーは非常に多様な方で、大体こういう検討会とか委員会というの は、専門家の方だけでごちゃごちゃっとやるのが多いのですが、本当にいろんなバック グラウンドを持っていらっしゃる方、とりわけ主婦の方も入っていらっしゃいまして、 そういう意味で、私は非常に今後の検討の行方というのに期待しております。よろしく お願い申し上げます。  それから、なるべくちゃんと出るつもりでおりますが、どうしても出られないという こともあるかと思いますので、座長代理を私からご指名させていただきたいと思います が、よろしいでしょうか。  それでは、ご多忙のところ、大変恐縮でございますが、宮武剛埼玉県立大学教授に代 理をお願いいたします。よろしくお願いします。 ○宮武座長代理  もっとふさわしい方がたくさんおいでになると思うんですけれども、ちょっと困りま したけれども、座長代理というのは、年金制度でいうと、第3号被保険者みたいなもの だと考えれば、袖井さんの袖のところに隠れておとなしくしておりますので、よろし く。 ○袖井座長  それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、事務局より、当検討会の議事の公 開等についてご報告をお願いいたします。 中原企画官 当検討会は、一般公開としております。また、議事の内容につきまして は、議事録を厚生省ホームページにおいて公表することとしたいと思います。後日、議 事録を作成し、委員各位に送付してご確認いただきますので、よろしくお願いいたしま す。  また、当会議の資料につきましても、求めがあれば、提供することにしております。 ○袖井座長  議事の公開等についてよろしいですか。事務局の方針で、皆様御賛同いただけますで しょうか。  それでは、次に検討会設置の趣旨と今後の進め方について、事務局からご説明をお願 いいたします。 ○大谷年金課長  年金課長の大谷の方からご説明申し上げます。座りましてご説明させていただきま す。  きょう机の上に資料をお配りしてございますが、これに基づきまして手短にご説明申 し上げます。まず資料1の2ページのところからですが、この検討会の開催の趣旨でご ざいます。略称「女性と年金検討会」というふうに名前をつけておりまして、以後、こ ういう名前で呼ばせていただきたいと思いますが、まず一つ目のマルでありますけれど も、女性のライフスタイルの変化、括弧に書いてありますように、(社会進出、人生設 計の多様化、家族や就業形態の変化など)を踏まえまして、女性と年金について年金制 度全体にわたる検討が必要になってきております。  具体的には、年金の中でどういう検討項目があるかということでありますが、個人単 位化の問題、主婦の年金の在り方、いわゆる第3号被保険者の問題でございます。それ から、遺族年金や離婚の場合の取扱い、パートタイム労働者の年金、こういった問題に ついて、現行制度に問題がありはしないか、こういうご指摘があるところであります。  これらのご指摘につきまして、実はこの3月にも法律が改正されましたけれども、こ の法案の準備には約3年ぐらいかかったわけでありますが、その過程で、年金審議会で もかなり突っ込んだご議論をいただきました。また、各種調査もいたしました。しかし ながら、前回の改正の中では、今後の検討課題として、別途検討の場を設けて検討を続 けるというふうになりまして、また、その後、法案の国会審議におきましても、これに ついての検討を急ぐよう、こういうご要請があったわけでございます。きょう国会の先 生方も傍聴席にご参加いただいておるところでございます。  また、女性と年金をめぐる課題は、年金に限らず、民事法制、税制それら幅広い分野 にわたるということで、この検討会におきましても、民事法制、税制、他の社会保障制 度など関連制度を含めて幅広く研究しながらご検討いただくということを主眼にしてま いりたい、こういうことで進めさせていただきたいと思います。  次のページに参りますが、これまである程度議論はしてきておるわけでありますけれ ども、その主なご指摘について、ざっと賛成、反対のポイントをご紹介を申し上げたい と思います。きょうは1個1個について議論する時間はないわけでありますが、最初の 会合でありますので、どんなことがポイントかということについて、もうちょっと突っ 込んでご説明申し上げます。  一つ目、〈個人単位化〉というところでありますけれども、年金を給付、負担両面に わたって、完全に個人単位に切り替えていこう、こういう考え方であります分改正すべ きという立場であれば、自立して働く女性、あるいはライフスタイルに中立と、こうい う観点から年金制度を個人単位化するべきだと、こういう指摘でございます。  一方で、そういたしますと、これはまだ就労等の社会実態が完全に追いついてないと いうこともありまして、急激に個人単位化に切り替えますと、多くの女性が低年金、無 年金等の不利益を被るおそれがあるということで、女性のおかれた社会実態に対する配 慮が要るのではないか、現状でまだいいのではないかという考え方があるということで あります。  それから〈第3号被保険者制度〉、この第3号については、後ほど年金制度全体の説 明で、もうちょっと詳しく申し上げますが、いわゆる被用者の配偶者、専ら専業主婦の 方々がその大半でありますけれども、そういう方々の制度であります。この方々は、自 らが保険料を納めるということではなくて、今の制度では被用者全員で負担し合う、こ ういう構造になっておるわけであります。ですから形の上では、専業主婦が直接保険料 を納めていない。そういうことにつきまして、一つ目の指摘、いわゆる改正すべきとい う指摘は、働く女性と専業主婦の間で負担が不公平ではないか。また、そういう制度が あるから、女性の就労には、抑制的に働くのではないか、いわゆる中立でない、こうい う指摘であります。  一方で、そういう制度を是とする立場は、そうは言っても、専業主婦に所得がないわ けでありますから、所得のない者から保険料を徴収するということを強制的に盛り込み ますと、無年金あるいは低年金が続出する可能性はないか。社会保障の見地から、そう いうことがとりえるか。  また、出産や育児など、生活様式の変化が大きい女性のライフスタイルを考えます と、その時期に全員で負担し合うということについては、制度として必ずしも不合理で はないと、そういう考え方であります。  それから、〈遺族年金〉につきましても、これは代表的な意見を書いておりますが、 年金を完全に個人単位化いたしますと、これは個人の負担で、個人の年金を受け取るわ けでありますから、いわゆる配偶者の年金を受け取るという考え方はなくなるわけであ りまして、そういう意味では、個人単位化の流れからいけば、遺族年金というものは縮 小、廃止すべきではないか、こういう立場であります。  一方で、女性のおかれた社会実態から見て、遺族年金を廃止するということで大丈夫 か。いわば先立たれた配偶者の老後の所得保障は大丈夫か、こういう指摘であります。  それから、ここには書いておりませんけれども、遺族年金については、まださまざま なご指摘がありまして、簡単に紹介しますと、紙には書いておりませんが、例えば働い ていた妻が、夫が死亡したときに、遺族年金というものを受け取るわけですが、大抵の 場合、夫の遺族年金の方が高いものですから、それを選択いたしますと、自分の掛けた 年金は受け取れない。ダブルで受給することはできない制度でありますので、いわゆる 掛け捨てという不満があると。夫の遺族年金を選択すると、自分の働きに応じて受け取 る年金が掛け捨てになる。こういう不満がある。  あるいは、離婚した後に、例えば別れた夫が再結婚して亡くなったということになり ますと、その後の妻の方に遺族年金が帰属していくわけでありまして、その当初の妻は 自分の基礎年金だけで遺族年金はないという問題がある。  あるいは遺族年金というのは、母子家庭に支給されるということでありまして、父子 家庭には支給されない。男女平等の観点からいかがなものかという指摘が遺族年金には あるところでございます。  こういった問題は、また個々の検討のところでまたかみ砕いて、また資料にしてまい りたいと思います。  それから、次のポイントで〈離婚時の取扱い〉ということでありますが、これにつき ましても、いろんな考え方ありますけれども、まず改正すべき立場であれば、例えば専 業主婦の場合であれば、離婚するときにその夫の老齢年金を分割するべきではないか。 また、働く女性の場合であれば、離婚時にそれぞれの年金を合算して分割するべきでは ないか、こういう考え方であります。現在の年金制度がいわゆる婚姻について中立的で ないという指摘であります。  しかしながら、現状維持という考え方に立ちますと、年金というのはそもそも一身に 帰属するものでありますし、それから、ほかの民法とか他の制度では、まだ離婚した ら、自動的に財産が真っ二つになる、こういったようなものはないわけでありまして、 年金制度が先行して、そういう方向に動くということは、国民意識の方でなじむかどう か、検討が要るのではないかということであります。  それから、次のポイントとして〈パートタイム労働者の年金〉ということであります が、これはちょっと話が複雑になりまして、資料なしでまことに恐縮なんですけれど も、今、パートタイムの労働者の方々については、労働時間の短い場合には、これは厚 生年金が適用されておりませんが、働いている以上、いわゆる2階部分である厚生年金 をもっと拡大提供するべきであるという意見。それから、今の年金制度でありますと、 例えば被用者の配偶者である場合であれば、収入が 130万円を超えますと、これは自営 業者と同じ第一号被保険者となりまして、今であれば、月々1万 3,300円の保険料負担 が発生いたします。そうなりますと、 130万円の手前で年収をとめておけば、この月々 1万3,300円の負担が発生しないということで、例えば年末に就労調整が起きているの ではないか、こういう問題があります。この辺のいわゆる 130万円の壁といいますか、 そういうものをどう扱うか。税制にも 103万円の壁というものはあるわけであります が、そういったことについての指摘。 今、厚生年金に加入した場合には、事業主と本人が折半で、17.35%という保険料をお 払いいただくというのが強制でなっているわけであります。それをパートの方々も2階 部分の強制加入というふうになれば、事業主負担も発生しますし、ご本人も今度は保険 料を別途払わなければいけなくなる。賃金に応じてこれは決まるわけでありますけれど も、負担が納得いただけるか。特に事業主の場合には、現在中小企業などのケースが多 いわけでありますが、厚生年金に加入することについては非常に負担感を持っておる、 そういう状況の中で、その制度を強制いたしますと雇用に影響することはないか。ある いは企業が非常に経営上苦しくなるのではないか、こういった指摘もあるわけでありま す。  それから、今の厚生年金というのは、所得再分配機能があります。例えば専業主婦世 帯の典型的なモデルで言いますと、23万 8,000円が今のモデルでありますが、1階部分 の13.4万というのは、これは収入にかかわらず受け取れる、いわば所得再分配の入った 機能なんであります。こういった年金制度に対して非常に勤務時間の短い低所得の方を 加えますと、実はほんのわずかの保険料を納めて非常に大きな年金を受け取ると、こう いうものが続発するわけでありまして、これは年金財政から見ても非常に厳しい面があ るわけであります。自営業の方々はそんな優遇の制度はない。1万 3,300円払わないと 1階部分はもらえないわけであります。勤務時間が短い、わずかな保険料、しかし、わ ずかな保険料で大きな年金を受け取る、これが年金の運営から可能かどうか、こういっ た非常にデリケートな問題もあるわけです。そういう非常に短い時間の労働を厚生年金 本人としてとらえるべきかどうか。いわゆる被用者とは何かという考え方。これは非常 に重要なテーマでありまして、慎重な検討が要るであろう。特に医療保険制度も同じ考 え方をとっております。被扶養者というものに対する措置があるわけでありまして、医 療保険にも直接はねますし、税制等にもこれは非常に直接影響がある問題であります。  それから、 130万円の問題でありますが、これにつきましても、これを上げようとい う意見と下げようという意見、両方あるわけであります。いずれにせよ、所得のない人 について、どこかの線で年金負担をかぶせないというルールをとる以上、線を引いたら 必ずその線の前後で、それは就労調整みたいな問題が起きるのではないか、消滅するこ とはないということであります。 そのあたり、実は年金審議会でも、これについてはかなり突っ込んだ議論を行いまし た。次の4ページ、5ページは年金審議会が平成10年の10月に提出されました意見書の 抄訳でありますが、その中に、今、私が口頭で申し上げましたようなことが1個1個、 例えば「個人単位化」とか「第3号被保険者」であるとか、文章で書いてございます。 あえて読み上げませんが、ぜひご参考にしていただきたいと思います。  そして、5ページをごらんいただきますと、下から二つ目のマルのところであります が、「検討会の設置」と書いておりまして、実はこのところが本日の検討会に結びつい ておるわけであります。「以上に述べたとおり〜多くの課題があり〜専門家からなる検 討の場を設け、早急に検討に着手すべきである」というご指摘を既にいただいておりま して、こういったご指摘に基づいて、きょうの検討会に至ったということであります。 ぜひ、この関係文については別途お読みいただければありがたいと思います。  それから、説明が長くなって申しわけありませんが、6ページに参ります。これはむ しろ先生方の方がずっとお詳しいと思いますけれども、年金について、政府関係の決定 等でもさまざまな計画やプラン、方針等が決められているもので、これはその代表的な ものの関係文を抜粋したものであります。例えば平成8年12月の「男女共同参画2000年 プラン」、平成11年8月の閣議決定の「第9次雇用対策基本計画」でありますとか、平 成11年12月「少子化対策推進基本方針」あるいは12年「男女雇用機会均等対策基本方 針」、こういったところにも年金にかかわる指摘記述等がありまして、これはどれも共 通して書かれておりますのは、「個人のライフスタイルの選択に中立的な社会制度」、 こういう観点からの検討というものがいずれにも書き込まれているところであります。  今回のこの検討会のテーマにも大きくこれがポイントになっていくのであろうかとい うふうに考えております。  それで、資料にはもうございませんけれども、こういった検討につきまして、今後ど ういうスケジュールで進めるかにつきまして、ちょっと事務局の腹案がございますの で、申し上げまして、それも併せて、またご審議賜りたいと思うわけであります。  今後の進め方としては、女性と年金問題については、年金審議会でも、実は相当突っ 込んだ議論を過去にしておりますので、それを一応御紹介した上で、その先の議論をお 願いしたいということでございます。年内はこれまでの蓄積を踏まえて、ちょっとお聞 き取り願うという局面が大きくなるのではないかというふうに思っております。  それを一応踏み台にいたしまして、来年度に入りましたところから、その中で、今度 は関心事項等もまた絞られてまいりますけれども、委員の方々から、それぞれの専門分 野に基づくレポートをちょうだいしたり、あるいはそれぞれの今言ったような論点につ いて、非常にご主張なりお考えが明快な方々がおられるわけですから、そういう方々を お招きして、いろんなポイントについて、ご主張なり意見なり指摘をこの場でヒアリン グといいますか、お伺いする場を設けてみたい。こういうようなことも事務方としては 考えておるところであります。  そこで、今、大臣が申し上げましたように、平成13年末に取りまとめをお願いしたい というのが事務方の気持ちであります。意見の一致を見たものについては改正の方向を 示し、あるいはそうでないものについては、整理した論点をまとめて、今後の検討につ ないでいくと、そういうことではいかがかということでございます。  以上、私の方から、この会の経緯、主な指摘のポイント、スケジュールについてご説 明を申し上げました。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。ただいまの、この検討会の趣旨、今後の進め方等に ついて、何かご質問とかご意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。  では、何もご質問がないようでしたら、年金制度の概要について……どうぞ、高島さ ん。 ○高島委員  今、説明がありましたように、年金審でこの検討会をつくるという要請に応じてこの 検討会が持たれたわけですけれども、ここでどういうまとめが出たかは、また年金審に 反映されていくことになると思うんですね。したがって、年金審は次の年金改正の議論 はいつからお始めになるんですか。 ○袖井座長  事務局よろしく。 ○矢野局長  実は年金審は今年いっぱいで廃止になることになっております。これは省庁再編に伴 いまして、審議会も原則廃止すると、こういうことになりまして、年金審議会もその一 環として廃止になるということでございます。  それで、この次の改正はいつかということでございますけれども、これは一応5年ご とという従来のペースでいきますと、2004年改正ということになるわけですね。それか ら、その審議の進め方につきましても、審議会廃止になりますけれども、何らかの検討 の場というのは必要になってくるわけでございますので、それをどうするかというの は、今、私どもがいろいろ検討しているところです。  それから、2004年につきましても、基礎年金の国庫負担を1/2に早急に引き上げる べきだと、こういうご意見もございますし、もし、そういうことが2004年を待たずに実 現できるということになりますと、その時点で制度全体の見直しが必要になってくる。 財政再計算もその時点でやらなければいけないということで、2004年がさらに前倒しに なる可能性も多分にございます。  そういうことで、実施時期、検討の場につきましては、いろいろ私どもとしても検討 しておるんですけれども、まだ明確な方針は現時点では立っておらないという状況でご ざいます。 ○高島委員  今、局長から説明がありましたように、年金審は来年からはなくなっても、何らかの 形の、検討会を設けないというわけではないでしょうから、変わった形で議論をなさる ということですから、こちらの検討会がまとめたものは、この検討会の意見として整理 がされたということですが、女性の年金を制度の中にどう組み込もうとするか実際に決 められるのは、そちらの新しく考えられる何らかの委員会が決めることですよね。 ○矢野局長  この女性と年金検討会というのは、先ほど紹介しましたように、年金審の議論に基づ いて、あるいは国会審議でもいろいろご議論いただいて、これをつくったわけです。こ れだけ皆さんに参加いただいて、世間の注目も浴びてやるわけですから、ここの検討結 果が尊重されないとか無視されるとか、そういうことはあり得ないと考えております。  ただ、ここで結論いただいた問題でも、制度全体で見た場合にどうなるのかというの は、また別の視点からもう一つ検討が必要になってくると思うんですね。あるいはここ で議論をいろいろいただきますと、今の制度の根幹に触れるような問題提起も当然出て くるわけでして、そういった問題については、制度全体の見直しをする中で、もう一度 議論いただくことになるのかと思います。ただ、ここのご議論が、無視されるとか、ど こかへ飛んで行ってしまうとか、こういうことはあり得ないと確信いたしております し、我々事務方としても、そういうことでやっていくわけですから、心配はないと思い ます。 ○高島委員  今、局長がおっしゃられたように、女性の年金、今までも何回も繰り返し、年金審の 中でも議論されてきていても、なかなか結論づけることが難しいということは、制度全 体の在り方と、もう一つ、先ほど課長から説明がありましたように、実際の生活実態は どうなのかということとかかわり合いがあるという二つの点がある。  そういう点を1年間の間に結論づけるというのは、私はとても難しいという気がする んですね。しかも、新しい、次の2004年に向けての年金の在り方についての議論を多分 来年ぐらいから始められるのでしょうけれども、それとの関係を見てみましても、この 検討会が1年でいいのかというのが私は最初から疑問なんです。本当ならば、世の中も 変化しますし年金の在り方も変化させなければいけないときに、1年で何らかの答えを くださいと言われても、1年で答え出せるのでしょうかという疑問を持っている。今、 2年にしなさい、3年にしなさいということは言いませんけれども、そういうふうな感 じがとても強いので、これはまたこれから議論していく中で、事務局としても考えてほ しいんですけれども、私はそういう危惧を持っていますので、そういうことを最初から 申し上げておきたいと思います。 ○袖井座長  何か、事務局よろしいでしょうか。 ○矢野局長  いつまでに取りまとめるかはいろいろなご意見があろうかと思います。ただ、だらだ らと3年も4年もやる、これもまた問題ですし、一応の予定としては、来年いっぱい, 13年中には何とかご意見を取りまとめていただいたらと、こういう希望でございます。 その時点で、やはりもう少し議論する必要がある、これでは足りないということであれ ば、これは皆さん方のご意見で少し延長してもっと議論すると。これは当然可能なわけ ですから、一応の目処として、13年年内いっぱいぐらいではどうでしょうかということ を申し上げているわけでございます。 ○津島厚生大臣  今のご意見全くそのとおりでございまして、年金にとどまらず社会保障制度の今の問 題というのは、社会がだんだん変わっていく、高齢化も進んでいく中で、一体将来どう したらいいかという国民の認識の統一ができてないんですね。ですから、議論をやるた びに、原点に戻っていろいろ言うんだけれども、その都度必要なことだけちょこっとや って、また、問題先送りと。私はこれはできるだけ繰り返さないようにしたいと思って おるんです。厚生省の皆さん方もそういう気持ちなんですね。  そこで、今のお話でございますけれども、かなり長い期間を要する改革に取り組まな ければいかんかもしれないが、やっぱり一定の期間を区切って、そこで問題点の整理を しないと議論が集約していかないと思うんですね。そういう意味で、一応の目処を、今 日は私から申し上げたわけでございますが、問題の深さというものは、私ども頭の中に 入れて、大事なことは、ここの議論が国民的議論になるように、そして国民の全体とし て、こういう方向にいくべきであるという方向性を持っていただくと私どもも改革に乗 り出していけると。だから、これも公開にいたしましたし、できるだけ皆様方のご意見 を広く発信していくように、事務局としても心がけていきたいと思います。 ○袖井座長  高島委員よろしいですか。 ○高島委員  はい。 ○袖井座長  私もそういう懸念がないわけではありませんし、それから、今全体として、社会保障 制度をどうするかという議論もいろんなところで進んでおりますので、ほかの動きと か、省庁再編に伴って年金審はなくなるそうですが、社会保障制度自体の議論をする場 がなくなるわけではないと思いますので、そちらの動きも常にこちらに伝えていただい て、やはり何かここが女の問題だけをやる、ちょっとセグレゲートされたような場にな ってしまうというようなことがないように、せび全体の大枠の中に取り入れていただき たいというふうに私は期待しております。よろしくお願いします。  それでは、そのほかに何か質問ありますでしょうか。よろしいですか。  それでは次に、今回は初めてでございますので、年金制度の概要について、事務局か らご説明お願いします。  大臣は所用でご退席になります。 ○津島厚生大臣  それでは、どうぞ、これからよろしくお願い申し上げます。                (津島厚生大臣退席) ○西村課長補佐  それでは、年金制度につきまして、私の方からご説明をさせていただきたいと思いま す。年金課課長補佐の西村でございます。  お手元の資料の2という束がございますけれども、「年金制度の概要」という図から 始まっている資料でございまして、7ページでございますが、ごらんいただければと思 います。  きょうは、第1回でございますし、年金制度について、ご専門の委員ばかりではござ いませんので、ごくごく基本的な年金制度の概要について整理をさせていただいたもの でございます。とりわけ女性の年金ということに着目して整理をしたものでは今回はご ざいませんで、年金制度そのものの基本的な知識というような形でございます。  まず7ページでございますけれども、年金制度の基本的な構造でございます。現在の 制度は、この図の塗ったところにございます、全国民共通の「基礎年金」、全国民が加 入しなければならない基礎年金の部分。サラリーマン等につきましては厚生年金など、 報酬比例の年金にも加入するという仕組みになっております。その上に、私ども「3階 部分」というふうに言っておりますけれども、厚生年金の上乗せとしての厚生年金基金 など企業年金の仕組みが用意されているわけでございます。  現在20歳から60歳までの全国民は国民年金あるいは基礎年金に加入することとなって おりまして、現在の被保険者数は7,050万人というふうになっているわけでございます。 このうち国民年金の「第1号被保険者」といっております自営業者等の方は2,043万人。 それから「第2号被保険者」といっております民間サラリーマン及び公務員などの被 保険者の方は 3,826万人ということになっておりまして、第2号被保険者の方は、国民 年金のほかに厚生年金ないし共済年金という報酬比例の仕組みにも加入しなければなら ないということになっております。  「第3号被保険者」といいますのは、第2号被保険者の被扶養配偶者ということでご ざいまして、この方々は 1,182万ということになっております。 この下の表のところにございますように、1号被保険者、2号被保険者、3号被保険 者それぞれ保険料ないしは負担の仕組みが違っておりまして、第1号被保険者の場合は 保険料が定額、現在月額1万 3,300円というふうになっておりますし、第2号被保険者 の場合は、保険料は報酬額に比例で保険料率 17.35%ということで、この保険料を労使 で折半しているということでございます。 それから、先ほどこの検討会のテーマの一つというふうにご説明がありました第3号 被保険者につきましては、被保険者本人は負担を要しないという仕組みになっているわ けでございます。  現在の給付額等につきましては、下のところにございますけれども、国民年金の場合 は6万 7,017円、サラリーマン夫婦で厚生年金のモデル的な給付額は23万 8,000円とい うことになっているわけでございます。 続きまして、8ページでございますけれども、現在の公的年金制度の基本的な給付体 系でございます。現在年金制度におきましては、老齢給付、障害、遺族、この三つの給 付があるわけでございます。老齢年金につきましては、厚生年金であれば60歳、国民年 金であれば65歳に達すると支給されるという制度でございまして、25年以上制度に加入 するという要件になっております。給付の額は国民年金ないし基礎年金で月額6万7,000 円ということで、この額は老後の基礎的な生計費を賄う水準になっているわけでござい ます。 それから、厚生年金につきましては、ここに書いてありますような算定方法で個々人 によって額が違ってくるわけでございますけれども、一般に夫婦2人の世帯、この場合 には、夫40年加入、妻は専業主婦の場合で計算しておりますけれども、月額23万 8,000 円というのが標準的な年金額ということでございまして、これは現役男子の年収の約6 割を確保する水準になっているということでございます。  それから、障害年金でございますけれども、これは制度に加入しているときにかかっ た障害になった場合に支給するという仕組みでございまして、制度に加入している期間 の2/3以上保険料を納めているという原則的な要件がございます。  遺族年金につきましては、被保険者が死亡したとき、被保険者によって養われていた 遺族に対して支給するというような仕組みになっておりますが、配偶者につきしては、 遺族基礎年金の場合は、子がある妻にのみ支給されるということでございまして、子ど もがいない場合には支給されませんし、夫には支給されないというような仕組みになっ ております。これもこの検討会の一つのテーマなんだろうと思います。  現在の受給権者数等はこの右側に書いてあるとおりでございます。  次に9ページでございますけれども、公的年金制度と申しますのは、今ほど申し上げ ましたように、国民年金制度と被用者年金制度に大きく分けられるわけでございますけ れども、被用者年金制度は、なお、幾つかの制度に分立しているわけでございます。  国民年金につきましては、基礎的な数字がここにございますように、被保険者数が現 在 7,050万人、基礎年金の受給権者が 1,900万人ということでございまして、一般に成 熟度と申しておりますけれども、要するに払っている人ともらっている人の比重、割合 は27%ということに現在なっています。 それから、被用者年金制度につきましては、現在民間サラリーマン、サラリーウーマ ンにつきましては、厚生年金保険に加入しているわけでございまして、これが最大の制 度であるわけでございます。厚生年金の場合は適用者数が 3,300万ぐらい、受給権者が 822万人で成熟度が24.9%ということでございます。このほかに国家公務員につきまして は、国家公務員共済組合、地方公務員につきましては、地方公務員共済組合、私学の教 職員につきましては、私立学校教職員共済、農協の職員等につきましては、農林漁業団 体職員共済組合という、それぞれ被用者年金制度に加入する仕組みになっておりまし て、現在五つの制度が被用者年金についてはあるということでございます。  次に10ページ以降は、基礎的なデータをお示しをさせていただいております。まず国 民年金についてでございますけれども、現在被保険者数は合計で 7,050万人、うち1 号、2号、3号の数がここに書いてあるとおりでございます。  男子、女子別に見てみますと、男子の場合は被保険者 3,566万人のうち1号が 997万 人、2号が 2,565万人、男子の第3号被保険者数は4万人ということになっておりま す。これはいわゆる専業主夫という方々でございます。  女子の場合は、現在 3,484万人の被保険者がおられまして、第1号が 1,045万人、2 号が 1,261万人、3号が 1,178万人ということで、女子の場合は1号、2号、3号の数 がほぼ均衡していて、同じぐらいの数になっているというようなことでございます。  11ページでございますけれども、受給者数の推移ということでございますが、ここ5 年ほどの推移を見てみましても、急速な高齢化に伴いまして、受給者は急増していると いうことでございます。老齢年金の受給者は 1,408万人ということでございまして、そ のほか、障害、遺族それぞれ受給者がここに書いてあるとおりでございます。 それから、受給者の平均年金月額ということでございますが、老齢年金についてごら んいただきますと、5万 2,026円ということに現在なっております。満額、つまり基礎 年金の満額は6万 7,017円に現在なっているわけでございますけれども、現在年金制度 は成熟途上でございまして、必ずしも40年間の加入を満たした方ばかりではございませ ん。これからどんどんと加入年数は延びていくわけでございますが、現在のところどん どんと加入年数は延びておりまして、現在5万 2,000円まできていると、こういうとこ ろでございます。 それから、12ページは厚生年金についてでございます。厚生年金につきましては、事 業所ごとに適用されているわけでございまして、原則としてすべての法人格を持つ事業 所、5人未満の職員数であっても法人格を持っていればすべての事業所に適用されると いうような仕組みになっておりまして、現在適用事業所数はここにありますように 169 万というふうになっているわけでございます。 それから、厚生年金の被保険者数でございますが、合計が現在 3,300万人ほどでござ いまして、男子と女子の割合はおよそ2対1ということになっております。女子の厚生 年金被保険者につきましては、現在 1,083万人ということでございます。 それから、平均標準報酬月額でございますけれども、標準報酬と申しますのは、いわ ば月収をもとに計算されるものでございますけれども、これに基づいて保険料が掛けら れるというもとになる数字でございますが、平均でいきますと、現在31万 6,000円程度 ということになっておりますけれども、女子の場合は21万 8,000円ということで、男子 に比べてかなりまだ低くなっているということでございます。推移を見ますと、女子の 場合であっても、ここ数年でかなり上昇していることは確かでございます。 13ページでございますけれども、受給者数につきましては、ここに書いてあるとおり でございます。 それから、平均年金月額につきましても、老齢年金の額が加入年数の延び等に伴いま して伸びてきておりまして、現在のところ17万 5,000円ぐらいということになっており ます。 それから、新規裁定の老齢年金受給権者の状況というのが一番下にございますけれど も、これにつきましても、平均年金月額がここに書いてあるとおりになっているという ことでございます。 14ページは、国民年金及び厚生年金の財政状況はここに書いてあるとおりでございま す。収入の中には保険料収入、運用収入、ここには書いておりませんが、そのほか国庫 負担もあるわけでございますけれども、かなり厳しくなっていることがごらんいただけ ると思います。 例えば、厚生年金の平成10年度の状況を見ますと、実質的な収支差額がここにござい ますように5兆円ほどあるわけでございますが、うち運用収入が5兆 2,000億円という ことでございますので、運用収入がなければ赤字になっているということでございまし て、既に積立金の運用収入を計算に入れて初めて黒字になっていると、こういうような 状況になっております。今後、財政状況はまだ苦しくなることが予想されるわけでござ います。 ちょっと急ぎますが、15ページでございます。公的年金制度につきましては、昭和17 年に初めて労働者年金保険という形で発足した後、昭和36年に国民年金法が全面的に施 行されまして、国民皆年金が実現されたということでございます。 その後、制度が充実されて、昭和48年には物価スライド制が導入され、昭和60年には 基礎年金制度の導入など、抜本的な改革が行われました。その後、基本的には5年に一 度の財政再計算期に制度改正が行われておりまして、平成元年、平成6年、そして、平 成12年といったような5年に一度の改正が行われております。  一番直近の改正は平成12年の改正でございますけれども、これにつきましては、16 ページに基本的な考え方をまとめてございます。この改正につきましては、この3月に 国会を通過いたしまして、4月から施行されているものでございますけれども、今回の 制度改正につきましては、少子高齢化の予想以上の進展、そして、経済基調の変化とい ったような背景の下に、将来世代の負担がこのままの制度では大きく上昇してしまうと いうことをどう考えるかという問題意識の下に制度全体の見直しが行われたということ でございます。基本的な考え方は、子どもや孫の世代の負担が過重なものにならないよ うにするということと、年金制度が将来にわたり安定して、国民の老後を支え続けられ るようにするということで、将来の厚生年金保険料を年収の2割程度、本人でいいます と、1割程度に抑制するとか、あるいは給付総額の伸びを調整するための措置を講じる ということで制度改正が行われたということでございます。  先ほど話題になりました基礎年金の国庫負担率の引上げにつきましては、今回の改正 法附則に、ここに書いてありますように、「当面平成16年までの間に、安定した財源を 確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図るものとする」というふうに規定さ れております。この改正を行うことによりまして、将来の厚生年金保険料率が改正を行 わなければ、年収の26.7%までいってしまうところが2割程度に抑えられると、こうい ったことでございます。  制度改正の詳細につきましては、17ページに記載しておりますが、これはとりあえず 飛ばさせていただきまして、18ページ以降は、今回の財政再計算に基づく保険料等の将 来見通しなどでございます。現在の保険料の設定の考え方につきましては、高齢化に伴 いまして段階的に保険料を引き上げていくという考え方に立っております。現在のとこ ろ17.35 %ということでございまして、現在特例法によりまして、保険料率が凍結され ているわけでございますけれども、今回の財政再計算では、今後ここに書いてあるよう な形で保険料を引き上げていった場合に、改正を行わなければ34.5%になるところが、 今回の改正案では27.6%に保険料率が抑えられるというような計算になっております。 19ページは、財政見通しでございますが、年金制度は長期の財政収支を考えて計算し ているものでございまして、2025年には最終保険料率に達するということで、その後、 収支が均衡するというような計算になっておりますけれども、ここに書いてありますよ うに、その後も高齢化の進展等によりまして支出は増えてまいるということでございま す。 次、20ページでございますが、厚生年金の被保険者等につきましては、2060年までの 見通しを立てておりますけれども、一番右の成熟度をごらんいただきますと、現在は被 保険者数分の受給者が25%程度でございますが、2025年には46%、将来的には50%程度 まで上がっていくということが予想されております。 21ページは国民年金でございます。国民年金につきましても、同様に段階的に保険料 を引き上げていく考え方に立っておりまして、今回の改正案では、将来の最終保険料は 2万 4,800円というところまで上がっていくということでございますけれども、今回の 制度改正によりまして、改正を行われなければ、2万 6,400円まで上がってしまうとこ ろを抑制したという考え方になっております。 22ページは国民年金の財政見通しでございまして、これにつきましても、厚生年金と 同様に今後しばらく支出が増えてまいります。2025年以降、最終保険料に達するわけで ございますが、その段階には、保険料が2万 4,800円ということでございます。 23ページは国民年金の被保険者数等でございますが、現在約 7,000万人というところ でございますけれども、これが2025年には、ここに書いてあるような数字になっていく ということで、今後現役の人口が減っていくということで、一方、受給者が増えるとい うことで、成熟度は50%を超えるというようなことが予想されております。 最後に24ページでございますが、これは諸外国の公的年金制度の基本的な体系を書い たところでございます。必ずしも女性の年金がどういうふうに取り扱われているかとい った観点で整理したものではございません。そういったものにつきましては、改めてそ れぞれのテーマをやるときに資料として提出させていただきたいと思いますけれども、 これは日本の制度の場合、1階、2階、つまり1階(基礎年金)、2階(報酬比例)の 厚生年金という仕組みになっておりますが、それに対応する構造が各国でどうなってい るかというのを示したものでございます。ドイツやフランスは産業ごとに縦割りの仕組 みになっておりますし、スウェーデンやイギリスにつきましては、日本と同様に1階は (基礎年金)、被用者につきましては、報酬比例部分があるという仕組みになっており ます。アメリカは全体が報酬比例で動かしていると、こういった仕組みになっているわ けでございます。  例えばドイツやフランス、イギリスなどにつきましては、必ずしも皆年金という形に なっておりませんで、一定額以下の所得の方、例えば所得のない方については加入しな くてもよいということになっておりまして、ここの表にある中で、完全に日本と同様に 皆年金になっている国はスウェーデンだけでございます。  ちょっと急ぎましたけれども、ざっととりあえず資料をご説明させていただきまし た。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、質問とかご意見あり ますでしょうか。 ○佐藤委員  遺族年金の給付水準についてお伺いをいたします。13ページを拝見しますと、厚生年 金については、老齢年金が17万 5,000円なにがしで、遺族年金が9万円ということで理 解できる数字ですが、11ページ、国民年金を拝見しますと、老齢年金が5万2,000 円の 水準であるのに、遺族年金はそれを超えた8万 1,000円となっておりますが、遺族年金 の方が増えるということにはどういう仕組み上の理由があるのか、お教え願えればと思 います。 ○袖井座長 お願いします。 ○事務局  遺族基礎年金の金額ということでお尋ねがありましたが、遺族基礎年金が支給される のは、子又は子のある妻ということですので、基礎年金の満額6万 7,000円に子の加算 額が加算された金額が基本的に支給されております。一方、老齢基礎年金の方は、期間 比例の年金ということで、加入期間40年を満たさない方については、満額6万 7,000円 より少ない金額になっております。 ○袖井座長 よろしいでしょうか。 ○住田委員 きょうのご説明は今までの審議の経過等でまとめられた資料だと思うんですけれど も、これから私どもに課せられたテーマとしましては、やはり今の女性の問題について どうかということが一番大きいと思いますので、そういう意味では、今の女性の労働力 率とか、それからパートタイム労働者がどのぐらいいて、その報酬がどのくらいであっ て、それがもし入った場合には年金としてどういうふうに反映されるかとか、そういう シミュレーションをぜひ今後の資料としていただいて、それをもとに考えさせていただ きたいと思います。 それから、今の女性全体の被保険者数だけ出ていますけど、それの年齢構成を見た ら、今後将来女性はどういうふうな形になっていくだろうかということを見通すことが できますので、長期的展望のための資料をぜひご用意、今後お願いいたしたいと思いま す。 ○袖井座長 よろしくお願いします。はい、どうぞ。 ○大谷年金課長 次回以降、準備いたします。 ○袖井座長 そのほか、何かありますでしょうか。ちょっと先ほどの11ページのところ、質問した いんですけれども、「受給者数の推移」の遺族のところの13万人というのは、子どもの ある人だけじゃないですよね。その辺はどういう比率になっているかわかります。上の (2) の受給者数の推移というところ、遺族年金13万人ですよね。これが全部母子の加給 年金もらっているというわけではないですよね。 ○西村課長補佐 国民年金の遺族年金の場合は、要するに生計維持者が死亡した際に、生計を維持され ていた遺族に支給されるものですので、必ずしも配偶者である妻だけでなくて、子ども であるとか、そういう人にも出ることにはなっておりますが、内訳は、今すぐわかりま せんので、調べて、またご報告いたします。 ○袖井座長 そのほか、どうぞ。 ○永瀬委員 ぜひ教えていただきたいのが、女性の場合は国民年金、厚生年金、共済ですとか、一 生の間に制度間を移動する方が多いんですね。ところが、国民年金は国民年金だけと、 厚生年金は厚生年金だけという形で公表統計は出ていますので、1 人の人で見た場合 に、全部を積み上げた受給額がどういう分布になっているのかが解りません。 さらに、今度これを世帯単位に見た場合に、夫もいろんな方がいらっしゃるわけで、 それを世帯単位で見た場合の平均と分布がどのようになっているかというのは、恐らく 既存の、私が知っている範囲ではなかなか見ることができないものでございますので、 ぜひ、その辺の基礎資料を出していただきたいというふうにお願い申し上げたいと思い ます。 ○袖井座長 できますでしょうか。 ○大谷年金課長 個人に着目してずっとフォローするというのは、今の社会保険制度ではなかなか限界 がありまして、完全なものができるかどうかわかりませんが、できるだけ検討いただけ るようなベースはつくりたいと思います。 ○永瀬委員 恐らく既存統計の再集計、それも年金ベースの統計はどうかわかりませんけれども、 幾つかの官庁統計の再集計をすることによって、ある程度はわかるのではないかと想像 しておりますが、今まで余り出されてないのではないかという気がしております。○袖 井座長 よろしいですか。ただ、地方公務員は自治省とか国家公務員は何とかとか違い ますね。そういうのはずっと続けたデータが得られるんですか。その辺はどうなんでし ょうか。 ○大谷年金課長  1人の人の動きをずっと追っていて、だれが幾らもらったみたいなデータはないもの ですから、毎年断面で切って、各制度ごとの金額はあるんですけど、そういう意味でち ょっと限界があると思うんですが、平均値なり組み合わせて推測する、ある程度はでき るかなということだと思います。 ○袖井座長  はい、わかりました。そのほか、何か。 ○堀委員  今の点ですけれども、制度を移った場合のそれぞれの年金額を示す資料は無いと思う んですが、ただ、国民生活基礎調査で、現在もらっている基礎年金部分とすべての報酬 比例部分の合計額は、いろんな世帯類型別で出ると思います。 ○下村委員  下村と申します。先ほどのご説明にありましたけれども、パートタイムの方が、保険 料を払うということになると、例えばわずかな保険料でかなりの高受給を得るとう仕組 みがもちろんわかるんですけれども、そうしたシミュレーション的な、先ほどの方の関 連なんですけれども、資料的にはご請求してよろしいのでしょうか。可能なんでしょう か。 ○大谷年金課長  いろんな収入ごとに試算することができますので、資料をつくってお出ししたいと思 います。 ○袖井座長  そのほか何か、例えばご希望とかありましたら、よろしいでしょうか。  それでは、余りご質問もないようですので、それから、もし、何か今後の進め方につ いてご意見ございましたらお聞かせいただければと思うんですが、よろしいですか。今 後いろんな資料なども、事務局の方にお願いして、どんどん出していただいて、それか ら、難しい再計算などもあるかもしれませんが、ぜひいろいろ出していただきたいとい うふうに希望しております。 ○西村課長補佐  先ほどの遺族年金の受給者の内訳わかりましたので、ご報告いたします。 ○事務局  社会保険庁の廣瀬でございます。先ほど国民年金の遺族年金受給者13万人の配偶者と 子どもの内訳の件でございますけれども、子どもが13万人のうち約 8,000人でございま す。端数がつきますので、配偶者残りでございまして、12万 6,000人となってございま す。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。  では、まだ時間が余っておりますので、一言おっしゃりたい方とか、あるいは女性と 年金問題についての所感とか、何でもお聞かせいただければと思いますが、いかがでし ょうか。堀先生いかがでしょうか。 ○堀委員 もう既に出ている、あるいは事務局から説明があったと思うんですが、この問題非常 に複雑なので、多様な角度から考えていく必要がある。単に年金制度の中で合理的か否 かということだけではなくて、多角的に検討する必要がある。例えば、第3号というの は年金制度の問題なんですが、医療保険の場合も同じ被扶養配偶者の問題があります し、介護保険でも同じような問題があるんですね。だから、年金制度だけを変えるとい うわけにはいかない。ほかの社会保障制度をも視野に入れてほしいというのが一つ。  それから、それだけじゃなくて、制度には社会の実態が反映されている。歴史的な経 緯というのもありますし、年金制度の中だけで考えていくのではなくて、それこそ女性 のおかれた社会経済的な地位とか賃金、勤務条件とか、そういう広い視野の下で議論し ていく必要があるのではないか、そういう考えでおります。 ○袖井座長  ありがとうございました。ほかに何かご意見ありますでしょうか。どうぞ。 ○大島委員  お願いなんですけれど、素人ですので、勉強して臨みたいというのがありますので、 資料は今後会議の前、1カ月なり何なりの前に送っていただいて、検討して臨むという ふうな形にしていただければありがたいと思います。当日読むよりは。 ○袖井座長  それはできますよね。 ○大谷年金課長  全部間に合うかどうかわかりませんが、できるだけ前広にお届けできるよう努力した いと思います。 ○住田委員  私自身、法務省におりまして、民法の改正等を担当いたしました。現在は弁護士であ りまして、専業主婦の方を含めていろいろ女性の方のご相談受けているわけなんですけ れども、今回20世紀の最後、21世紀に向けて、女性のライフスタイルということを考え るときに、はっきり言って、避けて通れないのは専業主婦をどう見るかという問題であ ろうと思っております。きょうも女性の方がたくさんいらして、両方の立場の方がいら っしゃると思うんです。  私自身は専業主婦になるかならないかの瀬戸際で、仕事やたまたま環境が非常に恵ま れていた結果、専業主婦にならないで仕事が続けられたという状況にありまして、私の 年齢が最も戦後高度経済成長の中で、仕事場と居住の場が分離している中で専業主婦が 多かった世代でして、まさに私の周囲の問題であるというふうに認識しております。  ただ、今後専業主婦がどうなるかということについては、いろんな考え方があろうか と思いますけれども、社会学者の方にお聞きし、専業主婦が現在のように多数派になっ たのは、産業構造が転換するという社会情勢の中で生まれてきた結果だというふうに私 自身は考えるようになっております。そうしますと、21世紀は専業主婦というのは、比 較的減っていくだろうと。もちろん豊かな層として一部は残るだろうということで、き ょうの大臣のお話でも、女性が一生働き続けられるようにと言われたのは、それは当た り前のことになるだろうというふうな気持ちがしております。  ただ、その一方で、今、いらっしゃる専業主婦というのは、まさに私の仲間の問題で ありまして、その彼女たちがどうあるかということ、その二つの側面から考えたいなと 思っておるんです。そういう意味で、専業主婦についての、社会学者のご意見というの をぜひ聞いていただきたいなと思っております。  それともう一つ、財源の問題というのは非常に大きな問題があると思うんですけれど も、やはり長期的展望のときは財源は財源としても、筋論としてどうあるべきかという ことについても議論を尽くしておいていただいて、その中で財源等、現実論とのすり合 わせということのソフトランディングを考える、二つの方向性をぜひ考えていただきた いと思っております。以上です。 ○袖井座長  藤野委員は専業主婦でいらっしゃったんですか、もし何かご意見ありましたら。 ○藤野委員  私、専業主婦10年いたしまして、ですから、つい最近3号から1号に移ったというこ とで(笑)、両方の面を持っておりますので、それぞれ女性の立場ということでお話し 申し上げられたらと思っておりますけれども、ただ、私全く場違いかなというふうに申 し上げたぐらい専門的な知識ございませんので、主人からちょっとレクチャー受けまし たけれども、主人も全くだめでしたので(笑)、数回拝聴しながら勉強させていただい て、意見まとめていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○袖井座長  大島委員はいかがですか。 ○大島委員  私も長い間、自分の生き方を含めまして、女性の生き方というものを考えてきました ので、理論はこうだけれども、実際はこうなんだとか、実際はこうだけれども、主婦の 気持ちとしてはこうなんだというようなところで、何か発言できていけばいいかなとい うふうに思っています。 ○袖井座長  ありがとうございました。そのほか、何かご意見とか、翁委員いかがでしょうか。 ○翁委員  私の立場は既婚の2号被保険者ということですけれども、エコノミストとしての立場 からは、今までいろんな先生方がおっしゃった点に大変同意する点が多うございまし て、やはり所得分配の公平性という観点と、これから少子高齢化という中で、パイが だんだん小さくなっていくという社会を見据えて資源配分の効率性、その両方の観点か ら、この女性と年金の問題を勉強して検討させていただきたいと思います。 ○袖井座長  何か事務局に希望とか、今後の何かありますか。 ○翁委員  さっき住田委員がおっしゃった点と同じでございまして、きょうは年金制度の全体的 な概要をご説明いただいたわけですが、実際に今女性がどういうライフスタイルになっ ているか、今の現状と長期的な展望、それは賃金水準とか人口構成、そういったことも なるべく細かい数字を見せていただいて、それで議論の素材にさせていただきたいと思 いますので、ぜひいろいろそういった資料をお願いしたいと思います。 ○袖井座長  ありがとうございました。そのほかに何かありますか。堀岡委員は、例えば人事担当 者として、女性の問題についてどうですか。 ○堀岡委員  男女雇用機会均等法もあり、これからは女性が企業の中で従来以上に活躍される時代 が来るというふうに思います。一般的に年金について申し上げると、社会保障的な公的 年金と企業がサポートする企業年金と、それから貯蓄に近い個人で加入する私的年金と がありますが、貯蓄的な私的年金と社会保障的な世代間負担の年金との関係も含め、企 業年金のあり方について、今、企業の中で随分議論されています。「年金」というと、 公的年金、企業年金、私的年金がどうもごちゃ混ぜになっているような気がします。企 業が個人にどれだけサポートできるか、これは労使自治の下で企業年金を制度設計して いますが、女性という部分だけを特出しにして議論していくイメージはありません。し かし、今日お聞きしていて、やはり女性、特に専業主婦と働く女性との関係も意識する 必要があると思いました。今、企業の中では個人・企業の相互選択をキーワードに、処 遇についても複線型だとかを取り入れようとしていますので、画一的な議論ではなく て、専業主婦でも働いている女性でも、選択肢を増やすという前提で、社会保障として 国がどこまで考えるのか、企業がどれだけサポートできるのか、本人がどれだけ自助努 力するのか、総合的に議論をしていただけないかなと思います。  企業から言いますと、社会的責任という部分は十二分に認識していますけれども、や はり、企業が競争力という点からして、負担が増えるということは企業にとっては厳し い部分があるなと思っております。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。東芝は多いですよね、女性従業員は(笑)、どうで すか。 ○堀岡委員  何を基準にして多いかはわかりませんが、基本的には応募は自由ですので、そういう 意味では他社に比べて女性の方が随分活躍されていると私は思っておりますが。 ○袖井座長  そのほか、何かご意見ありますでしょうか。駒村委員、お若い男性の立場からご意見 ありますか。 ○駒村委員  今までお話があったように、専業主婦の取扱い、評価というのは非常に分かれてくる ところだと思うんですけど、いろいろ新聞とかの投書を見ていると、専業主婦は子ども を育てているんだと、いろいろ負担もありますという話と、共働きから見ると、私たち も育てているんだという話もまた出てくるわけでして、なかなかこの辺の議論もあるわ けだと思うんですけれども、もう一つは、年金を通じて、子育てのメリットもあるよう な形、要するに積極的に何か年金の魅力を高めるような部分も一緒に考えていければな と、こういうふうに思っております。どうもありがとうございます。 ○袖井座長  下村委員、女性センターでいろんな女性をごらんになっていると思いますけど、何か ございます。 ○下村委員  私も女性の自立、あるいは男女の平等ということを目指して社会教育の現場で多くの 女性と接してまいりまして、現実が非常に厳しいなということを日に日に感じていると ころです。ですので、そういった女性たちのご意見ももちろん、ありようもそうなんで すけれども、私自身が一貫して働き続けることができなかったといういきさつを持って おりますので、先ほど袖井さんがおっしゃったように、1人の中のライフスタイルも、 実は女性の場合は非常に自分の意思とは裏腹に、そういうことを余儀なくされて生きて いかなければいけなかったという時代もありましたので、そういうこととをからめて、 年金制度をさぐっていくと、結局保育所の問題ですとか働く問題とか、いろんな税の問 題、すごく多様に絡み合っているなということがわかりますので、現場の女性たちの、 私の日々やりとりしている現実の思いと、自分とを重ね合わせて、なるべく現実的な議 論ができればいいかなと思っています。よろしくお願いします。 ○袖井座長  ありがとうございました。いろんな女性の生き方が多様化していますが、既存のデー タで再集計できる部分とできない部分もありますので、できれば、調査なんかもやらせ ていただければななんて個人的に、こんなこと言っちゃいけないのか(笑)。女性のラ イフスタイルというのをちゃんととらえる、そういうことも必要かなということでござ います。  中田委員は何かございます。 ○中田委員  いろいろお話を伺っていまして、大変なテーマだなというのが正直な感想です。例え ば、ここにおられる委員も、男の委員はみんな第2号被保険者だと思うんですが、女の 委員は第1号から第3号までおられるということに端的にあらわれているように、女性 はいろんなライフスタイル、いろんな生活の仕方をされていて、これは大変難しいテー マだなという感じがいたしております。  他の委員もおっしゃっておりますけれども、議論を進める時に、理念的な話と実態の 話と両方あると思います。私はアクチュアリーですので、そういう立場から申します と、理念的な話だけでいくとちょっと上滑りの議論になるのかなという感じがいたしま して二つの柱の一方として実態的な話をできるだけしたいという気持ちがございますの で、実情を示すデータをいろいろお出しいただけたらと思います。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。確かに女性の生き方、多様ではありますけれども、 最近は男性もかなり多様化しておりまして(笑)、フリーターもたくさん増えていると いうふうに今度の労働白書にもありますので、私はある意味では女性の方が先取りして いるのではないかと。やっぱり男の人は今まで非常に単調な画一的なライフスタイルだ ったけど、そっちの方がおくれているのではないかなんていう気もするんですね (笑)。ここの検討会は「女性と年金」ですけれども、将来的に考えれば、男女を問わ ず個性的な自分の選択ができるような人生を歩めるというふうなスタンスでいった方が いいかなというふうに考えております。  時間もそろそろ迫ってまいりましたので、一応本日の質疑はこれで終わらせていただ きたいと思います。次回の開催について、事務局からご説明お願いします。 ○中原企画官  次回は「女性と年金」に関して指摘されております主な課題につきまして、これまで の考え方や議論を整理することとしたいと考えております。  9月を予定しておりますが、先ほどお配りいたしました日程調整表をお帰りの際に回 収させていただき、皆さんのご予定をこれから調整させていただきます。なお、本日予 定がはっきりされない方は、後ほど予定をご確認いただいてから、ファクシミリ等でお 送りいただきたいと存じております。後日、第2回検討会の日時をご連絡させていただ きますので、よろしくお願いいたします。 ○袖井座長  それでは、本日の検討会はこれで終了いたします。本日はお忙しいところ、どうもあ りがとうございました。 (照会先) 厚生省年金局年金課 梶尾(内3338)三浦(内3335)