00/06/28 第4回健やか親子21検討会議事録         第 4 回 健 や か 親 子 21 検 討 会               厚生省児童家庭局母子保健課             第4回健やか親子21検討会議事次第                             平成12年6月28日 (水)                             13時〜16時                             霞が関東京會館 1 開会 2 委員紹介 3 議事 (1)「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」について (2)「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」について (3)その他 (資料) 1 思春期関係議論たたき台 2 妊娠・出産・不妊関係議論たたき台 (参考資料) ○ 健やか親子21検討会資料集4 ○ 生殖医療技術についての意識調査集計結果 ○ WHOの59ケ条お産のケア実践ガイド ○ ふたごの育児 ○大平課長補佐  定刻になりましたので、ただいまから第4回「健やか親子21」検討会を開催いたしま す。本日は21名出席予定でございますが、こういう天気でしょうか、若干おくれている 方がございますけれども始めさせていただきます。 先生方には大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。まず初 めに、本日初めて御出席されました先生を紹介させていただきます。日本医師会の雪下 先生でございます。 それでは、平山座長に以後の議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○平山座長  先生方にはお忙しい中を、また今日は特にお足元の悪い中をお集まりいただいてあり がとうございます。これから第4回「健やか親子21」検討会を始めさせていただきま す。 それでは、今御紹介ございましたが、今日初めて御出席いただきました日本医師会常 任理事の雪下先生から一言ごあいさつをいただきたいと思います。先生は日本医師会の 常任理事でいらっしゃって、母子保健や感染症対策などの御担当と伺っております。よ ろしくお願いいたします。 ○雪下委員 御紹介いただいた雪下でございます。  今度、母子保健と母体保護を担当させていただくことになりました。前任者にかわり まして、当スケジュールは半ば過ぎているようでありますが、協力させていただこうと 思っております。希望を持って、安心して結婚し、子どもを産み、子どもを育てられる 環境づくりを関係専門団体の1つとして、皆様方と連携を保ちながら推進に励みたいと 思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。 ○平山座長  ありがとうございました。 それでは、議題に入らせていただきます。本日は、前回積み残しの「思春期の保健対 策の強化と健康教育の推進」という部分を継続して御審議いただきまして、その後、新 しいテーマになりますが、「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支 援」というテーマについても御検討いただきたいと存じます。 それでは、まず議題1の「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」に入りたいと 思いますが、事務局から資料の御説明をお願いいたします。お手元の厚い資料のうちの 後半のようですね、よろしくお願いいたします。 ○椎葉課長補佐 本日の資料ですが、まず議事次第に資料ということで挙げておりますので、これを御 参照いただきながら御説明いたします。 本日の資料でございます。資料1が健やか親子21検討会のたたき台、思春期保健対策 です。資料2は同じくたたき台で、妊娠・出産・不妊関連です。そして参考資料でござ いますけれども、「健やか親子21検討会資料集4」で、赤ん坊をベビーカーで連れまし た女性が載っている資料集です。これは先生方から御提出いただいたものをまとめたも のでございます。「資料4 (別冊) 」これも一連の資料となっております。また、参考 といたしまして本日、戸田委員から「WHOの59ケ条お産のケア実践ガイド」を委員の 先生方に1冊ずつ御提供いただきましたので、お配りしてございます。それから私ども 母子保健課でつくりました「ふたごの育児」というものと、山縣委員から御提出いただ きました「平成10年度の厚生科学研究費の報告書」でございますが、生殖補助医療技術 についての意識調査の集計結果です。そして最後に、「健やか親子21検討会の今後の予 定について」という1枚紙もつけております。本日の資料は以上でございます。 ○平山座長  ありがとうございました。  それでは早速、議題1の思春期の方に入らせていただきます。  前回の半分積み残しということでございますが、この部分につきまして各方面の先生 から、まずこちらから指名をさせていただいて御発言をお願いしたいと思います。 3名の先生にお願いしたいと思いますが、まず、地域保健の視点を踏まえまして澤先 生。 ○椎葉課長補佐  本日、また新たに各委員から提出された資料がございますので、資料4を用いまして 事務局の方から少し御紹介させていただきたいと思います。 ○平山座長  それでは、そちらを先にお願いいたします。 ○椎葉課長補佐  それでは、「健やか親子21検討会資料集4」を御参照いただければと思います。  分厚い資料集ですけれども、前半部分が後半の妊娠・出産・不妊関係の資料で、 339 ページからが思春期関係の各先生方から御提出いただいた資料をまとめております。こ れにつきまして、事務局の方から簡単に御説明いたします。 まず 341ページをお開きいただければと思います。 神谷委員から御提出の資料でございまして、思春期保健に関しまして家庭における取 り組みと学校における取り組みについて御提出いただいております。特に家庭における 取り組みにつきましては親子の対話に尽きるということでございまして、親業を教える ことが大事だという御指摘です。 また、学校における取り組みといたしましては、養護教諭の複数化や地位の確立、そ れから学校ですべてを解決できないということで、親との連携を密にしなくてはいけな いということ、病気の予防や性教育は教師のみでやらず、校医、地域医師会の応援をい ただくべきである、親のボランティアということにつきまして御意見をいただいており ます。 342ページからは神谷委員の健やか親子21についての記事などもいただいおります。 続きまして、347ページですが、北村委員からの御提出資料です。 前回の資料に子どもの権利条約や国連特別総会2000年会議の結果などをつけ加えられ ております。簡単に御説明いたしますと、348ページからその要点ですけれども、まず、 若者委員会の設置。それから、思春期保健の相談施設と外来の充実。また、STDクリ ニックなどの全国的な展開。それから前回もいただきましたけれども、ピアカウンセ ラーの養成やピアカウンセリングの実施と、若者に視点を置いた取り組みを御提出いた だいております。 また、啓発普及の拡大や教育の具体化。そして 350ページですが、若者に対する避妊 具の提供や調査研究、教育施設の拡充という御指摘でございます。 359ページの古平先生の資料です。古平先生からは、日本小児科医会の取り組みにつ きまして御提出いただいております。特にかかりつけ医の大事さについて、特に小さい ころからかかりつけ医であればいろいろなことが分かるということで、このかかりつけ 医につきましていろいろ御指摘がございます。特に日本小児科医会につきましては、子 どもの心の研修会を平成10年度から開催し、会場が混乱するぐらいの参加だということ でございます。特に思春期の問題につきまして今後、継続的に取り上げていくというこ とです。 また、前回、清水委員からも、児童精神科医の絶対数が少ないということなど、日本 の精神医学が急速に発展することを期待したいという御指摘をいただいております。 360ページから 362ページまでは、子どもの心の研修会のプログラム、4日間の講習 ですが、かなり密な講習をやって、小児科医の先生方は子どもの心をより的確につかむ ための研修をやられているという取り組みです。 365ページは、澤委員からの御指摘です。これは後ほど御説明をいただきたいと思い ます。特に東京都の保健所長会の御意見や、現場の池袋保健所の職員の方々の御意見な どを御紹介いただければと思います。  続きまして 369ページですが、清水委員からの御指摘でございます。前回、お示しし た思春期の定義などにつきまして、特に「思春期は親に依存せざるを得なかった子ども 期と、自立の力を体得して社会機能の面で自立して暮らさねばならない青年期との間に 介在する人生の大きな転換期である。この機能に関してみれば、それは心理、身体、社 会化の3側面における急速度の変化として見てゆかなければならない」ということで、 思春期の子どもの特徴をとらえて対応が必要ということと、前回のたたき台はどちらか といえば性の逸脱や薬物などが中心となっているので、もう少し全人的な観点からとら えた方がいいのではないかという御指摘をいただいております。 また、具体的な取り組みに関しましては、思春期に関して家族で支え切れなくて問題 が多発しているという御指摘をいただいております。 372ページ以降は、児童精神科医療の現状と課題につきまして、本当に抜き差しなら ない状況であることをまとめた資料を御提出いただいおります。 379ページですが、新家委員からの御提出資料です。 思春期の保健対策の強化につきまして、性教育の徹底について特に命の尊さや他人を 思いやる気持ちなどの時間を持つこと、それから産婦人科の医師が実際に学校に入って 教育を行うこと、市民のために性教育や性感染症の公開講座を日産婦や日母の支部でも 開催できるという御指摘です。 また、中絶を減少させるための対策や、望まない妊娠を減少させるためのIUDや経 口避妊薬等の使用者の女性などについての御指摘をいただいております。  続きまして 383ページですけれども、徳永委員からの御指摘でございます。 思春期につきまして、思春期が18歳ぐらいまででありますけれども、その問題を引き ずったまま大人になっている相談が増えているという御指摘がございます。引きこもり の問題です。 目標値につきましては、自分を産んでくれたことを親に感謝する中学生の割合の増加 や、学校と保健所の連携につきまして言及されております。特に、学校がハードルが高 い。また、保健所もハードルが高いという御指摘です。 そして 387ページですが、美濃輪委員からの御指摘でございます。 思春期保健の現場の御意見で、これは後ほど、美濃輪委員から御説明をいただきたい と思います。 391ページです。小児科の柳澤委員からの御提出資料でございますが、主に学校保健 に関する小児科医の立場から見た学校医の立場の資料を御提出いただいておりますけれ ども、これも後ほど柳澤委員から御説明いただければと思います。 そして 403ページですが、渡辺委員からの御提出資料でございまして、これは「成長 発達から見た思春期の特徴」ということで、思春期がアイデンティティの確立の時期で ありまして、いろいろ問題があるけれども大人は一枚岩になって応援していかなければ ならないということを書かれた資料集です。 そして、本日私どもで用意した資料ですが、 413ページです。日本人のHIVやエイ ズ関連の知識、性行動、性意識に関する全国調査の調査研究がございまして、これは参 考までにつけております。 また、 441ページからは文部省の大場室長から、フランスの学校保健制度と我が国の 比較を交えた紹介の資料をいただいておりまして、かなり参考になるものでございま す。 そして、今回は別冊ですが、長井委員は妊娠・出産関係の方でございます。9ページ の櫃本委員から御提出いただいた資料ですが、思春期の保健対策につきまして、文部省 と厚生省が共通の認識のもとで共同できるような国レベルの調整に期待をするというこ とと、子どもたちのニーズを踏まえた環境整備が必要であるということをいただいてお ります。 また、産婦人科医と精神科医とでは認識の差があるのでいろいろ調整が必要だという 御指摘をいただいております。 以上でございます。 ○平山座長  ありがとうございました。 資料の内容も含めまして簡単に御説明をいただきましたが、それでは前回、特に御発 言をまだいただいていないと記憶していますので、何人かの先生にお願いしたいと思い ます。まず、地域保健の視点を踏まえた形で澤先生からお願いいたします。 ○澤委員  それでは、資料集の 365ページから2ページにわたって書いてありますけれども、こ の説明をさせていただきます。 東京保健所長会母子保健部会といいますと、ほとんどの保健所長が小児科医を長くや っていた先生方が多いのでその方々の意見ということになりますけれども、まず1つ目 は性教育ということで、学校における性教育はできれば若い世代がやった方がいいので はないかということで、教育実習に来ている大学生あたりがこういうことを勉強して取 り組んでみると、教師が教えるよりは子どもたちにはもう少し受け入れやすいのではな いかという意見です。 2番目は、児童の心の豊かさを育てるということで命の大事さ、人への思いやりを学 ぶことが非常に大事ではないか。長年やっていた先生の御経験によりますと、人のため に役に立つ、だれかの役に立つということと、自然との触れ合い、人との触れ合いの中 からかなり立ち直れる子どもの数も多かったというようなことがございまして、ぜひ健 康な子どもの時点からそういう体験学習や世代間交流、障害者との触れ合いなどを授業 のカリキュラムの中に組んでいくことが心の豊かな子どもを育てるのには大事ではない かということが言われました。 3番目に養護教諭の複数配置ということで、「保健室登校」という言葉が今使われて おりますけれども、こういう子どもたちに対してよりきめ細やかな対応をするには、と ても1人の養護教諭では無理であろう、それを養護教諭がやるかどうかの問題は別とし て、今現状そういう事態であるならば、できるだけ複数配置が望ましいのではないかと いうことです。 4番目に、心の問題を抱える児童に対する保健所デイケアが出てきていたのですが、 これに対しまして、地域保健の活動というのは地域活動の中で個を対象に働きかけを行 ってきまして、それを集団、マスに結びつけるという従来のやり方をとっております と、思春期問題では学校保健の抱える分野が多いので保健所が抱えるケースは非常に少 ないということで、今のやり方では非常に難しいのではないかということです。 もう一つ、東京都では中部の精神保健センターや、23区では各区の教育センターで既 にこういうことが行われておりまして、そこでの問題点は親のグループワークの中から 子どもたちを結びつける形でこういう集団指導、集団のデイケアのようなものをやって いるのですが、本人の出席が非常に難しくてなかなか定着していかない。いい方向に向 かって離れていく子どももあれば、自発的に来なくなってしまう子どもも多いので、開 催したり開催しなかったりで難しい現状があるので、10年後はともかくとして保健所で 今すぐ取り組むのは非常に難しいのではないかということです。 また、精神障害というか精神疾患を抱えている子どもたちにとっては、確かに保健所 のデイケアは今50歳代が中心となってやっておりますので、その中で対応するのは難し い状況にある。豊島区では地域でヤングデイケアをやっている医療機関もあるのですけ れども、狭間に立った若い子どもたちに対する対応を考えてもいいのではないかという ことで、まず保健所がもう少ししっかり思春期のケースをもっていろいろ対応していか ないと、デイケアもすぐには難しいというのがみんなの結論でございました。保健所長 会はそういうことで提出された意見をまとめてみました。 次のページにいきまして、池袋保健所に心理職がおりまして、保健婦5名と心理職1 名で精神グループというのを池袋保健所は独自に立ち上げておりますけれども、その中 で意見交換してまとめてもらいました。 その中で大きなテーマとしては、先ほどもありましたように親への性教育ということ で、今までは学校に依存する形で家庭ということは余り考えてこなかった、家庭内での 性教育の役割を避けてきた傾向があるのではないか。それでは問題があるので、親への 教育を試みるべきであろう。それは小学校低学年は低学年のように、そして高学年には 高学年のように、親を対象にして試みてはどうか。保健所もそういう部分ではそういう こともこれから考えていかなければいけないのではないかということです。 2番目の大きな柱は思春期の相談窓口ということで、治療する医療機関ではなくて、 ほかの場所にもう少しきっちりと精神科医、カウンセラー、保健婦などを配置した窓口 をつくる必要があるのではないかということです。 もう一つは、女子の場合には妊娠、非行等を中心に私たちもかなり勉強し、相談にも 乗れる態勢なのですが、男の子の性という問題は保健所サイドは非常に苦手でありまし て、電話相談などが結構あり、これはいたずら電話ではないかというものも若干はある のですけれども、相談に十分応じ切れていないので、そういうことも含めて保健所職員 ももう1回きちんと見直して勉強することも必要ではないか。そして、それに対応でき る窓口も設置すべきではないか。今、問題が難しくなると隣に座っていらっしゃる北村 先生のクリニックを御紹介して素通りしてしまっているのが非常に問題ではないかとい う意識です。 最後の結論としましては、学校保健と地域保健、同じ地域なのでもう少し連携がとり たいということが非常に強い希望でございました。今回、このような話し合いをしてい る最中に、学校の教育委員会の方から今年は喫煙問題について保健所で講師を派遣して くれないかという要請がありまして、ある意味ではやったあという気持ちでおりまし た。お金がなくなってきて教育委員会も外部講師は呼べなくなって、いよいよこれから は保健所の出番なのだなと、私はやはりカネのないときは専門職集団は強いという認識 でおりますけれども、今回これをうまくやっていけばまたほかのことにもつながるとい うので、予防課長を中心に保健婦、心理職あわせて全力投球でやっているところです。 以上でございます。 ○平山座長  ありがとうございました。 御質問等あると思いますが、性教育等の学校との絡みのお話がありまして、その辺の お話を続けて伺った上でディスカッションしていただこうかと思いますので、よろしく お願いいたします。 次に、学校保健のお立場で美濃輪先生、お願いします。 ○美濃輪委員 387ページに私の方から1ページ提言させていただきます。 先回の話をもとに家に帰って考えました。関係機関との連携ですが、学校は閉鎖的と いう御指摘がかなりありまして、確かに、私も以前保健婦を2年ほどやっていまして、 地域保健から学校保健の方に入った人間ですので、事情は両方ともよく分かると思って いるのですけれども、学校も教科・道徳・学級指導等、学校行事や非常に緻密なカリキ ュラムで動いておりますので、性教育1時間、薬物1時間、食生活1時間等とそんなに たくさんの時間をとれる訳ではないんですね。突然、保健所の方から「やってくれ」と 課題を持ち込まれましても、すぐに対応できるかというとそうではない。そこで一方的 に学校は閉鎖的ではないかというようなことになっているのではないかと思いました。 最近の子どもを見ますと、栃木の事件もありますが、毎時間子どもの顔をきちんと見 て健康観察をしてから授業を開始しませんと非常に難しい時代になってきておりますの で、突然来られても、1時間やったとして、澤委員から先ほど「やったあ」という声が あったのですけれども、果たしてどのぐらい効果が期待できるかなという不安感もござ います。 小学校、中学校、高校と成長段階に合わせて教科内容も実施していく必要もあるでし ょうし、また、アフターケアという問題が非常に大事ではないかと思います。来て1回 やったから効果が上がるというものではなくて、それを後々どのようにケアできるかと いうところに養護教諭がきちんと入っていければいいのかなとも思いました。 6月15日に本校で学校保健委員会をやりまして、昨年は「砂糖と健康」、今年は「カ ルシウムと健康」ということでやりました。カルシウムのビデオを見せまして、その 後、内科の先生から骨粗鬆症、歯医者さんからはカルシウムと虫歯ということでお話を いただいて、中学校になりますと牛乳を飲む子どもたちの数が非常に減ってまいります ので、利き牛乳といいましょうか、いろいろな牛乳があることを実験しました。 その後にこれから1年間かけてクラスの取り組みをしていく訳です。日常活動もそう ですけれども、文化祭に向けて発表したり、第2回の学校保健委員会でそれを反省した り、標語やポスターでPRしながら教育評価をしていく訳ですね。だから、1回やった から効果が上がるとか、1回やったからいいというものではないというように私は認識 しております。 薬剤師や内科校医の先生方は気持ちよく来てくださいますし、お願いすれば時間の許 す範囲では1年間に何回も来ていただけますので、専門的な方と隔絶している訳ではな いとは思っています。 ただ、これからの連携方法でございますが、助産婦や栄養士の共通教材に関してはお 互いに研究したり資料提供をいただくことはよろしいかと思います。また、教育内容に よっては小学校あたりからチームティーチングをいろいろな形で、内容についても教授 できるといいかなとも思います。 学校だけに要求するのではなくて、先ほど保健所の方からもありましたけれども、地 域住民の皆さんにもそういう活動を展開していってほしい。以前、婚前学級といいます か、婚約なさって結婚式場に名前がきちんと登録された方たちの指導をしたこともあり ますので、ぜひいろいろな年齢段階の方たちへの活動も展開してほしいと思います。P TAに関しても今までどおり、いろいろな面で参画していただきたいですし、救急法は 本校も7月にやるのですが、消防署の方をお呼びして救急法をやりましたり、いろいろ な形で協力し合っていければいいなと思います。  以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。  それでは、もう一方、小児科医のお立場で学校医のことなども含めまして、柳澤先 生、お願いいたします。 ○柳澤委員  今日は 391ページから資料を入れさせていただきましたので、それについて簡単に申 し上げます。 主題の思春期の保健、また健康教育と学校保健、それと関連して学校医の役割の重要 性は言うまでもない訳で、我々小児科医は思春期も含めて子どもの心と体の専門家を自 認しておりますので、小児科医として学校保健にもっと関心を持たなければいけない。 今まで、個々の小児科医としては学校保健に関心を持って、校医などいろいろな立場で やっておられる先生がいますけれど、小児科医全体の集団として母子保健あるいは乳幼 児保健と比べて学校保健に対して重点的に考えてこなかった面が確かにあります。そう いう点で今後、小児科医の集団として学校保健にもっと関心を向けていこうと思ってお ります。 そういうこともあって、昨年の日本小児科学会の総会で学校における健康問題と小児 科医の役割ということでシンポジウムを開催したのですが、それについての内容を今日 の資料の中に入れさせていただきました。地域の小児科医として学校医をしておられる 先生からの発表と、養護教諭の立場からの小児科医への期待、また、学校の先生あるい は校長先生としての立場からの発表等が載せてあります。 先ほども申し上げたように、小児科医全体として今後、今まで以上に学校保健につい てもっと関心を持っていかなければいけません。しかし、全国の小学校、中学校、高等 学校も含めて学校医の中で小児科医の占める割合は現状では非常に少ないことが事実と してございます。小児科医がそういうことにもっとかかわりをもっていかないといけな い訳ですが、その場合に学校からの期待と現在の小児科医あるいは学校医の関心の間に 相当のずれがある可能性があります。そういう点についての簡単な調査も行われてお り、学校医・小児科医の側で比較的関心が乏しいのに対して、養護教諭の側としては高 機能自閉症、あるいは注意欠陥多動障害などについてもっと関心を持ってほしいという 関心のすれがあり、そういう点を埋めるような小児科医側としての努力、資質の向上が これから必要ではないかと思います。 従来の健診を主体とする学校医の活動から、健康教育また生活習慣病の予防教育の面 にもっと力を入れていかなければいけません。また、子どもたちの心の問題について、 小児科医としてどのような役割が担えるかということを検討していかなければいけませ ん。そういうことを考えている訳で、実際、日本小児科学会、日本小児保健協会にも学 校保健の委員会がございますし、小児科医会でもそういう立場の先生方がいらっしゃい ますので、日本の小児科医全体を代表する組織としての三者協として学校保健をもう少 し重点的に取り上げていきたいと私は個人的に考えております。 以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。 3人の先生方から主に学校を中心とした御意見をちょうだいいたしまして、思春期保 健対策、そして健康教育というと学校の場に期待するところが非常に大きいと思います が、このごろは学校保健もヘルスプロモーションの考え方が非常に強く出てきたと思っ ております。 健康教育の中でも思春期というと性教育のお話が出まして、澤先生からは若い先生に まずというお話があって、これはピアカウンセリングと非常に近いお考えになると思い ます。そこで思い出すのは、母子保健課が進めておられます、いわゆる思春期の中学 生・高校生対象の保健福祉体験学習がございまして、これは赤ちゃんに接する機会を持 ってもらうことが主ですが、一番最初に始められた和歌山県の保健所が、保健所へ高校 生に来てもらって乳児健診の赤ちゃんに触れてもらう機会なので、せっかく保健所へ来 たのだからというので性教育を保健所の場でやっていただいた。日本は学校の先生方も 性教育になれておられないということがあって、具体的に避妊の方法を教えにくいとい う先生方が多いので、保健所にはプロがおられるから避妊具の現物も見せてあげながら 教えてあげるのに都合がよかったというお話を伺ったこともございます。 そういう意味で、これから先、保健所が学校とどのようなタイアップをしていくの か、あるいは学校医の問題として、産婦人科の先生方からは性教育に関係して産婦人科 の医者も校医の中に入れるべきだという御意見も時々伺っております。 いろいろ話題はあると思いますけれども、ほかの先生方からも御意見をいただきたい と思います。あるいは3人の先生への御質問でも結構ですが、どうぞお願いいたしま す。 資料をいただいているという意味では、資料集の頭の方からいいますと北村先生に補 足でいただいていますが、性教育について一言あるはずなのでお願いいたします。 ○北村委員 前回、文部省の室長から興味深いお話をちょうだいし、その直後ですけれども、 347 ページにあるように、6月に国連特別総会が開かれていました。そこで実は成果文書が 出ておりまして、私はまだ詳細については手に入れておりませんが、母子保健課は課長 もこの会には出席していらっしゃったそうでございますので、ぜひそのあたりをお聞か せいただきたいのですが、10代で妊娠する女性の数を減らすためのプログラムを構築し なさいということと、10代で母親になった女性たちが学校からドロップアウトしないよ う社会がサポートすることが盛り込まれることになったという、このあたりについて出 席された感想などを含めてお話しいただければと思います。特に思春期対応について 2000年会議ではどういうことが話題になったのか、お聞きしてよろしいでしょうか。 ○平山座長  ぜひお願いします。 ○藤崎母子保健課長 私が参加したのは最後の2日でした。非常にあわただしい状況でしたので、詳細につ いては充分には承知いたしておりません。そのような中で、申し上げられることは、リ プロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方が広く浸透していく中で、今まで手が届かな かった部分といいましょうか、よりきめ細やかな分野といいましょうか、そういうとこ ろにだんだんに取組が広がってきているということで、また、参加国間において、広い 意味では考え方に多様性があるということは事実であります。会議全体としてはEUや 日本を含め、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどが入るジャス カンツという先進国のグループがありまして、そういうグループが推進していく北村先 生がおっしゃったような流れと、イスラム圏あるいはバチカンのように宗教的な背景を 色濃く持っている方々の性の問題、あるいは避妊・中絶に関する問題がかなり隔たって おりました。逆に国内に目を転じてみれば、日本という1つの先進国を形成する国の内 でも考え方に一定の幅があるという印象を持っております。 つまり、先ほど平山座長が言われましたように、避妊という問題を正面から子どもた ちに教えることに何となく抵抗を感じる、あるいは教えることによって逆に性行動を促 進していくような形になってしまうのではないかという懸念と、1つの自己決定の権利 として性行動を個々人の判断にゆだねながら、その中で正しい情報を得ることによって 望まない妊娠を防いでいくような対応を推進すべきではないかという見解とがあり、世 界女性会議で議論された競合する意見の構図が、今日的課題として日本の中にも見出さ れてくるのではないかということです。 ニューヨークでの会議の動向としては今申し上げたようなことですけれども、日本は 日本なりの対応としてどのようにしていくかということをここで御議論願えればありが たいと思っております。 また、詳しい文章は我々も最終文書を分析しながら、機会があればもう少し詳細に御 報告したいと思います。 ○平山座長  それではまた資料が入りましたら、よろしくお願いいたします。 今のお話を含めまして、御意見、コメントはございますか。 ○櫃本委員 地域保健というか我々の中では、特に思春期に関して専門性というよりもむしろ専門 家の意見を聞いてどう調整していくかという中で地域ではいろいろ考える訳ですが、言 われる先生によって中身が異なっていることと、文部省と厚生省という非常に違うもの が存在しているということで、その中で保健所なり地域の保健の立場で何かやっていく ときに、何がいいのかということが実は地域で選択できない中で、1つの事業がおりて きてそれをやるということでこなそうとしてきている部分があるんです。 皆さん専門家で、私が聞いている限りでは、それぞれいろいろな考えをお持ちとは思 うのですが、恐らく地域によっても随分違うだろう。しかも、学校と文部省という部分 と厚生省、保健所、地域保健という分野では、地域で実際に話し合われている場が本当 に少ない中で、それぞれで学習指導要領のような、マニュアル、ハウツーも含めた考え 方が入っているものが学校にいっている。そして思春期は何とかしていかなければなら ないということで専門家の先生方の指導を受けながら地域保健の分野でもいろいろやっ ているというように、とにかく弾は撃たれているのだけれど、現実にその地域でどの方 法論を選べばいいかという議論をされる場が実は少ないのではないか。 地域保健の方法を用いて学校に入り込むと、先ほどの学校の話ではありませんが、学 校としてはこういう流れでいっているのだということで受け入れにくい。私は思春期に ついてはいろいろな方法論をこの中で提示していったり、あるいはその評価をしていく 指標を提示していくことは必要だと思うのですが、具体的な方法論よりもまず地域保健 や専門家レベルの方々と学校等の話し合いの場を確保できる環境整備、条件整備など トータルコーディネートができる機関があれば一番いいと思いますが、それができない ならば、何かの手立てつくることがまずきっかけになるのだろうと思います。その中に ピアカウンセリングなどで若者の話を聞く中で地域で方法論を選ぶ。その場づくりがこ のレベルではまず必要なのではないかと思っています。 ○平山座長  ありがとうございます。 性教育のやり方については多分、専門家の間でもかなり幅があるようで、私が聞いて いる限りでは、例えば小学生のうちから性交そのものを教えなければ意味がないという いわば過激な考えの先生もおられるし、今は減っていると思いますけれども、性教育は 貞操教育だけでたくさんなのだ、寝た子を起こすなという御意見の方も中にはまだ残っ ておられるようで、地域の中というとそういう方がみんなごちゃまぜですからなかなか 大変だと思います。 文部省でも性教育はまともに取り組み始めておられて、資料なども出しておられるよ うですが、室長あるいは調査官、何か情報がございましたらお願いしたいと思います。 ○田嶋教科調査官 それでは最近の新学習指導要領の中の性教育の扱いにつきまして、まずお話ししたい と思います。 児童生徒の発育・発達の早期化に対応するため、教科「保健」では従来中学校でも扱 われていた二次性徴に関する内容を小学校に統合し、小学校の中学年で扱うことになっ ております。中学校では、生殖にかかわる機能の成熟や性感染症も扱うこととするな ど、性の問題行動の対応を意識した内容について取り扱うこととなっています。  現在、学校における性教育は教科保健、関連教科、道徳、特別活動等の中で行われて おり、小中学校では平成14年度、高等学校では平成15年度から、新学習指導要領に基づ いて完全に実施されることになっております。 子どもたちの成長が促進されているということで、小学校の低学年では生活科で体の 清潔という形で基本的な指導から始まり、中学年の保健学習の中で二次性徴等について 基本的な性教育を指導いたします。体の発育・発達について理解し、二次性徴を含めて の指導が実際に移行措置という形で進められている段階です。  高等学校におきましては、先ほどから話題になっております避妊等についても、教科 という範囲の中で科学的な根拠のもとに基礎基本の指導を行うと同時に、これ以外に特 別活動(学級活動、ホームルーム活動等)の中で、日常の具体的な問題に対応するため の性の指導が行われております。 性教育の基本的なこととして、児童生徒には個人差があるということです。全国的に 一律に指導できる範囲はどうしても限られてしまいます。その学校あるいは地域におい ていろいろな問題があると思います。その問題を具体的に指導できる範囲が特別活動に おける学級活動、ホームルーム活動になってまいります。その時間は、その学校におい ての性に関する問題について柔軟性を持たせた指導ができるということで、各学校とも その時間を使って性教育を指導しているところが多いのではないかと思います。そこに は教科書もマニュアルもある訳ではございません。その学校に応じた問題や予防教育等 の取り組みができることになっており、かなりの学校でその時間を使って指導しており ます。 また、今回新たに教育課程の中で総合的な学習の時間を創設することとし、かなりの 時間を割いて指導できるようにしています。これは教科、道徳、特別活動とは異なり、 横断的・総合的に発展させた生命や性についての学習も、子どもたちの興味・関心等に 基づいて取り扱っても構わないというものです。まだ、各学校で試験的に取り組んでい るのが現状でございますが、総合的な学習の時間を使いまして、性教育が今後取り入れ られていくのではないかと思っております。 以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。 資料の最後にエイズ、HIV、それに関連した資料もつけていただきました。学校の 場では性教育の上に立つ形にならざるを得ないと思いますが、エイズ教育が人権教育を 含めて大分進められていると伺っております。 ○藤内委員 先ほどの櫃本委員の御指摘にもありましたが、学校と地域保健が子どもたちに性教育 を含め、子どもたちが自分の体や健康について習得してもらいたいことをどのように伝 えていくか、それを議論あるいは調整する場が必要だという御指摘でした。美濃輪委員 の資料にも学校保健委員会に参加してそこでディスカッションすべきだということが触 れられているのですが、実際に学校保健委員会の設置率は、私が以前文献で調べたとこ ろでは6割程度という数字が載っていました。実際に保健所という現場にいて学校給食 の運営委員会は保健所の職員が委員になるので各学校も必ず御案内があるのですが、つ いぞ学校保健委員会の御案内はいただいたことがないんです。私自身、6割という設置 率もちょっと疑問なのですが、文部省としても例えば学校保健委員会の設置に向けて、 これは本当に 100%機能させていくのか、そうでなければまた新たな機会を検討しなけ ればならないのか、それとも学校保健委員会がその機能を果たし得るものならその設 置、あるいは機能させていくことが必要だと思うのですが、そのお考えを聞かせていた だけるとありがたいのですが。 ○平山座長  それでは学校保健委員会のあり方、活用法、あるいは実際の運用状況などお話しくだ さいますか。 ○田嶋調査官 学校保健委員会につきましては、もちろん各学校とも 100%の設置ということで推進 させていただいております。どうしても小学校、中学校、高等学校というように学年が 上がりますと、設置率が低下の傾向が見られます。現状では小学校、中学校の設置率が 7割強、高等学校の場合は6割強という設置です。各都道府県においては、設置率が100 %というところも少なくありません。ただ、設置されていても実際に活動しているのか といいますと、設置イコール活動ではないのが現状でございます。 最低、学期1度ずつというのが基本的な開催の回数のようでございます。  学校保健委員会の組織構成といたしまして、学校医の先生方を初め地域の関係機関の 方々、また、学校保健委員会で議題として挙げられました課題についての指導助言者 等、関係機関の方々に出席を依頼する形のスタンスがとられております。学校医、学校 歯科医あるいは学校薬剤師の先生方は当然でございますが、それに関わりまして関係の 保健所等、その都度いろいろな関係機関があると思いますが、その関係機関に依頼をし て出席していただくというのが学校保健委員会の姿勢でございます。 さらに現在進めておりますのが、地域学校保健委員会でございます。これは1校に限 らず一定地域内の幼稚園から始まり、小、中、高校あるいは特殊教育諸学校の各学校保 健委員会が連携して、地域の子どもたちの健康問題の解決や健康つくりの推進に関して 協議等を行います。関係の先生方、関係の専門家の方々が集まりまして、健康教育に関 わるいろいろな問題を検討していくということで、学校保健委員会の範囲をさらに大き く広げ、一つの学校から地域の学校の関係者、地域の関係機関、関係の専門家で健康問 題を討議していく形での地域学校保健委員会を推進している状況でございます。 以上でございます。 ○平山座長  ありがとうございました。 私の理解では、学校保健委員会は設置しなければならないという形ではなくて、設置 することが望ましいというところにとまってしまっているので、実際の活動がなかなか 行われている地域ないしは学校も結構多いということのようですが、日本学校保健会で も学校保健委員会のあり方というかなりがっちりしたパンフレットを出しているようで すので、各学校がそれをつくっていただいて健康教育のいい場にしていただくと、地域 ぐるみという形で一番いいと思うのですが、ぜひ進めていただきたいと思います。 ほかに御質問をお願いいたします。 ○岡本委員 学校教育におきましては、先ほどからもいろいろな意見の中で寝た子を起こすという ようなこともございますけれども、現実を見ていると10代の中絶・妊娠等増えてきてお りますし性感染症の問題もありまして、中学ぐらいからは最低きちんとした避妊等の情 報を提供するということはもうしなければいけない時期ではないかと思います。 というのは、いろいろな相談を受けておりましても結局、週刊誌などあいまいなとこ ろからの情報源がありまして正確な避妊が行われていないということもたくさんござい ます。ある産婦人科の先生が、六本木のハンバーガー店で、出前に行ってそこで相談を 受けておられます。本当に相談が必要な人たちは来ないということが現実的にありま す。保健所や市町村で頑張っても、そこには若い人はなかなか来ません。だから発想を 変えて、相談窓口に関してはもっと気軽に若者が寄れそうな薬局などいろいろなところ で、民間でもどこでもいいのですが、専門家に委託して行うという発想も今後必要では ないかと思います。そういう点で助産婦会の方でも、ある薬局と連携しながら若者が集 まりそうな渋谷や新宿で7月から出前の相談室を設けてみようかということも考えてい ます。  また、学校は、義務教育である限りはみんなが受けるものですので、特に中学校から きちんとした知識等を与えていくことが必要ですので、今回も協議を十分にお願いした いと思います。 ○平山座長  ありがとうございました。 ほかにどうぞ。 ○櫃本先生 産業医と学校医がありますが、産業医は資格もあり、学校医については資格云々でど ういう形でどういう研修が現在されていて、正直言って私の地域では学校医の存在が非 常に薄い。表彰の対象にはなるけれど日ごろの活動が余り見えてこない。歯科医もそう ですが、なぜ学校歯科医をやっているのかというと表彰状をもらえるからという極端な イメージがあります。実は今回、エイズのモデル指定校になっているということで講演 依頼が私の方にありまして、学校医の先生と相談されましたかと聞いたらいいえと言わ れるので、学校医の先生はどう言われていますかと聞くと、健診ではお願いしています が、そういう話は特にしていないということで、これは学校によって位置づけが違うと 思うのですが、労働衛生も産業医の役割が非常に大きいと思います。今日は学校医ある いは養護教諭の方もいらっしゃいますが、学校医の活用はどのようにお考えになられて いるか、現状を教えていただきたいと思います。 ○平山座長  それでは、学校医を束ねていらっしゃるのは日本医師会なので、日本医師会として学 校医の教育等についてのお考えをお願いいたします。 ○雪下委員 たまたま私自身が学校医担当からの出身で、30年近く学校医の仕事をしておりました ので申し上げます。先ほどからいろいろな提案がありまして、申し上げたいこともあり ましたが、今日の話とちょっと違うかなと思いまして発言しませんでしたが、学校保健 について話がありましたので、それについて感じたことを申し上げます。それが今のお 答えになるかと思う訳です。  例えば性教育についてもう30年以上も、学校の場でどのようにしていくかが問題にな っているのに、まだこうすればいいというものが決まっていないのが現状のようで、そ ういうことを考えると私は、学校における集団的な性教育には限度があり、それはある 程度のところまでとして、あとは先ほどから言われている個人差の問題等もあり個別に 対応していかなければならない問題ではないかと思っている訳です。 学校保健の現場でどのように個別に対応していくかという問題になりますが、学校保 健を担当しております養護教諭と学校医(これは薬剤師、歯科医師の先生も含めて校医 群といったらいいでしょうか)が対応すべきであると思います。こう申し上げますと、 いろいろ校医の先生方から学校のガードがかたく不可能であるという返事が返ってきま す。学校医が学校とかかわるチャンスは、学校検診以外に学校保健会と健康教育があり ます。しかし学校保健会は一応原則設置されることになっておりますが、現実は開催さ れてない学校が多いのです。これは委員長が言われたとおり、法的根拠は文部省の体育 局指示によって決まっているだけで、現実問題、それを法的にきちんとしたらどうかと いうことは学校医会からずっと申し上げているのですが、それを文部省は取り上げてく れず、このへんにネックもあるわけです。  文部省の先ほどの話を聞いておりますと、各校の学校保健会の開催は小学校、中学校 は 100%近い、高校が60〜70%と言われました。それはどこを見て認識されているのか 分からないけれども、私たちは何回も調べておりますが、全日本で学校を調べますと、 確かに60%ぐらいのやっていますという返事が来ますが、これは一つ一つ良く調べてみ ると、学校の子どもたちと先生方ぐらいがやっている学校保健会が大部分で、指示に従 って学校医を含めて地域の担当者、父兄、学校の体育の先生、養護教諭を入れて開いて いるのは、恐らく半分もやっていない。私は神奈川県で調べて60%以上出るので、実際 に一つ一つを当たってみると20%以下ぐらいしかきちんとしたものはやっていないのが 現状です。 これをまずしっかりやることと、健康相談は学校医が月1回行うということもはっき りした法的な根拠ではありませんが、保健室の機能というところに決められているんで す。実際に学校医がいっているかというと、なかには熱心な先生もおられますが、ほと んど実施していないのが現状です。これはきちんと実施することになっているので、そ れに対する報酬も含まれている訳ですから、これ等を大いに活用して学校医は学校保健 に対応しなければならないと実は思っている訳です。学校側の理解も悪くなかなか思う ようにいきません。 それと、学校現場の養護教諭の立場がかなり大きな問題でありまして、この場で簡単 に申し上げてもいけないと思いますので詳しくは申し上げられませんが、養護教諭の専 門職としての学校現場での確立をぜひしていただかないと、学校での学校保健教育は、 できないと思います。 いずれにせよ、カウンセラー制度その他で文部省も心の問題等で一生懸命取り上げて おられるようですけれども、例えば学校医も専門職というとで精神科の医者を置くこと が先週の新聞にも出ていましたが、実際問題としては、特に児童精神科の先生は全国で 200人ぐらいしかおられず、忙しくて学校の現場に出てもらうことは実際問題としてでき ない。 ですから、性的問題や心の問題に対応するのはやはり学校医の仕事で養護教諭と供に 実施しなければならないと私は思っております。学校医は、小学生・中学生ぐらいの性 教育ができなければどうしようもないので、それをできるようにする。校医の資格云々 の話がありました。学校医の専門医別をつくろうかという話も数年前から出ており検討 中であります。しかし、学校医の養成あるいは再教育は学会、講習会、研修会等で実施 されております。 それから、先ほど文部省が言われたこととちょっと違うのは、市町村の学校保健会は 全国にほとんど持っております。各県も持っております。各ブロックも持っておりま す。かんじんの末端の各学校にないということです。その辺が一番問題かなと思ってお ります。 余計なことを申し上げたかもしれませんが、以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。 学校保健もお話は尽きないと思いますが、時間のことがありますので、お手元に前回 つくったたたき台を事務局の方で修正を加えてつくり直していただいた分がございま す。「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」という分ですが、これをここで御説 明いただきませんでしょうか。 ○椎葉課長補佐 それでは、資料1をご参照いただければと思います。 前回出しました思春期保健につきまして、かなり修正をして出しております。前回の 育児不安のときはどこが変わったかということで下線を引いておりましたが、今回は大 幅に変えましたのでそういう配慮をしておりません。もう一度1から御説明したいと思 います。1ページをお開けいただければと思います。 思春期保健につきまして、まず問題認識ですが、これはクリアカットにまず問題認識 から始めようということで、近年の思春期の性の問題や薬物乱用の問題など、思春期の 男女の現在の健康をむしばんでいるという問題がある。あわせて心の問題で、心身症や 不登校などの問題が深刻化しており、社会問題化しているということでございます。 これは現在の健康問題だけではなくて将来にわたる問題で、社会的にも看過できな い。こういう事態の広がりは我が国の社会環境の反映であり、現代の時代的刻印を受け 今日的な問題である。こういう問題でありますけれども、21世紀の主要な取組課題とし て位置づけ、集中的に取り組む必要があるということであります。 そして、この時期は将来父・母となる準備段階ということで、母性・父性に対する正 しい理解と自覚を与えること。 そして前回と違って新しく入れたところが、思春期保健の問題は幼少期の発達過程と 深い関連を持っている、特に3歳未満までの環境の影響を強く受けていることを認識す る必要があるとしております。 そして、取り組みの方向性ですが、これもかなりクリアカットにしておりまして、こ れまでのいろいろな取り組みが十分な成果を上げていないということにかんがみまして 十分な量的な拡大や質的な転換を図ることがまず大事であるという指摘と、文部省と厚 生省が連携をいたしまして取り組みの方向について明確なメッセージを示し、地域にお ける保健や医療・福祉、教育の連携を促進することがまず必要であるということです。 そして、量的拡大につきましてはいろいろな分野での取り組みの強化やキャンペーン の強化、NGOなどの活動やマスコミの協力も必要であること。 2ページですが、質的な転換につきましては、より効果的なメッセージを提供する教 材などの開発や、特に若者の行動変容につながるような取り組み、より具体的な踏み込 んだ説明、そして乳幼児の触れ合い体験のようなポジティブな理解を促進するアプロー チの大事さをうたっております。 そして、親などへの支援ですが、関係者・機関の連携の強化が大事である。学校保健 と医療・地域保健・児童福祉との連携をシステム化する。そして相互に日常活動として 位置づけることが大事である。これは大変な労力を要する仕事であるが、組織的対応と 管理者・関係者の理解が必要である。 こういう取り組みを行うためには人材の確保などが必要であるという全体の取り組み の方向性を整理しております。 そして具体的な取り組みですが、これは前回お示しした資料でありますけれども、家 庭はどう、学校はどう、地域はどうというそれぞれの役割分担のもとに整理したものを 逆に量的拡大の分はどうであるか、質的はどうすべきか、関係者の連携強化の点、また 基盤整備の点ではどうかというように整理しておりまして、まず思春期保健です。これ は特に相談機能や情報提供機能につきまして量的拡大や質的転換が重要であるという認 識でございます。 情報提供や相談機能につきまして量的拡大ですけれども、まず、学校における思春期 の子どもの相談体制の一層の強化が必要であるというとで、これが従来とは違った打ち 出しです。まず相談の強化ということで、養護教諭の活用や学校医の活用の強化、ス クールカウンセラーの配置、また保健室の相談機能の強化、専門の相談室の整備という 取り組みを記載しています。3ページですが、地域における思春期の子どもの相談体制 の一層の強化が必要である、保健所における取り組みや地域の医療機関の整備、またN POなどの相談機能の強化という相談機能を量的に拡大するということでございます。 北村委員の御指摘にもありましたが、若者はマスメディアからいろいろな情報を受け ている、思春期の問題に関してテレビやラジオ、雑誌など若者の興味を引きつけるメデ ィアを通じた広報啓発活動を増やす、関係機関からのパンフレットやポスターによる啓 発普及活動を推進するということでございます。特に避妊など性感染症の予防、薬物乱 用防止については重点的に実施する必要があるのではないか。 次は、若いときのみならず乳幼時期から思春期を対象としたいろいろな書籍がありま すけれども、小さいころから思春期に関する正しい情報の提供や、思春期の親を対象と した情報雑誌への提供、マスコミを通じた一般に対する思春期のキャンペーン、テレビ での教育番組による学習機会の提供も推進されることが求められるなど、いろいろな相 談機能や情報のより量的拡大を目指すということです。 質的転換の事項ですが、まず学校の教育を具体的なものにする。特に子どもたちの心 に響く教材を開発して使用する。学校の教科指導や特別活動におきましては養護教諭の 専門性を有する教職員とチームを組んだ活動と、学校医や学校歯科医、学校薬剤師の専 門性を生かした指導の一層の推進が必要であるということでございます。 次ですけれども、養護教諭に健康教育を担当させるなど、養護教諭の健康教育への一 層の参画が必要である。性教育や薬物乱用防止教育などにつきましては、学校外の専門 家に学ぶ機会を積極的に設けていく必要があるということす。 また、学校外のいろいろな取り組みですが、児童や生徒が乳幼児に触れ合う体験の実 施や、各種のボランティア等の体験学習の推進が必要であるということです。 これも北村委員からの御指摘ですが、同世代から知識を得るピアエジュケーターの取 り組みは、性教育や薬物乱用防止のためにも有効であり、今後、積極的な活用が必要で ある。そして、思春期の子どもの声を思春期保健活動に反映させるための会議の開催 や、ピアカウンセラーの養成とピアカウンセリングの実施などの思春期の子どもが主体 となる取り組みを地域レベルにおいて推進することが必要であるということです。 4ページですが、子どもの心に影響を与えるメディアの有害情報への取り組みも必要 で、一部マスコミは性をもてあそぶ考え方があり、これをただすための対策や、メディ アの情報の氾濫への対処法となるメディア・リテラシー教育についても今後取り組む必 要があるということでございます。 そして、今や普及が著しいインターネットなどの電子媒体を通じて思春期に関する情 報提供や相談などを積極的に推進する必要がある。特に学校や地域保健医療機関、NP Oなどコアになる機関において重点的に取り組む必要があるということです。 また、避妊具の無料提供プログラムを含む、特に地域の実情に応じた避妊方法の学習 機会の提供、要するに地域の実情に応じたいろいろな機会があるということです。 このような質的な転換を図るということがこのポイントとなります。 関係者・機関の連携強化でございますが、まず、思春期の健康問題に関して家庭や学 校、地域の関係する機関、関係者が相互に学習の場を提供し合うことと、定期的に情報 や意見の交換を実施する場を設置する必要がある。 そして、問題が生じた場合に関係者や関係機関による検討を行いまして、最適なサー ビスの提供に向けた取り組み、何がこの人に望まれるのかという場を設ける必要がある ということでございます。 先ほど御意見かありましたけれども、学校保健委員会や地域学校保健委員会の設置の 促進、保健所と学校保健の連携強化のための取り組み、そして各種の事情で学校に通っ ていない思春期の子どもの問題行動に関するアプローチとして、親へのカウンセリング や助言の実施や学校への復帰のための支援対策、また、妊娠・出産により教育を受ける 機会を妨げられないような取り組みも必要であるとうたってございます。 そして、今のような取り組みを行うには人材確保・基盤整備が必要であるとまとめて おります。 以上、性の問題を中心とした健康問題でございますけれども、これからは心の問題対 策でございます。5ページからです。 思春期の心の問題に対応するためには、健康問題と同じですが、学校や家庭、地域の 連携も必要でありますけれど、特に心の問題に関しましては関係機関の連携強化と、受 け皿といいますか基盤整備が重要であるという認識です。 そして、思春期という時期は子どもと大人の両面を持つ存在であり、親を初めとする 周囲の大人が思春期の子どもに接する際には、子どもっぽさへの不安や心もとなさに関 して耐えるようにすると同時に、半ば大人の能力を獲得した存在として彼らの尊厳性を 保障し、その発言を傾聴していくことも必要であるというでございます。 そういう大まかな方針のもとに量的拡大につきましては、学校における心の問題に対 応したカウンセリングマインドの研修や学校医の保健相談における活動、スクールカウ ンセラーの配置、養護教諭の複数配置などの取り組みが必要である。また、心の居場所 としての保健室の役割を重視した取り組みが求められるということでございます。 そして保健所におきましては、家庭や学校と連携した心の対策の強化を促進すること が必要である。例えば保健所デイケアを思春期の心の問題を抱えた児童を対象とするこ となどが考えられるとしております。 また、質的転換ですけれども、思春期の心の問題は子どもが育ってきた家庭や学校や 地域社会の環境の反映でもある。思春期の子どもに対して適切な応援をしていくために は、思春期の心身の変化を踏まえた子どもを取り巻く世界をダイナミックに理解して取 り組む必要がある。 そして、思春期の問題のほとんどは、子どもを取り巻く大人との関係を反映してお り、信頼関係の問題である。ですから、いろいろな取り組みに関しては信頼関係を構築 できるような取り組みを推進するということで質的転換を図るべきという指摘でござい ます。 ウは関係者・機関の連携強化です。思春期と同じですが、心の問題に関しましても、 家庭、学校、地域の関係する機関が相互に学習の場を提供したり、定期的に情報交換、 意見の交換をする場を設置するとともに、問題のあるケースが発生した場合に検討を行 いまして、最適なサービスの提供を模索する取り組みが必要であろうということです。 古平委員からの御指摘にもありましたけれども、子どもの心の問題は最初に身体上の 異常などの何らかのサインが出てくることが多く、早期に出てくるサインを見逃さない ように、親に対する学習の機会の提供や、乳幼児期から近くのかかりつけ医を持つとこ のようなサインが早期に発見されるということで、かかりつけ医の促進なども必要であ ろう。 また、不登校については特化して書いておりますが、心の成長の助走期ととらえ、学 校内外の専門家のいろいろな取り組みが必要であるということでございます。 そしてエですが、基盤整備ということで、我が国の児童精神科医の数や供給体制な ど、思春期の心の問題に対応するための体制が諸外国と比べると極めて貧弱である。今 後、診療報酬上の適用や医療法上の標榜科の問題、さらに児童精神科の育成、医療器官 の整備、医科系大学における講座の整備、また児童福祉の場であります児童相談所や情 緒障害児短期治療施設への配置の推進、学校における活用等がなされる必要があるとい う打ち出しにしております。 関係の役割でありますけれども、まず国民です。思春期に関して、みずからの健康は 自分で守る力 (生きる力) を向上させることと、思春期問題について親が思春期の子ど もへの応援が適切にできるよう関係機関が努力をするということです。 (2) の地方自治体の役割がですが、これも住民がみずからの思春期を生き抜く力を向 上させるとともに、親が家庭で適切に思春期の子どもの応援者となれるように取り組む ということでございます。 以下、前回のものと同じようなものが続きますので、変わったところを簡単に御説明 いたしますと、7ページの2番目の「・」です。学校における教育内容の充実・強化の 具体的な性教育の推進の中に、生命の尊重や他人を思いやる気持ちというものも入れて おります。  それから、学校医の推進も挙げてございます。 (3) の国の役割ですが、下から2番目の「・」は、文部省と厚生省の連携の強化によ り地方自治体が活動しやすい体制づくりの実施という項目を挙げてあります。 8ページですが、(4)の専門団体の取り組みの三つ目でございます。思春期の子どもた ちに接する機会の多い産婦人科医や小児科医が日常診療におきまして思春期の心の問題 に着目した対応ができるような取り組みが必要であるということを記載しております。 (5)の民間団体ですけれども、特にNPOの役割ということで、各種の相談体制、情 報提供体制と、若者の声を聞く若者委員会の開催という取り組みについて若干触れてお ります。 以上、簡単ですが、事務局のたたき台でございます。 ○平山座長  ありがとうございました。 前回いろいろ御指摘をいただいて、この前のときのディスカッション、そしていただ いた資料等をもとにして大分内容の濃いものに直していただいておりますが、御説明い ただいたたたき台について今日のうちにたたいておくという方がおりましたらお願いい たします。 ○田中委員 ちょっと分からなかったのですが、1ページの2の問題認識についてです。一番最後 の「特に3歳未満までの環境の影響を強く」は、これは具体的にどういうことを意味し ているのか。 ○藤崎課長 これは私の方で入れるように言ったところですので、私の方から言いますと、幾つか の文献等、あるいは最近出た「育児室からの亡霊」という本で、思春期の問題に3歳未 満までの生育環境が極めて大きな影響を与えるということを読みまして、今日は渡辺先 生が見えておりませんが、清水先生からまたお話しいただければと思いますが、そこと の関係との中で思春期をとらえるという認識が必要なのかなと、またそこだけに目がい ってしまうといけないということを入れ込んだという趣旨です。 ○田中委員 よく分からなかったのですが、いわゆる3歳児神話との関連があるのかないのかとい うことで、特に最近ではお母さんたちは働かなければならないので保育所に預けてい て、それがいいか悪いかということは非常に議論されているということで、その辺との 関連があるのかないのか、別の問題ならばそれについて明らかにしておく。というの は、働きながら保育所に預けているお母さんたちは非常に不安がっている。学問的には 根拠がないと言っている先生もいるらしいのですが、いまだに3歳児神話を信じて、お 母さんたちに聞くと不安がっている方がかなりのパーセントである。そういう中で国策 として保育所や女性が働く条件を完備しようとしている中で、その辺のことについてな のかどうかということがちょっと分からなかった訳です。 ○藤崎課長 いわゆる3歳児神話を否定するという意味ではなくて、渡辺先生からも初期のころに 御説明あったと思うのですが、心の安全基地としての存在が必ずしも母親でなくてもい いとおっしゃっている訳ですね。要するに子どものころに安定した、自分が守られてい る、あるいは相互作用としての信頼関係の持てるコミュニケーションができるようなも のを子どものためにいかに形成していくのか、これが肝要なのだろうということです。 脳神経の発達過程といいましょうか、そういう中で3歳未満までに一定の形成がかな りのスピードでなされる、そういう時期の影響は将来にかなりあるのだろう。繰り返し ますが、母親が全部見るべきだ言っている訳ではなくて、心の安全基地をキープするた めにこの期間の最適な環境での子どもの発達をいかに保障するか。そういうことが思春 期にもかかわってくるという趣旨でこの案は書かれています。 ただ、表現上まずければ修正していただければと思います。 ○田中委員 よく分かっているので、質の高い保育環境をということだと思うので、それをクリア することだという表現を加えておいた方が、というのは、単にこの文字だけ読むと3歳 児神話のことを言っているのかな、やはり国もそうなのかなという話だと思うので、質 の高い保育環境であれば全く心配はない、むしろいいのだよというような書き込み方の 方が運用の混乱が少ないのかなと思いました。 ○平山座長  清水先生、コメントがございましたらお願いしたいのですが。 ○清水委員 3歳児神話と言われてしまうとちょっと困るのですけれども、課長のお話の思春期と 3歳までの育ちの関係というのは、最初はジクムント・フロイトが思春期というのはエ ディプス期 (4〜5歳) の再現であると指摘して以来の長い論争がありまして、2〜3 歳と、前思春期と申しましょうか11〜12歳は構造的に非常に似ていて、したがって2〜 3歳のころの育ちをきちんと押さえておくことが比較的安定した思春期を迎える条件で あることは精神保健の今や常識となっているところです。 課長のおっしゃる脳の発達がどうこうというミエリニゼーションとの関係は詳しくは 存じませんが、お母さん方が不安がるというのは、確かに講演しますとそういう御質問 がどこでも出るんですね。これもルネ・スピッツという人が半世紀ぐらい前に実験した ことで、1歳までの母子愛着がとても大切であること、これもかなり確証されているこ とであって、それは日本では育児休業が現実化してきたので、お母さん方の不安がだん だん減る状況が整備されてきていると私は安心しております。20年ぐらい前から私は産 休は1年間だと申しておりましたのがやっと現実化したと思って喜んでおります。 もう一つは、育休の後の1歳からの保育環境の整備をここで一言触れておかれると、 読み手は安心なされるのではないかと思います。 ○平山座長  ありがとうございました。 ○北村委員 私は田中委員が指摘すると同じように、この文章は思春期問題にかかわる者としては 事実関係というかエビデンスがないのではないかと思います。 3歳神話が、思春期の子どもとの葛藤の中で苦しんでいる親にとっては何か運命論的 な、3歳までのあるいは幼いときのかかわりが今の私たちの苦しみを生み出してしまっ ているのだ、子どもとの葛藤を生み出してしまっているのだというような印象を与える 文言はあってはいけないと思いますし、思春期の子どもたちと直接かかわる限りには、 彼らに大きな影響を及ぼしているのは友人であったり、あるいはメディアであったり、 そのあたりではないだろうかと思うんですね。 そういう意味で、これはここに書く課題としてふさわしいとはとても思えません。だ れ1人として親は凶悪な犯罪を起こすだろう子どもを育てようとしている訳ではなくて 社会に貢献し得る子どもを育てようと一生懸命努力しているのであります。しかし現実 には、時過ぎて思わぬ方向に子どもたち、特に思春期の子どもたちがいく。その子ども たちの心のゆがみなどが、自分の子育て姿勢に問題があったのだという形の苦しみを与 えることは、私はマイナスではないかと思っております。ですから、私は特に3歳未満 までの環境云々というところは不要だろうと思っております。 ○平山座長  ありがとうございました。 誤解を招かないように、清水先生のお話などを踏まえて文章の方はまた御検討いただ くことにいたしましょう。 ほかにございましたら。 ○多田委員 必ずしも具体的な問題ではないのですが、今日も出てまいりました思春期の問題とい うときに、成熟が進んでいるということが非常に大きな問題、キーワードになっている のだと思います。それに対して学校や社会が対応ができていない、早熟化してくること がいいことなのか悪いことなのか分かりませんけれども、今日の討議で聞いてても、今 までは問題ではなかったような、いわゆる若い人たちの性の問題から学校での教育の問 題、あるいは思春期の精神的な問題も含めていろいろ出てきています。 したがって、それに対する社会の対応をもっと早くしなければいけないのに、今まで の古い時代のままの年齢を対象にしていろいろなことが行われているということを非常 に感じます。文章の中に入れるかどうかは別として、進んでいる成熟に対して世の中が どう対応するかということを少し考えていかないと、結局は、今までのように子どもを 産むのは20歳過ぎとか、結婚するのはいつごろかというようなことになってしまうよう な気がいたしました。 ○平山座長  ありがとうございました。 ○岩永委員 これは書き方の問題なのか考え方の問題なのかよく分からないのですが、1ページの 上から4つ目の「さらにこの時期は」というところと2の取り組みの方向性についての 1番目の「正しい理解」が二つ出てきているんですね。こういう問題は正しいか正しく ないかではないだろうと思いますし、まず理解すること自体が基本的には正しい方向を 向いている訳ですので、これは要らないだろうと思うんです。 2ページも上から3行目に「行動変容につながるまで良く理解させるようにするに は」という表現になっているのですが、これも「良く」は要らないだろうと思います。 また、「理解させるようにする」というよりも、当事者自身がどう理解するか、理解す るような仕組みなり何なりという表現の方がいいのでなないかと思うのですが、いかが でしょうか。「正しい理解」と書かれると、では正しくない理解があってというように 見えて、父性や母性も正しい正しくないの価値観の問題ではないと思います。 ○平山座長  ありがとうございました。 ○櫃本委員 どうしても教育という言葉の受けとめ方が、今の岩永委員のお話にもあるのですが、 私も表現については思うのですが、それともう一つ、思春期の問題は今までの考え方の 教育では解決がつかない。つまり、医療が入り込まなければ、医療が積極的にアプロー チしていかなければ解決し得ないのだということをどこかではっきりさせておく必要が ある。その中で学校医がすべて担えるのか、あるいはそういう環境なのかというあた り、もっと医療が積極的に入れるような、サポートできるような環境づくりが要るのだ ということが必要なのではないか。それは産業医でも学校医でも1つの学校単位でそれ だけのチームを獲得するのは非常に難しい。それを地域保健の分野あるいは市町村や行 政の中でチームをつくって学校をサポートできるような仕組みづくりの中で、学校が地 域に投げかけてくる部分と地域から学校に入ってくる部分の仕組みづくりは何かないだ ろうかなと思います。その辺で精神科や産婦人科のドクター、あるいは助産婦会などい ろいろなサポートが本来受けられるはずなのに、それがチームとしてはでなくて、それ ぞれ単発でかかわっている部分があるのではないか。それをチームでかかわれるよう な、地域レベルの場づくりのようなものを具体的に盛り込めないか、学校だけの努力と いうよりもサポートができないかなと思った次第です。 もう一つ細かい話なのですが、アルコールや喫煙は薬物乱用に含まれる程度の表現で いいのか、ここはもっと明確に出していく必要があるのではないかと思うのですが、日 本ではほかの薬物とアルコールと喫煙は随分差があるように思いますので、その辺につ いてもちょっと感じました。 ○平山座長  ありがとうございました。  ほかにございましょうか。 ほかにもおありと思いますけれども、時間の関係がございます。それでは、思春期の 保健対策の強化と健康教育の推進の部分につきましては、今いただいた御意見を含めて 座長がお預かりをする格好にさせていただいてさらに整理を進めたいと思いますが、そ れでよろしゅうございましょうか。 また、目標値につきましては今までと同じように、後日まとめて検討していただきた いと思いますので、これもまたよろしくお願いいたします。 ○北村委員 目標値が書かれるのですけれども、この目標値を達成するには、実は前にさかのぼる とここがポイントなのだというような、そのあたりが翻って分かるような形で挙げてい く必要があるのではないかという気がするんですね。今の状況ですけれども、そうでな いとこの目標値が前段の部分とやや乖離していて、一体どこが刺激されることによって 目標の達成になるのかというあたりがやや不明瞭になっているだろうという気がしま す。 ○平山座長  ありがとうございました。 ○岩永委員 これは確認なのですが、2ページの上のところに、「薬物乱用などの行動が望ましく ない理由を行動変容につながるまで良く理解させるようにするにはどうしたらよいか」 という書き方なのですけれども、これは教育の中で以前言われていた知識が深まれば態 度が変わって行動が変わると言われる理論に基づいているのでしょうか。 ○平山座長  いかがですか。 ○椎葉課長補佐 そういう理解でございます。 ○岩永委員 教育学の中で最近はそういう形ではない進め方がかなり出てきていると思うんです。 それは私もまた資料を出したいと思います。 ○平山座長  まとめるときに、厚生省の中同士ですので、またよろしくお知恵をかしてください。 それではよろしくお願いいたします。 それでは、議題2「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」に入 らせていただきます。最初に事務局から御説明をお願いします。 ○椎葉課長補佐 それでは、毎回同様ですけれども、妊娠・出産・不妊関係でさまざまな先生方から御 意見、資料をいただいておりますので、簡単に御紹介いたします。資料は資料集4で す。 5ページです。まず岡本委員からの御提出資料でございますが、主に妊娠・出産に関 する快適さの観点で助産所における安全性と快適さについての御指摘です。特に、公的 な周産期搬送システムや嘱託医療機関制度の設置など、助産所の分娩の取り扱いの基準 や搬送基準などについての御意見がございます。 また、次のページからかなりの資料をいただいておりますので、これは後ほど岡本委 員から御説明いただければと思います。 次に88ページです。神谷委員からの御提出資料でございますが、感染症と妊娠・分 娩・産褥に関しまして、感染症と流早産に関する資料です。これも後ほど神谷委員の方 から御説明いただければと思います。 99ページですが、北村委員から特にリプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点からの 資料をいただいておりまして、不妊治療に関する御意見をいただいております。特に家 族計画クリニックにおきまして、不妊ホットラインを通じて当事者のいろいろな悩みを 把握しておられます。当事者の悩みにつきましては 100ページの下の方でございますけ れども、それをまとめた資料が、高度生殖医療に関して法的な整備や、不妊相談セン ターにつきまして不妊治療をもってしても妊娠・出産に至らないカップルへの精神的な ケアを中心に行うということや、不妊治療が少子化対策の一環であるような印象を与え ない配慮が必要という御指摘をいただいております。 101ページからは、思春期にも関連しますけれども、リプロダクティブ・ヘルス/ラ イツの観点からの望まれない妊娠の予防などについていろいろな取り組みの資料でござ います。 115ページですが、澤委員からの御提出資料です。例えば妊娠マークという、乗り物 に乗ったときに初期段階では譲る側に判断できない場合にこういうマークをつけると席 を譲りやすくなる効果が期待できるとか、産後のヘルパーの派遣ということで、産褥期 ヘルパーにつきまして御指摘をいただいております。 119ページですが、新家委員からは特に日母、産婦人科の医療現場からの御指摘であ りまして、妊娠・出産に関する安全性と快適さにつきまして、総合周産期母子医療セン ターや一般の病院、診療所などのシステムの問題、周産期医療の医師の労働条件や養成 の問題、そして里帰り分娩の防止や、分娩の多様化に伴う母親の間違った知識などの是 正、不妊患者へのさまざまな支援につきまして資料をいただいております。これにつき ましては、後ほど新家委員の方から御説明をいただければと思います。 125ページですが、徳永委員からの御提出資料でございます。特に妊娠・出産のQO Lの向上につきまして、病院の助産婦が実際に新生児訪問・指導ができないかどうか、 家にいるホームヘルプサービスの導入ができないかという御指摘と、不妊への支援とい うことで特に不妊治療を受けた後の虐待についての御指摘がございます。 また次のページからは、周産期の医療事故についての総論や実際に医療事故がどのよ うな全体像であるかという資料の御提出をいただいております。 141ページです。戸田委員からの御提出資料ですが、10年後の日本の妊産婦、母子の 未来像を描くときに、安心して妊娠できる社会・経済環境など取り組みが必要というこ とでして、9つの提案をいただいております。これは特に実際にバースエジュケーター として産む側の立場からの提案ということで、これもかなりの資料ですので、後ほど戸 田委員から御説明をいただければと思います。 そして 239ページからですが、中野委員からの御提出資料でございます。特にこちら の方からお願いをしたのですが、産婦人科医療全般に関しまして安全と快適さという相 反することを追求するということで、安全と快適の程よい均衡を求めるにはどうすれば よいかという御指摘と、産婦人科医療をやっている医師の研修の問題や実際の医療機関 などの資料を御提出いただいております。これにつきましては、後ほど中野委員の方か ら御説明いただければと思います。 319ページからですけれども、山縣委員からの御提出資料でございます。生殖医療に ついての全国調査の結果で国民がどのような意識を持っているかという資料でして、こ れにつきましても後ほど山縣委員の方から御説明いただければと思います。 別冊の方は長井委員からの御提出資料ですけれども、産業保健とのかかわりというこ とで、実際に働く女性の母性保護管理などの観点、産業現場からどのような問題点があ るのかという御指摘の資料をいただいております。 また、別冊の9ページですが、櫃本委員から妊娠・出産に関する安全性と快適さの確 保、不妊への支援につきまして特に地域保健の立場からは、行政の方から医療機関にバ トンタッチしていっている分野であるということで、医療機関とのいろいろな連携につ いての御指摘と、不妊への支援に関しまして不妊について精神的なサポートが優先され ることと、あくまでも不妊への支援イコール生殖医療の推進にならないような配慮が必 要という御指摘でございます。 以上でございます。 ○平山座長  ありがとうございました。いろいろ資料をありがとうございます。 それでは、何人かの先生に御発言をお願いしたいと思いますが、時間が限られている のでこちらから最初に指名をさせていただきたいと存じます。恐縮ですが、お1人5分 以内でお願いしたいと思います。 妊娠・出産等に多方面からかかわっていただいている先生方が大勢おられる訳ですが その中でまずユーザーの立場から見た妊娠・出産に関する御発言を戸田委員にお願いい たします。 ○戸田委員 産む側の立場からは今日は5分以内で発言させていただきます。 私は、妊娠したお母さんが医療施設に足を向けるときに安全性を追求していると思う のですが、これは医療側も同じ。全く同じ安全性を第一に双方ともに考えていると思う のですけれども、実は蓋を開けてみますと、安全ということの意味が医療者側と産む側 とでは雲泥の差があるのが妊産婦に十数年間かかわってきた実感でございます。 お母さんたちの方から言う安全というのは、実は妊娠したお母さんは病気をしたとい う気持ちは持っておりません。ほとんどのお母さんは健康で社会生活も営んでおり、そ して自分で判断もできる、キャリアも持っている、そしてこれから家族を迎えるのだと いう女性たちです。いろいろな心身の変化を体験して、そこでいろいろな経験をしてい く中で専門家の皆さんに支えていただき、導いていただき、安心させていただいて、自 分でこれから自信と世の中へ子どもを通して広がるまた別の世界を夢想いたしまして、 そして健康に赤ちゃんを産みたいと願っている訳です。ですから一言で言えば、その安 全というものは心身ともにほっとできる安全地帯を求めているということですね。  ところが医療側は何を見るかというと、これは車検のように検査をして欠陥がないか どうか、つまり病理を主体とした検査・検診、そして治療、ケアをしていく訳です。こ こで大きな隔たりがありまして、さらに悪いことにはルーチンケアということで、押し 並べてどんな人に対しても同じようなケアをする伝統が産科にはあるようなので、それ に対する不信感や不満感が最近出てきていると感じている訳です。 言いたいことはいろいろあるのですけれども、かいつまんで言いますと、私は13歳と 16歳の娘がいるのですが、この子たちがお産するころまでには何とかしたいという切迫 感があるんですね。ですから、研修をするだの、ケアを見直すだのという手ぬるいこと では、10年ぐらいではどうにもならないと感じている訳です。 ですから、申し上げたいことは幾つかあります。提案の1つには、妊娠・出産ケアは 病気ではないという視点が非常に大事だと思います。そして、確かに高度医療のケアを 必要とする人はいますけれども、基本的には妊娠・出産は助産婦ケア、つまり正常な妊 娠・出産・産後を見守り、そして導くことを専門職として行っている助産婦が継続して 見ていくのが望ましい形だと思います。正常なお産からはドクターは退いてくださいと いうのが私の個人的な意見です。 そして、医師を頂点とした三角構造ではなくて、もちろん高度医療のケアを必要とす る人もいる訳ですから、正常お産の専門家である助産婦とドクターが横並びで女性をケ アしていくという形をつくっていっていただきたいと思います。 もう一つは、産む側からすればそういうケアの内容を外から知り、先生たちの考え方 も知り、そしてケアをする人を選ぶことができるのが非常に大切だと思います。そのた めの情報公開とこちらが選べる環境が必要だと思っています。痛くも何ともない髪の毛 を切るのでさえ美容師を指名できる世の中なのに、病院に入ったら通りすがりのだれに お産を取り上げてもらうか分からないような状況は10年後には全くないようになってほ しいと感じております。 専門職は母乳のケアなどでも非常に強く感じるのですけれども、日進月歩の医療の中 では、変わっていく知識・技術、ケアのやり方を絶えず学んでいかなければいけない。 ところが、ただ研修に行ってくださいというのでは困る。コントロールできないと思う んですね。ですから、ほかの国でも見られるような免許更新制度、ポイントできちんと 研修を受けた人だけ更新できるということが各専門団体の中でしっかりと検討されて実 行されてほしいと思っています。 高度医療になっていくに従って、昨日はヒトゲノム解析が全部終わったということが 発表されておりましたけれども、生命倫理の行方がますます複雑に難しい決断が迫られ るように状況になると思うのですが、そういうときでも我々産む側の立場、意見がきち んと反映されるような倫理がつくられてほしいと感じています。 もう一つ、私には非常に分からない分野なのですけれども、医療費の方で保険点数が 正常なお産でも何でも手を出せば出すほど、治療をすればするほど収入が得られるよう なシステムになっていると思うのですが、それは妊娠・出産のケアでは全く当てはまら ないシステムではないかと感じています。 総じて言いまして、地域の救急搬送制度なども含めて産む側が本当に安心して、そし て産む側の意見が反映される医療のシステム、ケアの内容、専門家の皆様の質の向上が 望まれると感じております。  以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。 直接の御質問はございますか。 ○矢内原委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、ポイント制とか更新制というのは医師の場合です か、助産婦の立場でおっしゃっているのか、どこのポイント制なのかということをお伺 いします。 ○戸田委員 医師も助産婦も保健婦も、医療に携わる方々には知識の更新と質の安定は必要かと思 うので、どのようにするかは専門家の皆様の中で話し合われるべきことで私の方ではよ く分からないのですけれども、とにかく質の向上と維持のために、40年前とった免許が ずっと今でも通用するというのは今の世の中では常識的に考えてちょっとおかしいと感 じる訳です。 ○矢内原委員 助産婦の資格や制度の中に免許の更新制や講習会でのポイント制はまだ導入されてい ないということですね。 というのは、私は産科婦人科学会の認定委の委員長をやっておりまして、日母でも日 本産科婦人科学会でも産婦人科医としての講習の重要性ということは随分言われており ますし、いわゆるポイント制は導入されているので、助産婦の方はどうかということで お伺いした訳です。 ○戸田委員 この認定制というのは任意と伺っておりますが、私はどのお医者様もどの助産婦さん も一定期間を経た後、免許の更新をするためにはこのポイントが必要であると感じてい る訳です。 ○平山座長  生涯学習制度は日医でもお持ちですし、各学会でやっていらっしゃると思いますが、 生涯勉強を続けることは大変大事なシステムでございますね。 それでは、日母のお立場で新家先生、お願いいたします。 ○新家委員 先ほどの思春期の性教育の問題でありますけれども、我々産婦人科の医師が地域なり 学校なりに参加しているところは全国的にほとんどございません。したがって、私ども が避妊についての相談を受けるのは、望まない妊娠の中絶の後かお産の後しかないとい うことになります。つまり、我々は知識を持っておりますが、学校や地域で利用してい ただけませんので、積極的に呼びかけていただければ幾らでも我々の組織で出ていける と思っております。 さて、妊娠・出産に関する安全性ということでございますが、我々がいろいろなチェ ックをしているのはあくまでもハイリスクの妊娠を見つけるためのものであると思いま す。つまり、全員に画一的な検査をやっているとおっしゃいましたが、ハイリスクをい かにして見つけるかということが一番大事なことであろうと思います。このハイリスク の妊娠の管理、あるいは分娩の管理は、ある程度もう確立していると私は思っていま す。問題は、そのハイリスクから漏れている、一見安全性に思える妊婦が突発的な事故 が起こったときにどう対応するか、それが一番大きな問題であろうと思います。ですか ら、高度のいわゆる総合周産期母子医療センターも必要でありますけれども、私自身は 東京の田舎のわずか8床しかない開業医でございますが、我々が本当に望むのはその中 間にあるもの、つまりお母さんと赤ちゃんとを搬送できて収容できる設備をもっと増や していただきたい。そこで手に負えないものが初めて高度にいくのでありまして、人口 30〜40万に1つぐらいの割合でつくっていただけると、我々は本当に安全なお産を目指 せると思っております。  現在の周産期医療センターの中で、物的なものはある程度お金を出せば整備できると 私は思っているのですが、問題は看護要員あるいは医者等を含めた労働条件が非常に悪 い。はっきり言って私どものところでも新生児科の先生が救急車に乗って来てくれます けれども、自分で気道を確保した方が早いなと思うような若い先生が参ります。それで も来られないよりはいいなと思っている訳ですけれども、しかしその人たちが2〜3年 たってどうなるかといいますと、もう新生児科にはいないというのが現状です。ですか ら、質的なものよりも人的なものをいかに大事にするか。これは私ども産婦人科もそう ですし、小児科の先生もそうだと思うのですが、60代ぐらいのところにピークがあっ て、若い人は面倒くさいこと、あるいは大変なことはやりたくないという時代でありま すから、産婦人科、小児科、新生児科を含めた医師と看護要員の専門職をいかに育成し ていくかが一番大事だろうと思います。 先ほどの医師免許の話でございますが、日本産科婦人科学会で認定医制度、もう15年 近くになりますけれども、5年間である程度決められた研修を受けた者が5年ごとに更 新をいたします。産婦人科の場合にはほとんどの方がそれに参加しております。日母の 方は例の母体保護法の指定医師の研修を年間幾つ以上の研修を受けるということで、こ れは2年ごとに更新しております。これは中絶の届出の義務から何から全部含めて厳重 に各都道府県の医師会でチェックいたしまして、当てはまらないものはそこから除外し ていく方法をとっております。 ただ、これは医業経営に直結しておりますから、そちらの方はみんな一生懸命研修を 受けているのが現状です。認定医の方は持っていても持っていなくても医業経営には余 り直結いたしませんので、そういう意味では母体保護法の指定医師の方が研修は厳しい というか、十分にやられていると私は思っております。 病院、診療所、我々のところも含めてそうでございますけれども、医療水準をどんど ん上げていかなければいけない。どういう場合でも対応できる準備は、医師だけではな くて助産婦あるいは看護要員の人たち全員を含めたレベルアップを常に心がけていると 私は思っております。 一番問題なのは、1つは里帰りということがあります。この里帰りが本人の望むとこ ろで、親のもとで産みたいという気持ちは分かるので、私どもでずっとかかって産む人 よりもより注意をして送り出すのでありますけれども、意外に事故につながっていく場 合があるので、できれば里帰りをしなくても済むような支援体制があればと思っており ます。 いろいろな雑誌を読んだり友達から聞いて分娩や妊娠のいろいろな知識を持っていら っしゃるのですが、本人がどれが間違っていてどれが正しいのかがよく分かっていな い。分かっていないから当然質問がないので、何かの話をしているときにとんでもない 話が出てきて、えっという感じになる場合がほとんどでございます。母親学級をやった りた父親も一緒に参加させてやってみても、どこが正しくてどこが間違っているのかの ポイントが我々につかめない、看護婦たちにもつかめない。これが現状でありますの で、それをいかにするかが非常に問題だと思います。 不妊相談センターが余り活発になっていないのは、医療機関と結びついてしまってい るからだと私は思っております。医療と全然関係ないところ、つまり女性なり男性なり が気軽に集まれるところに設置して、産婦人科なり泌尿器科の医者、あるいはカウンセ ラーなどいろいろな人たちがそこに出かけていく形にしないと進んでいかないのではな いか。つまりある医療機関の経済的な支援をしているにすぎないと私は思っておりま す。 保険の収載がなぜできないか、これは日本の医療経済の悪化が原因だからであろうと 私は思います。私どもの試算だけでも物すごい額になりますので、これを一斉に認める ことになると医療費は多分パンクするであろうと思います。雪下先生が詳しいのですけ れども、したがってある程度自己負担制度というか、自立保険というのでしょうか、自 分の負担と国の別枠の援助で不妊症を解決できればと思っています。というのは、現在 は自費診療ですので、1周期の治療を幾らにせよということは日産婦学会も我々も指令 を出すことができません。公取委に引っかかってしまう。したがって、医療機関でもの すごい値段の差があります。保険収載されればそれは全部是正される訳ですが、今の現 状ではちょっと難しいのではないかというのが私の個人的な意見です。 以上です。 ○平山座長  どうもありがとうございました。 恐縮ですか、時間の関係で次々と指名をさせていただきます。それでは、助産婦のお 立場で岡本委員、お願いいたします。 ○岡本委員  資料の5ページから87ページということで長くて恐縮ですが、その中でかいつまんで 報告させていただきます。 現在、助産婦は正常妊娠・分娩に関してケア等をさせていただいている訳ですけれど も、活動の場が大きく2つに分かれます。1つは地域の開業助産婦で入院設備のある助 産院で働く者と出張分娩に携わる者がありますが、両方で現在約 800名おります。あと は勤務助産婦でドクターと一緒にかかわっている者でございます。もちろん異常に関し ては直接することはありませんので、医師のもとでの看護婦的な役割ということでござ います。 特に助産所に関しましては、自然出産ということでその安全性に関していろいろな問 題をかかえておりまして、それに関して昨年、現状の助産所でどういう配慮をしている か、問題が起こっているのかということに関して調査をいたしました。  一番の問題は、予測できない部分もありますので、そのときに現在の医療制度の中で は嘱託医の先生を決めてさせていただいておりますが、その先生が夜間あるいは休日に はなかなか連絡がつきにくいということもありまして、個々の助産婦は複数の医療機関 あるいは嘱託医経由でなくても他の産科医あるいは新生児・小児科医の先生と連携をと りながら実施しておりました。ニーズといたしましては、個々の嘱託医の先生方とのつ ながりも非常に大事なのですけれども、それだけはなくて、先ほども言いましたよう に、助産院からは母児の救急搬送の直送はできませんので、二次救急を受けてもらえる ようなところ、あるいはより高度な医療機関と直接連携のとれるシステムの実現をぜひ お願いしたい。そういう点では嘱託医制度だけではなくて嘱託医療機関制度のようなも のをぜひ検討いただきたい。現に東京や大阪、神奈川等は割とうまくいき始めていると ころもございますが、全県においては課題もまだたくさんございます。  個々の助産院の助産婦自身の質の問題を日本助産婦会としては、しっかり管理してい きたいということで、助産所で扱うべき分娩の基準あるいは搬送の基準、より速くバト ンタッチするというところでの基準をしっかりしていくということでそういうものを作 成しております。資料でつけさせていただいております。 快適さに関しては、助産所は同じ助産婦が入院期間だけではなくて継続的にフォロー しているという意味では非常に信頼感も得ている訳ですけれども、病院におきましては 安全性は医師とのスムーズな早期のバトンタッチが可能ですので、逆に快適さの問題が 大きな問題としてございます。受持制でもなく8時間ごとの3交替制ということで信頼 関係が得にくくかったり、あるいは継続的に相談しにくいということがありまして、そ ういう問題をどう解決するかということで、日赤医療センターを初め深谷日赤、今回は 深谷日赤の例を助産婦雑誌から転載させていただきましたが、できるだけ同じ方が、そ してできるだけ妊娠の早期からかかわっていくということ。受持制等も含めてそういう ことの必要性を感じております。  入院期間が1週間だけで、地域に帰られ、後のフォロー体制は病院だけの問題ではあ りませんが、帰られてからお母さんたちが気軽に相談できる子育て支援、すなわち、電 話相談を始め家庭訪問等も整備していかなければいけない問題があるかと思っていま す。 簡単に言いますと、病院においては正常は助産婦、異常は医師がという役割分担を明 確にとりながら、そして当然のことながら資質向上のための研修はずっと続けながら行 うことが大事かと思っています。 ちなみに、助産婦の研修におきましては認定制度は全員ということではなく今は任意 ですけれども、看護協会、日本助産婦会もやっております。あと、開業助産婦の質の向 上のためには、短期間のいろいろな研修もやっておりますけれども、しっかりした資質 を持って開業してほしいということで、免許をとってさらに臨床で何年かしてからです が、1年間の開業するための研修課程も助産婦会で発足しております。 不妊への支援につきましては、保険適用等、国の財政の問題もあるかと思いますが、 お母さんたちの声から一番は、多額の治療費がかかる不妊治療費が何とかならないかと いうこと、あるいは治療に要する通院のための公休制度のようなものなどの検討をお願 いしたいということを挙げさせていただきます。 以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。 直接の御質問がございますか。 お話の中で助産所が 800とおっしゃいましたか。 ○岡本委員 有床のものはもっと少なくて 300ぐらいで、出張分娩を入れると 800ぐらいです。 ○平山座長  お年の関係でというと失礼ですが、だんだん減ってきているといううわさを伺ったの ですけれども、最近若い助産婦さんで開業される方はどのぐらいおありなのでしょう。 ○岡本委員 年に10人ぐらいで少数なのですけれども、日本助産婦会で研修制度を設けておりま す。また、高齢の方は亡くなっておりますので、全体の数はそう増えていないのです が、中での若返りは相当してきております。 ○平山座長  ありがとうございました。 それでは引き続きで恐縮ですが、続いて性感染症の観点から妊娠・出産・不妊につい ての御発言を神谷先生、お願いいたします。 ○神谷委員 資料は川名先生が書かれたものを挙げておきましたが、これで総論的なことは分かっ ていただけると思います。 性感染症が今どうなっているかということは、厚生省にも結核・感染症流行状況調査 というのがございまして、流行調査と流行予測調査がありますから、そういうものを見 ながら特に性感染症のことを見ておりますと、一時的には減った時期もありましたけれ ども、エイズ問題がだんだん忘れ去られて少しずつ増えている。高校生年代の人たちに は思春期のこれから母体として一番成長すべきところに性感染症が静かに広がりつつあ るという問題があります。そういう人たちに対して、教育を実際どのようにやっていく かということが、健全な子どもを得る上では非常に大切だと思います。学校医だけでは それができないので、専門の先生も交えた学校あるいは地域での勉強会が行われないと この問題はそう簡単には解決しないだろうということが言えると思います。 特に、一般に母体の感染の場合は流産、死産、あるいは新生児死亡が誘発されること は既に分かっていることでありますし、特にお母さんに感染がある場合は子宮内の胎児 の発育の遅延や先天性の形成異常、あるいは臓器の機能がうまく働かないなどの問題が 残ります。また疾病によってはキャリアとして次の世代へ病気がまた拡大していくとい う問題があります。この辺は産婦人科の先生が検査しておられますが、これもいつの時 期に検査をして、いつの時期で診れば十分かという問題については、家族、特に夫の分 娩に対する物の考え方、あるいは次の世代の子どもに対する愛情等がしっかりしており ませんと途中で感染が起こって、せっかく検査してあっても実際に生まれたときにはま た感染が起こっているという問題があるのが実情だと思います。 母体に感染があった場合赤ちゃんにどう影響するかということは、1つは胎盤感染を 通じていく病気と、上行性に産道経由で子宮の経管から感染していくもの、もう一つは 母乳を経由した感染があります。特に経胎盤感染の中で風疹のように予防できる病気が あるにもかかわらず、現実には思春期の子どもたちの中に予防接種にほとんど関心を示 さない人たちが多いということで、現に日本はある程度の風疹の流行阻止には成功して おりますけれども、いまだに先天性風疹症候群の子どもたちが生まれてきて、白内障、 先天性心疾患、難聴等がかなり多く出ております。これも妊娠20週を過ぎればほとんど ゼロになる訳です。2週から6週ぐらいの間に感染を起こすと80%ぐらいの奇形が生ま れるということが分かっておりながら、しかもこれは予防接種をすれば予防できます。 風疹は直接性感染症ではありませんけれども、妊娠に関連して流行ということでよく気 をつけなければいけない疾病です。最近問題になっているもう一つは、ヒトパルボウイ ルスという子どもにとっては伝染性紅斑という非常に簡単な病気(ほっぺたが赤くな り、全身に発疹が出る病気)なのですが、妊婦が感染しますと胎児の水頭症や胎児水腫 の原因になるということがございます。こういうものも妊娠中のケアとして感染の流行 に十分気をつけていかなければいけないということになると思います。 総論的なことは資料に書いてありますので、特に細かいことは追加いたしませんが、 それにもう一つ加えて、なかなか子供ができなくてやっと妊娠をする方などの場合にペ ットを飼っておられる方があって、特にトキソプラズマの感染などは日本の流行の頻度 がよく分かりませんけれども、欧米では 1,000の出生に1ぐらいの割合と言われており ます。これもこれからの問題として少子化の中で、しかも晩婚ということが起こってき て、ペットが家の中で飼われるというような状況からは、今後も安全な出産をするとい う意味では気をつけていかなければいけないのではないかと考えております。 先ほど岡本委員のおっしゃったことで追加をさせていただきたいのですが、健康な赤 ちゃん、あるいは産婦人科の先生、助産婦に合わせて厚生省、特に児童家庭局でやって おられますプリネータルビジットという制度がございます。これもお母さんの心を安定 させるという意味では、生まれてからの赤ちゃんの問題については小児科とも相談する ことも非常に大事だと思いますので、今は特におじいちゃん、おばあちゃからの知識を 得られないお母さんに対してはそういう方向に広げていただくような試みも中に入れて いただけると大変いいのではないかと思っております。 以上です。 ○平山座長  ありがとうございました。 直接の御質問はございましょうか。 それでは、引き続きまして職域医療と申しましょうか、産業保健の分野からの御発言 を長井先生、お願いいたします。 ○長井委員 私の方は別冊になるのですけれども、産業保健と妊娠・出産に関するかかわりは実は 非常に新しくて、別冊資料3ページの中段の後半ぐらいですが、法的には母性健康管理 が早くから、1972 (昭和47) 年ぐらいから指針としては出されているのですが、実際に は産業保健の基盤は労働安全衛生法という法律に基づいていますので、労働省の中でも 女性局から出される指針等に目を通す産業医は非常に少なくて、現実的には産業医にと っても平成10年の義務化は驚きの出来事だったという方もたくさんおられます。そうい う恥ずかしい現状なのですが、最近はにわかにこれらに関して産業保健の方でもやって いかなければという気運にはなっているのですが、現実のところ、どことどのように連 携をとれば分かっていない。産業医の基盤である産業衛生学会でもようやく就労女性健 康研究会が去年できたばかりで、これからの問題であると思います。 そうすると、企業側に健やか親子21にどういう関係があるのかということを訴えてい く基盤そのものもまだまだない訳で、実際のところは、それを目標値の中にどのように 入れるかは私自身もまだ悩んでいます。例えば一番最初に企業イメージの中に、少子化 対策が問題であるのは枠組みとしては分かっているはずなのですが、具体的に企業が何 かしたらその対策に影響があるのか、そこまでのイメージは恐らく持てていない。そう すると、妊娠・出産は女性の問題であることをいつまでもイメージづけているようでは 多分進まない。 別冊資料3ページの1 (2)に書いているのですが、少なくとも身体的負荷は女性が負 うにしても、精神的には周囲の理解があって初めて妊娠・出産は安心して迎えることが できる。今回私は「健やか親子」という表題にしていただいたのは非常によかったと思 うのですが、母子保健というくくりでとらえられている限りはお母さんの女性の問題だ なといつまでも問題を先送りされる可能性があるので、父親抜きにはこの対策そのもの が進まないというところから出発してほしいと感じます。 その中で例えば不妊治療も両性の問題であることも出発点ですし、実際に男性不妊で 悩んでいる社員もたくさんんおられます。そういう中では情報提供ということも、企業 の側には直接的に厚生省の取り組みで情報提供がなされるということはないのですが、 健やか親子21がもし情報提供できるとしたら、健康日本21の続きで同じ枠組みの中であ れば生活習慣病対策は産業保健にとっても重大な課題ですので、同じ視点でさりげなく 入っていることが非常に大事になってきます。  そうすると、父親に関して情報提供がなされる。例えばどういう視点でなされるのが いいのかなといろいろ考えたのですが、産業保健活動の中には全国衛生週間という行事 が労働省の取り組みで10月にあります。その中では、例えばうちの会社でしたらその1 週間に、衛生に関して例えばビデオを見る、職場の中の衛生問題を考えるということが あるのですが、土曜日曜の休日に関しては各家庭で衛生問題に考えましょうという漠然 とした取り組みですけれども、社員にはそういう通達がなされます。その中で、各家庭 といってもさまざまおられますが、そこで親子の問題で日ごろ悩んでいる人に、厚生省 で用意されているいろいろな資料があるという情報提供の場が与えられるなど、この間 も言いましたが、自分から地域の方へとりにいく、あるいは学校に出かけていくことは 父親にはなかなかできないことですし、働く女性にとっても非常に大変なことです。そ うすると、職場の中でも自然と目に触れるチャンスが増えるということがとっかかりと しては一番やりやすいことではないかと考えています。 女性に関して言えば、妊娠・出産期中には3つの望みがあると思います。1つには当 然、安心して妊娠・出産を迎えたい、育児も続けたい。その欲求があって、なおかつそ れでもキャリアを途切れさせずに続けたい。それを続けようと思えば、なおさら安心し て保育という預ける施設側の問題の安全性が望みとしてある。この3つを考えたとき に、先ほど清水委員からのお話で1歳までの母子密着が非常に大事ということでした が、それが本当に母子だけの問題なのか、例えば半日勤務が許されるのであれば半日は 母親として過ごし、半日は働く女性として過ごす。お父さんもその半面、1歳の間で半 日は自分も会社に行く、半日は自分も育児をする。そういう弾力的な育児態勢とさまざ まな育児機会が認められる社会になっていくことに1つのとっかかりがないのかなと思 います。 実際に、確かに1歳か、あるいは3歳ぐらいまで育児休業、あるいは育児制度がある のですが、その枠組みをさまざまな視点で成果としてこういういい点があることを、実 際の調査などで出していった方がいいのではないかとも考えています。 今回は提供しなかったのですが、母性の方の取り組みの資料も次回提出したいと思っ ています。 ○平山座長  よろしくお願いいたします。 健康日本21との関係ですが、健やか親子21は健康日本21といずれドッキングすると、 先生が参加される前に厚生省から説明をいただいておりますので、よろしくお願いいた します。 長井先生に直接の御質問はございましょうか。 ○雪下委員 労働省によるモデル事業の母性健康管理事業が全国的に行われておりまして、私が神 奈川にいたときの経験ですが、神奈川は2カ所のモデル地区があるのですが、相談に来 るケースが大変少ないということ。まだスタートして1年半ぐらいかと思いますが、年 に何例も利用されてないという現実がある訳です。これは職場自身の理解が悪くてこう いう仕組みに乗れないということなのか、あるいは女性自身の認識なのか、その辺はど のようにお考えでしょうか。 ○長井委員 1つには女性の認識が大きくあります。というのは、正社員で働く女性がまだまだ少 ない。その中で、なおかつ出産後も育児をしながら続けようという意欲のある方はます ます少なくなっていく。けれども働いている女性は非常に多くて、例えば派遣、パート の方々は自分たちが働いているというまでの意識を持っていないらしいと聞いたことが あります。職業としてやっているというほどに働いている訳ではない。どこか控えめな 職業観でありまして、そういう方たちにとっては妊娠・出産で困ることがあったら、会 社側の問題というよりは自分の問題として早々と引っ込めてしまっている。両立させる ことに自信を持てる人が少ないのは、私が以前行ったアンケートでも出てきているので すが、女性にとっては日本の社会は働いても安心して育児ができるというメッセージは まだどこにもないという感じのようですね。 会社の側にも、どう扱っていいのか分からないという不安感がありますから、それじ ゃあ相談に行くかというと相談に行くまでもなく女性の側でやめていったり、あるいは 会社の方でいづらくさせてしまったりということが一番多いのではないかと思っていま す。 ○平山座長  ありがとうございました。 この辺は非常に大事なところですね。 ○新家委員 ちょっとお伺いしたいのですが、男女雇用機会均等法などで育児あるいは産前産後が 保障されていますね。今、仕事として意識していない女性のことをおっしゃったけれど も、我々が一番困るのは、管理者側にいる女性です。下手すると産休もとれない。お産 している間にもとの職場に戻れなくなるのではないか、これが一番大きな問題なので、 その辺をもうちょっと解決していただければと思っています。 ○平山座長  長井先生にといっても無理でしょうが、これは女性の問題もあるでしょうし、企業風 土を変えなければいけないというのは昨年末の少子化対策の閣僚会議でもそういうこと がはっきり出ておりますので、これから労働省の方でもいろいろ考えて頑張っていただ けるものと期待しております。 続きまして、生殖補助医療技術等に関する意識調査の研究を実施なさいました山縣先 生の御発言をお願いいたします。 ○山縣委員 資料は 319ページからですが、この研究に関しましてはこの委員でもあります矢内原 先生が研究班の班長として行ったもので基本的には矢内原先生にお話をいただくのがい いと思いますので、私は概要と結果について簡単にお話しさせていただきたいと思いま す。 これは平成10年に設置されました生殖補助医療技術に関する専門委員会の基本的な資 料とするために平成11年に行った調査であります。基本的には一般国民 4,000人、患 者・医療関係者 2,000人の合わせて 6,000人を対象に行ったもので、皆さんの御協力で 非常に高い回収率を得ることができまして、一般国民で約70%、全体としても配付数の 65%の回収率を得たものであります。 結果ですが、基本的に課題でありましたいわゆる第三者の精子・卵子を用いた生殖補 助医療技術についてどのような意識を持っているかということが中心の話題でありまし た。それにつきましては、こういう技術に対して自分自身がそれを利用するか否かに関 しては一般国民、患者ともに3%前後の人が利用すると答えるにとどまっています。一 方、こういう技術に関して一般論として認めてもよいかどうかということに関しては様 子がかなり変わってきまして、条件つきで認めてもよいという方が半数を超えるという 結果でありました。このあたりについてはまた矢内原先生から御説明いただければと思 います。 こういう問題に関しましては、いろいろなバックグラウンドによって回答が違ってく るのですが、今回そのあたりを調べましたところ、女性で認めない、年齢が上がるに従 って認めない、この手の問題はいわゆる家族観は性的役割分担に関する意識の違いによ って変わってくると考えておりまして、その点も聞きましたが、非常に保守的な考え方 の方はこういうものを認めない、そうでない方は認めるというようにはっきりと違いが 出ておりました。 医師の専門分野によっても違っておりまして、産婦人科の先生方はこの技術を認め る、特にこういう技術を実際にやっていらっしゃる先生方は認めるのですが、一方で小 児科の先生方はなかなか認めづらいという方が多いという結果が出ております。 今回、一般国民の方に無作為で抽出したものでありまして、その中から附属的に明ら かになったことが幾つかございます。その1つが、いわゆる不妊治療をどのぐらいの方 が受けていらっしゃるかということがある程度推計できました。調査時点で不妊治療を 受けていらっしゃる方が全国民の中で28万 5,000人いると推定されました。これは矢内 原先生方が以前、施設で調査された結果とほぼ一致する値でありまして、30万人弱の 方々が不妊治療を受けていらっしゃいます。30代のカップルでは3%ぐらいの方が不妊 治療を受け、同じく3%ぐらいの方が不妊治療によってお子さんを授かったという結果 が出ておりました。 不妊治療に対するいろいろな考え方で1つ気になることがございまして考慮の結果に 書かせていただきましたのは、不妊治療を肯定するにしても否定するにしてもいろいろ な理由があるのですが、その中で重要なものの1つが生まれてくる子どもの権利という ことです。一般国民や医師にはそのあたりの意見を出される方が比較的多いのですが、 患者の意見としてそのあたりが欠如しているのが1つ分かったことでございます。不妊 に関しての心のケアをするという意味で、いわゆる不妊治療をするだけではなくて不妊 の患者に対するカウンセリングの必要性をこの調査からも私どもは読み取りました。 私からは以上ですが、矢内原先生、よろしいでしょうか。 ○平山座長  コメントがございましたら、お願いいたします。 ○矢内原委員 山縣先生から大変詳細に報告いただきましたし、御調査いただきましたので特につけ 加えることはありませんが、今日お配りいたしました参考資料の後ろの方に自由記載が ございます。山縣先生が最後にそのことについて心のケアとカウンセリングの問題をお っしゃいましたが、自由記載を大きく幾つかに分けて整理いたしますと、患者側が求め ているものは心の痛手に対するケアと、先ほども話題に出ましたが、生殖補助医療技術 に対する経済的な負担が大きな2つのポイントになっております。一般の方々はほとん どがお子さんがいらっしゃる方と解釈できるのですが、こういう技術で生まれた子ども の権利は一体どうだろうかと非常に心配されております。 そもそもこういう集計を厚生省の特別研究の中で行ったことの背景は、これからそう いう議論になっていくのだろうと思いますが、不妊の問題が単なる少産・少子や患者と 医師との問題よりも大きな社会問題になっている。その1つは生殖補助医療技術が倫理 的な問題を含んできたということであります。したがってこういう調査は、先ほど本日 の資料の99ページに北村委員の電話相談における患者の声の要約が幾つかが載っており ましたけれど、まさにこういうことを基盤に考える。つまり第一は子どもの法的な権利 の保障、2番目にはこれが職業化しない、商業主義の排除、3番目には安全性、つまり 生殖補助医療技術を使うに際して人を生殖の道具にしない。それとカウンセリングケア を含めた問題に集約されてくると書いてございますが、まさにそういうものをベースに 学会、厚生省を含めていろいろな委員会で討議をして、ルールづくり、その管理の方法 を考えているところでございます。 ○平山座長  ありがとうございました。 今日は会場の都合で会議を4時以降まで会議を延ばせませんので、恐縮でございます が、そのおつもりで進めさせていただきます。 最後に、産婦人科医の養成や産婦人科医療の安全体制についての御発言を中野先生か らお願いいたします。 ○中野委員 私、次回は外国出張でいないものですから、どうぞお許しください。 集めていただいた資料のページの239ページに捨てぜりふを書かせていただきました。 240ページからの資料が産科婦人科学会と小児科学会の両方で、現在厚生省で特化事 業としてやっておられる総合周産期母子医療センターの平成8年度以降の事業の成立を 横目で見ながら、多田先生等と一緒に悪知恵をいろいろ出したものでありまして、この ようにあってほしいという将来に向けてのセンターのあり方、人員のあり方等々、両学 会の共通見解を出したものです。 次いで 245ページ以降は、先ほども少し出ましたが、産科婦人科学会の認定医制度の 卒御研修目標等々のカリキュラムの一部をお示ししたものであります。  続けて 269ページ以降は、周産期委員会の最も新しい集計データとして、主として児 の死亡を全国集計したもののデータをお示ししました。これも後で機会がございました らごらんいただければと思います。 そこで今から申し上げますのは、5分と限られていますので急ぎますが、コメントと して4つの軸、そして対策として同じく4つの軸を簡単に申し上げます。 コメントの最初に申し上げるのは、今日の後半の部分のキーワードであります安全と 快適からなる妊娠・出産と不妊の話で、これは本来別々であるという考え方もあります が、一緒にするとすれば、既に立ち上がっております生育1療構想です。すなわち、ラ イフステージの医療でのサービスを中心に人類は動いてきたのですが、ここにきて初め てライフサイクルという種の安全ということが登場し、それが動こうとしている。これ にすり合わせてしか妊娠・出産と不妊という視点はないということを申し上げたいので す。それがライフサイクルという輪の中で分断されまして、例えば不妊は不妊といいま すと、現状の問題で「堕胎児、つくって後はどこかで」みたいな話がまかり通るという ことになりますので、これはすり合わせをした上でやっていただきたい。したがって、 対策の1は問題取り組みの姿勢ですね。両者を同一レベルで合体するのではなくて、流 れの中で考えていただくことが必要ではなかろうか。これがコメントの1です。 次いで具体的な話ですが、という訳で妊娠・出産の話に絞りますとコメントの2にな ります。すなわち安全と快適ですが、先ほどの私の捨てぜりふに書きましたように、片 や安全は人類の希望としてまず死亡、次いで疾病に絞りますなら収束するものでありま す。一方において快適は満足や不満足、先ほどから御意見がありますように、文化・時 代・社会によって変動する要素でありまして、そのうちのいずれかが収束するべき安全 と結びつくということで、ともに変化するという発想をしませんことには、片や収束、 片や発散という訳で論理的には結び合いません。 そこで、収束する現状はといいますと、我が国が抱える母子に関連した統計、公衆衛 生指標等々は世界一流の状態になっています。恐らく半世紀以上にわたる努力の結果だ ったと思います。そこで対策2ですが、21世紀という位置づけを開発から維持へと転換 しないことには、一たんなし遂げたものに対しては手抜きをするのは人間の普通の行動 なので、維持の装置・仕掛けをどうするかが大事な視点ではなかろうか。 コメントは次に3番目にいきます。そこで安全ということから考え始めたのは要素を 考えてみますと、まず1つは背景、2つ目がシステムだと思います。背景を考えます と、これはいろいろなところで討論されてきましたように、例えば母子救急ということ を取り上げた場合には、一般救急体制があるのかというベースがないことには母子救急 等々で安全を図ることは全く成り立ちません。一般救急は各都道府県にあるんですね、 母子救急もそれなりに思想はあるし立ち上げつつあり予算、事業も動いています。その 中で意外とブレーキになっているのが、例えば中央と地方の行政であったり、省庁間あ るいは部署間の分断、つまり連携のなさであったり、あるいは官民、各都道府県、医師 会等々を含めての連携であったり、それぞれの守り場所を持っていらして高いハードル を壊しにくい。今までなかったのだと思いますが、これに対して何か考えるならば、問 題思考型のチームをつくることが本当にできるのだろうか。許認可の話から離れまして もクオリティコントロールを息長くやっていく部分はしかるべきところに設けられなけ ればなりますまい。その場所で本当に思考型のチームが成り立つのか。これは今日の行 政機構の改革ともあわせてぜひ真剣に取り組んでいただく最も分かりやすいテーマに 我々は直面しているのではないかと思いますので、コメント3に対する1として申し上 げます。 次いで、コメント3の要素としての背景に並んで2番目のシステムを申し上げます。 これは何といいましても、地域ニーズにこたえるということが前提ですから、地域化、 しかも医療水準のハイリー化を伴った地域化が絶対に不可欠です。その延長上で総合周 産期母子医療センター構想等々の母子対策事業が展開していますが、この中で1つ言え ますのは反応が大変悪い。各都道府県の自治体からの準備金等々を考えますと、破産自 治体も随分ある中で今後どのように進めていくかということを見直す時期が、平成8年 以来3〜4年たっていますので、来ているのではないか。これをもう少し広げないこと にはだめだと。すなわち今現在はどうかといいますと、自然発生的に日本全体で 100な いし 120の母子あわせてNICUとM・FICUを持った三次医療機関が三次医療を日 本は今支えています。したがって、これが早く表に出るような格好で動かないことには 隙間ができはしないかと大変心配しています。それが1つです。  システムの中の機構の話をしましたが、次いで申し上げるのはヒトの話だと思いま す。この中でどういうニーズがあるか、受益者・コンシューマーと考えますと 120万出 産の中で10ないし15%がハイリスクの妊婦であり子どもたちです。そして、これは後方 視的に見るときは10ないし15%なのですが、前方視的に見るとリスク予測の低さがこの 事業、業界の特徴でありまして、したがって40%くらいのリスクを見込まなければいけ ないのです。どこをカバーするかという話ですね。結果から見るとこうだったのです が、予測性が悪いということを考えた上でどうカバーするかということを考えないと、 コンシューマーをカバーできないだろう。予測性は 0.6の相関しかありません。 そして一方において、サービスを供給する側から考えますと、医師と看護婦、助産婦 を中心にまずは医師ですが、先ほどのような研修問題が出ました。新家委員もおっしゃ ったように、直面するのは医師不足だと思います。総合周産期等々を考えましたら、差 し当たり今すぐでも産児医療を担う産科医師の500名、新生児科医師の500名から1,000名 の間が今必要なのです。そういうサブスペシャリティの制度を学会でつくろうという討 論を小児科学会と一緒に始めているところですが、それを供給する財源といいますと、 小児科学会も産科婦人科学会も全卒業生の4%強しか専門家になろうとしていません。 しかも産婦人科にいきますと4%のうちの半分は生殖補助医療技術に目を奪われる若い 子が多くて、その半分のうちのさらに半分の4全部の1が周産期をカバーするという将 来に進んでいこうとしています。これは絶対欠が起こる。現在、産科婦人科学会認定は 1万 2,000ですけれども、毎年の入会者は 300から 350を計算しますと、10年たちまし ても大したことありません。すなわちおよそ 4,000人から 3,000人の産科婦人科学会員 減がこの10年間に見込まれます。一方においては 100人分娩に対して1人ぐらいの医師 数が経営的にも見てもバランスがとれるんですね。そこに欠が生じたときにどのように クオリティ高いサービスを提供できるか。大変心もとない心境になってしまいます。 もう一つは研修でありまして、これは先ほどから討論ございましたので省略いたしま す。 そういたしますと、このあたりからどのようにしていったらいいだろうかということ なのですが、目標の設定からです。先ほどの資料にも御紹介しましたように、学会とし ては会員の会費によって集めたお金でとりあえず行政に役立つ資料を集め続けていま す。こういうものを含めた情報交換と行動目標の共有化を、例えば私的な団体である学 会等との間にむだがないのではないかということを申し上げたいと思います。 最後ですが、今日は快適にはタッチしないつもりでいますが、あえて申し上げるなら ばコメント4になると思います。物量で満足を買うという時代はもうはるかに過ぎてい る訳で、もともとなかったのかもしれませんですね。やはり心のアメニティ、前々回で したか、私はうつ病に関連したお話を申し上げました。1つは、そういうことから全体 のやさしさのようなサービスのレベルを上げることが1つです。もう一つは、パターナ リズムで動いている中にあって自己決定権が強く求められています。そうしますと自己 裁量権等々に見合うだけの十二分の情報公開をすべきだと思います。私たち一人一人の 医師も、あるいは医療機関も、完璧はないのです。ラテン語でいうところの「過ちを起 こすのが人間だ、けれども繰り返すのは悪魔だ」、それを分かっていただく。例えば私 の施設のMRSAの発生率云々を皆さん御存じの上でという時代をつくっていかなけれ ばいけないのかなと、これは今日の私の主題ではありません。満足に関連したことでコ メント4を申し上げました。 ○平山座長  時間を制限して申し訳ありません。ありがとうございました。  司会の不手際で、お手元の資料2、健やか親子21検討会の今のテーマについての議論 のたたき台は御説明していただく時間がなくなってしまいました。これはお持ち帰りに なりまして、お読みいただいて次回にまた御議論いただきたいと思います。  また、事務局の方で今日の議論、先生方のお話でさらに直すところがありましたら直 していただいて、再度提出していただければありがたいと思います。  お手元に今後の9回までの予定の表がございます。日によって始まる時間がまちまち でございますけれども、こうした予定で進めたいと思います。そしてまた、それに合わ せて資料を整理しながら、事務局と御相談しながら、計画の策定に向けてまとめていく ようにしたいと思いますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。  それでは脱兎の如く終わらせていただいてしまいますが、最後に課長からごあいさつ をいただきたいと思います。 ○藤崎課長  先生方には、本日も御熱心な御討議ありがとうございました。本日は割合静かに終わ る初めての会ということでございますが、大変御無理をお願いしている進め方のパター ンに大分なじんでいただいたということで、感謝申し上げます。  本日、足りなかった御議論の部分につきましては遠慮なく私どもの方に、2つのテー マにつきまして修正すべき部分、訂正すべき部分をお申しつけください。それを踏まえ た上で新たなたたき台を次回お示しして更に議論を深めていただきたいと考えておりま す。  また、お手元にお配りいたしました資料は、順調にいけば第9回で報告書にまとまる という前提で作成しておりますが、これももっと議論が必要ということであれば回数を 増やすなりいたして、議論を十分に尽くしたうえでまとめていただきたいと考えており ます。  本日は長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。 ○平山座長  それではどうもありがとうございました。次回は2週間余り後でございまして、事に よると大分暑くなっているかもしれませんが、またよろしくお願いいたします。                                     (了) 照会先:児童家庭局母子保健課 椎葉(内線3173)