00/06/26 第3回シックハウス問題に関する検討会会議事録       第3回 シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会                 議 事 録          厚生省生活衛生局企画課生活化学安全対策室 第3回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会会議事次第 日  時  平成12年6月26日 午後 1:00〜4:25 場 所  通商産業省別館 833会議室 議 事    議題1  室内空気汚染に係るガイドライン案に対する意見の募集結果について   議題2 シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会:         中間報告書案−第1回〜第3回のまとめ    議題3  その他 ○吉田補佐  それでは定刻となりましたので、ただいまから「第3回シックハウス(室内空気汚染) 問題に関する検討会」を開催させていただきます。  本日はご多忙中のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。  まず開催に当たりまして、喜多村生活衛生局企画課長からご挨拶を申し上げます。 ○喜多村企画課長  企画課長の喜多村です。本日は「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討 会」第3回でございます。ご多忙の中ありがとうございます。  ご案内のように、居住環境の変化に伴って、シックハウスの問題がクローズアップさ れてきているわけであります。当検討会では、その中でも揮発性の微量化学物質による 室内空気汚染、それに伴う健康への影響について、保健衛生上の観点からの検討をお願 いしているわけであります。  前回、3つの物質についての新たな指針値と、これにホルムアルデヒドを加えた4つ の物質についての測定法についてのガイドライン案をご了解いただいたわけでありま す。 これらにつきましてパブリックコメントを募集したわけでありますけれども、 200件 を超えるコメントが寄せられました。この問題に対する国民の大変な関心の高さを表す ものであろうと思っているわけであります。 今回はパブリックコメントを受けまして、ガイドラインの最終化、それからまた、今 後この検討会で何をどう検討を進めていくかということにつきましてもご論議をいただ きたいと思うわけであります。 何とぞご忌憚のないご意見を積極的に賜りますようお願い申し上げまして、挨拶とい たします。 ○吉田補佐  本日は田辺委員と荒記委員が欠席。また、櫻井委員が途中退席され、池田委員は中途 から出席されるということで、ちょっと土屋委員が遅れているようですけれども、合計 8名の先生方で進めさせていただきます。  それでは座長の林先生、よろしくお願いいたします。 ○林座長  ただいまから第3回目の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を開 催いたします。  今日はご多忙のところご参集いただきましてありがとうございます。  まず事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○吉田補佐  それでは配付資料の確認をいたしたいと思います。  まず、本日の議事次第でございます。続きまして、本日の検討会の座席表、資料の1 といたしまして、「第2回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会議事 録」、資料の2としまして「室内空気汚染に係るガイドライン(案)に対する意見の募 集結果について」、資料3といたしまして「シックハウス(室内空気汚染)問題に関す る検討会:中間報告書案−第1回〜第3回のまとめ」、これには別添1と別添2の、そ れぞれ指針値と測定方法についての説明が付いてございます。  また、参考資料の1といたしまして、提出されましたパブリックコメントの原本を添 付させていただいております。  お手持ちの資料に過不足等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。  なお、資料2と資料3につきましては、先生方には以前、郵送もしくはファックスに てお送りしておりますけれども、本日改めてセット版をお配りいたしておりますので、 これに基づいてご検討いただきますようよろしくお願いいたします。  それでは、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いい たします。                (報道関係者退室) ○林座長  どうもありがとうございました。続きまして、前回の議事録の確認ですけれども、事 務局の方からご説明をお願いいたします。 ○吉田補佐  それでは事務局より、資料1、前回の議事録につきまして簡単に確認させていただき ます。  お手元にお配りしてある議事録は、前回の検討会の速記録をもとに、事前に委員の皆 様方に内容を確認いただいたものであります。特に問題がなければ、この内容で確定の 上、公開の手続きに入らせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○林座長  先生方、お読みいただいたと思いますけれども、何かコメント、それから訂正の箇所 ございますでしょうか。  特に問題がないようでしたら、この内容で前回の議事録として確定したいと思います けれども、よろしゅうございますか。  どうもありがとうございました。それでは前回の議事録については、この内容で確定 させていただきます。 ○吉田補佐  ありがとうございました。この後、厚生省のインターネットホームページへの掲載な ど、公開の手続きに入らせていただきたいと思います。 ○林座長  それでは、この議題に沿いまして議事に入らせていただきますけれども、前回の検討 会では、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの3物質の室内濃度の指針値と、 これらの物質にホルムアルデヒドを加えた4物質の測定方法についてのガイドライン案 が了承され、その後、事務局を通じて、ガイドライン案に対するパブリックコメントの 募集が行われました。  本日の検討会では、提出されたパブリックコメントの検討と、それに基づくガイドラ イン案の最終化、今後の方針、進め方について検討していただくということが、前回の 検討会で了承されております。  まず、提出されたパブリックコメントの概要とその回答案につきまして、資料2とし て配付されておりますので、内容について事務局からご説明をお願いいたします。 ○吉田補佐  それでは資料2につきましてご説明申し上げます。  まず表紙が意見募集結果の概要について、次ページ以降は、まず1としまして、指針 値全般に対する意見と回答、2としまして、測定法に関する意見と回答、3として、そ の他の意見と回答という構成になっております。  進め方ですけれども、検討の対象を明確にするために、1、2、3の各分野ごとに事 務局による説明を行った後、ご検討いただくという方法を提案申し上げたいと思います が、いかがでしょうか。 ○林座長  ただいま事務局から、1、2、3の各分野ごとに説明と検討を行うのがよろ しいのではないかというご提案がありましたけれども、委員の先生方、いかがでしょう か。  どうもありがとうございました。それではそのように進めてください。 ○吉田補佐  ありがとうございました。それでは、まず意見の募集結果の概要を説明し、続いて、 指針値に対する意見と回答について、事務局より説明申し上げます。  まず表紙からご説明いたします。平成12年4月27日に開催された「第2回シックハウ ス(室内空気汚染)問題に関する検討会」において検討された「室内空気汚染にかかわ るガイドライン(案)」の内容について、次のとおり意見募集を行いました。  期間は平成12年5月12日から同年6月12日の約1カ月間、告知方法は厚生省ホーム ページ、記者発表等、意見の送付方法は電子メール、ファックス、郵送のいずれかであ ります。  このたび寄せられましたご意見につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適 宜集約させていただいております。  今回ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げるところです。  受付意見件数ですけれども、合計で、提出者数として36件ございました。内訳は企業 が14件、団体が10件、個人が12件。団体につきましては事業者団体が5件、NGOが5 件となっております。  提出意見はほとんどが複数の項目について述べられており、のべ意見数は 207件とな っております。 受付意見の概要ですが、のべ意見数の内訳は次のとおりで、この後、別紙に記載の対 応と回答について説明したいと思います。 内訳につきましては、指針値に対する意見が57件、測定法に対する意見が 133件、そ の他17件であります。 それでは次のページをご覧ください。まず「指針値全般に対する意見」ということ で、意見の概要と、意見に対する対応・考え方について説明したいと思います。初めに 意見の概要を説明し、その次に対応・考え方を説明するという形で進めさせていただき ます。           (資料2.1「指針値全般に対する意見」朗読)  以上ここまでが指針値全般に対する意見と対応・考え方でございます。よろしくお願 いいたします。 ○林座長  どうもありがとうございました。指針値に対する意見と対応・考え方についての、た だいまのご説明につきまして何かご質問、コメントがありましたら、お願いいたしま す。 ○土屋委員  「指針値の全般に対する意見」の5番目ですけれども、芳香族炭化水素50μg/m3 と いう話が出ていて、そこでは、最近のWHOの空気質ガイドラインでは確認できないと いうことになっておりますけれども、それ以前に何かあったのか。この数値そのものが 出ているということはなにかあったと思うんですけれども、その辺のことを、どういう ことになっているかわかったら教えていただきたいと思います。 ○吉田補佐  これにつきましては、1990年に「空気質と気候に関する第5回国際会議」というもの がカナダで開かれておりまして、そこで提示されているドキュメントの中に、いま指摘 のありました芳香族炭化水素の指針値、それに加えて各構造分類に関する指針値及び、 VOCのターゲットガイドラインという形で、示されているものでございます。したが って、これはWHOの直近の空気質ガイドラインで提示されているものではございませ ん。  ただ、今後、対応・考え方にありますように、これらはTVOCの設定とか、今後の 検討を行う上で、検討材料になるものと、こちらでは考えております。 ○土屋委員  わかりました。 ○林座長  他にございませんでしょうか。真剣なご意見が多いんですけれども、何かございまし たら。  もしなければ、また元に戻ってもよろしいですけれども、次の測定法に関する意見と 対応・考え方について、事務局からのご説明をお願いいたします。 ○事務局(平野) それでは、2番目の「測定法に関するご意見」について、寄せられたパブリックコメン トと、それに対する事務局側の対応や考え方をご説明いたします。      (資料2.2「測定法に関するご意見」前半部分(No.1〜38朗読) ○林座長  これから83まで続きますので、ここで一応ご質問をいただいた方がよろしいのではな いかと思いますが、もしなければ、83番までやっていただいて、その後ご質問をいただ きたいと思います。 ○事務局 (平野) それでは続けさせていただきます。      (資料2.2「測定法に関するご意見」後半部分(No.39〜83朗読)  測定法に関してのご意見は以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。ただいまの測定法に関する意見と対応・考え方につ いてのご説明について、何かご質問、あるいはコメントございますでしょうか。  16番の意見のところで、「供給者側に過大な負担を、購入者側に過大な負担を」とあ りますが、とありますがこのままでいいんですか。 ○事務局 (平野) 16番については、「購入者側に過大な負担を」ではなくて「過大な不安を」の間違い でございますので訂正させていただきます。 ○林座長 どうもありがとうございました。他に何かございませんでしょうか。 ○広瀬委員 ちょっと質問なんですけれども、この基準を満たした住宅を購入して、なおかつ、い わゆるシックハウス症候群が起こったような場合、これはどういうふうに対処していけ ばいいんですか。 ○村上生活化学安全対策室長  お答えさせていただいてよろしいでしょうか。先ほど、このコメントに対するお答え の中でも明らかにしましたように、現時点では、ヒトに対して明らかに見られる影響、 あるいは動物実験で得られた毒性試験のデータなどから、このガイドライン値を設定い たしまして、これを十分お考えになって、より化学物質汚染の少ない室内空気環境を達 成してもらいたいというのが、現時点での私どもの考えでございます。 また、化学物質過敏症につきましては、私どものほうでは、これはまだ解明をしなく てはならない重大な課題だと考えておりまして、本年から発足される研究班の中でも、 積極的に研究課題として、どのような場合にどのような症状が出てくるのか、あるいは 症状が出てくる原因をどういうふうに突きとめていくのかということや、治療方法も含 めて積極的に研究を進めていきたいと思っております。そこで具体的な成果が出てまい りますれば、それをまた検討会にお諮りして、このようなガイドラインに反映をさせて いくということが可能ではないかと考えているわけであります。 ○広瀬委員 私が心配しているのは、もし基準値、指針値がしっかりしている家を買って、それで 症状が出た場合に、測定費を返せというような訴訟が起こらないかなというような不安 が少しあるんですが。測定の費用は負担しているにもかかわらず、そういう症状が出た ということで。 ○村上室長 仮定のお話だとなかなか難しいですけれども、今までこういう室内空気の化学物質汚 染については、ほとんどの場合、建築物の受け渡しの際にあまりまともには測定をして こなかった、という過去の実態があります。 その中で研究班が、実際に 400家屋ぐらい測ってみたら、案外高い濃度の汚染があ る。ほとんどの場合は低いんですけれども、数パーセントの家屋では高いケースがある ということがわかりましたので、そうであれば、こういう家屋を購入する際に、やはり 室内空気中の化学物質汚染がどの程度かということを、購入する側も、あるいは販売す る側もきちんと確認をして受け渡しをすることが適当だろうと思ったわけであります。 ですから、私どもが作りましたガイドラインというのは、計測して、それで引き渡さ れたにもかかわらず被害が出た場合、計測したことがいけなかったということではなく て、むしろ、計測した物質については大丈夫だった。だけれども、その他の原因がある のかもしれないわけです。そういう意味では常に前向きに研究を続けないといけない部 分は残ると思います。 ですから、これで4つの化学物質についてガイドライン値が設定されるわけですが、 この4つのガイドライン値さえ守っていれば全く万全で、これで一切、後は何も起こら ないということを保証するものではないということです。今日ご紹介したパブリックコ メントの中にも、TVOCについてきちんと考えるべきではないかというご意見もあ り、私どももそれらを含めてまじめに取り組んでいかないといけないのではないかと思 います。  だから、これで終わりということではなくて、今後の検討課題にさせていただきたい と思っております。 ○安藤委員  今の広瀬先生のお話というのは、これから必ず出てくる質問ではないかと思います。  結局、この検討会でも最初に議論になりました検討会名、つまり「シックハウス(室 内空気汚染)問題に関する検討会」、ここを特に一般の方あるいはマスコミの方がどう とらえているかという問題だと思います。  我々は今シックハウス症候群について議論しているわけじゃなくて、あくまで、今ま での毒性知見から議論しているというわけです。ですから、新しい家に入って、健康影 響があったかもしれないという話とは若干別問題と思います。  今の我が国の居住環境から見ると、どう見ても室内空気中の化学物質濃度が高いレベ ルにあると思われる住宅がある。それをとにかく何とかしなきゃいけないという観点だ というような理解かなと私は思っています。  ですから、世の中の方がそこを間違えるといけないだろう。シックハウスについては 今はまさにこれから研究するという段階だと思いますので。 ○土屋委員  いまのお話に関してですけれども、私、前回ちょっと欠席させていただきましたので 存じ上げない部分があるのですが、その件についても論議がされていると思うんですけ れども、中間報告書(案)のところで、「化学物質による健康影響は受けないであろ う」というふうに書いてあるわけです。  「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」でそういうコメントを出して いると、当然、シックハウスシンドロームについてもクリアしているというふうに読み 取る方々が多いと思うんです。ですから、その辺どうなのかというのを後でお聞きしよ うと思ったんですけれども、今ちょうどそういう機会ですので、その辺の見解はどうい うふうになっているか教えていただければと思います。 ○村上室長  前回の本検討会でも事務局よりご説明させていただいたかもしれませんが、本検討会 でガイドラインを決めなくてはいけないという最大のモチベーションは、平成9年、10 年に行われた、日本における住環境における空気環境汚染実態調査の結果、幾つかの化 学物質、今回ご議論いただいた特にこの3つ、トルエン、キシレン、パラジクロロベン ゼンについて、数パーセントのケースで非常に高い値が出てきたというところに端を発 しております。そのような実態は無くさないといけないということです。  恐らく広い意味でのシックハウス問題の中には、徐々に高まってきた室内空気汚染、 有機物質による室内空気汚染というものがあるんだろうと思います。  こういう実態がわかった以上、逐次ガイドラインを決めて、汚染実態をなるだけ低減 したいというのが一義的な目標であります。  もちろん、シックハウスという問題はもっと広うございまして、その中にはハウスダ スト等によるアレルギーの問題もございますし、それから、いわゆる化学物質過敏症の 問題もございます。ですから、そういうものについては研究班を組織して積極的に研究 をして、その成果をまたフィードバックしようということです。  今回の3つの化学物質については汚染実態があるという前提から、できるだけ早くガ イドラインの値の設定をしようということでご議論をいただいているわけであります。 これでお答えになりますでしょうか。 ○土屋委員  それは非常にもっともな話なんですけど、結局、たぶん概要といいますか、中間報告 の方でお話をお聞きすればよかったんですけれども、ここに書いてある「健康影響を受 けない」という意味が、シックハウスなり化学物質過敏症の範ちゅうが当然、ガイドラ インの評価法では今はまだ評価できないと思うので、そういうやり方で評価しているわ けじゃないので、範ちゅうにそこは含まないんだということがある程度はっきりしてい ればいいと思うんです。  ここはシックハウスの問題の検討会であるので、このままの書き方ですと、当然それ を含んでいるふうに読み取る方が多いのではないかとちょっと心配したものですから、 お話ししたんですけど。 ○林座長  他にございませんでしょうか。測定法に関する意見と対応・考え方だけでなく、指針 値に対する意見と対応・考え方についてのご質問でもよろしいと思いますけれども。  吉田補佐さんにお聴きします。「芳香族炭化水素に対するWHOヨーロッパの目標値 は50μg/m3 となっている」と言う意見についての対応・考え方で、「指針値は確認で きませんでした」ということですが、同じような質問で、同じような回答が6番、18番 にもあるんですね。これについてはちょっとご説明いただいた方がよいと思います。 ○吉田補佐  これにつきましては、まず1つは、先ほど説明しましたように、1990年にカナダのト ロントで開かれている国際空気質会議というものがありまして、そこで提示されている ドキュメントの中に、TVOCの設定の考え方の一環として、いわゆる芳香族炭化水素 類の各構造分類ごとの設定値が示されているものを指していると解釈しております。  ただ、そこにおいては、特に毒性的な議論がされているというわけではなくて、別の 視点といいますか、かなりざくっと整理されているような内容でありまして、毒性的な 議論を行った上で、各構造分類の指針値が設定されているわけではございません。  また、他の国の指針値ですけれども、平成9年にホルムアルデヒドの指針値を設定し た際に、それに先立って各国の調査をいたしております。各国とも、具体的にガイドラ イン様のものがあるケース、もしくはないケースがほとんどで、具体的に規制化してい るというところはほとんどありませんでした。ガイドラインという形であるかどうかと いうところに関しても、この3物質について具体的に指針値を設定しているようなとこ ろはなかったということでございます。  ただ1点、オーストラリアで幾つか個別の物質と、TVOCについての指針値の設定 が示されていたわけですけれども、そこに示されている物質の中にはホルムアルデヒド は含まれていましたが、ここに提示されているようなトルエンとかキシレンとかパラジ クロロベンゼンに関しては含まれておりません。  また、そこで使われているTVOC等について、具体的にどういう視点から設定され たのかということについても、具体的にどういう毒性評価がなされたかという情報に関 しては得られておりません。  今回、こういうパブリックコメントの指摘を受けまして、改めて、今後TVOCの設 定に向けて準備するに当たって、もう一度、国際的な方法論を調査した上で、また提示 できればと思っているところであります。 ○林座長  どうもありがとうございました。 ○安藤委員  特にTVOCの問題は本来、考え方をどうするかという話だと思います。  いまのTVOCの考え方といいますのは、考え方はあっても、実際、どうやって測る かというのが決まっていない。少なくとも国際的に決まっていないということがござい ます。  考え方としても、汚れの指標とするとか、あるいはトータル、総量的な考え方にする かとか、いろいろな考え方があると思います。そこが決まっていないということから、 いま吉田さんがおっしゃったような、具体的なものはないということになるんだろうな と思います。  これからそういうことは当然議論していかないといけない問題と考えられるんじゃな いかと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。他に何かございませんか。 ○内山委員  測定法のに関する意見の中でも結構多かったのがコストの問題とか、制度の問題と か、実際にこれが運用された時にいろいろ問題が起こってくるのではないかということ が多かったんですが、これは確認ですが、新築住宅において必ずやらなければいけない というものではないですよね。必ず測定してから販売しろという規則がつくんですか。 そうではないですよね。  だから、これが出れば、皆さんたぶん測定値が書いてある家と、何も測っていない家 では、たぶん測定値が書いてある集合住宅なら集合住宅の方が、消費者心理としてはそ ちらを、同じような物件があった場合にどちらを買うかというのは、保証されている方 にいくから、だんだんこれが測定されていって、また下がるという相乗効果を生んで、 良い方に働くと思うんですが、実際に販売戸数なり住宅建設戸数を考えると相当な測定 需要になると思いますね。  ダイオキシンの例で、厚生省もいろいろ問題が起こったというのがあります。これだ け微量なものを測るとなると、いま測定できる機関というのはあまりないと思うんです よね。そこら辺の、後1年ぐらいの余裕を置くかどうかわかりませんが、検討中ですと いうお答えでしたけれども、やはりある程度具体的な数値なり計画を、この対応・考え 方の中で示されておかないと非常に混乱が起こるのではないかという心配がちょっとあ ります。 ○村上室長  いまのご意見についてでございますが、確かに私どもが提示をいたしました測定方法 というのは非常に重武装な測定方法ではあります。そのかわり正確性というのは相当き ちんと担保できるということであります。  本来私どもといたしましては、ガイドラインぎりぎりで、ガイドラインを超えるか超 えないかというところで勝負をするような家屋が製造されることを期待をしているわけ ではなくて、このガイドラインよりもはるかに下で実態が推移するようになればという ふうに思っているわけであります。  ですから、そういう意味では、このパブリックコメントの中にも、超えた場合はこれ でやるけれども、低ければ簡易法でいいんじゃないかというようなお話がありました が、低いか高いかわからないというような状況では、やっぱりこの方法でやっていただ きたいというのが我々の考えであります。  もちろんはるかに低い、3けたぐらい低いことが最初から想定されていて、それを確 認するために簡易法を使うというのは非常に有用だと思いますので、そういうような非 常に低いレベルであるということを確認できるような、よりよい簡易法というものが、 いま皆さん先を争ってお作りになっておられるようなので、どういうものであれば認知 できるのかということは、早急に考えていきたいと思っております。 ○石川委員  2つあるんですけど、1つは、先ほど議論になった6番のTVOC300μg/m3というガ イドラインの問題ですけど、これは恐らく1990年、ザイファートの論文のことだと思い ます。いろいろ、その値が低すぎるから、たとえば 1500μg/m3にしろとか 2000μg/m3 にしろとか3000μg/m3にしろというご意見が当然あると思うんですけれども、 300μg/m3だということがなぜその当時出てきたのかないうディスカッションを書いて いただくか、記しておいた方が私自身はいいんじゃないかなと思っております。 こういう点で欠点があるから 300μg/m3ではだめだとか、なぜその報告が尻尾が切れ たように無くなっちゃったのかなと。これが私自身もわからないんです。調べてもなか なか出てまいりませんので、その辺はぜひ厚生省で教えていただきたいと思っていま す。 それからもう1つは、さっきの測定の方法ですけれども、「高さの測定」がありまし たね。 48頁、「床上 1.2〜 1.5mとしているが、空気よりも比重の重い物質も多々ある」と。 これはおっしゃっているとおりで、床上10cmでふとんを敷いて寝ている老人の方もい るし、子供だと”はいはい”している場合もある。果して 1.2〜1.5mという高さで測れ ばよろしいかという問題は必ず聞かれることです。例えばある家庭で子供さんだけ、つ まり幼児だけがアトピーになって、非常にひどい咳を出すという子供がいた様な場合に は、やはり床上10cmでも測ってやる必要がある。 対応・考え方の方に、「特殊な事情については別途希望に応じて行うことが適当」と いうことが書いてありますから、それはやはりやっていただきたい。場合によってはや るんだということを、はっきり書いた方がいいように思いますが、いかがでしょうか。 最後に、居間と寝室の2カ所で測定すると。測定する場合には家具は戸を開いてやれ ということが書いてあったように記憶していますが、キッチンというのは高いところが わりかし出てくるので、私達の測定でも、キッチンは何故抜いたのかなと。これは意識 的に抜いたかどうか教えていただきたいと思います。  以上です。 ○村上室長  最後のご質問の方から順番にお答えいたしますが、キッチンの棚も含めて、作りつけ の物は全部ドアを開いて測定をするようにしてあります。  測定点が居間と寝室になっているのは、そこでの居住時間が最も長いだろうというこ とで測定点にいたしました。  それから床上の高さの話ですが、標準的な状況では 1.2〜 1.5mということで書かせて いただいておりますけれども、先生がおっしゃるように、特にご病人の方がおいでにな るというような実態があって、実居住の住宅で原因究明のために測定をするような場合 には、もちろんオプションということは考えられるだろうと思っております。 それから一番最初の 300μg/m3の件なんですが、先生のおっしゃられるとおりであり まして、これはザイファートさんの論文というか、レポートの中にあるもので、芳香族 炭化水素類50μg/m3という数字も出てまいります。 これにつきましては次回までに、各国におけるVOCの考え方について整理をいたし まして、ご報告をさせていただこうと思っておりますが、この 300μg/m3について申し ますと、ザイファートさんの論文の中に、「the proposed target value is not based on t-oxicological considerations」とはっきり書いてありまして、今回厳密にご検討 いただきましたトルエン、キシレンのように、データから積み上げてガイドラインを決 めているわけではなくて、 300μg/m3というものを、毒性学的な観点とは違う観点で目 標値として考えたということだろうと思います。  これが一時期、WHOのガイドライン、ヨーロッパのガイドラインになっていたとい う文献もあるんですが、現時点、1999年のWHO空気質ガイドラインではすっかり消え ておりますので、私どももそこでの経緯も含めて、次回までにきちんと調査をいたしま して、ご議論のために資料として提出したいと思います。 ○吉田補佐  ちょっと補足いたしますけれども、このWHO空気質ガイドラインで、直近のもので はTVOCについて言及されていないという点につきましては、実はWHOの事務局と ヨーロッパの事務局それぞれに、こちらの方から照会をかけているんですけれども、残 念ながら、この検討会までに回答を得られていないのが現状であります。  ですから、今後また改めて調査いたしますので、もうちょっと催促をして、こちらの 方で、どういう経緯で新しいガイドラインでは言及されなかったのかという点について も情報を得たいと思っております。 ○石川委員  おっしゃるとおりで、300μg/m3は一時期有名になっちゃったものですから、かなりの 方が知っていらっしゃると思うんですよね。  それで、ザイファートもちゃんと書いているんですけれども、いまおっしゃったこ と、toxicological の base ではないということが1つと、もう1つは、複合的にいろ いろなものを吸った場合に、「これ以上に濃度が上がった場合には気持ちが悪くなった り、アノーイング(annoying)な症状が出る」ということもちゃんと論文に書いてあるの を記憶しているものですから、もしそういうことが本当に出るなら、やはりこれは1つ の根拠があるのかなと思って、その辺をよろしく調査いただきたいなと思っています。 ○安藤委員  たまたま3年ぐらい前でしたか、WHOの空気質ガイドライン検討会議に、私、出て おりました。その時やはり、ある国からTVOCという考え方が出てきたんですが、そ れが最後の議題になりまして、やはり毒性学的な観点のデータがあまりにもない。です から、その考え方はわかるけれども議論できないということで終わったかなと思いま す。それ以降どのようになったかわかりませんけれども、そういうお話だったと私は記 憶しております。 ○林座長  何年ですか。 ○安藤委員 たしか3年ぐらい前ではなかったかと。ですから、1996年あたりだったかなと思いま すが。 ○林座長 他に何かご意見ございませんでしょうか。 ○広瀬委員  22番の個体差に関する安全係数のことですが、安全係数は、一般に個体差を10にする んですが、ここで子供や老人、過敏症は別にしても、「より強い影響を受ける可能性の ある人たちのことを考える」ということが出ておりますが、たとえば肝硬変の方、ある いは腎不全で透析を受けているような方、こういう方が当然家の中にずっとおられると いうことも考えられるんですが、安全係数10の中に、そういうような病的な方々のこと が含まれているかどうか、その辺どうお考えでしょうか。 ○吉田補佐 ご質問ですけれども、元々の考え方としましても、健常者というのを考えた時に、子 どもや老人、もしくは健常者でも反応性の差というものがあって、それを最大限に見た 時に不確実係数で10を使えば、それはカバーできるという視点から、これが用いられて いるというふうに理解しております。 ただ、その中には実際、いまご質問のありました、ある特殊な疾病を有している患者 さんを考えた場合に、個々の事例ごとに10が適用できるケース、できないケースという ものもあるとは思うんですけれども、今回のトルエンとキシレンと、この3物質の指針 値を決めた際においては、この10でカバーできるものと判断した次第です。 ただ、ご指摘にありますように、個々の事例によっては、もう少しこの係数を厳しく するなり、補正する必要があるケースがあるとは思いますので、それについては個々に 検討する事項であると考えております。 ○林座長 他に何か。広瀬先生、それで一応よろしいですか。 ○広瀬委員 はい。 ○林座長 むしろ広瀬先生のご意見を伺いたいなと。先生のご専門なものですから。 ○広瀬委員 私は動物実験でも、いろいろな臓器に障害を与えて、その際の発がん性がどうなる か、あるいは毒性がどうなるかということを以前からやっておりまして、実際に肝硬変 をつくったモデル、あるいは腎障害のモデル、そういうようなモデルに発がん物質を与 えると、かなり感受性が高くなるというようなデータを幾つか出しております。いま事 務局のほうで、個々のケースで考えた方がいいということですので、私はやはり、そう いう病的な状態の場合は、個々のケースで考えていく必要もあるんじゃないかというふ うに考えています。 ○林座長 どうもありがとうございました。安全係数とか不確実係数というのが最初に作られた のは1957年ぐらいですね。 これは最初、食品添加物についての問題から発生しているわけですけれども、そのと きには、病的状態というのをわずかに考慮には入れていました。 ただ、今回の場合にはもっと、広瀬が先生おっしゃったような肝硬変とか、そういう ような非常に重篤な状態を入れますと、やはり場合によってはケース・バイ・ケースに 書かなきゃいけないという広瀬先生のお考えは、私もそのとおりだと思っております。 その他に何かございませんでしょうか。もしなければ、次の「その他」のご意見につ いての回答、これについてのご説明をお願いいたします。 ○事務局 (平野) それでは3番目の「その他」について、寄せられましたご意見の概要と、それに対する 対応・考え方を説明させていただきます。               (資料2.3「その他」朗読)  「その他」については以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。では、その他の意見と対応・考え方についてのただ いまのご説明についてご質問、コメントがありましたら、お願いいたします。  1番は漢字の問題ですけど、2番から最後のところまでは、やはり今後の方針等につ いて別途考え方をお示しいたしますということで、厚生省の考え方を補足しなければな らないというようなことが、パブリックコメントでかなり多く指摘されているというこ とだと思うんですけれども、これについて簡単なご説明でもありますか。 ○吉田補佐  これにつきましては一般の方々の関心といいますか、厚生省に期待する事項というこ とで、こちらの方も強く認識しております。  今回この後、説明いたしたいと思っております中間報告書(案)がありますけれど も、この検討会で今後適宜、方針等について、軌道修正もしながら進めていきたいと思 っておりますので、その都度、ここに示されているような指摘を受けて、その方針を個 々に示していければと思っているところであります。 ○林座長  よろしくお願いいたします。他に何かございませんでしょうか。最初の指針値の問 題、測定法でもよろしいですけれども。 ○広瀬委員  この指針値は、恐らく家を購入されて、その中に住まれる人を対象として決めている んだと思うんですが、家を造る人の側については、これは住む人よりもかなり高濃度に 暴露される可能性があると思うんですが、そのような短期間の高濃度の暴露で、たとえ ば農薬の場合には、慢性の長期暴露の他に、acute reference dose といって、短期間に 急性に暴露される場合の指針値というものがあるんですが、将来的にこういうものを考 えるようなことはお考えでしょうか。 ○村上室長  これは後でご説明をする中間報告書(案)の中にも書いてあるんですが、労働環境に おける暴露の問題というのは別途ございます。  ですから、造られた家に住む人だけではなくて、造っている人、あるいは住宅とは関 係ないところで、同じような化学物質に暴露される可能性もありますので、そういう場 合も、それが労働環境から暴露されたのであれば、労働衛生の観点からきちんと配慮し ないといけないだろうと思います。  本日の資料の中にきちんと入っていないんですが、ついこの前、もちろん厚生省も入 っておりますけれども、多数の省庁及び住宅関連団体の方々、及び専門家にお集まりい ただいて、総合的にみんなで一緒に検討して対策を講じていこうというお話もあります ので、そういう各省庁の連携の一環として、労働省も、この問題については別途お考え いただけるものと考えております。 ○林座長  どうもありがとうございました。ご質問が中間報告書(案)の方に移っておりますの で、ここで一応、パブリックコメントとその対応・考え方についての、この検討会とし ての結論を一旦まとめてみたいと思います。  まず、事務局から説明された資料2における対応・考え方につきまして、もちろん若 干文面の修正がありますし、加筆も必要な箇所もあると思いますけれども、一応、検討 会としては適当と思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。  どうもありがとうございました。では、パブリックコメントについては、資料2に示 された対応・考え方を、文面上必要な修正をした上で、本検討会の対応・考え方とする ことにいたしたいと思います。必要な修正作業については追って事務局と相談すること として、次にガイドラインの最終化と今後の方針、進め方についての検討に移りたいと 思います。  これについて事務局から、資料3として「中間報告(案)」が提示されておりますの で、まず事務局からご説明をお願いいたします。 ○吉田補佐  それでは資料3について事務局より説明いたします。  ガイドラインの最終化と今後の方針、進め方につきましては、ここに「案」として提 示いたしました中間報告書として取りまとめたいと考えております。この内容について ご説明申し上げます。            (資料3「中間報告書(案)」朗読)  以上でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまご説明がありました中間報告書 (案)について何かご質問、ご意見ございませんでしょうか。  これは中間報告書(案)ということですけれども、将来、これはいろいろな関連の文 書を作成するときのたたき台にもなり得ると思いますので、なるべく頁ごとに修正した 方がよいと思います。あるいは追加すべきというようなことがありましたらご意見を下 さい。時間の許す限りよろしくお願い申し上げます。  1ページの「指針値及び採取方法・測定方法について」の最初のパラグラフ、これは いかがですか。これは特に問題はございませんか。 ○内山委員  ホルムアルデヒドを揮発性有機化合物に入れているのか、別として扱っているのか。 両方あるんですよね。  揮発性有機化合物の分類、先ほど安藤先生から、まだいろいろあるとおっしゃってお りますが、ホルムアルデヒドが揮発性有機化合物の中に含まれて記載されている場合 と、ホルムアルデヒドとその他の揮発性有機化合物と分かれている場合の記載と両方あ るので、どちらかに統一されたほうがいいのではないか。 ○吉田補佐  まず分けて書いてあるケースに関しましては、実はこれは測定法が分かれている関係 で分けて書いているという事情がございます。  ただ、誤解がないように、そこは書き方の整合性をうまくとりたいと思っておりま す。 ○林座長  その点よろしくお願いします。 ○安藤委員  一般的にはホルムアルデヒドも実際は揮発性物質なわけですが、いろいろな 測定法上その他の評価からすると、分けて議論する場合が多いという考え方だと思いま す。 ○林座長  どうもありがとうございました。次の(1)の「室内濃度指針値の概要」ということ についてはいかがでしょうか。 ○土屋委員  概要のところの1行目に「その化学物質による健康影響は受けないであろう」とい う、健康影響を受けないというのがどこまでの範ちゅうなのか、その辺が非常に気にな るんですけれども。  今現状ではむずかしいというのは非常によく理解できるんですけれども。 ○吉田補佐  ここにつきましては先ほど指摘を受けたとおりでありまして、基本的には通常の健康 状態の成人を考えた場合に、その濃度以下の暴露であれば、この化学物質による健康影 響は受けないだろうという値のことでございます。  先ほど、いわゆるシックハウスという言葉の誤解で、こういうふうに書いてしまう と、実際に過敏症とかと言われている、非常に低濃度レベルで起こるようなケースの場 合も、この指針値が適用されるのかという誤解を招きかねませんので、そこは、ここの 指針値の意味がもう少し明らかになるように修正をしたいと思います。 ○林座長  厳密に言いますと、これは健康障害を受けないであろうという値を意味するというん ではなくて、健康障害を受けないであろうというパラメーターを基準にして作ったとい うことなんですね。ですから、それをいきなりそっちへ持っていっているのでちょっと 誤解を招くと思うんですけれども、そこのところは文章を少し修正していただければと 思います。広瀬先生、後ほどよろしくご指導をお願いいたします。  その他何かございませんでしょうか。 ○内山委員  「濃度以下の暴露」というのが、TDIの観点から評価していますので、「一生涯暴 露されても」というようなニュアンスも入れていただければと。  先ほどの回答の中に出てくる、短期間、これを超えてもすぐに影響が出る値ではない という答えになってくるわけですね。  この記載ですと、「この濃度以下の暴露であれば影響がないが、濃度を超えると何か 出る」という感じに誤解を受けますので、ここは詳しく、もうちょっと正確に、誤解の ないように記載していただきたいと思います。 ○林座長  他にございませんか。2ページに表が出ていますけど、毒性指標についての文章は、 私は問題ないように思いますけれども、こういう指標とか指針というのがひとり歩きす るものですから、この文章を少し慎重に考えたほうがいいと思いますので、広瀬先生、 研究所へお帰りになってからでもいいですけれども、検討していただけますか。 ○広瀬委員  ホルムアルデヒドの毒性指標の「鼻腔及び咽喉粘膜」という記載になっているんです が、咽喉という言葉が適切かどうか。咽頭喉ならわかるんですが。 ○林座長  たしかもとの文章は「鼻、のど」と書いてあったんですね。だから、「鼻腔及び咽頭 喉粘膜」、「頭」を、「咽」と「喉」の間に入れたほうがよろしいですね。  では、(2)の「採取方法と測定方法の概要」、ここは何かございますか。  安藤先生、何かございますか。よろしいですか。採取方法もそれでよろしゅうござい ますか。 ○安藤委員  誤字があります。3ページの上から4行、「空気資料」の「資」は違うんじゃないか と。 ○林座長  そうですね。「試」ですね。他に何かございませんでしょうか。  その次の「測定方法」、それから「その他」、なければ、次の2.「指針値適用の範 囲について」、これはいかがでしょうか。 ○土屋委員  この中で「車両等」というのが入っているんですけれども、これは航空機とかそうい うのも入るんだと思うんですけれども、公共用的なものに限定ですか。それとも、例え ば車でも個人のものも含んでという話なのでしょうか。 ○吉田補佐  それについては特に区別はしておりません。要は長期にわたって居する可能性のある 空間ということで考えております。 ○土屋委員  今のところ、これは例えば自動車関係のメーカーとか、そういうところから意見とか そういうのは全然来ていないんですか。 ○村上室長  この部分はむしろ個別の具体的な生産品をスコープに入れて書いたものではなくて、 長時間そこに居住する可能性のあるような空間については、元々WHOのガイドライン 自体が Indoor Air Quality で、Indoor というのが場所を問わないようになっています から、室内という意味で広く考えるべきだという趣旨でありまして、そこまで深く考え て、具体的なことを提言しているわけではありません。 ○池田委員  遅れて来たので、もう既に話が出ているのかもしれないんですが、今、範囲は空間だ けに限っているようですが、人については何か、範囲についてはお考えがあるんでしょ うか。どのような方々とか。  例えば化学物質過敏症は含まれるとか、そういう話はどこら辺でされるのかというこ とです。 ○吉田補佐  これは今いろいろ議論になっていたんですけれども、結局ここで示している指針値と いうものは、既存の毒性指標をベースにして、通常の健常の方であれば、その方が例え ば老人あるいは子ども、あるいは極めて感受性の高い方ということも含めて必要な補正 をした形で、その濃度以下で生涯暴露されても健康影響は起きないであろうということ を指標にして、この指針値を策定しているという経緯があります。ですので、今おっし ゃった過敏症とか、極めて低い濃度で起こるようなケースというものは、ここでは対象 にしておりません。 ○池田委員  そのことはどこかを見ればわかるようになっているんですか。 ○吉田補佐  それについては先ほど指摘がありましたように、1ページ目の(1)の「室内濃度指 針値の概要」の最初のところにきちんと、この指針値の示す意味の誤解がないように、 必要な修正をした形に改めたいと思っております。 ○池田委員  わかりました。 ○林座長  これから改めるということですね。他にございませんでしょうか。  「指針値適用の範囲について」ということで、この間、広瀬委員とディスカッション して、広瀬先生の研究室はどうなのかというようなことがありましたけれども。 ○広瀬委員  特殊なところでは、かなりキシレン、トルエンを恒常的に使っているようなところが ありますので、そういうところの暴露量というのは住宅とは問題にならないと思いま す。  おそらく数十倍の濃度のものを一日何時間も吸っているというような状態のところ が、研究所の中でかなりあると思うので、私はそういうところも非常に心配していると いうことで、できればそういうところの規制もかかった方が、中で働く人のことを考え るといいなというように思っているところです。 ○林座長  先生の場合ですと、病院・医療機関あるいは教育施設という何らかの特殊なものです から、この中に含めているということが言えないこともないんですけれども、村上さん の方で、それを含めてこれをお書きになったのかどうか。 ○村上室長  いわゆる職業的な、やむを得ず取り扱わざるを得ないというようなケースはいろいろ あると思います。ある実験のために、その薬品を使わざるを得ない、あるいは工場で何 かを生産するために、どうしても高濃度暴露を、非常に短時間だけれども受けなければ ならないというケース等です。  それは恐らく労働環境における規制のあり方ということになるだろうと思いますの で、今ご議論いただいている Indoor Air Quality のガイドラインでは、そもそも意図 しておりません。自分ではそんなものに暴露されているとは思わない人達が、いつの間 にか暴露されているという状況を防ぐためのガイドラインということですから、そこは 線が引かれると思います。 ○広瀬委員  職業的なものは除外するというようなことになるわけですね。 ○村上室長  基本的にはそう思っています。おそらくそれはまた別というか、例えば労働省が積極 的に今後取り組んでいただける分野だろうと思います。 ○広瀬委員  わかりました。 ○林座長  どうもありがとうございました。次の問題となる「指針値策定の今後の方針につい て」少し詳しくご議論いただきたいと思います。何かございませんか。  特に「策定の対象を選択する際には以下の事項を考慮することとする」ということで いくつか書いてありますけれども、他に付け加えるものがあるか、あるいは削除した方 がいいんじゃないかというようなことがございませんでしょうか。 ○広瀬委員  フタル酸エステル類は非常に種類が多いんですが、具体的なものについてはお考えが おありでしょうか。 ○吉田補佐  今のご質問ですけれども、フタル酸エステル類につきましては、実態調査の結果等を 踏まえて、どの物質を選択するかというのを決めることになるとは思うんですが、一つ の参考として、(1)に示した、WHO空気質ガイドラインで指針値が明らかにされている ものの中に、誘導体の1つであるn-ブチル誘導体が含まれております。ですから、それ がまず対象になるのかなと思っている次第です。  あとは実態調査の結果を踏まえて、特に濃度の高いものが対象になるものと考えてお ります。 ○土屋委員  今おっしゃったWHOのn-ブチル、それ以外に、例えば水なんかの環境基準にはフタ ル酸2エチルヘキシルが入っているわけですね。その辺も1つ問題があると思うんで す。  あと、これから実態調査でやられて、多分出てくる物質だと思うんですけれども、私 どもの方でもそういう調査をやっていまして、それを見ますと、ジメチルフタレートと かジエチルフタレートとか、それから先ほど言いましたジブチル、それからエチルヘキ シル、その辺が結構高い濃度で出てきていますので、その辺も考慮に入れて、たぶん厚 生省の方でも実態調査をやられると思うので、その辺の結果を見て検討をいただければ と思いますけれども。 ○吉田補佐  それにつきましては、先生の方からもデータ等を提供いただければと思いますので、 よろしくお願いします。 ○林座長  他にございませんか。「外国で新たな規制がかけられたこと等の理由により」という ので、クロルピリホスがありますけれども、他に何かありますか。 ○吉田補佐  一番最近の事例として、防蟻剤として使われていますこの物質を挙げた次第ですが、 特にこれ以外に、室内に由来するものという形で規制がかけられたものというのはない と把握しております。  また、このクロルピリホスにつきましても、これは米国EPAの最近の結果によっ て、いわゆる家庭用の使用が、段階的ではありますけれども禁止になるということにな っておりますので、それを受けて、こちらの方でも室内汚染の原因の1つとして検討す べきだという形で挙げた次第でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。他に何かございませんか。  石川先生、何か。 ○石川委員  これはちょうど私、2000年6月末にアメリカに行ったときに流れた、EPAからの大 きなニュースだったんですが、クロルピリフォスを含む薬剤はシロアリ駆除、防蟻剤以 外に、町のスーパー等で売ってる、いわゆる雑品として売られているこの系列の殺虫剤 は全部引き上げろという強い規制でした。 ですから、そういう意味でも、これを取り上げていただいたというのは非常に意義が ある事と思います。 ○土屋委員  防蟻剤に関してですけれども、多分日本でもクロルピリホスは使われているはずです けれども、最近はピレスロイド系のものが使われてきているという話も聞いておりま す。それもあまり効果がないというので、ピレスロイドの中に塩素をつけたものとか、 そういうものが使われてきているという話もありますので、その辺の実態もちょっと調 べられて、やはり日本で相当使われているようでしたらば、検討する必要があるんでは ないかと思いますけれども。 ○吉田補佐  そこは適宜、実態調査の結果を踏まえて、どの物質を選択するかというのは考えたい と思っております。 ○林座長  他に何かございませんでしょうか。そうしますと、これで大体6ページの(6)まで終わ って、4.「測定方法等に係る今後の方針について」ということになりますが、これは何 かございませんでしょうか。 ○土屋委員  最後に「保健所地方衛生研究所における測定・相談体制の確立に必要な測定・相談マ ニュアルの作成」と書いてございますけれども、測定マニュアルの作成を進めるという のは、今回出されているマニュアルのことを意味しているんでしょうか。それとも、そ れ以外も含めてということでしょうか。  できれば、パッシブなどの簡易試験法というのが、実際には非常によく使われている ので、ここでは正式な方法というのは当然いいんだと思いますけれども、その辺のマニ ュアルについてもお願いできればというふうに感じるんですけれども。 ○安藤委員  マニュアルの作成というのは、私、まず第一に、この試験方法というのは、分析法と しては非常に難しいレベルだと思っているんですね。ですから、まず精密な分析法につ いて、しっかりした理論的な裏づけと、ポイントというものを明確にさせる必要がある だろうということが1つ。  もう1つは、簡易分析法については、厚生省内のどこかなりが明確に評価していかな いとまずいだろうな、もしそれがそのままひとり歩きしたらとんでないことになるだろ うなと私は思っております。  そのあたりを含めて、別々の考え方で、これから検討していかなきゃいけないんじゃ ないかなとは思っておりますが。 ○土屋委員  確かに試験方法、例えば先ほどのパブリックコメントにありましたように、1度に8 サンプル行うとすると、試験方法のマニュアルに書いてあります、例えばガスのフロー メーターといいますか、あれを見ていただきますと、あれは水でガス量を測っているわ けですね。そうすると、あれは10kgぐらいあるものなんですよね。 ですから、ああいうものを、例えば極端な話、8個とかは多分持っていけないだろう し、そういうものを一般の居住住宅に入れる場所もないんじゃないかと思うんですよ ね。  ですから、厳密にやるのは非常に大事なことなんですけれども、実情に合わない部分 も結構あるのではないかということがあるので、そういうことも踏まえて、今おっしゃ ったような評価、簡易試験法なども評価をした上で、やはり活用できるように、なるべ く早急にそういうところを考えていただく必要があるんじゃないかと思いますけれど も。 ○安藤委員  おっしゃることはもっともなお話だと思っております。それはまさにこれからやって いくことだろうと思っています。ただ、測定法について信頼性がないものをやった場 合、多分これから、この議論でも出ておりましたように、例えば訴訟問題とか性能評価 とか、いろいろな面で当然これが評価の対象になってしまいますから、まずはしっかり したものを作らなきゃいけないということだろうと思います。その後に、どこまで簡略 化できるかということを考えていくのかだと思っておりますが。 ○池田委員  今のご議論にちょっと関連するんですけど、やはり相談体制というのを、この資料だ けですと、保健所と地方衛生研究所だけに限っているようですが、もう少し複雑な問題 とか、測定機器の精度の検証とか、そういうものを、より高度な問題に関してはそれ専 用の機関を設けて、そこで何かするように将来的にはした方がいいんじゃないでしょう か。  例えば建設省あたりでは、きょうもそちらの方の委員会に行ってきたんですけど、そ ういう相談のセンターをつくったようです。ですから、厚生省においても既存の環境衛 生センターとか、ビル管理教育センターとかいったようなところが、この問題のある一 部分、この問題専用の、非常に高度な問題への相談を受けつける、全国的にまとめて受 けつけるというようなこと、そういった体制を作られるということもこの中に少しに盛 られたらいいんじゃないかと思ったんですけど。 ○林座長  いかがですか。 ○喜多村課長  今ご指摘のあった相談体制、それから簡易の測定法、これは根っこは一緒だと思いま す。室長からも説明していますように、今回のガイドラインには強制力がないわけであ りますが、みんなにこれを普及をして、守っていただいて、今後被害が出ないようにし ようというのが方針であります。そのためできる限りのことをこれからやっていきた い。  ここで保健所等を例示に挙げましたのは、住民にとって一番身近なものとして保健所 があるわけですが、今の時点でまだ十分に対応できていないのではないかということ で、これらを是非何とかしたいということがまずありまして、それ以外にやらないとい うことではありません。  それから、簡易な測定法も、経済的な問題を考えますと、できればそれでやりたい。 しかしまた、先生方がおっしゃっているように、それでいい加減な数字が出たのでは何 にもなりませんので、そのあたりを兼ね合わせて、先生方のご議論をいただきながら、 できるだけ普及するような形でやっていきたいということであります。 ○林座長  他にございませんでしょうか。 ○内山委員  今の相談体制のことですが、私どもが調べた厚生科学研究で調べさせていただいてい るところでは、消費生活センター、化学品工業会のPLセンター、それからベターリビ ング協会等、いろいろなところに相談が多くて、まだ保健所、地方衛生研究所というの は、それを補完する立場でしかなかった。  逆に一番期待されているのが、保健所や地方衛生研究所で、というのは戸別訪問がで きるからです。それが職掌事務に入っている。消費生活センターとかそのほかの協会 は、そういう職掌事務がないために、プライバシーの問題もあって、なかなか家に立ち 入って相談を受けることができない。  保健所の職員あるいは地方衛生研究所の環境監視員というのは、戸別に訪問して直接 現場を見ていける、あるいは測定に入れるということで、それと保健所は健康面でのエ キスパートがいるということで、そういう期待感は各方面から多かったので、それは是 非充実させていただきたい。その他にいろいろ、池田先生のおっしゃった、そこに至る までの、保健所ですべて見られるわけではないと思うので、専門機関として保健所、そ れから地方衛生研究所というものを位置づけていただいて、その他いろいろなところも 利用していただければというふうに思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。他にございませんか。  私、先ほどお聞きするのを忘れてしまいましたけれども、「測定方法等に係る今後の 方針について」の3行前のところで、「個別のVOC指針値の補完的指標として、TV OCの指針値の策定方法を検討する」とあります。しかし、科学的根拠のないTVOC 指針値は悪影響を及ぼすことを考える必要があります。ですから、十分に資料をレビ ューして、その上で策定方法の検討に入っていただきたいということで、これはお願い いたしたいと思います。  次に、最後の5.「その他」について何かございませんでしょうか。ここではもっとも なことが列記されておりますので、あまり問題ないと思いますけれども、あるいは追加 すべきことがありましたら、後ほどでもよろしいですけれども、よろしくお願いいたし ます。 ○安藤委員  ここに書いてあるとおりで結構なんですが、あえてもう1度というか、お願いしてお きたいと思いまして。  つまり、これからいろいろな機関で測定が始まるだろう。先ほど私が申し上げました ように、この測定方法というのは、溶液から測定するというものではなくて気体を測定 するという、非常にトラブルが発生しやすいものであるということから、先ほど内山先 生がおっしゃいましたけれども、あるいはパブリックコメントでも幾つか、そういうお 話がありましたけれども、信頼性の問題、その体制というのは是非お考えいただきた い。それがないとトラブルというか、混乱に発展する可能性があると思います。よろし くお願いいたします。 ○林座長 他に何かございませんでしょうか。最後の、8ページの「参考」というところですけ れども、これは非常に重要な問題だと思います。「シックハウス(室内空気汚染)問題 に関連する用語の理解について」ということで、何か追加しなければならないというこ とがございましたら、ご意見をいただければ、事務局の方で対応すると思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○池田委員  石川先生あたりに教えていただきたいと思うんですけど、「化学物質過敏症」という のは、ここにされている定義ですと、アレルギーなのか中毒なのかというのがよくわか らないんですが、その辺のことを明確に書いておかなくてよろしいんでしょうか。 ○石川委員  大変難しい問題なんですが、ホルムアルデヒドを例にとると、軸索反射を惹起して、 その神経の逆行していった末端からタキシニンとかサブスタンスピー等のペプチドが出 て、これがまた免疫系を刺激してアレルギーを作るという研究があり、物質によってア レルギーを作るものもあるし、作らないものもある。  例えばトルエンは非常に作りにくい。これは前に私、この委員会で申し上げました。 そういうことで、「アレルギー=化学物質の反応」ということをここで断定するのは非 常にむずかしいんじゃないかと思っています。ですから、その点はもう少し時間をいた だきたいなと思っています。  それから、多種化学物質過敏症とは「最初に多量の化学物質に暴露されて一旦過敏状 態になる」、これはいいんですが、これはカレンが言ったことで、Ashford、millerの言 う「サブトキシックに長期間微量物質に暴露されて過敏状態になると」という1行も入 れておいたほうが正しい表現であると思います。  例えばサブトキシックというのをどういうふうに言ったらいいかわかりませんが、 「あんまり高くない量の物質に長期間暴露されて生体が過敏状態になる」これを是非入 れていただきたいと思います。  それで、先ほど広瀬委員からもお話があって、安全係数10分の1という問題なんです が、私たち現在、暴露実験をやっています。ホルムアルデヒドの例をとってみますと 80ppbで、今ガイドラインができておりますが、1/5、それから1/8、1/10、さらに1/15、 1/20とやっているんですが、ホルムアルデヒドに関する限りは一番微妙、過敏に反応し た方8ppm 、でした。  トルエンでも5ppm の方がいました。それ以外、メタノール、メタンなどやってみて いるんですが、今回決めていただいた値、1/10というのは、僕はいいんじゃないかとは 思っています。感受性のある方にも当てはまるという意味で。 ドイツその他で安全係数 100分の1以下ということを示唆している人もありますけれ ども、それは一応レベル外という形でいいんじゃないかなと思っています。 Sick House Syndrome という名前、これも米国では problem house とか、problem related house 、そういう名前で呼んでいる。シックハウス症候群というのは日本語英 語です。 このフィーリングはどうだということを、過日米国で、キルバーンその他に聞いてみ たら、Sick House Syndrome も悪くないだろうということで、日本人が作ったいい名前 かもしれないということを言っていました。 それから化学物質過敏症に関しましても、MCSと付けている人は今ほとんどなく て、chemical sensitivity :CS です。これも実際は Toxicant induced 、lose of  tolerance とか、いろいろな名前があります。基本的には、ほかの例を挙げて恐縮です けれども、テレビジョンを見て目が疲れたり、体が痛くなったりするVDT症候群とい うのがございますけれども、あれも最初は機械に名前をつける症候群はないだろうとい う意見が日本ではずいぶんあったんですが、結局最終的にはVDT症候群で落ちついて しまいました。ですから、命名はあまりに突っ込んで時間を費やすと、本質の大事な研 究が遅れてしまいますので、その辺をよくご検討いただいて、このままの名前 CS:化学 物質過敏症でいいんじゃないかと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○池田委員  専門的な話になってしまったんですけれども、要はアレルギーとは混同しないように というような一言がここに入ったほうが、アレルギーと非常に混同されている方が多い ので、アレルギーとは少し違うものですよというようなことが一言入ったほうがいいん ではないかなと思ったのが1つでございます。  もう1つは、TVOCというものの定義があるんですが、この中に、いわゆるVOC の定義でいくと、VVOCに当たるものは含まれるのか含まれないのかによって、例え ばメタンとかエタンとかまで、もしそれらの中に入れるとすると、その辺がかなり濃度 的には高いということにもなってくると思うので、また先ほど内山先生のおっしゃった ホルムアルデヒドが含まれるのかというような、この辺をきちんとしておかないと、将 来、TVOCに関するガイドラインを考える時にかなり混乱するのではないかと思うん ですけど、この辺、安藤先生、何か。 ○安藤委員  私も、今具体的なものはありません。実態調査をやれば多分データは出ると思います が、問題は、先ほど林先生がおっしゃった、具体的な疾病なり、あるいは健康影響との 関連性というところで、そこには多分クリアじゃない部分が出てくると思います。  ですから、VVOCをどうするか、そういう議論のなかでTVOCについても、1つ の考え方は出てくるだろう。そんな気がいたしております。  ただし、健康影響とは今はリンクできないだろうなと。いまの段階では。そんな感じ がいたしております。 ○吉田補佐  一部補足いたしますと、ここに示しました説明は、用語の理解を助けるという意味で 参考に添付したまででして、きちんとした定義をここでやろうということではございま せん。  あくまで、こういった用語が頻繁に使われているので、その理解を助けるためにこう いった説明を加えているということでございます。ですから、これについては、初めに 申しましたように、必要に応じて、場合によっては修正することもあると思いますの で、そこはその都度対応したいと思っております。 ○林座長  ただ、いかに「参考」とつけてありましても、この内容の文章はひとり歩きするもの ですから、なるべくならば過ちは少ない方がいいと思います。例えばさきほど池田委員 がおっしゃったように、化学物質過敏症についてですが、石川先生に確認したいんです けれども、これはアレルギーではないと言っていいのか、アレルギーに限定してはなら ないと言うべきなのかご説明下さい。 ○石川委員  非常に大事なことでございますけど、臨床例を見ていまして、IgEが非常に高い、 それからEosin細胞が多い、CD4、CD8が異常という、明らかにアレルギーの症状が血液学 的に、採血その他で捕まる場合には私たちはCSからは除外しています。 ○林座長  先生の定義では、典型的なアレルギーは除外するということですね。 ○石川委員  ただ、化学物質によるアレルギー様の反応はホルムアルデヒドでもキシレン、パラジ クロロベンゼンでも出てまいりますから、それは明らかに化学物質による影響であると いうことにしています。 ○林座長  どうもありがとうございました。やはりこれはあくまでも理解を助けるための参考資 料ということなので、あまりこれについては定義づけをするということではありません ので、何かここのところを直したらいいんじゃないかというようなことがありました ら、事務局のほうにご連絡いただければよろしいと思います。  そうしますと、最後まで一応終わってしまいましたので、また何かご意見がありまし たら、後ほどでもいただくとしまして、いかがでしょうか。このガイドライン案の最終 化と、今後の方針について、この検討会の結論をまとめたいと思いますので、事務局か ら提案された資料3の「中間報告書(案)」につきまして、当然文面の修正が必要と思 いますけれども、第1回から、本日の第3回の検討会までの検討結果として、ガイドラ イン案の最終化と、今後の方針、進め方に関する考え方を取りまとめたものとして、原 則的には適当と思いますけれども、内容的にいかがでしょうか。 ○内山委員  確認なんですが、パブリックコメントで、こちらのリスク評価の文面を変えた部分と いうのはありますか。前回以降、特にはないんですか。 ○吉田補佐  これに関してはございません。ただ、必要な部分は、いま説明しました中間報告書の テキストのほうに反映させてございます。 ○内山委員  これ自体をパブリックコメントで、検討しますとか、そういう記述に改めますという のは、こちらは何もさわっていないと。 ○吉田補佐  さわっておりません。 ○内山委員  わかりました。 ○林座長  では、これを一応、今後の方針と進め方に関する考え方を取りまとめたものとして適 当と判断してよろしゅうございますね。どうもありがとうございました。  では、この検討会の結論として、一応資料3の「中間報告書(案)」として取りまと められた内容に従って、今後引き続き、指針値策定等の検討を進めていくことにしたい と思います。 それから、「意見の募集結果」と「中間報告書」ともに結論は出ましたけれども、そ れぞれ資料2及び3について、文面上の修正作業などが残されています。今後の作業に ついて、事務局のほうで何かお考えございますか。 ○村上室長  先生方におかれましては、本日、長時間にわたるご熱心なご討論をいただきましてま ことにありがとうございました。本日ご指摘いただきました事項、本日のご討議の内容 を踏まえまして、この中間報告書の案を早急に修文をさせていただきまして、速やかに 最終版の報告書を公表できるようにしたいと考えております。  必要な修正につきましては、もしできますれば、座長と事務局に一任をしていただき まして、欠席の委員を含む全委員に追って回覧をするということで対応をしたいと思い ますが、いかがでございましょうか。 ○林座長  ただいま事務局から、今後の作業の進め方についてご提案いただきましたけれども、 今のご提案についてご質問、ご意見ございませんでしょうか。  もし差し支えなければ、ただいまの事務局のご提案どおりに、本日の討議に基づく文 書の修正作業、これを事務局と私の方で預からせていただき、速やかに先生の方に回覧 させていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。どうもあ りがとうございました。  では、今後の作業については事務局のご提案どおりに進めたいと思います。  その次に議題の「その他」ということで、何かございますか。 ○村上室長  事務局からは、先ほど資料3の中でもご説明をいたしましたように、新たに4つの物 質についてのリスク評価、事務局側でのリスク評価の案というものをご用意させていた だきたいと思います。作業に入らさせていただきたいと思います。  それからTVOCにつきましては、外国における状況、あるいはTVOCといった場 合に一体どこまで入るのかという、ザイファートの論文でも、アルデヒドは入るけど、 ホルムアルデヒドは除外してあって、ホルムアルデヒドは別個でガイドラインを作るよ うな考え方になっておりまして、必ずしもTVOCという、Total Volatile Organic Compoundsというものが必ずしも実態を表していないようなケースもありますので、そう いうような周辺状況の詳細な部分を含めまして、事務局で資料をご用意させていただい て、本検討会におけるご議論がスムーズに進むように頑張りたいと思います。  それから測定法につきましては、簡易法が非常に重要であるというご指摘もございま したが、簡易法も含め、目的ごとにどんなものがあるのかというような目録作り、ある いは実際に測定する場合にどういうところに気をつければいいのかということをもう少 し、今現在示されたガイドラインにおける測定法よりも、もうちょっとブレークダウン したようなものを作るための準備を進めさせていただきたいと思います。  それらにつきましては適宜、本検討会の委員の先生方のご協力をお願いすると思いま すので、その節はどうかよろしくお願いいたします。  それから次回の検討会でございますが、ちょっと間があきますけれども、私どもの方 の事務局での資料の収集その他の都合もございまして、9月末頃に開催できればと考え ております。もちろんそれまでの間、個別にお伺いして、さらにどんなことについて資 料を収集しなきゃならないかというような個別のご指示を伺うことがあると思います が、よろしくお願いしたいと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。それではこれで本日の検討会を終了させていただき ます。ご多忙のところご参加いただきましてありがとうございました。                                     −了− 問い合わせ先 厚生省生活衛生局企画課生活化学安全対策室 剣持(内2423),平野(内2424) TEL:03−3503−1711