00/06/21 第1回介助犬に関する検討会議事録        第1回 介助犬に関する検討会                   議事録         日時 平成12年6月21日(水)10時00分〜12時05分         場所 厚生省特別第1会議室                (開会・10時00分) 企画課長  それでは定刻でございますので、第1回の介助犬に関する検討会を開催いたします。  冒頭、進行役を務めさせていただきます私、企画課長の遠藤と申します。どうぞよろ しくお願いいたします。  本日、大変ご多忙のところ、この検討会にご出席いただきまして誠にありがとうござ います。  まず、はじめに委員の皆様をご紹介させていただきます。お手元に資料1といたしま して委員の名簿を配付してございますので、そちらの方をご覧いただきながらお願いで きたらと思います。一応、50音順で整理しておりますので、この名簿に沿いましてご紹 介させていただきます。  株式会社日本エアシステム空港・客室本部旅客サービス部統括課長の秋山委員でござ います。 秋山委員  秋山でございます。よろしくお願いします。 企画課長  次に財団法人日本障害者リハビリテーション協会副会長の板山委員でございます。 板山委員  板山です。よろしくお願いします。 企画課長  次に金田委員は本日、ご都合がございまして欠席でございます。  次に財団法人中部盲導犬協会盲導犬総合訓練センター所長の河西委員でございます。 河西委員  河西でございます。よろしくお願いします。 企画課長  次の専通委員は事情がございまして若干、遅れるとの連絡を受けておりますので、後 ほど、ご紹介させていただきます。  次に株式会社ダイエー総務企画室CS企画部長、高嶋委員でございます。 高嶋委員  高嶋でございます。よろしくお願いします。 企画課長  次にあいち健康の森・健康科学総合センター健康科学館長の高柳委員でございます。 高柳(哲)委員  高柳哲也でございます。介助犬の基礎的調査研究班の班長をさせていただいておりま す。どうぞよろしくお願いいたします。 企画課長  次に、日本介助犬アカデミー専務理事の高柳友子委員でございます。 高柳(友)委員  日本介助犬アカデミー、高柳と申します。よろしくお願いいたします。 企画課長  次に自立生活問題研究所所長の谷口委員でございます。 谷口委員  谷口です。よろしくお願いいたします。 企画課長  次に学校法人国際医療福祉大学大学院長の初山委員でございます。 初山委員  初山でございます。よろしくお願いします。 企画課長  次に東日本旅客鉄道株式会社営業部担当課長の前田委員でございます。 前田委員  JR東日本の前田でございます。よろしくお願いいたします。 企画課長  次に社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長の松尾委員でございます。 松尾委員  松尾でございます。よろしくお願いいたします。 企画課長  次に社団法人日本ホテル協会参事の満野委員でございます。 満野委員  日本ホテル協会の満野でございます。よろしくお願いします。 企画課長  以上、委員の皆様でございますが、なお、この検討会に運輸省の方から担当官の方の ご出席をいただいております。オブザーバーという位置づけではございますけれども、 運輸省の運輸政策局の消費者行政課と運輸政策局の観光部観光地域振興課からそれぞれ 担当官の方、ご出席いただいておりますので、念のため、申し上げます。  それでは会議に先立ちまして今田障害保健福祉部長からご挨拶を申し上げます。 障害保健福祉部長  皆様、おはようございます。ご紹介をいただきました障害保健福祉部長の今田でござ います。  今日は介助犬に関する検討会にご多忙の中、ご出席をいただきまして誠にありがとう ございます。また、委員の皆様方には当検討会に心よく委員のお引き受けをいただきま して心からお礼を申し上げたいと思います。  ご承知のように介助犬につきましては肢体不自由者の日常生活の一助として障害によ って失われました様々な動作、活動に対しまして、これを介助する役割としての社会的 関心というのが徐々に高まってきていると、このように私どもも考えておる次第でござ います。  欧米では1970年代にはもうこの介助犬についていろいろと検討がなされ、普及が進め られてきたと承知をしているわけでございますけれども、我が国につきましてはまだ10 頭程度という状況でございまして、必ずしも十分に進展が図られているという状況にな いかと存じております。  そういうこともございましたので、さきほど高柳委員の方からもご紹介がございまし たけれども、10年度から介助犬に関する基礎的な研究ということで、厚生科学研究をこ れにあてまして2年間、研究を進めてまいったところでございます。  そういうことで私ども、この介助犬の今後のあり方についてご検討をいただくわけで ありますが、それに先行して既に盲導犬の制度はご承知のようにかなり普及をしてまい っておりまして、現在、850 頭程度が活動していると、このような状況にございます。  しかも、この盲導犬につきましては既にスーパーマーケットでありますとか、あるい は飲食店、あるいは公共の交通機関、これらが積極的に、あるいは受け入れしていただ きやすくするために関係されます省庁の方からもいろいろとご通知申し上げさせていた だいて、比較的その受け入れ体制の整備につきましても順調にこれが進捗していると、 このように思っております。  また、先般、成立をいたしました社会福祉事業法等の改正におきましても、この盲導 犬育成事業についてこれを法定化いたしまして社会福祉事業として位置づけたところで ございます。  このように盲導犬につきましての介助犬から見れば前を歩いている仕組み、制度、そ ういったものに対して一方でこの介助犬がまだ緒に就いたばかり、あるいは歴史もまだ 浅く、その意義でありますとか、有用性について必ずしも十分な理解が進んでいない、 その状況の中で今後、こういったケースについてどのような対応が可能かということで 本日、こういった委員会を設置させていただいた次第でございます。  したがいまして、この介助犬が障害者の自立と社会参加というひとつの目的に対しま してどのような役割を演じ、どのような有効性を理解していただき、さらにはそのため の受け入れ条件、あるいは当面する課題、いくつかの課題について本検討会で検討いた だきたいと、このように思っております。  思いつくままに具体的なことを申し上げますと、ひとつは障害者に対します介助犬の 役割はいったい何なのかと。本来、担うべき役割、あるいはその有用性、有効性、こう いったものについてご議論をいただきたいこと。介助犬そのものに求められる資質。ど ういった犬を以て介助犬とするかと。どういう訓練がそこに必要なのか。どういう要件 をそこに生かすべきなのか。こういった視点。第3にそういった介助犬がそういう資質 なり、要件に該当しているかどうかということを評価し、あるいは判定し、認定すると 。こういった仕組みをどう作り上げていくかと、こういった点もあろうかと思います。  さらに、そういったことで評価、判定が行われるとすれば、さらに、それについて既 に盲導犬等でお願いをいたしております公共の交通機関でありますとか、あるいは施設 でどのような受け入れをお願いすればいいのか。そんなことも併せてご議論いただけれ ばというふうに思っております。  まだまだいくつかの課題があるのかもしれませんが、そういった点も含めまして委員 の皆様方の忌憚のないご意見を賜りまして、これからの政策に生かせるよう精一杯のご 尽力を賜ることを心からお願いする次第でございます。  今後、私ども、厚生行政の中でも障害者施策が非常に大きな柱と捉えて今後も推進し ていく所存でございますので、この介助犬に限らず、幅広く障害者行政に対しましても ご意見があれば併せて伺えればということを申し添えたいと思います。  以上、私のご挨拶にさせていただきますが、実は、同時進行でもうひとつ会議がござ いますので、しばらくいたしまして中座させていただくことをお許しいただくことをは じめに申し添えまして私の方からのご挨拶に代えさせていただきます。どうぞこれから もよろしくお願いいたします。 企画課長  次に、この検討会の座長につきましては板山委員にお願いしております。  板山委員について若干、ご紹介させていただきますと、板山委員はかつて厚生省の社 会局の更生課長を務められております。更生課というのは身体障害者の福祉全般を所管 するような課でございましたけれども、その責任者といたしまして盲導犬事業にも携わ っておられますし、その他、障害者福祉行政に関する非常に豊富な学識と経験をお持ち でございます。  その後、全国社会福祉協議会の常務理事、日本社会事業大学の専務理事、中央障害者 施策推進協議会、これは厚生省に置かれている協議会で、総理大臣の諮問に答えるよう な協議会でございますが、そちらの専門委員をされておられますし、その他、社会福祉 法人の理事長など、非常に幅広い活動をされている方でございます。  以後、この議事運営につきましては座長にお願いいたしますのでどうぞよろしくお願 いいたします。 板山座長  座長にご指名をいただきました板山でございます。大変微力でありますけれども、本 検討会の進行係をさせていただければと、このように思っております。  今、部長、課長のお話を伺いながら、実は20年前を思い起こしておりまして、1980年、 盲導犬が障害者の社会参加促進事業のメニューに導入をいたしましたときに、当時、ま だ50頭になったかならないかぐらいのときでありましたが、一部には盲導犬の導入、時 期尚早である、むしろガイドヘルパーなど、人的なサービスの方が先行すべきだと、こ ういうご批判もありましたけれども、社会参加の促進のために盲導犬事業を作ろうと決 心をいたしまして、関係者のご理解をいただいて実現をしたことを今、思い出していま す。  介助犬はまだスタートをいたしましたばかりの、これから芽が出て、若葉となり、木 を繁らせていく。花咲くときが来るか来ないか、そんな段階でこの検討会が始まったよ うに思うのでありますが、あれから20年経ちまして盲導犬事業も法定事業に位置づけら れる、今、部長からお話がありました。大変に素晴らしい展開を遂げておりますので、 私たちがこれから検討いたします介助犬の問題も何年か後にそうした位置づけが明確に されたらなと思いながら聞いておりました。  皆様とご一緒にこの検討会、実りあるものになりますようにご協力をいただければあ りがたいと思います。はじめに一言、ご挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。  それではこれから議事を私が進行しろということで、こういうことでありますので、 はじめに本日、配付してあります資料をいろいろあるようでありますので、事務局から 一通りご説明をいただきたいと思います。 社会参加推進室長  それでは資料の確認をさせていただきますが、その前に私、障害保健福祉部社会参加 推進室長の丹羽でございます。事務局を務めさせていただいておりますのでよろしくお 願い申し上げます。  資料でございますが、資料番号が右の上に打ってございますが、資料が全部で1から 6までございます。  まず、資料の1でございます。これは介助犬に関する検討会委員名簿でございます。 1枚きりのペーパーでございます。  資料2といたしまして、介助犬に関する検討会の公開について(案)というのがござ います。5頁の資料でございます。  資料3でございます。これは盲導犬についてということで、9頁の資料でございます 。  資料4でございます。これは介助犬についてというペーパーでございまして、5頁の 資料になっております。  資料5でございます。これは介助犬の基礎的調査研究報告集ということで、のちほど 高柳班長の方からご説明いただきますが、その関係の資料でございます。全部で19頁ご ざいます。  資料6といたしまして今後のスケジュール(案)というのがございます。これも1枚 きりのペーパーでございます。以上が本日の資料でございます。  あと、ご参考に『介助犬ってどんな犬』という冊子を1部、お配りをしてございます 。  以上、資料、ご確認いただきまして、もし、不足のところがございましたら事務局の 方に教えていただければ対応いたしますのでよろしくお願いいたします。 板山座長  資料、よろしゅうございましょうか。はい。ご苦労さんでした。  それでは議事に入りますが、その前に今の資料にもありましたようにこの検討会の議 事の公開についての取り扱いを事務局からお諮りをしたいと、こういうことであります ので説明をしてください。 企画課長  それでは資料の2の方をご覧いただきたいと思います。この検討会の公開についての 事務局の案でございます。  1として審議会の公開ということで、まず、障害福祉部関係の審議会の公開について どうしているかということを簡単にご説明しております。そもそも審議会の関係につき ましては透明性の確保という観点から平成7年、5年程前に閣議決定がございまして、 原則として議事録の公開、会議の公開を行うということになっております。この閣議決 定に則しまして現在、身体障害者福祉審議会におきましては別添のように公開されてい るということでございまして、1枚めくっていただきますと別添の資料が出てまいりま す。  身体障害者福祉審議会の公開の状況をご説明したものでありますが、身体障害者福祉 審議会については会議の議事録は公開となっております。ただし書きでいろいろ事情が ある場合には会長の決するところにより、理由を公開し、会議議事録の公開に代えて会 議の議事要旨を公開するとなっております。発言者氏名につきましても、事情ある場合 には会長の決するところにより匿名ということになっております。この議事録を公開す るにあたりましては、予め原稿を委員の皆様にお送りいたしまして事前にチェックいた だいた後、公開という手続きを取っているところでございます。  2といたしまして、諮問とか答申とか、会議の配付資料、これも公開でございます。 若干の例外の場合も書いてございますが、公開の扱いでございます。  また、3として会議の公開ということで傍聴についてどうするかということでござい ます。これも原則、公開ということになっております。具体的にどうしているかという のが1枚めくっていただきまして3頁目にまとめてございます。  傍聴者につきましては会場の都合等々もございまして、あるいは議事の円滑な進行と いったこともございまして、報道関係者と委員の紹介のあった者について認めるという 扱いでございます。傍聴希望の方は事前に文書をもって申し出ていただきまして会長の 決するところにより、認めるという扱いをしているところでございます。  傍聴が認められた方につきましては、別紙ということでまた1枚あとになりますけれ ども、傍聴にあたっての遵守事項ということを定めておりまして、これを守っていただ くということを条件に傍聴を認めるという扱いでございます。  以上が身体障害者福祉審議会の議事録とか会議の公開の扱いでございまして、こうい うものも踏まえまして、この検討会の公開についてどうするかということをまとめまし たのが、また、1頁に戻っていただいて恐縮なのですけれども、1頁の2でございます 。  介助犬に関する検討会の公開としてまとめてございますが、この検討会というのがさ きほど部長のご挨拶の中でも申し上げたような趣旨で広く関係者の意見をお聞きするた めにこの部長の私的な検討会ということで設置しておりますので、閣議決定の趣旨も踏 まえまして適切に対処したいということで、この会議、検討会の議事録の公開、傍聴人 の扱いにつきましては身体障害者福祉審議会の取り扱いの例によって行わせていただけ たらと思っております。  なお、この公開について皆様方のご了承をいただけましたら議事録につきましてはこ の第1回目から公開の扱いになります。傍聴人につきましては次回以降、さきほどの ルールに沿って公開するということにしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと 思います。 板山座長  ただいま、課長から説明がありましたようにこの検討会の議事録並びに会議の公開に ついて身体障害者福祉審議会の例によって取り運びたいと、こういう提案でありますが 、何かご意見ございましょうか。  特になければこの例によって処理させていただいてよろしゅうございましょうか。            (「異議なし」と呼ぶ者、多数あり) 板山座長  はい。ありがとうございました。それではそのように取り運びをお願いいたします。  次の議題に入りますが、まず、介助犬、あるいは盲導犬等の現状について今日は第1 回でありますから勉強をする必要があろうと、こういうことのようでありますから、事 務局から盲導犬及び介助犬の現状についてご説明をいただきましょうか。 社会参加推進室長  それでは介助犬の現状に入る前に類似の制度で盲導犬という制度がございますので、 まず、盲導犬の方からご説明をさせていただきたいと思います。  資料の3の盲導犬についてという資料がございます。これに沿ってご説明を申し上げ たいと思います。  盲導犬につきましては視覚障害者が道路を安全に通行する上で盲導犬を連れているこ とが生命と安全を確保する上で非常に有効であるというようなことから、この資料の6 頁をお開きいただきたいのでございますが、6頁の参考資料の2というところにござい ますように道路交通法の第14条1項において、目が見えない者、及びこれに準ずる者を 含みますけれども、こういった方々が道路を通行するときは、つえを携えるか、または 盲導犬を連れていなければならないというふうに規定がされております。  この道路交通法に言う盲導犬というのは何を言うのかと言いますと、その下に道路交 通法施行令というのがございます。この施行令におきまして国家公安委員会が指定をし た盲導犬の訓練を目的とした民法法人、これは現状では財団法人が大半でございますが 、財団法人、あるいは社会福祉法人において必要な訓練が行われたということ、こうい った訓練が行われた犬が白色、あるいは黄色の用具、ハーネスと言っておりますけれど も、これをつけた犬を盲導犬というふうにされております。  この国家公安委員会が指定した8団体、団体と申しますのはその下の中にありますよ うに今、現在、8団体ございます。北海道から福岡まで、こういった8つの団体がござ います。これは指定の都度、告示により一般に公表されておる状況でございます。  次に盲導犬の歴史というところでございますが、これは3頁に詳しい資料はつけてお りますが、概略をかい摘んでここに整理してございます。まず、盲導犬というのは日本 では昭和32年に国産の第1号の盲導犬が誕生をしております。その後、全国各地に日本 盲導犬協会を含む6か所の育成団体が次々に創設されまして、昭和48年に全国の盲導犬 協会連合会が発足をしております。  昭和53年になりまして、その前に昭和50年にさきほどの6か所の育成団体の中で中部 盲導犬協会が財団法人化をされまして、法人格を有する団体数も全部で6団体、この段 階で6団体になりました。その他の動きとして国鉄や公営住宅などで盲導犬の受け入れ が認められるというふうな社会的な受け入れが進んできたというようなこともございま して、昭和53年に、さきほどご説明しました道路交通法が改正をされまして、盲導犬に 関する規定が設けられております。  また、この年に運輸省から盲導犬の使用者の乗合バスの乗車に関して通知が出される など、そういった面で社会的受け入れがどんどん進んでいったという状況でございます 。  昭和54年には身体障害者の社会参加促進事業のメニュー事業として盲導犬の育成事業 が創設をされまして、国あるいは自治体による助成制度がこの年から始められておりま す。 平成4年になりまして盲導犬の訓練を目的とする法人の指定に関する規則が制定 されております。これはさきほどの国家公安委員会が認める指定する団体の指定にあた りまして一定の基準、あるいは要件、あるいは指定のための手続きを改めてこの規則で 定めたものでございます。  内容につきましては例えば育成計画をちゃんと立てているかとか、あるいは盲導犬の 育成に必要な知見、経験を持った訓練する者が置かれているかどうかとか、あるいは設 備面で盲導犬を育成するに相応しい設備が整っているかといったようなことを一定の要 件、基準として設けて、これによって審査をするという体制がこの段階で整えられてお ります。 1995年、平成7年にさきほど申し上げた全国の盲導犬協会連合会を発展的に 解消いたしまして、全国盲導犬施設連合会が発足をしております。平成12年の6月、こ の6月でございますが、社会福祉事業法等の一部改正法案が可決、成立いたしまして盲 導犬の訓練施設が法的に位置づけをされております。具体的な内容につきましては、ま たのちほど9頁の参考資料のところでご説明申し上げたいと思います。  盲導犬の育成の現状でございますが、さきほど部長の挨拶の中にもございましたけれ ども、盲導犬の現在の実働頭数というのは約850 頭が稼働しているという状況でござい ます。  盲導犬の育成の流れと言いますか、どういうふうに盲導犬が育成されていくのかとい うところ、これはいろいろ訓練施設に若干の差異はあるようでございますが、北海道盲 導犬協会での育成例ということで参考に上げてございます。  まず、ブリーダーと言われる生産者が子犬を誕生いたしましたら2か月間、母親と一 緒に過ごして2か月目から一般の家庭、里親のボランティア、パピーウォーカーと言っ ておりますけれども、こういったところに預けて家庭での生活に慣れさせるということ を訓練します。  それが終わりまして14か月目ぐらいから盲導犬協会に戻しまして、3週程度、盲導犬 としての適性の評価をすると。適性があるのかどうかというところの評価をするという ことでございます。それが終わりましてだいたい15か月目ぐらいから盲導犬としての訓 練を盲導犬の訓練士によって開始されます。だいたいこれが服従訓練等、様々な基礎的 な訓練を7か月間実施しまして、その後、21か月目に盲導犬の基礎訓練を終わった盲導 犬と視覚障害者と共同訓練を行います。これは盲導犬を希望する方との相性と言います か、マッチング、相性がいいかどうかということも含めて、あるいは歩行訓練士による 共同訓練と、歩行訓練と言いますか、そういったことを約4週間程度、終えまして、だ いたい22か月目ぐらいから盲導犬希望者のもとにこの盲導犬が届けられて盲導犬として 活躍すると。  だいたい盲導犬がリタイヤまでの間がだいたい8年から10年ぐらいというふうに聞い ております。盲導犬をご本人に渡しましてもその後、やはり盲導犬の健康管理、あるは 継続教育といった面のフォローアップもしておられるというふうに聞いております。こ れは盲導犬の育成のだいたいの流れでございます。  3頁から6頁まではさきほどご説明、簡単に申し上げましたが、内容はもう少し詳し めの資料をつけてございます。これはまた後ほど、ご覧をいただきたいと思います。  7頁でございます。これは盲導犬に対する国の助成制度ということで、現行の助成制 度はどういうふうになっているかという資料でございます。  これは現在、都道府県・指定都市に対して補助をやっております障害者生活訓練・コ ミュニケーション支援事業というのがございまして、これは手話通訳とか、いろいろな 関係の事業を実態的に今、実施しているメニュー事業でございます。この中に盲導犬育 成事業というものがございます。  これは具体的に申しますと都道府県・指定都市において盲導犬を希望する者に都道府 県が貸与事業というのをやっております。貸すわけですね。犬を。その貸与事業を行う といっても都道府県が必要な犬の育成についてさきほどの8団体の方に適宜、育成を依 頼すると。依頼した際に、その育成に要する経費を国と都道府県で助成するという制度 でございます。だいたい1頭当たり150 万円程度で、国がその2分の1を負担するとい う状況でございます。平成12年度におきましては国には270 頭分の予算を確保しており ます。  8頁でございます。これは盲導犬の社会的な受け入れと言いますか、例えば旅館、飲 食店関係、あるいは乗物関係、住宅、あるいは病院、こういったところにやはり盲導犬 を受け入れていただくための協力依頼通知と言いますか、そういったものを整理したも のでございます。これは過去に出されたもの、あるいは現在、出ているもの、それぞれ 分野別に整理してございます。内容につきましてはまたこれから議論を深めていただく 過程で必要に応じてまたご参考とする資料をお出ししたいと思っていますが、とりあえ ずこれはこういったような関連の資料が出ているということをご承知おきいただきたい と思います。  9頁でございますが、社会福祉事業法の一部改正についてということで、今国会で盲 導犬の関係の規定が整理をされております。まず、第1点目は、一番上の社会福祉法の 第二条の3項、ここで盲導犬の訓練施設を経営する事業というのを第2種の社会福祉事 業というふうに位置づけをされております。この社会福祉事業に位置づけをされること によりまして、例えば税制上のいろいろな優遇措置が受けられる。あるいは社会福祉医 療事業団による低利融資の道が開かれるといったようなこと。あるいは盲導犬訓練施設 の設置、あるいは盲導犬の供給がこういったことで規定されることによりまして一層、 促進される効果があるのではないかというふうに考えております。  あと、身体障害者福祉法の方では身体障害者更生援護施設として盲導犬訓練施設を位 置づけております。これは一定の質の確保された盲導犬が視覚障害者に供給されること によりまして、視覚障害者の自立と社会参加が促進されると。その結果、福祉の増進に つながっていくということで、盲導犬の訓練施設を経営する事業というのはまさに社会 福祉事業としての性格を持つというふうに考えております。  こういったことでこれを身体障害者更生援護施設のひとつとしていたしまして社会福 祉事業の位置づけをするということでございまして、これによりまして例えば身障の更 生援護施設に位置づけることによりまして身障法に基づく設備、あるいは運営に関する 最低基準が定められるというふうになりますし、これによりまして盲導犬の一定の質が 担保されると。あるいはこれによって視覚障害者の社会参加の促進に資することになる というようなことで、こういった身体障害者更生援護施設への位置づけをしております 。  もうひとつは二十一条の三というところに書いてございますが、現在、盲導犬は850 頭とさきほど申し上げましたが、まだまだ必要とされている方々に十分行き渡る状況で はないということでございますので、そういったことも含めて現在、各都道府県や指定 都市で行われております盲導犬の貸与事業というものを法律にしっかり明記をいたしま して、そういったことによって貸与事業が一層促進されることを狙いとしてこういった 規定を新たに設けているということでございます。  三十三条はここに書いてありますように盲導犬の訓練施設、これはここで盲導犬と視 覚障害者の方々が共同訓練をするわけなのですが、これは社会福祉事業というふうに位 置づけられておりますので、その利用については無料、低額な料金で行う施設というふ うに規定を設けております。以上が盲導犬に関係する概略でございます。 板山座長  ご苦労さまでした。今、盲導犬について経過、並びに現状、法律改正のポイントなど も説明がありましたが、ご質問等、ございましたらお出しいただきましょうか。 介助 犬に先行するひとつの制度として犬が障害者の社会参加と自立のために役に立つ、その ことのひとつの例として盲導犬のお話をいただいたわけでありますが、何かご質問。ど うぞ。松尾さん。 松尾委員  日身連の会長の松尾でございますけれども、盲導犬のことで各県に全部入っているの か、各県の格差があるのかどうかということと、レストランとかホテルによってはまだ 入れないというようなことも聞くのですけれども、そこら辺のいわゆる盲導犬のバリア はどういうふうになっているのか。バリアフリーをかなりしないとレストランなんかは もうお断りと書いてあるところがあるのですね。航空機とか、輸送関係のバリアも全然 なくなっているのか。そこら辺をちょっと。  障害者のいわゆる盲導犬に対するニーズが現在、850 頭あるけれども、実際、2,000 頭とか3,000 頭とか、そんなニーズがあるのか。そこら辺のニーズ調査関係はどういう ふうになっているのか。わかっている範囲で結構ですけれども、お願いしたいと思いま す。 社会参加推進室長  盲導犬、現在、850 頭おりますけれども、各県の配置状況はどうかということでござ いますが、やはり各県によってかなり格差はございます。数頭しかいないところもあり ますし、東京都とか数10頭おるところもありますし、人口はもちろん多いので一概には 言えないのですが、確かに取り組みの格差というのはございます。それに対しまして私 どもの方はできるだけそういう盲導犬を増やしていただくように各県にはお願いをして きております。  あとは社会福祉施設への受け入れでございますが、さきほど資料でもご説明したよう に運輸省の方からは交通関係の方にいろいろ通知を出していただきましておりますし、 また、特に飲食関係は厚生省の方からもいろいろ通知を出していただきまして、また、 それを受けてさらに民生関係の部局にこういった通知が出ているのでそういった受け入 れが拒否されないようによろしく協力をお願いしたいということで通知でお願いしてお りますが、まだまだ、一部にそういう受け入れをされていないという施設があることも 確かでございますので、こういった面をまた引き続き、我々も指導に努めていきたいと いうふうに考えております。  ニーズの関係でございますが、直接、国が調査したものはないのでございますが、日 本財団が先般、調査したものがございまして、盲導犬がすぐ欲しいといった方が約4,800 ぐらいだったと思いますが、これは希望される方がまさに盲導犬を使うことができる方 かどうかという点も含めていろいろこの数字の中身は全部、これが4,800 名すべてがそ うかということはございますけれども、いずれにしましてもその程度の数字が調査をさ れたものがございます。  私どもは例えばイギリスとかアメリカとかというところはだいたい視覚障害者の1% 乃至2%ぐらいというふうな実態の数字もございますので、それでいきますとやはりそ れに近い数字になるのかなというふうに考えております。  いずれにしましてもこれはあくまでそういった数字でございますので、要望をこれか ら都道府県の方としても捉えていただいて、できるだけ盲導犬を増やす方向で努力をし ていきたいというふうに考えております。 板山座長  よろしいですか。 松尾委員  お願いですけれども、各県によって格差があるということで、本当にニーズによって 格差があるならいいですけれども、財政上によって格差があるというのが他の面ではか なり現れてきているのですね。この面でも十分配慮していただかないといかんのではな いかと。ぜひ、配慮していだたきたいと思っています。本当に障害者が必要であれば採 択していただくように、財政上によってカットされると。そういう面が多分に他の面で も現れてきているから、ぜひ、お願いしたいと。  バリア関係については通知を出しているからいいというふうにおっしゃっているけれ ども、現実はやはりレストランには「盲導犬、お断り」なんて表示書いてあるのですね 。 そこら辺をやはり実態調査をしてそういうことのないように、せっかく使って連れてい っても駄目だということになると非常に困るから、そこら辺は私は大変心配するのです ね。現実、そういう声がかなりありますので、そこら辺は通知を出したからいいという のではなくて、実態が本当に使えるようなバリアのないようにしていただきたいと。こ れは今、申し上げたのはご要望ですけれども、よろしくひとつお願いいたします。 板山座長  松尾さんからの要望を含めて当局でまた検討してみてください。介助犬の問題につい てもそういった問題は当然に考えられる課題でありますから、引き続きご一緒にご議論 をいただきたいと思いますが。  盲導犬はどうでしょうか。何かそのぐらいのご質問でよろしゅうございますか。どう ぞ。こちらが先だから、谷口さん、どうぞ。 谷口委員  すみません。谷口です。参考資料3の盲導犬育成事業の2の対象者のところなのです が、ここで就労と社会活動への参加に効果があるという項目があるのですが、ここの就 労と社会活動というのがだいたい今、現実的にどれぐらいの範囲をさしておられるのか 。 現状として介助犬の場合は生活というところに非常に重きがあると思うのですが、盲導 犬の場合には生活ということに関する項目と、この社会活動というのがどれぐらい一応 、重なっているものかというようなことをちょっとお聞きしたいと思います。 板山座長  答えられますか。 社会参加推進室長  具体的には就労というところに結びつくような盲導犬の貸与というのはどれぐらいあ るかというのはちょっと私ども資料はございませんのでわかりませんが、ここはあくま で就労等というのは例示でございまして、広く社会活動に参加できるということを設定 に盲導犬を貸与していただくというのが我々の基本的な考え方でございます。 板山座長  関連ですか。はい。どうぞ。 河西委員  今、就労という話がありましたが、盲導犬協会の規定の中にはその他必要な者、必要 と認める者という中ではじめの頃、盲導犬をやはり貸与する場合にはそういう条件があ ったのですが、それだけではやはりまずいというので、その他盲導犬を必要と認める者 ということで、例えば主婦の方が買い物に行くとか、やはりいろいろな活動をすると。 そういうときにはそのことで逃げるというか、道を作っておきました。参考までに。 板山座長  ありがとうございました。それでは高柳さん、どうぞ。 高柳(友)委員  これは現場サイドでのお話をぜひお伺いしたいと思っているのですが、実際にこの社 会福祉事業法の改正で現場ではどのような変化が起こりそう、あるいは起きると期待さ れているかというのをちょっとお伺いしたいと思います。 板山座長  河西さん、できますか。 河西委員  はい。具体的には今、社会福祉事業法、社会福祉法が変わって免税の問題、これは特 定公益法人と平成5年に盲導犬がなっていますが、これは2年に1回、審査があるので すが、社会福祉法人になればそのことはそのまま可能性がありますし、さきほども部長 さんの方からの話の中でもやはり盲導犬についての社会的なというか、国の位置づけと いうのがあるわけですから、その中で現場でもそのことに自信を持つというか、現場の 訓練の者がそういう意味で生き甲斐を持ってやれるという部分はあると思いますね。や はり施設を作るとか、そういうときのやはり公的補助というようなこともありますね。  ただ、将来的には今、まだ、予算的な問題というのは十分にクリアしておりませんの で、そういったことや、さきほどの盲導犬のバリアフリーというような部分もあるので すが、でも、この法律によってやはりこういう法律ができたことは国が行う事業の中に もあるわけですから、国も含め、また、都道府県も含めて盲導犬に対する一般社会の理 解というのをずっと力を入れていただけるだろうと。もちろん関連の運輸省であるとか 、環境庁であるとか、いろいろなところもそういった部分での援助、盲導犬に対する受 け入れについての公表と、またはPRについても期待をしているところです。以上です 。 板山座長  よろしいですか。何か事務局、補足はありますか。 社会参加推進室長  特にございません。 板山座長  盲導犬について特に何かご質問ございますか。よろしいですか。  これからまた介助犬と盲導犬との関連でときどき元に戻ってのご質問なり、ご意見な りを頂戴することは可能だと思いますので、今日は全体を一覧していただくという意味 で、次に介助犬の問題についてさきほどご挨拶のときに介助犬の基礎的調査研究をやっ ておられたという高柳委員のお話がありましたが、資料に基づいて少し基礎的調査研究 の中間報告のお話をいだたきたいと思いますが、まず、事務局の方から。 社会参加推進室長  その前にちょっと現状を。それでは資料4の介助犬についてという資料がございます 。 これの説明をさせていただきます。介助犬につきましてはなかなか情報が得にくいとい う面もございまして、この資料は一部の介助犬の育成団体、あるいは日本介助犬アカデ ミーの方、あるいは一部、新聞等から得られた情報を集約した面がございまして、若干 、実態と食い違う面もあるかもしれませんが、ちょっとそんなことでご容赦いただきな がらお聞きいただきたいと思います。  介助犬とは何かというところをまず一番最初に整理してございます。介助犬とは何か ということにつきまして、定義がまだあまりはっきりしていませんのでなかなか正確に 申し上げられませんけれども、一般的に言われておりますのは介助犬とはここに書いて ございますように「主に肢体不自由者を助け、又は機能を代行するように訓練された 犬」。機能を代行するというのは身体機能の一部を代行して生活介助をするというふう な意味合いに取っていただければいいと思いますが、そういったように訓練された犬と いうことでございます。  介助犬が行う介助の内容を具体的に挙げますと、例えば軽微の機能の補完をするとい うふうな機能として落としたものを拾うとか、あるいは新聞、カバン、携帯電話といっ たようなものを運ぶというふうな機能がございます。さらにはドアの開け閉めであると か、エレベーターのボタンを押すとか、あるいは電灯のヒモを引っ張って明かりをつけ るとか、そういったような機能もございます。  また、生活環境の中で移動等の支援をするというふうな機能として、杖歩行をする人 が立ち上がるときに支えになるというふうなこと、あるいは階段の昇り降りのときに肢 体不自由者を支えるというふうな機能。あと、車椅子を引く、あるいは段差、足場の悪 いところで車椅子を操作を介助するとか、こういったような機能があるかと思います。 また、衣服を口でくわえて脱衣の手助けをするというふうな機能があるというふうに言 われております。  犬に可能な単純なそういった動作をさらに補助具を用いたり、あるいは組み合わせる ことによってもう少し進んだ日常生活動作の介助ができるというふうにも言われており ます。この他に精神面の安定、あるいは自立意識の助長といったような面でも介助犬は 効果があるというふうにも言われております。  次に介助犬の歴史と諸外国の状況ということでございますが、これはアメリカでは197 0年代に介助犬の育成団体が発足したと言われております。以後、イギリス、カナダ等々 の国で普及をしてきている状況でございます。ただし、平成10年の厚生科学研究の介助 犬の基礎的調査研究によりますと、アメリカとかイギリス等の比較的介助犬が普及した 国々にあっても、介助犬の公的な登録制度、あるいは公的基準は整備されていないとい うことでございます。したがって、それぞれの国の介助犬の育成団体の数であるとか、 あるいは介助犬の実働数など、正確な実態が把握されていないというのが現状のようで ございます。 介助犬に関する法律も現段階ではほとんど整備されていないということ でございまして、障害者が介助犬を連れて公共輸送機関や施設を利用する場合に、その 受け入れを拒むことを具体的に禁じているのはアメリカのADA法という法律だけであ るというふうに報告をされております。ADA法のそこに条文を参考までに掲げており ます。  その下に諸外国における介助犬の状況ということで、これも厚生科学研究の方の研究 の報告からちょっと抜粋をしたものでございますが、アメリカ以下、5か国の状況を例 として挙げてございます。育成団体数、実働数というのが挙げてございまして、アメリ カが数千頭、イギリスが千頭以上というふうに言われております。公的制度の有無、こ れはほとんどないと。公的資金援助の有無、これもなしということでございます。法律 関係ではさきほどのアメリカで言うADA法があるだけで、あとはないというのが現状 のようでございます。  ただ、イギリスでは現在、障害者差別禁止法の中で介助犬使用者の権利を保護するこ とを検討しているということも聞いております。あと、公共施設等の受け入れ、これは すべてあるというふうなことでございます。  3点目に国内における介助犬の状況でございます。これは日本では1990年、平成2年 の9月に「パートナードッグを育てる会」というものが育成団体が設立されまして、こ の「パートナードッグを育てる会」で平成7年の4月に介助犬「グレーデル」という犬 を養成しておりまして、これが最初の介助犬ではないかというふうに言われております 。 この「グレーデル」という犬は東京都に住んでおられる筋ジスの男性が使っておられる というふうに聞いております。  その後、いくつかの育成団体が設立されまして、現在、日本国内では10頭から10数頭 ぐらいの介助犬が育成されているというように聞いております。国内における介助犬の 育成団体でございますが、平成10年度の調査によりますと、その時点では8団体という ふうに聞いておりまして、その次の頁、3頁にその8団体が一応、掲げてございます。 ただ、その後、いろいろ団体間で整理がされたり、数が増えているという話もちょっと 聞いておりますが、現時点では把握しているものはこの8つということでございます。  あと、介助犬の訓練士というふうに書いてございますが、介助犬の育成はどういうふ うに行われているかと言いますと、介助犬の訓練士というものは公的資格、あるいは認 定基準はもちろん今、現在はないわけでございます。具体的にどういった形で育成され ているかということでございますが、介助犬の訓練士は現在、いろいろな欧米で出され ております訓練に関するビデオ等も参考に介助犬となる犬を訓練しているというケース の他に、例えば警察犬の訓練士であるとか、あるいは家庭犬のトレーナーであるとか、 欧米で短期間研修を受けてきた方々等々、そういった方々が育成にあたっておられる ケースもございまして、犬の訓練に関する知識、経験も様々であるというのが実態のよ うでございます。  5番目の介助犬の訓練の概要でございます。これは介助犬の育成の流れ。これはあく までも大まかな目安でございますが、1か月から2か月ぐらいの子犬を購入しまして、 4か月目から5か月目ぐらいのところで基本訓練を訓練士によって行うと。6か月から 7か月ぐらいのところで個々の障害者の必要度に応じた専門訓練を訓練士によって行う ということでございます。8か月目ぐらいから今度は応用訓練として訓練士と障害者が 参加をして共同訓練を行うと。1歳半ぐらいのところまでそういう訓練がありまして、 介助犬としての育成が終わると。それから実際、介助犬として使用が始まるということ でございます。だいたい7年間程度と書いてありますが、だいたいこんなぐらいの期間 、介助犬として利用できるということのようでございます。  あと、6番目は介助犬に関する研究ということで、さきほど申し上げておりますよう に介助犬に関しては平成10年度から厚生科学研究によりまして調査研究を実施していた だいておりまして、その内容につきましては4頁のところに概略が書いてございますが 、これにつきましてはのちほどこの研究の班長をされております高柳委員の方から概略 のご説明をお願いしておりますので、内容は省かせていただきます。  あと、介助犬の受け入れ状況ということで、4頁以降、整理してございます。現在、 一部の地方自治体、あるいは民間企業において介助犬の受け入れの試みがなされており ます。主な自治体はここに挙げてありますように京都府、兵庫県、宝塚市、京都市とい ったようなところが主な自治体でございます。京都府につきましては11年の4月からだ いたい170ぐらいの府立施設で介助犬の同伴をして利用することを許可をしております。 具体的には「介助犬登録カード」というものを交付いたしまして、それを提示すること によって公的な施設を利用させるというふうなことをされております。  兵庫県は11年の9月に兵庫県知事が「介助犬の公的認知に最大限の努力」ということ で約束をされまして、「介助犬の公的施設等の同伴利用に関する検討委員会」というも のを県の中に設置されまして、11年12月に検討委員会の報告書を出されております。  同じ兵庫県の宝塚市でございますが、ここはかなり進んでおりまして、11年の6月に 市議会で介助犬の公的な認定基準を制定することということを表明をされておりまして 、介助犬の定義を定め、また、公的な施設での受け入れを促進をするということで動い ておられます。これにつきまして平成11年の10月に介助犬に関する基準を制定され、な おかつこれにつきまして日本介助犬アカデミーがまとめられた全体的な定義、認定基準 等がございますが、これを参考に宝塚市の方で基準を制定されているというふうに伺っ ております。  京都市においても市立施設での介助犬の同伴を平成12年の2月から認めているという 状況でございます。  5頁でございます。5頁はダイエーでございます。今日、高嶋委員にご出席いただい ておりますけれども、ダイエーにおきましても平成11年5月から全国の360 店舗で介助 犬同伴での入店を認める方針を発表されまして、具体的には現在、11年7月現在、ダイ エーグループ全国8,271 店舗で介助犬の入店を認めているということを伺っております 。  阪急百貨店におきましても平成11年9月から全国9店で介助犬の受け入れを開始して いるというふうに伺っております。  あと、公共輸送機関でございますが、航空会社につきましては基本的には盲導犬と同 様の扱いをするということでございますが、最初に乗るときは個別に試験搭乗を行って 判断して認めていくという方向と伺っております。  あと、JR各社もこれは初めての場合は事前に面接審査をして試験乗車を経た上で個 別に登録をして乗車を認めるという方向で対応しておられるというふうに伺っておりま す。 あと、介助犬に関連して地方議会でいろいろと取り上げられている県市も増えて きておるようでございまして、愛知県とか、あるいは島根県とか、山形県とか、山口県 とか、いくつかの自治体でそういったような取り上げをされてきているというふうに伺 っております。以上、概略、介助犬についてのご説明を終わらせていただきます。 板山座長  はい。ご苦労さまでした。ただ、今、介助犬の現状、若干の国際的な比較なども含め て説明がありましたが、高柳委員の説明に入ります前にご質問等ありますれば、ちょっ とお出しいただきましょう。はい、どうぞ。 高柳(友)委員  質問ではなくてちょっとコメントなのですけれども、3頁の介助犬の訓練の概要なの ですけれども、今、室長のお話があったとおり、まだ盲導犬のように介助犬の育成はか なりシステム化がされていない部分がありまして、こういった流れでされている団体も あるかもしれませんが、現実問題としては流れとしてはやはり盲導犬に、同じ犬ですか ら1歳程度になって漸く適性評価ができるというのがおそらく欧米でも一般的だと思わ れます。なので、こういった形でするところもありますし、1歳程度までの間、パピー ウォーカーの制度もまだありませので、1歳程度の犬を何らかの形で導入をして適性評 価をして訓練を始めて2歳程度から働きだす犬が多いというのが現状だということをち ょっと付け加えさせていただきます。 板山座長  はい。ありがとうございました。その他、どうぞ。 松尾委員  受け入れの現状というところで自治体の話が出たのですけれども、これは全体で10頭 ということですので京都とか兵庫とか宝塚とか何頭ぐらい実際、稼働しているかという のがひとつと、兵庫県で検討委員会報告書を提出とありますけれども、その中身は概略 でいいですからどういうことなのか。積極的にやれというのか、問題点がかなりあると いうふうな問題なのか。ただ、報告書が出たというだけではなくて中身をちょっと言っ ていただいた方がある程度、わかると思いますけれども。 板山座長  はい。どうぞ。 社会参加推進室長  個々の自治体の受け入れの状況でございますが、確かに10頭程度しかおりませんので 、本当、指折り数えるぐらいの犬しか各県、おられないのではないかと思います。1頭 あるいは2頭とか、そういう程度の犬のまだ数のレベルだと思います。  兵庫県の報告書の関係、ちょっと時間をいただければと思います。具体的には受け入 れのための基準と言いますか、そういった手続きと言いますか、そういったものを具体 的にある程度、定めたものだと思います。ちょっとお時間いただければと思います。の ちほどまた。 高柳(友)委員  日本介助犬アカデミーの方で兵庫県の検討委員会に参加させていただきましたので、 わかる範囲でお答えさせていただきます。  まず、基本的には受け入れるという方向で、前向きな姿勢です。ただ、何を以て介助 犬とするかということを明確に定めないと危険性もあるということから、今、その定義 、基準、登録の仕方に関してまとめている段階で、この報告書の段階では登録カードを 兵庫県として発行し、その基準はほぼ宝塚市に準じたものという形で報告書を提出され ておりますが、実際の登録カードの使用方法とか、携帯に関してもう一度、今、見直し をなさっているところです。  それから頭数ですね。実際の使用者の数、実働数なのですけれども、これも何を以て 介助犬とするかによってかなりばらつきが出てくると思われます。ただ、一応、育成団 体が訓練をし、肢体不自由者が社会参加を介助犬とともにしているということの定義に 則ってみると、我々が把握している限りでは京都府に6頭、兵庫県宝塚市に1頭、東京 都に3頭、4頭ですね。ちょっと実働の実態、わからないものもある程度含めますと今 、現状では13から15頭ぐらいではないかというふうに把握しております。 板山座長  大変明快なご説明をいただきました。よろしゅうございますか。 松尾委員  はい。 板山座長  はい。高柳さん、ちょっとついでに例えば京都や兵庫県で、あるいは宝塚でこういっ た検討会を設置して検討に取り組んだ動機と言いましょうか、きっかけなんかちょっと わかったら教えてください。 高柳(友)委員  やはりそれぞれ京都府、兵庫県、宝塚市、京都市、それぞれが何らかの形で国に対し て要望とか、意見書を出しています。けれども、なかなかそれは難しいだろうというこ とで、やはり障害者の社会参加を自治体レベルでできる支援は何かということから始ま ったことです。 板山座長  ありがとうございました。 谷口委員  よろしいでしょうか。 板山座長  どうぞ。 谷口委員  私、京都から来ておりまして今の京都市、あるいは京都府の現状というのをちょっと お話し申し上げたいと思っております。  今、6頭というお話がありましたが、京都市というのは今、非常にこの介助犬という ところで盛り上がっておりまして、大きくは2つの団体がございます。ひとつの団体が 元警察犬の指導員の方が中心になってやっておりまして、その2つの団体が非常に競り 合っていると言いますか、切磋琢磨していると言いますか、いい意味で切磋琢磨、悪い 意味で言うと非常に激烈な争いをしておりましてね。それでこういう効果になってきて いるのだと思います。それをちょっと付け加えておきたいなと思います。 板山座長  いずれ議論の中でまたそういった実態のご紹介もいただきたいし、あるいはダイエー さんとかあたりの受け入れの条件等をお話をいただきたいと思いますが、どうぞ。 前田委員  ちょっと質問なのですけれども、今、何を以て介助犬とするかというような話もあり ましたが、ちょっとわからないのですが、いわゆる聴導犬というのですか、聴覚の障害 のある方が家庭生活の中でお使いになる聴導犬という、これも定義がはっきりしている のかどうかよくわからないのですが、聴導犬というのは介助犬に含まれるものなのでし ょうか。それともまた別の分類というか、これからそういった定義をするということで あればこれからなのかもしれませんけれども、ちょっとその辺を教えていただければと 思います。 板山座長  事務局の方、どうぞ。 企画課長  一般に介助犬という範囲をどう捉えるかというのはまだはっきりした基準なり、考え というのはないということでございます。広く考える方はもう盲導犬も聴導犬も含めて 介助犬と広く捉えて一緒に議論した方がいいではないかというご意見の方もおられます 。  ただ、この検討会は資料4にも介助犬とはということでご紹介してありますように、 主に肢体不自由者ということで進めさせていただけたらと思います。と申しますのは、 介助犬につきましてはこれまでいろいろご説明とか、あるいはご意見なり出てまいりま したように、全国的にいろいろな動きも出てきたり、実際にいろいろな取り組みされて いる方もだんだんと増えてまいりまして、やはり国としても今の時点で何かしなければ いけないという、そういう状況にあると認識しております。  他方、聴導犬については介助犬よりさらに頭数も非常に少なくてそれに取り組んでお られる方も非常に限られていると承知しておりますので、そういう意味ではまず介助犬 の方について議論を整理させていただけたらと思っております。  しかしながら、この検討会のどこかの時点で聴導犬についてもその実態なりをご紹介 させていただいて、それについてまた委員の皆様から意見をお伺いするような機会は、 それはそれで設けたいと思っております。  ただ、いずれにいたしましても、まずは肢体不自由者を対象とするような介助犬につ きましてこの検討会としての考え方というのを整理してまとめていただけたらと事務局 としては考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 板山座長  今、課長からお話がありましたように介助犬、広く捉えると盲導犬や聴導犬まで含め て議論する、そういう考え方もあるけれども、この検討委員会ではとりあえず肢体不自 由者を対象とする介助犬、そういうものに限って限定をして議論をしていただきたいと 。 なお、適当な時期に聴導犬についても参考資料を差し上げてご議論をいただく場も設け られるかもしれない。そんなことでよろしゅうございましょうか。前田さん。 前田委員  はい。ありがとうございました。 板山座長  はい。それではこの辺でちょうど介助犬全体の動きはお聞き取りをいただきましたの で、さきほど来、お話が出ております厚生科学研究で検討をしていただきました高柳委 員から資料に基づいてひとつご説明を少しいただきましょうか。よろしくお願いします 。 高柳(哲)委員  高柳でございます。今日は初めての会でございますのでちょっとビデオを、簡単な6 分ばかりのビデオですけれども、皆様にちょっと介助犬とはどんなものを私どもが考え て捉えているかということをちょっとビデオで見ていただいて、6分ばかりちょっとご 辛抱いただきたいと思います。お願いします。 (ビデオ放映により中断・11時12分) (ビデオ放映終了により再開・11時18分) 高柳(哲)委員  どうもありがとうございました。それでは私ども、平成10年度からこの介助犬の基礎 的調査研究班として活動してまいりましたので、今までの研究をまとめて報告をさせて いただきます。  この研究班にはそこのプリントにもございますようにいろいろな層の方にお集まりい ただいて研究班を組みまして、獣医師の方、医師、特にリハビリテーションの先生、 コーメディカルのOTとかPT、理学療法士とか作業療法士の方、あといろいろ法的な 問題がありますので法律家、さきほどから盲導犬の問題が出ていますけれども、そうい う点で視覚障害のことをやっておられる眼科の先生とか、いろいろな方に加わっていた だいて多角的にこの介助犬について検討を今まで重ねてまいりました。  そこに出ておりますプリントの分は今年、平成11年度のまとめでございますが、そこ をご覧いただきますと私どもがどんなことをしてきたかということがおわかりになると 思いますけれども、今回は主として介助犬の有効性というようなことを中心にお話しよ うということでございますので、それを主体にちょっとお話をさせていただきます。  これまでいろいろな観点から介助犬の使用者、あるいは育成団体、育成組織、それに 関わるいろいろ社会的な事情とか、いろいろな観点からしてまいりましたのですけれど も、その結果、やはり介助犬というのは今、ご覧いただきましたように身体障害者にと って、特に肢体不自由者にとってはかなり有効な場合が多々あるのではないかと。それ の実際に適用の障害の範囲を確立することも問題でありますし、どんな疾患の場合、ど うな障害の場合、どんな育成をしたらいいのか。犬にはどういう条件が求められるのか 。 どういう犬の飼い方をすべきなのか。育成をどうすべきなのか、などのいろいろな観点 がありますし、さきほどから問題になっておりますように介助犬というのはどこまでが 介助犬なのか。その定義、基準はどうすべきか。介助犬と類似の問題でアニマルセラ ピー、動物介在療法というもの、あるいは動物介在活動ということがありまして、どこ までが介在活動、介在療法であって、どこからが介助犬の活動なのかという、その基準 づくりということがやはり介助犬の範囲を確定する大変大事な問題でありまして、それ がかなり重複したり、混同されたりするものですから、かなり介助犬の数が多くなった り、厳しく取りますとかなり減ったりということが起こっているわけでございます。そ の辺の問題も大変大事な問題だというふうに捉えております。  昨年、そういうことで介助犬というのはいろいろな問題があるものですから、介助犬 について私どもの研究班に3つの分科会を作りまして、第1は人・障害、第2は社会、 第3は犬としまして、研究班の班員を3つの活動に分けてそれぞれの結果を出して検討 していただきました。  その結果が介助犬の定義、あるいは基準を作ることにつながっていきまして、一応、 研究班としてはさきほどからご紹介ありますような介助犬の定義はどうすべきか、そし て基準はどういうふうにすべきかというようなことがだんだん定まってまいりまして、 介助犬の公衆衛生基準、介助犬の訓練基準、あるいは介助犬の使用者の適正基準といっ たものを制定しまして、平成11年度にそれをまとめたわけでございます。  今回、特に介助犬の有効性を主体にということでありますので、有効性を主体に述べ ることにいたします。海外にも介助犬はたくさん活動しておりますし、国内でもだんだ んと介助犬の使用者が増えてきておりますけれども、それぞれにお使いになる方はそれ ぞれの介助犬の基準でもってお使いになっておりますから、私どもが見たり聞いたりし ていて、それが果して介助犬なのかなということも多々あるわけでございます。  はじめに4頁の真野先生と土田先生から出てきました介助犬の適応障害と介助犬使用 者の医療情報項目に関する考察、これからちょっと先に説明させていただきます。  この先生方はリハビリテーションの専門家でありまして、北海道大学で活躍されてい る先生です。研究班が始まりましてから実際に現場まで足を運んでいただきまして、肢 体不自由な方を実際、診察をして、どんな疾患であるのか、どんな障害があるのか、介 助犬はどんな状態で使われているかということをつぶさに報告をしていただきました。  そこにあります多発性硬化症1例というのは、これは実はこの研究班が活動している 途中で以前からこちらへ米国から来てくれまして、本人も介助犬使用者なのですけれど も、飛行機に乗って介助犬を連れて介助犬の啓蒙運動にわざわざ日本まで来てくださる 女性なのですけれども、その方は多発性硬化症です。  もうひとつ、この研究班が作られましてから私ども、やはり研究班としても介助犬を 育てるということを試みなければいけないのではないかと。そうでないと実際に介助犬 の評価について前向き調査ができないとの考えで、日本の中の代表的な介助犬育成組織 であります介助犬協会に依頼をいたしまして育てている犬がありまして、それが実は今 年の4月29日にやっと訓練ができまして認定式をしたところでございますけれども、そ れが最後の頚髄損傷1例という症例でございます。ですから、頚髄損傷が2例。さきほ どビデオに見ていただいた木村さんは一番はじめに書いてあります頚髄損傷1例に当た るわけです。 板山座長  先生、ちょっと頁をおっしゃっていただくとわかりますですが。 高柳(哲)委員  すみません。4頁です。ですから、頚髄損傷が2例と筋ジストロフィーが2例、多発 性硬化症1例で、その結果についてまとめられたものを申し上げています。  あまり逐一説明する時間がございませんのでまとめて申し上げます。終わりの方の8 頁に介助犬が肢体不自由者の能力低下に対して、機能低下に対してどのような介助をし ているかということのまとめがございます。  今、さっきビデオで見ていただきましたように介助犬はいろいろな働きをするわけで すけれども、それをまとめたものがそこにありまして、要するに介助犬の介助能力は能 力低下に対して寄与するものであって、その中の左に番号が1、2、3、4、5、6、 7、8、9番までついております。右側に衣類、靴下の着脱介助とか、靴の着脱介助と いうのが個人ケアの能力低下、移動の能力低下という歩行とか、移動動作、それの移乗 、それの介助をするとかというような4番目、5番目の落下物の拾い上げというような 身体配置の能力低下、あるいは姿勢保持の能力低下という寝返りを助けたり、あるいは 足の位置を変えるとか、手の位置を変えるとかというようなそういった肢位の移動。そ れが5番目にまとめられているものですけれども、これはリハビリテーション医学の観 点からこういうふうに能力低下をまとめたものです。この基準も最近は、その基準がま た変わるということで、その際には整理し直さないといけないことになります。  今まで私どもが調べました介助犬の有効性の中の項目としてはこういうことが挙げら れまして、最後の6番目、器用さの能力低下。さきほどシンシアがフロッピーを拾い上 げていましたけれども、あれもかなり器用さが働いていまして、はじめはフロッピーを 取り上げるときにフロッピーを噛みちぎって潰したのですが、だんだん繰り返している うちに器用に取り上げられるようになりまして、器用さの能力低下を補うことができる ことになります。落下物の拾い上げも実際は介助犬の器用さが働いているわけで、他に もドアの開閉、物の出し入れ、毛布のかけ直し、荷物の運搬、こういったことが介助犬 の効果として認められております。  その次の頁を開いていただきますと9頁に介助犬が実際、どんな障害を持った患者さ んに活動しているかということのまとめでありまして、さきほどから申し上げておりま す脊髄損傷というのが3番目にございますけれども、これはかなり外国でも国内でもそ うなのですけれども、脊髄損傷の人に対してはかなり介助犬の適応が広いと私どもは考 えております。  その他、脳血管障害、頭部外傷、その他の脊椎疾患とか、変性疾患というのはパーキ ンソン病であったり、あるいは脊髄小脳変性症であったり、筋萎縮性側索硬化症、AL Sであったり、あるいはOPCAというのは脊髄小脳変性症のひとつですけれども、6 項目にありますさきほど申し上げましたスーザンさんなどは多発性硬化症ですが、これ も欧米ではかなりの頭数が多発性硬化症の患者さんの介助に当たっております。あと、 まだ多くのいろいろな疾患が報告されておりまして、末梢神経疾患とか、筋疾患とか、 筋疾患には筋ジストロフィーが多いわけで、こういった疾患にかなりな症例がみられて います。  この介助犬使用者の医療情報収集が、今まで私どもが調べました中で実際に重要であ って、介助犬使用者適正基準として取り上げなければいけない要素がたくさんこの中に 含まれているわけです。従来、この介助犬を使用されている方はあまり医療の恩恵に浴 されていない方が実際には多かった。さきほどビデオを見ていただいた木村さんは非常 にこの辺をよく利用された方だと思います。しかし、多くの方はあまり医療情報が十分 ではないことがしばしばです。  真野先生たちがこの報告を書かれたときには、やはり介助犬使用者が、何を求めて介 助犬を使用しようとしているかということをよく聞くことが介助犬使用者の要求に応え る大変重要な点であるということを強調しておられます。病歴がどうであるか。理学所 見としては全身の状態がどうであるか。3の小さい2の意識・精神状態というのも大変 大事なことでありまして、どの程度、使用者が介助犬をよく把握して、どんな知能レベ ルであるか。高次脳機能はどうなのかというようなことがまだまだ欠けている面である ということを強調しておられます。  あと、神経学的所見、自律機能とか、こういったことをよくみるということ。その6 番目にADL、APDLということがありますけれども、ADLというのは日常生活動 作で、私どもが日常、どうしても生活する上で必要な動作、それがどの程度、介助犬使 用者にはできるのか。現在できて、今後、介助犬に対してどういうことを要求されるの かという意味でそれをしていく必要がありますし、APDLというのは日常生活関連動 作で、外出のときの交通がどうであるとか、あるいは実際に調理をするとか、入浴をす るとか、そういったことがどの程度かというようなこともよく所見として取っておくこ とは大事であるというふうにまとめております。  介助犬を育成するトレーナーにこのような情報が、今までの調査ではまだ十分ではな いものですから、十分、トレーナーに伝わっていない点がありまして、今後、トレーナ ーを養成する上でこの1から6にありますような情報を十分提供することが必要です。 またトレーナーもこの情報を十分、活用できるようにトレーナーに教育をしなければい けないことになります。  有効性に関しましては、その他にさきほどからお話がありましたように、介助犬の有 効性とは、実際にこのような作業をする能力が向上するということでして、さきほども ちょっとお話が出ていましたけれども、木村さんの例でも、木村さんは介助犬を使用し ておられなかったときには転倒したらそのまま倒れたままで晩に奥さんが帰ってこられ るまでそのままだったということです。介助犬によって携帯電話を取ってきてくれるこ とが可能となり、奥さんに電話をかけて奥さんを呼び戻すことができるようになったよ うに緊急時の連絡手段が確保可能になったことと、またそれができるようになったため に不安が解消したことも非常に大きな効果であると、私どもは評価しております。 介 助犬を使うことによって介助犬の主人としての自覚から、肢体不自由者の自尊心とか、 自制力が向上するという点もみられます。介助犬を使用することによって社会に進出す るようになりますから社会性の向上もみられています。これをいわゆる社会的潤滑油効 果と称しております。一方、介護をする人にとっても介助犬を使用することによって、 障害者を一人で置いておいても外出するのに不安がないこと。介護者の不安とか負担を 軽減することができるというふうな効果を認めております。精神的負担が軽減するとい うことであります。  ちょっと前の方に戻っていただきまして、いろいろな観点から検討いたしまして、昨 年はその3つの分科会で公衆衛生基準、介助犬訓練基準、介助犬使用者適正基準をまと めましたので、また、これはまた後日、ご説明する機会があろうかと思いますけれども 、そういうことでどの程度の範囲のものを介助犬として定義づけて基準はどうすべきか ということで、日本介助犬アカデミーとタイアップしていろいろな活動もしているもの ですから、日本介助犬アカデミーの方でこの定義と基準というものを実は今年の4月9 日に介助犬の定義と基準とをプレス発表いたしまして、日本介助犬アカデミーとして介 助犬として認める証明を出そうということになりまして、いろいろな訓練基準をかなり 厳しくしました。さきほどの木村さんがその初めての証明をとられまして、追々そのよ うな介助犬を出そうとしておりまして、この研究班の活動がそういったところで一部、 実っているわけでございます。  まだまだ介助犬についてはいろいろたくさんの問題がありまして、またこれからさら に実際の使用者がどの程度おいでになるか。一人で介助犬として称して飼っておられて 、これが介助犬だと言っておられる方もたくさんあるのですけれども、どこまでを認め たらいいのか、その辺もまださらに調査を続けますし、育成組織についても今年は社会 的な需要という観点から、育成の観点から実は先日、ワークショップをいたしまして、 ここにご出席のダイエーさんにも出てきていただいたのですけれども、ホテルの方にも 一部来ていただきまして、社会的な問題も検討しなければいけないので、その検討に関 わっておりまして、それをさらに拡大したいと思っておりますし、育成組織がたくさん ありまして、組織と言いますか、個人でやっておられる方もたくさんあるのですけれど も、そういう方といろいろ意見調整をいたしまして何とか育成をまとめたいというふう に思って、この研究班も活動を開始しております。  いろいろな活動の上でこれまで介助犬についてはいろいろな問題が起こってきている ことが明らかになってきておりまして、その一部をちょっとお伝えいたしますと、そこ にも書いてございますように、3頁のところに考察のところで「ラブラドール種には股 関節脱臼、網膜萎縮などの遺伝性疾患が頻発しており」とありますように、実はこのラ ブラドールの股関節脱臼は欧米でもかなりの問題になっているようでして、実際、我が 国でのラブラドール種にどの程度、股関節脱臼があるかということはまだ十分な把握が できておりませんけれども、かなりな高率で股関節の問題があるようで、これは今後、 ラブラドール種を育成していく上では大変重大な問題になっておりまして、一部の欧米 の国ではこのラブラドール種の種の管理を十分していて、股関節脱臼の発生を防ぐこと に尽力をされていると伺っています。我が国では全くこの点が野放しでございますので 、極めて効率の悪い介助犬の育成をしているというような状態、あるいは介助犬といか なくても動物活動しておられる方のラブラドール種の管理が大変不行き届きであるとい うことが強調されるわけでして、今後、そういった点も遺伝学的な観点からも検討を進 めていきたいというふうに思っておりますし、網膜萎縮についても同様でございます。 今後さらにこういった活動を展開していきたいと思います。  詳しいことはまた後日、いろいろと詳しく申し上げたいと思います。今日はさきほど 日本介助犬アカデミーから作りましたパンフレットが配られていると思いますので、そ の説明をちょっと日本介助犬アカデミーから説明をさせていただいてよろしゅうござい ますか。 板山座長  どうぞ。 高柳(友)委員  ではちょっと説明させていただきます。私どもでは育成はしておりませんで、今の現 状に鑑みて介助犬に必要な情報、育成に必要な情報、介助犬使用者の受け入れに必要な 情報をまとめるという活動をしております。 板山座長  高柳さん、その前に日本介助犬アカデミーとはどんな団体なのかをちょっと説明して ください。 高柳(友)委員  すみません。「日本介助犬アカデミーって何」と一番後ろの頁にありますが、これは 実は子ども向けなものですから一番わかりやすいとは思うのですが、かなり絵ばかりに なっておりますのは子ども向けだということをご承知いただきますようお願いいたしま す。  日本介助犬アカデミーは96年の12月に発足をいたしました一応、学術団体と称してお ります。私、あるいは研究班のほぼ大多数のメンバーが役員をしておりまして、介助犬 に関するさきほどから問題になっておりますような検討課題に関して公衆衛生学的に、 あるいは獣医学的に、あるいはリハビリテーション医学的な観点から情報を集め提供す る団体でございます。  このパンフレットは子どもさんが介助犬と出会ったときに正しく介助犬と接してくだ さるようにという目的で作ったものです。一般向けのものは今、ちょうど印刷ができあ がるところですので、また、この検討会でお配りできる機会があればというふうに思っ ております。ありがとうございました。 板山座長  ありがとうございました。今日、初めてこの調査結果のご説明をいただきましたから なかなかおわかりにくい面があるかとも思いますが、ただいまの説明につきまして、あ るいは室長から介助犬の全体的な経過、現状等の説明もありましたが、併せて若干の時 間、ご質問をいただくことにいたしましょうか。どうぞ。 初山委員  これは希望と教えていただきたいことがあります。1点は、盲導犬の訓練は、英語で 指導されている様ですが、今回は、肢体不自由を中心ということですけれども、肢体不 自由の中でも高齢者はこれから増えてくると思うのですね。できれば、介助犬を訓練す るのであれば日本語で指導していただけるようなシステムはできないか。これが1点ご ざいます。  もう1点は、さきほど10年経つと盲導犬が使えなくなるということで、これはテレビ で見せていただきましたが、訓練施設にもう一度、引き取るというようなお話がありま したけれども、介助犬の場合はもっと重労働ですから、非常に早く高齢化になると思う ので、その後の保護なり、補助のシステムを報告書に入れていただきたいと。その2点 がございます。よろしくお願いします。 板山座長  今のご意見、2つとも、訓練を日本語でと。あるいは年限経過後におけるアフターケ ア、フォローをどのようにするか。これはこの検討委員会の検討の中で皆さん方のまた ご意見を頂戴をして報告書のまとめの段階において、大変大事な問題だと思いますので 、ぜひ、記録に留めておいていただきたいと思いますが。  さきほどの調査研究についての質問、報告についての質問等、何かございませんでし ょうか。どうぞ。 松尾委員  報告書の中でお訊ねなのですけれども、これは私ども当事者団体としていわゆる障害 者、当事者がどの程度関わりあっているのか。ごく一部の者に限られているような調査 であるのか。全体的な調査をされて、また障害者団体等がそこにどの程度、関わりあっ ているのかという点がひとつと。  もうひとつは、盲導犬の問題でちょっと出ているのですけれども、医療費が例えば介 助犬にしても盲導犬にしても同じですけれども、医療費というのがどういう格好になる のか。そこら辺は何か健康保険はきかないということで、かなりの医療費がかかるので はないかと。先般の日身連の大会のときにも盲導犬の医療費を公費で考えろというよう な意見も出ているものですから、そこら辺の医療費関係はどういうふうになるのか。2 点ですけれども。 板山座長  これは先生。 高柳(哲)委員  この障害者、実は私どもの研究班の中にも障害者団体の方がかなりお出でになってい まして、樋口先生に全国自立生活センター協議会から入っていただいております。私ど も、この研究班の活動はすべてオープンですから、いろいろ研究活動する上ではいろい ろな障害者の方に研究会にも入っていただいて自由な討議をしております。そういうこ とで特に障害者の方をどの程度というような範囲は全然区切っておりません。ですから 、かなり班会議をしましても多くの方、介助犬使用者を含めて多くの方がお出でになっ ておって、いろいろ自由な意見をいただいていますし、途中でもいろいろメールだとか 、手紙でいただいて意見を拝聴しております。  医療費につきましてはほとんどの介助犬がこれは貸与形式で、これはアカデミーの方 が詳しいからちょっと。 高柳(友)委員  獣医療費に関しては今のところ介助犬は公的という言い方もおかしいとは思うのです が、獣医師会のレベルで助成をするというところがごくごく一部にありますけれども、 基本的には本当に個人レベルの開業医さんのところで、そのときに当たった獣医さんの 裁量でと言うか、介助犬なのね、では、これだけでいいわよとか、無料でいいわよとい うような形で診てもらっている方はちらほら聞くのですけれども、システマティックに なったものというのは皆無に等しいのが現状です。だから、ご指摘のとおり、かなりの 経済的負担にはなっています。  今の最初にご質問いただいた調査の対象に関してなのですけれども、私どもの研究班 としても介助犬使用者、できれば全員、今、介助犬と称していらっしゃる方には全員に 調査をしたかったですし、したいのですけれども、実際問題としては窓口を育成団体が なさっているところが多くて、なかなかそういった意味で本人までの連絡が到達できま せん。要するに育成団体の方で、ではこの人のところに調査に行ってください。その人 は紹介できませんというような形で言われてしまっているのが現状で、なかなか個人レ ベルでコンタクトが取れる方にお願いするしかないというのが今の現状です。  すみません。さきほどの日本語の指示のことでコメントさせていただいてよろしいで すか。日本語の指示は確かによくご質問を受けます。ひとつ申し上げたいのは、高齢者 、今後の高齢者社会を目指して、に対してということで必ず高齢者が介助犬を使います かというお話が出るのですけれども、残念ながら実際問題としてはかなり難しい点があ ると思われます。  欧米でも高齢者が介助犬と暮らしているというのはほとんど私は今まで見たことがあ りません。申し上げるのはやはり訓練が大変であろうということ。介助犬を使いこなす には犬の信頼性をしっかり獲得して犬の主人としての役割を十分果たせないといけない ということで、合同訓練というのはやはりどんなに素晴らしく使いこなしていらっしゃ る方でも、盲導犬も同じだと思うのですけれども、やはり大変だったとおっしゃるので 、そのあたりの訓練に対する精神力なり、体力なりという面で高齢者の方、決してすべ て無理というわけではないのですが、おそらく可能性としては低いのではないかという ふうに思われます。実務上ですね。  日本語の指示に関しては、確かに日本語の指示でもいいのですけれども、使用者の方 にお聞きすると、例えば「おすわり」ということひとつ取ると、だいたい「SIT」と 言いますね。教えているのですね。そうするとその辺の町に出たときに、「おすわり」 と教えていると犬を見ると「おすわり」と言う人って世の中に多くて、介助犬とか盲導 犬を見たときにやたらまわりから「おすわり、おすわり」と言われたりすると本当にお すわりをしてしまったりしてかなり犬は迷惑をするというような現状もありまして、普 段、使わない言葉だからコマンドとして通りやすいという背景はあるようです。  やはり英語の方がいろいろな言葉がないという、わかりやすい、明確にコマンドを伝 えられるという、犬に対してもですね。だから、社会的なこととコマンドの通りやすさ というのとで、そういう意味合いで英語が使われているという背景はあるようです。 松尾委員  今ので要望と再度、質問ですけれども、やはり対象者をこういうのを組織的な研究、 検討委員会になると、やはり全国的に全般的に調査するような方法を取っていただきた いと。連絡取れる範囲内というと限られてしまうから、そこが結論になるということで はなくて、全国的にやはりそういうニーズ調査等もやる場合はやっていただきたいとい うことと、犬の医療費を公費にしろという質問ではなくて、だいたい犬はどれぐらい医 療費としてかかっているのかと。とれぐらいかかるのがさっぱりわからないし、高い、 高いというのは聞くのですよね。一般の家庭の犬も。介助犬とか盲導犬の医療費という のはどれぐらいかかっているのかと。概略でいいのですけれども、さっぱりわからない ものですから、どれぐらい年間かかるのかという点、もし、わかっていれば教えていた だきたいと思いますけれども。 板山座長  今のご質問はすぐ答えなくても次回以降の検討の中でデータなどありましたら、ぜひ 。 日本介助犬アカデミーが基準をお作りになったという、さっきお話があった。これはこ の『介助犬ってどんな犬』というこのパンフレットには入っていませんが、ぜひ、次回 以降で今のような基準がアカデミーとしてお作りになったものがあるならば、参考にぜ ひ頂戴したい。これは事務局の方でもお考えをいただきたいと思いますが。はい、どう ぞ。 谷口委員  調査に関してなのですが、6頁に介助犬の実際に使用する際に、例えば意識障害、知 的機能障害、注意障害、情緒及び意思の機能の障害、そういうような疾患の場合は介助 犬の使用は問題となるということが記載されておりますが、ここに言語障害というのが 記載されていないのですが、これは最初から調査の対象としてオミットされているのか 。 これは記載せずとも問題以外という形を取られているのかというのが、まず、1点と。  今、介助犬に対する説明をずっと聞いておりますと、率直な疑問としてなぜ、人間よ りも犬の方がいいのだろうかという疑問が非常に湧いてくるわけですね。それでこの調 査で人というところの部分で介助犬を選んだという方々の精神的な構造とか、そういう のを明らかにされていないのかという、この2点についてお伺いしたいと思います。 高柳(哲)委員  犬と障害者とのコミュニケーションの問題というのは非常に重要に、介助犬を育成す る場合に必要な問題になります。  確かに言語障害のある方は犬に意思を伝達するのに大変にしにくいという難点はある わけですけれども、でも、それはそれなりに繰り返すことによって犬は育成されるとい うことは可能だと思いますけれども、その辺がどの程度、コミュニケーションが図られ ているか、かなり介助犬使用者にとっては言語障害がある場合には相当かなり言語障害 のない人に比べれば大変だと思いますけれども、全くできないことはないですから、そ れは不可能ではないですから努められればできることだというふうに私どもは考えて、 そういう人たちを介助犬を持てないというふうには考えていません。  この介助犬を使用することによって、やはり犬というのは人ではありませんから、障 害者にとっては気のおけることとなります。犬というのはやはりそういう点ではもっと 打ち解けて犬と一緒にいることの方が安らぎを得るというようなことはやはり多々そう いうご報告があります。  さらに私どもの班でももうちょっとこういう精神的な観点からどういう効果があるか ということをもっとさらにまとめたいというふうに思っています。 板山座長  谷口さん、今の問題はこれからの論議の中でガイドヘルパー等の人的サービスとこの 犬をなぜ、選ぶかということの、これは利用者、使用者の立場に立っての、今、おっし ゃる精神構造なんていう言葉を使われましたが、その人の持っている生活歴、その他に 関する議論をしながらケーススタディもしていただいてご判断をいただいた方がいいと 思うのですね。  結論が出る、ここで出す問題ではないと思いますので、次回以降の検討に任せていた だきたいと思いますが、さて、時間もぼつぼつやってきましたので、今後の検討のスケ ジュールが事務局で用意をしておられますので、資料6に基づく、これをちょっと説明 をしていただき、皆さん全体のご了解をいただきたいと思いますが、事務局、説明をし てくださいますか。 社会参加推進室長  それでは資料6をご覧いただきたいと思います。今後のスケジュール(案)というこ とでお示ししてございますが、基本的にはだいたいこれから年度いっぱいにかけまして 一月か二月に1回ぐらいの割合で検討会を開催するということで、だいたいここにあり ますように7月から来年の1月ぐらいまで5回ぐらい開催をしたいと考えております。  2月はちょっと予備日ということで取ってございます。これはまた検討の進み具合で 場合によっては2月にもう1回ぐらい開くということもあり得るという意味での予備日 ということでございます。  第2回目は次回でございますが、基本的に関係者、特に介助犬を使用しておられる方 、あるいは育成団体という方々がこれ委員の中に入っておられませんし、こういった方 々の意見なり、要望事項なり、いろいろあると思いますので、こういった方々からの意 見を聞いてみたいと、ヒアリングをしてみたいというふうに考えております。  9月から11月までの第5回、3回から5回までのところはここに掲げてございますよ うな障害者に対する介助犬の役割とその有効性に関すること、介助犬に求められる資 質・要件に関すること、これは介助犬の訓練の内容であるとか、あるいは行動管理、躾 けも含めてですね。行動管理、あるいは公衆衛生学的な見地からの犬の管理の問題、こ ういったこと。育成された介助犬の評価、あるいは判定をどうするかといった問題。こ れは社会的に受け入れをしてもらうために必要な介助犬であるという最低のやはり資質 を持っているかどうか。あるいは訓練がされているかどうかというところの評価、判定 。 こういったことに関すること。  最後に公共交通機関、あるいは施設への周知をどういうふうにしていくか。あるいは 協力をどういうふうにお願いしていくかというところを含めて、こういった事柄を3回 の中で実施をしていきたい、ご検討いただきたいと、こういうふうに思っております。 具体的に各回の議題につきましてはまた改めてその時点でご相談をしながら進めてまい りたいというふうに考えております。  そういうことで一応、報告書を今年度中、来年の3月ぐらいまでにはまとめていきた いというふうに考えております。以上がだいたい今後のスケジュールの概要でございま す。 板山座長  はい。来年の3月、報告書を取りまとめると、こういうことでありますが、第2回検 討会は関係者から意見聴取、ヒアリングと言われることをやろうと、こういうことです ね。今、ご意見、ご質問等に出ました、なぜ、介助犬を使いたいと考えのたかなどを含 めて様々なご意見をお伺いできるだろうと思うのですね。その議論を通して3回目以降 にこれをつないでいくということにしたいと思っておりますが、大変、新しいテーマで すから難しい問題もありますけれども、アカデミーの調査、基準、あるいは厚生科学研 究によって高柳先生などが基礎的な調査研究もしてくださっていますので、それらを伺 いながら、この検討会の審議を進めていきたいと、このように思いますのでよろしくお 願いを申し上げます。  なお、第2回の日程でありますが、ちょっとお諮りを申し上げたいのですけれども、 関係者の方、関係育成団体等のご都合もありますので、ちょっとまだ決めかねるわけで ありますけれども、第1候補としまして8月の2日という日が上がっておるのです。時 間は午後3時ぐらいからと、こういうスケジュールになっておりますが、皆様方、ご都 合はいかがでございましょうか。 河西委員  8月の2日は盲導犬の関係で国際盲導犬関係のセミナーがイギリスでありましてちょ っとおりません。 板山座長  いつまで行っておられますか。 河西委員  だいたい7日ぐらいまでだと思います。 板山座長  7日ぐらいまで。そうですか。その他の皆さん、どうでしょうか。河西さんはちょっ と駄目なようですが。これは相手さんのご都合もありますから、事務局の方でそれでは もう少し調整をさせていただきますが、第1候補は8月2日の午後ということでさせて いただきまして、また、改めてご連絡を申し上げますが。 社会参加推進室長  とりあえず8月の2日の水曜日の15時からということに第1候補はさせていただきま すが、さきほどもお話していましたように第2回目は関係者からのヒアリングというこ とでございまして、改めてまた関係者の方々のご都合も伺うようにしております。した がいまして、万一、こういった方がヒアリングされる方のご都合が悪い場合には予備日 として8月8日木曜日ですが、同じ時間帯、15時からということにさせていただきたい と。これはとりあえず予備日にさせていただきたいと思っております。いかがでござい ましょうか。 板山座長  8月8日ですね。河西さん、8月8日は帰ってくる。 河西委員  大丈夫です。 板山座長  あと皆さんはどうですか。8月8日は。 社会参加推進室長  火曜日ですね。失礼しました。火曜日です。 板山座長  はい。よろしゅうございますか。 社会参加推進室長  それでは一応、8月2日を予定をいたしまして、場合によってそのご都合で8月8日 になる場合もあるということをちょっとご了解いただきまして、これはすみやかに私ど もで連絡をさせていただきます。 板山座長  それでは今、事務局から説明のありましたように第2回、8月2日乃至8月8日と、 こういうことでスケジュールを組まさせていただきますが、よろしくお願いを申し上げ ます。  それでは第1回の介助犬に関する検討会、これを以て終了をさせていただきます。あ りがとうございました。                (閉会・12時05分) 照会先 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 社会参加推進室 社会参加係               新 城 TEL 03-5253-1111(内線3075) 直通 03-3595-2097 FAX 03-3503-1237