00/06/21 第7回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 第7回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 1 日 時   平成12年6月21日(水)10時30分〜12時 2 場 所   厚生省別館7階共用第10会議室 3 出席委員 (五十音順)         今村理一、牛谷正人、小野沢昇、北沢清司、吉川武彦         白井俊子、玉井弘之、丹下芳典、遅塚昭彦、中村はる子         新堀裕二、橋本泰子、前田大作、室崎富江、山梨昭三  吉川座長  それではただ今から「第7回知的障害者の高齢化対応検討会」を開催させていただき ます。牛谷委員がまだお見えになりませんけれども、出席予定の方々が出席されており ますので、はじめさせていただきます。  今回は、本検討会の最終回にあたります。これまで長い間、ご検討いただきました 「知的障害者の高齢化対応検討会」の検討結果につきまして、報告書としてとりまとめ たいと思っておりますので、よろしくご審議のほどをお願いしたいと思います。  欠席者に関しては、何かご報告がございますか。    事務局  今日の欠席でございますけれども、大林委員、末光委員、中野委員、この3名の委員 から欠席の連絡がございました。それから牛谷委員でございますが、出席されるとの返 事をいただいているので、遅れて来られると思います。それから今日の資料でございま すが、お手元に配布してございますように、一つは「知的障害者の高齢化対応検討会報 告書(案)」ということで、前回、「骨子(案)」を出して、ご審議をいただき、それを踏 まえて「報告書(案)」を事務局で作成いたしました。  それから第5回知的障害者の高齢化対応検討会の議事録でございます。第5回につき ましては、修正意見をいただいて修正してございますので、これをホームページに掲載 させていただきます。それから第6回の議事録でございます。前回の議事録でございま して、また委員の皆さんのほうで手を入れていただきまして、修正いたしましてホーム ページに掲載していきたいと考えております。よろしくお願いします。以上でございま す。  吉川座長  ありがとうございました。前回の議事録に関しましては、前からのことでございます が、ご修正いただいた上でまたご報告をしたいと思います。  前々回に関しましては、すでにご修正をいただきましたので、それをお配りしてござ いますのでお受け取りいただきたいと思います。  それでは、これから前回お出しいたしました検討結果の骨子(案)に基づきまして、ご 検討いただきましたその結果について「報告書(案)」を作らせていただきました。  本日は、この報告書(案)に基づきましてご審議をいただくことになりますが、この報 告書(案)を、とりあえず事務当局のほうから読み上げさせていただきます。読み上げさ せていただいた上で、皆さま方のご意見を賜りまして、まだこういうところが足りない のではないか、あるいはここは書き過ぎではないのかというようなことがございました らば、そこでご意見をいただきたいと思います。それでは、この「報告書(案)」を読ま せていただきます。よろしくお願いいたします。  事務局  それでは朗読させていただきます。        知的障害者の高齢化対応検討会報告書(案)  はじめに  我が国における65歳以上人口の比率は、1980年には9.1%であったものが、 1999年には16.7%に達し、急速な勢いで高齢化が進んでいる。 知的障害者についても、入所更生施設の利用者のうち、60歳以上の者の比率が、1 985年には2.3%だったものが、1999年には8.8%になるなど、高齢化が着 実に進行している。 このような中で、2000年度からは、高齢者介護サービスの充実を図るために介護 保険制度が発足し、また、個人の自立を基本としその選択を尊重した制度を確立すると ともに、地域での生活を総合的に支援するための地域福祉の充実に向けた「社会福祉基 礎構造改革」が進められようとしている。それらの改革に併せて、知的障害者福祉法が 改正され、同法の目的として、「知的障害者の自立と社会経済活動への参加の促進」が 明記されることになった。 このような背景を踏まえつつ、本検討会においては、知的障害者の高齢化に対応して 地域生活の支援と施設における支援の両面から、今後どのような保健福祉サービスや配 慮が求められるか、また、一般高齢者施策との関係をどう考えるかを中心に検討を行っ たものである。検討期間の制約もあり、本報告書では、基本的な方向を示すに留まった 部分もあるが、それらについては、関係者による更なる検討に期待したい。 1.地域生活支援について 高齢化した知的障害者については、従来、心身の変化に応じた健康の保持や安定した 生活に力点が置かれ、入所施設に依存する傾向があったが、一定の支援があれば、地域 生活も可能であり、それがノーマライゼーションの理念にも沿うものである。そのため 今後は、地域での主体的な生活の確保を支援する施策を積極的に推進すべきである。 (1)住まいについて ・高齢化した知的障害者についての地域での生活支援については、小グループの生活単 位であるグループホームや福祉ホームを積極的に活用すべきである。 ・グループホームについては、就労要件が撤廃され、かつ、ホームヘルパーを派遣でき るようになったことにより、高齢者も利用しやすくなったが、健康管理など支援内容の 検討が必要である。また、利用料の低廉な公営住宅の積極的な利用を図っていく必要が ある。 ・福祉ホームについても、就労要件が撤廃され、かつ、ホームヘルパーを派遣できるよ うになったが、今後、一層の普及を図っていくためには、現在10名の最低定員の見直 しを含む職員体制の在り方について検討していく必要がある。 ・住宅事情の厳しい「単身」の知的障害者について、公営住宅の利用の道を開くととも に、優先入居の対象としても検討していく必要がある。 (2)在宅福祉サービスについて ・在宅福祉サービスについては、利用者にとって使い勝手のよい制度にしていくととも に、自己決定を尊重する考え方から、サービス選択のメニューを豊富にするという観点 が重要である。 ・ホームヘルプサービスについては、対象が重度者から中軽度者にまで拡大されたが、 今後、量と質についての充実が課題である。特に、知的障害者の障害特性に十分理解の あるホームヘルパーの養成・研修を進めていくことが肝要である。 ・デイサービスについては、施設要件が緩和されたが、学校の空き教室の活用や入所施 設等への併設の促進により、実施施設を増やしていく必要がある。また、高齢化に対応 したメニューを検討すべきである。例えば、健康の維持・増進に資するようなメニュー が考えられる。 ・地域生活の一つの支援方策として、配食サービスが考えられるが、老人向けの配食 サービスと一体的な実施を検討していく必要がある。その際、知的障害者施設の給食施 設を活用することも考えられる。 ・移送サービスについては、現行のホームヘルプサービスの外出介護の要件の緩和を含 めて検討していく必要がある。 ・知的障害者が、様々な福祉サービスを適切かつ円滑に利用できるよう、サービスの内 容や利用手続きについて、本人にもわかりやすいパンフレットを作成する等、情報提供 のあり方に配慮すべきである。 (3)日中活動の支援について ・生活の質(QOL)の向上の観点から、余暇活動やボランティア活動等の支援のあり 方について検討していく必要があるが、その際、小グループ単位での活動の支援を考  慮すべきである。 ・個人の余暇活動等の支援については、ホームヘルパーによる外出介護を活用すること も考えられる。 ・日中活動の場としては、老人福祉センターや一般の福祉センター、各種会館等の施設 を、幅広く円滑に利用できるよう配慮すべきである。 (4)地域での支え合いについて ・地域の人々が知的障害者を正しく理解し、地域で支援していくための広報、啓発活動 の在り方について検討する必要がある。 ・知的障害者の活動を支援するボランティアの育成を図っていく必要がある。その際、 障害児(者)地域療育等支援事業のコーディネーター事業を活用することが考えられる。 (5)就労及び退職について ・高齢になっても働く意欲のある人には、就労の場を用意していく必要がある。 ・退職等による離職後の生活維持に関しては、生活保護の利用が考えられるが、知的障 害者相談員や生活支援ワーカー等が、生活保護や障害年金受給についての援助を行える ようにする必要がある。 (6)権利擁護について ・権利擁護の観点から、知的障害者が福祉サービス(契約締結等を含む。)を利用しや すいように支援していく必要がある。 ・成年後見法を補完する「地域福祉権利擁護事業」について、知的障害者の地域生活の 支援のために、福祉サービスの利用援助のほか、金銭管理や苦情解決も含めて、いか  に有効に活用していくかが今後の課題である。 ・今回、「福祉サービス利用援助事業」が第二種社会福祉事業に位置づけられ、都道府 県社会福祉協議会以外にも社会福祉法人や公益法人、特定非営利活動法人(NPO)  等多様な主体がこの事業を実施できるようになったことから、今後、各種団体による積 極的な取り組みが望まれる。 ・「障害者110番」運営事業なども、権利擁護を図るものとして制度化されているが 知的障害者にとって利用しやすいものとなるような配慮や工夫が求められる。 (7)健康管理と医療について ・市町村が実施している老人保健法に基づく「健康診査」の機会が十分得られるよう、 配慮する必要がある。また、障害児(者)地域療育等支援事業の中の「訪問による健康 診査」も積極的な活用が望まれる。 ・生活習慣病やその合併症のリスクを抑えるために、食生活の改善等の予防的な措置周 囲の人々を含めた健康教育を推進していく必要がある。そのために、地域保健婦の積極 的な活用を図るべきである。 ・また、高齢化に伴う疾病やリスクに対応していく必要がある。そのために、訪問看護 制度の利用も考慮すべきである。 ・地域保健婦や訪問看護婦等が、知的障害者の障害特性についての十分な理解をもって 業務に従事できるよう、その研修についても考慮する必要がある。 ・知的障害者が医療(歯科を含む)を受けやすい体制のあり方についても、今後の課題 として検討する必要がある。 (8)相談・支援体制の整備について  ・「生活支援ワーカー」が、通勤寮のほかに、更生施設や授産施設に配置されるように なり、また、グループホームや福祉ホームを利用している重度の障害者にまで支援の対 象が広がることにより、これまでの生活支援ワーカーの業務の見直しが必要となる。  その際、生活支援ワーカーは、入所施設から地域生活に移行した知的障害者の生活のフ ォローアップの役割も期待される。 ・知的障害者相談員について、その活動の活性化を図っていく必要がある。なお、現在 原則として、相談員は知的障害者の保護者を委嘱している都道府県が多いが、保護者以 外の者も委嘱することを検討する必要がある。 2.知的障害者施設における高齢化への対応について  知的障害者施設については、入所者のニーズに応じて、様々な機能を施設に付加する 傾向が強かったが、これからは、高齢化への対応を含めて、その機能を分散していくと ともに、施設外のサービスを積極的に利用していく必要がある。 ・入所更生施設は、通過施設としての役割を有しているが、入所者の高齢化の進展や身 体障害との重複化を踏まえ、建物の構造・設備等について、バリアフリー化を含め、生 活の質(QOL)を向上させる視点が求められる。また、地域生活への移行の観点から も、ある程度の個室化やユニット化を図る必要がある。そのために、施設整備に係る補 助基準面積を見直すべきである。 ・生活習慣病の予防、口腔衛生管理等の健康管理対策が重要であり、それらを含む保健 医療体制の在り方について、今後検討していく必要がある。 ・その際、現在精神科に限定されている嘱託医について、高齢化に伴う様々な疾病に対 応できるようにする観点から、その基準の見直しを図る必要がある。また、協力医療機 関の確保についても配慮する必要がある。 ・施設から地域に移行した知的障害者について、施設のきめ細かいフォローが必要であ るが、それにもかかわらず地域生活の継続が困難になった場合の対応として、再入所を しやすくする仕組みが求められる。 ・授産施設や通所施設についても、入所更生施設に準じて、高齢化への対応が求められ る。   3.高齢者施策の活用と連携について  高齢知的障害者も、一般高齢者向けのサービス(介護保険サービスを含む。以下同 じ。)を円滑に利用できるようにする必要がある。介護福祉施設(特別養護老人ホー ム)については、知的障害者生活支援体制加算により、そのようなことに配慮した仕組 みが導入されたが、今後とも、知的障害者が、一般の高齢者サービスを利用しやすくす る観点からの配慮が求められる。 ・デイサービスについては、より身近なところで利用できるようにするため、知的障害 者の障害特性に配慮しつつ、身体障害者や一般高齢者のデイサービス施設の利用を図っ ていく必要がある。 ・一般高齢者サービスの中に、問題行動への対応など知的障害者サービスのノウハウを 知的障害者サービスの中に、身体介護の方法など一般高齢者サービスのノウハウを、職 員研修等を通じて取り入れていく必要がある。 ・養護老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウスも含む。)等の利用年齢については、 知的障害者の一部に早期老化の傾向があることを踏まえ、弾力的な運用を検討する必要 がある。 ・ケアハウス等について、特に必要がある場合には、保護者と共に障害者本人も一緒に 利用することができるようにしたり、あるいは、知的障害者施設に、保護者が利用でき る高齢者施設等を併設するなど、保護者の高齢化にも留意した対応を検討する必要があ る。 ・知的障害者施設に高齢者施設を併設することにより、知的障害者のニーズの変化に応 じて、円滑に高齢者施設を利用できるようにすることも考慮する必要がある。 ・知的障害者の福祉ニーズに総合的に対応していくために、障害者サービスの利用援助 を行う障害児(者)地域療育等支援事業の「コーディネーター」と介護保険サービスの 利用援助を行う介護支援専門員との連携を図っていくことも重要である。 ・在宅介護支援センターにおいても、障害児(者)地域療育等支援事業のコーディネー ターとの連携を図っていく必要がある。また、在宅介護支援センターに、コーディネー ター事業の活動の拠点を併設することも考えられる。 ・介護保険の要介護認定においては、知的障害者について、その状況を特記事項に記載 するなどにより、全体像の把握に努めた上で、介護の必要度に応じた適正な判定をする 必要がある。  おわりに  ノーマライゼーション及び自己決定の実現のために、利用者の選択を尊重し、利用者 とサービス提供者との間で対等な関係を確立するなど、個人としての尊厳を重視した、 利用者本位の考え方に立つ新しい利用制度への移行を図ろうとしている中で、知的障害 者の高齢化への対応の在り方を検討する機会を得たことは、大変意義深いことである。  知的障害者の高齢化について考える場合、乳幼児期、児童期、青年期、成人期、中年 期及び高齢期という各ライフステージに目を向ける必要があるが、高齢期の課題に適切 に対応し、「質の高い生活」を保障するためには、それ以前の各ライフステージにおけ る本人の課題やニーズに対して、どのような援助が提供できていたかが大きな鍵とな る。そして、各ライフステージに応じたサービスの充実と次のステージへの移行を容易 にするサービスの連続性が確保されなければならない。この意味で、高齢化に対応した 施策を考えるということは、若年の障害者の施策のあり方も同時に考えることになるも のであり、この報告書での提言は、独り高齢の知的障害者のみならず、若年の知的障害 者施策にも共通するものもが多く含まれていることを、改めて指摘しておきたい。  この報告書で提言した事項については、可能なことから、順次実施に移していただけ れば幸いであるが、障害保健福祉行政の枠を超え、高齢者福祉行政や住宅行政、労働行 政に関連する事柄も含まれているので、それら関係部局との連携した取組みを期待する ものである。  以上でございます。    吉川座長  どうもありがとうございました。ただいま、事務局に読んでいただきましたけれども 皆さま方お目通しをいただけたと思います。恐らくそれぞれの先生方からいただきまし たご意見を、できるだけ中に組み込んだつもりでございますが、中には少し組み込めき れなかったところもあろうかと思います。それらのことも含めて、課長からご説明をい ただくことが2点ほどありますので、少し説明をお聞きいただきたいと思います。  仁木課長  前回の第6回目の検討会との関連において、ご説明を若干させていただきたいと思い ます。まず7ページをお開きいただきたいと思います。施設における医療の確保の問題 につきまして、前回、協力医療機関の問題それに関連して嘱託医のあり方ということが 議論になったわけでございますけれども、その議論を踏まえまして、一つ新たな観点か ら付け加えさせていただきましたのが、現在、知的障害者の施設の嘱託医につきまして は、いわゆる最低基準の中で精神科の医師であって、知的障害の医療の経験がある方と 限定をされておるのですが、これから高齢化する中で循環器系、あるいは生活習慣病そ ういうことへの対応ということを考えますと、精神科の医師よりむしろ内科系の医師の ほうの必要性が高いということも議論の中ででてきておりますので、精神科に限定して いる今の基準を見直すということをこの中で打ち出させていただいているということで ございます。  それともう一つ、8ページ下から2番目のポツでございますが、在宅介護支援セン ターの取り扱いで、前々回だったと思いますが、在宅介護支援センターの有効活用とい う観点から、障害者も対象にしてもらったらいいのではないかというご議論がありまし て、前回の骨子にもそういう趣旨で記載をしていたわけですが、その後在宅介護支援セ ンターにつきまして、その実体をいろいろ私どもなりに調べさせていただきまして、団 体サイドの意向なり、担当する課の考えも少し聞いてみました。そうしましたところ、 在宅介護支援センターにつきましては、現在介護保険が始まった中で、ケアマネージ ャーの活動の拠点としての役割が一つあるわけですが、そのほかに要介護状態にしない ための予防的な活動ということも含めて、これから一層幅広く高齢者福祉に係るサービ スを今後さらに充実させていくという考えがございまして、そういう中で若年の知的障 害者まで対象に広げていくということは、当面考えにくいことであるというような意見 がございまして、そういう有効活用という観点ですと、いわば他人のふんどしを借りて 相撲をとるという感じがちょっとあったわけでありますが、そういう有効活用という観 点ではなく、在宅介護支援センターのサービスと、知的障害福祉サイドのサービスとの 緊密な連携ということを打ち出したような位置づけのほうがいいのではないかと、また 遅塚委員のご指摘にもそういう趣旨も含まれていたのではないかと忖度しまして、前回 の骨子と違ったニュアンスになっておりますけれども、このような表現に若干軌道修正 した形で盛り込ませていただいたということでございます。  もう一つは、介護保険の利用年齢の引き下げ問題でございます。介護保険は、原則と して法律上、65歳からの利用ということに明定されておりますけれども、それを知的障 害者については引き下げるべきではないかというご議論がありました。  これは、結局は、いわゆる特定疾病という今15の疾病に限定されている40歳からの適 用に関連して、特定疾病の見直しをすべきではないかというご議論と記憶しております けれども、この介護保険サービスの支給年齢65歳を引き下げるという問題は、現在65歳 の例外が認められているのは、特定疾病が原因で要介護状態になった方に限定されてお りますものの、特定疾病の範囲の拡大という問題につながるわけですが、特定疾病と知 的障害を結びつけるのは、少し無理があるのではないかと考えたわけでございます。  と申しますのは、知的障害は疾病ではありません。またダウン症も疾病ではないわけ でして、そういう中で特定疾病の範囲の見直しという文脈の中で、年齢の引き下げを提 言するというのは少しいかがなものかと考えたわけです。  また、それでは特定疾病の見直しということではなく、そういう議論とは別に、知的 障害者は、特別に介護保険の支給年齢を引き下げるべきではないかという提言もあろう かと思いますけれども、その点につきましては現在、この介護保険には大変国民的な関 心が高いだけに、よほどのいろんな科学的な論拠等も示さなければ、知的障害は特別に 年齢を引き下げて適用すべきだということを打ち出すのはいかがなものかと、事務局と して考えまして、今回の提示させていただきました原案には盛り込んでいないという経 過がございますので、補足説明させていただきました。  吉川座長  ありがとうございました。課長からの説明は2点、ないしは3点になったと思います が、第1点に関しては、嘱託医について、精神科以外の、特に内科の嘱託医について、 もう1点に関しましては、在宅介護支援センターにつては、連携という言葉でまとめさ せていただいたということでお話をいただきました。  それから最後にでました問題は、全体の中に盛り込むかどうかということでご議論を いただかなければいけないことかもしれませんが、とりあえず私ども報告書の原案のほ うには、このことは盛り込まないでという、盛り込まなかった理由につきまして、課長 のほうからご説明いただいたというわけでございます。これは知的障害というものを、 総体として疾病と捉えるかどうかということがありますし、それから個々の知的障害を もたらす現疾患であるものを疾病として捉えて、そこを個々に盛り込んでもらうかとい うことにもなりますけれど、現段階では介護保険のスタートまもなくでございますので ここまで踏み込むことをためらったというところが正直なところでございます。そんな わけで、このことは、今回のこの報告書の中には盛り込まなかったということでござい ますが、何かほかにご意見がございましたら、そのことも含めてお話をいただければと 思います。  それではとりあえず、全体を読み上げていただきましたので、少し皆さま方「はじめ に」と書いてあるところからお目通しをいただきながら、足りなかったところ、あるい は書きすぎているところ、その他ございましたら、ご指摘をいただきながら進めさせて いただきたいと思います。  時間は、だいたい11時半ぐらいまでにこれが済みましたら、あと部長においでいただ いて、ご挨拶等をいただきますので、12時までの間には済ませたいと思っておりますの で、よろしくご審議のほどお願いしたいと思います。  それでは「はじめに」と書いたところで、何かご注文その他がございますでしょう か。  橋本委員  「はじめに」のところ1ヶ所だけ意見がございますが、いかがいたしましょうか、言 葉遣いでこれはどうかなというところは、事務局のほうへ後で申し上げて判断していた だければよろしいでしょうか。  吉川座長  それでも結構でございます。私も少し気になる言葉がいくつかありますので、簡単な ことであればここでも結構でございますし、そうでなくて内容的なことであれば、尚更 ここで議論していただいたほうがいいと思います。  橋本委員  その中途ぐらいですが、「はじめに」の中程に、「社会福祉基礎構造改革が進められ ようとしている。」という言い方ですが、もう社会福祉法もスタートいたしましたので 「社会福祉基礎構造改革への動きがはじまっている。」とか、そういう表現のほうがい いのではないかと思いますがいかがでしょうか。  吉川座長  わかりました。それは、橋本委員が言われましたような内容で書き換えさせていただ きます。他にご指摘ございますでしょうか。  もしよろしければ、それでは「はじめに」というところ、またいずれ気がつかれまし たら戻っていただいて結構でございますので、次の報告書の本文に入らせていただきま す。 1.地域生活支援について、2.施設について、3.高齢者施策の活用の問題に ついてと、大きく3つに分けてありますのは、前回からの考え方と同じでございますし それぞれのところにはごく総論的なことを10行ぐらい書いてありまして、それ以外、黒 ポツがついて個々の指摘があるという形式は前回にも申し上げたとおりのやり方でござ います。  それでは1の全体につきまして、何かご意見をいただければと思います。  私から先に言ってしまうと申し訳ないのですが、例えば1の地域生活支援についての 2行目ですが、「入所施設に依存する傾向があった」という文章が、少し気になって仕 方がないのです。例えばこの文章を言うと、主語その他から考えても、「入所施設に依 存する傾向があったが、」という表現でないほうがいいのかなと思います。私は、ちょ っとメモしましたが、「入所施設による処遇を重視する傾向があったが、」というよう な表現のほうがいいのかなと考えながらお聞きしておりました。こんなふうな直し方で も結構でございますので、気がつかれましたらなんでもお話をいただきたいと思いま す。  白井委員  よろしいですか、4ページの(3)に日中活動の支援の2つ目のポツのところですが 「余暇活動等の支援については、ホームヘルパーによる外出介護を活用することも考え られる。」これちょっと弱いような気がします。もっと強調して、それからもう親もい なくなったというようなことで、ホームヘルパーそれからボランティアだとか、いわゆ るヨーロッパなどで言っているコンタクト・パーソンみたいな、そういう人材の確保の ような形で強調していただきたいと思いました。  吉川座長  「ホームヘルパー」を「ホームヘルパー等」でもいいですか。  仁木課長  はい、ただボランティアによる活動支援ということでありますと、個人の活動だけで なく、小グループの活動のほうもやはりボランティアによる支援ということが同じよう に言えるのかなと思いますので、そのへんも含めて、単にホームヘルパーの支援のみな らず、ボランティアが小グループの活動、または個人の活動をボランティアによって支 援していくのだということを付け足すことと、ホームヘルパーによる活用をもっと積極 的に進めていくべきだというようなニュアンスを色濃くだしたほうがいいということで ございますか。  白井委員  友達代わり、相談相手代わりみたいな身近な援助者と言いましょうか。  仁木課長  わかりました。「考えられる」ということより、もっと踏み込んだ、そういう方向で 修正したいと思います。  橋本委員  ご判断はお任せしますが、ちょっと気づきましたことを申し上げてよろしいでしょう か。3ページの(1)住まいについての一番下のポツです。「住宅事情の厳しい単身の 知的障害者」ちょっとわかりにくです。  吉川座長  文章上のこともありますね。  橋本委員  はい。それから4ページ、2つ目のポツですが、「地域生活の一つの支援方策として 配食サービスが考えられるが、」ここに「老人向け」とでてまいります。  高齢者というのは、知的障害者についてここの文章では使って、一般施策の対象であ る高齢者の場合は、「老人」と使うと、使い分けしていらっしゃるようにも見受けられ ますけれど、言葉の整理をと思います。補足いたしますと、高齢者の領域では、老人福 祉法とか老人保健法という使い方以外は、ほとんど高齢者と使っておりますので、とい う意味でのご配慮をということです。  それから同じページの(3)の日中活動ですが、これは知的障害者の領域の方も了解 済みのことなのかもしれませんが、「日中活動」と「余暇活動」との関係がよくわから ないのです。このへんは問題なければいいのですが、私のような人間が読みますと、余 暇活動とはなんだろう、日中活動とどういう関係があるのだろうということでありまし て、もしも補足していただければもう少しわかりやすいかなという感じがいたします。  特に、高齢者の領域の人間も読ませていただくとすると、そんな感じがございます。  それから5ページにまいりまして、(6)権利擁護のところです。大変重要なこと書 いていただいております。これは私の不勉強なんだと思うのですが、「成年後見法」と いう言い方で正しいのでしょうか、ちょっと民法改正の中にあることではなかろうかと 私の不勉強かもしれませんが。  それから同じところですが、一番下のポツです。 「障害者110番運営事業なども 権利擁護を図るものとして制度化されているのが、知的障害者にとって利用しやすいも のとなるよう」というところに、少し「例えば○○」というような具体性があるともっ とわかりやすいなという気がいたします。  そして5ページの一番下の行ですが、「地域保健婦」という言葉がでてまいります。 次のページの3行目に同じ言葉がでてまいります。これは「市町村保健婦」のことをい っていらっしゃるのでしょうか、ちょっと不明確でございますので、敢えて「地域保健 婦」をお使いになる意味がわかりかねるという気がいたします。以上でございます。  吉川座長  ありがとうございました。いくつかご指摘をいただきましたが、最初にお話がでまし た3ページの(1)住まいについての一番最後の黒ポツの、「住宅事情の厳しい単身の 知的障害者について」という、表現上の問題だろうと思いますけれど、書こうとしてい る意図はよくわかりましたが、何かいい表現がないでしょうか。  仁木課長  ここは、一般住宅になかなか入居しにくいというニュアンスでございまして。  橋本委員  むしろそういう書き方をしていただいたほうが。  吉川座長  わかりやすく書いたほうがいいですね、ではそういうことで。  橋本委員  ちょっと情緒的な表現になってますので。  吉川座長  それから(2)の在宅福祉サービスの「老人」という言葉と「高齢者」という言葉に 関して。  仁木課長  これは特に書き分けた訳ではございませんで、たまたま打ったときに「老人」になっ たということで、「高齢者」に揃えるほうがよろしいかと思います。  吉川座長  そうですね、「高齢者」に揃えましょう。それでよろしいかと思います。  それからもう一つは、これは皆さまにご議論いただかなければいけないかと思います が、(3)の黒ポツの最後のところ、「日中活動」と「余暇活動」という言葉、内容的 に書き分けるのか、あるいはどういうような違いをもって書いておられるのかというこ とが疑問として出されましたけれども、何かうまい書き方はないでしょうか。なんとな くわかるような気もするのですが。  仁木課長  一般的には「日中活動」と障害福祉の分野で言うときには、通所授産施設なり、通所 更生施設なり、またデイサービスなり、小規模作業所なり、そういう形での昼間の諸々 の活動を「日中活動」と通常使ってきたのですが、今回、公的な施設を利用した昼間の 活動に留まらず、さらに一歩踏み込んでレクリエーションとかあるいは社会活動として のボランティア活動、そういうことについての支援ということを主に打ち出しておると いうことでございまして、ここで言っていることは基本的には「日中活動」というより も、むしろ「余暇活動」とか「ボランティア活動」そういうことを中心に内容は書かれ ておりまして、通所授産施設のあり方とかデイサービスのあり方ということは、ここで は全く触れてないので、そういう意味では「日中活動」というよりもむしろ「余暇活動 等の支援」と言ったほうが、この内容に即した見出しにはなるのかなと思っております が、いかがでしょうか。それと、「日中活動の支援」と書くのであれば、もう少し幅広 く内容を書き込まないと、日中活動全般について述べたことにならないという感じもし ますので、そういう意味ではちょっと看板が大きすぎるという感もありますので、むし ろ「余暇活動等」というふうに限定すべきかなという。  吉川座長  (3)のタイトルそのものをれを「余暇活動」と書き換えるのですか。  仁木課長  「余暇活動等」ですね。 吉川座長  橋本委員どうですか。  橋本委員  それはどうぞ…。  吉川座長  そうですね、言葉そのものより何か仲間内の言葉みたいで、外から見るとよく理解で きないというご意見だったと思いますので。  橋本委員  今の課長のご説明を伺いましたら、「余暇活動」の意味はよくわかりました。 ただ 時々、日中活動の中の様々なレクリエーション活動ですとか、アクティビティの活動な どを余暇活動とおっしゃっているような感じもいたしますので、それは余暇じゃないの ではないか、本物ではないかと、ちょっとそういう抵抗もございまして、むしろ課長の ご説明を伺っておりましたらばわかりました。  確かに表現から言うと、ここは「日中活動」よりも「余暇活動等」がよろしいかと思 います。  仁木課長  はい、ここは余暇活動を中心に述べているのです。   吉川座長  それではそのように書き換えて、もしできたら少し書き加えるような感じで、理解し やすい…先ほどのあとのほうで「例」という話がでましたが、例示みたいな形で少し書 き加えていただいたほうが誤解をされないという感じがします。  それから私もちょっとよくわからないのですが、「成年後見法」でよろしいのです か。  仁木課長  これは「成年後見法」という法律があるわけではないのです。確かに民法の改正ある いはその関連の整備法の一連のものを、「成年後見制度」といっておるので、ここは 「成年後見法」と言うより「成年後見制度」といったほうが適切だと思います。  吉川座長  そうですね。それでは「成年後見制度」と変えましょう。  それから今の(6)の最後の黒ポツのところに、例を入れるという話がありました。 「知的障害者にとって利用しやすいものとなるような工夫」という、その工夫の中に少 し例示したほうがいいのではないかというご意見がありましたので、少し例を。  仁木課長  はい、書き込むように考えてみます。  吉川座長  それから私も自分のところにも丸をつけておいたのですが、「地域保健婦」のことで す。何を意味するのか、これは「市町村保健婦」という意味ですか。  仁木課長  これは施設の中にいる保健婦というのではなく、地域を回っておられる保健婦という 意味で、俗に言う「地域保健婦」と書いたのでして、先生おっしゃるようにまさに市町 村の保健活動に従事している保健婦のことですから、正確に言えば「市町村保健婦」と いったほうが正しいと思います。  吉川座長  そのほうがわかりやすいかもしれません。「保健所保健婦」「市町村保健婦」という 使い方で、保健婦を公的には2つの分け方で言葉を使っていますが、そうだとすると 「市町村保健婦」に限定されてしまうという意味はありませんか。  仁木課長  そうですね。保健所の保健婦は排除されてしまうという問題もでてきますね。  吉川座長  ですから「保健婦」そのものでいいんじゃないですか。  私がメモしたのはそれだけだったと思います。橋本委員からのご指摘はそれだけでし たね。  橋本委員  はい。  吉川座長  どうもありがとうございました。他に何か。  小野沢委員  前回までの議論の中に入っていなかったと思うのですが、4ページの2つ目の黒ポツ ですが、地域生活の一つの支援方策ということで配食サービスが書かれているのですが 「その際、知的障害者施設の給食施設を活用することも考えられる。」という、この点 についてはどの程度のことをお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思いま す。  仁木課長  知的障害者の施設の活用というところでございますが、配食サービスを実施するにあ たって、新たに施設を厨房設備なり給食設備を作らなくても、既存の施設の厨房設備を 活用して、そこの施設でもってお弁当なりを作ると、そしてそれをボランティアの活用 もあるでしょうが、様々な形で配食するということで、社会資源として施設の給食施設 というものの活用が考えられるのではないかということで、ちょっと付け足したという ことでございます。差し障りがあるようであれば、別にこだわるものではないのですけ れど。  吉川座長  そうじゃないですね、この前ここでも議論というか、そういうご提案があったことで すね。  小野沢委員  差し障りがあるということではないのですが、実際にこういう形で表現された場合に 利用規模といいますか、そういうのがあったときの具体的な対処の仕方も考えておかな ければいけないのかなと思ったものですから、ちょっと確認を含めて、どの程度までお 考えになっているのかお聞きできればと思います。  仁木課長  ここは単に知的障害者の施設だから、知的障害者のためだけのお弁当しか作らないと いうことでなく、知的障害者の方だけのお弁当となると、非常に数も限られてくるし、 効率性という点でもよくないので、むしろそれこそ高齢者向けと知的障害者向け、その 地域の配食サービスをある程度まとまった単位でやっていくということも考えられてい いのかなと考えていましたが、それは自ずと施設の設備による制約を受けてくるという ことは当然のことでございますけれども。  吉川座長  実現の可能性ということより、一つの理念としてこれを取り上げたというふうに考え てよろしいですか。  仁木課長  一つのやり方のアイデアとして、実施する検討をしていく必要があるということだけ でとどめますと、じゃあ新たに給食設備どこに作るのだというようなお話がでてこよう かと思いまして、それは既存の施設の活用ということも考えれば、そんなに難しくない のではないかというような気持ちも込めまして、書き足したということでございます。  吉川座長  そうですね。  玉井委員  むしろ今のご意見、やっぱりそれだけの機能が地域の中にあるわけですから、積極的 にこれを利用するような方向性として、給食サービスというのものを用意するような仕 掛けが必要ではないかと思います。  吉川座長  まあ「やれ」というふうには書けないでしょうから、「考えられる」と書くのはやむ を得ないですね。はい、わかりました。  丹下委員  よろしいですか、5ページの(5)就労の最初のポツですが、「高齢になって働く意 欲のある人には、就労の場を用意していく必要がある。」と、大変簡単に書いてありま すが、そのためには受け入れ側がどのようなことをしなければいけないか、そのへんの ところを書く必要はないのかと。例えば、私どもも知的障害者をやりました。そうする と最低賃金制に触れるというのがあるのです。そのへんの何か受け入れ側の対応の仕方 というものをここへちょっと書いておいたほうが丁寧かなと思いました。  吉川座長  具体的にもうちょっとお話いただけますか。例えばそれは何か新しい受け入れしやす いような制度とか何かを作れという意味ですか。それとも研修みたいなものを。  丹下委員  いやいやそんな難しいものでなく、要するに就労の場を用意するという場合に、場を 用意するということは結局受け入れ側の問題です。受け入れ側がどう対応できるか、し なければいけないか、そのへんのところは必要ないでしょうか。  例えば何々する必要がある、そのためにはこうしなければいけないとか、そのために はという場合、ここではもう全く簡単に「用意しなければいけない」ということだけし か書いてないというところで。  玉井委員  一般的によく言われますのは、知的障害者に対する理解というものがまず必要だし、 それから企業もこれは経営ということを考えましたら、知的障害者の実際の受け入れの 場面で、日中の知的障害者の生活の場面というものもよく理解できないと、そういうと ころがあると思うのです。そういうことを包含して、知的障害者の受け入れのための理 解というものを、ある程度紙に書いておいていただければ、就労しやすい条件づくりの 一つになるのではないかという気がします。  吉川座長  私がお話申し上げたのは、まさにそのことで、受け入れしやすいようにするために、 企業側に何らかの形で研修の機会を作るとか、あるいは企業側に何か保護的なものを考 えろということなのかということをお聞きしたのです。そこまでになると労働行政がか なり入り込むので、恐らく書けなかったのではないかと思うのです。  丹下委員  入ってくると思うのですね。賃金制の問題だとか、例えば障害者の方を受け入れた場 合に、特例があって費用を出してくれるとかというのがありますね、そのへんは労働行 政になってくるかと思いますけれども、何かそういう事業者の理解というものもきちっ とここで打ち出す必要があるかなと、そんなように考えました。  吉川座長  そこぐらいまでだったら、課長書けますね。  仁木課長  そうですね。  吉川座長  事業者側の理解を深めるようなというのですね。  仁木課長  白井委員そのあたりいかがでございますか。  白井委員  例えば今、事業所で長年働いている人が、定年後もっと働きたいと言われる人のため に、企業内授産だとか作っている例があるのです。それでおっしゃっていることはその ようなことで、どんどん事業所の人たちも理解を示していただいてというようなことだ と思うのですが、ちょっと労働行政的な感じがします。  仁木課長  事業者側の理解の促進というような趣旨のことは、書いたほうがよろしいかと思いま す。そこは検討させていただきます。  白井委員  ついでによろしいですか。4ページの(3)か5ページの(5)に入れるべきという 感じがするのですが、全体にいろいろ高齢になったときの援助だけが書いてあるような 印象で、本人の社会活動みたいな、例えば本人自身がボランティア活動するとか、本人 自身が何らかの活動をするとか、そういう社会活動の支援みたいなことが少し足りない かなと全体的な印象がするのです。そこらへんはいかがでしょうか。  仁木課長  ただいまのご指摘の点は、4ページの(3)の日中活動の支援のところの、最初のと ころですね。「余暇活動やボランティア活動等の支援」と、このボランティア活動とい うのは、障害者の方々本人のボランティア活動という趣旨で書いてあるのですが、そこ がボランティアの育成みたいなふうに読まれる場合もありますので、「本人の本人によ るボランティア活動」とか、もう少し「本人自身による」とか、そういうことを誤解の ないように強調して書いたほうがよろしいかと思います。  白井委員  そうですね。それから退職なさった方が、非常に自分たちの障害者施策にこうして欲 しいということを主張できる暇もありますし、働いている人はそういう会合に出席する 機会がなかなかないので、ちょっとそのような代弁者になっていただく人生の先輩では ないですが、そういう余暇活動、ボランティア活動それから障害者自身の活動みたいな ものも入ればいいなという感じがします。  吉川座長  そうですね、白井委員がおっしゃっていたことは、前からずっとそういうふうにおっ しゃっていたということがありますし、それから課長自身がこれかなり言っていらっし ゃることでして、文章上ちょっと読めないようになっているのかもしれませんから、も う一度そこのところは整理をさせていただきまして、知的障害者自身のボランティア活 動をどういうふうに喚起していくのかということを書くような、そうした文章を少し挿 入させていただきたいと思います。  遅塚委員  文章上の問題ですが、5ページ(5)就労及び退職の2つ目のポツですが、「援助を 行えるようにする必要がある」となっているのですが、相談員や生活支援ワーカーが、 受給についての援助を今までしてはいけなかったような形の文章になっています。 別 に援助はしても構わなかったと思いますので、単に「援助を積極的に行っていく必要が ある」とか「積極的に関わっていく必要がある」とか、今までも援助ができたのだとい う前提の文章にされたほうがいいのではないかと思います。  吉川座長  それはそうですね。ありがとうございました。いかがでしょうか、他になければ、2 の知的障害者施設のところへ移らせていただきます。  小野沢委員  先ほど課長のほうから、嘱託医の問題についての説明があったのですが、知的障害関 係の施設の中でもかなり年齢が高くなって、いろいろなトレーニングをしなければいけ ない方たちが増えてきたのが現実だと思うのです。その際、現在の、これは簡単に言え ることではないと思いますが、現在の知的障害関係の職員配置、職種の問題ですが、指 導員とその他の職員という形になっているのですが、その中に、前にもお話したことだ と思いますが、介護をある程度担当できるような人たち、そういった人たちを視野に入 れて職員配置の見直しもしていかなければいけないと思うのですが、職員配置のマンパ ワーの問題に関しては、報告書の中にどこにも書き込まれていないのですが、そのあた りの対応というのはどうでしょうか。  吉川座長  課長何か、先ほど少し話しがでていましたが、職員配置の問題について。  仁木課長  はい、小野沢委員がおっしゃったように、介護の仕事はやはり身体障害との重複化が 進んでまいりますと、身体介護のニーズが高まってくるので、それへの対応という観点 からは指導員と看護婦、保健婦だけの体制では適切にニーズに対応できない部分が確か にでてくるだろうと思っておりまして、そういう意味で介護の専門職の方も直接処遇職 員としてきちっと位置付けるということを考えてもいいのではないかと思っておりまし て、そのへんが施設の皆さん方のご意見も踏まえて考えていきたいと思うのです。  私の考えとしては、介護の職員というものも知的障害者の施設の中の職種として明確 に位置付けていくと同時に、職員配置基準がございますけれども4.3対1という、職員1 人につき、入所者がが4.3人という基準がございますけれども、その基準の中に介護の専 門職の方もきちっと算定できるようにしてもいいのかなと思っておるのでございます が。  吉川座長  そこまでは、この中には書き込むことは出来ないという。  仁木課長  いや、施設の皆さん方も含めてご同意が得られれば、そのまま書き込んでその方向で 見直しすることにやぶさかではないです。  吉川座長  そうですか。どうぞ。  遅塚委員  7ページの上から3つ目の黒ポツですが、「施設のきめ細かいフォローが必要である が、それにもかかわらず地域生活の継続が困難になった場合…」という言い方だと、施 設から退所なさった方の地域生活を見る責任が、まるで施設に非常に強くあるようなニ ュアンスの気がするのです。実際問題として、生活を見ていた方が地域に出た場合、そ の人をフォローするというのは当然やらざるを得ない現状はあるとは思うのですが、た だ「それにもかかわらず」というとなんとなく施設の努力が足りないので地域生活が継 続できないみたいな、そういう誤解を招くかもしれないので、少し表現を工夫していた だければと思います。  吉川座長  あまり深く読まなかったものですから気にならなかったのですが、なるほどそうです ね。ちょっと文章上の問題ではあると思いますが、和らげる形で考えます。  白井委員  これは教えていただきたいのですが、6ページの2の文章で、「様々な機能を施設に 付加する傾向が強かったが、…今後その機能を分散して…が望ましい」というふうな形 で書いてありますが、一律にそういってしまっていいのかどうかというところを教えて いただきたいと思います。例えば都市と地方では違うのではないかということ、それか ら非常に質の高い施設であれば、いろんな機能を持っていて、その機能で実践をした結 果をノウハウとして地域に下ろせるのではないかという、そういうメリットも考えられ ますが、その点についてはいかがでしょうか。  吉川座長  これに関しては、確かに議論は前のときにも出たと思いますが、個々の施設の問題を 考えるということではなくて、総体として今日までの知的障害者施設の方向がこういう ことであったという、総体としての問題だろうと思うのです。  基本的には、できるだけ地域に散在していくような形で、いろんなものが地域の中に 分散していくような形が望ましいのではないかという考え方があって、ここでこのよう な形で書かれているのだろうと思います。それを批判的に捉えるというほどのことでは ないですが、こういう方向にあったということの現実を一応ここに現しているとお考え いただければと思います。  仁木課長  白井委員がおっしゃるとおり、全ての施設がそういうことではなく、一般的にそうい う傾向が強かったということで書いているわけでして、全てがそうだということではな く、そのへん少し表現を誤解のないように、工夫できないかどうか検討させていただき たいと思います。  吉川座長  そうですね、「強かった」という表現が強いのかもしれませんが、「あったが」ぐら いのほうがいいのかもしれません。  それでは2のところを一応終わりまして、3の「高齢者施策活用と連携について」と いうところに入らせていただきますが、いかがでしょうか。  丹下委員  ちょっと字句のことだと思いますが、「一般高齢者」という言葉を5ヶ所ほど使って います。この使い方はいいのでしょうか。「高齢知的障害者」と「一般高齢者」で、一 般という言葉はどうでしょうか。  吉川座長  ここでもずっとそういうような表現を使わないと、高齢知的障害者を表現できないも のですから、「一般」という言い方をしてきたと思うのですが、確かに文章に残すとき にこれがいいかどうかはもう一度考えなくてはいけないかもしれません。どうしましょ うか。  仁木課長  「一般」をとってもさほど支障はないかもしれません。取ってもいいような気がする のです。  吉川座長  そうかもしれません。ここで議論するときは、確かにそのように言ってきたと思いま すが、文章上書くときには「一般」をとって「高齢者」と直させていただきます。あり がとうございました。  丹下委員  それからもう一つ、これは字句ですが、介護福祉施設(特別養護老人ホーム)となっ ていますが、これは「介護老人福祉施設」というのが正しい。指定介護老人福祉施設、 これが特養です。  仁木課長  そうですね、老人はミスプリントで落としております。失礼しました。  橋本委員  8ページの3つ目のポツです。先ほど課長からもお話ございましたけれども、介護保 険における介護支援専門員との連携や、それから在宅介護支援センターのことを書いて いますが、言うまでもないことですが、介護保険の対象にならない方に対する介護支援 専門員のサービスというのは期待しにくいわけですから、このへんの表現いかがなもの だろうかという感じがします。むしろ在宅介護支援センターのソーシャルワーカーや保 健婦たちとの連携というのは、大いに期待できると思いますので、私はこの3番目のポ ツと4番目のポツを合わせて、「介護保険サービスの利用援助を行う介護支援専門員と の連携」というところは、とってしまったほうが実質的ではなかろうかという気がしま すがいかがでしょうか。  仁木課長  確かに3番目のポツと4番目のポツは、重複したようなところがあるのです。同じこ とを繰り返して言っているような部分がございますので、ここは少し再編して、重複し ているところは整理する方向で、表現は見直したいと思います。  橋本委員  もう一つ、丹下委員がおっしゃったことに似ているのですが、同じ8ページの上から 2つ目のポツです。「知的障害者施設に高齢者施設を併設することにより」という、こ の高齢者は一般高齢者の意味ではないですね。そうすればこれは「知的障害者施設に高 齢知的障害者を対象とする施設を併設する」とかそういう表現になるのではないでしょ うか。  仁木課長  ここの趣旨はそういう意味ではなくて、一般的な高齢者施設という意味で書いてある のでございます。具体的に申しますと、知的障害者の入所更生施設がありまして、その 近くというか隣に特養とか養護老人ホームを併設する、そうするとスムーズに移行でき るのではないかという趣旨でございます。  橋本委員  なるほどわかりました。このへんがちょっと引っかかってきますね。同じように実は 3ページにもあるのですけれど、(1)の住まいについての2つ目ですが、グループ ホームについては、これは知的障害者のグループホームのことですから、もともと知的 障害者の高齢化対策ですから読めるのですけれど、「グループホームについては、就労 要件が撤廃され、かつ、ホームヘルパーを派遣できるようになったことにより、高齢者 も利用しやすくなった」とあります。だからこの「高齢者」というのを、ちょっと私は 最初引っかかったのですけれど、でもまあ全体的に読めるのだからいいのかなと思った のですが。  仁木課長  これは高齢の知的障害者という意味です。  橋本委員  そうですね、そのへんのところをちょっと読みやすく。  仁木課長  誤解を生まないように、整理をしたいと思います。  吉川座長  他にいかがでございましょうか。よろしければ3を終わりにしまして、最後の「おわ りに」の文章をお目通しいただきまして、何か書き加えるべきことがあったりすればま たお話いただければと思います。  今村委員  検討が外れているかもしれませんが、高齢者施設の経営の効率化みたいなところがあ りましたね。知的障害者施設は、だいたい50とか100とか、多くとも100ぐらいで、みん な小規模施設が多い。そういう意味では、これからの高齢化していく中で、経営の効率 化というのを考えて、あるいは統合化していくとか、そういう方向がないと、たぶん介 護保険なんかでいろいろとでている問題がでてくるだろうと思うのです。  そのへんのところ、全く関係ないとは思うのですが、どこかでこれからの施設の方向 高齢者を含めて統合化していくというか、そういう必要はないのかと思ったのですが、 そのことについて全然触れてなかったので、施設にとっては大きな問題なので、経営の 効率化といいますか、老人福祉施設が非常に危機意識をもっているみたいなことがすぐ 来るだろうと思うのです。今の体系だと、たぶん大変なことになる可能性があると思う ので、ポイントが違うかと思うのですが、どこかに触れておいてもいいかなという気が したのです。  吉川座長  かなり大きな問題がポンとでてきてしまったのですけれど、今までにこのことがこの 会議の中ではほとんどでてこなかったことでございます。それから施設の問題というふ うにも考えられますが、課長、何かこれに関してはお考えありますか。  仁木課長  今村委員のおっしゃったことは大変重要ポイントだろうと思います。ただ高齢化とい うことと直に繋がる問題かどうか、必ずしも高齢化と関係なく施設の効率化ということ は必要な論点だろうと思いますので、この報告書の中で触れるということについては、 いかがなものかという気もするのでございますが。  吉川座長  ちょっと難しいのかなという気がしますけれど、今村委員のご指摘は大変重要だろう と思います。これは今後の知的障害者施設の問題としては、大きなことだと思います。  前田委員  今の今村委員とかなり関連があると思うのですが、やはりあまり効率的にものを考え ないほうがいいということは、私はドイツの社会援助法の中にあるのを思い出したので すけれど、障害者に対応する場合には、年齢に関わりなくその障害のニーズに徹底的に 応えることをまず原則にせよというのが、ドイツの社会援助法の中に入っているのだそ うですが、そういうような視点ですね。例えば高齢関係については、できるだけ高齢者 施設を利用するというような考え方がちょっとこの中に盛られているような気がするの ですけれど、この前さんざん言ったから言いたくないのですが、そういう考え方は私は あまり賛成できないので、高齢知的障害者のニーズに十分に応えられるならそれは効率 も考えてもいいけれども、ニーズに応えられないのに効率を重んじて、例えば高齢者施 設を利用するというようなことは、私はあまり賛成できないので、それのところをどこ か助言、はじめになのかあとでもどっちでもいいのですが、あれば先生が今言われたよ うな中の言葉ではない形で、何か書けないないかという気がしたのです。  今村委員  特に聞いてみたいのですが、実際私も施設を2、3経営している中でいつも感じるの は、高齢者問題というのは、施設全体の流れの中で高齢者がでてくるので、高齢者問題 だけひっくるめてというよりも、施設全体の経営の中で高齢者問題を取り組んでいくと いうことが結構必要かなと思うのです。それと今日のこの報告書とちょっと外れている かなという気もしたのですが、一応どこかに触れておいていたらという気がしました。  吉川座長  わかりました。ありがとうございます。今後の施策の方向として、やはり重要なご指 摘をいただいたような気がしますので、この報告書そのものということではないにして も、お考えいただければと思っております。  それでは、特にこの報告書に関して、ここまでのご議論いただいたことで、この報告 書を最終的にまた修文させていただくことになりますけれども、いかがでございましょ うか。 最終的には私ども座長、副座長にお任せいただけますでしょうか、もしそれが よろしければ私たちのほうでお預かりをした上で、事務当局とまた最終的に打ち合わせ た上で事を進めさせていただきたいと思います。それではこれで一応、この議論につき ましては終わらせていただきます。  それでは、最後に今田部長がおいでになっておられますので、今田部長から最後にお 話をいただけますでしょうか。  今田部長  障害部長の今田でございます。大変ご熱心なご議論を聞かせていただきまして、心強 い思いをさせていただいたわけであります。この会、月に1回以上のペースで短期間に こうして立派なご報告をいただくということになって、だいたい私どもの検討会で、こ んなに頻繁に会を進めていただいたケースはありまないのでございまして、大変お忙し いところ、皆さま方には大変ご苦労いただいたのではないかと心からお礼を申し上げた いと思います。  知的障害者の高齢化への対応ということにつきましては、これまでも国会等も含めて いくつかのご指摘もございました。今日おまとめいただきます報告書によりまして、も のにもよりますが、もうすぐ来年度の予算にも入りますので、すぐにでもできることは すぐにでも着手するということで、このご報告の活用もさせていただきたいと思います し、また今後こういったものを踏まえて、さらに突っ込んだ仕組みというものを我々も 考えていった上で、実現に向けるというものもあろうかと思います。  とりわけ今回の課題が、高齢者の、先ほどおっしゃった一般の高齢者の施策と非常に 深く関わる課題について、ご議論いただいたわけでありますし、このたびの介護保険で も介護保険施設の中で、重度の知的障害者がある程度この中に入所されるというケース には加算制度を設けるなどということもございまして、多少介護の知的障害者問題を横 目には見ていただいている、そういう状況であります。あまり横目だけで見ていただく よりも、真っ正面から見てもらいたいところも多々ございますが、その意味では、この 報告書が、顔をこちらにも少し向けたらということが言える一つのきっかけになるよう な気もいたします。しかもこれがひとえに私ども障害保健福祉部だけの課題ということ に止まらず、老人保健福祉局あるいは、ものによれば他の省庁にも深く関わるものがご ざいます。  そういった意味では、この検討を踏まえまして、関係省庁にも働きかけていかなけれ ばならないと思っております。例えば公営住宅の問題につきましては、建設省にも関係 があるわけであります。こういったことから私どもこの提言をできれば、我が部の中に 止めおくのではなく、幅広く障害者施策の充実という視点から、関係の皆さん方にも理 解していただくように私どもも精一杯務めていきたいと考えております。  いずれにしましても、これを今から予算なり実施制度の仕組みなりとして、これから 組み立てていくことになるわけですが、そういった意味から言いますと、これまでご議 論いただきました皆さま方のお知恵をここで終わったということでなく、これからどう やってやるかということについて、改めてまた皆さま方のお力をお借りすることになる わけであります。今後、施策の推進にあたりまして、今まで以上に私どもの施策にご助 言あるいはご意見を賜り、ご指導いただくことを併せてお願いを申し上げまして、非常 にハードなスケジュールの中での報告をおまとめいただいたことのお礼に変えさせてい ただきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。  吉川座長  どうもありがとうございました。それではこれを持ちまして、「知的障害者の高齢化 対応検討会」を終わりにさせていただきたいと思います。  最後になりましたけれども、私のように本当に経験の浅い者を、座長にさせていただ きました。私自身も大変勉強させていただきました。皆さま方の忌憚のないご意見をい ただきましたことと、それから事務当局を務めてくださいました方々、特に課長以下、 大変私にとっても強力なサポートをしていただきました。お陰様を持ちまして、今回こ ういう形で報告書をまとめさせていただきます。最終的には、まだいくつか文章整理が ございますけれども、いずれにいたしましてもこれを6月末までには作り上げまして、 そしてご報告をさせていただくことになります。  この報告に関しましては、各委員の先生方にも当然のことながら前もって文章を差し 上げたいと思っておりますが、また後々までご協力をいただければと思っております。  どうもありがとうございました。   問い合わせ先 厚生省障害福祉部障害福祉課   担 当 轟(内3031)、斎藤(内3038)