00/06/19 第25回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録 第25回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事次第 1.日 時:平成12年6月19日(月) 14:00〜16:00 2.場 所:中央合同庁舎5号館(2階) 共用第7会議室 3.出席委員:高久史麿 (委員:五十音順:敬称略)            軽部征夫 木村利人 柴田鐵治 竹田美文 寺田雅昭        (専門委員:五十音順:敬称略)       雨宮浩 入村達郎 小澤えい二郎 金城清子 廣井正彦 4.意見参考人:岡山大学医学部附属病院      公文 裕巳 教授      那須 保友 講師      藤原 俊義 助手 東京大学医科学研究所附属病院 谷  憲三朗 助教授 5.議 事: <審議事項> 1.岡山大学医学部附属病院(前立腺がん)の遺伝子治療臨床研究実施計画につい て 2.「組織バンク事業を通じたヒト組織の移植等への利用のあり方について(案) 」について <報告事項>   1.遺伝子治療臨床研究の経過報告について     ・東京大学医科学研究所附属病院(腎がん)     ・岡山大学医学部附属病院(肺がん)   2.東京大学医科学研究所附属病院(肝がん)の遺伝子治療臨床研究実施計画の申 請の取り下げについて   3.遺伝子解析研究に伴う倫理問題について   4.その他 6.配付資料 資料1   岡山大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画について 資料1−2 岡山大学医学部附属病院(前立腺がん)の遺伝子治療臨床研究実施計画の 審議経過について 資料2   組織バンク事業に通じたヒト組織の移植等への利用のあり方について(案 ) (第24回(平成12年4月28日開催)提出資料) 資料3   岡山大学医学部附属病院(肺がん)における遺伝子治療臨床研究の経過報 告について 資料4   遺伝子治療臨床研究実施計画の申請の取り下げについて 資料5   「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」について 参考資料  ヒトゲノム研究に関する基本原則について(案)        (平成12年6月14日 科学技術会議生命倫理委員会) ○事務局 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りして おります注意事項をお守りいただきますようにお願い申し上げます。  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第25回厚生科学審議会先端医療技術 評価部会を始めさせていただきたいと思います。 本日は加藤委員、曽野委員、松田委員から御欠席との連絡をいただいております。ま た、柴田委員からは若干遅れて来られる旨連絡が入っております。  また岡山大学医学部附属病院から公文裕巳教授、那須保友先生、藤原俊義先生及び東 京大学医科学研究所附属病院から谷憲三朗助教授に御出席いただいております。  最初に、本日の会議資料について配付の確認をお願いいたします。 (資料の説明と確認)  それでは、部会長よろしくお願いいたします。 ○高久部会長 第25回の先端医療技術評価部会にお集まりいただきましてありがとうご ざいました。審議に入ります前に、堺審議官から一言ごあいさついただけるとのことで す。よろしくお願いいたします。 ○堺審議官 審議官の堺でございます。今年の4月からミレニアム・プロジェクトが始 まるにあたりまして、遺伝子解析研究に関する生命倫理と個人情報の保護の観点から、 昨年11月に、国立がんセンター中央病院の垣添先生を中心として素案の作成をお願いい たしまして、2月の本部会で報告していただきました。その後数回にわたって御審議い ただき、併せて広く国民の皆様からもパブリックコメントというものをいただき、前回 の部会、4月28日でございましたが、「遺伝子解析研究に付随する倫理問題に対応する ための指針」として了承していただいたところでございます。これを受けまして、ミレ ニアム・プロジェクトとして行われる厚生省の遺伝子解析研究に参加する全ての研究機 関及び研究者は、この指針を倫理的、法的及び社会的問題に対応するための指針として 遵守していかなければならない旨を、5月30日に厚生省より関係機関に通知いたしまし た。また、これに先立ちまして「ミレニアム・ゲノム・プロジェクト関係省庁担当課長 会議」というものが、5月29日に行われまして、ミレニアム・ゲノム・プロジェクトで は、この指針を5省庁の基本として遺伝子解析研究を実施するということを合意した次 第でございます。  おかげさまをもちまして、いろいろな御審議の過程、貴重な御意見をいただきまして ありがとうございました。私どもとしても、この指針というものが広くといいますか、 このミレニアム・プロジェクトに関して遵守されるように、また、それが研究者の、こ のプロジェクトを進める際の、いわば常識といいますか、普通の感覚で受け入れられる ように期待しております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。それでは、早速審議事項に入らせてい ただきます。最初の審議事項は、岡山大学医学附属病院 (前立腺がん) の遺伝子治療臨 床研究の実施計画についてです。この件に関しましては、既に平成11年(昨年)9月24 日に、この部会に付議されていまして、そのときに既に、この遺伝子治療研究の社会的 、倫理的な側面についてはいろいろ御審議いただいています。もう1つの面である科学 的な事項についての論点の整理は、この部会の下に設けられました「遺伝子治療臨床研 究作業委員会」で、その審査が終了したということですので、その結果に基づいて本日 御議論を願いたいと思います。まず最初に、公文教授から御説明いただき、引き続きま して、作業委員長の寺田委員から御報告をお願いしたいと思います。 最初に、公文先生、御苦労さまです。簡単に実施計画について御説明をよろしくお願 いします。 ○岡山大学医学部 公文教授 岡山大学の公文でございます。よろしくお願い申し上げ ます。 御承知のように、前立腺がんは、現在米国男性におきまして最も発生頻度の高いがん 腫でありまして、一方、本邦におきましても、現在前立腺がんが最も増加率の高いがん 腫であります。1985年を1とした場合、2015年には4.6 倍になると予想されております 。前立腺がんは、前立腺に限局したがんの場合は根治的に前立腺摘除術の適応となりま す。ですが、本邦ではこの病期の前立腺がん症例は全体の約15%にすぎません。前立腺 の被膜を越えて進展した場合で、遠隔転移のない状態をステージCと申しますが、この ステージCは全体の約4分の1を占めております。この場合、前立腺摘除術を行っても 根治する可能性は低く、40〜60%の症例において、2〜3年以内に局所再発もしくは遠 隔転移が生じます。この局所浸潤がんであるステージCに対する初期治療として、欧米 では性機能障害、主として勃起障害ですが、その性機能障害を避けるために放射線治療 が主に選択されていますが、本邦では、主に手術的ないし薬物的去勢術を中心とする内 分泌療法が選択されております。内分泌療法は約80%の症例に有効でありますが、数年 以内に約50%の症例で内分泌療法抵抗性となりますが、この内分泌療法中の局所再燃前 立腺がんが今回の遺伝子治療の対象となります。現在、内分泌療法抵抗性局所再燃前立 腺がんに対する治療として、抗がん化学療法もしくは放射線治療が選択されております 。しかし、この場合の抗がん化学療法の有効率は0〜29%と低率でありまして、予後を 有意に改善するものではありません。同様に内分泌療法抵抗性局所再燃前立腺がんに対 する放射線療法の有効性に関しましても、2年以内に約75%の症例において再燃を認め ることが報告されておりまして、予後の改善は期待しがたいのが現状であります。した がいまして、前立腺がん患者の予後を改善し得る新しい治療法の出現が待ち望まれてい るところであります。 そこで、今回岡山大学では、この内分泌療法抵抗性局所再燃前立腺がんを対象としま して、単純ヘルペスウイルスの代謝酵素遺伝子でありますチミジンキナーゼ遺伝子を発 現いたしますアデノウイルスベクターを前立腺局所に投与して、がん細胞にこの代謝遺 伝子を導入、その後にこの酵素によって毒性化されるプロドラッグである抗ウイルス薬 ガンシクロビルを全身投与して、チミジンキナーゼ遺伝子が導入されこの酵素を発現し ているがん細胞を、選択的にアポトーシスさせるという、いわゆる自殺遺伝子治療臨床 研究を計画いたしました。  今回の臨床研究は、この自殺遺伝子治療の安全性の検討と治療効果の確認を目的とい たします第I、第II相試験であります。この臨床研究は1996年8月から1997年8月の期 間に米国ベイラー医科大学で実施されました遺伝子治療臨床研究としての放射線治療後 の局所再燃前立腺がん患者を対象とした第I相臨床試験、そのプロトコルとその結果を もとに、同医科大学のTimothy C. Thompson 教授らとともに、岡山大学で実施いたしま す国際共同研究であります。ベクターはベイラー医科大学で作成されたクリニカルグレ ードのものを用いて実施するものでありまして、製造承認を目的とした治験ではありま せん。ベイラー医科大学の第I相試験では、108 PFUという単位の量からスタートし ておりますが、結果としまして、108 では副作用も効果も見られませんでしたので、今 回は109 PFUから開始することとしまして、1010、1011に至る3レベルの治療群を設 置しております。なお、予定症例数は問題となる有害事象が出現しない場合には、合計 で12例、各用量レベルで副作用の出現の有無によって最大18例で検討するという計画に なっております。 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。また後で委員の方から質問があると思 いますので、よろしくお願いします。 次に、寺田委員の方から作業委員会の論点整理についてよろしくお願いいたします。 ○寺田委員 それでは、作業委員会の審査経過を申し上げます。資料1−2がお手元に あると思うんですけれども、これを参考にして説明をさせていただきます。  1ページの一番下の方に書いてございますように、この「遺伝子治療臨床研究作業委 員会」は、文部省の「遺伝子治療臨床研究(がん)審査ワーキンググループ」と合同で 審査をしてまいりました。  ここに第9回と書いてございますが、前立腺がんに関する作業委員会といたしまして は、第1回は昨年の11月30日に開催されました。その第1回におきましては、2ページ の上の方に書いてございますように、全体の概要を先ほどの公文先生から説明を受けま して、それから各委員の作業委員を決定いたしました。決定された委員は、資料1−2 の一番最後の5ページに書いてございます。これが担当分野で、こういう先生方が作業 部会で、それぞれの役目を果たされました。今後の審査をどうするか、それから先ほど 部会長から話がありましたが、この委員会で主として倫理・社会的な面で指摘された点 に関して問題点を岡山大学の方に指摘する。それから第1回目のところで、2ページの 下の書いておりますけれども、3「作業委員会における論点整理の経過及び結果」と書 いてございますが、この第1回目、これが11月30日の作業委員会の内容でございます。 ここに書いてありますように、いろいろな面に関しまして問題点を指摘いたしまして、 それは約40項目に及びました。40項目につきまして、ひとつひとつ岡山大学の方から御 回答をいただきまして、それをもとにいたしまして、第2回すなわち2ページの真ん中 に書いてあります、2) の第10回と書いてございますが、前立腺がんに関する第2回目 の「遺伝子治療臨床研究作業委員会」を開きました。議事概要は下に書いてございます が、実際の内容に関しましては、3ページに書いてあります第2回目、これが本年3月 7日、2ページのところに「平成11年」と書いてございますが、当然これは「平成12年 」の間違いでございます。訂正をお願いいたします。  この内容に関しまして、40項目にわたっての質問に関しましてもお答えをいただいた わけでございますが、それからさらに、その際参考人として公文先生からいろいろ説明 を受けたわけです。その結果回答は、40項目にわたってはほぼ妥当と考えられましたけ れども、ベクターを提供しますベイラー医科大学の品質保証の内容、あるいは米国でや られた臨床研究の内容がどのようになったかというようなことをお聞きいたしまして、 その結果にまた回答をいただきました。その回答をもとにして、委員長が事務局と相談 して判断をする。そういうことで結構であろうという了解を得ました。その結果、2回 目の回答を得まして、それをさらにまた、未だ不明なところがございましたものですか ら、岡山大学の方に質問をいたしまして、それが返ってまいりまして、その結果、部会 としては、この遺伝子治療を施行するのは適切であるというふうに結論を出した次第で ございます。その結果、本日この部会に提出をしているわけでございます。  対象疾患の主なところを申し上げますと、「対象疾患の選定について」ということが ここに書いてございますが、対象疾患は、内分泌療法抵抗性で、骨などに転移をしてい ない、局所に進行した再燃性の前立腺がんを対象にするということで、これは内分泌療 法をやっている途中でPSAが上がって抵抗性を示すものを対象とするということであ ります。  米国で行いましたものは、先ほどの公文先生の御紹介にもありましたように、米国で は放射線治療がよくやられまして、放射線治療後の局所再燃症例で、この場合は、ここ に書いてあります内分泌療法未施行の前立腺がんです。米国の場合とはちょっと対象は 変わっておりますが、そのほかのプロトコルに関しましては、同じであるということで あります。  それから当然のことでございますが、有効性、安全性につきましてはかなりしつこく いろいろなことをお聞きいたしまして、特に御存じのように、遺伝子治療に関しまして は、昨年9月に米国の、これはがんではございませんけれども、OTCという遺伝子欠 損症に対する遺伝子治療で18歳の男の人が不幸な転帰を経たということで、より慎重に 副作用、安全性につきましても質問し、検討をしてまいりました。  米国での症例はどうだったかということは、上から3分の2のところあたりから書い てございますが、18例の患者さんにおきまして、これは米国の例でございますが、1011 PFUのウイルスベクターを投与した後に、1例だけ肝臓障害があった。これはどうも 直接血管内にベクターが入ったせいではないかという解釈でございまして、そのために 今回導入する場合には、画像を使ってより慎重にやるということであります。18例のう ち、前立腺がんのマーカーでございますPSAが3例下がっているということでござい ます。品質管理とか、そのことに関しましては、(3)として書いてあるとおりでございま す。  大変簡単ではございますが、これまでの作業委員会におきます審査経過と、それから 作業委員会としては、この申請内容で施行してもらって結構だという経過をお話しいた しました。以上です。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。今、公文教授並びに寺田委員から岡山 大学から出ています前立腺がんに対する遺伝子治療についての説明がありました。  何か御質問あるいは御意見おありでしょうか。 ○木村委員 今いろいろ詳しく御説明していただきまして、先回もいろいろやったわけ ですけれども、今の寺田先生のところの、資料1−2の3ページ目で「有効性及び安全 性について」のところでございますが、「マウス前立腺癌細胞に」と書いてあるところ ですけれども、これはベイラー医科大学なんですか、それとも岡山大学なんですか。 ○寺田委員 私はベイラー大学だと思っていますが、よろしゅうございますね。 ○公文教授 はい。 ○木村委員 そうだとしますと、この一番最後のところなんですけれども、資料1の176 ページです。175 ページの「期待される治療効果について」から続いているんですが 、これは希望というか、大変いいニュースだと思うんですが、「がんにより肥大した前 立腺が縮小することにより、排尿困難や血尿が改善されることが期待される」と書いて いますね。その次に「局所で(前立腺)治療効果を得ることを目的としたものでありま す。動物実験においては局所のみならず」云々と書いています。この場合の「動物実験 」というのは岡山大学の動物実験なんですか、それともベイラーの動物実験なんですか 。 ○公文教授 ベイラーです。 ○木村委員 そうしますと、動物実験についてはベイラーのものを中心にやっているわ けで、我々バイオエシックスの立場からすると、動物実験においていろんな効果を確か めた上で、人体に使うということが原則になっているわけですが、そのデータについて は日本ではやらないで、全部アメリカのデータに頼っているというふうに了解してよろ しいんですか。岡山大学ではやっていないということですか。 ○公文教授 これは国際共同研究という形でやっておりますので、我々の施設から、隣 にいます那須がベイラー医科大学に行き、今も引き続きベイラー医科大学に研究員を派 遣し、我々のスタンスとしては一緒に仕事をしているという、場所は米国でやっており ますが、仕事としては一緒に研究をしているというつもりです。これからもそのつもり でございます。 ○木村委員 この場合の動物実験、この段落の2行目に出てくる動物実験というのは、 最初に寺田委員長からお話があったように、ベイラーではマウスなんですね。この動物 実験というのは何を使っているんですか。 ○公文教授 動物実験はマウスもありますし、ラットもあります。 ○木村委員 そうしますと、動物実験においては、要するに効果があることは確認され ている。しかし、ヒトでは確認されていないということで、いわばヒトへの臨床実験を 行うという理解で、動物の方はベイラーでやっているということでよろしいわけですね 。 ○公文教授 ヒトの試験につきましても、先ほど寺田先生からお話がありましたように 、対象患者さんは前立腺がんで、初期治療として放射線療法を受けていますが、同じ前 立腺がんの局所再燃という症例に、ヒトで18人治療が終了しております。日本人の方は もちろん今回が初めてです。ですから、ここに書いてある確認されていないというのは 、がん細胞が導入された細胞は必ずアポトーシスするだろうけれども、その周りの細胞 も一緒に死んでいくだろうという、バイスタンダー効果というのが、ヒトにおいて正確 には確認されていないということです。ですから、それは遠隔の部分も含めて、動物実 験のレベルでは、局所を治療することによって遠隔に対しても効果が出ているんですけ れども、そのことについてヒトでは確認はできていないということです。 ○高久部会長 どうぞ柴田委員。 ○柴田委員 先ほどの御説明の中で、アメリカでは放射線治療が一般的で、日本では内 分泌治療が一般的という。同じ病気に対して、日米でこういうふうに違うというのはど ういう理由なんでしょうか。 ○公文教授 先ほども申し上げましたように、内分泌治療をしますと、性機能障害が出 現します。これは男性ホルモンを下げる治療が内分泌療法になりますので、日本人の患 者さんは比較的そのことについて受け入れがよろしいんですけれども、欧米の方は、そ れは絶対にうまくないという治療になります。ここで不思議なのは、今回、放射線治療 後の再燃が、その患者さんはホルモン治療をすれば、この遺伝子治療よりも、もしかし たら確実性のある治療ですが、それでもやはり内分泌療法、去勢術というような形の治 療は受けたくないというのが彼らの反応だと思います。 ○柴田委員 治療効果ではなくて、むしろ患者の意識の違いの問題だというふうに理解 してよろしいですか。 ○公文教授 ですから、QOLという観点から性生活ということに対する重きの置き方 が日本人と欧米人とでかなり違うということに起因しているんじゃないかと思います。 ○高久部会長 金城委員どうぞ。 ○金城委員 そうしますと、日本の場合はどうして放射線治療が行われないのかという ことなんです。放射線治療と内分泌治療とどちらの方がより効果的というふうに評価さ れているんでしょうか。 ○公文教授 これは間違いなく内分泌療法の方が効果が高いです。 ○高久部会長 今までは内分泌治療、放射線までですね。外科は別ですが、放射線治療 は内分泌治療が効かない人にというのが原則ではないでしょうか。 ○公文教授 ですから、効果という点でいけば、内分泌療法があり、その後に放射線治 療法があるものだということになるかと思います。 ○金城委員 そうすると、日本の場合には内分泌治療をした方に、さらに本臨床試験と 、それからもう1つは放射線治療をやるということも考えられると思います。その点に ついてはどうなさるんですか。 ○公文教授 今回は内分泌治療をされ、放射線治療も受けている方も対象にしています 。ですから、今回の主眼は内分泌治療が少なくともやられている。放射線治療もやられ ていてもいいですし、内分泌治療は必ずやられていて、最も有効であろうという内分泌 治療がされたにもかかわらず再燃をしてきた患者さんを対象としようというふうに考え ています。 ○金城委員 わかりました。そのときに、放射線治療というのは、内分泌治療に比べれ ば余り効果がないだろうということなんですが、被験者の方はこれについて選択ができ るんですか。この治療を受けるか、それとも放射線治療を受けるかということについて の選択なんかはどうなっておりますか。 ○公文教授 もちろん放射線治療という選択肢が、ある意味では優先されるべき治療だ とお考えています。ですから、当然そういう御説明もいたします。 ○高久部会長 ほかにどなたか。 ○小澤委員 ちょっと専門的になるかもしれません。PSAが50%以下に降下したと。 PSAというのは確かに特異タンパクであって、それはそうなんでしょうけれども。し かし、これは絶対値でどのぐらいだったんでしょうか。大体ハイパートロフィーでも1 0くらいまではいくというふうに素人なりに聞いていますけれども、これが下がるとい うことが臨床症状がどうなるとか、あるいは生命体の予後に対する影響とか、そういう ものについての意味付けまで下がったということについてどういうふうに言えるんでし ょうか。 ○公文教授 これから診断を始めるときに、PSAの数値がどのぐらいで、肥大症であ るだとか、がんだとかいうことが当然ありますが、がんという状態になりまして、内分 泌治療がされている状態になりますと、通常PSAは必ず正常値以下に下がってまいり ます。そこから再度上がってくるのは、正常な前立腺の肥大だとかそういうことではな くて、やはりがん細胞の増殖そのものを反映している。そういうことになりますから、 ここで内分泌療法後の再燃という形で、PSAを使っているときには、がんの増殖を直 接的に見ているというふうに考えております。 ○木村委員 今の関連ですと、先ほども質問しようと思ったんですが、33ページのとこ ろなんですが、資料1です。「付記」というところの中に、ベイラー医科大学が出てく るんですけれども、「ベイラー医科大学の試験ならびに文献的には」と書いてありまし て、一番最後の行は「治療効果判定には問題無いと判断される」と。今お答えいただい たことと関連していると思うんですけれども、この場合の治療効果の評価方法及び評価 基準ということに関連して、ベイラー医科大学の試験というのは、具体的には「試験な らびに文献的」と言っていることの内容、これは何なんですか。「ベイラー医科大学の 試験ならびに文献的には」というのは具体的に何を指しているんですか。 ○公文教授 これは第1相試験という試験がありまして、そのことが医学ジャーナルに 公表されておりまして、その公表されているデータという意味が「文献的」という意味 になります。 ○木村委員 それは資料としてもちろん付いているわけですね。 ○公文教授 はい。この資料の中には付いておりませんが、我々の申請書の中には、す べてそういった文献を付けております。 ○木村委員 それは寺田先生の小委員会では全部ごらんになって検討したわけなんです ね。 ○寺田委員 もちろんそうです。 ○木村委員 もう1つよろしいですか。 ○高久部会長 どうぞ。 ○木村委員 一番最初のところなんですけれども、6ページなんですが、大変にいろい ろ詳しく書いていただいて、安全性というのは、先ほど寺田先生がお話しになったよう に、アメリカでも大きな問題になっていまして、死亡するという、これはインフォーム ド・コンセントその他の関連もありましたけれども、家族の方が非常に失望したという こともありまして、担当の遺伝子治療をやっていた研究者は、実際に臨床研究ができな くなるということになっているわけなんですが、ここの安全性のところで非常に大事な ところなんですが、下から5行目ですけれども、「大量製造過程では相同組換えにより ある程度の確率で野生型アデノウイルスが生じてしまうことは避けられない」と書いて あるんです。避けられないんでしょうけれども、ある程度の確率の内容がちょっとはっ きりしないんですが、これは具体的には何%ぐらいなんですか。 ○公文教授 109 で1個というふうな確率なんですけれども、一応基準としてはそうい う形になっております。実際には、今回死亡例が出たということは、アデノウイルスそ のものが血中の中で高濃度に存在すると毒性を示す。そちらの直接的な、一過性の、急 性期といいますか、そういうことで直接的な効果が非常に大きいと思うんです。ですか ら、こういう形で出現してくるであろう増殖性のウイルスというのが、死亡例だとか、 そういうことにつながったことではないんだと思います。 ○木村委員 これとは違うケースなんですね。 ○公文教授 はい。 ○高久部会長 よろしいでしょうか。寺田委員がおっしゃったように、アデノウィルス という問題点がありますが、対象になっている患者さんが、いろんな治療法に抵抗性に なった進行性のケースの前立腺がんに対する遺伝子治療ですし、既に社会的あるいは倫 理的な面に関しては議論いただいています。科学的な面につきましても、寺田委員を長 とする作業委員会で、岡山大学で実施することについて妥当であるという結論が出てい ますので、ここで御異論がなければ、厚生科学審議会の会長にその旨を報告して、最終 的には厚生大臣に答申することになると思いますが、よろしいでしょうか。 ○木村委員 もう1点だけお伺いしたいんですけれども、これが最後になりますけれど も、バイオエシックスの基本原理の守秘義務、安全性守その他いろいろ詳しくお書きい ただいているわけで、これは大変結構だと思うんですが、最後の175 ページのところで すけれども、いろいろな予測されない事態が起こるということをお書きいただいて、そ れからその前のところもそうですけれども、守秘義務のことについてもいろいろお書き いただいているわけですが、ベイラーの方には、守秘義務のことを書いた続きに、特に この治療が新しい方法であるために報道関係の興味の的となって、プライバシーが侵害 されることもあり得るということを患者側がある程度知っている。しかし、実際に個人 的なことを話さないんだけれども、そういうことがあり得るということを認識している というふうにベイラーの方に英文で書いてありますが、岡山大学の方はプライバシーの 保護というだけで、特に報道関係云々ということがないかと思うんですけれども、その 点についてはどういうふうな対応をしているんでしょうか。 ○公文教授 基本的にすべての例でそうなんですけれども、患者さんの個人情報につい て、報道機関に何かを申し上げるということは岡山大学として一切しておりませんので 、このケースもそういうふうに対処するつもりでございます。 ○高久部会長 よろしいですか。  それでは、この治療について、先ほど申し上げましたように、厚生科学審議会の会長 を通じて厚生大臣に答申したいと思います。公文先生どうもありがとうございました。 御苦労さまでした。 それでは引き続きまして、議題の2番目であります「組織バンクを通じたヒト組織の 移植等への利用のあり方について (案) 」について。これは前回野本教授に来ていただ きまして、いろいろ御報告願ったわけですが、前回の議事等を含めて事務局の方から説 明をよろしくお願いします。 ○保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室 朝浦室長 それでは、前回の議論の概 要について御説明をいたしたいと思います。 前回の部会におきましては、専門委員会の野本亀久雄座長から案につきまして御説明 をした後に、主に委員の先生方の方から臓器移植法の見直しとの関連及び専門委員会の 公開の実態に関する点を御指摘いただきました。 まず、ヒト組織の移植の問題につきましては、本年10月の臓器移植法の見直しの議論 の過程で検討していくことについてどのように考えるのかという御指摘をいただきまし た。次に、ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会につきまして、専門 委員会の議論がどのような形で公開されたのかという御指摘、それから専門委員会の傍 聴にはどのぐらいの人数が来たのかという御指摘、それから専門委員会開催のアナウン スはどのような形で行ったのかということについて御指摘があったところでございます。  この点につきましては、厚生省のホームページを通じて行事予定に掲載していなかっ たということでございまして、この点については、この場をおかりましてお詫びを申し 上げたいと思っております。今後このようなことがないように十分気をつけてまいりた いというふうに考えております。また、専門委員会の傍聴の人数でございますけれども 、この点につきまして確認をいたしましたところ、正確な記録が残されておりませんで した。なお、この他にこの報告書案の対象となるヒト組織の範囲はどういうものを指す のかといったような御質問をいただいております。 最後に、臓器移植法の附則に関しまして御説明をしたいと思います。臓器移植法の附 則の第2条、第1項におきまして、このような規定がございます。この法律による臓器 の移植については、この法律の施行後3年をめどとして、この法律の施行の状況を勘案 し、その全般について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべ きものとするという規定がございます。臓器移植法の施行が平成9年の10月16日でござ いますので、本年の10月がまさに施行後3年に当たるわけでございます。現在この臓器 移植法をめぐる問題につきましては、関係学会等において議論の場が設定されたばかり でございまして、今後非常に関心の高いものでございますので、国民各層において議論 が展開されていくものというふうに事務局としては考えております。 以上で事務局からの御説明を終えたいと思います。 ○高久部会長 今、朝浦室長から説明がありました様に、前回の部会で臓器組織バンク の事業を通じた組織の移植等への利用のあり方について御議論いただき、その時にも御 指摘がありましたが、臓器移植法案の見直しの状況を見てから、利用のあり方について 慎重に対応した方がいいのではないかという御意見が出たと記憶しています。 その後、私の方に個人的に寄せられた御意見もいろいろありました。そういう御意見 を拝見いたしますと、この場ですぐに結論を出すのではなくて、臓器移植法案の見直し の状況などを見ながら中長期的な展望に立って、この問題を検討する方が良いのではな いか。そういうふうに判断しています。この点について何か御意見はおありでしょうか 。 ○木村委員 朝浦室長の方から今はっきりとお答えいただいて、正直にこれは公開され ていなかった、人数についても確認できないと言っていただいたことは大変評価したい と思いますが、この問題につきましては、国民の間に大変に大きい関心があると思いま す。それで脳死の問題をはじめ、薬害エイズの問題とかいろんな事柄が次から次へと起 こって、現在、病院の度重なる医療事故とかいろいろございまして、国民が医療、特に 先端医療技術に対して大変に深い関心を持って、できれば当然の権利として、公開され た場所で論議をしていくのは当然であるというふうに思っている。まさにそのただ中に 我々は生きているわけでございますので、公開ということが閣議決定で審議会の原則と なっている現在、朝浦室長の言われたように、できればという範囲内ではなくて、ぜひ これは国民に公開された形で、そしてまた何人出て、どういう分野からどういう人が出 ているかという情報も厚生省側としてはきちんと持って、今後ぜひ対応していただきた いと思います。そうしませんと、特にヒト組織の移植というのが、部会長からお話がご ざいましたように、臓器移植法との関わりで大変に大きいテーマとして、これは体がば らばらにされて、また、あっちこっちいろんな形で密かに使われることになったら大変 だというふうに、国民は素朴に、真剣に、また熱心に討議しようと思って考えているこ ともあるわけですので、是非そういう開かれた、しかも、いろんな形で公開された審議 、国民が参加できるような審議を今後前向きに御検討いただきたいと思います。この点 について朝浦室長にお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。 ○朝浦室長 専門委員会の議論につきましては、先ほど申し上げましたとおり、会議の 公開の告知の部分において、私ども不手際がございまして、皆様方に御迷惑をかけたこ とについては重ねておわび申し上げたいと思いますし、今後またこういった形で仮に御 議論が展開されるとすれば、公開という面については最大限配慮して事務局としては進 めさせていただきたいと思います。 ○高久部会長 ほかにどなたか御意見おありでしょうか。柴田委員どうぞ。 ○柴田委員 今の公開の議論に疑問があって、私、その小委員会に入っていたものです から、論議に参加して、いわゆる告知の面で瑕疵があったことについては全く知りませ んでしたけれども、現実の論議ではこういうように公開でされたということと、かなり の傍聴人の方が聞いておられたことも間違いない事実で、その中で非常に熱心な討議が されたということだけ、全く公表されなかったような、こっそりやったというような感 じに受け取られてはちょっとこれは心外だと思うんです。それが1点です。ただ、告知 の面で瑕疵があるというのはよくないですから、来たかったけれども、行けなかったと いう人が出てくるのはよくないと思いますので、それはいいんです。 もう1つは、本来、ヒト組織の倫理面の検討というのは、本当は臓器移植法よりも前 にすべき議論だったと思うんです。私はそのときの会議でも冒頭で申し上げたんですが 、順序は本来逆なんじゃないかという感じがしました。だから、そういう意味では遅れ ばせながらの論議だったということもあってか、大変論議を急いだということは確かな んです。非常に短期間に何回も開いて行ったという事実があります。そういう意味では かなり急いだということはありますけれども、明らかに臓器移植法よりもそっちの論議 の方が先で、その上に臓器移植法がのるというのが本来の姿だとは思うんです。そうい う意味では歴史的にちょっと順序が違ったなという感じは残っているんですけれども、 今からでは取り返せないことですから、それは仕方がない。そういうことから言えば、 臓器移植法の見直しが目前に迫っているので、それまで待ちましょうというなら、私は それで結構だと思います。そこまで急いで前後のちぐはぐがまたまた起こってくるより は、今となってはそうした方がスムーズではないかという点で、その点については、そ れで結構だというふうに意見を申し上げたいと思います。 以上です。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。木村委員どうぞ。 ○木村委員 部会長にお伺いしたいんですが、この「組織バンク事業を通じたヒト組織 の移植等への利用のあり方について (案) 」となっているんですが、これは本日ここで 審議して、この案が通ったということになるんですが、それとも、これは参考資料で出 て、手元に置いておけばいいのか、これを手がかりにして、この次の論議にするために 今日ここでこれを通すとか、そういうことになるんですか。 ○高久部会長 これは参考のために置いているだけでして、先ほども私が申し上げたよ うに、国会の状況などを見て、その後で議論をしたいと思います。この資料2は、前回 も出たものでして参考として置いているだけです。 ○木村委員 要するに、これは「参考資料」ということですね。 ○高久部会長 これに「参考」を付ければそうなると思います。 ○寺田委員 木村委員が言われたのは、この審議事項の中に、こういう「(案)につい て」と書いてあるからちょっと誤解を招くので、これはそうではないということをきち んとしていただければと、そういうことですね。 ○木村委員 そうです。 ○高久部会長 まさしくそうです。  柴田委員がおっしゃったように、本来この問題はもっと早くから議論をすべきであっ たと私も思います。しかも、重要なテーマですから十分に時間をかけて、一般の方々の 御意見をインターネットなどを通じて広く求める。そういう形でできるだけ多くの方の 御同意をいただける形であり方をまとめたいと思います。そういう意味で少し時間をか けながらゆっくり検討する必要がある。しかし、現実に行われている事がありますので 、そこのところは状況を見ながら適宜対応をしていく必要があると思います。木村委員 、少なくとも今日は何も決めないということで御了解いただきたいと思います。よろし いでしょうか。 それでは、次に報告事項の方に移りたいと思います。遺伝子治療臨床研究の経過報告 について、まず最初に、東京大学医科学研究所附属病院の腎がんについて、東京大学医 科学研究所附属病院の谷先生よろしくお願いします。 ○東京大学医科学研究所 谷助教授 本日はよろしくお願いいたします。それでは、ス ライドを使って御説明させていただければと思います。 腎細胞がんに対する免疫遺伝子治療臨床研究を現在実施中です。本臨床研究の目的は 本治療法の実施可能性と安全性の評価、免疫学的効果の評価、並びに抗腫瘍効果の評価 、という3つからなっています。GM−CSFを導入しました自家腎がん細胞を培養し 、それを患者さんの皮内に接種することで、皮内の特異的抗原提示細胞である樹状細胞 を活性化し、これを介して抗原が提示されてCD4陽性リンパ球、ひいては細胞障害性 Tリンパ球(CTL)の活性化が起こり抗腫瘍効果をもたらすということが期待されて います。  具体的には腎がんのある側の腎臓を摘出しまして、医科学研究所の臨床細胞工学室で 培養し、米国のセルジュネ社から提供されていますレトロウイルスベクターを用いてG M−CSF遺伝子を導入後、さらに培養し、大量の放射線を照射します。この段階のサ ンプルについて安全性の評価を米国で行います。すなわち、細菌、真菌、マイコプラズ マ、エンドトキシン、複製可能レトロウイルスを含まないという、5項目について確認 された後に、凍結保存してあります遺伝子導入細胞を解凍しまして患者さんの皮内に接 種します。 現在まで3名の患者さんに対して臨床研究が行われました。そのうち、第3例目は現 在接種を継続中です。第1例目は60歳の男性。診断が1998年8月になされた右腎がんの 多発性肺転移並びに肝臓への直接浸潤を持つ全身状態が0から1の患者さんでした。 第2例目は71歳の男性。診断が1998年12月になされ、右の腎臓がん、仙骨への転移を持 つ患者さんで、全身状態は0から1でした。第3例目は57歳の女性。診断が1999年10月 になされ左腎臓がん、多発性の肝臓転移と診断され、肺にも転移が疑われました。肺転 移に関しては現在フォローアップ中で、まだ確定診断はついていません。肝臓転移に関 しましては術中診断が行われました。全身状態は0でした。 なお、2例目と3例目の間に候補となる患者さんが1名いらっしゃいましたが、その 方の遺伝子導入腎がん細胞からは規定量のGM−CSF産生が認められなかったため、 除外症例となりました。第1例目、第2例目並びに第3例目の各患者さんともにGM− CSFの産生は規定量を満たし、1バイヤルが2×107 個の細胞を含む培養細胞バイア ルを各々16バイヤル、19バイヤル、並びに22バイヤル作製できました。 作製しました遺伝子導入細胞の安全性は、米国のバイオリライアンス社において、上記 5項目について問題ないという報告を受けた後、患者さんに接種しています。 第1例目の患者さんでは、規定の6回の接種後も、臨床的背景並びに患者さんの御希 望により学内IRBで審議の後、追加接種が4回認められ、総計2.2 ×108 個の細胞を 接種致しました。 副作用としては、第1例目の患者さんで微熱が出ましたが、その他に全身性の著しい 副作用は認められず、ワクチン接種局所の発赤、掻痒感、硬結を認めるのみでした。こ れらの症状も2日目をピークとして自然に軽快致しました。 患者さんの体内で細胞性免疫の変化を検査するために、患者さんの培養腎がん細胞を 皮内に接種して、それに対する反応を見ましたが、第1例目の患者さんでは、このよう に腫瘍細胞を接種したところに特徴的に陽性の皮内反応を認めました。ただし、正常の 腎細胞を接種した部位にも多少の反応を認め、この交叉性に関しては培養関連蛋白質に 由来するか、もしくは正常腎細胞に対する交叉反応の可能性があります。後者の場合、 残った正常腎臓への自己免疫反応が懸念されますが、腎障害等はその後の第2例目、第 3例目も含めて出現していません。これ迄の結果から皮膚反応検査の結果は抗腫瘍免疫 効果をある程度反映している可能性があるものと考えています。 第1例目の患者さんには、10回の接種が終了した段階で脳に小転移が認められました 。今回のプロトコールでは、脳転移を有する場合は対象患者となりませんので、この段 階で追加接種を終了し、5月10日に共同研究施設である筑波大学の泌尿器科に転院され ました。そちらでガンマーナイフを用いた脳転移箇所への照射が行われました。その後 、5月21日にTh9部分にも転移巣が見つかり、疼痛のために同部分に放射線照射と現在 腎がんの保険適用となっているIL−2の全身投与が開始されました。しかし6月6日 から下肢対麻痺が生じました。なおIL−2の全身投与は7月7日まで行われました。 患者さんは残念ながら全身への転移が進行し、昨年の7月8日に永眠されました。  これが全体の経過図ですが、10回のワクチン接種を行い、腫瘍の増殖曲線はワクチン 接種後よりやや弱まる傾向はありましたが、全体として腫瘍は次第に大きくなりました 。その後よりIL−2の全身投与が開始され、1ヶ月後には最大の腫瘍病変が30%程 度小さくなりました。  これが医科学研究所を退院される4月末の段階の胸部写真ですが、この右肺門部にあ る最大の腫瘍病巣サイズを三次元的にCTで数値化したのが先ほどの図です。これに加 えて多発性の転移を認めます。  これがIL−2を投与して約1週間目の写真ですが、この部分がやや薄くなってきて います。  約1か月目には、右肺門部の最大腫瘍巣はCT上30%程度小さくなりまして、その後 の剖検所見でも壊死により腫瘍が小さくなったことが確認されました。ただし、このよ うに胸水の貯留並びに他の小転移巣の出現を認めました。  お亡くなりになった後に患者さんの御家族の御厚意で剖検が許可されました。筑波大 学において死亡同日に行われました剖検の結果をお示しします。右腎細胞がんの転移病 巣のうち、右の肺門部に最大の転移病巣、7×6.2センチがあり、組織型は原発巣は明細 胞がんでしたが、この部位は顆粒細胞から混合型でした。なお、転移病巣における組織 型の変化は腎がん症例に時折認める所見であるとの病理医の判断でした。30%縮小しま した壊死部分の周辺にCD8陽性のリンパ球の浸潤を認めました。ただし、本リンパ球 がいわゆるCTLであるかは確認できませんでした。肝臓の転移病巣中にも同様に壊死 巣があり、同部にもCD8陽性のTリンパ球の浸潤を認めました。残りの多発性の転移 部位に関しましては、リンパ球の浸潤は認めましたが、CD8陽性Tリンパ球の浸潤は 著明ではなくCD4リンパ球浸潤が主でした。このスライドが壊死層の周辺に浸潤して いましたCD8陽性のTリンパ球です。  その他の剖検所見ですが、肺の両側以外にも、すい臓、十二指腸、左腎臓、胸膜、横 隔膜、リンパ節に転移が見られました。急性腎尿細管壊死も認めましたが、病理学的に は本所見は死亡前のショック状態に由来する変化であり、今回の臨床研究に伴う自己免 疫疾患との関連性はないであろうとの診断でした。その他、消化管出血、慢性甲状腺炎 、慢性膀胱炎と診断されました。  in vitroでのTリンパ球の機能解析を行いました。残念ながら第1例目の患者さんで は、ここに示すように自己の培養腎がん細胞に対する末梢血中の障害性リンパ球(CT L)活性は徐々に低下しました。 IRー2等への反応性検査結果による免疫反応は6回目をピークに上昇しました。しか し、腫瘍量が多くなるに従って次第にこれらの免疫反応も低下しました。  局所に浸潤したTリンパ球のクローン解析を行いました。先ほどのin vitro免疫反応 の検査結果は末梢血Tリンパ球に関して行いましたので、必ずしも腫瘍局所のTリンパ 球の状態を反映しているとは言えません。そこで局所に浸潤しているTリンパ球を対象 にT細胞のクローン性解析をPCR/SSCP法を用いて行いました。右肺門部の腫瘍 が小さくなった部分にはVβ鎖17及び21を持ったTリンパ球が腫瘍が小さくならな かった部位と比較して多く浸潤していました。しかも、このTリンパ球は後々自壊した 皮膚転移巣、並びに培養腎がん遺伝子を接種した皮内反応(DTH)部位にも認めまし た。ただし、このTリンパ球がCTL活性を持っていたかどうかに関しては、現在検討 中です。  2例目、3例目に関しましては、簡単に御報告させていただきます。2例目は70歳の 男性で、3.7 ×108 、計17回の接種を行いました。同患者さんは仙骨部分に大きな腫瘍 (6×6センチメートル程度)を認め、仙骨部分に痛みが強かった為、30グレイの中等量 の放射線を照射致しました。その後規定とおり1か月以上の冷却期間を設け、右腎摘出 2か月後にワクチン接種を開始しました。ワクチン接種後5回目頃より同部の疼痛は軽 減し、モルヒネ剤の使用を中止できました。腫瘍マーカーであるIAPが接種前には上 昇していましたが、現在は正常範囲に維持されており、全身状態は良好のまま経過され ております。腫瘍病巣へのタリウムの取り込みも低下してきました。 CT所見上、仙骨病変部位には5月17日ワクチン接種前には腫瘍血管の増生が見られ ましたが、2月7日の17回のワクチン接種終了後には腫瘍血管の増生が著しく低下し た所見を認めました。自己培養腎がん細胞に対するCTL活性はワクチン接種2回目以 降から上昇してきており、そのまま維持されました。  第3例目に対しては、現在まで8回の接種が行われており、さらに追加接種を行う予 定です。同患者さんには、多発性の肝転移があり、ワクチン接種開始より約3ケ月間の 経過では腫瘍サイズ経過評価上、現在の規約では安定期です。  まだ3例の経験ではありますが、これ迄の結果をまとめますと、安全にGM−CSF 産生量が規定を満たす遺伝子導入、自家腎がん細胞を作製できました。同細胞を安全に 患者さんに接種できました。各患者さんでDTH反応を含む科学的に評価可能な免疫反 応を検出できました。  自家腎がん細胞に対するCTL活性を持つことが長期に観察できた第2例目の患者さ んでは、転移病巣サイズは変化せず、良好な臨床経過をたどっています。しかし一方で 多発性転移例に対しては本法での臨床効果の限界が示唆されています。今後、他の免疫 療法との併用、例えば第1例目で行ったIL−2との併用や、より早期の段階にある患 者さんへの接種も考慮すべき課題であろうと思われます。  以上現況を御報告させていただきました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。どなたか御質問はおありでしょうか。 ○寺田委員 第1例目のIL−2単独で、腫瘍の周りにCD8の細胞の浸潤があるとい うのは、文献的には増えるという話はあるわけですか。 ○谷助教授 散発的にはあります。ただ、一般の腎がん患者さんの場合においても、剖 検時にCD8のリンパ球浸潤を腫瘍局所に認める場合もあるということを、担当病理医 師から指摘されていまして、今回の所見が遺伝子治療や、IL−2投与に起因するもの かどうかに関しては不明です。 ○寺田委員 確認ですが、第1例目で腫瘍はずっと小さくなっていますね。あれはIL −2をやった後ですか、やる前は大きかったのですか。 ○谷助教授 IL−2を投与いたします前の、退院時の段階では、1枚目のスライドで 御説明致しましたように、非常にまだ大きい状態でした。IL−2投与後5日目ぐらい から次第に縮小化してきました。 ○木村委員 東大の医科研の腎がんについては大変にマスメディアも注目して、第1例 の患者から、大きい一面のニュースになったりしたわけですが、プライバシーを守ると いう方向で御検討いただいたということは確かでありまして、これはいいことだと思う んですけれども、岡山大学の先ほどの話ですと、マスコミには一切情報を流さないとい うことでしたが、東京大学医科学研究所附属病院の場合には、そういう意味では割に国 民に、先端医療技術というものがどういう内容で、どういうふうにやっているかという ことを理解しようという姿勢が私には見えたように思うんですけれども、その点、浅野 院長も非常に忙しかったと思うんですが、何か特にマスコミへの対策というようなこと はお考えなんですか。 ○谷助教授 我々を介してマスコミの担当の方から患者さんと直接お話がしたいとか、 お手紙を渡してくださいとかいったお話がありました。しかし、がんが転移した状態の 患者さんが対象になっていらっしゃいますので、我々としましては患者さんのプライバ シーの保護を第一と考え、患者さんが良い状態で退院された後、良好な状態の患者さん の方から、マスコミへ状況を公表したいとのプロポーズがあった場合にはお願いすると いう方針で臨ませて頂きました。 ○木村委員 治療の内容については非常に具体的にいろいろ、例えばテレビとか、マス コミの報道に登場しましたが、それは谷先生の場合も浅野院長の場合も、相当積極的に そういうことを知ってもらおうという意図があったわけですね。 ○谷助教授 私共の方針としては開かれた医療を行うと共に、患者さんのプライバシー の保護を第一義的に考えました。従って報道の方が病室にお入りいただくのは私共とし ては避けさせて頂き、第三者の同室のもと私共が患者さんの了解を得た後、プライバシ ーに触れない範囲での写真撮影させていただき、報道の方にそれらを使用して頂きまし た。 ○木村委員 全般的に脳死の場合もそうなんですけれども、患者のプライバシーの問題 と、それから医療の公開性の問題というのは、いろんなバランスの面で問題が出てくる と思うんですけれども、その点についてやはり前向きで、医療の公開ということで、担 当の方々がきちんとマスメディアの方々に説明するという方向をできる限りとるという ようなことでいってもらいたいなというのが私の印象でして、その点については東大医 科研、今回のケースは比較的評価できたのではないかというふうに思いましたが、そう いうことに関連して、マスコミだけじゃなくて、一般の方からのアプローチとか、そう いうのはございましたか。 ○谷助教授 厚生省・文部省よりの承認を得ました98年8月頃から現在迄の約2年間に 、約90人の患者さん、もしくは御家族の方からお問い合わせがありました。その中で腎 がん患者さんは約30名でして、その中でも今回の適応基準を満たされる患者さんの数 は僅かでしたが、我々としましては、できる限り御希望頂いた患者さんに詳細な内容を 先ず御説明したかったために、電話上ではなく関東近辺の方は外来に来ていただき直接 御説明を詳しくさせていただいております。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。時間になりましたので。 それでは次に、岡山大学医学部附属病院での肺がんの遺伝子治療について、藤原先生 よろしくお願いいたします。 ○岡山大学医学部 藤原助手 岡山大学の藤原です。本日は総括責任者の田中の方から 御説明をさせていただく予定でしたが、どうしても抜けられない教授会が入ったという ことで、分担研究者の私の方から御報告させていただきます。 一昨年の本部会で実施を御了承いただきました「非小細胞肺癌に対する正常型p53 遺 伝子発現アデノウイルスベクター及びシスプラチン(CDDP)を用いた遺伝子治療臨 床研究」の経過報告であります。  昨年の3月から治療を開始しまして、現在までのところ6例の患者さんに治療を試み ております。資料3をごらんいただくとそれぞれの患者さんのサマリーを書いておりま す。現在までのところ6例の患者さんに試みておりまして、5例の男性患者及び1例の 女性患者さんで、男性患者さんはすべて扁平上皮がんであります。1例の女性患者さん は腺がんであります。いずれの患者さんも前治療を受けておられまして、肺がんの標準 治療であります化学療法、放射線療法あるいは手術、レーザー療法などを受けておられ まして、それらの治療が無効であったか、あるいは有効であったけれども、再発を来た していた症例であります。  治療前に組織の検索を行いまして、p53遺伝子に異常があることは確認できておりま す。これらの患者さんに気管支鏡あるいはCTガイド下の投与によりまして、Ad5CMV-p5 3といいますアデノウイルスベクターを腫瘍内に局所注入しております。最初の3例は ベクター単独投与であります。4例目の患者さんからはシスプラチンという抗がん剤を 全身投与する化学療法を併用しております。基本的には6回の治療が原則でありますが 、後でお示ししますように、最初の1例目の患者さん、2例目の患者さん、4例目の患 者さんでは、臨床的にQOLの改善が見られるような効果がありましたので、御本人及 び家族の御希望で6回を超えて治療を継続しております。  次に、副作用に関してですけれども、これはお手元の資料には入っておりませんけれ ども、現在まで6例の患者さんに42回のベクター投与を行っております。それで最も高 頻度に見られた副作用は一過性の発熱であります。これは40度を超えない、大体グレー ド2、38度台の発熱ですけれども、投与から24時間以内に一過性に見られております。 しかし、特別な解熱処置を施さなくても翌日あるいは24時間後には軽快しております。 後半の3人の患者さんでは、シスプラチンという抗がん剤を併用しておりますので、そ の抗がん剤由来と考えられます嘔気、嘔吐、顆粒球の減少などの副作用が見られており ますが、それぞれの患者さんは以前に2剤から3剤の標準的な抗がん剤治療を受けてお られまして、そのときに比べると楽であったと言われております。また、4例目の患者 さんでは、CTガイド下の投与を行っておりますので、経過中に気胸が3度ほど見られ ておりますけれども、特に外科的処置を必要とすることなく、保存的に軽快しておりま す。そのほか、高い確率を持って発生します重篤な副作用というのは、現在までの経過 中に見られておりません。したがいまして、本治療は比較的安全に治療できるのではな いかと考えております。それぞれの患者さんの経過につきましては、お手持ちの資料の ところに時間的経過を示しておりますので、ごらんください。  次に、臨床効果について1例ずつ御紹介していきます。  まず1例目の患者さんは、気管の分岐部に非常に出血しやすい腫瘍がこのようにあり まして扁平上皮がんであります。この患者さんに3ccのベクター液を注入しましたとこ ろ、2日後から腫瘍の形がこのように変わりまして、2週間後、1か月後には、この腫 瘍の部分が掘れ込んで、腫瘍が崩れているのがわかります。さらに長期的に見ますと、 この治療を基本的に1か月に1回繰り返すわけですけれども、治療前には左の気管支が 閉塞するような腫瘍が見られましたが、それが退縮してきまして、4回治療後の5か月 後にはこのように、こちらもはっきりと気管支が開通しているのがわかりますし、肉眼 的には腫瘍がかなり無くなっているのがわかります。ただ、この時点で組織をとってみ ますと、顕微鏡的には残存の腫瘍があるという結果でした。このいい時期が約五、六か 月続いたんですけれども、こちらの最初腫瘍が見られたところに少しずつ腫瘍が再発し てきまして、しかし、その部分に注入を行いますと崩れるということを繰り返しまして 、この時点では治療前には激しく見られた血痰がほぼ完全にとまっておりまして、その 状況が五、六か月続きました。ところが、今年になって治療を続けていたんですが、な ぜか反応性が鈍くなってきて、2月、3月と腫瘍が次第に大きくなってきまして、最終 的には14回の治療を行った後、本年の3月に、この部分に金属性のステントという管を 入れまして、気管支が閉じるのを防ぐような処置を行いました。その時点で臨床試験は 終了しておりまして、現在、神戸の紹介医の病院の外来で経過を見ておられます。 次に、第2例目の患者さんですけれども、左肺下葉に非常に大きな腫瘍がありまして 、左の下葉にいく気管支が完全に閉じております。それが2回の気管支鏡下の投与を経 まして、この部分が腫瘍ですが、中の黒く見えているところが腫瘍が崩れた部分で、さ らにそこへつながる気管支が一部開通するような変化が見られました。それを気管支鏡 で観察いたしますと、これが治療前と治療後ですが、治療前にはここに盛り上がってい る腫瘍が左の下半分の肺に行く道を完全に塞いでおりますが、その部分が部分的にこの ように開通しまして、近づきますと奥につながる道が見えてきております。こういう変 化を反映しまして、肺活量が約1リッターぐらい改善いたしまして、この方は来られた ときは非常に息が苦しくて、大変な状態でしたが、それが動けるようになって、お孫さ んと遊べるということでQOLの改善には寄与していると考えられました。ただ、この 方は経過中、約四、五か月いい時期が続いたんですけれども、昨年の9月、10月ぐらい に背中の痛みが出まして、左の肋骨への転移が発見されました。新しい転移部位が出て きたということで、その時点で治療は終了しておりますが、その時点でも、これがちょ うど治療終了時のCTですけれども、やはり腫瘍はかなり崩れておりまして、局所的な 効果は維持できていたと考えられますが、全身的にはやはり新しい病巣が出てきたとい うことで治療を終了しております。その後紹介医で経過を見ていただいておりましたが 、喀血して血が気道に詰まりまして、窒息ということで本年の2月にお亡くなりになら れております。ただ、治療終了から既に4か月以上経過しておりまして、ベクターとの 因果関係はないものと考えております。  次に、4例目の患者さんでありますけれども、この方は初めてのCTガイド下の投与 及びシスプラチンの併用を行った女性の方であります。左の上葉にこのような腫瘍があ って、細かく見えます肺内の転移が両肺に何か所かありまして、手術適応がないという ことで遺伝子治療を行っております。治療をずっと継続しますと、これが腫瘍のサイズ ですけれども、それまでは次第に大きくなってきた腫瘍が、若干小さくなって大きさが ほぼ維持できております。これが本年の3月の所見ですけれども、腫瘍の大きさ自体は ほとんど変わっておりません。また、腫瘍があるときに上昇します腫瘍マーカー、CE Aという腫瘍マーカーが治療を開始しまして、しばらくして次第に下がってきまして、 その横ばいの状態が続けられておりました。ただ、この方も1例目の方と同じで、治療 を続けておりますと、なぜかレスポンスが鈍くなってきて、この3月ぐらいからCEA が上昇して、腫瘍サイズは変わっていないんですけれども、この時点で御本人の希望も あって、6回ははるかに超えておりましたので治療は終了しております。ただ、この方 も治療を始めますと、それまで非常に激しかったせきが改善しまして、QOLは非常に よくなっております。この方は現在も紹介医の病院で経過観察中であります。  今までのが1例目、2例目、4例目の患者さんの経過であります。3例目の患者さん は右の主気管支に再発した腫瘍だったんですが、この方の場合はほとんどレスポンスが 見られず、副作用としては発熱以外はなかったんですが、4回治療を行いましたにもか かわらず、昨年の9月に腫瘍が進行しましてお亡くなりになられております。  5例目の患者さんはお手元の資料にありますように、腫瘍のサイズ自体は変わっては いないんですけれども、ページ数では15ページですけれども、シスプラチンという抗が ん剤に非常に敏感な方でありまして、食欲が落ちて、御本人の希望で3回以上続けたく ないということで治療は終了しております。ただ、ベクターに関与する副作用としては 、発熱以外の特別なものはありませんでした。 6例目の患者さんは5月から治療を開始したばかりで2回投与ですので、臨床効果に 関してはまだ評価できる時期ではありませんが、副作用に関しては発熱以外は認められ ておりません。 以上が臨床効果に関するまとめであります。 次に、英語表記で日本語表記のものが間に合わなくて申しわけありませんが、これが 血中のアデノウイルス抗体に関するデータであります。これは1例目の患者さん、2例 目の患者さんに関するものですが、治療前は非常に低かったアデノウイルスに対する中 和抗体が、治療後はこのようにはね上がっております。これは2例目の患者さんでも同 様で、ただ抗体価はほぼ横ばい、若干上がったりしていますが、ほぼ横ばいの状態が続 いているという結果が見られております。 次に、生体外への排出に関してですけれども、これは1例目、2例目の患者さんの喀 痰から抽出したDNAを用いたPCR解析ですが、治療前にはもちろん認められており ませんが、それが治療翌日には非常に強いバンドが見られております。若干薄くなって いるのが3日目でわかると思いますが、大体7日目にはほぼ検出されなくなって、この サイクルを繰り返すという形で、喀痰内へは投与翌日に強く見られて、3日目に減弱し て7日目に消えているというパターンを繰り返しております。  最後のデータですけれども、今回は腫瘍内の局所投与ということですけれども、これ はアメリカのデータでも推測されたことですけれども、これは血液中のアデノウイルス のシークエンスを検出しております。投与後30分、60分、90分と採血しまして、それを 検出しておりますけれども、もちろん治療前には見られなかったものが、30分をピーク に90分後でも若干見られる場合がありますが、血中を回っているということが明らかに なりました。これは局所投与にもかかわらず、ウイルスベクターというのが全身を回る という証拠でありますけれども、この血中を回るということに由来する明らかな副作用 というのは現在のところ見られておりません。  また今回、フィギアを用意することができませんでしたが、p53 遺伝子発現に関する プレリミナリーなデータが返ってきておりまして、1例目の患者さんに関しては、投与 前にはなかったものが、48時間後の組織検査では、遺伝子発現が確認できているという 情報が入ってきております。ただ、データが全部そろっておりませんので、またそろい ました時点で御報告させていただきます。 最後のまとめですが、資料の7ページを見ていただきますと、総合的評価ですけれど も、現在6例、109 PFUを投与する患者さんに関しては終了しておりまして、比較的 安全に局所投与は可能であるということがわかります。また、最も高頻度に見られた副 作用は一過性の発熱であります。さらに、症例によっては臨床的に抗腫瘍効果が観察さ れまして、QOLの改善に寄与していると考えられます。4月から多施設共同で東京医 科大学、慈恵会医科大学、東北大の加齢医学研究所で共同研究が進んでおりまして、先 週東北大で試験としては7例目の患者さんが治療を受けられております。我々のところ も7月に、我々の施設では7例目、試験としては8例目の患者さんにさらに10倍量のベ クターを投与する予定になっておりまして、現在のところ臨床試験は順調に進んでおり ます。 以上です。ありがとうございました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。どなたか御質問はおありですか。 ○木村委員 経過報告ということで大変詳しく御説明いただきましたが、この経過報告 は、今お話をお伺いしたところによると、スライドの中に日本語のものが間に合わなか ったというお話で、英文のものを出していただいてよくわかったわけですが、英文のを 出したということは、例えばここでは明記してございませんけれども、ベイラーと共同 研究しているとか、あるいは国際学会で報告しているとか、そういうようなことで英文 のものが先にできているわけでございますか。 ○藤原助手 これは遺伝子治療学会で報告するときのためにつくりましたもので、遺伝 子治療学会は基本的に英語表記ということになっておりますので、英語のものが先にで きてしまいました。 ○木村委員 この経過報告ということでありましたが、できましたら、今後の経過報告 の文書にも影響してくると思いますが、何年何月何日どこで行われた遺伝子治療学会で 報告されたと、その論文の題名は何で、報告者は誰だったというのがどこかにつくとい いんじゃないかというふうに私、考えますものですから、よろしくお願いしたいと思い ます。 もう1つは先ほども東大の医科研の方で、国民の関心が非常に強くて、何人かの患者 さんから直接問い合わせがあったというようなお話を谷先生がなさっておられますが、 この岡山大学の藤原先生のところで、比較的多い人数の6例という患者の選定に当たっ ては、もちろん遺伝子臨床研究の審査前の段階から審査後に至るまで、いろんな形で選 定につきましては御苦労があったかに思うんですけれども、どういう形でこれを選んで 、そして臨床事例をやるようになったのかということについて一言お伺いできればと思 います。 ○藤原助手 こちらの部会で審議いただいている時点から、報道が出ますと割と問い合 わせが医局の方へまいりまして、それで実際に患者さんの選定を始めた時点でかなりの 患者さんからお問い合わせがありました。皆様に外来に来ていただきますとパニックに なるような状態でしたので、それぞれ主治医の先生に書き込んでいただくデータシート というものを患者さんにお送りしまして、主治医の先生にそのような情報を提供いただ きました。その上で、適用がありそうな方に外来に来ていただいて、詳しく治療のこと についてお話しするというステップを踏んでおります。現在まで、登録番号をはっきり 覚えておりませんが、三百七、八十まで来ていると思います。ただ、実際に外来に来て いただきましたのは、20人ぐらいの患者さんです。その中で、岡山県内の応募も1人お られますけれども、ほとんど岡山県外の方で、その方々に参加していただいたわけです が、しばらく待っていただいている間に、病状が進行して参加していただけなくなった という患者さんもおられました。 ○高久部会長 よろしいでしょうか。それでは、藤原先生どうも御苦労さまでした。 次に、報告事項とありますが、東京大学医科学研究所附属病院 (肝がん) の遺伝子治 療臨床研究実施計画の申請の取り下げについて、事務局から説明してください。 ○事務局 それでは、資料4に基づきまして御説明申し上げます。 本年の6月12日に東京大学医科学研究所附属病院長より、昨年の1月5日付で出され た申請書、すなわち「原発性及び転移性の肝がんに対するp53 遺伝子治療臨床研究」と いうものでございますが、この研究計画について取り下げたいという旨の申し出がござ いましたので、その旨を報道発表したところでございます。 この内容といたしましては、この臨床計画というのは、いわゆる薬事法上の治験、す なわち企業が薬事法上の承認をとるための試験の一環として予定されたものでございま して、企業から試験を中止するというような申し出があったということでございまして 、これによりまして、この先端医療技術評価部会における御審議並びに作業委員会にお いて御審議をしておったわけでございますけれども、この申請の取り下げをもって審議 は中止ということにさせていただきたいと存じております。 以上でございます。 ○高久部会長 木村委員どうぞ。 ○木村委員 患者さんが非常にがっかりしたんじゃないかと思うんですけれども、シェ リング・プラウ株式会社から供給辞退の申し出があって、供給辞退だったらやめなくち ゃいけないということなんですが、供給辞退の理由は何だったんでしょうか。 ○事務局 私どもが聞いておりますのは、アメリカにおいて同じような試験、ここで研 究の計画がなされていました第I相ないし第II相については、アメリカで既に試験結果 が出たこと。並びにアデノウイルスベクターの改良型の研究をシェリング・プラウ社と やっておることというふうに聞いております。 ○木村委員 ということは、アデノウイルスベクターに欠陥があって、それで供給の辞 退があったとか、そういうんじゃないとすれば、これは患者側では、今言われたような 理由だけだと、なぜそれが、せっかく自分としてはインフォームド・コンセントにサイ ンして、何らかの形で自分なりの決断をしたわけですので、これが突如供給されないか らやめるというのでいいんですか、そこら辺はどうなんですか。 ○事務局 前提条件が異なると思うのでございますが、これはまだこの部会において審 議中のところでございますので、患者さん側が同意書にサインをしたとか、決断をした とか、要するに患者さんの選定自体が進んでいないということでございます。 ○木村委員 そうすると、供給辞退になり得るということが前提の実験申請の審査の要 望があったという、今後ともそういうことがあり得るわけですね。 ○事務局 薬事法上の治験というのは、薬事法上の承認を企業がとるために行う試験で ございますので、企業の委託によって各病院が、それを受託し試験をするという決断を なさるかどうかといこと。すなわち企業が委託をするかどうか、各病院がその委託を受 けるかどうかという2つの判断があって初めて成り立つものだと。この場合には、シェ リング・プラウという企業が、まず委託を取り消すという判断をしたということになろ うかと思います。 ○高久部会長 そういうことで、やむを得ないと思います。御了承いただきたいと思い ます。  では、次の報告事項の「遺伝子解析研究に伴う倫理問題等について」ということで、 事務局から説明してください。 ○事務局 資料5に基づきまして御説明申し上げます。  先ほど堺審議官の方から御報告させていただきましたけれども、4月28日に開かれま した、この部会における決議を受けまして省内手続を行い、5月30日付で「遺伝子解析 研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」という通知をさせていただいたとこ ろでございます。また、この部会でも御議論いただきましたとおり、ミレニアム・プロ ジェクト以外の一般的な遺伝子解析研究に対する倫理指針につきましては、各省庁とも 連携をし、年内を目途に結論を得たいと考えておりまして、各省庁連携で素案を作成し 、またこの部会におきましても議論を賜るということになろうかと思いますが、何とぞ 今後とも御協力をいただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○高久部会長 今、事務局から説明がありましたように、前回か前々回ですか、ミレニ アム・プロジェクトの中のゲノム・プロジェクトの研究についての指針を御検討いただ きました。その中で柴田委員から、ゲノム・プロジェクト全体についての研究の指針を つくるべきだという御意見がありました。もっともな御意見だと思います。その後各省 でも、このミレニアム・ゲノム・プロジェクト研究の指針をもとにして、横断的なゲノ ム・プロジェクト研究についての指針をこれからつくるということになりました。今事 務局から説明がありましたような経緯でスタートをすることになると思います。したが いまして、その内容につきましては、当然この部会でいろいろ御検討願うことになると 思いますので、その際には御審議をよろしくお願いします。年内ということですので、 作業を急ぐ必要があると思います。各省庁でも同じようなことをして、最終的には国家 的な指針ということになると思いますので、よろしくお願いします。 ○木村委員 今の資料5の真ん中のところですけれども、これで結構だと思いますが、 「ミレニアム・ゲノム・プロジェクト関係省庁担当課長会議」、今御説明いただきまし たが、それで厚生省を除く関係省庁がこうなっているというふうになっていますね。こ れはこれでいいんですよね。このことの具体的な意味はどういうことですか。 ○事務局 言葉足らずだったのかもしれませんが、厚生省はもちろん、ほかの省庁もと いう意味でございます。 ○木村委員 ですから、これは、除くじゃなくて、厚生省を含めるということでしょう 。 ○高久部会長 そういうことになると思います。 ○木村委員 除いちゃうとちょっとこれはまずいんじゃないか、文書のつくり方がちょ っと。厚生省はもちろんという意味ですよね。 ○高久部会長 もちろん厚生省が自分がつくったわけですから、自分のところで守らな いというわけにはいかないと思います。  次に、科学技術会議の生命倫理委員会で審議されていました「ヒトゲノム研究に関す る基本原則について(案)」と「疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等 のあり方に関する専門委員会」の審議状況について、これも事務局から説明してくださ い。 ○事務局 まず、ヒトゲノム研究に関する基本原則について御説明申し上げたいと思い ます。お手元に参考資料として、科学技術会議生命倫理委員会が6月14日に議論された 資料を配付させていただいております。前回もたしかこの委員会で御報告をさせていた だいたと思いますけれども、科学技術会議におきましては、この資料の後ろから2枚目3 6ページをごらんいただきますと、この生命倫理委員会の下にヒトゲノム研究小委員会 というのを設け、この基本原則について御議論をされてきたところでございますが、小 委員会の結論がまとまったので、この生命倫理委員会そのものにおける議論が6月14日 になされたということでございます。  この「基本原則」というのは、説明によりますと、「憲法的な文書」ということにな っておりまして、具体的には指針によって示されるというものでございまして、先日御 議論していただきましたミレニアム・プロジェクトの具体的な指針と、この基本原則と いうのが、いわゆるダブルスタンダード、あるいは異なるものを示しておるわけではご ざいませんで、指針を遵守していただければ、この原則というのは当然のことながら遵 守することになるというような性格のものでございまして、この基本原則について御議 論が進んでおるわけでございますが、6月14日の生命倫理委員会で御議論をし一部訂正 をした後、この基本原則を取りまとめるという方向で会議が終了したというふうに聞い ております。なお、お手元に配られておりますのは、6月14日提出された資料でござい ますので、これ自体が最終版ではございませんので、その点御留意いただければありが たいと思います。 もう1つ御報告させていただきますが、この先端医療技術評価部会の下に疫学的手法 を用いた研究等における個人情報の保護等のあり方に関する専門委員会を設けることに つきまして既に御了承いただいたわけでございますが、この疫学研究にかかわります、 いわゆる倫理問題の御検討をこの委員会で現在していただいております。具体的には、 3月31日に第1回、4月20日に第2回の会合を開いていただきまして、この6月27日に 第3回の委員会を開催するという予定でございます。また、この専門委員会の御議論と 並行いたしまして、その論点を整理していただくために、神戸大学大学院法学研究科の 丸山教授を中心とする研究班において御検討を進めていただいておるところでございま す。この研究班の検討状況について6月27日の専門委員会において報告をされるという ことでございます。 また、この専門委員会の検討状況につきましては、適宜この部会に御報告をしたいと 考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 以上でございます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。ヒトゲノム研究に関する基本原則につ いてはお手元に参考資料としてあります。「疫学的手法を用いた研究等における個人情 報の保護等の在り方に関する専門委員会」につきましては資料はございませんが、まだ 検討が始まったばかりですので、今後ある程度の案がまとまりましたら、ここで御検討 願いたいと思います。  このヒトゲノム研究に関する基本原則について何か御質問はありますか。 ○木村委員 先ほどの資料5の真ん中の8行目のところはぜひ変えていただきたいと思 います。それを踏まえて、今の事務局のお話によりますと、科学技術庁の方の会の状況 も、この我々の委員会に伝えていただくということなんですが、これは関係省庁担当の 何か連絡協議会みたいなものがあって、そこに厚生省の審議会委員の方は必ず出席する という形になっているのでございましょうか。この科学技術庁の生命倫理委員会並びに ヒトゲノム研究小委員会には、参加する義務と責任があるのでございますか。 ○事務局 義務と責任があるわけではございません。  最初の御要望、資料5の取り扱いでございますが、厳密に申し上げますと、「厚生省 を除く」という表現が必ずしもいいかどうかは別問題といたしまして、第1パラグラフ の方で厚生省としては、もうこうしましたと書いてありまして、それ以外の省庁はこう しますと書いてあるわけでございますから、そういう意味から言うと非常に正確に書き 過ぎたんだろうと思いますが、いずれにいたしましても、この文書自体は5月30日に公 表させていただいた資料でございますので、御訂正は勘弁をしていただきたいと思いま す。 ○木村委員 やはりこれは公文書として残る文書なので、いささかも疑念があるような 文書であっては困ると思うんです。ですから、確かに6月15日に出てきた資料ですので 、審議会で議論の上、変えるということはあってもいいというふうに私は思っています 。 第1点の最初の点に戻りますと、これはミレニアム・プロジェクトも含めて同じよう な問題について、文部省、科学技術庁、厚生省、その他が相互に関連のない形でいろい ろな指針をつくるということがあってはならないというのが日本国政府の方針だろうと 思うんですが、そういう観点から、これは科学技術会議の方にも、厚生省として出席し た委員が、きちんとこの審議会に報告してもらうというシステムをつくるということに 意味があるので、恐らくこれは職務上こういうところに出ていることになっていると思 うんですが、現在では、厚生省からは正式に科学技術会議の方には誰も出ていないとい うことでございますか。 ○事務局 「正式に」というところが非常に微妙な話でございますが、このヒトゲノム 研究小委員会には、科学技術庁から依頼がございまして、私、二度、三度出席させてい ただいて、この部会における審議状況あるいは垣添先生の研究班の審議状況を御報告を したところでございます。また、関係省庁の問題から申し上げますと、先ほど御紹介い たしました資料5でございますが、厚生省として、広報のためにそこに出させていただ きましたここに書いてあります関係省庁担当課長会議というのがございまして、その上 に局長クラスの会議もありますが、ここで議論をしているということでございます。 ○高久部会長 ほかにどなたか御意見は。 ○雨宮委員 先ほど来この資料5が議論されているんですが、一応厚生科学審議会でよ ろしいということになって、厚生省としてはこれでいくということになっておると思う んです。それをただ「厚生省も含めた」というふうに直してしまいますと、厚生科学審 議会がこれでよろしいといったものを、また直すという可能性も出てくるということに なり得ると思います。その辺は私は、やはり今までさんざんここで議論して、せっかく いいものができたわけですから、やり直さなければならないといった誤解を招かないよ うな文章にしないといけないのではないか。そういう意味では「除く」という言葉の方 がむしろ判りやすいのではないかという感じもするので、初めからやり直しという意味 ではないというところを判るようにしていただければなと、思います。 ○高久部会長 事務的に資料5の日本語がおかしいかどうか検討していただいて、この ままでもいいし、また直していただいてもいいと思います。ほかに何かこのゲノム研究 に関する基本原則についてございますか。  もしないようでしたら、実は事務局からも説明がありましたように、6月14日の生命 倫理委員会におきまして、序文の一部について、委員の方から御意見がありました。そ の御意見に基づいて少し直したものが最終的なものとして出てくると思います。このヒ トゲノム研究に関する基本原則については、非常に膨大な数の一般の方々からの御意見 が寄せられました。その御意見をできるだけ取り入れた形で、この基本原則とそれらの 解説が出されたことを付け加えたいと思います。 それでは、最後に事務局の方から連絡事項をどうぞ。 ○事務局 次回の開催につきましては、審議事項が固まり次第、部会長と相談し、委員 の皆様の日程を調整させていただいた上で決めせていただきたいと考えております。以 上でございます。 ○高久部会長 それでは、本日は、いろいろ御議論いただきましてありがとうございま した。これで終わらせていただきます。                               (了) 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課 担 当 野口(内線3804) 電 話 (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171