00/06/08 第6回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 第6回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 1 日 時   平成12年6月8日(木)16時〜18時 2 場 所   厚生省別館5階第二会議室 3 出席委員 (五十音順)         今村理一、大林美秋、小野沢昇、北沢清司、吉川武彦         末光 茂、丹下芳典、遅塚昭彦、中野敏子、中村はる子         新堀裕二、前田大作、山梨昭三 吉川座長  それではただ今から「第6回知的障害者の高齢化対策検討会」を開会させていただき たいと思います。  事務局のほうから本日配布しております資料の確認をお願いします。 事務局  最初に、座席表が配布してございますが、事務局の手違いで、末光委員と今村委員が 漏れておりまして、失礼いたしました。  本日の欠席の委員でございますが、牛谷委員、橋本委員、玉井委員、白井委員、室崎 委員、この5名の委員が欠席でございます。  資料でございますが、本日の会議次第が一番上にございます。それから委員会の名簿 と、「第6回知的障害者の高齢化対応検討会参考資料」ということで、資料1、2とご ざいます。資料1は「報告書骨子(案)」でございます。それから資料2は前回、知的 障害者の痴呆問題について議論がございましたが、それにつきまして今村委員のほうか ら参考資料の提供がございましたので、参考としてお配りいたします。  それから、第4回と第5回の議事録がございます。第4回の議事録につきましては、 前回修正意見をいただき、修正しましたので、厚生省のホームページに掲載いたしま す。  それから第5回議事録につきましては、またご意見をいただきまして、修正のうえ、 ホームページに掲載いたします。以上でございます。 吉川座長  どうもありがとうございました。前回の議事録につきましてはお目通しをいただきま して、修正等がございましたらいつもの通りにまた、事務局のほうにお申し出いただき たいと思います。お申し出いただいたものを修正させていただいた後は、また厚生省の ホームページのほうに載せさせていただくという手続きになると思います。  それでは本日の検討事項と資料につきまして、事務局のほうからご説明をいただきま しょうか。よろしくお願いします。 事務局  それでは資料1の「報告書骨子(案)」でございます。これまでの審議結果を踏まえ まして、テーマ1〜3までの検討結果の報告書の骨子(案)ということでまとめさせて いただきました。本日はこれにつきましてご意見をいただきまして、最終的な報告書に まとめていただきたいと考えております。  前回は論点メモの整理という形でお配りしておりまして、それについてご審議をいた だき、修正をしておりますので、修正したところについて説明させていただきます。  前回ご指摘をいただきましたのは、この論点メモの各事項の配置の整理についてで、 在宅か高齢の生活支援なのか、あるいは施設の中かという整理がございまして、それに つきましては見直して、それぞれの事項に沿うように整理いたしました。  先ず、資料の1頁でございますが、これは大きな論筋の「高齢知的障害者の地域生活 支援」の表題の下に大事項の文章、主旨をを付け加えました。  それから1「住まいについて」、2「在宅福祉サービスについて」、これにつきまし てはそれぞれ若干の文章表現等を変えてございます。例えば在宅サービスにつきまして は、下の2つのポツでございますが、ここではデイサービスについては、「例えば」と いう形で、「健康の維持・増進に資するようなメニューも考慮すべき」という、具体的 な文面を加えてございます。  2頁にまいりまして、一番上のポツでございますが、これにつきましては前回のご意 見もございまして、移送サービスを加えてあります。  それから3「日中の活動について」というところがございます。ここでも全体的な文 章整理をさせていただいております。一番目のポツでございますが、ここで「余暇活動 やボランティア活動等の支援のあり方について云々」とございますが、この部分も新し く加えさせていただいております。  それから4番、5番につきましては、文章整理という形で整理をさせていただいてお ります。6番につきましては、最初のポツでございますが、ここでは「成年後見制度を 補完する形で云々」とございます。ここでは具体的に「福祉サービスの利用援助の他、 金銭管理面も含めて…」という形で整理させていただきました。  それから7「健康管理と医療について」でございますが、これにつきましてはやはり 全体的な文章整理と共に、より具体的なものを書いてございます。例えば次の頁にまい りますと、これは末光委員からのご指摘で、「訪問看護の積極的な活動を図る」とかそ ういうことが書いてございます。その下では、知的障害者の医療、特に歯科の受診の機 会を確保するということで書いてございます。それから8番につきましては、文章整理 をさせていただいております。  大きなIIの「知的障害者施設における高齢化への対応について」ということで、施設 のほうにつきましても同じように表頭の文章を起こさせていただきました。  それから一番下のポツでございますが、ここでは「施設から地域に移行した云々」と いう文章がございます。ここの部分を新しく加えさせていただきました。ここは地域と 施設の移動がよりスムーズに行えるようなことが必要ではないかということで、ご意見 がございました。  それからIIIの「高齢者施策の活用と連携のあり方について」ということで、ここも大 きく文章整理をさせていただきました。特に一番上のこの文章を入れましたことと、そ れから例えばケアハウス等については、「当人だけでなく保護者も一緒に生活すること ができるように」ということで新しく入れてございます。以上でございます。 吉川座長  ありがとうございました。ちょっと駆け足で全体の姿をお話申し上げましたが、報告 書の骨子(案)を今回お出しするというのは、前回のときにお約束をしたことでござい まして、前回はかなり時間をかけて論点についていろいろとご意見をいただいたものを できるだけ中に込めさせていただきまして、「骨子(案)」ということでお出ししたよ うなわけです。  前回までの検討で、この論点につきましてほぼ検討をし終えたということでございま すが、実際には先回のときも少々積み残しがあったような気がします。いずれにしまし ても今回こういう形で論点を改めて報告書の形式にさせていただきまして、これを今日 はまたたたき台として皆様方にご意見をいただくということにしたいと思います。  進め方としましては、Iから順繰りにということにしたいと思いますが、全体の構成を ちょっともう一度お話をさせていただきますと、まずI、II、IIIの3部構成になってい るのは、前の論点のときと同じ考え方でございます。それぞれのローマ数字のところ に、その項目に関する全体的な総括的なことをまとめておくという書き方でございま す。  それからいわばその場における各論的なことを、それぞれ1、2、3、4ということ で書いてあるということになります。それがI、II、IIIと大きく分けた3つについてま とめてございます。  これからの進め方は、先ほど申しましたIの「高齢知的障害者の地域生活支援につい て」と、こういう前文を一応つけましたが、こうしたものの他に前文の中にまだ何か書 き入れるものがあるかどうかというようなことも含めてご意見をいただいて、そして順 次できるだけ時間を節約しながら、1、2、3、4というところでお目通しをいただき ながら、それぞれの先生方がこれまでにお話になられたことが適度に盛られているかど うかというご検討と、それから新しく何か気がつかれましたら、ここに入れたほうがい い、というようなお言葉がありましたらそこは入れておきたいと思っています。内容的 なものに関しましてはかなり議論をしたと思いますので、どちらかというと言葉の面と いうことになるかもしれませんが、それでも結構でございますので何かご意見をいただ ければと思います。  まず第一にIの「高齢知的障害者の地域生活支援について」というところではいかがで しょうか。 末光委員  「入所施設に過度に依存する傾向があった」という、入所施設に依存する傾向があっ たということは、皆の共通認識ではないかと思いますが、「過度に」という言葉は。と 申しますのは、私は知的障害者の入所施設の人口割の比較をいろいろと国際的にもやっ てみたんですが、北欧では多いときには大体1.6〜1.8/1000人ですが、それをどんどん 小規模化し、それからグループホームに変えてきているんですが、日本はまだ千人あた りでは現在1人前後ではないかと思います。そういう意味で「過度」というのはどう か。私は個人的にはちょっと思いますので、「依存する傾向があった」というほうがい いと思います。「過度に」というのは少し言い過ぎではないかと思います。そうだ、と 言う人もいると思いますが。 そこがちょっと気になりました。だから「過度に」とい うのはなくてもいいんじゃないかと思います。 吉川座長  ではそれでよろしゅうございますか。もし特にご意見がなければ、「過度に」は削ら せていただきます。他には何かこのところではいかがでしょうか。  特になければ、次の「住まいについて」に進めさせていただきます。ここも前回のと きにもかなり議論をいただいたところでございますが、いかがでございましょうか。   こういう形で3点に一応まとめてございますが。 小野沢委員  先日の検討会のときに仁木課長から説明がありましたが、実際に10名の定員を5名に ということで、具体的な数字まで紹介があったかと思いますが、このあたりの表現の仕 方が、もし具体的にもそういう形で動き出せるんでしたら、もう少しこのあたりの書き 方を考えてもよろしいのかなと思いますが、いかがでしょうか。 吉川座長  具体的にはどのように。 小野沢委員  福祉ホームの10名の最低定員の見直しということなんですが、具体的には5名でもよ ろしいということで。これは前回5名というのは、確か身障の例を引き合いに出して5 名と言われたようですが。 仁木課長  私の発言なので私から説明をさせていただきますが、例えば身障の場合には今はもう 5名まで緩和されているので、知的障害者も5名に引き下げるとか、そういう形で今10 名の方を一人の職員でみるというのはなかなか大変だというお話があったんです。 5 名なら一人の職員でもみれるということかもしれませんし、逆に定員は動かさないけ ど、職員体制を少し強化するというあり方もあろうと思いまして、あまり具体的なこと まで踏み込んではっきり明記するよりは、ちょっと含みを持たせて検討の幅を与えてい ただいたほうがありがたいなという気はしております。 吉川座長  いかがでございますか。また後で全体を見直すということもございますので、とりあ えずここで「住まいについて」のところは通過したいと思います。  それでは2番目の「在宅福祉サービスについて」はいかがでしょうか。  ここは6点にまとめてあります。いずれにしましてもこの報告書の性格でもあります が、具体的な施策をここで提案するということではございませんので、考え方を提示し て、そして実際に行政担当者の方がやりやすいようにということで考えていきたいと思 います。 したがいまして、表現としては利便的なものみたいなものとか、あまり具体 性のない表現にまとめてあります。ただ、ところどころ理解していただきやすいように ということもありますので、例として挙げてあるものがいろいろございますので、また 例示してあるものもご検討いただいても結構です。大体先生方にご発言いただいたもの は盛らせていただいたつもりです。 今村委員  前に戻ってしまうように思うんですが、「軽費老人ホーム(ケアハウスを含む)」と いう項が、住まいの最後のところにあったんですが、これは。 吉川座長  それは後の高齢者施策のところに整理しているのでよろしいですね。 丹下委員  前のメモでは、高齢化しても地域での適切な支援サービスがあれば、地域生活に移行 することは可能ではないかと。その際に、小グループ単位での支援が有効ではないかと いうことがありましたが、その意味のことはどこかに書かれていますか。 吉川座長  そうですね。そういう意味が書いてありましたね。 丹下委員  それは在宅では非常に大切なことではないかなと思いますが。 仁木課長  その点についてですが、小グループということは結局、今進めようとしているグルー プホームなり福祉ホームを小グループでの施策ということであって、今行政が大グルー プのものを進めようとしているのであれば小グループのものが必要だと、敢えて書かな ければいけないと思うんです。  しかし、まさに今グループホームとか福祉ホームの小グループのものを進めようとし ておるので、敢えて書かなくてもいいのではないかということで落としているんです が。  具体的な、グループホームとも違う、福祉ホームとも違う、また別の形態の小グルー プの住まい方というのは、どういうことを具体的に提言できるのかというあたりで、イ メージが湧くような形であれば書くことは決して吝かではないと思っております。 吉川座長  今までそういうようなご提案がなかったんですね。新しい小グループということで、 それがあったから落としたというようにちょっと今話が出ましたが。 仁木課長  室崎委員がそういうようなお話をされたので、ご出席であれば、そこのところをもう 一度聞ければと思っていたんですが。 吉川座長  そうですね。そうすれば小グループの問題も。今は確かに進められているものであり ますが、その方向は正しいということであれば、その正しいということも含めて書くと いうことであればいいんじゃないでしょうか。  それでは他に何かございますか。4つ目のポツのところに、「配食サービス」の話が ちょっと書いてございますが、一枚目の一番下のあたりのところですが。  これにつきましても皆様方からのご意見もあってこういうように書き込んでございま すが。一般の老人の配食サービスとどう重ね合わせていくのか、これはまた実に大きな 問題として一般の高齢者対策の問題とどのように重ね合わせていくのかということが、 また考えなければいけない問題がありまして、また後で少しそのことについてもご議論 いただきたいと思っています。とりあえず今は各項目ごとということでお話を進めさせ ていただきます。では、2の「在宅福祉サービス」のところは一応そこまでにさせてい ただきます。  少し議論が少なかったところではありますが、3番目の「日中活動について」という ところでは、ちょっと少し淋しいまとまり方かもしれませんが、何かもう少し豊かなも のが考えられるとすればまたこの中に加えさせていただいてもよろしいかと思います が。  いかがでしょうか。 丹下委員  私はやってないので全然分からないんですが、先ほど申しましたね。在宅における小 グループにおける活動、こういうようなものが日中のボランティアとかそういう方々に よる余暇活動として、小さなグループで何かそういうような機会を持っているというよ うなことは考えられないんでしょうか。その場合にこういうような老人福祉センターや 一般のセンターを円滑に利用するような、そういうようなことにつながっていくのかな と思ったりするんですが。 吉川座長  具体的な活動の内容としてはあり得ると思いますね。ここでそこまで具体性のあるも のを書き込めるかどうかということだろうとは思いますけど。先ほど、小グループとい うのは入所に近い、例えばグループホームみたいなものを頭に置いての。 丹下委員  グループホームは既にやっておりますから。それよりももう一歩在宅のほうの施策と しては、ボランティアを大いに活用したらどうかなというような、そういう感じです。 今村委員  前のところに、広報の問題がありますが、これは「配慮すべきである」とか、「利用 できるように云々」とかいう言葉が、ちょっと具体的なものが入ってないんですが。  ないというのは、これからはすべきではないかと思います。 吉川座長  日中活動の中ですね。この前のときには確か議論としては出なかったんですね。それ でおそらくここのところが抜けているんだろうと思いますね。4番の情報提供と一緒で すね。だからそっちに回してあるから。そうだと思いますね。 仁木課長  先ほど丹下委員のお話は確かにご尤もだと思います。つまり余暇活動にしても、本人 のボランティア活動にしても、一人でするものではなくて、通常はやはり小グループ、 団体活動が中心になるんだろうと思います。そういう小グループ、あるいは団体での活 動をどう支援していくかということがやはり中心になろうかと思っています。 丹下委員  せっかく論点メモにそういうのが出ていたものですから、何かここに書いたらどうか なという感じだけです。 吉川座長  表現としては、今の「小グループ等を支援していく」というような、そういうような 表現を少しうまく盛り込んでいただければよろしいかと思います。 遅塚委員  日中活動の部分で、最初に座長がおっしゃったように、場所の部分だけを使いやすく しようというだけの提言というのは、ちょっと淋しい感じがします。  例えば老人のほうであれば介護保険が始まった反面として、老人クラブであるとか、 老人大学であるとか、逆にそっちのメニューがどんどん盛んになってきているわけで す。  知的障害者の場合にどう対応するかというのは分からないんですが、少なくとも場所 を使いやすくするということだけではなく、「メニューも広く研究していく必要があ る」と書くとか、何か少し前向きな部分があったほうがいいかなと思います。 末光委員  私はその方面は全然素人なんですが、たまたま私は北欧のノルウェーの入所施設がま ったくゼロになっているということで、そこのシステムをかなり調べて、実際にも行っ て来たんですが、その中でこの「日中の活動の場」がかなり用意されているということ と、もう一つは夕方の時間帯、それから土曜日、日曜日、それから長期の休暇期間中も そういう受け皿と言いますか、個別に行ける場所、あるいは小グループで行ける場所が あると。そのあたりが何か今後の課題かなという感じがしました。何かそのあたりを加 えていただけないかと思います。 吉川座長  これは私自身が高齢者の問題としてやっているわけではありませんが、実際に今、知 的障害の方々とずっと毎年一緒に旅行をやっていますが、この方々はだんだんとお年を 召しまして、彼らは彼らなりにお年を召した方々として楽しんでいただくと。  その代わりに、旅行のスケジュールはぐんぐん易しくしていかなければできません で、若い人たちを連れていくときとはかなり違ったスケジュールを組んだりして、あま り長期に行くことはできませんし。とにかくそういう日中活動としてのどこかに一緒に グループ旅行に行くということは、老人クラブでももちろんあるわけですから、そのよ うなことも一緒に考えていけたらなと思っています。  ただ、今は私自身も特別にそのグループと一緒にやっているわけではございません で、自分の経験そのものはありませんが、今後はやはり私が今一緒に行っているグルー プの皆も年をとりますので、考えなければいけないなと思っているところです。  そのへんのところはまだ、この「日中活動」の問題についてはあまり議論がなかった ものですから、私も発言させていただく機会がなかったんですが。そんなわけです。  よろしゅうございますか。それではここもいくつか加えさせていただきましたが、そ れらもまた一緒にして整理をさせていただきます。  4番目の「地域での支え合いについて」ということで、これが先ほどの広報の問題も ここのところにまとめさせていただいておりますが、彼らに対する情報提供をどのよう にするかというようなことを、もう少し具体的に何か書いてもいいのかなという気もし ますが、いかがでございましょうか。 丹下委員  これは何でしょうか。情報あるいは啓蒙、啓発、こういうようなことと、それからボ ランティアの育成ですね。これは2つに分けて。ボランティアの育成というのは大切な ことだろうと思いますし、分けて書いたほうがいいような気がしますが。 吉川座長  丹下委員のおっしゃるのは、黒ポツをもう一つ付けてということですね。 丹下委員  はい、そうです。 吉川座長  分かりました。ボランティアに関しては、では事項を起こして、もう少し文章化を図 って、積極性を打ち出していくというようなことを考えたいと思います。  他にいかがでしょうか。 中野委員  どこに入るかちょっと分からないんですが、3、4にも関連すると思いますが、高齢 期になってこうした障害をもっている方本人が一般のサービスを使いこなせるかという ことについては、生まれたときからどう地域の支援を活用しているかという、そのあた りとの連動性が非常に大きいんではないかと思います。それは全体にそうで、敢えてこ こでは高齢期だけに限定されているから要らないとおっしゃれば、そうですか、という ことですが。特に日中の活動、あるいは地域の支え合いについては、本当に幼少期から の施策的にも非常に抜けている部分だと思いますので、そういう連動の中でこそこうい うものが主体的に活用できるというあたりは何か加えておいていただけると。  そういう気持がございます。 吉川座長  この検討会が高齢化の問題についての検討会でございますので、施策として子どもの ときからの問題の延長上に考えなければいけないことがたくさんあるわけですが、確か にそういう検討は少し省いてきたような気がします。ただ、できるだけ、先ほどもちょ っとお話をしましたが、一般高齢者問題に関してこれだけいろいろと施策も進んでいる 中ですので、そうした施策との関係をきちんとつけておこうということだけはここで考 えてきたと思いますので、これについてはまた後ほど整理をさせていただきます。  今、中野委員のおっしゃられた問題は、一つの理念的なことではありますが、言葉の 上ではそうすると3ないしは4のところに、特に3のところでしょうか。こういうもの が不足していたから、こちらの子どもの時代、あるいは幼少期の時代からのこの問題に 関しての活発な働きかけは必要だ、というような表現を少し中に入れさせていただいた 上で、高齢者問題では特に今このようにと。そのような流れの中で文章化を図らせてい ただきたいと思います。 大林委員  先ほどの3番と4番と同じような意見になろうかと思いますが、また今回まとめにな ってきますと細部の具体例についてのお話をして恐縮なんですが、先ほどたまたま私が 読み違えて、3番の「日中の活動」のところで、「余暇活動やボランティア活動等の支 援をあり方について…」ということで、「を」と「の」が単純に入れ替わっているだけ かと理解できるんですが、この「ボランティア活動の支援」と言いますと、ご本人その もののボランティア活動という意味にとっても私は面白いんではないかと。  つまり、余暇とか日中活動ということになると、与えられた何かをするというニュア ンスではなくて、社会にとって人としての価値観、存在感というようなものを望むのが 人としてのあるべき姿というか、どなたもそんなことを望むんではないかなというよう に考えると、現実にリタイアして、リストラも含めて仕事にあぶれた方が、福祉ホーム の方とかグループホームの方が、隣の施設の環境整備をお手伝いしていたり、具体的に 曜日を決めてボランティアで入って掃除をしてくれているとか。もっと言いますと、普 段からコミュニケーションをしてくれるというようなことでは、お互いにそこで自分た ちのそこの施設の存在を確認しあっているような場合もありますので、この「ボランテ ィア」という意味が、ボランティアをしてもらう立場だけではなく、する側のほうもな にか今までの過程の中であったような気もするので、どこかに入っていればいいなとい う意見でございます。 事務局  3番については大林委員のおっしゃる通りに、ボランティア活動はご本人のボランテ ィアを想定しております。それで4番の「ボランティア活動の育成」というのは、ボラ ンティア活動をなさってくださる方というように整理させていただいております。 仁木課長  「支援をあり方」でなく、「支援のあり方」で、これは印刷上のミスでございます。 大変失礼しました。 吉川座長  では4番目の「地域での支え合い」につきましては、ボランティアの育成の問題を別 なポツで立ち上げて、そして少しそこのところを膨らませて書くということで。そんな ことにさせていただきます。 今村委員  中野委員がおっしゃったことなんですが、確かに重要だと思うので。ライフサイクル ということで考えていく必要がもちろんあるわけで、一番最初の頭の部分のところに、 何かそのようなことを考え方として入れておくという手もあるのかなという気がしまし た。一番最初のところで、「地域生活の支援について」という頭の部分がありますが、 ここらへんに横の広がりだけじゃなくて縦断的に考えていくという考え方も少し入れて おいていただくといいと思います。 吉川座長  はい、他にいかがでしょうか。それでは5番目に移らせていただきます。「就労及び 退職について」です。 遅塚委員  施設の部分で更生施設が出てくるんですが、授産施設のことについてはこの5番に入 るんでしょうか。授産施設である年齢が来ると、やっぱりうちで働くのは厳しいでしょ うからこの後はどうしましょうか?という話が出てくると思います。 吉川座長  それは想定していますよね。 仁木課長  就労の場ということについては、特に白井委員とか玉井委員のお話を踏まえての表現 でございますが、今まで一般企業で働いておられた方が、一般企業は例えば60才とか65 才で定年退職になったと。その後、今度は授産施設なり、小規模の作業所なりで働くと いうようなステップというのもあろうかと思いまして。一般企業を退職した後に、また 別の一般企業の口を見つけるというのはもちろん可能性としてはありますが、今のこう いう厳しい雇用情勢の中で、また別の一般企業の就労というのは現実には非常に難しい 面があるので、ここで言う「就労の場」というのは、授産施設とか小規模の作業所的な ものをイメージして表現しておるということでございます。 吉川座長  授産施設を高齢で退職するというときの問題は、この中に入っているだろうか、どう だろうかということだろうと思います。それを想定したかどうかということを言われて いるんだと思います。 遅塚委員  新しい話になってしまいますね。ここではちょっと読めないですものね。 小野沢委員  遅塚委員の言われた話は、施設のほうで含めて記載されればよろしいと思います。 吉川座長  そうですね。それではここはよろしゅうございますか。 続きまして6番目の「知的障害者の権利擁護について」、ここではいくつかまだご議論 があるかもしれません。いかがでしょうか。 大林委員  成年後見制度の関係で、地域福祉権利擁護センターだけではなかったような気がする と思いますが、やはりこれが任意後見制度がうまく使えるかどうか分かりませんが、法 律的な専門的な支援を受けるというようなことの情報提供ということも必要だというよ うに感じております。  地域福祉権利擁護事業だけでは補完し切れない部分が、財産相続とか資産に係る問題 というような大きな問題も出てまいりますので、やはり専門家の助言を受けられる体制 づくりというものも必要になるんじゃないかというように思っております。 吉川座長  法律的な専門家の助言を受けられるような、そうしたシステムということですね。 大林委員 そういう情報を提供するということです。やはり権利擁護事業だけでは仕切れない部分 がたくさんありますので。 仁木課長  ちょっとご参考までにご紹介させていただきますが、そういう意味では今「障害者110 番」というのがありまして、これは三障害すべてを対象にしておりまして、各県に一ヶ 所設けるものでございまして、その中には相談案件によっては法律の専門家が詳しく対 応するというような仕組になっておりまして、障害者110番などではまさに専門家が財産 の管理とかについて相談に乗ってくれるという、一応の体制はできておりますが、なか なか知的障害者にとって使い勝手のいいものには必ずしもなってない面もあろうかと思 います。そのへんは十分にこれから留意していかなければいけない余地があろうかと思 います。それともう一つは、専門家の助言という意味では、成年後見制度そのものもま さに遺産相続をどうするかというようなものについては、成年後見法に基づく成年後見 人の方にそういう支援をしてもらうというようなこともあろうかと思いますが、そのへ んについてもう少し書き込む余地があろうかと思います。 大林委員  おそらく県レベルでございますと、弁護士会代表の方ということになると思います が、もっと法律の専門家というのは町近くにいらっしゃる司法書士の方という意味で す。それでまた後見人を選定するにしても、身近な方に相談をすることができるという ところからスタートできるほうがいいんじゃないかという意味で言いました。 遅塚委員  前回の論点整理メモのときには、福祉サービス等の利用について、知的障害者固有の 問題は何か、福祉サービスや制度を利用しやすく支援する方法を考えなければならない のではないか、というのが権利擁護のところに入れていただいていたんです。  ある面では、我々がよく使う狭い意味での「権利擁護」ということではなくて、福祉 サービスをちゃんと受けられるということ自体が権利を守ることなんだという、非常に 前向きな概念が入っていたんではないかなという気がします。それがここで落ちて、逆 に地域福祉権利擁護事業だけの話になってしまうと、せっかく総論的な提言としては淋 しいなという気がするんです。 大林委員  例えば契約というような場合になったときに、個人対組織の契約においてきちんと権 利が守れるかどうかという、こういうものを含めてですね。 吉川座長  文章化の過程でちょっとひっくり返っているような感じがしますが、今の6の2行目 のところに今のご指摘のところは一応入ってはいるんですが、これが前面に出た上で地 域福祉権利擁護事業というものをどう活用するかという文章の流れに変えるということ ですね。 仁木課長  前回の整理メモの中で、知的障害者固有の問題は何かと。それを踏まえたサービス利 用の援助が必要であろうというような整理になっていたわけですが、結局知的障害者固 有の問題というのはコミュニケーションの点での視点がどうしても必要だという点と、 判断する力が弱い部分があるという意味で、それをサポートするために地域福祉権利擁 護事業というものが今回用意されたということで、そこのところは確かに端折って、当 面は地域福祉権利擁護事業でやるんじゃないかというように書いてしまったんですが、 もう少し含みを持たせて地域福祉権利擁護事業以外にもそういういろいろな工夫や配慮 が必要だということは書き加えたほうが確かによろしいかと思いますので、あまり限定 的に書かないで含みを持った表現に書き直してみたいと思います。 吉川座長  ありがとうございます。では他にいかがでしょうか。  では、続きまして「健康管理と医療について」というところに進めさせていただきま す。 これはもちろん施設の中の問題ではありませんで、地域の中でということでござ いますが、ここについては前回もいくつかご意見をいただきまして、それを書き込ませ ていただいておりますが、末光委員、何かございますか。 末光委員  よく加えていただいたと思いますので、これでいいと思います。あとは先になるかと 思いますが、3頁に掛かりますが、「地域保健婦の積極的な活用」。それから3番の 「訪問看護の積極的な活用」と、それぞれがこれからの課題ですし、既に一部のところ ではよくやっていただいているところもあるんですが、これが全国どこに住んでいて も、というような形になるためには、地域保健婦やあるいは訪問看護ステーションの看 護婦に対する研修とか、バックアップ体制が要るんじゃないかなという感じがします。  それをこの中に何か書き加えていただくか、これはもうご一任したいと思います。 吉川座長  積極的な活用を図る必要があるという、その上にもう一つ「研修などを積極的にやっ てもっと理解を深めてもらう」というような表現を中に入れるということですね。 中野委員  健康管理で、医療の先に行ってしまうかもしれませんが、知的障害の方がどのように 老いを受け止めていくかということへの支援、カウンセリング的なもの。やはり周りに どんどん人がいなくなっていく状況の中で、それをどう受け止めていくかというサポー トをどこがするか。特に地域生活をしている場合に、そのへんはどこで考えるのか。  確かに元気はつらつの高齢期を考えてのサービスでしょうが、最後は必ずあるわけで、 やはりそれを受け止めきれないギャップに悩んでおられる方もおられるので、そのへん はどう考えたらいいのか。ちょっと先走りすぎているかもしれませんが。 吉川座長  いいえ、今まで議論として出なかったところですので、大変重要なご指摘だと思いま す。確かに「健康」というようなところで考えることではないのかもしれませんが、保 健サービスの中にはその問題も含めていかなければいけないのは、今後の問題としてあ ると思います。ちょっと書きにくいのは書きにくいですね。前田委員、何かご意見はあ りませんか。 前田委員  あまり世界的にもそういうのは。宗教とかそういう方面になってしまうんじゃないで しょうか。 吉川座長  ちょっと頭に留めさせていただきまして、それでは先に進めさせていただきます。 丹下委員  7番のところで、「機会が十分に得られるように十分に配慮する」という、「十分」 が二重になっていますので、文章的には変えていただいたほうがいいと思います。 吉川座長  分かりました。 大林委員  なぜ生活習慣病が、どうして気をつけなければいけないのか、というところの、言葉 はよくないんですが、よく言われているような、教育をという意味も大切なんではない かと思います。私も生活習慣病はいけないと分かっていても、これはなっていくもので すから。健康の大切さみたいなところの教育、そういう言葉を使っていいのかどうか分 かりませんが。なかなか生活習慣病の問題は、これは気をつければいい話で、なんでも ない話なんですが、飲んだり食べたりというのは非常に自分自身で厳しく我慢しようと いうのができない分野ですので。現実とすれば、食べないほうがよいと思っていてもポ テトチップは必ず毎日買ってくる。 吉川座長  ここには確かに特別に「健康教育云々」というような表現はないものですから、今の ようなお話が出るんだろうと思います。 大林委員  あって、それでこれになるというのは分かるんですが、それは結構大事な部分ではな いかなと思います。 丹下委員  やっぱり年をとってきても、小さいときからそういう訓練というか指導はしておるん でしょうが、年をとってきてもやっぱり繰り返しそういうことをやらなければいけない ということですね。 大林委員  例えば年齢からですと、まだこのまま病気になるわけにいかない、という意識が働く なり、厳しい身内がいるとか、配偶者がいるとか、そういう意味では気をつけるという きっかけとかそういうものになっているとは思いますが、なぜそこでこんなに食べたい ものを我慢するんだろうか、という疑問というのは非常に説明の難しい部分なものです から。  何とここに書かれるかは分かりませんが、思うままを言わせていただきました。 末光委員  生活習慣病は、前は成人病ということで、そうなるものだと。年齢になれば。そうじ ゃなくて、やはり一定の努力なりをすれば、それはある程度予防なり減少ができるんじ ゃないかということでこうなったと思うんです。これは一般の方々はそういう理解があ るんですが、知的障害の場合にはなかなかそういう理解がご本人も得にくいと。  僕はむしろ周囲の人の問題が大きいという感じがするんです。  私の経験では、30数年前は知的障害児というと小柄で痩せているというのが通例だっ たんですね。ところが今はそうじゃなくて、肥満の人が結構多いという形になったの は、かなり家族が。かわいそうだから、本人が食べたいならどんどん食べさせてやった ほうがいいんじゃないかと。せめて食べるぐらいは、という形できた部分がかなりある と思いますね。ですからご本人なり周囲の理解というのがもうちょっと要るんじゃない かなと思います。そういう部分を整理していただいたらいいのかなと思います。  それからもう一つ、ついでなので敢えて。この文章の中に結構入っているんじゃない かなと思いましたのは、後半部分が「疾病や合併症のリスク云々」というのは、生活習 慣病に伴う疾病・合併症もあるけど、高齢化に伴ういろいろな疾病、痴呆の問題とか、 あるいは高齢になるとダウン症でも癲癇がどんどん出てくるというようなことがありま すので、そういう高齢に伴う新たな疾病・合併症のリスクと。両方がこの中に入ってい るんじゃないかなという気がしたので。そこはちょっと整理していただいたほうがいい かもしれません。 吉川座長  一つは、健康教育の問題と考えていいと思いますが。生活習慣病の予防ということを 考えるのであれば、やはり健康教育を十分にすると。その健康教育も当人に対する健康 教育だけではなくて、周囲、家族に対する健康教育も含めて、「健康教育」ということ にもっと力点を置いた書き方をしてもいいんじゃないかということが一つ。  それからもう一つは、疾病リスクの問題で、これは生活習慣病による疾病リスクの、 生活習慣病としてのというか、疾病リスクだけの問題じゃなくて、高齢化に伴う疾病リ スクに関してもきちんと書いておいたほうがいいんじゃないかと。そういうようなお話 でございます。これは書かせていただきたいと思います。  その他、先ほど研修の話なども出ましたので、これは看護婦の、地域の訪問看護など をやっている看護婦たちに対する研修も、知的障害者を理解するという、より理解して もらうための研修を行うというようなことを考えたいと思います。  それでは8番目の「相談・支援体制の整備について」というところに移らせていただ きますが、いかがでございましょうか。これは先回、名称があれこれあるのでという話 がございまして、「 」書きに書いたのもおそらくそういう意味があったのではないか と思いますが。これにつきましては、名称はともあれ、こういう人材というか、こうい う役割をとってくださる方が必要だということに関してはこの前も話が出たところでご ざいますので、よろしゅうございますか。それから知的障害者相談員の問題は、親の問 題として、親だけで本当にいいのだろうか、という議論も少し出たと思いますが。もう 少し質的に高い相談体制をつくるべきではないかというようなこともご意見としていた だいたような気がします。そのことを踏まえて、「保護者以外の方に委嘱することの検 討」ということに、そういう形で書かせていただいております。 小野沢委員  よろしいですか。「生活支援ワーカーがグループホーム等に出かけるようになれば」 ということで書かれているんですが、この「グループホーム等」という、その「等」の 中にグループホームで生活してない人たちの部分も含めていると、当然そう考えてもい いわけですよね。 仁木課長  はい、この「等」は主として福祉ホームを、上の1行目のところに「グループホーム や福祉ホーム」とありまして、福祉ホームを「等」というように書き換えておりまし て、従来は生活支援ワーカーというのは地域で働いている知的障害者の方を対象にした 制度でありましたが、これからは働いてない方、より重度の方も対象になります。  そうなりますと生活支援ワーカーの仕事の範囲というのが広がります。そういう意味 で「役割を見直さなければいけない」というような趣旨でここは書いてあるわけでござ います。 吉川座長  それではよろしゅうございますか。それでは次のIIのところに移らせていただきま す。「知的障害者施設における高齢化への対応について」ということです。いかがでご ざいましょう。まず、前文に当たるものにつきまして、とりあえずお目通しをいただき まして。ここは数字は特に打っておりませんで、ポツで整理をさせていただいておりま す。前文のほうはよろしければ、それでは丸ポツのほうに行きたいと思います。  最初のポツの「入所更生施設は…」というところではいかがでしょうか。これもかな り議論がされたところですが。 小野沢委員  検討メモの中では通過施設としての制度的な本来の役割と、実態として生活施設化し てきていることをどう考えるかということが書かれていたんですが、実態として生活施 設化してきてしまっている、そのことをこの表現だけでよいのか、言い切れるのかどう かということですが。 吉川座長  今おっしゃったことはどういうことですか。通過施設であるはずのものが、今は生活 施設に変わっているという認識はこの議論の中でもありましたね。けれどもそういう認 識ではあるけれども、通過施設であることには変わりはないですね。ですからやはり ターミナル施設としての定義はできないということで、こういう書き方しかなかったん じゃないかと、私は思っているんですが、どうでしょうか。 小野沢委員  ターミナルケアの問題は出ていたと思いますが、現実の課題として知的障害関係の施 設にいらっしゃる方がすべて高齢者施策のほうに移行できるという、それだけの条件整 備というのは難しいことだと思うんです。ある部分に関しては、いわゆる知的障害関係 の施設の中で受け持たなければいけない部分というのは当然残ってくると思うんです。 それでターミナルケアのことまで触れるか、触れないかは別としても、やはり知的障害 関係の施設の中でも、ある部分高齢者介護というか、そういうものを実施していけるよ うな文言というか、そういうのがあってもいいのかなと思うんですが、いかがでしょう か。 北沢委員  今の小野沢委員の話で、まだそのへんの部分については、例えば高齢者施策のほうで カバーできないよという部分が、どれだけきちんとした問題として整理されているかと いう段階だろうと思うんです。そういう意味で、4頁の3番の2ポツ目のところに、知 的障害の領域で特化して考えなければならない課題と、一般的な高齢者施策の中で考え る部分とは区分して検討していく必要がある、というような表現があって、今後の課題 として残していくみたいな考え方では難しいですか。今の段階で、例えば、こういうも のがあるんだよ、というように言い切れるのかどうかということです。  前田委員  今のご発言なんですが、私はせっかくこれだけ専門家が集まっているわけですから、 医療面の問題についてはかなりはっきり言ってしまってもいいんじゃないかと思いま す。私も前に東京都の調査をやりましたし、今も実は知的障害児の更生施設の理事なん かをやっていて、相当一生懸命にやらされているものですから考えるんですが、老人福 祉施設に依存できる部分というのは、私の感じでは特養に入るような人については、こ れはもうそれはやってくださいということで言ってもいいと思います。ただ、小野沢委 員が言われたように、それでも完全に行くかどうかは問題があるとは思いますが、一応 そういう原則は言えると思います。その前の段階で、知的には相当衰えたけど、まだ身 体的介護は必要ではないというような方は、ここでは「養護老人ホームに」というよう に書いてありますが、私は実は養護老人ホームのほうもずいぶん長く経験してきたんで すが、養護老人ホームにそういう方を途中から入所させるというのは非常にお気の毒で すね。これはやはり私は反対なんで、これは知的障害者施設のほうで今後とも引き受け ていくべきであると、私は一生懸命にやりましたので思っているわけです。それが検討 会として、それは老人ホームに任せるんだというなら、それはそれでいいんですが、ど っちかにしないと現場はものすごく混乱しますね。  私が今理事をやっている知的障害者施設でも、どんどん高齢化は進んでいるわけで す。  ところが訓練施設としてしかつくってないわけです。私はこの間理事会があったとき に、もうそろそろ高齢化対策の計画をしなければいけないと。それは老人ホームに頼む なんていうつもりではもうだめだと。どうしてもこの施設でそういう方に対応できるよ うなものを今から計画するべきだと。計画してもできあがるまでには10年かかりますか ら。  だから今から計画すべきだと言ったんですが、そこのところを今の段階で結論を出し て、それぞれの領域の方々に考えてもらわなければ間に合わないですよね。だからまだ 曖昧だというなら、私は何のために専門家会議を開いたのかよく分からないと思います がね。 今村委員  ちょっと済みません。私はそちらのほうの研究をずっとやってきているんですが、今 の前田委員が発言されたようなことというのは、既に昭和60年頃から出てきているもの ですから。その頃から高齢者等知的障害者施設をつくれとか、一緒に生活ができるんだ とかやってきたんです。ところが10年経っても、あまり施設はつくられてこない。  10年前のときには、つくる、つくる、という声が非常に高かったんですが、お金の問 題じゃなくて、実際には特養に移っていく人たちのほうが数として増えていると。  それで施設に残る人たちがいるというんですが、高齢化してきて実際に60才、70才の 機能低下してくる人たちは、例えば具体的な例を申し上げると、神奈川県の施設なんか ですと、70才を超えていると知的障害者施設でやれなくて特養に移していると。  それで特養を自分でつくる、つくると言っているところは、かなり若い人たちを抱え ている施設なんです。50才、60才を抱えているところで。そこらへんのところをもう少 し整理していかないと今の答えは出てこないんじゃないかなと思います。それで僕は両 方なければいけないと思っています。両方選択していかなければダメだろうと思ってい ます。 前田委員  それは両方という曖昧なものはありますね。 今村委員  曖昧ではないと思います。障害者というのは。 前田委員  私は自分でも経験してきたんですが、少なくとも今の養護老人ホームではそういう知 的障害者の、ある程度の重度の知的障害者は、身体はちゃんとしているというような人 に対しては職員も訓練はなんとかできるでしょう。しかし一緒に入っている高齢者の方 は、もう今更差別してはいかんとか、バカにしてはいかんとか言ってももうだめで、全 然分からない人も多い。バカとかそういう言葉がでたりするんですが、今更、70いくつ になっている人に、「そういう方も大事にして、同じ人権がありますから」と言ってみ てもなかなか難しい。そういう状態を見たら、とても私は養護老人ホームで、職員の方 が善意で努力しても、難しいと思う。 今村委員  養護老人ホームというのはあまり賛成しないんですが、私が言っているのは老人施設 で、特養を含めての老人施設という、もっと広い意味で。 前田委員  だから特養は、身体介護が必要になってくれば特養で。これはもちろん引き受けるべ きだと思いますよ。しかしそうじゃない、その前の段階。 今村委員  小野田委員が言われたのは、今の更生施設の中に老人の介護をするようなそういう場 所をつくるべきだと、そういう意見だと思うんです。そういう意見があってもいいんで すが、ただ実際にはそれはたぶん不可能だと思うんです。そういう人たちは非常に数と しても少ないし、それで今申し上げたように、残って60才、70才になっている人たちは かなり機能低下している人たちなので、現状の更生施設の機能ではたぶんやっていけな いだろうと思います。そこに病院とか医療とかそういうものをつくっていくことが可能 ならばやれるだろうと思いますが、現状ではそれは不可能ですから。  そうすると、あるところまでは持っていくけど、60、70になってきて機能低下してき たら特別養護老人ホームとか病院とか、そういうところに移るべきだと思いますね。  いろいろなデータを見ていると、大体そういう方向に行っていますので。自分のとこ ろでやるべきであるというのは、割と若い老人を抱えている施設がほとんどなんです。 前田委員  だから私は今村委員に反対しているわけじゃないんです。特養については反対してな いんです。 吉川座長  ちょっと先生が言っていることが伝わってないみたいですね。 丹下委員  養護老人ホームに知的の方々を、これは身体的に丈夫だから入れましょうというの は、本当に利用者がその環境に溶け込むということは非常に難しいと思いますし、周囲 からの圧力というのはものすごいだろうと思います。ですから決してその人のためには ならないだろうと思います。ただ、特養にお入れするとか、あるいは障害者施設に特別 に特養のようなスペースをつくるとか、そういうようなことはやはりどっちに決めると いう問題ではないだろうと思いますね。その場その場で、その施設その施設で取り組む べき問題だろうなと。こっちのほうは特養に全部入れてしまうんだとか、施設で全部自 己完結型に看るんだとか、そういうような問題ではないような気がしますね。 末光委員  同じ問題を違う視点からちょっと状況説明をさせていただきますと、知的障害の方を できるだけ地域の中で自立生活とか、あるいはグループホームとかで生活をという流れ があると思います。さらにもう一方では、一般の高齢者と一緒に暮らせたらというよう な形もあると思います。その中でやはり施設として本当に今後ある程度集団生活をする 場合が残されるべきかどうかというあたりについては、もう先生は結論を出すべきだと 言われているんですが、そうかもしれないんですが、その対象の方がどんどん状況が変 わっていると思うんです。  その状況が変っているという一例ということで私が申し上げたいのは、私は重症心身 障害児施設ですが、最近我々のところの入所希望で多いのが、知的障害者施設で長年生 活してきた方、あるいは在宅で暮らしてきたけれども老化によって状態が変ってきた と。  その方々の入所希望が非常に増えてきています。4つありまして、一つはやはり身体 的な障害が出て車椅子生活をしている。知的障害者施設の中の集団なり、あるいは生活 環境では難しいというような形で来る方。2番目には、痴呆等が伴ってきて、どうもや はり難しいと。受け皿がないと。3番目には、食事が嚥下障害とか、食事が非常に困難 になった方。それから4番目が難治性癲癇で、癲癇が新たに老化によって起こってきた と、医療ニーズがある方。そういう方々が重症心身障害児施設への入所希望という形 で、介護の問題と医療の問題で見えますね。  だからそういう意味で本当に知的障害の高齢者専門のものがいるのかどうかというあ たりについては、やはりちょっと一般でいけるのか、あるいは部分ということと同時 に、我々は医療のある重症心身障害児施設との関係で検討していただく必要があるんじ ゃないかなという気がします。 吉川座長  これまでもこのようなご意見は何回か出ているんですが、今お話が出ているところで 言えば、まず原則論が書いてあって、そのところの後に「また」と書いて、「地域生活 移行の観点からも」と書いてありますが、ある程度個室化やユニット化を考慮する必要 があるんではないかという、一つの現在の入所更生施設の中で変えられるべきところを 指摘しているんではないかと、こう思っていますが。こんな形ではダメでしょうか。  今の議論のまとめのところになりますが。 前田委員  ちょっとよろしいですか。そうすると言葉として「ユニット化」というのは、ようす るにそういう高齢化して訓練の対象ではなくなった人の意味とするべきだと、そういう 意味でユニット化なんですか。 仁木課長  これはできるだけ施設の中にいても普通の生活にできるだけ近い状態にしていこう と。そんな大集団の生活というのではなくて、8人なり9人ぐらいのユニットに分けて 生活するという形が、やはり生活の質ということを考えるといいんじゃないかと。  それがすなわち地域に移行するという可能性も考えると、やっぱり50人の大集団から 4人のグループホームに移るというのは大きな環境変化になりますので、やっぱり少し ずつ小集団での生活に慣れていただいて、それからグループホームというようなことも 考えて。 それとまた生活の質という面との両方を考えて、この「個室化」と「ユニッ ト化」というのは必要ではないかなと。 前田委員  ではちょっと私が申し上げたことに近いんですね。私が考えているのは、もう実際に 理事をやったりする前には養育院にもいましたから、両方やっていましたから知ってい るんですが、とにかく片方で訓練をするほうで、片方ではもう訓練ができなくなって、 遊んでいてもいいよというのが、それが同じところに入っていたんではこれは困るんで すよ。そうかといって、では老人ホームに行ってくれというのは、私はもう反対だ。  やっぱり知的障害者の処遇に慣れた職員がやるけど、しかし生活の場面ではあまり両 者が完全に触れ合うみたいな一体的というようなものでないようにしないと、訓練のほ うが今度はダメになってしまうんですよ。そういう問題をやっぱり考えていかないと、 知的障害者の施設はどこも困ってしまっているんじゃないかな。どうしていいか分から ないと。 吉川座長  そのへんのところはいかがでしょうか。 仁木課長  この部分はハードの問題に絞ってのことでございまして、処遇のあり方についてはあ まり議論がなかったように思います。むしろここで処遇のあり方について、若い人と高 齢の人を分けてやるのがいいのか、一緒がいいのかというのは、そのへんは議論をして いただければと思います。 吉川座長  それよりももうちょっと深いんですね。今のお話は。課長が言われるようなユニット 化というのは、通過施設としての機能をより強化する形で、大集団から中小集団へ移し て、地域へ移していくという、そうした段階的なことを考えるためにユニット化、個室 化ということを考えているというのが課長の説明だったんですね。 仁木課長  「地域生活への移行の観点からも」とありますのはまさにそういう意味でございます が、ただ個室化、ユニット化というのは、通過施設ではあるけれども、ある意味ではそ こに生活があるわけですから、より質の高い生活が確保できるようにということで、個 室なり小集団の生活が望ましいということで。 吉川座長  それを前田委員のところに私は今つなげただけなんです。ですから課長が言われてい る一つの説明は、地域に向かって大集団、中小集団という形で、個室という形ではある けれども、でもその施設の中にいる限りは、その機能の低下を考えたときには、大集団 の中にはいられなくて、中小集団でしかいられない人たちも出てくると。  すなわちその先が地域へ必ずしも帰れるとは限らなくても、でも、その施設の中とし てはそういう処遇が必要ではないかということを含めて、「ユニット化」とか「個室 化」という言葉が私は使われていると思っているんです。それでさっきちょっと、そう いう意味もあるというように説明をしようとしたんです。それでいいんじゃないでしょ うか。  ですからここのところに「も」が付いているということは、その意味だと思います ね。  地域のところに「も」が付いていますね。そういうことです。 前田委員  もう一つちょっと問題があると思うんです。ここで特に高齢化の問題を考えますと、 かなり高齢になってきた知的障害者を地域生活に移行させるということ自体に、現在の 高齢化問題の考え方とは違う点があると思うんです。ただ、最近アメリカとか他の国 は、国連なんかも言っているんですが、「エージング・インプレイス」と言いまして、 年をとってきたらできるだけ動かさないほうがいいと。ということは、一般の人はそう 言われているんですね。まして知的障害者の場合には、適応能力が非常に低いわけで す。  だから40でも既に高齢化の傾向が顕著になってきた人を、もうここでは訓練施設では ないから地域に移して、そこで普通のお年寄りのように地域で生活をさせるというの は、実際には非常に気の毒だと思います。エージング・インプレイスで慣れた、例え集 団的な施設で我々からみれば理想からは程遠いかもしれない、ノーマライゼーションか らは遠いかもしれない。しかし本人にとっては慣れ親しんだ施設でしょう。それで年を とってきて能力も衰えて、それをノーマライゼーションだから地域に移すというのは、 私はあまり賛成はできない。将来的には別として、現時点での大きな施設、私が今理事 をやっているのは50人施設で、箱型の施設ですね。そこで年を取ってきた人たちを、今 更グループホームにと言ったら、それはかわいそうですよ。 仁木課長  それは何も強制的にということではないんです。グループホームで生活したいという 方がいらっしゃれば、そういう方が50,60になっても地域で生活できる支援対策を我々と してはやらないといけないんじゃないかということでして、先般、神奈川県の「さがみ 野ホーム」に行ったんですが、そこでは最近グループホームに出た方が5人いまして、 その方はいずれも60代の方なんですね。ですから60代になっても施設からグループホー ムに移りたいという方はいらっしゃって、それで生き生きと生活されておるという現実 を見まして、今までは50、60になったら今更もう地域に出るのは、年だから遅いんじゃ ないか、という思い込みみたいなものが我々にもあったんですが、現実にさがみ野ホー ムの状況などを見ると、50、60になったからもう遅いということでは必ずしもないんで はないかと。むしろ知的障害の方の発達というのは遅々としているけれども、50、60に なってやっと地域で暮らせる力が身に付いてくるという部分もあるんじゃないかな、と いうようなことも私どもはちょっと思ったりしているんです。 前田委員  その通りで、人によって違いますからね。課長の言われる通りです。 吉川座長  それでは丸ポツの2つ目のところ、「生活習慣病の予防、口腔衛生その他」、このあ たりのところは先ほどもちょっと議論になったところで、施設としての特異性というも のが何かあるんではないかということで書かれているものだと思います。「協力医療機 関のあり方などを含めて検討すべきである」という、当たり前のことと言えば当たり前 のことが書いてあるわけです。 前田委員  ちょっとよろしいですか。「検討すべき」という意味は、それは検討すればいいのか もしれませんが、現実に私が理事をやっている施設の場合では、協力医療機関、特に精 神科のお医者さんを得るのに大変な苦労なんです。あっちに頼んでも、こっちに頼んで も、私は精薄のことは知らない、やりたくないということで、結局いないんです。  とんでもない遠くの方を頼まざるを得ない。そういうような状況をやっぱりどうした らいいのか、検討すべきことになるんでしょうが。現実をちょっと一言だけ。 大林委員  ここのところで嘱託医の話ですが、嘱託医制度によって外部からの往診が厳しい制 度、制約があるわけですが、このへんの関係は。ここは、協力医療機関のあり方を含め て検討するという、同じく検討ですが。だから嘱託医さんがいると、なかなか施設のほ うに他の専門医が往診ができないという、医療の中での抵触する部分があるというよう に認識しているんですが。 仁木課長  嘱託医の方にも大いに医療に対応していただかなければいけないんですが、嘱託医は 原則一人ですが、疾病はいろいろと多種多様なので、ここで言う「協力医療機関」とい うのは総合病院的な協力医療機関のようなものを確保しておく必要があるのではないか ということです。 大林委員  そこまで身体的に介護、または機能訓練等において、整形外科の方に往診していただ くということがあるかどうかは別問題ですが、嘱託医制度において、むやみやたらにそ こに出入りしてはいけない、ということはあると思うんです。 吉川座長  それは何かありますか。  事務局  施設の嘱託医である場合には、そこへの往診というのはありえないと。つまり、そこ の診療施設で、施設の職員としての当然の業務として診療を行ったものについては、そ れは往診ではないということになり、診療所としての保健請求に際しては往診料は算定 できないということです。 吉川座長  それは嘱託医にあっては往診はないという意味ですよね。 事務局  嘱託医以外の先生が来られると、それは当然往診になります。 吉川座長  そうですね。それは別に規定されてないと思いますが。 丹下委員  それは特養でも嘱託医はおりますし、他からいろいろな協力医療機関は5つぐらい持 っていますから、いろいろな精神科のお医者さんとか。 大林委員  勘違いだったら申し訳ないんですが、嘱託医契約をしておりますと他の方が往診をす るということがちょっと非常に微妙なところでできないという。 丹下委員  私のところなんかは診療科が違えば全然それは問題にしてないみたいだけど、そうい う問題もありますか。 大林委員  ええ。ちょっと前に勉強したんですが、勘違いでなければ。 末光委員  それは診療上で、いわゆる診療請求をしているのかどうか。 大林委員  はい、もし認識が違ったら申し訳ないんですが。 末光委員  している場合と診療報酬との関係が考えられるんですね。だからその部分の問題なの かな。そうじゃなくてと。あとは、請求した報酬が要請された、例えば開業医とかそう いう場合の診療に対して、支払のほうで何か査定がかかったか。あとはほとんど医療請 求に関することじゃないかと思いますが。それ以外に何かありますか。 大林委員  嘱託医に公費が支払われているわけですので、そこに医療との関係の問題が何か。そ の根拠は分からないんですが。 末光委員  嘱託医は健康管理とか、いざというときの対応とか、他からの紹介だとかで、そこで すべてのことが嘱託医にやれるはずがないと思いますね。 大林委員  そうなんです。それで結局、通院になるんですよ。 末光委員  あとは結局、外から来る医者が本当に来る必要があるのかどうか。往診すれば済むの に、受診すれば済むのに、それまで来ているかと。それから毎日のように来ているとか いうことになると問題でしょうから、そこは具体的な事例によるんじゃないでしょう か。 大林委員  ケガをされても通院を拒否する利用者については、往診をお願いしたいと。 でも、 これは外科的だとか、例えば口腔衛生の歯科の問題であるとか、何かそういうところが ちょっと。たまたま特養のほうでその勉強をする機会があったものですから。 末光委員  最近は高齢で歯科診療を往診で自宅に、これも実際には本人が受診できないような寝 たきりか車椅子等でないとダメだという形になっていますのと同じように、やはり具体 的な状況によるんじゃないでしょうかね。 大林委員  制度的に許されていてどんどん外部の専門医が施設に入ってこられることになれば、 何も問題はないんですが、施設の中でとかくその問題が。近くに専門医に通院で対応し ているんでしょうが。 末光委員  例えば医者がおり、医者に対して一定の費用を支払って、さらに保健衛生費というの が一応組織等がしているわけですから。それでやれるはずなのに、それ以上に外から来 てその分をいわゆる使わずにやる必要があるのかという、そういうような問題も一方で はあると。医療の問題とそういう保健衛生機関絡みの問題が。 大林委員  例えば在宅のほうで生活をされた方が入所されて、かかりつけ医がいたと。 施設に は嘱託医がいるからかかりつけ医とダブルになると。見立てが2つになるわけですね。 それでこの先生に生まれたときからかかっているかかり付け医なんだということが、そ れが施設の中で継続できないということがあると、私はそこについては協力医療機関を 設定してもなかなか難しいんじゃないかと思いますね。 吉川座長  それは先ほどの話とはまたちょっと違いますので、特異なケースのような感じもしま すので、一般論としてはそんなに問題はないと思いますが。 末光委員  僕が今言ったような疾病等の頻度なり、中身なりがどんどん密度が高くなりますの で、嘱託医のあり方を特にこの中に加えていただくとか、それから先ほど課長がおっし ゃっていた協力医療機関の中には、以前から私は発言させていただきましたが、新しい 診療報酬の中で障害者施設等入院基本料というようなものを設定いただいておりますの で、そういう部分のあり方という形で、この中に羅列して加えていただければ。お諮り いただいて。 大林委員  中身について言っているわけではございませんので、もし制度上制約があることにお いてこのことがうまく進まないとすれば、そういうことを問題にしていただければと思 います。 吉川座長  はい、分かりました。ではよろしゅうございますか。それではIIIのところに移らせて いただきます。 小野沢委員  よろしいですか。先ほど遅塚委員が言われた、授産施設からの高齢化を迎えた方の件 に関して、この2番のところで。 遅塚委員  更生だけが施設ではないですし、職員の方も読まれるでしょうから、きっと関心を持 って。あとは通所もスッポリ抜けていますので。通所者もある程度年齢がいかれると、 卒業のような感じで退所なさるんでしょうが、前に戻って日中活動とかの話になります が、今まで通ってきていた人が、明日から家の中にしかいるところがないんですかとい う話になると、逆に、では退所しないでいつまでもそこにいてと。それで次の人が入れ ないという話になっても困るし。入所更生だけでなくて、少しでいいから授産のことと か通所のことも、課題のような形でもいいですから、触れておいていただけると、たぶ ん見る方は、考えてくれているんだなと。 吉川座長  分かりました。課長、それはよろしいですね。 中野委員  4頁目の黒ポツのところですが、先ほどの前田委員の話とちょっと引っかかってくる と訳が分からなくなるんですが、「地域生活の継続が困難になった場合の対応策とし て、再入所を弾力的に運用していくべきである」と。高齢者対策のところでこれを書い てあるということは、それを受け取る施設というのはいったいどういう施設なんだろう か、と読み手は思ってしまうわけですね。そうすると介護保険等で、例えばリハビリ テーションとかそういう形で利用するなら、利用していいんだよと、そういう意味でこ れは了解すればいいのかなと思っているんですが、そういうことですか。  つまり、地域生活の継続が困難になった場合、また入ってきたと。そこで先ほど前田 委員がおっしゃったように、「訓練する」というのではないんだとか、「訓練するん だ」という議論と。これはいったい戻ってきたときのサービスは何をすることになるの かなと。 そういう疑問をこれを読んだ人が思わないかなという、ちょっと読み込み過 ぎでしょうか。 仁木課長  ここは前回、白井委員が「地域と施設を弾力的に行き来できるようにする必要があ る」ということをおっしゃったので、それでここに書いたんです。それでここに書かせ ていただいた気持は、高齢者といえども地域への移行ということを適えられる対応を考 えていくわけですが、思い切って地域に出たけれども、何か支障があってうまく行かな いという場合には、また戻れるんだよということ。一度出たら待機者がたくさんいるか らダメですよということではなくて、また帰れるんだというそういう運用というのが必 要かなと。それで考え方としては、やはり帰ってきてまた体勢を整えて、地域生活の継 続が困難になった理由が解消されれば、地域に出ていただくということを想定しており ますので、やはり施設に戻ってきて、そこで更生訓練なり授産活動をしていただくとい うことであって、老人ホーム的に生活してもいいという意味で書いているわけではない んです。 中野委員  そうしますと先ほどの議論として、高齢の人にとっての回転できる、自分の生活の力 が弱くなったときに改めて集中的にサポートしてくれる、そういういわば括弧付支援施 設というんですか、それは就労でもないし、今までのように元気はつらつの訓練でもな い、違う目的をもった通過施設というのがあり得るのかもしれないという見通しを読み 込んでもいいということですか。 仁木課長  そうですね。ですから指導訓練というのが、若い人向けの指導訓練と、中年の方の指 導訓練と、高齢化した方の指導訓練と、それぞれ同じ指導訓練でもいろいろなレベルが あるだろうと思います。ですから高齢者にはもう指導訓練は要らないとか、ないとか、 そういうことでは必ずしもないんじゃないかと私は考えているんです。 北沢委員  だから総則のところで法目的を変えましたよね。「自立」と、「社会経済活動への参 加」というように変えたわけで、そこの中身を従来のような「更生の指導訓練」という だけの読み方にするのかどうかというところが、まだきちんとした形を見せていないの で、旧来で考えると中野委員のお話もよく分かるし、前田委員のお話もよく分かるとい うことなんで、法目的を変えたというところの意味合いと自立というのが、身体障害者 福祉における自立に変えたときの意味合いというのがございましたね。  自立生活への移行というようなところは、かなり僕らは意識してこれから取り組むん だろうなという理解なんです。 仁木課長  私もそう思っておりまして、更生施設の定義は法律上は今回は変わっておりません。 「指導訓練のための施設」という定義は変わってないんですが、第1条に「この法律の 目的は知的障害者の自立と、社会経済活動への参加の促進」という規定が入りましたの で、実質的には更生施設の運用というのも、やはり1条の目的に沿った運用がなされて いかなければいけないんじゃないかというように考えています。 遅塚委員  これは現行制度でありますね。3年間ぐらいでしたか。あれをさらにより弾力的にと いうことですか。 仁木課長  そうです。今3年間は定員外10%の枠内で、出戻りを認めますという言い方をして いるんですが、それを5年に延ばすとか、さらに期限なしで、一度そこの施設にいらっ しゃって地域に出てどうしてもうまくいかないという場合には、7年後でも定員外で10 %程度は弾力的に受け入れてもいいんじゃないかと。その3年を見直しをしようという 気持をここで込めているわけでございます。 吉川座長  だんだんと中身が分かってきたような感じがしますが、細かいそうした議論は確かに してないんですが、先ほど言いましたように、やはりこれからこういう形で行政担当の 方々がもう少し弾力的にいろいろなものを運営できるような、そんなことを考えさせて いただきたいと思ってこんなまとめ方にさせていただきました。  それではIIIに移ります。「高齢者施策の活用と連携のあり方について」、最初の前文 のところをとりあえずお読みいただきまして、いかがでございましょうか。  ここのところで、課長、もう少し何かこれを膨らませるか何か、お考えは。  総論の総論で行きますか、それとも一般高齢者施策との関連の中で膨らませて行きま すか。 仁木課長  IIIの文の総論の表現ぶりでございますか。さらに書き加える点があればご指摘いただ きたいと思います。 吉川座長  では皆様方のほうで特によろしければ、これをそのままということで。 前田委員  よろしいですか。このことについての意義というわけではないんですが、私は今大学 にいる人間として、障害福祉関係のカリキュラムがどこも皆「障害者福祉論」で一本に なってしまっているんですね。それで多くの大学が身体障害の専門の先生が両方教えて いるんです。そうしますと知的障害者のことについてはほとんどお義理ぐらいしか触れ ないで、卒業してしまう学生が非常に多いわけですね。  私はかねがね、これでいいのかな…と。知的障害関係の施設がこれだけ増えているこ の時代に、これでいいのかな、といつも思っていたので。そういうことについての専門 家教育のことを一言、最後のところで触れる必要があるんじゃないかなと。  そうしますとこの見出しもちょっと、もう少し広げていただいたほうがいいんじゃな いかなという気がしていたんですが。時間的にも、ひどい学校だと障害者福祉論で2単 位、半年しかないというのもあるんです。それでその中に知的障害者のことはおそらく 1、2時間しかやってないんじゃないかと。そんなことで分かるわけがないんですよ。  この高齢化問題なんか出てきているときに。だからそういう高齢化問題も含めてやっ てもらわなければいけない時代になっている。そういうときに、あまりにもお粗末だと 思うわけです。 吉川座長  大きな問題が出てきました。むしろそうしたら、そういうことは後でちょっと話をさ せていただいて、総論的なところをもう一度考え直させていただきたいと思いますが、 その中にちょっと。総論の総論というところですね。考えさせていただきたいと思いま す。では、それこそIIIの各論のところで、デイサービスの問題から始まりまして、ポツ がいくつかございますが、これらをちょっと目を通していただきます。  デイサービスのところはいかがでしょうか。これは「知的障害者の障害特性の配慮が 必要である」という書き方でございますが、これはよろしゅうございますか。  それでは次のポツのところで、「知的障害者の領域で特化して考えなければならな い」と、さっきもちょっと話がありましたが、それと「一般的な高齢者施策の中で考え る部分とは区別して検討していく必要がある」と。ここの中で何か具体的なことを少し 書き込むかどうかということかもしれませんが。あるいは例みたいなものを。 遅塚委員  この部分と下の部分というのは、具体的なものを書き込むことができなければ、なく てもいいと思いますが。 吉川座長  そうなんですね。そこなんですね。ただ、知的障害者特有の何かサービスというもの を、高齢者のサービスというものを本当に考えなければいけないのかどうかということ も、この検討会としては考えてきたわけですが、同時に一般高齢者の施策がもっと知的 障害者に向けても開かれたものにならなければいけないんじゃないかという考え方があ るので、その考え方の中からやはりどうしてもこういう書き方で出ていくんだろうと思 うんです。 丹下委員  特養の場合は、介護保険で「障害者介護体制加算」というのが出ておりますね。視覚 障害だとか、あるいはこの知的障害の方々も、大林委員のところみたいに50人のところ に15人おれば加算が付くというようなことで、それはなぜかと言えば、やっぱり知的障 害の方々をお世話する専門の職員を配置すると、こういうことになっているわけです ね。ですからこういうようなことは当然としてなされなければいけないことだろうと思 いますね。 大林委員  そういう意味では介護保険の中においても知的障害者関係や障害者関係が理解されて 加算制度が付いたということ。言うならば、相乗り的な部分が出てきたわけでございま して、ここのポツの2番と3番をやはりもうちょっと具体的に言うならば、制度上の相 乗り、つまり悪く言うとダブル支給的なところが可能になって、専門家がそこに入っ て、この現行の高齢者施策のほうが充実するというのもいいんではないかなと思ってい ます。 吉川座長  よろしゅうございますか。ではポツの2と3のところでは、今のような既にあるもの もありますので、それらも少し例示として書くなり何なりして、そしてその上でよりこ うした問題について拡充していくか、あるいは視野を広げてもらうというような、そう いう意味合いの表現を書かせていただくことにしたいと思います。  それではその次のポツですが、養護老人ホームや軽費老人ホームの問題で、入所年齢 を60才にするというところでございますが、このへんのところはいかがでしょうか。  事前にちょっと私どもで打ち合わせをしましたときに、ここのところで「知的障害者 の一部に早期老化の傾向があることを踏まえて引き下げを検討する必要がある」とい う、「早期老化の傾向がある」という、そうした表現をここでとっていいものかどうか ということをちょっと考えたんですが、とりあえずはこのままで皆様方のご意見を聞こ うかということで出してございます。 今村委員  これは特養のことは書いてないんですが、特養は65才になってしまっているんです が、従来は60才で入所可能だったんです。それでそのことを触れないで、ここだけ触れ ているというのもちょっと。むしろ特養の年齢も60才に下げるとか、考えなければいけ ないと思います。  それで「早期老化」ということは、ちょっと僕はよく分かりません。例えばダウン症 とかそういう特有の人たち、あるいはさっき末光委員が発言されましたが、癲癇なんか も最近は出てきておりますので、そういうところだとか、薬を飲んでいる人たち、早期 痴呆みたいな人たちがいないこともないんで、少しずつ出てはいますが、特養の人たち が全体的に早期老化するということは、現状では否定されているんです。これは日本だ けでなく世界的に否定されています。少なくとも、ここのところで軽費老人ホームと養 護老人ホームの他に、特別養護老人ホームも65才というのをちょっと検討していただき たいなと思います。 大林委員  これは実際には第二号被保険者は40才から使っていいわけでして、そういう意味では 制度的にもう少し長く説明文が入ってしまうような気がしますが。  今の40才から使えるという意味での特養まで含めるならば、措置でいくのか、契約で いくのか、という話とつながったら大変失礼なんですが、特定疾病でしか第二号の方に ついてはご利用できない特養の制度になっているものの中に、やはり知的な障害がもと もとおありだという方でも、40才から加齢に伴った障害に応じて認定を受けられる方も いらっしゃるわけですね。そのへんも含めてここのところは、年齢だとかいろいろな養 護とか軽費の他に、また特養の話も含めて書いていただいたほうが、誤解を招かないん じゃないかと思いますが。 遅塚委員  これは措置の部分は措置だけで書かないと。特養も入れるならもう1項目起こさない と無理ですよ。 丹下委員  特養も措置制度の場合には65才以上でしたが、60才以上は特例で入るようになりま す。それからさらに60才以下の場合には、特例の特例で入るようになります。ですから かなり年齢が低くてもそういう症状があった場合には、措置で入れるようになっていた んです。 前田委員  でも実際には非常に困難でしたがね。特例の特例のほうは。特例の60才までは結構あ ったんですが、60以下では統計をとってみても全国で何人という感じです。 今村委員  そんなことはない、結構いますよ。 前田委員 最近は増えてきたけど、少し前までは60才以下というのは全国統計をとると僅かしか いないんです。だから特例の特例は非常に困難だったんですよ。現実には。  だけど今、大林委員が言われたように、介護保険ではアルツハイマーとか老化に伴う 疾病は特定疾病で、40才以上は使えますので、ここにわざわざ書かなくてもいいような 気がします。「早老」と言えばウェルナーまで皆入っていますから、今度の特定疾病に は。  だから問題はないんじゃないでしょうか。 今村委員  今日は痴呆の簡単なパンフレットを入れさせていただいたんですが、その中にも出て きますが、早期痴呆というのは結構癲癇だとか、特定の薬を長く飲んでいるために痴呆 化する例が結構報告されているんです。それで知的障害の場合にはかなりそういう形で もって、早めに老化してしまうという例もあるんです。だからそういうのも入れてもい いんじゃないかなと。 前田委員  なるほど。それは今は特定疾患には入ってないんですね。 今村委員  入ってないんです。それと、非常に安定剤なんか強いものを長く服用していたため に、早期老化の傾向が出てきているというような例も報告されています。だからこうい うのはそういう意味でそこらへんのところを入れておく必要があると思います。 前田委員  だけどお医者さんが、アルツハイマーだ、と一言書けば終わりなんです。  反論で きないんです。証拠がはっきりしないから。ある先生がアルツハイマーだと言えば、ア ルツハイマーになってしまうんですから。診断の基準がはっきりしてないから、それは 特定疾患の委員会でもそういう議論があって、医者がそう書けばいいんだよと。  そういう話もあったんです。おっしゃる通りに、それはちょっと違いますから、もし 書けるなら書いたほうがいいかもしれない。ちょっと細かすぎるような気がするけど。 今村委員  でも検討する必要はあると思いますよ。特定疾患の中身をもうちょっと検討していた だくということが可能かなと。これはお願いできればと思います。検討するためにはそ れだけの研究なり何なりが必要でしょうが。 大林委員  一緒くたに「知的障害だから」ということではなくて、その方にも特定の疾患に当て はまっているんではないかという、きちんとしたアセスメントが行われるべきだと。 丹下委員  介護保険開始のときに特定疾病そのものの内容を検討する必要がありますね。 こう いうような方々のためにも。そのへんのところを少し。 吉川座長  少し先取りして、そこまでちょっと踏み込んで書いておきましょうか。そうすれば 今、丹下委員がおっしゃったように。  それではケアハウスのほうに移ります。「ケアハウス等について、当人だけでなく保 護者も一緒に利用することができるようにする等、保護者の高齢化ということも意識し た対応が必要だ」と。これもご意見をいただいたところでございます。 遅塚委員  「当人だけでなく保護者も」ではなくて、逆ですよ。保護者がケアハウスの入所要件 の年齢になっているときに、ご本人はまだ年齢がいってないというときに、ご本人を放 ったらかしにするのでは親御さんがケアハウスに一人だけでは入らないので、この障害 のある子どもを連れて一緒にだったら、というケースを想定している。 仁木課長  書き間違えで、済みません。「保護者だけでなく当人も」と書くべきところを、ちょ っとミスプリをしまして。 吉川座長  そうですね。でも理解はそういうように理解していたんですが。 北沢委員  ちょっと遅塚委員に聞きたいんですが、一緒に入るということを認めるのはいいんで すが、保護者の方がそのケアハウス利用が難しくなる状況というのは出てきますね。例 えば亡くなるとか、そういうことが。そのときに、一緒に入られたご本人はどういう支 援に今度は変わっていくか、というところまである程度考えないと、この文だけが浮き 立ってしまうような気がするんです。  だから一応僕も育成会の立場なので、親がいつも一緒ならいいよという、認め方のそ の部分になってしまうものですから。 遅塚委員  ケースワーカーをやっていると、本来はもう入所すべき親御さんと入所すべき障害の ある50才ぐらいの方、両方とも単独だったら絶対に入所という話が、この2人だからで きないというのがある。やっぱり非常に歯がゆい想いはあるんです。ただ、確かにそう ですね。入った後にどうするのかというのが。 北沢委員  だからここのところは僕個人からすると、原則論的なところに触れてくるところに、 ちょっと踏み込むかなという感じはしているんですよ。 遅塚委員  いつまでも親の責任という話にもっていこうという意図はまったくないんです。逆 に、お子さんのことを気にして、親御さんが本来受けられるサービスをとまどってしま うという意味でのことなんですが。 中村委員  参考なんですが、よろしいですか。今、私が一番悩んで抱えているケースがあるんで すが。両親がいて、夫のほうが介護度1なんです。それで息子さんがまだ50才代で、介 護度3で、それでその妹さんが39才で、知的障害がおありなんです。  それで娘さんは日常生活はちょっとした助言があれば自立できているので問題はない けれども、家族揃って妻が全部をサポートしているような状態なので、もう限界まで来 て自殺をしたいというような相談を持ち込まれまして、緊急でお父様も介護度1でかな り痴呆の問題とかが、介護認定がどういう判定をされているのかちょっと分からないん ですが、そのご主人自身にもちょっといろいろな介護上の問題があるけれども、介護度 1なんです。 それでその息子さんとご主人で非常に介護ニーズがあるので、それを奥 様が一人で支えて、娘さんのことも含めて大変であると。それで自殺をしたいというよ うなことで。  それでとりあえず緊急で、55才の息子さんのほうを今入所手続きをしている段階なん です。今は健康診断の関係とかやっているところなんですが。  そうなった場合に、ケアハウスの話もちょっと出まして、将来的には娘さんのことも 抱えて、例えばケアハウスに入って夫も息子も自分も施設に入って、4人入ったときに 膨大な費用ですね。ケアハウスの費用でも、管理費から生活費というと、もう支えきれ ないような費用ですね。計算していくと。  だからまず、お金はいくらですか?というようなことが先に出てきて、概算的に計算 したらどうなるんですか?、というような相談があって。似たようなケースが何件かあ るんですが。こういう費用面でもう少し支援体制を考えていかないと。  一応フリートーキングの中身として聞いてほしいんですが、まず介護保険になって選 択の自由とか、いろいろと自分でサービスを選べるとかいろいろと言っていますが、措 置制度と違って費用面で非常に負担が大きくて、うまく介護保険を利用しきれないとい う意見がかなりこの頃聞かれているんです。年金を掛けてなかったり、貯金もしてなか った自分も悪いと言われればそうなんですが。従来の措置費の中ではもうちょっと柔軟 性があったような言い方をする相談者が非常に多くて、1ヶ月介護度3、4、5ぐらい のレベルだと大体6〜7万のお金が出ていくし、夫婦だと12万だしというようなこと で、非常にお金のことばかりを先に相談して、やっぱり止めますというようなことで、 困っている相談もかなり受けているんです。ケアハウスのお話が出たので参考までに、 こういう事例があるということを皆さんにお話したかったんです。  一家3名の方が介護ニーズがあがって、妻だけが支えているというケース。それでケ アハウスに例えば介護度1の夫と妻が入ってきて、娘が入ってきて、息子さんが特養に 入った場合、この4名が施設をフルに利用するとした場合の膨大な費用は、その家庭で は無理という現状がありました。そういうことで今は緊急でその55才の介護度3の方を まず入所、それから夫はまだ我慢できるということで、もし介護度1でもう介護ニーズ に耐えられなくなったら、空き次第すぐにご主人のほうも入所する方向で検討させてい ただきます、というところまで来ている方もいるということは事実です。参考にしてほ しいと思いました。 吉川座長  具体的にケアハウス等についてというところの、先ほどの逆転しているのはちょっと 別にしまして、この文面を先ほどの遅塚委員のお話ではありませんが、決して家族が親 子一緒にずっとしなければいけないということを言っているわけではないけど、いった いどうしたらいいかという発想からして、何かこの中に活かしていく言葉の使い方はあ るでしょうか。それともここではちょっと難しいということであれば。 遅塚委員  あくまでも「希望する場合には」とか。周りが面倒をみろよ、一緒にここに入れてあ げるから、という話はそれは確かに逆なんで。ただ、希望しても制度が立ちはだかって いて利用できないとなると、誰のための制度だという話になりますから。 前田委員  私どもは前にずいぶんこれで議論したことがあるんですが、結局知的障害の子どもさ んとずっと世話をしてきた親御さんとの心理的な関係というのは、常人には窺い知れな いほど密着している場合があるんです。でも離せられないというケースがずいぶんある わけで、確かに北沢委員が言われたような問題は十二分に分かるんですが、その場にな ってくればとにかくその場では入れざるをえないケースというのはずいぶんあるんじゃ ないかと私は思うので、多少文章を直すにしてもこのままに入れておいていただいたほ うがいいんじゃないかと思います。後のことはまたちょっと考えて。 今村委員  北沢委員の言われたことなんですが、つまりケアハウスと特養とデイサービ スも皆合わせて持っているというケースが最近は非常に多くなってきているわけで。  そうしますと親子で入ってきても、そういうサービスを多く利用していくことによっ てかなりその問題は解決していくんじゃないかという気はしているんですが。 吉川座長  はい、分かりました。 前田委員  費用の問題は確かにご指摘のようなものはかなりありますね。かなり減免措置とかず いぶん細かくできていますから、それを利用すればそんなに払えないから入れないよと いうことはないような気がしますが。どうなんですか。専門家の方に聞いてみたいと思 いますが。かなり減免がよくできていますよね。 事務局  軽費老人ホームの場合は、事務費につきましては助成措置がございますが、生活費に つきましては全額自己負担ということでございますので、やはり最低限自分の生活は自 分で支えていくということで。 吉川座長  では少し文章を変えながら、でも趣旨は生かしていくということで考えたいと思いま す。それではあと3つほどになりました。ちょっと時間が迫っていますので、先に進ま せていただきます。 遅塚委員  先に「障害児(者)地域療育等支援事業」という言葉を使っていて、今回のところで 「地域生活支援事業のコーディネーター」という形で、これは同じものを指しているん です。障害児(者)の地域療育等支援事業という大きな事業の中の、一つの区分の事業 として地域生活支援事業があって、そのコーディネーターさんがいるというのは、たぶ んこれは普通の人が見たら分からないと思います。だから大きな事業の名称をそのまま 残しておいて、「障害児(者)地域療育等支援事業」と正確に言ってしまったほうが、 少しは分かりやすいかなと思います。 仁木課長  一般的には「地域療育等支援事業」という言葉のほうがより一般化していますので、 そのほうが関係者はご理解しやすいかもしれませんので、そこはそうしましょう。 吉川座長  ではそういう形で、ご注意いただきましたのでそのようにさせていただきます。他に 何か、下から3番目のところで特になければ、次の下から2つ目の丸ポツに行きたいと 思います。特別問題はないですね。そうしましたら一番最後のポツのところですが、こ れはいかがでしょうか。「何らかの配慮」という言い方は。 丹下委員  これは現状の介護認定で一番問題になっているのが、痴呆性の高齢者の認定が非常に 不誠実なんです。だから今問題にしているんですが。厚生省のほうでもあれは平成7年 度の特養の一本化のタイムスタディを元にしてやったものですから。そのへんで来年あ たりは見直しをしたい、タイムスタディもやりたいというようなことで、おそらくソフ トは変ると思います。それに合わせて何か知的障害のほうも併せて考えていただいたほ うがいいように思いますので、それを一つ入れていただいたほうがいいと思います。 吉川座長  具体的に何かもう少し書いたほうがいいと。 大林委員  度合いと言いますか、例えば介護認定に使われる調査員が行っている第7部の「問題 行動」というところがあるわけなんですが、これは「痴呆においての問題行動」とは定 義してないんですが、その中には例えば暴言・暴行、介護に抵抗、火を弄ぶ、虐待等ズ ラズラとあるんです。その中で何を元にそうなったのかということが。  あとは程度の問題ですね。同じ「介護に抵抗」でも、激しく抵抗する方か、横を向い て介護に抵抗か分かりません。そこはどこに起因しているかというような問題が、知的 障害者だから問題行動を取るというわけではありませんが、そういうところでそのス ケールの中に具体的に入ってくるといいなと。これは痴呆でも同じだと思います。  たまたま排泄介助のところで、本来は間接介助というところでみるんでしょうが、自 分でできると。きちんと脱衣もできて、自分で拭取ることができると。自立なんです が、した場所が廊下ということもあるわけでして、それがどうしてそうなるのかという 問題が、なかなか調査票や特記事項からは表れてこないというようなことも含めると、 先ほど丹下委員がおっしゃられるような今後の見直しのときに、障害者関係のところも その調査票もしくは特記事項の中で調査員の教育として、そういうものが特記していた だけるというような方向にもっていっていただけるといいと思います。 吉川座長  内容的にはまったくその通りなんでしょうが、ちょっと文章上の問題を考えていると ころでございますので。「何らかの」という言葉ではなくて、それをもう少し具体化し たような形で。例えばそれは方法の問題ではなくても、今のようにいつか検討されると いう、その検討の中に載せるというような言い方でもいいのかもしれませんし、「何ら かの」と言うよりは少し具体的な何かをそこに書き入れればということだと思います。  例えば記述的なことは言えないでしょうが、ソフトを変えなければいけないようなと きに、そういうときにきちんと議論をするというような、そういう書き方があるかと思 います。 大林委員  そうすると知的障害者の加齢が判断できるようなソフトにしていただきたいですね。 加齢に伴って保険認定をするわけですから。 前田委員  非常に細かいことをここに書いてくださいという意味ではありませんが、痴呆性老人 の場合には問題行動というのは大きな問題になってしまうんですね。ところが知的障害 者の場合には必ずしも「問題行動」とは書けないんです。単に行動が遅いとか、理解が 非常に遅いとか、何遍も言わないとなかなか対応してもらえないとか、そういうような 違う面があるんです。だから「知的障害者についての何らかの」となってしまうんでし ょうが、痴呆性老人とは違うというあたりは共通認識していただいたほうがいいと思い ます。単なる痴呆性老人とは違うと。 丹下委員  知的障害の方のほうが基準時間が長くなるんじゃないかな。おそらく介護の基準時間 は長くなるでしょう。同じような症状でも。 前田委員  いろいろな面で結果的には似ているかもしれませんが、例えば見守る時間が非常に長 くなるとか、言ってからやってくれるまでの時間が長いとか、そういうような問題があ る。だけど問題行動とは言えないんです。そういうあたりがそれこそ問題なんではない かなと思いますね。 吉川座長  「知的障害者の特有な行動について配慮する」とか、例えばそういうようなことでし ょうね。分かりました。 小野沢委員  知的障害者の障害に考慮した配慮があれば、そういう配慮を検討していただければよ ろしいのかなと思います。 吉川座長  そうですね。はい、分かりました。 丹下委員  現在でも認定審査会で、例えばかかり付け医の意見書に非常に強調されているとか、 あるいは特記事項に強調されておれば、変更ができるような制度がありますから。そう いう特例をこの知的障害の方にもぜひ適合していただきたいということです。 吉川座長  分かりました。どこまで書き込めるか分かりませんが、いろいろとご意見をいただき ましたので少し文章化を考えさせていただきたいと思います。  それでは一応全体を検討させていただきまして、一応ここまでにしておこうと思いま す。既に6時を過ぎてしまって時間をオーバーしてしまいましたので、ここまでにさせ ていただきます。次回はいかがしましょうか。何か事務局のほうでお考えは。 事務局  次回の検討会は先にファックスでご連絡をさせていただいておりますように、6月21 日に設定させていただいております。時間は午前10時からでございます。そして次回の 検討資料でございますが、今日のご意見を踏まえまして、ここでの検討結果報告書とい う形でまとめさせていただきまして、事務局案をご提示させていただくということでお 願いします。 吉川座長 事務局案はもう少し前書きのところや何かを工夫させていただいて、事務局案として出 させていただくということを、先ほど打ち合わせのところで話し合っています。 今日 はお出ししておりませんが、この次の報告書案の中にはそういうような形で書かせてい ただきますので、そこのところもまた次回のときにはご検討いただきたいと思います。  できたら報告書はそれで終わりますと、これで開放されますので。次回で終われるよ うに考えてきます。  それではどうも本日は長い時間ありがとうございました。   問い合わせ先 厚生省障害福祉部障害福祉課 担 当 轟(内3031)、斎藤(内3038)