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第2回厚生年金基金の資産運用に係る受託者責任ガイドライン研究会(議事要旨)


1 日 時 平成12年5月25日(木) 16時〜18時40分
2 場 所 厚生省年金局特別会議室
3 参加委員 ・伊勢谷委員 ・岩瀬委員 ・岩本委員
・川原委員 ・神田委員 ・島崎委員
・鈴木(旭)委員 ・鈴木(日)委員 ・土浪委員
・引間委員 ・三澤委員 ・山口委員

4 議事要旨

 事務局から資料説明の後に審議

(審議) ○:委員の発言 ●:事務局からの発言

(一般的事項)

○ 現物拠出についての基金の同意については、通知上は、全体計画は代議員会、大幅な変更がある場合は理事会の同意が必要となっているが、ガイドライン案では、全体計画と毎月の申請分の意思決定手続きの関係がはっきりしない。
● ガイドラインでは、包括的に表現している。毎月分については、基金における対応が異なることも考えられるので、基金の意思決定手続に従ってという表現をとっている。
○ 運用ガイドラインについては、必ずひとつにまとめた文書が必須ということでなく、補足的な文書の添付や複数の文書により提示することは可能と考えてよいか。
● 必ずしもひとつの文書ということではない。規定する内容が盛り込まれていれば、形式は問わない。

(執行コスト)

○ 執行コスト等への配慮のところには、マーケット・インパクト・コストだけでなく待機コストや機会費用といったことも入れるべきではないか。
● ここでは、代表的なものを例示としてあげたものであり、基金側の体制等に応じて配慮するということでよいのではないか。
○ 執行コスト等への配慮について、ソフトダラーの問題などは含まれるか。
● 思想的には執行コスト等への配慮の延長上の課題として視野に入ってくるが、具体的に例示するほどの熟度にはないのではないか。

(有価証券の売買)

○ まず、有価証券の売買については、頻繁な売買取引が取引手数料を増大させることだけに触れているが、リスク管理者としての行動に関する記述も必要ではないか。2点目として、投資信託の購入については、基金にとって委託運用機関の採用と実質的には同様であり、その選定と評価のプロセスでは定性的な側面も見るべきではないか。3点目として、所定の株価指数に採用されることによりインデックス運用の対象となる銘柄について、自社株が含まれる場合のセーフハーバーの記述が欠けている。
● 1点目については、ここで個別に触れることではなく、ガイドライン全体のトーンとして、長期的観点からの運用ということで整理されているものと考えている。2点目の、投信の選定と評価については、リスク・リターン特性による確認ということで表現されていると考えている。3点目については、当該銘柄が事業主等によって発行されるものであってという形で自社株の問題についても記述している。
○ 投信の場合、買った人に説明無しで運用体制などの変更があり、スタイルドリフトが起こりやすいと言われており、何らかの記述が必要ではないか。
● 考え方としては、商品の特性のところでリスク・リターン特性に触れており、スタイルドリフトのことも含まれている。また、私募投信の購入にあたっての留意点については、通知でより詳細に記載することとしている。

(資産評価の基準)

○ 投資信託における基準価格算出基準と年金の運用報告基準の整合性が保てるように運用実績を評価しなければならないというのは、基金の実務上現実的ではない。
● 私募投信では、これに対応できる実態があると聞いている。可能な限り整合的となるよう報告を求めるということではないか。
○ 私募投信については、投信の基準価格とは別に、あるいはそれに代えて年金の資産評価基準で基準価格を出していただくということだろうが、現実の対応はなかなか難しい。
○ 年金と投信では運用評価基準が違うという点に留意をするくらいの書き方しかできないのではないか。
○ 公募投信の問題も含めれば、むしろガイドラインからは落として、通知で展開していただくということではないか。

(運用の基本方針)

○ 自家運用についての基本方針における規定ぶりは、実施できるものをいったん全部基本方針に取り込んで、可能なものから実施するということでよいのか。基本方針はたびたび変更できない。
● 基金で自家運用を始める以上は、プロセスの検討をした上で、重要な事項は基本方針に位置付けていく必要がある。このガイドラインではその場合の重要事項を整理したが、あとは個別基金の判断に委ねることとなる。

(セーフハーバー)

○ 株式インデックス運用に当たっての留意事項で、自社株が対象銘柄に入っていても、善管注意義務に違反しないとなっているが、自社株の財政状況の情報は早期にキャッチできる状況にあり、そのような場合の対応について、記述すべきではないか。
○ セーフハーバーの規定はこれまでガイドラインには置いていない。セーフハーバーというのは概念が不明瞭であり、我々がこのガイドラインで責任を問われることはないと書いても、例外的には法的責任を問われることはあり得る。書くとすれば、原則としてとか例外的な場合を除くという形で条件を置かねばならない。
○ 株式のインデックス運用については、なぜこの銘柄を落とさなかったのかという運用機関サイドの売買に係るトラブルも考えられるが、個人的には、インデックス運用は市場の一部を切り取ってきているものであり、個々の銘柄について配慮すべきものではないと考えている。いずれにせよ、セーフハーバーの規定については、別途十分な時間をかけて議論すべきもの。
○ この部分は、体系的に異例なものであるため削除することとし、善管注意義務及び忠実義務の適用問題としてガイドライン上は位置付け、具体的には今後議論ということにしたい。

(資産管理機関)

○ 資産管理機関について、受託者責任ガイドライン、運用の基本方針、運用ガイドライン相互間の調整が必要。
● 資産管理機関のことは、今回運用の基本方針及び運用ガイドラインとジョイントをかけて盛り込んだもの。受託機関に対しては、基本方針自体は必ず提示するものではなく、運用ガイドラインを提示することになっていることを踏まえて全体の整理を行った。
○ 資産管理は運用と並び重要な部分であるから、事項としてガイドラインから落とせない。より適切な運用管理を行う必要性から資産管理の報告を求めるという整理ではないか。
● 資産管理の実態に関する正確かつ必要な情報を求めるということ。
○ 運用ガイドラインに従った資産管理とは何かが問題だ。現場で混乱する可能性がある。
○ 資産管理に関する事項はどこで定めることになるのか。
● 基本方針、運用ガイドラインのそれぞれに、いずれも規定することが望ましいという形で記載している。
○ 投資顧問の場合、運用ガイドラインと資産管理ガイドラインは分かれていて、必要な部分だけを提示することになる。生保、信託では、運用と資産管理が一体のため、運用ガイドラインに両方記載してもいいのではないか。
○ 資産管理機関が契約に則して資産を適切に管理するのは当然の話であり、あえて運用ガイドラインで書く必要があるのかは疑問。
○ 基本方針と運用ガイドラインに資産管理に関する事項が書いてあり、それを資産管理機関に提示する場合に初めてチェックが可能となるのだから、そのように限定して書いてはどうか。

(私募投信)

○ 私募投信のところは、目論見書や運用報告を基金としてきちんと求めて行く必要がある。また、私募投信は、今後中小基金などが活用していくも考えられるが、この文章だけ見ると、積極的に使うのはやめた方がいいのではないかという印象になってしまう。
○ 運用報告については、私募投信にも投信法の適用がある。ここがもし、商品設計の入り口部分だけの記述に読めるのであれば、その後の運用についての報告というものも付け加えれば良いのではないか。
○ 公募と私募の違いにスポットが当たっているが、投信を選択する際に基金が求めていることは、選定するために必要な情報が開示されているかどうかということであり、公募と私募で区別することではないのではないか。投信を入れるのにリスク・リターンの特性などが基金の基本方針に適応するかどうか、ということを総合的に判断しなければならないということについて、一般的な記載をしたらよい。
○ 公募投信については、法令上の規制の違いがあるので何らかの記載は必要。通知の書き方をもう少し工夫するということかもしれない。
○ 公募投信と私募投信の違いは、きちんと認識する必要があり、記載すべき。
○ 私募=デリバティブという誤解を与えかねないような整理がではなく、メリット・デメリットはそれぞれあるということをわかってもらえるような記述とすべき。
● そのバランスはともかく、メリット・デメリットは両方記載してある。
○ 私募投信の留意事項については、少し表現を工夫した上でとり入れるということでどうか。

(その他)

○ デリバティブの利用に当たっての留意事項についてだが、為替のオーバーレイやGTAA等を行うことは排除されているのか。
● インハウスでやるべきことを制度的に整理して、政策的資産構成割合維持のためのポートフォリオオーバーレイに限定したもの。為替のオーバーレイやGTAAなどは、外部の専門性を活用すべきもの。
○ 基本方針の運用目標のところでは、ALM分析による期待収益率を数字として記載するのか。
● それが一般的だと思うが、他の考え方を排除するものではない。例えば、アメリカではインフレ率プラス何%というような示し方もある。
○ 現金の管理というところは、キャッシュの管理とした方が趣旨がはっきりする。あるいは、資金の管理という表現はどうか。
● ここのポイントは、今回自家運用が拡大することにより基金自らが資金ショートしないようにキャッシュマネージメントをしなければいけないというところにあるので、書くとすれば、日々現金等の適切な管理を行うというような表現になる。
○ 運用指針に関する策定指針案で、生保の第一特約の総合口についての記載があるが、信託の合同口も同様である。もっと一般的な表現にすべき。
● 生保の第一特約の総合口は各社1つしかない実態がある。この部分は、他の通知の表現を借りて記載しているのだが、別の整理にするとまたいろいろな議論が生じる。
○ 投信の報告については、算出基準の違いの部分を落とすと、結果として報告に関する部分が消えてしまう。何か注意の喚起が必要ではないか。
● 報告の請求のところで一般論として記載してあり、その趣旨からは、四半期報告ができないような投信は買わないということになる。
○ 投信を買い入れて保護預かりした場合、証券会社から簡単な報告書が送られてくるだけであり、一般の基金が想定している詳細な報告とは随分違うものにならないか、実務上は気になるところだ。
○ SPC法と投信法の改正が施行された場合、証券投資信託法の証券がとれ、またSPC受益権が有価証券化されることになるが、このガイドラインとの対応はどのようになるのか。
● その部分については、政府部内の法令協議の中で調整済み。投信法改正については、厚年法の中で行う自家運用の対象は拡大しないと整理している。SPC法の受益証券は自家運用の対象に取り込む。
○ 報告の請求のところは、座長と事務局に整理を一任させていただき、本日指摘された修正等とともに最終的なものをとりまとめ、公表までに各委員に送付することといたしたい。

〜以上〜


照会先〉年金局運用指導課
    三石 博之
TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
夜 間 3501−3450


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