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第1回厚生年金基金の資産運用に係る受託者責任ガイドライン研究会(議事要旨)


1 日時 平成12年5月19日(金) 16時〜18時30分
2 場所 厚生省社会保険審査会審理室
3 参加委員 ・伊勢谷委員 ・岩瀬委員 ・岩本委員
・川原委員 ・神田委員 ・島崎委員
・鈴木(旭)委員 ・鈴木(日)委員 ・土浪委員
・引間委員 ・三澤委員 ・山口委員

4 議事要旨

 年金局長からの挨拶、運用指導課長からの委員紹介、座長挨拶、事務局から資料の説明の後に、各業界団体からの意見聴取。

【信託協会】

・ ガイドライン案については、概ね妥当と考えている。
・ 基本方針の収益目標については、時価主義移行を踏まえ、リスクを勘案しないむやみに高い実現収益目標を設定するのは避けていただきたい。
・ 運用機関の選定・評価基準については、自家運用分を含めて基金の理事会でしっかりと定めていただいて透明性の高いものにしていただきたい。

【生命保険協会】

・ ガイドラインの記述は分かりやすく具体的なものにして欲しい。
・ 合同運用商品にも配慮していただきたい。

【投資顧問業協会】

・ 株式の現物拠出について、転売制限の禁止・議決権の扱いについてガイドライン案にはしっかりと書いてあり、妥当と考えている。
・ 今回の運用規制緩和については、自家運用対象資産の拡大の結果、各基金が運用会社と同様の機能を有することとなると考えている。
・ 投資顧問は、業法・業界規制・個社規制により、忠実義務・注意義務を担保している。
・ 基金が自家運用を行う場合には、行うことについての合理性・インハウスの位置付けを明確にして欲しい。あくまで加入者の利益のため、ということをはっきりとして欲しい。
・ マネージャストラクチャーの観点から、委託運用・自家運用をイコール・フッティングで位置付けて欲しい。
・ インハウスについて、基金自らが内規等により律することが重要。その際には基金の関連企業との間における利益相反に関するルールの策定などに注意して欲しい。
・ 株式の現物拠出については、基金として納得の上、受け入れるようにして欲しい。その際、投資顧問と基金の間でよく話し合うことが必要と考えている。

【証券業協会】

・ 規制緩和に伴い、より高い専門性・受託者責任が必要になると考えている。
・ 規制緩和・ガイドライン案は内容的には妥当と考えている。
・ 証券会社としては、デイリーの時価管理や手数料自由化に伴う最良執行に努めてまいりたい。

【投信協会】

・ 資産運用者の受託者責任については、各業法・制度ごとに規定されている。厚生年金基金においても、加入者に対する基金の受託者責任及び基金と運用受託者間の受託者責任を明確化することが必要と考えている。
・ 投資信託は特別のものではなく、一つのアセットである。投信によって運用する場合には、有価証券による運用の際と同様に基金も受託者責任を負うものである。投信は売買であって、契約ではない。
・ 報告の請求に関して投信は業法上、決算ごとの報告となっており、法令レベルで四半期とすると、他の投信の受益者との均衡をとれない。また、売買回転率については、商品によっては高くならざるを得ない、ということに留意することが必要である。

(審 議) ○:委員の発言 ●:事務局等からの発言

○ 株式のインデックス運用の指数について、外国株式の指数はどうなるのか。
● 制度上、国内株式に限定されている。
○ ガイドライン通知と他の通知の役割分担はどうなっているのか。
● ガイドライン通知は受託者責任に関する事項。また、それだけで完結する体系だった内容のもの。運用管理のプロセスの執行の中で受託者責任が問題になるような場面を想定。細かい事務処理や法令に基づく指導細則等は他の通知。
○ 今回のガイドラインの見直しには、運用の高度化や経済情勢の変化も踏まえるべきではないか。ソフトダラーや投資顧問の再委任等についてはどうするのか。
● 色々と課題があることは認識している。今回は6月施行分の規制緩和に合わせた最小限の改正としたい。
○ (投信協会に対して)投信は「委託」ではなく、「買う」と言われた趣旨を教えていただきたい。
● 契約型投信という場合の「契約」と、投信の「購入契約」は異なるとの趣旨。投信の運用は約款に基づく商品の購入であり、契約に基づく委託運用とは異なる。
○ 公募型の投信の場合はレディーメイドで、交渉の余地がないことを踏まえると「買う」という理解が適当ではないか。
○ ガイドライン案の12頁にある最良執行の部分について、通常は手数料込みの数字が提示され、内訳が分からない。基金としてはどのように裏付ければよいのか。
● 基金が執行コストについても意を払うこと及び受託機関に対してその旨を提示することが重要ではないかと考えている。
○ 最良執行はブローカーに求めるもの。総コスト最小化義務は善管注意義務の一つでソフトダラーの問題とも関係する。ただ、執行コストを含めた総コストへの注意を喚起するためにガイドラインに書いておくことが適当ではないか。
○ 運用ガイドラインを示していない基金が多い。どのように担保するのか。
● 基本方針は全基金が定めることとなっており、バランス型運用での委託等では別途個別のガイドラインを提示しなくても、基本方針を示せば運用ガイドラインの必要事項が示されることになるのではないか。
○ 厚生大臣が指定するインデックスについて、どのようなメルクマールを設定するのか。他のもっと手軽な指数を含めないと実際には動けないのではないか。
● 現在のところ、インデックスとしては東京証券取引所が指定しているトピックスが通常用いられている指数。当面、厚生大臣が別途指定するような熟度のある指数はないのではないか。
○ 新たな運用方法であり、最初は慎重にならざるを得ない。
○ 基金がインデックス運用を行う場合、15頁の(2)によると、大企業の基金は母体企業の株式をインデックス運用で持てないことになるのではないか。アメリカのERISAによると、インデックスマネージャーが自社の株式を顧客のファンドで保有する際には、個別にERISAの適用除外の手続が必要。これを参考に、インハウスでのパッシブ運用の場合には母体企業の株式の取得も可能とするような扱い、あるいは過去5日間の取引量の平均から取得許容量を設定するなどの扱いが必要ではないか。##また、インデックス運用で信用リスクのスクリーニングは行わず、企業が倒産した場合についてセーフハーバーを規定すべきではないか。株式による掛け金納付に関しては、転売制限の禁止だけではなく、貸付制限の禁止も規定すべき。
● インデックス運用は個別銘柄の指図はできない以上、自社株を排除する議論にはならないと考える。インデックス運用における信用リスクのスクリーニングの可否については、個別基金の考え方もあり、ガイドラインで一律の規制を課すのはいかがか。貸付け制限の件はそのとおりだと思うが、具体的な例示まで必要かどうかご審議願いたい。
● 現行のガイドラインにおいても、「合理的な理由がなく関係会社の社債を購入するよう指示すること」が忠実義務違反の例示として挙げられており、インデックス運用における母体企業の株式の取得は「合理的な理由」に当たるものと考えられる。
○ 法律の内容を超える規制をガイドラインで課すことは不可能であり、自社株の取得制限をガイドラインで課すことは困難。
○ インデックス運用の定義が曖昧。機械的に選定すれば足りるというものではないのではないか。自家運用における情報開示は、委託運用における情報開示とはその方法等が異なる。誰が自家運用における運用成績やコンプライアンスを評価するのか。誰に向かって開示するのか。委託運用と自家運用の仕分けが必要。基本方針でこれらの点を規定すべきである。また、「回転率」は投信では開示していないので、基金でチェックはできないのではないか。個別に求めることが必要になる。
○ 株式の現物拠出については、政省令・ガイドラインで忠実義務がほぼ担保されていると考えている。しかし「基金の同意」の点について、より手続・実質を担保することが必要ではないか。拠出された株式を売却した委託運用機関を低く評価しないこと、などを書いておくことが必要ではないか。また、自家運用における保有株式の議決権の行使について何らかの記述が必要ではないか。
○ 基金の実態を見ると忠実義務は危ういように思う。学識経験監事の廃止に伴い、監事の在り方が重きをなすこととなるのではないか。
○ 投信は「売買」との発言があったが、投信会社は第二受託者とは言えないのか。11頁で基金が受託機関に示す運用ガイドラインでスタイルを細かく示すと却って受託機関での運用が困難になる。また、ガイドライン案の12頁で「最良執行」についての記述があるが、アクティブ運用の場合はコストを払ってでも最良のパフォーマンスを達成することも「最良執行」になることに留意すべきである。
○ 投信はレディーメイドな商品であり、第二受託者とは言えない。
○ 最良執行義務はプランアセットを最大化するというロジックがあって初めてその達成の可否が問題となるのであって、最良執行義務だけを書くのは不十分。誤解を招くのではないか。
○ 運用の基本方針にせよガイドラインにせよ、十分な準備期間がなければ基金において混乱が生じるのではないか。また、自家運用については、コスト面でのイコールフッティングのみを求めるのであれば選択されない。基金の管理能力の向上など他の理由との合わせ技で選択するということではないのか。また、インデックス運用における指数は厚生大臣の指定とするのではなく、定性的に規定すべき。インデックス運用における母体企業株式の取得や信用リスクによるスクリーニング等に係るセーフハーバーはガイドラインで書くべき。
○ 実態としては投信は委託運用に近い。年金専用の私募投信であれば、一任勘定レベルの開示を求めるべき。しかしながら、投信と委託運用ではその評価基準が相違することから、混乱を招くこととなるのではないか。評価基準の統一が必要ではないか。
○ 公募投信と私募投信を書き分けるべきではないか。

〜以上〜


照会先〉年金局運用指導課
    三石 博之
TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
夜 間 3501−3450


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