00/04/27 第2回シックハウス問題に関する検討会議事録 第2回 シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会            議  事  録 厚生省生活衛生局企画課生活化学安全対策室 シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会会議事次第 日  時  平成12年4月27日 午後 1:30〜4:07 場 所  法曹会館2階 高砂の間 議 事    議題1  室内空気汚染化学物質の評価について   議題2 その他 ○吉田補佐  ただいまから「第2回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を開催さ せていただきます。  本日はご多忙中のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は 内山委員、土屋委員が欠席ということで、8名の先生方の出席で進めさせていただきま す。  それでは座長の林先生、よろしくお願いいたします。 ○林座長  ただいまから「第2回目のシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を開 催させていただきます。  まず事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○吉田補佐  それでは本日の配付資料の確認をいたしたいと思います。  まず、本日の議事次第です。そして、本日の検討会の座席表、次に資料1といたしま して、第1回「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」の議事録、資料2 といたしまして「室内空気汚染に係るガイドライン(案)について」、この資料2には 別添の1として「トルエン、キシレン及びパラジクロロベンゼンの室内濃度に関する指 針値」、また、別添の2としまして「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法 (案)」が添付されております。  また、このガイドライン案に関する参照文献集、重要な文献のみを抜粋したものが、 参考資料1、参考資料2及び参考資料3です。以上が本日お配りしている資料でござい ます。  なお、委員の先生方におかれましては、あらかじめ資料2につきましては、事務局よ り事前に送付いたしておりますが、きょう改めて全体のセット版を配らせていただいて おりますので、こちらの資料にて審議いただきますようよろしくお願いいたします。資 料の不備のある方がいらっしゃいましたら挙手願います。よろしいでしょうか。  よろしければ、まずマスコミの方のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので よろしくお願いいたします。 ○林座長  どうもありがとうございました。続いて、前回の議事録の確認ということになります けれども、事務局からご説明をお願いいたします。 ○吉田補佐  それでは事務局より、資料の1、前回の議事録につきまして簡単に確認させていただ きます。  お手元に配付しました議事録は、前回の検討会の速記録をもとに、あらかじめ委員の 先生方に内容を確認いただいたものでございます。特段の問題がなければ、この内容で 確定の上、この後、公開の手続きに入らせていただきたいと思いますが、いかがでしょ うか。 ○林座長  先生方いかがでございましょうか。特に問題がないようでしたら、この内容で、前回 の議事録として確定したいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。  ご意見がないということで、前回の議事録については、この内容で確定いたしたいと 思います。 ○吉田補佐  ありがとうございました。この議事録につきましては今後、厚生省のインターネット ホームページへの掲載など、公開の手続きに入らせていただきます。 ○林座長  では、今回の議事に入りたいと思いますけれども、本検討会といたしましては、まず トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの3物質の室内濃度指針値と、これらの物 質にホルムアルデヒドを加えた4物質の測定方法について検討していくことが前回の検 討会で了承され、これらの検討を行うためのたたき台を事務局で作成していただくこと になっていたかと思います。  このたたき台については、本日の配付資料の2になりますけれども、内容について事 務局からご説明をお願いいたします。 ○剣持専門官  それでは事務局から、本日の検討会の配付資料2に関しまして、ご説明申し上げま す。  配付資料2につきましては、全体のまとめが記載された1枚の表紙、それから指針値 について記載された別添の1、測定方法について記載された別添の2、以上から構成さ れております。  この指針値と測定方法でございますが、もちろん両者とも関連するものではございま すが、ご検討いただく対象を明確にするために、まず最初に別添1に基づく指針値につ いてご検討いただいた上で、その後、別添2に基づく測定方法についてご検討いただく ことを事務局からご提案申し上げますが、いかがでございましょうか。 ○林座長  ただいま事務局から、まず指針値についての検討を行いまして、その後で測定方法に ついて検討してはいかがかという提案がありましたけれども、いかがでございましょう か。特にご意見がなければ、そのようにさせていただきたいと思いますが。 ○剣持専門官  ありがとうございます。それでは、まず別添1の指針値の設定についてご説明申し上 げます。  まず初めに資料2の表紙、一枚紙をご覧いただきたいと思います。「室内空気汚染に 係るガイドライン(案)について」というものです。  事務局としては指針値について以下のように提案させていただきたいと考えていま す。  まずトルエンにつきましては、ヒトの暴露に関する知見から、神経行動機能及び生殖 発生への影響を及ぼすと考えられる1週間平均の最小毒性量を基に、室内濃度指針値を 263μg/m3(0.070ppm) と設定しました。 次に、キシレンにつきましては、母動物が暴露された雌の仔ラットの発育に関する知 見から、中枢神経系発達への影響を及ぼすと考えられる1年間平均の最小毒性量を基に 室内濃度指針値を 870μg/m3(0.20ppm)と設定しました。 そして、パラジクロロベンゼンにつきましては、ビーグル犬における強制経口投与で の暴露に関する知見から、肝臓や腎臓などへの影響を及ぼさないと考えられる1年間平 均の無毒性量を基に、室内濃度指針値を 238μg/m3(0.040ppm)と設定しました。 以上が事務局から提案させていただく指針値でございます。 続きまして、これらの指針値案の設定の根拠となった毒性評価の案につきまして、ご 説明申し上げます。  資料2の別添1に基づきまして、ご説明申し上げたいと思います。  まずトルエンでございますが、ごく最近までのトルエンに関する毒性研究報告につい て調査したところ、次のような結論が得られました。  遺伝子傷害性につきましては、in vitroでの変異原性試験が各種行われておりますが いずれも陰性の結果が得られています。また、in vivo 試験においては一定した結果が 得られておりません。  職業的なトルエン暴露群を対象に行われた細胞生物学的研究などの知見を考慮いたし ますと、トルエンの遺伝子傷害性については明確には評価できないとされています。  遺伝子傷害性に関しましては、他に注目すべき知見を示唆する最近の研究報告は特に 見いだされておりません。  発がん性につきましては、ヒトでの疫学的研究や動物を用いて行われた発がん性試験 のデータがございますが、実験動物においては、トルエンが発がん性がないことを示唆 する根拠があるものの、ヒトにおいてトルエンが発がん性を有するという十分な根拠が ないことから、国際がん研究機関(IARC)においては、ヒトに対する発がん性につい ては分類できない、すなわち「グループ3」と評価されております。  発がん性について、他に注目すべき知見を示唆する最近の研究報告は特に見いだされ ておりません。  これらのことから、トルエンの発がん性については分類できないものの、遺伝子傷害 性を有するとは明確に認められないことから、トルエンの室内濃度に関する指針値につ いては閾値のあるものとして、非発がん性影響を指標とし、耐容一日摂取量(TDI)を 求める方法で算出するのが適当であると考えられます。  次に一般毒性ですが、中枢神経系への影響の他、感覚器官、特に聴覚への異常を引き 起こすことが認められております。また、動物実験では、肝臓や、腎臓への軽微な影響 も報告されております。  ヒトのボランティアによる実験的研究から、キシレンとの混合吸入によって、外部刺 激に対する反応時間の遅延などが引き起こされるという報告もあります。  また、ある電子機器組立工場におきまして、トルエンを含有する接着剤を使用して作 業に従事している30人の女性労働者を対象に、8種類の神経行動学的検査が行われてお ります。  8時間の作業中に、時間荷重平均(TWA)で 332mg/m3のトルエンに暴露されてい た女性労働者は、対照群として設定された、同一工場でトルエン含有接着剤を使用せず に作業に従事していた30人の女性労働者、暴露濃度としては49mg/m3でしたが、これ らの対照群に比べて、8種類のうち6種類の神経行動学的検査の結果が統計学的に有意 に劣っていたことが見いだされております。  なお、トルエンの暴露群には臨床症状は何も認められておりません。  このような結果から、神経行動機能に影響するトルエンの作業環境暴露の最低濃度は 332mg/m3(88ppm)であると報告されております。 一般毒性につきましては、他に注目すべき知見を示唆する最近の研究報告は特に見い だされておりません。 一方、生殖発生毒性ですが、2,000ppmのトルエンに暴露されたラットの母動物及び仔 動物で、体重の増加抑制、摂餌量の減少、胎児死亡率の上昇、胎児の発育遅滞などが認 められております。600ppm暴露群でも観察が行われておりますが、これらの異常は認め られておりません。 また、ヒトにおきましては、先ほどの電子機器組立工場で、女性労働者について調査 を行いましたところ、8時間の作業中、TWAで 332mg/m3のトルエン暴露を受けて いた女性の自然流産率、これは12.4パーセントございましたが、この自然流産率は、対 照群の自然流産率 2.9パーセントに比べて統計学的に有意に高かったという報告があり ます。 生殖発生毒性につきましては、他には注目すべき知見を示唆する最近の研究報告とい うのは特に見いだされておりません。 以上の知見から、ヒトに対するトルエンの毒性影響を考慮するに当たっては、ヒトの 暴露に関する研究報告がより重要なものと考えられますので、先ほどの工場での研究報 告における神経行動機能への影響、それから自然流産率の上昇、これらが認められまし た 332mg/m3がヒトでの最小毒性量、いわゆるLOAELになると考えられます。  この工場での暴露条件が一日当たり8時間、1週間のうち5日間ということでしたの で、これが一日24時間、1週7日間に平均化して暴露されたと考えますと、(13)に示さ れるような計算式になります。  不確実係数(UF)ですが、まずヒトにおける個体差として10、NOAELが残念なが ら求められておりませんので、NOAELの代わりにLOAELを用いたことから10、 中枢神経系に与える潜在的影響を考慮して3、これらを掛けて 300となります。 従いまして、先ほどのLOAELを、UFで割り算することにより(15)に示される計 算式となりまして、トルエンの室内濃度に関する指針値は 263μg/m3(0.070ppm) と設定することが適当というのが事務局の提案でございます。 続きましてキシレンでございます。キシレンにつきましても同様に、ごく最近までの キシレンに関する毒性研究報告について調査したところ、次のような結果が得られまし た。 キシレンにつきましては、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンの3種類の構造異性 体が存在し、多くの場合、これらについては混合物として市販されております。 遺伝子傷害性につきましては、in vivo 試験において、ショウジョウバエに対する劣 勢形質致死試験で疑陽性の結果が得られたのみであり、そのほか、細菌、哺乳類の細胞 などを用いた試験においてはいずれも陰性という結果でございました。  その他、遺伝子傷害性に関して、注目すべき知見というのは現在まで特に見いだされ ておりません。  一方、発がん性につきましては、ヒトでの疫学的研究、動物実験の結果、ヒト及び実 験動物においてキシレンが発がん性を有するという十分な根拠はなく、IARCにおい ては、ヒトに対する発がん性については分類できない、いわゆる「グループ3」である と評価をされております。  発がん性に関する、他に注目すべき知見というのは現在のところ、特に見いだされて おりません。  これらのことから、キシレンの発がん性については分類できないものの、遺伝子傷害 性を有するとは明確に認められないことから、キシレンの室内濃度に関する指針値につ いては、閾値のあるものとして非発がん性影響を指標とし、TDIを求める方法で算出 するのが適当と考えられます。  一般毒性でございますが、目や咽頭への刺激、呼吸抑制、肝臓及び腎臓の変化、脳へ の影響などが報告されております。  動物実験データとしては、ラットの一種を用いて3カ月間の吸入暴露を実施したとこ ろ、暴露後4カ月目の時点で、被験動物の脳領域の大部分にastroglial proteinの濃度 上昇が認められております。このことからgliaの増殖が示唆され、gliaの増殖というの は、種々の神経障害の発現に特徴的である可能性があり、トリクロロエチレン、エタ ノールなどの溶剤に暴露された動物にも同様の所見が認められておりますので、この所 見によってキシレンの潜在的な神経毒性を示すことが示唆されるという報告がありま す。 一方、キシレンの暴露によって、中枢神経系における感覚系、運動系及び情報処理機 能が影響を受ける可能性があることが、ヒトのボランティアによる実験的研究の結果と して報告されております。報告は幾つかございますが、一番低い濃度という点では、p- キシレン 300mg/m3を4時間暴露させても何ら異常は認められなかったという報告が あります。このことから、4時間暴露におけるNOAELが300mg/m3であると報告 されています。  この場合の暴露条件ですが、一日当たり4時間の暴露でしたので、これが一日24時間 に平均化して暴露されたと考えますと、一日平均のNOAELは(8)に示される計算式に なります。  ヒトにおけるデータですので、UFにつきましては個体差として10をとり、NOAE LをUFで割り算することによって(10)に示されるような 5.0mg/m3という値が出て きます。これが一般毒性の観点からの、ヒトにおける一日平均の耐容気中濃度と考えら れます。  一般毒性に関しましては、他に注目すべき知見を示唆する最近の研究報告は特に見い だされておりません。  一方、生殖発生毒性につきましては、キシレンが胎盤経由で母動物から胎児へ移行す ることや、催奇形性試験の結果が報告されております。また、870mg/m3及び2,175mg /m3のキシレンに母動物を暴露させ、この暴露条件としては一日6時間、妊娠4日目 から20日目までですが、このような暴露の後、生まれた仔ラットに関する出生後の発育 についての研究報告では、特に雌の仔ラットの 870mg/m3以上で、中枢神経系発達へ の影響を示唆する行動異常、具体的にはRotarod performance の低値が認められたと報 告されています。 その他、生殖発生毒性について特に注目すべき最近の知見というのは見いだされてお りません。 以上の知見から、ヒトに対するキシレンの毒性影響を考慮するに当たっては、ヒトの 暴露に関する研究報告がより重要なものと一般的には考えられ、この観点からすれば、 先ほどの一般毒性における暴露濃度 300mg/m3がNOAELとされるものと考えられ ます。 しかしながら、この数値は4時間暴露という短時間の暴露に基づくものでありますの で、長期間暴露される状況に外挿するには適切とは考え難いところがあります。  したがいまして、ほかにヒトでの研究報告が見いだせないことを踏まえまして、生殖 発生毒性で認められたラットでの中枢神経系発達への影響が示唆された 870mg/m3が ラットにおけるLOAELと考えられます。  この場合のUFですが、種差として10、個体差として10、NOAELの代わりにLO AELを用いたことから10、これらを掛けて合わせて 1,000となります。  従いまして、LOAELをUFで割り算して0.87mg/m3、キシレンの室内濃度に関 する指針値は 870μg/m3(0.20ppm)と設定することが適当というのが事務局の提案 でございます。 続きましてパラジクロロベンゼンでございます。  パラジクロロベンゼンにつきましては、平成9年8月に家庭用品専門家会議(毒性部 門) におきましてリスク評価が行われており、この時点での評価では、耐容平均気中濃 度を 590μg/m3(0.10ppm)と設定しております。 この時の結果の評価の骨子は次のようなものであります。 まず、得られているデータによれば、パラジクロロベンゼンの発がん性はマウスの種 特異的な高感受性の結果によるものであって、ヒトへのリスク評価に反映させることは 困難である。パラジクロロベンゼンは齧歯類での非遺伝子傷害性発がん物質であり、そ の発がん性には閾値があるものと考えられます。 ラット及びマウスを用いた吸入によるがん原性試験が実施されたところ、マウスにお いて肝臓腫瘍及び非腫瘍性の肝細胞肥大が 300ppm 群のみに認められたことから、肝臓 障害に関するNOAELは75ppm であります。 また、マウス雄の 300ppm 群で近位尿細管上皮の空胞発生頻度が増加しております。 ラットの雄の 300ppm 群で、腎乳頭部集合管への鉱質沈着、腎盂の尿路上皮の過形成の 増加が見られております。このような腎臓障害に関するNOAELは75ppmとなります。  また、特に雌ラットにおきまして、鼻腔上皮のエオジン好性変化が 75ppm群まで認め られております。この変化は雌では用量に依存して、その変化の程度も強くなっており ますので、このことを考えますと、慢性の鼻腔粘膜組織変化のNOAELは 20ppmと考 えられます。 一方、ラットを用いた経口による二世代繁殖試験の報告により、生殖試験でのNOA ELは 270mg/kg/day 、F0、F1の親動物のNOAELは30mg/kg/day 、発育に 関するNOAELは30mg/kg/dayと結論されます。 なお、この報告の著者らは、経口での30mg/kg/day というのは、気中暴露ではおよ そ 450mg/m3(75ppm) に相当するとしております。 これらの値から耐容平均気中濃度を求めるに当たり、UFとしては、種差として10、 個体差として10、これらを掛け算した 100を採用しました。 このようにして求められましたNOAELとUFを考慮いたしまして、耐容気中濃度 は(1)の(5)に示される計算式になります。  肝臓・腎臓障害及び二世代影響を基礎とした場合にはNOAELが 75ppmですので、 これに暴露条件、それからラットの呼吸量とラットの体重、UFでの割り算、最後に日 本人の平均体重、一日当たりの呼吸量について、順次換算していきますと2.23mg/m3 これを ppmに換算すると 0.37ppmということになります。 一方、鼻腔粘膜組織変化を基礎とした場合にはNOAELが 20ppmでしたので、同じ ような換算を行いますと 0.10ppm、これは0.59mg/m3ということになります。  これらのうち小さい数値を選んで、耐容平均気中濃度を 0.10ppm、これは0.59mg/m 3、つまり590μg/m3という値となりました。  以上が、前回行われたパラジクロロベンゼンに関する評価の結果でございます。  この結果も参考にしつつ、今般、パラジクロロベンゼンの室内濃度指針値を設定する に当たり、ごく最近までのパラジクロロベンゼンに関する毒性研究報告について調査し ましたところ、前回のリスク評価の際には入手できなかった文献データを新たに入手し ました。この文献データの毒性評価の概要については次のとおりとなります。  ビーグル犬を用いて、強制経口投与による反復投与毒性試験が実施されました。対照 群と投与群を3つ、10、50及び75mg/kg/day 群を設けて、各群雌雄5匹ずつに対し週 5日、1年間の投与を行ったところ、75mg/kg/day 投与群、この群は投与開始時点で は 150mg/kg/day でありましたが、途中で死亡例が認められたことから、最終的には 75mg/kg/day に投与量を変更しておりますが、この一番高い用量の雌雄で、貧血、脾 臓の髄外造血、胆管増生、腎尿細管上皮空胞化が認められております。また、75mg/kg /day 群の雌で血小板数の増加、ALT及びGGTの上昇、副腎の相対重量の増加、赤 血球の過形成が、同じ高用量群の雄で肝門脈性炎症が認められております。  50mg/kg/day 以上の投与群では、雌雄に肝重量の増加、ALPの上昇、肝細胞肥大 これは一部の動物では肝細胞の色素沈着を伴っておりました。同群以上の雌では腎重量 の増加が、そして50mg/kg/day 投与群では、雌で甲状腺重量の増加が認められており ます。これらのことから、NOAELは10mg/kg/day と報告されております。 毒性に関しましては、ヒトでの研究報告を含め、その他に注目すべき知見を示唆する 最近の研究報告は特に見いだされておりません。 以上の知見から、ヒトに対するパラジクロロベンゼンの毒性影響を考慮するに当たっ ては、本来であればヒトの暴露に関する研究報告が望まれるところですが、残念ながら 見いだせなかったので、ビーグル犬の肝臓や腎臓などへの投与影響が示唆された10mg/ kg/day が、ビーグル犬でのNOAELだと考えられます。  この場合の暴露条件ですが、1週間のうち5日間ということですので、これが1週7 日間に平均化して暴露されたと考えると、1週間平均のNOAELは(5)に示される計算 式になります。  UFにつきましては、種差として10、個体差として10となり、これらを掛けると 100 となります。このNOAELをUFで割り算することによって0.0714mg/kg/day とい う数値が得られます。 この数値を用いて、日本人の平均体重を50kg、一日当たりの呼吸量を15m3とすると (8)に示される計算式になり、0.238mg/m3となります。これをppmに換算すると0.040p pmとなります。 以上の結果を考慮しますと、パラジクロロベンゼンの室内濃度に関する指針値は 238 μg/m3(0.040ppm)と設定することが適当というのが事務局の提案でございます。 これらの提案をまとめるに当たりまして参照した文献のリストを10ページと11ページ に挙げております。この中の一部につきましては本日、参考資料として、委員の先生方 にお配りしてございます。 事務局からは以上でございます。 ○林座長 どうもありがとうございました。それでは、指針値に関するただいまのご説明、資料 について何かご質問がございましたら、お願いいたします。 ○広瀬委員 今日の動物試験のデータというのはすべて一般毒性のデータでありまして、いわゆる シックハウス症候群といいますと、原因ははっきりはわかってないと思いますけれども かなりアレルギー的な要因があると思うんですね。 この毒性のデータを見ますと、アレルギーに関する毒性というようなデータは全くな いということで、今回、指針ができるにしましても、その指針でいわゆるシックハウス 症候群が本当になくなるかどうかということについては、また別の試験等を参考にしな いといけないと思います。  細かいことですが、指針値の2ページ目ですが、トルエンのところですけれども、 (3)の3行目に「閾値のあるものとして」と書いてありますけれども、意味が少しわ からない。  発がん性については確かにないですね。閾値があるというように一般的に言うのは、 発がん性があって、それが非遺伝子傷害性の発がん物質であれば閾値があるというよう に考えるわけですけれども、この文章ですと、発がん性がないのに閾値があるというよ うな書き方がされておりますので、真意がわからない。「閾値のあるものとして」とい うのは要らないんじゃないかと思いますね。十分に意味が通じると思います。  それから、やはりトルエンの、ヒトの暴露の試験ですが、きのう原著の論文をいただ きまして見たところ、(7)の3行目、 332mg/m3というのは、細かいことで済みま せんけれども、341mg/m3ではないかと思います。  それから、最終的にこの試験をTDIの根拠としているわけですが、一般的にLOA ELあるいはNOAELをとる場合には、ある特定の用量で暴露させて、その用量以下 では何も毒性が出ない、そういうものをLOAELあるいはNOAELにするわけです けれども、ヒトの実験というか、試験においては、8時間の作業中のTWAとして332mg /m3があるんですが、これは結局平均値でありまして、実際には 188〜565mg/m3、 非常に範囲があるわけですね。ですから、一番低い用量でも毒性が出ている可能性が十 分にあると考える必要がある。 そうしますと、この 332mg/m3を一般的な毒性の用量として採っていいのかどうか ということについては少し問題があるんじゃないかと思います。 これは平均値でありますので、例えばこのTWAをとることに対してUncertainty Fac torを少し考慮するとか、そういうような必要性もあるのではないかというような気がし ます。 ○林座長  どうもありがとうございました。キシレンその他についてはご意見はないですか。 ○広瀬委員  トルエンについてはその他にもあるんですが。 ○林座長  では、まずトルエンからご指摘いただけますか。ただいまの広瀬委員からのご指摘に ついて、まず最初に、化学物質過敏症、アレルギーかという問題について、これはこの 前、議論されたんですけど、もう1度お願いいたします。 ○村上生活化学安全対策室長  事務局から少しご説明をさせていただきます。  シックハウスという言葉で大きく括られているものの中には、先生がおっしゃってお られたように、アレルギーのようなものもあるでしょうし、あるいは化学物質過敏症と いうようなものもあり、いずれは対象に入れていかなければならないと思います。  ただ、現時点で私どもが収集をして、評価が可能なデータとしては、今ここにお示し させていただいたデータしか存在しなかったわけでありまして、国際的にもこのデータ でガイドライン値が決まっているという状況であります。  私どもとしても、アレルギーや化学物質過敏症につきましては、これから先生方に研 究をお願いして、研究の成果が集積され、新しい知見が得られてまいりましたら、アレ ルギーや化学物質過敏症についても考慮できるようになるだろうと思っております。  ですから、現時点ではということで、この評価をさせていただきたいというのが事務 局の考えであります。 ○林座長  広瀬先生、いまの御説明でよろしゅうございますか。 ○広瀬委員  あまりこれに過大な期待を抱かれると困るということがありますので。 ○林座長  そうですね。それから次の問題についての、2ページの(3)のところで、「閾値の あるものとして」の部分を除いて、特に室内濃度に関する指針値については、「非発が ん性影響を指標として」とするという御提案ですが、その通りと思いますけれども、事 務局で考えていただきたいと思います。  次の問題についていかがですか。(12)の、 332mg/m3となっているけれども、こ れは 188〜 500の平均値ではないかということですが、これは、櫻井先生から疫学的な データに基づいて、用量を考える場合の考え方をお示しいただけませんか。 ○櫻井委員 このデータが、もし幾つかに分割して、もうちょっと低い、これは全体を1つのグ ループとして取り扱っているので平均88ppmとなっているわけですが、このオリジナルの データを見ますと、少なくとも2つに分けたとしても、その低い方とコントロールを比 べて有意の低下があるかないかとか、そういう処理をしてありますと、LOAELがも うちょっと低いところで、証拠に基づいてものが言えてくると思うんですが、そういう 処理はしてない。  このデータを見れば、あるいはそれができるのかもしれませんが、いまこの論文をそ のまま受け取れば、こういった場合には平均値をとるのが普通だと思います。  通常、こういった労働環境のデータは相当低いところから高いところまで非常にばら つきますので、その範囲の一番低い数値を採るということは事実上ちょっとやりにくい と思うんですね。  この場合は、このデータを見れば、それでもいいかなという感じがしないでもないけ れども、ちょっと深読みしすぎるのではないかと思いますので。  ただ、安全側を採るという意味からいえば、88ppmという平均を採るよりも、もうちょ っと努力して、この著者たちが、こういった暴露限界値を考える基礎のデータになり得 るものなので、もうちょっと分析してほしかったなとは思います。最初に申し上げまし たように、2つなり3つなりに分けて。 ○林座長  どうもありがとうございました。そうしますと、通常の疫学的な手法とすれば、平均 値をとっても特に差し支えはないという事ですか。 ○櫻井委員  この際それでもいいだろうと。ただ、LOAELからNOAELということで、10の 安全率をとるということでいいかなという感じです。これは皆さんの考えも伺ってみた いとは思いますが、私はそれでいいんじゃないかと思います。 ○林座長 最終的にLOAELを採用したということで、10のUncertainty Factorを使っている ということを含めて、この方法でいいということですね。 広瀬先生、いかがですか。 ○広瀬委員 一般的な毒性のとり方と動物実験のとり方とかなり違っておりますので私は戸惑った というところで、一般的にそういうことであるんだったら、私はそれでも構わないと思 います。 ○林座長 私も広瀬先生と同じで動物実験なものですからちょっと戸惑ったんですけれども、い まの先生のご説明で特に問題はないと思います。 私の方から広瀬先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、(2)のところで、I ARCの「グループ3」の分類を採用していますが、一般的に言いますと、「グループ 3」は多分発がん性はないだろうというように考えられていますが、「ヒトに対する発 がん性について分類できない」というような表現になりますと、これはどういう意味な のかなというような疑問を抱く方もかなり多いと思いますので、グループ1、2A、2 B、3、4というのを簡単にご説明いただけますか。 ○広瀬委員  IARCの分類はグループ1からありまして、1は、ヒトに対してはっきりと発がん 性があるような化学物質ですね。2については、2のAとBというのがありまして、英 語で言いますと、いまどっちか覚えていないですけれども、2のAがprobable、2のB がpossible carsinogenということで、両方ともヒトに対して発がんの可能性があるとい うような評価のものです。グループ3になりますと、ヒトに対する発がん性はないであ ろうということになるかと思います。4は全く発がん性は考えられないという見解にな っております。  林先生、何か追加を。 ○林座長  オリジナルの文章では「分類できない」というような表現になっていますので、非常 に誤解を招きやすいかと思うわけです。 ○広瀬委員  これはもうちょっとわかりやすいように。 ○林座長  書いた方がいいかなと思います。「分類できない」と言うと、発がん性があるのでは ないかというふうにも思われますので、原文の意義につきまして、後で、その説明を事 務局に送っていただけますか。 ○広瀬委員  事務局ももうご存じだろうと思うんですが。 ○林座長  と思うんですが、ここのところは少し説明を加えた方が適切のように思います。 ○荒記委員  質問なんですが、別添1のトルエンの(7)ですが、これは女子作業者で慢性暴露の データなわけですね。おそらく何年間か暴露して、その結果、こういう影響が見られて こういうデータが出たというので、この値を使って、今度は比較する場合、暴露年数を 全然考慮しないわけですよね。  私、一般環境よりも職場環境が専門ですが、普通に考えますとかなりの期間、年数を 経て初めて、この影響が出たと考えられます。  この濃度を基準値として使う場合に、毎日の暴露量がほぼ均一な慢性暴露で影響が出 るためには、たとえば20年なり30年、その期間と暴露量のある程度掛け算に近い暴露量 が必要と考えられます。 ですから、暴露していた期間を考えないで、その値を基準に設けちゃうと、これはと んでもない間違いになるかもしれないなと思うんですが、その辺り事務局では、一般的 にどういふうに考えてやられてきたんでしょうか。 ○村上室長  私ども今回、室内環境についての指針値の案を作るに当たりまして、外国あるいはW HOにおける評価等を参考にさせていただきました。  基本的な考え方といたしましては、むしろ労働環境よりも家庭室内のほうが継続的に 長期間暴露される可能性があるというふうに我々は考えております。工場に出勤してい る、労働環境に出かけている時間は家庭にはいないということになるわけですけれども ずっと家庭内におられる方もおいでになる。そういうこともあって、国際的なインド ア・エア・クオリティーのガイドラインをつくる際の1つの考え方としては、室内で継 続的に暴露されるということを前提にする。つまりは少し安全側での議論を皆さんして おられるというふうに考えております。ですから、そういう意味では労働暴露よりは厳 しくなります。 ○荒記委員  それはいいんです。いまお答えになった問題は不確実係数で処理できる問題です。  私の質問はそうじゃなくて、この値を採用する、例えば 332mg/m3とか、これはあ くまで過去20年なり30年なりの期間を経て初めて、こういう影響が出たわけです。短期 間じゃないわけです。 ですから、特に慢性暴露の場合、期間が非常に大事になってくるわけです。特に慢性 中毒、慢性暴露、慢性影響の場合、期間を評価しないととんでもないことになるという ことになるんです。 ○林座長 とんでもないことというのは、厳しすぎるということですか。 ○荒記委員 例えば、こうやって出した値はもし急性暴露、すなわち暴露期間が短い場合にはサイ エンティフィックには妥当な数値とは言えない。ロジカルには妥当だとは言えないとい うことだと思います。 ○櫻井委員 暴露期間がどこかに 5.7年とかって書いてあるんですけど、実際、1年でこれが成立 したのか、5年で成立したのかちょっとわからないということもありますので、まず、 1年ぐらいでこういうことが起こったかもしれないというふうに考える。そうすると安 全側だと思いますね。  さらに家庭の主婦、いろいろな人が暴露する期間は20年、30年ということも考えられ ますので、やはり一遍これを割り戻して、また計算し直すほうがサイエンティフィック であろうとは思いますが、もう1つの問題は、T×Cがコンスタントということは必ず しもないと思うんですね。ですから、いまやっているような方法でいくしかないだろう と思います。 ○荒記委員  基本的にこれを比較できるのは、期間が同じでないと比較できない。特に慢性暴露の 場合、長期間暴露の場合、比較にならないわけです。  例えば、これが5年ぐらいの暴露があったとしますね。だけど、この片側で、この値 を使った室内での暴露が、たとえば20年なり30年だったとすると、この逆のことが言え るわけですね。その濃度であっても危険だということになるわけです。 ですから、やっぱり暴露の期間を同じで比較しないと、一方では安全だ、他方では危 険であるという両方の可能性があることになる。 ○櫻井委員 わかります。この場合はむしろどっちなのかわからないですね。家庭にずっといる人 は一生暴露する可能性がある。一方、出てきたデータは、それよりは短いデータである ということは確かにあります。そこがやっぱり不確実係数で処理するところだろうと思 います。 ○荒記委員 一般的に不確実係数に、これがどの程度考慮に入れられているかどうかですね。一般 的にこの概念そのものがあいまいなところがあります。 ○櫻井委員 労働環境から一般環境への外挿のときの不確実係数は、この場合は 4.2で割るという ことだけなんですね。1週間の労働時間を、1週間の全部の時間で補正しています。 4.2で割って、連続暴露に補正しているんですね。この場合は。 ○荒記委員 その通りですが、それは今私が問題にしている問題とは別のことです。 ○櫻井委員 これはそうなっているんです。いまのこの案は。 ○荒記委員 今問題にしていることは、1日24時間暴露に補正したものとの暴露期間です。いま 室内で暴露している人の暴露期間との比較が問題なんです。 ○櫻井委員 一般論として私個人の意見を言えば、職業暴露の濃度を、連続の一般暴露の濃度に換 算するときは10分の1にするというのがいいだろうと思っているんです。  つまり時間の部分と、それから、労働の年数と一般の年数の差という、40年と70年と いうようなことですね。ですから、やや安全率を大きくして、これは 4.2で割っていま すが、10分の1のほうが一般性はあるというのは私個人の意見ですけれども、 4.2で割 るというのは、これはWHOかどこかがこういう方法をとっている。出ている参考資料 でもあるわけですね。こういう考えでもそう悪くはない。2分の1の差はありますが。 私個人の考えとは、2の関係ではちょっと違うんですけどね。 ○荒記委員   4.2の問題は、私がいま問題にしていることとは違う問題です。 ○櫻井委員 わかります。ただ、私は、だから、10分の1にするというので、荒記先生のおっしゃ っている部分を配慮する。それは完全に、精密に処理できるものではないので、職業暴 露から一般暴露への外挿というとき10の安全率をとるという考えはどうかということな んです。 ○荒記委員 私が問題にしているのは、職業暴露対一般暴露の問題じゃないんです。職業暴露値を 一般環境暴露値に換算した後の暴露年数、期間の問題なんです。あるいは室内で暴露し ているときの期間の問題なのであって、職業暴露と一般暴露の違いは考えておりませ ん。繰り返しになりますがそれは別な問題です。 ○林座長 期間を合わせなければいけないということですね。ただ、私たちは、既存のデータで 処理しなければならないという宿命があるわけですね。データが揃うまでは評価するの を待とうということは許されないわけですね。  そうしますと、やはり既存のデータで、少し暴露期間が違っていても、これを使って 評価しなきゃいけない。その部分についてはUFを使うとか、あるいは安全側に考えて 評価するというのは、WHOというか、普通の、通常のやり方だと、事務局の側は考え ていると思うんですけれども。 ○荒記委員  急性暴露なのか慢性暴露なのかにより暴露期間を分けて考えるということです。この 値を出した根拠は室内暴露の期間が、例えば今回採用したこの作業者の年数ぐらいのも の、すなわち慢性暴露ですよとか、そうではなく短期間の急性暴露ですよという留保が 必要です。 ○林座長  数値を示すとともに、その値の根拠について、ただし書きあるいは追加文章を付す方 法はよく使いますけれども、この場合にいかがでしょうか。 ○櫻井委員  この中に、このデータが何年の暴露で出てきたデータであるかということを書いてお いたほうがよろしいと思います。 ○荒記委員  実際に現場で、室内汚染のときに当てはめる場合に、大体このデータは、たとえば5 年ぐらいの年数で当てはまる値ですよということなんです。 ○櫻井委員  実際は5年までしか当てはまらないというんじゃみんな困るわけですね。だから、そ ういうことも考えて、安全率も考えて出している数値ですが、ただ、その根拠はこうだ ということはできるだけはっきりさせておいたほうがいい。だから、これはわりあいは っきり書いてありますよ。どういう安全率をとっているとか、元のデータは何年暴露の データであるということを書いておけば、見る人が見れば判断できると思います。 ○荒記委員  急性暴露か慢性暴露か期間の問題が書いてないですね。 ○櫻井委員  ここには書いてないから入れたらいいのかもしれません。 ○林座長  事務局のほうで期間のことを少し調べていただけますか。場合によっては、きちんと したデータがあれば、こういうようなデータに基づいて指針値を決めたということを一 筆加えていただけると、お使いになる方は参考になると思いますので、よろしくお願い いたします。 ○剣持専門官  わかりました。 ○安藤委員  いまの荒記先生の期間のお話はわかりますが、1つはそれはUncertainty Factorをも う少し見るということで解決されるかもしれないなとは思いますが。それはさておいて ここでUncertainty Factorを、個体差を10として、NOAELじゃなくてLOAELだ から10ということ、それから中枢神経の潜在的な影響として3を置いたということがご ざいますが、これの根拠となるデータは(7)と(10)を使っているというように書いてあり ます。(7)はいわゆる中枢神経の話ですが、(10)は流産というお話で、これは本来はか なり重篤な話じゃないかなと思うんですね。 つまり、そういう意味でUncertainty Factorは3でいいのかなと。たとえば5とか何 とか、本来は何かそういうことは考えなくていいのかなという疑問が若干ありますが、 いかがでしょうか。 ○剣持専門官  ご指摘の点もっともかなと思います。Uncertainty Factorは、比較的よくわかってい るケース、例えば個体差を10とするとか、あるいは種差を10とするとか、あるいはNO AELの代わりにLOAELを使うのを10とするとか、そういうケースについては、ほ とんど問題なく使用できると思われますが、それ以外、例えばご指摘いただいたケース の場合、「3となり」と記述されておりますけれども、「3程度が適当と考える」とい うようなニュアンスになるのではないかと、事務局としては考えています。  正直、このようなケースの場合にむしろ、どの程度のファクターを考慮すればいいの かについては、明確に考えにくいところがございます。ですから、安藤先生もおっしゃ るように、生殖に関するところが重篤だと考えられることから、Uncertainty Factorを もう少し増やすという考え方があるとすれば、具体的にはどのように考えるのかという ことで、先生方のお知恵をお借りできればと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○林座長  例えばいまの、安藤先生の中枢神経系への影響についてUFを決めるに当たって、事 務局のほうは、障害の重篤度から考えてUFは2よりも少し大きいだろうと判断して3 にしたのかなと、そういうことだと思うんですね。 ○安藤委員  考え方が整理できていれば、それはそれで構わないということで、そこのところをお 伺いしたということです。 ○林座長  もう1つ、(10)の問題、これは櫻井先生、これを含めて3でいいのかということなん ですけれども。 ○櫻井委員  私も、中枢神経系に対する潜在的影響というところが確かにあんまりすっきりしない なと。中枢神経系に対する影響を考えているというのならまだしもいいと思うんですけ れども。  それと生殖器に対する影響。自然流産が高いというのも重大な問題なので、それに触 れないで、中枢神経だけでいいかどうか。両方合わせて幾つというふうにする。 ○林座長  いまの櫻井先生のご提案と安藤先生のお話に含めまして、中枢神経系あるいは生殖器 系への影響を考えて、インクリメンタルファクターとして3を考慮していると思いま す。他に何かございませんでしょうか。 ○石川委員  基本的なディスカッションは、伺っていて、いいなと思ったんですけれど、(5)のとこ ろで「ヒト及び動物において、感覚器官、特に聴覚への異常」というんですが、実は視 覚もやられるのが非常に大きな問題で、視覚障害の論文も結構ございます。日本でも米 国も。ですから、これはぜひ「視聴覚」と直していただきたいと思っています。  それから、こういうトルエンを吸わせて、少数の動物実験ではありますが、北里大の 神経内科の古和教授、斉藤助教授(臨床神経学)がビーグル犬を使って実施した実験で、 末梢神経障害発症の研究もあるので、先ほどから議論になっているUFについて、3と いうことで果していいのかということが第一の疑問でございます。  私達の経験した人間の解剖の例を見ると、トルエンで一番中枢神経がやられるのは視 神経、網膜で次が小脳であって、プルキンエ細胞が一番機能的にも障害を受けていま す。  そういうことで、臨床症状として出るものは、どちらかというと平衡失調ですね。め まいとか、立ち歩くときに転ぶとか、そういう問題が非常に大きなものとして、我々は とらえています。そういうことも考えて、3で果していいのかなということが言えるか もしれません。  それから、先ほどご議論のあったアレルギーは、トルエンではほとんどないんじゃな いかと思っています。臨床例でもほとんど見たことないので、そういう意味では大丈夫 じゃないかと思います。 ○林座長  貴重なご意見ありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。 ○池田委員  医学でも毒性学でもないもので、非常に専門的なディスカッションを聞いていての素 朴な質問なんですけど、3つほどあります。まず第1は、この3つの物質だけでとりあ えず今回は終わるけど、それ以後はどうなるのかということの見通しを、ここに盛って おいていただけたらと思います。  それから一部の先生からは厳しすぎるのではないかというご指摘もあったんですけれ ども、私のような、そういうものに素人で、この関係で一番慣れ親しんでいるのに、本 当はWHOが出したわけではないと言われておりますが、WHOの出しているいわゆる ガイドラインと言われているTVOC 300μg/m3というのがございます。それに比 べると、1つの物質だけで 260μg/m3とか、 870μg/m3というのはそれだけです ごく高いような気がするということですね。 ですから、いわゆるTVOC 300μg/m3という、いわゆるガイドラインと呼ばれ るものとの整合性がどうなるんだろうかということです。  それから3番目の問題といたしましては、一つひとつについて、いわゆる労働環境み たいに、トルエンにしかさらされないような環境の場合は、いまここで示されたような 方法論で、ある意味で、それを居住環境にも、ということでいいかとは思うんですが、 実際の居住環境には、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、3つが渾然一体と なって入っていたり、さらにそこにホルムアルデヒドがあったりとか、もっといろいろ なフタル酸エステル類もというような話、あるいは有機リン酸系の化学物質なんかあ る。  その場合、それぞれのガイドライン値ぎりぎりの濃度だったら、その部屋の空気は満 足していると言えるのかというようなことについて、どういうふうな取り扱いになるの か教えていただければと思います。 ○村上室長  今のお話につきまして、事務局の考えをご説明させていただきます。  今回3つの物質についてご検討をいただいておりますけれども、なぜこの3つだけが 最初に選ばれたかといいますと、平成9年、10年の実態調査で、幾つかの家屋でこれら の物質が非常に高い値を示したという実態がございました。そこで、これらについては 特に急ぐ必要があるということで、これら3化合物を優先的にご検討をいただいている わけであります。  これで終わりということでは全くありません。このほかにも室内空気を汚染する物質 が幾つかあるということがわかっておりますので、それについても逐次ご検討をお願い しようと思っております。  それから2番目のTVOCのお話ですが、トータルVOCにつきましては、現在のと ころはガイドラインはないことになっております。かつてはあったのも知っております けれども、特にEUなどの一番新しいドキュメントでは、数値を決めずに、できるだけ 低い値、実施可能なできるだけ低い値にすべきだ、 as low as reasonably achievable という考え方でやるべきだというふうに書いてあるだけであります。  ただ、先生の3番目のお話にも絡んでくるわけですが、幾つかの物質が複合して存在 したときに何か悪い影響が出るかもしれないという可能性もございますので、トータル でどのようにガイドラインを決めるべきかということにつきましては、今後この会でご 検討をいただければと思います。  特に化学物質過敏症等も含めまして、因果関係その他については、これから、相当力 を入れてご研究をやっていただこうというふうに思っておりますので、その成果が出次 第、それを反映させて対処していきたいと思っております。 ○林座長  どうもありがとうございました。池田先生、実はこういうような複合とかトータルと いうような話になりますと、トキシコロジストの専門外の方々の御意見が適切なことが 多いので、そういうものの対応はこうあるべきだということのお考えがありましたら、 お教えいただけませんか。 ○池田委員  例えばなんですけれども、先ほど複合と言いましたけれども、必ずしも複合ではなく て、トルエンとキシレンが両方混じっていた場合なんですけど、その場合トルエンは263 μg/m3まで良くて、キシレンも 870μg/m3までいいと言っていいのかということ ですね。両方がぎりぎりだったらどうもまずくて、そういう場合は、たとえば両方で半 分ずつぐらいに混じったのがいい空気とするとか、そういうような考え方というのはで きるのかできないのかということでございますが。 ○林座長 どうもありがとうございました。先生のお考えは、同じような作用についての農薬の 評価と非常に似ているんですね。先生、それをお読みになられていませんでしょうか。 ○池田委員 読んではいないですけど、やはり同じような影響があるものが、種類が違っていると いうだけで別個に考えていいというのは何だか変な感じがしますが。 ○林座長 農薬については、FDAではそんなような考えを提案しているようですね。どうもあ りがとうございました。 ○櫻井委員  労働環境の許容濃度を使う場合にも全く同じようにやっておりまして、その濃度を許 容基準で割る。もし1つの物質が許容濃度の半分だったら 0.5になりますね。もう1つ の混在する物質がやっぱり 0.5だったら、両方でちょうど1になる。そこがぎりぎりだ と。  その場合は、その2つが相加的に効くという想定のもとにそういう計算をするわけで すね。  もし両方ともに全く独立だという根拠があれば、そういう計算はしなくてもいいと思 うんですけど、そういう根拠があることは滅多にないので、大抵の場合は相加的であろ うという想定のもとに、オペレーショナルにそういうふうに処理しておりますが。 ○池田委員  この場合もそういう処理がここで入るんでしょうかということ。 ○櫻井委員  それはこれから皆さんに相談することになろうと思います。 ○林座長  その点は事務局から。 ○村上室長  本日のところは個々の物質についての評価ということでお願いしたいと思います。 我々のご用意させていただいた、たたき台も個別の評価に基づき作成されております。  今後、TVOCの議論をしていただく中で、そういう相加の問題についてもご議論し ていただければと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。キシレンとかパラジクロロベンゼンについても含め て何かご意見ございませんでしょうか。  先ほど広瀬先生のほうで何か、ほかの物質についてもご意見があるということで。 ○広瀬委員  キシレンも、いまの話からの延長になると思うんですが、同じような閾値のことがま ず(4)にありますので、これは取っていただくと。  それから(12) の生殖発生毒性の試験ですが、これも細かいことなんですが、第三段 落、「一方、 870及び・・・」というパラグラフで、「200及び 500ppm」になっていま すが、原本を当たって見てみますと、この実験は 200ppm でしかやっていないんじゃな いかと思うんですね。アブストラクトを見ると「500ppm」という数字が出てきてはいる んですが、これはおそらくミスじゃないかと思います。 これは 200ppm 以上で変化が出ているというようなことが書かれておりますけれども 0ppmと 200ppmでしかやられていないんじゃないかと思います。 ○林座長 どうもありがとうございました。事務局から何か。 ○剣持専門官 大変申しわけございません。この点については、もう一度精査して事実関係を確認を したいと思います。 ○林座長  ではこれを精査して、その結果を広瀬先生のほうにお伝え願えますか。それから、先 ほどの「閾値がある」の(4)のところ、これも同じように、広瀬先生の言われるとお りに処理していただきたいと思います。 ○剣持専門官  わかりました。 ○林座長  その他に何か。 ○安藤委員  これらの動物実験のキシレンというのは混合物でしょうね。どれでも結構ですが、キ シレンというのはo-キシレン、p-キシレン、m-キシレンがあるわけですが、これは全部 混合物という評価ですね。 ○剣持専門官  基本的にはほとんどのデータで混合物です。 ○安藤委員  ということは、これの評価は、たとえo-キシレン、p-キシレン、m-キシレンが別々に 測られたとしても、どれでもキシレンとみなすという考え方に立つということですよ ね。 ○剣持専門官  そう考えるしかないだろうと思っています。 ○安藤委員  わかりました。 ○林座長  他にございませんでしょうか。パラジクロロベンゼンですか、これについて広瀬先生 何か。 ○広瀬委員  パラジクロロベンゼンについてはちょっと問題があると思うんですが、最終的に指針 値として採用されている実験が、ビーグル犬の経口投与の実験なんですね。経口投与の 値を気中の暴露に換算しているわけですが、経口投与と、鼻腔から暴露されるという実 験は全く違うと思うんですね。  気中暴露するというのは、やはり呼吸器に対する影響、たとえば鼻腔の粘膜、器官あ るいは肺に対する影響を見るために行う実験ですので、経口投与とは、毒性が発現する 臓器が全く違うということになると思うんですが、経口投与の実験から換算する場合に は、呼吸器に対する影響が全く検討できないということになる。  ですから、僕は換算を、なぜこういうように無理やり行って、指針値の根拠にしたの かがなかなか納得できないんですが、その辺り事務局としてどのようにお考えですか。 ○剣持専門官  ご指摘の点、正にある意味そのとおりでございまして、我々としても、実はビーグル 犬のデータをどのように扱ったらいいかということで、たたき台をつくるときにかなり 悩んでおりまして、未だにずっと悩んでおります。  やはり問題点としては、経口投与で出てきたデータを、実際のパラジクロロベンゼン は吸入で暴露される暴露形態でございますので、そこにどのように結びつけていくか。 結びつけることができないということではないと思うんです。おそらく何らかの形で結 びつけることはできるんだろうと思うんですが、そこをどのような形で結びつけていく のかというところについて、もうひとつ我々としても、知識も含めていろいろな知見を 持ち合わせていないところがございます。ここに出させていただいたのは、この3物質 の中で一番煮詰まりきれていないたたき台でありますが、要するに強制経口で投与した ビーグル犬データを、吸入での暴露形態の毒性評価ということに結びつけるためにはど のように考えたらいいのかについて、ご意見をいただければというのが正直なところで ございます。 ○林座長  広瀬先生、私、実は剣持さんから相談を受けた時に同じ事を考えたのですが、データ をよく見ますと、経口の場合も吸入の場合も、主な変化は肝臓とか腎臓にみとめられ、 吸入暴露での直接的な作用部位である呼吸器系統にはそれほど強い変化はないですね。  もしもインハレーションで呼吸器系統へ強い変化があるとすれば、それを主体にした 評価をすべきであって、経口での実験データは、このような場合の評価には大きい意味 を持たないということになるわけです。  ところが、一番強く出ている部位が肝臓とか腎臓となりますと、障害の発生は経口の 場合も吸入の場合も、全身的障害の結果ということになりますので、それならば、一般 的によく調べられているビーグル犬のデータを使う方がいいのではないかという立場を とっていると思います。 ○広瀬委員  そういう評価のされ方が一般的に納得されるかどうかということにもなるんですが、 私はそういう評価の仕方というのはまだ。 ○林座長  異なった投与経路間での外挿については一般にこのような考え方がとられます。この 場合に大事なのは、投与経路が異なった際のアベイラビリティーというか、吸収が変わ ってきますと扱いが複雑になります。 ○安藤委員  いま林先生がおっしゃったアベイラビリティーの問題というのがやっぱり大きいと思 うんですね。アベイラビリティーのデータはあるんじゃないかなという気がしてしょう がないんですが。  つまり一番大事なことは、最終的な target organ は同じで、それはいいだろう。た だ、いわゆる吸収率というものは非常に大きなファクターになって、たぶん経口暴露に 比べたら、吸入暴露というのは 100パーセント入っちゃうだろうということを考える。 経口暴露が 100パーセント入っているとは思われないですね。 ですから、何らかの評価のデータが出たら、これは変えるんだという、先ほど荒記先 生がおっしゃったようなコメントをどこかに書くならば、そういうことは書かないとい けないんじゃないかなという気がしておりますが、いかがでしょうか。 ○林座長 普通はインハレーションの方が経口投与に比べて吸収率が高い。従って、経口暴露で は吸入に比べて同じ暴露でも影響は低く出ることになります。 ○櫻井委員 皆さんのおっしゃるとおりだと私も思います。それで、吸入暴露データがない物質で 経口のデータだけという物質がたくさんあって、それでもなお吸入の基準を決めなけれ ばいけないという状況が多々あって、農薬もそうですね。 それで、環境庁が農薬の指針値を出しておりますが、その場合も経口のデータから、 吸入の基準を示しておりますが、そのときの考え方も、もしデータがない場合には、吸 入と経口の吸収率を一応同じと考えましょうと。ただ、はっきりしたデータがあれば、 それでちゃんと補正するということだと思います。 この場合はどちらかわからないと思います。吸入でもかなり多く吸収すると思うんで すね。でも、50パーセントぐらいじゃないかと思うんですね。 経口の方が、それよりは吸収するんじゃないかなという感覚で私はいるんですけれど も、そんなものでもないでしょうか。量がやたらに多ければそのまま出てしまうかもし れませんけれども、こういう脂溶性の高い物質だけれども、ちょっと一概に言えません か。これはちょっとやめておきます。いまデータなしに言うべきことではない。 それからこの場合、先ほど林先生がおっしゃいましたように、もし吸入の毒性が際立 って強いといいますか、呼吸器に対する毒性が際立って強ければ、それを当然考えなけ ればいけないんですが、動物で吸入で、NOAELが20ppm というのがありましたね。 それから計算した場合よりも、経口のデータの方が厳しいんですね。 ですから、やっぱりこっちを採るべきだという事務局のご意見だと思うんですが、賛成 です。 ○林座長 他にございませんか。事務局の方で、きょうご欠席の先生から何かコメントありまし たでしょうか。ご紹介ください。 ○剣持専門官  本日、毒性関係ということで、内山先生がご欠席になられています。内山先生からは 事前に2点ほどコメントをいただいております。 1点はトルエン、1点はキシレンの件で、パラジクロロベンゼンについては特段コメ ントをいただいていないんですが、ちょっとご紹介します。  まずトルエンについてですが、トルエンの(14) の不確実係数の記述のところですが 3ページになります。ここの2行目から3行目にかけてですが、「中枢神経系に与える 潜在的影響を考慮して3となり」という書きぶりになっておりますけれども、これはむ しろ「中枢神経系に与える潜在的影響を考慮して3を加え」ぐらいにしておいたほうが いいのではないかという点が1点でございます。 ○林座長  それは先ほどの中枢神経系並びに生殖器系というように。 ○剣持専門官  はい。もう1点、これはキシレンに関してですが、考え方ということでコメントをい ただいたんですが、パラジクロロベンゼンの場合には、前回の評価のときに、動物実験 で得られたmg/m3でのNOAELの値を、ラットの呼吸量などを加味して一たんmg/ kg/day に変換し、改めてヒトの呼吸量などを加味した上で、ヒトにおけるmg/m3で の耐容平均気中濃度という形で算出するというプロセスを経ています。  また、今回のビーグル犬のデータは、そもそもNOAELがmg/kg/day で求められ ておりますから、それをそのまま使用するということに関しては、mg/kg/day をベー スとして考えるという点で、考え方としては一貫しているのではないか。  トルエンの場合については、これはもともとヒトでのデータですから、特に割り戻す とかという必要はなくて、そのままmg/m3で得られた値を使って、ヒトに対する指針 値を出すということに関しては問題はないのであろう。  それに対して、キシレンの場合には、動物データで得られたmg/m3でのNOAEL を、そのままUFで割り算をして指針値としているわけですが、この場合に、mg/kg/ dayという形に直していないので、ほかの2物質の考え方とちょっと違うのではないか と。  WHOもそのとおりやっているんだけれども、3物質全体として俯瞰した場合に若干 気になるなという趣旨のコメントをいただいております。 ○林座長  どうもありがとうございました。ただいまの内山先生の、コメントについてはいかが でしょうか。  確かに推定指針値の算定方法が変わっているということなんですけれども、よく見て みますと、これは動物実験で、それ自身不確実性がかなりあるというのに、さらにいろ んな数学的な操作を加えても、実際上より適切な値が出るということでもないと思いま すので、現時点ではむしろWHOに合わせた値にして、ヒトでの知見が得られて、それ についてWHOがまた何か行動を起こしたというときに、また日本も考えるという方が 実際的ではないか、と思われますけれども、いかがですか。 ○櫻井委員  前のは複雑なやり方をやっていますね。それはヒトと動物の呼吸量の問題を少し精密 化したような印象を受けますけれども、あまりそこのところに凝っても仕方がないだろ うという感じがいたします。先生のおっしゃる意見に賛成です。 ○林座長  そうすると、WHOの案を採用した事務局案を、現時点では使った方がいいだろうと いうことでよろしゅうございますね。どうもありがとうございました。 他に何かございませんか。一応ご意見が出尽くしたようでございますので、ここで3 物質の室内濃度指針値については、検討会として一応結論をまとめたいと思いますけれ ども、今いろいろ事務局から提案された資料の中で、やはり文面上かなり修正をする必 要がある、あるいは広瀬先生に、少し見ていただくというようなところがありますが、 考え方としては大体適当と思われるのですけれども、いかがでしょうか。よろしゅうご ざいますでしょうか。  では、この問題についてはご了解いただいたということにさせていただきます。  次に採取法方と測定方法に関してになりますけれども、これについて事務局の方でご 説明いただけますか。 ○事務局 (平野)  それでは別添2、「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法(案)」でございます が、こちらについてご説明させていただきます。  まずサンプルとしての空気の採取に関してですけれども、基本的に、新築・改築後の 住民の方が入居されていない状態の室内、こういったものを想定した採取法が1つ。ま た、今現在、生活行為が行われております居住住宅を想定した採取法、この2つを標準 案としてお示ししております。  まず新築住宅の場合ですが、改築、いわゆるリフォーム後の室内も含めて考えており ますけれども、室内に、まず安定した空気条件というものを作製いたしまして、そこで 空気を採取する。建物そのものが持っていると思われる化学物質の値と、ガイドライン の値と比較するためのサンプル採取方法案というものが1つございます。  具体的には別添2の1ページ、1.1 というところにお示ししております。 室内を30分間換気いたしまして、その後、窓等を閉鎖して密閉状態というか、閉鎖状 態をつくります。この状態を5時間維持いたしまして、5時間経過後におおむね30分間 空気の採取を行うということです。 細かい条件になりますけれども、この際、建具は開放いたしまして、建物が、常時使 用することを想定しております換気システム、こういったものを備えている場合には、 これを稼働した状態で行うということとしております。 小窓等がついている場合がございますけれども、こういったものに関しては原則的に 閉鎖することとしております。 ただ、有効性が認められるパッシブ型の換気システム、こういったものについては別 途勘案して、場合によってはそれを使用した状態で測定を行うということとしておりま す。 建物の閉鎖時間につきましては、今回、参考資料の2及び3に、ISO案とECA案 がございます。こちらには5時間、8時間等の閉鎖時間の提案がございますけれども、 今回の標準案といたしましては、木質建材が多く、化学物質濃度の日変動が非常に大き いという日本の住宅特性を考慮いたしまして、これらが最大になると想定されますのは 大体午後2時から3時ごろということでございますので、そのあたりに採取を行う事を 重視したプランをお示ししております。  同時に気温、湿度等を測定いたしまして、もし冬季、室温が低いと思われるとき等に は気温、湿度による補正を考えようということになっております。  次に、居住を実際に行っておられる場合に測定を行う案でございますけれども、こち らの目的といたしましては、日常生活時における化学物質の室内の存在量及び、そこに 居住しておられる方々の暴露量、そういったものを推定するということを目的として考 えております。  具体的には別添2の3ページ、一番下の方になりますけれども、1.2 「居住住宅」と いうものがあります。これ以降に具体的な測定法を示しております。 方法といたしましては、実際に生活しておられるそのままの空間、そちらの空気を24 時間採取するという方法を採っております。24時間ですので一日平均を求めるというこ とになりますから、採取開始時刻等は任意に設定して24時間、空気を採取いたします。 また、この場合、喫煙や殺虫剤の使用、もしくはヘアスプレー等の各種スプレーの使 用、こういったものによって変動することが見込まれますので、なるべくそういった生 活状況に関する因子といったものも同時に記載していただくということとしておりま す。 どちらの場合も、採取を行う部屋は、居住時間等を考慮いたしまして、寝室及び居間 の2カ所を室内では想定しております。  また、このとき同時に測定する条件といたしまして、室外における1カ所及び測定法 のトラベルのブランク、気温、湿度等を挙げております。こういったものを同時にはか ることによって信頼性を確保しようという目的を持っております。  採取位置につきましても、室内の場合、周りの壁からは1メートル以上離す、高さは 大体床下から 1.2メートルから 1.5メートル、その間の位置を設定する等の標準的な測 定位置をお示ししております。 このようにして採取いたしました空気試料、これらを機器分析にかけることになりま す。ここでは標準的な方法といたしまして、ホルムアルデヒドを対象とする場合は、D NPH捕集管を使用いたしまして、高速液体クロマトグラフィーで分離、定量する方法 をお示ししております。  また今回、ここにあがっておりますトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の いわゆる揮発性の有機化合物、これらを対象とする場合は、捕集管として活性炭等の吸 着剤を使用いたしまして、ガスクロマトグラフィー質量分析機、いわゆるGC/MSで すけれども、これを用いて分離・定量する方法をお示ししております。  具体的なホルムアルデヒドの測定方法の詳細につきましては6ページになりますが、 「ホルムアルデヒドの測定方法」以降に記載しております。  また、VOCの測定方法につきましては化学物質を捕集管に吸着させまして、溶媒に よって化学物質を抽出する測定法、捕集管から加熱脱着装置というものを用いまして化 学物質を脱着させる方法、もしくは、空気をそのまま容器にまず採取いたしまして、そ れを装置に装着するという、いわゆるキャニスター法と呼ばれている方法でございます けれども、この3案を記載いたしております。  標準的な方法といたしましては、VOCに関しては、これらの3案のうちのいずれか を、状況に適した、分析機関が得意とするところを選択していただく、そういった考え になっております。  固相吸着溶媒抽出法に関しましては12ページ以降に詳細を記してございます。また固 相に吸着した後に加熱脱着を用いて測定する方法、これにつきましては24ページ以降に 詳細な方法を記載しております。 また、いわゆるキャニスター法、容器採取方法につきましては37ページ以降に具体的 な詳細の技術的面を記載させていただいております。 採取法並びに測定法に関してのご説明は以上となります。 ○林座長 どうもありがとうございました。まず測定法に関するただいまのご説明、資料につい て何かご質問がありましたらお願いいたします。 ○田辺委員 ドラフトの段階で多少見せていただきましてご意見を申し上げた部分もあるのですけ れども、この中で幾つか問題といいますか、議論になるだろうと思われるのは、密閉5 時間以上というところだと思います。お配りになられている参考資料の2の7ページ、 これはISOの 16000の案であります。それと参考資料の3の22ページの表6はECA 案で、今回の採取方法に関しては7ページのA、ガイドラインに合うか合わないかの方 法に該当します。  この中には8時間以上閉鎖と書いてあります。これに対して、表6の22ページの最大 濃度というところには、最低5時間閉鎖しなさいというように書いてあります。最大濃 度は換気量との関係によります。  長く閉じたほうがいいというお考えももちろんあると思うのですけれども、私は「5 時間」と書いてあるのはちょっとひっかかるので、「密閉5時間以上」という表記にし ていただければと思います。  それから、8時間と5時間に関しては他にも日本では検討すべき点があります。これ までの研究成果で、先ほどご指摘あったように昼間、2時〜3時ぐらいの濃度が非常に 高いことがわかっております。8時間以上閉鎖することを優先して、たとえば夜遅くと か朝早く計測しますと室内濃度は低くなってしまう。5時間以上閉鎖することで、8時 間と変わらなくて、昼間に採取できる方法がとれれば大変よろしいのではないかと思い ます。  ですから、記述を「密閉5時間以上」というふうに、「以上」をつけていただければ と思います。  それから先ほど指摘に出ました温度の影響ですが、これはISO、それからヨーロッ パの共同研究でもあまり触れられていないのですけれども、ホルムアルデヒドに関して は、主な発生源が木質系建材の接着剤である場合が日本では非常に多い。そのときには 温度、湿度が上昇すれば室内濃度が当然ながら上がるということです。  例えば冬の室温が8度とか10度とかのときに、測ったものが、ガイドラインの値を満 足しているというようなことが出てきても、実はそれからだんだん暖かくなっていけば それを超えてしまうことがあり得るわけです。 補正法に関してはまだ研究途中のところもあると思いますが、大体温度において1.09 〜1.1の温度のカイ乗で増加するということが、これまでの研究成果で、木質系に関して は指摘されております。そういうことを示すか、あるいは温度に関しての補正が必要と いうことは最低限記述をしていただけるとよいのではないかというように思います。  長くなって恐縮ですが、2ページの、一般住宅と、次の、居室の常時換気システムを 有する住宅というふうに2つに分けられたことは大変よろしいのではないかと思いま す。  居室の常時換気システム、基本的には常時居室を換気しておくシステムがつけられて いるようなところでは、こういうものを運転して測定してもいいということを書いてい るということです。換気システムが将来普及するとか、皆さんが換気に気をつけるよう になるということから判断すると、大変よく分けていただいたというふうに評価をして おります。  後半の分析方法のことに関しても少しコメントがありますけれども、採取方法のとこ ろに関しての主要なコメントは以上でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。ただいまのコメントに、安藤先生、何かあります か。 ○安藤委員  ご指摘の点はごもっともなお話かなと思っております。  ただ、ちょっとお伺いしたいのは、温度補正をする場合、どこの温度にしたらいいん でしょうか。つまり、多分それは、ホルムアルデヒドを測定するから、5時間以上とい う場合は、5時間たってから温度をはかっても、それまで低くしていてポッと上げた、 こうやられてもしょうがない。どう考えたらよろしいんでしょうか。 ○田辺委員  確かに難しい話ですね。私が思っていたのは、測定時の温度というようなことだった んですが、先生おっしゃるように、一日の中の変化が多ければそういうことはあると思 います。主なのは、冬測るか夏に測るかという、季節による変化の方が大きいのではな いかと思います。  ですから、一日の中の変化は2時〜3時に測ることで、高いところを測る。それから 季節の変化というのは何か補正等を行っておくのがよろしいのではないかと思います。  ですから、温度も2時〜3時、測定時の温度という定義をすればできるのではないか と思います。 ○池田委員  閉鎖時間について若干、私、事務局のほうには個人的にはご提案しておいたんですけ ど、盛られていないようなのでちょっと説明させていただきます。閉鎖時間をどれくら いにしておくかということの大事な一番のポイントは、そのときの部屋の換気量がどれ くらいかということです。私が追加しましたグラフの資料があると思うんですが、この グラフは人が寝ているときの炭酸ガスの濃度が定常に達するまでという話ですが、これ は炭酸ガスであろうがホルムアルデヒドであろうが、ある一定量で発生し続けるものが その部屋の換気量、換気回数との関係で、どのくらいで定常に達するかというを見るた めには同じことだと思います。これはある外国のほうの研究者の方が、換気回数が0.1回 /hの場合と 0.5回/hの場合とについて計算したものです。 問題なのは、換気回数が非常に低い場合で、上の方の図になるんですが、これは10時 間たっても全然、まだまだ定常に達しておりません。0.1回/hぐらいでは定常に達するま でにはおそらく2日ぐらいかかると思います。ですから、48時間締め切っておいても、 0.1 回/hの部屋だったら定常に達したかどうかわかりません。 それに引きかえまして、普通に今目標とされているような 0.5回/hぐらいの感じの部 屋ですと、先ほど田辺先生から示されました資料2にも、同じようなものが出ているん ですけど、やはり5時間というのはちょっと短いですね。8時間あれば確かに大体定常 になるんです。横軸は分で書いてありますから、 480分ぐらいたつと大体なる。5時間 というのは、それよりどうも1割弱低い感じがするんですね。ですから、実際問題、た だ5時間以上とやるよりは、本当に8時間とか長い時間やったもののデータのほうをあ る程度尊重するという意味で、5時間の場合だったら、出た値の1割増しをもってその 値とせよと。  1割あるいは2割、その1割か2割のどれくらいがいいかというのはいずれ決めると して、それに対して、ちゃんと一昼夜、前の日からちゃんと測って、2時ぐらいまでに 十分閉鎖したものはそのままというような、たとえば2段階ぐらいの評価方法にすると いうのが、一生懸命努力したのが報われるという意味からもいいんではないかというよ うな気がしますが、いかがでしょうか。 ○田辺委員  自然換気で、このグラフですけれども、完全に開放してしまって、室内外の濃度差が なくなれば、理論曲線としてはこうなると思うんですが、30分間開放値で完全に空気が 入れ代わってしまわなければ、ベースラインが高いですからね。 ○池田委員 それは同じじゃないですか。 ○田辺委員 定常値に近いところの割合は近くなります。 ○池田委員 どっちにしろ、近かろうが何であろうが、定常に達するまでの時間は一緒です。です から、たとえば 0.5回/hだったらば、8時間過ぎた以降でないと定常値とは本当は言え ないわけでして、感じとしては、確かに初期値のほうが高かった場合はまた話がややこ しくなってくるんですけど、通常、外のほうが低いであろうということであれば、1割 ぐらい増しをというのだったら、そんなに不適当な値ではないと思います。 ○田辺委員  割合はいいんですけど、どこから始まるかということが重要ですね。そのときに。開 放した後に測っていないと、ベースからの増加の割合ですから。 ○池田委員  ベースというのは外気濃度ですよね。 ○田辺委員  30分間換気で外気濃度まで下がっていればです。完全に一緒になっていれば先生のい われるとおりと思います。完全に外気濃度と一緒になっていないところから始まれば、 それからの割合ですから、そこの濃度を測っておかなければ、今の話は成り立たないの ではないかと思います。 ○池田委員 必ずしもそうではないんじゃないでしょうか。 ○田辺委員 例えば非常に定常値が高い濃度。少し自然換気をする。これは300ppmから始まってい ますけれども、たとえば 600ppmまでしか下がってなかった。 900ppmまでなるときには 割合としては、先生おっしゃるのが合っていますが、一律に現在の濃度の10%増しろはな らないと思います。 ○池田委員 わかりましたけど、ただ、30分開けるということは、それが保障されるという意味で の30分だと思うので、もしそれが保障されないんだったら、30分というものの意味がな くなりますから、もっと長い時間開けなきゃいけないとか、そういう話にもなってくる ので。通常、窓を開けて、室内の換気回数が数回確保されるようになれば、30分もあれ ば大体外気と同じになるとは思います。30分開けた後なら。 ○田辺委員 1割増しの理論というのは私はひっかかります。それならば8時間以上閉鎖をすすめ る方が良いと思います。 ○池田委員  いずれにせよ、正確ではないにしろ、1割増したことが安全側の方にいくだけですか ら。それが十分下がりきっていなかったんなら。逆に、外気より極端に下がるというよ うなことがあって、それだと、いま言ったようなやり方だと少し危険が割り増しになる ということはあるんですけど、いずれにしても安全側の割り増しになるんですから、多 少、十分下がりきらなかったとしても問題ないんじゃないかと思いますけど。プラクテ ィカルには。 ○田辺委員  また、5時間というのは非常にプラクティカルな問題があるところです。8時間閉鎖 をすれば、たぶん前の晩から泊り込んで閉鎖をして測定をしなさいということを奨める わけです。実質的には2日間測定となります。 ○池田委員  はい。だから、そうやった場合は割り増ししなくていいですよと。それが難しい場合 は、その日、朝、行ってやって、その代わり、それは簡易な方法だから1割増ししなさ いと。 ○田辺委員  その1割の根拠がキチッとしていればよいのですが、換気回数が0.5回/h以下では、さ らに長い時間閉鎖しないといけなくなります。。 ○池田委員  その曲線からみれば、大体キチッと外気濃度まで下がったとすれば1割。 ○田辺委員  それは 0.5回/h換気のときはそうです。換気量は簡単に測定できないわけです。 ○池田委員 でも、 0.5回/hの換気量が確保されていない場合には、もしそれがわからなくて、仮 に 0.1回/hぐらいの換気しかないようなところ、いわゆるセントラルの換気システムを とめた高気密・高断熱住宅のようなところでは、何時間待ったところで、2日か3日待 たない限りは、そこの定常値というのは出てこないわけです。そういう意味から、0.5 回/hというのは、それを保障しなければ、いかなる方法でやっても意味がないんだと思 います。0.5回/hという換気回数は、確か測ると、村上さんも前回おっしゃっていたよう に思ったので、それは保障されているという状況じゃないと、この話は進まないと思い ますが、いかがでしょうか。 ○田辺委員 夜から行って待機して、朝から8時間閉鎖して、2時〜3時にはかるというのは、い まおっしゃったみたいに、ベストな方法であると思います。現実的なことを考えなけれ ば良いと思います。  また、私が今まではかった経験から、午後2〜3時の測定時間を勘案すると、5時間 閉鎖で、ほぼ8時間と同等のものが出てまいりますので、それで測って完全とは言えな いですけど、そういう方向でタイムスケジュールを考える方が重要ではないかと思いま す。 ○池田委員  ですから、その場合は1割増すということはいかがでしょうかと。 ○安藤委員  この問題は、本当にちゃんとしたデータを出そうと思えば、やれ12時間だ、やれ48時 間だと、しかも換気率によってどうしたって変わるということになりますね。ですから これは1つの約束事を決めざるを得ないのかなという気がいたします。田辺先生のお話 の中にも、5時間の根拠、8時間の根拠というのがございます。そういうことをすると もう1つ、池田先生のお話からすると、5時間にプラス 1.1を掛けてという、これも若 干苦しい面があるのかなという気も。 つまり8時間ということを考えますと、とりあえずいろいろなデータが出ないという まだ全部のデータが出きってない、あるいは日本の状況ということも考えれば、安全側 に立つならば8時間でいっちゃってもいいのかなと。1つの約束事だと思うんですよ ね。  ですから、そういう意味では8時間で、とりあえずデータというものは出していただ きますよという考え方の方がいいのかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。 ○田辺委員  8時間というのが厳し目、安全側だというのはよく理解できます。8時間と決めたと きに、海外のものは測定時間を決めておりませんけれども、一日の中のどの時間帯では かるかということが重要ですので、8時間と決められる場合には、この5時間のタイム スケジュール案から、やはり2時間から3時間さかのぼって閉鎖するということを必ず やっていただかないと意味がなくなります。 ○安藤委員  つまり温度というのは非常に大きなファクターになってしまうということですね。一 日のうちの一番高い時間が最終的に測れる時間、それが本来は8時間後がそこに来るの が妥当であるということになるわけですね。  ただ、そうすると、一体いつから測り出すか、あるいは部屋をオープンにするか、こ ういう問題があると。 ○池田委員  測り始めるのが深夜2時、3時になるからですね。でも、それより早い分には構わな いわけですから、やはり一晩泊まって、翌日の午後2時か3時にはかるデータというの が本来だと考えれば、朝一番に来て、2時か3時までの十分な時間ではないけれど、そ れで測ったなら、それは一種の簡易測定ということで、簡易測定の場合に、1つの安全 率として1割増しぐらいを掛けておけばいいというようにする、というのはそんなに理 不尽なことではないと私は思います。 ○村上室長  事務局の原案をつくったときのポジションをご説明させていただきますと、先生のい まのご議論は十分理解して原案を作成したつもりでありますが、1つの考え方は、8時 間閉鎖にするか5時間閉鎖にするかの差よりも、温度変化による差のほうがむしろ大き く出るだろうというのが1点ありました。  それからもう1つは、実際の実施可能性というか、検査の実施のしやすさということ もある程度考慮せざるを得ないかなと思ったわけであります。  振り返って考えますと、今回、これはガイドラインでありますが、ガイドラインとし て、この試験法が公表されますと、もしぎりぎりのところで、その家を受け取るか受け 取らないかみたいな非常にシビアな判断をせざるを得ないような状況で、この試験法が 引き合いに出されるのはまず間違いないと思います。  そうすると、この試験法で、例えばガイドラインぎりぎりの値が出たといたしまして それにいろんなファクターを考えて1割増しにすると不合格になってしまう。不合格と いうか、ガイドラインに反したことになってしまうというような状況はなるだけ避けた いと、事務局としては思っております。1割増しというのが非常に確定的であるならば そうだと思いますが。  それともう1つは、温度の条件がいろいろ変わることがあります。だから、冬に測っ た場合と夏に測った場合で相当違う値が出てくることも当然考えられますが、1年のい つ測っても、このガイドラインに合わなければならないということが前提でありますの で、そういう意味では、冬測った数値が低かったから、それはそれでいいんだよという ことにはならないわけであります。  そういう意味で、温度条件が1年間で変化をするということであれば、推定の方法と して、たとえば温度 1.1のT乗というようなお話もありましたが、そういうような換算 の方法がありますよということは、このガイドラインに併記することはできるだろうと 思います。 ですから、事務局の希望といたしましては、できる限り試験条件というのは、基本的 には1つに決めておいていただいきたい。閉鎖時間については長ければ長いほど、長い 時間閉めておいても、ガイドラインにあっていれば、それはいいわけですね。安全側で の議論で、こういう非常に厳しい条件でも、ガイドラインに合っているんだから大丈夫 ですよというのは言えると思いますが、もしそれでガイドラインを超えたとして、それ が一体何なんだと言われたときに、その家屋がガイドラインに反しているのか、それと もガイドラインに合っているのかという判定ができなくなるというのは、我々としては ちょっと苦しいかなというのはあります。 ○池田委員  その場合の論理で、ガイドラインのほうを設定するときは、いわゆるUncertainty Fac torとして、10、100、 1,000と採っているのに、こっちのほうを決めるときは0.1がそん なに問題になるのか、私にはちょっと理解に苦しみます。 ガイドラインのほうを、たとえばUncertainty Factorを 100と採ったところを50に採 ったら基準値は倍になっちゃうわけですよね。 だから、量的なものが少しアンバランスなんじゃないかなという感じがするのと、私 がこんなことを考えたのは、事務局のほうから、確かに国際的には8時間になっている のに、日本は5時間とした、それで国際的にいいかという問題があるというご質問があ ったので、なるほどと思って私が一生懸命考え、私、それまで、5時間でも8時間でも 大した問題じゃないだろうと思っていたんですけど、よくよく考えたとき、そのときの エクスキューズと言うと何ですが、日本は5時間としましたが、ただし、簡易法をやっ た時はこういう手当てをしてますと言ったほうが、むしろISOとの整合性等が問題に なった時にはよいのではないかなと思ったということですので、別に私も、これにそん なにこだわっているわけではございません。 ○田辺委員  先ほど村上さんがおっしゃいましたが、実際にガイドラインができましたら、その実 現を図っていく必要があるわけです。実現可能性ということを本当はあまり議論すべき ではないのかもしれませんが、一晩閉鎖して、あるいは朝5時に行って閉鎖をして、8 時間後の2時、3時をとるのであれば、現実は無視するけれども、それはたぶん一番安 全といいますか、良い方法であると思います。  5時間案ですが、ECAの案では5時間で測っているんです。彼らの中にもこういう ふうに迷いはあるわけです。もちろん8時間以上閉鎖すれば、先ほど言ったようなこと になりますけれども、ISO、ECAの両方とも時間の議論はあるんですが、何時ごろ に測定してという時間の議論はない。日本でそういう研究データがあって初めてわかっ たことであります。ヨーロッパの案では夕方に測ろうと問題はないわけです。 ○林座長  いま池田先生おっしゃった、5にすることによって国際的整合性に問題があるかとい うようなことですけど、それはいかがですか。 ○田辺委員  整合性ということであれば、多分両方を立たせて8時間以内にするということかも知 れません。7ページをちょっと見ていただきますと、この中では8時間と書いておりま す。このISOの案をそのまま正確に読めば、最低8時間ですので、やはり8にしない と甘いと言われる可能性はあると思いますね。  ただし、時間の概念がここには入っていないです。今回の案では入っておりますから その点ではよく考えていると評価は受ける可能性はあります。 ○林座長  事務局としてはいかがですか。国際的な整合性。よく考えているかもしれないけれど も。 ○吉田補佐  ISO案の件に関しては、こちらでもいろいろ検討しているところなんですけれども 基本的に、いままで議論されていましたように、1つは、実際にこれを測定する際の現 実性の観点というものがございます。  あと、今ご説明がありましたように、5時間、8時間という問題よりも、むしろどの 時間帯で、温度的に見た場合に最も放出量が高いところで測定ができるかというところ に視点を置いて議論してきたという経緯がございます。  最終的に、たとえば国際基準が8時間で、日本は5時間だというふうに設定したとし ても、もしここで5時間の設定を仮にしたとして、そこでの実績等を見て、5時間でも データ的にきちんと評価できるということの蓄積が集積されてくれば、そこは逆に、5 時間が国際的な標準としての候補にもなり得ると、将来的にはそういう可能性も秘めて いるものだと理解しております。  ですから、いまここの現状で、基本的には8時間というのがベストなのかもしれませ んけれども、そういった技術的な面も考えて5時間以上、もしそうしても本当に正確な より厳しい値として、測定してもらう側が希望するということであれば、8時間でやっ ていただいて構わないと思うんですね。  ただ、あくまで標準的な方法として提案するにおいては、最低5時間は確保するとい う提案をしたいと思っております。 ○林座長  どうもありがとうございました。とにかく5時間でも、データがキチッと集まれば、 国際的な問題についても対応できるということで、とにかくデータが集まらなきゃいけ ない。データが集めるためには、5時間のほうが非常に集めやすいということになって しまうみたいなんですけれども、荒記先生、何か、いまの点で、国際的な精度補正みた いなことで何かありませんか。 ○荒記委員  特にありません。 ○林座長  池田先生、よろしいですか。 ○池田委員  まあ。 ○林座長  他に何か。 ○吉田補佐  先ほど田辺先生からご指摘がございました温度補正の件なんですけれども、資料の10 ページの2.10の「測定時の気温・湿度による濃度の補正」ということで、一応ホルムア ルデヒド濃度の測定時の変動を見込んだ上での濃度補正の式を提示してございます。参 考までに補足いたします。 ○林座長 これでよろしゅうございますか。さっき先生、季節的な変動というようなことを。 ○田辺委員 2.10の式なんですが、幾つかの木質建材を中心とする場合の式なので、本文の中に入 れるのがいいのか、参考にするのがいいのかは、少し扱いを検討していただいたほうが いいと思います。 たとえば放散源が他のものだった場合には、この式で必ずしも成り立たないというこ とが起き得ます。ECAのレポートの5ページに、これは、パーティクルボードからのホル ムアルデヒドの放散量が温度と湿度にどうやって影響を受けるか、という図なんですけ れども、これについて、先ほどの8時間閉鎖のところに一応コメントがあります。  この図に基づいて、8ページの頭に、もし木質系の建材等が使われている場合には、 1度上がると数パーセント、ホルムアルデヒド濃度が上昇するので、これに気をつける といいますか、注意しなさいという記述があります。8ページの上です。  ですから、放散源が違うときには必ずしも合いませんので、本文中でどういう扱いに されるかは少し検討していただければと思います。 ○池田委員  締め切り時間については、先ほど述べたようなことが私の意見だということだけでよ ろしいかと思います。  それともう1つお聞きしたいんですけど、先ほどちょっと安藤先生からもご指摘があ ったんですけど、キシレンの場合、3つの異性体がありますが、これは3つバラバラに それぞれはかった場合は、足して評価するということになるんでしょうか。それとも、 それぞれ別々に評価するということになるんでしょうか。 ○安藤委員  私が先ほど事務局に質問した答えからすると、足してと。具体的には、m-とp-はわか れませんから、m-、p-とo-、これが例えばそれぞれ 100、100あったらば200だという考 え方です。 ○池田委員 わかりました。 ○林座長 他にございませんでしょうか。このことについては、ご欠席の先生からは何かござい ますか。 ○事務局 (平野)  特にいただいておりません。 ○林座長 分析化学の先生のご意見はいただいたんですけど、疫学の櫻井先生、何かございませ んか。 ○櫻井委員 ありません。 ○林座長 石川先生、何か。 ○石川委員 ありません。 ○田辺委員 少し分析の方の件に関して、質問なんですが、まず6ページ、ホルムアルデヒドの測 定方法のところの 2.3の (4)で、ポンプに関してなんですけど、24時間採取の時に、ポ ンプ流量が 100から 1,000mlとなっておりますけれども、私の計算だと 144L 捕集する ことになりますが、このくらい引いて破過等の問題はないのかという質問が1つです。  それから8ページ、試験溶液の調整のところで、1管目と2管目の分析の溶液の作り 方がちょっと違うような形に書いてあるのではないかと思うんですが、分けて取るよう なことを想定されているのでしょうか。 2.5の(2) の居住住宅と新築住宅で、分析用の試験溶液のつくり方が違うように思う ので、この部分がわからないところです。 ○林座長 安藤先生、いかがですか。 ○安藤委員 もう1回見直してみなきゃいけないものがあります。ポンプについて、100ml/min で あると 144L。 1,000ml/minだと、たぶん 1,440Lになってしまう。これでは多分破過を 起こしてしまうと思います。 ですから、そこは最終的にまだ若干修正することがあるだろうというふうに思ってお ります。30分測定というものと24時間測定という、この2つを両方1つのスタイルに書 こうという面がありまして、まだちょっと備考が足りない部分がある。そこは多少修正 しようと思っております。  それから、その次のご質問も同じようなお話で、若干修正が必要かなというふうに思 っております。 ○田辺委員  24ページの加熱脱着の質量分析の方法で、24ページの3.2.2 の「試薬」の中の (5) 「標準溶液」のところで、二硫化炭素で溶くということがありますけれども、例えばこ の中では活性炭を使うことになっていますが、Tenax 等を使うと、二硫化炭素だとちょ っと問題といいますか、メタノールで溶かれている場合が多いと思います。あと、非常 に影響が大きいと思うのは、28ページ、29ページで、捕集管に関して、ここで書かれて いるのは活性炭系のものでありますが、ISOのほうの議論ではTenax TAが1つの基 準化として出ておりますので、高分子系の捕集剤も両方書かれているとよろしいのでは ないかというように思いました。  以上でございます。 ○安藤委員  今のご指摘も全くそのとおりで、捕集剤によっては二硫化炭素ではなくてメタノール に変える必要があります。それから、捕集剤については具体的なサジェッションとなる ことも書かなければいけないということで、幾つかの例を挙げておりますが、もう少し 付け加えた方がよいということですね。ここではまだ間に合っておりませんので申しわ けございません。 ○林座長  そうしますと、この資料、いったん外に出ますと、これはシックハウス問題の基礎的 な資料になるものですから、十分にご検討いただいて、先生、それから田辺先生も、で きれば池田先生もご参加いただいて、もう1回見ていただいたほうがよろしいですね。  その点、吉田さん、よろしくお願いします。 ○吉田補佐  一応趣旨はご了解いただいたということで、ただ、かなり修正点等ございますので、 そこはまた追って先生方と調整したいと思っております。 ○池田委員  ちょっと細かいことなんですが、10ページに、先ほど田辺先生もご指摘がありました 換算式があるんですけど、これはある意味で正式に、これでいこうということになった んでしょうかということと、それからちょっと教えていただきたいんですけど、この式 をよく見ますと、右辺のほうなんですけど、この山型というのは、ベキ乗という意味な んでしょうか。それとも何かの記号が化けたものでしょうか。 ○吉田補佐  これはベキ乗です。 ○池田委員 全部ベキ乗なんですか。 ○吉田補佐  25-tまでだと思います。 ○池田委員 これは後でチェックしていただければと思います。 ○吉田補佐 はい。 ○林座長 その他に何かございますか。もしなければ、大体ご意見出尽くしたと思いますので、 これから若干文面上の修正が必要ということがわかりましたけれども、一応測定の設定 に関する基本的な考え方としては適当と思われますが、いかがでしょうか。基本的には よろしゅうございますね。どうもありがとうございました。 では、室内濃度の測定方法の規定に関しては、基本的には、この別添に示された考え 方を本検討会の結論とすることにいたしたいと思います。  ただ、室内温度の指針値、測定方法、両方とも一応結論は出ましたけれども、その根 拠となる資料2については、細かな文面上の修正作業がまだ残っているということで、 今後の作業についてどのようにしたらいいかということを、事務局のほうで何かお考え ございますか。 ○吉田補佐  きょうのご討議の内容ですけれども、一応基本的に提案した内容について、基本的な コンセプトは理解いただいたものと承知しております。  ただ、出されたご意見等、多少修正等の作業が必要だと認識しております。従って、 事務局からは次のような提案で進めさせていただければと思います。  まず資料2ですけれども、今日いただいたご意見を参考にして、座長の林先生と事務 局のほうで必要な修正を行い、本日欠席されている委員2名を含む全委員に回覧して、 最終案の了承を得たいと思っております。もし全委員の了承が得られた場合には、その 最終案をもってパブリックコメントの手続きの方に移行したいと思います。  これから速やかに修正案をつくって、委員の皆さんの了承を得たいと思いますが、そ れを速やかに行ったとして、5月の初めごろに、できればパブリックコメントのお知ら せを出して、約1か月コメント受付期間という形で設定したいと思っています。  そして、コメント期間終了後、6月初めから中ごろにかけて、寄せられたコメントの 内容を整理、吟味して、また必要な場合には検討会委員の先生方にも相談の上、最終案 を作成したいと思っております。その上で、6月の最終週に第3回の検討会を開催いた しまして、寄せられたコメントの紹介とその対応、また、この資料2をさらに最終化し たもの、さらには今回の3物質の次に検討を開始する物質等、次の検討方針等について ご討議いただければと思っております。  差し支えなければ、いま説明しましたような作業で行わせていただければと思ってい るんですが、いかがでございましょうか。 ○林座長  ただいま事務局から、今後の作業の進め方について提案いただきましたけれども、何 かご質問、ご意見があればお願いいたします。 ○池田委員  直接ではないんですけど、私、資料をあと2つほど出しています。申し上げたかった ことは、シックハウスとか、健康住宅とか、シックハウス症候群とか、化学物質過敏症 とか、幾つかの言葉について混乱が見られるので、この検討会でできるかどうかわかり ませんが、そういう用語の定義をキチッとして公式見解というのを出せたらいいんじゃ ないかということが1つと、もう1点は、やはり特に化学物質過敏症の患者さんという のが世の中にたくさんおられて、その方々のことも考えると、家だけじゃなくて、やは り病院に行かれるにしても、いまのところ石川先生の病院ぐらいしか本格的にやってい るところがないということもあるので、どのような病院にするかというような話とか、 あるいはそこの病院での待合室や何かの空気の質が悪ければ、そういう方々にとっては 非常につらいことにもなると思いますので、その辺りについても、この検討会で検討す るのが適当かどうかわかりませんが、どこかで議論しようとしておられるということが あるんだったら、その辺り教えていただければと思って2枚ほど出しました。 ○村上室長  事務局の考えを述べさせていただきます。  関連用語の定義の必要性については、先生のおっしゃるとおりだろうと思いますし、 シックハウスという言葉自体が、建築物ないしは、それに付随するインテリアが原因と 考えられる各種の疾病を発生する家屋のことを言っているみたいですね。  ただ、これはどういうことなのかということの明確な定義というのはありませんので 本検討会の先生方のご協力も得ながら、これらについての、少なくとも我々の共通理解 というものを作りたいと思います。  ですから、今日いますぐに、というのは無理ですけど、次回ないしはその次の回まで には、事務局でここを整理してお示しできればと思います。  それからもう1つの、病院の空気質の基準でありますけれども、こういう問題につき ましても、本検討会でのご議論等が進んでいけば、それが波及する形で、いろいろな施 設ないしは病院等のエア・クオリティーのガイドラインができていくだろうと思いま す。  ですから、今日ここでは、病院についてはどうするということは申し上げられません けれども、少なくともこの検討会でのご議論というものが、先生のご心配の部分に対し ても働きかけが行われていくものだというように理解しています。 ○林座長  どうもありがとうございました。では、一応事務局のご提案どおりに、本日の討議に 基づく文章の修正作業などは事務局と私と、それから専門的な部分につきましては諸先 生方のご意見をいただいて作業を進める。作業が完了した段階で、改めて先生方にお送 りしてご意見をいただくということにいたしたいと思います。  次回の会議の中で、いま池田先生がご提案になった問題についても討議するか否かと いうことを事務局でじっくりと考えていただきたいと思います。  では、修正する必要はあるけれども、考え方としてはいいということでご了解いただ いたということで、事務局の方でよろしくお願いいたします。  今後の作業について、事務局の提案に従って進めていきたいと思いますけれども、文 章の修正については一応私のほうで、あるいは事務局で責任を持って預からせていただ き、でき上がった時点で先生方にお諮りをしたいということで、今後ともよろしくお願 いいたします。  では、次に「その他」というのがありますけれども、これは事務局からよろしくお願 いします。 ○村上室長  事務局からは「その他」の事項は特にございません。 本日は長時間にわたりまして大変積極的なご討論ありがとうございました。今後とも 作業を進めなくてはならないと思いますので、その節はぜひご指導のほどよろしくお願 いいたします。  最後になりましたけれども、私どもの企画課長の喜多村からごあいさつをさせていた だきます。 ○喜多村企画課長  企画課長です。遅れて参りまして申し訳ありませんでした。  きょうは3つの物質の基準、それからホルムアルデヒドを含む4つの物質についての 標準測定方法の検討ということで、速やかに結論を出していただきましてありがとうご ざいました。  私ども用意しておりますガイドラインというのは、ご案内のように、強制力がないと いうことになっているわけであります。しかし、先般来急速に世の中が動いておりまし て、これは先ほど自民党に行ってもらってきたものでありますが、いまお手元に配らせ ていただきました2枚紙の2枚目をご覧ください。ここに図解がございます。こういっ たシックハウス問題に対して、これは池田先生がおっしゃったように、なかなか原因が わかっておりませんし、定義も難しいわけでありますが、現実にこういう問題はある。 ちゃんとした総合的な対策をとろうではないかということであります。  ざっと御説明いたしますと、左の下から、原因を分析しまして、基準値を作って測定 方法を決めるということがあります。それをもとに、真ん中にありますように防止対策 これは政府全体、各省でやろうということであります。さらに、相談体制、被害者対策 汚染住宅の改修といったことが書かれております。  また、私どもも関係省と連絡会議をつくって議論をしておりまして、関係の建設省、 農水省、通産省におきましても、厚生省で基準値を作っていただいて、それを基にどん どん防止対策を強化して進めてまいりたいというようなことであります。  国会の先生方の中には、必要があれば、さらに将来に向けて強制的な規制措置という ことも考える必要があるかもしれないというご意見もありました。  1枚目に戻っていただきますと、つい数時間前、実は自民党の中にシックハウス対策 推進議員連盟で、これは今月の初めにできまして、関係省も呼ばれていろいろ議論をし たわけでありますが、この1枚目が先ほど緊急対策ということで決まりました。 その 中の2番目でありますが、「室内空気環境に関する基準値設定」ということで、厚生省 において、ホルムアルデヒドに続き、各種物質の基準値の設定を前倒しで行いなさいと いうことで、このように先生方には大変なご苦労をおかけしているわけであります。  また、これらの基準値が有効に活用されるよう、測定方法の基準を設定すること。こ れも今やっていただいたわけでありますが、さらに、こういったものを普及していくた めに、簡易な測定方法も合わせて策定し、利用普及に努めること。もちろん簡易な測定 の結果、甘くなってはだめなわけであります。そういったところを加味しながら、こう いった測定がどんどん進められて、新たなシックハウスが出ないような対策が進むとい う方向に向けてみんなでやろうではないかという機運が盛り上がっているわけでありま す。そういう意味で、この検討会、先生方の役割が出発点に近いということになるわけ でありますので、今後ともご指導等よろしくお願いを申し上げます。  本日はどうもありがとうございました。 ○吉田補佐  事務局のほうからは以上でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。では、本日の検討会はこれで終了させていただきま す。ご多忙のところご参加いただきましてありがとうございました。                                   −了− 問い合わせ先 厚生省生活衛生局企画課生活化学安全対策室  剣持(内線2423)、平野(内線2424) 代表03−3503−1711