00/04/26 第4回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 第4回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 1 日 時   平成12年4月26日(水)14時〜16時 2 場 所   厚生省別館 共用第10会議室   3 出席委員 (五十音順)         今村理一、大林美秋、小野沢昇、北沢清司、吉川武彦、白井俊子         末光 茂、遅塚昭彦、中野敏子、中村はる子、新堀裕二、室崎富恵         山梨昭三  吉川座長  定刻になりましたので、第4回の知的障害者高齢化対応検討会を開かせていただきま す。  きょうは事務局からかなり大量に資料が配られておりますので、こちらをご確認いた だき、あるいはご説明いただければと思います。  事務局  本日は、牛谷委員、丹下委員、橋本委員、前田委員の4名の方が欠席でございます。 それから、この4月に職場の異動等がございまして、牛谷委員につきましては、「れ がーと」の所長から地域のコーディネーターに職種が替わられております。  前田委員につきましては、立正大学からルーテル学院大学にお替わりになりました。  山梨委員につきましては、平塚市の健康福祉部障害福祉課から環境部環境事業セン ターにお替わりになりました。  次に資料確認でございますが、資料は大きく2分冊になっています。一つは、本日の 会議の次第で、その下に委員名簿、座席表がございまして、前回、第3回の議事録が入 っています。議事録につきましては、いつものようにお目通しいただきまして、修正等 意見がございましたら、事務局にファクスなりで訂正をお願いいたします。  最後に、次回の開催日程の表が入っておりますので、これも記入してからお帰りの際 に提出をお願いいたします。  もう1分冊の本日の検討会の参考資料として資料目次が入っています。  資料1は、知的障害者施設の設備及び運営に関する基準ということで、施設の最低基 準といっているものです。  資料2は、知的障害者更生施設における重度知的障害者の処遇について。  資料3は、重度知的障害者収容棟の施設及び運営について。  資料4は、知的障害者援護施設の施設整備について。  資料5は、私どもでこの4月に高齢者と高齢者棟の実際の施設の状況ということで調 査をいたしましたものの調査結果でございます。  資料6以降は、本日の会議の検討によっては、こちらのほうも関係するかと思いまし て、これまでお出ししている資料ですが、つけてございます。資料6から11までが、こ れまで出している資料でございます。 資料12は論点の整理メモでございます。これは、これまでの検討を踏まえて論点の整 理をしたものでございますが、きょうの検討の材料になると思いますので、よろしくお 願いいたします。  最後に、参考といたしまして論点メモ案を配布してございます。  資料につきましては、以上でございます。  それから、私どもでの方でも4月に人事異動がありまして、障害福祉専門官の定月が 山梨県のほうに替わりまして、後任の大塚専門官でございます。  大塚専門官  4月1日より定月専門官のあとを引き継いで知的障害の分野の担当をいたしておりま す。どうぞよろしくお願いします。  吉川座長  どうもありがとうございました。中での異動などもいろいろとありまして、それぞれ 委員の先生方の職場の異動も一緒にご説明をしていただきましたが、これから本題に入 りたいと思います。  前回、かなりしっかりと議論をしていただきました知的障害者の地域生活の支援とい うことに関して、皆さま方から大変多くのご意見をいただきました。それなりに最後の ほうでまとめさせていただきましたが、前回の議事録が出ておりますので、それぞれの 先生方のご発言、十分に聞き取れなかったところがあったり、あるいはそのときのご発 言の趣旨をどうしても手を入れたいということがあれば、それはそれで事務局にいって いただければ、きちっと修正をしたうえで外に出したと思いますので、よろしくお願い いたしたいと思います。  前回の検討でだいぶ知的障害者の地域生活支援については深まったような気がします ので、論点メモの中にあります第2と第3の問題に関して、本日は話を進めていきいた と思っています。  論点メモの第2に挙げておりますのは、まず第1に「知的障害者施設における高齢化 への対応について」ということでございます。これにつきましては、現場を抱えておら れる委員の先生方にはいろいろなご議論もあろうと思います。  第2は、実際にそれでは高齢者施設、そのほか知的障害者のための施設でなくても高 齢者施設はいろいろあるわけでございますが、こうした高齢者施設をどのように活用し ていったらいいのだろうか、その視点で議論をさせていただこうと思っております。  きょうはその二つについてお話しをいただきたいと思っています。  まず、「知的障害者施設における高齢化への対応について」ということで、皆さま方 からご自由にご発言をいただきたいと思います。  事務局  その前に、事務局で先般、高齢者棟の調査をいたしましたので、その結果についてご 説明させていただきたいと思います。  吉川座長  そうですね、それを少しご説明いただきたいと思います。  事務局  それでは、資料5の「高齢者棟(エリア)の状況について」ご説明いたします。  これは、4月上旬に全都道府県・指定都市に調査をお願いいたしまして、それから各 施設にまた個別に調査を送付してお願いするという、2段構えの調査方法で実施いたし ました。まず都道府県・指定都市に対して、高齢者棟の有無、あれば、その住所、連絡 先をお聞きしました。現在、知的障害者更生施設約1200カ所のうち、報告がありました 高齢者棟は、全国で50カ所でありました。 11ページの表は、県・市別の回答のあった施設数でございます。これでみますと、59 都道府県・政令市のうち、30カ県・市が未設置で、設置しているところが29カ県・市で あり、約半分の都道府県・市が高齢者棟を設置しておるという状況でございます。いち ばん多いところは岐阜県の6カ所がございますが、6カ所、4カ所、3カ所という散ら ばりでございます。  1ページに戻りまして、この50カ所につきまして、私どもは各施設に直接、ファクス で調査票を送りまして、必要事項を記入していただきました。 それから、ここでは集計の手法として一般棟、高齢者棟の差異が際立つような形で集 計するため、混合処遇というのでしょうか、施設全体として特に区分はしていないのだ けれども、高齢者の方が多く入所しているという施設もございましたので、そういった ものを集計から外してございます。そして、今回34施設について集計いたしました。 34施設について、(2) の設置の形態を見ますと、まず9カ所が、一般棟と高齢者棟を 併設しているタイプで、これは先回、小野沢委員からご報告がありました設置形態と同 じで、一般棟の隣に高齢者棟をつくるという形です。 24カ所は、全部高齢者のみをが入所している、高齢者専用棟といいますか、施設総体 が高齢者のみを対象という形で運営している施設です。 1カ所は、施設のエリアを区切って処遇をするという形でございました。  設置の時期別にみてまいりますと、先ほどの34カ所集計のうちで3カ所が昭和51年の 設立で、いちばん早い段階の設置でございます。それ以降、52年から55年の5年間、56 から60年の5年間という形で5年ごとに設置状況をみてまいりますと、特に平成3年か 7年のあいだの5年間には12カ所と、非常に多く設置されてございます。その次に56年 から60年という形で、年度によって設置の状況がかなり違うのだなということがござい ます。 (4) の「入所時の対象年齢」では、現在、入所しておる方の年齢階級別に40歳未満、 40歳以上、50歳以上という形でとりまして、40歳未満が9カ所、40歳以上のみが21カ所 で、圧倒的に多くございます。 3ページの年齢階級別の分布では、高齢者棟と一般棟と全国と区分して全体との比較 がみれるようにしてあります。全国分は、国がやっております社会福祉施設調査で、全 施設を調査しております。たとえば高齢者棟でみますと、60歳以上の者は約50%を占め ております。一方、全国では、60歳以上の方は約 7.7%と、非常に大きな差がみられま す。もともと高齢者を多く入れておるということでございます。 ここで注意しなければならないのは、高齢者棟に40歳未満の方が約7%おります。  40歳未満というのはどういう方なのかと各施設に電話でお聞きいたしました。回答で は、原則40歳以上を高齢者として入れているが、40歳未満の者は、高齢ということでは なくて、むしろ重度障害者あるいは病弱者、そういった方を40歳未満であっても入れて いますということです。年齢を聞きますと、19歳とか20歳とか非常に若い方もおりまし て、そういった方は病状からして高齢者と同じような行動能力なので、こちらに一緒に 入れております、ということでございました。 次に、入所期間別の人数でございます。入所期間につきましては、その施設に入って から、つまり一般棟、高齢者棟を通算した期間でどのぐらいの割合なのですか、という ことをお聞きしております。ここで数としては、20年以上が全国では20%ですが、高齢 者棟では27%と、若干長くなっておるという感じでございます。 4ページは健康状況ということです。この表は、40歳未満では、元気な方が20%、と きには風邪を引く程度が48%。 いちばん右の欄の全国という数字は、愛護協会が平成9年に全施設を対象に調査をし ておりまして、その愛護協会の調査の更生施設入所の部分の集計でございます。ここで は、たしかに年齢が上がることによって、いちばん下のほとんど病気がちで治療を受け ているというところが、40歳代では21.5%とちょっと下がるのですが、そこから徐々に 上がってきております。これはそれほど劇的な変化はございませんでしたが、年齢階級 別によって徐々に量が増えておるのかなという感じでございました。 再掲で車椅子使用者のところでは、40歳未満の方が特に多かったわけでございます。 これは、先ほど言いましたように、40歳未満の方が病弱者とか重度者が入っているとい うことがございましたので、車椅子が多いのかなと。 ただ50歳以降につきまして、ここのところは約1割近い方が車椅子を使っております という集計になっております。  寝たきりの人数は、これは、たとえば40歳未満で 1.1%というのは実数では1人の方 でございまして、非常に数が少ないのですが、こういう分布になっております。率とい うよりも、人数でいきますとせいぜい1人とか2人とかいうオーダーでございますが、 寝たきりの方もおりますということでございました。  5ページは通院状況でございます。これは、平成12年3月の1ヶ月分の通院状況につ いて、年齢階級別に通院回数の度数分布をみたものでございます。 度数ですと見にくいので、下の欄に1人当たりの通院回数の平均を出してみました。 もちろん度数分布ですから、たとえば5回から9回の回数については仮に7回で計算い たしまして、10回以上というのは10回で計算して平均を出しました。そういたしますと 40歳未満がいちばん高くて 2.8回。これは先ほどの理由と同じことだと思います。一方 70歳以上では1.95とあるのてすが、予想していたよりも、高齢になることによって通院 回数が多くなるということは、この表からははっきり読み取れませんでした。  6ページは居室の整備状況でございます。居室につきましては、各施設に個室の数、 2人部屋の数、3人部屋の室数を、高齢者棟と一般棟で分けてお聞きいたしました。  高齢者棟につきましては、個室、2人部屋で約8割を占めております。一方、一般棟 におきましては、個室、2人部屋の整備は約4割でございます。たしかにこういったと ころでは、部屋の整備については大きな差があるなと。高齢者棟では個室あるいは2人 部屋の志向が強いのかなとみてとれます。  7ページは設備についての配慮の状況です。高齢者棟、一般棟を比較するために、そ れぞれの部門ごとの手すりの状況、居室等の段差解消の状況とか、個々の事項ごとに 「あり・なし」をお聞きいたしました。  手すりにつきましては、高齢者棟では、廊下、浴室、トイレに8割の施設がつけてお ります。一方、一般棟では4割、約半分の施設である。このように設備のほうで違いま す。  廊下の幅につきましては、数が少ないのでA、B、C、Dの施設ごとに記載いたしま した。高齢者棟と一般棟の差は、いずれも高齢者棟のほうが大きくなっております。た だ、Gの施設だけがちょっと狭くなっております。あとの6/7については、いずれも 高齢者棟のほうがゆったりと幅をとってあるということでございます。  それ以外の設備については、入浴設備の例、トイレ設備の例等、それ以外にどんな配 慮をしていますか、ということで自由記載をいたしました。こういうことについて各施 設がそれぞれ工夫して配慮しておりますということです。  入浴設備では、入浴の場所にもナースコール、あるいはスロープをつけて入浴しやす くする、あるいは中間入浴装置というものを設けたり、特浴も設けていますということ がございます。  トイレについては、ナースコールを置いたり、あるいは身障者向けのトイレをつくる あるいはシャワートイレにした、センサーによる自動洗浄、車椅子用便器、こういった ものを用意しているということで、それぞれ工夫しております。  その他の設備の例でも、床暖房、スプリンクラー、玄関先スロープ、こういう回答が ございました。  8ページは直接処遇職員の配置状況ということで、配置職員の状況を職種ごとにお聞 きいたしまして、高齢者棟と全国の状況とを比較いたしました。  まず保健婦、看護婦でみますと、高齢者棟の配置状況は、常勤職員で29人、非常勤で 2人、合計31人配置されており、1施設当たり平均で1.29人。 一方、全国の施設の状況は、全国の全施設ですが、まず、看護婦は1.26人。ここでは 高齢者棟が若干多くなっております。 指導員については、常勤が 430人、非常勤9人、合計 439人で、1施設当たりでは 18.29人でございます。一方、全国の数は1施設当たり 22.28人で、約4人ほど高齢者 棟の方がむしろ低い状況でございます。 これは施設規模等の要件の影響がございますので、いちばん下の参考というところで 入所者50人当たりの処遇職員数に置き換えて比べてみたのですが、高齢者棟においては 直接処遇職員は高齢者棟全体で16.7人、全国では18.1人という状況でございます。 一方、看護婦のみで比較いたしますと、高齢者棟では1.08人、全国では0.96人という 形で、やや多いという感じでございました。 ただ、これは24カ所の集計でございますが、看護婦を配置していないところも1施設 ございました。 9ページは、施設において高齢者棟をどういう基準で一般棟とは変えて職員配置をし ておるのですか、あるいは高齢者棟における職員の配置の考え方はどういうものでしょ うかということで、フリーでお聞きしたものでございます。  これは事例でA、B、C、D施設とございますが、たとえばA施設では、最低基準で 配置基準職員19人必要なのですが、そこに指導員を7人加配している。さらに、口腔衛 生ということが大事なので、歯科衛生士を配置して口腔衛生に気をつかっているという ことでございました。 ある施設では、そこは大型法人というのでしょうか、知的障害施設が3カ所ございま して、それ以外に特養を5カ所経営していて、法人として一体的な人事管理を行うので それぞれの施設の特色に合った職員配置をしております。したがって、特養で介護訓練 を積んだ人がたとえば知的のほうにくるとかそういう形でやっておるので、実際に職員 18人中、介護福祉士の資格がある人が6人、ヘルパー2級資格者が2人、配置しており ます、ということでございました。  Cの施設におきましては、指導員という言葉が高齢者の入所している施設においては なじみにくいので、「援助員」という名前にしましたと。もちろん、指導員というのは 法律の名称なのですが、援助員という形で、むしろお世話中心という生活面重視の考え 方を打ち出しております。  また、援助員の採用にあたっては、医療面、介護面に応用のきく職員を採用してい る。ここのところを具体的に聞きますと、たとえば介護福祉士でございますとかそうい った方ですよ、ということでございました。  もう一つのD施設、ここはさらにはっきりしておりまして、指導員の採用に際して、 介護福祉士、ヘルパーの資格のある者を採用しております、ということをはっきりいっ ておりました。  10ページは、それと併せて前回、小野沢委員から高齢者棟との比較のときに資料をい ただいたのでございますが、一般棟と高齢者棟の比較ということで、入所者の処遇プロ グラムをいただきました。それと同じように、今回も3施設についてプログラムをいた だきまして、高齢者棟と一般棟の比較をいたしました。  ここでみますのは、まず援助方針。これは、上に定員が書いてございます。つまり、 独立棟という形で高齢者棟と一般棟と両方設置しているところでございますので、20人 と56人と定員が違っております。 日課の流れとしては、ほぼ集団の生活ということで同じような時間の流れになってい るのですが、その内容について、たとえば作業種でございますが、高齢者棟においては ゴルフボール拾いとか線香束ねとか非常に軽度の、しかも体力・機能の維持ということ を目的にしてやっております。一方、一般棟においては、園芸とか養鶏とか、もうちょ っと働きがいのあるというか、そういう形になっております。 B施設、これは青森県の施設でございましたが、援助方針としては、高齢者棟におい てはむしろ生きがいをもち、ゆとりのある生活ということをいっております。一方、一 般棟においては、身辺処理の自立とか、あるいは入所者がお互いに仲よく生活できるよ う、つまり施設の中での集団生活ができるようにという形で行っており、高齢者につい てはゆったりとした意識を打ち出しておるということでございました。  ここも、日課の流れもほぼ同じ時間の流れでございますが、活動内容において非常に 違う。  また留意点につきましても、施設でこういったことに留意してやっているということ で、本人の希望を非常に尊重した柔軟な日課という形で、非常に流動的な考えをしてお るようでございます。  高知県の施設についても同じでございまして、たしかにここでは、高齢者棟において は生きがいとか老化への対応ということをいっておりますが、具体的な話は聞いており ません。  日課の流れについても、時間はほぼ同じ流れでございます。  作業種が若干違っておりまして、これは一般棟と高齢者棟を比べても、両方とも園芸 陶芸、アルミ缶リサイクル、どちらがどうともいえませんが、留意点として健康管理、 ラジオ体操は欠かさずやっておりますという状況でございました。  調査の状況は以上でございます。  12ページからは、この調査のために用いました調査票でございます。これを集計した ものが以上の説明でございます。  吉川座長  どうもありがとうございました。課でお調べいただきました高齢者棟の現実の姿とい いますか、そういうものを少しお見せしたわけでございます。先ほど申しましたように ここからは本日の第1の論議していただくテーマ、高齢者の施設のついてのいろいろな ご意見をいただければと思います。今のについてご質問でももちろんけっこうでござい ます。  小野沢委員  今、説明していただいたところで、二、三、わからないところがありましたので、教 えていただければと思います。  1点目は、高齢者棟という単独で運営されている施設の規模はどの程度のものが多い のか。それから、単独で高齢者棟を運営している施設の場合、そこでどのような職員配 置がされているか、もしおわかりになりましたらお願いしたいと思います。  事務局  規模でみますと、単独設置のものは24施設ございますが、定員の数字だけ申しあげま すと、50、80、55、50、50、 100、 100、 100、 100、56、50、50という感じでござい ます。  吉川座長  50前後のところと 100というところと大きく二つに分かれるということでしょうか。  小野沢委員  調査票の高齢者棟の定員というところなのですか。  事務局  高齢者棟の定員です。つまり今のは、高齢者棟のみを設置しているというところで す。  小野沢委員  更生施設の中に高齢者棟という形で高齢者を支援する場を設置している施設は相当数 あると思うのですが、それと、単独で私どもの施設は高齢者の方しかお預かりしていま せんよ、という施設があるかと思うのです。更生施設の中に高齢者棟ということで建物 をつくって、そこでのプログラムをつくっている、私どもで行っているようなタイプで すね。  仁木障害福祉課長  今、定員を読み上げましたところは、うちは施設全体が高齢者専門にやっていますと いうところなのです。年齢は40歳以上というところが多いのですが、病弱の方は40歳未 満でも入れていますということでございます。小野沢委員のところの「はるな郷」のよ うな併設型も9カ所ぐらいしかなかったということでございます。 そして併設型のところは、全体が90人とか80人とかいう中の一部を高齢者棟として分 離して、20人から30人ぐらいの規模でやっている、そんな状況でございます。  小野沢委員  そうしますと、先ほどの職員配置の見方を、併設している施設と高齢者専門でやって いる施設と若干違う見方をしなければいけないのかなと思うのですが。  事務局  トータル34施設で申しあげますと、私どもで計算いたしまして、トータル職員の全数 では配置基準上は 517人、実際の配置職員数は 733人おりまして、実は高齢者棟と一般 棟併設をしているところをみようとしたのですが、そこは私どもは計算できませんでし た。といいますのは、定員区分が全部兼務になっておりまして、実際、最低基準をどの ようにあてはめたのか見当がつきませんで、トータルでやりました。  仁木障害福祉課長   517というのは、 4.3:1という直接処遇職員の職員配置基準に照らせば 517人にな ります。ところが、実際は職員は 733人います。その差は何かというと、重度加算がつ くことによって、重度者の方についてはより手厚い職員配置ということで 733人が最低 基準よりは多く配置されている、そのように理解しております。  小野沢委員  重度加算分の職員等はわかるのですが、それ以外に高齢者の支援をしている施設でど のくらいの独自での職員採用があるのかということを知りたかったものですから。  吉川座長  小野沢委員がおっしゃるのは、施設が工夫をして、あるいは施設が努力をして人を雇 っているケースがあるのではないだろうかということでしょうか、それとも、施設の中 で適当にうまく傾斜配置をしているのではないかということでしょうか。  小野沢委員  傾斜配置ということではなくて、法定数以外のところで、高齢者を支援しているとこ ろで努力して職員を配置しているところですが。  吉川座長  傾斜配置のことは、厚生省が調べられると、なかなかそれは外に出ないでしょうから (笑い)、それはちょっと難しいなと思うのですが。  小野沢委員  そういう意味ではないのです。 仁木障害福祉課長  特色ある配置については、資料の9ページが特別に配慮をした配置をしているという ことで記述があったところの例で、それ以外のところはそれほど特色が感じられない記 述になっております。看護婦を置いておりますというのは、最低基準でも1人は看護婦 を置かなければいけないことになっておりますので、看護婦が1人おりますというのは 当然のことで、高齢者棟だから特別に看護婦を置いているということでもないように理 解しております。高齢者棟だから特別に看護婦を2人以上置いておりますというのは、 2〜3の施設だけでした。  吉川座長  せっかくの資料でございますので、何かほかにご意見なりご質問なりいただきたいと 思いますが、いかがでしょうか。  大林委員  しばらく知的障害者の基準面積等が頭に入っていないのですが、この個室のところの 高齢者棟というのは、お一人が使われているおよその面積がおわかりになれば教えてい ただきたいのが1点目です。  2点目は、7ページの廊下幅というのは中廊下を指しているのか窓際のほうを指して いるのかという点を教えていただきたいと思います。  あとは、左側の設備のところで、高齢者棟の91.2%が入浴設備の配慮がされている。 その中も、大きくスロープタイプの一般浴といわれるものやら、機械浴、リフト浴も含 めて、だいぶいろいろ設備が整ってきているのだなという気がしたものですから、その 割合がわかれば教えていただければと思います。  事務局  廊下幅は、中廊下を除いて片側廊下部分で集計してございます。調査のときは中廊下 と両方とっておりますが、比較のときには片側廊下だけで集計しました。  吉川座長  個室の面積がどれぐらいなのか。  事務局  個室は、単に何室あるかだけをお聞きいたしまして、面積はとってございません。入 浴介助機器でございますが、これも「あり・なし」だけでとりましたので、内容的なこ とはわかりません。  大林委員  この10年間で備品についての補助が、こういったものも整備されたのかなと思ったも ので。ありがとうございました。 末光委員 4ページの健康状態で、ほとんど病気がちで治療を受けている人というのは、全国平 均 8.7に比べて30.5%と非常に高い。特に60歳以上になると、34%、31%、38%と、3 人に1人以上はそういう状態ということで、このあたりは今後、医療体制あるいは保健 的な問題はどうするのかという課題になってくると思います。先ほどの保健婦さん、あ るいは看護婦さんはほとんど一般病棟と変わりないということで、医師とか診療所の併 設とかそういうあたりについては、今回はアンケートには項目は挙がっていないですが 自由記入で何かございますでしょうか。  仁木障害福祉課長  自由記述の中でそういうことは格別なかったと思います。 末光委員 予想外に多いなというこの事実ですね。その前の「やや病弱でよく風邪などを引き、 医師にかかる」というのと、次の「ほとんど病気がちで治療を受けている」というのは 格段に病状からみると違うのではないかという感じがいたしますので、この率が高いと いうのは気になるなと思いまして。  中野委員  高齢者棟ということで、たとえば廊下の幅が広くなるということは、居住者にとって はどういう意味があるかと考えますと、前にも発言させていただいたかと思うのですが トイレが遠くなると思うのです。たとえば個室になることはいいことなのだけれども、 ユーティリティというのですか、共通ユーティリティから遠くなるということもあって 高齢者棟を寝たきりになる人を想定してつくられているのか、それともどういう暮らし をそこで想定してつくられたのか、畳なのかベッドなのかとか、その辺の特徴的な配慮 をしましたというような自由記述などがあれば、伺いたいと思うのですが。  事務局  ある施設を見せていただきましたときに、ここはできて20年ほどたつのですが、当初 は全部畳でつくりました。それを、ここ数年間かけてみんなフローリングに改装してい ます。そして全部ドアにいたしまして、1室改造するのに 300万円ほどかかります、と いうお話も聞いております。ただ、今、一部、畳の部屋も残っておりまして、これもい ずれフローリングにしたい。そのほうが行動面がスムーズにできるので、とかおっしゃ っていました。 そこは、廊下の幅は90とちょっと狭かったと思うのですが、フローリングというので すかベッドというのですか、そういう形での志向が強かったとお聞きいたしました。 末光委員 車椅子が増えているからではないのでしょうかね。  中野委員  車椅子、あとはベッドで移動させるとかそういうことを想定して最初から建てている ということは、高齢者棟というのはそういう施設と頭で考えているということですよ ね。つまり、高齢期をどう生きるかというところがちょっと気になるのですが、高齢者 棟というと病院パターンに非常に似てくるというところで、そこは40歳未満の方もいら っしゃるわけで、これから20年、30年たつと、たしかに構造的に職員として車椅子を移 動させやすいとかそういうのはあるのですが、暮らすほうからすると、はたしてそうい った機能的になっているのがほんとうに暮らしよさを生んでいるのか、ちょっと気にな っているので、どういう基準で新しく建て替えておられたのか、ちょっと気になりま す。 今村委員 この調査ではなくて、私も何回か調査をしているので、その調査の中身ですが、中高 齢者棟あるいは高齢者棟といっているのですが、設備をされた年次が、今、先生がおっ しゃられた平成の初めごろまではほとんど中高齢者棟だったのです。要するに、65歳と か70歳とかいうことを想定しないで、生活の場として建てています。したがって、廊下 の幅等もかなり狭かったろうと思うのです。私が見て回ったところはそうだったので す。ところが、最近になってからはかなり高齢者層を意識して、車椅子が往復できるよ うなあるいは先生がおっしゃった職員の動線を計算するような建物も出てきていると思 うのです。ただ、人数の平均値をみると20人とか30人ですので、動線を考えるほどの建 物でもないのかなという気はしているのです。 たまたま私の施設は動線を考えているものですから、その場合、個室ですと、50人で も職員が現状の配置では難しいみたいなところがあるので、そこら辺がこれから、この 場でも話し合うことになるのかなという気はしています。 だから、このデータですと、建物ができた年次と職員の数と、そういうところをもう ちょっと細かく分析をしてみないと、たぶん答えが出てこないのではないかという気が したのです。それと先ほどの個室の畳の問題もそうです。私がいくつか見た施設は、ほ とんどが畳でつくっていて、あとで高齢者が出てきたので畳を撤去してベッドを置いた という施設が多いのです。特に昭和の終わりごろの施設は。最近、ようやく特養などに ならって、畳ではまずいのだという形の施設が出てきているようですが、歴史的にそこ ら辺はまだまだ不十分なのかなと。 だから、高齢者棟はこうあるべきだということをむしろここで定義をしたほうがいい のかなと、聞いていてそういう気がしたのです。  小野沢委員  私どもで高齢者棟をつくって23年ほどたつのですが、つくった当時は年齢的には利用 者の方は80歳を超えた方もいらっしゃったのですが、寝たきりの状態であるとか車椅子 を使う方とかはいなかったのです。当然、そういう方たちのゆとりある生活の場を何と かしようということでつくりましたので、建物の中で将来的には車椅子を使うことも想 定はしましたが、その建物をつくる段階では、ベッドの部屋にするとか、車椅子の方が 利用するという考えはなかったですね。 それは、自分たちのかかわりのあった高齢の方たちが、寝たきりであるとか、今いわ れているいろいろな身体介護とか、特別その点について配慮しなければいけないという ことはなかった。それよりも、もっと生活のスペースをなんとかしてあげよう、そちら の認識のほうが強かったのですが、できて20数年たった今になってみると、私どもでも 車椅子あるいはストレッチャー等を利用して移動しなければいけない方が現実の問題と して出てきていますので、それだけ知的障害者の方たちの変化もあったのでしょうし、 対応の仕方、建物、人的な配置も含めて検討していかなければいけないのかなと考えて おります。 ですから、私どもで高齢者棟がつくられた時点と今を比較してみると、そこで生活し ている人は明らかに大きな差があります。ですから、当然、建物のいろいろな要件、設 備的な面に関しても、私どもはなんとかしなければいけないという気持ちはもっている のですが、ほんとうに高齢知的障害者の方のケアをきちんとしようと考えた場合には、 建物の構造、設備の面を含めて検討していかないといけないというのが、今までケアし てきての正直な気持ちです。  大林委員  もし今後、アンケート等があれば、先生のおっしゃるようなところとして、アメニテ ィの部分を高くするか、安全管理面を高くするか、そこの分岐点をどこにするかによっ て、施設の方針、理念というのが非常に変わってくる。この10年間、知的障害の直接的 に整備する部分についての理念があまりみえてこないものですから、なんともコメント をしがたいのですが、現在の指定介護老人施設の設置については、個室を設ける場合に は、食堂、教養・娯楽、リハビリ、そういったものに直接面していなくてはいけないと いうことで、個室が廊下に面しているということはないのです。逆にいうとプライバ シーが、食堂なり教養・娯楽室からドアを開けると中が見えてしまう可能性は出てしま うのですが、そういう設置基準の中でも見直されてきているのが、老人福祉の中には出 てきております。 そんなことと、先ほどの 4.3:1のところに重度加算というのは、これは10年前と変 わらないのかなと思ったのですが、おそらく実態とすると、先ほどの資料ですと 2.8か 2.9:1ぐらい、非常勤換算がどのようにされているかわからなかったのですが、そのく らいにいかれているということですと、どのような施設の努力があってそうなっている のかというのも、そのことが実態とずれていて、それぞれの施設の規模とか、ほんとう に努力によってしかできないことなのか、制度として運用すればできるのかというとこ ろも、今後、勉強させていただければと思います。  吉川座長  今回の調査ではその辺のところはたしかに出てこなかったのだろうと思いますが、今 お話しのようなそうした新しい視点で資料などができてくれば、これからの高齢棟とい いますか、高齢知的障害者の施設処遇の問題点はもう少し出てくるかもしれません。  ただ、今までお話を伺っていますと、従来から更生施設等でケアをされてきて、その中 のメンバーがだんだん高齢化していくという段階だと、施設はそれに応じて当然変わっ ていかなければいけない問題がありますし、新たにつくるというときには、新たなニー ズの中で高齢棟その他をつくっていかなくてはいけないというように、かなり違った意 味があるのだろうと思うのです。  ですから、施設の中で高齢化を迎える知的障害者をどのように処遇していくのかとい うと、またそれはそれなりの生活そのものがしみつきながら、そして年をとっていくの であって、その中でどのように割りふりをしていかなければいけないのかということが 出てくるだろうし、新たに入ってくれば、これは先ほど大林先生の言われる安全モデル でしょうか、医療モデルに近いパターンでつくらざるを得ないものも出てくるのだと思 うので、その辺がこれからの施設問題として考えていかなくてはいけないところかなと いう感想をもちました。 ほかに何か……。  北沢委員  まだ細かく見ていないので、いちがいに言ってしまっていいのかどうかという点はあ るのですが、一応高齢者棟というふうに県も認識し、施設の側も認識している施設の調 査の数字の中で、4ページの40歳未満の車椅子使用者17.2%という数字が、ぼくからす ると非常に目立っている部分です。 前回お話ししましたように、早期老化問題等、中高齢者棟等が動き始めた時期と、平 成に入ってから「高齢者棟ですよ」というふうにおっしゃっているところの入所形態が だいぶ違っているのだろうなと。結果的に障害の総合化も含めて、あるいは混合利用等 の部分も含めて、肢体不自由児養護学校の卒業生の中で知的障害をおもちの方たちがか なり入ってきている部分、しかし、従来までの更生施設であると、それには施設面で対 応ができない。そういう部分で高齢者棟なりを利用して入ってきている実態があるのか なという感じが一つある。 もう一つ、同じ表での健康状況の部分で、先ほど末光先生からお話があったのですが 「やや病弱でよく風邪などを引き、医師にかかる」という部分と「ほとんど病気がちで 治療を受けている」というこの「ほとんど病気がちで治療を受けている」という部分の 中に、生活慣習病みたいな、簡単にいうと糖尿病とかをおもちの方は、たぶんこのラン クに全部入ってくる可能性は高いのだろうなと。そういう意味で「ほとんど病気がちで 治療を受けている」という中身は少し整理をしていかないと、数字だけがひとり歩きす るとちょっとこわいなという感じはしているのです。 もう1点、このぐらいの健康状況の区分は、現在の一般的な特別養護老人ホームに比 してかなりきつい数字なのか、いや、ごくあたりまえの数字なんですよ、ということな のかというのを、われわれは意識しておかなければいけないのではないか。要は、知的 障害の領域でかなり特化して特別に考えていかなければならない課題と、一般的な高齢 者対策の中で考えてやいかなければならない部分とは区分して論議をしないと、特化し ていく部分が非常にいびつな形になっていく可能性があるので、数字そのものの中でそ こら辺は少し整理をしていく必要があるのではないかという感じがしました。  吉川座長  今、特に北沢先生がおっしゃいました最後のほうの問題は、次のテーマともかなり関 係しますが、大変重要なご指摘ではないかと思うのです。知的障害者関連の施設の中に おける高齢化の施設をどのようにするかというときに、そこにおけるさまざまな医療的 なケアの必要性などを考えるときには、一般老人、あるいは一般老人施設におけるケア そうした身体的な面におけるケアの内容といいましょうか、そういうものとの相互の比 較がないとものがいえないという気がいたしますので、北沢先生のご指摘は大変重要だ とお聞きしました。 ほかにどなたか。 今村委員 先ほど中野先生のご指摘などもあったのですが、このデータだけで現在の高齢者棟の 像が浮き彫りになってきて、現在の高齢者棟をつくっていってそのままこれからの高齢 者の加齢の問題に対応できるかという限界みたいなところがはっきり出てきているので ぼくは興味深く思ったのです。 たとえば、生活を中心にした高齢者棟というのは小野沢先生も中野先生もおっしゃっ たけれど、そういう形で進んできているわけです。ところが、生活を中心にしている規 模から、高齢者が非常に多くなってきて、障害をもつ高齢者が多くなってきて、生活棟 ではなくて、ある程度療養型の施設を目指さなければならなくなっている部分がずいぶ ん出てきているのだろうと思うのです。そういうところのジレンマというか、これから の高齢者棟の方向はこのデータでかなりはっきり出てきているので、私は興味深く思い ました。 ただ、何人かの委員がご指摘になりましたが、これはもっと細かく個人のプロフィー ルをみつけていかなければいけない調査なので、もう一回、それぞれの個人に対応して 分析をするというのは、1年がかりくらいでやらなければできないのかなと。現状では 少なくとも高齢者棟の状況について、高齢者棟が今のままでいいのか悪いのかというこ とについてのある程度の答えは出ているような、私はそう思ってみていました。  吉川座長  それなりにかなり重要な資料だと考えます。たしかにお話のように、もう少し細かい ところまで知りたいという気はしますが、これはやむを得なかったのだろうと思いま す。また調査そのものを深めて考えていきたい。 末光委員 4ページの健康状態のことに関連して、私は、重症心身障害児施設の側から知的障害 施設の保健あるいは健康、病気のことをみますと、変わってきているのですね。  10年くらい前は、われわれ重症心身障害児施設の対象児でも、成長とか訓練によって 知的障害施設へ移行していくことはかなりあったのですが、現在は逆に、知的障害施設 からわれわれ重症心身障害児施設への入所がかなりある、それから今も待機しておられ るということで、そのほとんどが車椅子で、それから先ほど出ました生活習慣病もあり ますが、むしろ慢性の呼吸困難とか嚥下障害等で、常時、看護婦なりがかなりインテン シブなケアをしなければいけないという形の人が増えているのです。 それは、かなり高齢化した人もおられますし、40歳未満の若い方も若干おられるとい うことで、先ほどの「ほとんど病気がちで治療を受けている」という内容はかなり幅が あると思うのです。慢性の生活習慣病のような形で常時お薬を服用しているぐらいの人 から、本来ならば重症児・者施設なり、医療体制のあるところでしてあげなければいけ ないという形の人まで増えている。そして、後者はかなり増えてきているのではないか という感じがいたします。 そういう意味で、先ほどの話に返るわけですが、高齢者棟におられる方がたの保健あ るいは疾病に関する現状把握をもう少ししていただくことが、今後いるのかなと。それ に対して内部対応をどうするのかということがあると思います。 と同時にもう一つは、バックアップの医療体制がどうなっているのか、どうあるべき か、あるいは今回も障害福祉課長さんに大変ご努力をいただいて、診療報酬の中で障害 者と一般病棟というのをスタートしていただいたわけですが、これがこういう方がたの 受け皿として今後どのように地域の中で役割を果たしていただけるのかどうか、見守ら なければいけないし、場合によってはそれをいろいろな角度で安定的にやっていただく 必要があるのではないかという感じがいたします。 そういう意味で現状把握と現状での内部体制の問題と、バックアップあるいは連携す る医療機関との関係、そのあたりが大事ではないかと、この数字からもうかがい知れる のではないかという気がいたしました。  北沢委員  知的障害の問題を考えていくときに、医療的な部分も介護の部分も、あるいは訓練の 部分も、社会に出していく部分も、さまざまな機能を一つの施設の中でやりきろうとい う志向が非常に強かったと思うのです。そういう中で、たとえば医療的な対応が必要な 人の場合に、重症心身障害児施設なり、あるいは肢体不自由児施設なりが、簡単にいえ ば障害者療護というような施設の体系の中で、そういった方たちの受け入れがございま すよ、というスタンスというかそういう形がある程度生まれてくると、少し違った構造 ができるのではないだろうか。  知的障害の関係で議論をしていますと、その中にすべての機能を盛り込もうという志 向が非常に強くなる。そうではなくて、さまざまな部分を上手に利用していくという論 議も実は重要なのではなかろうかという感じがしますので、末光先生は重心のほうがお 詳しいので、実際には重心の施設の全体像がどうなっているかというのは自分もよくわ かっていないものですから、ちょっとお伺いしたいのです。 末光委員 障害児のたとえば内科的な、あるいは小児科的な疾病に対しては、かなり重症心身障 害児施設がやってきたわけで、今後もその役割はしっかりしなければいけないのですが ほんとうに障害児医療は肢体不自由児施設あるいは重症心身障害児施設だけの専売特許 かというと、これは、われわれはその中におりながら、問題だろうという気がするので す。やはり一般病院の中でやっていただく、あるいは地域の診療所の先生にやっていた だけることこそ、より必要であって、そこでやれない部分を肢体不自由児なり重症心身 障害児医療がやらなければいけないのではないかという気がするわけです。  そういう意味で、先ほど申しあげた、今回4月からの障害者棟、一般病棟というもの は大きいのではないかという期待と、一方、われわれ重症児施設の内部の関係者には、 しっかりせんとだめですよと、そちらがやられて、われわれの施設の役割がなくなって いくというか、それは長い目でみるといいことなのかもしれないけれども、そこらは気 をつけなければ、専門性という点で改めて問われるのではないかということも、内部で は話をしているところなのです。  障害者と一般病棟ということでご説明させていただきますと、ご承知のように国では 入院医療については、長期の人と急性の短期の人と分けようということで、知的障害を 含めて障害をもっている方がたは、一度入院するとおのずと長期になってしまうわけで す。  そうしますと、1カ月、2カ月を超すとなると、一般病院では、もう退院して くださいといわれ、それでは困る。また、実際に病院を運営する側からすると、そうい う方にベッドを占拠されても困るし、細かな話では、経営上からすると長期入院される と運営上、いろいろな収入が落ちる。そういう意味でやや敬遠される部分があったわけ ですが、それではほんとうに障害をもっている方がたの地域生活なりが困るのではない かということで、一般病院の中で障害児と一般病棟という形で、日数縛りのない形でや れるということを今回、スタートさせていただいたわけです。それが今後、このあたり の対応として大きな一つの展開期になるのではないかという気がするのです。  吉川座長  医療との関係もかなり情報もいただいたし、またお考えも承ることができたと思いま す。ほかに何かございますでしょうか……。  お話がだんだんきょうの第2点、すなわち全体の第3点に移りつつあるような気がい たします。そこで、もしよろしければ第3点に少し話題を移しまして、そして高齢者棟 を含む知的障害者の高齢化問題を考えるときに施設ケアをどうするかというところに戻 っていただくのもけっこうだと思いますが、前回の話の延長で考えますと、地域の中で どう支援していくのかということが話し合われたわけでございまして、その支援をして いくためにも、今度は実際に地域の中にある老人施設をどのような形で利用していった らいいのか、あるいはそことどのような連携をとりながら進んでいけばいいのだろうか ということを少し議論したいと思いますが、いかがでございましょうか。お戻りいただ くのはいっこうにかまいません。いずれにしても関連が深い問題でございますので、ご 自由にご発言をいただければと思います。  これに関しまして、何か資料から説明していただけますか。たとえば資料6は老人関 係福祉施設の一覧と書いてございますが、たとえばどのような制度等があって、これが 可能性としてどのように活用できるのだろうかということで、もし事務局からあれば。  事務局  資料6は第1回の資料として付したもので、ここでは在宅福祉対策ということで、要 援護老人という区分をしております。ホームヘルプサービス事業、短期入所生活介護事 業、日帰り介護(デイサービス)と分けてありまして、それぞれの事業枠があります。  ここのところは老人保健福祉局が所管している事業で、一つは、要援護老人対策、次 のページが、社会活動対策、いわゆる生きがい事業ということで、老人クラブでござい ますとか健康づくり事業といったものをやっておる。  次のページが施設対策ということで、これまで何回か、軽費老人ホーム、養護老人 ホーム等の資料を出しておりますが、その関係の部分はこういうところから採ってござ います。  吉川座長  ここで、大林先生から何かヒントをいただけると大変ありがたいのですが。  大林委員  専門家の方の前で生意気なことを言ってはなんですが、根拠法の老人福祉法の中から 在宅、生きがいも含めてこういった整理をされているかと思うのですが、現状の介護保 険制度での居宅サービスと施設サービスと分けた形のほうが、今後、考えるうえでは早 いのではないかと。その資料はぜひいただいて、今後の一般に生きがい対策として税で 行われるサービスと、保険で行われるサービスの整理をされて、どのように障害関係と がうまくできるのかという整理をするのも、一つの方法かなという気がいたします。  吉川座長  では、そうした資料も整理をさせていただきたいと思います。ただ、障害者の問題が どのように動くかわからないところがありますね。ですから、既存のもので考えたとき に、きょう、ここで改めてお出ししました資料の中で考えていただくことが、議論とし て深まるのかなと思っています。 末光委員 大林先生のお話に関連すると思うのですが、その前に、前回、特別養護老人ホーム等 でわれわれ障害者関係者が思っている以上に大勢、知的障害の方がたを受けとめていた だいているということで、若干びっくりしたというか、われわれのほうがそういう状況 について、抱え込むのではなくて、もっと正しい認識をしなければいけないのではない かということを申しあげたいと思います。  その延長線で、先ほどの大林先生との関連になるのですが、前回は入所施設と入所 サービスということであったわけです。知的障害の方がたが、在宅支援ということで、 たとえばデイケア、デイサービスをどれぐらい受けておられるのかとか、あるいは短期 入所、ショートステイを特養とかで利用しておられるのかどうか、そのあたりについて 何かお教えいただければ、今後の方向性というか、利用する人の理解、受け入れ側の取 り組みということも分かってくるのではないかという思いがいたしました。  大林委員  いたって個別なケースというローカルな話になるので、これは全国レベルのものにな るかどうかわりませんので、個々のケースはきょうは避けたいと思いますが、現行、措 置制度としてまだ知的障害者の更生施設が残っておる。そうなってくると、介護保険施 設サービスとの関係ということになってくれば、どこまでが使えるか・使えないかとい うところぐらいの整理は今でもできるかと思います。  たとえば、これからグループホーム、福祉ホーム、福祉的就労ということも緩和され て住宅対策として今後も残るといった場合に、一般の補助金が入っていながらも、介護 認定を受けたならば、いわゆる居宅サービスといわれるものが受けられるのかどうかと いうことになってくる。たとえばそこで受けられるという判断がされれば、グループ ホームから地域のデイサービス、もしくはデイケアサービスにいくことも可能ですし、 グループーホームとか在宅で知的障害者の方が地域で生活されていて、複数経営されて いる施設ですと、そこにホームヘルパーさんの訪問看護、介護というような事業所を指 定事業所として受けることによって、さらに手厚いサービスが複数投入できる、または 地域でのグループホーム、就労後も老後はそこですごせるというヒントにもなろうかと 思います。  極端に在宅ということだけでなくても、先ほどおっしゃられるような軽費老人ホーム のAという形で、食事その他一般生活の支援はされているけれども、そこで介護が必要 になった方というのは、現行の介護保険法では、ケアハウスもしくは軽費老人ホームの A、Bという中に在宅サービスを投入することができるわけですから、そこをもう少し 拡大解釈すれば、そこに知的な障害のある方がご利用されているときにも、在宅からの サービスをもってくることができる。  ということになると、高齢化問題の前に中高年といわれる中の部分が、熟年問題とか そういう形で現行のものでも対応できるのではないか。先ほどおっしゃられた医療もそ うなのですが、他の機能と連携をとりながら検討していって、一つではないという方向 性で検討していくのも、きょうの3番目の議題としては大事な点かと思っております。  それ以上、具体的なことになりますと、まだ整理されていない部分はたくさんありま すので、私のような者ではわかりません。  ただ、現行の養護老人ホームにつきましては、介護サービスの中では保険料は支払う けれどもサービスは受けられないというダブル給付の問題があるわけです。ということ からすると、認定を受けた養護老人ホームの利用者については費用徴収はどのような扱 いになっているかという点、これは移行期間ですので減額されているという点について は、措置施設であります知的障害もそうですし身障関係もそうですが、そこのところの 費用徴収も、なんらかの認定を受けた結果、移行期間だけでも1年間とかという特例と して減額という措置がされてもいいのではないかという考え方もできますので、現行の 整理もぜひやっていただければと思います。  吉川座長  二つの制度といいますか、今はその辺のところが重ね合ってきたわけで、その点では それぞれの制度の中で考えてきた者にとっては、隣の施設とかよくみえなかったりした ものでございますので、今のようなお話を伺うと、これから私たちもどう考えていった らいいのかというところで少し迷いそうですが、その辺のところでいかがでございまし ょうか。 今村委員  老人施設とも関係してくるのですが、知的障害者の高齢に伴うこれからの施設の選択 みたいなところになると思うのです。先ほどの議論でも出てきたのですが、年をとるに したがって、どうしても長期的障害をもつようになってきますので、ある年齢、ある障 害をもつようになったら、療養型施設に移行せざるを得ない部分が出てくるのだろう。  片一方でなるべく生活型の施設ということでいかなくてはいけないだろうと思うので すが、その場合に生活型の施設というのは、現行の特養などでもそうですが、通過型施 設になってきて、在宅ということを中心にこれから考えていかなくてはいけない。  在宅ということを中心にして生活型の施設も併せて考えていくと、生活できる人につ いては、たとえばケアハウスのようなものをどうやってうまく利用していくかとか、特 養の部分にどうやって受け入れていくかとか、そういうことになってくる。生活できる 人たちが、たとえばケアハウスに入って5年、10年たつと、機能の低下があるだろう。 機能の低下があったときに、その人たちがどういう差別を受けるかという問題になって くる。 たまたま私は埼玉県の施設と今、関係していたり、千葉県の施設とも関係しているの ですが、複合型の施設が最近は増えてきているのです。多機能といいますか、従来型の ように特別養護老人ホームだけの施設というのではなくて、デイサービスもあるしシ ョートステイもあるし、ケアハウスももっているし、在宅に対する支援能力ももってい る。そういう中身でこれから解決していくのでしょうけれども、現行の中でデイサービ スを考えていくと、現行のデイサービスや老人のデイサービスは知的障害者を受け入れ てくれないだろうと思うのです。 そうすると、デイサービスの形式はA、B、C、D、Eとか型がありますが、その中 の選択肢として痴呆老人を受け入れられるような形のものが、たとえばデイサービスの 中に知的障害の高齢者も受け入れますよ、というような選択を設けていく、これは一つ の方向ですが、そういう方向を見出していくことができるならば、かなり知的障害者の 人たちも生活型、療養型という枠にうまく対応していけるのではないかと。要するに受 け入れ型の問題で、高齢者サービスの中にも知的障害者、あるいは知的障害者の中にも 高齢者のノウハウを入れていくというような、もう一回原点に立ったところまで考えて いく必要があるのかなという気がしているのです。  というのは、障害福祉課で用意されたデータでもみられるように、従来型の10年、20 年前からのいい点も悪い点もずっと引きずったままで施設はきていますね。この辺で、 先ほど中野先生も指摘されたように、もう一回、たとえば60歳、65歳になった高齢者、 知的障害者を含めて、いったいどのような施設基準があったらいいのか、その施設基準 に中身によってどのような形の対応をするのか、リハビリテーションはどうなのかとい うことも見直してみる必要があるのではないか。そうすれば、先ほどのデイサービスの 中でも受け入れ体制ができてくる。それは早急にやらないと、知的障害者はどこにいっ ていいかわからなくなってしまうと思います。 介護保険が実施されるようになった場合に、ほとんどが長いあいだずうっと日常生活 を送っていましたから、たぶん介護度1とか2にはならないと思うのです。せいぜい介 護度1ぐらいだと思うのです。そうすると施設に入れません。だから、現在の施設に残 ってデイサービスを受けるとか、あるいはお父さん、お母さんと一緒にケアハウスに入 って、そこでデイサービスを受けるとか、あるいは現状のデイサービスではないですが 養型のデイサービスというと変な言い方ですが、そのようなことを考えていく必要があ るのかなと、雑ですが、そのようなことを考えております。  吉川座長  かなりヒントが得られたと思うのですが。  山梨委員  知的障害者、身体障害者、あるいは高齢者のデイサービスにつきまして一つの例を挙 げますと、知的障害者は知的の施設でデイサービスを受け、身体障害の場合には身体障 害者の施設でデイサービスを受けている。現在はそれぞれの障害の内容によって受けて いるのです。 今お話しのように、それを相互利用というか相互に使えるような施設基 準を設定していただいてやっていかないと、これからは施設がどんどん増えるとはいい ましても、地域によっては身障の施設はあるけれども知的の施設は少ないとか、そうい うバランスの問題で議論していただかなければいけないのではないか。  要するに、身体障害者の人はある程度地域にあるから優遇を受けるけれども、知的障 害の施設がないと、どうしても待機という状態で残ってしまう。今の施設基準等の内容 を緩和していただいて、身体、知的、あるいは一般の高齢者がお互いに使えるような施 設基準、あるいは施設の相互乗り入れみたいなことができるといいのかなと思います。  吉川座長  施設といっても、入所施設の問題だけではなくて、今は地域の中で生活していくとき にどういうケアが可能なのか、それも、障害別等で縦軸で分けるのではなくて、横軸で どのようにやるのか。だけど横軸で分けるというのは、考え方としてはたしかにそのと おりなのですが、ではどういうものだったら横軸の中でできるのかということを提示し ていかないといけないのだろうと思うのです。私たちが今ここで議論しているのは、知 的障害で高齢になった方がたが地域の中で生きるときに、いったいどういう問題を抱え やすくて、それはどのような訓練ないしはケアを受ければ地域の中で生活可能なのか、 ということをどこかで考えながらやっていかなくてはいけない。そこがないものですか ら、今までのような縦軸の障害別制度の中で考えてしまうのだろうと思うのです。どの ように考えていったら相互利用というのは可能なのでしょうか。  大林委員  おそらく各都道府県において、身体障害者関係だけのデイサービスとか知的障害のデ イサービスは数はものすごく限られている。そのかわり、高齢者問題としてゴールドプ ランで出てきたデイサービスは中学校区に一つということで、非常に身近な単位であ る。市町村単位というのは自治単位でありますので、そういう意味ではそこのところの 理解を求めるというのはかなり早い道である。  その中で、現在でも第2号被保険者の方たちの中での介護認定が受けられる理由は特 定疾病12種となっていますので、それ以外は無理という制約はあるものの、65歳以上に なればそういった原因については一切関係ないということですし、障害の度合いを審査 するのであって、介護のどれだけの必要量があるかというところでの審査ですから、そ こが重なってくれば利用することの権利は獲得できるということではもう一歩進んでい る制度ですので、利用しない手はないと思っています。 遅塚委員 今まで、高齢者と障害者の制度の乗合は、厚生省さんもいろいろ弾力化していただい てやっているのですが、たぶん受け入れの高齢者側で障害者というのは身体障害者のこ とをもっぱら指していて、知的障害者の方については利用ができてこなかった。われわ れ都道府県の人間からみても、あまりされてこなかった。たとえばデイサービスのお話 がずっと出ていますが、制度的にも当然に今までずっと身体障害者とは乗り入れてよろ しいということで措置の中できていたのですが、知的障害者との乗り入れはなかった。 今度、介護保険になってくると、今までの乗り入れ自体も困難になってくるのですが 厚生省の配られたソフトウエアを使って、知的障害の方は要介護はどのくらい出るのだ ろうと、いろいろな人を頭に浮かべながらボタンを押してやってみると、けっこう要介 護にはなるのですがレベルは低い。たぶん1とか2の方が多いなという印象だったので す。  われわれが考えるときに、どうしても行動障害のある方とかを中心に考えるのですが それを相互利用ということで介護度で切られてしまった場合に、知的障害者の人は同じ 定規で測られ、切り捨てられてしまう可能性は相当多いので、われわれは今までと違う 物差しというかメジャーを提示していかないと、制度上は全部使えるようになっても、 実際に一人ひとりやっていくと落とされてしまう危険があるなと強く感じているので す。  もう一つは同じ相互利用の話なのですが、私は今、老人福祉の仕事をしておりますが 今、デイサービスは中学校区にというお話をいただきましたが、在宅介護支援センター も同じぐらいのレベルで地域に存在するわけです。在宅介護支援センターの団体からも 障害者の方をこれからは視野に入れていこうというありがたいお話をいただいているの ですが、たぶんそれは、身体障害の方であって、知的障害者の方というのをどのくらい 視野に入れていただいているか非常に疑問です。地域生活を支える制度としては、地域 療育等支援事業は30万人に概ね2カ所という規定で、在宅介護支援センターのきめの細 かさと比べるとあまりにレベルが違うので、できればその辺も在介センターでも障害者 を少し視野に入れる展開をしていただけると、地域で助かるなと。 ただ年齢的な問題で切るのではなくて、何回か前に出ましたが、高齢の知的障害者の 方が地域で生きていける制度をどうしたらいいかという話をすれば、それは年をとって いない知的障害者の方でも地域で生活できるシステムを考えてやるのと全く同じ結論に なってしまうので、高齢ということを視野に入れて、高齢の制度を使わせていただきな がら、最終的には年齢に関係なく障害者の方はそういう制度を使わせていただけたらい いなと思っています。  吉川座長  今のお話を伺って、私は精神科医ですし、精神障害のほうから入ってきましたが、精 神障害の問題を考えても、精神障害の人たちの在宅ケアというのは、資源がなかった時 代に、知的障害の方がたのいろいろな在宅のシステムをどう活用させてもらおうかと狙 った時期があります。今お伺いしていると、今度は老人のほうのをどうやって狙いなか ら使っていくのかというお話を伺っているような気がしまして、大変古い話ですが、な つかしい思いがしています。  北沢委員  今、出ている課題の中で少し整理しておかなければいけないのは、先ほど今村先生も おっしゃったのですが、いろいろな施設の方に介護保険上のフロッピーでもし適用した らどんな介護度になるのかと。今、現行で進んでいる中で、痴呆性の高齢者に関する部 分とちょうどリンクするような問題がかなりあるだろうと考えているわけです。その痴 呆性の高齢者の方に対する援助が、介護保険上の介護という部分と重なってきたときに 知的障害の場合、さらにそれ以上に何か必要なのですか、というものが大きなマスの動 きの中で進んできていますから、結果的に出てこないのではないかという心配をしてい るわけです。特別にそんなに特化してくるような問題はないのではないかと。  そうしたときに何が課題になってくるかというと、でも支援は必要ですよと。先ほど 出てきた介護度1とか、あるいは要支援の人たちでも、社会的な支援が必要ですよ。こ れは高齢期であるからとかそうでないからということではなくて、その支援の中身を組 み立てていく中で、もしかすれば高齢者の部分もそこで、たとえば今回の介護保険法と 知的障害者施策との関連のズレが示されていますように、一応はたとえば身体障害のほ うでも、身体障害者福祉のサービスを選択してもいいし、介護保険上のサービスを選択 してもいいですよというスタイルの中でいうと、知的障害の高齢者の支援の中身と身体 障害における支援の中身と、精神障害における支援の中身と、知的障害の支援の中身と どこが共通性をもっていて、どこがどうしてもそこの部分はやらなければいけないよと いうことを明確にしていく作業の中で、そこら辺の問題を整理していけるのではなかろ うか。  単純に一律に20歳以上の障害者の方は将来的には介護保険の適用をしますよ、という 発足成立前の論議の中で出てきたような議論がありますが、そういう部分を踏まえたと きには、知的障害者の場合には何が理由なのかということを少し明確にしておかなけれ ばいけないのではないか。そうしますと、生活をしていく中でいろいろ支援の中身を大 枠で分類してみて、大枠で分類した中でその機能を担っているのはこういうところです よ、こういうサービスがありますよ。これは単数ではなくて複数あるということのほう が重要になってくるのかなという感じはしています。  今のままでいきますと、介護度が低いという評価は当然出てくるだろう。その低いと ころになんでサービスがたくさんいつもいっているのですかという声が、あと5年後か 10年後ぐらいには知的障害のほうに向かって出てくる心配をしておりますので。   そういう意味でいうと、入所施設も含め、通所施設も含め、グループホームも含め、 どういう機能を担ってどういう支援の度合いが必要なのか、他の領域の方にもわかって いただくような整理をしておく必要があるのではなかろうかという気がしています。  吉川座長  たしかに他の方がたにちゃんとわかっていただけるということは、これから非常に重 要なことで。  大林委員  先ほど来の認定ソフトの話だと思うのですが、海賊版といいますか本物といいますか 手計算でもできますので、その辺をシミュレーションしてみますと、やはりおっしゃら れるような状態が出ます。しかしながら、その原因が知的な障害において問題行動があ るのか、痴呆によって問題行動があるのか、でも問題行動としては、たとえば介護に抵 抗があるかないかということの調査になるので、今、全体的にも痴呆としての認定の度 合いが比較的軽く出てしまうということで、実態の介護量と合わないのではないかとい う議論は老人の中でもされていますので、そういう中にも知的障害の方の全体像がみえ てくるような調査になればいいなという気がいたしております。 実際にわずか14名なのですが、現在、介護度1から5まで、この4月1日からそれぞ れ皆さん、旧措置者という形で利用していただいているのですが、介護度1の人が3人 2が3人、3が2人、4が2人、5が4人と、大体同じぐらい。ただし、5の方も、最 初におみえになった10年ほど前にはどうであったかということをふり返って今の基礎調 査で一次判定を行えば、非常に軽く出るのではないかなと。また、ふり返って調査して みたいとは思うのですが、そんな気がいたしております。 ですからそこでは、先生がおっしゃられるような、知的障害者であるからこそこんな 特殊な行動を問われるとか、そういったところがどのように保険の中で評価されるのか というところは、今後の課題だと思っております。 その中で整理の仕方とするともう1点、先ほどの在介センターの話は大変身近な単位 で、逆を言うと税で残った唯一のサービスですので、そこがどのように生かされるか、 ほんとうに大切な部分だと思っております。それと一緒に地域権利擁護センターという 形で成年後見法を受けて出てきた制度がありますので、この辺のところが、知的障害も コーディネーター事業も含めてどのように連携がとれてくるかというのも、在宅の中で 生活を送られ、施設からいきなり在宅の話になったのですが、大事な点ではないかと思 っております。 今村委員 介護認定の話がずいぶん出てきているので、ちょっと私の考え方なのですが、介護認 定そのものがもともとMDSから出てきて、つまり今も問題になっているのは、行動の パターンなどではなくて、むしろADLを中心にして評価をしていることの矛盾みたい なものだと思うのです。知的障害というのはADLよりもむしろレスキュー、SAみた いなものを中心にして今まで評価してきてきているので、そのSA、社会生活正常論み たいな、そういう社会生活の発達年齢というのも全然あそこに生かされていない。そう いう面からもう少し、たとえば老人と知的障害者の比較みたいなもの、片一方はADL で片一方でSAがあって、もちろんIQもあってもいいのですが、痴呆とか、SAとい う角度がもう少しあってもいいのではないかという気が非常にしています。  もしこういう委員会のようなものが出発点になるのだったらば、もう一回、知的障害 者の介護度の判定の中にADLと並べてSA。ぼくは、全国の知的障害者のSAの調査 をやったことがあるのですが、そういうときにひずみみたいなものが年齢によって出て きていますので、そのようなところをちょっとみてみたいなと思っています。  もう一つ、これは先ほど座長がおっしゃったことなのですが、特定疾患の問題が、知 的障害の場合には現状の特定疾患の判定とそぐわないような気がするのです。障害者の 場合、40歳から64歳の部分にたぶん入ってくるだろうと思うのですが、あそこではほと んどが痴呆ということで下にみていますが、もちろん痴呆という点ではなかなか評価し にくい。日常生活行動からはなかなか出てこないし。知的障害者の場合、それが気質性 の疾患という形ではっきり出てくるのはかなりあとからである。そういう意味では評価 しにくいので、むしろたとえばてんかんなどの向精神薬における影響がどうであるかと か、あるいはてんかんの発作の頻度によって当然中に加えていくわけですから、そうい う度合いがどうであるとか、そういう評価基準みたいなところを、ほかにもいっぱいあ ると思いますが、もう少し手を加えていただけると、また違ってくるのではないか。 知的障害だけではなくて全体にいえるのではないかという気がするのですが、あまり にも痴呆ということにこだわると、痴呆がいちばん大事なのですが、40〜64歳では早期 痴呆ということもあるけれども、たとえば若年痴呆などは、たとえばぶつかって脳がだ めになってしまったなどという原因で若年痴呆になる例が多いので、そういうことから 考えていくと、知的障害の場合は若年痴呆の問題なども特定疾患のところでもう少し検 討して、それは専門委員の方がたでやっていただけるといいなと思っています。 中野委員 先ほどSAの話が出たのですが、知的障害ということ自体がいろいろな構造の中で、 はたしていったいなんなのかというのが、AMRでも指摘されているように非常に難し い。こうなってくるとますます難しい。先ほど北沢委員がおっしゃったように特化する ことの意義の背景は二通りあると思うのです。ここ近間で考えなければならない人たち それが多くの施設というのでしょうか、環境が制限された中で高齢化を迎えた人たちを どう特化していくかという部分と、それから、今はまだ若いけれども、将来、高齢に向 かって環境をどのようにしていくと特化はどう変わるか、その辺をどこでどう見極めて いくのかというのは非常に難しいなと思うのです。 今村委員 私が先ほどSAと申しあげたのは、生活年齢ではなくて、生活年齢の階位領域が六つ に分かれていますね。前にやったときには、その六つの領域をやっていくと、かなり年 齢によってクレバスが出てくるような気がしたのです。そこのところを、ただSAとい うだけではなくて、これは作業の領域、これは言葉の領域とか、社会生活の部分とか、 そのように調査をみていくと、少し違うのではないかなという気がしているのです。S Aということの階位領域のところをみていく必要があるのではないか。それはADLと はちょっと違うのですね。ADLと違うところに、たとえば社会生活の問題とか、知能 の前後のところとか入ってきますので、そういう意味でSAのほうが使いやすいのかな と。  ただ、SAというのは必ずしも標準化されているとはいいにくいところがあるので、 ちょっと使いにくいですが、でも非常に多く使っています。  中野委員  デイサービスと共有するときに、生活体験の乏しさというのでしょうか人のかかわり の少なさ、それはサポートする家族もそうですよね。家族自体も非常に限定された中で 暮らしがつくられてきた。その総体を抱え込んでデイサービスを世代を超えて利用して いくことになるわけですね。これまで、その辺のところが一つ知的の人たちがもって、 この先 100年、すごくいい環境ができて、そうではなくなるかもしれないけれど、過去 をふり返ってこれからすぐ先、使おうとする人たちの環境の過去をみると、そういうこ とを非常に感じるのです。 その人たちにとって特化されたデイサービスというのはいったいなんなのかというあ たりで、単純に預かるとかリハビリするとはまた違う高齢期のサポートの、本人の痴呆 の状態以上の周りの状況とのサポートのあり方が一つ、特化されたところで出てくるの かなと。 よくわかりませんが、そう思ったりして、難しさを感じます。 今村委員 先ほど私は言い足りなくて、今のSAのことは評価の認定のことだけなのですが、そ の前にデイサービスのことを申しあげたときに漏らしたのです。デイサービス、たとえ ばケアハウス等を利用するような場合に、当人だけで利用するというのではなくてたぶ ん家族の問題が出てくると思うのです。家族の高齢化の問題がもっと切実な問題だろう と思うのです。この中にも出ていますが、知的障害者のことを考えていく場合には、家 族の高齢化のところも一緒に考えて、一緒にサービスしていかなければ、問題は解決し ていかないだろう。  先生がおっしゃったので、先ほど私は抜けたものですから、デイサービスのときには そのことも一緒に併せて言いたかったのですが、この前のとき、たしかそのことを申し あげたので。  吉川座長  はい、お話しをいただきました。  ますますいろいろと難しいことになりそうですが、少し整理させていただきますと、 これはもうちょっとみんなで検討して、たとえば研究グループをつくるなりなんなりし てやっていかなくてはいけないということがあるような気がするのです。今までみたい になんとはなしに知的障害という大きなくくりだけで考えてきたとか、あるいは知的障 害の方がたが年をとってきたから、ではどういうサービスが必要なのかとか、どちらか といえばそういう流れで考えてきたことだったけれども、そうではなくてもっと一般的 な私たち自身が年をとっていくということとどういう関係があるのかということも含め て、まさに障害を超えたという言い方をするとおかしいのですが、要するに人間を縦軸 でみるだけではなくて横軸でみるという意味での特異性をどのように取り上げながら サービスを考えていくのか、そのようにとらえることができるのだろうと思うのです。  そうなると、今までの考え方の中で研究グループみたいなものをつくるだけではなく て、新しい視点をもった研究グループをつくって、そしてソフトをつくるなりなんなり して、その人たちに適正なサービスが行えるようなシステムをつくっていかなくてはい けないのかなと考えます。  その点では、施設でどういう整備をすればいいのかということとは違って、地域の中 でまた違ったソフトをつくっていけばいいのか。そのソフトは、新しいものでなくても いいのかもしれません、既存のソフトをどのように動かしながらそれが使えるようにな るかということかもしれませんが、いずれにしてもそういうことを考える研究的なグ ループをつくっていくことの重要性が今、いわれたのではないかと思います。  その点で北沢先生、何か。  北沢委員  そのとおりで、今村先生はかなり長くいろいろとご研究をいただいてきていると思う のですが、まだ分けるような部分もけっこう感じるということなのですが。  生活をしていく中で、知的障害の人たちにとって他の方たちと比較してここの部分が 強烈なんだよ、ということがもう少し明確になってくるようなことが重要かなという感 じはしています。もしかすると、仮説的にはないというところから出発してもいいので はないか。  そういう部分を明確にしておかないと、はっきりしてくることは、介護保険で5年な りたってきますと、どれぐらいのお金が出たかというのは、今以上にはっきり出てくる ときに、どういう状態なのかということは必ず出てまいりますので、そのための部分で も必要性があるのかなと。  生活をしていく部分でこれだけ共通性がたくさんあるのだから、その共通性をもっと 強調しましょうやという主張でもぼくはいいと思うのですが。知的障害だけを印籠にし てやりすぎてしまっている部分もあったものですから。私自身も含めての反省ですが。  そこら辺を今、取り払っておかないと。この問題などは、この後半は育成会の役員の 立場で申しあげますが、親とすればいちばん不安な部分で、やっと今、取り上げていた だいたという部分は評価できるのではないかと思うけれども。では、それをみて「ああ 安心ね」という部分が、単に入所施設だけではなく、きちっと示されることが重要だと 思っています。そのための部分をもう少し整理していくことが、研究的にも重要だろう と思います。  吉川座長  きょうはフリートーキングのような形でお話を進めさせていただきました。 まだご 発言いただいていない先生方もおられるのですが、時間がそろそろ迫ってまいりました ので。きょうは、論点メモをベースにはいたしましたがかなり自由に議論していただき 今後の問題も含めていろいろとご示唆をいただいたような気がいたします。これはまと めさせていただきまして、新たにどういうことを考えていったらいいのか、提示させて いただきたいと思います。  次回以降の検討会をどのように進めていったらいいのか、事務局のご予定もございま すでしょうから、これからのことをお話しいただけませんでしょうか。  仁木障害福祉課長  次回以降の事務局としての気持ちでございますが、前回と今回で大きな検討課題3本 柱について全般的にご議論をいただいたように思いますので、全体的なご議論をひとわ たり終わったところで、論点整理メモの 1の地域生活支援のところはかなり詳しく書い ておりますが、今回のご議論を踏まえて、2本目の柱、そして3本目の柱についても含 めて、全体的に整理をいたしました論点メモをベースに、次回はその論点に即してさら に議論を深めていただければと思います。  本会の発足時に、6月をメドにおとりまとめいただくというスケジュールをお話しい たしましたが、なぜ6月かといいますと、13年度の予算の編成が7月あたりから本格化 してまいりますので、その前におとりまとめをいただいて、できるだけ13年度予算に反 映できるものは反映したいという段取りでございます。今回は4月ですから、場合によ っては5月と6月の2カ月のあいだに3回ぐらい開催をしていただいて、なんとか13年 度予算の編成に間に合う形でおとりまとめをいただければと思っております。  吉川座長  お忙しい中を大変タイトなスケジュールでここまで議論をしていただきました、私は かなり厚生省側にもヒントになることを皆さま方からいちばんいただいたような気がす るのです。それをもとにいたしまして少なくとも平成13年度予算にそれらを反映してい ただくことと、今もお話が出ましたように、もっと細かく検討していかなくてはいけな い部分があると思いますので、それらにつきましては、この検討会とはまた別な形で、 新たにそれぞれテーマによって検討会みたいなものを組織していただくなりして、今後 につなげていただければと思っております。 とりあえず6月中にはできるだけまとめてほしいということでございましたので、そ のスケジュールでこれからも進めさせていただきたいと思いますが、あと2回ないしは 3回の皆さま方の踏ん張りをお願いしたいと思っております。  私からはここまででございますが、何か事務局からご連絡はございますでしょうか。  事務局  お手元に5月15日以降の日程表がございますので、ご都合のいいとき、悪いときを記 入していただきまして、お帰りの際ににこちらに提出をお願いいたします。  吉川座長  次回の日程、次々の日程は、後ほど先生方にご連絡をいたしますし、本日まで検討し ていただきましたメモを添えて、次回のときにお渡ししたいと思っております。 ほか にもし資料のようなものが必要であれば、できるだけ揃えるようにしたいと思いますの で、その辺も事務局に直接ご連絡いただいてけっこうでございますので、よろしくお願 いいたします。 きょうは、大変お忙しいところをおいでいただきましたが、どうもありがとうござい ました。 問い合わせ先 厚生省障害福祉部障害福祉課   担 当 轟(内3031)、斎藤(内3038)