00/04/20 先端医療技術評価部会個人情報保護在り方専門委員会 第2回厚生科学審議会先端医療技術評価部会 疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する 専門委員会議事次第 1.日  時:平成12年4月20日(木) 14:00〜16:00 2.場  所:厚生省特別第一会議室 3.出席委員:高久史麿委員長       (委員:五十音順:敬称略)  寺田雅昭 (専門委員:五十音順:敬称略) 大島 明 櫻井秀也 高津和子 田中平三 堀部政男         丸山英二 南 砂  安冨 潔 4.意見参考人:平成11年度厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業         「疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関する研究と倫理 ガイドライン策定研究班」 より         主任研究者 玉腰暁子 名古屋大学大学院医学研究科・予防医学/医学 推計・判断学 助教授 5.議  事:(1)疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドライ ンの検討について(玉腰参考人より報告) (2)地域がん登録の現状と課題について(大島委員より報告) (3)その他 6.配付資料:   資料1 疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドライン(平 成11年度厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業)   資料2 地域がん登録の現状と課題について ○事務局 それでは定刻になりましたので、ただいまから第2回厚生科学審議会先端医療技術評 価部会疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する専門委員 会を開催いたします。 本日、事務局には、青木委員が御欠席との御連絡をいただいております。  最初に、本日の配布資料につきまして御確認をお願いいたします。 (資料の説明と確認)  それでは、委員長、議事の進行をお願いいたします。 ○高久委員長  議事を始めさせていただきます。  まず、議題1の「疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドライ ンの検討について」、これは平成11年度から行われている厚生科学研究費による研究で して、主任研究者の名古屋大学医学部の玉腰暁子先生に来ていただいています。よろし くお願いいたします。 ○玉腰参考人  今御紹介いただきました名古屋大学医学部予防医学教室の玉腰と申します。  2年間、厚生科学研究費をいただきまして、疫学研究におけるインフォームド・コン セントの在り方について検討してまいりました。その成果を今回ガイドラインとしてま とめました。お手元に資料があるかと思いますが、この資料につきまして、順を追って 説明をさせていただきたいと思います。  そもそも疫学研究と申しますと、人を集団として対象にするという特徴が1つござい ます。その中でもいろいろな研究の手法がありますが、今回、私たちのガイドラインの 中では、観察型の研究を対象として設定しております。つまり、人に対して何らかの要 因を付加、あるいは除去することによって、その要因の持つ効果を確認するような介入 研究は、このガイドラインには入れておりません。また、法律などで定められているよ うな情報の収集につきましても対象とはいたしませんでした。それをまず最初にお断り しておきたいと思います。  さて、ガイドラインの構成ですけれども、第1部、第2部という形で設けております が、本体の部分は第1部でございます。第2部の方は、第1部を補足する形で定めまし た。  今、このOHPに示しておりますのが第1部の1つずつの大きなテーマになっており ます。疫学研究、観察型の研究といいましても、いろいろな分け方が出てくると思いま す。私たちの中でも随分議論をいたしましたけれども、生体由来試料、つまり、血液で すとか尿ですとかといった人の組織を用いるものであるのかないのかというのを1つの 軸として考えました。生体由来試料といいますのは、長期間保存しておくことによって 新たな測定を行い、新たな情報を持つことができると考えたからでございます。それに 対しまして、生体由来試料を含まない情報というのは、集めた時点で固定されると考え ました。  また、ここのところですけれども、新しく収集するのであるか、今までにある試料を 使うのかというところも1つ取り扱いが変わってくるところだろうというふうに考えま した。  それ以外に、公的に収集された情報、この収集そのものについては、このガイドライ ンでは何も触れておりませんけれども、これを収集の目的外に利用する場合というの は、やはり疫学研究であろうというふうに考えました。  また、幾つかの方法で集めました情報をお互いに突き合わせをするという作業が疫学 の研究の中ではいろいろございます。つまり、ある時点で把握された情報を追跡をし て、その方の予後を知るというような場合には、2時点で集めた情報をリンクすること になります。そのような記録の照合というものも1つ考えておかねばならないだろうと いうふうに思っております。  そこまでが情報の集め方といいますか、情報に関するものです。7と8は、特に注意 が必要なものはこういうものではないですかということで載せてあります。  それから、下の9番の「倫理的な問題への取り組み」、それから10番の「個人情報の 保護」、これはインフォームド・コンセントよりも下にある概念ではなく、インフォー ムド・コンセントと並んで考えなくてはならないものだというふうに思っております。 ただインフォームド・コンセントだけを取り上げて、ここの部分をおろそかにしておく のでは、やはりまずいだろうということで、「インフォームド・コンセントに関するガ イドライン」という名前にはしてありますけれども、倫理的な問題、それから個人情報 の保護についても章を割いて述べるような形にいたしました。  具体的に中身について説明をさせていただきたいと思います。この後お見せするの は、ページで言いますと、2ページ、3ページのところに枠組みとしてフローチャート が出ております。これを示しています。実際に見ていただくのは、そこよりも、それぞ れに対応する中の方がいいと思いますので、OHPでその部分を示しておきます。  最初に申しましたように、新たに収集する場合ですけれども、生体由来試料、その後 に新しい情報を付加するような、情報を生み出すような可能性を持っているものがある のかないのかということで1つ分けて考えました。  インフォームド・コンセントと言えば、個別に説明をして同意を求めるというのが基 本になる訳ですけれども、生体由来試料を含まない場合であれば、1人ずつに対して対 面で個別に説明をしなくても、集団に対して説明をするということもあり得るのではな いかと私たちは考えております。疫学研究では、数万人の単位の人を相手にすることも ままあります。その場合に1人ずつに対して説明を行うというのはなかなか難しい部分 もあります。けれども、生体由来試料を含まないのであれば、きちんと説明をする、集 団に対してでもいいのではないかというふうに思いました。  ただ、この場合にも拒否の機会は保証したい。拒否の機会がありますよということ で、連絡をくれれば研究に参加しなくてもいいんですよということ、あるいはどこに問 い合わせをすればいいんですかというようなこと、そういうことについては明らかにし てほしいというふうに考えています。いずれの場合も、口頭と文書で確認をしましょう という形にいたしました。この拒否の機会の保証というのが1つ大事なことではないか というふうに私たちは考えております。  また、いずれの場合でも、ガイドラインの10番のところに載せましたけれども、個人 情報の保護ということについては十分な注意が必要だというふうに考えております。生 体由来試料を含む場合でも含まない場合でも、どの人からデータが出たかわかるような 場合、わからないような場合、いろいろな場合が出てくると思いますけれども、個人に 遡及ができないからといって情報管理を怠っていいわけではない。もちろん個人に遡及 が可能であれば、それなりの注意を払って情報を扱ってくださいというふうに思ってお ります。  次は、既存の試料、既にある情報を使う場合はどうしたらいいかということを考えま した。個人への遡及が可能な場合と、可能でない場合と出てきます。つまり、昔集めた 情報で、既に個人の名前も落ちている、生年月日も落ちている、年齢だけを持っている ような情報の場合もございます。そういう場合には当然相手がどなたかわかりませんの で、個人を探し出して説明を行う、同意をとるということは無理になります。ただし、 そのような場合にも、この研究を行うことが倫理的に問題がないのかどうかということ に関しては倫理審査を行ってくださいというふうに書きました。  個人へ遡及可能な場合ですけれども、以前、情報を集めた時に、既にこの研究につい てもやりますよという説明があれば、これはわざわざ説明、同意をとる必要はないと思 います。ただし、以前の説明や同意が不十分である場合、あるいは行っていない場合と いうのは、取り扱いに注意が必要です。ここのところは、先ほどの新規の場合と同じよ うな置き方で、この研究の中に生体由来試料を含んでいるのか含んでいないのかという ところで分けてありますけれども、原則的には新規の情報を扱う場合と同様に考えてお ります。生体由来試料を含む場合には、個別に説明と同意が原則であると。  ここに「集団への説明・同意も可」と書いてありますが、これは間違いです。フロー の方も間違っているようです。申しわけありません。ですから、生体由来試料を含む既 存の研究では、新規のものと同じように、個別に説明、同意が原則というふうに考えて おります。  それから、生体由来試料を含まない場合ですけれども、この場合には、新規の場合と 同じように、集団へ説明をするということでも可能でしょうというふうにしてありま す。  生体由来試料を含む場合に、「集団への」かわりに、一番下の「困難なら研究倫理審 査委員会へ」というところがこちらにも入っていなくてはいけなかったのですけれど も、申し訳ございません。フローのミスです。  既存の試料を用いる場合というのは、もちろん個別にインフォームド・コンセントを 取ることが望ましいにせよ、非常にそれが難しい場合というのも出てまいります。その ような場合には、研究倫理審査委員会へそのような研究を行っていいのかどうかを諮る 必要があるということで記載をしてあります。本文はそうなっておりますけれども、申 し訳ありません、フローの方に間違いがありました。訂正をお願いいたします。  それからもう1つ、生体由来試料を含まない既存の情報といいますと、疫学の研究の 中ではそういう形のものが多うございます。以前行った健康診断のデータですとか、あ るいは臨床の場で集められたカルテを使うような研究ですとかいうのはほとんどここに 含まれるのではないかというふうに私たちは考えました。  公的に収集された情報につきましては、ほとんどの場合、それを目的外に利用する場 合はどうすればいいのかということが法的に手続上決まっておりますので、この場合に はそれにのっとっていくということが原則だと思います。  それから、記録を照合する場合ですけれども、これも疫学研究ではかなり起きてくる ことなんですけれども、これは情報の集め方によって、1から5の組み合わせによっ て、それに準じた取り扱いをしましょうということにしてあります。  また、個人へ遡及が可能ということと、個人の識別が可能ということは分けて考えた いというふうに思っています。個人へ遡及が可能といいますのは、その人が誰であるの か、その人のところへたどりつくことができるということになりますけれども、個人の 識別が可能という場合には、情報がこの人のものであるかないか、Aというところから 出てきた情報と、Bというところから出てきた情報が同じ人のものであるかどうかとい うことが判断できるということで使い分けて考えています。それが誰であるかがわから なくても、例えば性と生年月日によって、これは同じ人であるということが同定できる 場合もあると思います。ですから、記録を照合する場合に、そういった情報を用いて、 誰と誰が対応しているかがわかったとしても、その誰がどの人であるか、変な言い方で すけれども、それがこの人であるかどうかということがわからない場合というのも当然 生じてくるというふうに思います。  ですから、4番の個人に遡及が不可能な場合ということも、記録を照合することがで きてもあり得ます。そこのところが書いてあります。  この後からは、少し情報の扱い方が違いますけれども、同意能力が認められない時が ある。多分本文は「認めないことがある」となっていると思いますが、申し訳ありませ ん。私が作り間違えました。この場合、子供の場合と大人の場合とあるだろうというふ うに考えましたけれども、子供の場合でしたら、15歳を過ぎていれば成人と同じように 考えて、本人から同意を得ることが必要だろうというふうに思います。15歳未満の場合 には、代諾者に対して説明をし、代諾者から同意を得るという形になりますけれども、 本人が幾ら15歳未満であっても、どうしてもこんなことをされるのはいやだと拒否をし た場合には、代諾者が同意をしたからといって無理に研究に参加させることはできない だろうという書き方をさせていただいております。  それから、成人の場合ですけれども、原則としては本人に説明して同意をとってほし いというふうに考えています。同意能力ということは、その行為について理解、判断を して、同意を与えることができる能力ということになる訳ですけれども、これは時と場 合によって異なってきますので、一律にここで、こういう場合には同意能力なしと判断 しなさいとか、あると判断しなさいというようなことについては、特に書き込みはして ありません。ただ、同意能力が認められないことがあるだろうというような人々の場合 には、より一層丁寧な説明が必要だと思いますし、本人の意向をきちんと確認するよう な努力が必要だと思います。どうしても本人に同意する能力がないということであれ ば、場合によっては代諾者からということにもなりますが、本当にその人を対象としな ければできないような研究であるのかどうかについては、倫理的な審査を行っておいて ほしいというふうに考えております。  次のところで「特に配慮を要する情報の使用」という書き方をしてあります。1と2 は情報の種類です。3、4、5は情報の集め方です。これについては、8−1、8− 3、8−4、8−5の部分については、第2部の方でももう少し丁寧な書き込みを行っ てあります。  遺伝子情報につきましては、原則として個別のインフォームド・コンセントが必要だ というふうに考えておりますけれども、遺伝子情報について本人に結果を開示するよう な場合には、遺伝カウンセリングまできちんと用意をしておかなくてはならないだろう というふうに考えます。  それから、感染症の情報ですけれども、これは特に治療方法のないような感染症が問 題になってくるかと思いますが、個人が同定されないのはもちろんですけれども、あの 集団にこの病気が多いらしいというような情報も非常に注意して扱う必要がありますの で、集団そのものが同定されないということも非常に大切なことだというふうに考えて おります。  それから、病院、診療所で収集される情報ですけれども、3、4、5全体に共通して いますが、情報を集める人と対象になる方との関係が対等でない場合があり得るような 場での収集になります。病院、診療所で言いますと、患者と医者の関係の中で、治療の いろいろな問題もあって、患者は医者からの要請を断りにくいと感じるかもしれませ ん。あるいは職域で、本来、産業医というのは別に企業側に立っている訳ではないので すけれども、対象者から見れば、企業命令だというふうに受け取られることがあるかも しれません。また学校では、学校の先生から言われれば、断ってはいけないものだと子 供は感じるかもしれません。そういったことに共通して配慮が必要だというふうに思い ます。その上で、当然のことですけれども、本来の関係の中で必要となってくるような ものについて不利益を被ったりはしないような配慮をしていただきたいというふうに思 っております。  特に職域におきましては、事業主と対象者、従業員との間のところに産業医はいる訳 ですけれども、事業主側に対象者の情報が漏れることによって非常に大きな不利益を与 える可能性があります。情報管理には十分な注意が必要だというふうに考えておりま す。  「倫理的な問題への取り組み」ですけれども、原則としては、インフォームド・コン セントをとるとらないに関わらず、倫理的な問題について倫理審査委員会へ申請を出す ということが必要ではないかというふうに考えております。特にインフォームド・コン セントをとれないような研究を行う場合は、第三者の判断をきちんと仰いで、研究者側 が、問題がないからいいでしょうというような判断はしないでいただきたいというふう に考えました。  この下の「倫理的問題に関する協議」というところなんですけれども、大学ですと か、大きな研究所なんかですと、研究倫理審査委員会が今は設置されていることが多い のですが、疫学研究まで審査対象にしていないことがあります。それから、疫学研究と いいますのは、大学だけで行う訳ではなく、いろいろなところで行っております。そう しますと、自分の所属する施設には研究倫理審査委員会がないということもあります。  じゃ、受けなくてもいいのかというと、決してそういうことではないと思いますの で、倫理的な問題に関する協議を関係者で集まって行いましょうという提案をいたしま した。これは常設のものではなくて、その研究を行う時に臨時的に招集されるというふ うに考えておりますけれども、研究を本当に行っていいのかどうか、あるいはその実施 方法が適切であるのかどうかということを検討する会というふうに考えます。もちろん 関係者なんですけれども、可能な限り、対象者からも無作為に抽出をして、無作為に選 んで参加していただいて、実際に問題はないのかどうかということを一緒に考える場に していったらどうかと思います。これは決して、倫理委員会があればこちらをしなくて いいよと言っている訳ではありませんので、倫理委員会もかけながら、さらに倫理的な 協議を行うということももちろんあり得ると思います。  個人情報の保護の方ですけれども、ここのところは、最初に申しましたように、イン フォームド・コンセントの下になるような概念ではないものですから、本当はもっとい ろいろな注意が必要なのだと思いますけれども、ここの中では、情報を扱う人たち、関 係者に対する教育、それから、目的を明確にして、不必要な情報は収集しないという収 集における注意、それから情報の管理、そして、もう終わってしまった研究に関する情 報については、不正利用防止に配慮して処分をしましょうということを書いてありま す。  私たちのガイドラインの本体に当たる部分は、このような構成になっております。  あと、第2部の方で、資料で言いますと18ページになりますが、「疫学研究のチェッ クリスト」という形で、これは倫理的な審査を行う時に、疫学研究の中でこういうとこ ろに注意して倫理的な審査を行ったらいいのではないかというような項目を挙げてあり ます。それから、開示する場合の配慮事項、あとは、先ほど触れましたいろいろな情報 の収集方法に関する配慮事項、収集の場によって配慮していただきたい事項、最後に、 研究倫理審査委員会に対する提言を挙げてあります。  2年間仕事をしてきた訳ですけれども、ガイドラインの作成にかかったのは、実際に は1年前ではなくて、もう少し期間としては短い間でした。それまでに私たちは疫学研 究者に対して実際にインフォームド・コンセントがどのように行われているというよう なことを調査したりですとか、対象の方たちに、どのようにその問題を考えるかという ような調査ですとか、そういうことをしてまいりました。言い訳をする訳ではないので すけれども、そういうようないろいろな状況の中でやっておりましたので、今回、バー ジョン1という形で公表いたしましたけれども、もう少し具体的に詰めていかなくては いけないような課題、あるいは引き続き検討していかなくてはならない課題というのが まだまだあるというふうに認識をしております。  そのうちの一部ですけれども、疫学研究といいますか、かなり事業に近い形で行われ ているものにつきましては、全員を対象にしなくては正しい結果が出せない研究という ものが実際にあります。そのようなものについて、個々の対象者からインフォームド・ コンセントをとるのかとらないのか、社会的に周知をすればいいのではないかという意 見があります。ここのところをどう扱うかというところについては、最後まで詰められ なかったというのが状況です。  それから、既存試料につきましても、今回は一応示しましたけれども、これもいろい ろな意見がまだまだたくさんあるところだと思います。  記録照合もそうですし、診療録、臨床の場で行われるような研究については、どこま でインフォームド・コンセントを過去に受診していた患者にまで遡って行うのか、ある いはそうではなくて、倫理的な審査のところで研究を進めるのかというようなところに ついても、まだまだいろいろな意見が出てくるところだと思います。  それから、具体的なインフォームド・コンセントの方法についても、どこまで説明を しなければいけないのか、また、文書と口頭で、実際にどっちが重い、軽いということ はないと思いますので、文書による同意というのがどこまで必要なのかというところに ついても、まだ最後の詰めまではいきませんでした。  それ以外につきましても、倫理審査委員会ですとか、個人情報保護のところ、それか ら、私たちのガイドラインの中では、疫学研究を社会へ周知、このような研究が行われ ているということを社会へきちんと知らせましょうと。倫理委員会にかけた場合でも、 インフォームド・コンセントをとることができないために倫理審査委員会にかけた場合 でも、研究を社会へ周知し、そして社会的に問題が起きないのかどうかということを確 認しましょうという言い方はしているんですけれども、実際にそれをどうやってやるの かということについてまでは、実は踏み込んで検討し切れなかった部分であります。今 後まだまだ検討が必要ですけれども、一応つくりましたものについての説明をさせてい ただきました。ありがとうございます。 ○高久委員長  どうもありがとうございました。  今の御説明に対しまして、いろいろ御質問、あるいは御意見があると思いますけれど も、どなたか御質問おありでしょうか。 ○寺田委員  これは報告書の形をとっておりますが、これは日本疫学学会のガイドラインというふ うに考えていい訳ですか。 ○玉腰参考人  疫学会の方でも今検討を始めているところですけれども、これがたたき台にはなると 聞いておりますけれども、これがそのまま疫学会のガイドラインになるということはな いと思います。 ○寺田委員  大変御苦労でしたが、これは研究報告書というふうな取り扱いで考えていい訳です か。 ○玉腰参考人  それ以上のものにするのにどうしたらいいのか私たちにはわからないというのが現状 ですが。 ○寺田委員  といいますのは、一番最後のスライドに出てきましたように、一番大事な問題が残っ ていますよね。それにもかかわらず、こういうガイドラインですよと出されますと、も しかしたら疫学会のガイドラインとして出てきたのかと考えてしまいます。もしそうな ら、この件についてそれなりのいろいろな意見があります。一方、これをたたき台にさ れて、次に疫学会として別に出てくるということであれば、この報告書についてはそれ はそれなりの判断ができますということです。 ○玉腰参考人  そのとおりだと思います。 ○高久委員長  ほかにどなたか。  倫理委員会がないところが当然あると思うのですが、審査機関がない場合には関係す る者が集まって云々というお話がありましたですね。それよりは、恐らくいろいろな施 設が関係をするので、倫理委員会のある施設でまとめて審査をするということは議論に ならなかったのですが。必ずしも疫学研究だけではなくて、小さな研究所などで倫理委 員会がない場合には、共同研究者に依頼をして、そこで審査をしてもらうということが 可能ではないかという議論がありました。今回はそういう議論は余りなかったのでしょ うか。 ○玉腰参考人  共同研究の場合にどうするかということについては議論しませんでした。私たちは倫 理審査委員会にかけることができない場合にはどうすればいいかという議論をしました けれども、幾つかの施設にまたがって行って、一部の施設には倫理委員会があるという ような場合は想定しませんでしたので、特に議論はしておりません。 ○高久委員長  ほかにどなたか。 ○堀部委員  疫学研究そのものについては素人ですが、個人情報保護について法的に検討をしてい る立場から伺いたいと思います。  今、各国の法律の規定の仕方などですと、個人情報とか個人データというもので識別 されるもの、または識別可能なものということで非常に広くとらえまして、例えば情報 を収集する時にインフォームド・コンセントが必要かどうかという議論の仕方をしてき ています。  今日のお話を伺いますと、個人情報保護というのはインフォームド・コンセントとは 別の概念というか、もっぱら情報管理の話として出てきていますけれども、今日御報告 になったようなことが世界的に見て疫学研究の面では一般的なのかどうか。外国との比 較でどうかという点が一つ目の質問です。それから、今、国で個人情報保護に関する基 本法制をどうするのかという議論をしていますけれども、そこでは先ほど言ったように 個人情報ということで非常に大きくとらえています。それと、こういう疫学研究との関 係をどう考えたらいいのかという点が二つ目の質問です。 ○玉腰参考人  外国において疫学研究を行う場合に、どのようにインフォームド・コンセントを行っ ているかということなんですけれども、すべての状況がわかっている訳ではないのです けれども、今回私たちが作ったのは、かなり厳しい方に入ると思います。つまり、ほか のものですと、もう少し独自に判断をしていいということではなく、倫理的な審査を受 ければ、研究のためであれば行ってよいとしているものや、このような研究の場合であ ればいいのではないかというような規定をしているものが多いと思います。 ○堀部委員  特にヨーロッパには、各国に個人情報保護法というのがありますが、それとの関係な どは、疫学研究はどういうふうにとらえているのかという点はいかがでしょうか。 ○大島委員  今、玉腰先生の方から振られましたのでよろしいですか。  今、玉腰先生がおっしゃいましたように、外国のいろいろなガイドライン等々に比べ ると、今御説明にあった玉腰先生のガイドラインは非常に厳しいと思います。基本的に は、例えば保存されている情報とか、保存されている、先生の言い方ですと、生体由来 の試料に基づく研究の場合、研究者本人が判断するのではなくて、倫理審査委員会をク リアする。倫理審査委員会の構成等々はもちろんきちんと決められたもので、いいかげ んな倫理審査委員会ではありませんけれども、倫理審査委員会をクリアして、そういう 第三者のところで判断されれば、それは公益とプライバシー保護との天秤にかけるとい う考え方ですが、そこをクリアすればいい。イギリスのRoyal College of Physicianの1 999年の勧告でも、アメリカのNational Bioethics Advisory Commission、1999年のガイ ドラインでもそういうふうになっております。  そして、そういうことができるように、法的な部分で、例えば95年に定められました EU指令ですと、収集とか利用における本人同意の原則については除外規定がございま して、重要な公衆の利益という場合には、国内法で除外規定を設けることができる。そ の重要な公衆の利益というのには、公衆衛生とか科学的な研究が入ると、こういうふう になっております。そういう法的な整備をされた上で、倫理審査委員会というところで 判断をして、その研究の実施の可否を決めるというふうになっております。私自身は、 日本が特別にそれよりも厳しいことをしなければならない理由というのがあるかないか ということをこの専門委員会でぜひ御議論、御判断いただきまして、外国並みでいいの ではないかということでありましたら、そのような法的な整備と、倫理審査委員会で判 断していくということでいいのではないかというふうに思っております。 ○堀部委員  大島先生が言われたEUのはそういうことであって、15か国では、既に法律を作って いる国で改正をしているところとか、イタリアとかギリシアのように新たに法律を作っ たところもありますけれども、EUの場合には個人データというのが全体をくくる概念 ですね。その中で疫学研究、あるいは公衆衛生に関するものなどというのを除外してい くという形になる訳ですけれども、今日の御説明ですと、疫学研究の中のインフォーム ド・コンセントというのが先に出てくるという形で、個人情報保護というのがその1つ になっている、ワン・オブ・ゼムというような感じを持ったのですが、それが第2の質 問でもあった訳です。  こういう法律がない日本の場合、インフォームド・コンセントという観点から論ずる というのは重要だと思いますけれども、今後、法律ができる、あるいは既に国でも1988 年に行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律があります から、恐らく国立大学とか国立病院ですと、その法律のもとで何らかの対応をしている のではないかというふうに推測しますので、全体との関係というのはどうなるのかとい うことが、今一つ私にはよくわからなかったというところです。 また後で議論することになると思いますが、こういう個人情報保護という形の位置づ けがどうかという点は、疫学の場合ですと、先ほど言いましたように、これは情報管理 という感じが非常に強く感じられます。OECDの場合、個人データ保護の8原則の中 でセキュリティ・セーフガード・プリンシプルということで1つの原則としてとらえて います。どうもありがとうございました。 ○大島委員  今の堀部先生の御質問に対して私なりに追加しますと、玉腰先生の研究班は、御説明 がありましたように、過去2年やっておられまして、その開始当初は、インフォーム ド・コンセントが前面に出た研究班として作られたと。私自身の解釈でございますが。 それで、高度情報通信社会推進本部の中間報告が昨年の11月に出まして、法制化専門委 員会も今年の2月に発足した、その動きと玉腰班の動きと、少し経緯が違っているとこ ろがあって、そこで疫学会としては、今の動きにも合わせて対応しようということで、 今日御出席の田中先生が理事をしておられる疫学会で委員会を作って対応しようという ことでございますので、もし田中先生、追加があれば、よろしくお願いします。 ○堀部委員  その点は前回も伺いましたのでわかっていますが、今、大島先生が言われた、高度情 報通信社会推進本部の検討で中間報告は昨年の11月19日ですけれども、私は、国の行政 機関の個人情報保護法の制定過程にも関わってきたものですから、それからすると、少 なくとも国の行政機関として位置づけられている、国立大学とか国立病院の場合には、 その法律のもとで、電子計算機処理されている個人情報は、その枠組みの中で考えるこ とになります。先ほど伺っていてよくわからなかったものですから、その点についても 質問した訳ですけれども、今後、恐らくそのあたりも議論になるかと思いますので、今 の段階では結構です。 ○高久委員長  わかりました。 いろいろまだ御議論があるかと思いますが、引き続いて大島委員の方から「地域がん 登録の現状と課題」ということでお話を伺いまして、その後、時間が残っていました ら、今の玉腰先生のお話についてもまた御意見をお伺いしたいと思います。大島先生よ ろしくお願いします。 ○大島委員  それでは、配付資料の中の資料の2をごらんください。「地域がん登録の現状と課 題」につきまして説明させていただきます。  まず、地域がん登録の仕組みでございますが、「一定地域に居住する人口集団におい て発生したすべてのがん患者を把握し、その診断、治療に関する情報並びに予後情報を 集め、保管、整理、解析する」、こういう仕組みでございます。 ここに書いてございますように、1960年代になりまして、がん対策の先進県である愛 知県、大阪府、兵庫県、神奈川県などで、がんの実態とがん対策の企画・評価の仕組み として、府県のがん対策という位置づけで、事業として行われるようになりました。国 の方では、1983年になりまして老人保健法が施行されるということで、老人保健法に基 づく老人保健事業、その中の地域がん登録を健康診査、管理指導事業の一環ということ で府県にその実態をするように求めております。  99年度には、全国で34の道府県市、下に表が書いてございますが、ここでがん登録が 事業として行われております。  下の方に行きますが、地域がん登録では、漏れをできるだけ防ぎ、長期間にわたる経 過を知るために、多数の情報源から時期を限らずデータを収集いたします。これを同一 人物に由来するものかどうかを正しく判断しまして、重複登録による罹患数の過大評価 を避けるために、個人同定情報をがんの情報とあわせて収集することが必須でございま す。  3ページでございますが、また、これらのデータを長期間保管し、整理することによ りまして、同一人物における複数の種類のがんの発生、多重がんと申しますが、この分 析が行うことができますし、また、個人同定情報を手掛かりにしまして、がん患者の予 後調査を行って、がんの種類別に生存率が計測されるということがございます。  ただし、このような個人同定情報は、記録照合といいますが、データのリンケージに 必要でありますけれども、一旦整理された後にはこれは不要でございますので、これを 外した形で集計、解析を行いまして、結果表には特定の個人が同定可能な形で公表され ることはありません。  次に、地域がん登録の役割とその成果について、幾つか紹介したいと思います。  まず、がんの罹患率とがん患者の生存率によるがんの実態把握でございます。がんの 罹患率でございますが、罹患率という余り使われない言葉を使っておりますが、がんの 発生率と言い換えてもいいと思います。一定の人口当たりに1年間に新たにがんと診断 される人口当たりの率でございます。この把握のためには、特定の地域の人口集団にお いて診断されるがんを漏れなく把握する必要がございます。  次に、がん患者の生存率でございますが、5年生存率は診断後5年時点で生存してい る者の割合でございます。地域がん登録による生存率は、一部の病院の成績に比べます と、偏りが少なくて、地域全体のがんの診療水準の評価の指標になるものでございま す。  前のページの下に大阪府がん登録の資料によります、がんの罹患率の推移を示してお ります。次のページの上の方には、大阪府がん登録資料に基づきます、主要な部位のが ん患者の生存率の推移を示しております。  次に、国のがん対策の企画と評価でございますが、これは前回の本委員会で瀬上室長 から説明されましたので、詳細は省略いたしますが、まず、1979年に第4次悪性新生物 実態調査が行われました。この調査では、当時のがん登録をしているデータを用いまし て、検診で発見された胃がん、子宮がん患者では、外来診断群に比べまして、より早期 のものが多く、生存率が高いことが明らかにされております。  この結果を受けまして、先ほど申しました老人保健法による老人保健事業、この中に 胃がん検診と子宮がん検診が組み込まれるという判断の資料になったと考えます。  第2は、第5次悪性新生物実態調査、これは89年に行われていますが、18のがん登録 資料を用いて分析しましたところ、がん罹患数が急速に増加しつつある。中でも高齢の もの、難治がん、多重がんという増加が挙げられまして、今後の課題であるというふう に指摘をされました。  次の5ページをごらんください。  老人保健事業におきまして、がん登録は、先ほど申しましたように、健康診査管理指 導事業の一環と位置づけられておる訳ですが、ウに示しましたように、がん検診の有効 性の評価と精度管理におきましても、地域がん登録資料は活用されております。詳細 は、ここに示したとおりでございます。  また、エのところに示しました国際社会の一員としての国際協同研究への参加がござ います。5年ごとにIARC、国際がん研究機関から発行されている5大陸のがん罹 患、Cancer Incidence in Five Continents 、CI5と略しますが、これは非常に重要 な国際協同研究でありまして、がん罹患の国際比較、民族比較などの重要なデータベー スでございます。97年に刊行されました第7巻には、日本を含めまして50か国、150 登 録から183 の人口集団についての1990年を中心とする5年間のがんの罹患のデータが収 録されております。  また、がん患者の生存率の協同研究につきましては、ヨーロッパでは Eurocare study、米国ではSEERprogram の生存率がございますが、これと我が国の データを比較することによりまして、我が国を含め国別のがんの診療レベルを比較して 問題点を把握し、これを改善するというのに使うことができます。 次の6ページをごらんいただきたいと思います。  以上のようなことで、がん登録は、私は公衆衛生の向上に貢献をしてきたと考えるも のでございますが、地域がん登録における個人情報保護の現状について次に申し上げた いと思います。  現在行われていますがん登録は、府県の事業という位置づけで実施されております。 老人保健事業の中では、健康診査管理指導事業実施要綱という国が定めた要綱に基づき まして実施されてまいりました。さらに、厚生省がん研究助成金の地域がん登録の研究 班がございますが、ここでは欧米の経験や国際がん登録協議会が作成しましたガイドラ イン、これは92年でございますが、これに学びまして、96年に「がん登録における情報 保護ガイドライン」をまとめております。各登録室では、このガイドラインに沿いまし て、個人情報の安全保護の措置を講じてまいりました。  このガイドラインでは、まず、登録に際しすべての患者から同意を得ることは事実上 不可能な状況にある。同意が得られた患者の情報のみを登録することになれば、先ほど 申しましたように、漏れが出てまいりますので、罹患率の計測ということは不可能にな りますし、収集したデータで生存率を計算しようと思いますと、偏りのあるデータにな るということで、そういうことを踏まえまして、地域がん登録による公益と自律性尊重 の両者が比較考量されました。  その結果、個人情報の扱いに関する適切な安全保護措置を講じることを条件としまし て、本人の同意を得ないで医療機関からデータを収集し、利用することも許容されると いう見解を示しまして、その条件を具体的に挙げました。  第4章のところには「地域がん登録に携わるものの責任」といたしまして、個人情報 収集につきましては必要最小限に限るべきだと。登録目的のために追加して検査をする ということはあってはならない。患者あるいは患者の家族と登録室が接触することはい けないということなどが書かれております。  第5章の「データの収集、整理、蓄積に際しての個人情報保護対策」におきまして は、地域がん登録室の管理責任者の責任はこうであるということが細々書かれておりま して、次のページ、地域がん登録室職員の義務も書いております。義務に違反すると首 になるというようなこともきちんと書いた誓約書を取ろうということになっておりま す。それから、登録室への入室の制限。個人情報にアクセスする職員、個人情報の保 管、コンピュータの不正使用の防止、出張採録における注意、郵便の利用における注意 などが書かれております。  第6章の「データの利用に際しての個人情報保護対策」につきましては、審査機関を 設置すること、データ利用に関しての審査機関の判断基準などが示されております。こ のように、国の指針や研究班のガイドラインを遵守することによりまして、地域がん登 録では、これまで機密の漏洩などの問題は1例も起こしておりません。  なお、個人を同定し得る情報を暗号化しまして、暗号を解くかぎは別のところで厳重 に保管するということにすれば、個人情報の保護を図ることができるという考えがござ いまして、実際にドイツでこの試みが行われておりますが、ドイツのシステムでは、同 一人物かどうか判定できない場合には、個人同定情報が既に暗号化されておりまして、 非常に判定が難しくなるということになりまして、別人として処理されている可能性が 高く、この暗号化の試みは成功しているとは言えないという論評がございます。  次に、現行の地域がん登録の代替案として考えられる方法とその問題点について述べ てみたいと思います。  まず第1は、本人の同意を得て収集し、利用する方法でございます。次の8ページを ごらんいただきたいと思います。これまで、本人に危険や不利益の可能性のある医学研 究では、インフォームド・コンセントは必須であるというふうにされておりますが、が ん登録のように、医療の記録に基づきまして、本人に負担をかけることのない、最小以 下の危険、不利益のものにつきましては、インフォームド・コンセントは必ずしも要求 する必要はないとされてきたと考えます。特に我が国の現状では、がんの治療におい て、がんの告知が全ての患者にはなされていないこと、登録対象が既に死亡しているこ とも多いということを考えますと、インフォームド・コンセントを必須事項としますの は適切でないと考えます。  がん登録におきましては、がん患者と個人的に接触して登録が実施されるということ ではありませんで、情報は医療の目的で蓄積された医療機関の医療記録や、検査室のレ ポート、あるいは死亡診断書や住民登録などから情報は収集されます。したがって、本 人の同意を得る仕組みを確保することは非常に困難でございます。  以上のようなことを総合的に考えますと、登録に際しすべての患者から同意を得るこ とは事実上不可能な状況にあると言えます。同意が得られた患者の情報だけを登録する ということになりますと、先ほど申しましたように、がんの罹患率は計測できなくなり ますし、収集したデータは予後のよいものに偏りまして、がん患者の生存率というもの も信頼性のないものになってしまいます。 このため、がん登録にインフォームド・コンセントを求める試みは、世界的にもこれ までドイツのハンブルグで実施されただけにとどまっております。このハンブルグでの 実験では、その結果、登録は極めて不完全なものとなりまして、登録の意味、価値がな くなりまして、その後、結果は刊行されていないという現状にございます。  次に、家族などによる代諾を求める方法でございますが、がんの告知は、本人はなさ れていなくても、家族を含む誰かには何らかの告知がなされているはずでありますか ら、告知されたものに対して、がん登録について代諾を求めるということは考えられる かもしれません。自己に関する情報の流れをコントロールするというプライバシー概念 からすると、判断能力に問題のある人や子供の場合を除きまして、この代諾というのは 問題があるというふうな指摘もあるかもわかりませんが、この方法も1つの検討事項で あろうかと思います。  しかし、さきに述べましたように、医療記録に基づく地域がん登録におきまして、漏 れなく代諾を求める仕組みを確保するというのは非常に難しいものがあるのではないか と考えます。  次は、地域がん登録の仕組みを周知し、登録の拒否を申し出たものについては登録し ないという、いわゆるopt out optionがございます。次の9ページをごらんいただきた いと思います。地域がん登録の仕組みを周知いたしまして、拒否を申し出たものについ ては登録しない。拒否を申し出なかったものについては、同意したと見なして登録する 方法でございます。これは一見現実的な解決方法であるように見えますが、周知の徹底 をどのように図るかという問題があるかと考えます。医療機関に掲示しておけば、それ で周知できたんだというふうに見なすというレベルから、すべての患者に対してがん登 録の存在と意義を説明するまで、幅広くあるかと思います。しかし、誠実に対応すると すれば、結局のところは、1人1人のがん患者に説明して同意を得ることにならざるを 得ないと考えます。この方法には、拒否しないものを同意したと見なしますので、倫理 原則の一つであるジャスティスの問題から問題があるとも考えられます。  また、対象者の拒否を関係者に周知させる仕組みの確保も、現実的には非常に難しゅ うございます。例えば、主治医に拒否を申し出ても、そのことを関係者に正確に伝達さ れる仕組みを確保しなければ、それに気づかず届出がなされてしまうというようなこと もあるかと思います。このように、地域がん登録の仕組みを周知し、登録者の拒否を尊 重する仕組みを確保するというのは、極めて困難であるかと考えます。  その次は、同意を求める時期とその形態でございますが、通常、がん登録は治療が終 わって退院する場合の退院カルテ、あるいは退院抄録に基づいてなされることが多い訳 ですが、この時点では既に死亡していたり、治療がうまくいかなくて、患者、医師の関 係が壊れているという場合もあるかと思います。この時点で同意を求めるというのは、 したがって難しい。そうであれば、治療終了時点でなくて、治療の開始時点で同意を求 めるということもあり得るかと考えます。しかし、開始時点では、患者も主治医も最大 の関心は治療とその後の経過でありまして、この時点で同意を求めるということは、双 方に大きな負担とならないだろうかという心配がございます。 最後に、患者一人ひとりの同意を得るかわりに、がん登録の意義について社会的な周知 を図る方法があるかと考えます。がんの治療とは関係なく、一般的に地域がん登録とい う仕組みがあって、がんと診断されたものは医療記録に基づきがん登録に登録されると いうことにつきまして、医療機関を受診した時に何らかの方法で周知する、こういう仕 組みが有効でなかろうかと考えます。  また、医療機関を受診する前に、広く国民に、一般的に地域がん登録という仕組みに ついて認知を求めることも重要であると考えます。今回のような専門委員会が公開され て、その議論が公開されるということとか、あるいはがん登録の法的整備に関しまして 国会で審議されるということも、社会的な認知を得るための優れた方法であろうという ふうに考えます。  最後に、欧米諸国における個人情報保護と地域がん登録でございますが、10ページの 初めに書きましたように、欧米では、地域がん登録はがん対策を実施する上での必須の 仕組みと位置づけておりまして、個人情報の保護の高まりの中にありましても、公衆衛 生上の必要から、適切な個人情報保護の安全保護措置を講じることを前提に、本人の同 意がなくてもデータの収集と利用が行われるよう法的な整備をなされております。 先ほど申しました、欧州でのEU指令のことを一番に書いております。第8条第3項 では、予防医学、医学診断、ケアの計画及び健康サービスの管理及び守秘義務を負う保 健専門職によってデータが処理される場合には、同意原則は適用されないということが 示されておりますし、第8条第4項では、国内法によって重要な公衆の利益のために個 人の明確な同意を求めることなしにデータ処理が可能と規定することができるというふ うにしております。公衆衛生と科学的な研究は、重要な公衆衛生の利益と定義されてお ります。地域がん登録事業は公衆衛生でございます。  次に米国でございますが、米国では、連邦政府が州政府に助成する条件としての地域 がん登録修正法というのが92年に成立しておりますが、ここでは各州でがん登録法や規 則を制定すること、その中で、病院あるいは医師に対してがん症例を漏れなく届出する ようにという要請、あるいは登録室が従業員に行ってがん症例の医療記録を見るという ことを保証する、それから機密保護、開示の禁止、一方で研究者へのがん登録資料の開 示と利用の手順を決めること、さらには、がん症例の届出や、がん症例情報へのアクセ スに関しまして訴訟をされることからは免責されるということを規定することなどが明 示されております。このような、欧米諸国ではがん登録の法的な整備がなされておりま す。  したがいまして、7番に書きましたけれども、私としましては、我が国においても同 じような地域がん登録の法的整備の必要があるのではないかというふうに考えました。  本委員会は、ここはミスプリをしてしまいましたが、疫学的手法を用いた研究等にお ける個人情報保護等の在り方に関するガイドラインを制定するというのが主たる任務で あるかと思うんですが、地域がん登録事業を含む公衆衛生活動の維持発展につきまして も、個人情報保護に関する基本法の法制化に際しましては、中間報告に示されました個 人情報保有者の責務に関する5つの基本原則につきまして、さきに述べましたような除 外規定を設けることをぜひ要請したいと考えます。  また、今後、医療分野における個人情報保護に関する個別法の法制化に際しまして は、がんをreportable disease、すなわち医療機関や医師に対してがん症例を漏れなく 届け出ることを要請しまして、届出や出張採録に関しましては訴訟から免責されるとい うことを明示する。そういうこととともに、地域がん登録の意義、あるいは都道府県に おけるがん登録事業条例の制定に関する根拠を明確にするなど、地域がん登録の法的整 備につなげることが必要であろうかと考えております。 以上でございます。 ○高久委員長  どうもありがとうございました。  今の大島委員の御報告に、どなたか御質問あるいは御意見おありでしょうか。 ○丸山委員  大変わかりやすい説明をいただいて、かなりわかってきたんですけれども、登録の仕 組みについての説明が所々に出てくる。例えば、8ページの第3パラグラフに「がん患 者と個人的に接触して登録は実施されることはなく」云々、それから9ページのエのと ころに「がん登録は治療が終わって退院した場合の退院カルテなどに基づきなされるこ とが多い」というぐあいに出てくるんですが、せっかく2ページの上の方に、これは恐 らく、どうやって登録のために情報を入手されるかの図だと思うので、これについて御 説明いただければ大変ありがたいと思いますが。 ○大島委員  ありがとうございました。  それでは、2ページの上の図について説明させていただきます。これは大阪府がん登 録を例にしまして登録情報の流れを示しております。大阪府の事業でございますので、 大阪府の保健衛生部、この4月14日から健康福祉部と名前が変わりましたが、そこが 大阪府医師会にこの届出の業務を委託しております。大阪府医師会は、府内の病院、診 療所に対しまして、がんという診断がついた患者については、例えば退院した時とか、 再発した時とか、亡くなった時に届けてくださいということをお願いします。医師会か ら病院、診療所に依頼がありまして、その依頼に応じて、病院、診療所は、届出票を医 師会に送ります。月に1度、医師会から大阪府がん登録の中央登録室のある大阪府成人 病センターの調査部にこの情報が届けられる。  一方、保健所には、病院、診療所で作成されました死亡診断書に基づいて、市町村で さらに死亡票という形にしたものが保健所に、正式には死亡小票と申しますが、送られ てきます。この死亡小票を取りまとめまして、保健衛生部、現在の健康福祉部は、私ど もの方にまた持ってまいります。この中から、がんの記載のある死亡票をより分けまし て登録をいたします。このように、いろいろな時期に情報が登録されるということでご ざいます。  さらに、がんの患者さんの診断後5年、それから大阪府がん登録では10年の時もして おりますが、患者さんの個人同定情報を手掛かりに、大阪府の健康福祉部を通じて保健 所に、市町村の役場に住民票の閲覧をしていただきまして、それぞれの患者さんの、そ れまでまとめました情報の中で死亡が確認されていないものについて、生存の確認、あ るいは転出、あるいは死亡の情報を把握するというような作業をしまして、予後情報が 集まります。こういういろいろな時点で発生した情報を1人の人にまとめるという作業 が、中央登録室の重要な業務でございます。そこに個人同定情報が必須であるというこ とでございます。  簡単ですが、以上のような流れでございます。 ○高久委員長  どうもありがとうございました。  ほかにどなたか御質問ございますか。 ○丸山委員  今の御説明で、もう少しお尋ねしたいんですが、医師会から病院の方に依頼が行っ て、そして病院の方から届出票が返ってくる。届出票の記載というのは主治医がなさる ということでよろしいんですか。 ○大島委員  今では、一定規模以上の病院ですと病歴室がかなり整備されてございますので、そこ で病歴室、あるいはその病院での院内の登録ということで整理されておりますから、そ の中からがんの患者さんを拾い出して、がん登録の届出のフォーマットに記述すると か、あるいは磁気媒体で出す。その前に主治医の先生がチェックするという形が、大き な一定規模以上の病院では行われています。ただし、小さな規模の病院とか診療所です と、主治医の先生が自らがお書きになるということになるかと思います。いろいろな場 合がございまして、必ずしも主治医がすべて記載するということでなくて、病院の病 歴、院内登録で大体の情報が書かれて、それを主治医がチェックするというのが、今で はかなり一般的になっております。 ○丸山委員  大きな病院では事務官が登録の。 ○大島委員  事務官ではなくて、診療情報管理士です。 ○丸山委員  医療職なんですか。 ○大島委員  診療情報管理士という資格、といっても日本病院会・医療推進財団が設定するもので すけれども、そういう資格を持ったものがそういう業務に当たっております。 ○丸山委員  わかりました。  それからもう1つ、この患者の予後調査で住民票などを調べるのは、成人病センター の調査の方が出向いて調べられるということですか。 ○大島委員  これは保健所の職員が出向いて調べております。 ○櫻井委員  大島先生に対する質問ではないのですが、堀部先生や丸山先生、法律の先生方に質問 的なことを含めて申しあげたいことがあります。登録事業に、がん登録ともう1つ、脳 卒中登録というのをやっているのです。登録事業という意味では非常に似通った部分が あるのですが、違う部分が相当あって、例えば今の大島先生の御説明の中にあったよう に、がん登録というのは、がんの告知というのが100 %行われていない現状ではという ようなところが問題点としてある訳ですけれども、脳卒中の場合は、告知の問題はない 訳です。  違う面は幾つもあるんですけれども、先ほどがんの登録の場合は登録の時期を治療開 始時にというような話がありましたけれども、脳卒中の場合は、治療開始時というの は、多くのケースで、意識を失った状態が多い。もちろんそうでないような脳卒中もあ りますが、多くの場合本人の同意を得ることは不可能な状態で起きるわけです。がんの 場合は、不治の病にしても、最初から意識がなくなっていることはないですから、その 辺が物すごく違うわけです。同じ登録事業でも、がんと脳卒中では違う部分があるの で、逆に言えば、がんに関しての特殊な部分の問題点だけを余り重要に考えていただい て、そこだけをどうすれば良いかというふうにお考えいただいてしまうと困る部分があ るような気がします。  登録事業という意味で、問題は、がんにしろ脳卒中にしろ、患者さんは医療機関に は、治療を目的としていらっしゃっているのに、実は治療という目的以外の登録という ことに使う。正しい言葉かどうか知りませんけれども、目的外に患者さんの情報を医療 機関が使おうというところに問題点があるのだろうと思うんですね。  その時に、ここから先が先生方に教えてほしいと思っているのですけれども、実際に は目的外に使用するのですけれども、本来は個人を識別するというようなことではなく て、全体的な統計的処理が行われるだけだけれども、ただ、重複を避けるために個人の 識別ができる情報とくっついているだけであって、一人ひとりについて、例えばAさん がどうだということを出そうとしているのではない。それが1点。  もう1つ、例えばがん登録も脳卒中登録も、今まで長い間事業として行われてきてい て、個人に対して迷惑をかけた、あるいは個人が不利益を被ったということは全くない だろうと思うし、今後もないだろうと思うんです。それでも個人情報を目的外使用とい うか、本人の承諾的なものがなくて使うことはいけないことなのかどうかというのが第 2点です。個人情報の保護というのは、本来は個人を保護してあげるのであって、個人 に不利益があったり、個人に対して害を及ぼすことから保護するのであると考えれば、 登録事業というのは、今のがんの特別な部分だけではなくて、脳卒中であろうと、ある いは今後、例えば、ほかの病気についても登録をしようというようなことがあったとし ても、私は問題がないような気がするのですが、その辺を法律の先生方がどう考える か。これはこの委員会の今後の検討事項だと思うんですけれども、今の時点で発言させ てもらいます。 ○堀部委員  櫻井先生が今言われた点、先日も高度情報通信社会推進本部にお出でいただきました 時にも同趣旨の御発言がありましたが、個人情報保護制度の面から見ますと、もちろん 個人を保護するということにもなりますので、原則としては先ほども玉腰先生が言われ たインフォームド・コンセントというのを一般的にどこまで使うかというのはあります けれども、収集の段階でどのように本人の同意を得るかが問題となります。病院なり医 院に診療を受けに来るという時には、本人はそのことには同意しているのだということ も言えるかもしれません。  そこで、通常の概念からしますと、収集された情報を、それは診療目的だというのは 先生言われるとおりだと思うのですが、それを目的外に利用するという時に、原則は一 定の目的内でということにはなりますけれども、何らかの例外というのはどの原則にも ついて回りますので、それが疫学研究、公衆衛生という公益目的から目的外利用するの もいいという判断に立てば、最初の段階での明示的な同意がなくとも目的外利用は可能 だという議論も成り立つと思います。  そのあたりを含めて、どういう結果になるかはわかりませんが、個人情報の保護等の 在り方としてどのように考えるべきなのかというのは今後の議論になってくるかと思い ます。一般論として言うとそういうことですので、何らかの例外はあり得るということ になります。大島先生が挙げられたEUの指令なども、原則を掲げながら例外は出てく るという考え方になってくる訳ですね。 ○高久委員長  どうもありがとうございました。  確かに例外を作ってもらわないと、がんの場合に、どういうがんが増えているかとい うのは極めて重要なデータである、それが同意者だけのデータになりますと、正しくな い。脳卒中でもそうだと思います。動脈硬化によるものと、出血によるものとがどう変 わってくるかなどということは、予防という意味から言うと極めて重要なデータになる と思います。そういう点は国民全体のためになるという観点から、除外的なことを考え ていただく必要があるのではないかとは思います。  ほかにどなたか御質問ございますか。 ○安冨委員  大島先生にお教えいただきたいんですけれども、大阪府のがん登録におきます個人情 報の収集と提供ということについて、府のやる事業ということでございましたので、大 阪府における府の個人情報保護条例があると思います。それの関係で当然おやりになっ ておられるというふうに仄聞しておりますけれども、個人情報収集に関する条例上の登 録と、外部提供との関係で、登録は恐らく条例に沿って審議会で御了解を得られている というふうに理解してよろしいのかと思いますが、外部提供との関係なんですが、公立 病院の場合でありますと、病院から大阪府の医師会に提供する、そしてそれが成人病セ ンターの方に行くという場合の外部提供の仕組みとして、いわば医師会、行政機関とは 言えない機関への外部提供というのがどういう形で審議会の方で御了解を得ているの か。そのあたりの個人情報収集並びに外部提供に関わる個人情報保護条例の仕組みの中 での考え方、これについて大阪府の方ではどのように考えておられるのかということを お教えいただければありがたいと思います。 ○大島委員  今、安冨先生がおっしゃった外部提供というのは、公立病院の場合で、そこで個人情 報保護条例を持っている自治体もある場合に、病院から外部へ出る時にどうかというこ とでございますね。大阪府では、先生も言及いただきました大阪府個人情報保護条例と いうのが96年に制定されまして、早速その中で大阪府がん登録は個人情報保護条例との 関係がどうなるのかということで、個人情報保護審議会で議論がされました。今御指摘 の、収集においても、資料の利用においても、本人同意の原則というのがあり、それに ついていろいろ御議論いただきました。個人情報保護条例では、審議会の審議を経て、 これは例外だと認めるという場合には認められるということで、大阪府の個人情報保護 審議会では、本人の同意を得なくて収集するとか利用するということについては、幾つ か条件、周知を図るとか、大阪府がん登録資料利用規定を大阪府が責任を持つような形 できちんと作り直すというようなことで、そこをクリアしました。  問題は、今先生がおっしゃいました公立病院で自治体等が個人情報保護の条例を持っ ている場合でございますが、現在のところ、大阪府下の自治体で、自分のところの個人 情報保護条例に関わるのでがん登録の方に届出ができないというふうな申し出は、私ど もは聞いていないんですが、実はこの3月に34の道府県市のがん登録の登録事業をして いるところに調査をいたしました。そうしますと、幾つかの登録室からは、自治体の条 例に引っかかるので、届出に協力できないという問題が出てきたということが書かれて おりまして、今、先生御指摘の問題は、大阪では具体的にはないんですけれども、幾つ かの府県でそういう事例というか事案が出ていることは事実でございます。  したがって、このままの状態でがん登録事業が今までどおり機能するとは思えません で、この時点で何らかの整備を図らないと、今までどおりがん登録、これだけのことを してきたんだから、これからも同じようなことをさせてくださいということではなく て、この時点で何らかの法的な整備をして、自治体の条例、府県の条例、あるいは国の 法律というようなところの整備をして、先ほど欧米の例を申しましたけれども、そうい うようなことをしないと、届出の御協力がいただけなくなって登録精度が悪くなって、 登録の意義そのものがなくなってくるという事態は十分心配されるところでございま す。 ○安冨委員  御質問させていただきました趣旨はまさにそこにございまして、法律上の整備を図っ ていく上で、むしろ個人情報保護に関するのは条例の方が法律よりも各自治体で先行し ているという事情があって、そういう状況の中で、絞りが非常に厳しいといいましょう か、消極的な判断をするところが出てくるということもあり得る訳ですから、法律を整 備する過程の中で、むしろ条例にそういうしばりのないような仕組みで法律を作ってい く視点がないと、全国的な意味でのがん登録事業、あるいはもっと別の意味での登録事 業も含めて、うまくいかなくなるのではないかという懸念があるということで、先生に 全国のお話を承ってありがたかったんです。大阪府でどうなっているかなということを お聞きしたかった資料でございます。  以上です。 ○高久委員長  どうもありがとうございました。  ほかにどなたか。 ○堀部委員  今の安冨委員の質問も関連いたしますが、大島先生から、大阪府では審議会でこうい う登録については認めているということで、支障は生じていないということは前に伺い ました。兵庫県では審議会で議論があって、たしかまだ決着がついていないのでしょう か。それから、福岡県ではがん登録をやめたと伺ったんですが、先ほどの3月の調査結 果というのは全国の34センター全部について行ったものなのでしょうか。もし差し支え なければ、今日の段階か、あるいは別の段階で、どういうふうにそれぞれ議論になって いるのかということを示していただくと、今、安冨委員が言われたように、法的にどう するのかということを考える際には非常に参考になると思います。 ○大島委員  34の登録室のうち31から回答がまいりまして、それをまとめたものを、今報告書の形 にしておりますので、改めて先生方にはその結果を示したいと思います。 ○高久委員長  ほかにどなたか。前の玉腰先生に対してでも結構ですが。 ○丸山委員  先ほどの堀部先生の御質問とも関係するんですけれども、インフォームド・コンセン トがまず出てくるのか、あるいは個人情報保護かということなんですが、私、間違って いるかもしれないんですが、考えますのは、疫学研究というのは、生の事実、生のサン プルを相手にすることもあるし、場合によってはがん登録、あるいはカルテ研究のよう に、出来合いのデータを利用するものもある。生の事実、サンプルを利用する場合は、 インフォームド・コンセントがまず前面に出てくると思うんですが、出来合いのデータ の利用が中心になる場合は、個人データの保護が前面に出てくるのではないかと思う。 今のがん登録はどちらかというと後者でございますね。ですから、個人データ保護で、 安冨先生、堀部先生の御発言が非常に重要になってくるのではないかと。ですけれど も、疫学研究全体で見ますと、それだけに限らないというので、玉腰先生のインフォー ムド・コンセントをまず押さえるというようなことになってくるのかなという感じがい たしました。  もう1つは単なる質問なんですが、櫻井先生から先ほど脳卒中の登録の御説明をいた だいたんですが、疾病登録につきましては、それ以外にも難病などを中心に、個人レベ ルあるいは学会レベルで登録をされている疾病があると思うんですが、それと違って、 がんと脳卒中を先生が挙げられましたのは、医師会が関与しているという点で、この2 つが重要だということでございましょうか。 ○櫻井委員  特に医師会が関与しているから重要であるという意味ではなくて、がん、脳卒中とい うのは、日本人の死亡原因の1番と2番ですから、難病と比べて圧倒的に数が多いし、 対象となる人が多い。日本人国民全体の多くの人に関係のあることをきちんとやること で、日本人国民が全体の利益を被る部分が非常に多いというつもりで申し上げていま す。  更に登録という意味ではなくて、大島先生とか疫学の先生が実際にはいろいろな調査 を行っていて、いろいろな観点から別の目的にその調査が使われるというようなことも 相当あると思います。例えば国がやっている国民栄養調査というのは、目的が一応書い てあると思いますけれども、そこには太り過ぎがどうとか、食事がどうとか書いてあり ますけれども、いろいろな学問が進んでいくと、それらが最初の目的以外に非常に重要 な意味を持ってきて、それがどうだというような別のことに使われるということがいっ ぱい出てくると思います。そんな意味で申し上げました。  それから逆に丸山先生に質問ですけれども、さっき先生が「生の」とおっしゃったの はどういう意味でおっしゃったんでしょうか。 ○丸山委員  観察の対象として、血液等のサンプルを見るとか、あるいは行動パターンを 見るとかいう、まだ情報化、データ化されていないものを対象とするということです ね。 ○櫻井委員  でも、それはがん登録や脳卒中登録でも一緒の問題として出てくるのではないでしょ うか。そういう意味を「生」とおっしゃるのでしたら。 ○高久委員長  これは玉腰参考人が説明された生体由来ですね。 ○丸山委員  生体由来もありますし、行動パターンなんかも見ることはないですか。煙草を吸う。 ○高久委員長  どうなんでしょうか、行動パターンは。 ○櫻井委員  登録事業じゃないですけれども、例えば、国でやっている老人保健法に基づく検診事 業がありますけれども、必ず問診票というのがありますから、普通の身体検査の時に、 煙草をどのくらい吸っているか、いつから吸っているかというのを書いて持ってくる。 そうすると、それはもちろんその人の検診の結果を生かす意味で使われているんだけれ ども、逆に統計的処理に使うケースはあり得る訳ですね。例えば住民の中で煙草を吸っ ている人が50%いたとか、だんだん減ってきたとか。でも、検診の時に書いてくる住民 は、自分の健康を見てもらうために、自分が煙草を吸っていることを書いてきていると 思っているので、これが全体的な統計に使われるというような認識は少ないだろうと思 います。そういうのがいっぱい出てくると思うんです。 ○田中委員  先ほどの脳卒中登録の意義を追加させていただきますが、脳卒中になられた方は、そ んなにお亡くなりにならない。つまり、致命率は非常に低い訳ですね。ですから、脳卒 中が日本で増えてきておるのか、減っておるのかは、死亡統計では非常にわかりづらい 訳ですね。罹患された人を見ていかないとわからない。つまり、罹患されたといって、 直ちに亡くなる病気ではなくなってきた訳ですね。非常に生存率が高い訳です。また、 先ほど高久先生から御指摘がありましたように、脳卒中といったっていろいろなタイプ があります。特にCTが普及してきましたものですから、たくさんのタイプがありま す。わかりやすい言い方をすれば、出血するタイプもありますし、血栓のたまるタイプ もある訳ですし、それも部位によって成因が異なる訳ですね。ですから、もしもあるタ イプの脳卒中罹患率が、発生率が増えていく、減っていくとなれば、それぞれに対応し ていく必要がある訳です。そういったことの有用性が1つありますね。  それからもう1つは、前回私は、いわゆる前向き研究、コホート研究で説明させてい ただきましたように、例えば血圧が高い人から脳卒中が起こってくるのかどうかといっ たことをやる時には、検診で血圧測定したデータと、そして脳卒中に罹患された方の登 録によるデータとの個人同定をしなければ、そういうことがわからない訳ですね。個人 同定をした結果、高血圧の人は治療をすれば脳卒中の罹患確率が減るということで、こ れは前回も申しましたように、何千万という人がその恩恵を受けておる訳ですね。です から、こういうコホート・スタディの個人同定として、罹患率の情報、疾病登録は非常 に重要であるということです。  それからもう1つ、現在、御存じのように介護の問題があります。日本人の場合は、 いわゆる寝たきりの方、あるいは、いわゆる痴呆の問題もありますが、アルツハイマー 型と脳血管性の痴呆というのも1つある訳ですね。そういった時に、日本人はまだ現在 でも脳卒中による後遺症としての痴呆も多い訳です。そういった方に対して疾病登録が ありますと確実に介護サービスができるという利点がある訳ですね。ですから、そうい った有益性、公益性を重んじてもいただきたいと。我々は個人情報の保護をできるだけ 留意いたしますが、それとともに、そういった脳卒中登録の有益性、公益性ということ を非常に重んじていただきたい。  それから、目的外使用のことについては、これも私は前回、いわゆるコホート内症例 研究、すなわち英語では、ネスティード・ケースコントロールということで説明させて いただきました。これは血清を保存しておる訳ですね。その時点ではどういう血中の物 質がどういう病気に関わりを持っておるかはわからない訳ですが、緊急の場合が出てく ることがあります。  非常に卑近な例かもしれませんが、ダイオキシンと乳がんをこの前、例にしてお話し しましたように、血中にもしダイオキシン濃度があった時に乳がんの罹患が多いという ようなことを言われ出してきた時には、それを調べたら、直ちに回答は出てくる訳です ね。ですから、広い意味での健康危機管理に非常にそういったことが重要である訳で す。  当初、血液は、例えばですが、コレステロールと心筋梗塞のことを見るために研究い たしますというインフォームド・コンセントをしておいたとします。そうしたら、それ 以外のことが起こってきた時にできないんですかという訳ですね。そしてまた、いわゆ る症例対象研究では、妊娠初期におけるサリドマイド服用と四肢障害との関わりについ ても説明したですね。そういった時には、インフォームド・コンセントしておれば、そ の期間中に犠牲者が出るということが起こる訳ですね。ですから、がん、あるいはそう いった奇形の発生、時には命に関わるようなことがあった時に、直ちに対応する必要が ある訳ですね。そういったことの御理解もしていただけたらありがたいと、このように 思う訳です。  先ほど堀部先生から質問のありましたことに言いますと、個人情報保護基本法の話よ りも先に玉腰班が発足しておりましたから、インフォームド・コンセントの在り方に重 視しておりました。それは事実であります。しかしながら、今、日本疫学会と、医学部 の中に予防医学を担当する講座が平均的には2つございます。すなわち、衛生学教室と いうのと公衆衛生学教室というのがありますが、その教室の教授で構成されております 衛生学・公衆衛生学教育協議会というのがございまして、そこの中にも個人情報保護と 疫学的研究との関わりということで、個人情報保護を重んじた検討委員会を頻繁に合同 で開催しております。その中の1つとして玉腰班のインフォームド・コンセントの在り 方を一応骨子にして、なお未解決の問題もやっていきたいと考えております。  それからもう1つは、先ほど各施設で倫理委員会がないというところがありますの で、何らかの形で、日本疫学会の中もしくは衛生学・公衆衛生学協議会の中でもいいで すが、公平に判断できる倫理委員会を設定して、それに対応したいという考えも持って おります。  以上、追加させていただきました。 ○高久委員長  その協議会の結論はいつ頃までに出るのでしょうか。 ○田中委員  現在は、中間報告前に出したいというところで、遅くとも6月中には出したいと考え ております。 ○高久委員長  どなたか御質問おありでしょうか。 ○櫻井委員  さっき僕が「生の場合には」とおっしゃったことでお聞きしたのは、もし生体由来の 試料という意味でおっしゃったのだったら、今、田中先生がおっしゃったように、その 場合でも目的外使用というか、後で別のことがわかってきて、ほかのことに使わなけれ ばならないケースがあるし、それもだめだと言われたら、ものすごく医学研究が遅れる ということを思ったのでお聞きしたんですが、もう一遍、「生の場合」にはインフォー ムド・コンセントが絶対必要だとおっしゃったように思うんですが、その「生」という のはどういう意味ですか。 ○丸山委員  生の場合にインフォームド・コンセントが必要とまではまだ言っていないんですが、 将来言うかもしれませんが、今言いましたのは、生の試料の場合は、採取する際に同意 の問題が前面に出てくる。同意が要るか要らないか。だけど、例えば先ほどの問診票で すね。集団検診で問診票に記入するまではまだ生のデータなんですが、記載してしまえ ば、そのデータをどう使うかは個人情報保護の問題になるということですね。ですか ら、一旦、紙化というか、今だったら磁気化もあるかもしれませんけれども、記録され てしまった段階では、情報保護の問題が前面に出てくるというだけでありまして、イン フォームド・コンセントは必ず必要というところ、そこにウエイトを置いてお話をした のではなくて、インフォームド・コンセントの問題が中心になっているか、個人情報保 護の問題が中心になっているか、それがデータが生であるか、玉腰先生のガイドライン では、情報が増加するものであるか、あるいは増加しないものであるか、そのあたりに 違いがあるのではないかという、そういう趣旨であります。  それから、先ほどの目的外使用のことでありますけれども、これもここでいろいろ御 検討いただいて結論が出ることだろうと思うんですが、先ほどのような当初の採取の目 的以外の目的でも使う可能性が見越せるのであれば、当初の同意の際に、ほかの研究の ために使うこともありますよという現在のミレニアムのガイドラインの同意書、説明書 の中でなされているような説明の在り方も、私はその同意書自体、諸手を挙げて賛同す るところまではまだいかないんですけれども、1つの方法としてあるかなというふうに 考えます。 ○高久委員長  確かに最初に「生の」というか、生体の由来の場合は特に、同意書を取る時に、もち ろんその時の主な目的は書く訳ですが、その他の場合にもいろいろな条件ですね。公衆 衛生学的な意味が深い場合、あるいはさらに倫理委員会の審査を経た上で使うことがあ り得るということの同意をいただいておれば、それほど問題がないのではないかなと思 いますが、どうなんでしょうか。 ○櫻井委員  それも、がん登録とはちょっと違いますけれども、同意を得た人だけをやるというこ とになると、ある集団を調べた時に、同意を得た人だけのデータを出すということです から、意味がなくなるケースが多いと思います。ある地域の住民の間で何かあって、そ の時、同意を得た人だけ調べるというのは、その人達の特定なグループになる訳ですか ら、本当に学問的なものが出せるのは、同意がなくても調べられるというふうにしない と、そこのところが先ほど僕が申し上げたことなんですけれども、それは個人情報保護 という意味から言えば、その人に対して何の不利益も与えないはずなので、かつ多くの 国民には大きな利益を与える訳ですから、それをやってはいけないということを決める ことに、僕は反対というか、反対と言ってはいけないのかもしれないけれども、ぜひそ うしないでほしいと思っているのです。 ○高久委員長  例えば血液とか、生体由来の試料を取るときには、やはり同意が必要なのではないで すか。 ○櫻井委員  でも、それは、血液を取る時に、例えばコレステロールを調べますよ、場合によって それ以外にも調べますよと言われたら、それは嫌だという人が必ずいると思うんです。 1,000 人やれば、300 人とかは嫌だと。コレステロールを調べることは同意したけれど も、それ以外は勝手に調べては困ると。そうなると、せっかくその地域で1,000 人の試 料があるのに、後になってからダイオキシンのことを調べなければならなくなったの に、300 人は調べられないということですから、全く意味がないものが、全く意味がな いと言うと言い過ぎですけれども、相当に学問的価値の落ちたものしかできなくなると 思います。 ○高久委員長  ほかにどなたか御意見。 ○堀部委員  今日の議論でかなりはっきりしてきましたのは、個人情報保護の例外をどう設けるか ということだと思います。さっき同意原則にも例外があると言いましたが、その例外を 設けるとなると、例外を設けることが一般的に説得的なものでなければならないという ことになりますので、そこをどのように説明していくのかということは、今後出てくる と思います。  先ほど丸山さんが言われた「生のデータ」というときに、確かにインフォームド・コ ンセントのところでとらえられるかと思いますが、これは今日の段階ではなくて、今 後、高久委員長の方でまとめられることになると思います。全体として個人情報の中で インフォームド・コンセントを一部としてとらえるか、そういうことも整理する必要が あります。  厚生省に伺いたいのですが、先ほど言いました昭和63年、1988年に制定された行政機 関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律で、総務庁長官に対し て事前通知をすることになっていますね。それは官報に公示される訳で、例えば科学技 術庁で言えば、放射線疫学調査については、官報に公示しているはずです。どういう項 目を記録項目として持っているかということなどを公にして、何人でも官報を見れば、 この項目はいいかどうかという議論もできるようになっています。厚生省の事前登録、 これは官報を調べれば出てきますけれども、何かこの種の疫学調査に関するようなもの で、官報に出ているものがあるかどうか、何かあれば、それを1つの例として議論して みるということもあると思います。 ○事務局  たしか何件か登録があったのは承知しておりますが、詳細は、今手元に資料がござい ません。厚生省自身が直接執行しているものじゃないと載ってこない可能性があります ので、調べまして、また委員会に御報告させていただければと思っております。 ○堀部委員  あるいは大学病院でどうか、これは文部省でしょうか。 ○統計情報部保健社会統計課保健統計室 瀬上室長  地域がん登録に関しては、主に先ほど話題に出ました死亡届けの活用というのが直接 的には一番個人情報の保護の問題と関わりまして、63年の我が国の個人情報保護法、そ れに基づく平成元年の統計法の改正、これに基づきまして、目的外申請を取っておりま す。統計情報部で取りまとめをして、それを総務庁に伝達し、総務庁長官の個々の認可 を経て、許可を経てやっております。その段階ですべて官報に記載されております。 ○高久委員長  ほかにどなたか御質問。まだ五、六分ありますけれども。 ○丸山委員  先ほどの櫻井先生の、多分、多少回答せよという御発言だろうと思いますので。疫学 研究などで利益が得られている、特にこれまで、それなしでは現在の生活が実現しなか ったというのは、それはよくわかっているんですね。しかしながら、利益だけで正当化 するというのは難しいと思うんです。利益は確かにあるんですが、しかし、幾らそこか ら得られる利益が多くて、かつ特に不利益がないとしても、本人に知らせず何でもやっ ていいということにはならない。そうならない可能性があると思うんです。それでも一 定の場合はいいんだというふうに言うためには、先ほどの大島先生のがん登録について のお話の最後にもありましたけれども、診察時に周知の方策を考えるというようなこと があれば、フェアな扱いかな、それが1つの方法かなと思われるんですが、そのフェア な扱いの1つとして同意が考えられるんですね。  ですから、利益があるということ、それから不利益はほとんどないということだけで 議論決着、同意が要らないというのは、ちょっと難しいのではないか。仮に社会が、あ るいはかなりの人が、そういうのだったら採血に同意しませんというふうな態度を取ら れるようになると、医学研究のため、あるいは公衆衛生に役立つということだけでは動 かなくなってしまうのではないかというようなところをちょっと感じましたので、一言 だけ述べさせていただきました。 ○櫻井委員  1言だけ。何でもやっていいと言っている訳ではなくて、国民の利益ということを十 分強調したつもりです。それを判定するような基準か何かが必要ならば、当然それは要 ると思います。説明しないで何でもやってもいいということを主張したかった訳ではな くて、例えば何かそのための倫理委員会的なもの、倫理委員会という言い方は僕は余り 好きではありませんけれども、何らかの委員会の基準に基づけば、さっき田中先生がお っしゃったような研究をやっていいというようなことを決めればいい訳であって、何で もやっていいと言ったつもりはありません。どう見ても害がなくて国民に利益があるこ とをやってはいけないと言う理由は全くないように思うんです。害がなくて利益がある ことを、なぜそれもいけないということになるのか、それは個人の情報を保護するとい う本来の趣旨から全く外れてしまって、個人情報を保護して個人を守ってあげるとい う、これから作ろうという個人保護法の精神があるのに、一度決めてしまうと、その精 神でないことまでしばり上げるというのは非常におかしな話だと僕は思っているんです けれども。 ○高久委員長  どうもありがとうございました。  まだまだいろいろ御意見はあると思いますが、そろそろ第2回目の委員会を終わらせ ていただきたいと考えています。  事務局の方から報告することがあると思いますが。 ○事務局  第3回目の会合につきましては、できましたら5月中旬から下旬に開かせていただき たいと考えております。  つきましては、恐縮でございますが、お手元に日程調整のための御予定を書き込んで いただく紙を用意させていただきましたので、御都合のよい日、悪い日などを記入して いただきまして、4月26日水曜日までに事務局あてに御連絡をいただければと思ってお ります。  なお、次回の会合におきましては、1回目、2回目の会合でいろいろと御指摘いただ きました御発言の中から、今後議論しなければならないだろうと思われる点につきまし て、論点整理的なものを用意させていただければと思っておりますが、作業がいろいろ とありますので、一応それを目指してやりたいと思っております。  事務局からの説明は以上でございます。 ○堀部委員  宮本さんが今言われた点で、日程調整というのは意外に大変です。そこのところに空 いていると全部入れておいて、今度ほかの会議が入る時に、これはだめだと言わなくて はならないのです。むしろ高久委員長がどこが都合がいいのかというのを出していただ いて、それに合うか合わないか。今日もほかとの関係もありましたけれども、調整して 何とか出てきたということがありまして、これを書いていくのは非常に大変な作業で す。 ○高久委員長  私の方も、今空いていても、またつぶれる可能性がありますので、仕方がないと思い ます。 ○堀部委員  これは全部委員長の都合のいい時ということですか。 ○事務局  それは委員長と御相談させていただきまして、御連絡をさせていただきますので、今 お手元にある資料そのものの御送付はとりあえず結構でございます。 ○丸山委員  よけいな事務局的な発言なんですが、また、その能力もないんですが、締め切りを明 日にまでして、回答を明後日までにするというふうにしたら、堀部先生の御懸念も。 ○堀部委員  空いていると思ってそこに入れていると、今度ほかとの調整が必要になってきます。 ○丸山委員  半日でもだめですか。 ○堀部委員  全部入れていくこと自体が大変なので、委員長がこうだと言っていただけば、それの 方がありがたいですね。 ○高久委員長  どういうふうにしてもかなり難しいと思います。ただ、議事録を早めに作っておいて いただければ、どういうことが議論されたかということがわかります。委員の方全員が 出られるということはかなり難しいと思いますので、出られない場合には議事録を読ん でいただいて、次の会の時に、前の議事録を参考にして御議論をいただくほかに方法は なかなかないと思います。  今日はいろいろ御議論いただきましてありがとうございました。かなり問題点が明ら かになってきたのだと思います。次回は、今事務局から説明がありましたように、問題 点をある程度整理して、また皆さん方に御意見をお伺いすることになると思います。  本日はどうもありがとうございました。                                     (了) 問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課 担 当 宮本(内線3804) 電 話 (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171