00/03/16 ヒト組織の移植等への利用に関する専門委員会第4回議事録            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会                  第4回議事録                 平成12年3月16日(木)                10時04分〜12時17分                厚生省共用第9会議室 出席者(○:委員長 敬称略) 糸満 盛憲  鎌田 薫   北村 惣一郎  佐多 徹太郎  篠崎 尚史  柴田 鐵治  島崎 修次 ○野本 亀久雄  廣橋 説雄   松村 外志張 1.開 会 2.議 題   (1)「ヒト組織の移植等への利用のあり方について」      (2)その他 (開会・10時04分) 事務局  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより厚生科学審議会先端医療 技術評価部会「ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会」を開催いたし ます。  先生方におかれまして本日はお忙しい中をご出席いただきましてありがとうございま す。本日の委員の出席の状況でございますが、位田委員、島崎委員、早川委員からご欠 席との連絡をいただいております。また、柴田委員が少し遅れておるようでございま す。  それでは本日、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。ま ず、本日の議事次第ということで1枚紙ございます。本日、議題は1点のみでございま す。「ヒト組織の移植等への利用のあり方について」(報告書案)に対する意見への対 応についてということで、これひとつの議題を予定いたしております。  次、資料、順にめくっていただきまして、座席の配置図、先生方の委員の名簿、次に 資料一覧ということがございます。めくっていただきますと資料ナンバー、右肩に振っ てございますが、資料1といたしまして一般の方々の意見募集に対して寄せられた意見 について、各意見の写し、これはホームページに搭載されました意見そのものを写しと して資料として提出してございます。これが24頁ございます。  続きまして資料の2といたしまして、一般の方々の意見募集に対して寄せられた意見 に係る主な論点、事務局でとりまとめた事務局メモということで8頁ございます。  続きまして、参考資料といたしまして、「ヒト組織の移植等への利用のあり方につい て(案)に対する意見・情報の募集について」ということで、2月25日付けでホーム ページに掲載したものを参考資料として提出してございます。これが11頁程、ございま す。  本日、資料は以上でございます。お揃いでしょうか。また、不備等がございましたら お申しつけいただければと思います。  先生方、既にご案内のことで大変僣越でございますが、マイクの使用について事務局 からお願いをしておきます。機械が新しいのか古いのかわからないのですが、ご発言の 際にはお手元のスイッチを押していただきましてご発言をいただくと。マイクが入る本 数に制限がございまして、皆さん、ご使用になると後からの方が入らないという状況に なりますので、ご発言、終わった際にはスイッチを切っていただくと。大変、お手を煩 わせて恐縮でございますが、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。以上でござ います。  それでは野本委員長 よろしくお願いをいたします。 野本委員長  どうも早くからありがとうございます。議事に入る前と言うか、議事の第一歩と言い ますか、パブリックコメントの大枠のことをまず、事務局から話をしてください。 山本補佐  お手元の資料の資料1でございます。これは事前に先生方の方にはお送りしたかと思 いますけれども、今回のことにつきまして一般の方から貴重なご意見をいただきまし た。団体からの意見としましてDNA研究会、「脳死」臓器移植に反対する関西市民の 会、日本組織培養学会倫理問題検討委員会、団体からの意見は3ついただいておりま す。  また、個人から、もしくは個人の連名でいただきましたのが三菱化学生命科学研究所 に所属する方2名、及び日弁連に所属する方2名の意見表明、弁護士の方2名、千葉大 学の名誉教授の方、歯科大学の法学教室の講師の方、特に団体、職業の記載のない方2 名ということで、以上のご意見をいただきました。  何点か重複するところもございましたので、お手元の資料の2の方にいただきました 意見を事務局なりにこのような意見がございましたということでまとめさせていただき ました。  基本的にはひとつはこの報告書の位置づけ、そもそも論に係わるご意見というのがご ざいました。それをIに書いてございます。大きなIIのところに書いてありますけれど も、報告書の各章につきましてもひとつひとつご意見をいただきました。第1章のはじ めにに係る意見、基本原則、ヒト組織の採取のところ、3頁目に至りますけれども、そ の後の細かい手続きについてもご意見がございましたし、4頁目、ヒト組織の処理・保 存についてもご意見がございました。5番目、移植施設への提供、移植への利用に係る 意見、6番目の研究、研修への意見に係るご意見、バンクの運営に係る動向についても ご意見をいただきました。  6頁にまいりますが、終わりにというところでもご意見をいただきましたけれども、 大きなIIIに書きましたのはこの報告に考え方とか、項目として追加すべきことがまだ他 にあるのではないかというご意見をいただきました。また、7頁には用語の使い方です とか、その他の問題のご意見がございましたし、最後の8頁にはこの手続き、作成の手 続き論についてもご意見をいただきました。  そういう順番で整理させていただいておりますので、大変恐縮ですが、もう一度、1 頁に戻っていただきまして、まず、報告の位置づけに関する意見を大きく3点、まとめ させていただきました。  ひとつは、そもそも臓器移植法というのがあって、それは自己決定の思想を基本とす る、本人の意思がなければ提供できないという形を、脳死下での臓器の提供はできない 形にしておりますが、それを行政指針、これは行政指針ではないのですけれども、それ を崩して本人同意がなくても家族の同意でいいというような形にしていること、こうい う問題というのはガイドラインではなくて、まず、法制化ということでもっと議論すべ きではないかというご意見をいただきました。  同じようなご意見で、国会における臓器移植法の見直しの中で検討すべきではないか というようなこと、3番目にご意見をいただきました、同じように臓器については法規 制を受けるけれども、同じ人間の身体の一部でありながら、組織については法規制がな いというようなことについては整合性がないではないかというご意見の3点がございま した。 野本先生、ひとつずつ、順番にご紹介してご議論いただくとすれば、大きなところでは その3点でございます。 野本委員長  今のことですけれども、ちょっと私の感じ、はじめから委員会の中で話し合ってきた のでは、これは組織移植法を作ろうというのではないということがひとつ。  このルール、ガイドラインが永久に縛るような形ではなくて、いろいろなものが完成 される数年間を何とか国民の被害を少なくするようにしたいというのが、言わば気持ち としてはそこが入っているということもお話をして進めてきたような感じがします。  これは、しかし、法を前もって置くべきか、専門家が一歩一歩、進めていって、後か ら必要な規制を作るのがいいのかというような議論が分かれるところで、これはまた視 点の違いによる話だと思うのですが。  さて、ひとつひとつの内容ということになると、一貫した共通の倫理に基づいて法制 化すべきであると、こういうものが出てきておるのは我々の委員会としてはどう取り扱 うかというのから話を進めていきましょうか。非常にしんどい話ですけれども。  先生方、この報告案の位置づけですね。位置づけをしっかり書いてないと後でもめま すので、この点、私としては法を作るという気持ちではないというのをはじめから一緒 に考えてきたような気がするのですけれども。法はやがて必要ですけれども、まず、こ れを法にするというのではないのだろうと思っておったのですが。どんなものでしょう かね。 糸満委員  今の臓器移植法の指針が出ているわけでして、その中に組織移植に関する規定が指針 としてちゃんと出ているわけですから、それに則ってとりあえず現在までこの委員会で 話し合ってきた方向で、まず、動いて、そして、やはり将来的にはおそらく法制化とい う必要は出てくるのだろうと思うのですが、実質、動きだす、まずスタート地点はこれ で僕はいいのではないかなというふうに思います。 朝浦室長  事務局からですけれども、本専門委員会を立ち上げた経緯をご説明をさせ ていただいて、その後、ご議論いただければ有意義な議論ができるのではないかなと思 いますので、ちょっとご説明をさせていただきたいと思います。  皆さん、ご承知のとおり、臓器移植法は死体からの移植目的の摘出手続き、あまいは 移植の手続きについての枠組み、法律で定めたものであります。組織移植については現 時点ではそういった法的な規制は全くなく、医療機関において、あるいは医療機関の関 係するところにおいて事実上の行為として行われております。  これは医療の現場での切実な需要もあり、医療機関の本当のボランティア的な活動に よって組織バンクが設置をされて、組織の提供や利用が始められ、少しずつ、前に進ん でいるという状況だというふうに理解をしております。  さきほど糸満先生の方からご指摘がありましたように、実は臓器移植法の運用に関す るガイドラインを厚生省の局長通知で出しておりまして、その中に臓器の中には入らな いのですけれども、組織移植について一言、触れた部分がございまして、本人又は遺族 の承諾を得た上で組織移植は医療上の行為として行われて、医療的な見地、社会的な見 地等から相当と認められる場合には許容されるものであるという一文が入っておりまし て、これは臓器移植専門委員会においてもご議論いただき、厚生省の局長通知として示 しているものであります。こういった事実上の行為として行われているということと、 臓器移植法のガイドラインでそういった考え方を示しているというのが現状でございま す。  そういった中で本委員会において現実、行われている組織移植をそのまま放置するの ではなくて、やはり一定の指針を示して関係者にそれを訴えて、適切な取り組みを促す ことが現時点では非常に重要なことではないかというふうに考えて、今後の適切な組織 移植への利用に、ひいては資するという考え方で、この委員会においてそういった前提 で議論をしていただきたいというふうに思っております。  したがいまして、この委員会においてまとめられた指針は今後、厚生審議会の上の部 会の方にもご報告をすることになりますけれども、それをもって行政的に何らかの対 応、それが守られないから行政的に何かサンクションがあるとか、縛りをするとか、そ ういうものではなくて、あくまでも関係機関に対する指針として示して関係機関がそれ を十分尊重していただくような形での性格になるものというふうに私どもは理解してお りました。以上でございます。 野本委員長  今の話、だいたい、委員、全員、はじめからその感覚は理解して進めてくれたと思う のですが、それはよろしゅうございますね。今の。したがいまして、丸の1の報告案の 位置づけに関するご意見で、1番目の丸と2番目の丸というのは、これは両方とも法に 係る形で議論すべきであるという議論は我々もご意見はお伺いしたけれども、これは 我々の本来の目的ではないというものでよろしゅうございましょうか。  これはここに入りますと、これはちょっとどうしていいのかわからない話になりまし て、議論のしようがなくなってくると。ただ、我々、委員としては、委員会としてはこ ういう視点ももちろん当然あっていいわけですから、そういうご意見も十分に聞かせて いただいたということでよろしゅうございますか。この丸の1番目と2番目の丸は。  3番目の丸はちょっと様相が、話が違うと思うので、これは少し我々も考えられると ころは考えるべきだと思うのですね。私の口からもう1回、読んでみますと、同じ人間 の身体の一部でありながら、臓器や組織によって、その摘出・移植について臓器移植法 の適用を受ける場合、行政指針の適用を受ける場合及び何ら公的規制を受けない場合が あり、規制の有無に重大な差異が生じると。これはもう現実ですから、我々ができない のですが、このような公共政策上の矛盾、整合性のなさに一切配慮がなされず、その扱 いの倫理的法的社会的根拠が述べられていないということに関しては何か倫理的な面で 十分気をつけるように要求することは委員会としても議論していいのではないかと。  この丸の前の3分の2のところはこれはもう現実でというか、我々の委員会の議論の 外だと思うのですが、これは何か事務局では議論されましたか。どうですか。何か公共 政策上の矛盾云々に関して云々というのは何か。どうですか。あまり。ちょっとやはり 事務局サイドから。 山本補佐  厚生省の中で何か一定の見解があるというわけではないのですけれども、少なくとも この専門委員会においてもヒトの細胞や組織や臓器を扱うのに一貫した理念みたいなも のを貫く枠組みがいるのではないかというようなご発言を以前にもお聞きしたというふ うには承知しておりますので、それは将来の課題として問題提起はされているというふ うに理解しております。 野本委員長  これも確かに必要なのですけれども、ここで矛盾があるというのを指摘するのはいい のですけれども、全部一括でするということは、この委員会の役割ではないし、こうい うものができていくときには必ず一歩一歩、少しずつ違ったやり方で現実を進めていか ざるを得ないと思いますので、3番目の丸に関して何か特別なご意見ございますか。こ れはやはりよく考えておいた方がいいと思うのですが。ご尤もと私も思いますので。ご 尤もなのだけれども、むしろ要望として出すのは悪くないと思うのですね。例えば次の 段階ではこういうことをきちんとやってほしいと。まとめのところに。 北村委員  ですから、法律の方が日本の社会がこういう移植法とかに成熟した時点で臓器移植、 組織移植、あるいは細胞移植、その流れを統一していこうという時代までの、そういう 時代が到来するまでの組織移植という分野でのある程度のやり方、あり方というものを 示すという、さきほど朝浦室長が言われましたことに基づいて、その段階まで、将来的 には私も脳死からの臓器の移植、組織移植、あるいは細胞移植に広く渡っていくのが望 ましいとは思いますけれども、現時点ではひとつは法律ができあがっておりますし、そ ちらの方の委員会での対応ははっきりとしてできあがるまでの間、我々はこのガイドラ インに沿って組織移植を行うということでいいと僕は思いますけれどもね。 野本委員長  よろしいですか。どうぞ。 柴田委員  いや、もうそれでいいのですけれども、基本的にはいいのですけれども、ただ、世間 一般の人のこの問題については、いわゆる臓器移植法の騒ぎがあり、あれだけのことが あった後なのに、おや、今まで何もなかったのかということの驚きがあると思うのです ね。むしろ。  ですから、そういう意味ではむしろ現実はいろいろ進んでなされてきていたわけだけ れども、ですから、遅ればせながらというのでしょうか、遅ればせながら今、こういう 形でまず、ガイドラインからやっていくのだということをちょっと前文みたいなところ でうたえば、確かにそういう受け止め方は当然あるだろうと思うのですね。 野本委員長  そうですね。おそらくこういう医療を受けていて、現に受けていた方が、自分のして もらったことに関して何もルールなしで、主治医のお医者さんが一生懸命してくれたの かと、それだけだったのかという気持ちでちょっとびっくりする面はあるかもしれませ んよね。しかし、実際はこういうサイエンスが社会に利用されていくプロセスというの ははじめは一生懸命お医者さんたちが火の粉被りながらやるというものの歩み。なぜ、 心臓とか肝臓とかとあんなに大きなギャップが生まれてきたかというのは、むしろそれ は不思議な面もあるわけなのですけれどもね。いろいろな歴史上、あんなになってしま ったということだと思うのですが。  いろいろな形で実情も市民が理解できるような説明を加えてみるという努力はしてみ ましょうよ。なぜ、今、ガイドライン。だから、今、柴田委員の指摘されたのは、組織 に関して今、なぜ、ガイドラインかと。先行して臓器に関しては既に臓器移植法という ものが動いておる。そうしたら一般的には組織移植もその法の中で動いているのかと普 通には思うところが、そうではないと。したがって、なぜ、今、我々が考えたのかとい うことは理解できる文があった方が、この位置づけが明確ですね。 鎌田委員  結論的には人体の一部と言ってもそれぞれに特性がありますので、全体を共通のコン トロールのシステムの下に置くということはあまり現実的ではないのだろうと思います ね。  この3つの意見のうち、3番目のご趣旨が形式に着目したと言いますか、つまり法律 の適用を受けるもの、ガイドラインで適用を受けるもの、何もないものという、これが おかしいので、形式的にきちんと同じような法律なら法律での規制に服させろというご 議論だとすると、それが一番難しいことですね。 野本委員長  それはできないことですね。 鎌田委員  むしろ仮に法律的な対応をするとしたらやはり大まかな原則と言いますか、つまりこ ういう人体の臓器なり組織なりを取り扱うときにはどういう考え方をしなければいけな いかと、そういう抽象的なレベルでは法律の根拠を作って、その枠の中でそれぞれの臓 器なり組織なり細胞なりに特性に応じてコントロールのシステムは様々であるし、ある いはまた利用の進み方によってそれも変わってくるということになるのだろうと思うの ですね。  そういう観点からいきますと、むしろこれがやはり現実的に一番シビアな問題として 提起されているのは、この1番目もそういう趣旨なのかもしれませんけれども、2番目 にあるように臓器移植法は臓器だから、こっちは組織だから関係ないのだということで 法的にはいいのですけれども、そこの括弧の中にあるような臓器移植法ではこういうこ とはやってはいけないよと言ったものを、こっちではやってもいいというふうにする と。そこのところにはやはりひとつのきちんとした説明、法律であるかガイドラインで あるかというよりも、哲学が違うのだということをきちんと説明できるのかできないの か。そこの議論はしておく必要があるという指摘は重要だろうと思います。 野本委員長  何かそういう具体的に先生、どこらあたりが一番、引っ掛かりますかね。今度、臓器 移植法、前の法と今回のガイドラインで。 鎌田委員  やはり今回の意見の中にもいくつも出ていますけれども、特に生きている未成年者か ら代諾で採れるとか。 野本委員長  そこですね。私もそこ引っ掛かっててどうしたものかと。 鎌田委員  研究利用を積極的に肯定的に捉えていくというふうなことについては、やはり臓器移 植で問題になっている場面とここで問題になっている場面はどこが違うのかというふう なことを明確に議論して、それで本当に臓器移植法の哲学とこれとは対立するのではな くて。 野本委員長  その流れの中の現実に従った修飾であるということが言えればいいわけですね。 鎌田委員  それがきちんと説明できるかどうかということが問われているのだろうと思います。 松村委員  ちょっと発言してよろしいですか。この3番目の点ですけれども、矛盾、整合性のな さと書いてあるのですが、現実には各々の例えばこれが移植であったり、あるいはイチ エンキタケイのための同意書であったり、いろいろ現場ではそれぞれの理由と経験とが あって実際にはできてきて、その理由について詳しいところまで議論されて、知らない と矛盾のように見えるケースもあると思うのですよ。  例えば同意書のあり方についても黒川委員会のときには医師がというふうに書いてあ ります。科学技術庁の生命倫理委員会の範囲や何かについてはコーディネーターと、今 度の垣添委員会は研究者がと書いてあります。全くある意味では整合性がないのです よ。ですけれども、多分、それは各々のそれぞれの経験と現場の中でそういう選択がさ れているはずなのですね。  ですから、そういうことも含めた、この委員会ももう既に相当の長い経験のある移植 というネットワークの現実の姿を明らかにして、そしてコモンなそういうものをやろう としているわけですよね。それは間違いないと。その中でそういうふうに違った点が出 てきたところをどこかのところでやはりその理由とディスカッションする、そういう場 所がもうひとつあったらいいのかなという気がします。すぐそのままこれは矛盾してい るのだというふうに言っていいのかどうなのかという気持ちがいたします。 野本委員長  私が委員長を引き受けてからの感じでは、松原委員のおっしゃられたように、はじめ からぽんといかないから臓器移植法のときにあのような特定の臓器を選んだと。それは 国民の感覚でも心臓というのと皮膚に関する感覚、違うのですよね。血液中の細胞も同 じことなのですよ。実際に言えば。しかし、感覚は全く違うわけで、その扱いをはじめ から同じにしますと言ったらむしろそちらの方の反撃の方が激しかろうと私は判断して いたのですね。実際そうだろうと思うのです。  だから、そういう人の命、人からいただいたものに対してどれだけの敬意を表するこ と、それはなぜ、命の優しさのためにする行動であるということがガイドラインを読ん だらわかるようにいろいろなところで組み込んでいくという形が今のところでの共通の パスの通し方ではないかと思いますね。  やがてはおそらく基本法的なものができるのでしょうけれども、それまでは難しいだ ろうと。ここも一番の位置づけに関しては何かありますか。事務局から何かあります か。 山本補佐  さきほど座長と事前にお話をしたときも未成年の代諾の問題と研究利用が検討課題と の話になりました。この点についてはかなり本委員会でその必要性とそれが人類の幸福 に資するのではないかという議論をされたと思いますが、この後の項目で承諾の手続 き、採取のところでも議論していただく必要があろうかと思います。いずれにしても、 なぜ、臓器移植と違うのかというところは鎌田先生がおっしゃるように一定の見解をき ちんと示す必要もあると思いますので、そこでまたご議論いただければ。 野本委員長  というので、ここの一番目のことに関してはよろしゅうございますか。今のだいたい 私は文章、その他は事務局が作ってくれた原案で大きな問題はないと思うのですが、ま たもう1回ありますので、次の大きな項目の2番目の報告案の各章に関するご意見に関 してまとめてください。 山本補佐  はい。お手元の資料2ですと1頁、参考資料に書いてあります、こちらにホームペー ジに掲載しました報告書の案というのが書いてあります。その2頁のはじめにというと ころです。  ここで委員会でまとめていただいたもののはじめに書いてありましたのは、現在のヒ ト組織の利用の現状、それがかなり医療機関の中ではじめられて少しずつ展開している ということ、それがまだ薬事法等の規制には至らないけれども、何らかの指針を示す必 要があるというようなこと、ヒトの細胞の利用についてもこれに準ずるべきというよう なことを含んであります。  その中に対する意見ですけれども、かなりこれは今の位置づけのところとも重複しま すけれども、はじめにの中にヒトの身体に対する尊厳の問題を書き込むべきではない か。2のところでこれもさきほどの議論と同じなのですが、統一した法律がいる。その 後の臓器移植法との関係。それで国会に報告すべきという、さきほどの議論と近いもの がございます。  丸の2つめでございますけれども、はじめに最初の部分におわりの始めの部分に述べ ているものを持ってきた方がいいのではないかという意見ですが、先生方の参考資料の 6頁、終わりにのところの一番最初に書いたのは、国民の理解が必要であるということ と、本報告書に定めた指針を守って倫理的妥当性、安全性が確保されることが重要であ るという、非常に基本的な考え方を終わりにの最初に持ってきたのですが、これをはじ めにに持っていった方がいいのではないかというご意見をいただいております。以上で す。 野本委員長  どうですか。だいたい、ろくに皆、ものを読まない人たちははじめにの1行か2行に きちんと書いておくのが一番いいことは間違いないのですね。私なんかだったら2行か 3行しか読まないで、そこが、もし、おもしろくなかったらもうこんなもの読まないと 捨ててしまうから、否応なしに読ませるのにははじめにに厳しいことは書いておいた方 がプラスかもしれませんね。  うまく入りそうですか。事務局の。 山本補佐  さきほどなぜ、今、この指針なのかということについて、これを作るのかということ についてももうちょっと明確にというご意見がありましたが、それもはじめにになると 思いますし、今のところも含めてちょっと工夫させていただきます。また、先生方に見 ていただいて。 野本委員長  全部読んで初めて納得するという文章の書き方が多いのですけれども、あれは学術論 文ではそうしか通らないからそうするのですけれども、同じものでもレビューを書くと きは最初にわかる文章を書いていないと、そのレビューは読んでくれないというのと同 じことで、これはやはり一般の市民の方に読んでもらうことも非常に大事ですので、ち ょっとそこはやってみましょうよ。私と事務局で文章のそこらあたりのところ。 北村委員  終わりの始めの部分ということ、ちょっと上の方の文章だけのことを言っている。 野本委員長  そうそう。最初にぽんとなぜ、だから、柴田委員の指摘された今、なぜということに そのままつながるから。今、なぜ、ガイドラインが提示されるのかということにつなげ るようにもっていって、最初に書いておいた方がいいかもしれませんね。やってみまし ょう。そうするとはじめにに係わるところはこれでよろしゅうございますか。他。  それでは次の基本原則に係わるご意見という、次の頁の2というのをちょっと説明し てください。 山本補佐  はい。参考資料の方で基本原則で現在の案ではヒト組織の提供に関する任意性の確保 という考え方がある。無償の提供という考え方。ヒト組織の採取・利用の際のインフ ォームド・コンセントの問題。ここは随分議論がありましたけれども、組織の提供の社 会性、公共性とドナーの尊厳の確保の問題。安全性。移植の有用性の確保。個人情報の 保護。情報公開。この7つの基本原則を書いてあるわけですけれども、それに対するご 意見として、ひとつめが、組織の利用が産業応用につながる、この報告書の中でも企業 の研究開発には一部提供する可能性も残しているわけですが、そのときの際に、組織が 無償で提供されることに鑑み、生じる利益の適正な社会還元のあり方というのを検討す べきというご意見がございました。  ここは以前にもここでご議論があったと思いますけれども、組織がバンクに保存され ている間は本人、家族は同意を撤回して返却処分を要求できるようにしたらどうかとい うご意見がございました。  (1)と(3)が重複しているのではないかということで、ここはちょっとまたご議 論いただくし、書きぶりの問題だと思いますけれども。  (4)で提供行為が社会性のある行為であるということを宣言しているけれども、そ れに対応する医師やバンクの役割の公共性についても書くべきではないかと。移植機会 の公平性、これも言うべきではないかというご議論をいただきました。  (6)ですけれども、医療活動において医療従事者間で患者情報の共有が必要な実態 を述べるべきであると。患者であった提供者の情報の保護については配慮しなければな らない重要性を述べた方がいい。ここのところはバンクを間に介しているのですけれど も、少なくとも医療従事者間での情報提供も必要だというふうに書いてございます。  (6)で記録を保持し、追跡調査できる必要性がある点についてはここで十分説明し ておくべきではないかということは書いてあります。これも実は安全性のところ、後ろ の方ではかなりプレイスバック、ルックバックのことについては書いてあるのですけれ ども、基本原則でも述べるべきというご意見もいただきました。以上でございます。 野本委員長  ここのところで少し議論しておかなければいけないのは、丸の2番目からちょっと議 論をしていただきたいのです。組織が保存されている間は本人及び家族が同意を撤回 し、組織の返却や処分を要求できるようにする。これはかなり実務としては難しいこと ですか。それともそんなに。  これはもう実行する人たちがこれを受け入れると、このガイドラインに従って病気の 人を救えないということなのか。それは大した問題ではないということなのか。そこを お伺いしたいのですが。 北村委員  これを入れてほしいと申し上げたのは実際、移植をやっておる側の意見だったのだと 思うのですけれども、どの時点ということが明確でないと、例えばこういうことは珍し くて究極の条件かもしれませんけれども、明日、使用の決定しているようなときに返却 せよというようなことはどうするのかと。  こんな細かなことは関係ないとおっしゃるかもしれませんけれども、実際、移植され た、あるいはそうしたどの時点から患者さんに移植された時点からもう撤回は要求でき ないのか。身体に入ってしまって、その人が元気に退院しているのを返せと言われるこ とにつながっていくと、これは非常に難しいし、そのプロセスの中にある場合において は、それに応じる必要があるのか、全く不要として、しかも、研究転用もしないという ことになっておれば、返却することはもちろん可能ですけれども、それを含めた詳細な インフォームド・コンセントと説明と、さらに研究者、あるいは医師、それを使用した いという医師、単独ではなくて、第三者を含めたコーディネーションをして得たインフ ォームド・コンセントと。  それに対して実際には労力を払われてきたものを、いつまで返却させる要求に応じる べきなのかが明確でないために、移植というプロセスに入ったときに返却を受けた場合 は、これは提供者側だけの意見であって、患者側の意見がもう無視されてしまう、受け る側ですね。  我々、直接、対応しているのは患者さんの側の場合ですので、やはり適切なインフ ォームド・コンセントのもとで採取されたものの提供をした場合はいつの時期まで返却 に応じるというようなことは甚だ難しいというのが現実にあるように思うのです。 野本委員長  どうですか。この問題に関してご意見。これはきちんと決めて、我々の方で決めてお かないと、実際の医療行為のときに必ずトラブルが起こる話だと思うのですね。 篠崎委員  おそらく返却をする、しないという議論はおそらく提供に承諾した方の気が変わった ということを前提にお話をしているのではないかと思うのですが、我々も、私もアイバ ンクをやっていますから、眼の場合ですね、患者さんが決定するまでは別に返却に応じ ることはやぶさかではないのですが、では、それに変わる原因は何かというと多分、イ ンフォームド・コンセントでないかと思うのですね。  そこで不十分であったか、あるいは誰か第三者の意見に変わったということであるの で、返却をする、しないというのは一応、契約というか、承諾書をいただいた段階で多 分、ある程度の法的な根拠があるのだと思うので、多分、その前の段階のインフォーム ド・コンセントをしっかりするという方法に一般市民の概念というのはあるべき、多 分、興味がそこにあるのではないかというような気がするのですけれども。法的にはい かがなものでしょうか。承諾書というのは何かそういった根拠があるものなのでしょう か。  僕はそう思ってずっと40年間、アイバンクはそこに培って4万件の移植をやってきた わけですから、法的根拠がないのだと言われるとちょっと、私、どう明日から生活して いいかわからないのですけれども。 野本委員長  どなたか今の話、お答えできる委員の方、おられませんか。 鎌田委員  答えなければいけないのだと思うのですが、やはりそれは以前、松村委員からもお話 がありましたけれども、やはり臓器の、あるいは組織の特殊性で専ら普通の物とは同じ ように所有権、譲り渡したのだから、もう、要するに自分が一旦、譲ったものを後から とやかく言えないと、こういうふうに物と全く同じに考えられるかというと、多少、違 う要素がつきまとってくることは否定できないのだと思うのですけれども。  ただ、おっしゃられるようにインフォームド・コンセントできちんと事情を説明され た上でそれで納得して提供したものについてはやはり特段の事情がない限りは気が変わ ったというだけではやはり具合悪いのではないかと思うのですね。  ただ、医師との信頼関係が失われたり何かして、しかも、現にそこに現物があるじゃ ないかというようなときに、返せなり、あるいはあなたには使ってほしくないというふ うな問題が起きたようなケースでは、法的にどうこうという以上にやはり人間的な関係 での判断になるのでしょうね。 野本委員長  だから、はっきりガイドラインでこれはこうすべきと言いにくいところだと思うので すね。  この間も大型のバンク、研究開発用のバンクが将来できるとしたら、ヒューマン・サ イエンス財団が窓口になる可能性があるとかという話がありましたね。あそこで働いて いる連中が話す機会があったら言っていましたけれども、こんなもの引き受けたらどう したらいいのだろうかと、怖いなと。先生、臓器移植ネットワークを辞めてうちの方に 来てというのが、そうでないと皆、職員、辞めて働きませんというようなジョークが出 ていたぐらい、それは辛いと思うのですよ。今の話。  だから、やはり確かに場合によっては、なるほどこういう気持ちを逆撫でするような 事象が起こったなら、それは崩壊するなり、処分するなりであろうということがあるで しょうしね。あまり。 北村委員  そうですね。もちろん正当な請求があって、あれば各倫理委員会等々が関与していま すから、各施設の倫理委員会で正当な意見かどうかを判断して対処することが各部位で は可能だと思いますけれども。  この意見の出所は関西の臓器移植に反対のグループから出ていますね。その方たちの グループをどうこう言うわけではありませんけれども、提供した事実があれば盛んに返 却を求めろという説得行動をされたような場合もあり得るわけでして、やはりこれは各 施設の倫理委員会が文書でもって請求された場合には正当かどうかを判断し、正当であ れば対応すると。 野本委員長  基本原則ではないのですな。 北村委員  基本原則ではないという形。 野本委員長  この点はそこらあたりであれしてください。  もうひとつ、ここで考えておかなければいけない、前も考えたと思うのですか、1番 目の丸です。我々の主な目的は医療用のダイレクトな使用なので、ないのですけれど も、組織の利用が産業応用につながって、それが無償で提供されたのに利益が出たとき には適正な社会還元を検討すべきであると。これは次の段階では当然、私も。今のガイ ドラインでこれを論じるかどうかをちょっと考えていただけませんか。このガイドライ ンという意味ですよ。将来は確実にそうしなければいけないと思うのですが。  事務局は運用するときにどうなるのですか。今、入れておいた方が楽なのですか。 山本補佐  先生、今の時点でこのガイドラインに具体的にこういうふうにしたら還元できる仕組 みだとかということは難しいかなと思います。  ただ、そういう考え方というのは以前、松村委員の方がお示しいただいた資料からも そういう理念が出ておりましたし、例えば終わりになり、将来展望のところで何らかの 形できちんとこの考え方のディスカッションがあったことを書くということについては 工夫してみたいとは思いますが、具体的な手続きをこの中で詰めるというのはちょっと 難しいかなと思います。 野本委員長  それをこれを入れると僕は心配なのは、ここの話を入れると我々のガイドラインの本 筋はそれではないわけですから、むしろその中から例外事象が起こったときの話がこち らになるかもしれないわけで、むしろ全体の流れがこっちに行かれたりしたら大変なこ とですから、やはりこれは我々としては本筋論をベースにしてガイドラインをきちんと 書いておくと。我々のガイドラインのすれすれのところなんかはむしろ相談があれば各 施設の倫理委員会で検討してくれと。さらに適切な指導を行政の方からもしてもらうと いうのがいいのではないでしょうかね。  今の段階でその話をぶつけますと、何かその目的のためのガイドラインのような形に すり変わってしまう恐れがあるので、私は本論には入れたくないような感じがするので すが、どうでしょうか。  だから、終わりにという、どうせ、これは次の段階のルールづくりが必要で、ただ、 そのルールづくりは各省庁も入ってもらわないとおそらく駄目ですね。 柴田委員  私も入れない方がいいと思います。あくまでこのガイドラインの中心はやはり無償で 社会に提供するのだというところだと思うのですね。その思想を貫けばいいのだと思う ので、さきほども後で返せというのは私はそれを認める方ではなくて、むしろ提供まで には十分考えてくれということを、自由意思の確認というところにもの凄く力を入れれ ば、そのときに提供までのところに変な圧力がかかるのは一番心配だと思うのですね。  その圧力の中に産業化を目指して企業などからの、いわゆるお金による誘惑というの があり得るわけですよね。そういうことを排除していくことをむしろこの全体のガイド ラインの基調にすべきですから、そういう提供を受けた、これは企業に限らず医療機関 にしろ何にしろ、その社会への提供に対して社会的な還元をするのは当然のことだとい う思想で貫いた方がいいというふうに私は思います。 野本委員長  よろしいですね。今のところはそれしかないような感じがいたします。 鎌田委員  私もそれで結構だと思うのですけれども、ちょっとこれ、このガイドラインが何を狙 っているかというところとも関連してきて、およそ組織移植とか、あるいは産業に利用 するために組織収集するとかということ全般をこのガイドラインは規制しようとしてい るのか、それともやはり組織バンクを焦点に当ててやっているのか。つまり相対で個別 で一対一で組織移植をするようなものというのは、もうここでは念頭に置かないと。バ ンクというものを通じて広範囲に組織が匿名性を持って流れていくような、そういう活 動だけをここで当面は焦点を当ててガイドラインの対象にするのだというふうに私は理 解していまして、そうだとするとやはりどういう存在が組織バンク活動をできるのかと か、組織バンク活動をするときにはどういう原則に従わなければいけないのかとか、そ ういうことをここで規定しておけばいいと。  ただ、その枠の外で何かやられることについては多分、今のところ公的な規制はない わけですから、そういう点が最初に出てきたようなやはり法律でみたいなという議論に も関連するのかもしれませんけれども、当面はやはり公的なバンクのことだけを考えて いくということでよろしいのではないかと。 野本委員長  やはり最初からの流れ、医療に極めてダイレクトに医療に直結する、かつ、しかし、 ひとつの流れを作らなければ患者さんが救えないと、そういう局面に絞り込んで我々は ルール化をしておこうと。ルールで縛るというよりはむしろこういうようにしないと一 般市民が迷惑を受けますよという私たちのガイドラインだと理解した方がいいと思うの ですね。やがてそれはもっと安定化するともっと強力な規制能力のある方にも行く可能 性があるでしょうけれども。 松村委員  ちょっと一言よろしいですか。利益の適正な社会的還元については、日本組織培養学 会でもこういうプロポーズはしているのですけれども、僕もここで基本原則に盛り込む ということではないと思います。というのはここではやはり移植目的の組織ということ をまず、念頭に置いているわけですし、まず、利益の適正な社会還元のあり方と書いて あるのですけれども、そのあり方の具体的な内容がまだ十分議論されてないところがあ りまして、僕たちの学会でもそういったケースを探そうとしているのですけれども。  例えば名古屋のJPEC、あそこの設立のときの趣意書の中にはひとつの、私たちは こうするという例が書いてありまして大変貴重だと思うのですけれども、例えば企業等 が参加しているHS財団とか、日本製薬協とか、そういうようなところでもまだこの辺 のところ、十分議論されていない。あるいは現実にまだこういう状況に至ってない部分 が多いというので、ぜひ、産業界の方からのそういった提案なりプロポーズを受けて、 具体的な形に持っていただければ。この今回の報告書の趣旨ではそこまで僕は立ち入ら ないということではないかと思いますけれども。 野本委員長  だいたい皆さん、委員の方々のご意見、共通していると判断して、次へ進めさせてい ただきたいのですが、ちょっとこの中で丸の4、提供行為が社会性のある行為であると いうのを宣言していると。これはただ、バンクの公共性、移植機会の公平性も論ずべき であると、これは文章の問題なのですけれども。  ただ、私としては提供施設が社会性をもった行動であるということの重みは他のこと よりも重いと思うのです。他の医師や組織バンクの公共性とか、移植機会の公平性とい うのはもう当然であるべきことで、こういうことも書くのはいいのですけれども、並列 に論じたのではいけないような気がするのですね。  どうしますかね。やはり文章でこういう考え方から書いてなければいけないのはわか りきっていることなのですけれども。そこらは文章で工夫したのでよろしゅうございま すね。そういうものだと思います。  ここではだいたい後のところはよろしいと思うのですが、基本原則で何かご意見ござ いますか。だいたいご意見、伺って、上の2つが一番大事なポイントだったので、ご意 見、伺ってだいたい流れがわかったような気がします。  では、3番目のヒト組織の採取に係る意見のところを事務局。 山本補佐  まず、インフォームド・コンセントに係る意見でございますけれども、参考の資料の 3頁をご覧いただきますと、インフォームド・コンセントのところでインフォームド・ コンセントを取る際に確認する内容、インフォームする内容ということで(1)から (4)まで書いてございます。同意書の書式例も書いてございますが、ゲノムの解析に ついて同じように同様の議論をされているわけですが、それの参考にして1、2の2 点、ご指摘いただきました。  ひとつはドナースクリーニング検査の結果を提供者に知らせないのであれば、その旨 を言っておくべきではないかというご指摘。提供組織から生じる知的財産権の可能性と その帰属については生じないと、帰属しないということ。これは実は基本原則のところ でのヒト組織の提供の社会性、公共性というところで総論的には書いてあるところなの ですけれども、明記すべきというご意見をいただきました。  インフォームド・コンセントの内容や取得方法は全国統一された基準に基づくべき。 資料についてはまあまあいいのではないというご指摘をいただいております。  採取した組織が移植に用いることができない場合、そういう場合に事前に研究等に用 いるということのインフォームド・コンセントを取る形になっているのですが、このご 意見は再度、その時点でもう一度、ご遺族にアプローチして確認すべきではないかとい うご意見をいただきました。  次の頁になります。同意の拒否ができる時期は採取するまでの間と書いてある理由が 不明で、組織の採取ばかりではなく保存、処分、利用法が含まれているものというご意 見で、これは多分、こちらの書いた文章をちょっととり違われたのかもしれません。採 取するところだけの拒否をするというのではなくて、これはかなり臓器移植なり、その 他のコーディネーション、プロセスによって書いているものですから、実際に採取に至 るまでの間にいつでも同意が撤回できるというようなことで書いていたのですけれども うまく伝わってなかったのかもしれません。  (5)ですが、確かに文章の中にいっぱいいろいろな事例を書いてあって、特に最後 の文章が不明ということですが、これは書いてあった内容は説明する医者がどんな医者 があるかということで、中立性を担保するためにバンクのコーディネーターや医師が説 明するのが、できる限り望ましいと。それができない場合でも治療に関与してなかった もので、そのヒト組織について詳しい者が説明をするか、ドナーの治療に関与していた 者による説明に立ち会うことということで、これは必ずしも主治医ではなかった人がち ゃんと説明すべきという意味、もしくはその方が立ち会うべきというふうに書いたつも りなのですが、伝わっていなかったようでございます。 野本委員長  私もちょっと悩みました。そういうところですか。 山本補佐  はい。以上です。 野本委員長  3番目のところ。ヒト組織の採取。これは技術論的なことで、その指摘なのですが、 この中で我々、委員会として考えなければいけないのはやはり繰り返すようですけれど も、同意の拒否をいつ、採取するまでと、それがわかりやすく書くということになるの でしょうね。採取するということになりますと、採取するメンバーがそこで働いて動く ということですから、それより前のとは話が少し変わってくる。しかし、そこから後で ももちろん絶対使ってもらっては困るというような事象が起これば、さっき言ったよう に各施設の倫理委員会なりで議論をするということになるので。  これ、北村先生、ここの文章、どんな具合ですか。やっていくということに。 北村委員  3頁の一番上の丸ですか。 野本委員長  ええ。3頁の一番上の丸ですから、当然、市民に見ていただいたのでいくとやはり3 頁の3ですね。 北村委員  原文の方は説明にあたっては同意を拒否し、またはヒト組織の採取が終了するまでの 間は同意を撤回する権利があることとなっていますね。 野本委員長  前の方の同意を拒否するというのがよくわからない。これははじめから嫌ですと言 う、いいのですよということだね。 北村委員  ヒト組織の採取が終了するまでの間と規定してあるから却って皆が保存とか、あんな ことを思ってしまうわけですね。 野本委員長  どういうようにしたら市民も敏感にならないで。 北村委員  説明だけは同意を拒否する権利があること。 野本委員長  今の話がそれだけにすると一旦、同意してしまったら、もう絶対的に制約されるのか という、また、反論が出る恐れがあるので、そこが臓器移植はこれ入っていますね。途 中で嫌になったら、ただ、しかし、臓器摘出した後、あげませんというのは駄目だった な。 山本補佐  実際上としては臓器移植の場合は摘出して運んだ場合に、もう向こうで移植手術が始 まっていますから、そのときにやめたと言われた場合はそれはレシピエント側にもかな り不利益があるということで、絶対やってはいけないというふうになっているわけでは ないと思いますけれども。 野本委員長  だから、組織の移植でも大火傷していて、火傷の患者さんに皮膚をあげなければいけ ないときに、急にもう嫌だと言われたら、その大火傷の患者さんは大被害を受けるわけ なので、それを考えていくと、こんなところですかね。どうですか。 糸満委員  例えば組織はそれこそ皮膚だの心臓弁だの骨だと、それぞれ非常にやはり違いますの で、この辺の記載が難しいだろうなと思うのは、例えば骨であれば採って数年間、保存 していても使えるわけです。ですから、その間、返せと言われたら返せないことはない のですよ。返せないことはないのですけれども、ただ、非常に手を加えていろいろ加工 をしてあって、元の骨の形がなくなっているので、そういう状況で果して返せと言われ て返した場合に納得してもらえるのかどうかというのもありますので。 北村委員  実際、実例なのですけれども、関西の方では返すとなったのです。そうしたらそれが 私のものであるかどうかの証拠を出せときたのですよ。それはなぜ、そこまで言ってく るのかと言うと、移植に反対する団体がバックにあるからなのですね。  ですから、どうしてもそういう脳死の法律を作る時期に重なっておりましたけれど も、そういうのを撤回させるためにいろいろのことを。ですから、提供された患者さん は純粋な気持ちでされたのだと思うのですけれども、その後、そうした団体がいろいろ 意見を述べますし、最終的にはお亡くなりになった方からいただいていますので、その 人と個人同定するPCR法でやって遺伝子を調べるということも、日本ではご遺体その ものがもう焼却されていますから、本人のものであるという証拠というのは非常に難し くなるのですね。他の人をちょっと持ってきたのと違いますかと。こういうことにもな ってきたわけです。実例として起こったのですね。最終的にはその方々ももう返却はい らないと、焼却してくださいという形で決着がつきましたけれども。  ですから、どの時点というのは非常にほとんど善意の提供があった、個人的には問題 はないのです。ただ、そういう移植の反対の団体というのは現存しておりますし、現在 でも活動を続けておられますので、そういう方々の影響がこういうところに出てきた場 合に非常に厄介になると。 野本委員長  私も保存されている間にちょうど返却とか、処分の要求があったときは対応できると 思うのです。ところがそれが医療行為に踏み込んだときにぶつかった、ぶつかることも 大いに考えておかなければいけない。  そうなったときにどうやって対応していいか、立ち往生してしまうというのがあるの で、やはり同意の拒否というのを適正に表現しておかなければ両方の提供してくれた人 の権利を守ると同時に医療を受ける人の権利も守るという立場からいったらどんな表現 がいいのでしょうかね。もう困り果てたという感じですがね。柴田委員か鎌田委員か何 かそんないい知恵ありませんかね。我々、科学者ではどうも。 鎌田委員  これは骨髄移植はもう撤回できないということをしっかり約束しているわけですよ ね。あれは前処置始めた後でやめられると死んじゃうからという、それと比べると組織 の場合にはこの組織使わなくても代替性があるというのが少し緩くはなるのだろうと思 うのですけれども、ただ、その辺、あまり臨機応変にやるのが原則だというのはやはり おかしいのであって、こういうのはあまり法律の形式論でやるべきではないような気も するのですが、一般的にはやはり差し上げてしまった後は、今度は受け取った側と話し 合いがつけば任意にお返しするのであって、一方的に返せという権利があるかと言う と、それはやはりちょっと。  ただ、十分な説明をしないで全然思い違いして提供させられてしまったとか、そうい う場合には当初の合意自体が成り立っていないから返せという権利はあるのでしょうけ れども、一旦、きちんとしたご了解をいただいて提供したものについては一方的には返 せなくて、バンクの側でそれを了解すれば返すことはできるけれども、権利としては多 分、ないということになるのだろうと。 野本委員長  これはガイドラインに載せるわけではないのですけれども、どうせこういうことは実 際に動きはじめると私はここしばらく移植学会の理事長もやらなければいけないという ような立場ですので、どうしますかという相談に来ると思うのですが、ご意見をいただ いたような形で施設の臨床委員会等でよくご意見をお伺いして決めろというような指導 をする参考意見と。今のようなご意見を使わせていただくということで。どうぞ。 柴田委員  いらないのではないですか。撤回とか、後での返還とか、そういう言葉、一切、なく ていいと思うのですね。要は同意、提供に同意するまでにしっかり考えてくれというこ と、その自由はいくらでもあるのですよということをガイドラインは強調しておけば、 やはり同意してくるくる変わったら実務としてもとても無理ですし、そこまでにきちん と考えることと、変な圧力が加わらないようにということをいろいろ書くことだけで、 後はもう返還とか撤回とか、そういうようなことは考えない方がいいというふうに思い ますけれどもね。書かない方がいいというふうに。 山本補佐  さきほどご議論いただきましたところは基本原則のところで今みたいな議論がありま したけれども、ここはインフォームド・コンセントを取るところの議論なので、ここで 言いたかったことは話を聞いたけれども、嫌なときは嫌だよと言っていいよというだけ のことです。採取までの終了するまでの間と書いたものですから、却って誤解を与えた もしれません。少しすっきりするようこちらで工夫させていただきます。 鎌田委員  インフォームド・コンセントの一般原則でしょう。治験の場合でも、一旦、うんと言 っても治験が始まるまではいつでも撤回してよろしいという、治療でもそうだから、そ ういう意味では実際に採取するまではやはりしてもいいと。採取しちゃった後は今度は 取り戻しになるから、そこはちょっと話が違いますよという。 野本委員長  いろいろなチェック機関が介在して相談に乗るというしかないと思うのですね。これ はやはりどの問題もそういうように我々は作ったガイドラインから超えた問題に関して はチェック機関が受け入れて議論をして何が正しいかを考えていかざるを得ないと。そ ういうものでまとめていきましょう。  そうしますとここの項目はだいたいこの原案でよろしいですか。事務局。 山本補佐  先生、2点、確認していただきたいことはドナースクリーニングの検査結果を伝える か、伝えないかと、実際、あまりクリアでなかったのですが、ご遺族もしくは本人に伝 えるのかどうかということ。伝えないならそれは伝えないよと言っておくべきではない ですかということはそうかなとも思ったりするのですが。  もうひとつのところで、研究に使う場合に採取の時点で提供いただくときにきちんと 研究目的のこともあるのですが、それを再度、ただ、数年後に使わないかもしれないと 追っ掛けて、またそれを同意を取り直すのかということは現実的なのかどうかというこ とのご意見を伺いまして、こちらのご意見に対するここでのコンセンサスもいただける とありがたいのですけれども。 野本委員長  わかりました。ドナースクリーニングのデータというのは臓器移植の場合には出して ないですね。だいたい直接、関わること、ご本人が貰ったら多少は足しになるのは生存 者から組織を貰ったときにこういう情報がありますよというのを貰ったら、これはそう いうことはありますけれども、亡くなった人はどうするか。 山本補佐  多分、鎌田委員がお詳しいかもしれませんが、例えばHIVポジティブだとわかった ときにセックスによる感染とかあったりしますし、ご家族の問題があるとか、そういう 問題なのだろうと思うのですけれども、それをどういうふうにするかどうかということ だと思います。 野本委員長  知らせてあげた方がいいのか、してあげない方がいいのか。なるほど。 山本補佐  もちろんご本人からの提供の場合も当然かと思いますけれども。 野本委員長  臓器移植のときはHIVでも話していませんね。家族に話したりは一切、させていな いのですが、どうしましょうか。 北村委員  ご希望があれば伝えることは十分可能ですね。現場としては。 野本委員長  それはそうですね。 北村委員  ただ、今、山本先生、おっしゃったようなHIVプラスキャンセルしたとき、勝手に 調べて伝えてやっているのかとか、あるいはご家族の方も調べなさいという、どうして も医者は言いたくなりますね。そういう場合があるので、希望があれば伝えるというこ とはできますけれども。 篠崎委員  一応、我々、眼の方でもスクリーニングに関してはいろいろやってきたのですが、以 前のディスカッションがありまして、HIVに関してもあったのですけれども、一旦、 エイズ法があがってきたときに、これが通っておれば義務化されるので、我々も義務が 生じるだろうと。その場合にはそのバックアップ体制と言いますか、サーベイランス委 員会でどうするということが決まるのでやりましょうという議論があったのですが、と りあえずあれが流れた以上は我々はその後、では、私、知りませんというしかないの で、社会的にちゃんと裏付けができるまではちょっと保留というような形でペンディン グで動いているのですけれども。  あれに関しては何か新しい動きはあるのでしょうか。国として。例えばインフォーム ド・コンセント、あるいはHIVの例えば後の医療とか、法令とかの裏付けに対する新 しいアプローチみたいなものが。社会的担保もなしに我々、ただ、言い放っておしまい というのはやはりいいのかなというのがひとつあったのと、非常にテクニカルに割合、 難しい問題がバトキングとして果して家族に言うのか、言わないのかと非常に大きな問 題だったので、とりあえずドナー、我々のドナー、亡くなった方を相手にしていたので 言わないという方向でやってきたのですけれども。 野本委員長  どうしましょうか。 鎌田委員  亡くなった方の場合にはどうするか、非常に難しいところがあると思うのですけれど も、生きている方からの提供を受けるというのが組織によって違うのでしょうけれど も、どれぐらいあるのかによりますが、血液の方ではむしろ世界的にはHIVプラスで あることをスクリーニングで発見しておいて、本人に伝えないのはむしろそれは犯罪だ というのが世界的なあれで、日本の場合にはそれを本人に伝えると検査目的の献血が増 えるというのでしばらくはやめていらしたのですけれども、やはりそれを教えないとい うことは本人のためだけでなくて、世の中にエイズを広げることにもなるわけで、それ は伝えなければいけないというのが世界的な。  ただ、おっしゃられたように迂闊に伝えれば本人は大変なショックを受けるわけです から、どうフォローアップするかというのが問題で、あれはHTLVは結局、どう、伝 えることになったわけですよね。 野本委員長  HTLVの場合は言いやすいのですよね。どうしましょうかな。 松村委員 ひとついいですか。この前の基本原則の5番目のところでちょっと趣旨がわからない と言われたところですけれども、これは医療活動という面から見ると患者さんの個人の 情報等が主治医とかだけでなくて、看護婦さん等も含めて病院の中で広く共有されなけ れば治療できないよというのがあって、そのときに例えばこういう移植とか、あるいは 他の研究利用で情報を制限することはそういう医療活動を制限することになって、それ は非常にまずいよという意見なのですね。  これは組織培養学会で多分、これはスミプスや何かのときに大きく影響する、こちら の場合には提供者、ほとんど健常者ですから、あまり問題ないのだと思いますけれど も、今のように提供者にそういった病気が見つかったというようなときどうするかとい うのがさっきの5番目の関連することだと思います。 野本委員長  どうしますか。皆さん。ここは難しいですが。 糸満委員  大変、難しい問題で我々は整形外科学会のガイドラインを作るときにもこれ随分、も めまして、結局、希望があればお話しますということにしたのですが、ただ、例えばご 遺体からの場合であれば、誰に話すのかというのが非常に大事なことでして、あるいは 生体からの採取の場合も本人に直接、話していいものかどうかというのもございまし て、重篤なHIVや何かの問題になりま、とますますそういう話す相手が誰かというの が非常に問題になるので、その辺をやはりきちんと考えた上でどうするかというのを決 めなければいけないのではないかなと思うのですが。 野本委員長  どうしますか。当面、臓器移植法と同じように知らせないか、知らせるというのも妙 なもので、希望があったときにはそれは知らせるけれども、何か非常に片手落ち的ない ろいろな行動が起こるような不安もあるし。先生方、どうしますか。ちょっとこれ。 鎌田委員  血液の場合と違うのは繰り返し提供するということはあまり考えられないでしょうけ れどもね。 野本委員長  ないですよね。困っちゃったな。 山本補佐  先生、事務局はいいのではないのですけれども、だからと言って知らせないというの も何となく違うような気がするのです。 野本委員長  知らせない権利もないな。 山本補佐  ないような気がする。そうするとやはりインフォームド・コンセントの段階で勝手に 検査するということはないと思うのです。こういうドナースクリーニングの検査をしま すという話は逐一言うかは別にして、きちんとお話をしているわけですから、結果につ いて本人だったら知りたいですか、知りたくないですかと。聞きたくないというのに無 理無理見せるということもないでしょうけれども、ご家族の場合もその場合はどなたに お話をしたらよろしいですかと言って、多分、同意書を書かれた方にお話をしますかと 言ったら、もう亡くなった人のことですから結構ですと言えば、それはそれでいいし、 ぜひ、知りたいと言ったらやはり知らせるというのは。 野本委員長  やはり希望にということだな。 山本補佐  というのがいいかなとは思いますけれども。 野本委員長  それで結局、委員会の結論はご希望があればお知らせすると、ちょっと日和っている ようですけれども、これ以外に方式はないと思いますので、これでしてください。  もうひとつの問題、研究利用のときに再度、一旦、インフォームド・コンセントをい ただいておりながらそういう状況が起こったときに再度、確認する必要があるかどう か。これどうですか。これ、僕、ないような気がするのですけれども。こんな、これは ちょっと、さきほどからお話が何度もあったように、インフォームド・コンセントのと きにそこをきちんと理解していて、いいえ、私は研究用などには使わせたくないですと いう人をきちんと言えるようにやはり話をしておいてあげるべきだと思うので、これは ちょっと現実的ではないご意見のような感じがしますが、よろしゅうございますか。 鎌田委員  ここで書かれているご意見には例えば提供されないなら研究用には使ってほしくない という方が仮にいらしたとしたら、確かに焼却しましたということを、また本人に伝え なさいという、そういうこともこのご意見には含まれているのですか。それはそこまで はこだわらないのですかね。研究利用に特に。 野本委員長  今のところはもう要はインフォームド・コンセントのときに十二分にあれをするとい うのでパスをさせてください。  ここがよろしければ次の4番目のヒト組織の処理・保存に係る意見のところ、事務 局、ちょっとまとめてください。 山本補佐  はい。先生、その前に実は(2)採取のところが、まだちょっと終わってなかったの ですが、採取のところで一番大きなところでは、年齢の問題で、ゲノムの解析の16歳と いうことと、本人の同意の場合、臓器移植法で15歳という遺言年齢を引いて、そのまま 引いたのですが、ゲノムの場合には16歳と、だいたい何歳なのだというのがありまし た。 野本委員長  それはこっちとしては臓器移植法の流れで次のステップを踏み出しておるわけだから 臓器移植法の流れに従うのが適正だと思う。で、いかがでしょうか。他に16と15でこっ ちの委員会は16なのに、なぜ、お前たちの方は15かと。という話なのよ。向こうの委員 会のことを知っている人は、何で15にしたのかと怒っているのでは。なぜ、16になった かの方が私にはよくわからない。15でいきましょうよ。論拠はと言われたって、今、言 ったように臓器移植法で15、遺言になる年が15と。むしろ16になる論拠が何でしょうか と聞きたいから。どうですか。もうそれでいいでしょう。 山本補佐  はい。先生、次、ドナーの適応基準、(3)ですけれども、ヤコブの問題、CJDの 問題で、イギリスの滞在歴の問題ですとか、原因不明の痴呆症状など、もう少し厳しく 制限するべきではないかというご意見がありました。議案ではヤコブ病及びその疑いと いう書き方をしていますので、それから最後にいろいろな感染症に関する知見等を収集 し、適切な専門組織で随時見直すと、この基準を見直すべきと書いてあるのですが、関 連学会の役割をもっと積極的に書くべきとの2つのご意見をいただいております。   先生、引き続き、その他、採取の全体に係る意見として、これはさきほどから何度も 議論がありましたら本人同意が原則とすべきというご意見からドナーとか、そういう家 族の同意というのをやめるべきということのご意見をいただきました。  代諾書の取り扱いについても親権者に限るというふうに改めるべきではないかという 考え方がございます。これもずっと当初のご議論になろうかと思います。  その後、これも法律の議論がありましたけれども、家族の承諾範囲外で組織を摘出し たり、保存したりした場合の厳しい罰則が必要なのではないかというようなこと。  それからこれは現実には組織移植のためにということはあるかどうか確認させていた だきたいのですけれども、心停止後の腎提供のときのカテーテル挿入みたいな問題があ る場合についてはどういう検討をしたのかというご意見がありましたが、これは実際、 特に心臓弁などで関係してくるのかもしれませんから、委員のご意見をいただければと いうふうに思います。以上です。 野本委員長  そうすると、まずはCJDなどのときは、これはどうして疑いがあるといって、難し い。極めて僕は難しい話のような気がするのだけれども。 鎌田委員  ちょっと前提としてこのドナー適応基準というのはCJD及びその疑いというのがそ れが死因であるということを言っているわけではないですよ。ここに並んでいるのは死 因が何であれ、そういう疑いのある者はというので、このご批判の方は死因がCJD、 あるいはその疑いがある場合に限っているという読み方をされているのではないかなと いうふうにちょっと思ったのですけれども。 野本委員長  CJDが死因になったというような場合には、あるいはわかりやすいから除外できる のですけれども、疑いと言われるとこれは難しい話だと思うのですね。 鎌田委員  そうなると結局、CJDの疑いなんてというふうに言えないからこういう外堀で排除 しなければ駄目だというご意見があるのですね。イギリスにいた人は除けとか。 山本 補佐 献血における基準が関係していると思います。 野本委員長  イギリスにいた人は駄目なの。 山本補佐  はい。献血血液の担当部局ではありませんけれども、献血血液の献血者についてのC JDに関するスクリーニングを強化した際に、問診の中での評価にこれが入っていると いうふうに承っております。実際にはCJDに関する厚生省の研究班もございますか ら、CJDの確定診断がなされていて別の死因で亡くなられ方についてはわかりやすい のですが、それ以外は問診における痴呆症状等の確認以上のものはなかなかないだろう というふうに理解していますけれども。  ドナー適応基準を作ったときもあまり細かく書くというよりは、その疑いということ で疑いをどうやって排除するかという、次のテクニックの問題まではここに全部書き込 むというわけではなくて、それはその都度、見直していくということで、ただ、除くべ き疾患の基本的な考え方を整理したというふうになっています。 野本委員長  僕はそれでいいのではなかろうか。それは後は医療現場できちんと対応していただか ないとガイドラインで作るという性格ではないような気がする。これは疑いである人は 外しなさいという、これはいいのだけれども、いろいろな厳しく現実のルールつけるの はできないような気がするのですがね。  ここはそういう判断でよろしいでしょうかね。 鎌田委員  そういう意味では(2が検査方法は適当な方法をと、その検査方法の開発の問題では なくて、問診方法なり、そういう別の方法でのスクリーニングをやるざるを得ないよう なものについてはそれの適当な方法を考えろとか、何かそういうふうな形になっていか ざるを得ないのですね。 野本委員長  ですね。検査方法と言っても簡単にいくような話ではないから。 北村委員  (1には問診という言葉もちゃんと入れてありますけれどもね。 松村委員  逆にある移植が今、行われて、その人がCJDになって、もとのサンプルが例えば保 存されていて、その因果関係がわかったというときには訴えられることになるのです か。 北村委員  後にも出てくる救済機構をどうするのだという、それが考えておられて書いておられ るような気がしますけれどもね。 野本委員長  それはもう検査時点でしかるべき検査をやって、それでチェックに掛からなかった ケースというのは話し合いしかできないのではないでしょうかね。いわゆる犯罪性を追 求するという形には不可能だと思います。 鎌田委員  犯罪にはならないですね。後は製造物責任なり、あるいは瑕疵責任の問題になるのだ ろうと思うのですけれども、日本的には多分、いかなる検査方法であっても発見するこ とが不可能なものについては当然、過失はないですけれども、欠陥もないという判断に なる可能性が大変高いと思いますけれどもね。  フランスみたいな国は一切、そういう人体組織については全面的な責任を負わなけれ ばいけない。発見不可能であったということは抗弁は許されないと。患者側の信頼をよ り保護しなければいけないというふうな形をとっている国もありますけれども。これま での日本の行き方からいくと、CJDみたいなものについてはちょっと責任、民事的に も責任取りようがないのだと。 松村委員  犯罪ではないけれども、補償はしなければならないという。 鎌田委員  損害賠償責任もかなり日本では難しいところがある。今はCJDの訴訟をやっている ところですから、それがどう展開していくか見ないと何とも言えないところですけれど も。 野本委員長  非常に難しい微生物感染のそれをどうするかというのはこれはずっとつきまとう問題 なのですよ。人間で生きている限り、医療行為を行う限り、どの分野でも起こることな ので、やはり社会の変化に従いながらお互い、結局は相談しながら事が決まっていくと いうしかないのではないかと思うのですね。今、決めても明日変わるというのは当然の ことなので。 松村委員  こういうときに例えば移植に対する保険というようなことは考えられるのですか。例 えば今のようなケースでですね。 鎌田委員  保険は基本的にはむしろ保険を強制している国もあるぐらいですから、保険でカバー するのですけれども、ただ、保険の仕組み方次第で多くの保険はバンクなり、医療機関 が責任を負うべき場合に、その責任を保険会社が損害賠償を払ったことによる損失を保 険会社が埋めるというふうな仕組みの保険が多いわけですから、そうなるとこういうの はもう不可抗力的なもので、バンクも医療機関も責任を負わなくていいですよと言う と、責任保険の仕組みですと保険もお金も降りないことになってくるので、そうなると 例えば日本ではそういう場合に備えて副作用被害救済基金というようなものでカバーを するということになっていますけれども、不可抗力でも全部カバーする保険というのを 掛けておけば、それは保険でのカバーになると思います。むしろそれは患者さんのため の保険ということに。 松村委員  そういう移植を受ける側がこういうリスクが非常に僅かだけれども、あると。こうい う保険に入ってくださいよというようなことが具体的に可能ですか。 鎌田委員  可能だと思うのですが、ただ、責任というとまず刑事責任を思い浮かべてしまうの で、そういう感染をさせたバンクなり、医師が悪いのかという、そういうふうな発想に 責任というとすぐ結びつきがちなのですけれども、今のPL責任というのはそういう意 味で誰が悪いかを突き止めようというのではなくて、つまりどういう仕組みでリスクを 分散させてやるのが一番、皆にとって望ましいことなのかという発想ですから、そうい う意味ではたまたま感染してしまった患者さん一人にすべてのリスクを背負わせるのは 酷なのだと。  こういう例えば移植みたいなもので多くの人が助かっていて、その中でたまたまそう いう事故も起きるのだとしたら、むしろその移植の恩恵を受けている人たち全員が薄く 広くリスク分散してやればいいじゃないかと。そのリスク分散を誰がやるのが一番効率 的かというと、バンクが全部取り扱っているのだとしたら、単純に言えば1個1個の組 織に少しずつ価格を転嫁しておいて、そこで集まってきたものをお金でいいとか悪いと かを抜きに、患者さんには補償するという仕組みを取れば、一番簡単で安上がりに被害 者救済ができますよというようなものがだいたいPL法の考え方ですから、PL法の仕 組み自体がむしろ保険に非常に近い考え方で誰が責任を負うべきか、誰が悪いのかとい う発想からは少し離れつつあるというふうにご理解いただいた方がいいと思います。 野本委員長  どうしましょうか。報告案ではCJD及びその疑いということが書いてあるのです ね。それに関してもう少し何か書いたらどうかという意見をいただいておるのですが、 どうですか。 佐多委員  もともと他人の組織を自分のところ、レシピエントに入れる場合にいろいろな感染症 の可能性というのは当然、前提条件としてあるということをインフォームド・コンセン トでやはりちゃんと言うべきであると。それが今、わかっているものはできるだけこう いう方法でこういう基準でやるのだと。そこを説明するということは一番基本的に大事 なことですよね。その中の基準の例として例えばクロイツフェルト・ヤコブ病というの が大事であると。だから、それに対する疑いのあるものも含めてよく検討してほしいと いうのがガイドラインだと思うのですね。  だから、実際問題としてCJDの診断というのは防研しかできないわけですから、そ んな遺伝子検索でもない例だってあるわけですね。だから、そうすると今の時点ではで きないわけですから、できないことをそう言われても困るし、人間は別にCJDで死な なくても肺炎で死ぬ、これは確かにそうなのですけれども、だから、前提の方のさきほ どいろいろな議論があって、そのインフォームド・コンセントの中でどこまで説明し得 るのかというか、そっちの方のやはり重要なもので、それがこの基準がそのひとつの指 針を示しているというふうに理解していただけないものかと思うのですけれども。 野本委員長  それしか方法がないと思いますね。 佐多委員  ないと。これからも結構、いろいろなものが出てくると思うし、現実にヒトの遺伝子 の中にはレドロウイルスとかずっと入っているわけですね。もう既に感染のこういうこ とがずっと行われてきて、その中でもまだ最低の生命の安全とか、そういうのがある程 度、保たれながら、かつということなっていると思うので、そういう前提があるという ことをやはりはっきりした方がいいのか。 野本委員長  そこでカバーするようにしましょう。他にちょっと対応のしようがない。このご意 見、非常に貴重でわかるのですけれども、心配は心配だけれども、では対応の仕方はと 言われると今の我々、科学全体のところを考えても対応の仕方は具体的には浮かばない と。これがひとつ。  あとはどうなのですか。それから代諾者。次の問題、代諾者のはここでやられるのか な。事務局。この委員会で15歳未満の人の代諾をどうするかというのはすぱっとここだ けでこの委員会だけで表現ができるのか。 山本補佐  先生、死体の場合、もともとこれは本人の同意、もしくは家族の同意という形で進ん でいますが、生体の場合に基本的には本人の同意と言っていたわけですけれども、代諾 について親権者、もしくは代諾者でいいのか、もしくは親権者に、このご意見は親権者 にと書くべきということは、それは代諾でいいのだけれども、代諾者でなくて親権者の 方がいいのではないかという表現の問題ですけれども。 野本委員長  いや、それはこの委員会でどっちかパンと言ってもいいの。他のルールに引っ掛かる ことはないの。 山本補佐  というか、この報告書に何と書くかということで、代諾者と書くのか、親権者と書く のかということですので。先生、何と書くかを決めていただければいいのです。 野本委員長  いやいや、どっちか書いていいのかということで。逆に言うと。 山本補佐  書いてあるのですが。 野本委員長  他にいろいろなルールがあるから。 山本補佐  なるほど。 野本委員長  16歳と15歳の話と同じように。ああいう人たちは何を言ったのだと言われたら困るか ら。他のルールと引っ掛からないように言葉のことはよく、我々、アマチュアなものだ からね。 山本補佐  先生、もう報告書には書いてあるのですが、代諾者というふうに。その親権者と書き 改めたらいいのではないかということなので、先生、医療現場で他の生体肝移植や移植 手術の場合はどうでしょうか。鎌田先生、どういうふうに書いたら適切でしょうか。 鎌田委員  前提として15歳未満の子から代諾者の承諾で組織取っちゃっていいかどうかという。 山本補佐  生体の場合はいかがですか。 鎌田委員  生体の場合に。それをまず、問われていることですよね。それが仮に本人と代諾者と 両方だというふうな、仮になったときに、この代諾者か親権者かというのは結構、喧し い議論がありまして、法的にやるとむしろ親権者というのは狭いわけですから、法的代 理人というふうに書く方がより妥当なのかもしれないのですが、例の治験の改定実施を やるときに非常に議論がありまして、そもそもそういう未成年者とか、あるいは本人の 意思を表明できないような人を治験の対象にしていいかどうかというところから始まっ たのですが、これから惚け薬が一番治験の重要なので、それを言わなければいけない。  そのときに法定代理人というのが省令は法定代理人等というふうになっていて、マニ ュアルの方はもうちょっと違う表現になっていて、旧GCPのマニュアルはもっと詳し い言い方、何通りかあそこの中だけで分かれているのですけれども、それは法定代理人 というのはもともと財産関係を管理するために持ち出されている概念ですよね。しばし ば未成年者の場合にはそれほど心配ないのかもしれないのですけれども、お年寄りの法 定代理人というのはお年寄りのことを一番親身になって考えている人ではない人がなっ ているケースが結構、あると。  そういう人に運命を委ねるようなことをやってよろしいのかと。それは生活の実質か ら見て本人の利益、本人の意思を最もよく代弁できる人を代諾者としなければいけない と。治験ですから余計そうなのかもしれませんけれども、そういうふうな発想から法定 代理人という言葉を避けようという意見があそこで相当強かった。  ただ、お医者さんにしてみれば、そんなこと言われたら誰の承諾を得ればいいかわか らないから、形式的、画一的に決められるような原則にしてくれというご意見もあっ て、何とも曖昧な形になって、そこで苦肉の策で代諾者という他の法律ではあまり使っ てない言葉を持ち出して実質的に考えましょうという解説をつけているところなのです ね。 野本委員長  事務局は法学部出身の人もたくさんいると思うのだが、どう。 阿萬補佐  申し訳ございません。こちらの方も考えとして基本的にまとまっているわけではあま り実はないのですが、こちらの方で考えておりましたのは、まず、さきほど鎌田先生が おっしゃいましたようにそもそも財産関係の代理ということで定められております法定 代理人なり、そういうものがまさに自分の身体の一部を処分するようなものの代諾とい うのはそもそもできるのかと。  さらにいろいろいただいた意見とかでも弁護士の方、日弁連の方などが含まれている 意見の中にも本人が意思表示の能力がない場合に、それを親権者なり、そういう代諾を 行う人が代わって代諾を行うことはできないという意見がございまして、基本的な考え 方としては、例えば治療行為などについて未成年者なり、そういう意思表示、自らの意 思表示ができない人に対して利益のあるような行為については代諾ということでそれを やるということは許されるけれども、実際、臓器、この場合、組織ですけれども、組織 を提供するという行為については、そもそも本人の利益になるかどうかというところも 疑わしいので、まさにそういうことを代諾するという形は取れないのではないかという ご意見がなかに来ておるということだと思うのですが。  ですから、おそらくこの考え方としては、親権者を含めて本人が生体からの提供の場 合に、本人が未成年者であるか、またはその他、諸々の理由で意思表示を行うことがで きない場合には、例えばさきほど鎌田先生がおっしゃいましたようにその本人の意思を 最もよく代弁できる人間ということで、代諾ということをできるようにするというふう な形にせざるを得ないのかなという気もしておりますが、ただ、そうするとさきほどの 形のように、では誰に承諾書を貰うのかというのがはっきりしないということで。 野本委員長  誰に貰うのかわからないよりは、わからないという問題もあるけれども、理解度から 言ったら今、阿萬補佐が言われたのが私には一番よくわかったかな。本人の利益を代弁 できる人がすべきだというのが。  というのは何かをすること、治療行為だったら治療行為はあくまで利益をもたらすた めに治療行為をするわけだから、これは皆が考えて、この子のためにしなければという 決定を周囲がしても不自然ではないけれども、さあ、臓器貰うということになると、今 のような表現をするとおかしいのかな。あなたの割合、本人のことが一番よくわかって いる人というのは。 阿萬補佐  まさに一応、そういう表現で書くことはできると思いまして、あとは一般に言えば未 成年の場合に親権者が一番、まさに親ということでされているわけですから、本人の利 益を一番代弁できるということでよろしいかと思うのですが、あとはそれ以外のときに 知的障害者の方ですとか、痴呆の方ですとかの場合に代諾を認めるに足る人が一義的に 確定されるのかというところがやはり問題としては残るのかなという気はいたします。 野本委員長  鎌田先生、親権者という言葉でするのと、ある段差がある文章で表現するのとはどっ ちがいいのですか。この場合。 鎌田委員  法律家、細かいことを考えてしまうので、親がいない人には親権者いないわけですよ ね。そうすると親がいないと後見人が親代わりになるわけで、いずれにしろ、親代わり になる人を全部含めて表現しようと思うと法律的には法定代理人というふうな言葉にな って。 野本委員長  例えばもう少し易しくすれば、本人のことを一番よくわかる人と。 鎌田委員  法律上の法的代理人と本人の利益、本人の意思を一番よく代表できる人が必ずしも一 致していないときにどうするかと。とりわけ痴呆老人とか、事故で意識不明になって、 本人の意思が表明されてないままお亡くなりになったとか、あるいはその段階で組織採 ろうというときに、形式的に後見人になっている人がいれば後見人とか、配偶者がいれ ば配偶者というふうにやるのが一番能率的なのですけれども。 北村委員  全部書いておいたらどうですか。親権者、代諾者。 野本委員長  代諾者はいかんだろう。トータルを代諾者ということになるから。 北村委員  親権者、後見人、遺族。 野本委員長  まあ、これはちょっと事務局、書いてみて並べてみて、おかしいと思うところを直す というようにしてみて、これはやはりあまりにも難しい。結論をここで出すのに。  後からできるガイドラインだから、順々に前にできたガイドラインよりこのガイドラ インが一番いいガイドラインに今、なっているなという、しみじみと思いながら、こう いうところを問題があったのかと思って移植のときよりはるかに物事が正確になってい っていると思うのだよ。いいことだと思っている。  それからこのところではさっきは罰則規定、どうするかでしょう。これはちょっと今 の段階、この目的から言うと罰則規定は無理でしょう。いいですね。もう。ここはいら ないと。  もうひとつ、最後の冷却潅流注入。だから、まだ心臓止まってない前に提供してもら うためのいろいろな処理をしなければいけないかと。北村先生、この対象になるのでそ んなことあるのですかね。 北村委員  組織移植ではございません。 野本委員長  ないですね。篠崎さんのところもないですね。 篠崎委員  ないですね。 野本委員長  では、ここはもう我々の分野では今回の取り扱いの範囲内にはないということで。  あと、ある。3番目のところで何か議論しておかなければいけないことがあったら。 山本補佐  次、4のヒト組織の処理・保存に係る意見としまして、ひとつは保存期間を決めて、 その保存期間を経過した組織は廃棄すると書いてあるのですが、廃棄する組織は研究に 利用できるのかと。そのご質問がひとつ。  非常に厳しい意見では高水準の微生物クリアランスができるごく一部の機関以外は組 織バンクとしての運営ができないように国が規制すべきと。この問題に対しての答えは もう出ているかと思いますが、国の規制という位置づけではないということですので。 最後のところで内部評価、外部評価をすべきということです。内部評価というのは当然 バンク内の評価ということになる、バンクの自らの評価ということになると思うのです が、外部評価はどこが担当するのかと。前もこの中でどこがやるというふうにバンク毎 にも違うかもしれません。組織毎に違うかもしれませんから、そこを書くことはちょっ と難しいかと思うのですが。  真ん中の廃棄される組織を研究に使うのかというところについては考え方を整理して いただければ、後は事務局で書いてみます。 野本委員長  どうですか。これはインフォームド・コンセントの最初のときに研究に使っていいで すか、どうですかと聞いておくわけで、ノーと言うときはやはり廃棄せざるを得ないの と違いますか。 山本補佐  これはノーだ、イエスだではなくて、有効期限を、保存期間を過ぎたら廃棄すると書 ききっちゃっているものですから。 野本委員長  そうか。有効期限がきたら利用していいですよと言っておる組織も廃棄するわけです よね。 山本補佐  今の書き方ではそのようにも読めます。でも、それは本人の同意があれば、その後で 研究にも利用し得るのだということを確認していただければ、そういうふうにこちらの 方で文章は直します。 北村委員  そうですね。インフォームド・コンセントに基づいて研究用、研修、研究ですかね。 あるいは廃棄と。 野本委員長  あるいは廃棄。 北村委員  それはインフォームド・コンセントに基づくと。 野本委員長  これはインフォームド・コンセントで決めているか決めていないか、どう決めている かによって全部。逆にインフォームド・コンセントの中でそれがわかるような、わかり にくいように書いていたらインフォームド・コンセント、少し直さないといけないとい うことがあるにせよ、やはりこれはインフォームド・コンセントでしょう。そうしてみ て。 鎌田委員  そこでまた研究用にも用いられるというのを繰り返すと、えらく強調されて、要は廃 棄するという、捨てろではないのでしょう。つまり移植の用にも用いないようにすると いうことだよね。 山本補佐  はい。 野本委員長  期限がきたら移植に使わないと。これは研究開発用に使うことが目的の我々、ガイド ライン作っているのではないので、それは次のステップでやらなければいけないことだ から、ちょっと。 山本補佐  はい。次のヒト組織の移植施設への提供及び移植への利用に係る意見ということで、 ひとつは、対価の問題で、これは交通費等の実費は含まないというふうにかなり具体的 に、参考資料の5頁の5ですけれども、書いてあるわけですが、もうちょっと明確にし たらというご意見があります。  かなり技術的なご意見でロット番号をつけてドナー特定をするような形を避けて、個 別番号を付していくことが必要だというようなご意見。保存期間なのですが、CJDを 考慮して20年とすべきというようなご意見が出ております。  その他、個人情報の保護等に関する技術的なご意見をいただいておりますのと、最後 のところでこれは別のところでも意見が出たのですが、基本的には医師の治療者として の立場を明確にして、医師が移植の担い手でバンクはそのサポートシステムだというこ とについても明示すべきというご意見。以上、いただいております。 野本委員長  ちょっと4がピンとこないのだけれども。 山本補佐  4番目の丸ですか。 野本委員長  医師の治療者としての立場を明確化すること云々と。 山本補佐  5番目ですか。 野本委員長  これはもうオートマティックに移植の担い手で、何かバンクが移植するような表現に なっておるのかな。  山本補佐 そうでもないのですけれども。 野本委員長 あまりそういう文章に読めないけれどもね。 山本補佐  一応、先生、5の(4)のところに移植施設においてヒト組織の移植に用いる際には レシピエントに移植に係る潜在的危険性を含めた十分なインフォームド・コンセントを して、レシピエント側に十分説明しろとは書いてあります。医師がと書いていません が、移植施設においてという形の書き方になっておりますので。 野本委員長  北村さん、どう。そこに医師がと書いておかないと具合悪い。 北村委員  入れてくれと言うのだったら入れてもいいかもしれませんけれども。 野本委員長  それなら入れてください。 山本補佐  はい、わかりました。 糸満委員  そうですね。これは本当に読み方によってはバンクと読めるかもしれませんね。移植 施設において移植に用いる際にはそのバンクが説明するというふうに読めるかもしれな いので、やはり移植医なり、あるいは移植に利用する医師ということにした方がいいか もしれませんね。 野本委員長  はい。 鎌田委員  5番目はどっちが体制整備をするのですか。(5)は。これはバンクですよね。多 分。どっちだろう。 野本委員長  いろいろ記録、その他。 鎌田委員  診療録だから、こっちは医療機関か。 野本委員長  これは医療機関です。 山本補佐  バンク側もきちんと記録をするけれども、(5)で言いたかったのは移植医療機関に おいて、もしくは移植医もカルテ等にきちんとそのロット番号を入れるかは別にしまし て、バンク名とか、ただ、皮膚移植術とだけ書かれて何だかわからないというのが困る という考え方です。 野本委員長  バンクの方は提供して得たものとして記録をきちんとしておくと。移植施設では医療 行為を含めた記録をきちんとしておくというのが5番の意味合いで。 山本補佐  さきほどの北村先生及び糸満先生のご指摘も踏まえて、もっとわかりやすい文章に直 します。 野本委員長  ちょっと考えてみて。 山本補佐  はい。 野本委員長  この5で何か議論しておかない問題は他にあるかな。 山本補佐  20年問題です。 野本委員長  20年というのだよな。これ、どうですか。20年も。僕はこれ20年も保存せよと言われ たら皆、北村さん、20年程できる。 北村委員  これはちょっと意味が、使用した残りを再保存せよということなのですかね。 野本委員長  そうだと思いますよ。 山本補佐  データの保存ですので、基本的にはドナー病歴等のデータの保存ですから。 北村委員  病歴の保存はもうカルテと一緒で今、一応、半永久的。 山本補佐  でも法的な義務づけは5年ですね。先生。 北村委員  一応、義務づけは。しかし、実際は入院患者に対しての治療を行ったカルテは現在、 今、永久保存している施設は非常に多いので。 山本補佐  いえいえ、先生、それ国循。 北村委員  国循だけ。駄目。 糸満委員  そんなことないですよ。 北村委員  とってますか。 糸満委員  していますよ。 野本委員長  やはりルールが5年ならルールは5年だろう。20年というのは我々が勝手に決めれる ルールではないと思う。やはりカルテのあれに従わなければいけないのではないかな。 むしろ20年置くとしたら、むしろ私なんかあれする研究活動として20年やっていくとい うことは可能であるかもしれないけれども、病院の医療行為としてはやはり。 北村委員  その5年というのは最終の診療が終わってから来なくなって5年でしょう。ですか ら、来つづけている患者さんについてはもちろんずっとあるわけで。 野本委員長  だから、あの方に従った方がいいのではないですか。どうですか。 鎌田委員  いやいや、ドナーが死んじゃっていると死体からだとあっという間にそんなにたっち ゃうわけですけれどもね。これはバンクがデータを持っていろという意味ですか。ある いはドナーを診ていた病院のカルテというわけではないですよね。 山本補佐  今の書いてあるのはひとつはバンク、ひとつは移植施設ということが書いてありま す。 野本委員長  だから、移植施設は長く持つと思いますよ。患者さん、ずっと治療続けることになる から。おそらく移植患者さんでしょっちゅう定期的に来院したり何かするから一生、持 っていてくれると思うのですよ。こちらの方は。 山本補佐  移植によると思われます。 野本委員長  そうか。移植でも完全に病院の顔なんか見たくもないというようになった人が来な い。それが一番いいことだけれども。 鎌田委員  ただ、これもCJDの問題もありますし、血液の方でC型肝炎にしろ、HIVにし ろ、輸血なり移植が本当に原因だったのかということの同定が非常に問題になるという のはHIV訴訟でも言われたことだし、CJDの問題でも盛んに言われてきたことなの で、やはりある程度の検討はしないとカルテが5年だから5年というだけだとやはりち ょっと反省が足りてないのではないかということになりまして。 野本委員長  臓器移植はどうなっているのかな。 山本補佐  5年です。 野本委員長  ここらあたりはやるのだったら統一しないといけないね。 山本補佐  今回の指針には特段、何年とは書いてないのです。診療録は診療録としての法規制が あるだろうと。あとの部分はバンクの良識に基づいてというか、20年と書いて求めると いうところまでは。原案では踏み込んでおりません。  野本委員長  これはちょっと他の臓器移植のことがあるから、これなんかこそ、全体を統一する ルール作らなければいけないと思うよ。今、この委員会、このガイドラインで20年言っ たらもうちょっと越権行為的な感じがするな。 糸満委員  レシピエント側の診療録はそれは5年なら5年で法的な規制のままでいいと思うので すけれども、ただ、バンクのデータ、ドナー・インフォメーションをおそらく半永久的 に保存しているはずなのですよ。 北村委員  しているはずです。 野本委員長  しているでしょうね。皆。 糸満委員  だから、ドナー・インフォメーションについて20年、あるいは5年というふうな決め をもうしない方がむしろいいのではないかと。  北村委員  しかし、この意見から言いますと、将来、クロイツフェルト・ヤコブ病の何か発見す る方法とかが見つかったときに、それを因果関係を証明するということが目的であれ ば、それは記載した保存カルテにはCJDマイナスになっているわけですから、役に立 たないわけです。組織が残ってないと駄目なのです。ですから、これはカルテの書類上 の保存が20年ではなくて、組織そのものを20年保存せよということ。 野本委員長  僕はむしろそちらにまでいくから、そこまでいくことに関して、例えば北村さんたち はそれに耐えられるかという質問をしたわけよ。これの精神を生かそうと思ったら、そ の組織をずっと保存していくのだったら20年。 北村委員  そうです。ここに書いてある病歴、データというものの中に組織そのものを含めた考 え方をしないと、データ保存はもう半永久的。 野本委員長  要はその組織が保存できるのだったら、社会全体のために保存しておく方がいいのか と。だから、保存するだけの実を言うと大変なわけよ。私なんかも基礎研究でいろいろ なものを保存してきたからよくわかるのだけれどもね。23年で教授辞めるときに保存し たものをどうやって捨てるか、難儀やっているのだから。23年たってごらん。1日に1 枚ずつの紙切れでも蔵いっぱいになる。どうするかな。これは。 糸満委員  これは例えば今、我々、生体から骨を実際に人工関節のときに出る大腿骨頭ぐらいの こんな小さな骨を採って使うわけですよね。そういうものの組織をそれこそ一部分、も ちろん使った残りの一部を20年保存しろと言われたら莫大な数になるのですね。冷凍庫 がいくつもいくつもそのために必要になってくる。バンクのスペースがそれで埋まると いうことになり兼ねない。  ご遺体からいただいた骨というのは大量にありますので、それの中のワンピースを残 しておけばいいというのならまだいいのですが、生体由来の組織ある場合には難しいの ではないかなという気がするのですけれどもね。 野本委員長  カルテも皆、残してくれるわけだけれども、情報は。しかし、情報ではこの意味の情 報の目的が達成。 北村委員  CJDはマイナスと書いてある書類が残っているだけになりますからね。 野本委員長  新しいいろいろな問題が起こったけれども、材料があれば確かに役に立つ。そうする と国循の場合に大きな保存庫をビルで建ててあげなければいけないと。北里にも建てて あげなければいけないという話になるわけですよね。ここは何とか逃げる。 松村委員  よろしいですか。これはプラクティカルな医療ということと研究課題とがミックスし ているように思うのですけれども、研究課題としてこういうことは必要だと思うので、 それは別途、そういう研究課題としてされて、実際のプラクティカルな現場にそれを全 部網かけちゃってするということは現実的でないような気がするのですけれども、どう でしょうかね。 野本委員長  そうですね。こは私も今、言ったように私がやる、主任研究者がやるテーマで野本が 死んでからでも20年でも30年でも保存するような施設でも作れというのなら、山本補 佐、作りますよ。研究としてならね。ということだな。  山本補佐 先生、また何を残すかにもよるかと思います。血清を残すのか、血液を残 すのか。組織片の一部を残すのかという問題があります。 佐多委員  どこを残せばいいのか。 山本補佐  先生、それも大きいと思いますよ。骨も骨のかけらを残すのか、例えばその方からい ただいた血清なら血液も含めて残しておかないと、ウイルスの同定についてはほとんど 意味がないかもしれませんし。実は大変な問題かと思います。 野本委員長  これはちょっと大変な問題で、次の本当の意味の研究開発用のいろいろなバンキング のシステム、我々のとは違う次のシステムのときに、ぜひ、これ考えてもらいたいテー マだな。 山本補佐  はい。先生、鎌田委員がおられますけれども、例えば献血血液もさきほど言ったルッ クバックのため、つまり、何か起きたときに遡ることが出来るように全献血血液のサン プルを保存しています。これは、膨大なスペースと作業を必要としています。ただ、理 想的にはそういうルックバックを確実にやるとすれば、必要になってくるかと思いま す。 野本委員長  研究で考えてみましょう。私の今度の再生医学の中で、幸い、北村さんも先生も一緒 にやるから、ちょっと可能性があるかということぐらい考えてみます。やれるのだった らやってみましょうよ。 佐多委員  いらないという議論にはならないですね。 野本委員長  ならない。できないのですよ。いらないという議論はできないのです。この話は。社 会の役に立つことは間違いないのだから。だから、どれだけの犠牲がかかるということ を覚悟で我々はやるかと。したがって、はじめからボンと一般現場に出すのではなく て、やはりやってみましょう。考えてみましょう。それはもういいチームが来年から動 くようになっているわけですから、やってみます。この問題はここらであれしましょ う。  ちょっとすみません。時間、遅れましたけれども、あとはだいたい今までのことと重 なっておることですけれども。 山本補佐  それでは研究及び研修への利用、バンクの運営についてですが、研究につきましては 研究、非常に重要だし、特に研究者のバイオハザードの確保なんかも大事なので、ぜ ひ、移植医療の研究を積極的にサポートする内容をやるべきということがありますが、 研究に関する成果はやはり公表すべきというご意見がありました。研究がいらないとい う意見は実はあまりなくて、あるということがございます。  バンクの運営につきましては、バンクも透明性を確保すべきと、実績を公表すべきと いうご議論がいただきましたし、基本的にひとついただきましたのはバンクの財政基盤 の問題で、これはきちんと確保しないといくら言ってもできないのではないかという話 があります。   終わりにところでは、同じようにやはり財政基盤の安定化とか、財政的な裏付けみた いなことについてもご指摘がありましたし、強調すべきというご意見がありました。  先生、引き続き、3のところで本報告書に入れるべき、入ってないけれども入れるべ きという意見がありましたのが、ひとつもう既に議論が出ました救済制度の問題。未知 の感染症に対するリスクマネージメントについてもうちょっときちんと書くべきではな いかと。  4についてですけれども、医療機関についての関係。今の時点ではこれは移植医療と いうことですから、医師の責任においてやっているわけですが、そこのご議論もありま した。  次ですが、ひとつは自家移植の問題。自己の皮膚の培養皮膚、もしくはリンパ球の増 殖移植、これをこの中でどう位置づけるのかということ。もうひとつは、同じように議 論がありましたのが、ES細胞ですね。これについてもどう視野に置くのかというご議 論もございました。  あとは倫理委員会の位置づけについてももうちょっときちんと書き込むべきではない かという議論がありました。将来、民間企業が参入していって、ヒト組織が商業利用に されていくことが視野に置けるわけですが、これをどうするのかということについても ご議論がありました。  あと、幅広く言葉の話としてヒト組織ではなくて、全人格的に考えて人間の組織と言 った方がいいのではないかというご議論もありましたし、ヒト組織を売買の対象としな いことに反対というご意見もいただきました。  それから手続き論としましては、もうちょっと深い議論がいるべきではないかとか、 国会の議論もいるべきではないかという意見がありました。一方で最後の意見ですけれ ども、ぜひ、社会的なコンセンサスを得るべきですし、これをやはり先端技術の発展を きちんと進めていく形で考えるべきと。そうでないと国際競争にも乗り遅れるし、よろ しくないのではないかというご意見。以上、いただいております。 野本委員長  ESのことは私はこの委員会は関わらなくていいと思うが、いかがでしょうか。た だ、自家のことに関して触るか触らないか、ちょっと考えてください。いろいろな我々 が、むしろ自家の方はこういうバンクのシステムのようなものを利用するとしたら、そ の技術を利用するということになりますよね。基本的な理念とかシステムを利用するの ではなくて、実際の技術的な問題が進んでいったら、それを自家にも利用するというこ となので、一番自家で使うのは島崎さんのところですかね。骨。 糸満委員  私だと思います。 野本委員長  いや、糸満さんのところですかね。 糸満委員  一番使います。 野本委員長  何か我々のこの中に入れて議論しておくことは必要ですか。 糸満委員  いらないと思います。例えばこれはバンキングの話ですので、自家移植というのは、 例えば自分の組織を採って増やして移植していくという、それはまた別の問題ですか ら、実際には、ただ、その場で採ってすぐ移植するという、全然、話が違いますの で。 野本委員長 北村委員の部分であったら血管ですね。普通の末梢血管ですね。自家移植というの は。 北村委員  場所を変えて同じ患者に移し変えるということはありますが、それは普通の治療の形 態の中で患者さん自身との手術におけるインフォームド・コンセントでこうしますとい うことで書いていただいて済む問題で、それが大きな問題になることはありませんし。 野本委員長  社会に大きな接点を持つ問題を我々は議論しなければいけないと思いますので。 北村委員  我々の領域での自家というのは、例えば本人の肺動脈を大動脈内に移し変えたりして しますけれども、それに関してはもう従来の手術のインフォームド・コンセントで解決 がつくことで、世界的にもこういう規約を作ろうという動きは全くありません。 野本委員長  多少、接点があるとしたら皮膚。島崎さんのところの皮膚の細胞を培養して返してあ げると。しかし、これも単に技術論的に我々の問題と接点があるだけであって、社会と の接点という意味ではちょっとお医者さんと患者さんの間でお決めくださいということ のような気がしますが、どうでしょうか。規制したり、こうしなさいと言う範疇に入ら ないと。  そうしますとやはり自家の組織の利用に関しては我々のこのガイドラインでは触れな くていいという判断でよろしゅうございましょうか。ちょっと触れようがなくて異常介 入のような感じがするですね。 糸満委員  今、既に例えば骨移植にしても、血管の移植にしても既にもう医療保険で動いている わけですから、今更、ここで議論する対象では本来、あり得ないはずだと思います。 野本委員長  では、もうそれでいきましょう。もうひとつ。 山本補佐  最後、もうひとつ、これはここで鎌田先生も含めてご議論いただきましたけれども、 身体に由来する臓器組織に対する患者の法的地位について所有権的に構成するか、人格 権的に構成するかの法的問題を検討した形跡がないというご意見がありました。ここで は、結局、そういう議論を踏まえた上で基本原則のところでの公共性、社会性というこ との書き方になったと思うのですけれども。それでよろしいかどうかということ。 野本委員長  最初に議論したのはそれだったのだよね。我々が一番議論したのはそこから入った と。普通の委員会のように技術論から入ったのではなくて、そこから入っていった委員 会だから、それはもうその結果が今の原案になっていったのだと僕は思うのだけれども 。  ここでちょっと先生方、倫理委員会の位置づけというのは実を言うと現場では結構悩 むらしいのです。悩むらしいのですけれども、この委員会で倫理委員会をこうしなさい というようなものでもないような気がするのだけれども、どんなですかな。むしろ、い ろいろな施設が医療関係やいろいろなところに相談して、では、うちの体制ではこうい う委員会が相応しいというように決めて各個的に相談してもらう問題のような気がしま すけれどもね。  文部省管轄の場合は全部、大学というのは文部省がこういうような倫理委員会構成に しなさいと、外部の人も入ってもらいなさいと、外部の人が入ってない倫理委員会は無 効にしますとかというところまで介入しているのですよ。だけれども、この委員会がす るというのはいろいろ社会の施設を含めているわけですから、どうしますか。倫理委員 会の位置づけというのを。 鎌田委員  倫理委員会の構成等は任せていいと思うのですけれども、どういう部分には倫理委員 会が関与すべきかというふうなものは明らかにできるのなら明らかにしておいた方がい いし。 野本委員長  内容ということをそこで入れてくださいと。さて、それが非常にまた難しくなるので すよ。先生。これが施設のレベルによって、レベルがちょっと危ないところは自分のと ころのチームでこれだけの医療をやっていいかと。それは医療を受ける人の利益に反さ ないかというところから議論せよと言わなければいけない施設もあれば、そういうふう なものは全然話にならなくて、極めて困難なときに倫理委員会、例えばこの問題だった ら移植の直前になってその組織を返せと。書面で文句を言われたと。文句を見るとそれ もある程度、納得する背景があると。お医者さんなり病院なりが冷たい対応をとったの でそうなったのだと。そういうときに動くような倫理委員会もあると思うのですよ。  そうしますとこの倫理委員会というものの定義というものは非常に難しい。九大なん かのケースを見ていますと、ときどき勘違いしたようなテーマまで倫理委員会でやっ て、倫理委員会はお墨付き提供倫理委員会ではないと言って、私はときどき怒ることも あるのですが、どんなものですか。事務局。これ議論。 山本補佐  今、鎌田先生のご意見も踏まえて少し工夫させていただきます。 野本委員長  はい。ちょっと簡単に議論できるテーマではないのが倫理委員会です。あとはどうで すか。指針案ではヒト組織の商業利用に利用する道筋が明確に説明されていないと。こ れに関してはそういう将来のことも考えるというのが終わりなり、まとめなりに触れる べきであって、このガイドラインの中心では触れないというのが私は本筋のように思い ます。我々の目的と違いますから。  他に何か事務局や先生方で考えておかなければいけないというところ、ございましょ うか。できたら3月の27日に集まっていただいて、最終案になりますから、早急にチェ ックをしてもらって先生方のところにお送りして、そして見てもらうと。それで集まっ て27日にやるのですが、もう27日に何かこれは我々の見落としであったというテーマが あれば、場合によると4月に持ち込んでもう1回ぐらいやるということもありと、それ は駄目。 山本補佐  いえ、もちろんいいです。 野本委員長  それぐらい考えておきましょう。これは非常に大事なことなので、大概、この委員 会、委員の先生方に自由に議論していただいてお考えを聞いて、それを事務局がまとめ たと。  普通のよく事務局が作ったのを委員会がバーッとそのまま黙認したようなタイプの審 議の仕方をしておりませんので、大概のことは議論できたという自信を持っておるので すが、なおかつ27日にこれでは駄目だということであれば、もう1回やると。しかし、 できたら27日に終わらせたいですね。政府は仕事、山ほどあると思いますから。 山本補佐  それでは今日のご議論を踏まえまして、事務局の方で修文してみまして、委員長に見 ていただいて、各先生方になるべく早めにお送りしてご一読いただいた上で27日にお集 まりいただければというふうに思います。 野本委員長  よろしゅうございますか。今日はありがとうございました。最後のところまでもう1 回、お付き合いください。  いろいろな仕事をしてきまして、僕は今回のこの組織の専門委員会の流れ、かなり自 信を持っていいものができたし、事務局が本当によく頑張ってくれたので、心から感謝 をしております。先生方もこんなに度々、引っ張りだしてすみませんでした。お許しく ださい。いいものができあがるということで、そこのところはお許しを願うと。  ありがとうございました。今日は。 (閉会・12時17分) 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  岩崎(内2361)、木村(内2364) 電 話 (代)03−3503−1711