00/03/03 年金審議会総会・全員懇談会議事録            年金審議会総会・全員懇談会議事録 日 時 平成12年3月3日(金) 16:30〜17:25 場 所 厚生省特別第一会議室 ○ 総 会  1 開会の辞  2 出席状況報告  3 議 事 ・ 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国と の間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び国民年金制度の特例措置案につ いて ○全員懇談会 1 開会の辞  2 議 事 ・ 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国と の間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び国民年金制度の特例措置案について ・確定拠出年金法案について(報告)  3 閉会の辞 ○ 総 会  1 議 事 ・ 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国と の間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び国民年金制度の特例措置案について 2  閉会の辞 〔出席委員〕 京 極 会 長 岡 崎 委 員  木 原 委 員  国 広 委 員  神 代 委 員 坂 巻 委 員  砂子田 委 員  高 山 委 員  都 村 委 員 船 後 委 員  宗 岡 委 員  吉 原 委 員 ○ 京極会長  ただ今から年金審議会総会を開会いたします。 まず、委員の出席状況について、事務局から御報告をお願いいたします。 ○ 事務局  委員の出席状況でございます。本日は久保田委員、富田委員、福岡委員、桝本委員、 目黒委員、山田委員、山根委員、渡邉委員、貝塚委員が御欠席で、その他の委員は御出 席でございます。 なお、高山委員が遅れてお見えになるということでございます。以上でございます。 ○ 京極会長  それでは、議事に入りたいと存じます。  お手元にお配りしてありますとおり、本日、社会保障に関する日本国とグレート・ブ リテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び 国民年金制度の特例措置案について諮問がございましたので、これについて、御審議を お願いしたいと存じます。  まず、事務局から諮問書の朗読をお願いいたします。 (事務局より諮問書朗読)                 諮  問  書  社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間 の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び国民年金制度の特例措置を別添のとおり講ず ることについて、厚生年金保険法(昭和29年法律第 115号) 第5条及び国民年金法(昭 和34年法律第 141号) 第6条の規定に基づき、貴会の意見を求めます。  社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間 の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び国民年金制度の特例措置案要綱 第1 特例措置の目的  社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間 の協定(以下「協定」とういう。)を実施するため、厚生年金保険制度及び国民年金制 度について、被保険者の資格等に関する特例を設けること。 第2 被保険者等の資格に関する特例 1 適用調整 1) 厚生年金保険に関する事項   次のいずれかに該当する者は、厚生年金保険の被保険者としないこと。 ア  日本国の領域内で就労し、かつ、保険料納付義務に関する英国年金法令の適用を受 けるもの(英国の事業主により派遣された被用者であって、派遣期間の当初の見込み が5年を超えないもの(派遣開始後に就労期間が延長された場合には、適用免除期間 を最長8年まで延長可能とする。)等) イ  英国の領域内で就労し、かつ、保険料納付義務に関する英国年金法令の適用を受け るもの (ア)日本国の事業主により派遣された被用者であって、英国年金法令の適用免除期間 (最長8年)を超過したもの (イ) 日本国の事業主により派遣される被用者であって、派遣期間の当初の見込みが5 年を超えるもの等 ウ  日本国及び英国の領域内で同時に就労し、かつ、英国に住所を有するものであっ て、保険料の納付義務に関する英国年金法令の適用を受けるもの エ  日本国又は英国の国籍を有する船舶において就労し、かつ、英国に住所を有するも のであって、保険料の納付義務に関する英国年金法令の適用を受けるもの 2) 国民年金に関する事項 ア 1)ア又はイに該当する者は、国民年金の被保険者としないこと。 イ アと同様の措置を自営業者等についても講ずること。 2 任意加入の制限  英国から派遣され日本国の領域内で就労し、かつ、保険料納付義務に関する英国年金 法令の適用を受ける被用者等(60歳以上の者を除く。)は、厚生年金保険又は国民年金 の任意加入制度の対象としないこと。 3 厚生年金保険の継続加入の特例 厚生年金保険の適用事業所に使用される者であって、11)イに該当する者は、社会保険 庁長官に申し出て厚生年金保険の被保険者となることができるものとすること。 第3 施行期日  この特例措置は、協定の発行日から施行すること。 ○ 京極会長  それでは、年金局長から諮問内容について趣旨説明をお願いいたします。 ○ 年金局長  本日こういった中途半端な時間に急遽お集まりいただきまして恐縮でございます。私 からただ今の諮問の趣旨につきまして御説明申し上げたいと思います。  年金協定につきましては、できるだけ多くの国とできるだけ早く結びたいということ でドイツに続きましてイギリスと交渉をやってまいったわけでございます。これがよう やく交渉がまとまりまして、先般2月29日でございますけれども、署名を交換すること ができたということでございます。  これを受けまして、今開かれています国会に、イギリスとの年金協定を国内で実施す るための特例法案を提出したいということで作業を進めておるわけでございます。  ドイツの場合は、大きく言いまして2つの措置を講じたわけでございまして、1つ は、一時派遣者について二重適用を排除するということでございまして、派遣期間が5 年以内であれば相手国の年金法令は適用しない。さらに3年は延長できるということ で、実質8年間は自国の年金制度だけに加入しておればいい、こういう二重適用の防止 措置を講じたわけでございます。  それから、もう1つは、通算の措置でございまして、相手国の年金加入は自国の年金 加入と同じだとみなしまして、両者の加入期間を合わせて受給資格を満たしておれば、 それぞれの国が加入期間に応じて年金を支払うと、こういう通算措置も併せて講じたわ けでございます。  ところが今回のイギリスとの間の協定では、二重適用の防止、これに限った協定にな ったわけでございます。ドイツと同じように、5年以内であれば、相手国の年金制度に 加入しなくてもいい。さらに3年間はこの期間は延長できる。こういうことで二重適用 の防止という点ではドイツと同じなんですけれども、通算措置が設けられておりませ ん。これはイギリス政府が通算措置を講ずることについて強く反対をしたといいます か、二重適用の防止に限った協定にしたいということを強く主張したわけでございま す。  私どもとしまして通算措置も講じるようにということで要求したわけでございますけ れども、通算措置にこだわって年金協定の締結が遅れることになりますと、かえって国 益を損なうのではないかということで、通算につきましては将来の課題ということで、 今回は二重適用の防止に限った協定を結ぶと、こういうふうにいたしたわけでございま す。  実はイギリスの年金制度は外国企業につきましては、事業主負担を免除する、こうい う措置を講じておったわけでございます。これは外国企業の誘致策の一環としてそうい う優遇措置を講じておったわけですけれども、これが94年3月にこの措置が撤廃されま して、外国企業でも事業主負担をしなければいけない、こういうことになったわけでご ざいます。これによりまして、事業主負担分と本人負担分を合わせますと、3年間で5 0億ぐらい日本企業がイギリスで保険料を納めているということになるわけでございま して、これが掛け捨てになってしまう、こういうことでございます。  そういうことで一刻も早く協定を結ぶ必要があるということでございます。最長8年 間は相手国の年金制度に加入しなくてもいいと、こういうことになりましたので、日本 から派遣される方の96%がこれによって救われるといいますか、問題が解決できるわけ でございます。そういうことで二重適用の防止に限った協定を結ぶことにしたわけでご ざいます。  速やかに御審議を賜りまして答申をいただければと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○ 京極会長  どうもありがとうございました。今回の諮問に関する審議につきましては、この場を 総会から全員懇談会に切り替えて行うこととしたいと存じますが、いかがでございまし ょうか。よろしゅうございますか。 (「異議なし」の声あり) ○ 京極会長 それでは、総会を終了いたしまして、引き続き全員懇談会を開催することにいたしま す。 (総会閉会・全員懇談会開会) ○ 会長  それでは、これから全員懇談会を開催いたします。  まず、先ほど諮問のございました社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び 北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及び国民年金制 度の特例措置案につきまして審議を行い、できれば、本日中に答申まで行いたいと存じ ます。法律案の内容等について事務局が資料を用意いたしておりますので、御説明をお 願いいたします。 ○ 事務局  お手元に資料1、資料2をお配りしてあります。資料1は、「英国との社会保障協定 の概要」に関する資料であり、資料2は、今回諮問いたしました「特例措置案」の内容 についての資料でございます。まず、資料1の「英国との社会保障協定の概要」の資料 について御説明いたします。  先ほど局長からも御説明申し上げましたように、今回の協定は、二重適用の防止のみ を目的としております。この協定は、両国の公的年金制度の間で二重適用の防止をする ということで、日本は国年・厚年のほか4共済年金で、英国は全国一本の国民保険とい う制度の間で調整を行うこととしております。協定の内容は二重適用をいかに防止して いくかということになるわけでございます。  2ページを御覧下さい。協定では(ア)〜(エ)までの4つのルールというもので調 整をしていくという考え方に立っております。  まず(ア)は、大原則は、就労が行われている国の制度を適用するということで、日 本で働いている方は日本、イギリスで働いている方はイギリスの制度を適用するという ことでございます。  (イ)が今回の協定の最大のポイントでありまして、企業などから一時的に相手国に 派遣された方について、先ほど局長からもお話しましたように、原則5年以内の派遣で あれば引き続き派遣元の国の制度を適用する。その後、事情変更などにより期間が延長 された場合には3年を限度として延長し、都合最長8年までは派遣元の制度のみを適用 するということであり、日本から英国に派遣される方で見ますと、8年間でおよそ96% の方が今後は日本の制度にのみ加入し英国には加入しないということになってまいりま す。なお、自営業者についても被用者と同様の取扱いをすることとしております。  二重適用の場合というのは、主として今申し上げました一時派遣になるわけですが、 そのほかにも若干二重適用が生じるケースがございます。(ウ)はそれについてのルー ルであります。同一の期間に日英両国で就労している者、具体的には同時期に両国で自 営業を営んでいらっしゃる方、あるいは日本の企業の取締役が英国の子会社の非常勤の 取締役を兼ねている、このようなケースでございますけれども、通常居住という概念を 用いまして、生活の本拠のある国、その年金法令を適用することになっておりまして、 一般的には恐らく日本人であれば日本の制度、イギリス人であれば英国の制度が適用さ れるということになろうかと思います。  (エ)は、(ア)〜(ウ)までのルールで、仮に例えば日本の制度を適用すべきとい うことになった場合であっても、例えば、60歳目前、年金の受給開始目前であると。あ と1〜2カ月だというような場合には、御本人の同意、あるいは英国の制度の適用があ るということを条件に日本の制度を免除ができるということで、(ア)〜(ウ)までの 結果をさらに個別の事案において修正ができるようにしたものでございます。  協定ではそのほか、これを実施していく上で、両国の社会保険庁と英国の当局の間で 自国制度の加入状況等について個人情報をやりとりする必要がございますので、その規 定も設けております。  協定につきましては、国内法の整備でありますとか必要な準備が完了したということ を外交ルートを通じて相互に通告をしまして、その日から効力が生ずるということにな っております。  続きまして、資料2の「特例措置案」の内容について御説明申し上げます。今回の協 定は二重適用の防止ということでありまして、このうち、特例措置を講じますのは、英 国の制度が適用されることとなり、日本の制度を適用しないということとされた方につ いて、厚生年金あるいは国民年金の被保険者としない旨の特例を定めるというものでご ざいます。なお、協定の規定により引き続き日本の制度が適用されるという方につきま しては、日本側では特に措置をせず別途英国において措置を行うということになってま いります。具体的な内容につきましては、先ほど協定の内容で説明したとおりでござい ますが、ここでは図を用いて典型的な例について御説明をしております。  まず(1)でございますけれども、これは英国から日本に一時派遣で来られた方、原 則5年、最長8年までは日本の制度を適用しないというものでございます。  (2)は、逆に日本から英国に派遣された方の場合でございます。(ア)は日本から 英国に当初5年以内の見込みと、その後延長されて最長8年まで派遣されていた方が、 さらに8年を超えて英国で就労を続ける場合でございます。8年目までは日本の制度が 適用され、英国は不適用となるわけですが、8年目を超えますと日本の制度から英国の 制度に切り替わりまして、日本の方は適用しないという特例を講じることになります。 当初5年の見込みというふうにこれまで申し上げていますが、初めから、例えば6年、 7年といったような5年を超える期間の予定で派遣される方につきましては、2ページ の(イ)にございますように、英国派遣当初から英国制度の適用となり、日本の制度は 適用しないこととなります。同様の措置は自営業者についても講ずることとしておりま す。  その次の(4)は、先ほど同時期に日英両国で就労している場合ということで御説明 申し上げましたが、英国に住所があるというような方については日本の制度は適用しな いこととしております。  (5)は若干特殊な事例でございますけれども、船員についての取扱いの特例でござ います。船員につきましては、日本でも基本的には日本船舶に乗り組む方が対象となっ ておりますが、例えば外国船籍の船であっても、日本の船会社が用船をしたという場合 は厚生年金の対象となっております。一方、英国でも英国船籍のみならず英国で雇用契 約を結んだような方は英国の制度の対象とするといったようなことになっておりまし て、例えば、英国船籍の船を日本の船会社がチャーターしたと。英国で船員さんを雇い あげたというような場合には二重に適用される可能性がございます。実際にはそのよう なケースはほとんどないと思いますが、そのような場合が生じた場合には、これも (4)と同様、住所地によって整理をすることにしておりまして、英国に住所のある方 は日本の制度を適用しないということでございます。  3ページにまいりまして、2の任意加入の制限でございます。これは協定におきまし て、英国側の強い意向を受けて盛り込まれた内容でございますけれども、英国から5年 以内ということで日本に派遣をされてきた方、こういった方については、英国の法令が 適用されているということで、国民年金及び厚生年金保険への任意加入というのは制限 をするということにいたしております。  3の厚生年金保険の継続加入の特例でございますが、これは今回の協定が年金の加入 期間の通算を含まないということに伴います国内法上の措置でございます。  事例1というのを御覧下さい。日本から英国に派遣をされていた方が、派遣が長期に 及んで8年を超えた場合、英国の制度に適用が切り替わるわけでございます。しかしな がら英国の年金給付の資格期間は退職年金で11年あるいは障害給付ですと2年といった ようなことになっておりまして、英国側からこの期間、年金が出ない可能性がございま す。したがって、この期間について、日英いずれからも給付が行われないといったよう な事態を防止するため、御本人の申し出によりまして厚生年金への継続加入の道を残し ておくという内容でございます。  最後になりますが、施行期日は協定の発効日ということで、両国で国内法整備等の準 備がすべて整った時点ということにしております。  以上でございます。 ○会長  ただいまの御説明を受けまして、本日の諮問事項について、御意見等ございました ら、どなたからでも御自由に御発言をお願いしたいと存じます。 ○ A委員  英国側が通算措置に強く反対したとおっしゃいましたけど、内容はどういうことなん ですか。 ○ 事務局  英国側は昔は二国間のこういった協定で通算措置も講じておりましたけれども、1985 年アメリカとそのような通算を含む内容の協定を結んで以来、その後は方針を転換いた しまして、今後は二重適用の防止に限定するという方針をとっております。現に最近で は韓国、カナダといったような国と相次いで協定を結んでおりますが、いずれにしまし ても二重適用の防止に限定した内容になっております。英国がなぜこのような方針転換 をしたのかというのは、英国政府の内部の事情というようなこともあって必ずしもはっ きりしない部分というのがあるわけでございますけれども、基本的には財政的な理由で あるというふうに聞いております。  その辺の事情はいろいろ聞いてみますと非常に複雑な事情のようでございますけれど も、結局かつて結んだ給付の通算に関する協定の中で、若干不十分な内容のものがあっ たと。具体的には英国の場合、海外に居住する方への年金の送金というのは、スライド 分をすべて停止するという措置をとっております。  外国の制度はほかでもこういう例があるわけですが、通算協定を結びますと、両国同 等に扱うということで、通算措置を結んだ国への送金はスライド分も含めて送金すると いうのが通例でございます。  ところが英国はかつて結んだ通算措置の中で、そういう一遍凍結しているスライド分 を復活させるというのをやっていない例がございます。その国とイギリスの間で非常に いろいろとその辺をめぐって紛争が生じているというふうに承知をしておりまして、そ のような事情があって、英国としては、そういうスライド分の復活というようなことを やらなくていいような二重適用の防止に限ったものにしたいということのようでござい ます。  したがいまして、日本と今ここで通算措置を結ぶということになりますと、最近結び ましたカナダ、韓国との関係、あるいは過去において不十分な通算措置を講じておりま す国との関係、そういった関係で、日本だけということにいかなくなると。すべての国 と通算協定を結び、かつスライド分も支給をするということになりますと、その財政的 な影響は極めて大きくなると。そういう波及まで含めて財政的な影響を懸念してのこと だというふうに理解をしております。 ○ 会長  よろしいですか。 ○ A委員  はい。 ○ 会長  ほかにどなたか、どうぞ。 ○ B委員  5年を超え8年まで延長可能とするということによって、96%が、例えば10年にすれ ば 100%にもっと近くなるとか、どういう根拠でこの8年というのが決められているの か、ちょっと伺いたい。 ○ 事務局  基本的には派遣の期間を何年にするかというのは交渉事であります。英国は当初3年 というようなことを主張しておりました。例えばヨーロッパの内部の国ですと、これは 1年というような非常に短い期間になっておりますし、国際的に見ましても大体5年と いうのが一番長い期間になっております。  一方、日本の場合、日独は5年を原則としつつ8年まで延長ができるということにし ております。その日独とのバランスというようなこと、あるいは今回通算措置を含まな いというようなこともありまして、できる限り多くの方を引き続き日本法で適用できる ようにしたいというようなことがございまして、8年であれば、96%はカバーできると いうようなことで、その辺、交渉をした結果、結果的に5年というのを原則としつつ、 これは諸外国が結んでいる中でも一番長い期間としてまず5年というのを置くと。その 上で、日本との関係ということでプラス3年を上積みしたというふうに理解をしており ます。 ○ 会長  よろしいですか。どうぞ、C委員。 ○ C委員  私どもの会社自身はそれほど海外に人を派遣しているわけではございませんけれども 民間の多く、特に商社さんを始めまして自動車メーカー、家電メーカーさん等海外に出 ておられますので、こういう社会保障協定を結ぶと大変意義のあることで、そういう意 味では厚生省は御苦労なことだと思いますが、我々の関心はアメリカ、中国あるいはA SEAN、こういったところに現在相当出ていますから、そういうところと今後どうい う形でこういう社会保障協定を結んでいかれるのか。それと同時に、今回のドイツとイ ギリスの社会保障協定を結んだことが、そういうアメリカあるいは中国、ASEAN諸 国との社会保障協定を今後結ぶのにどういう意味合いを持つといいますか、先ほど出ま した期間の問題や通算措置の考え方をできればお聞かせいただきたいと思います。 ○ 事務局  まず今後他の国々とどう進めていくのかということでございますけれども、資料1の 最後のページを御覧下さい。この紙では、各国と日本との間で人的交流の実態がどうな っているかというのを示したものでございます。日本にとって一番関心があるのは、日 本から海外に出られている方ということで左側になります。これを御覧頂いてわかりま すように、アメリカが全体の4割を占めております。やはり私どもはアメリカと早くや りたいという希望を持っております。したがって、今回英国と結びましたけれども、そ の次はアメリカとやりたいというふうに考えております。  そのほかの国でございますけれども、実はこの社会保障協定というのは、いわば相互 主義の原則に立って、お互いに同じような措置をとるということでございまして、相手 の国に日本の公的年金制度に相当する公的な制度を持っているということが大前提にな ってまいります。例えば中国ですとかそういった国ということになると、当面は対象に ならないものというふうに考えておりまして、先進国中心ではないかと思います。  そういう中で、先ほど申し上げたように、アメリカを次にと考えております。その次 は、昨年12月に小渕総理とフランスのジョスパン首相の首脳会談が行われた際に、今年 中ぐらいに情報交換をとりあえず始めるというようなお話が出ておりまして、アメリカ の次はフランスといったようなことを考えております。  そのほか8カ国ほどから我が国は、協定交渉の申し入れを受けておりまして、人的交 流の実態、あるいは経済的な関係の実態などを見まして、必要性の高いところから進め ていきたいというふうに考えております。  あともう1つ、次はアメリカということで考えておりますけれども、アメリカについ ては通算措置も含むような形でやりたいというふうに考えております。  御案内のように、ドイツとの間では非常に時間がかかったわけでございます。ただ、 今回の日英交渉、一昨年2月に始めて以来、約2年でここまできております。やはりド イツとやった経験というのは非常に大きゅうございまして、アメリカの場合、通算措置 も含めるという前提で考えますと、果たして2年ということになるかどうかわかりませ んが、日独の段階で主要な論点については、私ども整理を既にしておりますので、今後 はそれほど時間をかけずに進めていきたいというふうに考えております。 ○ 会長  よろしゅうございますか、C委員。 ○ C委員  はい。 ○ 会長  D委員、先ほど手を挙げられました。 ○ D委員  同じです。 ○ 会長  よろしいですか。他にどなたか、どうぞ。 ○ E委員  少し技術的なことですが、3ページの「厚生年金保険の継続加入の特例」のところ で、継続加入しますと、結局英国と日本とこの期間は二重適用ということになるんです か。保険料を両方払わなくてはいかん。 ○ 事務局  その点に関しましては、継続加入された方については二重に支払うということになっ ています。 ○ E委員  本人が進んで払いたいと言ったから、それは仕方がないと。 ○ 事務局  はい。 ○ E委員  そうすると場合によっては、英国に入っていた分が掛け捨てということになるわけで すか。 ○ 事務局  英国で加入していた分につきましては、英国の資格期間。 ○ E委員  資格期間を満たさない場合。 ○ 事務局  満たさない場合は、これは今回通算措置がございませんので、掛け捨てということに なります。 ○ D委員  関連でいいですか。 ○ 会長  どうぞ。 ○ D委員  そうするとイギリスで11年以上加入した場合は両方からもらえるということになりま すか。 ○ 事務局  そのようになるかと思います。 ○ B委員  どうも私よくわからないのですが、つまり今までは二重に払って、イギリスに例えば 長く、11年以上いれば両方からもらえたわけですよね。二重加入で二重にもらえる。そ して現実には海外転勤の、多分C委員はお詳しいと思うんですが、企業がほとんど負担 していたわけですよね。イギリスの分も、もちろん日本の厚生年金の分は本人のものが あったでしょうけど、イギリスで掛けている分については、本人は多分実質的には負担 してなかったと思われるわけですね。そうすると二重加入といっても、海外に行ってい たサラリーマンというか、そういう人にとっては、負担は一重であって、もらうのは二 重にもらっていたわけですよね、現実には。  それが今度は、もしかして途中でイギリスに長くいるようになってしまえば、日本の 分はもらえないというふうになるわけで、私はこれは企業にとっては非常に負担が軽く なる。先ほど局長が「国益」とおっしゃったので、その「国益」というのがちょっとよ くわからないんですが、イギリスに非常に長く行くサラリーマンにとっては、もしかし たら不安だったり不満が起こる可能性もあるのではないかなというのが1つ疑問です。 実質的に、とてもいいことなのかどうかというのがわからない。  それから、長く10年とか行く例は意外と少なくて、途中で何カ国も回ったり、それか ら、イギリスへ1回帰ってきて、もう1回行ってということもあると思うんですが、そ の場合はどういうふうになるのか、それが10年を超える場合はどうなるのか、お尋ねし たい。 ○ 事務局  まず最初の御質問でございますけれども、先ほども御説明しましたように、8年以上 行かれる方は全体の4%でございます。英国は11年の加入期間を求めておりますので、 11年以上という方はさらに少数になってまいりますので、今までは両方からもらえたと いうことはむしろ逆でありまして、今までもほとんどの方が英国に保険料を納めて、そ れがほとんど掛け捨てになっていたということでございます。  今回はそのうち96%以上の方が英国には保険料を払わなくて済むようになると。した がって掛け捨ての問題が生じなくなるというふうに理解しております。  それから、2点目でございますけれども、この派遣期間の5年というのは、1回の派 遣毎にカウントすることになりますので、例えば若いころ一遍ロンドンに駐在をしてい たと。その方が日本に戻って、しばらくしてからまた派遣されたという場合には、これ はその時点からさらに5年ということであります。  さらに、これは経過措置にかかわる事項でございますけれども、現に既にイギリスに いらっしゃる方、こういう方については、施行日から5年というカウントをすることに しております。 ○ A委員  直接年金じゃなくて申しわけないんですけど、年金のこういう協定を結んだことが、 例えば医療保険とかそういうのに影響を与えるということはないんですか。 ○ 事務局  少なくとも日英の関係では直接何らかの影響が生じるということはございません。英 国の場合、医療は全額税負担で賄うという仕組みでありまして、保険料とは関連が生じ てこないということでございます。 ○ 年金局長  年金は長く加入しなければもらえないわけですね。イギリスは11年、日本は25年。医 療というのは単年度単年度ですから、ほかのいろんな福祉制度とかありますけれども、 単年度で収支決着がつくと、こういう世界ですので、ほかの分野に影響を与えるという ようなことはまずあり得ないと思います。 ○ F委員  各国と協定を結んでいくのですが、ドイツのときには通算をしたわけですね。今度は しない。またアメリカとやるときは通算をするというような話になってきますと、国に よっていろんな取扱いを異にするというのは余り日本から海外に行く人から見ればよい ことではないように思います。確かにイギリスのように植民地がたくさんあったりいろ んなことをしていますから、財政的に大変だというのはわからないわけではないです が、日本と諸外国との間で協定を結ぶときには同じような方向で結べる国とやるという のがむしろ素直ではないかと思います。恐らくこれからまたイギリスと交渉することが あって、通算をするということもまた出てくるかもしれませんが、なるべく同じような やり方で、日本から出て行く人が不安のないようなシステムにしていただきたいものだ と思います。 ○ 年金局長  我が国は通算を含めて協定を結びたいというのが大方針です。ところが相手のある話 ですので、イギリスがどうしても嫌だというのであれば、これはいたし方ないというこ とでございます。もう1つは、日本人がたくさんいらっしゃるところから優先的に結ぶ 必要があるのではないかと思っております。そういう意味ではやはりアメリカが本来は 最優先にすべきだったと思いますけれども、次はアメリカと是非やりたいということ で、今進めております。 ○ 会長  G委員何か御意見ございますか。 ○ G委員  特に異存はございません。 ○ 会長  H委員いかがですか。 ○ H委員  特にございません。 ○ 会長  I委員いかがですか。 ○ I委員  結構です。 ○ 会長  この辺で御意見が出尽くしたということなんでしょうか。ございませんようでした ら、答申の取りまとめの方の議論に移りたいと存じますが、よろしゅうございますか。 (「異義なし」の声あり) ○ 会長  それでは、ただいまの議論を受けまして、私の方で答申案を用意させていただきま す。しばらくの間、休憩させていただきます。 ―休憩― ―再開― ○会長  それでは、審議を再開いたしまして、答申案をお手元に配付させます。お願いしま す。 (答申案配付) ○ 会長  皆様のお手元に届きましたでしょうか。それでは、事務局から朗読をお願いします。 (事務局より答申案の朗読)       社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイル       ランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及       び国民年金制度の特例措置について(答申)  平成12年3月3日厚生省発年第17号をもって諮問のあった標記については、年金制度 を国際化時代に対応させ、日英両国の国民の便益を実質的に増進するものであり、これ を了承する。  なお、社会保障協定については、年金法令の二重適用の防止とともに、年金加入期間 の通算をも目的とすることが原則であり、英国との間においても、将来的に年金加入期 間の通算措置を含んだ協定とするよう努められたい。  また、今後、米国等他の諸国との間についても、早期の協定締結に向けて、関係省庁 と連携の下、鋭意取組みを進められたい。 ○ 会長  この答申案につきまして、御意見を頂戴いたしたいと存じます。どなたか御意見ござ いますでしょうか。  特に御意見がございませんようでしたら、ただいま配付いたしました案をもって、後 ほど再開する総会において、答申の運びといたしたいと存じますが、いかがでございま しょうか。 (「異義なし」の声あり) ○ 会長  それでは、次に前回の年金審議会において御議論いただきました確定拠出年金制度に ついて、事務局からの報告を受けたいと存じます。お願いいたします。 ○ 事務局  前回の年金審議会全員懇談会におきまして、確定拠出年金制度に関しまして御議論い ただいたところでございますが、その際、出席委員の御意見を整理したペーパーを公表 することにつきまして御了解をいただいたところでございます。その後、出席各委員に 御確認をいただきまして、会長とも御相談の上、お手元の資料3のとおり取りまとめま して、先に公表をしたところでございます。  なお、確定拠出年金法案につきましては、ちょうど今朝閣議決定いたしまして、来週 国会提出の運びになっております。 ○ 会長  資料3につきまして、どなたか何か漏れているとか追加とか、御意見ございましょう か。これでよろしゅうございますか。 (「異義なし」の声あり) ○ 会長  それでは、全員懇談会はこれで閉会をさせていただきたいと存じます。 なお、本日の資料はすべて公開することとしたいと存じますが、よろしゅうございまし ょうか。 (「異義なし」の声あり) (全員懇談会閉会・総会開会) ○ 会長  それでしたら、引き続き総会を再開いたしたいと存じます。このまましばらくお待ち いただきたいと存じます。 ○ 京極会長  それでは、年金審議会総会を再開いたします。  まず、事務局から答申案の朗読をお願いいたします。 (事務局より答申案朗読) 平成12年3月3日 厚生大臣 丹羽 雄哉 殿                           年 金 審 議 会                            会長  京極 純一       社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイル       ランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険制度及       び国民年金制度の特例措置について(答申)  平成12年3月3日厚生省発年第17号をもって諮問のあった標記については、年金制度 を国際化時代に対応させ、日英両国の国民の便益を実質的に増進するものであり、これ を了承する。  なお、社会保障協定については、年金法令の二重適用の防止とともに、年金加入期間 の通算をも目的とすることが原則であり、英国との間においても、将来的に年金加入期 間の通算措置を含んだ協定とするよう努められたい。  また、今後、米国等他の諸国との間についても、早期の協定締結に向けて、関係省庁 と連携の下、鋭意取組みを進められたい。 ○ 京極会長  何か御意見ございますでしょうか。これでよろしゅうございますか。 (「異義なし」の声あり) ○ 京極会長  それでは、ただいま朗読いただきました文面で答申を行いたいと存じますが、いかが でしょうか。 (「異義なし」の声あり) ○ 京極会長  それでは、これから答申を行うことといたします。  本日は、厚生大臣が所用のため欠席されておりますので、年金局長に対して手渡すこ とといたします。 (会長から年金局長へ答申書手交) ○ 京極会長  それでは、ここで、年金局長から一言御挨拶をお願いいたします。 ○ 年金局長  今日は本当に中途半端な時間、急遽お集まりいただきましてありがとうございまし た。また、答申をいただきまして重ねて御礼申し上げたいと思います。  これから、イギリスとの年金協定、国内の特例法案、この国会提出に向けて手続を進 めてまいりたいと思います。できるだけ早く国会の御了承も得まして実施していきたい と、こう思っておるわけでございます。  それから、これはドイツとイギリス、たったまだ2カ国でございます。アメリカ、フ ランス、いっぱい控えておるわけでございますので、引き続き早期締結に向けて努力し てまいりたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。 ○ 京極会長  本日、予定されておりました議事は以上で終わりです。  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 照会先 年金局企画課 榎本(3316)