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ドナー家族の心情等の把握について

1.趣旨

○ (社)日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)による家族へのかかわり方を検証する。
○ 臓器提供後の家族の状況を把握する。
○ 臓器移植に対する社会の理解を深める。

2.把握する事項

○ 臓器提供手続に関する家族の意見、感想
○ 家族が知る範囲でのドナー本人が臓器提供意思表示カードを持つに至った理由
○ 家族が臓器提供を承諾した事情、臓器提供から日が経ってからの心境
○ 家族が臓器移植に関して社会に訴えたい事項

3.把握方法

○ 面談を優先し、面談ができない場合は電話による聴取又は文書による照会とする。

4.家族の状況等の把握に当たっての基本的考え方

(1) 家族への十分な説明と同意

○ 面談、電話による聴取又は文書による照会を行うに当たっては、十分にその目的、得られた情報は目的外に用いないこと等を説明し、家族の同意を得る。その際には、それらの趣旨等について家族から誤解を受けないよう、十分に留意する。

(2) 任意性の確保

○ 面談、電話による応答又は文書による照会への回答は、家族の任意により行い、強制することがあってはならない。

(3) 家族の心情に対する配慮

○ 家族の心情に配慮し、精神的に家族の負担を軽減する観点から、
・ 家族との連絡、面談を行う者は、検証会議を構成する者のうち精神的支援の分野の専門家(以下「専門家」という。)とすること

・ 面談、電話による聴取又は文書による照会の時間や回数は、専門家が喪失体験者との面接の体験を踏まえて、最小限度に止めるよう、慎重に配慮すること

・ 面談、電話による聴取又は文書による照会の時期は、家族の心情に配慮し、臓器提供から十分時間をおくこと

とする。

(4) 検証会議を構成する者の守秘義務

○ 検証会議を構成する者は、家族の状況等を把握すること等により知り得たドナー及びその家族の秘密を漏らしてはならない。

5.家族の状況等の把握の具体的方法

(1) 面談、電話による聴取又は文書による照会の承諾

○ 事務局は、臓器提供から1ヶ月以上経過した後、家族の代表者に対し、文書により、
(1) 2の事項に関する検証会議からの照会に対して、家族が回答するかどうか
(2) 家族が検証会議からの照会に回答する場合、どのような方法がよいか(その際には、選択肢として、面談、電話による応答又は文書での回答を提示する。なお、検証会議としては、できるだけ面談を依頼するものとする。)
(3) 家族の複数の人が別々に回答することを希望するか
どうかを照会する。

○ 上記の文書は、ネットワークのコーディネーターが家族を訪ねる機会をとらえるなどして直接手渡すよう依頼する。なお、家族の複数の人が別々に回答することを希望する場合には、その数だけ文書を郵送する。
○ 検証会議は、文書による回答の結果を踏まえ、家族の選択した方法により家族から2の事項を把握する。また、そもそも当該文書による回答が得られない場合には、上記(1)について家族が回答しない意向であるものとして取り扱う。
○ 家族に検証会議からの照会に対して回答する意向がない場合、コーディネーターから家族の事情を聴取する。それとともに、家族に対し、「時間が経ち、お話をしてくださる気持ちになりましたら、いつでもご連絡をくださるようお願いします」との旨の手紙を郵送する。

(2) 家族との面談

○ 専門家が複数で面談を行う。なお、その場合、家族の負担にならない範囲の人数(原則として2名)で行う。
○ 面談の時間と回数は、4の(3)の考え方に沿うものとする。

(3) 検証会議での検証作業等

○ 専門家(※)は、面談、電話による聴取又は文書による照会の結果を踏まえて、おおむね1ヶ月を目途に報告書案を作成し、検証会議はこれを基に検証作業等を行う。
○ 家族がやや長い時間をおいてから回答することを希望する場合及びいったん回答する意向がないとした後月日を経てから回答することを申し出た場合においても、通常の場合と同じく家族の状況の把握を行う。

(4) 報告書の取りまとめ及び公表

○ 検証会議は、報告書を取りまとめ、家族の承諾の範囲内で公表用の報告書を作成する。
○ 検証会議は、取りまとめた報告書を厚生大臣に提出するとともに、公表用の報告書を公表する。
○ なお、当該報告書の取りまとめや公表の時期は、救命治療、法的脳死判定等やネットワークによる臓器あっせん業務の状況に関する報告書の取りまとめや公表の時期と異なることもある。
○ また、把握した家族の状況等は、報告書以外の形では公表しないこととする。
※ 専門家は、次の区分に応じて、報告書案の取りまとめ等を行う。
 ・面談又は電話による聴取を行った場合
  →面談又は電話による聴取を行った専門家
 ・面談又は電話による聴取を行わなかった場合
  →専門家のうちの適宜の者


連絡先:厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室
    [担当]岩崎、小森、衣笠、木村
    (代表)03-5253-1111
    (内線)2361,2362,2364,2366


ドナー家族の心情等の把握に係るフローチャート

《1.事務局からネットワークに対し家族への文書の届出の依頼》
事務局から、ネットワークに対して、検証会議からのドナー家族への意向確認に係る文書(※)を家族に届けるよう依頼。
※ 文書により、ドナー家族に以下の内容を照会するとともに、回答は直接事務局あてに文書で行うよう依頼。
(1) 家族の心情等の照会に回答してもらえるかどうか
(回答する場合には、照会に必要な連絡先となる家族の代表者の氏名、住所、電話番号等を検証会議の担当の専門家及び事務局に教えてもらうことになる旨の承諾も含む。)
(2) 回答してもらえる場合、提示した回答方法の選択肢(専門家の面談、電話による応答又は文書による照会への回答)を提示し、いずれの方法がよいか
(3) 家族の複数の人が別々に回答することを希望するかどうか
(4) (2)について家族が文書での回答を選択した場合、家族の心情等はどのようなものであったかどうか等((1)〜(3)の回答に併せて文書で回答してもらうよう依頼)
2へ
《2.ネットワークのコーディネーターによる家族への文書の届出》
ネットワークのコーディネーターは、1の文書を家族に届け、回答を直接事務局に郵送するよう依頼。
(家族の複数の人が別々に回答することを希望する場合には、その数だけ文書を郵送する。)
3へ
《3.家族からの回答の受理》
事務局は、文書により家族から1の文書への回答を受理。
・ 家族がやや長い時間をおいてから回答することを希望する場合及びいったん回答する意向がないとした後月日を経てから回答することを申し出た場合においても、通常の場合と同じく家族の状況の把握を行う。
・ 家族の心情等について、家族が回答したくない意向である場合(1の文書への回答自体が得られない場合も含む。)、以下の手続はすべて行わない。
面談を選択した家族の場合 電話での回答をを選択した家族の場合 文書での回答を選択した家族の場合
4−1へ 4へ 4へ
《4−1.家族との面談日時等の調整》
専門家が家族と面談日時等を調整。
《4.専門家による電話での聴取》
専門家が家族に電話し、心情等を聴取。
《4.家族の回答を文書で受理》
3の家族から受理した文書において、家族の心情等についても回答を受理。
4−2へ 5へ 5へ
《4−2.専門家による家族との面談》
専門家が家族と面談し、心情等を聴取。
5へ
《5.報告書案の作成》
専門家が、面談、電話での聴取又は家族からの文書での回答の後おおむね1ヶ月を目途に、それらの結果を踏まえ、専門的知見を基に報告書案を作成。
6へ
《6.家族の報告書の内容確認》
事務局から報告書案の内容について家族に事実確認を依頼し、その確認結果を踏まえ、報告書案を事務局が修正。
7へ
《7.検証会議による検証作業等》
提出された報告書案を基に、検証会議において検証作業等を行う。
8へ
《8.検証会議としての報告書の取りまとめ》
事務局は、検証会議における意見等を踏まえ、報告書案を修正。座長に確認の上、医学的部分や臓器あっせん業務の報告書とは別に、検証会議の報告書として取りまとめる。
9へ
《9.公表用の報告書の作成》
 事務局は、厚生大臣に提出する予定の報告書の内容について、家族に対して、公表してよいかどうかの確認を依頼。家族の承諾の得られた範囲内のものに報告書を修正し、公表用の報告書を作成。
10へ
《10.報告書の厚生大臣への提出及び公表》
検証会議として、報告書を厚生大臣に提出するとともに、公表用の報告書を公表。


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