00/02/22 第2回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 第2回知的障害者の高齢化対応検討会議事録 1 日 時   平成12年2月22日(月)17時〜19時 2 場 所   社会福祉・医療事業団中会議室 3 出席委員 (五十音順)         今村理一、大林美秋、小野沢昇、北沢清司、吉川武彦、白井俊子         末光 茂、玉井弘之、丹下芳典、遅塚昭彦、中野敏子、中村はる子         新堀裕二、前田大作、室崎富恵、山梨昭三  吉川座長  定刻を過ぎましたので、ただいまから第2回知的障害者の高齢化対応検討会を開催さ せていただきます。事務局の方から本日、お配りいただきました資料を少しお話をして いただけませんでしょうか。皆様方の資料、ご点検いただけるとありがたいと思いま す。  事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。机の上に置いてございますけれども、順 番にまいりますと、一番上に座席表がございます。その次に委員会の名簿がございま す。その次に本日の議事次第ということでございます。その次に第2回知的障害者の資 料の一覧表ということでございます。  一覧表の下の資料でございますが、ひとつは、研究報告書、「精神薄弱者の高齢化に 関する研究」ということで日本社会事業大学の報告書がございます。その次でございま す。これは頭に厚生科学研究「知的障害のある高齢者の支援・介護のあり方に関する研 究」ということでございます。もうひとつございまして、「知的障害者入所の全特別養 護老人ホームのアンケートにおける自由記述部門の分析」というものがございます。  それからその次の資料でございますが、一番上に手書きで書いておりますもので、 「老年社会科学会における知的障害関連のレジメ」というものがございます。その次に 横表でございますが、1枚で、「養護老人ホームに入所している知的障害者の状況」と いうものがございます。その次に同じく1枚で、これは2枚セットでございますけれど も、「知的障害者・高齢化対応検討会資料」という形でございます。その次に本日の検 討の「検討メモ」という形で資料を用意させていただいています。  一番最後でございますが、これは第1回知的障害者の高齢化対応検討会議事録という ことで、1月24日の議事録でございます。これにつきましては今週ぐらいにお目通しを いただきまして、内容点検をしていただきまして内容等、修正部分ございましたらば事 務局の方まで今週中ぐらいに電話なりFAXでお願いいたします。これを修正いたしま して再度、委員の先生方にお送りいたしまして、その後、了解を得た段階で厚生省の ホームページ等に掲載していきたいというふうに考えておりますのでよろしくお願いい たします。以上でございます。  吉川座長  ありがとうございました。  ただいま、事務局の方からお話をいただきましたが、資料につきましてはいかがでご ざいましょうか。皆様のお手元に全部揃っているでしょうか。もし、なければまたご請 求いただければと思います。話の中に出てまいりますので、そのときに気がつかれたら ばご請求ください。  それでは前回、いろいろとフリートーキングでお話をいただきましたけれども、その 際にも出てきましたそれぞれいろいろな資料を皆様方がお持ちではないかということも ありまして、その資料をいろいろとお出しいただくということが話の中で出てまいりま した。 本日、お配りいたしました資料、ほとんどのものがこうしたことに応じて出し ていただいたものでございますので、これらについてお話を少しお聞きしたいと思いま す。  まず、東京都福祉局の委託を受けまして日本社会事業大学が実施されました「精神薄 弱者の高齢化に関する研究」の報告書について前田先生の方からお話をいただけません でしょうか。  前田委員  それでは早速、始めさせていただきますが、報告書の扉を開けていただきますとはじ めにというところがございますが、そこのところから始めさせていただきます。 この 報告書は日本社会事業大学が東京都福祉局から委託を受けまして、1989年度、1990年度 の2か年に渡って実施いたしました「精神薄弱者の高齢化に関する研究」の結果をまと めたものでございます。  もう10年前のものになりますが、この種の調査というのは日本ではほとんど行われた ことがございませんし、また、私がちょっと調べた限りではアメリカでも似たような調 査というのはちょっと見当たりませんので、大変不完全な調査ではありますが、ご参考 になろうかなと思いまして報告をさせていただきます。  日本社会事業大学では委託を受けまして学内、学外の専門家による研究委員会を設置 いたしまして研究したわけでありますが、課題は2つございまして、第1は在宅の精神 薄弱者、大人の方でございますけれども、精神薄弱者、当時、そういう言葉で呼ばれて おりまして、今日ではもちろん知的障害者でございますが、の実態に関する調査で、実 態と保護者の意向を調べるということが第1の課題でございまして、第2は発達障害者 の高齢化の進行に伴う今後の施策体系について研究委員会の見解をとりまとめるという そういう2つの課題を与えられたわけでございます。  そこで頁が打ってございますが、5頁のところに移っていただきたいのですけれども ここに調査計画の概要が書いてございますが、まず、調査対象でございますけれども、 精神薄弱者、文章がそう書いてありますのでこういう言葉で読ませていただきますけれ ども、精神薄弱者を対象とする東京都内の法内の認可通所、法外無認可の通所施設の通 所者を対象にいたしまして、サンプルといたしましては細かいことはもう省略いたしま すが、通所施設の種類別にほぼ2分の1の割合で施設を選びだしまして、当たりました 施設の全員を調査対象とするという、そういうやり方を取りました。  なお、ご承知のとおり、通所施設の中には知的障害者だけではなく身体障害者をも対 象にしている施設が結構ございますので、知的障害者が半数以上いるというところだけ を対象にしております。  こういう形でやりまして東京都ともいろいろと相談したのですが、一応、東京都では 非常に通所施設が発達しておりましたので、これでほぼ在宅の知的障害者をカバーでき るということになったわけであります。その半分をサンプルとして選びまして調査をし たのですが、そこのところに書いてございますけれども、2,897 人が対象になりました けれども、実際に回答が得られましたのは2,144 人でありまして、回収率は74%であり ます。  調査方法は配票式調査をやりまして、記入をしてもらったのは家庭で生活している者 については保護者等の家族に書いていただくと。生活寮で生活している者については生 活寮の職員に書いていただくと。自分の家で一人で自立して生活している者については 通所施設の職員に書いていただくという、そういう記入方法を取りました。  調査のやり方、調査委員会でございますが、5頁の下の方に書いてございますが、ち ょうど当時、日本社会事業大学には石井先生、飯田先生と佐藤先生という3人の知的障 害者関係の専門の方がおられましたので、日本社会事業大学に依頼があったものだと思 います。それに加えましてそこにありますように全社協の障害福祉部長でありました伊 藤さん、調査の専門家として都立大学の小林さん、施設の方々を専門家としてお願いい たしまして、こにありますように慶應大学で当時、知的障害関係のことで論陣を張って おられた冨安先生、外国の精薄、知的障害関係の対策に大変お詳しい春見先生、それに 私と当時、学長であった三浦先生が入り、育成会から矢部先生に入っていただくという ような形で調査委員会を設置したわけでございます。  それでは1頁に戻っていただきまして、ここに調査結果を要約してはじめの数頁に書 いてございますので、それに基づきましてご報告をさせていただきます。  まず、サンプルで属性でありますけれども、性別は男が54、女が46でありまして、平 均年齢が28.2歳、最大値は72歳、最小値は15歳ということであります。本人の障害の程 度では1度が3.4 、2度が35.9、3度が40.6、4度が15.0であります。なお、交付を受 けてない人も若干、おりましたし、記入もれ、わからないとか、記入もれというものも 若干、ございました。3度の人が最も多いのですが、年齢別に調べてみますと若い層の 方が障害の程度が重い傾向がかなり顕著でございます。性別との関連は特に見られませ んでした。  3番目でございますけれども、両親の年齢でありますが、世話の主要な担い手である 母親の年齢が重要でございますけれども、今回の調査、この調査の結果では60歳代以上 の場合が合計して25.2%と4分の1を超えております。事態はなかなか、もう当時でも 深刻であったわけであります。当然ですけれども、父親の年齢はさらに高くて平均年齢 が2歳程、高くなっておりました。  4、5、6は飛ばさせていただきまして、真ん中頃の(2)でありますが、身体障害 の有無とその等級状態でありますけれども、ご承知のとおり、知的障害者には身体障害 の合併が意外に多いわけでありまして、合併のある人が29.3%、ない人が62.3%であり ます。精神発達障害の程度と身体障害の程度の間には強い相関がございまして、精神発 達障害の程度が重度になればなる程、併せ持つ身体障害の程度も重度になる傾向という ものが非常に顕著でございます。  その頁はそれで省略させていただきまして、次の頁、2頁の(4)でございますけれ ども、本人の病気の有無でありますけれども、何らかの病気を有している者が67.8%も ございました。てんかんが結構、多くて28.0%、自閉的傾向がある、20%、過度の肥満 で困っている、20%等のそういう傾向がございます。  (5)、(6)の部分は省略させていただいて、(7)に移りまして、親が高齢で家 庭で世話ができなくなったときの意向・社会福祉への希望でございますけれども、調査 対象が2,144 でしたが、その3分の1は将来、親が世話ができなくなった後は入所施設 で世話をしてもらいたいと望んでおりました。  次の頁、(9)でございますけれども、その他の行政施策に対する一般的な希望とい うことでは、4行目ぐらいでありますが、親に何かあったらすぐ入れるような施設を地 域に作ってほしい。就労の場や余暇活動の場の確保、短期収容施設の充実、障害者が住 みやすい社会や教育等が主要な意見として出されておりました。  (10)は省略させていただいて、(11)でありますが、回答者の「CES-D SCALE 得 点」と、これは一般健康者のうつ傾向を測る尺度でございますが、これで調べてみます と全国調査と比べて介護している人のうつスケールの得点、かなり高くて、相当の影響 を及ぼしているということがわかります。  (12)でありますが、発達障害者の老化の発現時期について調査してみたのでありま すけれども、この手の調査は非常に技術的に限界がありまして、本当に科学的にどうだ と言われますと気になるところでありますが、この場合にはこういう方法しかとれない ということでその中でやったわけでありますが、発達障害者が40歳以上50歳未満の人に ついて調査をしてみました。  この理由は50歳以上ということになりますと、一般成人でも老化の傾向が非常に顕著 に出てまいりますので、それとの差をちょっと見るのは難しいということで、知的障害 者だけしかやりませんでしたから、対象群のない調査ですので非常に問題があるのです けれども、40歳以上50歳ぐらいなら類推できるのではないかということでこの年齢を選 んだわけであります。  身体的な老化の兆候の現れとしては、発達障害者、知的障害者の身体的な老化の兆候 が一般の人と比べて早いのではないかと、40歳ぐらいで顕著に出てくるのではないかと いうことについてはそういう結果は出ておりませんでした。介助の上でのネガティブな 変化ということを調べたのですが、40歳を過ぎてから外出の付添いを必要とするという ふうに答えた人が16.9%もありまして、やはりこういうような点ではどうも老化が早い のかなということでありますが、一方、3のところでありますけれども、介助の上でポ ジティブな変化というものも結構ありまして、全体としてはあと細かいことは省略しま すけれども、全体としてはポジティブな変化の方が目立つということは言えるのではな いかと思います。 以下、5、6、7、8とその辺のところを細かく見たわけでありま すが、時間の都合で8のところを申し上げてみます。物覚えについての変化であります が、40歳頃から記銘力、記憶力に衰えを示す人があるということを伺わせる結果が得ら れましたけれども、回答の中に「そうは思わない」という回答の方が71.7%もありまし て、発達障害者全般に共通する特性とは思われないわけであります。  もちろんダウン症の人は非常に早く老化が始まるということはもう周知のことでござ いますが、ダウン症は少なくとも当時は在宅している方はかなり少なくて、そういうこ とから多分、こういう結果が出てきたのだろうと思います。  26頁に移らせていただきまして、ここから先が発達障害者の高齢化に伴う施策につい て、さきほど申し上げた方々で随分、何度も討論をしていただいて、その結果をまとめ たものでございますが、当時としてはかなり画期的な意見をまとめたというふうに私、 まとめ役として思っていたのでございますが、その後、大変施策が進歩いたしまして、 今、読んでみますとほとんどの施策が普及しているとまではいきませんが、かなりの程 度、実現しているわけでございまして、あまり目新しいような提言はございませんので 省略させていただきます。  ひとつだけ、就労のところあたりでジョブ・コーチという制度を作って、アメリカで よく行われているわけでありますが、ジョブコーチシステムを作ってやれば大分就労も やりやすくなるのではないかというような提言をさせていただいているのが、まだ、ち ょっと日本では実現してないことなのかなと思いますが、あとはもうほとんど全部多少 とも実現をしていて、ものによっては随分進んでいるものもあるということだと思いま す。  以上でだいたい、このような内容でございます。  吉川座長  どうもありがとうございました。かなり詳細な調査でございまして、10年前とは言え やはりこれだけのものをしていただくというのは大変だったろうと思います。  10年前の状況としての理解はこれでできたわけでございますし、また、のちほど細か くご検討いただければと思いますが、とりあえず今、ご説明いただいたことについて何 かご質問等がございましたらば、ぜひ、お受けしたいと思います。いかがでございまし ょうか。  前田先生、私の方からひとつだけ。これ、実際にお話をいただいたのかもしれません けれども、調査の対象にした方は知的障害者という、そうした意味合いですけれども、 それは何らかのフィルターをかけているのですか。結果から見ると愛の手帳、いろいろ なクラスが入っていますけれども。    前田委員  この場合は当時、とにかくプライバシー問題というのが、特に知的障害関係、精神薄 弱者関係者のプライバシー問題が一番やかましい頃でありまして、どうやって調査する か、東京都とだいぶ協議したのですが、結局、通所施設に通所しているということでや るしかできないということになりまして、それで通所施設に通所している人を一応、全 部つかまえて、その半分を調査するということになりましたので、そこに通ってないよ うな軽い人は脱落しているわけですね。  吉川座長  この中には入ってない。もちろんそうですね。在宅と言ってもそういうことですよ ね。  前田委員  はい。在宅していても軽い人は入っておりません。  吉川座長  そうですか。他に。どうぞ、末光先生。  末光委員  大変貴重なものをご説明いただきまして。ひとつ、やはり身体的な老化の兆候の部分 がなかなか難しいのだろうと思うのですけれども、4頁、40歳以上50歳未満の人につい て、この5項目のいわゆるチェックをなさったわけなのですね。頭髪の減少だとか、手 の爪だとか、皮膚の色素云々という、これは50歳以上についてはやっておられるのでし ょうか。40歳から50歳ではこれが有意の差がなさそうだということのようですが、50歳 以上は調べておられない。  前田委員  ええ、さきほどちょっと申し上げたのですけれども、年齢をどこでやるかというのは 随分、問題になったわけなのですけれども、専門家の先生方の間でいろいろ議論があり まして、50歳になったらここに書いてあるような症状がだいぶ普通の人でも、ノーマル な方でも出てくるわけなのですね。対象群を作ってやればある程度、50歳以上でもやれ たのですけれども、調査の調査費が非常に限られておりましたものですから、対象群を 取る調査ができませんので、知的障害者だけやったわけですから、かなり顕著な差が出 るのではないかと思われる40歳から50歳の間の人だけをやったのですね。  それでもここの部分の調査はやはり不成功でありまして、やはり対象群を取ってやら ない限りは何も言えないということが我々の結論でございます。    末光委員  そういう意味でちょっと最後の9のこの調査結果から見る限りというところのコメン トはちょっと少し言い過ぎな感じもしますですね。  前田委員  ただ、ある程度の周囲の人たちとか、尼子先生がやった調査なんかの昔の調査がある ことはあるのですけれども、そういうものとの今度の調査と比べてみますと、少なくと も今度の調査ではっきり言えるような違いがあると言えるような結果ではなくて、もし 対象群を取ってやればあるいは違いが出てくるかもしれないけれども、そう大きな違い は多分、出ないだろうという類推でございますね。  末光委員  40歳から50歳の間でいわゆる老化の兆候が見られるわけではないということで。  前田委員  少なくともこの調査でははっきりと言えるような結果は出なかったということなので すね。  末光委員  私もちょっと聞き違いかもしれませんが、一人歩きしているのかもしれないのですけ れども、いわゆる一般には知的障害者の方々は老化が早いと言われた。ところがこの調 査はそうでないということ、その部分がかなり広がっているような感じを持つのです が。  前田委員  ただ、これはあくまでも在宅の障害者なのですね。したがいまして、ダウンの方なん かかなり入所されていますので、ダウンの方が非常に早いということはかなりいろいろ な研究で十分に知られているわけで、今回はそういう重度の人は入所して除かれた在宅 の人で見る限りはそういうことをはっきりあるぞと言えるほどの結果は出なかったとい うことなのですね。  当時、もう既にダウンとアルツハイマーとの関係というのはアメリカで非常にはっき りとした学説として出されておりまして、40歳代の半ば頃でほとんど全員、ダウン症の 人はアルツハイマーが発生するということが既に知られていた事実でございまして、そ ういうことについてはこの調査では一切、触れておりません。  吉川座長  先生、よろしいですか。  末光委員  ちょっと意見があるのですが、これはあまりやってもしょうがないと思いますので。  吉川座長  はい。他にどうぞ、何かご質問があればいただきたいと思います。  この調査の後の反応というのでしょうか、今もちょっと末光先生、言われたように、 それほど老化の進み具合が早いというわけではなさそうだというようなことに関して反 応は何かあったのでしょうか。  前田委員  実は、東京都がこの調査、ちょうど終わった頃に財政難が始まってしまいまして、報 告書自体の配付もほんの一部の人の間にしか配付されなかったという、そういう問題が あるのですね。全国的に配付することができなかったらしいのですね。  東京都内の施設の専門家の方々の間に配付されたというぐらいだったものですから、 少なくとも研究者とか、そういう方の間ではあまり話題にはならなかったように思いま す。  吉川座長  その上で何らかの政策提言をされているわけですけれども、政策提言に実際にこのレ ポートがどれぐらい寄与したかなんていうことはどうなのでしょう。先生の感触として で結構ですが。  前田委員  政策提言の方については東京都はお金があればやりたいということで随分考えたよう でございますけれども、ちょうど財政難が始まってしまったものですから、東京都独自 にこういうようなものを先行して実施するというようなことはほとんどなかったように は思います。  吉川座長  そうですか。はい、ありがとうございました。  前田委員  最初は全国に先駆けてやるというので張り切ってこの調査を計画したのですけれども 終わって報告を出してみたら金がなくなったよ、ないよというような話で残念だったの ですけれども。  吉川座長  そうですか。だいたい何か雰囲気はだいぶわかってきましたが、でも、10年前の調査 でございますけれども、これが今、10年後、それぞれの方々、10歳、歳を食っているわ けでございますし、これから老人の問題、知的障害者の高齢化の問題を考えるには非常 に貴重な資料だと私は思っております。  それでは、また、ご質問なり、ご意見なりがあれば、また、後で先生の方にやってい ただくことにいたしまして、それでは次へ移らせていただきます。次は厚生科学研究で 出ております「知的障害のある高齢者の支援・介護のあり方に関する研究」ということ で、実態調査等を行われました小野沢先生の方からご説明いただければと思います。お そらく中村先生も後々、お話をいただけるのではないかと思いますけれども、では、小 野沢先生の方から、まず、お願いします。  小野沢委員  それでは厚生科学研究の方で今、「知的障害のある高齢者の支援・介護のあり方に関 する研究」ということで、今、最後の整理をして報告書をまとめているところなのです けれども、本体の部分については前回のときに今村先生の方から概略、ご説明がありま したけれども、その調査の中で自由記載ということで高齢知的障害者の生活の場に関す る提言ということで意見をまとめましたので、それについて、まだきちんとまとめきれ ていないのですけれども、その概略をご報告いたしまます。この検討会で議論の参考に なればと思っております。これから説明させていただきます。  回収された調査用紙の約60%ほどの621 の調査用紙に記載がありました。6割近くの 更生施設で知的障害の高齢化に関して多様な意見を持って今、取り組んでいるという姿 が理解できるものだと思います。  記載された内容は百数十ぐらいの項目に分けられるものなのですけれども、大きく分 けますといくつかのカテゴリーに分類することが可能だと思います。その内容によって 整理してみましたが、主な意見としては「高齢知的障害者の方が生活する場としては現 在の特別養護老人ホームでは処遇とか利用が難しいので、痴呆であるとか、盲等の人た ちのための老人施設と同じように高齢知的障害者のための老人福祉施設の設置を求め る」という意見が22%ほどありました。  更生施設の中に高齢者棟の設置が必要であると。これは更生施設と特別養護老人ホー ムの併設ということも含めて検討すべきだということですけれども、そういった意見が 16%です。グループホームやケア付き住宅等を利用しながらデイサービスを利用してい くことが必要だという意見が14%ほど見られました。  その中の意見をいくつかまとめてみますと、高齢知的障害者のための老人施設の設置 が必要であるという意見の中には、「医療とかリハビリテーション機能を持った健康面 に配慮した生活施設が必要である」というように医療面での配慮を求める意見がかなり 見られました。  更生施設に高齢者棟の設置を望む意見の中には「知的障害の方は急激な生活や環境の 変化は障害の特性上、適応の困難性を招く懸念がある」と、生活習慣や環境を変えず、 住み慣れたところで生活中心の安らぎを持てる場として、現施設の中で老人棟等の併設 を含めて本人の変化に対応できるような処遇体系を工夫しているというような意見や医 療的なサービスやリハビリの充実を測ってゆとりとリズムのある日常生活を保つような 処遇体系を考慮していくという意見がありました。また、更生施設の横に老後ゆったり と安心して暮らせるような場を設けていくというような意見もありました。  「グループホームやケアつき住宅等を利用しながらデイサービスを利用していく」と いう意見。これは地域での生活を支援するという立場からの意見が多かったわけですけ れども、家庭的な雰囲気を持ちながら少人数で生活し、介護する人が常に身近にいて食 事であるとか、健康面、リハビリとか医療面などでの専門的な処遇とか、援助サービス をすぐに受けられるような場を設けていくこと。一人ひとりの暮らし方に応じたリハビ リ、通院、余暇活動などの多様な住環境を整備していくというような意見ですが、、そ の中で特徴的だったのはグループホームとかケアつき住宅の充実を求めるという意見が かなり見られたことです。それはさきほどグループホームやケアつき住宅を利用してと いうことで14%程の回答があったということを述べましたが、そのことを裏付けるよう に多くの意見がありました。  その他の意見としては、「ハード面の問題だけではなくて、更生施設の処遇内容の見 直しを行うことによって、可能な限り、現在生活している場で生活支援を行っていくこ とが望ましい」のだという意見や、マンパワーの問題を指摘する声もありました。「現 在の措置基準の職員配置では実際の個別処遇が難しいため、直接処遇職員とか、看護士 の定数増ということが望まれる」という意見もありました。  これは知的障害者の更生施設を運営の中で処遇というか、介護等に関わっている職員 の声としてだと思われますが、老人福祉施設で行われているいろいろな介護技術のノウ ハウなどを学ぶ必要があり、そういった面での職員研修の充実をしていかなければいけ ないという声が10件程ありました。  介護保険との関係についてですが、介護保険と知的障害者の関係については明確にな っていないということもあったのだと思いますけれども、このことに関する記載は以外 と少なかった。ただ、介護保険制度が利用できれば活用して生活の充実を図っていく必 要があるのだという意見の他、介護保険の導入によって知的障害者が不利益にならない ような体制の整備が必要であるという意見や、介護保険制度の枠組みの中で知的障害者 が利用できる介護サービスの選択肢を多く作っていくことが必要だというような意見が ありました。  障害の程度によって生活の場を選択していく必要があるのだという意見なのですけれ ども、「中軽度の者の方の多くは現行の老人福祉施設の利用が十分可能と思われるが、 重度や重複障害の場合には、より濃密な支援の得られるような生活の場が必要」なのだ という意見がありました。  この自由記載を求めた意見の部分で、その前に高齢知的障害者の方の生活する場とし てはどういう場が望ましいかということで3点程に絞って意見を聞いております。  それに基づいて見たのですけれども、できるだけ家庭、デイサービス等の利用も含み ますけれども、家庭で生活していくのが望ましいという意見の中には、「家庭的に少人 数で生活し、介護する人が常に身近にいて、食事であるとか、健康面、医療面などの専 門的な処遇援助のサービスをすぐに受けられる環境が作られていけば、そういった中で 生活していくのが望ましい」、そのために必要な地域支援システム、そういった体制を 作っていくことが必要だという意見がありました。  できるだけ知的障害者更生施設などで生活していくのが望ましいという意見の中には さきほど来、お話をしたようなことがいろいろな観点から書かれていましたけれども、 ひとつは利用者のニーズに合わせてQOLの観点から多くの生活支援のためのカリキュ ラムを用意して対応していかなければいけないという意見がありました。これはおそら く現在の知的障害者更生施設の中での処遇の難しさと言いますか、現実はできていない のだけれども、可能性としてこういうことをしていかなければいけないというような意 向があったのかなというふうに思われます。  さきほど申しましたことと関連しますが、直接処遇職員の定数の見直しを求める声が ありました。他にも多くの意見がありましたが、それは皆さんのお手元にありますプリ ントに概略を書いておきましたのでご覧いただければと思います。  加齢による機能の変化を考えると、高齢になったら老人施設に入所すべきであるとい う意見の方、「知的障害者であっても一人の人間であるという観点から見れば、老人施 設が利用できるならば利用していくことが必要であり、その人の要介護度に応じて相応 しい老人施設への入所が望ましい」のだという意見が多く見られました。具体的にはリ ハビリとか、医療的な面でのケアが必要だという意見がかなり多かったように思いま す。  ただ、この老人施設に入所すべきであるという意見を選んだ方の中にも、高齢知的障 害者が介護とか援助を受けゆったり生活できる老人施設が必要であるけれども、一般の 老人施設では他の入所者とうまくコミュニケーションが取れないのではないかというよ うなことを危惧する声もかなりありました。  意見としてはかなり幅広い意見が書かれていましたが、大筋で要約してみますと3点 程に要約が可能なのかなと思っています。  これはさきほども申しましたけれども、1点目は高齢知的障害者の生活の場としては 知的障害者を対象とした専用の老人施設を作り、生活の場を提供する。2点目としては 現行の更生施設に高齢者棟なり高齢者施設を併設して生活の場を提供していく。3点目 としては、地域生活可能な者についてはケアつきグループホームなどを利用して、ホー ムヘルパーなどの援助を受けながら生活可能な支援体制の環境整備を行っていくという これら3点程に要約できると思うのですけれども、いずれの場合にも医療的なケアを受 けやすいような環境整備が必要である。その選択については利用希望者の生活状況であ るとか、障害程度などに応じて自由に選択可能となるような環境が必要であるという概 ねそのような意見でした。以上です。  吉川座長  はい。ありがとうございました。では引き続き、中村先生の方から。  中村委員  同じく資料に沿ってご報告をさせていただきたいと思います。  前回、今村先生より調査内容のあらましが報告されておりますけれども、知的障害者 の高齢に伴っての処遇の選択肢を考えるときには、特別養護老人ホームの現状、また考 え方を重視する必要があると思います。1991年、10年前の老年学会での同じく今村先生 の発表の中で当時、3,868 名の高齢者が全老人ホームに在籍しておりました。そのうち 1,666名が特別養護老人ホームで生活をされておりました。今回の調査では3,551名の人 が2,318 の特別養護老人ホームで生活をしております。平均、1乃至2名の知的障害者 の方が在籍していることになります。このことを背景にして調査の内容を報告させてい ただきたいと思います。  知的障害者、いわゆる精神遅滞をお持ちの入所の全特別養護老人ホームのアンケート における自由記述部分の検討なのですけれども、高齢知的障害者の今後の生活の場につ いて一番多かったのが老人入所施設への入所で、回答の38.7%でした。次に家庭での生 活を求めたものが21.2%。次に新しい処遇の場、また知的障害者更生施設を求めたもの がともに両方とも13%台でほぼ同じ数値を示しておりました。なお、老人入所施設と答 えた施設群にその種別を訊ねましたけれども、90.7%が特別養護老人ホームでありまし た。  老人施設に入所を希望する年齢についてなのですけれども、65歳、あるいは60歳の答 えとなっております。資料のとおりです。なお、別に新しい処遇の場としての自由記述 を求めましたけれども、回答は661 件でした。ただし、記述のないものと、また不明確 なものを除くと429 件になりました。  多少の重複がありましたが、結果は次のとおりになりました。老人施設での処遇を設 けるべきという回答では、自由記述の23%。ただし、そのうちの多数が精神遅滞に対応 する専門機能でのフォローを求めておりました。中身は知的障害者専門スタッフの確保 介護職員に対しての研修です。また、知的障害者更生施設での生活では、自由記述の12 %で、その生活環境を変えないで介護ニーズに対応したいというものでした。その場合 例えば現在の更生施設に隣接した更生知的障害者専用棟のような特別養護老人ホーム同 様の設備、機能を備えたいということでした。  また、在宅で生活できる援助体制についてですけれども、自由記述の8%で、地域支 援のネットワークが必要というものでした。また、それぞれの人にあった処遇の場につ いては、同じく自由記述の58%で、新しく考えられる機能としては障害の程度や適応能 力に応じられる医療、リハビリ、生活の場の統合施設、グループホーム、高齢知的障害 者専門施設でありました。  まとめとしてなのですけれども、ひとつ、老人施設の回答では専門機能を求め、2つ めに在宅の選択では地域ネットワークづくりを求められました。3つめにはその他に高 齢知的障害者入所棟の併設、4番目に医療、リハビリ、生活の統合された新施設像を求 め、また、グループホームによる在宅と施設の中間と呼ばれるべき施設を求めたもの等 が若干、ありました。  ちょっと早足でわからなかったかもしれないのですけれども、結果を早足でまとめま して以上になります。  吉川座長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。これらについて何かご質問が あればどうでしょうか。あとはもうひとつお話を続けた方がよければその方で、そのお 話を伺ってからにして。今村先生の方からいただけますか。  今村委員  今、小野沢、中村両委員の発表のフォローということも若干、なるのですけれども、 全国の高齢知的障害者処遇の場の職員のアンケート調査を行っているわけです。その調 査の中身としてはあるべき処遇の場、それについての自由記述という形でもって両群に 説明を求めております。  ただ、若干、お気づきになったと思うのですけれども、両群の出てきているデータに は必ずしも統合されたものではないというような感じがしております。それは例えば高 齢知的障害者の加齢に伴う施設像ですか、これが少し違っている。処遇の場の形態、処 遇の形態ですか、それに大きく専門機能についての考え方、これも両者に多少の違いが あるというふうに感じております。  ただ、多少の違いがあるので、この調査はおかしいということではなくて、私の場合 はむしろ多少の違いがあるところから高齢知的障害者の検討というのを始めるべきだと いうふうに考えております。それは両調査の多少の違いが出てきた原因はそういう推察 推定ができるのですけれども、利用者の年齢層が全然違うということです。片一方の平 均年齢は特別養護老人ホームだと80歳ぐらいですし、片一方の方は50歳、40歳になった ぐらいのところですので、そこら辺のところは全然違う。したがって、障害も全然違う わけです。障害の中身が全然違う。同じく健康度の相違、これも健康度に対する考え方 が全然違ってくるわけですので、そういったところを少し詰めておかないと両方の比較 はできないと。そこからの答えは出てこないのではないかなと。  ただ、実際には私どもの研究では今年度、そのことについてのフォローを行う予定だ ったのですけれども、それはちょっと今回、間に合いませんので、今日、そのことに対 するお答えという形でもって過去10年間、私の方でもって日本老年社会科学会でもって 発表したレジメ、全部ではないのですけれども、これはダウン症を除いてしまったので すけれども、さきほど前田先生のところからも出てまいりましたダウン症を入れて知的 障害者を云々するということ、私は非常に危険だと思うので、危険だというのは入れて もいいのですけれども、入れる場合もあっていいのですけれども、全然違う加齢の仕方 をしていますので、そこでダウン症については今日は言及、ちょっと一部しております けれども、しておりません。  ただ、ダウン症については別途、別にそれなりに臨床的な、これはダウン症の方とい うか、痴呆の権威であります柄澤昭秀とか、本間昭、両方とも老人研にいらした方なの ですけれども、そういった医師たちの協力の中でもってダウン症の研究はしておりま す。今日は提出はしておりません。  今日、申し上げたのは、あまり時間がないので、提出をしましたこの10年間の調査票 について概略、要点だけを申し上げておきます。全部、説明をするととても時間がかか ってしまいますのでポイントを申し上げますと、平成7年に行っている調査は平成7年 の前の10年間の変動、これ縦断的調査です。個人をそれぞれ追いまして、これは東京都 にあるTというわりと大きな知的障害者施設なのですけれども、その施設の250 名を10 年間に渡って追跡調査をしている結果です。  それから平成2年、これはちょうど前田先生がおっしゃられたと同じ頃になるのです けれども、平成2年に全国の老人施設にいる知的障害者の施設の調査を、これは行って おります。悉皆調査でその後、さらに問題とする施設だけを抜き出して2年に渡って分 析をしております。  今日、取り合えず平成2年と10年、これも10年も全国の知的障害者施設の調査を行っ ておりますので、あとで見ておいていただくといいと思います。  ただ、結果だけ申し上げますと、3つの縦断的な調査、横断的な調査、これをひっく るめて、その他の調査もそうですけれども、答えとして60歳ぐらいまでは有意な変化は ありません。これはいろいろな形で分析をしておりますし、臨床分析等を行っておりま すけれども、すべて有意な変化はないということです。  ただし、程度別、知的障害者の程度、重度とか中度とかあるわけですけれども、程度 別に見ていきますと重度では50歳代の後半ぐらいから、中軽度では60歳代の後半からA DL、あるいは精神機能、あるは介護度、こういったものの変化があるようです。知的 障害が変化するのか、あるいは知的障害に伴う身体機能に変化があるのか、これははっ きりしていないのですけれども、私は知的障害というよりも後者の知的障害に伴う機能 の変化、あるいは投薬だとか、そういったものの影響があるのではないかなというふう に思っております。  これはこの研究ではないのですけれども、外国の研究なんかでもってYOD、若年痴 呆の研究なんかございますけれども、その中でもって早期に若年からの痴呆機能低下の 原因として大きくてんかんの発作ですとか、これはアルツハイマーも一緒だと思うので すが、アルツハイマーの他に脳血管障害、つまりトルカンの発作ですとか、あるいは抗 生新薬、そういったものの投与があった人たちについての機能的な変化を追って、ただ これは十分にまだ検討されていませんけれども、そういったところもありますので、も う少しここら辺のところを研究していく必要があるのだろうなと思います。  それから結果、時間がありませんから申し上げておきます。さきほど2つ、中村、小 野沢両先生から自由記述についての説明があったのですけれども、明日の施設像につい ては選択肢の検討をもう1回する必要があるのではないか。これは特別養護老人ホーム と養護老人ホーム入所者の性格が違っておりますので、違いに今、ここではデータも持 っておりますけれども、今日は説明させていただきません。ただ、老人ホームの入所と いうことが有力な選択肢になるだろうということは言えるだろうと思います。  3つめ、ここに出ないと言ったのですけれども、平成10年あたりのところに。  吉川座長  先生、申し訳ありませんけれども、この資料で言えば、説明して何頁というふうに言 っていただきますと。  今村委員  すみません。平成11年のダウン症について申し上げます。資料では一番最後の9のと ころだと思います。  いちいち説明する時間がないと思ったものですから、9のところは、ダウン症ないと 申し上げたのですけれども、実はダウン症について、この1枚だけ、ここに入れておき ました。  これは記録、下の例えば40歳以上のダウン症に見られる変化をここには書いておりま す。つまり40歳以降、特に50歳以降に著しい変化があるということです。ここにはアル ツハイマーについての研究、データはありませんけれども、さきほど申し上げた柄澤等 と一緒に出しているアルツハイマーの臨床的な変化については平成6年、7年頃に同じ く老年社会科学会に発表しております。  非常に忙しくて申し訳ないのですけれども、データについて説明をする時間がないの で後で見ておいていただければありがたいなという程度にさせていただきます。全部、 9枚それぞれについてポイントだけ申し上げればよろしいのですけれども、もし、あと でそういった方がよろしいということであれば時間を超過してご説明することはやぶさ かではないのですけれども、今日は。    吉川座長  すみません。どうもありがとうございました。ちょっと最初の方が追っ掛けきれなく てあれこれ引っ繰り返しするうちに次に進んでしまったことがあったものですからちょ っと余分なことを申し上げましたけれども。  それではお3人の先生方のご説明をいただいたわけでございますけれども、私が十分 理解していないのかもしれませんが、最初の2つの小野沢先生と中村先生がご説明にな られたものは同時にやられた調査ということですか。そうですね。同時にやられた調査 で調査項目の中から引き抜くと別々にこういうふうなことが見えてきたと、こういう意 味ですね。 というのはどちらも自由記述ですよね。ですから、自由記述として最後に 全部まとめてあったのか、それとも途中のところに自由記述の欄があって、それでそれ ぞれのところで自由記述されていたものをまとめられたのかどうか、ちょっとよくわか らなくて、どんな質問形式になっていたのかなということでちょっとお聞きしたいので すが。  小野沢委員  申し訳ありません。説明不足で。アンケートの調査用紙の一番最後のところで「高齢 知的障害者の方の生活する場はどこが望ましいか」ということで自由記載を求めている のです。一応、その集計をしたものが今、報告したような形です。  吉川座長  そうですか。なるほど。まず、そういう前提でと言いますか、今のお話でご理解いた だけましたでしょうか。  例えば中村先生がご説明になられた第1の老人入所施設と、こういうふうにポンと書 かれているのはそうすると自由記述の中で老人入所施設というものをどういうふうに考 えているのかと。その自由記述の中身がちょっとわからないと老人入所施設、はい、何 %と言われてもちょっとわからないのですけれども、どうなのでしょうか。どういうも のを老人入所施設と言っているのかですね。その辺をちょっと説明していただけると。  中村委員  捉え方として介護ニーズに対応するには特別養護老人ホームで専門の機能を提供して もらうべきだというふうな答えにどうしてもなっているというか。  吉川座長  それと小野沢先生がご説明になられたことの関係がよくわからない。小野沢先生が言 われたのはそういうことですよね。だけれども、ここでもって老人入所施設、ポンと数 字が出てきちゃうのがよくわからないのです。  今村委員  私の方から説明させていただきます。最初、作ったのは私なので、調査票の中でこれ は10年前に老人施設を、さきほど申し上げたみたいにやっているのですね。その調査項 目と同じものをだいたい並べようということでもって並べております。  選択肢として現在、これからの生活の場としては老人施設がいいのか、家庭がいいの か、あるいは知的障害者更生施設、知的障害者施設がいいのか、4つめとして新しい処 遇の場を求めるのかという4つの選択肢を出して、それぞれ1、2、老人施設と家庭、 知的障害者施設のデータが出てきているわけです。新しい処遇の場という答えを出した 人については自由にそのことについての記載をしてくださいと、そういうやり方をして いるのですね。  私、さきほど混乱をしていると申し上げたのは、例えば知的障害者施設ではこの新し い処遇の場という答えを50%ぐらいだったのです。ところが実際に自由記述というのは 60%を超えています。つまり新しい処遇の場という設問よりも10%ぐらい多く、そのこ とを書いているところに混乱がきているのかなという、そのことについて書きたがって いるのかなという気がしております。そういった混乱があったということです。  吉川座長  自由記述ではなくて選択だったのですか。そうすると。  今村委員  選択です。最初は。  吉川座長  ちょっと違いますね。自由記述というのはどういうことを。  今村委員  選択をして、新しい処遇の場という答えに対しての自由記述をお願いをしていると。  吉川座長  では、選択がまず先にあるわけですね。  今村委員  そうです。選択が。  吉川座長  そうですか。その中に自由記述がある。  今村委員  混乱をした、これは説明になっちゃっているのですけれども、選択があって、選択が 4つあったわけですね。老人施設と家庭と知的障害者施設と、それから新しい処遇。そ の新しい処遇を書いた人については自由記述でもって記述をしてくださいと、そういう 設問です。  吉川座長  なるほど。  今村委員  ですから、先にデータがあって、例えばこの記述だけのデータだけでは全体の答えに はならないだろうと思います。自由記述の答えにしかならないということですね。全体 の中で新しい処遇の場を求めた人の答えだということです。  吉川座長  はい。新しい処遇ということだけで。それに対する答え。そうするとその位置づけと しては小野沢先生が自由記述の部分をまとめられたのはどこからまとめられたのです か。さっきおっしゃった一番最後のところに自由記述という欄があってという話があり ましたね。私はそこからまとめられたのだと思ったのですけれども。  小野沢委員  そうです。そこに書かれていたものが621 件ありまして、それを整理してまとめたも のがここに。  吉川座長  ここに出ていますよね。  小野沢委員  それをまとめた後に今、今村先生からご説明がありましたけれども、自由記述の前に 地域生活に移行すべきか、あるいは更生施設の中で処遇すべきか、あるいは老人施設で 処遇すべきかという3項目の選択肢がありますが、そこを選んでいる方でも記載があり ましたので、それぞれの項目を選んでいる方が、ではどのような意見を持って記載をし たのかということで、その部分についても分類して整理してみたわけです。  吉川座長  そうですか。  玉井委員  これは要するに特別養護老人ホームと知的障害者の関係の更生施設、同時にちょっと 中身は違いますけれども、調査票は両方に出したわけなのですね。その中で知的障害者 更生施設の部分と特養の部分を分けて今回はまとめていただいたという結果を持ってい るわけです。調査票は、ですから両方ともほぼ内容の同じ調査票のスタイルを取ってい ます。ということでそれぞれの答えが特養サイドと更生施設サイドによって答えが今、 ご報告したように2本で出したわけですね。  吉川座長  そうですか。いや、私がせっかく自由記述をまとめてくださって、ここで書かれてい ること、凄く大事なことだと思うのですよね。それだけにこれがどういう経過でまとめ られたのかということ、ちょっとやはり知りたいなと思って少しご質問申し上げている ところなのです。  やはり自由記述をまとめるということも凄く大切、○×で調査をすればいいというこ とではないですからね。ですから、この自由記述をどういうふうにまとめていただけた のかということ、ちょっとお聞きしたかったのです。すみません。私の個人的な関心と 言いますか、興味でお話を伺いました。  他に何かこの調査に関しましてはお話がありましょうか。はい、どうぞ。  丹下委員  それに関連して特別養護老人ホームというのはやはり生活施設ですよね。更生施設と いうのはやはり訓練を主体にしてやっていると理解するのですけれども、訓練指導とい う、生活施設よりもそういう色彩が強いでしょう。更生施設というのは。  そうすると更生施設で高齢化してしまって、もうそういう本来の更生施設としての使 命、目的に沿わないようになってしまった方々については結局はその施設の部屋の中で ベットに寝ているというふうな方が多いというように聞いておりますけれども、そうい う場合に特別にその人たちを対象にした施設をどうしても作ってほしいというような、 そういう希望が出てきたのだろうと思うのですね。  生活施設としての特別養護老人ホームに入っている場合には、その辺がだいぶ違って くるのかな。要するに答えの出方が違ってくるのかなと、こんなように思うのですけれ ども、その辺はどういうようにお考えになっているのでしょうか。  吉川座長  では、中村先生。  中村委員  特養へのイメージとしてはやはり介護に耐えられる機能が揃っているというか、整っ ているという概念が非常に高いですね。更生施設では先生がおっしゃったように、訓練 生活指導の施設であるということから、介護に耐えられる専門的なスタッフとか、ソフ ト面の機能が特養とは違う。ですから、介護が高くなった時点で、まず、施設の中にそ ういう専門機能を持った施設を作るか、もしくは特養での生活がいいのではないかとい うような意見が多く記述があるわけですね。  その中には生活環境を変えないでその中で終末までというか、ターミナルまですべて 援助してもらえるような施設が望ましいという意見も非常に気になるところがありまし た。 特養のイメージというのはやはり生活面での介護が非常に整っているのであるか ら、更生施設で機能が低下した利用者に対しては特養の機能と同じ機能を提供してあげ なければいけないというふうな、そういう意見が出ているというふうに考えます。  丹下委員  本来的には特養に移して本当は面倒見てあげるとよりいいケアができるけれども、ご 本人にとってみればやはりそこから動くと、生活の場を移すということに対する非常に リスクが出てくると。その辺でやはり別の施設を作った方がいいという希望が出てきた のでしょうね。  吉川座長  隣接とかという話になってくるわけですね。あまり生活の条件を変えないで。  丹下委員  変えないでそこでという、そういうことですね。  大林委員  10年前に同じところでちょっと世話になった関係があって、その頃、非常に当時とし て見ると究極の選択のような、どっちしかないというような状況から今のアンケートの 説明の中にもあったように、ほぼそういった細かなサービスが老人福祉法の中に、まし て今度の介護保険法の中でカバーされつつあるというようなことが出てきたわけなので すけれども、私どももまだ介護保険どころか、新介護システムを全然わからない頃に今 言うような選択肢をひとつ増やそうということで更生施設の横に知的障害者が利用でき る特別養護老人ホームというような形に設立して10年がたつわけなのですけれども。  その中で今、あと40日というところで介護保険がスタートするわけですが、在宅一般 の方々の被保険者も漸く意識が高まってきて、保険に対する認識が生まれている段階に ついて、この早い時期からこのアンケートを取るときに選択肢が多く作ることが必要と ここまで出てきているのですが、どの程度、制度を熟知されて使えるものなのかどうか というところを熟知されて、なおかつ、いや、そうではなく更生施設の延長がいいのだ というふうに判断する人がいるのか。  そうではなくやはりその制度に乗ってこれだけのものができてきたならば、知的障害 者もさきほど言われるように同じ介護を必要とする高齢者という位置づけの中で利用す べきなのかというようなクロス集計が取れて数値が出ていれば教えていただけるとおも しろいなというふうに思ったのが1点と。  もうひとつ、特養等も、丹下制度政策委員長もいるのですが、医療を非常に介護保険 の中で特養にも医療を全面的に取り組むという話と、分けるという話が論議された時期 があったのですが、やはり知的障害者の関係者が望まれる医療というものが単純に嘱託 医とか、そこにいる専門のドクターが1人いるだけですべてカバーができるという時代 ではないということになると、地域医療を全面的に取り組めるような方向にいくのも今 後の考え方かなというふうに私はひとつ思っている人間なものですから、ここで望まれ た医療というものがどういうことを望んでいるのかなというのを、隣で同じ県なので聞 きづらいのですけれども。  吉川座長  では、小野沢先生。はい。  小野沢委員  1点目なのですけれども、あくまでも自由記載ということで書かれた文面から判断す ることですので、断定的なことは言えませんが、介護保険という制度そのものを知って いても、知的障害者の方との関係ということについては次の見直しのときまでに回答が 出てくるのではないかというような段階の意見が、記載が、内容から受け取れるので す。  医療の面に関しては、今、大林委員の言われるようなことだと思うのですね。高齢者 をお預かりしている施設ではかなり高度な医療を行わないといけない疾患も増えてきて いますので、そういったことに対する対応なのだと思います。一嘱託医がいれば良いと いう次元の問題ではないのだと思います。  吉川座長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。まだあれば。はい、どうぞ。  中野委員  特養に関係している方が記入するとどこが一番いいのですかと言うと老人入所施設が パーセンテージ高いのですよね。そして、知的の更生施設関係の方にお訊ねすると一番 いいのは知的の施設ですとおっしゃるのですね。パーセンテージが高いのですね。  今村委員  違います。それ。このデータ、自由記載のデータだけなのですが、高齢知的障害、高 齢施設の方が高いです。そのデータが出ていないので。申し訳ありません。高齢施設の 方が40%で、知的障害者施設は20%です。  中野委員  高齢知的施設の方にアンケートを。  今村委員  自由記載では多くなるのですけれども、全体のデータとしては自由記載だと50%ぐら い。高齢施設が40%ちょっと超えます。知的障害者施設、20%です。  中野委員  知的の方に質問したときに高齢施設がいいとお答えになったのが40%。  今村委員  そうです。知的障害がいいというのは20%です。  中野委員  そうですか。ではだいたい老人の方も同じ状態だということですか。  今村委員  そうですね。ただ、自由記載の中でもって分けていくと今の問題が出てくる。だから 多分、混乱しているのだろうということです。  中野委員  そうですか。すみません。それはわかりました。とともに、やはりここの中にさきほ どの前田先生の報告なさった中にもありましたけれども、利用する人自身がどちらかど ういうふうに思っているのかとか、このアンケートに答えられた方も介護保険の問題も そうです。相手のサービスがどのくらいの状況であるのかという、今、大林さんがおっ しゃったようなどのぐらいのサービス程度があるから、こっちがいいと答えているかと か、そこら辺のところはもうちょっとはっきりしていくと判断するときにわかるのかな と思うのですが、その辺はどう考えたらよろしいのでしょうかね。すみません。    吉川座長  利用者の側の。  中野委員  利用者の側にとっても両方はどういうサービスをしてくれるかというのはよくわから ないという実態にある。それから今、お聞きして、それでは違うなというのがわかった のですが、知的障害者施設で働いている人は自分のところのサービスはよく知っている けれども、そうでないところは知らない。その反対もそうだと思うのですね。  そういう状況の中でどちらがいいですかという質問をされたときに、その○をした内 容が本当に利用者にとって必要とされている内容と判断できるかという、そういうのが あるものですから、このデータについてどう考えたらいいかなという、すみません、質 問、悪くて。  吉川座長  いえ、今のご質問、よくわかります。もうひとつの方は利用者の側から、あるいは利 用者の希望はちゃんと取ってあるのかと、簡単に言えばそういうことですよね。それは ないですよね。これは。  小野沢委員  その件に関しては前回もご意見があったかと思うのですが、知的障害の方に対する調 査、アンケートのとり方も含めてだと思うのですけれども、データの信頼性とかという ことでなかなか実施されていないのが現実だと思うのですね。  大林委員や、今村委員もそうなのですけれども、10年程前にやはり同じような意見が あって、施設の利用者、保護者の方にアンケートを取ったことがあります。そのときは 知的障害者本人に対するアンケートに関してはどこまで信頼していいのかという意見が あったのですけれども、信頼できる、できないは別としてとにかく「意見を聞いてみ る」ということで今の生活に関して満足しているかどうかというアンケートを取ったも のがあります。  そのデータでは知的障害の方で高齢になった場合、更生施設で生活している方の今い る場所での生活に満足している方と、やはり老人ホームとかに移りたいという意見が両 方あったと思います。  実はちょっと古いのでどうしようかと思ったのですけれども、そのときの報告書、こ れは厚生省の心身障害者研究で実施したものなのですけれども、コピーして持ってきて ありますので、事務局に置いていきますので、もし必要でしたら次回のときにでも、ま た皆さんの資料に使っていただければと思います。    吉川座長  そうですか。ありがとうございます。それではちょっと先へ進ませていただきまして あとでまた全体的な議論をさせていただきますけれども、もうひとつ、資料がございま して、養護老人ホームに入所している知的障害者の状況について新堀先生の方からご説 明をいただきながら、また、その中でディスカッションに加えたいと思います。よろし くお願いします。  新堀委員  よろしくお願いします。私の方は養護老人ホームに入所している知的障害者の方の状 況ということで、私の施設の療育手帳を持っておられる方を中心にまとめさせていただ きました。  先にこちらの横の方の表なのですが、統計欄、一番下の欄をご覧ください。10名の中 で男性が7人、女性が3人です。入所に関しましては在籍が平均4.9 年となっておりま す。平均年齢は62歳から76歳で平均が70歳ということであります。措置の実施機関です が、埼玉県内8市町村になっております。療育手帳の状況ですが、丸Aの方が1人、A が1人、Bが6人、Cが2人。中軽度の方が8人というふうなことなっております。  入所前と理由ということで、特に職歴のところを中心にまとめてみますと、職歴あり が7人。これは男性のみです。仕事の内容というのはだいたいが職親さんのところでの 雑用、あるいは小間使いみたいな仕事をされておられます。婚姻歴の方は3人。これは 女性のみです。  この方々の入所の経過ですが、施設あるいは病院から入所された方が4人、職親さん 等からが4人、在宅から2人というふうになっております。生活習慣のところでは入浴 服薬、整容、この辺のところに介助の度合いが出てきております。行動状況、あるいは 援助目標についてはのちほどご覧いただければと思います。  もう1枚の方の縦長の方のA4の方でございます。施設状況等、逆になりましたが、 その概況はここに書いてあるとおり、(1)から(5)のあるとおりです。定員が70人 で埼玉県内21市町村と東京、神奈川から措置してあります。  2番の知的障害者の援助についてというところで、(2)対応のところでございま す。援助方法についてなのですが、2、特に知的障害者等の場合、職員の利用者への接 する態度が回りに影響を及ぼす傾向があると。これは知的障害者の方だけではなくて、 ハンディを持っている方への接し方、これは施設の中では相当な影響を及ぼすところが ございます。そういうふうなことがあるということです。  3が、また、生活環境の変化の慣れ方に時間がかかるため、生活日課等は本人との話 し合いが基本になる。施設から入所の場合は比較的前歴の資料は得やすいところであり ますけれども、在宅等、職親さん、あるいは職親さんを転々としている場合などがあり ますので、そういう場合は生育歴等は、あるいはどういう生活をしていたかということ については不明な点が多くて、本人もお話にならないので、本人理解に時間が要するこ とがあるというふうな傾向がございます。  4ですが、私の施設のところでは和室が基本になっておりまして、老朽していること もございますが、事前に本人に見学、あるいはショートステイ、あるいは体験入所だと か、そういうことをしながら本人の意思確認をしてから受け入れをしております。  援助目標ですが、別添資料の方にもありますけれども、特にコミュニケーション、あ るいは他者との交流、整容、居室環境の整備、日中活動、役割の重視などの生きがいへ の対策を重視した個別援助が必要であるというふうにまとめてみました。  その他でございますが、埼玉県内の養護老人ホームに知的障害者の方がどのぐらい入 所しているかということで、県内22の施設がございますが、約半数に電話で問い合わせ をいたしました。電話ですので不確かなところもあるわけなのですが、平均しますと5.6 %、最高で14%の入所率でございました。  この辺のところはちょっと不確かなところが多いので、今後、詳細な調査が必要かな というふうに思われます。私の感じでは中軽度の方がかなり養護老人ホームの方、ご利 用しているのではないかなというふうに思われます。簡単ですが、以上です。  吉川座長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。お聞きいただきまして何かご 質問があればと思いますが。  小野沢委員  1点よろしいでしょうか。さきほど私、報告しました自由記載の中にも障害の程度に よって老人ホームの利用を考えるべきだという意見がかなりあったのですけれども、実 際の問題として、養護老人ホームを運営なさっていらっしゃいまして、知的障害の方が 養護老人ホームに入所された場合に、運営上、困るとか、何か老人ホームの利用者の方 とか、トラブルと言って良いのかどうかわかりませんけれども、何かそういう問題と言 いますか、そのようなことが発生することはございますでしょうか。何かありましたら 教えていただけると有り難いのですが。    新堀委員  前回も確かお話が出てたかと思いますけれども、やはりそれは集団で生活しておりま すから、2人部屋等にしても他者とのトラブル等はございます。やはりコミュニケーシ ョンがうまく取れないとか、環境が変わってすぐに慣れないとか、いろいろございま す。  小野沢委員  私も昨年の8月に私の施設でお預かりしている方を家族の住む近くの養護老人ホーム に移した経緯があったものですから、ちょっと。  新堀委員  特に奇声をあげるとか、あるい破壊だとか、ちょっと特異な行動が出た場合にはやは り回りの方から受け入れが難しくなってくるということはあります。やはり職員の接す る態度というものがやはり基本になるかなというふうに思います。職員がやはり優しく 丁寧に接していることによって回りに与える影響というものがかなり違ってきます。そ ういうふうに見ています。  吉川座長  よろしゅうございますか。中軽度の方々、入っているのはまあまあだという話がござ いましたけれども、今、これをお聞きすると70人に10人入っていらっしゃるというので すよね。これ。かなり多いですけれども、これでごくごく一般的に言ってどれぐらいの 人数の中に何人ぐらいの知的障害者だったらば何となくできるかとか、感触みたいなも のはあるのでしょうか。10人というのはちょっと大変だなと思いましてね。それでお聞 きするのですが。  新堀委員  施設に電話で聞いたところでは手帳を持っている方、あるいはなくてもそれに該当す る方というのはだいたい50人に2人から3人。だいたいそのぐらいのお答えでした。う ちの場合には私が知的障害関係のところがありましたので。  吉川座長  そうですか。わかりました。50人に2〜3人という話がちょっと出ました。はい、ど うぞ。  末光委員  先生の5.8 %は平均で、最高14%。14%は先生のところということでいいですね。特 殊だということで。5.8 %平均の部分については先生、どうなのでしょう。例えばさき ほどのお話、10年前と今では変わってきておられるのか。前はややこうだったのが、今 はそうでもないとか、あるいはもう。  新堀委員  その辺の統計はちょっと私のところは。  末光委員  印象的に何かございますでしょうか。  新堀委員  持っておりません。すみませんが。  末光委員  普通に知的障害の出現率はだいたい2、07%〜2、2%程度ですので、平均5%と いうと平均のいわゆる人口比率で言うと高いですね。そういう意味では前回もそうでし たけれども、かなり特養、養護老人ホームで、受けていただいているのではないかなと いう感じを我々、障害者施設側からするとするのですけれども。  新堀委員  確かに先生のおっしゃるとおりだと思いますが、これは電話で聞いたところですので ちょっと不確かなところが多いのですね。ですから、ご指摘のように多いということは あると思います。ですから、もう一度やはりこれは調べ直す必要性があるなということ は感じております。  ただ、私のところでもここの表に載ってない方がおられます。全く未就学の方だとか そういう時代背景を持っておられる方などがおりますので、その辺まで広げちゃうと相 当、パーセントは上がるかなというふうには思われます。  今村委員  資料を持ってないのですけれども、私も東京都の養育院に関係をしていましたので、 東京都の養育院、板橋養護老人ホームという老人施設、大きな施設があるのです。ここ の東京都関連のチバ福祉ホームですとか、ナナ福祉園とか、そういったところから結構 10年ぐらい前とさっき申し上げました10年前には20数名入っておりました。  その20数名の方たちの追跡調査みたいなものをちょっとやっていたのですけれども、 5年ぐらいたって特別養護老人ホームに移るとか、実際に現在のところ、ほとんど施設 におりません。5〜6人残しただけでもって、特養に移られた方、病院に移られた方、 亡くなった方もおられますけれども、やはり機能低下、機能の変化がありますので、た またま東京都の養育院の場合には特養とナーシングホームと養護老人ホーム、両方持っ ていますから簡単に移れてしまっているのだろうと思うのですけれども。  そういう意味では今の生活がいいということは10年間追跡していくと加齢によって機 能の低下はあります。そのときに対応できるだけのものを持っているか、持ってないか そういうことの方が大事なのかなと。そういうことでは養護老人ホームはでましたけれ ども、例えばケアハウスのように療養型のケアハウスみたいにある程度、療養して、そ してデイサービスを利用しながらやっていくというような、そういった選択の方が最近 では多く行われているように思っています。これは東京都の私がしている療育院の周辺 のことですけれども、データはちょっとない、細かいデータはないのですけれども。  吉川座長  ありがとうございました。玉井先生。  玉井委員  今の先生のデータを見せていただいたのですが、かなりのところでは自立、要支援と いうか、自立可能とするところが多いのですが、差し支えなかったらこの10名の方々に ついて今後の介護保険の中で仮に判定があったとするならば、皆さんのうち、いわゆる 介護度で見た場合、あるいは要支援者に区分される場合、あるいは自立可能とする場合 その辺はどんなふうになるのでしょうかね。  新堀委員  難しいですね。私は要支援ぐらいになるのではないかなと。  玉井委員  ほとんどの方が。なるほど。ありがとうございました。  丹下委員  ADL的にはかなり高いですものね。この問題行動というか、ここのいろいろ特殊な 行動をするということがあまり出てこないですからね。見守りなんていうのは本当に出 ないから、これちょっと高くなってしまうでしょうね。  しかし、これは埼玉県はかなり高いのですね。東京は別調査しているわけではないの だけれども、今日、ちょっと聞いたりすると100 名で2名ぐらいかなと。それも特養の 対象者のように寝たきりになってしまっているというような施設がかなりあるのです ね。ですから、こういう軽い方というのはそんなにないだろうと思うのですね。  ただ、埼玉県では救護施設あたりだとか、あるいは延長される知的障害者の施設、そ の辺にどれぐらいの数が入っておられるか。その辺のところはわからないでしょうね。 それとの関係があって、養護にかなり入ってきているということもあるのかなと思うけ れども。  玉井委員  そうですね。結局、この人たちが例えばこの4月以降、5年間の猶予期間があります けれども、では行くところはどこなのだろうかという宿題をそれぞれ持っておられると いうことになると思うのですよね。  吉川座長  はい。どうぞ。  室崎委員  私は非常に人口の少ないところの山間という過疎の高齢化率日本一というようなとこ ろから来ておりますので、そこの中でこの養護老人ホームというのはもともと生活が一 人でできなくて、経済的に大変な人という形の方で、それを市町村が面倒見るというふ うなところから始まっておりますので、全部、私等の方は公立の養護老人ホームという 位置づけで市町村が設置しておるわけですね。  今、私のところで市町村のいろいろな行革ということで私の方にぜひ、民間に委託を したいということで今年からやっておりまして、今、新しく建てている状態なのですが その中の実態を見ましたら戦後すぐですから40何年の中で入られた人があまり移動して おられないものですから、非常に高齢なのですよね。  だから、元気老人が入る施設なのに、特養に該当するような方々になってしまってい るというか、その中で知的障害が以前、相当にある程度、70歳とか、こういうふうに今 のデータのように年齢の高い方々は我々のところで言えば知的障害の大人の施設はなか ったものですから、普通に地域の中で今まで暮らしておられたわけですね。その人たち がたまたまもう一人になって家庭も誰も援助する者がいないから入って、措置された形 で入ってこられて、今、50名定員中、療育手帳を申請してさしあげて持っている人が4 名いらっしゃるわけです。  その状態を見ますと、養護老人ホームでずっとおられた方はどんどん体が弱って車椅 子とか、そういう状態で今度の認定では逆に特養に入っていただこうというような感じ の方々なものですから、非常にうまくいっているのですよね。結構、車椅子で面倒見て さしあげたり、部屋の中のゴミを小回りよくいろいろなことをしてさしあげるという形 でうまくはいっているのですけれども、私たちがじっと見た中に今、私が更生施設を運 営している中で60何歳の人に、では、その養護老人ホームへ入ってもらうかとなるとち ょっと問題があるのですよね。やはり。  ですので、やはり生育歴が全然違っておりますし、非常に社会に適応して今まで戦後 どこに行くでもなく町の中で普通に暮らして、知的に遅れている人ねという形の人であ ったものですから、となると私たち、さきほど言われたように本当の従来の養護老人 ホームにもう一度、私なんかは建て直したいと。どんどん重い人は特養に入ってもらっ たり、療養型に行ってもらったりしていく。その中でやはり機能をきちんとする中で知 的障害者の今の施設におる人たちを段階的にケアをする中である部分、養護老人ホーム 知的障害の老人ホームを作りたいな。それを既存の養護老人ホームの機能を使いながら そこに持っていきたいという今、案を持っているのですけれども、すぐそこに持ってい くより段階がいる。  さきほどおっしゃったようにグループホームとか、中間的な医療体制のできる、私た ちは病院でもなければ施設でもないようなものを作り、その段階の中である程度の人た ちで適応できる人は養護老人ホームへというふうに持っていきたい。だから、今、すぐ 老人ホームへというのではなくて、その中にいろいろ選択肢のメニューを少しずつ更生 施設とは違う形で小さなものでもって、それで老人問題の終の住処をどうするかという ので、段階的にもっていく話がなってくるとより具体的になってくると、老人問題とい う形で検討するのに非常に楽しいなというふうに私なんかは思っておるところなのです けれども。  吉川座長  ありがとうございました。本当にそれぞれ現場からの声と言っていいでしょうか、地 についたところでのご活動の中からいただいたご意見だと思っています。  それでは一応、まだまだいろいろご意見があると思いますけれども、このあたりのと ころで担当課の方から出していただきました検討メモをお目通しいただきまして、それ で今後、どんなことをこの検討会が考えていったらいいのかということ、少し整理した いと思いますので、担当課の方からご説明いただけますでしょうか。  仁木障害福祉課長  それではお配りしております検討メモについてご説明いたします。できましたら本日 論点メモというような形で事務局として提出したかったのでございますが、先生方から まだ十分、お話を伺ってませんでしたので、お話を伺えない段階で論点というのもちょ っと先走りかと思いまして、大変簡単なものでございますが、とりあえずご審議の材料 として検討メモという形で作らせていただきました。  まず、地域生活の支援のあり方といたしましては、まず、住まいのあり方があろうか と思います。グループホームとか福祉ホームとか、あるいは、いわゆるケアつきの住宅 と言われるようなもののあり方、また、在宅サービスの関係では高齢化に対応した運用 上の工夫とか配慮とか、そういうものがどうあるべきか。  また、前回もお話に出ておりましたけれども、余暇活動の支援というものも考えなけ ればいけないのではないかと。そしてまた、保健医療ということでは健康診査、健康診 断等のあり方も含めて保健医療をどう考えるか。また、最後でございますけれども、そ の地域での支えということでボランティア、あるいは知的障害者の相談員、こういう 方々のあり方というものも検討課題としてあるのかなというふうに思っております。  2番目の施設における対応でございますけれども、これは特に更生施設でございます けれども、授産施設もそれに準じて考えなければいけないというふうに思っておりま す。まず、ひとつは援助プログラムということで高齢者向けのプログラムというのはど うあるべきかというようなこと、そして職員体制につきましても特に指導員中心の人員 配置ということでいいのかというような問題、そして構造設備はどうあるべきかという ような問題でございます。  最後に、高齢者施策の活用と連携のあり方につきましては、まず、介護保険サービス につきまして特別養護老人ホームとか老健施設、あるいは介護のデイサービスとか、そ ういう介護保険サービスを知的障害者の方がいかに利用しやすくしていくかという、そ の工夫とか配慮というようなことがひとつあろうかと思います。  また、介護保険サービスには入っておりません施設サービス、特に、今、お話があり ました養護老人ホームのあり方、また軽費老人ホーム、ケアハウス等の活用というよう なこともあろうかと思います。その際に特にダウン症の方とかの早老化の問題を踏まえ て利用年齢をもう少し引き下げるというようなこともひとつの検討課題かと思います。  最後に、介護保険の対象外となっております高齢者の在宅サービス、例えば配食サー ビスとか生きがい対策のサービスとかあろうかと思いますが、そういうものも知的障害 者の方も利用しやすくするにはどうしたらいいかというようなことが検討課題になろう かと思っております。  一応、メモとして用意させていただきましたが、以上、特に限定的なものではござい ませんで、私どもが思いつく例示でございまして、これ以外にも検討しなければいけな い事項も多々あると思います。それらは先生方から積極的に問題提起をいただければと いうふうに思っております。  吉川座長  ありがとうございました。前回と今回、それぞれ先生方にご報告をいただいたものを もとにしながら、こういうことが予想されるのではないかなということで検討メモとい うふうにまとめていただいたわけでございますが、どうでございましょう。この検討メ モそのものについても前回と今回のご発表をお聞きながら、こういう問題もあるのでは ないかな、検討しておいた方がいいのではないかなということがおありになれば、どな たでも、どこからでも構いませんので少しご意見をいただけませんでしょうか。はい、 どうぞ。  末光委員  多分、制度が変わる、今の措置制度から契約制度という形に変わると思うのですけれ ども、現在は措置のままですと本来は定期的に社会福祉事務所だとか、あるいは児童相 談所から措置が適当かどうかということのチェックがあって、適切なところへ措置変更 ということになるべきだろうと思うのですけれども、現実はそういった十分な機能を果 していないと思うのですね。  児童相談所、あるいは福祉事務所がこの人をある施設に、例えば知的障害更生施設に 措置したとします。1年毎にチェックして、もう一度、見直すというようなことができ るということはちょっと現実には考えにくいと思います。そういう中でやはり一度、措 置して入所させてしまうとずっと終の住処のような形でなってしまう。その中に老化な り、痴呆なり、いろいろな問題が出てくることが多いのですね。  そういう意味でやはり現状の中では措置制度の中では措置そのものについての検討が この老化との関連でいるのではないか。将来、契約制度になればもうちょっと明確にな ってくるのだろうと思うのですけれども、そのあたり、やはり今の施設でいいのかとい うあたりについての検討がやはりいるのではないかなと思います。  さきほどの知的障害者施設側の小野沢先生のお話で本当は伺いたかったのですけれど も、やはりややもすると我々、障害者施設で長くやっている人間は我々が頑張らないと 駄目ではないかと。老人関係ではちょっと知的障害がわかってくれるのだろうかと、不 安もあったりして抱え込みがちなのではないかなと。  そういうこともあってさきほどの2枚目と3枚目でいわゆる一方では中で頑張らなけ ればいけない。一方では老人の方でやってもらってもいいのではないかという全く相反 するご意見がある。これも当然であると思うのですけれども、その背景にやはり非常に 問題があるのではないかと。ご本人の問題もあるし、施設職員側の意識なり、理解の矛 盾もあるのではないかと思います。  そういう意味でやはり今、措置されている、あるいは受けていることを本当にこのま ま続けることがいいのかどうかといったあたりについての検討を、ぜひ、お願いしたい というのがひとつであります。  吉川座長  そうしますと今、先生がおっしゃられましたのはちょうど真ん中のところの知的障害 者施設における高齢化の対応と、このあたりのところで今、みたいなところを検討した いと、した方がいいのではないかというご提案ですよね。はい、わかりました。  末光委員  はい。もう1点は、中での処遇がどうしても長くケアをしていると長年の延長線で職 員がやってしまうという部分があると思うのですけれども、やはりそれぞれご本人の身 体的、あるいは知的、あるいは情緒的な変化について定期的にチェックして老化等に対 する対応をしなければいけないのではないか。評価といわゆるケアのマニュアルといっ た面が我が国では不十分ではないかなという感じがいたします。  そういう意味でやはりそのあたりについての検討もいるのではないかと。今では施設 の現場職員任せという、あるいはそれぞれの人のいわゆる裁量という形でしていたわけ でありますけれども、若干、その部分の問題点がすこしずつ出つつあるのではないかな という気がいたします。この2点、ちょっと加えていただいたらと思います。  吉川座長  どうもありがとうございました。措置体系というものも変わるという話がもちろんあ るわけでございますし、まだまだそうした制度的には流動的なことがありますけれども 少なくとも現段階でもやはり見直していかなければいけないという点で今、ご提案をい ただいたこともまた検討していくことかなと思ってはおります。  どうぞ、白井先生。  白井委員  知的障害者の就労支援を地域でしているという立場から、ここの検討メモのところの 真ん中のところの余暇活動というところをもうちょっと広げて日中活動とか、そのよう な形と、もうひとつは生活、いわゆる所得保障というのでしょうか、そのようなところ を検討していただければなと思います。  と言いますのは、平成5年に労働省の調査で知的障害者の一般就労している人が平均 収入が10万ちょっとというところで、身体障害者の2分の1ぐらいです。これは東京都 の場合だったら、単身でアパートで生活保護を受けていらっしゃる方の給付額を下回る そういう状況です。  この方たちが高齢で収入がなくなった場合に、障害年金を貰っていらっしゃる人がグ ループホームに住んでいるとしたら、食費、家賃、光熱費、それで障害年金だけでは足 りなくなるので、低収入で乏しい貯金がどんどん減っていくという、そういう状況にな るし、一般就職していらっしゃる方は必ずしも全員、年金貰っていらっしゃらない。軽 度の人は年金を受給できない人が多いので、その方たちは生活、グループホームでもそ ういう最低かかる7〜8万が払えなくなるという、そういう状況があります。  だから、そういう人たちのためにそういう状況になったときは早めに生活保護という ようなことが、あるいはそういう状況になる前に生保ぎりぎりで何十年も働いていると いう人にせめて障害年金という、そういうような保障をする必要が老後に備えてあるの ではないかというところが一点と、それが今、私が所得保障的なところを検討をお願い したいという1点目です。  あと、2点目としては、知的障害者が、私も前に親しい企業の社長さんにご相談を受 けたのですけれども、そこはとても何十年も非常に居心地がいいというか、いい事業所 なので働いていらっしゃるのですが、その人たちが60歳を過ぎても社長さん、絶対に辞 めたくないよって何人もいらっしゃるらしいのですね。そうするとしのびなくて今、雇 用を続けているのだけれども、やはり生産能率がどんどん下がっていて、給料そんなに 下げるわけにはいかない。だけれども、この人たちを何年も見ているとやはり新しい知 的障害者の従業員が入れられないということで、企業内授産みたいな形で高齢者の人た ちが慣れた仕事、仕事はいくらでもその授産のところで渡せるので、慣れた仕事でその まま短期パートとか、そういうような形で働けるようなシステムで健康な高齢者が可能 な限り、やはりそういう場所で働いていただきたい。  希望なさらない方は、ただ余暇活動よりは何か地域にある高齢者用の授産施設だとか ボランティア、例えば養護老人施設のタオルたたみだとか、そういうボランティア活動 に参加させるとか、というような形でもっと生き生きと生活できるようなシステムが作 られればなと思っています。  今、東京都で生活寮に無職でいらっしゃる人で、例えば作業所に行くと若い人ばかり だから馴染めないから、今まで自分は働いていたからもう作業所は行きたくないと。か と言ってグループホームに入っていると生活寮の寮母さんは昼間はやはりいろいろな私 的な自分の用事もあるし、寮生の用事もあって外出をしている。自分がいるとお昼を寮 母さんが用意しなければいけないというのが気の毒で、自分も昼間出ていっちゃって、 やることがないので毎日、毎日、ハトに餌、豆をやっているというような、そういう生 活で、必ずしもその地域で生活している高齢者がそんなにQOLから言って豊かな生活 ができていないという、そういう実態がありますので、さきほどの日中活動ということ と所得の問題と2点は付け加えていただきたいなと思っております。  吉川座長  ありがとうございました。どうぞ。  丹下委員  地域で生活される場合に私は一番大事なことは家族の問題ですね。老親が随分増えて きて、その後の問題がどうなるのか。これはさきほどの所得保障の問題もつながってく る、いわゆる経済生活をどういうふうにしていくのかということが非常に大きな問題に なってくるだろうと、こういうように思うのですね。  もうひとつはやはり財産管理というふうな面、あるいは権利擁護の問題、これは成年 後見制度ができましたから、その辺のところもやはりこれは相当考えておかなければい けないことだと思います。その辺をちょっと追加できたら。  吉川座長  どうぞ。  玉井委員  今のお話からいたしまして先日の前回の会議のときに一応、高齢者と位置づけるもの を65歳という線を出していただいたと思うのですが、今のお話からすると高齢者予備軍 というのか、下の方のところもやはり考えていかなければいけないということになるの ですかね。  吉川座長  そうですね。高齢者予備群という表現を取るかどうかは別にしても、当然、65歳まで の間をどうするのかということは問題になるだろうと思いますから、議論の中には入れ ていただいて一向に構いませんし、どういうふうにスムーズに65歳以上の処遇につなげ ていくかということを考えれば、その間の議論をしないではいられないはずでございま すので、そこはまた議論はしていただいてよろしいかと思っています。  丹下委員  東京都の方でもこういう知的障害者の高齢化に関する研究報告書なんていうものが10 年の3月に出ておるのですけれども、これらを見てみましてもやはり40歳を境にしても う既に10年先、20年先のことを考えれば当然、もう40歳という年齢から考えていかなけ ればいけないというようなこと、盛んに書いておりますから、ひとつ、ぜひ、その辺も つなげていただけたらと。  吉川座長  そろそろ時間がきたようでございますが。  今村委員  ちょっとお話をしたい。介護保険の、さっき玉井委員の方のことも出てくるのですけ れども、65歳という年齢についてなのですけれども、介護保険が発足する前までは60歳 だったのですよね。60歳、だいたい老人ホームに入る年齢として5年ぐらいの前後を認 められていたはずなのです。この介護保険が発足すると65歳になって5歳後退してしま うので、この点がひとつです。  さっき40歳と言ったのですけれども、40歳以上、この介護保険に関係してくるのです けれども、介護保険で言う特定疾患という枠なのですけれども、これはこの場で検討す ることではないのかもしれないのですけれども、知的障害者の加齢のことを考えていく と特定疾患、さっきてんかんとか、あるいはダウン症、ダウン症にしてもアルツハイ マーのことがはっきり出てくる人は問題ないのですけれども、出てこない人たちも結構 多いのですね。60歳ぐらいの人たちも私たちの調査では必ずしも全部、アルツハイマー になっていませんので、その場合の人たち、機能の低下があったような人たち、こうい う人たちに対する対応をどうするのか。  40歳と65歳の間の狭間の問題、あるいは40歳以前からもあるかもしれないのですけれ ども、そこら辺のところ、さっき特定疾患と私、言ってしまったのですけれども、特定 疾患でないのかもしれないのですけれども、何らかの介護保険の中にサービスに適応で きるような、それの手当てがないのか。そういった検討もできればしていただけたらあ りがたいなと思うのですけれども。  吉川座長  わかりました。いろいろご意見をいただきまして、もちろん盛り沢山になってしまう というのは、これまた後で整理しなければいけないわけですけれども、とりあえず検討 メモに関してのご意見はいただきましたので、また、これにつきましては整理をさせて いただい上で私どもの方で論点を少しまとめたいと思っています。これ以降はおそらく 論点を中心にしながらお話をできるだけコンパクトな形で進めていけるようにしたいと 思っています。  さて、それでは何か事務局の方からお話がございますか。  事務局  それでは次回の開催日程につきまして、また前回と同じように予定表を今、お配りい たしますのでご記入いただきましてお帰りの際に事務局の方にお願いいたします。  吉川座長  わかりました。はい、ありがとうございます。それでは今、お手元にお配りいたして おりますけれども、日程表を差し上げてありますので、それにご記入いただいて、それ で日程を決めさせていただきたいと思います。原則的には3月の21日から3月の30日ま での日程を出していただいておりますので、その間に会を持ちたいと思っております。  それではよろしゅうございますか。それではこれで会は閉じさせていただきます。 問い合わせ先 厚生省障害福祉部障害福祉課   担 当 轟(内3031)、斎藤(内3038)