00/02/15 年金審議会全員懇談会議事録 年金審議会全員懇談会議事録 日 時 平成12年2月15日(火) 10:00〜12:00 場 所 厚生省特別第一会議室 ○ 全員懇談会 1.開会の辞    2.出席状況報告    3.議 事    ・確定拠出型年金制度(案)について 4.閉会の辞   〔出席委員〕  京 極 会 長  岡 崎 委 員  砂子田 委 員  木 原 委 員  神 代 委 員  坂 巻 委 員  高 山 委 員  都 村 委 員  宗 岡 委 員 山 田 委 員  吉 原 委 員  渡 邊 委 員  貝 塚 委 員 ○会長  本日は、全員懇談会でございますが、記者クラブの方から冒頭にカメラ撮りを したいという申し出がありましたので、議事に入るまでの間、これを許可したい と存じますが、よろしゅうございますか。 (「異議なし」の声あり) ○ 会長   それではお願いします。 (カメラ撮り) (報道関係者退場) ○ 会長  本日は御多忙中のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。た だ今より、年金審議会全員懇談会を開会いたします。 まず、事務局から本日の出席状況の御報告をお願いします。 ○ 事務局  本日の委員の出席状況につきまして御報告を申し上げます。本日は国広委員、 久保田委員、富田委員、福岡委員、桝本委員、目黒委員、山根委員、船後委員が 御欠席でございます。その他の委員は御出席でございます。 なお、山田委員につきましては、少しおくれて御出席とのことで伺っておりま す。以上でございます。 ○ 会長 ありがとうございました。                        それでは、議事に入りたいと存じます。本日は「確定拠出型年金制度(案)に ついて」、事務局より報告を受け、議論を行いたいと存じます。 まず、今回の審議会開催の趣旨などについての御説明を年金局長からお願いし たいと存じます。どうぞ。 ○ 年金局長  おはようございます。今日は御多用中のところ、年金審議会に御出席いただき ましてありがとうございます。今日のテーマは、ただ今会長から御紹介がありま したように、確定拠出型年金制度ということでございます。これは御案内のとお り、従来の年金と違いまして、保険料とその運用如何によりまして、事後的に年 金額が決まると、こういう自己責任型の新しいタイプの年金でございます。  政府におきましては、平成12年度から公的年金に上乗せされます企業年金あ るいは個人年金の分野におきまして、新たな選択肢といたしまして、確定拠出型 年金を導入したいと、こういうことで検討を進めてきたわけでございますけれど も、昨年の税制改正を踏まえまして、ようやく骨格が固まったということでござ います。  そういうことで、今回御審議いただくためにお集まりをいただいたわけでござ います。この制度につきましては、現行の年金審議会の規定からいたしますと、 諮問、答申という形にはなじみにくいものでございますけれども、今申し上げま したとおり、これは全く新しいタイプの年金でございますし、何よりも貯蓄では ないと。年金制度の一環として導入するのだと、こういうことで検討を進めてま いったわけでございます。また、これは国民生活に非常に大きな影響を与えると 思いますし、経済あるいは金融にも大きなインパクトを与えるのではないか、こ う見られているわけでございます。  そういうことで一度年金審議会でも十分御審議いただきまして、その御意見に つきましては、今後の制度運営に生かしていきたい、こう考えておるわけでござ います。 なお、今後の取扱いでございますけれども、今日御審議いただきまして、その 御意見につきましては、会長とも御相談の上、事務局で整理をいたしまして、そ の後、皆さん方にももう一度見ていただきまして、全体を整理して、早ければ今 週中にでも公表したいと、こう考えておりますので、よろしくお願いしたいと思 います。 ○ 会長  ただ今の局長の御発言のとおり進めることにしてよろしゅうございましょう か。 (「異義なし」の声あり) ○ 会長  それでは、そのように進めることにしたいと存じます。 次は、「確定拠出型年金制度(案)」の内容について、事務局から御報告をお 願いいたします。 ○ 事務局  資料に沿いまして、確定拠出型年金制度の概要につきまして御説明申し上げた いと思います。 資料を2つ用意いたしました。資料2の方が概要(案)となっ てございますが、これは法案の要綱そのものではございませんが、法案の要綱的 な内容を盛り込んだものでございます。資料1は、それを簡略にいたしました必 要性等も含めました説明用の資料でございます。今日はどちらかといえば、資料 1に沿いまして、内容を御説明申し上げたいと思っております。  まず、こういった案をまとめるにいたりました経過につきまして、簡単に御報 告いたしたいと思います。これはさかのぼりますと1昨年になりますけれども、 確定拠出型年金につきまして、税制をつけてくれといったことで、厚生省は厚生 省で、労働省は労働省で財形を変えたいというようなことで、あるいは大蔵省は 税制適格年金、通産省は通産省の立場でといったことで、それぞれ各省がばらば らな形で税制改正を要求いたしましたわけでありますけれども、一昨年の暮れの 結論といたしましては、そういったばらばらな形では認めがたいよといったよう なことで、最終的には、年金制度の一環として、制度の具体化が図られる場合に は具体的な措置を講じましょうといったことが税務当局の見解であったという ことでございます。  そういったことを受けまして、昨年の1月から関係省、今申し上げました厚生 省始め労働省、通産省、大蔵省、この大蔵省は税務当局を除く大蔵省でございま すけれども、4省が集まって検討をしようということになったものでございます。 それで年金制度の一環として位置づけろと、こういったようなことでございまし たので、幹事といたしまして、厚生省が幹事役になったということでございます。  私事になりますが、そういった関係で、私、一昨年まで年金広報官をしており ましたのですが、昨年の1月から確定拠出の担当をせいということになりまして、 昨年の1月からこういった検討の担当をしてまいったということでございます。  そういったことで関係4省でいろんな形で検討いたしまして、昨年の夏に要求 案をまとめました。まとめた案をもとに税務当局に対して税制改正を要求いたし たということでございます。その結果、最終的に要求案どおり全部認められたわ けではございませんけれども、税務当局との折衝の結果、現在のような案にまと まったということでございます。  それでは、案につきましては御説明申し上げたいと思います。資料1でござい ますけれども、今、局長から申し上げましたように、確定拠出型年金、これは新 しいタイプの年金でございまして、従来の企業年金につきましては、老後におい て受け取る給付額を企業が保証するのが確定給付型年金、この確定拠出型年金に つきましては、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分されて、その掛金と運用 収益の合計額、運用した結果が給付になるよということで、あらかじめ幾ら年金 になるかということは決まっていない、こういうタイプの年金だということでご ざいます。  こういったタイプの年金がどうして必要になるかということでございます。1 ページの2.必要性のところでございますが、これまでの企業年金につきまして は、 1、 2、 3と書いてございますような問題点があると考えております。  まず1つは、現在の企業年金などにつきましては、中小零細企業、自営業者の 方々に十分普及できていないではないか。転職をした場合に年金資産の移管、ポ ータビリティーと申しますが、こういった面が十分に確保されておりません。今 後労働移動が非常に激しくなってまいりますと、そういった点に関しまして対応 は困難ではないかといったことが指摘されております。  それから、確定給付と申しましても、その給付を保証いたしますのは企業でご ざいますので、景気変動がある中では企業の業績の影響をまともに受けてしまい ます。そういったことで現行の企業年金だけでは、従業員の方にとりまして、老 後の備えが不安定になりやすい、こういった問題点があるということでございま す。  そういったことに対応いたしまして、新たな選択肢として自己責任で運用を行 う、こういった制度が必要ではないかと考えておるということでございます。  あくまで、ここで書いてございますのは選択肢であるということでございます。 サラリーマン、企業の従業員にとりましては、1階の基礎年金、2階の厚生年金 のその上、3階部分につきましての選択肢、自営業者の方々にとりましては、基 礎年金のその上、2階、3階部分の選択肢として必要であると考えております。  具体的な制度の概要、3.でございます。対象者、制度にどういった人が加入 できるかということでございます。2つのタイプがございまして、企業型と個人 型。企業型は企業が拠出するもの、個人型は個人(自分)で拠出するものでござ います。それぞれやろうという人が加入するものでございまして、みんなが入る ものではないということでございます。  具体的の対象者につきましては、一番最後のページの図をごらんいただくのが よいかと思います。資料1の6ページでございます。  図にありますように、まず確定拠出型年金は企業型と個人型がございまして、 まず企業型でございますが、企業が従業員のためにお金を出すタイプのものでご ざいます。ですから企業の従業員の方に対してできますよということでございま す。図につきましては、限度額を違えてございますが、これはまた限度額のとこ ろで御説明を申し上げたいと思います。  それから、個人型でございますけれども、個人型につきましては、自営業者の 方々が基本的に対象になります。それから、もう一つは、個人型の右側でござい ますけれども、企業の支援も何もないサラリーマンの方につきましては、企業が 何もしてくれないものですから、自分で出す以外にないじゃないかといったこと で、自分で出すタイプが認められるといったことでございます。  この図の中で申し上げますと、一番左側、第3号被保険者でございますが、第 3号被保険者は、この図にございますように、今後の検討課題ということでござ います。実を申し上げますと、夏の要求案の段階では、これを全部認めてくれと いった形で要求いたしたのでございますが、なかなか第3号被保険者につきまし ては、現に所得がない、1階の基礎年金の扱いについても検討課題になっている ではないかといったことで、この上乗せの2階、3階部分の制度につきましても、 今回は一応見送り、今後の検討課題にしようではないかということになりました。  それから、一番右端でございますけれども、国家公務員、地方公務員、こちら もこの制度の対象外となってございますが、これもいわば民間の企業の方々と同 じ扱いということでございますけれども、これは国家公務員、地方公務員で申し 上げますと、要するに事業主の拠出をするかどうかにつきましては、公務員の福 利厚生の制度で決めていくものだということでございます。したがいまして、国 家公務員でありますと人事院勧告が出て、それに基づいて実施することになるか と思います。そういった部分につきまして、現在のところ、まだそういう実施を するという条件になっていないということで、いわゆる企業型と申しますか、事 業主が拠出するタイプは今のところ実施の見通しはないということでございま す。  それから、個人で出す部分につきましても、ここにございますように、確定給 付型の企業年金と申しますか、共済の職域年金相当部分が公務員にはございます ので、民間のサラリーマンとのバランスを考慮いたしまして、個人型につきまし ても公務員は対象にならない、こういった整理になったものでございます。  これが対象者でございます。  1ページにお戻りいただきまして、対象者の 3でございますが、まず年齢は 60歳までの方ということでございます。これは後で出てまいりますが、この年金 におきましての給付は60歳からとなっております。したがいまして、60歳から 給付が受けられることになります。したがいまして、60歳以降もこの制度の加入 者になれますよということで、拠出ができますということになりますと、拠出を してすぐ受け取れるということで、貯金と年金の区別がつかなくなるといったこ とで、60歳までがこの制度の対象者ということになりました。  次に加入・拠出、どういった手続を経て加入・拠出をしていくかということで ございますが、まず企業型年金につきましては規約を労使合意によって定めます。 その定めが一定の基準を満たしていれば、主務大臣の承認が受けられるといった ことでございます。その規約の定めに従って加入者になっていくということでご ざいます。ここに書いてございませんが、企業の中で、例えば、研究職の人だけ をこの対象にしていく、そういったことも可能だということでございます。  それから、個人型年金につきましては、個人個人の方が申請することにより加 入していくということでございます。これにつきましては図の方をごらんいただ きたいと思います。4ページでございますが、企業型年金のイメージ図でござい ます。まず左側に「企業」、「事業主」のところがございます。まず労使合意に よって規約を定める。要するに我が社では、確定拠出型年金をやろうということ を労使合意で決める。その決めに従って企業がお金を出す。お金の出し先は「資 産管理機関」、これは信託銀行といったところが資産管理機関になるということ でございます。企業の拠出が年金資産として保全されるために、企業の内部に置 いておいたのでは意味がございませんので外部に出す必要がある。外部でそうい う年金資産を保全する機能を持っている機関、信託銀行等が要件を満たしておる わけでございますが、そういったところへお金を出していきます。  従来の確定給付型年金であれば、この資産を任されたところが運用していく、 あるいは企業の意向に従って運用していくといった格好になるわけでございま すが、確定拠出型年金につきましては、それぞれ企業の拠出はこれはAさんの分、 Bさんの分だということで、従業員のAさん、Bさん、Cさんの分ということで 概念的に区別されております。何で運用するかというのも全部従業員のそれぞれ のAさんは何、Bさんは何、Cさんは何という形で運用先を決めていくという格 好になります。  その運用の指図をどうやってやっていくかということでございますが、この真 ん中にございます「運営管理機関」といった人を企業のプランの中で選んでおき まして、この運営管理機関が必要な情報を提供した上で従業員のそれぞれが、自 分はどれにするかといったことを決めていく。その運用指図の全体を取りまとめ て、お金を預かっている資産管理機関に伝達をし、その資産管理機関がその指図 どおりに運用商品を購入していく、あるいは売っていく、こういったことになる わけでございます。  その記録をすべて運営管理機関におきまして、個人ごとのデータを管理して、 残高などを管理していくといった仕組みでございます。運営管理機関につきまし ては、また後で出てまいりますけれども、登録制といった形で、一定の業として の規制をかけていく。また、そういった業者につきましての公益性、こういった 規制もしていこう。それによって受給者の保護を図っていこうといった考えでご ざいます。この点につきましては、また後で出てまいります。  1枚めくっていただきまして、5ページ個人型のイメージ図でございます。  個人型につきましては、自営業者の方あるいは企業の支援の得られないサラリ ーマンの方が個人個人で加入をしていくものでございます。これにつきましては、 申込先は「国民年金基金連合会」を一元的な窓口にしよということでございます。 ここを窓口にいたしますのは、限度額の管理をしなければいけない。要するに名 寄せをしなければいけない。あっちで1口、こっちで1口といったことがされた のでは、税の問題が出てまいりますので、限度額を管理しなければいけない。限 度額を管理する場合に、現在我が国では納税者番号がないものですから、どこか で窓口を一本化しておく必要があるだろうといったことでございます。  それから、もう一つ、自営業者の方々につきましては、1階の国民年金の保険 料をきちんと納められていることが必要であります。1階の基礎年金を払わずに、 2〜3階の分だけを払って税の措置を受けるのはおかしいだろうということで ございまして、国民年金の保険料を納められているかどうかをチェックをしよう ということでございます。こういった業務を果たす機関といたしまして、「国民 年金基金連合会」、現に今確定給付の国民年金基金の給付におきまして同じ業務 を行っておりますので、この確定拠出型年金につきましても同様の業務を行いや すいであろうといったことで、こういった連合会を通して申し込んでいただこう と考えたものでございます。  申し込みはそこを通ります。お金もそこへ一旦入ります。しかしながら、どう やって運用していくかというのは、それぞれの方がそれぞれで決めていくもので ございます。この個人型につきましても、運営管理機関という、先ほどの業者と して登録された方がここでいろんな形で市場に参加をしていく。それぞれでいろ んな業者があると。その中で自分がどの業者を使ってやっていくのかというのは、 加入者が自分で決めていくということでございます。先ほどの企業型の場合であ れば、労使が合意してどこの会社にしようということで決めてまいるわけであり ますが、これは労使ということではございませんので、あくまで自分がどの会社 を使うのかということを決めていくわけでございます。  この図にございますように、例えばAという運営管理機関は5つの運用商品を 提示している。Bの運営管理機関は10の商品を提示している。それぞれ商品の 内容も違う。また手数料なども違うということでそれらは競争をしている。その 中から自分がよいものを選んでいく。その選んだ運営管理機関の提示する商品の 中から、自分はどれを運用していくのかということをさらに選んでいく、こうい ったものでございます。  これが制度の全体の加入のときのイメージでございます。  資料の2ページにお戻りいただきまして、こういった形で実施をしたいという 企業あるいは個人が確定拠出型年金に加入をしていくということでございます。 それでお金の出し方、お金の限度でございますけれども、これは税制上の措置が あるといったこともございまして、限度額といったことがございます。  限度額が幾らになっているかということにつきましては、一番最初にごらんを いただいた図、6ページの図をごらんいただきたいと思います。先ほど申し上げ ましたように、確定拠出型年金制度は、自営業者にとりましては、2〜3階部分 の選択肢、サラリーマンにつきましては、3階部分の選択肢でございますから、 自営業者につきましては、現在の国民年金基金が2〜3階部分についての確定給 付型の私的な年金、確定拠出型の年金は今回新たにできるということでございま すので、これまでの国民年金基金の限度額、6万8千円というふうになっており ますが、この枠を共有いたしまして、この枠の中でどちらを選ぶかを考えていた だこうということでございます。したがいまして、限度枠として拡大をせずに、 その枠の中でやっていただくと。したがいまして、国民年金基金を6万8千円や っていれば、もう確定拠出の方はもうできませんよと。しかしながら国民年金基 金を3万円しかやってないということであれば、差額の3万8千円を確定拠出の 方はできる、こういったことでございます。  それから、企業型の方でございますけれども、まず、企業年金、確定給付をや ってない企業につきましては、月額3万6千円でございます。これは現在の厚生 年金基金の目標水準、代行部分の 1.7倍といった水準がございますが、その水準 を掛金ベースに計算し直しますと、こういった金額が出てくるものでございます。 それから、企業年金をやっている、厚生年金基金などをもう実施しているとい う企業がさらに確定拠出もやるのだという場合の限度額は、3階部分についての 掛金がやはり税制上の非課税措置になっておりますので、その部分を考慮いたし まして、月額1万8千円ということでございます。これは現在の平均的な掛金の ベースがちょうど1万8千円程度あるものですから、それを引き算いたしまして、 確定拠出の方の限度額がこういった額になるというものでございます。  それから、中ほどの個人型でございますが、個人型のサラリーマンの限度額が 月額1万5千円という形になっております。これは実のところ、昨年年末の税制 改正で非常に政治的にいろいろ議論があって、最終的に決着額を見た部分でござ いますけれども、なぜ、こういった額になっているのかということでございます が、この点につきましては、要するに企業の支援のない、企業が全然何もしてく れないサラリーマンにつきまして、自分で出す、こういうことを認めましょうと いうことでございます。その場合の限度額を幾らにするかが議論になったわけで ございますが、現実に企業が出している金額を考慮いたしますと、今厚生年金基 金で企業が出されている9割ぐらいがこの1万5千円以内の範囲だということ でございますので、その程度の金額を認めれば、必要な額になるのではないだろ うかといったようなことでこういった額になったものでございます。  こういった額の範囲内でそれぞれの方が拠出したいと思う分だけ拠出してい く。そして、どの運用商品にするかということを自分で決めていくものでござい ます。  また、本文2ページにお戻りいただきまして、「ポータビリティー」でござい ます。そういった形で加入し拠出をしていく。拠出をされた資産につきましては、 個々の加入者ごとに記録が管理されているということでございます。  加入者が離転職した場合には、離転職先の制度に年金資産を移管するというこ とでございます。企業型の人が転職をして別の企業に移った。その企業に確定拠 出のプランがあれば、そのプランの年金資産に移しますよということでございま す。しかしながら、移った先の企業に確定拠出がなかったということであれば、 これは個人型の方に移す。あるいは離職をして自営業者になった場合にも個人型 の方へ移すということでございます。  それから、もう一つ、第3号被保険者など制度に加入し得ない方になった場合 につきましても、国民年金基金の管理する「つなぎ勘定」にこの資産を移すとい うことでございます。すなわち第3号被保険者などにつきましては、新たな拠出 はできないわけですが、既に別のところで企業が拠出をしてくれていた、そうい った資産をお持ちになっている場合があるわけでございます。そういった資産に つきましては、今後も運用を続けていく。また、再就職する可能性もあるわけで すから、今後も運用を続けていくといったことはあってしかるべきでございます ので、個人型の国民年金基金の方の勘定へ移しまして、そこで運用を続けていっ ていただくということでございます。  次は運用でございますけれども、運用につきまして、再三申し上げております けれども、自分で運用商品を決定をします。  運用商品の範囲につきましては、ここにございますような金融商品を考えてお ります。時価評価のできないような動産、不動産はもちろんできないでしょう。 それから、先物のように、追加証拠金が必要になるようなものもこの制度の限度 枠管理の面から見て適切ではないだろう、こういうふうに考えております。具体 的には政令レベルぐらいで、具体的なものを書いていこうということでございま す。ただ、リスクが高いからだめだとか、そういったものではございませんで、 基本的に金融商品につきましては、すべて認めていこうという考え方でございま す。  もう一つ、重要な点がございますが、加入者が自分で運用するということでご ざいますけれども、運用するに当たっては、加入者の権利が守られていなければ いけないではないかといったことでございます。この点につきましては、アメリ カのERISA法でも同様の規制がございます。アメリカのERISA法につき ましても、リスク・リターン特性の異なる運用商品を3つ以上提示しなさい。ま た、少なくとも3カ月に1回以上、預け替えの機会を与えなければいけません。 運用商品についての十分な情報が提供されなければいけません。こういう3つの ことが規定されております。この考え方につきましては、我が国の確定拠出型年 金制度につきましても概ね妥当するであろうと考えておりまして、3つ以上の商 品を選択肢として出さなければいけません。この業務を運営管理機関に行わせよ うということでございます。この運営管理機関は、先ほど申し上げましたように、 一定の業規制をしていくということでございます。  運用が終わりまして、給付段階でございますが、給付につきましては、老齢、 障害、死亡、公的年金と同じ支給事由でございます。なお、老齢、障害につきま しては、年金で受け取る、当然でございますが、一時金で受け取っても結構です。 亡くなられた場合には、遺族の方が、その後も年金資産の運用を続けていくのは ちょっとおかしいのかなということで一時金で受給していただきます。  給付の中で2つ目のマルでございますが、第3号被保険者になるなど、制度に 加入し得ないという場合で、拠出年数が3年以下の場合にはこの制度から、脱退 一時金を受けて、この制度の資産をそれで受け取って終わりにするという選択肢 を設けたということでございます。これは具体的に申し上げますと、企業が拠出 してくれていた。しかしながら拠出期間が3年しかなくて残高も余り多くない場 合に、ずっと給付事由、老齢に達するまで運用していくのは管理コストもかかり ますし、必ずしも有利とはいえないということもございまして、本人の選択によ りまして、一時金を受けてこの制度から脱退していく道もつくろうということで、 こういった制度を設けたものでございます。  それから、3ページでございますが、脱退一時金ではなくて、本来の給付でご ざいますが、老齢給付につきましては、60歳から受給できますよということとい たしております。これは私的な年金でございますので、つなぎ年金のような機能 もあるであろうということ、あるいは退職金としての扱いもあるだろうといった ことで、60歳支給ということとしております。  もう一つ、要件といたしましては、10年以上たっていることを要件にしようと いうことでございます。この辺、税務当局と随分議論になりまして、この制度は 年金なのか貯金なのか、こういった議論があったわけでございます。仮に59歳 から拠出をして60歳からすぐ受け取れるということであれば、1年満期の貯金 と変わらないではないか、こういったような議論がございまして、やはり年金と いうからには相当長期の期間にわたって前々から準備していることが必要であ ろうということで、一応10年を要件にしようではないかということで、10年経 過していれば、60歳から受給できる。  では、10年なかったらどうするのか。たまたま55歳で会社に就職したら、そ こに確定拠出型年金があった。こういった場合はどうするのか。極端な場合、59 歳から加入されたらどうするのかといったことがございます。  そういった点につきましては、遅くとも65歳から受給できるようにする必要 があるだろうということで、59歳から仮に入られた方であっても、65歳から受 け取るようにしようではないかということで、その間に階段をつけたというもの でございます。10年の方が60歳でございますので、8年の方は61歳、6年の方 は62歳、4年以上の方は63歳、2年は64歳で、ちょっとでも入っていれば、 65歳、こういった階段をつけたものでございます。したがいまして、59歳11カ 月で一番ぎりぎりで仮に入られた方であっても、5年と1カ月、もうちょっとは 我慢しないとこれは受給できませんよと、こういった要件になっています。  次が(5)税制でございます。税制につきましては、拠出段階で、加入者の拠 出が所得控除、企業拠出が損金算入でございます。これが現在の確定給付年金と 同じ扱いになっております。  運用段階でございますけれども、年金資産につきまして、特別法人税が課税さ れることとなりました。これにつきましては、要求段階では、私どもといたしま しては、これは非課税にしてくれという要求をいたしましたが、これは課税とい う結果になったというものでございます。  今の確定給付年金で申し上げますと、厚生年金基金は特別法人税は実質的に非 課税でございます。税制適格年金の方は課税でございます。いわばこの確定拠出 型年金はそういった意味で税制適格年金並みの税制になった、こういったことで ございます。  ただ、ここに書いてございますように、平成11年、平成12年度につきまして は、この税は凍結になってございます。したがいまして、13年度以降の扱いにつ きまして、また、この年末御議論になるものかというふうに思っております。  それから、拠出段階は非課税でございますので、給付段階につきましては基本 的に課税ということでございますが、課税はされるのですが、年金で受け取られ る場合には公的年金等控除が適用される。一時金で受け取る場合には、退職金扱 いをします。  この点につきましては、現行の確定給付型年金、厚生年金基金や税制適格年金 と同じ扱いを受けた、こういうことでございます。  (6)加入者保護と書いてございますが、この制度の中で出てくる関係者、企 業、国民年金基金連合会、運営管理機関、資産を預かる資産管理機関、4つがご ざいますけれども、これにつきまして、規約の遵守義務を始め忠実義務を法令上 定めていく。あと各種の行為規制、例えば、利益の補てんを約束してはいけない とか、そういったような行為類型を規制をしていこうと考えております。  (7)既存制度からの移行でございますが、企業型につきましては、労使合意 につきまして、先ほど限度額と申しましたけれども、あの限度額の範囲内で退職 金制度や企業年金から過去期間分についての年金資産をこの確定拠出型年金に 移管することができますよと、こういったことを認めようということでございま す。すなわちどういったことかと一言で申し上げますと、確定拠出型年金、来年 から施行しようと考えておるわけでございますが、企業にとりましては、労使合 意をすれば、確定拠出型年金は過去にさかのぼってあったといった形も皆で合意 をすればできる、こういうことでございます。  それから、資産管理機関、運営管理機関でございますが、資産管理機関につき ましては、年金資産を預かるものということでございます。  運営管理機関につきましては、新たな業でございます。新たなこういった個人 に対して情報提供をし、個人の運用指図を取りまとめ、その運用指図の結果を記 録をするということで、新たな業で、こういったことにつきまして、主務大臣の 登録にしようと考えてございます。ここでいう主務大臣につきましては、この法 律全体につきましては、新たに来年1月から発足いたします厚生・労働省と考え ておりますけれども、運営管理機関につきましては、金融的な側面をかなり強く 持っておりますので、これは厚生・労働及び金融庁の共管で、この業につきまし ての監督をしていく考えでございます。  最後になりますが、施行日につきましては、来年1月から施行をしたいという ことで考えております。 ちょっと長くなりましたですが、以上が確定拠出型年金制度の概要でございま す。 ○ 会長  どうもありがとうございました。ただいま御報告、御説明がございましたこと につきまして、皆様方から御意見、御質問などございましたら、どなたからでも 御自由に御発言をお願いいたします。 ○ A委員  お尋ねしたいのですけれども、御説明にありましたように、確定拠出型年金と いうのは、自己責任に任せる、そういう領域であるわけですね。アメリカなどで は小学生の頃から株式市場の勉強をさせているというようなことがあるわけで すけれども、日本の場合はそういうプロセスに慣れてないわけですね。この確定 拠出型年金が適切に運営されるためには、やはり投資教育が必要だと思います。 私はアメリカが小学校から株について勉強させているというニュースを聞いた ときに、それは教育内容として必要なのかどうか疑問に思いました。個人的には、 小学生から教えることについては疑問に思っているのですけれども、日本では全 く慣れてない領域です。投資教育というようなことについてはどのようにお考え でしょうか。  それとも関連するのですけれども、従業員にとって、従来は退職金を念頭に置 いて、生涯生活設計を立てる、そういう側面があったわけですね。例えば、家を 計画的につくるとか、そういうことがあったわけですけれども、これからは受け 取ってみないとわからないというようなことになってくる可能性があるわけで すね。 それから、一方、給与及びボーナスが低レベルになってきているということも あり、働く人たちが資産形成ができるのかどうか。株式市場等の動きによっては 退職金も失ってしまうというようなことも起こり得るでしょう。先ほど3ページ の加入者保護について、関連機関が規約を守るというような御説明がありました が、本当に加入者保護というのはこれだけで守られるのでしょうか。確定拠出年 金の導入は、企業の側からはいろいろ、先ほど局長もおっしゃられましたように、 結構プラスの影響があるかもしれません。しかし、働く人たちにとってのデメリ ットについても御説明いただきたいと思います。 ○ 会長  お願いします。 ○ 事務局  この制度につきまして、そういった運用商品の中身の情報提供ももちろん重要 なわけでございますけれども、そもそもの投資の考え方といいますか、分散投資 をどうやってやっていくのがいいのか、そういった基礎的な部分がまず必要であ ろうと考えてございます。  この点につきまして、どう教育するかというのは、法的な規制になかなかなま じないというふうに考えておりますが、ちょっと厚い方の資料の7ページのハの 5でございますが、ここで「企業及び国民年金基金連合会は、自ら又は運営管理 機関等に委託をして、加入者に対し年金資産の運用に関する一般的な情報を提供 するよう努めるものとする。」ということで、そういった教育につきましての努 力義務も課しております。実際、最終的には運用の決定をする個々人が勉強して いただく必要があるのだろうというふうに考えているわけでございます。  それから、退職金としての意味といったようなことがございましたのですが、 これにつきましても一時金で受け取ることも可能だよといったことにしておる わけでございまして、退職金のかわりにこういったものを導入していくケースも あるのではないかと考えておるわけでございます。この点につきましては、確か にメリット、デメリット両方あるわけでございます。これまでのものであれば企 業が約束してくれている。退職したら幾らもらえるのだということは約束してい るというメリットは確かにあるわけでございますけれども、これもあくまで企業 が約束しているのでありまして、そもそもの企業がおかしくなった場合には実際 どうなるかわからないといった面があるわけでございます。  そういった意味で、毎月企業の外部に資産が蓄えられていくといった限りにお きまして、そういったメリットもあるのではないか。また、企業が仮に変わった 場合であっても、そこまで働いた分で積み立てられた分は確保されているのでは ないか、そういった面もあるわけでございまして、これはそれぞれの企業がどう いう企業かにもよりますし、従業員の考え方によっても、どういったタイプがい いか、それぞれ選択していただいたらいいと考えています。  具体で申し上げますと、特に派遣社員のような方につきましては、従来の確定 給付型の長期勤続を優遇するような制度では、なかなかこの3階部分の年金はし にくいと考えておるわけでございまして、そういった方々につきましての3階の 選択肢につきましては、こういったタイプの制度でないと対応がしづらいのでは ないだろうかと考えております。 いずれにいたしましても、それぞれ労使あるいは個人の場合は個人で、自分が どういうタイプがいいか、選んでいただくことが必要だろう。その選択肢をつく っておくのがこの制度の意味ではないかと考えておるところでございます。 ○ B委員  3つほど伺いたいのですが、アメリカの401kが世論形成の過程ではモデルに なったように報道されていますが、これは嘘かもしれませんけれども、401kなど でやっているのに比べると、全体として限度額が非常に厳しく設定されているた めに、利潤分配的な要素が非常に乏しくなっているという印象があるのですけれ ども、その点は4省協議や税務当局との話し合いの過程でどういうふうに考えら れたのかということですね。  それから、この制度の必要性の最初に書いてあるところ、特に何もない中小企 業の従業員と、私のラフな推定では 2,000万人ぐらいいるのではないかと思いま すが、要するに実際上は賃金確保法の保護しかないような人たちが本当は一番期 待している制度ではないかと思っていたのですが、限度額見ると、その人たちが、 先ほど一応の御説明はありましたけれども、月額1万5千円ですか、一番限度額 が低いんですね。そこの辺が何か趣旨と矛盾しているのではないかという印象が ぬぐえないのですが、そこにこそ個人事業主と同じくらいの限度額を与えるのが 本来の趣旨じゃなかったのかという気がするのです。 もう一つは、ポータビリティーとの関係で、受給権スケジュールに相当すると ころが、はっきり今御説明なかったけれども、多分3年ぐらいなのかなと思いま すが、アメリカの401kでも多くはもう少し6年とか7年とか受給権スケジュー ルの設定は厳しくなっていたと思うんですね。いろんな制度がありますから、ほ かとのバランスで考えれば同じということになるかもしれないけれども、何もな いところに入れるにしては、3年というのはちょっと短いと思うのですけれども、 その辺はどうしてそういうふうになったのか。以上です。 ○ 事務局  B委員から3点ほどのお尋ねでございますが、まず、401kに比べて限度額が低 いと、利益分配的な要素が薄いのではないかということで、政府の中でどういう 議論をしたのかということでございますが、確かに御指摘のとおり、アメリカの 401kはもともと企業年金のプランは、ちょっと大枠の話から御説明しますと、確 定給付タイプと確定拠出タイプがあると。確定拠出タイプというのは幾つか類型 がございますが、純粋に定期的に掛金を積んでいって保険商品を逐次購入するよ うなタイプ。それから、企業の利益が出るごとにその剰余金を従業員に分配する ような、これは利益分配プランといわれるタイプ。それから、その利益分配を株 式で、自社株で行えるようなストック・オーナーシップ・プランというのもござ いますけれども、日本でこの確定拠出の制度を、私どもが立案していく場合に、 利益分配というのはちょっと日本ではなじみにくいだろう。アメリカの場合には 一種ボーナスとの絡みでそういったプランが出てきていますけれども、日本では そういうことではなくて、むしろ老後のために、どういった制度、サラリーマン では3階、あるいは自営業者は2階、3階のところで、どういった自己責任の制 度を構築していくべきかというところから議論を始めたという経緯がございま して、そういう意味では、利益分配という視点は、正直申し上げて余りなかった ということでございます。それは今後制度が変遷していく中で、そういうファク ターが入ってくるのかどうか。これは今後の議論かというふうに考えております。  それから、1万5千円の限度額の考え方でございますが、先ほどの御説明申し 上げました資料1の一番最後のページをごらんいただきますと、昨年夏の4省の 要求案では、この限度枠は確かに企業型、個人型というのをサラリーマンの場合 には基本的には既存の確定給付がないケースについては、月額3万6千円、年額 43万2千円で、そこにおいては、事業主が出してくれれば、御本人も上乗せの拠 出ができる。事業主が出してくれなければ、御本人が3万6千円まで出せるとい うような案で持っていったわけでございますけれども、基本的には一般的な貯蓄 のフレームの中で整理を組み立てますので、どうしても貯蓄との区別は重要だと いうことで、特に個人の場合には、自分で任意に掛金の決定ができ、自分で全部 運用をやってということになると、どうしても貯蓄の問題が出たということでご ざいまして、ここは基本的には今の制度は、企業年金は事業主拠出が基本になっ ていますので、そことの関連で基本的には事業主拠出から出発したということで ございます。  ただ、実態論から申し上げますと、御本人の1万5千円というのは、実態から 見れば、今の御本人の拠出というのは企業年金の世界ではほとんどございません が、厚生年金基金などの企業年金では、今現在掛金の平均が大体月1万ぐらいで ありますので、その 1.5倍、基金の分布でいいますと、1人当たりの掛金が1万 5千円以下の基金というのは大体9割ぐらいなんですけれども、その実態とのバ ランスから見ると相当カバーしているだろうというふうに考えます。  ということで、こういった線で一応決着を見たということでございます。もち ろんこれも3階部分の拠出について、もともと事業主拠出か本人拠出かという色 があるかどうかの議論は当然残るわけでありまして、そこは今後の議論にはなっ ていくだろうというふうに私ども考えております。  それから、ベスティング、権利付与の問題、資料2の4ページでございますが、 (ハ)の 3でございますけれども、3年以上、1社、ある特定の会社に3年以上 勤務した者が離転職した場合に、企業が拠出した掛金について全額移管すると。 これは裏からいいますと、例えば半年とか1年でやめた方については、仮に企業 型拠出である方に拠出がなされていても、余り短い勤続の方についてはやめると きにそれを持っていけない。企業側は取り戻せるということでございまして、ア メリカあたりではこういうのは権利付与ということで“ベスティング”と呼ばれ ていますけれども、アメリカのERISAの中では、このベスティングルールに つきましては、 100%企業側が出したものを取り戻せるというのは、勤続期間が 5年未満の場合には 100%取り返しても構わない、こういうことです。もちろん 権利付与しても構わない。あるいは3年〜7年の段階ルールというのもございま すが、3年たったら残高の2割権利付与して、4年たったら4割、2割ずつ増え ますけれども、7年たったら 100%権利付与する。そのいずれか2つのルールが ございますけれども、それよりはむしろ私どもが提案しています3年というのは、 むしろ権利付与については厳しい、つまり加入者側にとっては有利なルールにな っているわけでありまして、ここは余り長い年数が、5年というのはちょっと日 本の実態考えますと長いのではないか。 それから、一般的に退職金の勤続年数から見ますと、大体3年ぐらいたちます と退職金は支給されるようでありますので、その実態から見ても3年ぐらいから 権利付与 100%与えるのは実態に合っているのではないかということで、こうい った数字を設定したということでございます。 ○ 審議官 今の43万2千円と18万円の問題でございますが、43万2千円の方で想定して いますのは、基本的には企業型でございますので、これはいろいろな形態がある と思いますけれども、通常でありますと、給与が高い方に対して、ある比率で、 新入社員についてもある比率という形態をとるケースが非常に多いのだろうと 思います。  厚年基金の 1.7倍という水準を考えておりますので、端的に申しますと、今の 代行部分の免除率が平均で3.5ございます。これに 1.7を掛けますとほぼ6%水 準になります。  それで43万円というのは、厚生年金の平均標準報酬の最上限の方に当てはめ た場合が大体6%相当が43万円という形。  したがいまして、例えば、企業の賃金体系が非常に若い社員も中高年の社員も 同じような、全く業績で並ぶような賃金体系をとっている場合には、43万2千円 というのは相当広い枠で使えるわけですけれども、年功序列的な賃金体系が非常 に色濃く残っている場合には、これは要するに上限のところで使えるという状態 でございまして、若い人の場合には、現実額はもうちょっと低くなっているとい う形でございます。 先ほどの中小零細企業で企業年金がないサラリーマンの場合には、これは御自 分の選択でお決めになりますので、そういう賃金カーブを想定したような基準値 がなかなかなじみにくいということで一緒のところでやっております。それは先 ほど申しましたように、現実の厚生年金基金の給与拠出のほぼ9割ぐらいはカバ ーできる水準でございまして、そういう意味では、そう見かけほど非常に大きな 格差がある水準ではないのではないかと私ども考えております。 ○ C委員  この制度の管理のコストや運用にかかわるコストの負担というのは、どうなっ ているのか、御説明いただきたい。 ○ 事務局  まず、このコストはもちろんかかわるわけでございます。資産管理機関、運営 管理機関あるいは運用機関そのものでいろんな形でコストがかかるわけでござ います。  まず企業型につきましては、そのコストは労使合意で規約の中で決めていって いただくということを想定しております。具体でどういった決め方をするかにつ きましては、それはその企業内で話し合っていただく。要するに企業が負担する ということでも結構ですし、掛金の中から負担するという格好でも結構ですし、 別途従業員が負担するという形でも結構でございます。実際アメリカでもいろん な形で決められているようでございます。 個人型でございますけれども、個人型につきましては加入者個人しかないもの ですから、個人が負担をしていくということでございます。これにつきましては、 どういうコストがかかるのかというのは、どの運営管理機関を使えばどうなるか というのはあらかじめ明示されていまして、それをもとに運用商品がどういうも のか、あるいはコストがどうなるかということを前提に選んでいただくというこ とでございます。 ○ C委員  運営管理機関ごとに違うことも考えられるのですか。 ○ 事務局  考えられます。 ○ D委員  新しい制度なのでいろんな疑問点とか、あるいは懸念といいますか、不安な点 がたくさん私はあると思うんですけれども、いろんなことをお聞きしてあれです けど、この年金の性格を一体どういうふうに考えたらいいのか。新しいタイプの 年金というふうに一言でおっしゃいますけど、よくわからない。公的年金と私的 年金どちらとも言い切れないですね。これは公的年金と言い切れないことは確か ですけど、私的年金とも言い切れない。私的年金と言い切っていいのかどうか。 それから、私的年金といっても、今までの税制適格年金とか、あるいは基金の上 乗せ部分、あれも年金ですね。生命保険がやっている年金。  そういう公私を含めた年金制度全体の中でこの年金制度は一体どういう位置 づけ、性格のものなのか、私は非常に難しいと思いますけれども、もうちょっと はっきりさせてもらいたい。今の時点でどういうふうに厚生省はお考えになって いるのかということを1つお聞きしたいと思います。  もう一つは、こういった制度を入れる経緯とか必要性は御説明ありましたけれ ども、一方で非常に不安とか問題点があるわけですね。特に労働、きょうは労働 組合の委員がいらっしゃっておりません。非常に勤労者の立場から言うといろん な懸念があるわけですね。今までの制度、確定給付型にはいろんな問題がありま すし、企業が予定利回りを回らなかった場合にその負担が全部企業にかぶってく るのが嫌だと、困るというようなことから、こういった制度の必要性が出てきた 面があるわけですから、一方、それは労働者の立場からいうと、負担の転嫁とい う不安があるわけですね。そういったことに対してどういうふうに答えているの か。  今日は委員の方がいらっしゃいませんから、逆に労働組合の人が問題にされて いるのは一体具体的にどういうことなのか。その不安については、この制度はど ういうふうに1つの、心配ないよというような不安に応えるような仕組みを導入 されているのかということを私はお伺いしたいと思います。  それから、3つ目ですけれども、運営管理機関の性格は金融業になるのですか。 何業になるのですか。新しい金融関係の中に入るのか、それともそれとは全く別 なものになるのか。業務の性格、金融関係のいろんな法律の適用といいますか、 その傘の中に入ることになるのか。その辺をはっきりさせてもらいたい。  先ほどの労働組合あるいは勤労者の立場からの不安というものを解消する意 味では、私は企業の責任や運営の資産管理機関とか運営管理機関、そういったも のの責任を相当具体的にはっきりさせておく必要があると思うんですね。そうい うことが法律を見ますと多少書いてあるようですけど、こんな抽象的なことでは なしに、もう少しはっきりできないのかという感じがいたします。  最後は結局、今、A委員からお話がありましたように、何かうまくいかなかっ た場合に、全部を企業じゃなしに、加入者がかぶるというのは非常に加入者にと っては心配だろうと思うんですね。そういう点を恐らく勤労者あるいは労働組合 の人が心配されている点だろうと思うので、その点は今の法制以上に私はもうち ょっと企業の責任や受託機関、運営管理機関の責任を具体的に明確にしなくては いけない。いろいろ議論があったと思いますけれども、そういう点についてお答 えいただきたい。  税制はできるだけ、大蔵省の立場から言いますと、今の減税効果ができるだけ 少なくなるように、今の税制の中で、その中に押し込めようというような感じが 非常に強く見られて、新しく突出するようなことは、今の段階では認めないとい う考え方のようですけど、これ全体として、トータルで見れば、税制面ではどう いうものになるのかというのをちょっと教えていただきたい。 それから、ハイブリット型ということが議論になって、恐らくそこまでは確定 給付のいい面も取り入れたような形の確定拠出になるのかなという感じもして いたのですけど、そういう要素というのは今のこれにはなさそうですね。あるい は将来の議論はなかったのか、その点について。 ○ 事務局  ただいまのD委員からのお尋ねでございますが、第1点目は、この制度の性格 は何かということでございますけれども、改めて資料1の一番後ろのページを開 いていただきますと、1階の基礎年金、被用者向けの厚生年金、共済年金、これ は国ないし共済組合が主たるプレーヤーとなって、国民向けに必ずこういう年金 を保証しますと、国ないしは国並びの公共体が主体となった制度であります。こ れはこの場で縷々御説明するまでもないことでありますけれども、基本的には世 代間扶養の考え方がベースで、従前所得の大体6割ぐらいを目標にするというこ とになりまして、では、その上の3階部分、自営業の場合には2階部分ございま せんけれども、3階部分はどういう位置づけになっているかということそのもの のお尋ねと私は同じだと思いますけれども、3階部分は、これは全国民あるいは サラリーマン集団に共通する老後所得の標準的な水準ということではなくて、3 階部分というのは、ここは高齢期の生活の多様な需要に対する対応であるという ことでありまして、この部分については、これまでは企業のサラリーマン全体の 保険集団としての相互扶助として企業年金がやられてきたか、あるいはそれと似 た形で国民年金基金が入ってきたわけですけれども、ここに保険ということでは なくて、自己責任に基づく制度を3階として入れたということでございまして、 そういう意味では、今までの3階の位置づけと同様に、プライベートではありま すけれども、年金制度の中での位置づけということになりますから、公的な関与 は当然あるということでございます。国は全く知りませんというようなことでは なくて、国がきちんと制度のフレームワークを整備した上でのプライベートな分 野であると考えております。  それから、第2点目、新しい制度であるということで、特に従業員側はいろい ろ懸念があろうということでございますけれども、労働組合側は何を問題にして いるかということでございましたが、基本的には先ほどA委員からお話があった ように、これまでの企業が約束していた退職金なり年金の保証がなくなるという ことでございまして、そこは不安材料としてあると。それから、退職金というの は、これまで確定給付で、何年勤めて、給与が幾らぐらいであれば、幾らぐらい になるというところがはっきり見えてきたわけでございますけれども、それが幾 らになるかわからないということで、老後設計の上でのちょっと不安がぬぐえな いと、こういうことを特におっしゃられているわけであります。  そこは当然確定給付の今までのメリットでありますので、企業が保証して退職 金なり年金を払うということでメリットがありますけれども、確定拠出はその部 分は持っていないわけでございますが、逆に労働移動やなんかがだんだん大きく なってくれば、これは逆に退職金カーブの問題とか年功賃金の問題とかいろいろ 出てきますけれども、そういった新しい傾向には必ずしも確定給付は対応が難し いということと、それから経済変動が大きくなってくるとなかなか企業の寿命と いうものもそう長くはないだろうということで、確定給付だけで本当に老後保障、 3階のこの部分をやっていけるのかどうか、そこは難しいのではないかというこ とで、選択肢を1つ用意をしたいということであります。  ですから保障はなくなるということで、そこが問題であるといいますが、そこ は制度そのものの1つの特徴でありますから、そこはいたし方ない面があるかと 思いますが、そこは逆にそういった今までの確定給付とこの新しい確定拠出型制 度を企業の中でも、例えばミックスしてやっていく。  アメリカでも、うちの会社は確定給付しかないよ、あるいは確定拠出しかない ということではなくて、幾つかの中でのどのぐらいの割合かいろいろあるようで すけれども、確定給付と確定拠出をミックスして従業員向けの退職金プランとし て用意している例もかなり多くあるようでございますので、そういった両方のメ リットをあわせていくことによって、21世紀に向けての制度がうまくやっていけ るのではないか、そう考えています。  それから、運営管理機関は何かというお尋ねでございますが、これは今までの 金融業態でいけば、これは分類は難しゅうございます。運営管理機関自体は、自 分でお金を預かって何かするということはございませんので、したがって、銀行 とか保険とか、そういったたぐいのものとは相当違います。基本的には運営管理 機関の業務は、運用指図を受けて、その記録管理をするということと、もう一つ は、運用商品を選定して提示をする、その2つの機能に大きくは分かれますけれ ども、特に運用商品の選定・提示、この部分は恐らく既存の状態からいけば、投 資顧問にかなり近いところにあるとは考えております。ただ、投資顧問のように、 これがいいですとかというような特別な推奨はしないという意味では、投資顧問 とはまた違うと考えております。  いずれにしましても、この運営管理機関の部分につきましては、現在大蔵省の 検討中の金融サービス法などの規制も当然にかかるというようなことでござい ます。  それから、責任の具体化ということでございますが、これは資料2に幾つか書 いてございます。3ページの一番下の「運営管理機関の責任(行為準則)」とい うところで、忠実義務なり情報の不適切使用の禁止、重要な事実を告げない、あ るいは不実を告げる。これは全部刑事罰則をつけますけれども、次のページにま いりまして、特に運用商品の選定・提示を行う運営管理機関の責任については、 これまで注意義務として議論されてきました点でございますが、(a)でござい ますが、注意義務などの点につきましては専門的知見に基づいて行うというよう なこと。  (b)運用の締結に際しては、損失補てん、あるいは利益追加契約の禁止。  それから、次のポイントが重要ですけれども、すいません、次の点は言葉が抜 けております。自己又は第三者が特別の利益の提供を受けること等を目的として 特定の運用方法を加入者等に提示すること、こういったものは禁止事項になって おります。  これだけでは必ずしも具体的ではないという御指摘が確かにございます。他の 法制との並びからいいますと、大体法律レベルではこれぐらいの規制になってお りますが、個々の場面でどういうふうになっていくか、これはなかなかいちいち 決めるのは大変ですけれども、より注意が必要な、もう少し具体化された場面に ついては、もう少し細かい点について、政令なり省令なり、そういったレベルで も私ども少し具体化を図っていきたい、そう考えております。 それから、ハイブリッド型のお話がございましたが、ハイブリッド型も昨年秋 の税制改正では議論にはなりましたけれども、ちょっと位置づけが確定給付なの か確定拠出なのか、やはりなかなか難しいということで、議論は最後まで結論を 見るには至っておりません。これはさらに今後の検討課題であろうと私も考えて おります。 ○ D委員  一応のお答えはいただきましたけれども、恐らくその程度では労働組合といい ますか、従業員の立場からいうと、まだ、それでは大丈夫だなというような感じ は持てないだろうと思うんですね。  私は制度の発足に当たってはいろいろ議論した結果、こういうことで4省まと まったのであればやむを得ないという面もありますけれども、今言われたような いろんな問題点というものをもうちょっとはっきりさせて、必要性ばかり説明し ないで、問題点も十分役所としても浮き彫りにして、こういう実は心配や不安は あると。しかしこれについてはこうだというようなことで臨まれないと、これは やはり非常に将来大きな問題になる可能性がありますから、そういう点を心がけ ていただきたい。  それから、既存の制度との関係で、例えば、既存の企業年金からの移行はでき る。既存の企業年金といっても、企業年金の概念がはっきりしないわけですから、 適年も企業年金に入れれば、あるいは基金も企業年金に入りますし、それからの 移行を過去の分まで含めて移行はできるようにすると言われても、基金の中の上 乗せの部分か、代行部分も含むのかということで大いに変わってくるわけですか ら、私は入れるときは余り制度の性格も何もはっきりしない段階では、既存の制 度には余り大きな影響を与えないで、とにかく新しい選択肢、商品を増やすとい うことであれば、みんなある程度納得すると思うんですね。商品は増えると。  しかし、そうはいっても、既存の制度とこれとの関係が全く切り離されて、こ っちはこっち、こっちはこっちというのでは、また、それも困るのだろうという のもわからないわけではないのですから、多少の往復というのは必要だと思いま すけれども、余り既存の制度からどっとこっちへ流れる。そういうことはないと 思いますけれども、そうなると全部を労使で決めればいいと言われたって、力関 係とかいろんな情勢から、私は必ずしもいい方向ばかりにはいかない面があるだ ろうと思うんですね。  ですから、そういう点はきちんと、それは新しく今度企業年金法をお考えにな るということですから、これは企業年金か企業年金でないのかもわかりませんね。 両方の性格を持っているわけですから、企業年金法のことで全部整理がつくとも 思えないので、そういう基本的な問題を残したままの出発だということを十分認 識した上で、不安をできるだけなくすような具体的な措置、仕組みをしっかり私 は入れていただきたいと思います。 これはお願いですから、別に答えは結構です。 ○ 審議官  私からちょっと追加します。実はこの案については、4省で検討しながら、自 民党の年金制度調査会の中の私的年金小委員会という委員会が津島先生を委員 長として御議論されておりまして、ずっと詰めの議論をしていただいていますが、 自民党の認識も、この年金というのは基本的には自己責任において行う年金であ りますので、一時、先ほど来、お話がありますように、確定給付型年金の運用の 問題は非常に厳しくて、あるいは株式市場が非常に低迷をして、そこから例えば 金融界などを中心として、これをてことして、そういうものについての解決を図 ろう、そういうお考えの方もおられるわけですけれども、決してそういう考え方 に立つべきではなくて、この年金の本質を基本的に労使で御理解をいただき、そ して最終的には従業員の運用指図に基づいて自己責任において行う。  ただ、その周辺に、先ほど来、御説明申し上げておりますような運営管理機関、 資産管理機関、あるいは企業自身、そういう関係当事者がありますので、そこに つきましては、大蔵省とも十分協議をいたしまして、最近の金融行政の基本的な 方向は行為準則を定めて、それで行為準則に違反した場合にはそれに対して、例 えば金融関係のいろんな業法で取り消しを行うとか、そういう形でやっていく、 そういう形でありますので、例えば、運営管理機関についても、基本的には参入 を自由にしながら、行為準則を基本的には法律で明定をし、仮に行為準則に反す ることがあれば、運営管理機関との登録の取り消しを行う。取り消しを行うこと によって、民間としてはその業ができないという形になりますので、そういう形 でやっていこうという考えで全体をまとめております。 ですから、私どももこの年金は、ある意味では1つの選択肢ではありますけれ ども、では確定給付型の年金とこの確定拠出型の年金がどちらが、例えば原理的 にまさるとか、そういうことではなくて、現実のいろんな労使の中でありますと か、職場の中で、この年金を活用しようということがあれば活用していただく。 そういう基本的な立場で進めたいと思っております。 ○ E委員  私は最近401kとかその他の周辺の話は本来は勉強すべきですが、勉強はして ないのですが、幾つかの提案があるのですが、この年金は企業型と個人型ですか ら、ある意味では既にハイブリッドになっていて、個人型の部分になると普通の 金融商品に似てくる側面があって、そうなると金融サービス法、私は多少それは 関係しているのですが、かなり厄介な問題がある。簡単に言えば、業者がいろい ろ関与するわけです。そのときの、金融サービス法でも問題になるのですが、私 は一応金融論を専門にしておりますけれども、どの程度玄人であるかということ については、金融機関の重役だってよく知らないことがたくさんある。要するに 今や非常に金融商品というのは多様化して、そんなに情報情報といっても何でし て……。  ですから販売勧誘のある種のルールが必要であって、そこで個人で加入する人 は、個人型の部分というのは、それほど金融的な知識がない人が多分多いのでは ないかと思うんですが、その辺の話は一体どうなのか。ですからその辺のところ は、私が言うのもおかしいのですが、最近の金融サービス法もそれほどスムース にはうまくいってないし、消費者保護の話も関係して、そのあたりは非常に重要 な分野なんですが、いずれにしても自己責任というときには、最終的にはその問 題をちゃんとクリアーにしておく必要がある。国民年金基金の個人型はその要素 がかなり残っているというのが私の印象です。  それから、企業型の方は、これは先ほど来、D委員の御質問あるいは御意見に もあったのですが、企業型といったときに、要するに今まで企業年金に加入して いる人は多分保険料は払っているのですが、保険料を払っているときに、ここま では厚生年金部分であって、プラスアルファ部分はここですと。それで、これだ けの保険料でありますというときに、今のところは見えているんですか。ここま でが厚生年金部分で、これから先がプラスアルファ部分ですと。保険料はこれだ けに対応していますと。そこは多分余り、私は今私学共済に入っているのですが、 ここからここまでがこれで、ここからここまでが職域だという、そういう感じの 分け方には多分なってないですね。  そうすると、この企業年金部分というのは、そこは企業がやるというのですが、 その部分が加入者にとっての、公的年金の部分がここまでで、それから先がここ までだというところの仕分けがきっちりできているのかどうかというのは、要す るに保険者にとって目に見えているかどうかということが、私は必ずしも企業型 の場合にはよくわからないというところがありまして、そういう点がどうなのか。  アメリカの企業年金がおかしくなったときにERISA法というのをつくっ たわけですが、これは相当包括的にはかなりの保護を前提にして、日本の場合に はそこのところはパッチワーク的になって、ここはこうでと、よく調べてみれば、 この年金について保護されているのはどの程度であって、この年金についてはど の程度保護されて、この年金はどうなっているか。その辺はバラエティーがある 部分があるような気がする。そういう包括的な法律の必要性はかなりあり得るよ うな気もするのですが、その辺どうお考えか。  それから、401kというのは、私の理解では、何といっても日本は複雑なのは2 階建てになっていて、この表で見れば個人型のところは国民年金基金というのが ばさっと入っているわけですが、その部分と右側の企業型というのは、ある意味 では整合的ではないわけですね。そこへ401kを入れたときに、右側と左側の401k の入り方がえらく違うので、そこのあたりは一体どうなのか。やはりパーツパー ツに分かれているという感じがぬぐえない。これは日本の年金制度が今そうなっ ているからそうなんだと言われればそうなんですが、そのあたりが401kとはか なり違った色彩を持っている。これは私は余り専門ではなくて、多分I委員あた りがよく御存じのはずですが、そういうことではないか。 それから、最終的には企業年金の問題点はいろいろ厚生省から言われましたが、 企業年金が抱えている問題はかなり大きい問題が潜在的にずっとあって、これは しばらくずっと制度が変わるわけですから、連結対象とかいろいろなことがあっ て、もちろん評価の基準が変わるでしょうし、やはり日本の企業年金制度は非常 に制度的には大きく変わるわけですから、そこのところが基本的には重要でして、 日本の大企業は困っておるらしいから何とかしなくてはいかんというのは、一応 利害関係としてそういうことはあるのですが、それはともかくとして、企業年金 の今の現状はある憂慮すべき状態にあって、そういう視点はどうしても残らざる を得ないし、別に最終的には企業年金がおかしくなるということは、勤労者にと ってマイナスがあるわけですから、その辺のところを企業の問題とはいうものの、 最終的に加入者全体の話も相当絡んでいるというふうに正直いって思いまして、 その辺のところを、特段私の意見がこうだということではないのですが、先ほど D委員の御質問ではないですが、もう少しフランクに言った方がいいのではない か。必ずしも質問とは言いませんが、そういう印象を持っています。 ○ 審議官  最初のまさに運営管理機関のところが委員のおっしゃるところだったので、こ れは先ほど申し上げましたように、最近の金融行政なり金融法制のところは基本 的に取り入れてございます。できるだけ法律事項にしようということでございま して、この横に書いてございますようなところは基本的には法律で明定をいたし ますし、事項によっては直罰で刑事がかかる。事項によっては行政処分なり民事 損害賠償責任が出てくる。  アメリカの場合には基本的にはERISA法でやっておりますが、ERISA 法の確定拠出に対応するような条項は基本的には全部入れてございます。ですか ら、そこはアメリカのERISAの確定拠出についてのルールと日本のこの法制 は基本的にイコール・フィッテングになっているだろうと思っております。  さらに違いますのは、御案内のとおり、アメリカのERISAはフィデュシャ リーという概念がございまして、この人に対する公益制度でございますから、フ ィデュシャリーというのをここで申し上げれば、企業もそうでございますし、労 使の実は企業と一緒に行いますので、労使で決定をいたしますから、労働組合の 幹部もそういう意味ではフィデュシャリーでございます。それから、運営管理機 関もフィデュシャリーでありますし、資産管理機関もフィデュシャリー、国民年 金連合会もフィデュシャリーです。  アメリカの場合にはフィデュシャリーが行為基準に違反をいたしますと、基本 には民事賠償の責任分野だけでございますが、日本は先ほど申しましたように、 これに対して極端なときには刑事罰がつきますし、それから運営管理機関で申し 上げますと、法律違反という状態が生じますので、一番多い場合には登録の取り 消しになりますし、その前段階で申し上げれば改善命令、あるいは役員の解任命 令というようなことが可能になります。  それから、企業に対しても実は非常に極端な場合でございますが、規約の承認 の取り消しというような非常時のような手段。ただ、私どもは端的に申し上げて 金融の専門家ではございませんので、そこは金融庁と共管にいたしまして、金融 行政全体のそういう監督の動きと齟齬がないようにやっていきたい。  それから、全体の話ですが、これは先ほども申し上げましたとおり、ある時期 非常に確定拠出型年金が、何か今の企業年金の置かれる状態の救世主みたいな形 でマスコミ報道などもされたわけでございますけれども、現実の姿を見ていただ きますと、アメリカでも20年前から導入いたしておりますけれども、20年かけ て確定給付型の年金資産と確定拠出型の年金資産がフィフティーフィフティー いう状態でございます。  それから、現実にアメリカでも徐々に増えてきておりますので、アメリカの非 常にマクロな数字で申し上げますと、従業員1人当たりの確定拠出型年金の積立 額は多分2万ドル程度でございます。アメリカでは個人の拠出上限が1万ドルと いうのは日本から比べますと非常に大きな上限でございますけれども、実際に従 業員1人当たりで見ますと今のところ20年かけて2万ドルという状態でござい ます。 日本はそういう意味では、賃金の構造でありますとか、退職金の位置づけ、あ るいはボーナスの位置づけでありますとか、そういう意味で雇用の形態も徐々に 変わりつつあります。すべてが変わるわけではありませんけれども、そういう時 代になっておりますから、私どもとしては、こういう時期にこういう選択肢を用 意をすることは非常に大事なことではないかと思っております。 ○ E委員  一言だけつけ加えますが、要するに選択肢を増やすということに私は別に反対 ではなくて、それは非常に結構だし、しかし、その選択肢がどういう性格のもの で、どういう位置づけにあるかというのは、まだ少しわかりにくいところがあっ て、そこのところをきっちり説明するのが非常に重要ではないか、そういう印象 を持つということです。 ○ 会長  F委員どうぞ。 ○ F委員  今までいろいろ出てきたので重複することになろうかと思いますけれども、今 いみじくも審議官がおっしゃったように、2年ぐらい前から救世主であるかのご とくいろいろ取り上げられたわけでございますけれども、冷静になって考えてみ たら、必ずしもそうではないというのが、現状我々が見聞きしての判断結果だと 思っております。  先ほどD委員もおっしゃったように、この制度にもいろいろ欠点もあるし問題 点もあるということはやはり明確にしておかないと将来的に大きな問題が出て くるような気がいたします。特に個人が加入するということになると、さらに問 題が大きくなる可能性があるのではないかと考えております。  それで、この資料を拝見しまして、例えば「必要性」というところの書き方な どを見ると、ある意味では非常に一方的なわけですね。現行の企業年金等は十分 普及していないとか、労働移動への対応が困難とか、老後の備えが不安定になり やすいとか、現行制度に対して一方的な批判が入っている。その割には、今申し 上げたように、ここで考えられる確定拠出型についての問題点は何も記されてな いというのはやはり問題があろうかと思っております。 あと、細かいことになりますけれども、特別法人税が課税されるということな んですが、これは本人が拠出する部分とか個人年金には当然課せられないわけで ございますね。 ○ 事務局  個人型も含めまして、両方共通の税がかかるということでございます。 ○ F委員   税制適格年金などで言われる遅延利子税というのと性格が違うのでしょうか。 ただ、一方的に計算して税をかける、それだけのことなんでしょうか。 ○ 事務局  性格につきましては、税務当局の考えでございますけれども、繰延べ、要する に所得控除はするけれども、これをずっと運用段階について非課税にするという ことではなくて、その間運用段階で最初に払わなかった所得税についての遅延利 息といったものはやはりあるだろうということで、その性格が特に変わったとい うふうには聞いておりませんが、個人の拠出されたものにつきましても遅延利息 といったことがあるのだというふうに理解しております。 ○ F委員  個人年金でもそうだということなんですか。 ○ 事務局  はい。 ○ F委員  もう一つ、よく納得できないんですけれども、わかりました。 それから、移行のところで、これも細かいことかもしれませんけれども、既存 制度からの移行の中に、今の特別法人税が関係してくるのですけれども、一定の 限度額の範囲内で既存の企業年金、これはD委員がおっしゃったように、既存の 企業年金というのが何かよくわからないのですけれども、これが仮に基金制度だ とすると、これとある意味での調整を行うということになるわけですけれども、 そうするとその部分については特別法人税がまたかかることになるのか、基金だ からかからないのか、そこの辺はどうなるのでしょうか。 ○ 事務局  移管の部分でございますけれども、もし過去の分につきましての移管をされる。 この企業年金は厚生年金基金あるいは税制適格年金両方を想定してございます けれども、この部分につきまして、労使合意で移管をされるということになりま して、確定拠出の方へ資産を個人ごとの勘定へ入れられたということになります と、この資産はあくまで確定拠出年金の資産でございますので、今のあれでいき ますと、特別法人税もこれ以降の将来期間に関しましてはかかりますといったの が、今のこの制度の案だということでございます。 ○ F委員  わかりました。 ○ 会長  よろしいでしょうか。G委員どうぞ。 ○ G委員  新しい確定拠出型年金制度につきまして、経済界もこういうものを考えてほし いというふうに要望を申し上げてきた経過がございまして、ここまで取りまとめ いただいた関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。  ただ、私ども制度を実際に導入していく企業の立場で幾つかの意見と要望を申 し上げたいと思います。意見につきまして何点か申し上げたいと思うんですけれ ども、私ども導入を考えた場合に、この内容ではまだ十分魅力があるとは言い切 れないのではないかというふうに思っておりまして、例えば、魅力ある制度とし て早期普及を果たすという観点から言いますと、いわゆる企業型についても主体 性とか自己責任の観点ということから、個人拠出を可能にするということも私ど もとしては重要な要素ではないかと思っております。それに加えまして、先ほど B委員からもお話がありましたけれども、企業の拠出限度額につきましても、こ の御提案の内容では、現在の退職給付の現状から言いますと、十分とはなかなか 言い切れないのではないか。今後限度額のさらなる積み上げについて御尽力を賜 りたいというふうに思いますし、また、拠出限度額の管理につきましても、この 提案になっておりますような定額というよりは、むしろ給料比例等の柔軟な取扱 いが可能なものにしていただくようにお考えをいただけないか。  それから、何らかの不測な事態、本人の事情によるものも含めまして、を中心 として、不測の事態に備えて特例的な途中の持ち出しを認めるような、そういっ たような柔軟な対応も検討いただきたかったなというふうに思っております。  もう一つ、この制度の背景になっております労働力の流動化対応という観点か ら言いますと、既存の確定給付型企業年金制度を持っている企業で、この企業型 制度を導入しない企業の従業員につきましては、企業型、個人型いずれの確定拠 出型年金制度についても対象者になり得ないということになりますので、確定拠 出型年金を導入する企業と導入しない企業との間の人材の交流とか人材確保の 面で、新たな阻害要因になってしまうのではないかという懸念もあるというふう に思っております。  以上が意見でございますけれども、2点ばかり御要望を申し上げたいと思いま す。  1つ、既存制度からの移行につきましてですけれども、既存の制度から確定拠 出型年金移行につきましては、企業分の過去の積立を移行できるという枠組みが 整理されたことは大変感謝を申し上げたいと思いますけれども、退職一時金から の移行と同様に、基金とか適年からの移行につきましても、現状の積立不足部分 も含めた移行を可能にするといったような税制適格な制度との間の格差を生じ ないような配慮をお願いしたいということでございます。 もう一点は、先ほど来、お話になっております税制の関係でございますけれど も、制度的な運営コストが資産の1%程度と言われておりますけれども、その点 につきましても、運営管理機関と協力しながら、私ども企業としてコストの低減 に努めていかなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、これにさ らに特別法人税の1%強が加わりますと、実質的な運用利回りが非常に低くなっ て、制度の魅力を大きく損なうということを心配しております。給付時課税の原 則を徹底して、特別法人税についての凍結解除後についても引き続き、この問題 についてぜひ御検討いただきたいと思っています。以上でございます。 ○ 会長  御要望ですが、H委員何か追加の御意見など。 ○ H委員  G委員のおっしゃったことに尽きますけれども、企業年金につきましては、経 済団体は特別法人税の撤廃を大蔵省当局並びに政府各党にも要望をしたわけで すけれども、この凍結解除後もこの撤廃をぜひともお願いしたい。そのことが今 回の確定拠出型の特別法人税も課税しないという方向でぜひともしていただか ないと普及が非常に難しいのではないか。  その場合に、先ほどG委員言われました運用コストの関係ですが、加入企業な り加入個人が増えないとやはり運用コストが下がらないという関係があろうか と思うんです。そういう意味では、移行であれは、あるいは新たにこれをつけ加 えるなり、これが普及するためには普及しやすいような形がないと運用コストが 非常に高いと。現実に1%程度でもかなり私は普及は難しいのではないかという 気がします。  先ほどおっしゃったように、10年、20年先ということで、そういう意味での 選択肢を増やすのにはそうなんですが、せっかくであれば、もう少し加入者が増 えやすいような運用ということを実施面では考えていく必要があるのではない か。そのためにはまず特別法人税は絶対やめてほしいなということと、限度額等 につきましても、加入者が増えやすいような形で運用をできるだけしやすいよう にしていただきたいと思います。 それから、現在の企業年金で、たまたまE委員が大企業は困っていると言いま したけど、企業年金に入っている企業すべてが困ってまして、大企業も困ってい るのですが、どの企業も企業年金を入れているところは新しい会計法で困ってい ると。 ○ E委員  それはもっとも。 ○ B委員  既にいろいろ関連の情報を、投資教育を含めてたくさんもっと流さなければい かんということが書いてあったと思いますけれども、先ほどD委員がおっしゃっ たように、いろんな問題点についてもっとはっきり書いた方がいいともちろん思 いますが、その際に、401kのアメリカのいろんなタイプがありますから一概に言 えないけれども、実績についてのデータ、これはインターネットである程度我々 は見ようと思えば見られますけれども、すべての人が見ているわけではないし、 時間かかって、あんなもの見ていると1日つぶれちゃいますから、ですからでき るだけアメリカの確定拠出と併用しているところもたくさんありますよね。です から確定拠出、確定給付両方含めて、運用の実績みたいなもののデータをもう少 し普通の人にわかるように、この前、「年金白書」いいのをつくってくださって、 後ろの方に若干企業年金についての情報も入っていたと思いますけれども、あの 部分をもう少しふくらませたような格好で整理した情報を提供していただける といいと思うんです。  私たち、個人的にはアメリカの大学の先生なんか、自分と似たような境遇の人 のマイクロデータを、おまえのやつ、教えろと、自分のも教えてやって、そのか わり教えてもらうと、確かにものすごくびっくりするほど資産蓄積している、 100万ドルぐらい持っている人たくさんいるわけです。うまくいってないのも、 さっき2万ドル平均とおっしゃいましたけれども、平均はそうかもしれないけど、 確定拠出で1/4ぐらいリスク商品入れた場合、 100万ドルぐらいいっているの は結構いるわけですね。だから、そっちの方ばっかり言ったら問題が起こります けれども、そういう例もある。そのかわり、公的年金はものすごく低いわけです ね。1万ドルぐらいしかない。 日本の公的年金と企業年金と両方合わせた場合に、老後所得の保障がどのくら いになっているんですかという、私前から所得代替率のデータを出してくれと言 っているんですけれども、なかなか難しくて出てこないようですが、全体の数値 は無理かもしれないけれども、マイクロデータで信頼のできるようなものを代表 値でいいと思うのですけれども、もう少し国際比較が可能なような格好で提供し て、本当に新しい確定拠出をやるとどういうメリットがあるのかということが具 体的にわかるようなデータをもうちょっと集めて、厚生年金基金連合会なんかは 随分勉強していらっしゃると思うんですけれども、そういうものをぜひ提供して いただけたら役に立つと思います。 ○ 会長  A委員どうぞ。 ○ A委員  先ほど審議官が約20年ぐらい前に、アメリカで401kが導入されたというお話 がありました。それに関連してなんですけれども、当時のアメリカは景気も悪く て株式相場も低迷していたわけですね。それがその後、好調な株式相場に乗って 401kも成功したというような側面があるわけですけれども、日本についてですけ れども、経済が将来秩序立って安定した高成長経路を維持できればいいのですけ れども、必ずしもそうでない場合、それはどういうことになりますでしょうか。 ○ 審議官  この問題をめぐりまして、非常にそういう御議論が、なかなかお答えしがたい というか、端的に申し上げまして、例えば確定給付型の年金資産であっても、国 際金融、国際経済の中で運用するという状態になってきておりますから、経済な り金融が非常にグローバル化している中で、この確定拠出型の特質からこれだけ にということではないのではないかというふうに思っております。  ただ、違う仕組みや運用を個人個人が指図をするのか。確定給付型の基金であ りますれば、まさに通常でありますと基金の責任者が金融機関を相手にしてやる という形で、ある意味では、基金の責任者に対して運用の信託をしているような 状態でありますが、そこを個人が行うかという形。  ただ、今回の場合も、これはこの仕切りで申し上げますと、個人個人でありま すけれども、先ほど申し上げた運用商品の提供についてはある程度タイプ化をし ておるというところは、個人個人の指図でありますけれども、資産運用のところ ではできるだけ効率性を高めようという形です。ですからAさん、Bさんがこう いう投資信託を選ぶということにいたしましても、全体として、これに加入され る方がだんだん増えてまいりますれば、ロットの単位が大きくなりますので、そ こで効率化を図ろうという形でございます。  アメリカと少し違いますのは、アメリカの場合には元本保証型というのは、実 はERISA法でも義務づけはいたしておりません。ですから元本の保証がなく ても、基本的には、先ほど申し上げましたような投資の情報と自己責任、それか ら実際にそれに関与する人間のフィデュシャリーの実責任。それから、その先に はアメリカの社会でありますので、民事賠償も非常に大変な世界がありますので、 そのフィデュシャリーの責任を果たせないということは、観念的には大変な損害 賠償責任を負ってくる可能性がある。そこが日本の、例えば訴訟なんかのところ では若干違ったところがあるのではないかと思います。そういう中で考えていく。 日本の場合には、これはそういう意味ではちょっと便宜的かもしれませんが、 最初の出発でございますので、基本的には元本保証型を必ず入れようという形で やっております。ですから、そこは端的に申しまして、何とも申し上げがたいと いうのが率直なところでございます。 ○ 会長  I委員どうぞ。 ○ I委員  2つ申し上げたいと思うんです。1点目は非常にテクニカルな問題なんですけ れども、新しいタイプの掛金立の制度をつくるに当たって、こういう税制措置を つけた場合に、減税規模が平年度ベースでどのくらいになるかとか、あるいはそ れを所得階層別にブレークダウンした場合の分布みたいな話の推計自体が恐ら く内々には行われているのか、あるいはオープンに行われているかよくわからな いのですが、そういうものがあったら教えていただきたい。あるいはなければ、 そういう作業をぜひやっていただきたいということでございます。  2点目は、新しいタイプのものができるわけでして、従来とは違うというとき に、従来型もある意味では安心保証だとか、そういうものとは違うんですよ。自 己選択には自己責任が伴う。自己責任というのはどういうことかというと、リス クをとるわけですから失敗もあるのだということをどれだけ最初に理解しても らうかにかかっていると思うんですね。やっぱり従来の変額保険の事例を見ても、 だまされたというような形で裁判になったケースがあるわけでして、恐らくこの 新しいものをめぐっても、現に運用で失敗するケースは多々出てくると思うわけ です。当然金融機関がすべて善人だとか性善説に立てないわけですから、日本の 企業だとか個人のお金をねらっている人たちはいっぱいいるわけですから、当然 その中には例外的かもしれないけれども、だましにかかってくる人たちはいると いうふうに想定せざるを得ないわけですね。だまされる人は必ずいるということ を前提にして制度をつくらなければ、しかし、それを行政面で 100%事前にキッ クアウトできないのだと。行政にその力はないのだということを言っておかなけ ればだめだと思うんです。 行政はそれが 100%キックアウトできるはずだという甘えがある段階ではい ろいろな齟齬が起こってしまうということだと思うんです。従来、何か問題があ れば、政府は何しているのだとかいう話で、いつも政府がいろんな形で規制すれ ば何とかなるという形だったと思うんですけれども、これに関してはそうではな いのだということですね。個人がリスクを負って選択をして、その結果、自分で とるのだと。高利回りを餌につるようなものに手を出したら、それは結果的にも しかしたら全然見込み違いになることがあるのだということを理解してやって くれと。行政は最初から事前に全部 100%キックアウトできないのだということ を言っておくことが必要だと私は思うんです。 それさえ前提にして、これは新しいゲームだという形にして、これで節税もで きるし、将来の老後所得の厚みもできるのだということで、リスクはあるのだけ れども、やってくださいという形で理解を最初にしておくことが私は大事だと思 っております。 ○ 会長 何かありますか。 ○ 事務局 最初のお尋ねの減税の規模でございますが、これは全く試算ということになり ます。もちろんどれぐらい加入してくるか、あるいは加入された方が、どのぐら いの掛金を掛けるのかによって減税額が違いますが、一応私ども今までの企業年 金の感じからいってこんなところかなということでは、前提を若干最初に申し上 げます。1号被保険者で10%ぐらいの加入があって、またサラリーマン集団の2 号被保険者集団で3割ぐらいの方が確定拠出に入ってくると。1号の方の場合に は、今の国民年金基金と同じレベルの掛金を払ってくる。これが今大体年間23 万円ぐらいでございます。それから、2号被保険者の場合には既存の確定給付が あるところについては、月1万で年間12万ぐらいかなと。それから、企業年金 がないところでは、これも国民年金基金と同じ年23万円ぐらいの掛金かなとい うところで、前提を置いて試算をしますと、平年度ベースで 1,400億円ぐらいの 税収の減になると、こういう試算は一応しております。これはもちろん加入規模 とかそういうものによって全部変わってくるわけでございます。 当面は、平成12年度は実施時期などの関係でほとんどないだろうというふう に見ております。これは平年度ベースで 1,400億円に達するまでは、これは一定 の年限は当然要するであろうと考えています。 それから、個人ベースで、所得階層別ということになりますと、その辺は私も 試算はしておりません。 ○ 会長 時間がだんだん残り少なくなってまいりましたが、まだ御発言のない方はどう ぞ。 ○ J委員 私は実はこの話をお聞きしまして、それは1つの選択肢とおっしゃいましたけ ど、保険の年金なのか、あるいは年金の一時払いか、その程度のことしか考えて ないのかという感じがしたのですが、聞いていると、だんだんこの年金の性格が、 さっきD委員がおっしゃっていましたけれども、年金の性格が極めて私はあいま いでよくわからない。要するに半公、半私みたいなところがあって、制度的にい ろいろ聞いていくと、極めて今度は規制を加えるような感じを与えてきますし、 そういうことをやると一体これは最終的にどういう責任をだれがとるのかとい うのがよくわからない。 それから、もう一つ、疑問なのは、いわゆる公的年金で扱われているような税 制と違いまして、ほかの年金の税制と余り変わりはなくて、結局税制の方にしば られて、そのことを限度にしながらどうも制度をつくり上げたのではないかとい う疑念があるわけでもあります。 そして、さらに制度的に規制を加えれば加えるほど、この年金が非常に公的な ものになっていくだろうし、それでは余りに自己責任だと言いながら、何か自己 責任が余りないような感じもするし、そういう点でどうも確定拠出型といって今 せっかくお出しになっておりますが、よくわからないというのがお聞きした感じ であります。自己責任を強めるというのであれば、もっと規制を排除しながら、 もっと自由に個人が入れるようにした方がいいし、そうでなければ、そうでない ような制度にしなければいかんのですが、その点がどうも余りはっきりしないの ではないかという気がいたします。 そういう点では、一番先にD委員がおっしゃったように、性格が非常にあいま いなところにこの問題の全体の検討しなければならん別の部分があるような気 がしておりまして、もう少しみんなが喜んで入れるような制度ならいいのですが、 どうもこれならだれも余り入らないんじゃないかという感じが非常にするわけ であります。やはりこういう年金というのは、みんなが喜んで入って、自分の老 後をどういうふうにするかということが非常に大事ですから、そういうことが余 り考えられなくて、片や税金でしばり、片や制度でしばり、片やいろんな面でし ばってきて、でき上がったものが極めてみんなが使いづらい制度にしてしまった のではないか。だから、もう少しみんなが喜んで入る、老後が安心して暮らせる ような、そういう年金なのだということをちゃんと特徴づけた議論をしていただ かないと、余りこの制度は魅力的でないということだけ申し上げておきたいと思 います。 ○ 会長 K委員は何か。 ○ K委員 結構です。 ○ 会長 L委員。 ○ L委員 新しい選択肢を広げるということで、私も実は簡単に考えておりましたけれど も、きょうそれぞれの御議論をお聞きしますと、それぞれ大変な課題を抱えてい るのだということを承知したわけであります。十分内容が周知される対策をぜひ 講じていただきたいと思います。 ○ 年金局長 いろいろ御意見いただきましてありがとうございました。いろいろな御指摘は ほとんどすべて当たっているなと、私自身がこういう仕事を取りまとめる身であ りながら、皆さん方の御指摘に対してはそのとおりだなということは正直申し上 げなければいかんと。お聞きしながら、そんなことを感じた次第です。 ただ、新たな選択肢としてこういう制度を導入するというのは、我が国の置か れた経済とか社会の状況、今後の社会経済の見通しからは当然必要なものだと思 います。 ただ、今回のこういう政府内でまとめた案というのは、先ほど来出ていますよ うに問題点も多々にあるわけでございますし、これからいろいろ改善していかな ければいけない。そういう点ではいろいろお聞きしたようなところがポイントに なるのではないかなと、こう思っております。 そういうことで、この問題は介護保険ではないのですが、制度を導入し、歩き ながら考えて、改めるところは今後改めていくということで出発した方がいいの ではないか、そういうことを思っておるわけでございます。 そういうことで、今後の導入後のいろいろな動き、これを十分踏まえて、引き 続きこの問題については取り組んでいきたい。特にこの制度が導入されますと、 先ほど来、企業年金全体が非常に不整合でいろいろおかしな点があると。この全 体問題を再検討すべきだと、こういう御指摘がございましたけれども、まさしく 私ども同じ思いをしているわけでございまして、この制度を入れることによって、 さらに企業年金全体の見直しを加速しなければいかんということも思っている わけでございまして、そういう点で、この制度が1つの起爆剤になり得るのでは ないか、そういう思いもいたしております。 いずれにしましても、今日頂いた御意見を十分踏まえまして、これからの制度 運営に生かしていきたいと思っております。 ○ 会長 よろしゅうございましょうか。大体御発言をいただきましたし、御意見も出そ ろったとは言えないと思いますが、時間もまいりましたようですから、本日の議 論をここで一応終了ということでよろしゅうございましょうか。               (「異義なし」の声あり) ○ 会長  それでは、本日の資料はすべて公開するということのようでございます が、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。                                  (「異義なし」の声あり) ○ 会長  それでは、今後の日程を事務局から御確認をお願いします。 ○ 事務局  次回でございますけれども、英国との社会保障協定の実施に伴います厚生年金 保険法の特例等に関する法律案につきまして御審議をお願いをいたしたいと存 じますが、日程につきましては、調整の上、追って御連絡をさせていただきたい と思います。以上でございます。 ○ 会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。 照会先 年金局企画課 榎本(3316)