ヒト組織の移植等に関する専門委員会第3回議事録            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会                  第3回議事録               平成12年2月3日(木)                13時02分〜15時17分                厚生省共用第9会議室 出席者(○:委員長 敬称略) 糸満 盛憲  鎌田 薫   北村 惣一郎  佐多 徹太郎 篠崎 尚史 柴田 鐵治  島崎 修次 ○野本 亀久雄  早川 堯夫  松村 外志張 1.開 会 2.議 題   (1)「ヒト組織の移植等への利用のあり方について」          報告書原案について      (2)その他  事務局  お待たせいたしました。定刻となりましたので厚生科学審議会先端医療技術評価部 会、ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会を開会いたします。 本日の委員の出席の状況でございますが、位田委員、廣橋委員からご欠席とのご連絡を いただいております。また、早川委員から少し遅れるというご連絡を入っております。 あと、糸満委員からはご出席とのことですが、まだ到着されておりませんけれども、ま もなく到着されようかと思いますので、会議を始めさせていただきます。  続きまして本日の資料等の確認をさせていただきます。お手元に配付しております資 料で、議事次第がございます。本日、議題ひとつ。その他として議題、形としては2つ になっております。ヒト組織移植等への利用のあり方について(報告書原案)というこ とで、議題を提出させていただいております。  資料といたしまして先生方の座席配置、委員のお名前、次に本日、資料としてはひと つでございますが、議題にありましたヒト組織の移植等への利用のあり方について(報 告書原案)ということで資料ひとつでございます。なお、先生方に前もってお配りした 資料、先生方のご意見をいただいたものをミエケシで対照としていただくために席上に 配付をさせていただいております。資料は以上でございます。  それでは野本委員長、よろしくお願いいたします。  野本委員長  お忙しいのに申し訳ございません。前回までいろいろな勉強をやって議論をしてきた わけですが、事務局がしっかりした案を作ってくれております。原案が皆さん、各委員 の方々に送られて、そのご返事が来て、それで再び、訂正を加えたのがこれですね。そ のお陰ですっきり、非常にすっきりしてきたのですが、先生方の中には、私はこれも切 り捨てるのは反対だという人も当然おられると思います。当然、追加していかなければ いけない問題とか、乃至はこれは切り捨てるべきではないかというような意見も含めて 今日、ぜひ、ご指摘をいただきたいと思います。  ひとつ、審議の途中で特に事務局も含めて考えていかなければいけないことですが、 今回のガイドラインがどれぐらいの期間、有効に働くようなものに仕上げるかというの はぜひ、頭の中に置いていただきたいと。最後の2回ぐらいのときにそこを明確にし て、だいたい我々のガイドラインで3年なら3年、5、6年は使えるようにしようでは ないかとか、そういうことも必要なことになると思いますので、ぜひ、頭の中に入れて おいていただきたいと。  議事の進め方ですが、事務局から各項目を説明していただいて、各項目毎に議論をし て進めていくというのでいかがですか。よろしいでしょうか。ではひとつよろしくお願 いします。どうぞ。  山本補佐  お手元の資料でございます。先生方におかれましては大変ショートノーティスで、実 際には2回程、やりとりをさせていただいて、かなりの多くの意見をいただきました。  今回、席上に配付させていただきましたミエケシのものはその2回目にお送りしたも のと今回との対比になります。一番最初の問題は別のものになります。そして、お手元 の資料、1部ですけれども、この資料にありますのが現在のものです。また、実は今日 の朝になってご意見をいただいた方がおられまして、このミエケシを直したものをまた 直しておりますので、若干、非常に微妙ですけれども、違っておることをご了承くださ いませ。  ストラクチュアですけれども、目次、1枚目をめくっていただきまして目次としては じめに、基本原則。ここのところで実は基本理念ですとか、本報告書の位置づけとかと いうのが前回、前々回あったと思うのですが、かなり同じ表現や単語がダブって出てく るということで、すっきりさせた方がいいだろうということで、また、理念よりも原則 であろうというご指摘で基本原則1本にしております。  また、3番目以降、組織の採取、処理・保存、移植施設への提供と移植への利用、研 究・研修への利用、これは研究等と言っていた等は何かというのできちんと研修とした 方がわかりやすいのではないかというご意見をいただきました。また、組織バンクの運 営のあり方、そして終わりにということで、あと用語の定義をつけさせていただいてお ります。 また、中の別添資料としまして承諾書、同意書の書式などもつけておりま す。  それでははじめにでございます。1頁目でございけれども、これもかなり文章的には ボリュームをショートカットしたというか、非常にすっきりさせた形になっておりま す。実際には現在、使われている皮膚の移植への利用の状況、組織バンクでの現時点で の段階、また、この組織移植というのは我が国の医療にとって非常に重要な位置、重要 なものであるということも書いてございます。  ただ、現時点は各医療機関、もしくはその組織バンクの自主的な基準に従って運営が なされていますけれども、こういうものが広範囲に行われていることを考えて一定程度 の基準を示すべきということで、この報告書、もしくはガイドラインの位置づけという ものも加味しております。  また、基本的には次の頁、2頁ですけれども、現時点ではまだバンクというアクティ ビティがそれほど活発化しておりませんけれども、肝細胞ですとか、膵(ライ氏)島細 胞の細胞バンクと言われるものの利用、もくしは設立というものも目前になっておりま すので、そういう細胞バンクについても今回、ここの中であります組織バンクと同様の 考え方でやるべきということで、また以下に書かせていただいておりまして、文章の中 で組織と言ったり細胞と言ったり、細胞組織と言ったり、その出入りするということに ついて大変混乱するのではないかというご指摘を何人かの委員からいただきましたの で、細胞バンク、細胞利用につきましてはここでまとめて記載させていただいておりま す。はじめには以上でございます。  野本委員長  一番始めのところ、何か抜けておるところとか何かございますか。よろしゅうござい ますか。組織を細胞にばらばらにしたら、これは細胞であって組織のルールでは縛られ ないのだなんていうことを時々、言う人がいたりして、これは言わば意識的ルール違 反、確信犯ですから、こういうのはできないようにしていただかないと手におえません ので、追加してくれたのは非常にありがたいですけれども、よろしゅうございますか。 はじめには。  皆さん、あまりはじめの方はよろしいようですから、次、いってください。基本原 則。 山本補佐  はい。基本原則でございます。これ非常に重要な点ですのでそれでは今日、急に資料 で席上でどっと変わった資料がいっておりますので、先生、順番に読んでやらせていた だきます。  基本原則。ヒト組織を移植等に利用するにあたっては、その倫理的妥当性を確保する ために次の7つの原則に留意すること。  ということで、今まで前のバージョンでは原則が、一番最初のバージョンではダーッ と文章で書いてあったのですけれども、ひとつひとつ見出しをつけてクリアにすべきと いうことになっております。  (1)組織の提供に係る任意性の確保。組織の提供は、ドナー本人(又は死後の提供 である場合には遺族)の自由意思に基づくものであり、提供に先だって行われる説明を 聞くことを強制してはならない。また、意思決定の過程においては不当な圧力がかかる ことがあってはならない。  (2)組織の提供に係る意思の尊重。組織バンク及び組織の提供を受ける移植施設等 は、ドナー側の組織提供に係る意思を尊重しなければならない。  ここで出てきておりますのが、移植施設等の等というのは研究機関を含むということ でございます。  (3)無償の提供。組織の提供は、ここで善意無償で行われるべきものでありという のがあって、善意のところ括弧で書いてありますのは善意というのはどうやって担保す る、どうやって確認できるのだろうかというようなご意見もあって、クエッションでご ざいます。ここはまたご議論をいただきたいと思います。  無償で行われるべきものであり、組織バンクは、ヒト組織の採取に当たっては、その 対価として財産上の利益をドナー側に供与してはならない。また、組織バンクが採取さ れた組織を移植施設等に提供する際には、その対価として財産上の利益の供与を受けて はならない。  この組織バンクが移植施設に提供する際の財産上の利用の供与というのは、この後、 後ろの方でも随分議論があると思いますけれども、かかった実費、必要経費を貰っては いけないということではないということを後ろの方できちんと書くべきというご意見で これは後での議論になろうかと思います。  (4)組織採取及び利用の際のインフォームド・コンセント。ドナー側が組織を提供 すかどうかを判断する上で、組織バンクとして、ドナー側に対して、提供の手続、提供 される組織の利用目的等について十分に説明を行わなければならない。また、レシピエ ント側が組織の提供を受けるかどうかを判断する上で、移植施設として、その有効性、 潜在的危険性等について十分に説明を行われなければならない。  (5)個人情報の保護。住所・氏名等の、具体的に書いた方がいいという意見といら ないのではないかという意見がございましたが、住所・氏名等のドナー側若しくはレシ ピエント側を特定することにつながり、またドナー側若しくはレシピエント側が知られ ることを望まない情報が漏洩されることがあってはならない。また、ドナー側に関する 情報とレシピエント側に関する情報が相互に伝わることがあってはならないという匿名 性の原則も書いてございます。  (6)組織提供後の権利の不帰属。組織の提供後、ドナー側には、当該組織に由来し て発生する可能性のある知的所有権等の権利は帰属しない。  (7)情報公開。組織バンクは、社会的・公共的な活動主体として、個人情報の保護 に留意しつつ、その活動全般について広く国民一般に情報公開を行うような体制を整備 しなければならない。以上でございます。  野本委員長  以上ですが、ここはじっくり練っていただきたいと思うのですが、どなたか。ここは 非常に長くやってください。議論していただきます。  松村委員  いいですか。多分、他の方も意見あると思うのですけれども、6番のところですけれ ども、提供後の組織もやはりドナー側の権利がくっついていると私は思っているのです よ。  ただ、その権利というのは用紙を出した、親のような立場で、もう私はこの子を養育 する権利は全く放棄しますと。もう絶対、一生会わない。お任せすると言うのだけれど も、だけれども、その受け取った方がその次の日からもう食べ物もやらないというよう なことは許されないわけで、つまりその提供者の意思、あるいは尊厳と言うのでしょう か、人格と言うのですか、それに沿って扱われる存在だということの権利は持っている というふうに言っていいのかな。そういうものがくっついているという意味で、提供者 の権限を全くないということではないというふうに僕は思っているのですけれども。  バイ先生なんか、人格権というふうなことを言っていると思うのですけれども、それ が正確に当たるかどうかちょっと法学者の意見を聞きたいですけれども、こういうふう に権利が帰属しないとなると全くもうどうでもいいよという感じになっちゃうのがちょ っと違うかなと。  野本委員長  ご意見どうですか。ここが一番、私は今日、決めてもらいたい。このガイドラインの 一番のポイントはここだと思うのです。  北村委員  僕もこの報告書が今まで出ていた黒川先生の手術からの組織のとの違い。今まで我々 が作ってきましたものと違うところは、初めてはっきり前のやつの改定前のバージョン では組織の提供は社会に対して行うということを明言していたのですね。  僕はこの報告書の最も新しく、今までのものとは違った内容はここにあると。これが 一番新しい考え方を提言してやっている部分だと思うのを、このニューバージョンの方 では極めて簡単に知的ということだけですと、何らか得られた科学的情報が私の組織の 一部からの情報であるので、それに対してパテントが取られたような場合、その一部を 私に権利があるというのをやめようということだけになってしまうのではないかと。  やはり前にも申しましたけれども、実際に1年近く使用されずに保存されている組織 を1周忌のときに供養させてもらいたいと。したがってあのときはサインをして提供し たけれども、返却をお願いしたいという場合の取り扱いに困ったこと、実際、あるので す。  ですから、私は戻す前のバージョン、つまり社会に対して行われるものであって、し かし、それを提供された側は倫理的にそれを扱い、善意を生かされるようにするという 古いバージョンの方が、今回の報告では今までになかった、全くなかった新しい点だと 思っているのですけれどもね。  野本委員長  北村委員のあれですけれども、だいたい皆、そこのところ、基本的には理解できてい るのですけれども、まだ、現在の段階で日本の一般市民にその概念が普及していないの ではないかと。そのときにボンと出すのは無理ではないかというご意見の方がもうちょ っと個人のことを大事にしたらどうかと、こう言っておられるのだと思うのですよ。  やがてそちらに行くのですけれども、ただ、そこで今、きちんと意思表示をしておい た方がいいのか、乃至は定着してからした方がいいのかというのは、これは一番の大議 論で、僕は前の臓器移植法の一番やりやすいところは一旦、離れたら本人は何も言って はいけないと。あそこのところだと思うのですね。  だから、ちょっと、しかし、それは時間の流れで理解を求めながらやっていかないと いけないというのが当然、出てくるのです。だから、そこを皆さん、よく考えていただ いて、ここにうたうか、うたわないか。精神は皆、共通していることで、自分からいっ たものは社会全体が活用してほしいという気持ちは全く同じなのだけれども、例えば今 の松村委員が言われたように、渡したらぞんざいに扱うようだったら、今度は国民は腹 を立てると、こういうことですよね。絶対、腹立てる。  だから、逆に国民が腹を立てないような安全弁を持っておいたらどうかというのが松 村委員の提言だと私は思うのですが、そこらあたりが今の時点でどちらへ我々は向いた 方がいいかということです。はい、どうぞ。  柴田委員  今の点です。やはり元の方がすっきりしていると思います。やはり社会に対して行わ れるものであり、提供後に、前の文章では所有権、その他の権利とあったのが、今度、 知的所有権になったのですね。これはちょっと意味が違うと思うのですね。  ですから、これはむしろ元の文章の方がすっきりしていて非常にわかりやすいと思う のです。知的所有権までの議論ではないと思うのですね。知的も入れてもいいですけれ ども、とにかく所有権の主張はできない。その権利はできないと。前の文章で非常にす っきりしていると思うのですけれどもね。  ついでに言うと、この基本原則、非常にすっきりまとめられて結構だと思うのですけ れども、最初の原案では、なぜか6項目あったのに5原則という言葉があって、今度は 6原則が7原則になって、これは2つに割ったところがあるのがあるので、この議論を ちょっと後でしたいと思うのですけれども、今はその最初のところは私は元の方がいい というふうに思います。  野本委員長  大いに議論をしていただいて、これはまだ今日を含めて3回もありますので、このと ころ、こういう面、基本原則のところはきちんと全員が理解した上で、これはガイドラ インできたら全委員の方々には国民が理解するような行動にも協力をお願いしなければ いけないので、私は納得しなかったのに委員長がガタガタと言って押し切ったというよ うなことはしたくないと考えておりますので、ぜひ、ご議論をお願いします。  北村委員  知的所有権のことは古いバージョンを読ませていただいた方の後の方にも出てきてい ましたですね。今回はこれが前にきて、後のが消えることに、後、まだいってないので すけれども、なるのですね。  あそこで知的ないわゆる研究に基づくパテント等のことをおっしゃっているのも細胞 の方までの、そして研究を承認しようと。そして細胞レベルの研究にも応用していこう ということをうたっているときには非常に大事なことだと思うので、知的所有権の問題 ともう少し世俗的と言うか、私は例を上げましたようなことに対するドナー側の権限と いうものを分けて書いていただいていた原案は、この新しい、これの中で最も素晴らし いと、その2点だと。僕は。他はもう皆、似たり寄ったりで。この2点を明言していた だくことができたらとは思うのですが。  僕はこんなことやって、医者の方ですから、社会の方々からその意見が合わないとお っしゃられればもちろん柔軟性は示したいと思いますけれども、やはりこの報告書の素 晴らしい点はこの2点ではないかと僕は評価していたのですけれども。  野本委員長  この間、松村さんと一緒に医科研でやりましたね。  松村委員  新橋で。  野本委員長  新橋。そのときにNHKのサコタさんなんかと個人的に議論をしたときに、そこが時 間の問題、皆、わかっているのです。これは当然、社会のために使うというのは理解し ているのだけれども、今、社会にですよと、一切ないのですよと言ったときに、皆がえ っと言うのではないでしょうかというのをサコタ委員は心配をしていたのですけれども ね。  北村委員  そんなものですかね。  野本委員長  だけれども、そこらあたりをずっとやっているのか、ここらでやはり臓器移植法はは っきりと、言わばあれは社会に帰属するという形を取ったわけですから、組織に関して もそういうところまで踏み込むか、ぜひ、議論をして考えていただきたい。  これ、文章でも先生方もおわかりだと思いますが、提供という言葉があちこちに出て くるのですけれども、提供するのはドナーですけれども、提供される側、明確ではない のですね。バンクかというとバンクが提供されたことの後の全責任を取れるかという話 にそのまま直結していくので、だから、バンクが提供、むしろバンクが提供されるとい うよりはむしろ流れを斡旋するのが今までの仕事の内容でしたから、提供される、提供 相手がバンクであると。今のバンクであるということになると、これ全責任をバンクが 取らなければいけない。それだけのようなやり方を今まではしてきたのではないように 思うのですね。どっちかと言うと流れの斡旋であると。ちょっとそこのところも気にな っていたのです。 無償の提供はもちろん当然ですけれども、無償だけれども、その提 供した組織はどこに、宙に浮いているのかという話になると非常に具合が悪い。そこら あたりもよく、ぜひ、考えてもらいたいと。  糸満委員  よろしいですか。我々、医者の側から言うと、今、北村先生がおっしゃったように、 旧バージョン、非常にすっきりしていて読みやすいし、非常にはっきり言っているとこ ろがあるのですね。ですから、こういうことが国民全体の理解が得られないというふう には私自身は思わないし、むしろこういうことを理解してもらうべく努力をするという ことの方が大事ではないかなというふうに思うのです。  今の項目、6番目の項目というのは非常にわかりにくくなっているのですね。ですか ら、こういうふうにぼんやりさせた方がいいということなのか、あるいはもっとはっき り臓器移植にも書いてありますように、それこそあなたの組織は社会に帰属するという ことをやはりちゃんと示しておくのがガイドラインとしての意味があるのではないかな というふうに思うのですが。  北村委員  僕たちは以前に打ち合わせしていませんよ。  野本委員長  はい、どうぞ。  山本補佐  実はここは各委員からほとんど賛同の意見しかなかったですけれども、まさに座長が おっしゃったように一部の委員から概念が今、我が国に定着しているのだろうかという 問題提起があって、かなり事務局の方でバッとしたところもありますので、ご議論いた だいて。  野本委員長 書き方を少し一般市民でもわかるような、社会というものもひとつは概 念が曖昧なところがありますので、そこらあたり、ちょっと今度、事務局で工夫して書 いてもらえないですか。そこは皆、わかっているのです。社会全体のために自分の組織 を使ってもらいたいと、利用してもらいたい。だからこそ、お金は取りません。財産権 もありませんというわけだけれども、そこがあまり曖昧だったらいろいろなことが起こ ってしまう恐れがあるということも含めてやるとちょっと何かここは書き方を。はい、 どうぞ。  麦谷課長  今、糸満先生が言われた啓蒙の意味を含めてこういう社会という書き方をするという のはひとつ理屈はわかると思いますが、『アエラ』にも書いてありましたけれども、ア ングロサクソンと違って日本の国民というのは臓器を社会に出すという意識はあまりな いのではないかと思いますね。  ですからさきほど北村先生が言われたように後で返してくれと、使わなかったらとい う話がありますから、例えば先生方というか、わかりませんが、やはり臓器を提供する 人は私も移植に長く携わってきたので、提供する人、やはり社会に腎でも心を提供する というよりは、これでスペシフィックな、あの誰かわからないスペシフィックな人を救 ってくださいと、こう思って提供するのであって、訳のわからない、訳のわからないと 言うか定義がはっきりしていませんが、社会に提供するというような意識は、啓蒙する ためにという話は横に置いておきまして、やはりあまりないのではないかと思えて、こ の6番目の文言のターゲットはどこにあるかによりますけれども、あまり社会に臓器を 提供するという意識は日本ではあまりないのではないかという気がいたします。  柴田委員  この基本原則、前の原案と意味を変えたのはここだけなのですよね。後は言葉上の問 題であれなのですけれども、ここは明らかに意味を変えたのですけれども、この意味に 変えた場合、例えばこういうことは例えば提供者が自分の近親者にあげてくれというよ うな形の指定というのですか、そういうことはできるという判断の下に変えられたのか どうか、ちょっとそこのところをむしろお聞きしたいのですけれども。  山本補佐  そういうことでございません。逆に非常に明確に書けることにスペシフィックに書こ うと思ったら、確かに広い概念、ちょっと表現的には曖昧だったかもしれませんが、そ の概念が欠落したということについては、実は冒頭、座長からもお話をいただいており ましたので、その概念がいらないとか、いるとかという議論で、敢えて落としたという ことではないと思います。  野本委員長  そこのところ、一番大変なのですよ。実際、皆、世の中のためにと言っているけれど も、麦谷課長が言われたように本当は知らないけれども、病気の子どもたちの誰かが救 われたいと、こう思うわけですよね。そこのところをどんな形で表現するかと。それは 上手に表現しなければいけない。組織だって当然、誰かが救われるために提供したいと いうことですけれども、そこの表現がうまくやらなければいけない。  柴田委員  誰かを救うためであるというのはもうはっきりわかっていると思うのですよね。今、 社会の方がそこまで十分理解はいっていると思うのですけれども。社会の。今の逆にそ こを明確にしないことによって、さっき前、いわゆる近親者とか、名指しを許すのかど うかとかという問題に発展してくるわけですよ。必ずこの問題は。  だから、むしろそれは私は元の文章を、しかももっとすっきりさせて、ヒト組織の提 供は言わば社会に対して行われるものであり、提供後に所有権、その他の権利を行使す ることはできないというぐらいな、はっきりした言葉にすべきだと。原則というのはま たそういう明確にしない限り、原則の価値がないというふうに私は思うのですけれども ね。  鎌田委員  よろしいですか。まだ、考えがまとまっていませんので、次回までにしっかり考えた いと思うのですけれども、この中で今までの議論の中でいろいろなことが多分、混ざっ て議論されているような気がするのですね。  ひとつは、所有権でありますとか、あるいは知的所有権の問題も場合によって非常に 大きな問題になります。それはまさに法律上の権利の問題で、それがどうなるかという 点と、社会に対して行われるというのは、これは全然、法律的表現ではないので、むし ろ一般的、象徴的な意味しかないのだろうと思うのですね。  ただ、社会に対して行われるということの意味がどういうことなのか、読む人によっ ていろいろな意味で読んでおられるようなのですが、ひとつは要するに誰だかわからな い、不特定の人たちにそういう意味で広く社会的な貢献という形で行うものですよとい う趣旨はあるのだと思うのですけれども、その裏に提供した以上はあなたの権利はなく なりますと、こっちの方を強調したいのか、あるいは社会一般に向けての行為であると いうことを強調したいのか、これはちょっと読み手によって少しずつ違っているような 印象を受けました。  ただ、社会に対して行われるという表現は、私はそれはそれとして法律的にはあまり 意味がないと思いますけれども、社会的には意味があると言いますか、それは提供者に 対してあなたの権利はもうなくなったのですということを言うこと以上に、やはりバン クがもうやはり社会に対して提供されたものをその趣旨に合ったようにしなければいけ ないという、そういう責任が多分、出てくるのだろうというふうに思います。  それに関連して少し特定の人に提供してもいいと。これは一般的にはいいはずなので すね。私の組織を誰それに移植してくださいというのは。ただ、それがバンクに提供す るというのはそういう特定人のためのものとは趣旨が違うのですよということはどこか で言わなければいけなくて、それがここで言う社会に対してというのは、それも読み込 まれているのかどうかというのがひとつ問題です。  権利がなくなるというふうにおっしゃいますけれども、権利というのもいろいろな権 利があるわけで、所有権はいったいどうなるかというのも、これも委員長がおっしゃら れたように斡旋だったら所有権は残っているのですね。そうじゃなくて所有権なくなる というのはバンクが所有者になりますということで、社会が所有者ですということはま ずあり得ないということで、その辺のところは概念としていったいどういう理解をして いるのかはどこかで明確にした方がいいように思います。  松村先生がおっしゃられたのはそういう所有権とは別にまた人格権的なものというの があって、これまで全部なくなるのですよということを言おうとしているのだったら、 それは問題だというご趣旨だと思うので、そのことは確かにおっしゃるとおりのこと で、供養したいというのも、だから返せというとちょっと問題なのだけれども、そうじ ゃなくてただ供養したいというのは多分、あまり法律問題でも何でもないというふう な、それはもうそういうことを認めてやるかどうかという言わば人道的見地からどう対 応するかということで対応できればいいので、この中ではそういういろいろな問題が全 部含まれているので、何を一番ここで原則として強調すべきなのかということがちょっ と法律家的な議論の仕方かもしれませんけれども、どこが一番強調したいことなのかが 焦点絞られた方が議論が整理しやすいのではないかなというふうに思いました。  野本委員長  鎌田委員、私の基本的な考え方は、いつかどこかでヒト材料の基本的な考え方、むし ろどっちかと言うとバイオマテリアル基本法であるとか、バイオインダストリー基本法 であるというものをきちんと作らなければ、これは動かないと見ているのですね。  これはそのときに初めて新しい概念としての、例えば誰のところに、社会とは何かと いうようながっちりとした、僕はこのままそこを不安定なまま作りますと必ず混乱す る。それに対しては次のステップに委ねたいと。  とにかくこれは皆が動き始めて、もう今にも動く、そして実際に病気の人たちが今に も、今も、今日も欲しがっていると。それにきちんと対応しようということなので、そ れで先生方に無理を言いましてたった3か月でガイドラインを作ることを事務局も覚悟 してやりますというので引き受けたのですけれども、次の段階には私は必ずそういう基 本法的なものを作ってもらなわければいけないと。これはしかし、省庁間の話まで含む 話で、単純なことで言うけれども、今のような議論は基本法に含まれる議論が大部分だ ろうという気持ちで私は今日、今のこの会の委員会のお世話をしているのですが。  それでもできたら今度のガイドラインの中にも流れはあってほしい。その流れはあっ てほしい。後できちんとしたバイオマテリアル基本法を国会で作ってもらったら、我々 が作ったガイドラインの方が役に立たないというようなことになると、これはもう愚か な話ですので、その未来を一歩見ながらこのガイドラインというのはある割合、数年間 のショートタームをカバーするガイドラインというふうに私は考えてやっておるのです が。  事務局の判断でもそんなところなのでしょう。どうでしょうか。麦谷課長。そんなに 長くやるものではないような気が。ここのところはどうでしょうか。だいたい議論、尽 くしましたら、また練って、今回のように何度も何度も先生方と行き来をして、そして 意見を調整し、次のこの委員会でまた議論をすると。では、はい、どうぞ。  柴田委員  いいですか。委員長の今の考え方、何か、私、思うのですけれども、臓器移植法の考 え方よりももう一歩、後退するという、なぜ、それが今、社会に定着しかかっていると きに、新しく、その後にできるガイドラインの方が後退する理由は私にはどうしてもわ からないのですけれども。  野本委員長  それは実を言いますと、社会に帰属するという文章を書いたのは私でございまして、 それがこてんぱんに皆にやられまして、では、移行する形を取らざるを得ないかなと。 私はご存じのように臓器移植法案、袋叩きにあった本人ですから、あのときの流れから いくと次は、そのときの基本概念がやはり社会に帰属するというので国会も納得してく れたのですね。  あのフェア、ベスト、オープンという言葉とは基本的にはフェア、ベスト、オープン というのはこの問題は社会の問題ですと。提供してくださる臓器も社会全体が受け取っ て、そして命を救える人に回しましょうと。しかし、社会ではわかりませんから、国会 からの要請で臓器移植ネットワークを立ち上げたと。だから、臓器移植ネットワークと いうのは実際、社会を代行するので、したがって国会もちょっとでもネットワークに不 明瞭なことがあると弱みがあるとかというのは困るというのはきつく私はいつも言われ ているのですが、そういうことからいったのですが、やはりはっきり僕が心臓とか肝臓 とか、そういう感覚の方がわかりやすかったと見えて、そのときは社会ということに対 して今でも皆さん、納得してくれているのですが、組織、細胞になるとちょっと国民全 般の捉え方が曖昧なところがあるようなのですね。  むしろ評論家の方々とかもそれはオウガンまで社会に帰属すると言ったってわかるけ れども、組織や細胞までですかと。組織や細胞がどこが違うのか私にもよくわからない のですけれども、そういう議論にここしばらく立たされている。  おっしゃるとおりで、そこはこの委員会、終わるまでにすっきりした形で私はまとめ ていっていただきたいと思います。私の考え方は臓器移植法のあのときよりもっとすっ きりしなければいけない。なぜかと言うと、これは研究とか開発にまでやがてつながっ ていくのが、この組織・細胞の問題なのです。だから、固定した臓器というのは割合、 もうはっきり医療目的に絞られていますから、それほど、いろいろな問題は起きないの ですけれども、組織の場合はいろいろな未来がある、問題があるので、我々のこのガイ ドラインは明確にしておくべきだと、私も考えています。  ぜひ、議論の末、そっちにいけば私はありがたいと思うのですが、委員長としては私 の考えだから社会にしてくれなんて言う立場ではありませんので、ふにゃふにゃとした ことを言っておるわけであります。  北村委員  やはり、ぜひ、前向きで目的は進めるためで、実際、そういった場合のドナー側がこ れほど、詳細にインフォームド・コンセントを取る状況を規定し、強制してはならな い、撤回してもよろしいということを繰り返し、繰り返し述べてきて、その上で熟考の 上、サインいただいたものを数か月後にはやはり返せと言われたときに我々はどういう 態度を取って、これはもういただいて研究等に転用させていただいて、すると説明する のか、いや、まだあなた様の権限もある、残っておりますからお返し申し上げるという 態度を我々は取るのか。実際、問題もあるわけで、ここで何らかのガイドラインを示し ていかなければ、専門委員会としてのあまり意味、他は皆、決まりきったようなことで すので、ぜひとも、これをやっていただきたいなと。  それで先生が最初に野本委員長が言われたように、社会という言葉を今、法律の先生 からちょっとわかりにくさがあると思うのですけれども、やはりそれに基づいてあなた のインフォームド・コンセントを尊重すればするほど、それは今、返せ、あるいは我々 は返すべきか悩むものではなくて、研究用に使わせていただきたいというようなことで 説明をもう一度、患者さんにする権限というか、権利というか、を残していただいて、 言われたら現在ではほとんどびっくり仰天して、直ちに送り返しますというような形で 焼却して返しましょうか、そのままで返しますかと、そんなことが現場でやりとりされ ているわけですよ。だから、そこをやはり示していただきたいと私は思うのですけれど もね。  野本委員長  いろいろな方向があり、いろいろな問題があり、そして未来の姿があるのですけれど も、結局、将来、あるべき姿と大きく食い違わないような第一歩を私はこのガイドライ ンで踏み出したいなと。しかし、それが現代の多くの一般市民の感覚とすりあわないと ころはいろいろな形で説明を加えて理解をしてもらうと。できあがったものはオープン にして社会の意見もいただくというプロセスを踏むことになっておりますので、ここの ところ、他に何かありますか。原則のところ。はい、どうぞ。  鎌田委員  さきほど妙なことを申し上げましたけれども、私は原案でどちらかと言うといいので はないかというふうには思っているのです。というのは、言わば社会に対して行われる ものでありというのはあまり法律的な議論のレベルで考える必要はなくて、それは基本 的なものの考え方。もうひとつは、どうなった場合、どういった、主として財産的関係 で権利を持つかという問題。それを受け取った、あるいはお預かりしているバンクはど ういうことに注意してそれを処理しなければいけないかと。こういう3つの違う問題で 原案はそれを3つに分けて書かれているわけですね。そういう書き方であればいいし、 それぞれの部分をそういうものとして読めばいいというふうに私は思っているのです。  今のこれはむしろはっきり財産上の権利はどうなるかという法律問題だけに焦点絞っ ておられるわけで、原案とこれとではちょっとものの見方で違うわけで、私、申し上げ たのはそういう議論するときにそれぞれを分けて議論を整理した方がいいということを 申し上げました。  野本委員長  わかります。したがって、社会云々というのは法的な規制を伴うようにするのは私は 基本法を作らなければできないと、そんなふうに考えておりますし、各省庁のリーダー にも既に提言しております。これが終わったらじっくりそこのところを考えてくれと。 よろしゅうございますか。はい、どうぞ。  松村委員  追加させていただきます。今、さっき、麦谷さんの言われたご意見はこの間、11月の サクラさんと先生との非常に共通しているのですね。僕はそれをちょっと自分なりに理 解してみますと、今、主人が亡くなった、奥さんが残りました。その奥さんが本人もそ ういう遺書があって、この組織移植等に提供しようと。そのときに例えばこういう対象 の人がいる。こういうはっきりしていたら、その残りの遺族や何かにちゃんと説明がで きるでしょう。 ですけれども、それは社会だということになりますと、どこの馬の骨にと言ってはあれ ですけれども、奥さんは非常に日本では弱い立場ですから、遺族や何か残りの人から主 人の体を遺体を傷つけられるということについては反対もあるでしょう。その中でそれ をとにかく主人の遺言なり、意思を全うするためには提供する相手がそういうはっきり デボーションがあるとはっきりしないといけない。そういう状況の中で今のように日本 の中でやはりそれが近い関係のものであるとか、はっきりした対象があるときにはそれ は認めるのだけれども、社会というふうな漠然とした対象に対しては非常に提供しにく いという、そういう背景があり得る。  しかし、野本先生の考えはもっと社会というものの持っている非常にはっきりしたイ メージ、持っていらっしゃるのですけれども、一般の日本人の置かれた生活の環境とい うのは必ずしもそんな環境ではない。その中で例えばタイトルにあるように、あなたは 提供してもらったら権利はありませんよというふうなことは非常に逆撫でするあれなの ですね。そうではなくて、だから、その人たちにとって知的所有権なんかあまり問題で はないと僕は思うのです。そうではなくて名誉ある取り扱いがきっちりされるという、 それが非常に大切な、それは奥さんの立場が守られる、それが非常に大切なことなので はないかというふうに僕は思うのですけれども。それでも将来、それがさらに進んでそ れが社会という言葉でいずれは代表されるようになっていくのかなという感じがするの ですが。  野本委員長  だから、今は誰と、どなたと議論しても流れは共通しているのですよ。だから、今の 段階の認識が多少違うのですね。そこで今や、思い切ってした方がいいのだと、いや、 もうちょっと待った方がいいのだと、いろいろあるのですけれども、ここの議論、最終 的に3月の末のときにはきちっと明示をさせていただくと。  今の議論を捉えてここの項目、うまい文章にして先生方にチェックをしてもらって、 しかし、山本さんの最初の文章は非常に好評であったというのもしてやってください。 では、次、いきましょう。組織の提供。  山本補佐  はい。3、組織の採取です。  野本委員長  まだ、何かございますか。  柴田委員  ちょっと言いかけた、そこの問題で。いいですか。  野本委員長  どうぞ。  柴田委員  前、6つだったのが今度、7つになってますよね。この理由は1と2を分けたという ことだと思うのですね。つまり、任意性の確保というのと意思の尊重というのを分けら れたわけですね。私、この理由がちょっとわからないのと、ここはひとつでいいのでは ないかと。つまり、本人意思の尊重ということに尽きるのではないかというふうに私は 思うので、これは参考意見で結構です。次のときで結構ですから。  私はそこのところはむしろヒト組織に当たっては本人(又は死後の提供である場合に は遺族)の自由意思を尊重し、いかなる圧力もかけてはならないということでいいと思 うのですね。そういうふうに本人意思とそれに対して圧力をかけてはいけないのだとい うことを明確にすれば1と2というのはひとつでいいし、原則というのはこういうふう に明確にした方がより良いというふうに思うものですから、なぜ、この7つにわざわざ されたのかが、もし理由があればご説明いただきたいと思います。  阿萬補佐  申し訳ございません。先生、その(2)の組織の提供に係る意思の尊重というのを設 けましたのは、もうひとつ意味がございまして、まさに(1)ともう少し分離するとい う観点もございますけれども、あとひとつ、事務局の方で可能性があるかなと思って考 えておりましたのが、さきほどの松村先生からご指摘がございました(6)の、そうい う扱いを提供された組織についてちゃんとバンクなどで扱いをしなければいけないとい うところを、例えば(2)に提供者の提供に係る意思の尊重という中できちんと書き込 めるかなというのもございまして、これをひとつ。  野本委員長  ご本人から提供される、このプロセスが1で、提供されたものからこっちへ渡してい くまでが2と、2つの段階に分けて書いたわけだな。両方ともちゃんと尊重されなけれ ばいけないと、そういう気持ちだな。  阿萬補佐  そういうのも入っておりましたので。  野本委員長  違うの。文章、書いてる内容はそうだと思うけれどもね。  北村委員  ただし書きが入ってきたのでしょう。こっちに。  山本補佐  そうです。まさにおっしゃるとおりで、それから提供してくださった方が移植にしか 使ってほしくないと言った場合と、移植にも研究にも使ってほしいといった条件設定が なされるという文脈の中で、そういうことも含めて提供してくださった方の意思を尊 重。おっしゃるとおり、ただし書きに入ったものをここにポンと分けたということでご ざいます。  柴田委員  また、意見、繰り返しですけれども、私は基本原則というものはもの凄く明快でない といけないと。非常に文章的にも短く、かつ明快でないと、それは多少、だから、禁止 的な響きがあっても私は明快に書いた方がいいと思うのですね。  今、これ2つに分けることはちっとも何かよりわかりやすくなることではなくて、む しろ不明確にさせるだけだというのが私の意見です。これは後の最後のところで。  野本委員長  柴田委員のお考えはすべてのプロセスが意思が尊重しなければいけないと。事務局サ イドとしてはここまでとここからと分けて1と2にした形。いろいろ気持ちはあるかも しれないけれども、形はそうなっている。これを検討してください。  山本補佐  はい。  野本委員長  よろしゅうございますか。3へ移ります。  山本補佐  3、組織の採取。これもいくつかの意見をいただきましたので、全体を読ませていた だきます。  (1)組織の提供に係るインフォームド・コンセント。  1)組織の提供に係る説明に当たっては、組織を提供することに関するドナー側の同 意の任意性に配慮し、説明を聞くこと及び提供に係る同意を強要するような言動があっ てはならず、説明の途中でドナー側が説明の継続を拒んだ場合は、その意思を尊重する こと。また、特に死後の提供の場合には、遺族のおかれている状況にかんがみ、その心 情に配慮しつつ説明を行うこと。  また、説明に当たっては同意の拒否及び撤回の権利があり、拒否又は撤回することに より当該者が不利益な扱いを受けないことを明らかにすること。  2)生体からの提供の場合、ドナーが未成年のときは、本人のその親権者に対して説 明の上、当該親権者が書面により同意すること。また、その他客観的に判断してドナー 本人が同意能力を欠くと思われる場合には、代諾を行うことが可能である者に対して説 明の上、当該代諾者が書面により同意すること。  なお、上記の場合においても、可能な限り、ドナー本人に説明を行い、ドナー本人も 同意していることが望ましい。また、15歳以上と明記するかどうかは別にしまして、ド ナー本人が組織提供を拒否している場合には、親権者等の代諾者の同意があったとして も採取を行わないこと。  3)移植等を目的とした組織の採取に当たっては、十分な説明を行った上で、当該組 織の提供について本人又は遺族が書面により同意すること。具体的には下記の内容につ いて説明し、その内容を含んだ書面を説明後にドナー側に交付すること。  1、ヒト組織の提供の手続、採取の方法、提供後のドナーの状態等  2、提供されるヒト組織の利用の範囲・目的(移植・研究等)  3、移植に用いられなかった場合のヒト組織の保存・処分  4、同意書の書式例ということで、別添資料の方に同意書の書式例が書いてございま す。  4)上記のドナー側に対する説明は、説明に係る中立性を求める観点から、組織バン クに所属するコーディネーター等が説明を行うことが望ましいが、医師が説明を行う際 には第三者(看護婦等)が立ち会うこと。また、それらの対応が可能であることをド ナー側に伝えること。  (2)組織の採取手続。  1)移植を目的とした組織の採取については、原則として、下記の条件が充たされた 場合に許容されるものであること。  1、ドナー本人(生体からの提供の場合。未成年者等の場合には代諾者が同意する。 以下同じ。)又はドナーの遺族(死後の提供の場合)が同意していること。なお、ここ のところでまた同じ問題提起なのですが、死後の提供の場合には15歳以上であったド ナー本人が生前に組織の提供を拒否していたときには当該組織を採取してはならない。  2、当該採取行為が(特に生体からの提供の場合にドナーに対する安全性が確保され ていること等により)医療的見地から見て適切なものであること。  3、当該採取行為が(死体に対する礼意が保存されていること等により)社会的見地 から相当と認められること。  2)ヒト組織採取は医師が行い、採取に当たっては、礼意を失わないように特に注意 すること。  3)ヒト組織の採取に当たっては、無菌条件下で行い、採取の過程における微生物等 の汚染を防ぐこと。  次の(3)です。ドナー適応基準等。  1)ヒト組織の採取に当たっては、採取される組織の種類に応じて、医科の疾患又は 状態のうち全部又は一部にドナーが該当する場合には採取された組織の移植への利用は 行わないこと。また、以下の疾患又は状態の確認は、ドナーに対する問診、診療録の確 認又は血清学的・細菌学的検査により行い、病理(解剖)所見がある場合にはその成績 も参考とすることということで、前回、最初にお配りした案でこのドナー適応基準だけ 特出ししていたのですけれども、それは採取の中に含まれるものではないかということ で中に含めております。  1から8につきましてはいくつかの組織バンクが作られた基準、臓器移植に係る基 準、その他を参考しまして全身性の感染症、悪性腫瘍、梅反、その他のウイルス検査、 ヤコブ、自己免疫疾患、原因不明の死、その他、代謝疾患等が入っております。  これについては各バンクの方々に自分のバンクではこれは該当しないとか、かなりデ コボコがあって、ちょっと精査が必要な項目かと存じます。  2)血清学的・細菌学的検査の方法については、その時点で最も適切とされる方法を 採用すること。なお、検査項目及び検査方法については感染症に関する新たな知見及び 学問・技術の進歩にかんがみ随時見直しを行うこと。  (4)その他。  1)組織バンクは、組織の提供を受けること若しくは受けたことの対価としてドナー 側に財産上の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。  ただし、対価には交通、通信、提供を行うことについてかかった機会費用等であっ て、組織を提供することに関してそれぞれの事例において通常必要であると認められる ものは含まれないかということでございます。  2)組織バンク及び組織の採取が行われる医療機関においては、ドナーの住所、氏名 等のドナー側を特定するか又はドナー側が知られることを望まない情報が漏洩すること などがあってはならない。この住所・氏名等を入れるかどうかと、さきほどの議論と同 じでございます。  3)ヒト組織採取を行う際の適切性を担保するための体制を整備すること。特に、1 としまして、組織の採取が行われる医療機関においては、院内の倫理委員会等(個々の 施設において倫理的な検討を行い、当該施設としての方針を決定する会合)において当 該採取の手続・方法について事前に承認されているなど、ヒト組織採取について協力を 行う体制が確立されていること。  この辺の整理が悪いのですが、2、各組織バンクにおいて、採取を行った場合に、そ の手続等についてフォローアップを行う体制が整っていること。採取に係わって出され た項目は以上でございます。  野本委員長  ここのところ実際に今まで現場をやっている先生方からお聞きしたいのですが、これ では困るとか、技術論的なところで問題ございませんか。これはちょっと医者辞めて長 い私にはちょっと荷が重すぎまして。  島崎委員  よろしいですか。これは元々は脳死体からのあれは最初のがありましたよね。それな くなったのですか。脳死体はどういう扱いになりますか。最初のやつは基本的な目的の (4)に脳死体も含むと書いているのですよね。上記を規定する死体には臓器移植に法 律、要するに法律の規定する脳死した者の身体を含むものとする。その文章がなくなっ たのでしたっけ。  阿萬補佐  今日、お渡ししました11頁のところで定義につきましてはいろいろなところに定義が いろいろあると見づらいということで、定義関係は全部後ろについております。  島崎委員  これ、では含まれるのですね。  阿萬補佐  はい。  島崎委員  そうすると死体、生体からの提供ではないですよね。生体からの提供以外は脳死体も 死体になるわけですよね。  山本補佐  そうです。  島崎委員  その場合は本人の意思表示がなくても親権者の同意でいけるわけ。組織はそれいける の。そういうことになりますよね。  山本補佐  なります。  島崎委員  脳死体からの組織。  北村委員  臓器提供があった後の組織提供。  島崎委員  いやいや、臓器提供を意思表示カードがない場合です。脳死体を除く死体は本人の意 思表示がなくても親権者の承諾でいけますよね。  山本補佐  そうですね。  島崎委員  意思表示カードのない脳死体からは本人の同意がなくても親権者だけの同意で組織は 採れるのですか。  山本補佐  意思表示がない脳死体はないということになるのですよね。  島崎委員  いやいや、脳死体は臓器移植法と関係ない脳死体は山ほどありますよ。  山本補佐  そうです。そうです。  野本委員長  脳死した後です。  島崎委員  脳死患者。  野本委員長  脳死患者。  島崎委員  臓器移植に関係のない脳死患者。法律で言うところの脳死体ではなしに。  野本委員長  法律ではまだ、今のところ、死んだことになっていないのですよ。  島崎委員  そうか。  山本補佐  そうです。  島崎委員  それは普通の死体なのだ。  野本委員長  そうです。  島崎委員  ああ、わかりました。  野本委員長  おわかりでしょうか。だから、今のところは脳死の状態では意思表示カードがあって 臓器提供しますという人だけ法的にきちんと脳死。  島崎委員  それはいいのですね。  北村委員  だから、その方が次に心臓が止まってしまった後、家族の了解を得て採ることは可能 です。ただ、そのとき、カード持っておられない方でしょう。  島崎委員  そうそう。いや、だから、ビーティングハートの法律にない脳死から採ってもいいと いうことだね。家族の承諾。  山本補佐  心臓止まってから。先生、カードの同意があって法的に脳死判定をやった人だけが法 的に死亡。  島崎委員  死体にはなってないのですかね。いやいや、死体にはなっていないとないですよ。死 体ではないとは書いてないですよ。  山本補佐  脳死体が死体であるのはこうであるという限定されていますから、そうでないと脳死 体ではないのです。それがいつも救急の現場で先生方、いつもおっしゃるのですが、た だ、実際には脳死、法的に死とされる脳死という意思表示カードがあって、法的な手続 を取って脳死と判定されたものが法的に死になる脳死体で。  島崎委員  つまり、まだどちらとも決めてないから。  山本補佐  法的に死ではないのです。  島崎委員  決まってからでないと駄目ですよということですね。  山本補佐  そうです。  島崎委員  わかりました。  野本委員長  そこで触らなかったのですね。臓器移植法のプロセス、そこにまで踏み込むと野本さ ん、法律は通らないぞという話だったのです。もうこれは十分難しいのは承知で第一歩 を踏み出したということですのでご理解ください。  島崎委員  もうひとつよろしいですか。5頁のドナーの適応基準の(3)の適応基準等の中に、 例えばこれ問診で感染症の非常に可能性の高いものはAATBでは省かれているのです よね。例えば6か月以内の同性、あるいは異性との性交の頻度が非常に高い患者とか、 そういうのは省かれているのですが、それは入れなくていいのかなと。感染の危険性が ハイリスクの患者。  山本補佐  実はこれ書いたときには各先生方のバンクの安全基準とインターナショナルな基準を 若干、篠崎委員からいただきまして、あと臓器移植法と見て、最大公約数的なことを書 きましたので、今、島崎先生がおっしゃった問診の方での、俗に言うハイリスクグルー プと言われるような問題を加味しているバンクの方が少なかったものですから、ちょっ とここの中では落ちております。  北村委員  例えばウイルス感染症のウィンドウピオリオドという問題があって、今、血液バンク の方が、日本の血液銀行の方が決めていますね。問診で非常にそういうチャンスの高い 既往のあった可能性のある人。例えば東南アジアでそういう複数の人たちとそういうこ とがあったというようなこと、もし、言ってくれるかどうか、その辺は難しいですけれ ども、そのときの採血ではHIVはポジティブに出ないウィンドウピオリオドがあっ て、どのくらいの危険性があるかという論文もJMAに出ていますけれども、極めて低 いですけれどもあるわけですよね。日本の血液銀行は採血しないとか、それに準じたら いいのだと思いますけれどもね。  島崎委員  細かいことは別にして、例えば問診で感染の危険性が非常に高い。いろいろハイリス クがある患者というのは一応、入れておいた方が何かあったときには安心かなと。  山本補佐  今、島崎先生がおっしゃったようにバクと入れるやり方もありますし、今のHIVの 問題はかなり限定的にセクシャルオリエンテーションだとか、いろいろな問題が出てき ているのがあります。  もう1点はヤコブ対策として6か月以上、イギリスに滞在して云々かんぬんという話 がまた一方であったりします。また、もうひとつ問題提起で必ず出てくるのは血液製剤 もナット検査が入ってくるといったときに、拡散増幅検査でやるのか、通常の血清抗原 抗体検査でやるのかというような議論もあって、そうは言ってもインターナショナル的 に臓器組織移植では今、すぐナットを全部やるというのはちょっとあまりないので、こ の範囲で書かせていただきましたので、そこはヤコブに対する問診等もかなり詳しいと ころは、そうでないところがあるので、多分、それはドナーに対する主には亡くなられ た方からいただく場合に問診がどこまでできる、尽くせるかというところにも現実問題 として出てくる。献血の場合はお元気な方がいらっしゃって提供してくださるわけです が、そこもあって何となくこんな問題なのですが。  野本委員長  ドナー適応の1から8の問題に関しては実際に今後も常設の委員会を作って検討し続 けながらいい方に持っていかなければいけない。仕方がないのではないでしょうか。臓 器移植の方はそうしています。常に新しい問題が出てくるものですから、対応しなけれ ばどうしようもないと。だから、非常に大きな骨格にしておいて、そういうのは常設の 委員会を僕が世話するかは別として、作って検討し続けると。これは続けざるを得ない のですね。やってみますと。だから、そういうように少し考えさせていただいたらどう でしょうか。  篠崎委員  項目として例えばHIVにしてもこれからまた新規のウイルスもあるでしょうから、 多分、やり方としては最大限の医学水準を加味して社会学的なところもバックグラウン ドも踏まえたドナー適応をベストを尽くすというようなことをガイドラインの中にうた うことが非常に重要だと思うのですが、あまり細かいことを書きますと実際、アイバン クの方もずっとやっているのですが、毎年、書き換えないとウィンドウが今度、3か月 が2週間になりましたとか言うと、その度に日本中のアイバンクの定款を書き換えると いう作業をやるのはちょっと不可能なので、できればもうちょっとざくっとしたところ で骨子を決めておくと。最高の医学水準に基づいた、あるいは背景まで見るというよう なことであまり具体的なのは逆にやりにくい、改正をしにくいというようなこともあり ます。  例えばヤコブの何か新しい抗体でも見つかったというとおしまいに血清学的に入っち ゃうわけですから、問診が必要なくなるというようなことになれば、即、それに対応し なければいけない。逆に遅れるということがあるといけないわけですから。  野本委員長  こういう問題は実行し始めたらやはりルールをチェックしていったりする委員会を政 府は作ってくれると思うので、それをしないとやれませんのでね。  早川委員  よろしいですか。今のことにちょっと関連するのですけれども、ここの一応、血清学 的というのと細菌学的というのが具体的になっておりまして、2)の血清学的・細菌学 的検査の方法についてはその時点で最もと。このまま読みますとこれはもう今の時点で の細菌学的・血清学的ということですよね。  さきほどおっしゃったナット法であるとか、そういうものについてはその次のところ で読むのだろうなと。例えば検査項目、つまり検査項目自体が変わっていくわけです ね。検査方法、変わっていくわけですね。 もうひとつは随時、見直しを行うことと。 その随時見直しを行うことというのは誰がやるのか。そこのフォローアップ体制という か、そこは少し明確にしておいた方がきっといいのだろうなと。  野本委員長  いいのでしょうね。臓器移植の方は臓器移植ネットワークがやって、今、移植検査委 員会が常置、四苦八苦しながら動いている、変えていっているのですけれども、それは 文章化した方がいいのですか。それともそれはもう文章になって、そこらあたりは事務 局で考えてください。事務局、担当のことだろうと思います。  ここのところの項目、よろしゅうございますか。よろしければ。どうぞ。  島崎委員  よろしいですか。6頁の3)の1の倫理委員会が当該採取の手続・方法等について事 前に承認しているということなのですけれども、これは倫理委員会はこれを行うことの 倫理的妥当性だけが承認されていればいいので、例えば採取方法はかなり施設によって も異なってくる場合があるのですよ。そうするとそれが違う施設のものを入れたときに うちではそのやり方でやっていないというようなことで問題が起こってくると思うので 基本的には倫理的な問題さえクリアできていればいいと思うのです。  山本補佐  その辺がちょっと整理できてないので、この括弧の四角括弧、丸括弧がごちゃごちゃ しているのですけれども、また、併せて今、ヒト組織採取について協力を行う体制のた めの倫理委員会なのか、倫理的な妥当性の判定をしているということなのかが、ちょっ と混乱してごちゃごちゃに入っていますので、今の先生のご発言ですとそのバンクが置 いてある医療機関等において、そのバンク事業を行うということについての倫理的な妥 当性が担保されるまでの倫理委員会というご発言ですね。  野本委員長  そうですね。それでいいのではないかと思います。  鎌田委員  若干、細かいことなのですけれども、3頁の下の生体提供の場合の代諾で、これむし ろ表現方法の問題なのですけれども、代諾に関しては例えばGCPなんかは非常に誰が 代諾検査であるか、非常に喧しい議論をしたところでありまして、生体提供の場合に客 観的に同意能力を欠くと思われる場合には代諾を行うことは可能であるというと、何か 非常にお手軽にやるような印象が読みようによってはありますので、どういうふうに書 けばいいかこちらの方でも考えますけれども、少しもうちょっと慎重な表現にした方が よろしいかなというふうに思ったのが1点でございます。  5頁の対価のところですけれども、提供を行うことについてかかった機会費用という のは具体的にはどういうものが想定されているのでしょうか。5頁の一番下。これは時 間に対する対価まで払うと、やはり従来の血液の有償か無償かでいけば、もう明らかに 有償の分類に入ってくるので、ここまでやってもいいということを積極的に書くことが どうなのかということはちょっとさらに検討の必要があると思います。  山本補佐  大きな四角で囲ったのはご議論いただきたいということだったものですから、鎌田委 員が言ってくれるだろうと思っていましたので、ここは考えられることを取り合えず列 挙をしたので、それは積極的に書きたいという印では全然ございません。  野本委員長  鎌田委員、ありがとうございますでいいのだな。  北村委員  4頁の4)のところ、実際、この組織バンクに所属するコーディネーター等と書いて あるのですけれども、臓器移植ネットワークのコーディネーターが現状、一番やってい る現状があるのですけれども、この死体というのに脳死組織、脳死と心臓死と両方含ま れているとなると。  野本委員長  等を前に持っていたらどう。組織バンク等に所属するコーディネーターがと。  北村委員  もちろん施設のコーディネーターのような人を持っているところもあるし、角膜に関 してはそういうコーディネーターを篠崎先生もやっておられますが、実際、臓器移植の ネットワークのコーディネーターが説明しているのもあるので、入れた方がよければ入 れていただいて。  野本委員長  入れておいた方が。はい。  山本補佐  臓器移植ネットワークのコーディネーターがやっている地域とかなり独自のブロック によってかなり違うのだと思うのです。それで今、臓器移植ネットワークのコーディ ネーターとしてはどちらかというとサービスオプショナルな位置づけでやっていて、本 来の位置づけでは違うので、等の位置づけを変えるというのもひとつなのですが、方向 性としては各組織バンクにもコーディネーターなり、しかるべき人たちがいて、連携で きるところは連携していくということ、組織の提供者の方が脳死からの臓器提供、心停 止の臓器提供よりもパイがでかいのではないかというインターナショナルなモデルに基 づいた理念も一方で出していただいたのでごにょごにょとしていると。  野本委員長  はい。どうぞ。  早川委員  さきほどの島崎先生のことと関連するのですけれども、倫理委員会が倫理的なことだ けを議論するというのが、では科学的な採取に当たっての科学的なところはどこがやる のだという話になりますので、本来は背中合わせ、セットで、細かいプロシディアに関 しては妥当な方法はそれぞれの医療機関毎にきっとあるのだろうと思うのですが、そこ が共通化しないといけないということではなくて、しかしながら、その科学的には妥当 であるということをやはりどこかで認知するというか、認めるところは必要だと思いま すので、ここの倫理委員会というのはもしかしてやはり倫理的、科学的妥当性を併せて 審議するというか、やるところであるべきではないかと私は思います。  野本委員長  私はヒューマンサイエンスがやるような研究が主にシステムでは、そういう技術的な 意味の判断をする常置委員会がなければやっていけないと判断をしているのです。  こちらの方はどうかと。同じものが必要かというのをよく考えていきたいと。今の件 もちょっと議論、また考えてやりましょう。どうぞ。  島崎委員  よろしいですか。今のお話なのですけれども、早川先生の話で、実際、スキンなんか はそういうのが公的あれがないので、学会で一応、担保しています。技術的には。技術 的にはこういうことで担保したということが、例えば各施設の倫理委員会に上がれば、 それはそれでいいと思うのですよね。  早川委員  もちろんそれで結構だと思います。そこで一応、科学的な妥当性を審議したというこ と。  島崎委員  だから、本当は今、言ったかなり現場での技術的な問題等を含める、我々、学会でや っていますけれども、それが学会、これとはちょっと違うでしょうけれども、そういう ものが学会での担保でいいのかどうか。いろいろな、では骨は整形外科学会か、では心 臓弁は循環器で担保するのか、その辺のところの技術的な担保と言いますか、このやり 方でスタンダードでやればいいのだというお墨付きというか、それはどうすればいいの ですか。勝手にやってくださいですかね。  野本委員長  これは私はむしろ直接、医療目的のこのガイドラインはまだ楽なのだけれども、研究 の方にいったらそこが一番の気になるところ、心配しているのです。それはむしろ技術 と倫理を含めた対応委員会があって動かなければできないだろうと。そちらの方です ね。こちらの方は割合、直接、流れがはっきりしていますから、我々の主体の流れは直 接、乃至はちょっとだけモリファイトというのに限定されて考えている範囲内では、技 術論もきちんとしたルールができればそれに従えばいいのではないかと思うのですけれ どもね。そこあたりどうしますか。  島崎委員  各論的なものはもちろんそれぞれやるのですけれども、それ全体を持ち寄って、我 々、研究会みたいなものではやっているのですけれども、ですけれども、それはあくま でも研究会も学会も含めて単に私的な集団ですから、それが決めたものでそれぞれが倫 理委員会にしても、あるいはこういう委員会でもそれでいいのかという話になるので、 本当は例えば厚生省なりがそういうのをひっくるめた、これに引っついた付属の何かで もあればやりやすいのはやりやすい。あるいは大手を振って技術的な問題を公表できる というか、話ができるという話ですよね。  野本委員長  麦谷課長、この専門委員会はだいたい3月で終わりでしょう。次のプロセスが続くの だったら、ぜひ、そういうところで作業部会を作って学会に委託して、移植学会に委託 して作ると同じような形で、皮膚は皮膚学会とか。  島崎委員  皮膚は熱傷学会。  野本委員長  熱傷学会ですね。そういう作業部会に降ろしてきちんとして基準を作ってもらう、技 術的基準を作ってもらうというのは大事なことだけれども、今、3月までにはそれはち ょっとしんどいですな。3月までは私はやはり概念は我々が作って、ワンステップ終わ って、次のステップもやっていただくという方がいいように思いますのでね。  北村委員  技術的なものは移植学会等にまとめさせていただいて、資料をこの委員会に出してく れて要望があれば。  島崎委員  いや、もちろん学会でオーソライズして、それでいいですよというのであれば、それ でもいいのですけれどもね。それも考えていただいて。  野本委員長  3月の末までに考えましょう。この委員会で。どうしたら一番いいのか。課長や室長 はちょっと考えてください。  麦谷課長  中身にもよるのですが、いろいろな実はやり方を取っていまして、先生、言われたよ うにひとつの学会、移植学会でもいいのですが、ひとつの学会で検討していただくとい うのもひとつのやり方。移植関係学会合同委員会という、モリワタ先生がやられた、あ あいうのもひとつの形。今、脳死でやっていますが、研究班を作ると、組織するという のもひとつのやり方ですね。  ですから、そのやり方、どれが一番いいのか。ただ、純医学的になりますとやはり研 究班とか、ひとつの学会よりも広げた方が理解は得られやすいと思います。ちょっと知 恵を絞ります。  野本委員長  よろしく。では、ちょっと時間があれですので、次へ移らせてください。まだ、どう ぞ、どうぞ。議論はいくらでもある方がいいのですから。技術論になればなる程、すっ と終わりますので。  柴田委員  いや、全く細かいことを申し上げるのだけれども、むしろ書き方の問題として、この 組織の採取、さきほどの基本原則の言わば細部を説明するということだと思うのです ね。細則に当たる部分だと思うのですね。  だから、ぜひ、書き方はもう1回、繰り返さないでインフォームド・コンセントなら インフォームド・コンセントはもう前に言っているわけですから、インフォームド・コ ンセントの取り方については途中で撤回しても拒否してもそういうのを不利に扱っては いけないとか、未成年者はこうだとか、同意書はこうするのだという、そういう書き方 にすれば文章がもっと短くなってくると思いますね。  これは、ぜひ、全体に渡ってそうしていただくことによって、前の原則を補足をしな がら、しかも、最後をきちんと規定するのだという、また、その位置づけをはっきりさ せていただきたいと。これは希望、事務局への希望として一言申し上げます。  野本委員長  できあがったガイドラインは委員会に参画してくれたすべての委員の方々は共犯です ので、いい文章を作り終わった後で、頑張ってしましょうよ。では4番目、いってくだ さい。  松村委員  ちょっといいですか。4番いく前に。いいですか。元の原案、私たちは前にFAXで いただいものには2、本報告書の位置づけというのがあったのですよ。それが今度ので はなくなっているのですけれども、そこのところに組織バンクとは、例えば対象となる ヒト組織とか、そういうことが書いてあって、最小限の処理を行ったものということが そこに書いてあるので、一応、そのことを念頭に置いて、ここには何も、今度のには何 も書いてない。  山本補佐  なるほど。実は、さきほどからの位置づけと定義、今、一部の方から位置づけの中に 定義と位置づけがごちゃごちゃになっていてというご指摘をいただいて、定義に書いた のですが、定義のところで確かにミニマムマニプレーションの概念というのが確かにお っしゃるとおり。  野本委員長  ないか。  山本補佐  はい。  松村委員  それが今の4のところとちょっと関係してくるのですけれども、野本先生が3年もつ かというようなことを言ってらっしゃることの中に、いわゆる最小限の処理の他に加工 という部分がありまして、その部分が非常に大きな役割、特に細胞の方になってくると なってくるので、それをどこかに。多分、それは例えば組織バンクをOPOのような問 題と位置づけますと、そうでないもうひとつのそういうところを発展させて作っていか なければいけないのですよね。  それが研究等の等なのかなというところがちょっとわからなくて、研究というのがあ りますけれども、その他に加工というところが多分、将来非常に大きな役割を果たすよ うになるのですけれども、ここの組織の処理・保存にはその加工は書いてないわけで、 これは多分、それはこの今の組織バンクの担当ではないのだろうと思うのですけれど も。  そうすると今後、組織バンクから提供を受けて研究をするのではなくて、加工して、 また移植とか、そういう医療の現場に戻す部分というのは非常に大切な部分になるの で、それをどういうふうに位置づけるかということをちょっと。  野本委員長  松村先生、私は事務局ではそれを最後のところにつけ加えよと、考えてほしいという 要望を今日、チェックしたのです。  おっしゃられたこと、とにかく将来の次のステップはそっちにいくのですね。それを 何も書いてないと対応の仕方がないと。だから、この中ではそこまでいかないけれど も、次の対応はそうしてほしいという要望は私は明示しておくべきで、今の段階で加工 というものまでここで我々の内部、ガイドライン内で扱うよりは、私はミニマムマニプ レーションでストップしておいて、ただ、しかし、最後のおわりにのところにこれはき ちんとそういう将来が開けるのだと。その仕組みを作らなければいけないというのは提 案をしておくというようには言っておるのですが、最後あたりでもう1回、議論してく ださい。ここはすみません。もうここで次、いかせてください。  山本補佐  4、組織の処理・保存。ここは実は安全性・有効性の担保みたいな書き方が全タイト ルでありまして、適切ではないのではないかということでご指摘、何人かからいただき ました。  (1)採取された組織の処理、保存においては、汚染防止及び適切な微生物クリアラ ンスに努めるとともに、処理過程において採取組織の機能及び移植における有用性の確 保に努めること。また、そのために、以下の事項に留意することということで、採取組 織の細菌・真菌検査、抗生物質の洗浄問題、微生物クリアランスの問題、プロセスのバ イオセイフティレベルの話、作業環境、記録の保管、記録の保管の年限と一定程度、保 存している組織の廃棄の問題を書いてあります。  (2)組織バンクは、採取組織の処理・保存に係る手順書を整備し、定期的に内部評 価を行うとともに、必要に応じ外部機関による評価を受けること等により、精度管理に 努めることということで、処理・保存と。  この処理のところで確かに松村委員がおっしゃったミニマムマニプレーションの基本 的な概念がちょっと欠落しましてすみません。  野本委員長  ここではやはりそれ入れておいた方がいいですよね。次の加工というのはもう一歩踏 み込んだ話ですけれども、他に何か指摘ありませんか。今の松村委員の指摘はここへ入 れたらいいと思いますね。 北村委員 バイオセイフティレベル−2というのはどのこ と。  佐多委員  その件は私が言ったのですけれども、その意図はバイオセイフティレベルというのは ちょっと概念が違う言葉で、それに準じた取り扱いにしかるべきだろうと。この言葉自 体は病原体微生物の取り扱い規定の言葉なので、ここでその言葉を使うのではなくて、 それに準じた扱いをしてほしいと。  というのは最初がクリーンベンチを使いということが書いてあったと思うのですね。 クリーンベンチというのはちょっと技術的な話になって恐縮ですが、ヨウアツのもので あって、作業者側に対する安全性という問題を全く無視している。そういう言い方では 困ると。採取組織に対する汚染を防ぐということも大事ですし、実際、やっている人に 対しても大事だと。そういう環境はちょうどバイオセイフティレベル−2の基準に合致 するのだと。だから、そういうやり方でやってほしいという、そういう意味合いになり ます。  山本補佐  なるほど。  野本委員長  佐多委員、私、これからのこういう時代に一番心配しているのは、取り扱いに関与す る人自身をどうやってプロテクトするかというのは非常に大きな問題になると思うので す。最初に取り扱った第一歩を踏み出したときに、感染があっているかどうかかわから ないマテリアルから始まる。あとから非常にシビアな問題が表面化したと。その前の段 階は極めて危険な状況でやっていたというようなことがないように考えなければいけな いといつも心配しているのですが、よくわかりました。  北村委員  未知のものがあるかわかりませんけれども、一応、ドナーセレクションをこれだけ厳 しくしていますので、既知のものに関する感染のものを取り扱うという可能性はもう非 常に少ないですし、あと実際の処理過程においてはコンタミネーションの問題と、いわ ゆる常在菌の問題が多いので、実際、クリーンルームを持って、クリーンルームの中 に、クリールームというのはインアツになっています。それの中でヨウアツのあれを使 っているわけですね。こういうものをどういう実際的にどういう器具を揃えてなければ やってはならないという規定に入ってきますね。設備を整えるということが必要になり ますね。このバイオセイフティレベル−2というものをヘアを持たない、あるいはイン アツの装置を持たない。  野本委員長  ねばならないとするか、しないかだろう。  山本補佐  すみません。こちらも、事務局の理解が悪くて、実際には最初に出した原案のときに はどちらかというとまさに佐多先生がおっしゃったように組織が汚染されないようにと いう視点ばかりが前面に出て、従事者へのセイフティという概念がかなり読み取れない ような文章でしたので、ですが、バイオセイフティレベル−2というかどうかは別にし まして、先生にご指導をいただきまして両方の概念で留意すべきという視点を入れてこ こは書き直して。  野本委員長  プロに相談して書いた方がいいと思いますから。  島崎委員  よろしいでしょうか。これも我々は一応、学会の中のアカデミックミーティングの中 で決めているのですよ。ですから、それと整合性合わせないと駄目ですよね。  学会でOKになっていて、ここで駄目だよと言われたら困るので、その辺のところは どうすればいいですかね。  山本補佐  かなり細かく突然、細かい器具の消毒方法とか機械が出てきたりすることについて は、かなりこちらはセイフティレベルの先生の意図を十分反映した、器具等と言葉を使 ってしまいましたので、そこは概念として両方の議論をするわけですけれども、具体的 にどの器具を揃わなければ、何をしないといけないとかというところまではそれぞれの 組織によってまた対応が違うかもしれませんので、そこはちょっとご指導ください。  島崎委員  だから、基本概念を書いていて、例えばこういうものですよというような書き方だと いいですけれども、こうねばならないでやるとやはりいろいろ問題が。よろしく。  山本補佐  はい。  野本委員長  島崎先生、情報、事務局の方に送って。  島崎委員  そうですね。  佐多委員  ひとつよろしいですか。バイオセイフティという考え方はバイオハザードに対してバ イオセイフティと。バイオハザードというのは予期しないものがあってという考え方な のですね。だから、いくら限定して知っているものに関してはこういうふうにやってき たと。だから安全だという、そういう考え方にならないのですよ。だから、そこが一番 大事なところで、予期しないものが起きたときに、ではどうするかという考え方は今ま での考え方の中に入ってないわけですね。もし、そうだったら困っちゃうわけですね。  だから、そこをちょっと微生物側からするとそういう考え方を臨床の先生にも持って いただきたいという、それが臨床の現場でいろいろな感染につながっているのだという ことを言いたいわけです。気持ちとしては。ただ、そこに全部、こういう基準でこうと 細かく言う必要はないと。  島崎委員  それは当然、おっしゃるとおりだと思います。  野本委員長  4のところ、よろしいですか。それでは5にいきましょうか。  山本補佐  はい。5、組織の移植施設への提供及び移植への利用。  (1)組織バンクが組織を移植施設に提供する際には明文化された基準に基づき公正 に提供を行う。その際、レシピエントの選択において移植の機会の公平性を保つように 配慮する。  (2)組織バンクが組織を移植施設に提供する際には、実施されたドナー・スクリー ニング検査の項目、検査方法及びその結果、処理方法等について併せて情報提供を行 う。  (3)組織バンクにおいては、組織の移植施設への提供に係る記録を保存・管理し、 プライバシーの保護に留意しつつ、必要に応じて当該組織のドナー、処理・保存過程及 びレシピエントの記録について確認できる体制を整備する。  (4)移植施設において組織を移植へ用いる際には、レシピエント側が同意するかど うかを判断するために、当該組織の移植に係る潜在的危険性も含めた安全性、有効性等 についてレシピエント側に十分説明すること。  (5)移植施設において組織を移植に用いた場合には、診療録等に提供を受けた組織 バンク名、提供された組織の識別番号等を記録し、必要に応じて追跡調査を行うことが 可能となるような体制を整備すること。 (6)組織バンク及び移植施設においては、 住所・氏名等のレシピエント側を特定するか又はレシピエント側が知られることを望ま ない情報が漏洩されることがあってはならない。  (7)組織を移植施設に提供する際には、組織バンクは、移植施設に対して組織を提 供すること、もしくは提供したことの対価として移植施設、患者等から財産上の利益を 受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。  ただし、対価には交通、通信、移植術に使用されるためのヒト組織の採取、保存若し くは移送等に係る費用であって、移植術に利用されるためのヒト組織の提供を受けるこ と又はそれらの移植施設への提供を行うことに関して通常必要であると認められるもの は含まれない。以上でございます。  野本委員長  この項目は主に移植施設を巡る問題ですが、問題点ございますか。  北村委員  提供する場合に実際、一番の問題になるのは島崎先生の方の皮膚は外部にあるもので すけれども、内部に入れてしまう場合にはクオリティともうひとつ厳重に感染の対策を やっておるものですけれども、もしも、そういった埋め込んだ組織から感染が起こった というような場合の責任、バンク側の責任というものはどこまでなるのだろうと。  つまり、ここに書いていただいたおりますように、それまでのスクリーニング検査の 項目、その他についての情報提供は行って出すのですけれども、それでも入れた血管に 感染が起こったといった場合には、報告は受けるのですけれども、2番で書かれている 条件を満たしていて提供した側の後の責任はやはり移植側に取ってもらうということに 近畿地区ではしているのです。それはもうあげているわけです。その責任はバンク側は 取れませんと。そこらがちょっと実際、悩むところなのですけれども。なかなかそれを 書き込むのは難しいことのように思いますが。  野本委員長  臓器の方でも。  北村委員  討論だけ一応、しておいていただいたらと。  野本委員長  しておいた方がいいでしょう。これは事務局のリーダーの方々の判断はどうですか。 そういうときにどのようにしたらいいのでしょうかといつも悩むことなのですがね。制 度上の問題もありまして、政府及びそういう関係の。麦谷課長、朝浦室長、何かご意見 ありませんか。今のことに関して。どなたがわかる人。  山本補佐  鎌田先生。  野本委員長  では鎌田先生、教えてください。これはもう教えてください。  鎌田委員  多分、法律的にも確実にこうだという一義的に定まったもの、ないのではないかなと 思うのですけれども、例えば感染事故の場合でもやはり責任、民法上の責任で言えば事 故が起きてからどこに本当の原因があったのかというのを探っていけばいいわけで、原 則から言えば要するに病原菌等の検査をする主体がバンクであって、その検査にミスが あって感染すれば、それはもうバンクの責任としか言いようがないわけですね。 だから、不適切な移植術のために患者に何らかの病状が出てきたときは、それは移植 施設の責任というふうに考えざるを得ないということで、今、どこが責任を負うかとい うときに、2通りの考え方をしなければいけなくて、患者の側から見て誰に対してその 責任を追求して損害賠償請求をできるのかという観点から、誰が責任を負うべきかとい うものの見方をするのと、要するに患者の側から請求されてくるのを逃げることはでき ないけれども、バンクと移植医療機関との間でそういう事故が起きたときに責任分担を 最終的にどう分担していくかという取り決めをしておくかと。  これは病院はバンクとの間での取り決めの問題で、うちは病院の方で賠償することに なっていますから、うちに訴えないでくださいというのは患者には言えないことだと思 うのですね。責任がある以上は。だけれども、内部的な処理をどうするかとなると、こ れは分けて考えていくことは十分可能で、バンクの実際の問題とか責任の最終的な、保 険の関係等で内部的な責任分担は責任分担で決めていただければいいと。  患者との関係はやはりPL法の適用があるかどうか、ものによって少し違うと思いま すが、PLなり、あるいは不法行為なりで責任追求していけば、その責任がある限りは 逃げられないということになると思います。  野本委員長  問題の寄って立つところによって責任はまた決められてくるということですね。よろ しいでしょうか。これは難しいのです。移植でも臓器移植の方も難しくていつも悩んで います。よろしいですか。先生。今の鎌田委員の。  北村委員  そのとおりなのですけれども。  野本委員長  これ以上、言いようがないと私も。  北村委員  実際、やはり患者さんに臨床に使う場合は最終責任はその使用する医者、移植する医 者が取るべきであって、バンク側としては最大限の検査で感染症がないという証拠のつ けた書類を以て現物を渡すと。しかし、それももしも、その問題に対してバンク側にも 責任がわからないと思いますけれども。結果としては。半分のようなものを持たすとな りますと、現状では誰もシッピングいたしません。断りますね。やれという義務づけは ないわけですから。  しかし、それを敢えてやはり公平分布をしよう、公平配分をしようという形での努力 をする場合には、やはり最終判断、使うか使わないか、そのものを。そしてその最終責 任は当該の病院の使用する病院と医者たちが取るという形で進めさせていただかないと 現状ではできないと。  野本委員長  だと思いますね。だけれども、それをいろいろな意味で。  北村委員  書き上げるには難しいですね。  野本委員長  それは不可能だと私は思います。  北村委員  そういう形で現状はやはりやらざるを得ないのではないかと。  野本委員長 どなたかご意見ありますか。今の。  島崎委員  よろしいですか。これは先生、後で組織バンク等へは第三者機関の客観的評価という のは入るとか、何か書いていましたよね。それには自然科学者以外も入れなさいとか、 そういうことの監査と、北村先生のところの、例えば組織のクオリティは何かマニュア ルに則ってやっておられますよね。  北村委員  クオリティと言いますと。  島崎委員  今、言った感染の事前のチェックとか、できあがったもののシッピンクする前のアト ランダム、やっておられますよね。それはそのマニュアルは学会で決められたか何か。  北村委員  いえいえ、そんなの、学会のレベルよりもはるかに金のかかるハイレベルでセンター でやっている。  島崎委員  やっておりますね。  北村委員  ですから、もう感染対策もスペスメンの培養もちょこっと1個、2個やるのではなく て、3通りの方法を通して今、やっているわけです。だから、実際。  島崎委員  それは先生、誰が担保しておられる。それでいいのだというのは誰が担保しているの ですか。 北村委員 その方法で倫理委員会へ持っていって。  島崎委員  それは先生ところの中の倫理委員会でそれでいいのだと決めたのですか。  北村委員  そうです。そして、センターの様式でやっています。これと共通させて、だいたい整 合できているのではないかと今、拝見いたしますとあるのですけれども。  島崎委員  我々も、先生おっしゃったのですけれども、感染症、怖いので、それはもう事前のチ ェック、抜き取りも含めて全部やるのですけれども。  北村委員  それを第三者がやっているということはありません。自分たちの。  島崎委員  後の組織バンク等ができたときの第三者機関というのはそういう機能は備えてないの ですよね。後で何か。そういう機能でないのですよね。だから、それはもう我々のとこ ろの問題になるのですけれども、学会で決めたけれども、結局、こちら側からコメント したほとんど内容なのですけれども、それを学会で承認させて、学会で決めて、学会の 中に委員会を作って、その委員会が一応、見ると。見てまわるという格好でクオリティ を一応。  北村委員  しかし、近畿のレベルの皮膚移植のレベルははっきり申しますとこれなんか全然、ク リアできないのですよ。もう感染症、つまり皮膚の提供は腎臓の提供等に無関係に出る 場合が結構ある。そうしますとこういう検査ができてないわけですね。臓器提供の場 合、行われているようないろいろなウイルス感染のあれが。  島崎委員  チェックしていない。  北村委員  してない。それとともに血液を採ってきてくださいと。そうすればこちらでもそうい うのができるものはやりますとやっていましても、血液が来ないと。それは今、皆、も う預かれませんとやっているわけなのですね。  ですから、先生、学会レベルと言われますけれども、東京はできているのだと思いま すけれども、中四国あたりから提供がある場合はもう全然そんなもの預かれないと。  島崎委員  歴史的にはね。  北村委員  今まではそれは預かってきたのだと思います。  島崎委員  歴史的にはそれを繰り返しているとあそこからのは駄目だということになると使わな くなりますからね。それで結局、最終的にどんどんクオリティは良くなったのですけれ ども、どこかでそれチェックして客観的に見る場所がないと困りますよね。少なくとも ね。  北村委員  本当はアメリカではそういう、最初、篠崎先生の話にもありましたように、どこかの チェッキングの委員会がその施設を見たり、プロセスを見たりして評価をして、評価以 下ならやめなさいとか、改善しないさいというので3か月間、改善策を見た後、再評価 するとか、そういうことをやっているみたいですけれどもね。  島崎委員  まだ、我々のところは完全にできあがったわけではないのですけれども、一応、学会 の中にそういうものでやりましょうということで、一応、クオリティを維持しようとは 考えているのですけれども。それを厚生省の方に。  野本委員長  事務局、何か。  山本補佐  今、島崎委員がまさにご指摘いただきましたように、この後のところでバンクの運営 等で、この後の議論になると思いますけれども、例えば中立的な機関での監査ですとか というような問題が言及はされておりますけれども、主にはどちらかと言うと運営形態 とか、財務状況みたいな部分に振られていて、今のテクニカルな部分でのインスペクシ ョン、実は一部、委員がご指摘いただいて、こちらもかみ砕いて十分反映できてないの ですけれども、そういうインスペクションを外部の人に頼むかどうかというようなとこ ろで十分反映されておりません。  実際には具体的にどこに頼めるのかというようなところもちょっと事務局で整理しき れなかったものですから、ただ、相互査察みたいなものを別のネットワークのシステム では考えているようですし、お互いに実質的なものは業界の人間しかわからない専門的 なところもあるでしょうから、そういうことはこの後の議論でご指摘いただければと思 います。 野本委員長 では、次、いきましょう。6、研究及び研修の。  山本補佐  はい。6、研究及び研修への利用。  (1)組織バンクにより採取された組織の研究及び研修への利用が可能となるのは、 移植に用いられなかった組織について、提供時にドナー側の文書による明示的な研究及 び研修への利用に対する同意がある場合に限られる。  (2)(1)の研究及び研修は、大学等の非営利の研究機関や医療機関、民間企業及 び両者の協力による治療研究、細胞・組織処理技術の向上に係る研究並びに組織バンク の技術者の技術の習得・向上を目的とした教育・研修をいう。  (3)組織バンクが採取した組織を移植医療その他に関する研究のために大学その他 非営利の研究機関又は同機関に所属する研究者に提供する際には、7(6)に規定する 倫理審査委員会においてその内容の妥当性について確認し、提供の可否を判断するとと もに、取扱主体、提供数、移植に用いることができなかった理由等の記録を保管・管理 する。  (4)組織バンクが採取した組織を移植医療その他に関する研究のために上記に規定 する者以外の者に提供する際には、7(6)に規定する倫理審査委員会において確認の 上、公正性の確保の観点から、上記に規定する者以外の者に対して組織を提供すること が予定される非営利の組織収集・提供機関を介して提供することが望ましい。また、そ の際、組織バンクは、当該非営利の組織収集・提供機関に組織を提供した旨等を記録と して保管しなければならない。以上でございます。  野本委員長  ここは特に松村委員には、それから篠崎委員、何か。  松村委員  こういった非営利の組織収集・供給機関を介してというのは大変望ましいことだと思 いまして、ぜひ、そういうことが実現することを希望しております。  あともうひとつ、研究、さっきちょっと言いました加工というのはここでは触れられ ていないのですよね。  山本補佐  まさにおっしゃるとおりで、この中で概念の中に入っておりません。加工の方は薬事 法上の概念で整理されるのか、それともそうじゃないのかというところの議論もあろう かと思いますが、ただ、すぐ近い将来にその問題があるので、何らかの逆にご指導をい ただいて、何らかの整理をしておいた方がいいのかもしれません。  野本委員長  そこのところはどうしてもおわりにというときにサジェスションとして私は入れても らいたいなと考えています。  北村委員  先生、望ましいと書いてある(4)のところ、今、これはないわけですよね。こうい うものは。ですから望ましいとは将来的な望ましいという希望であると解釈してよろし いのですか。  野本委員長  いえ、事務局はこれは何だろうと考えているのですか。  山本補佐  何らかのものが準備できるかなという。  野本委員長  準備していただかなければいけないなと私は考えておりますし。  北村委員  それは素晴らしい。そういうのは先生がおっしゃったとおりだと思います。  野本委員長  これはここだけのことではございませんから、いくつかの審議会やいくつかの局を オーバーしていく話ですけれども、これはやはり考えてくれますよね。しないとこれこ このところがおかしくなると、全体がおかしくなりますので。  北村委員  現時点では現存しませんね。  野本委員長  現時点では動いている組織は今、ないわけです。だから、何らかのものを作らないと ここの文章も生きないし、話がおかしくなると思います。  島崎委員  よろしいでしょうか。文言なのですけれども、(3)、(4)のそれぞれ一番上の行 の移植医療その他に関する研究のためというのは、これだと移植医療の研究には使えな くなっちゃうので、移植医療、あるいはその他に関する、移植医療の研究は全体に含ま れているということですか。  山本補佐  そうですね。そのつもりだったです。移植医療はもちろんで、おそらくこれは移植医 療に係る研究がメインになると思ったのですが、何回かの。  島崎委員  それ以外の研究も。  山本補佐  研究も松村委員の方からも直接、移植医療ではなくても医療に関わるような研究とい うこともあり得るのではないかと。その妥当性についてはまた倫理委員会等での審査が ありますけれども、移植医療という非常に狭い概念の研究だけに言及してしまわない、 広く医療研究、医学研究、生物学的な研究というようなものを含み得るということで、 ただ、メインは移植医療の研究かもしれないけれどもみたいなニュアンスがここに入っ ております。  野本委員長  ここも出発点から第1回の委員会のときに、私も皆さんにお願いしたことのひとつな のですね。どこで線を引くか、今度のガイドラインがカバーするところということなの ですが、単に移植医療だけではなくて、当面は非常に医学の研究に限定しようではない ですかという意味合いですね。そうですね。  島崎委員  これははじめにか基本原則、ちょっと忘れましたけれども、最初に研究にもこういう ことが行われるのだということは書いていましたっけ。何か前回のあれではもう移植医 療そのもの以外には基本的には使わないというような話みたいな、そうでもなかったで すか。  野本委員長  いや、ありません。それはもういかに研究を組み込んでいくか。組み込めれるところ は組み込んでいくかというのが一番最初から議論して悩んできたところです。  島崎委員  なっていますね。はい、わかりました。ありがとうございました。  篠崎委員  やはり研究に使う、使わないものも含めまして一番大事なところはインフォームド・ コンセントだと思いますので、そのスターティングポイントから途中で研究に切り換え ると、またおそらく許され難いことであろうと思いますので、インフォームド・コンセ ントの書式も含めてそこからしっかりできればなという気がするのですが。  野本委員長  つい現場でやっていますと、まあ、いいだろうが生まれるので、まあ、いいだろうと いうのが一番これはしてはいけないことだと思いますので、そこらあたり、すっきり と。柴田委員がいつも言われる、すっきりなものにしてというのはインフォームド・コ ンセントもすっきりしたわかりやすいものを。  篠崎委員  先生、これ、さきほどの何年後を見ているのかという話で、この内容で5年先、ちょ っと厳しいかなという感じで見ていたのですが、5年後、10年後、あと10年はもう無理 でしょうしと思ったのですが、例えばそういう目で見ますと多分、組織バンクを経由し てくる場合というのもかなり研究利用というのはかなり数的に絶対的にはかなり、絶対 数から見ると相当低いのかなという気がするのですけれども。  ですから、ある程度、そういったことで可能だということはここに明記しておくと、 申し訳ないのですが、あまり言い方悪いかもしれませんが、眼の分野でも言いたくない のですが、国内のまだ使えません。アメリカから輸入して使います。アメリカ人の眼が 日本の学会で学会誌に載せて研究発表はOKです。日本のものは使ってはいけないと。 これは国際的に見てちょっと異常で、ここ10数年間、海外からもバッシングが眼科のレ ベルで非常に多かったですから、やはりその辺も含めて本当に国民が利用するのかどう かというのは本気で考えていただきたいなという気はするのですね。それがあって進歩 したわけですから、医学が。  野本委員長  次の段階は否応なしに考えていきます。だいたいどれぐらいの期間かということもわ かってきたと。これは5年は持たせるような、5年持たせるようなルールにしますと、 今度は逆に今の実情と合わないガイドラインになっていくのですね。だから、私はそん な単位かなと今、考えていますが。  それより前に非営利の組織もおそらくできて、その非営利の組織も本格的に稼働し て、多くのケースが国民に活用されるようになった段階でおそらくガイドラインももう 1回見直さなければいけないというようになるのではないでしょうか。その頃まで私も 草葉の陰で見守っておりますので頑張ってください。  糸満委員  実はさきほど、社会に帰属するという話と研究ということを全面的にこれ出そうとし ていますよね。今。ですから、私がちょっと心配するのは、むしろ社会に帰属するとい うあの文章でもこっちの方がむしろパラジックになるのではないかなという気がしない でもないのですが、ここは割りとさらっと通ってしまった方がいいのではないかなと。  野本委員長  あまり勝手に研究に使われるのではないと、突っ込まれるような内容では困ると、そ ういうことですね。  糸満委員  そうです。  野本委員長  逆に言いますと、そういうところがあるからあまりさらっと書いておくのではなく て、ちゃんと安全弁はかけていますよと、ロックかけていますよというのは必要だと思 うのですよ。何かありますか。今の話で。わがままな学者がわがままに使うのではない かというのが出てくるのではないかという糸満委員の。  糸満委員  一般の理解が得られづらい部分ではないかなと。 社会に帰属するという表現よりもずっとこっちの方が理解を得にくいのではないかなと いうような気がするのですけれども。  松村委員  ちょっと一言よろしいですか。この研究のための利用については、これはあくまでや はり提供者の同意書なり本人の意思に基づくので、社会の帰属の場合にはむしろ全体を 大枠についての議論ですが、これはそういう本人が希望した場合だけのケースというふ うに僕は理解できるのではないかと。ですから、これはノーだという人については絶対 強制できないことですので、そういう意味では多少違うものなのではないかなと思って おります。  むしろ研究に使用してほしいという意思を持っている方も結構、たくさんおられるわ けですから、そういう方のご意思には沿うということが大切かなというふうに考えてい ます。  早川委員  よろしいですか。この報告書の本来の目的というか、私の理解ではとりあえず組織バ ンクというものをきちんと裏打ちするような、そういうガイドラインを作りましょうと いうことだったと思うのですね。  その研究の話に踏み込んだ途端に、相当目の前に非常に広々としたいろいろな問題が 出てくると。最初の出発点はとにかくヒト組織を採るということに関しては組織バンク に流れようが、今度は研究の方に行こうが同じことなのですけれども、それ以降の話に なってきますと、さきほどおっしゃったように多分、全体を取りまく憲法みたいなもの が、そこと整合性が取れないといけない問題なので、ここだけでしていいのかという、 例えば組織バンクの中で組織バンクとしての利用を非常に活用するというか、有効にや るためにある研究をやるということはあるのかもしれない。  ですから、そこと一般の研究とか、どう仕分けていくかというのはきっと何か非常に まだいっぱい議論がそこのところは残っているような気がいたします。もうちょっと3 月までやるということであれば、絞るなら絞った方が話としてはすっきりすると。  野本委員長  出発点の概念では移植医療に割合近い研究に使っていただこうと。移植医療の効率を 上げるための研究に使ってもらうというのが一番皆が共通して第1回のときに考えたこ となのですけれどもね。そこからそれだけでいいのかというのを今、考えているという ことだとお考えください。  だから、はじめからガチッとしてしまうのではなくて、最初の提案は我々、考えたの はそうなのですね。移植医療の質を上げるための研究には当然、移植の一部だから使っ ていただくと。これはいいではないかと。では、それの近傍の医療、医学の研究に使え ないとしてしまって構わないのか、それではいけないのかというのが今の議論だと考え ていただいたらいいのです。  だから、最終的に3月の末までにはそこらあたりの線を引くと。最初に言いましたよ うにどこかで線を引きますけれども、引いてそこで終わりではなくて、引いたら必ず隣 の領域とのパスが通る仕組みを作っておかなければいけないと。これはやはり提案とい う形になると思うのですけれどもね。  山本補佐  (1)のところで事務局としては書いたつもりだったのですけれども、研究に用いる ことができるのは同意があった場合だけというふうにパラッと読めちゃうので、明らか にここでの議論はいただいた組織はまずメインには移植に用いると。移植に用いること が何らかの形でできなかった場合、当初の時期には非常に少ない量かもしれませんが、 その場合には移植医療の研究に用いることもできる。  ただ、移植医療と言っても組織の移植医療というのは実際にもうちょっと広い研究が すぐ表裏一体化しているのも十分関係者はわかっているので、そこも含めた形での研究 で、民間企業が共同研究で参入するのは十分あり得るし、現在でもあり得るので、そう いう場合は何らかの組織を加味して、そこから民間企業には提供していくというような 3段階のつもりで上から書いたのですけれども、もうちょっとそこが思想が出るよう に。  野本委員長  しましょう。すみません。  山本補佐  ただ、一方で臓器移植法で、さきほど篠崎委員がおっしゃったように移植に使わなか った場合、全部焼却しなければいけないから、研究で使う組織、臓器は外国からいただ いて外国の方を使って研究しているという実態もいいのかどうかということもあって、 組織については研究の道も一定のルールで開くべきではないかということもあって、特 段にここがボンと少しのボリュームはいるということです。  野本委員長  委員長がだらしないせいか、それでも委員の先生方が非常に熱心に議論していただけ るせいか、遅れ気味でいつも申し訳ありません。それでは7番目の運営について。  山本補佐  はい。組織バンクの運営等。組織バンクを運営する上においては、安全なヒト組織を 責任を持って安定的かつ迅速に供給する体制が整備されている必要がある。特に次の点 について整備されるべきである。  (1)組織バンクを円滑に運営するために、次のとおり、事業を行う団体としての体 制を整備するここと。  1、組織バンクの代表者が明確であり、事業運営のすべてに責任を持てる体制である こと。特に、複数の医療機関が連携して組織バンクを設立している場合には、連携する すべての医療機関の合意があり、組織バンクとして一体的かつ責任ある運営が行われる こと。 2、事業運営・実施要綱が書面で作成されていること。  3、組織バンクの運営方針を決定する委員会等が定期的に開催され、議事録が保管さ れていること。  4、組織バンクの会計が独立して管理され、定期的に監査をうけること。また、組織 バンクを継続的に運営するための事業計画及び収支予算が作成されていること。  (2)組織バンクの事業に係る責任者の明確化を図るため、事業運営・実施要綱等に おいて責任者の職務等を明記すること。また、特に次については詳細な規定を設けるこ と。 1、ドナー及びレシピエントの個人情報の保護のための情報管理責任者、組織の 採取・処理・保存に係る品質管理責任者の設置、技術者の教育・研修体制。  (3)自ら供給したヒト組織の移植事例に関し、移植を受けた患者のフォロー・アッ プ情報の収集・管理について責任を持って行うこと。  (4)事業の実施状況、財政状況等に関する情報について書面で常備し、求めに応じ て開示すること。  (5)組織バンクの運営全般について定期的に監査を行う委員会を設置すること。ま た、同様の事項に関して定期的に外部監査を行う体制を整備すること。  (6)バンク事業を行うにあたって、倫理的事項についても基準が定められ、事業に 関わる者に対して周知が図られていること。また、組織バンク運営に関する倫理的事項 について中立的な立場から検討・判断する委員会(本報告書において「倫理審査委員 会」という)が設置されていること。  ここはいろいろな意見が出てまいりまして、倫理審査委員会の構成員のうち、半数以 上はとか、ここまで書くかという意見もありましたが、当該組織バンクに所属していな い者とし、それら組織バンクに所属していないものは半数以上は自然科学を専門としな い者としなければならないという問題。  (8)採取・保存・加工を行ったヒト組織を移植施設に提供する場合に通常必要であ る費用、すみません。加工ではなく処理です。失礼しました。ここで突然、加工が出て きて失礼しました。処理を行ったものを提供する際の通常必要である費用(交通費等) を請求する場合においても、営利を目的としてそれらの費用を不当に高く見積もっては ならないこと。また、将来的に収益が発生した場合にも、当該組織バンクの事業のため に再投資されること。というようなことで8や7の書き方についてちょっといろいろな 意見があるので、括弧書きになっております。  野本委員長  すみません。ご意見どうぞ。  松村委員  よろしいですか。倫理委員会、ここでは構成にまで触れているので結構だと僕は思い ますが、僕はやはり構成では一番大切なのは男女だと思っているのですけれどもね。こ れはこの前からのハイとかクローンの委員会について僕はちょっと途中のあれを見せて いただくと、どこにもそれは書いてないのですけれども、CFRなんか一番最初にやは り女性と書いてあるし、僕は同意書なんか得るときには非常に大切だと思うので、ここ まで内容に立ち入って書かれるならば、やはり両性と書いていただいた方がいいと思う のです。  山本補佐  そこは議論、もし、全体の今度出たものにも議論がいつもあるところですし今回でも 問題提起もありまして、そういう意見もあったのですが、ちょっと事務局でまとめきれ なかったので、今回、落ちておりました。  北村委員  ここの組織バンクというのは8頁のところに、さきほど現時点では現存しない非営利 の組織収集・提供機関というものを作った場合の規定を書いておられると理解していい のですね。でないと例えば東京スキンバンクという名前のバンクからバンクなのかちょ っとわかりませんが、この定義から言うと。  島崎委員  全然合わない。  北村委員  合いませんどころか不可能ですよね。そのあたりの現時点の。  山本補佐  今の北村先生のご意見、答えは率直に言うとノーなのですが、ただ、組織バンクの定 義というのは11頁に書いてありまして、ヒト組織の採取、処理、検査、保存、提供、情 報の提供管理を行う医療機関又は複数の医療機関の連携において設置運営されている非 営利の組織体をいうということですので、先生がおっしゃっている血管バンクですと か、島崎先生の皮膚バンクですとか、糸満先生の骨バンクみたいなものが全部含まれる のです。  ただ、ここに書いてある運営の基準は普通の組織運営を見ている、組織なり団体の運 営を見ているのは、このぐらいのことやっていいのではないかという視点で書かれてい る一方で、現時点でのほとんど手弁当でやっているバンクがここまで言われても現実的 にはということも第1回の報告でも実情わかっておりますし、そこのところで我々とし ては一応、組織の運営という立場からはこういうことをよく言われますねということな ので、北村先生のおっしゃっている、ご自身のバンクがこういうことを求められるとい う想定で書けるだけ書いたというか、形なので、ご意見いただければと思います。  島崎委員  よろしいですか。私はこれ読んだときにこの組織バンク自身は例えばこういう委員会 がひとつの例えば倫理審査委員会みたいなものを作って、それがそれぞれの施設に第三 者として見に行く、あるいは中身を検討するとういのであれば可能かなと思ったので す。  ですけれども、実際、今、言った東京スキンバンクとか、北村先生がやっておられる ところのバンクとかの中にこれを設けようというのは全然実情と合わないし、将来的に も無理だと思います。  僕はそういう意味で7を読んで、この組織バンクの倫理委員会そのものが今、言った ような形で何か作っておいたが、全体を見て回るとかというのであれば、こういうこと は可能かなと思ったのですが、それにしても7ですね。これは僕は以上というのが全 部、以下の間違いではないかなと思ったのですけれども。そのところちょっと何となく 合わないような。5年以上、見ているなら別ですよ。ですけれども、少なくとも今の話 だとこの数年とかというような話の範囲の中で動くというのでちょっと違うなという。  野本委員長  これはどちらかと言うと相談窓口なのですよ。  島崎委員  ですよね。  野本委員長  相談窓口があって、共通の、うちは勝手にやるというのでは困る。では悩んで、これ 皆でどこをやったらいいのでしょうかという相談窓口的な倫理委員会は、やはり皮膚な ら皮膚、骨なら骨、弁なら弁で作っていただいておかないといけないと思うのですよ。  山本補佐  十分おっしゃることわかっているつもりです。実は倫理委員会の規定、例えば書くと きもほとんどの場合は医療機関に設置されていますから、大学の倫理委員会なり、医療 機関の倫理委員会を通っているのだとすると、勝手にこそこそやっているわけではない ですけれども、そこの倫理委員会を通っているのだと思うのですが、我が国における大 学等における倫理委員会のメンバーシップの問題は大学によっては非常に外部の人を入 れてオープンなところやら、学内でかなりやられているところや、医科単科大学の場合 に自然科学系以外の人が半分以上だなんて言ったって誰もいないというような問題とか 現実からはかなりあったのですが、また、一方でそれ以外のいろいろな審議会、委員会 なんかでのこういうアクティビティにはこういう項目をよく議論しますので、一応、考 えられる項目を出させていただいたということですから、ここでご議論いただければよ ろしいかと思います。  野本委員長  本当にバンクという、バンクを育てたいガイドラインの色彩が強いのですよ。現状は 皆、苦労されてやっているけれども、これ以上、発展するのには手弁当で苦労するだけ では社会全体に貢献するような形にはならないというのが、言わば今度のガイドライン の意味なので、できあがった仕組みをチェックするための組織ではないと。それは共通 で認識していただきたいのです。  北村委員  やはり非営利団体としてやるわけですから、補助金がない限り、こういうものは一 切、できないわけですね。ですから、事業計画書を出して収支予算を作って監査を受け ろというお金そのものがないわけでして。  野本委員長  先生がつけるので人を雇うわけにはいきませんね。  北村委員  そうなのですよ。ですから、皆、本当、手弁当状態であるのと、これを厚生省という 名前でバッと出されますと不可能に陥るわけですね。今、細々企業は。だから、全部、 東京バンクももう名前を変えなければいけないでしょうし、骨バンクというバンクとい う名称も名前を変えなければいけないでしょうし、当初、バンクという名前はあまりつ けるなということは循環器病センターにも指示がありました。バンクというのはやはり こういうものだろうということで、しかしながら、時代の流れとともにシッピングをし 始めるという、そして自分たちが持てる範囲の最高の責任を持ってやろうということで バンクという名前を了承つけてセンターでもそういう名前をいただいておるのですけれ ども。実質的にそれに携わる補助金等々はゼロ円でございますから。  野本委員長  公衆衛生審議会の方で移植学会、理事長としてこの移植の組織の問題、全部引き受け たときには私は各医療機関にバンクという言葉を使ってはいけないと。バンクというの はやはりちゃんとした公用語だから、まず、共同研究会とか何とか、そういう名前でス タートしておきなさいと。やがて政府がバンクなり何なりという名前でひとつのルール を作るからというように皆に要望したので、バンクというのを、近頃、これがバンクと 言えるようになったのですね。それより前はそういうやり方をしていたわけなのです が、ここらあたりの取り扱い、どうしますかね。これ。はい、どうぞ。  麦谷課長  趣旨は公平、公正さが担保されて、情報とかプロセスが公開されるということだと思 うのですよね。  名前は倫理委員会でも何でもいいのですが、さきほど言われたように非営利で運営し ていくためには人も場所もいるし、こんなことをきちんとやるためには当然、費用がい ると。私もそうすると予算要求しなければいけなくなってちょっと大変な話になるなと 今、思っていたのですが、その趣旨を書き込めばいいのではないかと思うのですよね。  細かく書くのもひとつの手かもしれませんけれども、今、言われたように既存のもの はそれでシュリンクしてしまうというのでは困りますので、もちろん予算要求するのは 全くやぶさかではございませんけれども、実態のないものに対して予算要求というのは なかなかできませんし、そういう趣旨が生かされるような書き方というのをまた一工夫 する必要があるかなと。  野本委員長  ここはちょっと事務局、そういう意味で。  麦谷課長  ついでにこの委員会の構成メンバーを性別も含めて細かく書くのも手かと思いますが では自然科学を専門としていないからイマガワ系のおっちゃんがいてもいいのかとか、 そういう議論までなってしまいますので、だから、そこはなかなか難しい書き方だと思 いますよ。ここは。医者で、私は医師免許ありますが自然科学者だと思っていませんの でね。そういうのとか、なかなか難しいので、本当に担保できることを書かないと言葉 が泳いでしまいますので、そこのところちょっと工夫します。  野本委員長  ひとつ、ここの運用と今日、私は終わりには積み残していきたいのです。と言います のと、終わりにはこれはサジェスションなのですよね。だから、今、言いましたように これは皆さん、先生方からチェックしてもらってどんどん終わりに、すなわち終わりに というのは何かと言うと次のステップをどう踏むかというのが終わりにというので踏み 込みたいので、ぜひ、いろいろな意見を寄せていただきたいと。  これは今から議論はじめますと終わりにだけで1時間では終わらないのです。これは 絶対に。これは次にもう場合によると次の委員会は終わりにから始めてもいいと私は思 っているのです。次の委員会は終わりにからいきます。終わりにからというのは次のス テップとのバトンタッチということも含めて考えなければいけない。そんなに思ってお ります。 いかがでしょうか。  山本補佐  はい。ただ、この報告書の全文のところ、全体文のところは何年ぐらいをタームにし てどういうふうなことをする目的で作るのかというような、今日、非常に明確になりま したので、運営のところはちょっとこちらの方で整理させていただきます。  それでよろしゅうございますか。時間を超過しておりますが、実はここで議論するだ けではなくて非常に一般国民にも影響を与える問題ですので、広く国民の意見を聞くと いうことで、パブリックコメントを取るということで、このたたき台の原案の段階で1 回、国民に示していろいろな意見を貰って、それをまた持ち寄って先生方にも取捨選択 していただき、議論していただく方向にしていくということですので、できますれば年 度内にということを考えますと、2月中にパブリックコメントを取って、通常、20日か ら1か月ぐらいをかけて時間を取りますので、その上でそのコメントを整理して、また 先生方にお集まりいただいてフィードバックさせていただいて、その過程ではコメント が多数来ましたら途中段階でも先生方に事前に見ていただくというようなプロセスを取 らせていただいて、次回の予定、実は予備日は取っておりましたけれども、3月の16日 と前もってお渡しておいたと思いますけれども、3月16日と27日の2回がございます。  今日、多くのご指摘をいただきましたので、そのパブリックコメントに書けるものを このままではちょっと書けないので、こちらで直しまして座長、どういたしましょう か。その取り扱いは。座長。  野本委員長  バッと事務局で作ってもらって、そして各委員にチェックしてもらって、そしてもう 1回、それで後は事務局でまとめたものをパブリックにしたらいかがですか。  山本補佐  はい。そこは後はいただいた意見は座長との判断でよろしゅうございますか。  野本委員長  わかりました。では、座長に任せてください。しばらくのアクション。こはちょっと ややこしい問題が山ほどありますし、議論が尽きないところは順々に残っておりますの で。運用のことも運営もきちんと書いてない。正しい運営をするというのが国民にわか らないとこういう組織には任せないという話にもなります。ところがあまりそれを書き すぎますと制約されて何もできないと。そこらあたりも考えて悪知恵働かせてみます。  鎌田委員  一言だけいいですか。数少ない非ドクターのあれで、さっきも最後の部分のところで 運営のところでやはりそういうふうにされるとせっかく伸びてバンク事業がブレーキか かるという、誠にご尤もだと思うのですけれども、ただ、同時に臓器移植法のときにや はり非常に制約的な議論にされたわけで、それをここで言わば裏口から突破していこう という要素を持っている内容ですよね。ある部分ね。  臓器と対局に血液の方は今度、これで薬事法上の非常に強い規制がかかっているわけ で、そういう中でここが言わば医療サイドの論理だけで動いていくということになると ちょっとバランスを失する部分がありますので、ぜひ、その点はやはりご配慮をいただ いた上でパブリックコメント用のやつをお作りいただきたいというふうに。  野本委員長  鎌田委員、私自身が臓器移植法の間にサンドバックをやっていた経験ですから、ある 意味、やはりつながる形でやりたいというように考えています。やはりあの思想が国民 にかなりの支持を得た、厳しいけれども得た。その流れの中にこれが位置づけられて、 これもやはり支持を受けて発展するというように持っていきたいなと考えていますから まず、やってみます。難しいところ。  これはさっき申し訳ありません。終わりにというのはこの文章を作るだけに1時間や 2時間、使って議論が続きますので、今日はこれはごめんなさい。山本さん、これはい いですね。終わりには。頼みますね。いい文章。  山本補佐  はい。  野本委員長  今日はありがとうございました。場合によると次はもう少し時間、2時間、10時から 12時と書いていますけれども、12時半ぐらいまで覚悟しておいて、先生方、おいてくだ さい。はじめからこうやって12時半までやるぞと言っておきますと、私もだいぶ気が。 どうもありがとうございました。 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711