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平成12年2月29日

第9回福祉サービスの質に関する検討会(議事要旨)

1 日時 平成12年2月16日(水)10:03〜11:59
2 場所 厚生省別館第2−(1)会議室
3 出席者 江草、石橋、奥野、北野、坂巻、清水、杉村、武居、橋本、外山
4 議事  

(1)試行実施の結果の中間報告について
(2)今年度のまとめの検討について

5 主な発言

(1)試行実施の結果の中間報告について

(発言1)

○ ヒアリングをする場合、誰に聞くかにより随分違ってくる。例えば、老人ホームなどで、施設長や施設の職員に話を聞くと、何も問題はないと言うが、利用者に聞くと不満があるということがある。
○ 施設に2、3回足を運び、入所者に会って個々の処遇内容まで踏み込んで聞かないと、本音のところはでてこない。
(発言2)
○ 事前に施設側から出てくる資料のばらつきによって評価は変わる。消費者団体がPLセンターの評価をしたときに、非常に丁寧に発行している資料を添え、かつ自分達の考えを記入してきたところと意味不明の雑な回答をしてきたところがあった。事前の資料の収集は、最終的な評価に影響するのではないか。
○ 入所者がどう思っているかは大事であり、入所者のアンケートをとっているのと、とっていないのとでは評価は本当に違ってくる。
○ 入所前に配っている施設案内に記載されているサービス内容と実際に提供されているサービス内容との比較も有効な判断材料となる。
(発言3)
○ 現在、企業でも長期計画を立てるのは、非常に難しい。福祉の分野も仕組みが変化する中で、長期計画を立てることは非常に難しいのではないか。
(発言4)
○ 自助努力で恒常的にレベルを高めていくというある種の共有できる理解を分かち合えるかどうかが、重要なのではないか。そう言う意味では、誰が行く、聞くかは大事なことではないか。
○ 施設の療養環境、生活環境の評価を行うには、非常に生活感が乏しいというのと、家庭の生活環境に非常に近い環境が実現しているという「対」の概念を用いると良い。
○ 評価をする人の教育や研修が大切である。
(発言5)
○ 利用者の満足度や好みを客観的に基準化することは難しい。
(発言6)
○ 調査項目の「対象領域4.福祉サービスの適切な提供」は、聞き取り調査だけでなく、実際に提供場面の視察が必要なのではないか。
(発言7)
○ 福祉サービス利用者自身の観点を基準の中に盛り込むことは、非常に重要である。そのために利用者の中で委員会を設置したり、利用者代表が答える仕組みや施設の管理者側と中間職員と利用者の三者が評価する仕組みができないものか。
(発言8)
○ 1日の調査で全てのことを明確にしようとすると種別の特殊性と汎用性という矛盾点がでてくるのではないか。施設の種別ごとによく知った人が調査員として行った方がよいのかどうかやひとつひとつの項目について、各種別ごとのポイントまで考えることには限界がある。最終的には行く人の技量によるところが大きいのではないか。
(発言9)
○ この検討会や全社協の福祉サービス評価事業共同委員会で福祉サービス全般の基準を作成しているがこの基準を基に、障害保健福祉部の方では既に障害者関係の施設の福祉サービス評価基準を作成している。今後、児童関係も作成する予定となっている。
(発言10)
○ 施設は努力していくための目標をもっていることが必要であるので、そういう視点が入っている評価システムでなければならないし、自己評価と第三者評価の比較をきちんとしていくことで望ましいサービスが提供していけるのではないか。
○ ただ、この評価基準は監査ではないといいつつも、施設側は負担に感じてしまうのではないか。
(発言11)
○ この評価基準を用いて第三者評価だけでなく、自己評価や利用者による評価を行うことも大事だと思う。
○ 排泄の場合にプライバシーの確保に配慮しているかどうかについては、調査する側と処遇する側とでは考え方が違ってくるので、評価者によって考え方が左右するような質問は避けて、より具体的な質問にする必要があるのではないか。
○ また、他にも解釈によって違いのでてくる質問がたくさんあるように思われるので、より具体性をもった質問の方が良いと思う。この点は、試行審査の中でも指摘されているので、抽象的な表現を具体的な表現に直した方が良いのではないか。
○ 対象領域は6つあるが、各領域によって聞く相手が違ってくるのではないか。誰にどういう状況下で聞くかを考えていかないと本音が出てこないのではないか。
(発言12)
○ 第三者評価の目的は、利用者が選択する材料、資料を出すということであり、利用者側がどの程度サービスに満足しているかは、客観的とういうより主観的ではあるが、これを行い、その後、総合評価を行う必要があるのではないか。
(発言13)
○ 評価項目には、構造、過程、結果の3つが重要であり、結果の部分で利用者がどういうふうにサービスを受け止めているかということを何らかの形で抽出する必要があると考える。
(発言14)
○ 各委員から発言のあった点などを軸として、できるだけ客観的な評価をしていくとサービスが平準化していくだろう。客観的にサービスを眺めていくと、今のサービスにプラスアルファーするものが明確かつ具体的に見えてくるのではないかと思う。そのための指標として第三者評価というものが使われていくことが良いのではないか。
○ 利用者の満足度については、客観化が困難であると整理しているが何らかの形で反映は必要であろう。例えばアンケートの方法など工夫を凝らしてやらなければならない。
(発言15)
○ 利用者が選ぶときは、客観的な評価で十分であり、主観的な評価はいろいろな団体で行えば良い。 ○ 第三者評価は絶対的なものではない。ある評価にすべてを盛り込む、すべて満足しなければ第三者評価はできないというのは危険である。
○ 第三者評価を国だけが実施することは危険であり、いろいろな団体が行い、消費者が幅のある選択のできる材料が提供されれば良いのである。

(2)今年度のまとめの検討について

(発言16)

○ 本検討会においては、総論の部分を検討しているが、現在各論としての障害児・者の施設の評価基準がまとまりつつあり、お互いの関係をきちんと位置づけ、受け取る側が明確にわかるように書き方に工夫すべきではないか。
○ 第三者評価と監査の違いや苦情解決と苦情解決、オンブズマン、権利擁護事業、成年後見制度といった新たな概念を施設職員が読んで位置づけがわかるような説明も加えてはどうか。
(発言17)
○ 利用者側の選択の要件のひとつとするのであれば、認証まで行うことを前提に考えた方が良いのではないか。
(発言18)
○ 「対象領域4.福祉サービスの適切な提供」に「居住」の項目をいれる必要があるのではないか。
(発言19)
○ 第三者評価を受けた場合の効果についても盛り込んでいただきたい。
(発言20)
○ 評価で止めるか認証まで行うかは金が伴う問題であり、最終的には利用者の負担にもなるので、十分な議論が必要である。 ○ 第三者評価は他のサービス分野ではあたりまえで、福祉分野が先頭を切って行っているのではないことを併せて情報提供しないと混乱を招くことになる。
(発言21)
○ 事業者団体であっても第三者評価機関になれるというのは、問題があると思う。事業者が行った場合、公正性を担保することは無理ではないか。
○ 多くの事業者が第三者評価を受けることが望ましいから、多くの評価機関が必要であるとの論理は間違っている。第三者評価を受けることのインセンティブやメリットがなかったら多く評価機関があっても仕方がないと思う。
○ 「福祉サービスの質の向上のための措置」で事業者や国に努力義務しか課していないのは甘いのではないか。
○ 「組織運営についての利用者の尊重が明確にされた基本方針が明文化されているか」という問いの判断基準について、利用者の尊重を明確にした基本方針の表現がはいっていない場合にbとするのはおかしいのではないか。
(発言22)
○ 第三者評価は、相当の費用がかかるのではないか。このため、第三者評価機関についても、どう考えるかの方向性が必要ではないか。
(発言23)
○ 強制力とお金をきちんと出す方法を考えないといけないのではないか。
(発言24)
○ 介護保険のオンブズマンやのシルバーサービス振興会のマル適マークと第三者評価との関係を整理しなければならない。
○ 行政が行っている仕事に関してはチェックができるが、民間業者についてはその権限はない。そのためには、第三者評価の組織を作らせて自助努力で行う他に方法がない。
○ 第三者評価機関を、多く認定したところで、それぞれの評価が食い違ったものであった場合、社会に共通した権威づけになるのか。シルバーサービス振興会のマル適マークのような全国に共通するベースがないと無理ではないか。
○ 第三者評価が行う評価・認証情報の提供について、国が情報公開のガイドラインを考えるべきではないか。
(発言25)
○ ここで検討している第三者評価機関は総論であるが、各論となったときにどれくらいの種類を想定しているのか。各種別毎の評価基準を用いて、どこが第三者評価を行うのかシステム的にきちんと押さえておかなければいけない。

(発言26)

○ 「福祉サービスの質の向上のための措置」が経営者と国の努力義務ではないとの意見があったが、全ての施設で第三者評価を受けて認証、評価を発表すれば、これは完全な強制である。評価を受ける受けないということは、意欲の問題や経費の問題など全て絡み合っている話ではないかと思う。
○ 総論と各論の話については、いくつかの施設種別で並行して検討を続けているということなので、もう少し詳しく説明すればわかるのではないか。

6 次回の日程等

 次回の日程等については、調整後連絡することを確認して閉会。 (以上)


照会先
社会・援護局施設人材課
樫岡宗吉(内2862,直3595-2616)


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