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医療保険福祉審議会 第28回運営部会議事要旨


1.日時及び場所

平成12年2月3日(木)9:00〜11:00
特別第一会議室

2.出席した委員等

塩野谷、見坊、下村、中西、青柳、喜多、山崎、柳、水野、蒲生、村上、成瀬の各委員
井出本専門委員

3.議題

(1) 健康保険制度等改正案について
(2) 平成12年度における老人保健拠出金関係政令の制定について
(3) その他

4.審議の概要

1)はじめに、健康保険制度等改正案及び平成12年度における老人保健拠出金関係政令の制定について答申案が示され、その後、答申案についての発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(青柳委員)

○ 各委員の意見が答申に反映されており、基本的には賛成。
○ 答申案の中にもあるように、介護保険の第2号被保険者について、保険料徴収の考え方の矛盾が露呈している。反省及び責任の所在を確認することが必要ではないか。
○ 抜本改革については、高齢者医療制度を除くほかの懸案事項は、それぞれの場で比較的良い方向に動き出していると思っている。しかし、それはイコール保険財政の改善ということではなく、医療体系、医療全体を見たときにはいい方向に進んでいるという理解をしている。
○ 高齢者医療制度の抜本改革に向けて、2年間という予定であるということであり、経済不況がいますぐ回復に向かうわけでもない。また、本年4月1日から介護保険制度がスタートし、それに伴ってそれぞれの保険者が予算も含めた準備が必要であろうと思う。したがって、この答申案を厚生大臣に答申すべきである。
○ 保険料率の上限撤廃については、そもそも一般医療保険と介護保険料を同じ枠の中で算定するということ自体に矛盾があると考えており、その考え方をとりあえず改める必要がある。

(村上委員)

○ 前回案が修正されたことは認めるが、依然として不満。意見を集約して一つにまとめる努力のあとが全然見えない。1人の意見でも多数の意見でも同列に扱われている。
○ 若人の薬剤一部負担の廃止問題については、「反対であるとする意見があった」とあるけれども、やるべきだという賛成意見があったのか。反対意見しか出なかったのではないか。
○ 高額療養費見直しについても、意見のウエートづけがされていない。
○ 保険料率上限の見直しについては、圧倒的に反対意見が多かったのではないか。賛成論者は蒲生委員と青柳委員の二人であるけれども、このような事態を招いたのは、抜本改革をことごとく阻止してきた診療側の対応にあると思っている。これについても、是非ウエートづけをした表現をお願いしたい。
○ 全体としては良い方向に進んでいるというご発言であるが、医療審議会においては2年間も審議をし、その審議の中から会長としての見解を出され、それで進もうと思われたものについても、ことごとく医師会側の反対によって混迷しており、全体として改革の方向に向いているとは到底思えない。
○ 厚生省としては、意見を列記して、自分たちのやりたいところだけ取ればいいという意図としか思えない。それでは同意しかねる。

(柳委員)

○ 高額療養費の見直しについて、2行目の「また」以下に、「医療費が増えるほど負担が重くなる」とあるが、これでは現行の一部負担制度についても該当することになり、文章を工夫する必要があるのではないか。
(成瀬委員)
○ 村上委員からもご指摘があったように、意見を並べただけであって、意図が全然見えない。こうした文章でそのまま納得してほしいといわれてもなかなか難しい。
○ 第2号被保険者の保険料の徴収の仕組みについては、案文ではやや文章が不十分。事業主負担の問題をきちっと取り上げてもらいたい。
○ 答申というのは、この審議会の意見の集約への努力というものが反映されて、審議会としての目指すべき方向が見えるものにすべき。単なる賛成論と反対論の並列では先が見えてこない。この案で賛成というのは大変難しい。

(中西委員)

○ 全体の書きぶりとしては両論併記でやむを得ないのかなと思う。老人の定率負担の導入にかかわる内容については、これで認めたい。
○ 高額療養費については、病気をすればさらに負担が増えることになるが、病人の方も弱者の一人と考えれば、もう少し配慮が必要なのではないか。積極的に評価する意見も確かにがあったが、反対の勢いのほうが強かったような感じを持っている。
○ 保険料上限の問題については、抜本改革を実行に移していくということを条件として、やむを得ないものと考える。

(蒲生委員)

○ 介護保険が4月にスタートすることになるが、そこで保険料上限の見直しを行わない場合は医療保険の財政運営に大きな支障が起こる。従って現実的な対応としては、見直しはやむを得ないのではないか。

(村上委員)

○ 健保組合に対して助成金が出るのではないか。そのデータを頂きたいと要望したにもかかわらず出ていない。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 介護特別対策については、どのように交付するかということについて最終的な詰めを行っているところであり、データをまとめるというところまで至らなかったものである。

(村上委員)

○ そういった詰めがないまま上限率を引き上げるのは、乱暴過ぎるのではないか。実際にどういうことになるのかという姿を見せて、どうしても仕方がないので実施する、というのが先決である。支払側は反対し、診療側が賛成したと明確に示して頂きたい。
○ 委員の意見が強かったものは、強い意見があったとウエートづけして、方向性を出すべき。ただ意見を羅列するだけでは方向性が出ない。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 介護特別対策の基本的な考え方は、介護保険料だけが高いかどうかということではなく、一般の医療分と介護の分を足して、非常に財政状況の悪くなるところに財政支援をしようということである。従って、介護保険料が高いということのみをもって財政支援が行われるわけではなく、どういうところを対象とするかということについては、さらに検討する必要がある。
○ また、今回の介護特別対策は、現在の一般の健保組合に対する助成と同じように4分の3という限定がつけられており、全額が助成されるわけではない。
○ 現在の法律では、2号保険料は国庫補助があったからといって下げられる仕組みにはなっておらず、どんなに料率の高いところでも2号保険料は取らなければならない。従って、財政支援については、介護保険料を下げるためではなく、むしろ全体としての一般医療の保険料の抑制などに使っていただき、そのことによって全体としての負担を抑制するという考え方に立って実施するものである。

(村上委員)

○ 今の答弁は、診療報酬のネット0.2%アップを前提としての答弁である。2年前の診療報酬改定の時に使った公式を使えば、診療報酬改定はグロス−0.4%であってしかるべきで、それに薬価で−1.7%ということになれば、ネットでは−2.1%という改定になるはずである。その公式を今回は全然使わず、中医協でまとめる努力もしないまま政治決着を行い、負担だけ我々に押しつけるのはいかがなものか。診療報酬が−2.1%改定で、さらに介護特別対策のような助成が行われれば、当面上限率を上げなくても大丈夫であるはずである。

(水野委員)

○ 長い間審議会の委員をつとめてきたが、今回の案ほど当局に対して強く反対の意見を書いたという記憶はない。村上委員の方向性を出せという主張は理解できるけれども、答申案の最初の○が、全体の意見を端的に示すものであるものと考えている。
○ 過去の審議会においても、賛成が何票で、反対が何票であったという記述はあまりしていない。今回の案については、さまざまな配慮をした結果、これまでに比べればかなりきつい言い方を最初の○のところでしたものである。
○ 最初の○以下については、いろいろな意見を並べたと言われればおっしゃるとおり。これを、ここで何人賛成で、何人反対というのは、まとめる側としては無理ではないかと思う。
○ 従来のものと比べれば、今回の案はかなり反厚生省的な内容であるということは間違いない。このテーマについては賛成何人、反対何人という書き方では、完全に星取表みたいになってしまい、まとめることが困難。今回の案で一番強調したいのは最初のフレーズであって、これがほとんど全体の意見である、ということでご了解いただきたい。

(井出本専門委員)

○ 水野委員のご発言では、多くの意見であったものを前段に書いて、それで重みをもたせたということであるが、そういう意見を厚生省側が最終的なまとめにあたってどう配慮して法案の中に生かしていくのかということが問題。これまでの事例を見れば、厚生省は最後の「やむを得なかったもの」というところしか見ないのではないか。従って、厚生省のしかるべき方、例えば局長が、水野委員の意見はよくわかった、それを重々勘案、斟酌しながら今後は対処する、ということを言われるならば、水野さんが言われた道理も理解できないわけではない。

(下村委員)

○ 全体として、今回の案が大変立派ないい案であって、積極的に賛成だ、この案を評価するという意見はなかった。そういう意味では、この案の内容自体については反対だという意見がこの審議会では支配的であったと思う。
○ ただし、反対だけれども仕方がないのか、それとも反対だから一から考え直すべきであるというのか、その点で意見が分かれているのではないか。健康保険組合の現在の状態から言えば、諮問案でいいという意見はないが、しかし一からやり直せということもできない、非常に困った状態である。
○ そういう状況の中で選択を迫っているということについて、第1のパラグラフのところで書いてあるということであるが、今回の答申案ではまだ表現不足であると考えている。
○ 高額療養費制度については、医療費が増えるほど負担が重くなるというのは社会保険の理念に反する、という意見はなかったのではないか。柳委員がおっしゃったのは、上位所得者という概念を導入して、保険料は高く取るけれども給付は低くてもいいという考え方は社会保険の理念に反する、ということではなかったか。そうであるならば、私もそのとおりだと思う。
○ 第2号被保険者の介護保険料徴収方法については、徴収の仕組み自体に問題があることも確かであるが、負担問題についての意見も出たわけであり、この点についても明記されてしかるべきではないか。

(村上委員)

○ この審議会で議論してきたことに対する各委員の発言を、意見書に正確に反映していただきたい。一人が言っても、多数が言っても同じ扱いというのは不公平ではないか。意見が多ければ多かったとか、強い意見があったとか、ほかにこういう意見もあったとか、両論併記する場合は正確にしてもらいたい。

(水野委員)

○ 他の皆様からご意見がないようであれば、今日中に答申を出すということで、ここで休憩にして、会長と私で検討させていただいて、改めて案を出したい。

(塩野谷部会長)

○ 他の委員のご意見をうかがいたい。

(喜多委員)

○ 言いたいことはたくさんあるけれども、水野先生や部会長にご尽力いただいて本日の案ができたことを考えれば、仕方がないというところである。休憩をして、直せるところがあるのなら直していただき、できるだけ本日中にまとめていただきたい。
○ これだけ議論をよんでいるのは、少なくとも、医療保険制度について抜本改革を平成12年度にやるということで進んで来て、介護保険制度についても絶対に市町村、保険者に迷惑をかけないと言っていたのに、そうはなっていないというところに問題がある。

(見坊委員)

○ 社会保険の理念と、現行の医療保険制度あるいは介護保険制度との関係についてなど、基本的な点で議論を尽したとは思っていない。税が半分入り、保険料は強制的に徴収されるという制度において、本当に保険といえるのか、という素朴な疑問もある。
○ 戦後50年の間やってきたことを、いま21世紀を前にして大きく変えるのは当たり前だと言われるけれども、それではおそらく100年以上の沿革、歴史を持っている共済制度、恩給制度に始まる国家公務員の共済制度については、現状のままで良いということになっているのか。これからの21世紀の社会保障制度、そして、少子・高齢化社会の急速な進行、といったことの中で果たしてこれでいいのかという議論がある。
○ 介護保険が4月から発足するけれども、その時に必ず2号被保険者が40歳から64歳というのはどういうことだ、という議論が出てくることは間違いない。老人医療保健制度は昭和48年老人福祉法の中で始まったものであり、そもそもは老人福祉の理念があった。その後、昭和51年から老人医療費の膨張に歯止めをかけようとして大蔵省の所得制限が始まり、私どもとしては厚生省と一体になって反対運動をした。しかし、やがてそれは時代の流れということで老人保健法の制定につながっていき、保険の論理といったことが出てきたものである。
○ そういった歴史的経緯を踏まえた議論というのを、これまでやってきていない。したがって、各委員のおっしゃっていることはもっともであると思うけれども、議論を尽したとは言いがたい状況の中で、本日の案のようにそれぞれの意見が併記された。これは実態をそのまま書いたものであると考えている。
○ 抜本改革は厚生省の事務当局だけに求めても無理であり、各当事者間において、我々自身がお互いの身を削ってでも抜本改革をやるという決意がなければ、事務当局もまとめきれるわけがない。したがって、事務当局の決意を迫るのであれば、我々自身の気持ちも含んで書くべきであり、そうでなければ今回のこれだけの時間を費やしての論議は全く無意味で、ただ厚生省の出方待ちになってしまうのではないか。
○ 水野先生がおっしゃったように、最初の段落がポイントであろうと思う。場合によっては、課題を残すという意味において、その旨をはっきりと書くことも無意味ではないと考えている。いずれにしても、休憩をしてでも本日中に仕上げていただきたい。

(山崎委員)

○ 時間を尽したという実感はないけれども、タイムリミットということであれば、本日答申をとりまとめるのはやむを得ない。
○ 2つ目のパラグラフのところで「これらの諮問案について反対であるとの意見がある一方、結果的にはやむを得なかった」という書きぶりについては、あまりにも並列的な表現ではないか。
○ 定額負担については、選択制に対する意見があったはず。諮問案の内容は技術的に複雑である、という表現でくるんでしまっているけれども、選択制についても検討する、といったこともお入れいただきたい。
○ 前回資料087の中で、高齢者医療制度については省内にチームをつくって平成14年度を目途に検討していく、というくだりがあったが、果たして省内のチームだけでやりきれるのか。また、検討が本当にできるのか。この件については意見があるけれども、直接答申案に関したことではないので、議事録として残しておいていただきたい。

(塩野谷部会長)

○ 本日まとめなければならないという要請もあるので、もう一度この答申案を検討させていただきたい。約30分休憩とする。


2)以上の意見を踏まえ、部会長から最終案が示され、了承を求めたところ、各委員から「異議なし」として答申案が了承された。その後、部会長から「平成12年度における老人保健拠出金関係政令の制定について」に関する答申書(案)が示され、原案通りの内容で答申することとされた。


3)その後、今回の議論について各委員から意見・要望が出されたが、その概要は以下のとおりである。

(村上委員)

○ 介護保険の施行が目前に迫っているのに、与党から注文がついて、運営要綱を変えるという話を聞いたが、これについては現行どおりでやっていただきたい。今から運営要綱を変えられてはたまらない。

(下村委員)

○ 今回の答申に基づいて法案が決められるわけであるが、法案が決まったら、その内容を至急、場合によってはその説明も含めて教えていただきたい。今回の資料だけでは法律の形はわからないところがあるので、でき上がった法案について早急な情報提供と説明を頂戴したい。

(塩野谷部会長)

○ それでは、本日はこれで閉会とする。

(了)


照会先 保険局企画課 渡辺(内線3228)


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