00/01/28 年金審議会全員懇談会・総会議事録 年金審議会総会・全員懇談会議事録 日時 平成12年1月28日(金)14:00〜15:05 場所 全国都市会館第2会議室 I 総会  1.開会の辞  2.新任委員紹介  3.委員出席状況報告  4.幹部紹介  5.議事 ・平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による年金の額の改定の特例措 置案について II 全員懇談会  1.開会の辞  2.議事 ・平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による年金の額の改定の特例措 置案について III 総会  1.議事 ・平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による年金の額の改定の特例措 置案について  2.閉会の辞 IV 全員懇談会  1.議事 ・年金制度改正法案の状況及び平成12年度年金関係予算等について  2.閉会の辞 〔出席委員〕   岡 崎 委 員  砂子田 委 員   木 原  委  員  国 広 委 員   神 代 委 員  坂 巻 委 員   高 山  委  員  都 村 委 員   富 田 委 員  目 黒 委 員   山 田  委  員  吉 原 委 員   渡 邊 委 員  船 後 委 員 ○ 事務局   目黒委員は御出席とのお話でございましたが、まだお見えになっておりません。まず 初めに事務局よりお断りを申し上げたいと思います。本日、京極会長におかれましては インフルエンザにかかられたということでございまして急遽御欠席されることになりま した。つきましては、年金審議会令第4条第3項の規定に基づきまして、岡崎会長代理 に本日の議事進行をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 岡崎会長代理   それでは、会長に替わりまして議事進行を務めさせていただきますので、どうぞよろ しくお願い申し上げます。  ただいまより年金審議会総会を開会いたします。  まず、昨年10月29日付で富田孝委員の後任として全国町村会幹事埼玉県花園町長の富 田惠三さんが新たに委員に任命されましたので御紹介申し上げます。  それでは、富田委員から一言ごあいさつをお願いいたします。 ○ 富田委員   ただいま御紹介いただきました花園町長の富田でございます。前の委員も私ども埼玉 県からの選出ということでございますので、不肖ではございますが、御退任の後を受け まして私がお世話になることとなりました。皆さん方に御指導いただきながら全力を尽 くして年金関係の協議をしてまいりたいと、かように考えております。よろしく御指導 のほどをお願い申し上げます。 ○ 岡崎会長代理   次に、委員の出席状況について事務局から御報告をいただきます。 ○ 事務局   本日は、先ほど申し上げました京極会長が御欠席でございます。久保田委員、福岡委 員、桝本委員、宗岡委員、山根委員、貝塚委員が御欠席でございます。  目黒委員につきましては、先ほど申し上げたとおりこれからお見えになるのではない かと思っております。その他の委員は御出席でございます。 ○ 岡崎会長代理  議事に入ります前に、前回の年金審議会以降に厚生省幹部の人事異動がございました のでごあいさつをお願いいたします。 ○ 事務局   私の方から紹介をさせていただきます。  まず、吉武大臣官房審議官年金担当でございます。  小島社会保険庁運営部長でございます。  坂本年金局数理課長でございます。  石原数理調整管理室長でございます。  深田社会保険庁運営企画室長でございます。  山崎社会保険庁数理調査室長でございます。  牧原社会保険業務センター総務部長でございます。  申し遅れましたが、私、年金局企画課長の福井でございます。どうぞよろしくお願い をいたします。以上でございます。 ○ 岡崎会長代理   それでは議事に入りたいと思います。お手元にお配りしてありますとおり、本日は平 成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による年金の額の改定の特例措置案に ついて諮問がございましたので、これについて御審議をお願いしたいと存じます。  まず、事務局から諮問書の朗読をお願いいたします。 (事務局より諮問書朗読) 平成12年1月28日年金審議会 会長 京極純一殿 厚生省大臣 丹羽雄哉                   諮 問 書  平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による年金の額の改定の特例措置 を別添要綱のとおり講ずることについて、国民年金法(昭和34年法律第141 号)第6条 及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115 号)第5条の規定に基づき、貴会の意見を求 めます。 平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による              年金の額の改定の特例措置案要綱 1.年金額の改定の特例措置  平成12年度において特例として、国民年金法による年金たる給付、厚生年金保険法に よる年金たる保険給付等について、平成10年の年平均の消費者物価指数に対する平成11 年の年平均の消費者物価指数の比率を基準とする額の改定の措置を講じないこととする こと。2.施行期日  この特例措置は、平成12年4月1日から施行すること。 ○ 岡崎会長代理   それでは、年金局長から諮問内容について趣旨説明をお願いいたします。 ○ 年金局長   ただいま御諮問申し上げました法案の趣旨につきまして御説明申し上げたいと思いま す。  皆さん御案内のとおり、公的年金は完全自動物価スライド制がとられているわけでご ざいまして、1月から12月までの物価の変動に応じまして、翌年4月からその変動に応 じた年金額の改定をするという仕組みになっておるわけでございます。  ところが、昨年の1月から12月までの物価の変動を見ますと、今日発表があったわけ でございますけれども、0.3 %物価が下がったということでございます。したがいまし て、本来ですと今年の4月から0.3 %年金も下げなければいけないということになるわ けでございますけれども、現実問題といたしましては現在の厳しい経済状況、特に年金 額の引下げというものが消費マインドを冷やすのではないか、それによって更に景気に も悪影響を及ぼすのではないかということが懸念されますので、物価は若干下がったわ けでございますけれども、年金額は据置きたいと考えておるわけでございます。  そういうことで、特例法案を今度の国会に提出したいと考えておりまして今日の諮問 に至ったわけでございます。何とぞ十分御審議の上、速やかな御答申をお願いしたいと 思います。 ○ 岡崎会長代理   どうもありがとうございました。今回の諮問に関する審議につきましては、この場を 総会から全員懇談会に切り替えて行うこととしたいと思いますが、いかがでございまし ょうか。 (「異議なし」の声あり) ○ 岡崎会長代理   それではこれで総会を終了いたしまして、引き続き全員懇談会を開催することといた したいと思います。 (総会閉会・全員懇談会開会) ○ 会長代理   それでは、これより全員懇談会を開催いたします。  本日は出席委員の御都合もあるように伺っておりますので、まず先ほど諮問のござい ました件について審議を行った上で総会を再開して答申まで行いたいと存じます。その 後に全員懇談会を再開いたしまして、平成12年度の年金関係、予算等の説明を受けたい と思います。  それでは、先ほど諮問のございました平成12年度における国民年金法、厚生年金保険 法等による年金の額の改定の特例措置案につきまして審議を行いたいと思います。特例 措置案の内容等について、事務局が資料を用意しておりますので説明をお願いいたしま す。どうぞ。 ○ 事務局   資料の1をごらんいただきたいと思います。ただいま局長から御説明を申し上げまし たので重複はしないようにいたしたいと思いますが、この1年間の物価が0.3 %下落い たしました。これは、本日の朝の閣議で明らかになったところであります。したがいま して、法律どおりに運用いたしますと今年の4月までに政令を出して0.3 %の年金額の 引下げを行うということになるわけでありますが、社会経済情勢にかんがみまして今回 0.3 %の引下げを行わないことにしたいということであります。  真ん中に数字がありますが、0.3 %そのまま仮に引き下げるといたしますと、厚生年 金のモデルの場合であれば大体月額24万円という方について、マイナス720 円、国民年 金のケースであればモデルに対してマイナス200 円という引下げになるわけでありまし て、これが給付費ベースで1年間通してみますと772 億円、国庫負担で137 億円という 影響になるわけであります。今回引き下げないで止めるという法律をできれば提出させ ていただきまして、年度内に成立させていただきたいという希望でございます。  また、一番下に書いておりますが、実は前例がございまして、平成8年度におきまし て、このときも前年度物価が0.1 %下がったところでございます。そのときも同様に特 例法を出しまして引下げを回避いたしました。  参考までに申し上げますと、この年は0.1 %下がりましたが、翌年0.1 %物価が上昇 いたしまして、そのときは引き上げないということで復元したという経験がございま す。したがいまして、今回も0.3 %引き下がりますが、この後の動向はまだ明らかでは ありませんが、政府の経済見通しによれば来年0.3 %の物価の上昇も計算上見込まれて おりますので、その場合には復元することもあるのかもしれません。その辺の数字につ きましては、今後の1年間の動向を見守ってまいりたいと思います。  それから、前回の御審議の際に小幅な物価の変動について年金額を上げたり下げたり することはいかがかということでいわゆるゾーンと申しますか、そういう枠を決めてそ の範囲の変動であれば年金額を調整はしないということについて御議論を賜り、宿題を いただいております。これにつきましても先生方御記憶かもしれませんが、今回の年金 法改正の御審議の中で2回ほど御討議いただきましたけれども、確かにそういうものの 事務的な経費を考えると、小幅なものについて上げたり下げたりしないというお考えも ございましたけれども、一方でやはり年金は物価が上がれば上がるし、下がれば下げる と自動的に処理する方が安心につながるのではないかとか、あるいはどこで枠を引くか ということで0.3 ならばいいのか、0.5 ならばいいのか、あるいは1%ならばいいの か。かつては5%という枠を持っていたわけでありますが、そういう線引きも非常に難 しい問題がある。こういった御議論も賜りまして、その審議の整理としてはゾーン制を とるという結論はいただかなかったところでございます。したがいまして、今回また特 例としてこういうものを考えさせていただいたところであります。以上でございます。 ○ 会長代理   どうもありがとうございました。ただいまの説明を受けまして、本日の審議事項につ いて御意見がございましたらお願いいたしたいと思います。どなたからでもどうぞ。 ○A委員  今の御説明ですと、0.3 %程度というのはそう大きな額ではないからというよりは、景 気対策上好ましくないからということですね。つまり、将来的にまた0.3 %ぐらい下が るようなことがあっても、今みたいな景気状況でなければ、そのときはまた別に考える という御趣旨ですか。 ○ 事務局   おっしゃるとおりでございます。小さいから改定しないという考え方ではございませ んで、現下の社会経済情勢の下に判断したということでございます。 ○ 会長代理   それでは、ほかの委員の方どうぞ。 ○ B委員   同じような趣旨の質問でありますけれども、物価の変動に応じてということはプラス もマイナスもあるという前提ですね。これは自動的というのは、もし法律でそういうふ うに改正になれば過去に物価が下がったときに下げた例が平成8年度以外にあるんでし ょうか。 ○ 事務局   過去に下げたという例はございません。 ○ B委員   そうしますと、恐らく変動とはいうものの、物価は大体、常に上昇するものというこ とを前提に置いてこの法律の趣旨を考えておられた。それで、たまたま予想に反して下 がるようなケースがこの一、二回出てきた中で、やはり下がることは好ましくないとい う解釈になると思うんです。なぜかといいますと、物価が下がるときに景気がいいとい うことはちょっと考えられないんです。したがいまして、その社会経済情勢にかんがみ というのはかなり恣意的な判断をすることになると思いますので、そういう意味では物 価が下がるということはそもそも予想していなかったということになる。物価が下がり ながら経済情勢として上がることが今後あり得るんでしょうか。そうすると、自動的だ という法律とは矛盾するような感じがするんです。 ○ 事務局   法律には右肩上がりという趣旨があるわけではないのでありますが、確かに年金の財 政再計算、今回の計算を見ましても物価が1.5 %ずつ上がっていくような前提で計算を していて、そういう傾向があることはおっしゃるとおりであります。また、今後0.3 % なり幾ら下がったら必ずその支えをするのかということになりますが、それは恐らくそ の時々の判断をしていくということで、これを以後踏襲するというわけではない。特例 というふうに考えています。  極端な例を申しますと、完全に物価が右肩下がり基調になった場合に年金額を固定し ますと、それは毎年ベースアップをしているのと同じになりますので、恐らくそういう 局面になればまたその段階でどうするかという最終判断があろうかと思います。 ○ C委員   今回のこの措置はやむを得ないと私自身は考えているんですが、ただ、物価が例えば 0.3 %上がったときはスライドをちゃんとするんですよね。0.1 %上がっても多分する だろうということで、やはり物価の上下の変動に対してその扱いが対照的でない形に特 例を繰り返す形でやってきているわけです。現役のサラリーマンが今どういう状況に置 かれているかというと、ボーナスがカットされたとか、月給も下がったとか、あるいは 職を失ったとか、そういう人たちが結構いるわけです。それで、全体としてみても月給 が下がった人の方が結構多くて、現役の人たちがむしろ所得が下がっているときにOB だけ、年金受給者だけ年金額は一定ですよというふうにすることがいいのかどうかとい うのは、もう一回議論する必要がある問題だと私は思っています。それで、前回の審議 会答申に向けて議論が煮詰まらなかったということだと思うんですけれども、やはり ゾーン制の議論をやはりした方が私はいいというふうに考えています。  ただ、今回に関してはやむを得ないというふうに私自身は考えております。 ○ B委員   私も最終的にはこの中で特例措置をするということは、そういう多数意見になるだろ うということで同時にやむを得ないと思いますが、民間企業の立場からしますと今、C 委員がおっしゃいましたけれども、私どもは少なくとも業績においてボーナス、賞与は 相当上下します。そのパーセンテージは、恐らく企業であれば10%の増減はあるわけで す。したがいまして、法律に自動的と書いてあることで、たかだか0.3 %も下げられな いというのは非常に下方硬直だ。それがもし景気に影響を与えるということを判断され るのであれば、民間企業における今のような状況の中で相当総賃金では下げざるを得な い状況、これに対して別途景気浮揚策としてとらえるべきでありまして、この年金の中 でそういう形をとるのが本当に妥当なのかということを非常に疑問に感じています。 ○ D委員   やむを得ないということに賛成なんですが、今の政治を見ていますと負担を安易に先 送りする傾向というのはどうしても見られるので、年間772 億という先送りがかなり後 になって響いてくるのかどうか、この点の積立金も結構あるわけですから、そういう財 政的な影響力というのはどういうふうに厚生省はお考えになっているのかということを ちょっと伺いたいと思います。 ○ 事務局   財政的な影響でございますけれども、来年もし0.3 %また物価が上がりまして復元す れば、これはこの1年間だけのいわば下支えになりますので財政影響はそれにとどまる ということでありますが、その辺は将来の物価の展望いかんで変わってまいりますが、 いずれにいたしましても全体の給付の規模からしますと、最終保険料に跳ね返るほどの 影響は生み出せないのではないかというふうに考えております。 ○ 会長代理   ほかに御意見ございませんか。 ○ E委員   今の御議論をお聞きしました上で、私は賛成でございます。 ○会長代理  それでは、ほぼ御意見等は出尽くしたようでございますので答申の取りまとめの議論に 移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○ 会長代理   ありがとうございました。それでは、ただいまの御議論を受けまして私たちの方で答 申案を用意させていただきますので、しばらくの間、休憩ということにいたします。 ちょっとお待ちください。 −休憩− −再開− ○ 会長代理   それでは審議を再開することにいたしまして、答申案をお手元に配布させていただき ます。 (事務局より答申案配布) ○ 会長代理   まず、事務局から朗読をお願いいたします。 (事務局より答申案朗読)        平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による 年金の額の改定の特例措置について答申  平成12年1月28日厚生省発年第5号をもって諮問のあった標記については、物価スラ イドの在り方や年金財政などを考慮すれば、本来は物価変動に応じた年金の額の改定を 行うことが原則であるが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成12年度の特例としてや むを得ない措置であると考える。 ○ 会長代理   ありがとうございました。このような答申案でいかがでございますか。特に御意見が ないようでございますので、この案をもって後ほど再開する総会で答申の運びにいたし たいと思いますが、よろしゅうございますか。 (「異議なし」の声あり) ○ 会長代理   それでは、全員懇談会をこれで一たん終了いたしまして、引き続き総会を再開したい と思いますのでこのままお待ちいただきたいと思います。 (全員懇談会閉会・総会再開) ○ 岡崎会長代理   年金審議会の総会を再開することにいたします。  まず、事務局から答申案の朗読をお願いいたします。 (事務局より答申案朗読) 平成12年1月28日厚生大臣 丹羽雄哉殿 年金審議会会長 京極純一 平成12年度における国民年金法、厚生年金保険法等による 年金の額の改定の特例措置について答申  平成12年1月28日厚生省発年第5号をもって諮問のあった標記については、物価スラ イドの在り方や年金財政などを考慮すれば、本来は物価変動に応じた年金の額の改定を 行うことが原則であるが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成12年度の特例としてや むを得ない措置であると考える。 ○ 岡崎会長代理   ありがとうございました。何か御意見がございますでしょうか。  御意見がございませんようですので、答申を行いたいと思います。 いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○ 岡崎会長代理   それでは、これから答申を行うことといたします。本日は厚生大臣が所用のため欠席 されておられますので、年金局長に対して私から手渡すことといたします。 (岡崎会長代理から年金局長へ答申の手交) ○ 岡崎会長代理   ここで、年金局長から一言ごあいさつをお願いいたします。 ○ 年金局長   今日はどうもありがとうございました。ただいまいただきました答申に基づきまし て、必要な法案を準備いたしまして今度の国会に提出いたしたいと思います。どうもあ りがとうございました。 ○ 岡崎会長代理   それではこれで総会を閉会いたしまして、引き続き全員懇談会を再開することにいた します。 (総会閉会・全員懇談会再開) ○会長代理 それでは、これから全員懇談会を再開いたします。  まず、年金制度改正法案の国会審議状況、平成12年度の年金関係予算、平成12年度の 厚生省関係財政投融資資金計画につきまして事務局から説明をお願いいたします。 ○ 事務局   私の方からは、年金制度改正法案の国会審議の経過状況につきまして御説明をさせて いただきます。本日の資料の2をごらんをいただきたいと思います。  今回の年金制度の改革法案に関しましては、昨年の3月に当審議会の方から御答申を いただきました。その後、通常国会の提出が延び延びになっておったわけでございます が、7月27日に国会提出に至りました。  しかしながら、通常国会の閉会に伴いまして継続審査となったわけでございます。10 月29日から開催をされました臨時国会でございますが、11月16日に衆議院本会議で趣旨 説明、質疑が行われ、続いて厚生委員会での審議が始まったわけでございます。11月26 日の厚生委員会におきまして一部修正の上、可決され、12月7日の衆議院本会議で可決 をされまして参議院へ送付されたわけでございます。  一部修正の内容でございますが、資料の2ページ目をごらんいただきたいと存じま す。法案の附則2条、基礎年金の在り方に関します部分でございます。政府案におきま しては、基礎年金の在り方につきまして財政方式を含めて検討するということとされて いたわけでございますけれども、この財政方式に加えまして給付水準も含めて検討する ということと修正をされたわけでございます。参議院におきましては12月10日でござい ますが、本会議におきまして趣旨説明、質疑が行われ、14日の参議院の場合は国民福祉 委員会と申しますが、国民福祉委員会におきまして提案理由説明が行われましたが、翌 15日、臨時国会の閉会に伴い継続審査となったということでございます。  この内容につきましては、例えば学生の国民年金保険料の納付特例制度の創設、ある いは育児休業期間中の保険料の事業主負担分の免除といった、いわば国民から要望の強 い事項につきまして本年4月から実施をするということで盛り込んでいる項目もあるわ けでございます。  通常国会は御案内のような状況ではございますけれども、私ども4月からの実施とい うことを念頭に置きまして、この国会におきまして一日も早く成立させていただけるよ う、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。以上でございます。 ○ 事務局   引き続きまして、平成12年度の年金関係予算案の概要について御説明を申し上げま す。  資料の3をごらんいただきたいと存じます。そこに保険料収入、国庫負担、年金給付 費、積立金という大きな項目だけ4つ掲げてございます。この資料に基づきまして御説 明申し上げます。  まず最初の保険料収入でございますけれども、厚生年金の保険料収入につきましては 昨今の経済情勢を反映いたしまして被保険者の数が減っておるといったようなことで保 険料収入は減少傾向にございます。それを反映いたしまして、平成12年度におきまして も316 億円減の20兆9,550 億円ということで見込んでいるところでございます。また、 国民年金も同様に免除者等が増えまして減少傾向にございます。この傾向を見込みまし て、677 億円減の2兆1,904 億円という見込みを立てておるところでございます。  国庫負担でございますが、厚生年金の国庫負担でございます。これは基礎年金拠出金 の部分と、一部旧法の経過的な国庫負担がございますけれども、この国庫負担につきま しては受給者の増ということがございますので853 億円増えまして3兆7,209 億円とい う見込みを立てておるところでございます。それから、国民年金の国庫負担でございま す。これも基礎年金部分の給付費にかかる国庫負担でございますが、やはり受給者の増 ということで410 億円増の1兆3,637 億円という見込みを立てております。また、福祉 年金につきましてはだんだん受給者が減ってまいりますので、これは124 億円減という ことで684 億円という見込みを立てております。  それから、年金給付費でございます。最初の厚生年金の年金給付費、これは基礎年金 を除きます新法の2階の部分、それから旧法の厚生年金といったものが中心でございま すけれども、これも受給者が増えておるということで4,905 億円増えまして19兆5,898 億円という見込みを立てております。基礎年金の年金給付費でございますが、これもや はり受給者が増えておるということで9,022 億円増の8兆5,354 億円を見込んでおると ころでございます。国民年金の給付費でございますが、これは基礎年金を除きます旧法 の国民年金でございます。こちらの方は受給者がだんだん減ってきておりますので、 1,156 億円減りまして2兆7,354 億円という見込みを立てておるところでございます。 福祉年金につきましてもやはり受給者が減るということで、121 億円減りまして687 億 円という見込みを立ててございます。  そこに米印がございますが、先ほど御答申をいただきましたように消費者物価指数の 下落に伴う年金額の改定はしないということを前提に予算を組んでおるところでござい ます。 4番目の積立金でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように保 険料収入はだんだん減ってきておる。これに対して年金給付費の方は順調に増えておる という状況ではございますが、なお厚生年金につきましては2兆299 億円の黒字が出 る。国民年金については4,087 億円の黒字が出るという見込みでございまして、積立金 につきましてもその分の剰余金がプラスされるということで、制度の全体といたしまし て146 兆3,680 億円という見込みがされておるというところでございます。  2ページ以下は、ただいま御説明申し上げましたことを各会計別に細かく書いておる ものでございますので、後ほどごらんをいただければと存じます。 ○ 事務局   私の方からは、お手元の資料4に従いまして平成12年度厚生省関係財政投融資資金計 画の概要について御説明申し上げます。  御案内のように、平成12年度、13年度は郵便定額貯金の集中満期が到来をいたしまし て財政投融資、あるいは資金運用部の資金繰りが大変苦しい年になっております。その 関係で財投計画全体が17.4%の減ということでありまして、一般財投は4.8 %減、資金 運用事業については54.2%の減でございます。その中で私どもの厚生省関係の予算を組 んだわけですが、資料4の一番下にございますように平成12年度は7兆8,292 億円とい うことで、対前年度6.8 %の減でございます。  減の主な内容につきましては一番上の年金福祉事業団の市場運用事業につきまして、 このところ毎年新規運用額1兆円をいただいておりましたけれども、それが適用の右に ございますように新規資金6,700 億円ということで3,300 億円の減。それから2番目の 融資事業でございますが、融資事業の中の2の(2)の被保険者住宅資金貸付け、ここ で約2,000 億円の減でございます。ただ、この住宅事業につきましてはその下の括弧に ございますように事業計画額としてはほぼ前年度同ということになっております。  それから、下の方から2つ目の地方債、うち特別地方債が括弧内でございますが 1兆2,977 億円ということで前年に比べて約500 億円の減、トータルしますと先ほど申 しましたように厚生省関係全体では6.8 %の減でございますが、それぞれの機関あるい は特別会計におきまして事業執行に差し支えのない額を確保したということでございま す。  2枚目、3枚目は各機関・特別会計毎の詳細でございますので、お時間があればごら んいただきたいと思います。  4枚目でございます。本審議会でも御議論いただきましたが、平成13年度からは年金 積立金の預託義務がなくなるということで、平成12年度が本来の還元融資事業の最終年 度ということで改善すべき事業については改善をするということで予算を組んでおりま す。その関係で、例えば被保険者住宅資金貸付け、先ほどは総額を申し上げましたが、 貸付事業を大幅に改善する。例えばバリアフリー住宅の金利の引下げ、これをすること によりまして政府の長期固定の金利体系の中で最も低い金利がバリアフリー住宅に適用 されることになるといった改善を行っております。  それから、その次のページの年金担保貸付けの改善ということで、年金受給権を担保 にして貸付事業を行ってきておりますが、これが受給者の増等に伴って急速に伸びてき ております。この事業につきましては貸出期間が終わるまで、年金受給者に年金支給の 停止がされるということで受給者の所得の確保が難しくなって生活保護に陥るなどの指 摘がなされておりましたので、平成12年10月より年金の支給の停止を半分にするという 仕組みを導入いたしまして、年金担保資金の貸付けを受けている者の所得の確保につい て改善をするという改善内容でございます。  最後にお付けいたしましたのは御参考でございますが、財政投融資制度の抜本的改革 案ということで、大蔵省が資金運用審議会懇談会に昨年の12月16日に提案をしたもので ございます。これにつきましては本審議会でも御説明をしておりますが、財投改革の中 で預託という仕組みが廃止され、年金あるいは郵便貯金の資金が直接運用される。それ に伴う各種の措置について規定をしているものでございます。  一番下でございますが、実施時期につきましては平成13年4月より実施をするという ことでございまして、私どもの法案はこの改革に合わせて実施をするということになっ ておりますので、今国会で御審議いただいておりますけれども、この時期に合わせて年 金の自主運用を開始するということとしたいと思っております。以上でございます。 ○ 会長代理   どうもありがとうございました。以上、御説明を幾つかいただきましたが、御質問が ありましたらお願いいたします。どなたからでもどうぞ。 ○ F委員   最初に資料2の方の関連で不勉強で私は知らなかったんですけれども、基礎年金の在 り方で「給付水準及び」というのがアンダーラインを引いて加わっておりますけれど も、この給付水準のニュアンスはどういうことなんですか。上げる方なんですか、下げ る方なんですか。 ○ 事務局   国会の審議、これは衆議院の最後のところで与党から出た修正で、もともと発議は公 明党から出た修正だったと記憶しておりますが、そこの中で上げるとか下げるとか明解 に決められているわけではありませんが、いずれにせよ国庫負担2分の1を決めるとき に給付費について、基本的にやはり生活保護との関連であるとか、あるいは介護保険が 今回導入されると天引きされる、それとの関係を含めて御議論がありましたので、その 辺を国庫負担2分の1を入れるときに総合的に加味して検討したいというのが提案者の 御趣旨だったというふうに聞いております。 ○ F委員   一番最後に御説明がありました資料4の半額償還の新設なんですけれども、これは図 で見ますと一応全額支給停止して、そこに書いてありますように返済剰余金を送金する という格好になるわけですね。これは全額支給して送金する部分というのは年金になる んですか。 ○ 事務局   社会保険庁から出る部分は年金でございますが、事業団で半額を返済に充てた後、事 業団から本人に送る部分については年金という性格にはならないと思います。 ○G委員  財投の改革案というのは今度の国会に大蔵省から出るんですか。どういう名称の法律に なることになりますか。 ○ 事務局   出るということで、3月上旬の閣議を予定をしているということでございます。それ で、メインが資金運用部資金法の改正になるわけですが、資金運用部資金というのは法 律の名称とともに改正をされるというふうに聞いております。 ○ G委員   どういう名前の法律なんですか。 ○ 事務局   まだ各省に正式に提示をされておりませんので、わかり次第、御報告申し上げたいと 思います。 ○会長代理 時間はたっぷりございますから何かこの際、御質問があればどうぞ。 ○ E委員   議事とはちょっと外れるかもしれませんが、先ほど審議会の御出席の報告の中で労働 側委員につきましては心配しておりましたが、本日は御都合で御欠席という報告であり ましたのでほっとしている部分もあるわけでありますけれども、何せ大体寂しいわけで ありまして、是非出席していただけるように会長の御尽力並びに厚生省にもよくお願い したいと思います。  いずれにしろ、国民全体にとりまして年金制度の重要性というのは言うまでもないこ とですし、それの検討ということも必要ですし、それから国会審議を諮る上におきまし ても国会審議で更に大事な年金制度をびしっと決めるという意味合いにおきましても、 私の印象では労働側委員の皆様がちゃんと御出席いただくということの意味は大変大き いというふうに思いますので、引き続き対策を是非会長の方で講じていただきたいと思 います。 ○ 事務局   ただいまE委員の方からあったお話でございますけれども、そういったお話があった ということをよく会長の方にもお伝えをいたしたいという具合に思います。 ○ 年金局長   審議会の円満な運営ということで、私ども事務局も努力いたしたいと思っておりま す。  それから、今日の議題を含めて、年金にかかわる問題につきましては連合の事務局と は御相談しているわけでございまして、そういうことで、円満な審議会運営に努力して いきたいと思っております。 ○ D委員   自主運用は大変結構だと思うんですけれども、運用の体制というのは万全にできるん ですか。この巨額な資金をどういう体制で運営していくのかという、そのことについて お伺いしたいと思います。 ○ 事務局   本審議会でも御紹介をいたしましたように、運用の体制自体は新しい受け皿機関をつ くるということでございます。それで、委員の御心配は恐らく新しい受け皿機関の中身 がどうなるかということだろうと思いますが、それにつきましても、13年度予算要求に 盛り込むことが必要です。法律で骨格ができておりますので、その中身を詰めるという 作業を私どもはしているということでございます。  一方で加えて申し上げれば、年金福祉事業団を解散する。そういう中でその職員をど う活用するか、あるいは新たな外部からの専門家をどう活用するか。これは大きな課題 でありますし、法律の中にも新たに投資専門委員を設置するというようなことも書いて ございますので、そういうものを総合的に勘案しながら組織づくりをしてまいりたい、 あるいは組織づくりの要求をしてまいりたいというふうに思っております。 ○ 年金局長   時間もたっぷりあるようですので若干追加補足させていただきますと、年金の自主運 用につきまして誤解があるわけでして、つまり一挙に140 兆円を自主運用して、それが マーケットに一挙にどんと流れ込んでくると大混乱するんじゃないかという懸念がある んですけれども、現実はそういうことではございません。自主運用の額、つまり市場運 用する額を徐々に増やしていくということで、これまでは年金福祉事業団では毎年1兆 円という新規資金を追加していたわけですけれども、この1兆円が少しずつ増えていく というイメージでございます。  特に今、資金運用部の資金繰りが非常にきつくなっておりまして、郵貯の集中満期を 迎えるということで資金が出ていく。そういう中で、実際の資金運用部の資金というの は年金なり、郵貯なりから集めた金を財投機関に30年ぐらいの超長期で貸し付けている わけですね。それで、私ども年金から資金運用部に預けているのは7年なんです。だか ら、7年間で返ってくるのを全部自主運用するんだということで引き上げますと、資金 運用部が資金繰りにたちまち困ってしまうということでございまして、これは7年間の 預託で返ってきた金もそういう財投全体の資金繰りが困らないように、またこういう財 投債という形で資金調達をするということになっておりますから、徐々に市場運用する 金額が増えていくということにならざるを得ないということなわけです。  それから、これは法律が通った後の話でございますけれども、今度新しい受け皿とし て年金資金運用基金というものをつくるということで、これは現実問題としては今の年 金福祉事業団が母体にならざるを得ないわけでございます。ただ、まだまだ足りないと ころはございますので、もっともっと専門的な能力を高めてもらわなければいけない。 あるいは、優秀な人材を確保しなければいけない。それから、いろいろな運用について も更に工夫が必要でしょうし、それからディスクロージャー等につきましてもまだまだ 改善の余地があるということでございまして、今そういった問題を含めていろいろ取り 組んでいるところでございます。御心配がないようにこれから年金福祉事業団、それか ら私ども関係者を挙げて努力していきたいと思っております。 ○ H委員  今後の審議の進め方についてはまた後ほど議論するんでしょうか。それに関連しての 質問を今してもよろしいんでしょうか。とりあえずはただいま御説明いただいたことに 関連してですか。 ○ 年金局長  何でも結構でございます。 ○ H委員  前回、この結論を出す際に女性と年金に関しては継続審議をするということで、それ に関しての委員会を設けるということが入っておりました。それで、この委員会をいつ スタートさせるかということについては、とりあえず国会を通過してからというお話を 伺っているわけですけれども、準備としましてどういうふうなプロセスでそれを実現し て、どのような形でまとめていくかということについて是非お考えいただきたいと思い ます。 ○ 事務局  法案の成立が遅れておりまして、その関係でなかなかその準備が進んでおらないこと をおわび申し上げたいと思います。やはり法案が成立して将来の給付負担がどうなるか ということを一応検討して明らかにして、それを前提にまた女性の年金のあるべき姿を 考えていく。女性の年金のいろいろな考え方を整理しますと、例えば個人単位の問題、 世帯単位の問題、それは全部給付設計にも影響してまいりますので、そういう意味でも まずは今回の成案を得て形を固めるのが前提だろうと思います。それが終わりました ら、直ちに意見書では検討の場を設けるであったと思いますが、どういう検討の場がふ さわしいかにつきましてもまた御相談させていただきまして、その結論の時期等につい ても新しい場で御検討いただくということで、今のところまだ具体的には検討しておら ないということであります。 ○ 年金局長  去年のうちに法律が通っていれば今ごろたたき台を提示して御相談できるはずだった んですけれども、何しろ法律が通らないということで、また審議のめどもいろいろ国会 の状況、情勢がございまして、めども立っておらないという状況です。私どもは率直に 言って、毎日国会とか議員会館を走り回っておりまして、何とか一日も早く法案成立を ということでお願いしておるわけでございまして、この法案が成立しないことには正直 申し上げてほかの問題になかなか取り組めないというような状況でございます。  したがって、法案が成立いたしますれば直ちにそういう人選とか検討項目とかスケジ ュールとか、そういった問題につきまして皆さん方にも御相談をして、早急に女性と年 金にまつわる問題についての専門の検討会を立ち上げたいと思っております。 ○ H委員  その状況はわかりましたが、前回話をまとめることに合意したいきさつとしまして、 これ以上女性と年金に関して、例えば個人単位か世帯単位かという、かなり根幹的な制 度の変革にかかわるような議論も出てきたわけです。その際に、とりあえず今の状況で はそこにはちょっと手が付けられない状況だということもある。それから、私たちの立 場から見ますと、事務局の方でそれについて今はとりあえずはタッチしたくない、現実 的にはできないこともあるというふうな雰囲気がありましたので、ともかくそれでは継 続審議ということのみに希望を託して、しようがないというふうな判断をした、そうい ういきさつが少なくとも私を含め何人かにはあったかと思います。  そういうふうな経過がありましたので、今の状況は理解はできますけれども、また更 に審議会のシステムそのものも今年度をもってまた大きく変わるということもあります ので、どのように約束された継続審議というものが実現されるかということについては 大変大きな関心を持っておりますので、それでしつこく発言をさせていただきたいと思 っているわけです。 ○ 会長代理  大体御意見は出尽くしたようでございますが、本日予定されておりました議事は以上 のとおりでございます。 なお、本日の資料はすべて公開することとしたいと考えておりますが、いかがでござい ますか。 (「異議なし」の声あり) ○ 会長代理   それでは、今後の日程につきまして事務局から確認をお願いいたします。  ○ 事務局  次回でございますけれども、確定拠出型年金の制度案につきまして御報告を申し上 げ、御議論、御意見を賜りたいと考えております。日程につきましては調整の上、追っ て御連絡をさせていただきたいと思います。以上でございます。 ○ 会長代理 それでは、本日はこれで閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございまし た。 照会先 年金局企画課 宮本(3316)