00/01/17 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 議 事 録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事次第  日 時  平成12年1月17日(月) 16:00〜17:30  場 所  厚生省別館7階共用第11会議室   1 開 会   2 議 事   (1)精神病床の新たな機能区分の設定について   (2)その他   3 閉 会 〔出席委員〕                                    高 橋 部会長   北 川 委 員  阿 彦 委 員  伊 藤 委 員  池 原 委 員   生 田 委 員  大 熊 委 員  吉 川 委 員  佐 野 委 員   白 倉 委 員  仙 波 委 員  高 杉 委 員  新 田 委 員   西 島 委 員  牧野田 委 員  町 野 委 員  谷 中 委 員   吉 澤 委 員  河 ア 委 員 【重藤補佐】  それでは、定刻となりましたので、公衆衛生審議会精神保健福祉部会を始めさせてい ただきます。  初めに、委員の出席状況につきまして、事務局よりご報告させていただきます。  本日は精神保健福祉部会委員23名中18人の委員にご出席いただいております。定数の 過半数を満たしておりますので、部会の開催は成立しております。  なお、本日欠席される旨のご連絡いただいております委員は、浅井委員、木下委員、 窪田委員、小西委員、冨永委員の5名でございます。  池原委員につきましては、ご連絡いただいておりませんので、追って来られるかと存 じます。 【部会長】  それでは、始めさせていただきますが、議事に入ります前に、事務局から本日の配付 資料について確認をお願いいたします。 【重藤補佐】  それでは、事務局から本日の資料を確認させていただきます。  本日の資料につきましては、 資料1といたしまして、「『精神病床の新たな機能区分の設定について』の基本的考 え方について(部会長試案)」でございます。  資料2、「精神医療審査会審査状況」でございます。  資料3、「精神医療審査会運営マニュアルの改訂について」というものでございま す。  資料4、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律の施行 に伴って改正等を必要とする政令について(概要)」でございます。  資料5、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律の施行 に伴って改正等を必要とする省令事項(案)について(概要)」でございます。  参考資料といたしまして、「医療供給体制の改革について(医療審議会会長メモ)」 でございます。  以上、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけお願いをいたします。 【部会長】  資料が5つと参考資料が1つですが、よろしゅうございますね。  それでは、議事に入らせていただきます。本日の議事は、「精神病床の新たな機能区 分の設定について」とその他でございますけれども、まず、第1の議題でございます 「精神病床のあり方について」でございますけれども、これは前回部会でお諮りしまし たように、「精神病床の新たな機能区分の設定について」の基本的な考え方について、 部会長の試案を作成いたしました。本日は、これをもとに議論をお願いしたいと考えて おります。  それから、医療審議会の進捗状況でございますけれども、1月12日の医療審議会で 「医療提供体制の改革について」という医療審議会会長のメモが出されました。これは 最終的な意見の集約の段階に来ているというふうに聞いております。したがいまして、 この部会としましては、医療審議会に精神病床のあり方について検討結果をお返しする 時期となっているというわけでございます。本日、本部会としての意見の集約をお諮り したいと思いますので、委員の先生方にはどうぞ協力をお願いいたします。  では、初めに、医療審議会の状況につきまして、事務局より説明をお願いします。 【重藤補佐】  事務局よりご説明をさせていただきます。先ほど部会長よりお話がありましたように 医療審議会の状況でございますけれども、本日の参考資料で出しております部会長の会 長メモというものが前回の医療審議会で出されまして、それをもとに議論がなされてい るということで、次回が1月19日に予定をされておると聞いております。したがいまし て、それをさらに煮詰めて最終的な法律案の要綱にまとめていきたいというふうに承っ ておりますので、当部会といたしまして、今回、精神病床のあり方というものにつきま しておまとめいただいて、医療審議会に返すという時期というふうに考えておりますの で、そういう状況ということでございます。以上でございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。今、説明のありましたような医療審議会の状況でご ざいます。本日はその意見の集約に向けてご審議をお願いしたいと思いますので、どう ぞよろしくお願いいたします。  資料1でございますけれども、ここに「精神病床の新たな機能区分の設定について」 の基本的な考え方として、部会長試案をつくりましたので、これを事務局から読み上げ ていただきます。お願いいたします。 【重藤補佐】  それでは、資料No1、「精神病床の新たな機能区分の設定について」の基本的考え方 (部会長試案)」でございます。朗読させていただきます。 1.基本的な考え方 ○ 21世紀の展望として、これからの精神医療に求められるものは、入院患者に快適な 環境で医療サービスが提供されるよう国民の生活水準にふさわしい療養環境を整備しつ つ、多様なニーズに応じたきめ細かな医療サービスを提供することによって出来るだけ 早期に社会復帰につなげていくことである。 ○ このためには、限られた医療資源の効率的な活用を図りつつ、精神疾患の特性を踏 まえた精神病床の機能の分化を推進していくこと等が求められている。 ○ 精神病床の機能分化のあり方としては、精神障害者の様々な病態に応じ、1充実し た専門スタッフによる集中的な医療を必要とする患者群や、2治療上ゆったりとした療 養環境を必要とする患者群等に、より効率的な医療を提供していけるように分化させる べきである。 ○ その機能の分化を進めるに当たっては、精神疾患の多様性や患者数の動向、疾病に 応じた専門的医療サービスの必要性、合併症治療体制の確保等を考慮すべきである。 ○ また、新たな精神病床の設備構造及び人員配置の基準については、快適な療養環境 のもとで質の高い医療サービスが適切に提供される体制の整備に向けて、精神疾患の特 性に十分配慮しつつ、精神病床以外の一般の病床と同等の水準となるよう定めるべきで ある。 2.具体的な医療法における位置づけ ○ 医療法上、精神病床は、精神疾患の特性によって精神病院以外の一般の病床とは別 の病床として定められているところであるが、今回の見直しに当たっても精神疾患の特 性について十分配慮し、医療法における病床の種別は、「精神病床(精神疾患を有する 者を入院させるための病床)」とすることが適当である。なお、精神病床の設備構造及 び人員配置の基準については、一般の病床とできるだけ格差のないものとすることが求 められる。 ○ また、精神病床の機能分化を進めるために、医療法上に精神病床の機能の区分を病 床の種別として規定することについては、一般の病床においては既に機能分化の積み重 ねがあることに対して精神病床においては機能分化の実態として進んでいない現状を踏 まえると、現段階で直ちに法律で定める状況にないと判断される。しかし、現在の精神 医療の実態、また救急医療、薬物中毒等に対する専門医療、重篤な合併症を有する患者 の医療等のための体制整備の必要性を踏まえ、精神病床の機能分化及び療養環境をさら に向上させ、一般の病床との格差を是正する観点に立って、別途、必要な基準を設定す ることが求められる。 ○ なお、医療法上の精神病床の位置づけ及び設備構造等の基準は、必要に応じて見直 しが検討されるべきである。 3.精神病床の整備圏域 ○ 精神病床の整備圏域については、都道府県を単位とされている一方で、社会復帰施 設の整備については、障害者プランに基づき障害保健福祉圏域ごとに整備が進められて いる。 ○ 精神病床の整備は、障害保健福祉計画との整合性を図る必要があるが、精神科医療 資源の地域偏在を短期的に是正することがきわめて困難なことから、当面、現状の圏域 とすることが適当である。 4.その他 ○ 精神病院や社会復帰施設などの既存の施設体系の見直しについての検討は、現在、 進められている長期入院患者の療養のあり方の検討結果を踏まえて進めて行くことが必 要であり、また重大な犯罪を犯した精神障害者の医療サービスの提供のあり方について も、別途、幅広い観点から検討が行われる必要がある。 以上でございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。この問題につきましては、何回かこの部会でも検討 してきたわけでございますけれども、私としましては、基本的な考え方の部分で、委員 の方々の総意として、療養環境の向上であるとか、あるいは高い医療サービスの提供の ためには機能分化が必要であって、また病院の設備や人員は一般の病院と同等の水準と するべきであるということが基本的なものであろうということを考えまして、このよう にまとめさせていただきました。  また、具体的な医療法上の位置づけとしましては、前回の部会での機能分化を実際に 進めていく上では、現実を踏まえて所要の環境整備を行いながら進めていくべきだと。 そういった考え方、意見を出されましたので、そういった考え方等を踏まえて、病床の 種別としましては、現段階では精神病床として、そうしながらも機能分化と療養環境の 向上に向けて別途規定を設けると、こういうことにさせていただきました。  それから、精神病床の整備圏域ということでございますけれども、これは当面は現状 の圏域とすること。それから、既存の施設体系の見直しであるとか、あるいは重大な犯 罪を犯した精神障害者への医療サービスの提供のあり方、こういったことに関しては検 討を行っていく必要があるだろうというふうにまとめさせていただいたわけでございま す。  それでは、これにつきまして、ご意見をお願いいたします。どうぞ、発言ございます 方は順次お願いいたします。  それから、伊藤委員から私が預かっている書類がございますのでそれを今配らせてい ただきます。どうぞ配付お願いします。                (伊藤委員資料配付) 【部会長】  伊藤委員、簡単にご説明されますか。 【伊藤委員】  進め方ですけれども、よろしいでしょうか。 【部会長】  はい、どうぞ。 【伊藤委員】  まず、「基本的な考え方」のところで整理されて、その後、具体的な問題に少し議論 を進めていくということでいかがでしょうか。 【部会長】  一番重要な問題でございます「基本的な考え方」、これを最初にまとめたいというこ とです。この点に関しましていかがでございますか。どうぞ。 【生田委員】  この部会長試案につきましては、私どもがお願いしたいことが盛り込まれているとい うことで大変ありがたいことだというふうに感謝申し上げております。  そんな中で、3点ほどご検討いただければということでございます。最初の「基本的 な考え方」のところの最後のマルの「また」から始まるところですけれども、「快適な 療養環境のもとで質の高い医療サービスが適切に提供される体制の整備に向けて……」 と書いてございますが、基本的な考え方の一番最初にも、この療養環境の整備といった ことと、やはり多様化している患者さんに対応していくということ、また、早期に社会 復帰を図るといったことなどから看護に期待される部分がたくさんあります。私どもも その辺を担っていきたいと考えておりますところから、本文中「質の高い医療サービス …」とありますが、医療の次に看護を入れていただけないものかということが1点でご ざいます。  それから、2のところの「具体的な医療法における位置づけ」ということで、マル1 のところで、「一般の病床とできるだけ格差のないものとする」と書いてございますけ れども、医療法上では、この「できるだけ」を削っていただいて、「一般の病床と格差 のないものとする」といった形にし、地域格差の問題とか小規模病院の問題につきまし ては、別途段階的な対応をとっていだたくようにしていただければいいというふうに考 えております。  次に最後のマルのところで、最後の文脈のところに「しかし、現在」というところの 中で、「救急医療、薬物中毒等に対する専門医療、重篤な合併症」というところに含ま れるかと思いますけれども、精神看護をやっている方々からの意見の中に、最近は精神 疾患そのものの看護のほかに、糖尿病等の生活習慣病を合併するのが多くなってきてい て、その辺の対応が出てきているといったことと、それから、高齢化が進んでいること から痴呆の問題もあるということで、ここの書き方として精神科の医療等では別途にこ ういった重篤な合併症等への対応が必要だということを1項起こしていただくことはで きないものだろうか、ご検討いただければと思っております。以上でございます。 【部会長】  ありがとうございました。医療だけではなくて看護も入れるということですね。 【生田委員】  はい。 【部会長】  医療というものの中に広く看護は当然入るだろうとは思いますけれども、それは検討 させていただきたいと思います。それから、「できるだけ」というところを取るという ことでございますね。これも検討させていただくとして、地域格差の、これはよろしゅ うございますね。 【生田委員】  はい。 【部会長】  生活習慣病その他、合併症では非常に大きな問題があるということで、これを1項目 別立てということですが、ここに「重篤な合併症を有する」、これに全体を含んで考え ることはできませんでしょうか。そういう意図は十分酌んでいるつもりなんですけれど も。 【生田委員】  この点につきましては、多分私どももその辺を含めて書いていただいているというこ とで理解をしております。 【部会長】  どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。特に「基本的な考 え方」のところで盛り込むべきこと、あるいは削除すべきものございましたら、これま でに何回も議論を重ねてきた事柄ですので、そのエッセンスは十分に盛り込んだつもり でございますけど、どうぞ。 【大熊委員】  今の生田委員の「できるだけ」削除に賛成いたします。法改正に当たって、さまざま な団体に呼びかけて、問題点、希望を厚生省は集めたわけですけれども、その中で、精 神科特例廃止ということを言っている団体が極めて多くて、全国衛生部長会、全国自治 体病院協議会、全国精神障害者家族連合会、日本看護協会、全日本自治体労働組合、P SWの協会、病院地域精神医学会、精神神経学会、日本障害者協議会と、言っていると 何分もたつくらいの団体が廃止をしてくれというふうに言っているわけですので、ここ に「できるだけ」などというあいまいな言葉を入れずスパッとやっていただきたいとい うふうに思います。  それから、その後の方のことで、医療審議会の方では2つに分けるということを言っ ているわけで、特例をしないで同じにするということはイコールやはり2つに分離して いくということまで係るのではないかしらと思うのですが、そうすると、この「別途、 必要な基準を設定する」というのは、さらに上乗せをするということを意味しているの か、ちょっとこの言葉の意味が、今読んだばかりでよくわからないので。 【伊藤委員】  今のお話、議論が具体的な方に移っているので、まず「基本的な考え方」について整 理されてから。 【部会長】  よろしゅうございますか。最初の「基本的な考え方」について、今ご議論いただこう かと思いましたが、ほかのところに踏み込んでおりますので、それでは次に。 【吉澤委員】  よろしいですか、質問。 【部会長】  どうぞ。 【吉澤委員】  1ページの一番下の「また」というところから始まるところで、現状では機能分化が 実態として進んでいないから法律で定められないということが書かれた後で、次のペー ジの文末の方で、「別途、必要な基準を設定することが求められる」というふうになっ ておりますけれども、これは法律的な形として違うものをつくるという趣旨なのか、そ れとも別途の法律でつくるという趣旨なのか、その辺が何を意図しているというふうに 読み取ったらいいのか、よくわからないというのが1点。  従前のこの法律の精神保健福祉法の流れとしても、現状が十分至らない分を5年先に 見直しとか、あるいはいつまでに実現するという形でやってきているというケースもい ろいろあると思いますので、法律的にまだ現状が至らないから、法律で定めるのはおか しいというふうにするのが適当なのか。それとも法律で決めておいて、暫定的にそこに 至らない現状がある場合、現状での部分を法律的に例外規定をつくっていくという形が 適当なのか。その辺のところの基本的な考え方がこの文章を読んだだけではすごくあい まいでわかりにくい気がいたします。  私は現状がまだ至ってないまでも、こういうふうにするということはぽんと法律とし て打ち出してもいいのかなという考え方をもともと持っておりますので、この規定につ いては、もうちょっとこの解説見ると、その辺の議論をしていただければと思います。 【部会長】  事務局からございますか、よろしいですか。 【北川委員】  ちょっとその前に。基本的にこういう考え方が、きょうここで仮に固まったとすれば その後、事務的にどんな手続が行われていくかという話をしておいていただくと、今の ような話も少しはわかっていただけるようになるのではないですか。 【部会長】  私の理解としては、医療法そのものが法律の精神的な、理念的なものを決めるという ことで、そこでは精神病床というものを1つ位置づけるということをここでうたってい るわけです。  それを受けて、今度例えば省令などでもう少し細かくそこを決めていくと。そこが 「別途、必要な基準を設定する」ということになると思いますけれども、それに関して は、またそういう規定が決められ、何年か後にやはり運用してみて問題があれば見直す ということで、「見直し」の後ろの項目をこの文章の中に入れたと、そういう趣旨でご ざいますけれども、よろしいでしょうか。 【伊藤委員】  よろしいですか。 【部会長】  はい。 【伊藤委員】  一応、「基本的な考え方」に対しては異論がないという前提で次に私進めてよろしい ですか。 【部会長】  はい、そうしてください、どうぞ。 【伊藤委員】  やはり先ほどお話出たように、2番目の一番最初のマルのところですが、「できるだ け格差のない」というところを「できるだけ」を取っていただきたいという意見が出 た。私もそれに賛成。といいますのは、「基本的な考え方」の中で、「できるだけ」と いう表現をしてないわけですね。「精神病床以外の一般の病床と同等の水準となるよう 定めるべきである」というふうに基本的な考え方のところできちんと書いてあるわけで すから、この具体的なところでも、「一般病床と格差のないものとすることが求められ る」と。現実的にはなかなかならないというのは、皆さん今すぐには無理だというのは わかっているわけですが、求められるわけですから、「できるだけ」は要らないという ことで、これはなくてもよろしいんじゃないかなと。基本的な考え方の整合性の問題も ありまして、それで私は「できるだけ」を取っていただいた方がいいと思います。 【部会長】  どうぞ、西島委員。 【西島委員】  この「できるだけ」という意味は2つ意味があると思うんです。1つは、今、先生が おっしゃったように、いいかげんにとられる「できるだけ」ということと、段階的に進 めていくという「できるだけ」という2つの意味があると思うんですが、私は要するに 段階的に進めていくというふうに考えていますので、これはぜひ「できるだけ」という 言葉は残しておいていただかないと、じゃないと、段階的にできなくなってしまうと思 うんです。  先生がおっしゃったように、まさしく現実的な対応ということを、医療法でございま すから求めていかないといけないですから、そういう意味で「できるだけ」という言葉 は私は残していただきたいと思います。 【伊藤委員】  具体的な手法としては当然経過措置は出てこざるを得ないわけですから、理念ですか ら「できるだけ」はなくてもいいのではないかということです。 【部会長】  はい。いかがでしょう、今の点。どうぞ。 【阿彦委員】  「できるだけ早期に」というふうに書いているわけでなくて、格差の実態をなくすと いうことを言っているわけだから、やっぱりない方がはっきりわかりやすくていいと思 います。「できるだけ早期に」という意味ではないと思いますので。 【西島委員】  前回、私がああいう形で意見を言わせていただいたわけでございますけれども、ああ いう実態がたくさんあるわけですね。ですから、そういうふうに変えていくということ に関しては、これは当然のことだと思いますが、そういう実態を踏まえた中で、この言 葉というのは非常に大きな意味があると思うんです。ですから、しないということであ りませんし、「できるだけ」という言葉で段階的に近づけていくという考え方はぜひと っていきたいというのが日本医師会としての考え方でございますから、この言葉はぜひ 残していただきたいと私は思います。 【高杉委員】  現実問題と理想的な書き方の、書き方の問題だろうと思うんですが、こうでありたい という部分では「できるだけ」ということは確かに少しあいまいなところを残すだろう というふうに思います。ただ、現実として、経過とかそういう部分がある程度見えるよ うな何らかの表現ができれば、あるいはそういうことを担保していただけるという中で こういう表現というのが削除というのもあり得るだろうというふうには思います。  ですから、一足飛びにこうできているんだから、やってしまえとこう言うと、例えば 現実問題として、じゃあ、精神科の医者が、それだけ現実に確保できるのかとか、いろ んな具体的な部分での問題点というのはやっぱりぶち当たるだろうと思うんです。です から経過的な部分は十分見るという中でお考えいただければいいんじゃないか。 【部会長】  どうぞ、白倉委員。 【白倉委員】  私も同じような意見でございまして、1番の「基本的な考え方」の中で、「出来るだ け」という部分の扱い方と、それから、2番目の「具体的な医療法における位置づけ」 という意味で言いますと、先ほどご意見がありましたように、私も医療の現場にいる人 間として、これは一遍にという形にはとてもいきません。段階的にステップを刻みなが らという形を考えておいた方がいいのではないか。そういう意味では、この2のところ の項目の、第1番目のマルのところは、「できるだけ」は、私も残しておいていただか ないと、現実には非常に大きな混乱を来してしまう可能性が非常にあると思っていま す。 【三觜課長】  この具体的な位置づけの文章全体は、今回の医療法改正に即して、今やることを中心 に書いておりまして、今直ちに法改正で対応すべきところについて、具体的なところを 限定して書かせていただいているんですね。5年後、10年後どうするかというところが ちょっと、具体的な方の中にはセーブしているということでご理解いただければと思う んです。 【中村補佐】  もう一つ、補足させていただきますと、今、ご議論いただいているところにつきまし ては、例えば人員配置につきましては、この間ご説明ありましたように、人が足りない ということで段階的に一般病床と同じような人員配置基準を1項上げていくということ は可能かと思いますが、構造設備につきましては、やはり閉鎖的な環境を必要とすると いう精神疾患の治療を受ける特性とか、その辺はやはり残るのではないかと。そういう 構造があっても、一般病床となるべく療養環境に差がないような治療環境というものも 考える。そこは格差がないというのではなくて、できるだけ設備構造においても、精神 病院というような、今までのような印象を持つものではないような方向に変えていくこ とができないかということもございまして、構造のことも踏まえると、この言葉がまた 別な意味があるのかなということで考えていただければというふうに思います。 【吉澤委員】  今の言葉の解釈はちょっとおかしいと思いますけれども、構造の違いというのは格差 とは通常言わず、相違とかそういったものとして表現されてますので、その点はちょっ と説明をよく検討された方がよろしいのではないかと思います。普通ではそういうもの は格差というふうには用語として用いていないと思います。 【部会長】  どうぞ、河ア委員。 【河ア委員】  この前のときも申し上げたように、我々としては一般科と何ら変わることなしにとい うところは1つの目標として努力を重ねておるわけなんですけれども、現実、基本的な 考え方の分野ではなしに、具体的に医療における位置づけというところで、「一般の病 床とできるだけ格差のないものとする」というところは精いっぱいの我々としての1つ の気持ちなんですよね。そこまで一挙にはなかなか難しいというようなところで、それ でもやはり格差のないものとするべく万全の努力を払っているのだというご理解を賜り たいと思います。 【部会長】  理想と現実の妥協をどの辺でやるかということになるかと思います。どうぞ。 【池原委員】  どうも伺っていますと、格差がないものにするという目標は合意されているわけです よね。だから、それまでにある程度の段階、ステップが必要だろうし時間が必要だとい う認識ですので、この「できるだけ」というのはどこにかかるのかというと、段階的な 意向がなるべくスムーズに速やかに努力されることが望ましいということなんでしょう から、「できるだけ」のところに、例えば、たまたまさっき出ました「できるだけ早期 に」とか、あるいは「段階を追って」とか、そういう言葉ではどうなんでしょうか。  つまり、今のままですと、そうともとれるし、最終的には格差が残ってもやむを得な いけれども、なるべくその格差が少ないような状態にもっていきましょうというように も読めてしまうので、格差はないにこしたことがないと。ない状態に最後は行き着こう というところでは合意しているわけですから、そこら辺をもう少しクリアーに表現され るということでいかがでしょうか。 【部会長】  その点をまた斟酌しまして、はい、どうぞ。 【三觜課長】  先ほどの私の説明に尽きるのですけれども、今、目前に迫っている医療法改正に対応 すべきところを念頭に置いて、ここで「できるだけ」を取りますと、一般病床と違うで はないかと言われたら、約束違反になってしまうというおそれがあるものですから、今 度の改正でも盛り込むわけですから、そういうことで、今回は当然最終的には、また次 の機会の改正の機会がいずれかあるわけですから、そのときにはまたさらに全く一般と 変わりないというところを、今回はそこまでは一挙にできないだろうという意味も込め まして、「できるだけ」ということでご理解を賜りたいということでこういう表現にさ せていただいているのですが。 【伊藤委員】  よろしいですか。今の提案のあったような「できるだけ早期に」とか「段階を追っ て」という表現ではちょっと違ってくるんですか。私その辺はわからないんですけれど も、いずれにしても、これだと結果……。 【三觜課長】  西島委員が言われているように、「できるだけ」をもし取るのであれば、「段階的 に」という表現を追加していただければ、正確かなと、今の議論を踏まえて。そういう 表現なら正確になるのではないかと思います。 【部会長】  趣旨としては段階を踏んでということだと思いますけれども、いかがでしょうか、西 島委員。 【西島委員】  言葉の問題でして、現実的には今回の医療法でどうするかという話だけですから、私 は「できるだけ」という言葉でいいのではないかというふうに思うんです。 きょうの話は議事録に残りますので、日本医師会としても、段階的にやっていくという ことは言っているわけでございますから、ですから、「できるだけ」という言葉でいい のではないかと私は思います。 【部会長】  大熊委員何かありますか。 【大熊委員】  確認なんですけれども、医療法は改正しようと今しているわけですよね。その改正に 精神病院ものるのかのらないのかということなんですが、この「できるだけ」を入れる ということでまだ追いついてませんから、今度のりませんということではないですね。 それは一緒に医療法改正の……。 【三觜課長】  医療法の中で解決していただくために……。 【大熊委員】  の中で、精神病床については別途考えるなどということではなくて、精神病院も一緒 であるということですね。 【三觜課長】  はい。 【大熊委員】  もう一つは、例えば、日精協の雑誌などを拝見していますと、「精神科看護をめぐっ て」とか特集をされて、こうやって努力して充足するようにしていますということが書 いてあって、非常にご努力をされていることはよく存じておりまして、それにもう一押 ししないと、今までもご努力をなされていてこうなわけですから、きちんとするために 将来を見越して法律をきちんとしておく。「段階的に」はよいかと思います。「できる だけ」には反対です。 【部会長】  現実を一挙に理想的なものに変えることができないということもございますし、この 点が「段階的に」という趣旨であるということは皆さんご理解いただけると思うんです けれども、あと医療法でどういうふうに表現されるかということは、また事務局とも詰 めないといけないと思います。はい、どうぞ。 【河ア委員】  全体の文章を見ると、相当苦労されたわけですね。分野が方々で出ておりますし、じ っと見ておると、これ何が何かわからんような感じも最終的にはするわけなんですけれ ども、でも、「基本的な考え方」という項目の中にはきちんと言っておるんですから、 あと具体的にどうしていくかというところで、「できるだけ格差のないもの」と。我々 もそのことは十分承知もしておりますし、この「できるだけ」という言葉を「段階的 に」とかどうとかいうことに変えるというよりも、このままでいくことが、なぜ、それ だけの議論になるのかと思うんです。  我々自身が本当に可能な限り努力を重ねておるのですし、そうなったら、「段階的」 というよりも、まだ「できるだけ格差」のないという言葉の方が余計強いような意味に 我々はとっておるわけですけれども。 【部会長】  どうぞ。 【大熊委員】  ここにおられる仙波委員や西島委員や河ア委員のところはよくまだ知らないんですけ れども、大変水準が高くて非常に努力をされているということは承知しております。で も、全部がなかなかほかがついてこないということでご苦労されているということも承 知していますので、そのご苦労でできるだけやろうよと言って、限界が見えてきたから こそ法的にこうなんだということで、後からついてこられるところをパッと底上げする ことがやっぱり患者さんにとって安心できる療養環境だというふうに思うので、むしろ 先生方のご努力を後押ししたいという、そういう気持ちでございます。 【伊藤委員】  表現の問題ですけれども、言っていることは、皆さんそう違いはないと思うんですが やはりこの「できるだけ」のかかっていくところが何か固定化されて、ある程度は格差 があっても仕方がないというふうに読み取れるのではないかというところがきっとひっ かかっているところなんですね。私もそうなんですけど、ですから、そこをちょっと考 えていただければ解決できるのではないかなというふうに思うんですけれども。 【部会長】  最終的には、私はこの文章に関しましては、部会長一任ということにしていただいて 今回出ました意見を取り入れるなり、あるいは語句の修正なりをさせていただきたいと 思いますけれども、それをご了承いただいた上で、もう少しご意見いただきたいと思い ますけれども。 【高杉委員】  だから、今皆さんほとんど一緒の内容を議論されていると思うんです。だから、その 気持ちで部会長取りまとめなされたら、私はいいのではないかと思いますが。 【部会長】  どうもありがとうございます。そうさせていただきたいと思います。  あと、精神病床の整備圏域とその他のところが多少残っておりますけれども、伊藤先 生、ここでご意見ございますか。 【伊藤委員】  その前に、吉澤委員の方から「別途」というのがよく意味がわからないという質問が あったのですが、私も本来なら、医療法上で、一般病床と別にしないでというふうに、 最終的にはそうなるべきだと考えていますが、現実には医療法上、恐らく結核病床、感 染症病棟というのが別枠で、医療審議会でどうなるか、私はよくわかりませんけれども ある程度病床の種類によって別な規定ができてくるとすれば、精神病床が一気に医療法 上、一般病床というふうになるのかどうかというのは、私も今すぐということになるの かどうかよくわかりませんが、たとえ別枠になっても、一般病床に近づけるような規定 をしていくのだという意味にとってよろしいんですか、「別途」というのは。 【部会長】  これは先ほどご説明しましたように、医療法上は精神病床と位置づけられて、さらに 細かいことに関しては省令その他で決められるだろうと思うんですが、それを議論する 機会はまたあると思いますけれども、そういう意味ですので、それをご理解いただけま すか。 【伊藤委員】  そして、その後、マルついていますけれども、「医療法上の精神病床の位置づけ及 び」というところは、「必要に応じて見直しが検討されるべきである」ということです から、あくまでも今は別枠でやるけれども、将来はそのことも含めて検討すべきだとい うふうに解釈してよろしいわけですね。 【部会長】  その可能性はもちろん残るわけですね。 【伊藤委員】  はい。 【部会長】  よろしいでしょうか。伊藤先生の方から出されております二次医療圏と精神科救急医 療圏、これはもうよろしゅうございますか。 【池原委員】  今の領域のところで、No2のところですけれども、ちょっと細かい言葉の問題なので 余りこだわりませんが、意味を少し明確にしていただきたいのは、最後のマルのところ で、「必要に応じて見直しが検討されるべきである」という非常に婉曲な表現になって いるんですけど、これは見直すという意味ではなくて、見直しを検討して、見直しが必 要であれば、見直しをするという意味なんでしょうか。それとも見直すんだという前提 なんでしょうか。 【部会長】  見直すということですね。 【池原委員】  で、よろしいんですね。 【三觜課長】  検討して見直す。 【部会長】  細かい語句の修正は、後でまたさせていただきますけれども、では先生どうぞ。 【伊藤委員】  それでは、3番目の「精神病床の整備圏域」ですが。 【部会長】  手短にどうぞ。 【伊藤委員】  最初のマルは異論がありません。当然生活密着した医療圏を設定して、そこで医療 サービスをするということでしょうから、それはいいんですが、現実には病床の偏在が 固定化してしまって、それを是正するのが非常に困難であると。したがって、「当面、 現状の圏域とすることが適当である」という表現になっていますが、きょう資料として 「二次医療圏と精神科救急医療圏から見た精神病床の分布」という一覧表をお渡ししま したけれども、現在 360医療圏があるのですが、結局、例えば人口万対10床しかない二 次医療圏というのが全部で35あるわけですね。 それから、20床以下になりますと、さ らに増えて全部で93医療圏、3分の1まではいきませんけれども、日本の今の医療の現 状では20床以下というのはかなり厳しい状況になるのだろうと思うんです、社会資源が まだ整ってないということもありますけれども。一方、人口万対40以上の医療圏が全部 で 108医療圏あるんですね。 こういうアンバランスをどうするかという問題。これだけアンバランスがあるから、 どうしようもないんだという見解に立つのか、こういうアンバランスがあるから、何ら かの対策をとらなければならんといった見解に立つのかということです。短期間に是正 することは難しいこともわかっていますが、「当面、現状の圏域とすることが適当であ る」という表現がやはり抵抗がある。極めて困難であるが、「徐々に基盤整備をしつつ 適正な医療計画が地域ごとに立てられるように努める必要がある」というような、むし ろ積極的な表現にしていただきたい、私としては妥協案のつもりですけれども、ポジテ ィブな姿勢の表現に変えていただきたいと。 日本の場合は特徴的で都道府県ごとの医療圏というのは、特に精神科の場合は言うま でもなく地域医療がなければ、精神病床も減りませんし、再発を防ぐとかリハビリテー ションとか地域の福祉を進めるためにも、生活圏の中に適正な病床が配置されていると いうことが前提ですので、その前提を全く適当であるというような表現で言われてしま うとちょっと困りますので、この辺をポジティブな表現に変えていただいて、妥協とし て、当面はやむを得ないぐらいしかないんじゃないかと。 それと実際にそういう施策をとっていただきたいということですね。病床過剰な地域 の精神病院が改築されるときには、もし精神病床が 500床あるのを 400床に減らすとす れば、それだけの整備費を国・厚生省の方の予算でたっぷりと上げて内容をよくしてい ただくと。そのかわり、返上した 100床については、病床の不足している地域に回すと か、そういう具体的な政策とっていかないと基盤整備が進みませんので、10年も20年も このままだというおそれもあるわけですね、この病床偏在は。 【部会長】 わかりました。先生のご趣旨は私も同感でございますので、事務局と相談して、前向 きな方向への修正も検討させていただきたい。よろしゅうございますね、それで。 「その他」のところはよろしゅうございましょうか。 よろしければ、ほぼ議論も尽くされているかと思いますので、この部会長の試案を基 本として取りまとめをさせていただきたいと思います。私としましては、今後の精神病 床のあり方に関しては、とにかく機能分化と医療環境の向上ということ。それについて 最大の努力をしなければいけないと思います。それは基本だろうと思います。したがい まして、基本的には、この部会長試案で医療審議会の方にご報告させていただきたいと 思います。余り時間が残されておりませんので、多少語句の訂正、今いただいた意見を 盛り込むということもございますので、その件に関しましては、部会長一任ということ でご了承いただけますでしょうか。               (「異議なし」の声あり) 【部会長】  どうもありがとうございました。それでは、ご了承いただいたということで、次に進 みたいと思います。議題2、その他でございますが、これにつきましては、2つの報告 事項が用意してあります。  1つ目は、今回の法改正によって、精神医療審査会の機能が強化されました。これか らの精神医療審査会の運営方針につきまして、このご報告をいただきたいと思います。 2つ目は、現在厚生省で検討しております政省令の概略についてご報告いただきたいと 思いますが、まず、「精神医療審査会運営マニュアルの改訂」の概略について、事務局 からご報告をお願いします。 【重藤補佐】  事務局から「精神医療審査会運営マニュアルの改訂について」ということをご報告さ せていただきたいと思います。  精神医療審査会につきましては、法改正で重要なテーマになっておりまして、その機 能強化ということで、入院している精神障害者の人権を確保することの位置づけとして 機能強化がなされたところでございますが、それに沿って、運営マニュアルの方も改訂 していこうと考えております。今回のこの改訂案をもとに、3月に通知というスケジ ュールで今考えております。  中身についてご説明いたします前に、資料2でございますが、精神医療審査会の審査 状況でございます。上の段の方は定期病状報告ということで、法律に医療保護入院は1 年に一度、措置入院は半年に一度という定期病状報告。その件数のここ近年の件数の変 化でございます。  それから、下の表でございますけれども、退院請求、処遇改善請求のここ近年の状況 でございます。マルポツが退院請求、四角が処遇改善請求それぞれそんな件数の推移で ございます。  こうした状況がありまして、それと今回の法改正を受けまして、資料3でございます が、精神医療審査会運営マニュアルの改訂を今検討をしております。主な検討の中身で ございますけれども、1ページに基本的な事項について書かれております。これに沿っ て簡単に説明をさせていただきます。  1番の精神医療審査会の定数の規定の削除でございますけれども、法律上、適正な審 査会の運営をさせるということで委員定数の規定が外されましたので、マニュアルにお いても委員定数の規定を削除いたしました。  マニュアルの中身につきまして、2ページでございます。ちょっと横表で見にくいか と存じますけれども、右が現行、左が改正案というところで、真ん中やや下寄りのとこ ろのIIの審査会についての、審査会の所掌、その他のところでございますけれども、そ うした人数のところを削除したということでございます。  2番の用語の整理でございます。平成5年の法改正で「保護義務者」が「保護者」と 改正されましたので、今回のマニュアル改訂に合わせて用語も整理をしたいと考えてお ります。  3番の情報公開について。情報公開につきましては、審査結果が報告されて以後は、 原則、精神障害者の個人情報以外の情報は公開するというふうに考えております。これ が4ページでございますが、下の段、3行目のとこら辺でございます。原則、何件審査 したと。審査結果どうなったというような情報につきましては、情報公開というものを 考えております。  4番、退院等の請求に関する審査方法の改訂ということでございますけれども、精神 医療審査会の審査方法の中で、審査委員による診察ですとか診療録、その他、帳簿類の 提出の命令とか、出頭を命じての審問等という項目が加わりましたので、このマニュア ル上もそうしたことができる。その手続を決めさせていただきました。その内容につい ては、6ページのIVのところにありますので、後でごらんおきいただきたいと思いま す。  それから、5番の審査結果の通知でございますけれども、審査結果の通知につきまし ては、今まで3段階で通知をしていたものをもう少しきめ細かな審査結果の通知で返す というような考えています。これは8ページでございます。真ん中ほどに4)というとこ ろがございまして、その下の方に 1〜 5というようなことにしておりまして、そうした 3段階、右肩方向に 1 2 3とありますけれども、3段階を5段階程度の中身でお返しし たらどうかと考えております。  6番、電話相談の取扱でございますけれども、都道府県知事に寄せられた入院患者さ んからの電話相談につきまして、その中身について、都道府県知事がまとめて審査会に 報告して、事例によっては口頭による退院請求といったもので取り扱うことにしたらど うかといったことでございます。  7番、定期の病状報告に関する審査方法でございますが、これは4番の退院請求と同 様、書類等の提出なり、出頭を命じての審問が加わっておりますので、それを中身とし て加えたという改訂でございます。  8番、実施調査との関連ということで、法に規定する精神病院の立入検査に指定医で ある審査会委員の同行を求めることができるということで、要するに実地指導と精神医 療審査会という機能を連携を図るということで、そうしたような規定を盛り込むという ふうに考えております。  9番の指定医の処分の関係ということで、今回指定医の処分につきまして、中間的な 処分を設けましたので、それの情報につきまして、医療審査会の審査の過程で、指定医 にとって適切でない問題点等がございましたら、それにつきまして、都道府県知事が厚 生大臣に通知するというようなことを明記させていただきました。  以上が主な変更点でございます。細かな点につきましては、右手が現行、左手が改正 点ということで、棒線を引いてございますので、あと、またご質問等ございましたら、 事務局にお寄せいただければと思います。 【部会長】  どうもありがとうございました。ただいまのご説明で何かご質問ございますでしょう か。マニュアルの主な変更点が9項目あるということでございます。 【吉澤委員】  3の「情報公開について」というところで、「原則、精神障害者の個人情報以外の情 報は公開する」というご説明は先ほどのでよくわかりましたのですけれども、各都道府 県の条例で、個人情報の公開を求められるというケースがございました場合に、この法 律を持ってきて、個人情報の公開に関しても、個人情報以外の情報は公開するとなって いるので、公開できないという回答になってしまうということなのかどうか。その辺、 ちょっと趣旨がはっきりいたしませんので。 【重藤補佐】  精神障害者の個人情報を公開するということについては、やはり都道府県の……。 【吉澤委員】  個人情報の公開制度に基づいて、本人から請求があった場合に公開する、しないに、 これは関する規定なのかどうかの回答をまずいただきたいと思います。 【重藤補佐】  都道府県の公開条例に基づく条例は、条例に基づいて公開請求がなされた場合には、 それによって判断をしていただくということになります。これは考え方として、私ども が都道府県に基本的考え方として示したものでございますので、これは個別の事例ごと に判断されるものと考えます。 【部会長】  その公開というのは、一般のパブリック向けの公開で……。 【吉澤委員】  というふうに、先ほどの説明が……。 【三觜課長】  質問は、請求者本人が求めた場合でしょう。 【吉澤委員】  そうです。ただ、この読み方ですと、情報公開とのみしか書いてないので、そういっ た質問が一部当然出てくる可能性があるんじゃないでしょうか。 【三觜課長】  ここで言っているのは、本人以外の一般の方が求めた場合に、本人の……。 【吉澤委員】  求めたというより、公開するということですよね、結果について。 【重藤補佐】  本人の場合はその……。 【吉澤委員】  文章をもうちょっと丁寧にしないと、そのややこしさというのは、法律の関係者から は指摘されるのではないか。池原先生いかがですか。 【池原委員】  確かにたまにある自治体に情報公開を求めたときに、本人が申請しているんですけれ ども、個人情報などで出せませんという回答があったこともありますので、だから、そ れは本人のプライバシーだから本人が言っているのに拒否する理由がないでしょうと言 っても、そこで結構簡単にはクリアーできない場合もありますので、少し明確にした方 がいいかもしれません。 【部会長】  マニュアルの中の文章で問題ありますか。 【池原委員】  つまりマニュアルの中の文章ですと、4ページの4)ですけれども、下の方ですね。 【部会長】  5ですね。 【池原委員】  ええ。「審査結果が報告された後は、精神障害者の個人情報以外の情報については公 開することを原則とする」ですから、逆に読むと、精神障害者が個人情報は公開しない ということになって、一律に読んでしまうと、本人が言っても公開しないという読み方 が絶対できないではなくて、趣旨から考えればおかしいんですけど、ただ、現場の情報 公開の窓口の担当者が、これを非常に形式的に読んでしまうという危険性はあるかもし れません。 【重藤補佐】  医療審査会のこの情報と、そうした個人の情報請求の情報とちょっと種類が違いまし て、やはり個人情報の請求としては、条例に基づいてきちんとその手続で判断されるべ きだと思います。 【吉澤委員】  それは医療審査会の内容の個人情報の開示を求めるというケースが出てきますから、 それは検討していただければここで即答していただかなくても何らかの……。 【池原委員】  結論においては、恐らく問題一緒なんですけど、時どき現場でつまづくことは。 【部会長】  これはあくまでマニュアルでガイドライン的なものですから、重さとしては、個人情 報、そっちの方が重いだろうと思うんですけど。 【吉澤委員】  ただ、ほかにこの内容に関する規定というのがございませんので、その際の各都道府 県レベルの判断はこれに基づく可能性が大ですので。 【部会長】  その点で、事務局の検討をお願いいたします。 【吉澤委員】  例えば、説明をするときに、こういう場合は含まないという説明を付加していただく というだけでも大分変わってくると思います。 【部会長】  どうもありがとうございました。 【大熊委員】  本人以外には公開しないと一言入れておけば、窓口の人が間違いないと。 【部会長】  どうもありがとうございました。ほかにどうぞ。 【池原委員】  時間がないところ申しわけないんですけど、言葉の問題で、現行と改正の対照との8 ページの知事への審査結果の通知のところですが、改正の方での 4の「入院の継続は適 当でないこと」というのは、現行の「入院の継続の必要は認められない」という言葉を 変えているんですけれども、これは何か特別な意味があってお変えになっているんです か。 【重藤補佐】  要するにすべて平仄をとったということと、中身について、そのものズバリの文章の 表現ではなくて、こうしたことを意味した通知にするという意味で書いていると。 【池原委員】  そうすると、結局自治体ごとに審査結果通知については、趣旨としては適当でないこ とだけを、表現はいろいろあり得るという意味ですか。 【重藤補佐】  そうです。 【西島委員】  今の情報公開の個人情報の部分なんですが、今回、医療審議会の中でも情報公開とい うことが議論されてまして、世界のいろんな情報をとって検討されたようでございます けれども、やはりその中でも精神障害に関しては別なんですね。ですから、そういうこ とも含めて書き込んでいただかないと、ただ、本人以外はという一言でやりますと、個 人情報全部本人が請求したら出さなければいけないという話になりまして、これは医師 と患者さんの信頼関係にも大きな問題が起きるだろうと思いますので、そのあたりも考 慮した上でよろしくお願いいたします。 【部会長】  どうもありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。どうぞ。 【大熊委員】  これは審査請求するわけですから、もう信頼関係が壊れた場合の話なので、カルテ開 示とはちょっと状況が違うということをお含みおきをいただきたい。 【西島委員】  今の発言はちょっと問題があると思うんですが、つまり、まさしく信頼関係の中で治 療というのはできるわけでございまして、ところが精神障害者の方々の場合は、そうい ういろんな問題が起きるから、こういう法律等で規定をしているはずなんですよね。人 権も含めまして。だけど、人権はある意味では医師が拘束する場合も、そういう意味で できるわけでございますから、今の大熊委員が言われたのはちょっと違うような気がす るんですけど。例えば、構想妄想というのがありますですね。これなんかはまさしくそ の……。 【部会長】  いろんな状況があると考えられる。 【西島委員】  はい。ですから、そのあたり慎重にお願いしたいということでございます。 【部会長】  事務局の方で検討をお願いいたします。では、この件はよろしゅうございますか。  では、最後に現在検討されております政省令につきまして、ご説明をお願いいたしま す。 【重藤補佐】  資料の4と資料5でございます。  まず資料4でございます。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改 正する法律の施行に伴って改正等を必要とする政令について」ということで、今回、法 改正に伴って行われる政令の改正の項目だけ、今の状況をご説明をさせていただきたい と思います。  1番の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行期 日を定める政令」ということでございますが、これは地方分権を進めるために、地方分 権の法律でございますけれども、その改正に伴って、国の行う事務、都道府県の行う事 務で分けるものに関しまして、精神保健福祉法の政令も施行ということがございますの で、その施行日を平成12年3月31日とするという政令でございます。  それから、2、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律 の施行期日を定める政令」ということでございますけれども、その法律の施行日は、平 成12年4月1日とするということで、4月1日、今回の改正の法律が施行されるという 政令でございます。  3番でございます。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する 法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」ということで、法律の改正に伴いまし て、改正しなければいけない政令の中身でございます。  (1)のマル1でございますけれども、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第5条の改正に伴う用語の整理」ということでございまして、これは精神障害者の定義 でございますけれども、そこで今回、「精神作用物質による急性中毒又はその依存症を 有する者」というものを国際分類とか医療の実態で精神障害者ということで入っていま すので、その例示の1つとして入れたことに伴う用語の整理がございます。  それから、「法第45条の2第3項に定める精神障害者保健福祉手帳の返還命令規定の 創設に伴い都道府県知事が行う事務の創設」ということで、今回、精神保健福祉手帳、 その病態にないということが判断されますと返還ということが法律で書かれましたので それの事務の手続ということで改正ということになります。  それから、「法律第48条に規定する精神保健福祉相談員の対象となる者の資格を政令 から引き上げたことに伴う、従来政令において定められていた資格の整理」ということ で、精神保健福祉相談員の対象となる者というもので、精神保健福祉相談員を入れてい たものを法律で引き上げましたので、そこの整理を行ったということでございます。  以上が、精神保健福祉法の施行令の改正でございます。  そのほか、精神保健福祉法が改正したことによって、他の法律の政令を改正したとい う中身でございますけれども、(2)の「地方自治法施行令の一部改正」ということで これは大都市特例に係るところなんですけれども、そこの部分で、先ほどの用語の整理 つまり精神障害者の定義として、「精神作用物質や急性中毒を有する者」と入れました 関係上、地方自治法も変えたということでございます。  (3)の「社会福祉施設職員等退職手当共済法施行令の一部改正」ということでござ いますけれども、社会福祉施設の職員の退職手当共済制度の対象となるものに、精神障 害者地域生活支援センターが法律上規定されましたので、そこに勤める方も共済制度の 対象となるということで、そちらの方の法律に入れたということでございます。  (4)の「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律施行令の一部改正」とい うことでございますが、国立病院の再編成の際に、医療サービスとともに保健サービス や福祉サービスを充実させるため、医療機関とともに国立病院等の資産の減額譲渡の対 象とする保健衛生施設又は社会福祉施設に精神障害者地域生活支援センターを追加する ということでございますが、有利な譲渡の対象として、こうした精神障害者地域生活支 援センターを含めた施設が有利な譲渡の対象となれるように改正をしたということでご ざいます。  (5)の「施行期日」ですけれども、この政令の施行の日は、平成12年4月1日とい うことでございます。  それから、資料5でございます。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一 部を改正する法律の施行に伴って改正等を必要とする厚生省令」の中身でございます。 その項目だけをご説明させていただきます。  1番、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則の一部改正」ということ で(1)で医師の診療録への記載というものが法律で新たに規定されましたので、それ に伴って、どういうときに、例えば任意入院患者の退院の制限を行ったときには、どう いう中身を診療録に記載するか。それから、措置入院の解除を行ったときにはどういう 項目を診療録に記載するかという項目を羅列といいましょうか、明記するという施行規 則でございます。  (2)、移送の際の告知事項ということで、今回、移送制度が設けられまして、法律 の中で告知をするというふうになっておりますので、その中身について、どんな中身を 書面で告知するかという中身を規定するものでございます。  (3)医療保護入院届でございますが、医療保護入院につきましては、今回任意入院 の状態でないというものが医療保護入院の要件で加わりましたので、そうした要件を確 認するための欄なり、そうした中身について医療保護入院届に記載しなければいけない ということで、その様式も変えなければいけないということでそうした項目がございま す。  (4)応急入院届でございますけれども、同じように応急入院も任意入院の状態にな いという判断できる部分が必要だということでございます。  (5)の仮入院の届出でございますが、仮入院制度が廃止されましたので、これは削 除になるということでございます。  (6)の精神障害者社会復帰施設の立入検査証でございますけれども、これは今まで 医療機関なり居宅において診察するときに、身分証を提示して医療機関の指導監査とか 入っていたのですけれども、社会復帰施設にも指導監査に行くときは身分証を整備しな ければいけないということで、それが必要となるということでございます。  (7)の社会復帰施設の設置の際の届出事項ということで、市町村、社会福祉法人が 社会復帰施設を設置しようとするときの届け出の事項はどういう項目があるかというも のを決めることでございます。  (8)社会復帰施設が廃止又は休止する場合はどんな項目を届け出るかというものを 規定するということでございます。  以上が、本体としての施行規則の改正でございます。  2の「精神障害者社会復帰施設の設備及び運営に関する基準(仮称)の創設でござい ますけれども、これは当部会において了承されました「精神障害者社会復帰施設の設備 及び運営に関する基準」というもので、社会復帰施設がどんな設備、構造、人員基準か というのを委員の先生方にご議論いただいたわけでございますけれども、あの中身につ いて、社会復帰施設の最低基準、名称はどうなるかあれですけれども、そうした最低基 準の省令をあれに基づいて施行規則として位置づけるということになります。  以上が、今検討している厚生省令の項目でございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。検討されている政省令の内容についてご説明でした が、何かご質問ございますか。 【伊藤委員】  移送の関係と医療保護の入院届のとき、その方が34条で強制移送されて入院になった というようなことがあった場合に、それは医療保護入院の書式の中にはそのことが含ま れるのでしょうか。 【重藤補佐】  前回、お示ししました移送のガイドラインの中に書式はすべて入っていまして、すべ て診療の記載の項目も診察の中身も入って、それで……。 【伊藤委員】  そうしますと、そこで精神医療審査会のチェックにかけると。 【重藤補佐】  それが上がるということです。 【伊藤委員】  わかりました。 【部会長】  ほかにございますか。よろしゅうございますか。 【伊藤委員】  よろしいですか。今の政省令に関してはよろしいのですが、この後に出てくる、恐ら く通知類になるのだろうと思いますけれども、そこでお願いしておきたいことがあるの ですが、入院時に書面で個々人に不服請求とか処遇改善請求を出せるということは告知 するわけですが、できるだけ告知に努めなければならないという、具体的な方法として 各方面からそういう掲示をすべきだということがあったんですね。精神病院実地審査の ときにでも、皆さんいつでも見れるところにそういう権利の掲示をどこかにしておくべ きだということが生かされるようにお願いしたいということです。 【部会長】  よろしいでしょうか。 【重藤補佐】  はい。 【伊藤委員】  もう一つは、前にもお話しましたけれども、任意入院の開放処遇の制限ですか、それ についても、実地審査できちんと見ていただくような通知を出していただければと思い ます。 【部会長】  よろしゅうございますね。任意入院の制限のことに関する実地審査のときの周知とい いますか、それをお願いしたいということです。どうぞ。 【大熊委員】  本当のその他でもよろしいですか。2つほどちょっと具体的なことについて伺いたい んですけれども、1つは前回の吉澤委員が配られた資料で、時間切れで全然検討しなか ったものがありましたが、30万円いただきますと、よく説得して患者さんを運びますと いう、あれはこの法律にかなっているのか、また実態を厚生省はどのように把握してお られるか。  それから、もう一つは、福岡の方の松口病院という精神病院で大勢の患者さんが審査 会に申請したのですけれども、病院からは大層、表現次第で、また西島さんが目むきそ うなので(笑)、ありていに言えば、どやしつけられて取り下げたということがあって 九州の方の新聞を賑わしているわけなんですけれども、そういう審査会に出てきて、不 自然にまた引っ込めたみたいなときは、積極的にそれをまた調べていくべきではないか なというような気がしまして、松口病院のことはご存じですかというのを、前、課の方 にお電話ししましたら、それは存じておりますというお話だったので、今の2つの具体 例ご承知と思いますのて、ちょっとご説明をお願いします。 【重藤補佐】  松口病院につきましては、福岡県の方で指導監査に入って、指導をしているという状 況を、福岡県の方から私ども聞いております。まだ、いろいろな問題点もあるというよ うなことも私ども聞いておりますので、今現在福岡県に指示をしまして、さらに松口病 院の問題点について状況を把握するようにというふうに今しております。 【大熊委員】  ご報告をいただきたいと思います。あっちの30万の口はいかがでございましょうか。 【三觜課長】  私の理解では、一応患者の同意をとって運ぶと。あのパンフレットでは強制移送でな くて、患者の家族と本人が同意していれば、30万円も出して運ぶかどうか、ちょっと不 思議でありますが、もし強制的に移送されているのであれば、それは問題であると考え ております。あのパンフレットどういう趣旨で出されているのか、ちょっと理解してな いんですけれども。 【吉澤委員】  よろしいですか、出した本人。 【部会長】  手短に。 【吉澤委員】  あのパンフレットを出しました理由としては、移送の際に法文上の建前で行動制限を できないと書いてあることと別に、実際は自傷他害がある人のところに職員が行くわけ ですから、事実上の制止行為その他でのいろんな身体の接触が出てくる。そうすると特 別公務員暴行辱虐罪に問われる、告訴される可能性が出てくるという話をしたつながり として、そういう場合に、そうすると職員がなるべく接触しないということで、民間業 者にそこの時点を任せてしまう可能性があると。民間業者はその罪名には該当しま せん。その民間業者に任された場合にどんな問題が生じるかという一例として、あれを 出させたいただいた。  あの業者ということでは全くないんですが、過去に私は4例そういったケースの相談 を弁護士会の人権委員会の関係で受けております。それらはいずれも本人の任意と称し ていますけれども、任意で行く人にそういった業者を呼ぶ例は一例もございませんので 全員任意ではなかったと言っております。以上です。 【部会長】  何かございますか。 【三觜課長】  今度の移送制度では、そういう専門業者に移送の部分について、県は委託することが できるという規定を設けておりますが、当然……。 【吉澤委員】  搬送でしょう、今おっしゃったのは。 【三觜課長】  搬送。車と運転手さんがその場合に業者になると思うんですが、その場合、県職員が 一緒に乗り込んで、当該移送先の応急指定病院まで行くということになっていますので その行為そのものは県知事の責任において行うということで位置づけております。 【河ア委員】  その場合に車と運転手だけですね。 【三觜課長】  民間に委託できる部分、運ぶ部分だけです。あくまでも道具としての部分をお願いす るわけで、業務そのものを民間に委託することはできません。 【吉澤委員】  その点につきましては、文章上は明瞭にそう書いてないんですね。搬送の部分につい てということで、解釈の幅があるので、これは明瞭に「車両及び運転手のみ」と書かな ければまずいのではないかと。私が相談に当たりました事案は、いずれもガードマンが 複数来まして取り囲むなり、そういった形で連れていくということでございまして、た だし、それは業者は搬送とか移送とか護送とか、言葉は自由に使っております。  警備会社としての登録をしていることをあたかも市とか公共団体とか、精神保健福祉 法関連のところからの許可をもらったような形で公安委員会の許可何号とかそういう形 で話をしているということもございますので、実態を見てちょっと慎重にされた方がい いと思うんです。  それとこれは比較的私は首都圏では相談受けているのですが、地域的なバラツキはあ って、余りそういうことがない地域もあるように聞いております。 【吉川委員】  私は、今、吉澤委員の発言に、それはそのままで問題視していますけれども、ただ、 今結論めいたところでちょっとお話が出たのは、車両と運転手という話になりましたけ れども、私みたいに沖縄にいた人間は車両なんて使わないことたくさんあるわけですよ ね。ですから、やはり本人を搬送するためということしか言いようがないんですね。例 えばヘリコプターのこともあるでしょうし、それから、今のように船で運ばなくちゃい けないこともあるでしょうし、考えたら、全国一律の法律ですから、ですから搬送を 「車と運転手」と決められてしまったら困ってしまうんですよね(笑)。  ですから、もうちょっとその辺のところは柔軟に考えなくちゃしようがないんじゃな いかなと思っています。私はそれでいいと思って考えたんですけれどもね。 【池原委員】  ちょっと今の話とはまた別のポイントなんですけれども、結局移送の中で、どちらか というと難しい問題が生じるのは措置入院の移送で、結局第1次診察、第2次診察と物 理的に移動させるわけですけれども、第1次診察に行き着くところも移送の手続なわけ ですね。だけれども、原則として第1次診察のところに行くまでは、原則としてという か診察を受けてないわけですから、指定医の判断がなくて、したがって、本来だったら 法律の条文からいくと、身体拘束ができないと。拘束ができなくて第1次診察まで連れ ていかなければいけないという状況が発生してしまうので、しかし、現実の運用とした ら、咄嗟の場合には拘束とか行動制限という問題が起こりえてしまうのではないか。  吉澤委員がおっしゃっているのは、もしそこで咄嗟に行動制限をしちゃったときに、 結局は担当した公務員の人が特別公務員暴行辱虐罪に問われる危険性を負担しなければ いけなくなるのは問題ではないかと。だから、むしろ指定医の側が移動を始めるに先立 って診察ができていれば、あるいは少なくともそういう可能性がかなり見込まれるとき には、指定医の方から出て行ってくださらないと、法に従った行動制限ができなくなっ ちゃうということだろうと。そこをおっしゃっているのかなと思うんですけれども。 【吉澤委員】  言いました。 【三觜課長】  そのケースの場合は、強制移送を伴わないと、診察できる指定医のところへ連れてい けないと想定される場合には、指定医に行っていただくということを都道府県の担当者 には周知徹底したいと考えています。 【池原委員】  ただ、そこで1つ疑問になっちゃうのは、措置の場合の移送ですから、もともとある 程度の自傷他害の危険性があることを前提になっているわけですね。 【三觜課長】  その場合、大体警察官が多いのではないかと私ども想定していますので、今想定され るのは、一般人からの申請の場合に。 【池原委員】  23条で来た場合ですね。 【三觜課長】  警察官ですと、警察官職務執行法で診察場面まで出動してくれるということで運用し たいということです。 【部会長】  その問題はこの前も指摘されて、検討するということだったものですから、検討され ると思います。 【吉澤委員】  医学の畑の方が多いので、事実と法律の解釈がかなり混み合っていますので、池原委 員とでも相談しまして、各先生方にわかりやすく書いたものを出させていただくかなん かいたします。特別公務員暴行辱虐罪につきましては。 【部会長】  よろしゅうございますか。  それでは議論も尽くされましたし、報告も終わりましたので、これで部会を閉じさせ ていただきたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。  次回につきましては、まだ日程は決まっておりませんが、決まり次第、事務局から連 絡させていただきます。本日はどうもありがとうございました。 (了) 照会先 大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課医療第一係 高橋(内3059)