ヒト組織の移植等に関する専門委員会第2回議事録            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会                 第2回議事録                平成12年1月14日(金)                17時00分〜19時10分                弘済会館「椿の間」 出席者(○:委員長 敬称略) 位田 隆一  糸満 盛憲  鎌田 薫   北村 惣一郎 佐多 徹太郎 篠崎 尚史  柴田 鐵治  島崎 修次 ○野本 亀久雄 早川 堯夫 松村 外志張  1.開 会 2.議 題   (1)米国における組織バンクの状況等について      (2)「ヒト組織の移植等への利用のあり方について」の構成について      (3)「ヒト組織の移植等への利用のあり方について」に盛り込むべき         論点等について  事務局  お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただいまより厚生科学審議会先端医 療技術評価部会ヒト組織の移植等への利用のあり方に関する専門委員会、第2回目を開 催いたします。  先生方におかれましては本日はお忙しい中、また、夕刻ということで大変遅い時間で ご出席いただきましてありがとうございます。  本日の委員の出席の状況でございますが、広橋委員から本日、ご都合悪くてご欠席と の連絡をいただいております。早川委員が少し遅れるというご連絡をいただいておりま すのでまもなく到着されるかと思います。鎌田委員がまだでございますが、特段、遅れ る等の連絡をいただいておりませんので、まもなく到着しようかと思いますので会議を 始めさせていただきたいと思います。  続きましてお手元にお配りしております資料を確認させていただきます。まず、1枚 目でございますが、第2回の議事次第ということでありまして、本日、議題3点予定し ております。米国における組織バンクの状況等について、「ヒト組織の移植等への利用 のあり方について」の構成について、3番目といたしてまして「ヒト組織の移植等への 利用のあり方について」盛り込むべき論点等についてということで、3つの議題を予定 させていただいております。  1枚、おめくりいただきまして、委員の先生方の名簿、次、座席配置図というふうに なっています。次に資料一覧がございます。資料はその1枚めくっていただきました後 に順次、ございますが、右方に資料ナンバー、一番下に頁を振ってございます。資料の 1といたしまして米国における組織バンクの状況等についてということで1枚紙がござ います。 続きまして資料の2といたしまして「ヒト組織の移植等への利用のあり方に ついて(論点案)」ということで5頁ございます。なお、これには別添1、2というこ とで、それぞれ各1枚の別添資料が続いてございます。  あと、参考資料といたしまして米国FDAのヒト組織利用に関する規制案ということ で28枚ございますが、これは各委員の先生方にはそれぞれ添付してございますが、これ はホームページに既に搭載されておりますので、オブザーバーの方、大変恐縮でござい ますが、ホームページのアドレスを記載しておりますので、後ほどそれをご覧いただけ ればというふうに思います。資料は以上でございます。何か不備等ございましたらお申 しつけいただければというふうに思います。  それでは野本委員長、よろしくお願いします。  野本委員長  それでは議事に入っていきます。前回、いろいろな組織別の仕組みというのをそれぞ れの先生方にご説明いただいたのですが、先行しておるアメリカのシステムもぜひ、参 考にさせてもらって無駄のないようにしたいと思います。  幸い、篠崎委員が米国のアイバンクの国際委員会の委員をされておられるということ で、篠崎委員からアメリカの実情をお話しいただきたいと思います。  篠崎委員  すみません。それではただいま野本先生にご紹介いただきました篠崎です。 私、組 織と言いましても眼なものですから、眼のことについてはかなり詳しく存知あげている つもりなのですが、組織全体となりますとアメリカ、かなり細分化されております。  幸い、田中先生、見えていますので、もし、間違いがありましたら後で修正していた だくということでお願いできればと思います。  組織の流れなのですけれども、ちょっと複雑に流れています。と言いますのは、ひと つは、米国における組織の流れということで法的根拠から述べさせていただきます。一 応、Federal Law 、いわゆる法律としては定められておりません。現在、FDAがレギ ュレーションとして作るべきかということで、各団体と折衝中ということが言われてお ります。 今、申し上げましたAATB、アメリカ・アソシエーション・オブ・ティッ シュ・バンクというのがありまして、もうひとつ眼の方ではアイバンク・アソシエーシ ョン・オブ・アメリカ、EBAというのがございまして、各々に医学基準がありまし て、業界の基準に基づいて動いていると。これはかなりのレベルの高いものでございま して、詳細について渡っているということで、安全性も過去のいろいろ感染症の罹患な ども非常に少ないということで国民の信頼を得ているのではないかというふうに理解し ております。  また、特殊な例もございまして、検視官法、いわゆるME Law、メディカル・エクザミ ナル・ローと呼ばれますが、こういったものがありまして、そこで日本とはちょっと承 諾手続上、異なった採取の方法があるということです。  もうひとつ、大事なことといたしまして、では、ちゃんとできているかどうかという のが国民の理解を得るためにはある程度の第三者的に評価されるかどうかというのが非 常に重要だと考えております。幸い、アメリカの中では各組織毎、協会の内部の機関に よる査察というのが非常に厳しゅうございまして、協会での査察で営業停止になってみ たりすることも過去にあります。逆に言いますと、もうひとつFederal でFDAの査察 が入りますので、行政からの査察も受け入れるということでございます。  また、承諾手続について述べさせていただきます。承諾、これは組織バンクのいわゆ るコーディネーターと呼ばれますが、による家族のインタビュー、家族のいわゆる承諾 とインタビュー・メディカル・ヒストリーですね。ソーシャル・ヒストリー、社会的医 学的なバックグラウンドをある程度、インタビューして承諾を得るということになって おります。  初期と現在はかなり異なっておりますので、現在のことが参考になるかどうかは別と しまして、現在ではほとんど電話によるインフォームド・コンセントになっておりまし て、承諾をいただいて録音させていただき、承諾の内容を後で起こすという形になって おります。  提供の流れとしましてはどこでも同じかとは思いますが、採取、いわゆる提供いただ きました組織をプロセスをして、それを分配して使用するという、この4段階に分かれ ておりますので、各段階、簡単に述べさせていただきます。  まず、採取というところになりますと、提供者が発生した場合には最寄りのティシュ バンクという書き方、組織バンクという書き方をさせていただいておりますが、ひとつ ではございませんで、骨だけ、あるいは皮膚だけ、あるいはトータルで全部何でもとい うところもいろいろありますので、営業形態がかなり違っておりますので、そこは横の 連絡によって提供者のご希望でご希望に添えるように最善を尽くしているということで ございます。その多くがAATBという連合に加盟しているものでございますので、同 じフォーマットで動いているというふうにご理解いただければと思います。  ただし、一部の小さなバンク、あるいはそのバンクの支店的なブランチと書かせてい ただきましたが、がございまして、ローカルにはそういったところでも採取させていた だくのですが、その場合、加工が不可能ということでプロセッサーと呼ばれております けれども、組織をきちんと培養したり、あるいは処理をして保存できるような施設に送 ってやっていただくということになっています。  この場合はそれがティシュバンク、大きなティッシュバンクである場合もあります し、あるいはnon-profit、profitのprocesser 、いわゆる加工の会社である場合があり ます。それはお手持ちの資料の方に書かせていただきましたので後でご参考にしていた だければと思います。  その処理なのですけれども、大きい組織バンクでは当然、ラボを持っておりますの で、採取してきたものを当然、その場で処理をいたしまして保管をする。移植なり、あ るいは研究なり、あるいはそれ以外の目的で使用するという場合にはそのバンクの基準 に満たしている場合にはそこからいわゆるディストリビューションと言いますか、分配 にいくわけです。その他についてはプロセス自体がさきほど申し上げました小さな組織 バンクからですとnon-profit、profit、このnon-profit、profitについては後ほど簡単 に説明させていただきますが、非営利、営利というふうに日本語では訳されますが、そ の処理業者で行っている。業者というのはあまりいい言葉ではないかもしれませんが、 処理施設という形で行われております。  その分配についてなのですけれども、一応、さきほど申し上げました組織バンク、こ れはかなりいろいろレベルはあると思います。あとはnon-profitの解釈からcompany と いうふうに書いていますが、実はアメリカの場合ですと日本のように財団で法に守られ て加護を受けているというような形が非常に少のうございまして、non-profitと言えど もインコーポレーション、いわゆる会社形式にさせられておりまして、納税の義務まで あったりするような状況で、会社というふうな言い方をしておりますが、日本のいわゆ るバンクと思っていただければ結構なのですが、もうひとつ下にありますprofitの会 社、これは本当に営利目的というのはちょっと言い過ぎだと思うのですが、日本語の営 利というイメージはちょっと少ないような気がするのですが、ある程度のちゃんとした 会社として運営されているというふうに理解していただければと思います。  使う側と言いますと移植施設で移植に用いる場合、研究として用いる場合、profit co mpany、これはいろいろなそれこそ製薬会社に回ったり、あるいは研究用に使われたり と、あるいはそれこそ化粧品の研究材料にも使われたりということになります。いろい ろ流れはあります。  ではどういうふうに流れていくかと。組織バンクの方から述べさせていただきます。 組織バンクの場合ですと、ぼとんど多くの場合は移植にそのまま用いられる場合が多い ですので、直接、移植に用いられる経路、次に研究に用いられる経路、あとは数的には 組織バンクからは少ないのですけれども、profitの会社、いわゆる製薬会社などにもそ の基準、組織バンクの基準を満たしていれば回すということです。  逆にnon-profitの会社というふうに書かせていただきますが、日本の感覚で言うとこ れも組織バンクだと思います。ここに大手のノースウェスト・ティシュバンクなどと書 かせていただいたのですけれども、これも実際はAATBのメンバーでございまして、 非常に大規模な組織バンクというふうに思っていただければ構わないと思うのですが、 こういったところからも実は地元の組織バンクさんに戻ってから移植に用いられる場 合、あるいはダイレクトに移植に用いられる場合、または研究などにも十分提供してい ます。  この場合、組織バンクからもですが、移植に用いる場合の決まった費用、これは日本 で言うと斡旋手数料というふうな言い方をするようでございますけれども、材料費と言 いますか、物の値段ではなく、これはあくまでかかったコスト、経費は当然、non-profi tですから、かかった経費は払っていただくと。ただし、そこで利潤は生じないようにし ているということでございます。  研究のためにも当然、non-profitでかかった費用だけでやりますが、研究の場合です と大学などの場合にはいわゆる教育機関としての移植よりはやや低額な設定になってお りまして、研究が進むような仕組みになっております。  また、一部ですけれども、そのprofitの会社からでもリクエストがあり、向こう側の 会社側の基準を満たした研究、あるいは使用法であり、かつnon-profitの組織バンク内 の基準を満たしているようであれば、その場合も出ますが、この場合、非常に数は少の うございます。  続きまして最後profitのcompany 、これの骨の場合ですと、ホステテックとか、クラ イオライフ社などが非常に有名でございますが、こういった会社に回った分に関しまし ては移植に当然用います。あるいは研究、これはなかなか研究の方が地元の組織バンク の方からの供給が十分なのであまり使用量は少のうございます。あるいはそのままnon-p rofit company に流れるというふうにいっております。  全体的な話となりますが、例えばその費用ですけれども、non-profitという定義は組 織バンクなどは利潤を出さないというのがnon-profitの定義になっておりますので、ま た逆に利潤が出た場合にはそれは社会のために還元しなければいけないというのがnon- profitの原理ですので、赤字が出ない程度で実費をちゃんと徴収して運営ができるよう にしているという、いわゆるprocessing feeというふうに呼んでおります。  profitの方は会社は営利を目的として運営しているので、当然、利益というのが出る のですけれども、これはnon-profitもかなり数がありますので、そこで競合しておりま すから当然、研究にしろ、移植にせよ、同じものがnon-profitから安い価格で出ていれ ば当然、そちらを使うということで、これは適正費用が発生する。これは競争によると いうふうに取っていただければと。コンペティションが働いているということでござい ます。  提供した組織の所有者に関しまして、これは結構、重要な問題かなという気がするの ですが、アメリカでも昔、これは一旦、提供したときにそれを返してくれと言えるのか という議論が昔はあったのですけれども、一応、共通の概念としましてはそれをやりだ しますと結局、細胞になっちゃったのにどうやって戻すのかと、いろいろ難しい問題が ありますので、一旦、提供した組織というのは社会の財産というふうに帰属するのだと いう概念がだんだん浸透しているというふうに認識しております。これが一部、反論す る方もいますが、だいたい大局的には皆さん、理解されているというふうに思います。  最初に移植を目的としてどうしても組織バンクが始まりましたので、移植に直接、用 いないものに関してはどうするのかという議論もございました。ただ、最近では研究と か、それ以外の目的で我々の人類のために貢献するのであればというのが共通の概念で あり、当然、一部で反対する方もいらっしゃいますが、だいたい国民的には納得を得て いるものと思われます。これはやはり信頼をいただいたということだと思いますので、 最初のうちにある程度、きっちりしたレギュレーションなりをかけておく必要があるか なという気がします。  任意性と社会の理解という面で提供の任意性、これは当然、担保されなくてはいけな いので、初期のバンキングにおいては使用法についていちいち、これは移植に使うのが 提供します、あるいは研究にも使っていいですというふうないちいちの書面の承諾をい ただいた時期も多少ありましたが、最近はさきほど申し上げたように一応、社会のため になるのであればどうぞというふうな認識が国民の中にあるというのが現状だと思いま す。  バンキングの公正性というふうに今、書きましたけれども、国民皆さんがバンキング というのはそういうもので、移植に直接、使わなくても他の医療の進歩に貢献できるの であればという合意がだんだんできあがったというふうに考えております。以上で簡単 で非常に簡単でございますが、アメリカの流れということで組織の流れを述べさせてい ただきました。もし、間違いなどございましたらご指摘いただければと思うのですが、 よろしいでしょうか。  野本委員長  田中さん、何か追加すること、ございますか。  田中助教授  今、篠崎先生が報告されたほぼそのとおりだと思いますが、地元のティシュ・エージ ェンシー、プロケアメント・エージェンシーとティシュセンターの関係というのはなか なかちょっと私たちも理解できないところがございまして、これはノースウェスト・テ ィシュバンクのように非常に大きなところであればだいたい3州から4州、北西部をカ バーしておりますので、当然、搬送に数時間、ヘリを使ってもかかるようなケースがあ ります。こういうのは地元のプロケアメント・エージェンシーがその現地に行ってそこ で直接プロケアメントをして帰ってくるというような感覚で捉えられていいのではない かなと思います。  ただ、米国の中にも大きなところもあれば非常に小さなところもありまして、そのす べてが均一に同じようにやられているかというとそうではないと思いますので、今、お 話しされたのは非常にトップクラスのティシュバンクのお話かと思いますが、1点、 私、気になりましたのはインフォームド・コンセントの取り方で、ほとんどがやはり電 話によるコンセントを取って、それをテープで起こした後で送付するというような形を 取られているのですね。これは我が国ではどうしてもリトムコンセントを中心にという ふうに進んでおりますが、おそらく初期はもちろんそういう形できちんとしたものが必 要になってきますが、数が多くなってきますとそういったケース・バイ・ケースという ものもあってもいいのではないかなということをちょっと感じました。ありがとうござ います。  野本委員長  どなたか、篠崎さんや田中さんに質問ございますか。はい、どうぞ。  位田委員  いくつかあるのですが、ひとつはnon-profit、組織バンクもしくはnon-profit、profi tのエージェンシー、そういったものに統一の基準というのがだいたい揃ったものがあり ますでしょうか。さきほど業界の中のスタンダードがあるとはおっしゃったのですけれ ども、業界内によってかなり異なっているとか、そういうふうな状態なのかどうかとい うのがひとつです。  篠崎委員  大きな協会、いわゆるアソシエーションとしましてはAATBがメインだと思いま す。それ以外にも実はダブっていると言いますか、例えば組織と言いましてもひとつの ある程度のバンクですと皮膚と骨とアキレス腱とというふうにやっていますね。そうし ますと例えば骨のグループに融合されているグループとか、いろいろなグループ、眼の グループ、アイアンドティッシュバンク、そうしますと全部の基準、最低では駄目です ね。全部の基準の最大公約数を見出している形でないと運営が取れませんので、それが 独立でどこにも属していないというのは逆に眼の場合、1件だけ、マイアミ大学にある のですけれども、これは逆にもっと厳しいものでないと査察に耐えられませんので、そ れは厳しい基準で、特に感染症に関しましては最近はあまり差は見られないというのが 現状だと思います。  位田委員  すみません。ちょっとあと2つ程、お聞きしたいのですけれども、使用機関のprofit companyというのはどういう、例えば製薬会社とか、そういう類のcompanyなのでしょう か。  篠崎委員  はい。多くが製薬会社で、これは2種類ございまして、治験に使う使用目的である場 合と、例えば日本でも一部あると思うのですけれども、例えば胎盤みたいなものの場合 にはそれを一部、コラーゲンを取ったり抽出するのに使うというのもございます。  位田委員  そういう移植実施機関、研究機関はそれぞれ基準があると思うのですけれども、その 使用について。profit companyの使用基準とその他の移植実施機関、もしくは研究機関 の使用基準というのはかなり違うことになる。  篠崎委員  それは目的によってですのでかなり違うと思います。ただ、基準が明確でないと、こ れは社会的合意だというふうに取っていただければいいのですが、会社にしましても出 す方、シッパー、出す方としてはバンクであれ、会社であれ、ある程度の社会的合意の 上に公開していますので、それが基準を満たさない場合には出さない。逆に言いますと 例えば会社であっても倫理委員会がございますので、会社の中の倫理委員会の基準を満 たさないとそこには出さないと。その都度、開くのはちょっと厳しいので、ある程度、 プロの方が窓口にいまして、この会社に出すべきかどうかということは事務所の中で相 談し、決定事項を年に何回か開かれるエスシックスコミュニティの方に出すという形で 運営されております。  位田委員  すみません。もう1点。提供された組織が社会の財産であるという、国民的な理解が あるというお話なのですが、さきほど、電話でコンセントを取るというのと多分、つな がっていると思うのですけれども、どうしてそういうふうな組織を提供するということ が社会の財産になるという意識になってきたのかということ。  篠崎委員  それは多分、今の日本がどうかというのはちょっと私、わからないのですが、例えば 臓器、眼に関しましては40年の歴史がありますので、例えば今、移植にしか用いていな いです。逆に我々が非常に困るのが患者さん、例えば網膜の色素変性症の方で眼は検眼 して移植に使ってほしいけれども、僕はこんな眼で一生、見えなかったのだと。これを 使って研究してほしいというリクエストが逆に僕らはたくさん貰っているのですね。  そういったことを生かせるかどうかということに関わってくると思うのですが、これ は逆に言いますとアメリカの歴史で言えば、始めは移植目的で作ったバンクですから、 移植に使ってほしくて提供すると、両者が思っていたのですが、そのうちこういった研 究が進むにつれてこういうことも可能なのだいうことでバンクから直接、実はこういう ことで研究したい先生がいらっしゃる。こういうことにも万が一、移植に使えない場合 は使ってもいいだろうかというようなコンセントを取りだして、ではいいですという人 だけ使っているという時期がしばらくございまして、そのうち、だんだん皆さん、研究 にも使うのだということでほとんどのバンクさんが眼も含めまして組織も含めましてこ ういった例えば提供した場合には移植に用いる、あるいは研究に用いるということで使 わせていただきたいのですがと言って、一部、初期は拒否される方も、ぜひ、いや、僕 の父の眼ですから絶対、移植に使ってくださいという方は一部にはいらっしゃいました が、やはりだんだんだんだんこれがやはり世の中のためになるならどうぞというような 概念が広まってきた。やはりその業界が誠実に遂行していたからではないかなという気 はいたしますが。  位田委員  ありがとうございました。  松村委員  よろしいですか。いろいろ教えていただきたいのですけれども、いわゆるほとんど加 工されてないミニマムマニプレイティ・ティシュというのもプロフィト・オーガニゼー ションが出すことありますか。  つまりプロフィット・オーガニゼーションとノンプロフィット・オーガニゼーション の区別というものの基準ですけれども、需要と供給ということなのか、それともやはり 加工という知的な所有権に関わるようなこと、付加価値を添加したものはこれは必然的 にその分だけコストがかかるという意味で、組織そのもの自身は結局、最後まで無償だ という考え方も僕はあると思うのですけれども、それは米国ではそういうふうに理解さ れているかどうかというのはひとつです。  いいですか。いくつか質問。提供するときに対価が支払われているケースもあります か。というのはアメリカの場合にはそれは拒否はされてないのだけれども望ましくはな いというふうに言われて、しかし、血液なんかの場合にはやはり対価が払われている場 合があると聞いていますけれども、組織の場合は全部無償でいっているかどうかという こと。  もうひとつはユーノスを中心としたオルガン・プロケアメントのシステムがあります よね。このティッシュのプロケアメントはどういうふうに関係しているか、その3つの 点。  篠崎委員  まず、では最後のユーノスから言いますと臓器の提供がありますね。臓器の脳死なり という状況で臓器が提供できる場合に連絡が入りますと、まず、臓器のコーディネー ターが当然飛んでいきますので、その場合に家族には承諾を取りまして、提供できる部 位の説明を全部します。  一応、OPOになりますけれども、ユーノスの下部機関で直接出ていくのがOPO、 オルガン・プロケアメント・オーガナイゼーションですが、そのOPOの方が承諾を取 って組織もいいということであれば地元の組織バンク、あとはアイバンクなりに連絡す ると。OPOが全部やっているケースもアリゾナなんかでは1件で全部賄えますので、 そのときは部門毎に呼ぶと。時間差がございますので。なるべくご家族に負担を少なく するためにご家族との対応はオルガン、臓器の方がずっとやっていただくというような 形になります。  もうひとつ、profitですよね。ミニマムマニプレイティッド、あまり加工していない ものを流す場合に実はティッシュバンクの方はそれ専門にほとんどやっているわけで す。一番加工の少ない、例えば培養して凍結したやつでそうしますとコストがprofitか ら出しますと実はコストが非常に安くなってしまいますから、profitやっても別にある 程度、出ているとは思います。僕の知っている限りでは少ないですけれども、あるかも しれませんが会社として結構、高価になってしまう場合かありますね。当然。過程の中 で。そうしますと結局、それがコストに跳ね返りますと使用する人がいなくなる。同じ クオリティであればティッシュバンクで十分であるということで、あと慣れていますの で、クオリティシュアランスも十分理解されていれば少ないですから、逆に言うと加工 したもの、例えば心臓弁なんかそうですね。今、かなり差が出ていまして、ミニマリマ ニプレイテッドな、いわゆる凍結だけして、それで出す場合は多分、平均で2,000 ドル 前後かなという気がするのですけれども。アメリカ国内で。  それが今、培養もしまして、いわゆるいい会社でいろいろ培養までして、それから出 しますと結局、8,000 ドルとかになりますね。そうしますと使う側の先生側の判断にな りまして、あるいは使う移植する患者さんと相談して、実はこういうことでリスクがこ れだけでお金がこれだけ違うと。どちらにしましょうというような形になりますので、 当然、そこには市場性が生まれていますから、どちらがいい悪いの問題ではなく、どち らを使用するかという権利が患者さんと主治医側に残されているということで、選択の 余地があるのかなという気はするのですけれども。  松村委員  もうひとつ。対価。  篠崎委員  対価に関しましては私の知る限りでは一部、血液のことは昔からちょっと噂には聞き ますが、組織に関しまして対価に関しては全く聞いたことはないですし、私の知る限 り、対価を支払っているバンクはないと思うのですが。おそらくないと思います。  松村委員  確認ですけれども、そうしたらではプロフィット・オーガニゼーションも無償で提供 受けたものをそのものについては今、無償で扱うのだけれども、付加価値については対 価を、あるいはプロフィットを要求しているというふうに考えていいですかね。  篠崎委員  これは多分、アメリカでは多分、国民全部理解していると思いますが、提供したもの に関してはこれはずっと無償ですね。加工に関する費用、あるいはそれをハンドリン グ、運んだり何だりする経費がかかります。これは加工して別なものを作ると、その分 が費用として嵩むのはこれは市場原理ですので致し方ないというのは多分、国民的理 解、それは多分、どこでもどこの国でも同じかなという気がするのですが、ものは全く 無償というのは原則です。  松村委員  言葉としてそれが組織を売買されるというふうに日本では表現されやすいのだけれど も、それが違うのだというところを、売買されるのは付加価値の部分だというところを はっきり多分、アメリカの場合にはされていることかと思うのですけれども、そこのと ころをちょっと。  篠崎委員  多分、それが一番のnon-profitとprofitの概念の一番の違いだと思うのですが、日本 ですとどうしても非営利と言いますとただのという、無償のというのがありますので、 ずっとただといくので中間が、いわゆるバンクが成り立たないのだと思うのですね。  やはりバンクをやれば運営費かかります。人件費かかりますので、それはある程度、 捻出するか、社会の浄財か何かに委ねなければいけませんので、アイバンクの方も日本 ではずっと社会の浄財ということで寄付に依存してきた時代があったわけですが、です からなかなか活動ができないと。それは果たして国民にとって得か損かという問題で、 それは我々でなく国民の皆様が判断していただくところなのかなという気がしますけれ ども。  松村委員  どうもありがとうございました。  野本委員長  他に何かございますか。  北村委員  バンクの運営等といろいろな種類になって大なり小なりいっぱいできていますけれど も、それを一応、団体の組織としたら学会のようなAATBに入っていても、実際、そ の運営にあたってはFDAが許可を取ってやっているのですかね。それともできあがっ たものに対してFDAは査察する権限を持っているという形でやっているのですか。許 可性というもの、例えば認定施設みたいなもの、日本で言う、そういうものが実は大学 の中でやっているところもあるのですよね。そういうものの開設許可というものはアメ リカは何かしているのですかね。  篠崎委員  大学に関しましてはほとんどが大学の倫理委員会で許可を出しています。それ以外の ものに対してゼネラルで言いますとティッシュに関しましては私の知る限りではFDA の許可というものはもともとありません。ないです。  ただ、アソシエーション、いわゆるAATBなりEBAは査察をしまして、いつでも 取消します。営業停止処分にできるという権限を持っていますので、ある程度のクオリ ティに満たないものに関しまして私も一応、やっているのですが、年に3回、任意のア イバンク、あてられまして6日間の査察に入りまして、クリーンベンチの清潔度から書 類の適正を調べまして基準に満たない場合、カテゴリー3というのは一番悪いですが、 満たない場合には6か月以内に改善を求めまして、改善6か月後に再査察をします。そ こで改善がない場合にはいわゆる除名処分です。そうしますと医療機関は使いませんの で、そこからの組織は使わないということになりますので、自ずと辞めていただくしか ないということです。  北村委員  ではパーミッションはいらないけれども、査察はするということですね。どういうシ ステムを日本に取るかですよね。そうしたら。  篠崎委員  そうですね。  野本委員長  日本の社会のちょっと甘さを言いますと、そういう民間の組織で査察をして除名す る。例えば移植の問題で出発点の頃、移植学会の忙しい先生方が何をぬかすかと。移植 学会が除名されても移植はやれるのだと。除名するならしてみいと公言した人が随分お りまして、やったろうかと私は大見栄を切ったことがあるのですが、そういうのはやは り順々になくしてもらわないとせっかく内部で自主規制やり、自分で磨きかけていると きに、そういうのはだから日本は何でも政府に頼らないと事が動かないのはよくないと いうことでしょうな。何かありますか。  柴田委員  提供について例えば近親者を指定して誰さんにあげたいというのは、そういうような ケースというのはあり得るのでしょうか。  野本委員長  まず、ひとつずつ。  篠崎委員  近親者に関しまして例えば組織の場合ですと多いですから、今、そういうことがあっ てもあまり実は生きてこないと言いますか、プロセスが入りますので、それでなくても すぐあげますよということで移植できます。  実は眼に関しまして2つしかないものですから、初期にありまして日本でも同じこと があったのですけれども、やはり2親等までならいいですよというような形で許可をし ていた時期もあります。ところが今、そんなことで待つよりはアイバンクに言えばその 日に持ってきますので、数が多いということでそういったこともかなり減少していると 思いますが、どうしてもと言えば多分、許されると思います。今や、数が多いですか ら、逆にあまり社会的に影響が全く起きない状況と思っていただければと思います。  柴田委員  ありがとうございました。もう1点はさきほどから出ている無償なのですよね。それ は大変素晴らしい習慣ができあがったのだと思うのですけれども、我々、ニュースその 他で見ているアメリカでは、例えば生殖補助医療についてはもの凄いビジネス化して、 いわゆる精子バンクだ、何だというのがもの凄いお金と絡んでいるわけですね。  そういうことと今の落差が凄く感じるのですけれども、何かその辺はもうきちんと社 会的なある種の合意がうまく生まれているのでしょうか。ということは逆に言うと生殖 補助医療のようなことはいわゆるちゃんとした医療行為ではないというような形の社会 的なそういう判断があるのかどうか、その辺をちょっと。  篠崎委員  生殖に関しましては今のスパームバンクが実際、AATBのメンバーにおりましてや っております。  ただ、どちらかと言うとやはり生体なものですから、スパームバンクの場合。ドナー が。生体の場合には一応、お預かりする、それはもうnon-profitでやって、あまり対価 を払うというのも聞いたことがないのですが、ただ、その使用に関しては非常にコスト がかかります。これは市場、医療機関の問題になりますね。あとは保存も大変だったり すれば、それなりのコストを出すということで、ただ、あまりprofitでは、スパームバ ンクも私の知る限りではprofitでやっているところはないので、ただ、その流れが医療 の中でいわゆる向こうは保険があまりしっかりないと言いますか、フィジシャンフィと いうことで、いろいろ追加したり何だりということは聞き及んでおりますが、使用の段 階で使う患者さん側からは徴収があるのですが、それはバンクにあまり影響していない と言いますか、バンクは決まった金額でしか出していないというのが現状だと思いま す。  野本委員長  よろしいですか。  柴田委員  そうすると生殖補助医療ではビジネスとして取っているわけですよね。現実にお金 を。提供者に。  篠崎委員  取っているところもあります。それはばらばらだと思います。ただし、AATBの中 では私の知る限りでは提供者というか、ドナーですか。  柴田委員  ドナーです。  篠崎委員  ある程度の価格を払っている。決まった形で。それは生きている方なので1日、空け てくれればその対価として1日分ということで120 ドルとか、そういうレベルでお支払 しているところは知っておりますけれども。それは一応、対価というよりはその方が1 日空けてくれた分と。いわゆるボランティア休日みたいなもので骨髄ドナーの会社が補 助するような形ではないかというふうに理解しているのですけれども。精子についてお 金を払ったのではないと。  柴田委員  ないということ。そうなのですか。そういう考え方なのですか。わかりました。  野本委員長  アメリカのようにそういうコマーシャルベースでものが動いている国でも臓器組織に 関してダイレクトな対価は払わないということですね。基本的に。よろしいでしょう か。よろしいですか。事務局。事務局の方で何かチェックしておかなければいけないこ と、ありますか。大丈夫ですか。  山本補佐  はい。結構です。  野本委員長  結構ですか。それでは次の議題に移りたいのですが、この今回のヒトの組織の移植等 に関する報告書に何を盛り込んでいったらいいかと、これが一番大きな問題になると思 うのです。きちんと落ちのないようにお互いに委員もチェックしながら最終的なところ まで持っていきたいと思うのですが、事務局の方でまず、全体構成を説明していただい て、あとは各章毎にディスカッションをしていきたいと思うのです。まず、すみませ ん。全体像を説明してください。  山本補佐  お手元の資料の2でございます。ヒト組織の移植等への利用のあり方について論点案 ということで数頁に渡ってまとめさせていただきました。まず、構成ですけれども、1 番に基本理念ということで今の時点でこの後、ご説明いたしますけれども、6点程の基 本理念を述べさせていただいた後、2番で本報告書の対象となる組織とその利用形態 と、もしくは利用目的等ということで整理させていただきます。組織の範囲とは何かと か、組織の利用目的、どこまで視野に置くのか、もしくは組織バンクと言われているも のを我が国ではどういうふうに定義する、もしくはこの報告書の中ではどう定義するか といようなことがございます。  3番目のところで今度は採取のところでインフォームドコンセント、もしくは手続等 も含めまして採取のことを述べるということを考えております。4番目のところで主に 特にヒト由来というか、動物、生き物由来ということでヒト由来ということですので、 ドナースクリーニング、感染症の特にドナースクリーニングについては特記させていた だきました。  その次に5番目で、ヒトの組織の採取、管理・保存、処理・加工、もしくは搬送とい うことも入るかもしれませんが、その過程における安全性・有効性の確保ということで ドナースクリーニング以外にそれを担保する方法ということで整理させていただくと。 その後でヒト組織の移植施設への提供及び移植の実施に係る適切性と。レシピエントの 選択の公平な移植というようなことについてどう考えるか等がその次の章でございま す。  7番目でございますが、ヒト組織の研究等への利用ということで、移植目的で提供い ただいた、移植に利用することはもちろんですけれども、移植に用いることができなか った場合に研究もしくは、に提供することを考えるかどうかということもございます し、もうひとつ、さきほど篠崎先生の方からお話がありましたテクニシャンの研修なり 教育という問題も視野に置いて考えるかということがございます。  最後の8がその他、留意事項ということで、他に留意すべき点があれば記載したいと いうような全体構成を取らせて、一応、案としてまとめさせていただきました。  その次にもう一度、1頁目に戻っていただきまして、まず、基本理念からということ で大きなIIに本報告書をまとめる際に盛り込むべき論点として、まず1の基本理念とし て6つございます。ひとつは理念と言うかどうかはわかりません。このヒト組織利用に 係る報告書の射程の範囲と言いますか、どの範囲を考えるのかということで、基本的に はヒトの組織が移植に利用される、移植医療に利用される場合に係るものであるという ことですけれども、それについてそれに加えてヒト組織が研究等に、もしくは研修等に 利用され得るということについても明言したらどうかということでございます。  これは大変恐縮ですが、お手元の資料の最後から2番目ですか、別添資料1というの がございます。に概念図がございます。総じて今の篠崎委員のお話と近いのですけれど も、我が国の組織バンクというのはこんなことかなというのでまとめさせていただきま した。ドナーがいて提供してくださる。これは生体である場合もあるし、死体である場 合もあろうかと思います。それを採取して、そして組織バンクがそれを何らかの処理・ 加工、また保存・管理を行うと。ただし、このバンクの中で技術者の研修というような 問題も当然、視野に置く必要が出てくると。それから実際に直接的な治療への利用とい うことで各移植機関へ提供するということになります。これを移植すると。  これはこういうこともあり得るということになろうかと思いますが、処理・加工の過 程で外への委託、これはよそのバンクにお願いするということもあるかもしれません し、別の企業等も含めまして外部委託ということも考え得るかもしれない。もうひと つ、下の点々のところですけれども、研究目的の利用ということも視野に置くとしたと きに、その研究目的も大学の試験研究機関等の研究みたいな、つまりベーシック・サイ エンス、クロニカル・サイエンスみたいなものの部分と、もうひとつは企業等のいろい ろな開発研究というのがありますし、ここが2つが実は離れておりますけれども、かな りオーバーラップしてくる、近い話が今後出てくるでしょうし、企業はこの開発研究が 製造に非常に近い世界に結びつくということも視野に置きつつの研究目的に利用すると いうこともあり得るだろうと。  ただ、この指針について具体的に個別、手続を考えるのは四角の太い線の移植医療の 流れだろうと思います。ただ、上の点々、下の点々も否定しないと、そういうこともあ るということを視野に置くということの範囲を考えております。  と申しますのは、その上の点々、下の点々のガイドラインまで全部ここで作ろうと思 いますと、大学の試験研究のあり方の指針ですとか、企業の商品開発、もしくは製造等 については一方、薬事法等の我々の別の法律もありますし、それを全部、この中に入り 込むというのはとてもツーマッチであったり、よそで検討されている問題もございます ので、ただ、そういう道を閉ざしていない、やはり可能性をどう考えるかということに ついては整理できればというふうに思います。  大変恐縮です。前に戻っていただきまして、1頁目でございます。2番目の基本理念 としてはよく指摘されております提供方との任意性の担保。強制等で提供されるという ことのないようにということがございますし、(3)で今、まさに議論がありました が、提供については善意でかつ無償で、基本的には詳細には後で述べますけれども、基 本的には財産上の利益を提供者に供与してはいけないということだと思います。  ただ、具体的には3章で述べますけれども、そこのところではさきほどの議論にあり ました交通費等はそれは対価でないと考えるのかとか、長時間、時間を使っていただい たとき、亡くなった場合でも採取、プロケアメントにお金がかかるわけですが、そうい う場合にどうするかという問題は残るかと思います。それはまた3章に譲りたいと思い ます。  (4)、次の頁ですけれども、移植医療を視野に置きますから当然、ドナー、レシピ エントに対するインフォームドコンセントの原則、これは当然だと思いますが、十分に インフォームドコンセントをしてということになります。採取のところでのドナーへ の、もしくはドナーファミリーへのインフォームドコンセントについては3章、移植に おけるインフォームドコンセントについては第6章ということで詳細にディスカッショ ンいただければと存じます。  次の(5)ですけれども、ドナーとレシピエントのプライバシーの保護ということ で、これにつきましてはドナーの感染症情報、もしくはいろいろなバックグラウンドを 記録していきますから、この情報の保護という問題が出てこようかと思います。  6番目に、まずこれも議論がございましたけれども、提供されたヒト組織の位置づけ ですけれども、提供された組織を提供後もドナー側から一定の権利の行使の余地を残す のかという問題、もしくはそれは社会一般に提供されたものとしてドナーの権利の行使 を排除するのかどうかというような問題も検討がいるかと思います。  (7)に書きましたのは、漏れている、その他、追加すべき基本理念があるかどうか というような問題提起をさせていただいております。以上でございます。  野本委員長  では、ここのまず基本理念からディスカッションを進めていくわけですね。それでは だいたいいろいろなことを基本理念のことはおわかりになったと思うのですが、どなた かディスカッションの口火、ございますか。遠慮なく大事な問題、どうぞ。  松村委員  いいですか。まず、大変よく整理していただいたと思っているのですけれども、いく つか質問させていただいていいですか。  最初のヒト組織が移植に用いられる場合のもとになるものが生体、死体、脳死体とい うふうな、提供の範疇があるのです。これはどこを含めて考えていらっしゃるかという ことと。  野本委員長  ちょっと、先生、ひとつずついこう。  松村委員  ひとつずついきますか。  山本補佐  それは実は2頁のところの本報告書の対象となるヒト組織とその利用目的というとこ ろでヒト組織の範囲というところの2頁の大きな2の(1)のところで、まさに書こう と思ったのですが、ここに書いてはどうかというふうに思っておったのですけれども。  松村委員  わかりました。それから、最初の構成の案の一番1から8までのその他の留意事項に 入るのだと思うのですけれども、コストを解消すること、どうするかというのはずっと 野本先生も私たちも円滑に動くにはどうしてもコストを解消しなければいけない。それ についてどういうふうなことが許されるかというようなところ、委員会で皆さん、ご検 討いただけると非常にありがたいという。  野本委員長  これは別に項目、設けておったですね。  山本補佐  はい。8の留意事項のところにそれを十分視野に置いたつもりで、ちょっと明確でな いかもしれませんが、運営体制について指針というのはそこに非営利の運営ですとか、 また、非営利の定義が今、篠崎委員から非常にクリアな米国でのお話もありましたの で、もうちょっと明確にコスト回収の問題についてはここでご議論いただければと存じ ますけれども。  野本委員長  先生方、ぜひ、頭の中に入れて議論をしていただきたいのは、立ち上がりの初期の運 用の仕方と、十分に組織が国民に使われて、国民が当然、それはサポートすべきだと理 解したときの運営と両方考えていただきたいのです。  出発点から国民の云々というのでいきますと今の臓器移植ネットワークのようにいつ も移植があると赤字になるというような不自然な形になりますので、ぜひ、そこらあた りもご留意ください。  他、どなたかございますか。今の基本理念の。はい、どうぞ。  位田委員  3点程、お訊ねしたいのですが、ひとつは移植、研究というのはよくわかるのですけ れども、技術者の研修というのが一緒に入っているというのはちょっとわかりにくい。 今のアメリカの制度の説明でも研修という話はなかったと思いますので、多分、アメリ カでどうしているかということをちょっとお聞きしたいという気もするのですが。  野本委員長  まず、ひとつずつ。  位田委員  それ、まず1点あります。  山本補佐  わかります。基本理念(1)の丸2のところに研修と教育を一緒に入れちゃっている ので、これはそれぞれ別に立ててきちんと議論すべきということはそうかと思います。  ただ、私ども、篠崎委員、きっと補足してくれると思いますけれども、承知しており ますのは、米国におかれましてもテクニシャン、研修にも用いているというのはコーデ ィコントロールというのはどうしても研修が必要になりますので、用いることも視野に 置いているというふうに理解していますけれども。先生、補足してください。  篠崎委員  全く同じです。研修も研究も例えば眼でもリサーチアイという言葉がありまして、こ れは移植医が練習するのをリサーチアイでありますし、研究もリサーチアイでありま す。両方ともリサーチというカテゴリーで全く同じ扱いです。  位田委員  リサーチに入っている。  篠崎委員  入っております。  位田委員  わざわざ研究という項目。研修という項目は立てなくて。  篠崎委員  立ててないですね。はい。トレーニングというのは実は内部では我々、トレーニング を使ったのがリサーチなのかというのは分けているのですが、バンキングの中でセット フィになっているのですけれども、それではリサーチという、リサーチティッシュとい うような言い方をします。  位田委員  というのは多分、インフォームドコンセントをする、貰うときに研究に使いますとい うのは貰いやすいと思うのですけれども、研修にも使いますという場合に、本当にいた だけるかなという気はしていますので。  篠崎委員  それも最初の初期には問題ありましたが、やはり多分、冷静に考えて自分が例えば移 植を受けたときに1回も練習してない先生に受けるのと、何度も移植を練習した先生に 受けるのとどっちがいいかというレベルの議論になるのかなという気がしますが、やは りそれも重要な医療の進歩であるという概念でやっているのではないかというふうに認 識しております。  糸満委員  今の件で私もAATBのメンバーなのですけれども、ゴスクロスケータル・ティッシ ュ・コミッティというのがありまして、その中でやはり技術者の研修に使うのですね。 特にプロケアをする技術者の研修に使う。  そういう技術者がこのAATB、毎年、必ず夏に集まってそういう研修会を開いて、 そこで修了書を貰った技術者だけがティッシュバンクに勤められるということになって いまして、そういうふうな免許とまではいかないのでしょうけれども、そういうことに もやはり使うということをやっているようです。  位田委員  ありがとうございました。それで第2点はさきほどの質問とも絡むのですけれども、 対価という言葉を使っていいのかどうかですね。対価と言ってしまうと何となく売買み たいな感じがするので、少し違う言葉を使う方がいいのではないかなという気がしま す。これは意見だけですけれども。  3つめは、ここで考えられている組織バンクを一応、予定されているらしいのです が、組織バンクというのは例えば国立なり、何らかの組織バンクとしての認可を受けた ものを考えられているのか。アメリカでちょっとどういうふうな形で認められているの かよくわかりませんが、組織バンク以外の、もしくはそのAATB加盟以外のものも出 てきているということですから、どのあたりのことを最初はターゲットにしてられる か。もっとどんどんやられてくるようになれば、アメリカのようになっていくのかとは 思いますけれども。  山本補佐  医薬安全局、その他、関係各課も来ておりますけれども、アメリカでも同様ですが、 我が国でも今、組織バンクと言われているものに対しての許認可とか、認可というのは やられていません。国の認可というのはやられていません。  実際には現実として今、こちらに島崎委員、前回、お話しなされたティッシュバン ク、特に皮膚バンクというのが我が国でも始まっている、バンク事業というのが始まっ ています。今、進めておられますけれども、骨バンク、もしくは弁、血管と、北村先 生、おられますから、実態として亡くなられた方から組織の提供を受け、それを何らか の処理・保存、それはミニマムマニプレーションというのだと思いますが、それを処理 し、必要に応じて他の医療機関にリクエストに応じて提供すると、もしくはそれを社会 で作っていくという活動が実際には起きて、我が国でいるので、基本的にはその活動を 確認してどこまで視野を広げるかということになると思います。何か今更、国立のバン クを建ててとかという話はあまり視野に置いていないということです。  位田委員  だから、問題はその基準、そういうふうな活動を認める、認めないという基準をどう いうふうにするかというのがちょっとよくわからないと思うのです。それを議論するの かどうかということなのですけれども。  山本補佐  実際に基準を、これは審議会のガイドラインなり、あり方の報告書でございますか ら、これを受けていろいろな施策を打っていくことになると思いますけれども、どうい う形で法規制まで考えるとしたら、もうちょっと違う場での議論をもう少し必要にな る。特に薬事法との関係の議論は必要だと認識しています。  ただ、全く今、自主的に育ってきている地域と言うか、各組織毎のバンクがこれから ますます発展、非常に発展してきているわけですけれども、それが我が国で根ざす上で どのような考え方でやったらいいのか、どういうことを留意すべきかということを考え ようというふうにしております。  今の先生のお話ですと、実は有効性、安全性の確保についてという4頁の5のあたり のところにもどういう形でバンクの安全性、有効性等を担保したらいいかというのはデ ィスカッションしていただきますので、そこでお話しいただけると思いますけれども、 今から育てていくときにさきほどちょっとちょろっとお話しようかと思ったのですが、 多分、そこのところでも議論になると思いますけれども、ひとつ、我が国で臍帯血バン クという事業が始まっております。  これはもともと臍帯血を産婦人科医が提供してくださって白血病治療をやっている、 骨髄移植等をやっているような先生方が骨髄のドナーが見つからない人のために臍帯血 を集めてきて、それを自分の病院で保存していて、自分の患者に使っていたと。ただ、 HAL等のいろいろな型を合わせる必要があるので、いくつか地域、地域の主に小児科 ですとか、内科の血液内科等でやられていたバンクが、それぞれ独自の主体を持ちなが らもお互いに情報をネットワークで構成して、共有して、全国のどの病院の患者さんで も必要な患者さんにはお互いのチームの中から提供しようという動きが始まり、今年度 から全国ネットが開始されております。  そこに対するレギュレーションの今のやり方は薬事法の規制が今はかかっておりませ んで、国というのはいろいろなガイドラインや指針を示し、そのネットワーク内の自主 運営の中で内部査察をやり、第三者機関の査察も受け、実際にそれを公表することで、 その基準を満たしてないところからの提供は事実上、移植医が受けないと。よそから回 って、そのものが悪かったら患者に不利益がきますから、そういう形で実際に運営しよ うとして生まれ育ったばかりです。  そういう意味でさきほどAATBのお話を篠崎委員がおっしゃったように、別にFD Aが査察を、査察はされるのでしょうけれども、許認可をするというよりは実際の業界 規制を、業界査察をして、できの悪いところを公表することで使う側がその団体の指針 を信じて、査察で評価が低かったところから事実上、貰わないということかなと思うの です。  位田委員  私の理解で今のご説明は少し違うと思うのですけれども、つまり除名されるから結局 は使えないというお話だったと思うのですね。公表するからという話ではないと思うの です。  山本補佐  同じつもりで使ったのですが、除名されるからでもいいと思いますけれども。  位田委員  いや、公表されるという話と除名されるということ自体は不利益処分ですから、随分 違うと思うのです。その業界の中であっても。  篠崎委員  当然、公開されるから使う先生方に知れるということです。  位田委員  もちろんそれはそうですけれども、その除名というのは。  篠崎委員  そうですね。はい。そうですね。除名されます。除名はしてます。  位田委員  そうすると除名をされた場合にいろいろな医療機関がその除名されたバンクの組織を 使うことはできるのでしょうか。できないのでしょうか。  篠崎委員  不可能ではないと思います。不可能ではないですが、ただし、その医学基準のない状 態になりますので、それはどなたも使いたくないですね。何かあったときには使った医 師の責任になってしまいますので。それこそ感染か何かして。それは当然使わなくなり ますから、逆に除名されたらもう一刻も早く戻ることに専念するしかないということ になりますね。というふうな形で動いています。  野本委員長  なるべく臓器移植のときほど、もう身動きとれないという仕組みは作らないで、でき る限り、しかし、やはり国民が不信を持たないというやり方を我々、この委員会で考え なければいけないということだと私は考えています。  基本的なところで骨格、よろしゅうございますか。何度もご意見、聞いておった方が いい。  松村委員  いいですか。  野本委員長  はい、どうぞ、どうぞ。  松村委員  僕は位田先生にお訊ねしたい。インフォームドコンセントというのはどういうものか ということなのですけれども、これは僕は契約だと思っていたのですよ。受け取る側と 貰う側の。なのだけれども、そうじゃなくて、出しますというときに後で文句言わない でくださいというためのものだったら契約じゃないわけなのだけれども、もし、契約だ としたら、それを社会に帰属するとしても、その後、提供した人が自分のを無償で出す のだけれども、少なくとも本人の人間の尊厳なり、何かが侵されないような扱いをして ほしいという条件をつけているわけで、例えばすぐごみ箱に捨てちゃうとか、そういう 非人間的なこと、扱いをしてほしくない。  だから、多分、契約関係だとしたら、その契約を受け取った側が社会だとしても、そ れを守るある担保が必要だと僕は思っているのですけれども、でも、インフォームドコ ンセント自身は別にそういう担保ではないわけで、それをあとどうやってそれが守られ ているのということが示されるかということなのですけれども。  それはこの間、組織培養学会のシンポジウムのときにサクラさんが皆さん、それでき るのですか、インフォームドコンセントやったとおりにできるのですかということを言 っていまして、それは社会の多くの人が疑っているということだと僕は思うのですよ。 それを例えばこの中でどういうふうにそれを担保するという。  位田委員  要するにコンセントした内容がそのとおりに動いているかという話ですね。そうする とコンセントを受けてから実際にその最終目的に使われるまでのフォローアップをしな いと多分、コンセントが実際に働いているかどうかというのは多分、わからないと思う のですけれども、そのフォローアップのシステムを本当に作るかどうかというのは非常 に難しいと思うのですよ。  つまりそれぞれのドナーがコンセントをして、場合によってはいろいろな条件をつけ る場合がありますよね。このドナーからこれを貰って、こういうふうに使っているとい うのは完全に後付けできればいいですけれども、例えば遺伝子サンプルなんかであれば アノニグにしてしまいますから、それはとてもそこまで追いきれないというところもあ りますよね。  組織の場合には今、ぱらぱらと見ていると必ずしも無名化というところにはきていま せんので、誰の皮膚なら、組織なら組織がどこまでいっているかというのは追えるとは 思うのですけれども、そういう追うプロセスも作るかどうかということは。  ただ、いずれにしても使うときにはきちんと説明をして、契約は契約ですからお互い に一応、信頼関係があるということを前提にして約束したことはそのまま行われるのだ ということを前提にすれば、十分な情報を与える、つまり説明をして、ドナーの方もこ れこれこういう条件であればいいけれども、これだとこの条件に合わなければ例えば使 っていただきたくないという話が出てくれば、その条件が合えばコンセントをすると。 基本としてはそのコンセントした内容はそのまま実施されるという前提で多分、話は進 んでいると思うのです。それを本当にそうかと言われると、これはなかなか後まで追い にくいのではないかなと。  松村委員  基本的にはそこから後は追えない形を作ろうとしているわけですよ。つまりそこのと ころにバリアを設けて提供されたものがトレースされないことが大切というところもあ るわけでしょう。それはそれで非常に大切なのだけれども、だけれども、それに伴って 今のような信頼してくださいというのは多分、通らない話だと僕は思っているのです よ。ですから、やはりそれはではこうするのだというものを出していかなければいけな いのではないかと思っているのですけれども。  位田委員  ただ、インフォームドコンセントは確かに契約のようなものですけれども、どうなの でしょうね。そこまでフォローする。  松村委員  というのは、もし、どこかの例えば弁護士や何かが一発、そういう臭いを出して世の 中にアピールしたら全部、僕たちの信頼、失われちゃいますから、ですからやはりそれ に対するしかるべき仕組みは必要かなと思うのですよ。  位田委員  コンセントした内容と異なるような利用の仕方がされているということがどこかで証 明されれば、それは元に戻ってコンセントを受けていないということで、ちょっと違法 とは言えないと思いますけれども、コンセントを受けていない使い方をされていると。 誰がそういうふうなコンセントを得ていないような使い方をしたかというのを例えば公 表するなり、そういう何らかの不利益処分を考えるということはできるとは思いますけ れども。  松村委員  そういうふうにならないようにしたいと。難しいですか。  野本委員長  いや、やはりこれはそういう国民の信頼を失うような行動が起きないように我々はし なければいけない。それを今度は臓器移植法のときのように、もうこれは何もできない というのでは困ると。そこをここで皆でディスカッションをしていきたいということで す。  篠崎委員  松村委員の話で、ひとつは提供した個人がトレースできるのかできないのかという問 題がひとつと、あと組織としてそれに入ってきたものはトレースができるかできないか というのが2つ同時に話された気がするのですが、これは私、アイバンクやっています 国内もそうですけれども、やはり個人は誰にいったらわからない。これは仕方ない。ブ ラックボックスでなくてはいけないというのは当然だと思うのですが。  逆に言えば、業務としてどこの提供者のものが誰に行ってどうなったかという結果は ちゃんとバンクの中に残っているわけですから、それは行政なり何なりの形で見たけれ ばいつでもそういったしかるべき人であれば、あるいはいつでも確認できるというのが システムになっておりますので、そういうとき、逆に言うと我々が行く査察もインフ ォームドコンセントどおりに処理されているかというのは我々の査察対象の項目の重要 なひとつになっていますから、それは当然、そこで何か機会ができるのかなという気が しますけれども、それをいちいち全部にやるのはちょっと数が眼だけでも96,000件あり ますので、それをやるにはちょっと不可能かなという気がしますけれども。  野本委員長  やはり情報をきちんと残しておくように始めから要求しておかなければいけない。日 本で最初にやった脳死心臓移植のあのトラブルのときに私が学んだのはそれですね。担 当したそのときの現場の検察医やその他に聞きましても、要はいかに記録を正確に残し ておいてもらうことだと。それがあれば正しいことは正しいと。間違ったことは間違っ たことだと言えると。それなしに、あのケースはそれが見えなくなってしまったことに 一番社会が怒ったのだということなのです。  だから、やはり我々としてはそこだけはきちんと抑えておくことが必要ですよね。だ から、記録をもの凄く量になったらどうするのかということなのですが、これは個々の 現場のバンク、いわゆるローカルバンクですね。そういうところにも全部役割を分担し てもっていくと私はかなりのところまで情報はきちんと得ると思うのです。保存できる と思うのです。  今の脳死の臓器移植のようにそんなに将来も何百例の程度というものだったら、全国 のひとつの統一的なところでコントロールできるのですけれども、組織の場合はもうち ょっとそういう今、もう現にしっかり動いているようなところに委託をして、しかし、 それをちゃんと守るというところしかそういう協定はお互い、結ばないということにな っていくのではないでしょうかね。そこらあたり、よくまた考えて案を作ってみてくだ さい。  どなたか他にありますか。基本的なところで。よければ次の第2の項目へ移りたいの ですが、よろしいですか。山本先生、何かあるのですか。  山本補佐  いえいえ。  野本委員長  2番目。  山本補佐  はい。2番目で。ヒト組織とその利用目的等ということで、このヒト組織の範囲をど こにするかというのが(1)でございます。アメリカのFDAのポジティブリスト方式 かネガティブリスト方式かということで、組織の定義をした上でアメリカの場合は例え ば生殖細胞は除くとか、例えば別法で規定されている血液製剤がある血液は除くですと か、というような形で除くものを羅列していくやり方もあるでしょうし、もうちょっと ふわっと概念として書くということがありますが、非常に悩ましいのは組織の中にばら すと細胞になって、また固めると組織になるというようなものがあるものですから、そ この辺の考え方をどうするかということがあります。  例えば我が国においても、さきほど臍帯血の話をさせていただきましたけれども、臍 帯血については指針等がもう既に出ております。同等のレベルの審議会等での、検討会 での指針が出ておりますが、こういうのをどうするのかということの議論がひとつござ います。  今、まさに先生からご指摘いただきました生体から提供された組織と死体から提供さ れた組織の両方を含むことを明記すべきではないかということで、これは第1回目のプ レゼンテーションのときに皮膚、角膜、眼球、弁、その他は、眼球組織だったか、失礼 しました。弁、血管等は基本的には死体からの提供ということになりますが、整形外科 領域の骨につきましては切断術、事故で足を切断しなければならなかった方からの提供 の方が死体からの提供よりもかなり多く見込まれるということで、組織毎にちょっと違 う部分もございますので、両方視野に置くべきということになると思います。  死体も心停止死体か脳死死体かという問題提起もございましたが、今の時点では脳死 下での臓器提供についてはご存じのように臓器移植法がございますけれども、脳死下の 提供であっても組織については今の法体系の中で規制されておりませんので、それも含 めて死体というつもりで書いてあります。  (2)ですが、ヒト組織の利用目的ということで、基本的に直接対象とするのは、さ きほど申し上げましたように移植の利用ということです。ただ、これに加えて組織バン クが移植に使わなかった場合の組織をヒト組織が医学生物学的な研究に利用され得ると いうことも明記すべきではないかというふうに考えます。  また、特に薬事法の規制に係る部分というのもございますでしょうけれども、そこの 部分の研究目的でヒト組織を研究機関に供給される場合の手続についても少し議論でき ればと。何を言わんとしているかと言いますと、各組織バンク毎にそれぞれの企業な り、研究機関が各バンクにそれぞれアプライして、組織を提供を受けるのか、何らかの 枠組みを作るのか、いろいろな手続論もあろうかと思いますが、そういう議論も含めて ご議論いただければというふうに思います。  最後にさきほどずっと話があります技術者の研修、教育のための利用ということにつ いても認めていけるのではないかというような書き方になっています。  (3)ですが、組織バンクの活動内容ということで、組織バンクとは何ぞやというこ となのですけれども、さきほどから出ています臍帯血バンク事業についてはガイドライ ンで「『臍帯血バンク事業』とは臍帯血の採取、分離・調整、検査、保存、提供の決 定、搬送、及び情報の管理・提供、その他臍帯血移植に関する諸活動のうち、移植医療 行為を除くものをいう」というのを臍帯血バンク事業の定義と、その分野ではしており ます。  組織バンクにおいてはどうするのかということございますし、採取・保存施設、組織 バンク及び移植施設間の役割分担と責任の明確化というような問題も議論になるのかな というふうに思っております。以上です。  野本委員長  山本補佐、先行しておる研究用の目的でヒューマンサイエンス財団に何をお願いする かというようなことが動いておりますね。そこを簡単に話をしていただけませんか。  山本補佐  多分、ここにはその問題に詳しい者がおるかもしれません。担当課がおりますのでち ょっとヒューマンサイエンス。  野本委員長  ぜひ、そこのところをお伺いしておかないと。  事務局  ヒューマンサイエンスの概要についてどのあたりのこと。  山本補佐  ヒューマンサイエンスの例のティッシュバンク事業の概要を、考え方を。  野本委員長  そういうことです。我々が考えているところとの、ばっと始めからガチャンとなって も駄目だし、同じことを議論する必要もないし、いずれにせよ、全体としてうまく運用 するのには知らなければ何もできませんから、知らせてくださいということです。  事務局  ヒューマンサイエンスの概要と言いますか、ヒト組織の方の件なのですけれども、そ もそも平成10年ですか、その答申に基づいてヒト組織を扱うにあたって公的な非営利な バンクが必要だということでヒューマンサイエンスが適切だということでヒューマンサ イエンスが今、事業を動かすための準備作業ということで、まだ今、動いてないところ なのですけれども。  そのヒューマンが扱うヒト組織というのがそもそも手術で摘出されたものを扱うとい うことで、臓器移植で使えなかったものは使えないということなので、手術で採ったも のを使うということになっています。それを研究機関に提供するという形になっており ます。  基本的な答申書であったのが医薬品等の開発で有効性、安全性を使う、検討するとい う上でヒト組織を扱うということだったと思います。だいたいこんな話です。  野本委員長  わかりました。特に、最初のときは非常にはっきり条件が決まっているわけですね。 手術によってそのときいらなくなった組織をいただくと。  事務局  限定されています。  野本委員長  されておるわけですね。ということですが、この項目でディスカッションを始めてく ださい。ここのところも非常に大事な項目だと思うのですが、はい。  北村委員  ひとつよろしいですか。今の手術からの採取した組織、あるいは細胞等のこともこの 新しく作るものとが整合できるようなものでなければいけないということはまずひとつ なのですよね。  それともうひとつ、この組織というのに細胞をどうするのかと。というのは私らが組 織ということをやり始めると、膵島の移植の問題を一緒にぜひ含めて決めてほしいとい う強い要望と、実際に外国では少し行われているのですけれども、まだ多分に実際的な ものなのですが、膵島移植ほど、臨床に応用的に役立っているものにはなっていないと ころがあるのですけれども、肝細胞移植、主に脾臓への移植の絵もぜひ含めて、これを 省くと困るという強い、それを専門にやっている方々が、これらはもう明らかに細胞の 移植になります。  細胞の移植になるともう輸血の細胞の移植とも言えるわけですね。輸血の方はもうで すからここにはもう臍帯血と同等に既にあるものを包括する必要はむしろない、別にし た方がやりやすいのだと思うけれども、膵島と肝細胞等は組織として同等な保存法、同 等な管理法、同等な注意点が必要であるので含めてほしいという要望はありましたです ね。  野本委員長  私が移植学会のリーダー、続けてきたあれからいきましたら、やはり組織、臓器とい う形で動いてきたものに関して細胞になったからこれは細胞だから勝手だという話は困 るので、やはり組織として我々は考えていくべきで、実際に使われたときは使われる目 的というのは同じなので、細胞になったら全然別な目的に使うわけではないですから、 私は当然、この委員会でガイドラインを出す中に含めておかなければいけない、私個人 としてはそういうふうに考えておりますが。  皆さん、いかがですか。今のご提案も大事なことだと思います。今、サイセイイコウ 学の分野の人たちがいろいろ細胞で再構築をしていろいろなものを考えておるわけです が、そういうのは私たちが作った細胞から勝手だと言われても、これは提供してくださ った国民のサイドから言えば同じもので、本来また使われる目的も組織と同じ目的に使 うわけですから、そこはやはりこういうルールは国民感情とのすり合わせがベースにな りますから、やはり国民感情のそれに合わせた対応をすべきではないかと私は考えます が。  他にご意見ございますか。はい、どうぞ。  松村委員  いいですか。HSのバンク、進めて大変期待しているのですけれども、その方針で何 か今、問題ありますか。  事務局  まだ、今のところまだ実際のところ、ヒト組織を使ってまだそういう集まって配付し ているという事業がまだ始まっていませんので、どういう問題が出るかというのはまだ わからないところです。  今、扱う上で倫理面での検討ですとか、取り扱い面での安全性とか、そういう検討を 今、中で検討しているというところです。  野本委員長  私も昔、若いときに外科医を37歳ぐらいまで救急現場で血みどろ戦争やっていた経験 があるのですけれども、忙しいものですから、そういう場のお医者さんというのはつい そういうことは曖昧になるのですな。手術でやっていてこれ余ったから使おうという曖 昧さが昔のお医者さんに随分あったのですが、これからそれだけはないようにしてもら わないといけないということでしょうね。やはり手術からいただいたものであれ、亡く なったからいただいたものであれ、やはり意思を明確にしておくことと、流れを明確に しておくということでは、私は同じことのような感じがしておりますから、そこらあた りは食い違いのないように、そのためにあなたにも来ていただいておるわけで、食い違 いのないように北村さん、していきましょうね。  他に何かありますか。この項目で。よろしゅうございますか。ここは。ではこれは 次々と問題が出てきますし、次の会には今日のディスカッションをベースにして原案を 作ってもらって、またひとつひとつ練り上げていきますので、では次に移らせていただ きます。 3番目のヒト組織の採取について。山本補佐、お願いします。  山本補佐  はい。お手元の資料の3頁です。採取の過程における議論ということで、(1)に任 意性を確保する規定ということで、さきほど来、議論がありますが、インフォームドコ ンセントを徹底しておると。その際、篠崎委員からお話しました米国の初期的な段階に 近い話がこの※のところに書いてありますが、提供組織の利用の範囲・目的、つまり提 供する側が移植の医療だけに提供するのか、研究にも提供していいのかどうかというよ うなこともきちんと聞いて明記するということはどう考えるのかということもございま す。  保存・処分についての同意。これは実は一方の前回のときにご紹介しましたけれど も、ヒトのゲノムの研究等の倫理の方の議論でもこの話があるのですが、処分について の承諾を前もって取っておく、どういう形で取っておくのかというような問題がござい ます。これは一部の方からのリクエストもありまして、インフォームドコンセントの具 体的な手順とか書式のひな型なり具体的なものも中にあった方があまり抽象論だけある よりもわかりやすいのではないかというようなご指摘もいただいております。  (2)ですけれども、ヒト組織提供に際してドナー、もしくは亡くなられた方の提供 の場合、ドナーファミリーということになりますが、ドナーファミリーに対して財産上 の利益を与えることは行うべきではないということになります。  ただし、財産上の利益に当てはまらない実費ということについてどう考えるのか、さ きほどの交通費の問題、これは実際、血液の話がさきほど出て、米国での血液提供は、 血液製剤に対する血液の提供に対するこういう問題はありますが、これは鎌田委員がそ ちらの委員でもあられるのですが、きっと後でお話をいただけると思いますが、例えば 血液についても無償の提供と言いますけれども、交通費だけはお支払いするですとか、 何時間拘束した場合に、その時間に当たる対価をお支払いするかとか、いや、びた一 文、払わないのかどうかというような話はここにも議論があるかもしれません。  (3)ですけれども、もちろんドナーのプライバシーの保護ということについては保 護していくし、その体制についても言及すべきというふうなこと。  (4)ですけれども、これは臓器移植法にも書いてあるのですが、提供者に対する礼 意の保持、亡くなられた場合も特にですけれども、礼意の保持に留意すること。採取に を行う際の適切性を担保する体制についてということで、そのぐらいは盛り込むべき項 目ではないかということでまとめさせていただきました。  野本委員長  今のヒト組織の採取に関しては私、プライバシーその他は今までの体験で随分、いろ いろどうやったらいいかわかるのですが、ちょっと悩むのは今度のインフォームドコン セント、目的が移植だけではなくて研究目的が入っていきますし、さきほど議論になり ました研修にも使うというようなあれがありますので、そこら辺のインフォームドコン セントの文章の作り方、提供してくださる一般市民がよくわかるようにしなければいけ ないし、ごたごた書いて何のことやらわからないのは困るしと。これはかなりいい書式 を我々、工夫しないといけないでしょうな。  どなたか、ここら、ご意見ございますか。絶対に、まさかそんなことを意味している とは思わなかったようなことは全くないように工夫しなければいけないわけですが、同 時にこんなややこしいこと、書類見るのだったら、もう嫌だというような書類も困るの で、そこらあたり、うまく。はい、どうぞ。  北村委員  まず、ここの専門委員会でもまず、プライマリーの目的は移植であって、臨床の患者 さんのために使う。しかし、何らかの理由でそれが不可能な場合に研究をやって、プラ イマリーを研究と。  野本委員長  並立しては駄目ですね。  北村委員  並立するとこれは非常にいい組織で臨床にも使えるのも今、研究が大事だといって全 部そっちに流してしまうとか、あるいは研修というものも同じレベルに置きますと練習 用に私のを使われるのというものでは非常に難しい、コンセント、取りにくくなります ので、やはり移植を一番に置いて、それが何らかの理由で問題があるような場合に研 究、あるいは研究としても問題がある場合にはそういうふうというような段階制を設け ていただく方がやりやすいのではないかなと思うのですけれどもね。  野本委員長  それは納得しやすい。そんなに難しい書式にもならないでやれるのでしょうね。他に ご意見、ございますか。はい、どうぞ。  柴田委員  おそらく多分、心理的な問題としては利用する人をその中にいわゆる製薬会社みたい なものが入ってくる恐れがありますよね。当然。製薬の会社の利用というようなところ にちょっとおやっと思うような部分も感じる人は多いだろうと思うのですね。  それはやはり直接に利益に結びついていくわけだし、それがまた新薬の開発とか何か に直接的に利用されていくとなったときに、そこのところ、どうもそういうのはまた別 のやり方となると、これ組織的に社会が二重構造になるのはやはり良くないとは思うの ですけれども、そこをどうクリアするのか。一応、製薬会社のはもう既に何かこの間も 倫理委員会を作ったとかという話が出るように、ヒトの組織を使おうということでかな り期待感は高いのではないかと思うのですけれども、その辺はどういうふうに今の状況 ですか。  山本補佐  全部の状況、とても把握できません。担当課の方で補足していただけると思いますけ れども、さきほど研究開発振興課の方でお話しましたようにもともとは肝臓の細胞等を 薬理代謝を見るというようなことで、どちらかと言うと手術に採ったものを使いたいと いうのを、それを何とかプールしてシハイしたいということになってくるのですが、ヒ トの組織と言われて、今、言われた骨ですとか、皮膚ですとかというものがどれだけ民 間企業のニーズがあるのかとか、将来性があるのかという問題はあるのですけれども、 ただ、この企業研究もいろいろな側面がございまして、ひとつはティッシュエンジニア リング分野、つまり皮膚を例えばもうちょっと加工して、もしくはちょっと細胞をもう 1回、ばらしてと言いますか、もうちょっと培養した細胞を加えてみたいなものをやっ ていこうとすると、大学における研究以外にそこにいろいろな企業の専門家の方のお力 もジョインしてやっていくことがどんどん進むのだと思うのですね。  さっきちょっと申し上げたのは、研究目的を大学だけと、主体は大学になるのだと思 うのですけれども、実態としていろいろな人の協力が出てくるので、それは主体で分け ることで整理しちゃうのかどうかということもあると思います。  一方でもうひとつは、まさに皮膚、目的は同じで皮膚から採ったものを皮膚移植に使 うのだけれども、よりよい皮膚を作る、何らかの加工でよりよい皮膚を作るという場合 に使う場合と、皮膚を例えば皮膚の組織から採れる何かのファクター、因子ですとか、 いろいろなものが皮膚ではない別の何か医薬品なり、医療の係わる大事な研究に必要に なってくる。皮膚ではないのだけれどもというようなものまで両方の分野が簡単に言う とあるのだと思うのですけれども、そこのどの辺までを視野に置くかということのまだ 整理はされてない段階です。  野本委員長  これは将来、日本とか何にせよ、生命を分野にした産業がどんどん育成されていかな ければいけないことも事実なので、やがてはそういう産業、ダイレクトに利益のための を使ってほしいのです。その前に国民に信頼を得るというプロセス、今の私はこの委員 会でやっているガイドラインというのは、まず、国民レベルの信頼を得るという段階の システムづくりだと思うのです。次はどうせそれは本当に普通に産業を動かしていかな ければいけないと、新しいルールを作り、ルールを変えるというようなことはまた当 然、やってもらわなければ。  質問しにくい、答えにくいので質問しなかったのですけれども、私、本当に心の中で 政府の人たちに質問したかったこと、開発の方の人たちも臓対室の人たちもあれだけれ ども、だいたい答えなくていいのですよ。僕の心の中にある聞きたくて堪らない質問を 言っておきます。何年ぐらい役に立つようなガイドラインを作ったらいいのでしょうか ねというのを本当のことを言うと聞きたかったのですよ。本当言ったらそうなのです よ。これが一番大事な大きな大局的な意味でいきますと、これが一番大事で、今回のガ イドラインは何年間、使えればいいのですかなというのが本当は私の心の中にはありま す。  しかし、これは答えられる話ではないですから、答えは要求しません。しかし、そう いうことも委員長としては心の中にありながら議論をしておるということだけ言ってお かなないと、野本の野郎、これで100 年も続けると思っているのかとか、3日しか使え ないようなものを作ろうとしているのかと思われるといけませんから悩んでおります。  無駄なようですけれども、これは委員長としては必要な配慮だと思っておりますの で、この項目で他に何かございますか。はい、どうぞ。  松村委員  先生、それ、いい方に考えますと、例えばスタート時点では非常に詳細なインフォー ムドコンセントになるのかもしれないけれども、社会に常識がどんどん進んで、組織な んかについて信頼が高まったときにはそれはもっと例えば提供したくないという場合だ けコントラクターアウトというのですか、そういうふうなケースもありますし、そうい うふうに社会の合意が進んでいった場合には電話だけでもいいというふうにもなってい くことも考えられるので、そういう意味で早い時期にこれがもう無用になるということ もあるかもしれないのですけれども。  そういうことから言うと、この順番で言うとこの5番の適切性を担保するために倫理 委員会でなくてもいいのですけれども、どういうふうにそれを取り扱っていくかがオー プンになっているというところの方が上位にあるのでないかという、それの中でインフ ォームドコンセント、このケースについてはどうだったらいい、それは非常にもっと簡 便な場合もあっていいと思うわけですね。ですから、この5番の方が上の方にあるので はないかと。  野本委員長  より重要なということですね。そこらあたり、検討してみてください。私もそのとお りだと思います。私が言ったことはおわかりのとおりです。1日も早く、国民の信頼が 高まれば高まるほど、ルールは単純化していくと。信頼が薄れたり、逆に言うととんで もない話だということになると、もっと逆に言うと身動きとれなくなっていくと、これ はもう我々の努力も係わることだと思いますが、先生、どうぞ。  位田委員  さきほど北村委員のおっしゃったプライマリーには移植とおっしゃったのですが、研 究がプライマリーになるということは今のところは考えなくてよろしいのでしょうか。  北村委員  例えば、肝細胞等は今、もし、ご遺体からいただきましても我が国では臨床を要する 素地はまだできあがってないのですね。ですので、そういった場合にはやはりヒト細胞 を使った研究というのがどうしても主体になるのです。  実際の臨床の場でインフォームドコンセントを取ったり、コーディネートの人たちは 前にもちょっと近畿地区ではやっているのですけれども、臓器移植のコーディネーター が参画して、このインフォームドコンセントを取ることになりますと、彼らは研究用の 組織提供ということは一切言えないと言うのですね。移植のコーディネーターですの で。あくまでもその病気で悩む人たちのための移植用として提供くださいということ で、ただ、それが難しい場合には研究用に使わせていただきたいという形は我々のイン フォームドコンセントも記載してはおるのです。  おるのですが、果して組織移植コーディネーターというものがどんどんできてきた場 合に研究用ということをパラレル、同等の立場において移植ということと研究用という ことで説明ができるコーディネーションができる人たちが育ってくればいいかもしれま せんが、今の臓器移植コーディネーターの対応では研究用の説明は難しいです。  そういう実情もあって、実際、現状では研究が主体となる組織提供の由来というのは あります。ありますが、それは移植を主体用にしている組織提供の中の一部分に含めて しまっていまして、明確化はしていない状況ですね。しかし、実情は移植が主体になっ ているもの、ほとんど研究が主体になっているもの、いろいろあると思います。  ですから臓器移植のコーディネーター、一切肝臓の細胞提供のためのいわゆる心臓死 からの肝臓をくださいというような説明はしてくれません。ほとんどしてくれるのは 骨、皮膚、心臓弁、膵臓、膵島の方はもう臨床応用したいという機運ができてきていま すので、その程度だと思いますね。  位田委員  つまり、現状では確かに移植がプライマリーというのはよく理解できるのですけれど も、でも実際にその研究されている方々が移植とは別に研究をやりたいとおっしゃられ たときに、ここで議論をする対象としてどう考えたらいいか、指針を作るとすれば、両 方考える必要があるのではないかなと思うものですから。  北村委員  手術からヒューマンサイエンスの方のいわゆる黒川先生の案の方はもうほとんどが研 究用です。ほとんど、すべてが研究用ですね。ですから、それにマッチする形でいわゆ る生体、あるいは死体からの提供も同等に研究用には扱うことができるかどうかを検討 すればいいのだと思うのですけれどもね。  野本委員長  例えば、私、若いときにやっていたのは、消化器癌の分野だったのですね。そうしま すとその分野で手術のマテリアルというのは癌が入っておるかもしれないと。したがっ て研究用しか使えないのですね。そういう意味合いもあるのです。  だから、そういう意味合いもありますから、全体としてこれからどうして考えていく かというものを詰めていかなければいけないと。鎌田委員、どうぞ。  鎌田委員  臓器移植法に乗った臓器の提供を受けたときには、これを研究に転用することはでき ないでしょう。だから、臓器移植法で臓器提供のときに研究にも使えますよということ は、これは決して言えないはずですよね。  組織の場合には臓器移植法のそういう制約がないわけですから、研究用に提供してい ただくということでいいのですけれども、ただ、ここで問題があるのはバンク活動であ るという、そのバンクはこれは移植のためのバンクですから、移植のために提供したも のを研究に自由に転用していいということはこれはあり得ないはずなので、専ら、研究 のために採るのだったら、バンク活動、移植用のバンク活動は別に個々の病院なり、研 究施設が研究のために採らせてくださいということを個別にやるのは、これは結構だと 思うのですけれども、移植バンクに提供してくださいと言って、しかし専ら、研究に流 用ということはあり得ないので、私はさきほど北村委員がおっしゃられたように、移植 のためにいただきますと、それは移植に使いますと。使えないものとか、移植に使った 残りの部分、これは臓器移植法では捨てろ、焼けと言われている部分は研究に使います と。  ただし、その研究も何にでも使っていいというとやはり臓器移植法のときに出てきた 懸念みたいなものが出てきますから、移植医療に関連した研究みたいな限定が必要で、 それはインフォームドコンセント文書の中の問題ではなくて、やはりバンクの場合には AさんからBさんへという形ではなくて、一旦、バンクというブラックボックスに入る わけですから、どういう活動をやるのかというスタンダードと、適正さを担保するシス テムみたいなものがひとつできていなければいけなくて、そこの中でさきほど北村委員 がおっしゃられたような移植、プライマリーというふうなものが入っていないと移植用 バンクの活動としてはやはり不適正なものになるのではないかと思います。  それから、処分の関係で企業に結局は最後は商業活動に提供することも止むを得ない し、それがある意味での医療の発展にもつながるということなのですけれども、これは 今、血液行政の改革の作業が停滞しているのもまさにその点で、無償、善意で提供され た血液を民間企業に売って製剤を作っているということはけしからんという議論があっ て、ある部分、誤解も多分に入ってはいるのですけれども、さきほどおっしゃられたよ うに国民感情の面では非常に重要な部分があるわけで、バンクがそれで人の善意を使っ て金儲けしているのではないかみたいなことを思われることもあるわけですし、そこか ら先、何に使われているかわからないというふうな懸念が全体の動きに大きなブレーキ になることもあるのですね。やはりこの報告書の中でかなり神経を使った方がいいよう な部分なのです。  野本委員長  ではそこら辺も考えて次の原案を作ってもらうとして、山本補佐、次の4番。次の頁 にいってください。  山本補佐  今、まだ案を作ってお配りしてまたご意見を伺いたいと思いますけれども、さっきの 研究用のところはちょっと複数の意見、民間、何か割りとクリアではないので、民間企 業を含めるか含めないのかという議論と、まさに移植のための研究と今、鎌田委員がお っしゃったのは、例えば皮膚移植のために皮膚をいただいて、それがよりよい皮膚にな る、移植医療の向上のための研究をするのと、皮膚をいただいてその皮膚が持っている ファクターから別の医薬品を製造するという話みたいな話ですけれども、どこまでを研 究の視野に置くかというところもちょっと全部、置いていいのか、前の方だけ置くの か、そこがクリアじゃないので、ここは論点としてきちんと整理して、また先生方のご 意見を事前に伺いたいと存じます。  それでは4番ですが、ここはかなり技術的な話でドナースクリーニングについてとい うことです。どんな感染症を対象とするかということで、別添資料の2でございます。 さきほどのお話がありますように、FDA、アメリカにおける組織バンクに対する法的 規制は今はないということですけれども、米国においては規則というような形でこうい うことをバンクの有り様についても規則を決めたらどうかということが今、プロポー ズ、提案されている段階で、各界の意見を聞いているという状況です。  そのプロポーズされている中にFDAの規制案の中にあげられている感染症というの は1から9までございます。考え方としては一定程度のドナーにその感染が流行してい るというか、スクリーニングをやるリーズナブルな理由があるということですとか、そ れがレシピエントや医療従事者に対して感染する可能性のある感染症であって、それが 健康に重大な影響を与えるものであって、適切なスクリーニング手法が確立しているも の、アバウトする概念の中からHIV、Hepatitis B、C、CJD等の問題、Treponema の問題、HTL−VI、CMV、Chlamydia 、gonorrhea ということで、このようなも のがリストに挙がっていると。これ全部が採択されるかどうかとか、やり方としてはま だ議論の途上だというふうに理解しております。  我が国においてこの我々の報告書の中で感染症は明記するのかどうか、またそれをど ういうのを対象とするのかどうか、スクリーニング手法についても言及するのかどうか ということがございますし、感染症発生に対する一般的な情報収集をし、いろいろな感 染症の発生した場合についてはドナースクリーニングの方法にきちんとフィードバック させるべきと、ここはこういう必要性というのは明記すべきというふうに考えておりま す。4番、以上です。  野本委員長  これはひとつは臓器移植の方で臓器移植ネットワークで随分練って検討したのですが 、ここでは一応、それをいただいた人たちの生命に直接係わるようなバイラスをチェッ クするというように私どもは、向こうでは絞り込んでみました。  いろいろなTreponema にせよ、Neisseria にせよ、こういうのはだいたい抗生物質で 何とかなるものですか、医療従事者の人がそれで感染しても直ちにビーサルになる、致 命的になるわけではないというので、私は取り上げないで、とにかく臓器をいただいた 人が致命的なマイナスを受けるもの、そしてかつ、昔だったらビールスというのはでき ないのですね。ところが今はビールスの検査がいろいろDNA診断でできるようになり ましたから、夜中に提供があってもその間に数時間でやれるというので今のこの中に入 っているウイルスの方を選んで、そちらの方ではルールを作っておるのですが、それも 参考にしていただいてここは明記するのか、乃至は別にこういうことをした方がいいの ではないですかというぐらいなサジェッションをするのか、そこら辺、考えて案出して みて、皆さんの意見を聞きましょう。  山本補佐  そうですね。FDAの方とディスカッションしたときもこれは組織毎に違う場合もあ ると。賦活化の処理工程である組織では意味があるけれども、ある組織では意味がない ウイルスもあるけれども、誰が見ても問題があるということもあるので、ちょっとこち らの方でも整理させていただきます。  それでは5ですけれども、ヒト組織の採取、管理・保存、及び処理・加工における安 全性・有効性の確保ということで、まず、安全性については感染症の検査、ドナースク リーニングについては4で言及したとおりです。それ以外に各種処理過程、採取ですと か、処理、保存、いろいろな段階での汚染防止に対する配慮、微生物クリアランスの問 題、処理の各段階での試験、検査などの実施、これは医薬品の製造なんか非常に近い概 念ですけれども、もし可能であれば賦活化の問題がある。記録の保存をするということ を視野に置いてはどうかということです。  (2)のところで感染症の伝播が確認された場合、もくしはその恐れがある場合につ いて提供された組織の特定及び他の移植希望患者への伝播の防止というのをできる体制 を取るべきではないかということで、提供者に関する必要な記録、感染症スクリーニン グ検査の記録等が残っており、その組織がいくつに分化し、どういう方に行ったのかと いうことをきちんとトレースできるような体制を取っておくということが必要になろう かと思います。 実際に同じドナーからいただいた組織が複数のレシピエントにいくと いうことがありますから、それに対する配慮ということも必要かと思います。  常に未知のウイルスというのは存在するし、また発生し得るわけですから、感染症伝 播の危険性に係る評価と、またそれを情報提供していくという努力も必要かと存じま す。  次に有効性の確保ということですけれども、最低の加工を加えたものとしても一応、 加工を加えるわけですから、それについて処理工程で有効性を損なわないようにという 配慮がありますし、ヒト組織以外のものとハイブリッドで使う場合というのは何かと言 いますと、例えば人工血管等で血管の中にいろいろな細胞、人工のゴアテックスにいろ いろな細胞が加味されたようなものですとかというようなものがだんだん広がってくる わけですけれども、そういう場合の有効性の担保ということがあります。  ただし、これは薬事法上の規制というものとどこまで被るかということもございます ので、ここの整理は必要になります。  上記に係る手順書、各手順書を作成するということがありますし、さきほど来、議論 がありましたインスペクションの問題等、いろいろな形でこれを全体を担保する仕組み の問題というのも議論になってくるかと思います。先生、以上です。  野本委員長  ここも技術な話なのですが、私、委員長の立場でここで先生方、今日、議論できなく て、次のときに考えておいていただきたいのは、このいろいろな記録の保存とか、ト レースをしていくのはどのレベルでやるのかと。ローカルのそれぞれの例えば大学であ るとか、地域でやっているいわゆるバンク、それでやるのか、そういう情報はある統合 的な形でやるのか、これはやはりよく考えておいていただきたいと思うのです。  例えば大学単位で記録をきちんとしておくということだったら、今度はどういう記録 の仕方をしてほしいということはきちんと要望するようなシステムを作っておかなけれ ばいけないし、そこらあたりもぜひ、皆で議論をしたいと思います。  山本補佐  ここの文章の書きぶりは我々としてはバンクがそれぞれの主体を持っているバンクが 基本的には責任を持って記録を保管するということを考えて、これを書いておりますの で、全国統一して全部の組織をというようなことは全く想定してなかったので、まして 大学がやるということもあまり想定してなかったので、そこはまたご意見をいただけれ ばと存じます。  次、いってよろしいですか。5頁の6でございますけれども、移植施設への提供等、 実施に係る適切性の担保ということで、さきほど来、言及されております臓器移植にお いてはレシピエントの選択の公平性ということが随分言われておりまして、かなり提供 が少ない中、待っている方が非常に多いので公平にということがあります。  そのためにはレシピエントのプールを作って、ある一定のルールに基づいて順番に配 分するということになりますが、先だっての第1回目のご議論の中で非常に潤沢にド ナーが現れている組織の場合に、レシピエントのプールを作るということの意味という のがございますし、レシピエントによっては前もって予定手術で得られない熱傷等の患 者の場合は来てしまえば、もうその場で対応さぜるを得ないというようなときに、前も ってプールができないとすれば、オン・ザ・リクエストで優先順位で、その場合には一 定程度の基準を設けて、その基準に合致したものから提供していくしかないみたいな議 論もあろうかと思います。  また、組織自身が非常に今、立ち上がりはじめているときですので、非常に多くの方 のボランタリーな努力によって組織が採取され集められて保存されている今の段階で、 採取、保存に全く汗を流さない人から頼まれても、同じように全くあげていくのかとい うような議論が前回、ちょっとあったと思いまして、そこの考え方もあろうかと思いま す。  レシピエントに対するインフォームドコンセントは、これは医療の今回の原則だと思 いますけれども、その移植における潜在リスクについても説明するということですし、 書面によりと書きましたのは、これは括弧になっておりますのはどこまでの医療の現場 でどういう説明をするかというところまでどこまでコミットするかということもありま すので、括弧になっております。  また、レシピエントのプライバシーの保護についても配慮するということで、移植の ところで書いてございますが、基本的な考え方としては移植医療の中身に係わることま でここで基準を決めるというよりは、組織の提供に係る部分で移植医療にどうしても踏 み込む、関係する部分だけということで整理させていただいております。  野本委員長  脳死からの臓器移植のプロセスはいわゆる医師の裁量権というのを全部捨てたという 方針で、私は指導、引っ張ってきたつもりなのです。それはやはり医療不信、その他が あります、乗り越えるためにしたことで、組織になりますと今、言ったように緊急性の 問題が山ほどあるので、医師の科学的裁量は認めることになりますけれども、科学以外 の裁量は一切認めないという気持ちを私は持ちたいなとここでは考えています。それを どういうようにして文章に盛るかというのはこれからまた皆で考えなければいけないの ですけれども。  一方ではきちんとした国民的な支持を得られるようなルール、行動をしながら一方で は緊急の人の命を救う対策を組み込んでいくと。これは特に北村さん、組織の方では前 もって順番決めて云々ということよりも、さあということが山ほどありますからね。そ れはやはり科学的な裁量であることです。頼まれたから先やることは絶対許さないとい うことになっていくかと思うのですが、それをどのようにここに入れていくかはこれか らまた何回も委員会がありますので、まさに原文章の原案ができてから詰めていくよう な項目になるのではないかと思います。  今日、どうしてもちょっと議論に入っておかなければいけないのは7番の研究の利用 、これをちょっと今まで議論しましたけれども、サマライズの辺で議論しましょう。  山本補佐  はい。7です。ヒト組織の移植がメインということは大方のコンセンサスがあるかと 思いますけれども、移植に使えなかった場合の組織について研究での使用を認めるかど うかと。認めるということにした場合、その研究目的で使うということをまた明示的に 同意を取っていくというような仕組みにするのかどうかということもございます。  (2)ですけれども、実際に研究目的で使用を認めている、ドナーもいいと言ったと 、もしくは使う場合にどういう仕組みでそれを大学、もしくはもし企業も視野に入れる としたら企業に提供するのかどうかということがございます。研修のためについても認 めるかどうか、どういう手続で認めていくのかどうかというようなことの3点を書かせ ていただきました。以上です。  野本委員長  これはもう今まで何度も何度もいろいろな局面で議論が出てきたことなのです。これ はおそらく委員会の最終的報告書ができるまで何度も議論をし、一方では要は国民が安 心して我々のガイドラインをいいガイドラインだと言ってくれるようにしなけれはいけ ないと同時に、社会に役に立たないガイドラインだと、何もできないガイドラインを作 ったではないかということはないようにはしたいと。  そうしますとこれはもうこれからまた後、今、あれでもう4回、これから計画してい ますね。そういう間にずっと常に議論をし、考え、いい方向性を決めていきたいと思い ます。これは今日、いろいろな局面毎に議論をしてきたので、もう十分、今日、議論し ても仕方ないと思います。山本補佐、ではその他の注意事項の何か。  山本補佐  はい。その他の留意事項として挙げさせていただきましたのは、ひとつは運営体制に ついて何からの指針を設けるかとか、特に営利、非営利の問題、営利の定義は何なのか という議論からしなければいけないのかもしれませんが、特に非営利の運営とするかど うか。さきほどの我々の理解でも米国におかれましても実態的にはnon-profitと呼ばれ ている、ティッシュバンクというのはnon-profitというのが主体である。その理由はさ きほど篠崎委員からご説明いただいたかと思います。  現在、我が国で我々が承知しておりますティッシュバンクと言われるものすべて、今 の時点ではnon-profit、骨、皮膚、弁、その他ではnon-profitの組織体であろうかと存 じます。さきほど来、ちょこちょこ出ております臍帯血の議論では臍帯血バンクについ ては基本的にnon-profitだということを明示してます。  次、(2)ですけれども、組織バンクを運営する際の財政基盤をどのように考えるか ということで、実際に今の多くの組織バンクは完全な手弁当なり、多くの方のボランタ リー活動でやって、やればやる程、赤字になるという実態が生じておりますけれども、 コストの回収をどうしていくのか、それ以外の財政基盤をどう考えていくのか。これは 野本委員長の方から立ち上がりの初期の段階で組織の取り扱いない場合のときの運営な り、社会の支援の仕方と一定程度、それが事業として定着したときのものとある程度、 分けて考える必要もあろうかというご指摘を既にいただいたかと存じます。以上です。  野本委員長  これも非常に大事なことなのですね。やはり運用をやはり受益者負担、基本的にはそ ういう流れがそこに入っていないとやがてパンクをしていくと。どうせ、国民のお金で 動くことには同じなのですが、そこら辺りは初期はまるごとと言っても、これはケース が少ないのにそれで運用できるかということになりますし、ここら辺、それもあるもの ですから、どれぐらいなと、時間がという、半分ジョーク、半分は本心、非常に悩んで いる内容がどれぐらいの期間をカバーできたらいいのかと。  だから、やはり一応、我々としては立ち上がりから本格的にスタートして、動きだし てというぐらいまでは役に立つようなガイドラインに先生方、考えていただきたいなと 私は思っております。かと言って安定した中に次のことをやろうというときには新しい ガイドラインが生まれるべきだと思うので、そこら辺、一応、初期の問題をどんなに持 っていって、そしてうまく立ち上がりだしたらどういうやり方がいいと。だから、うま く立ち上がりだしたらということに関してはうまく立ち上がればこういうやり方もある というサジェスションはやはり委員会でしておいた方がよろしいと思うのです。  そうしないとまた別に委員会を作ってそういう方針を立てないと政府は勝手に国民の 税金を使うわけにはいきませんから、そういうごたごたにならないことは一緒に考えて いただきたいと、私はこんなに考えております。はい、どうぞ。  柴田委員  7番の問題で委員長のこれは最後、揉めるだろうということで、よくわかるのですけ れども、ですからちょっとこういうことだけちょっと調べていただけないかということ で、あとでどうせ議論するために。組織バンクの問題だから、例えば移植だけに限ると いうことをした場合に、必ずでもいわゆる大学の研究、あるいは製薬会社を含むような 企業の研究というものの必要性というのは片方には必ずあるわけですね。  そういう例えばそういうふうにこの委員会でのあれを絞った場合には必ずそういう二 重構造の問題が起こってくると思うのですね。だから、そのときに何が起こってくるの か。あるいはそこをまた別のそういうガイドラインが必要になるのか。それはそれとし て切りわけができるのかどうかについての、とにかくそこのところの整理だけちょっと して提示していただければ議論がやはりそういうふうに分けられるのかどうかですね。 まず分けないのか。分けるとすれば何が必要になるかだけ、ちょっとご提示いただけた ら考える点でしやすいと思います。  野本委員長  はい。これは柴田委員、私の第1回のときの最初の発言がそれだったのですね。この 委員会としてはそこの線を明確にして、そしてかつ、その線ががっちりくっつき、やが て融合していくということを考えていかなければいけないと。  だから、個々の問題はむしろ事務局にいろいろ考えてもらって、医学界のリーダーを 協力してもらえば、割合、簡単にいくわけなのですけれども、これは柴田委員、一番、 我々が考えてければいけないのはそこだと思うのです。いかにそこのところに大きな穴 があって、そこが穴があったために国民が不信を持つというようなことのないように、 しかし、セパレートしてそのために国民に利益を与えること、渡すことができなかった というとまた大きなマイナスですから、そこのところをどんなにうまくすり合わせてい くかということがやはり委員会という方針を決める組織の役割ではないでしょうかね。  これは山本補佐、ぜひ、そこのあれをよく情報を取ってみて考えてみてください。そ れでまた我々、議論をして、では、あと本当にしなければいけないと。開発担当の部局 の人も当然、そこは大きな関心事ですから、他に何か。どうぞ。  松村委員  ちょっと一言いいですか。僕はこの中で研究ということ、こんなに大きく取り上げら れているということ、非常にどっちかと言うとショックなのですよ。というのは一番最 初のときに、それは付け足しでという話だったのですけれども、実際には本当に、それ はもう例えばヘルシンキ宣言なんかでは医療と研究、はっきり分けなければいけないよ ということを言っていますし、治療の現場にいる先生から研究というものを持ち出すと いうことはやはり非常に躊躇いがあるし、それが優先事項ではないことはもう明らか。  例えばメーカーなんかの場合には、ヒト組織が世の中に役に立ったのは治療の組織が 一番最初のものはそうじゃなくて、アボウティッドベビーのラルクファイブルがポリオ ワクチンを作った。それがアメリカでの一番最初、それは国民にもの凄くアピールしま したよね。とにかく、ポリオ、なくなっちゃったのですからね。それはもの凄い。  日本での多分、一番最初のケースはアメリカからそのフォアスキンファイブルワスを 輸入して、東レがインターフェロンを作って、それでやって、どっちの場合も手術材料 なんかではないのですよ。全然そういうことと関係ないいろいろなマテリアルが世の中 に役に立ったということが。  ですから、よく日本の場合にはどうしても治療との関係でヒューマンマテリアルを研 究に使わなければならないという状況なのか僕にはわからないけれども、そうでない ケースはあり得るのと、例えば臍帯血でありますとか、臍帯もありますけれども、そう いうふうな治療と全く関係ないヒューマンマテリアルを研究に使うというケースがある ので、それがあって、それの理念が国民にすっかり行き渡っていて、その後で治療との 関係があると非常にわかりやすいのだけれども、このスタートは非常に難しいケースを 扱っていると僕には思えるのですよ。  ですから、臨床のお医者さんが躊躇いがあるというのも非常に最もなことだと思う し、それを絶対に研究のことで、ユーザーと言われるのですけれども、その面でプッシ ュするのは非常に心配、心配というか、僕たちの立場としては望んでいないというふう に思うのですよ。ですから、その辺のところはもし、ここの中に含めていただければ、 治療に使うものでないヒューマンマテリアルもあるので、それを入手できるものがある わけなので、そういうものについての部分も含めて、それがまたグラウンドデザインと いうことになって大変になるのかもしれないのだけれども、どこかでそういうのを考え ていただいた上とのリンクでこれがあればありがたいなと。  野本委員長  松村委員のおっしゃるとおりで、これは何のかんのと言っても最初に私が事務局に話 をしたのは、一番ストレートにいくのは移植であると。これは簡単だと。ちょっと手を 加えて使いやすいようにしてする。これもルールは簡単であると。問題は研究。研究と いうのは様々なレベルの研究があり、では研究しないで医療が役に立つかというと、そ れは役に立つようにはならないと。そこの大ジレンマがここにあると。  だから、私は松村委員の今日の提言をラストのディスカッションのラストにしたいの ですが、それはこういう問題があるよと、研究者という立場でおりながら、俺は悩んで いるのよというのが松村委員のご発言なので、医療サイドの方から私は出さないよとい うのと違いますから、ぜひ、皆、よく考えて、事務局も考えて、私も考えます。悩みま す。はい、どうぞ。  山本補佐  蛇足ながら一言。松村委員には冒頭から、最初から議論をさせていただいたようです が、基本的には最初とあまり変わっていません。基本的には移植医療のために組織を集 めて、それを移植医療にメインに使うし、今の状況ではほとんど移植医療に使う、使え るものであるところは使わないととてもドナーの数が足りなくて、レシピエントは待っ ていて、残念ながら海外からの依存というのが高まっている状況にありますから、それ は使っていく。  ただ、移植に使えなかったものを黙って臓器移植のように焼却処分しなければいけな いというふうにしないで、そこ使えなかったら次の発展に使ってもいいのではないかと いうことで、それを特に研究用ということはあまりなかったのですが、ただ、確かに 今、柴田委員の方からも整理をもう一度してほしいということでしたので、こちらの方 でいろいろちょっと考えだけを整理させていただいて、またご議論いただければと存じ ます。  野本委員長  医療現場や研究現場の先生方にいろいろ意見を聞かれて、悩み事も聞いて構築をして みてください。私の周辺には悩んでおるやつが山ほどおりますので。  北村委員  ですから、採りました実際、使う部分の余剰部分というのは必ずあるのですね。その 余剰部分をポイと捨ててしまうよりは、例えば我々としてはグロスファクター類につけ ましてセル細胞数を増やして見れるかとか、それは動物でやればいいではないかと言い ましても、一定のオンソケツ時間と凍結処理とか等々を動物でずっとやっていくには人 間の機械と別の機械をまた揃えるとか、大変難しい動物用の人間と一緒くたにできない ところがありますので、人間のもので切り取った後、ごみ箱に捨ててしまう、重要な移 植の部分を残して部分の組織の利用ということもあるのですよね。  ですから、必ず余剰部分が実際に使う部分より出てくる場合に、例えば肝臓でも小さ くした後、半分どうするかという問題もありましたけれども、それと同じようなことが 組織でもあって、それを今度は研究用にぜひ使いたいと。その研究か移植かということ の他に移植用を抜きとった余剰部分の利用はやはりコンセントに一言言っておけば、そ れで使えると。実際、今まではやっているわけです。我々もどのくらいの細胞数がある のか、どれくらい生きておるのか、どれくらい残存するのかというようなこともそれで やっているわけですね。残った部分で。  しかし、やはりそれをコンセントにちゃんと書いていくわけですから、そういったこ とはかなり広くやれるようにしていただきたいと。それをもう残った部分はもう捨て ろ、焼き捨てろというようなことにならないようにお願いしたいということですね。  野本委員長  そこら辺は今日のご意見を入れて作ってもらって議論、構築もしてもらってお願いし ます。文面に書けないところは今の委員の意見はダイバースであるから、今,、書けな いというのは真っ白で出してもらって結構です。そこのために議論をして我々が埋めて いけばいいわけで、そこまでぐらいなことを考えてひとつ検討してください。  今の研究用の使い方に関してはそれぞれの立場でそれぞれ有用性は皆、理解している のですけれども、それぞれいろいろなレベルで心配をされていると。そうするとではそ の心配をどうやっていくかということですから、ぜひ、できたら平均値を出してここら 平均値かなというのを事務局が書くのは仕事でしょうけれども、書けなかったらそんな もの書けるか、委員長、考えろというので結構です。それは我々、考えましょう。議論 してね。  今日は遅くまでありがとうございました。事務局で何か追加することが。  阿萬補佐  申し訳ございません。かい摘んで参考資料の説明だけさせていただきます。 申し訳 ございません。こちらの方でもう現物付けさせていただきましたけれども、昨年の9月 30日にFDAの方から、これはメインとしましてはこちらの論点、こちらの今日、山本 の方が説明しました論点は主に第4章の話、あと一部、第5章なども含まれております けれども、に関する規制の案ということでFDAの方が去年の9月30日にパブリックコ メントを出しまして、一応、締め切られて、締切りが12月の29日でしたか、一応、締切 りは終わっております。  その後、FDAの方でファイナルルールを作るということになると思いますけれど も、まだそれについては発表されておりませんので、当面はこの一応、プロポーズルー ルを参考にしつつ、事務局の方でまた第4章なり、第5章なりについて考えていくとい うことになると思います。  野本委員長  いずれにせよ、これからは国際交流でシステムが抜本的に食い違うようなことはでき ませんので、ぜひそこらもよろしくお願いします。  ではもう今日は、これで事務局、よろしゅうございますか。何かありますか。  事務局  次回の予定ということでよろしいでしょうか。先生方、お忙しところ、大変恐縮でご ざいますが、次回は2月3日、第1回目のときにトータルスケジュールを示したと思い ますが、あらためまして2月の3日木曜日でございますが、13時から15時、午後1時か ら午後3時まで、私ども厚生省の省内の26階にあります第9会議室ということでお願い します。またご案内、あらためてさせていただきますが、次回は2月3日13時から15 時、26階でございます。第9会議室、共用の第9会議室。  野本委員長  はい。私はそう書いてないといつも間違えて行って、そんなところで会議はありませ んと言われるタイプなものですから。はい、わかりました。先生方、最後にお願いして おきたいのは今、次の会までにいろいろご意見を事務局がお伺いしたいときには連絡す ると思いますのでよろしく。  山本補佐  作業、なるべく、努力しまして早めに取りあえずたたき台を作って各委員に事前にお 送りして、できれば意見をフィードバックしていただいたのを持って次の会にと思っ て、今回も事前にお送りできなくて大変申し訳なかったのですが、次回はそのようにさ せていただきたいと存じます。よろしくお願いします。  野本委員長  委員よりも事務局の方が大事だというのはよくよく私は理解、委員も理解しておりま すので、すみませんけれども、事務局、頑張ってください。頼みます。どうも今日はあ りがとうございました。 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、木村(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711