00/01/11 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会 議 事 録 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事次第  日 時  平成12年1月11日(火) 10:00〜12:18  場 所  厚生省特別第一会議室   1 開 会   2 議 事    1)精神病床等のあり方について 2)その他   3 閉 会 〔出席委員〕                                    高 橋 部会長   北 川 委 員  浅 井 委 員  阿 彦 委 員  池 原 委 員   生 田 委 員  大 熊 委 員  吉 川 委 員  窪 田 委 員   佐 野 委 員  白 倉 委 員  仙 波 委 員  新 田 委 員   西 島 委 員  町 野 委 員  谷 中 委 員  吉 澤 委 員   河 ア 委 員 【重藤補佐】  定刻になりましたので、だだいまから公衆衛生審議会精神保健福祉部会を開会させて いただきたいと思います。  初めに本日の委員の出席状況についてご報告を申し上げます。本日は精神保健福祉部 会委員23名中、18名の委員にご出席いただいております。定員の過半数を満たしており ますので、部会の開催は成立しております。  なお、本日、欠席されるご連絡いただいている委員は、木下委員、小西委員、高杉委 員、冨永委員、牧野田委員の6名でございます。ただ、伊藤委員、吉澤委員は少々おく れられているようでございます。ただ、ご欠席との連絡がございませんので、追ってご 出席されるか存じます。  それでは、部会長よろしくお願いをいたします。 【部会長】  おはようございます。ことし第1回目の部会でございます。本年もどうぞよろしくお 願いいたします。  それでは、議事に入ります前に、事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたし ます。 【重藤補佐】  本日の配付資料をご説明申し上げます。座らせていただいて、ご説明させていただき ます。本日の配付資料は、「議事次第」と「配布資料一覧」。  資料1としまして、「『精神病床の新たな機能区分の設定について』のこれまでの議 論等について」。  資料2でございますけれども、「平成12年度精神保健福祉施策関係予算案の概要」と いうものでございます。  資料3でございますけれども、「移送に関するガイドライン(案)」というものでご ざいます。  資料4は、「移送に関連する条文」でございます。  資料5が、「医療保護入院のための移送の流れ」という図でございます。  以上、資料1から5番までが本日の資料でございます。過不足等がございましたら、 事務局までお申しつけくださるようお願いいたします。 【部会長】  それではよろしゅうございますか。資料、皆さん方のところに間違いなく配付されて いるだろうと思いますが、それでは、議事に入らせていただきます。  本日の議題は、2つございまして、「精神病床のあり方について」と「その他」でご ざいます。まず、議題1でございますけれども、この議題は、これまで数回ご審議をい ただいてきた議題でございます。その議論を整理するために、事務局に議論等の一覧表 をつくらせました。本日はこの資料をもとに、部会としての意見の集約に向けて議論を 深めていただきたいと思います。次の議題の関係もございますので、約1時間、11時を めどとしてご審議をお願いいたしたいと思います。  それでは、まず事務局から資料のご説明をお願いいたします。 【重藤補佐】  資料1、「精神病床の新たな機能区分の設定について」のこれまでの議論等につい て」という資料でございます。この資料は、前回お配りしました議論のためのメモを項 目立てで、1、基本的な考え方、2、患者の病態に応じた人員配置基準及び構造設備基 準の設定、3、病床機能の単位、4、新たな病床機能区分への移行について、5、新た な病床機能区分の医療法における位置づけについて、6、新たな病床機能区分に基づく 必要病床数の算定というそれぞれの項目につきまして、これまで、昨年の2月1日の部 会、昨年11月16日の部会、前回の部会から、これまでの間にアンケートをお願いをして おりまして、そのアンケートの意見というものを箇条書きに整理させていただいたもの でございます。  多少、基本的考え方ということで、ご説明をさせていただきますけれども、前回の部 会以降に出された意見ということでございます。 1 基本的考え方 ○ 患者の病態に応じて、必要とされる医療をきめ細かに提供できるように、精神病床 を区分することが必要である。 ○ 精神病床区分は、医療法上のその他の病床(いわゆる一般病床)の区分に準じて、 急性期か慢性期かという時間軸に、重症度(あるいは看護必要度)や被処遇形態(非自 発的入院か任意入院か)などを加えた基準に従って2区分にすることが望ましい。 ○ 病床区分による弊害(患者のたらい回し、患者の選別など)を避けるための方策 (病院入退院情報の公開、重症度の判定基準の明確化など)が必要である。 ○ 精神病床を2つに区分することは将来のニーズに対し、対応できない状況をつくる ことになり、環境整備の面から診療報酬で対応すべき。 ○ 医療法で、病床区分することは硬直化につながり、必要とされる医療がきめ細かく 提供できなくなる。 2 患者の病態に応じた人員配置基準及び構造設備基準の設定 (平成11年2月1日部会意見) ○ 基本的には、まだ精神分裂病の患者が精神病院の相当のパーセント入っているとい う現実がある。精神分裂病患者の比率はどんどん下がってきているが、快適でアメニテ ィーが高く、しかも人権が守られ、質の高い医療を受けられるようにすべき。 ○ 精神病院協会のデータでは、6カ月ぐらいで70%ぐらいの患者が退院している。残 る人たちは結果的にかなり重度の人々が残っている。 ○ 病院についてはWHOが示しているとおり、日本は病院が足り過ぎていて病院が足 りないという理屈はもうない。医師が、他の病院の3倍も患者を受け持たなければなら ないことや、看護婦も人員基準の差別があるゆえに病院が来手が集まらない悪循環を断 つべき。 ○ 現在ある様々な国が作っている差別をなくしていくべきであり、その差別の根元が この病床の特例である。 ○ 精神病床が拡大するのではなく、むしろ量的に少なくなっても中身を充実する方向 で施策を検討すべき。 (平成11年11月16日部会意見) ○ 現実問題として、精神で急性と慢性とには分けられない。基本的に病態は、分裂病 とうつ病やアルコール依存症とは異なり、同一概念では捉えられない。 ○ ヨーロッパ諸国で入院日数が短いのは、急性期医療が確立していることによる。 ○ 社会復帰対策等の周辺整備がなされていない状態で、病床の在り方を議論すること が問題である。 ○ 社会資源の整備が進まなければ退院が促進されないということではなく、社会資源 の整備と病院の体制づくりとを両方で整備する必要がある。 ○ 実態としては、急性期に十分な治療がなかったからといって、慢性化するというこ とはない。 ○ 手のかかる濃厚な医療が必要な患者さんについては、今の基準より高い人員配置を することが必要である。 ○ 急には困難であるが、着実に一般医療との格差を是正していくことが必要である。 ○ 機能分化は必要であるが、その具体的な医師数や診療報酬の手当が見えないと話が 進まないのではないか。 ○ 精神障害にも様々な種類があり、急性期と慢性期とに簡単に分けられるのか疑問。 ○ 機能分化させることにより精神科の医師を必要な所に厚くするという傾斜配分が可 能となるのではないか。 (前回の部会以降に提出された意見) ○ 入院期間や重症度などを勘案した合理的な区分方法を検討するべき。 ○ 社会復帰病棟を新たな概念として加え、社会復帰に必要な専門スタッフの配置と構 造設備の基準を設定することが望ましい。 ○ 診療報酬制度において、急性期病棟A・B、精神療養病棟A・B、さらに老人性痴 呆疾患治療病棟・療養病棟が位置づけられ、様々な病態像の精神科患者のニーズに対し 効率的に医療サービスを提供する機能が果たされている。 ○ 今後は、ストレス社会におけるうつ病、思春期精神障害等が増加する一方であるこ とから、新しいニーズに対応すべき病床も必要となってくる。 3 病床機能の単位 (前回の部会以降提出された意見) ○ 原則病棟単位、ただし、技術的に可能であれば経過措置として病室単位で設定する 場合があってもやむを得ない。 ○ 病棟規模(看護単位)は、70床まで認めている現行基準を改め、精神科一般病棟、 精神科療養病床ともに50床以下とすべきである。 4 新たな病床機能区分への移行について (前回の部会以降提出された意見) ○ 当面の移行については、医療機関の自主的な判断に基づいて行うことはやむを得な い。ただし、現に問題とっている精神病床の地域偏在に病床機能毎の地域偏在が加わり 地域医療がさらに歪められることがないように適切な行政的指導を行うことが必要であ る。 ○ 移行期における病床の区分は厳密なものでなく、急性期病床の医療の質を確保する ことを目標として実施することが必要。 5 新たな病床機能区分の医療法における位置づけについて (平成11年2月1日意見) ○ 診療報酬でいろいろな施設基準が定められている。これを変えていくことにより周 辺整備をしながら、改めて将来の精神病院のあり方を考えるべき。 ○ 医療法の精神科特例を解消する何らかの形で前向きな歩調を続けていかなければな らない。 ○ 病棟単位の人員配置基準の導入による、総合病院の精神科病床の新たな特例の適用 ということも十分検討すべき。せっかく急性期の良い治療ができる医療関係者を病院経 営上、役割を果たせなくなってしまうことがないようにすべき。 (平成11年11月16日意見) ○ 理想的には精神病床と一般病床と分けず、病室の床面積や人員は同じ基準によるべ き。 ○ 現実的には精神病床は、一般病床とは別枠で検討すべき。 ○ 時代の経過により、医療環境の条件が変わってきたので、特例は必要ないのではな いか。むしろ、一般病床より人員等、厚くすべきではないか。 ○ 医療と関係ない者の視点からは、精神病という病気でありながら、一般の病気と区 別して特別という扱いになっていることは奇異に感じる。 ○ 身体拘束をできるだけしないような環境づくりをするためにも、一般病床と同様と すべき。 (前回の部会以降に出された意見) ○ 精神科特例は、一定の猶予期間を置いて、漸次廃止する方向で検討すべき。 ○ 現行の精神医療の状況から直ちに精神科特例を廃止するには無理がある。5年程度 の移行段階を設け、体制を整えていくことが必要。具体的には、まず、急性期病棟の枠 組みを作り、人員配置を設定し、診療報酬の手当を行うとともに医療チームの編成を行 う。 ○ 精神病床を病床の種別とする現行の考え方を踏襲するのではなくて、医療法上の新 たな病床区分に基づいて精神病床を区分し、その上で精神病床における特殊性を加味し た必要な規定(精神保健指定医・作業療法士・精神保健福祉士等の人員配置基準、隔離 室の基準、レクリエーション・作業療法関連施設等の基準)を施行規則の中で定めるこ とが望ましい。 ○ 現状では医師の確保は困難なこと、地域偏在が著しいことから精神病床の医師数を 引き上げることは難しい。 6 新たな病床機能区分に基づく必要病床数の算定 (平成11月2月1日意見) ○ 全国の病床の人口万対病床数をみるとかなり差がある。病床の少ないところが治療 を受けられない患者がたくさんいるのかどうかという問題もある。現状の数が少ない県 に合わせてやっていけるのではないか。 ○ 日本はベッドが多いということであるが、施設処遇という観点からみれば、フラン スでもイギリスでも万対50〜60となる。 (前回の部会以降に提出された意見) ○ 専門病棟や急性期治療病棟A、老人性痴呆疾患治療病棟、アルコール専門病床、薬 物専門病床、児童・思春期病床については、医療法の精神特例の人員配置を廃止する。 ただし、そのために必要な期間の配慮を行い、それに見合うよう診療報酬を上げる。 ○ 社会復帰病棟を新設し、そこに多くのソーシャルワーカーやOTなど、社会復帰促 進を図れる人員を配置し、入院費を設定する。ただし、社会復帰病棟への入院期間は3 カ月程度とし、長期にならないようにする。 ○ 新たな病床区分ごとの必要病床数の設定は、期限を設定して行うこととするべき。 ○ 最終的には、二次医療圏単位で病床機能区分毎の必要病床数を全国統一値でさだめ ることが望ましい。当面は二次医療圏間での精神病床偏在の早急な解消は困難であるに しても、とりあえず、都道府県における精神科救急医療圏設定の適正化を行い、精神科 救急医療圏毎に精神科一般病床の必要病床数を設定することが急がれる。  また、精神病床の偏在が著しい都道府県においては、過疎の精神科救急医療圏に存在 する中核的一般病院に精神病床が併設される促進策を講ずるべきである。  以上でございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。この病床区分のことに関しては、これまで何回か議 論を重ねたところで、大方、基本的なご意見は出されたものではないかと思いますけれ ども、この資料の1番の基本的な考え方の中には2つ大きく流れがあるかと思います。 1つはやはりきめ細かな医療をするために機能区分が必要であろうと、そういう考え方 で、前回のこの部会でも大方の方はこういう意見を言われていたと思います。  その一方で、病床区分を固定してしまうのは、非常に精神医療の硬直化につながると いうことで、それにかわる方法を考えるべきだという意見がございます。その辺の基本 的な考え方について、もう一度ここで改めてご意見をいただきたいと思います。ご意見 お考えございます方はどうぞご発言ください。 【西島委員】  はい。 【部会長】  どうぞ、西島委員。 【西島委員】  資料に基づいてお話しをさせていたただきますので、資料を配付させていただいてよ ろしゅうございますでしょうか。 【部会長】  どうぞ。 【西島委員】  お願いします。             (事務局より西島委員資料配付) 【西島委員】  それでは意見を言わせていただきたいと思うんですが、今まで私が意見を申し上げた ところをある程度まとめた形でこういう資料を出させていただきました。日本医師会と いたしましては、毎回私申し上げていますように、国公、私立で区別は全く考えてない 立場で物事をいろいろ整理してきているところでございますけれども、今回のこの精神 病床に関しましては非常に経営的に大きな問題があるということでございますので、一 応私的な立場という形をある程度前面に出しましてお話しをさせていただきたいという ふうに思います。  まず、1つには、精神障害者の定義についてでございますけれども、これは、平成5 年に公衆衛生審議会から出ました今後の精神保健対策というところの中で、はっきりと この定義規定を見直して、用語の適正化を図る観点から、例えば精神疾患を有するもの とすることについて検討する必要があるということを出されております。しかし、これ をほとんど検討しないまま今回の精神保健福祉法でも、一部は変わりましたけれども、 その定義が踏襲されたということでございます。  そうしますと、これの例示からいたしますと、精神分裂病、中毒性精神病、知的障害 精神病質と、今回は中毒性精神病の特に覚せい剤等が入ったわけでございますけれども それ以外の非常に増加しているうつ病、自殺、老人痴呆等々については例示として出て ない。しかし、私、何でここにあえてこの定義を申し上げましたかといいますと、精神 病床はまさしくこういう患者さんたちに対しても治療していかなければいけない。これ は私どもの仕事であるというふうに考えているところだからでございます。  これの資料1をお開きいただきたいと思うんですが、これは「我が国の精神保健福 祉」という厚生省が出しております資料から取り出したものでございます。これはたし か平成8年の資料でございますけれども、外来の部分を見ていただきますと、精神分裂 病を中心としたところは26.7%しか外来がいらっしゃらないと。ところが気分障害、う つ病等を含みます気分障害は実に21.3%、それからストレス関連神経症にいたしますと 24.3%等々、それから、痴呆を入れますと半分がこの例示に載ってない部分で実は外来 の患者さんが来ておられるというところでございます。これはオフィシャルなデータで ございます。  ところが入院という形でいきますと、相変わらず精神分裂病を中心とした例示の部分 の患者さんたちが64.9%を占めておられるというところです。しかし痴呆に関しまして は11%近くの患者さんが入院して来られている。うつ病に関しましても、 6.7%の患者 さんが入ってこられますが、しかしおわかりになりますように、うつ病を中心とした原 因によって、実に平成10年度は3万 2,000人の方が自殺をされていると、こういう方々 を一体どこで治療し見ていくのかと。これをどこでどう予防していくのかということを 全くこの部会では検討をなされていないというところに1つの問題があるであろうとい うふうに考えるところでございます。 その次の資料、資料2−1でございますけれども、これは自殺率の状況ということで これは平成10年度の警察白書の資料でございます。ここで実に総数といたしまして、2 万 4,391人の方が自殺をされています。下の部分で「自殺の原因、動機別状況」という のが書かれておりますが、家庭問題、病苦等、経済生活問題、勤務問題、男女問題云々 かなりストレスが大きな原因として自殺の原因になっているということがこれでおわか りになると思います。 その次のページをおあけいただきたいと思います。これは平成11年度の警察白書によ ります自殺者の状況でございます。先ほどの数値ですと、2万 4,000人でございました が、実に平成10年度は3万 2,863人の方が自殺をされていると。本当はこの精神保健福 祉部会でこの問題をどうするのかと検討していかなければいけない非常に重要な部分だ と思うんですね。交通事故の死者が1万 1,000人ぐらいでございますが、その3倍の 方々が自殺されていると。それが全くここで検討されてないところにも1つの大きな問 題点があるであろうというふうに思っております。  次に長期入院の問題でございますが、必ずしも社会的入院とは限らないということを 私は申し上げてきたつもりでございます。最近の新入院者の残留率、これは入院後1カ 月で実に76%、3割近くが退院されていると。3カ月で47%ですから、5割近くが退院 されていると。6カ月では30.2%ですから7割が退院されている。1年では19.8%です から8割の方が退院されているということです。  そこで資料3を見ていただきたいと思いますが、こういう形で年々新入院の患者数が 増増えてきているということでございます。  その次の資料4でございますが、これは先ほど申し上げました残留率でございます。 こういう形で、月を追うごとに残留率はどんどん減ってきていることが、これでおわか りになると思います。  次の資料5でございますけれども、これは在院期間別重症度構成でございます。そう しますと、1年6カ月以上の長期の患者さんたちはどういう方々が入院になるかといい ますと、中等度以上の方々が7割近くを占めておられるということはこれでおわかりに なると思うんですね。そうしますと長期になればなるほど、中等度以上の患者さんたち が増えてきていると。決してこれは社会的入院とは言えないのではないかということを 私はここで申し上げたいところでございます。  それから、3番目でございますが、閉鎖病棟の問題、これは今回の精神保健福祉法の 中でしっかりと整理をさせていただいたところでございます。  4番目の重大な犯罪を繰り返す精神障害については、資料6、7でございます。この 資料6、7を見ていただきますとおわかりのように、こういう形での措置入院の患者さ んたちがたくさんいらっしゃるわけでございます。こういう方々をどこでどういうふう に治療をしていった方が患者さんたちにとって一番いいのかということを私どもは真剣 に考えなければいけないと思います。例えばこういう患者さんたちが2〜3名おられる 病院でやるということになりますと、非常に厳しい状況の中での治療を患者さんが強い られることにもなりかねと思うわけでございます。  そういう意味で、こういう患者さんでも、これは措置入院でございますから、病気に よって、こういう事件を起こしたということでございますので、当然こういう方々の治 療環境でのQOLというのは私はやはりしっかりと担保されなければいけないのではな いかというふうに考えるわけです。  そうしますと、こういう方々が広い空間の中で、十分なマンパワーの中で治療をされ るということがやはりこの方々のQOLを向上することにつながるのではないかという ふうに考えるところでございます。しかし、実際にはそういうことがほとんどなされて いないということです。しかもこういう患者さんたちをどうするのかをしっかりと検討 してくれということは、これは某栃木県の病院の事件が起きたときから言われていると ころでございますが、これは全く進展をしない。今回もかなり厳しく日本医師会、精神 病院協会は要望したところでございますけれども、これは全く進展をしなかった。一応 3年を目安にこれを検討することになっておりますけれども、果たして本当にそれが担 保できるかどうか、非常に疑問でございます。これも精神病床のあり方に大きくかかわ る問題だろうというふうに思っております。こういう患者さんたちをどこでどういうふ うにして治療していくのかということもやはり真剣に考えるべきことであろうというふ うに思っているところでございます。  次に資料7でございますが、「公的病院と民間病院の措置入院患者比率」でございま す。これほど要するに民間病院が措置入院の患者さんたちを治療をしているということ でございます。しかし、ここで出るのは、公的病院は数が少ないからという議論がよく 出ますが、しかし、それはその下の数値を見ていただければ、おわかりになりますよう に、パーセンテージ、病院数、措置患者数の実数から見ていきますと、公立病院の方が 民間病院よりも措置入院の患者さんは少なくしか見ていないということはこれで明らか であろうというふうに思っております。  それから次の、また最初に戻って、今、公的病院と民間病院の機能分化の明確化とい うことでお話をしたわけでございますが、この機能分化がきちんと今まで機能しておれ ば、今回のようないろんなさまざまな問題も起きなかったのであろうというふうに思う わけですね。某大阪の病院の事件にしかりでございます。それから、長野の病院の事件 にしかりでございますけれども、これは公的なところが積極的にそういう病院に患者さ んを移送していったという事実はあるわけでございまして、こういう機能分化がはっき りきちんとして、その役割を果たしておられるのであれば、大きなこういうような問題 も起きなかったのではないかと思うわけです。  ですから、こういう支援態勢の整備というのが非常に重要であると。この精神病床の あり方を検討していく上で、この後方支援態勢がどうなるのかということも重要なポイ ントだろうというふうに思います。  それから、社会復帰対策に関しましては、これは今の分裂病を中心とした患者さんた ちのかなりの部分が退院をして、地域で療養生活を送ることができるということは、こ れは明白でございます。一部の先ほど申し上げた中等度以上の患者さんたちに対しては 問題でございますけれども、それ以外の患者さんたちに対しては、そのあたりの偏見が なくなるということとと、それからもう一つは、やはりこういう対策がきちんと充実し ていけば、当然地域で療養することは可能であると私は考えております。  今、よく外国はこうだああだということをいろんな委員が言われるわけでございます けれども、それは先ほど申し上げたようなところがきちんと機能している中で、初めて 地域でその患者さんたちが安心して生活をしていくことができるということも、私はや はりきちんと見逃してはいけない部分だろうと思います。  それから8番目でございますが、民間精神病院に対する偏見ということでございま す。これは資料8をお開きいただければと思いますが、これは某新聞が有名になりまし た国立病院の不当な拘束によりましての死亡事件を取り上げた記事でございます。その 中によりますと、これは国立病院部がコメントをしておりまして、この中の左側の上の 方に書いておりますが、「悪質な民間の精神病院と同列に扱うべきではない」というふ うに言っているわけですね。何が悪質なのかということです。こういうふうなことをコ メントすることが実はいつまでたっても民間病院に対する偏見がなくならないことでご ざいまして、「悪質な民間精神病院と同列に扱うべきではない」ということになります と、民間病院ではしょっちゅう行われているのかと一般の人が考えるのは当たり前のこ とでございまして、これに関しましては、私はだれが言ったのかと調査をするように以 前に言ったと思いますので、そのあたりも後ほど何かコメントがあればいただきたいと 思うところでございます。  それから、最後の経済的な問題でございます。最後の9−1をお開きいただきたいと 思います。これは中医協(中央社会保険医療協議会)の平成9年9月の「医療経済実態 調査」のオフィシャルな資料でございます。これによりますと、入院収入に関しまして は、公立と医療法人ではそれほど差異はございません。常勤1人当たりの収入というこ とになりますと、公立よりは医療法人の方が当然上がっているわけでございます。  ところが給与を見ていただきますと、公立と医療法人・民間病院では1床当たりの給 与、公立は44万、医療法人は28万でございます。常勤1人当たりでいきますと、公立が 73万、医療法人が44万とここに実に33万の差があるということでございます。しかし、 医療収支差額で見ますと、公立は1床当たりが−19万 8,000、これは赤字ですね。医療 法人が1万 3,000、これは黒字でございます。これは当然なんですね。民間病院は黒字 でなければ倒産するわけでございますから、当然ここには黒として計上してこなければ いけないわけでございまして、これは何がどうなっているのかといいますと、先ほどの 給与のところでお示ししましたように、人件費を削って黒を出しているというのが現状 でございます。 しかし、こういう中医協のデータが出ますと、精神病院はこれだけもうかっているの ではないかということを言われるわけですね。しかし、こういう細かいデータを見てい きますと、人件費を削って黒を出しているのだということもしっかりとご理解をいただ きたいところだというふうに思います。 そこで、この赤の公立の部分はどうなっているのかといいますと、当然経常利益が見 ていただきますと、−5,453 万でございますから、これを12月で掛けていきますと幾ら になるかというのが明白でございます。 ですから、こういう意味で考えていきますと、マンパワーを増やせということは簡単 なことでございます。簡単なことでございますが、果たして私ども最初に申し上げまし たように、こういう今医療費がかなりバッシングを受けている中で、こういうものをき ちんと担保してくれるのかどうかということも1つのポイントのような気がするわけで ございます。 最後の資料をお開きいただければと思います。今回、精神病床のあり方というのが、 公衆衛生審議会の精神保健福祉部会におろしてこられたわけでございますが、医療審議 会のマターは、医療を提供する態勢の確保に関する重要事項を調査・審議するために厚 生省に医療審議会を置くと規定されているわけですね。そうしますと当然これに関係す る方々が委員として出て来られているというふうに私どもは考えます。 ところが公衆衛生審議会の部会を見ますと、「精神保健(国民の精神的健康の保持及 び増進を除く。)及び精神障害者の福祉に関する重要事項」というふうにされているわ けでございまして、どちらかというと、精神保健福祉法を中心にした事項がここで検討 されるというふうになっているところでございます。ちなみに精神保健福祉課の事務分 掌を見ますと、これは「精神保健及び精神障害福祉に関する法律及び精神保健福祉法の 施行、更生医療及び育成医療、精神障害者の保健及び福祉の向上に関すること」となっ ておりまして、新しいニーズに対応するものに関してはほとんどここで検討されていな いということは明白だろうと私は思うわけでございます。 そういう意味で、この精神病床のあり方というのは、これから10年、20年どういうふ うにあったらいいのかというのを検討することが検討だというふうに思っております。 過去のことを、ここで昔はこうだったから、ああだったからというのは、これは精神保 健福祉法の私は問題であろうというふうに考えておりまして、この精神保健福祉法と医 療法がごっちゃ混ぜになったことで議論されているところに私非常に危惧を感じるわけ でございます。 そういう意味で、今回出されました議論等につきましても、やはりそれを専門とされ た方々が本当にいろんなデータを駆使してこの意見を出されているのかということが非 常に疑問でございまして、そういうことも含めてここで少しその議論をいただきまして それでもこの話を進めて、例えば、一般病床が2分化されるからここでもするのだと。 それから、急性、慢性に分けるのだという議論をなされるのであれば、私どもとしては それなりの考えを示していかなければいけないというふうに思っているところでござい ます。  ちなみにもう一言だけ申し上げさせていただきますと、現在医療審議会で議論されて いるその他の病床に関しましては、既に歴史がございます。例えば、その他の病床の中 でも、既に療養型病床群という形での区分がなされておりますし、介護力強化病院とい う形の区分がなされております。また、特定機能病院という区分もなされています。さ まざまな歴史があるわけでございまして、そういう歴史を全く持たない精神保健福祉部 会の中で、精神病床を議論することはいかがなことかということを私は申し上げたいと いうふうに思っております。  以上でございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。非常に基本的な重要な問題を幾つかまとめていただ いてのお話しでございましたけれども、今の西島委員からのお話に何かご質問あるいは ご意見。どうぞ。 【阿彦委員】  質問が1つあるんですけれども、1ページの長期入院の問題の関連で資料5が8ペー ジにございましたが、今の説明ですと、長期入院5年以上の場合は中等度以上の医療必 要群が多いということをおっしゃいましたけれども、このグラフを見る限り、3カ月未 満や1年未満、そういった短期の入院の方であっても長期の方であっても重症度に差が ないというふうなグラフにしか見れないんですけれども。 【西島委員】  短期の場合は当然軽症も中等度も全部入っているわけですね。それからどんどん流れ が変わっていくわけでございますから、それが要するに積もり積もってきたことが後半 の部分になってくるだろうというふうにお考えいただければと思います。 【阿彦委員】  短期であっても中等度以上の人が6割以上いますので、長期入院の原因としては重症 度ではなくて別の要因があるというふうに見た方がこのグラフからは読み取れるのでは ないかということで、長期入院の理由として、長期入院の方々には重症の方が多くて医 療が必要だという意味でとらえることは必ずしも正しくないのではないかと思うんです けれども。 【西島委員】  そうでしょうか。ようございますか。 【部会長】  どうぞ。 【西島委員】  つまりこういう方々が、今残ってきておられるんだということをこのデータで示して いるわけでございまして、私、何でこれを出したのかといいますと、要するに社会的入 院。長期の患者さんたちは社会的入院だということが非常に大きな声で言われていると ころでございますので、そうではないのだということのデータをここで出しているのだ ということでございます。 【部会長】  いかがですか。仙波委員どうぞ。 【仙波委員】  このデータを担当いたしました責任者でございますが、これはやはり中等度は長期入 院の方に比率が高いというふうに私たちは分析しております。それで、急性期の方に中 等度のパーセンテージが10.2%とかありますね。これは色々な症状で再入院される場合 があり、中等度の人が入院してくるということで、必ずしも急性期の場合でも急性期の 症状だけで入院するわけでないものですから、それがずっと引っ張ってきておりますし それから5年以上の中等度の患者数は15.5%、長期になるほど18.5%、20%に近い比率 となっています。疾病特性があるのではないか。諸外国等との比較ではどこでケアする かという問題はあるとは思います。長期入院になりますと、社会的問題、家族問題とか それに全部関係してきます。 【部会長】 いかがでしょうか。この中等度という症状の判定ですけど、これはGAFでやられて いるわけですね。 【仙波委員】  私どもが臨床的に使っている重症度、中等度、軽度、寛解というのは臨床的判断とし て長いこと使われているもので分類に使っておりますが、これとGAFとの比較検定を しておりまして、これはパラレルであるというふうに立証されております。 【部会長】  中等度というのはなかなか外来対応は不可能であるというレベルでございますか。 【仙波委員】  そのレベル、どういうふうな政策をとるかによってディペンデントだと思いますが、 一応臨床医が見て、これは入院の方がベターであるというふうにお考えくださっていい と思います。 【部会長】  ほかにご質問、ご意見ございますか。今、いろいろな問題が提起されたわけですけれ ども、精神障害者の定義について例示が不十分であろうという問題もあげられました。 非常に精神疾患多岐にわたっているわけですけれども、その一部しか提示されていな い。これは前からの問題があるわけですけれども、その辺についていかがでございまし ょうか。どうぞ、吉川委員。 【吉川委員】  全般的なことを先に申し上げておきますけれども、西島先生が今提起された問題は非 常に大きな問題だと思って私は受けとめております。一方的に精神病院のあり方という ものを余り論じないまま病床問題が先行するということは確かに危険な気がいたしま す。その上で、そういうような意見を申し上げた上で、まず定義のことについてだけ、 ここでは私が関係していますのでお話を申し上げたいと思います。  先般行われました専門委員会の中に、西島先生もおいでいただいておりますけれども この専門委員会の前の専門委員会のときでございますが、すなわち法改正の準備をして いた専門委員会でございますが、このときは10回の会議を開きましたけど、そのうちの 1回は診断問題で費やしました。1回というのは大体3時間ぐらいずつやっております ので、3時間かけて、そしてある程度の結論が出ましたけれども、最終的にはそれは採 用にならなかったという経過があります。その経過につきましては、この場でもご説明 したことがございますけれども、法改正ということで、特に平成3年でしたか、あの改 正の中でこうした例示という形をとった。すなわちちょっと誤解があるように思います けれども、ここで精神障害とか知的障害とかというもともとの例示というふうには考え ないで、ここで今西島先生が出されたような意味で精神分裂病というような病名を例示 するということに平成3年に変わりましたけれども、その例示を変えるだけの根拠がな いということがそのときの理由でございました。  しかし、根拠というのはどういうふうにしてつくるかということもありますし、例え ば、きょうここで西島先生がおっしゃいましたように、その外来にどういう患者さんが 来ている、入院の数はどういうところにあるのか。そして、また今、政策としてどの疾 病を主として対象にしていかなければいけないのかということを考えなければいけない という点では、やはり例示といえども、今の例示でいいはずがないというのが当時の専 門委員会の一致した意見でございました。  しかしながら、先ほど申しましたように、それを変えるだけの根拠というものがない ということでこの考え方は、公衆衛生審議会精神保健福祉部会でも私は捨てられたよう な気がいたします。それらは今西島先生がまたこんな形で生かしてくださっている。私 としましては、実はこの例示の問題はかなり大きな問題だと思いますし、そして、病床 の問題を論ずるときの基本としても考えなければいけないということで、本来ならば再 度この問題は考えてほしいような気がします。ただし法改正は5年後でございますので 5年後に必ずこの問題は議論するという、そうしたことを何らかの形で担保していただ きたい気がいたします。それが1のところでございます。  それ以外のことに関しまして、私はここで発言するだけのものをまだ十分に持ちませ んが、西島先生が言われていることも、それぞれ基本としては大変重要なところだろう と思います。ただ、途中経過よりは一番最後のところの医療費の問題のところでござい ますけれども、その費用の問題については、確かにおっしゃるとおりで、私もそれに堪 能なものでもありませんし、特にここの中で本当に医療費のことに関してきちんと議論 のできる方をもう少し中心にして考えていかなければいけないのなと思います。  総論としては、私はこの病床問題に関しては、基本的にはやはり一般病床に近づけて いくということが大切だろうと思っていますので、最後にそれだけをつけ加えさせてい ただきます。 【部会長】  どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。谷中委員どうぞ。 【谷中委員】  私は社会復帰にかかわる者として、精神病床そのものに踏み込むのはためらいがある のですが、逆に今社会復帰を必要としている方々の側からこの問題を少し見ると、妙な ところで、西島先生のおっしゃることと随分一致するところがあるんです。  先ほどの流れから、私なりに少しお話ししますと、資料1のところで、やはり今障害 者プランに盛り込まれた社会復帰の施設の整備がされていますが、正直まだ十分整って きているというふうには思えませんが、今までの経過を見ますと、ここの64.9%入院し ている精神分裂病を中心とする方々が、私たちの社会復帰施設を利用する主だった方々 なのです。それらの傾向を見ますと、64.9%も入院している必要があるのだろうか。極 端なことを言うと、西島先生おっしゃったように、ここは半分に減らしたって十分、問 題はそれを受ける社会復帰施設もしくは地域の受ける態勢があるかどうかということは 1つ大きな問題がございます。  しかし、まず、先ほど出ましたもっと入院を必要としている人のことを考えますと、 まず私はベッドを減らすべきである。むしろ分裂病中心の方々をどんどん地域の中で暮 らしていただいて、もっと病院自体が本来の医療のスタイルに近い形をすべきである。 そこから考えますと、病床の区分のことについては一歩譲るとしましても、少なくとも 一般科と別な特例とか特別ということ自体がかなり問題があるというふうに思いますの で、多少の不都合はあっても、まず精神科特例を外すべき努力をしていく。これをはっ きり基本に据えなけれはいけないのではないかということが1点です。  もう一つは、先ほどの中度のところ、これはどんな見方があるかということなんです が、これはおっしゃるとおり、何らかのケアがないと、すなわち自立度の高い方として 今の社会復帰施設を利用することが可能かというとかなり厳しい状況はおありの方々だ と思います。でも問題は、この方が病院にいることがいいのか、それとも地域の中で生 活しながら、これを回復をしていった方がいいのか、この辺の選択いかんによっては、 もちろん私は地域の中で生活しながら回復を遂げていくというふうな考え方に立つわけ ですが、そうすると地域の中で暮らせるような生活支援を含めたものプラス何らかのケ アをここに盛り込むことによって、病院でなくて地域で暮らすことができるような、そ ういう態勢をきちんととるべきだと思います。  すなわち、精神症状の重度とか中度とか軽度によって社会復帰が可能だというふうに お考えではなくて、精神疾患がかなりあっても、それを支えうるケアが地域の中にあれ ば、それは病院にいなくていいわけです。  それから今度、私の立場からモノを言わせていただきますと、どうやら精神症状によ って地域生活を営むのに、軽いとか重いは余りないんです。むしろ長期にわたって入院 している方こそ、私の言葉で言うと、生活しづらさをとっても抱えているということで す。逆に言いますと、長期入院そのものが社会性を大変奪ってしまっている。となると 多少精神症状いかんによらず、やはり常に日常生活ができるようなところに身を置く。 このことが2番目の問題です。  中度の方の状態を地域でどう支えるかということについては非常に難しい問題がある のですが、私はここに施設化を考えるよりもグループホーム、グループホームにケア付 グループホームということで、きめ細かいケアの態勢を地域に持つことであれば、これ らの方は病院でなくて、地域の中で住むことは可能だというふうに考えます。  それから、先ほど吉川先生も触れられましたが、私は民間病院にソーシャル・ワー カーとして長いことおりましたので、この問題はかなり経済的な問題も重なっているよ うに思いますので、特例を外すについての具体的な移行段階並びに医療費問題もベッド を切って軽くして、例えば民間病院がそれによって十分維持できる具体的にはそういう ことを示しながら、この改革をしていかなければいけないのではないかというふうに思 いますので、単にベッド削減というふうなことではなくて、一番私どもが望むのは、精 神病院が収容施設ではなくて、病院の機能を十分に持っていけるような体制と人的な確 保をしていただきたい。すなわち医療の質を確保していただきたい。そのことがなしに は、この改革といいますか、精神医療改革を進める際に、「医療の質を確保する」とい うことを基本に据えて進めていただきたいという意見は同じであります。 【部会長】  どうもありがとうございました。医療の質を確保する。そのために1つは特例を廃止 しないといけないというようなご趣旨ではないかと思いますが、どうぞ。 【河ア委員】  もちろん医療の質を確保するということは、我々民間病院も第一に考えておりますし 現在入院している方々の人権問題も十分に考慮してやっておる。これは第三者的に日本 の精神科医療は民間に90%おんぶしているから云々というようなところからの発言も 我々の耳には十分に入ってきてはおるわけなんですけれども、現実的にはきょうの西島 先生自身が、あらゆる点からのデータをそろえての説明は全くそのとおりなので、現実 的に現実から立脚して今後どうしていくかということ自身をもう一遍根本的に考え直し ていただきたい。  それには、第1の例示の方法について見直す必要があるとか、また長期入院の問題に 関しても委員会をつくってその対策を練っておる。でも、なぜ長期入院を余儀なくされ ておるのかというようなところが1つひとつ解決はされておらないんですよね。なるほ ど社会においてやっていったらいいんだと、全く我々もそのとおり考えるわけなんで す。現実あらゆる中間施設をつくろうとして現実できないんですよね。その辺自身の現 状からして、今すぐにどうもこうもできないところまで我々は突き当たっておるのだと いうことのご理解も賜りたいと思うんですね。  自分としては、きょうの西島先生の経済的な面から、また実質から官民格差の問題か らいろいろなところは、そのままそのとおり素直に受けとっていただいて、1つひとつ ずつの解決をお願いしたいと思います。 【部会長】  官民格差の問題が1つ出ましたけれども、これについては、重症措置の患者さんに対 する対応その他いろいろ厚生省の方のお考えかと思いますけれども、この資料7を見て 明らかに公立病院の方が措置患者は少ないという現象がございますけれども、この辺に ついて、公立の病院として白倉委員いかがでしょうか、こういった問題の対応として、 今後どうすべきであるか。 【白倉委員】  公立の病院の立場からということでお話しさせていただきたいと思います。私どもも 確かに措置を含んで人権にかかわる問題、これはある意味では、国立なり公立の病院が 率先してやらなければならない大切な課題の1つだろうというふうに認識いたしており ます。ただ、残念ながら、今までの私どもの施設、特に私のところはアルコールでござ いますが、いろいろの制限がございまして、特に看護士さんがほとんどいなくて女性ば かりの看護婦さんばかりとか、造りが非常に開放的になっているとか、いろんな問題が ございます。  それを1つひとつやはり各国公立の病院がクリアーしていきながら、西島先生おっし ゃるように、ぜひ国公立の病院が優先的にそういう患者さんに関与していくという姿勢 をぜひとっていきたいというふうに思っております。 【部会長】  国公立、少なくとも国立ではそういう他の施設ではなかなか対応できないものを積極 的に取り組んでいこう、そういう姿勢はできている。ただ、現状いろいろな問題がある ということでございますね。 【白倉委員】  はい。 【部会長】  いかがでしょうか、そのほか。資料9には、公立と医療法人の待遇の差の数字も示さ れておりますけれども、この資料では相当公立医療法人の差がございますけれども、こ の辺はこういう実態なのでしょうか。 【西島委員】  これは中医協がなさいました「医療経済実態調査」でございますので、オフィシャル なデータでございます。 【新田委員】  西島先生のご提案、ご発言の内容は、私にも大変意味のあることだと思っております が、1つだけちょっと質問的なことを申し述べてみますと、重大な犯罪を繰り返す精神 障害者に対する対応は、民間では困難であるから、公的病院の責任であることを明確に チェック、こういうふうに言っておられるので、現実になかなか難しい問題があるので そういうところこそ公的病院がやるべきだと、こういうお話しかと思うのでありますが だからといって、公的病院の仕事だから民間が入ってきてはならないということにはし ない方がいいのではないかと。能力と意思のあるところには民間にやっていただくと。 後の経費のところを見ると、どうも民間の方がいろいろ努力をいたしているようでござ いますので、恐らく西島先生もそういうことで、ここは公的病院の分野だから、民間が 入ってはいけないというふうにしろとおっしゃっているのではないと思いますけど、念 のためにコメントをさせていただきました。以上でございます。 【部会長】  その点、何か西島委員からございますか。 【西島委員】  私もそう思います。要は態勢づくりですね。こういう方々をどういうところで治療し たらいいのかという態勢づくりの中の一環として、公的病院が中心になるべきであろう というだけのことでございまして、民間病院がしてはならないということではないと思 います。 【部会長】  ほかに何かご意見ございますか。窪田委員、診療所の立場からは、こういうデータに 関してどうお考えでしょうか。 【窪田委員】  我々診療所もしばしば患者さんの入院をお願いする事態がございます。そのときに、 急性期のかなり激しい病状や合併症のある患者さんの入院をお願いする場合には、でき れば、総合病院の人手のあるところで、手厚い治療をしていただきたいとこう思うので すけれども、実態から見ますと、総合病院の精神科というのはなかなかそういう重い患 者さんをとってくださらない。比較的軽いうつ病なら良いのですが、分裂病の急性期の 人は余りとってくれない。特に覚醒剤なんかもとってくださらないという実態があって 結果的には民間精神病院にお願いすることになっています。  確かに病床数の問題で言えば、一般病床と同じようにそろえるとすれば、総合病院の 病床から、まずそれを実現できるかなという期待はあるんですけれども、しかし、そう したら本当に重い人たちをそこで診てくれるのかという、その期待が我々確信を持てな い。そうなっても、なおかつ病状の重い人は民間精神病院にお願いするという実態が起 きてくるではないでしょうか。  また、この給与比を今見せられて、公立病院の、どういったらいいのでしょうか、企 業努力的なものが少し足りないのかなという気がするし、これだけの人とお金が投入さ れているとすれば、そういう重症の患者さんたちを、人手が増えたところで診てくれる ような体制をつくるということが前提にないと、どうもこの病床問題も先へ進まないの かなという気がいたします。 【部会長】  どうもありがとうございました。どうぞ、大熊委員。 【大熊委員】  偏見のことについてのお話がございましたけれども、これはここにおられる方たちす べてが偏見を取り除かなければいけないということでは一致していると思いまして、繰 り返しになりますが、どこから始めるかというと、精神病院というのは特別な人を扱う 特別な病院で、だから人手も少なくてもいいしというようなことから改めるということ が大事だと思います。  最近知ってことなのですけれども、看護婦さんに関しても、全体状況として、かつて 新聞で看護婦さんが足りないということをさんざん書いてきたので、多くの方が看護婦 さんが足りないという先入観を持っておられるのですけれども、十分に充足していて、 さらに看護婦さんの中には精神科看護こそ一般の病院のように、お医者さんのお手伝い みたいな立場ではなくて、本当に患者さんにかかわれるというということで大変人気も 出てきているということを最近知りました。  ですので、少なくとも看護婦さんに対しましても特例を外すということで人手が足り ないというようなことはないだろうということをつけ加えたいと思います。そして、そ ちらを先に先行させることによって医療費の方についてきてもらうという順序ではない かと思います。 【部会長】  どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、阿彦委員会。 【阿彦委員】  私も精神科特例を、一定の猶予期間を置いてでも結構ですので、廃止する方向で進め ていただきたいんですけれども、1つとして、私結核の部会の方にもお世話になってい るんですけれども、94年から99年途中までですけれども、結核の集団感染が全国の病院 で37あったんですけれども、そのうちの17(4割5分)が精神病院で起きているという 状況があります。そういう起きているところの事例を見ますと、看護婦さんたち・人手 が足りないということかもしれませんけれども、基本的な発熱だとか、健康観察あるい はその記録が不十分だというところも背景として事例の中にはありまして、今の人員体 制の中で、精神科の病気以外のものも、今は患者さんの高齢化も進んでいますし、患者 の病状も多様化していますので、入院中にそういう結核を初めとした感染症が出たとき の対応を考えた場合でも特例ではなくて、一般病床並みの人員配置を整えて、質の高い 医療を目指した方が私はいいと思っている次第です。 【部会長】  どうもありがとうございました。どうぞ、河ア委員。 【河ア委員】  今の結核の集団発生のことですけど、先生言われたこともそうかもわからんですけれ ども、でも現実精神病院で結核の合併症が出た場合に、合併症を収容してくれる精神病 院というのはないわけでしょう。ほとんどの県では、その当該病院でその予防をしなが らというような指導になっておるはずなんです。それが大変怖いことなので、やはり少 なくとも合併症対策専門の1つの、例えば結核が発生した場合に、その方を収容する病 院をちゃんと決めておくべきだと思うんですけれども、今、全国的にそれがどうなって おるのか、わかっておる範囲で知らせていただいたらと思いますけれども。 【部会長】  よろしいでしょうか、事務局からございますか。結核に関しては自治体単位で対応し て、各自治体1施設は持たないといけないという考えかと思いますが。はい、どうぞ。 【三觜課長】  精神と結核の合併症は、原則的には都道府県単位で対応できるようにということで整 備するようには指導はしておるのですが、河ア会長がおっしゃるように、全国的に必ず しも十分に整備されていない現状にあるかもしれません。 【部会長】  今の点ですけど、例えば国立などでは、国立療養所17施設ございますけれども、その うち結核病床を持っておるのは4施設なんですね。それで、今後それを整備して、より 多くの療養所が結核に対応できるような整備を進めるという計画がございます。 【阿彦委員】  今の患者が出た場合の医療をどうするかという問題は、本当に重要なことなんですけ れども、結核やインフルエンザ等、ああいったものが集団感染として規模が大きくなる 背景として、発見のおくれとかいろんな要素があって、集団感染自体が発生する背景に 今の精神科の病院の環境とか人員の問題があるのではないかということなのです、発生 した後の対応は、それも重要ですけれども、それを予防するための環境整備という面で 特例は廃止をするということが必要なのではないかという意見です。 【西島委員】  今の問題は区別して考えないといけないと思うんですね。つまり精神病院の中で結核 が発症するのかということは、そうでないと思うんですよ。どこからから結核菌を持っ てくるわけですから、要するに水際作戦がもう一つあると思うんですね。要するに、入 って来られたときにきちんとした検査をして、結核の検査までしてやるのかどうかとい うことですね。  ところが余りにもそういう検査をやりますと、今、診療報酬で査定される場合がある わけですよ。そういうことで非常に医療が狭められていると。精神面関係ないじゃない かと言われる部分もあるわけです。それから、一般病床であれば、どうなるかといいま すと、一般病床の場合は身体を診ているわけですから、常にそういうものの検査をして いるわけですよね。そこで発見が早いという部分もあろうかと思います。  確かに今先生がおっしゃったように、そういうことをいつも念頭に置きながら、そう いう治療を、たとえ精神科といえどもやっていかなければいけないことは重要なことだ ろうというふうに思いますので、これに対しては、たしか精神病院協会がマニュアルを つくられましたですね。このマニュアルに沿って今後やるということになっているとい うことでございます。以上でございます。 【阿彦委員】  今まで出た結核の集団感染の事例は水際で防げた事例というわけではなくて、長期入 院の患者さんが大部分結核に感染したことがある人が再燃で発病している人が一番多い わけで、ですから長期入院の過程で、入院時は大丈夫だったけど、長期入院の過程で発 病したとか、そういった人が感染源になって、集団感染がその発見がおくれたために広 まったという事例があるわけなんで、水際の問題ではないと思うんですね。 【西島委員】  先ほど診療報酬の問題で申し上げましたけれども、要するに頻回に検査をすると査定 されるわけですよ。ですからどうしても抑制せざるを得ないという部分もあろうかとい うふうに思います。  しかし、今後はそういうことも含めて念頭に置いて、定期的にきちんとした検査をし ていくと。そういう中から、1つには、この問題は解決する問題ではないかというふう に考えています。 【部会長】  どうぞ、仙波委員。 【仙波委員】  あの事件が起こりまして、私たち日精協では、院内の感染対策委員会、結核予防会、 感染症課のご指導いただいて、直ちに協議して、こちらの問題は、原因と対策がはっき りしてまいりまして、やはり長期入院は、今、老齢化しておられますし、今までこれら の人の結核対策に関心が非常に少なかったということがまず第一なんですが、老人に対 する健康診断、これが大切なのですが精神科の場合は年1回の検診がもれることが多 い。  というのは、これら患者の結核検診は、住居地の自治体の方で担保されておりますの で、入院が長期になりますとその機会すら失われるということがあります。今各県単位 でもって日精協でもアピールを出しまして、健康診断をとにかく1年1回することと、 できれば結核の専門家によるチェックをするということで対応すれば、その方向で解決 ができると思う。  発生した場合には、残念ながらに受けてくれる結核病床が少ないのは事実でございま して、昔は結核病床が非常に国立にはたくさんあったんですが、みんな重心に変わって しまい、結核は非常に少ないのが現状でございまして、それを少しよりを戻して、各県 別に対応してもらいたい。その政策は進んで、その掛け声でやっているのではないかと 思いますが、きっちりしたことをすれば結核問題は対応できるというふうに思っており ます。そんな現状だと思います。 【部会長】  よろしいでしょうか。  先ほどの議論で、特例を廃止すべきだというご意見が出されました。そうなると医師 あるいは看護者の確保が必要になります。しかし、それに対する人件費の担保がされて ない、そういう議論がございましたけれども、特例が廃止されて一般科並みになって (医学管理料、その他。)診療報酬が変わりますですね、そういった管理料その他の上 昇で人件費はカバーすることは非常に難しいのでしょうか。その辺の検討はされている かどうか、お伺いしたい。 【西島委員】  今の診療報酬の体系からいきますと、例えば、看護料だけで人件費を賄えるか、そう ではないわけで、いろんなところに入っているわけですね。その中でトータル的に人件 費が出てくるという観点から考えますと、精神科の場合は、その他の技術料というのが ほとんどない状況ですよね。手術もありませんし、その他の、例えばいろんな治療法と いうのもございません。  そういう中で、どこでどういう形でそういう人件費を捻出してくるのかということを 考えたときに、今、日本医師会が1つの診療報酬体系の見直しということで提案をいた しておりますけれども、明確にこういうところにはこういう手当をしますということで あれば、それは経営として成り立つように、当然報酬としては考えるだろうと思います から、それはできるだろうと思いますが、現行の診療報酬体系ではとてもできる話では ないと考えております。 【部会長】  どうぞ、河ア委員。 【河ア委員】  看護婦の数だけ増やしたら、それだけの点数があるんじゃないかということですけれ ども、それはそれに相応した点数ではないわけなんですね。人件費そのままで持ってき ておる点数ではないから、これは今でも精神科の技術料は世界一安いのだから大変だろ うと思います。いま少し診療報酬体系との関連を話を詰めるべきだというふうに思いま す。 【部会長】  ほかにご意見ございませんでしょうか。  今、西島委員から最後のページの問題で、医療を提供する体制を検討するということ ならば、この審議会のメンバーでは少し不十分ではないかというようなご意見が出され ましたけれども、何か事務局からございますか。 【重藤補佐】  14ページの資料でございますけれども、一応医療審議会の方で、昨年の初めに精神病 床については公衆衛生審議会でということになって、こちらの部会の方に振られてきた という経緯でございまして、それ以後、数回にわたってこの問題を議論しております。 医療審議会の方でもそろそろ結論をまとめるかに聞いておりますので、そこのところは きちんと今回はそういう位置づけで議論をしてきたものでございますから、公衆衛生審 議会の精神保健及び精神障害者の福祉に関する重要事項というとらえ方で、今回意見を 取りまとめて、医療審議会の方にお返しするということが責務でございますので、今回 につきましては、そういう仕切りで既に1年来ておりますので、そうしたことをご了解 いただきたいというふうに思います。  また、今後こうした精神病床とか、今回出されました診療報酬等の絡みとかいろいろ な問題があるというご指摘でございますので、それはまた別途検討させていただいて、 今後のあり方として、また事務局として検討してまいりたいと思います。 【部会長】  精神病床に関しては専門部会でも議論を一度されているわけですね。  よろしゅうございますでしょうか。どうぞ、白倉委員。 【白倉委員】  皆さんいろいろな角度からご検討いただいて、確かに現行に矛盾点がいろいろござい ます。ただ、原則といたしましては、恐らくどの委員もいろいろな矛盾を解決すべくそ れなりの措置をしていけば、精神科特例に関しては廃止する方向で基本的には考えてら っしゃるのではないかというふうに私は今ご意見を伺いながら承っています。  ただ、西島先生が出されたようないろんな矛盾点ございますが、これをいかに何年か 先までの間にこれをどうやって解消していくか、その努力を一方では積み重ねながら、 部会全体としては、むしろ精神科特例を何らかの形で、ある期間区切って廃止する方向 に努力をしたいという形で意見が大分集約されているように、私は今皆さん方の意見伺 いながら、そういう印象を持っております。以上でございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。  それでは、大体予定の時間になりましたので、議題1の「精神病床のあり方」につい ては、このあたりで議論を終了させていただきたいと思います。  今後のこの議論についての進め方でございますけれども、ただいま事務局からの説明 もありましたように、本体の医療審議会の進捗状況にもよりますけれども、次回の部会 に、当部会としての意見を集約して、医療審議会に報告しなければならないということ になった場合には、座長として、これまでの議論、またきょうの議論をもとに報告の私 案を制作しまして、次回の部会、1月17日を予定しておりますけれども、それにお示し したいと思います。その報告の内容でございますけれども、これまでの意見をすべてそ こに集約することはなかなか難しいと思いますので、病床区分に対する基本的な考え方 その大枠をまとめてお示ししたいと思いますので、どうぞご了承ください。  それでは、次の議題に入りたいと思いますが、議題2、「その他」でございますが、 これについては、2つ議題を用意してございます。  1つ目は、昨年の12月に平成12年度の予算の政府原案が示されましたので、精神保健 福祉関連の予算についてご報告していただきます。  2つ目は、昨年の部会でも議論いただきました移送制度につきまして、厚生省におい て、移送制度の手順をまとめられたことですので、その中身について報告していただき たいと思います。  それでは、まず、平成12年度の予算につきまして、事務局より報告願います。 【佐野補佐】  それでは、資料2をごらんいただきます。平成12年度の精神保健福祉施策関係予算案 の概要につきましてご説明させていただきます。  まず初めに総額でございますが、11年度予算: 773億 8,300万円に対しまして、12年 度の予算案が 871億 2,500万円。伸び率が括弧書きで書いてございますけれども、 113 %。政府の一般歳出予算が 2.6%の伸び。厚生省全体で 3.8%、そういう伸びに比べま して高い伸び率を示しております。 初めの説明がございますが、ポイントは最初の2行に書いてございまして、今回12年 度予算の重点事項、特に配慮した基本的な考え方をまとめてございます。  引き続き、障害者プランの目標達成に向けて着実な推進を図るための予算を組む。さ らに、より良い精神医療の確保等を図る。この2つのほかに、今回は先般の精神保健福 祉法改正によりまして、さまざまな制度改正が行われておりますので、そういった改正 事項を的確に実施する。この3つが基本的な考え方でございます。  時間が押しておりますので、駆け足で改善事項あるいは重点事項を中心にご説明をさ せていただきます。  まず、精神障害者社会復帰施設の整備と社会復帰関係の事業の充実でございます。 1 に2ページにかけまして表がございますが、障害者プラン、11年度がちょうど中間年に なりまして折り返し残り3年となりました。障害者プランに基づく社会復帰施設の整備 のための経費が12年度におきましても組まれております。 この欄の一番上、生活訓練施設に例をとりましてご説明をさせていただきます。生活 訓練施設の整備目標は、14年度、 300カ所でございます。これまで 201カ所、11年度の 予算までで累計 201カ所が整備費予算として計上されてまいりました。〈203〉とな っておりますが、プラス2カ所につきましては、11年度の第2次補正予算、昨年12月9 日に成立をいたしましたが、第2次の補正予算で2カ所分がさらに前倒し整備をするべ く予算措置をされたと。それに12年度の整備数が〔31カ所〕と書いてございます。12年 度に31カ所の整備予算を確保していると。累計が合わせて 234カ所となります。 それぞれ順次下に書いてございますメニューが予算上措置をされておりますが、省略 させていただきます。 2ページをごらんをいただきます。2ページの表の下に「 2 精神障害者社会復帰施 設運営費の大幅な内容改善」というのがございます。12年度予算におきまして、社会復 帰施設の運営費の充実を特に図っております。68億 5,600万円から96億、約27億 5,000 万の増額、 140%の増と大幅な伸びを示してございます。社会復帰施設の利用者の高齢 化でありますとか、単身者の増加でありますとか、あるいは障害の重度化でありますと か、そういった施設を取り巻く最近の状況の変化に対応する。それから、社会復帰施設 の安定的な運営を確保する、そういった観点でさまざまな措置を行いました。 まず1つは、直接処遇職員等の増員配置でございます。生活訓練施設及び通・入所授 産施設の指導員、事務員をそれぞれ1名増員をする。それから、地域生活支援センター の施設長を配置する。そういった充実強化が行われております。  さらに、「各種手当等の改善」と書いてございますが、措置費、つまり他の障害にお きましては、既に認められておったものでありますけれども、民間施設給与等改善費、 あるいは業務手当、寒冷地手当といったさまざまな手当が今回新設をされております。 併せて国家公務員に適用されることになりました福祉職俸給表も適用する。  そういったもろもろの改善をいたしまして、先ほど申し上げましたような大幅な内容 改善ということになっております。  それから、新規の 4でございますが、身体障害者施設と精神障害者施設におきます通 所授産施設におきまして、相互利用を行うということが事項的に認められております。 これによりまして、11年度に認められました知的障害者施設の通所授産施設、身体障害 者の通所授産施設、精神障害者、この3障害がそれぞれ相互利用が可能になる。あくま で空き定員を活用した地域的偏在をカバーするといった目的でございますけれども、そ ういった事項要求も認められております。  一番下の2.精神医療費の公費負担、近年の精神医療費の趨勢を分析をいたしまして 所要の額を計上いたしております。  それから、3ページに入らせていただきますが、3番目は精神保健福祉施策の推進で ございます。 1のホームヘルプサービスの試行的事業を11年度に開始をいたしましたが 12年度も引き続き箇所数を増やしまして続けていく。14年度本格施行に備えてホームヘ ルプサービスの試行的事業を全国都道府県で、あるいは指定都市を加えまして実施をし ていくというものでございます。   2が新規でありますが、その試行事業を検討するための本省の検討会経費。   3、14年度から本格的にホームヘルパーを養成する必要があるわけですけれども、そ ういった 1でありますとか 2の事業を集約、連携をとりつつ研修をどのように進めるか 養成をどのように進めるかといったことを検討するための事業も、精神障害者社会復帰 促進センターを活用して行うということにしてございます。   4、これも新規事項でございますが、ご案内のとおり、14年度以降市町村が在宅福祉 サービスの担い手となるわけでございますが、これまでその経験を持っていないという 傾向があるわけでございまして、市町村の担当職員あるいは福祉専門関係者の方に対す る研修事業を創設するということであります。  それから、一番下の方に、 9、10と3障害に共通する経費として、都道府県の事業で ある、障害者の明るい暮らし促進事業でありますとか、市町村障害者社会参加促進事業 3障害を一括して計上している予算が 9、10にございます。  それから、4ページに入らせていただきますけれども、4の 1精神科救急医療システ ム整備事業でございます。平成7年度に予算事業として始めてまいりました精神科救急 医療システムを今回活用いたしまして、法改正により創設されました移送制度をこのシ ステムを使って行うというように考えております。したがいまして、実施箇所数を35カ 所から47カ所に、全都道府県に拡大をいたしまして、さらに必要な補助内容の充実を行 っているというものでございます。後ほど若干繰り返させていただきます。  それから、7には労働省との連携施策といたしまして、就業支援と生活支援を総合的 に行う試行的事業、「障害者就業・生活支援センター」、仮称でございますが、この事 業もさらに2年度目を迎えまして充実をしていくというものでございます。研究の推進 税制の改正等も参考までに掲記させていただいております。  次のページが法改正関係の予算の内容を再掲をいたしてございます。重複を若干いた しますが、ご紹介いたします。  1番目が、「緊急に入院が必要となる精神障害者の移送」としてございますが、先ほ ど申しましたように、箇所数を47カ所に増加をしてございます。これは都道府県と指定 都市の連携による効率的な運営を期待するものでありまして、実施主体数としては47+ 指定都市12ということで、59都道府県・指定都市ということになりますが、47カ所でも って予算上は計上しているものであります。  それから、救急医療システムの整備に関連しまして、補助内容を充実するということ を申しましたけれども、設備整備関係についても、精神科救急情報センター(仮称)、 連絡機能、窓口機能を持つセンターのコンピュータ等の整備。あるいは救急車を現行都 道府県が補助対象になっているわけですけれども、市町村でありますとか、あるいは応 急入院指定病院を受けていただく法人なども対象にする。そういった改善も盛り込んだ ところであります。  その他の精神保健法改正絡みの事項といたしまして、2番目に順次書いておりますが 先ほど言いましたようなホームヘルプサービス関係の事業。  さらにマルの2つ目ですけれども、精神保健福祉センターの機能強化といたしまして 今回機能の必置化が義務づけられたわけですけれども、現在54カ所でございますが、12 年度中に2カ所増加されまして56。未設置指定都市があと5つ残ります。平成14年度の センターの機能の強化に向けまして、引き続き予算の確保に努めていきたいというよう に考えております。  先ほど触れましたように、地域生活支援センターの施設長を増員配置することにいた しておりますし、社会復帰施設の安定した運営の確保にも努めているというところであ ります。  以上が、資料に基づく説明でございますか、資料をお配りしておりませんけれども、 昨年12月9日に成立をいたしました11年度2次補正予算の概要について一言だけご紹介 させてご報告とさせていただきます。  まず障害者プランの推進ということで、社会復帰施設を前倒し整備をするということ で、それぞれ各県の実情、進捗状況なども勘案しながら、28億円余の経費を補正予算に 計上いたしました。  さらに小規模作業所の活動強化のための支援といたしまして、作業環境の改善に資す るような軽微なリフォーム、そういった経費に対しまして、一定の額を補助するために 9億余を計上いたしましたし、精神病院におきます療養環境の改善としまして、任意入 院患者の開放処遇の促進を図ると、この部会でもご議論いただいたところでありますが そういった目的で病棟の出入口を改修するための補助制度を創設をいたしまして、2億 円を計上しております。  こういった療養環境改善の経費につきましては、引き続き12年度の本予算でも制度上 認められるということになっております。  以上、12年度当初予算案の概要と11年度(今年度)の補正予算の概要についてご報告 をさせていただきました。ありがとうございました。 【部会長】  どうもありがとうございました。平成12年度の予算の内容の説明でございますけれど も、おわかりいただけましたと思いますが、時間の関係もございますので、もし、この 点だけはどうしても確かめておきたいというようなご質問などがございましたら、どう ぞご発言願います。 【生田委員】  3ページの新規事業で、 2精神障害者訪問介護(ホームヘルパー)評価検討事業がご ざいますけれども、この体制はどのような体制でなさろうと考えていらっしゃるのか。 あるいは時期としてはいつごろか決まっているのかということと、そして、私どもの希 望としましては、この介護と看護というのは非常に密接な関連がございますので、評価 するに当たっての検討体制を考えていく上に当たりまして、看護職も含めて入れて一緒 に検討させていただければ、大変ありがたいと思います。 【部会長】  いかがでしょうか。 【佐野補佐】  近く国会に提出されます12年度予算案が設立したあかつきに、この経費を執行するこ とになりますが、どういった体制で、いつから検討を開始するのかというのはまだ詳細 決めておりませんが、今年度の 1で書いてございますホームヘルプの試行的事業の成果 をある程度まとめまして、厚生省での検討会を編成し検討を開始するということになろ うかと思います。お申し出の向きは承っておきたいと思います。 【部会長】  よろしいでしょうか。 【生田委員】  ありがとうございました。 【部会長】  ほかにございます。窪田委員どうぞ。 【窪田委員】  4ページの新規 2としてある精神障害者通院医療対策事業として、公費負担制度のあ り方を再検討とあるのですが、これはどんなことをなさるのでしょうか。 【佐野補佐】  きょうのご議論の中でもいろいろ医療費の話がございました。医療費について、高い のか安いのかいろいろご意見があることは承知しておりますが、ここで書いてございま すのは、通院医療費の問題であります。近年、最近の5カ年間の伸び率を見ますと、大 幅な通院医療費の伸びがございます。  一方で、社会復帰あるいは福祉関係の予算を十分に確保していくという要請もござい まして、限られた公費財源を有効に活用するということを改めて検討していかなければ いけない立場にございますので、一方で、こういった通院医療費のあり方について、常 にチェック点検していく必要があるのではないかというものであります。  したがいまして、通院医療費の伸びを抑制する、あるいはもっと通院医療費をかける べきだということをあらかじめ想定しているものではありませんが、いずれにしまして も、そういった観点から、精神科の通院医療費のあり方について検討する必要がある。 それは避けて通れない課題というように考えておりまして、検討会の経費を新規に計上 させていただいたというところであります。 【部会長】  これは検討会費用ということですね。 【佐野補佐】  そうです。 【部会長】  よろしいでしょうか。ほかにございますか。  それでは、次の話題に進ませていただきます。では移送制度につきまして、事務局か らご報告願います。 【重藤補佐】  移送制度に移る前に、伊藤委員から、大雪で飛行機が欠航のため欠席という連絡でご ざいます。伊藤委員より欠席するに当たって、意見というものを資料にしたので配って くれということでございましたので、部会長の了解を得ましたので、配らせていただき たいと思います。                (伊藤委員資料配付) 【部会長】  よろしゅうございますか。伊藤委員からの意見、配り終わりましたね。  ではお願いいたします。 【重藤補佐】  それでは、移送に関するガイドラインの案につきましてご説明申し上げたいと存じま す。資料3でございます。「移送に関するガイドライン」ということで、本部会におき ましても、移送制度について、昨年ご議論いただきまして、そしてご議論を参考にさせ ていただきながら、私どもの方で、その手順につきまして、大方の流れを決めさせてい ただきました。今回、「移送に関するガイドライン(案)」ということで、来年4月1 日に法施行ということでございますので、今後都道府県等準備がございますので、これ をもとに都道府県の方で準備をしていただくということで考え方を示させていただきま した。  今後につきまして、このガイドラインは、これをもとにして3月中にでも通知という 形でお示しをさせていただきたいと思っております。  資料3の説明でございますけれども、まず1ページから4ページまでが、措置入院の ための移送の手続きについて書かせていただいております。5ページから9ページまで が医療保護入院に関する抹消手続きを示させていただいております。それから、10ペー ジにつきましては、その両方に係る問題として、その他の事項というこでお示しさせて いただいております。11ページ以降につきましては、各種様式ということで整理をさせ ていただいております。  それでは、1の措置入院のための移送についてご説明をさせていただきます。資料No 5でございますけれども、流れ図を用意してございます。流れ図の方の2枚目が措置入 院のための移送の流れでございますので、これをご参照いただきたいと思います。  1.移送制度の基本的考え方でございますけれども、今回、法律で、医療保護入院等 のための移送制度が定められましたので、これに伴いまして、従来から行われていた措 置入院のための移送についても法文上明確にしたということでございます。この中で移 送に関して告知を義務づけると、人権に配慮した趣旨というものが盛り込まれてありま すので、この趣旨を踏まえて移送を行うということが必要であるという基本的考え方を 示させていただいております。  2.指定医の診察に係る事前調査ということでございます。  (1)職員の派遣ということで、都道府県知事は、法第23条から第26条までの規定に よる申請、通報又は届出のあった者について、指定医の診察を受けさせる必要性がある と判断した場合、職員を派遣するということにしてございます。  (2)保護者等への連絡ということで、職員を派遣する場合には、保護者等に関して 連絡するというふうにしております。  (3)事前調査の実施でございますけれども、派遣された都道府県職員は、都道府県 職員が、下の 1 2に書いてありました都道府県職員が居宅に行ったとき、あるいは既に 診察の場所に搬送されたとき、いずれの場合においても、指定医の診察が必要性がある かどうかということについて、事前調査を行って状況を把握していただくというふうに しております。その事前調査の結果については主治医等に連絡いただくことにしており ます。  (4)緊急の場合における事前調査の実施ということでございますけれども、いわゆ る法第29条の2に規定する緊急措置入院というような場合についても、できる限り事前 調査を行っていただくというふうにしております。  (5)事前調査票の記載ということでございますけれども、11ページの上半分のとこ ろに、事前調査票というものがございますけれども、その内容、調査については、11 ページの様式1の上半分の調査票に記入いただくというふうにしてございます。  2ページに戻ります。3.移送の実施ということでございます。  (1)移送手続きの開始時期、いつから都道府県知事の責任による移送制度が始まる かということでございますけれども、事前調査の結果、派遣された都道府県職員が、指 定医の診察及び移送が必要であると判断した時点から移送手続きが始まるとしてござい ます。 (2)移送に関する告知ということでございますけれども、都道府県職員は実際に搬 送する前に、書面により、移送の対象者に対して、今から移送しますと、どういう内容 で移送するかというようなことを知らせるとしてというふうにしてございます。  (3)移送の記録でございます。都道府県職員は、移送を行ったときは、次に掲げる 事項について、「移送記録票」に記録するというふうにしております。移送記録票につ きましては、11ページの下半分のところに様式で示させていただいております。この記 録票に都道府県職員は移送の開始から終了までの記録をつけてくれというふうにしてお ります。  (4)移送に用いる車両等の用意ということでございますけれども、次のいずれの場 合ということで、 1 2 3にしております。事前調査から、指定医の診察のための移送、 2人委員の指定医の場所が異なる場合は、指定医の診察の間、それから、指定医の診察 が終わって、措置決定された後、措置入院がされる医療機関までの搬送、いずれの場に おいても、車等を事前に用意して、速やかに移送が行われるようにするとしておりま す。  3ページ、(5)としまして、都道府県職員の同行ということで、都道府県職員は移 送の対象者に同行するとしております。  (6)搬送のための補助者ということで、搬送する場合には、必要に応じて補助者を 同行させることができることとしております。  (7)移送体制の整備ということでございますけれども、都道府県が移送体制を整備 するというふうにしております。ただし、移送の対象者を車両等を用いて搬送する部分 については委託することができることとしております。  (8)移送の手続きの終了ということでございますけれども、移送の手続きは、指定 病院に入院した時点、措置診察の結果、措置入院が不要という時点で終了することとし ております。  ただ、措置入院が不要とされた場合には、対象者が求めがあったときは、原則移送を 開始した場所まで搬送するというふうに規定しております。  (9)他の入院形態による入院のための手続きということでございますけれども、措 置入院のための診察を行った結果、医療保護入院とかその他の入院形態による移送が必 要であると判断された場合には、医療保護入院のための事前調査票及び診察記録票を作 成して、移送の手続きをやってくれというふうにしております。医療保護入院のための 事前調査票と診察記録票はまた後で医療保護入院のところでご説明をいたします。  (10)移送ができなかった場合の取扱いということでございますけれども、入院措置 の決定前に移送の対象者の所在が不明となった場合には手続きは一たん終了というふう にしております。  ただし、入院措置が決定してから移送の対象者の所在が不明となった場合には、当該 入院措置は継続としてございます。  4.指定医の診察ということでございますけれども、(1)指定医の診察の補助者の 派遣ということで、指定医の求めがあったときには、診察に必要な補助者を派遣すると いうふうにしております。  (2)行動の制限を行った場合の記録ということで、行動の制限を行った場合には記 録するというふうにしております。  (3)診察記録票に記録する項目ということで、これは12ページに様式2、措置入院 のための移送に関する診察記録票というもので、ここに行動制限を行った場合等につい ては記載していただくというふうにしております。   5.その他、(1)記録の保管ということで、都道府県知事は移送のための調査票 移送の記録票、診察記録票を5年間保管するというふうにしております。  以上が、措置入院の場合の移送の手順でございます。  それから、5ページでございます。II 医療保護入院及び応急入院のための移送につ いてということでございます。  1.移送制度の基本的考え方についてでございますけれども、基本的考え方は、精神 障害のために患者自身が入院の必要性を理解できず、家族や主治医が説得の努力を尽く しても本人が病院に行くことを同意しないような場合に限り、本人に必要な医療を確保 するために移送する制度として規定おります。  2.移送に係る相談の受付ということでございますけれども、都道府県知事は、移送 に係る相談の受付体制を整備することにします。窓口については周知に努めて、利用し やすい体制にしてもらうということを記載しております。  3.指定医の診察に係る事前調査でございます。  (1)職員の派遣ということで、要するに相談があったときに、移送を行う必要性が あるかどうかを判断して、その結果、職員を必要であれば、職員を現地に派遣するとい うふうにしております。  (2)保護者への連絡ということでございますけれども、あらかじめ保護者等に連絡 する。  (3)事前調査の実施ということでございますけれども、派遣された都道府県は、対 象者の状況等を把握していただくというふうにしております。  (4)事前調査票の記載ということですが、13ページの様式3の半分から上に、都道 府県職員は事前調査票に記載していただくことにしております。  措置入院と違うところは、保護者の同意ということもございますので、措置入院と違 うところが若干項目として増えてございます。  6ページ、4.移送の実施でございます。  (1)移送の手続きの開始時期ということにつきましては、措置入院の場合と同様、 派遣された都道府県職員が、措置診察が必要と判断した時点から始まるというふうにし ております。  (2)移送に関する告知でございますけれども、実際の移送の前に、今から移送する というようなことを告知してもらうことにしております。  (3)移送の記録でございますけれども、13ページの下半分でございます。そこに移 送記録票がございます。措置入院と違うところは、保護者の同意等がございますので、 そうした内容を盛り込んでございます。  (4)移送に用いる車両等の用意ということでございますけれども、移送を行う前に 車両等は用意するというふうにしております。  (5)都道府県職員の同行ということで、これは同行することにしております。  (6)搬送のための補助者ということでございますけれども、搬送のために必要な場 合には補助者をつけることができるというふうにしております。  (7)移送体制の整備ですが、車等で搬送する部分については、委託することができ る。措置入院と同様としてございます。  7ページ、(8)移送の手続きの終了でございますが、移送の手続きは、応急入院指 定病院に入院した時点又は医療保護入院等が不要と判定された時点で終了することとし ております。  (9)移送ができなかった場合の取扱いということですが、移送手続中に、所在が不 明となった場合には、そこで手続きが終了。所在については確かめるよう努力するとい うふうにしております。   5.指定医の診察で、(1)指定医の選定でございますが、派遣された都道府県職 員が、指定医の診察が必要と判断した場合に速やかに指定医の診察を行うための手続き をする。この診察に当たる指定医ですが、診察の結果、入院先になる予定の医療機関と は別の医療機関に所属している指定医とすることを原則としております。  (2)事前調査結果の指定医への報告ですが、事前調査の結果については、診察する 指定医に報告することとしております。  (3)診察への立ち会いということですが、都道府県職員は立ち会う。後見人、保佐 人、親権を行う者、配偶者その他現に本人の保護の任に当たっている者は指定医の診察 に立ち会うことができるというふうにしております。これは措置入院の場合と同様でご ざいます。  (4)指定医の診察の補助ということですが、診察で必要性がある場合には補助者を つけるというふうにしております。  (5)診察記録票への記載ということでございますけれども、診察記録票としては、 14ページに診察記録票をつけております。これは措置入院の場合と違います点は、措置 入院の場合は、既に措置判定票というものがありますけれども、医療保護入院の場合は それがございませんので、医療保護入院のための診察の記録も入れているところが違う ところでございます。  8ページ、(6)行動の制限を行った場合についても、措置入院と同様、診察記録票 に記載していただくことにしております。  (7)居宅への立ち入りということでございますけれども、保護者又は扶養義務者が いる場合には協力を得て、居宅において診察を行うことができるというふうにしており ますが、ただ、保護者がいない場合については、措置入院ということでない以上は、本 人の了解を得ないで居宅で診察することができないというふうにしております。  6.入院でございます。  (1)応急入院指定病院への事前連絡でございますけれども、指定医による診察の結 果、入院させるための医療機関については、あらかじめその状況等を連絡することにし ております。  (2)入院手続きでございます。医療保護入院の場合は、居宅等において、既に指定 医による診察が行われておりますので、搬送先の医療機関において、判定のための診察 は不要だとしております。ただし、居宅等で行われたときの診察記録については手渡す というふうにしております。ただ、入院後、そういう病状にないということになった時 点で退院手続きをとっていただくことにしております。  (3)入院届でございますけれども、従来、入院届というものについては、指定医に よる医療保護入院時の判定の結果を記載する項目がございましたけれども、今回は病院 において、医療保護入院のための診察の判定は行わないために、入院するときに受け取 った居宅等での診察結果がありますので、そこの病院の入院届の医師の診察の記載欄に は、移送による搬送ということで記載してもらって、都道府県で用意している医療保護 入院の判定の記録票とセットで、医療審査会の審査にかけるというふうにしておりま す。  9ページの7.その他でございますが、記録の保管は5年間としております。  10ページ、III その他の事項についてということでございますが、1.入院後に留意 すべき事項ということで、こうした移送制度の入院病院につきましては、従来の患者さ んが受診している医療機関と違う医療機関のことが十分予想されますので、入院前の医 療機関との連携をとってくれということを記載しております。  2.消防法による救急業務との関係ということで、これは現在消防庁と協議中でござ います。  3.警察官への協力要請ということでございますけれども、これも警察庁へ現在協議 中でございます。  4.書面による告知の様式ということでございますけれども、それぞれの移送に関す る告知の様式を15ページに様式としてまとめさせていただいております。  5.関係機関との連絡調整ということでございますけれども、こうした制度はいろい ろな関係者の協力を得ないと進まないということでございますので、精神科救急医療シ ステム連絡調査委員会、そういった関係者の協力関係を築くそうした委員会を活用して こうした移送体制を整えていただくというふうにしております。  6.その他の事項ということで、(1)診察に当たった指定医による医療ということ で、移送の過程で生じた緊急に医療を提供した場合については、診察記録票に記載して いただくというふうにしております。  (2)移送の過程で行った診察の医療費ということでございますけれども、医療保護 入院と応急入院の場合は、原則自己負担としております。  (3)医療を提供した場合の指定医の同行ということで、移送の過程で医療を提供し た場合には、指定医は同行していただくというふうにしております。  以上が、移送制度につきましての、ちょっと早く説明してしまいましたけれども、流 れでございます。 【部会長】  どうもありがとうございました。予定の時間が近づいておりますけれども、多少時間 を延長させていただいて、ご質問、ご意見を受けたいと思いますが、どうぞ簡潔にお願 いいたします。池原委員どうぞ。 【池原委員】  4つほどあるのですけれども、まず第1点は、精神医療における強制的な処遇とか入 院ということと、人権確保ということは表裏一体の関係でペアで考えなければいけない と思いますので、この移送について、精神医療審査会が何らかの形で審査対象にできな いかということを考えるんですね。  それで、厚生省が中心になってつくられている中央法規から出されている紹介があり ますね。あれの中ですと、入院手続きに瑕疵がある場合も精神医療審査会の審査の対象 になるというふうに解釈されているようですので、まず医療保護入院などは、2回の指 定医のチェックをしないで、結局移送の開始で事実上、医療保護入院のスタートが実質 上切られてしまって、手続的に準備段階になっているわけですので、その段階に判断ミ スとか手続上の問題があれば、それを前提として成立した医療保護入院についても、精 神医療審査会の審査対象にできるということを、精神医療審査会マニュアルか、あるい はこちらの方か、どちらかで、つまり手続違反も審査対象になるのだということを明示 できないのか。これは措置入院の移送も含めて、1つお聞きしたい点です。  2点目は、5ページの保護者への連絡という3.の(2)ですけれども、これはどの 段階でするかということがありますけれども、実は7ページの(3)で、診察への立会 人ということで、後見人、保佐人、親権を行う者、配偶者その他現に本人の保護の任に 当たっている者は指定医の診察に立ち会うことができるということになっていますので 立ち会いをすることができる人には少なくても通知をしないと、結局実際上立ち会えな いということになってしまいますので、「保護者等」という表現でそれを含めていらっ しゃるのかなという気はしますが、その辺を少しはっきりさせた方がいいのではないか と思います。 それから、同じく7ページのところそのままですけれども、(8)の移 送の手続きの終了時点で、「医療保護入院等が不要と判定された時点で終了する」とい う記述があります。ただ、後の方で読むと、医療保護入院のための移送の場合には、指 定医の判定をその後、病院に行ってからしないという前提になっているわけですよね。 そうするとここの文言はどういうふうに読んだらいいのか、病院へ連れて行って、一た ん医療保護入院になったけれども、その後、医療保護入院の要件がなくなったよという ことで、ほぼ即日退院になっちゃうというときは、結局その段階まで移送が続いている ということになるのか、病院の入口へ入って、保護者の同意があれば、医療保護入院は そこで始まっちゃうわけですから、医療保護入院等が不要と判定されるという時点が何 を意味しているのか、ちょっとよくわからないんですね。  それから、あと8ページで、居宅への立ち入りの問題ですけれども、これは非常に微 妙で難しい問題で、特に第2段落の保護者が存在しない場合という点の記述ですけれど も、治療中断ケースの場合には保護者が要ると思うんですね。ただ、初診で、初発の場 合で、どうしても医療に結びつけたいけれども、つまり、そもそもまだ精神障害である ということも正式に医療の手で判断されてないというような段階の場合は当然保護者が いないわけですけれども、ほぼ明白に精神障害であろうと思っていても保護者が選任さ れてない。あるいはとても選任する手続きの時間的余裕がないということになると、そ のようなケースでは、これは全く機能しないということに。  つまり初診ケース・初発ケースではこれは使えないという前提にほぼなりそうなよう に思いますが、その辺はどうお考えなのかということと、それから、もう少し本質的に 考えると、ここは恐らく居宅へ立ち入るというのは、受診拒否権ということを問題にし ているよりは、どっちかというと、家の中というのは非常にプライバシーがある部分で すから、勝手に入るのは問題だろうという配慮でこれがなされているのだと思うんです けれども、そうだとすると、むしろ保護者が存在しない場合というよりも、保護者又は 同居の親族が存在しない場合とか、同居の親族がいれば、同居の親族が同意をすれば、 一応家の中へは入って診察ができる。だけど、同居の親族がいなくて、全くの単身であ る場合には、結局本人がその家のあるじなわけですから、あるじの許可なしに入るのは おかしいだろう、そういう趣旨にお考えいただいた方がいいのかなというふうに個人的 には思います。  それから、もう少しこの辺の要件を若干マイルドにするという意味だと、本人の了解 を得ないでという表現よりは、本人が拒否しているときは居宅に入っていくことはでき ないと。だけど、本人が拒否してなければ、居宅に入れるという程度の方がバランスと してはいいのかなという感じもしますが、その4点です。 【重藤補佐】  時間の関係で簡潔にご説明したいと思いますけれども、審査会の対象ということでご ざいますけれども、医療保護入院の入院手続きについては審査会の対象となります。移 送の制度の場合は居宅においてやるわけですから、当然事前調査とか調査票とか診察記 録票とか移送の記録票が、それぞれ保護者の同意を得ているかとかいろいろなところに かかわってきますので、そうした入院の判定ということで審査することはできる。  ただ、移送だけでもって、そのときの問題があって、医療保護入院そのものが覆るか ということはないと思います。ただ、移送制度について、もし不服があれば、行政不服 の申立てのところで別にしてもらうというふうに考えております。  それから、保護者への連絡ということでございますけれども、これは診察に行く前に 連絡してもらうということ。「等」の中には、保護者がいない場合には、扶養義務者と か、警察で保護された場合には警察署とか、そうしたものを考えてございますので、保 護者だけを規定したものではない。 【池原委員】  できれば、立会人として列挙されている以上は、立ち会えるチャンスがなければいけ ないので、通知と立ち会いというのは表裏一体にお考えになった方がいいのではないか という気はしますけれども。 【重藤補佐】  承っておきます。  それから、不要になったときはどういうケースかということで、この不要というのは 居宅において診察を行って、診察の結果、本人が入院するよということであれば、任意 入院でございますので、診察の結果、医療保護入院の手続きはそこで終わって、入院し たいということであれば任意入院ということになりますので、そうした居宅での不要に なった場合ということでございます。  それから、4番目の本人が拒否できなければいいのではないかということでございま すが、これは一応居宅での診察ということでかなり厳密に考えさせていただいていると いうことでございます。 【部会長】  よろしいでしょうか、池原委員。 【池原委員】  そうすると、例えば、保護者の選任は受けていないけれども、つまり同居の親とか兄 弟がいるという場合はどういうふうなイメージで考えていらっしゃるのですか。 【重藤補佐】  ここには保護者ということだけを規定しておりますけれども、ここの書きぶりについ ては、また検討させていただきたいと思います。ただ、原則そうした保護者がいる場合 というふうに考えております。 【部会長】  それではもう少し検討をお願いしたいと思います。どうぞ、吉澤委員。 【吉澤委員】  大きく3点ありますが、まず1つは、今、池原委員から出ました不服申立ての関係な んですけれども、これは入院をするケースと入院をしないで終わるケース両方がござい ます。法律に移送ということで一応定める以上、不服の申立てができることをまず明記 して、しかもどこへできるかということを明記する。  さらに本人以外に、これは最近のケースでいろんな親族間のトラブルとか近隣関係の トラブルで移送の通報が行くケースがないとは言えませんので、家族とか本人以外の第 三者、家族だと思いますが、申立権者として入れるべきではないかと思います。告知を しただけでは人権の確保ということにはならないので、これは必ず入れる必要があると 思います。  それから、2番目に、今回の移送の規定ですと、医師の診断ではなくて、職員の判断 で移送が開始される形になります。1ページの2.の(1)の職員の派遣、この当該職 員というのは何を指すのかを事前にお聞きしたところ、精神保健福祉センター、保健所 本庁の担当者といったものを想定しているというふうな回答がございましたけれども、 こういった人の判断で移送が開始された場合に、その移送行為自体は刑法で定めている 第 195条なんですけれども、これに特別公務員暴行慮虐罪という7年以下の懲役又は禁 固という結構重い犯罪があるのですけれども、それの第2項、「法令により拘禁された 者を看守し、又は護送する者が、その拘禁された者に対して暴行又は慮虐若しくは加虐 の行為をしたときも前項と同様とする」。前項というのは、これは警察官がその職務を 行うに当たって、暴行とか慮虐の行為をしたというケースなんですけれども、これにこ の県の職員は該当するという解釈が出てくるのではないかと思います。この点について は、後ほどお答えいただきますけれども、私はこれに該当するというふうに理解できま す。  とすれば、この職務に当たる県の職員というのは大変重い責任を負うことになる。と いうのは、行動制限があらかじめ予定されていますから、特にもし入院が認められなか った場合には、その行動制限が自体が暴行に当たってしまうということはあるでしょう し、いろんな面で、ご本人が暴れたりしてということで自傷行為なのか、静止のための 行為なのかわからないような状態でのけがその他が起きる可能性があるかと思います。  としますと、実際にそういう職務を行う職員の方の人権というのか、いろんな保護の 意味でもやはり職員の意見で移送の開始というのは極めて問題が大きいのではないか と。前回、私は患者さんの人権の面から申しましたし、正しい手続きが保障されなけれ ばならないということは絶対の原則だということは申しましたけれども、という意味で はやっぱりこれは、一番最初、移送の必要性については、指定医の判断というのが絶対 的な条件ではないかというふうに考えるんです。その点についてはどの程度検討されて いるかわかりませんが、職員の実際の枠もはっきりしてませんし、極めて後へ問題を残 すと。  いたずらにそういうことを言っているわけではなくて、私自身が措置入院のケースで 警察官に対して、 195条の特別公務員暴行慮虐の告訴をしてくれというふうな相談とい いますか、これは人権救済の申立てなんですけれども、そういうものに接した経験もあ りますし、今後必ず出てくる問題ですから安易にはできないと思います。 その関係で、保護者の問題が出てくるのですけれども、この保護者についても規定が 全くございません。それで、すいません、これ、全員に配るほどではないので、5〜6 部ありますから、回していただきたいんですけれども。                (吉澤委員資料回覧) 【吉澤委員】  既に業者がこの法律ができたら、うちはどこそこの○○市の指定だから、ぜひうちへ というようなチラシといいますか、そういうものを出したり、インターネットで流した りしているんですね。そうしますと単に厚生省の側でどう考えているということだけで はなくて、今度できる法文を読む人の判断の正確さを担保する意味でも、補助者という あいまいな形はやめて、どういう人間というふうに限定をする必要があると思います。 例えば、車の運転手は民間に委託してもいいかもしれないけれども、それ以外はだめと か、明確な形が必要になるかと思います。  それから、あと、こういう移送のケースでよく問題になるので、女性の患者さんの移 送の問題が出ますか、これは明文で、女性の場合には同性の補助者なり調査員なり、そ ういうものを必ず1名つけるということは入れる必要があるのではないかと思います。  今の点からいけば、民間への委託の禁止というのを、むしろ何らかの形で、この範囲 はいいが、この範囲はだめということを明文で出された方がいいのではないかと思いま す。大きくはそういうことなんですけれども、それに基づいて……。 【部会長】  すいません、時間の関係もございますので、簡潔に。 【吉澤委員】  はい。具体的な要望は後から出します。 【部会長】  大体要旨は言われたのならば、この段階で答えていただきます。よろしいですか。 【吉澤委員】  そうですか。用語の中でも、そうすると、今のに合わせると、ここはこう直さないと だめだというのがかなりあります。 【部会長】  では後ほど事務局の方にお出しいただければ。 【吉澤委員】  わかりました。基本的にはそういうことです。 【部会長】  どうもありがとうございました。では事務局、よろしいですか。 【重藤補佐】  最初の不服申立ての記載でございますけれども、不服申立てについては広く行政処分 に対して認められている制度ですので、文章としてこうした中に入れるかどうかという のはまたあれかと思いますが、ただ、必要であれば、告知の様式の中に入れたりという ことについては検討してみたいと思っております。  それから、行動の制限、移送するときには、都道府県職員が指定医の診察まで移送す るということですけれども、これにつきましては、自傷他害のおそれがあるかなり症状 的には甚だしい場合で、本人の保護を図られなければいけないという緊急的な事態でご ざいますし、それから指定医がしない限りは行動の制限はできませんので、その範囲の 移送を行うということでございますので、私は刑法上問題ないというふうに考えていま す。 【吉澤委員】  よろしいでしょうか。 【部会長】  簡単にお願いします。 【吉澤委員】  厚生省で、ただいま意見を言われた方が問題がないということではなくて、その点に ついて、まず検討はされましたか。 195条の2項に該当するかしないかの検討はまずさ れましたか。 【重藤補佐】  何条で刑法のそのあれに当たるということではなくて……。 【吉澤委員】  いや、したか、しないかです。 【重藤補佐】  刑法上問題がないかということについて……。 【吉澤委員】  違います。具体的な条文で申し上げております。 【重藤補佐】  具体的な条文ではそこに触れるとか触れないということではやっておりません。 【部会長】  町野先生、法律的なお考えで、何かご助言いただけますでしょうか。 【町野委員】  今の点、私も全然気がつきませんでしたけれども、検討の必要は私はあるだろうとは 思います。それで、あと、行動の制限の問題との関係も含めた上で、さらにもう一度考 える必要があるかと思います。 【三觜課長】  一般的に、今、想定されているケースは、私ども今回の、今、措置診察のための移送 の議論だと思うんですけれども。 【吉澤委員】  いえ、違います。全部です。 【三觜課長】  全部。 【吉澤委員】  こちらで申し上げているのは、移送の開始に当たって、職員が判断して移送を開始し た。そこから後の時点です。法文上は、移送の開始は職員が判断しますね。 【重藤補佐】  都道府県知事。 【吉澤委員】  それ、さっき職員というふうに読まれたんですけれども、実際の判断は職員ですよ ね。 【三觜課長】  私の理解は、一般の移送は都道府県の職員は移送は判断しません。指定医の診察を受 けた後、指定医が、これは入院させなければならないと判断したので移送しなさいと、 指定医でございまして、今、問題とされているのは、多分措置診察のために、指定医の ところに運ぶ場合があるのではないかというケースですね。 【吉澤委員】  その点で、まず委員の方々もみんなこれをざっと読んだだけではわかりにくいので、 指定医の診察前に移送するケースがこの中であるのかないのか。ある場合は措置入院、 医療保護入院、応急入院のどの場合か、それをまずきちんと明らかにされた方がよろし いと思います。 【部会長】  私は今の課長の説明でよろしいかと思いますけれども、診察のための移送というのが 今一番問題になるのではないでしょうか。 【吉澤委員】  措置入院の場合ですね。 【部会長】  そうです、措置入院。よろしゅうございますね、それで。どうぞ、課長続けてくださ い。 【三觜課長】  そういう共通認識で議論は続いてきたとずっと理解していて、今、ご指摘の点は、措 置診察のために都道府県職員の、これも精神保健福祉法に基づく吏員でありますけれど も、ただ、単なる県庁職員ではございません。一応発令された職種が当たるわけですけ れども、そういう強制的に指定医のところまでに措置診察のため、本人の物理的抵抗を 無視してまで診察をさせることは想定しておりません。 【部会長】  よろしいでしょうか。 【吉澤委員】  想定の問題ではなくて、起こり得るかどうかで、それで先ほど警察官が移送する場合 に、現にそういう告訴をしたいというケース、複数ございます。あったということを申 し上げております。 【部会長】  それはもう一度検討していただくということでよろしゅうございますね。ほかにござ いますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、この件につきましては、3月に通知として出されるそうでございますので その際には、きょうの意見も参考にしておまとめいただきたいと思います。そして、こ の部会の方への報告もよろしくお願いいたします。  それでは、この辺で部会を閉じさせていただきたいと思います。次回は1月17日(月 曜日)16時から開催する予定でございますので、どうぞ、ご出席のほどよろしくお願い いたします。どうもありがとうございました。                                       (了) 照会先 大臣官房障害保健福祉部 精神保健福祉課医療第一係 高橋(内3059)