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第2回厚生年金基金の資産運用に係る受託者責任ガイドライン研究会(議事要旨)

1 日 時平成8年10月2日  午後1時30分〜3時45分
2 場 所社会保険審査会審理室
3 参加委員 ・神田座長 ・伊勢谷委員 ・小林(昭)委員 ・小林(廉)委員
・鈴木委員 ・角田委員 ・青木委員 ・遠藤委員 ・宗委員
・柿沼委員 ・土浪委員 ・渡辺委員 ・霜鳥委員
4 主な発言
○鈴木委員より報告。
○続いて小林(廉)委員より報告。
○基金全体のアセットミックスについては唯一基金そのものが責任を持ち、その中で、ある部分について特定の受託機関に配分するという考え方なのか。
○ALMで示された基本アセットミックスはひとつの目標として掲げ、受託機関の希望・実績等を勘案しながら運用ガイドラインを設定している。
○監査等で行政が指導することが大切だと言っているが、行政が受託者責任の問題を取り上げ、そのガイドラインを作成し、受託者責任を明確化していくことは、基金の理事が責任を問われることになっていくことなので、行政からは離れていくのではないかと感じている。
○運用基本方針に受託機関の受託者責任についての記述があるが、これは基金が一方的に宣言したものであり、法的効果は生じない。運用基本方針との整合性を持たせるためには、契約の中に法的効果が生まれるような記述を行うべきではないか。基金の理事としてそのような契約を結ばずに運用を任せるのかという問題になるのではっきりさせるべきではないか。
○情報開示については、基金制度は非常に複雑なので、将来積み立てられる現在の未積み立ての部分等の財政問題については、実際には単に不安だけを与えることになるかもしれない。逆に、運用面についてははっきりと示せるのではないかと感じた。
○事業主の責任はどう明確化していくのか。従来、厚年法等では基金の役員の責任が問われている。特に単独型基金の場合、事業主が影響力を持っているというのが現状であると思うが、社長が一方的にシェア配分に口を出した場合、基金の理事長には責任が生じるのか。
アメリカ等に習って、実質的に影響力・権力を持つ人間に対するの法令の規定が必要ではないか。
○基金の代表は理事長であり社長ではないが、実態としては、単独・連合型にはそういう事例がある。受託者の範囲がこの問題を解決するポイントになると思う。日本では別法人であるが理事等を企業の専務等が兼務している例が多く、基金とはいっても会社という取引関係の中にあり、そういった状況の中で運用の効率化を図らねばならない。以前は会社の考え方がかなり反映された基金経営であったが、最近は基金の考え方を尊重した経営に変わりつつある。規制撤廃がなされればもっと変わるのではないか。
○この研究会で、基金の役員ではないが実際に影響力を持つ人を受託者の範囲に含めるかについて整理をする、あるいは最終的に法的な位置付けをどうするかについて議論したい。
○単独・連合型基金の場合、会社の財務政策として運用機関を選定するということが多くの基金でみられる。社長の意見を外部の学識経験者の意見として取り入れるのであればできるが、基金の意見と反する場合、これを法で規制するのかどうか。外部的な情報開示を進めていけば少しは良くなるのではないか。会社の財務政策で決まる現状においては、何らかの規定を設けなければ理事の受託者責任について問題が残る。
○基金は組織的には企業とは別法人であるので、基金の受託者責任の問題で経営まで取り込んで規制をかけるのは困難である。実際に基金の専決事項についても、経営側に状況の説明を行い理解を得ながらやっていかなければならないが、それを受託者責任というところに取り込んでいくのはかなり問題があるのではないかと思う。
○アメリカの受託者責任については詳しく調べてみるが、社長が直接入っている例は少なかったと思う。基金の責任や独立性を明確化し、事業主サイドの利益になるような決定ができないという力関係にしてあげることが必要であって、いたずらに社長に責任を求めるよりは、基金の理事の責任を明確化することで、それをてこにして自由で公正な決定ができるようにしていくことがカギではないか。
○基金における資産運用の意思決定の機構をこの場においてはっきりさせておいたほうが良い。理事会や代議員会において運用問題をきちっと議論するということは難しいと思う。運用問題のどの部分をどこに諮るのか分ける必要がある。役割分担もする必要がある。
○資産運用委員会は運用方法を広く合理的に検討をしたかということが重要であり、それに基づいて出た案を理事会に建議することが役割であり、その際に責任が問われるのではないか。理事会が事実上の決定機関であり、何に基づいて決定したかということについて責任を負う必要があるのではないか。選択する立場の人間として、送られてきた情報に基づいて合理的判断で決定を行うことが基準ではないか。代議員会については、その決定のポイントを報告していくという位置付けにとどまるのではないか。その在り方について曖昧になっているところがあるので、この場ではっきりさせていく必要があるのではないか 。
○情報開示については、何を開示するかが重要である。開示の相手としては、受益者と当局とがある。前者に対しては自分たちの受益権が健全に保全されているかどうか、準備金の積立状況はどうかなどを開示すべきである。当局に対しては、運用規制の自由化によって自らの判断で運用方法の決定が可能となった結果、運用資産がどういった状況にあるのかを報告する必要がある。運用機関の選択・シェア配分については基金が自由に選択する事項だと思うが、公正な基準で選択されているかどうかはチェックする必要があると思う。これは基金の担当者の立場を守るために必要である。受託機関をどのように管理しているのか。
○総幹事が全ての受託機関について取りまとめて報告書を作成し、基金に報告している。基金においては5:3:3:2規制の枠におさまっているかのチェック等を行っている。
カストディと総幹事の役割については、仮に資産が保全されていないという場合に総幹事が責任を持つとか1社を以て総幹事とするというようなガイドラインはあるのか。あるいは、事実上形成されてきた慣行のようなものがあるのか。
○共同受託の場合は総幹事が報告してくるという形になっている。
○共同受託は信託の部分だけで生保の部分は入らない。一度生命保険会社に考えを聞いてみたほうが良い。善管注意義務が課せられていないとは考えてないだろう。法的に保険契約であるとはいっても現実には運用契約であるし、その辺の方向感があるのかについて聞いてみたほうが良い。
○信託についても、共同受託といっても実体は別々であるという形式と実体のずれがあり、また、善管注意義務が法律に定められているのに契約にもう一度書いているというようなこともある。信託との間にぎくしゃくとした関係があると基金にとっても日本にとっても有益ではないので話を聞いてみたほうが良い。
○共同受託について、総幹事とカストディは別である。総幹事であっても他の受託の分についてはわからないし、責任はない。
○運用と管理の分離については、信託、生保から意見を聞きたい。
○基金においては、給付は給付、運用は運用で一本化していくような機能分化を望んでいる。
○事業主の利益と基金の利益との関係については、去年2月の日米金融協議において日本政府の約束として、会社・株主の利益を図るのではなく基金の利益を図るということが明文化されている。現在のように比較的基金の資産運用の手段が限られている場合は問題ないが、自由化すればするほどアメリカのように難しい問題が出てくる。そのような場合には、プロセスをしっかりとし、情報開示をできる状態にしておくことが重要である。
また、そのような場合にアメリカの判断でいわれているように、中立的な第三者(外部の専門家)の助言をいかに活用していくかがかなり重要になってくる。その辺の条件を整備せずに資産運用や財政について理事を責めるのはおかしいのではないか。
  問い合わせ先 厚生省年金局運用指導課
     担 当 伊藤(内3348)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3501-3450

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