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                     第2回社会保障関係審議会会長会議
                              議 事 要 旨

1.日時及び場所
 (1) 平成8年6月25日(火)15:30〜17:30
 (2) 厚生省特別第1会議室(7階)

2.出席者
      宮澤 健一 社会保障制度審議会会長        浅田 敏雄 医療審議会会長
      木村 尚三郎 中央社会福祉審議会委員長    鳥居 泰彦 老人保健福祉審議会会長
      江草 安彦 中央児童福祉審議会会長        塩野谷 祐一 医療保険審議会会長
      京極 純一 年金審議会会長

 (欠席者 金森 久雄 中央社会保険医療協議会会長)

3.議題
 (1) 日経連、連合からヒアリング
    日本経営者団体連盟   福岡 道生 専務理事
    日本労働組合総連合会  村上 忠行 総合政策局長
 (2) 財政制度審議会からヒアリング
    財政構造改革特別部会  長岡  實 部会長代理
                本間 正明 第二分会主査
                今井  敬 第二分会副主査

4.議論の概要
  はじめに、多田事務次官から、前回の会議以降の介護保険をめぐる動きについて簡
 単に報告があった。

  続いて、日経連、連合からのヒアリングが行われ、福岡専務理事(日経連)、村上
 総合政策局長(連合)から説明があった。その概要は次のとおり。

【日経連】
○ 社会保障はこれまで高い成長率に支えられてきたが、今後は、長期にわたる低成長
 を前提としても耐えられる、また、65歳以上人口が4分の1を占める社会でも耐え
 られる社会保障制度とすべき。
○ 適正な自己負担をとることは、受給者の自立心の育成、コスト意識の喚起、経済合
 理性の確保という観点でメリットがある。
○ 社会保障の財源としては、税方式と社会保険方式があるが、社会保険方式の場合で
 も適切な公費の導入は必要。
○ 国民負担率については、急激な高齢化のため現状より上昇することは避けられない
 が、あまり大きくなると経済の活力を失う。土光臨調以来の「50%を超えない、4
 0%台半ばにどとめる」という考えは極めて重要。
○ 現在の国民負担率は、世界で一番高い部類ではないが、先進国の中でも、企業の公
 的負担率は13.8%とフランスに次いで高く、また、法人企業の公的負担が税引後
 利益の何倍になっているかという公的負担倍率は2.28倍でドイツに次いで高く、
 現在でも大きな問題。潜在失業者を加えると、実質的な企業の負担はさらに大きい。
 このままでは競争力が低下し、やむを得ず海外へ転出することとなる。これ以上の企
 業負担を増やすことは物理的に不可能。
○  高齢者介護問題の重大性については、数年前から問題提起をし、中高年齢以上のす
 べての国民が被保険者となる原則市町村を保険者とする地域保険方式での国民保険創
 設を主張してきた。
○ 今回の介護保険制度については、定率の利用者負担の導入、医療と介護の切り離し
 等のメリットはあるが、国民保険という観点から事業主負担の法定化には反対。また
 、サービスの効率化という観点から、施設サービスについても民活の方法を示すべき
 。さらに、介護保険制度創設により、医療費がどの程度節減できるか示すべき。
○  医療保険改革の筋道を示すことなく、介護保険制度を創設しようとしても国民の納
 得は得られない。介護は、老人保健、医療保険の改革と一緒にすべき。
○ 各医療保険の財政は、赤字基調であり、破綻寸前。12月までに思い切った改革案
 を提示して欲しい。日経連としても検討中であり、以下私見を述べる。
・  国民医療費の伸びを国民所得の範囲内に抑えるべく医療費適正化対策を実施してき
 たが、実際はそれ以上に伸びようとしている。高齢化のピークにおいても、老人の人
 口に占める割合は倍にしかならないのに、絶対額が10倍となる推計があるが、何が
 伸びているのか医療費の内訳を品目別に国民に開示すべき。
・  老人医療については、社会的入院の是正、医療と介護の分離、相応の定率負担制の
 導入等をすべき。また、老人医療費拠出金制度は不合理。
・ 日本では、医療費のうちの薬剤比率が他国に比べ高い。医療機関や患者の意識改革
 を進めるとともに、薬剤依存体質の是正や薬害の防止も含め、薬価差益の問題にメス
 を入れることが必要。また、薬剤を保険給付から外したり、薬剤の給付率を下げるこ
 とも検討することが必要。さらに医薬品や医療の分野での内外価格差がどうなってい
 るか、徹底的に調査し、国民に開示すべき。
・ 患者負担のあり方については、軽度な診療を保険給付から外すことや、給付率の大
 幅引き下げも検討すべき。また、高額療養費制度の存在を前提にすると、給付率は7
 〜8割が妥当。老人医療費についても定率負担とし、給付率を8割程度にすべき。受
 益に応じた定率の相応の負担とすべき。
・ 診療報酬制度については、一部包括化を進めているが、問題は解決していない。イ
 ギリスのような請負制の導入についても検討すべき。
・ 医療保険改革は非常に重要な問題。医療保険に関する問題点が分かるように、きち
 んとデータを開示すべき。
○ 公的年金については、高齢世代と現役世代とのバランスを考えるべき。勤労現役世
 代の立場を十分考えた制度設計とすべきであり、今後とも現役時代の可処分所得の8
 割程度の水準とするのかどうか。若年者がついてきてくれるかは問題。
○ 失業給付と年金の併給調整を導入したように、介護と年金など、縦割り行政から生
 じる無駄がいろいろあるが、調整すべき。

【連合】
○ 高齢化時代を迎えて新しい高齢者介護システムを考える際には、縦割りでなく、ト
 ータルで考えた新しい社会保障プランの創設が重要。
○ 本年度も連合として「政策・制度要求と提言」をまとめた。連合のめざす社会は、1.
  高度福祉社会の選択、2.分権型・分散型社会の建設、3.透明で公正な社会の実現の3
  本柱。
   「これから迎えようとしている21世紀は、完全雇用を前提とし、勤労者の生きがい
  、働きがいのある社会でなければならない。そして、国民のだれもが健やかな老後生
  活が保障され、安心して子どもを産み育てられ、生涯にわたって人間の尊厳が認めら
  れる社会でなければならない。われわれはこのような社会を「高度福祉社会」と名づ
  け、その実現をめざす。」が高度福祉社会に対する基本的スタンス。
○ 就業構造が変化し、労働者のパート化、派遣化が進み、社会保障と無縁の人の比率
 が増加し社会保障の空洞化が進んでおり、この問題にどう対処するかが問題。
○ 財政の議論として、公共事業と社会保障が同列で議論されていることは問題。社会
 保障は人間の尊厳をカバーするものである。連合は社会保障は大切であるという立場
 であり、微動だにしない新しい社会保障プランを築いていくことが必要。厚生省には
 国の責任として、「こうする」というものを打ち出して欲しい。
○ 国民負担率については、50%を超えないということが連合にとってのこれまでの
 一つの不文律。しかし、それだけでいいのか、別の見方も必要ではないか等の意見も
 あり、今後連合としても議論していく。
○ 社会保障制度を考える際、所得捕捉率という税制上の不公平の問題や、資産を持っ
 た人との公平性の問題等もあり、サラリーマンとその他の者の公平性を考えるべき。
○ 今まで積み上げた金融資産を世界経済の発展にも寄与しながら、どう運用するかと
 いう視点が、高齢化社会のあり方を考えていく上で重要。
○ 社会保障の周辺の行政改革、行政効率化という問題に、大胆にメスを入れることが
 必要。行政が相当肥大化しており、この点を考え直さないと国民の納得は得られない
 。
○ 企業による社会保障の負担の問題については、統計のとり方の問題もある。アメリ
 カは私的な負担が大きく、それを合わせると、日本は決して大きな負担ではない。

続いて、意見交換が行われた。その概要は以下のとおり。

○ 介護保険制度の事業主負担について、日経連は事業主負担が必須ということは分か
 らないということだが、連合の考えはどうか。
・ 当然負担すべきということ。
○ 現在児童福祉法の見直しを検討しているところであり、少子化時代についての考え
 を聞かせて欲しい。
・ 児童や障害者の対策については、メニュー的にはいろいろあるが、縦割り行政の弊
 害もあり十分なものとなってはいない。特に少子化については、日本の将来をどうす
 るかという問題でもあり思い切った手を打つべき。その際、一人一人の個性を重視し
 た制度にすべき。
・ 子どもを産むか産まないか等については、個人の権利の問題もあるため、個人の自
 由を守る一方、どう動機づけするかがポイント。今までのように、ただ児童館を建て
 ていればいいというわけではない。働いている女性の考えを聞きながら、具体策を検
 討していくことが必要。まず、市民社会における家族像がどうあるべきか考えるべき
 。
○ 国民負担率について、日経連は、50%や45%と目標数値を設定し、負担を高め
 るなどして帳尻を合わせるということだが、連合は、50%を超えないということは
 不文律であり、その一方社会保障制度を微動だにしないものにすべきと言われた。ど
 うつじつまを合わせるつもりなのか。
・  今はまだつじつまは合わないと思うが、それをどうするかは、社会保障制度の効率
 化と社会保障の水準の問題。50%とは文章には書いていないが、それを念頭に議論
 してきたということ。この点については議論の最中だが、相当大変な議論。

 日経連及び連合の委員は退席され、続いて、財政制度審議会委員からのヒアリングが
行われ、長岡部会長代理、本間第二分会主査、今井第二分会副主査から説明があった。
その概要は以下のとおり。

【長岡部会長代理】
○ 財政審として、厚生省関係の審議会とは、まず橋本総理のもとで、制度審と一緒に
 、また、別の機会に、制度審、老健審、医保審と一緒に、意見交換を行い、これまで
 も連携に努めてきたところ。今後も連携を強めていきたい。
○ 平成8年度予算において、赤字公債の発行を含め公債発行額は21兆円であり、日
 本の財政事情は大変な状態になっている。その点を理解して欲しい。
○ 活力ある21世紀の社会を作っていくためには、規制緩和と財政の健全化への取り
 組みが必要。
○ 平成8年度には、国債費が16.4兆円、21.8%、地方交付税交付金が約18
 %となっており、一般会計予算の中に占めるその他の一般歳出の割合が圧縮され、財
 政の硬直化が進んでいる。また、昭和49年度と比較すると、国債費と社会保障が伸
 びている。
○ 欧米諸国では、財政健全化に向けての懸命な努力がなされているが、日本は、今年
 6月に公表されたOECD/エコノミック・アウトルックで、「財政赤字と公的債務
 残高のレベルは維持不可能なほどに高く、財政赤字削減をすぐに始めるべき。」と指
 摘されている。
○ 公債を発行して景気を刺激すると自然増収があるという意見があるが、昨年の経済
 計画では、2000年度までで、規制緩和等を相当進めても名目成長率3.5%、今
 のままだと1.75%と予測している。日本の経済の体質が成熟化してきており、政
 策さえうまくやれば高度成長が望めるという時代ではないということを認識すべき。

【本間第二分会主査】
○ 日本の財政は全般的に急激に悪化している。財政の中での社会保障のウェイトがか
 なり大きいため、構造改革の中では社会保障が一つの重要なテーマ。
○ これまでの社会保障制度は、1.高い経済成長、2.ヒエラルキー的なピラミッド型の
  人口構成、3.低所得者層への救貧的発想からスタートしたという経緯、という3つを
  前提としている。しかし、実態は、1.急速な成長率の低下により歳入の伸びが限定的
  になり、2.急速な高齢化の進展に伴う、受益者の増加、負担者の相対的な減少により
  、受益と負担の構図が大きく変化し、3.医療、年金、福祉の対象となる高齢者が、所
  得や資産の状態からみると必ずしも弱者ではなく、高所得者も年金受給者であるよう
  に社会保障制度が国民一般の制度になっており、このことが歳入減少、歳出上昇とい
  うように社会保障財政体質の悪化の原因となっている。
○ 国民負担率について、国債依存度を加えると、潜在的な国民負担率は、44%を超
 えている。国民負担率が歯止めと考えられている現状において、そのレベルや中身に
 ついて考えていくことは非常に大事。社会保障制度の中身は、租税負担、保険料及び
 自己負担。問題は、これらの需要と供給に対する効果や、負担構造の所得、資産の保
 有状況といった観点からの公平性の問題。今の制度を前提とすると、自分の推計では
 、55%程度にはならざるを得ず、この点の制度改正は不可避。国民負担率が上昇し
 ても構わないという議論もあるが、あまりに高い公的負担は、人々の活力に影響を与
 え、モラルハザードの誘因にもなる。資源配分の効率性、モラルハザードの発生回避
 、負担構造において公平な社会保障制度のあり方を検討し、財政負担との関連におけ
 る社会保障制度の設計を考えるべき。
○ 最近国民医療費は年6%伸びているが、医療費の動向如何によっては、社会保障制
 度全体に影響を及ぼしかねない。医療には、コストが見えない中での需要増大効果、
 情報の非対照性による過大供給効果がある。規模の経済という形で患者の多少にかか
 わらず、過大な資本設備がかかっていること、点数制度による価格設定が医療費に対
 して過大な効果を及ぼす等資源配分の面で過大になる傾向がある。国民経済と整合性
 のとれた医療保険制度の確立、医療、年金、福祉の各制度間での整合性の確保に向け
 、効果的、効率的な社会保障制度への改革を進めることが必要。

【今井第二分会副主査】
○ 企業は大変な大競争時代に入っている。円高で国際競争力が低下し、リストラを行
 っているが、日本の法人税や社会保障負担率は外国に比べ高いため、新しい工場は海
 外へ流出し、雇用が減少し、課税ベースも減少している。これはゆゆしい問題。
○ 企業年金については、年金の給付設計を弾力化すべき。昨日まとめられた検討会の
 報告では、弾力性について触れられており、改革の第一歩として歓迎する。
○ 健康保険は、老人医療費拠出金の負担が大きいため、赤字となり、保険料率を引き
 上げることになる。厚生年金も平成6年の改正で示された将来見通しでは、大きな負
 担になることは明らか。企業にとって、社会保障負担は税金以上に重大な問題。
○ 年金制度では世代間に不公平が生じている。赤字国債の発行と同じで、現在の受給
 水準を維持するため、将来世代に負担を先送りしているだけ。今の高齢者は弱者では
 なく、次回の年金制度改正では、抜本的見直しが必要。
○ 医療保険改革も大きな問題。パンフレット「医療保険制度改革を考える」の内容は理
 解できる。こうした具体的な内容を国民に広く理解してもらい、協力してもらうこと
 が必要。その際の、キーワードは、自立、自助努力、適正な自己負担。
○ 介護保険制度は、社会的入院を減らすという意味で是非必要。老人外来は定率負担
 にすべき。健保の自己負担も2割に引き上げることが必要。また、支払制度における
 定額制の導入により、診療側の薬代を減らすインセンティブが必要。

続いて、意見交換が行われた。その概要は以下のとおり。

○ 財政改革も社会保障の改革も、これを進めるための政策的なきっかけが必要。それ
 が今のところ国民負担率という概念で問題にされているが、国民負担率には、3つ大
 きな問題がある。1.国民負担率は租税と社会保障負担だけだが、こうした公的負担を
  抑えれば個人負担、企業負担は増えるというように、私的負担と代替関係にあるため
  、給付の水準を切り離して公的負担だけ議論することは、情報が不足している。公的
  負担と私的負担を合わせた負担について、国民にわかりやすいメルクマールが必要。
  2.大蔵省の話では、平成8年度の公債負担率が8.8%で、国民負担率と合わせると
  既に46%を超えている。負担の将来への先延ばしである公債を含めて考えないとミ
  スリーディング。3.負担の中身の公平性の問題、不公平な所得捕捉率の問題など負担
  構造に問題があるが、これらの公平性が必要。質問だが、財政審では、国民負担率に
  代わる概念の検討を進めているか。
・ 国民負担率は1つの基準として参考にしており、財政健全化の目標として国民負担
 率のみを指標とするだけでは済まない。現在、欧米諸国では通常の財源で通常の歳出
 を賄える状態に何年で達成できるかという目標をたてている。我が国でも「何年でど
 のような状態に」という単純明快な財政再建目標を立てるべく、現在財政審で詰めて
 いるところ。最近の国際的傾向では、財政赤字の対GDP比を使う。
・ 1.国民負担率は、近似的には公民の資源配分の指標としては有益。自己負担との関
  係については、支出の面で代替性があるかどうかは、統計的な検証がないとはっきり
  しない。2.公債は現代から将来への負担の先送りであり、コトリコフ的手法による推
  計によると、フローの指標である国民負担率より極めて過大な債務を将来に対して負
  っているのは事実。そのため、制度改革を通じた負担と給付の適正化が世代間の公平
  という観点からも求められることになる。3.所得、資産、消費の組み合わせが、世代
  間の負担構造に影響を与えている。日本は直接税への依存度が高く、勤労所得層の負
  担が大きく、その意味でも将来への負担の先送りとなっており、直間比率是正、法人
  税率減少が求められているところ。所得捕捉率は重要な問題であり、政府税調を中心
  に取り組むべき。結局、国民負担率は、フローにおける1つの指標に過ぎず、いろい
  ろな指標を使いながら負担と受益の構造を明らかにするよう努力すべき。
○  財政制度と社会保障制度はオーバーラップしながら共通の悩みを抱えているのでは
  ないか。制度は人々の価値観を前提としている一方、制度が人々の価値観を形成する
  面もあり、思うようにいかない。財政をカットするのが難しいように、社会保障もカ
  ットするのが難しい。市場経済であればニーズと負担は見合うが、公共的仕組みであ
  れば自分がどれだけ負担しているかも知らずに要求だけする。財政制度審議会として
  財政支出の抑制にどのような態度をとろうとしているのかお聞きしたい。
・ 将来を考えると、社会保障制度は現行制度のままでは社会保障制度全体が大きくな
 り、その負担も大きくなる。財政も同じ道をたどれるかというと、私どもは悲観的で
 ある。その点では、財政と社会保障では抱えている問題が若干違う。しかし、社会保
 障制度の太宗は財政が支えていくため、その場合どうするかという問題になるが、あ
 る程度負担することにより、負担と受益の秤が機能するような財政や社会保障であっ
 て欲しい。OECDのデータによると、消費に対する課税が一番低いのは日本。薄く
 広く負担させて、財政や社会保障は誰が負担するのか国民に知らしめるべき。財政審
 だけでは議論できないが、財政に関わる全ての問題について、受益と負担が秤にかけ
 られるような仕組みにすべき。
・ ご指摘には理解するが、社会保障は純粋な公共財ではなく、公民のミックスした社
 会混合財的な性格を持っている。これまで、制度設計として基礎的なものへの公費の
 配分が大きく、市場の中での過大な需要、供給のインセンティブもあったため、制度
 として大きくなりすぎた。また負担の増大の問題や公平性の問題を無視すると、国保
 ・国年の空洞化のように必要な負担をしなくなるという問題が出てくる。医療、介護
 、福祉など重複した給付をしていないか、適切な水準を効率的に提供しているか等、
 負担からのチェックを入れることは、社会保障制度をデザインする上で必要。インセ
 ンティブにおける価格メカニズムを取り込まないと深刻な状況は加速される。
○  社会保障制度の最後のステップとして介護保険制度の創設に取り組んできたが、た
 とえ介護保険制度ができても、それを含めた社会保障全体の無駄を省くことが必要。
 また、国民負担率の計算では国民所得が使われている。確かに、間接税が二重勘定に
 なっているとも言えるが、GDPが約480兆円、国民所得が約380兆円であり、
 100兆円も違う。国民所得をデフレーターとする指標が必ずしも唯一の指標とは言
 えないのではないか。
・  税制の立場からは、間接税を込みにしたGDPを分母に使うと、分母と分子両方に
 間接税を使うことになり、指標としておかしい。確かに他の多くの国ではGDP比を
 使っている。GDP比が経済の実力相応の部分に対する指標としては適切かもしれな
 いが、時系列でその両者を比べてみても、各国比較にそれほど差はないことから使っ
 てきた経緯もある。

○ 年金制度は、途中から始まったため、最初から加入すると負担した分より余計にも
 らっているが、これは生命保険等も同じ。悪意をもって将来世代を騙しているのでは
 ない。将来的に、厚生年金や年金基金の運用が自由化されると、もうかるようになる
 かもしれない。

 次回は7月30日(火)午後5時から開催することとされた。


5.配布資料(公表)
 ○ 与党合意事項(抄)
 ○ 1996〜97年度政策・制度要求と提言(連合)
 ○ 財政制度審議会のヒアリング資料(2種類)
 ○ 「日本を元気にする行政システム」の確立 ―超高齢社会と大競争時代に備えて
  ―(自由民主党  橋本ビジョン)
 ○ 日本のビジョン(素案)(社会民主党)

  問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課
     担 当 根本(内2244)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3591-9869


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