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96/07/26  第60回人口問題審議会総会議事録NO5
 岩淵委員 いろいろ分析されているようですが、まず最初に分析すべきは、過去の推
   計がなぜ間違ったのかという、そこの分析から始めるべきだろうと思うんですね
   。どういった点がどれだけ狂ったおかげでこういうふうな大きな間違いになって
   きたのかという、そこの分析が全然できてないのではちょっと話にならないと思
   います。
    いまお話伺った範囲内で申し上げますと、八代先生がおっしゃったのとほぼ同
   じなんですが、要するに、結婚する意志があるのは90%という、この大いなる
   幻想といいますか、おっしゃったように、いい人がいれば、という前提条件がつ
   くんですね、常に。だけども、意識調査でも同じなんですけれども、設問の仕方
   が非常に適切じゃありませんね、言葉の使い方から始まりまして。先ほどおっし
   ゃった日本民族の問題もそうですけれども、いろんな意味でたいへんよくないん
   ですが、ほかの調査をみますと、要するに、いい人がいれば結婚する。理想の相
   手がいなければ結婚しなくても構わないという人が、いまうろ覚えですが、半分
   はいますよね。そういった現実があって、しかもなおかつ、結婚を迫る社会から
   の風当たりが非常に少なくなってきている。人口研でもいろいろ分析なさってる
   んですよ、いろんな条件は全部とり揃えたあげくに、結婚したいという人が9割
   いるんだから結婚するんだという、そこのところでなんでそんな、無理やり大き
   な川をえいやっと飛び越えるみたいな、極めて非論理的な、現実を無視したよう
   な結論に至るのかということが、とてもじゃないけど、理解できない。人間に対
   する理解を欠いてるんじゃないですか。そのあたりをもう一回反省してもらいた
   いんですね。ここが一番決定的なところですから。私が鉛筆をなめなめ予想した
   ほうがたぶん当たるだろうというふうに思うぐらいに違うんじゃないかと思うん
   ですね。
    そのあたり、どうでしょう、皆さん。これでやったら、いままでやってきた推
   計の手法の数字を微調整するだけの結果に終るんじゃないですか。ですから、例
   えば1.80までは戻らないけれども、じゃあ1.70とか、それはいいですよ
   、数字の問題で。だけれども、要するに基本的な認識を欠いてるような推計のも
   のの考え方が土台話にならないと私は思うんですけどね。
宮澤会長 ありがとうございました。たいへん基本的な点について、ご意見がございま
   した。非常に重要な問題でございますので、組織的なご説明をいただいたほうが
   いいと思いますので、次回の機会に、いままでの推計についての評価、それから
   もし、推計方法で他に変わるべきオルタナティブがあるとすれば、どういうもの
   が考えられているのか。または迷っている問題点としてどういうところがあるの
   か、というようなことも併せてご報告いただけると有難いと思いますが、宜しゅ
   うございましょうか、そういうことで。
高橋部長 私のほうからお答えします。過去の推計が大きく現実と違うという話につい
   て、もう少し資料を加えまして、前回推計との誤差についてはもう一度報告させ
   ていただきたいと思います。
    それから、結婚に関する見通しの甘さというご指摘がございましたが、我々の
   人口推計でも、例えば、前回推計でいいますと、相当高いレベルの未婚率を予測
   しております。それらについてのご理解の点でいまひとつ誤解を生じている部分
   がございますので、そのへんの資料を含めて詳細に報告させていただきたいと思
   います。
宮澤会長 ありがとうございました。それではこの件についてはそのようにさせていた
   だきたいと思います。
袖井委員 私ちょっとよくわからないんですが、1つは、この1%抽出でなさるという
   んですが、1%抽出で大丈夫なんですかということ。専門家じゃないんでわから
   ないんですが、ちゃんとした結果が出てからじゃなくても大丈夫なんですかとい
   うこと。 もう一つ、国際結婚が非常に増えていますよね。特に、日本の男性と
   アジアの女性の結婚はずっと増えてきているんですが、そういうものは入れなく
   てもいいんでしょうかということですが。
高橋部長 お答えします。一つは1%の問題でありますが、我々としてはなるべく新し
   いデータを絶えず評価し直して人口推計を行う。ですから、1%の結果に基づい
   てまず推計作業を行いますけれども、今後さまざまな人口データの検証を含めて
   100%が出た時点では100%で再検討しながら人口推計は不断にやっていく
   ということであります。いまの段階で利用できるデータが1%であると申し上げ
   ておきたいと思います。
    もう一つ、国際結婚に関しては、我々の研究レベルでは外国人を含む出生率の
   検証も行っております。現在までのところ、今回特に国際結婚を含めて、という
   ことにはなりませんが、我々のモデル自体は日本の全体人口、外国人を含めた女
   子人口に対して出生を発生させていきますので、モデル的にはそれは加味されて
   いると考えております。
阿藤委員 いまの点で、資料3ページの1995年の1187という数値は動態統計の
   数字そのままなんですが、確認ですが、外国人の出生はここに入ってるんですか
   。
高橋部長 95年だけについては、日本人人口に関する統計しか出ておりませんので、
   外国人は含まれておりません。
宮澤会長 ほかにございましょうか。
井上委員 この改正の時期なんですが、いまもご質問がありましたが、1%抽出という
   ことで、どうもこれがあまり精度に問題がないわけじゃないようですが、新しい
   推計を出したあとで確定数が出てきてまた直さなきゃいかんというふうなことが
   あり得ると思うんですけど、確定人口が出てくる時期と、今度の推計の完成とい
   うか、発表の予定時期、そのへんの関係はどうなっているんでしょう。
高橋部長 時期については、一つには、各種の施策との関連で各省庁から、人口推計を
   いつぐらいに出してくれ、というような要請もあります。したがいまして、我々
   の作業の日程等を勘案しながら人口推計を行っていく。さらに1%の精度等を検
   証しながらそれらの時期が決まってくるのだろうと思っております。我々として
   は、現在の段階では、最終的な情報、人口動態統計をはじめとしてさまざまな新
   しいデータが出ておりますので、それらを加味して、基本的なモデルのサーチを
   現在やっているところでありまして、人口推計はそれが終り次第、全体計算を行
   うことになっております。
井上委員 ついでにもう一つ、いままで厚生省の人口推計は当たってないじゃないかと
   いうようなご意見がだいぶ出て参りましたが、たしかに出生数、あるいは合計特
   殊出生率をみますと、過去の実績が低位推計に近いということがございますね。
   ところが、総人口をみますと、実績のほうが推計よりも下回っているんですね。
   このへんが一体1%の誤差によるのか、あるいは死亡率のほうでも問題があった
   のか、よくわかりませんが、そのへんどういうふうに考えておられますか。
高橋部長 お答えします。まず2ページのところだと思いますが、総人口の推移をみま
   すと、たしかに95年のところでいうと実績のほうが高くなって、中位推計のほ
   うが低くなっています。その前年についていうと、その逆になっているというこ
   とですが、一つは、国勢調査の1%抽出である。あるいは、特に90年国勢調査
   の調査状況と、95年の国勢調査の状況という、いわば調査環境の違いが存在し
   ている。ご存じのように、90年当時は外国人居住者の数が非常に多かった。そ
   の後、入管法が変わる等、国内のいわば外国人人口は若干減ってきているという
   問題がありまして、一つは年齢不詳人口の取り扱いの問題が一つ存在しておりま
   した。
    人口統計学的にみると、さまざまな細ごましたことが介在しており、95年で
   若干これまでの推移と違う部分が表れているというふうに考えております。
宮澤会長 宜しゅうございましょうか。たいへん長時間熱心にご討議いただきましてあ
   りがとうございました。
    最後に一つだけ私のほうから簡単にご報告させていただきたいことがございま
   すが、先ほど次官からもお話がございましたように「人口問題と社会サービスに
   関する特別委員会」、いままで5回ほど14省庁からのヒアリングを行いまして
   、厚生省、国土庁、建設省、文部省、通産省、労働省、農林水産省、男女共同参
   画室、科学技術庁、環境庁、外務省、経済企画庁、大蔵省、自治省。一通りヒア
   リングを行いました。その結果をまとめて今後どのように進めていくかというこ
   とにつきまして次回ご議論いただきたいのと思っております。
    事務局から予定その他について、ご連絡いただくことがございましょうか。
山崎室長 次回の日程、決まりましたら後ほどご連絡させていただきます。
宮澤会長 それでは今日はこれで終りたいと思います。長時間どうもありがとうござい
   ました。


  問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課調査室
     担 当 真鍋(内2250)、大内(内2931)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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