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     第2回「歯科口腔外科に関する検討会」議事要旨

1.会議の日時及び場所
   日 時  平成8年5月16日(木) 10:00〜12:00
   場 所  厚生省特別第1会議室

2.出席した委員の氏名(五十音順・敬称略)
            出席委員          欠席委員
          石  川  高  明
          石  丸  隆  治
          金  子  敏  郎
          河  合    幹
          瀬  戸    一
          波利井  清  紀
          村  上    勝
              7  名            0  名

3.議  題
  ・標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域について
  ・歯科口腔外科領域における歯科と医科との協力関係について

4.討議の概要
  前回の議論を踏まえ意見のとりまとめを行った。
  委員からの主な意見は次の通りであった。
 [○は医師側委員の意見、☆は歯科医師側委員の意見]
  ○口腔の範囲はWHOのUICCが作成したものがよい。
  ☆口腔の範囲は現在医学、歯学の解剖学で教育しているものに合わせてもらいたい
   。
  ☆口腔の範囲は、口峡の部分から前方、軟口蓋、硬口蓋、頬部、口唇、舌、口腔底
   、顎骨、顎関節を含むものと考えている。
  ○口腔の範囲は、国際的に通じる基準であることが必要ではないか。
  ☆WHOのUICCが作成した口腔の定義は、腫瘍のために作成したものである。
  ○WHOのUICCの分類は腫瘍の分類であるが、口腔の定義については解剖学的
   な分類と言えるのではないか。
  ○原則論でもよいから口腔領域の範囲を決める必要がある。今までは病院の中だけ
   での医師と歯科医師との協力関係でこられたが、歯科診療所まで歯科口腔外科を
   標榜できるようになるとある程度領域を決めておかないと現場において問題が起
   きるのではないか。

  ○舌根のリンパ流は口腔のリンパ流とは異なるものである。すなわち、舌根部は口
   腔の領域外である。

  ☆口腔の範囲には、頬部が入り、頬部粘膜から頬筋全部を含む。
  ☆口腔の機能を考えれば、頬部は入る。
  ○耳下腺を含め頬部を口腔に含めることはできない。
  ☆歯性炎症による頬部膿瘍については、下眼瞼にかかった場合は問題が出てくるが
   、歯科口腔外科の範囲ではないか。医師と共同して治療に当たるかは、歯科医師
   の判断で対応したい。
  ○歯性の頬部膿瘍を外切開で治療すると言われたが、この場合については顔面神経
   の手術に熟知したものでなければ顔を曲げてしまう。そもそも歯科医行為といえ
   るのか。この膿瘍は頬粘膜からの切開で治癒せしめうるものである。
  ○頬部に唾液腺や顔面神経も含めておられるのか。
   歯科口腔外科は、口腔を対象とした外科であり、口腔の構造を構成する要素とし
   て頬粘膜でよいではないか。

  ☆口腔の範囲に、軟口蓋が入る。
  ☆口腔機能を維持するために軟口蓋が極めて重要であり、補綴行為においても軟口
   蓋の部位は重要である。歯科口腔外科の対象である。
  ○軟口蓋は咽頭であり、口腔ではない。本当は医行為の対象ではないかと考えるが
   。
  ☆顎関節は明らかに口腔ではないが、専ら歯科口腔外科で治療されている。
  ☆口腔の範囲は、解剖学なり生理学を踏まえて決めてもらいたい。そのような観点
   から顎関節は入る。

  ☆唾液腺も口腔付属器官として口腔に含めていただきたい。
  ○耳下腺腫瘍の場合は側頭骨内に進展することもあり、中耳や顔面神経の扱いに熟
   知してなければ治療できない部位である。
  ○唾液腺については耳下腺を除くことではどうか。
  ☆それでよい。

  ○歯科口腔外科歯科医が口腔の中に発生したガン全てを取扱うのは歯科医行為の範
   囲を出るのではないか。また、口腔から顔面全体や頭蓋に及ぶ先天性異常も歯科
   医行為の範囲を出るのではないか。
  ○歯科医師の免許で口腔の外側や耳下腺とか眼を治療対象とすることはよいのか。
   さらには、頚部郭清も行えるのか。
  ☆歯科医師も実際に頚部郭清まで行っている。
  ○歯科医師が実際にやっているからよいということではなく、歯科医行為として問
   題ないかということである。
  ☆歯科医師でも口腔に原発したガンは治療できるので歯科口腔外科の対象となるの
   ではないか。
  ○口腔に原発したガンでも、転移を扱う場合は、医行為である。
  ☆では、転移を含め口腔から進展したものは医師との連携をとる。口腔以外に原発
   したものには手を着けない。
  ○化学療法の取扱いはどうするのか。
  ☆歯性顎炎に対し化学療法を行えば全身に作用、これと同じ論理で抗腫瘍剤を用い
   て口腔に原発した疾患の治療は全て行う。口腔領域に局在する腫瘍に対しては歯
   科医師が単独で化学療法を行っている。

  ○形成外科学会としては1口腔領域を越え進展している、或いはその可能性のある
   ガンの治療及び化学療法、2耳下腺や頬部の腫瘍、3ガン切除後の再建などに用
   いる遠隔部よりの血管柄付遊離組織移植、4口唇・口腔以外の顔面の先天性異常
   や形態異常の治療、5頬骨や眼窩骨に及ぶ顔面骨折の治療や顔面の多発外傷の治
   療、以上の事項は医業の範囲と考えられるものであり、歯科医師がこれらについ
   て対応する場合は医師と協力して口腔の治療に当たってもらいたい。
   また、形成外科学会としては、口腔の定義はWHOのUICCによるものと考え
   ており、耳下腺や頬部は口腔に含まれない。
  ☆形成外科学会の5項目の要望事項については医師と適切に協力して行う。
  ○ドナーから組織をとることも含めて、口腔領域以外の組織を口腔領域に移植する
   行為はどうなのか。
  ☆形成外科学会の要望の3と同様の対応である。

 ◎以上の議論を踏まえ次の意見がとりまとめられた。

(歯科口腔外科の診療領域)
  標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域の対象は、原則として口唇、頬粘膜、
 上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底に、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液
 腺(耳下腺を除く)を加える部位とする。

(歯科口腔外科の診療領域における歯科と医科との協力関係)
  歯科口腔外科の診療の対象は口腔における歯科疾患が対象となるが、特に、悪性腫
 瘍の治療、口腔領域以外の組織を用いた口腔の部分への移植、その他治療上全身的管
  理を要する患者の治療に当たっては、治療に当たる歯科医師は適切に医師と連携をと
  る必要がある。

 ◎検討会の議事要旨の内容については日本医師会、日本歯科医師会等が会員に周知さ
 せていく。

5.今後の日程
  今回で本検討会は終了とされた。

  問い合わせ先 厚生省健康政策局総務課
     担 当 関山(内2513)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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