【腸管出血性大腸菌の特徴について】
【腸管出血性大腸菌の発生状況について】
【腸管出血性大腸菌の予防方法について】
14 予防は可能なのですか?
15 予防方法はどうすればよいのですか?
16 最近、HACCP(ハサップ)ってよく聞くけど何ですか?
17 食品はどうやって殺菌したらいいのですか?
18 野菜にも気をつけた方がよいのでしょうか?
19 まな板やフキンをしっかり洗うようにと言われますが、どのように洗えばよいのですか?
20 電子レンジで加熱すれば菌は死滅するのですか?
21 食器乾燥機を使うと菌は抑えられますか?
(食品の安全性)
22 食肉の安全対策はどのように実施されていますか?
23 食肉は熱を通せば大丈夫ですか?
24 牛タタキ等加熱不十分な食肉を製造、調理、販売する上で注意することは何ですか?
25 生ハムなどは大丈夫ですか?
26 低温殺菌の牛乳では、腸管出血性大腸菌も殺菌されていますか?
27 子供にヨーグルトを食べさせたいのですが、ヨーグルトの衛生管理は大丈夫ですか?
28 輸入食品はどんな検査をしているのですか?
29 水道水は安全だと聞きましたが、井戸水やマンションの受水槽の水も安全ですか?
30 浄水器を通すと残留塩素が除去できると聞きましたが、飲んでも安全ですか?
(その他)
31 外食する時腸管出血性大腸菌に感染しないか心配です。大丈夫でしょうか?
32 プールで腸管出血性大腸菌に感染することがありますか?
33 公衆浴場・温泉で感染することがありますか?
34 動物とのふれあいの際にはどのようなことに注意すればよいですか?
【腸管出血性大腸菌の症状と診断について】
【腸管出血性大腸菌の治療方法について】
【感染症法について】
【行政の対応について】
Q1 「腸管出血性大腸菌」って何ですか? |
Q2 腸管出血性大腸菌の「O157」ってどういう意味ですか? |
Q3 腸管出血性大腸菌のほかに病気を起こす大腸菌がありますか? |
1. | 腸管病原性大腸菌:小腸に感染して腸炎等を起こします。 |
2. | 腸管組織侵入性大腸菌:大腸(結腸)粘膜上皮細胞に侵入・増殖し、粘膜固有層に糜爛(びらん)と潰瘍を形成する結果、赤痢様の激しい症状を引き起こします。 |
3. | 腸管毒素原性大腸菌:小腸上部に感染し、コレラ様のエンテロトキシンを産生する結果、腹痛と水様性の下痢を引き起こします。 |
4. | 腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生性大腸菌、志賀毒素産生性大腸菌):赤痢菌が産生する志賀毒素類似のベロ毒素を産生し、激しい腹痛、水様性の下痢、血便を特徴とし、特に、小児や老人では、溶血性尿毒症や脳症(けいれんや意識障害など)を引き起こしやすいので注意が必要です。 近年、食中毒の原因となっているものは、O157がほとんどですが、腸管出血性大腸菌にはこの他にO26、O111、O128およびO145などがあります。 |
5. | 腸管凝集性大腸菌:主として熱帯や亜熱帯の開発途上国で長期に続く小児などの下痢の原因菌となります。我が国ではまだほとんどこの菌による患者発生の報告がありません。 |
Q4 腸管出血性大腸菌は毒素を出すと聞いたけれど、どのようなものですか? |
Q5 DNAパターン分析って何ですか? |
Q6 腸管出血性大腸菌は、最近みつかった細菌ですか? |
Q7 腸管出血性大腸菌はどこからうつるのですか? |
Q8 これまでにどのような食中毒事例がありましたか? |
Q9 これまでどのくらい発生があったのですか? |
発生件数 | 患者数 | 死者数 | |
平成8年 | 87 | 10,322 | 8 |
平成9年 | 25 | 211 | 0 |
平成10年 | 16 | 183 | 3 |
平成11年 | 8 | 46 | 0 |
平成12年 | 16 | 113 | 1 |
平成13年 | 24 | 378 | 0 |
平成14年 | 13 | 273 | 9 |
平成15年 | 12 | 184 | 1 |
平成16年 | 18 | 70 | 0 |
平成17年 | 24 | 105 | 0 |
平成18年 | 24 | 179 | 0 |
注) | 腸管出血性大腸菌による食中毒事件として、厚生労働省に報告があったものを集計しています。 |
Q10 これからも腸管出血性大腸菌感染症は発生しそうなのですか? |
Q11 どんな時期に腸管出血性大腸菌食中毒は発生しやすいのですか? |
Q12 腸管出血性大腸菌がハエについているのですか? |
Q13 動物からの感染事例はありますか? |
Q14 予防は可能なのですか? |
Q15 予防方法はどうすればよいのですか? |
ただ、家庭での発生では、発症する人が1人や2人のことが多く、また症状が軽かったり、風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかずに重症になったり、死亡する例もあります。
あなたの食事作りをチェックしてみましょう!
食中毒予防のポイントは6つです。
ポイント1 食品の購入
■ | 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。 |
■ | 表示のある食品は、消費期限などを確認し、購入しましょう。 |
■ | 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。 |
■ | 特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら早めに帰るようにしましょう。 |
ポイント 2 家庭での保存
■ | 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。 |
■ | 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です。 |
■ | 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下に維持することがめやすです。 温度計を使って時々温度を計るとよいでしょう。 細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、−15℃では増殖が停止しています。しかし、細菌が死ぬわけではありません。早めに使いきるようにしましょう。 |
■ | 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。 |
■ | 肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手を洗いましょう。 簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。 |
■ | 食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しましょう。 |
ポイント 3 下準備
■ | 台所を見渡してみましょう。 ゴミはきちんと捨ててありますか? タオルやふきんは清潔なものと交換してありますか? せっけんは用意してありますか?調理台の上は かたづけて広く使えるようになっていますか?もう一度、チェックをしましょう。 |
■ | 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。 |
■ | 手を洗いましょう。 |
■ | 生の肉、魚、卵を取り扱った後には、手を洗いましょう。 途中でペット等動物に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後の手洗いも大切です。 |
■ | 生の肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。 |
■ | 生の肉や魚を切った後、その包丁やまな板を洗わずに、続けて果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。 包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。 |
■ | ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。 |
■ | 冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。 解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよいでしょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。 |
■ | 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。 解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。 |
■ | 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。 包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。 |
ポイント 4 調理
■ | 調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。 下準備で台所がよごれていませんか?タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。 |
■ | 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。 加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。 料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。 再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。 |
■ | 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。 |
ポイント 5 食事
■ | 食事の前には手を洗いましょう。 |
■ | 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。 |
■ | 温かく食べる料理は温かく、冷やして食べる料理は冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。 |
■ | 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。 例えば、O157は室温でも15〜20分で2倍に増えます。 |
■ | 乳幼児やお年寄りのO157などの腸管出血性大腸菌感染症は症状が 重くなりやすく、死亡率も高くなります。これらの年齢層の人々には加 熱が十分でない食肉などを食べさせないようにした方が安全です。 |
ポイント 6 残った食品
■ | 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。 残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。 |
■ | 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。 |
■ | 時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。 |
■ | 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。 味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。 |
■ | ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。 |
食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。
「6つのポイント」はこの三原則から成っています。
Q16 最近、「HACCP(ハサップ)」ってよく聞くけど何ですか? |
Q17 食品はどうやって殺菌したらいいのですか? |
Q18 野菜にも気をつけた方がよいのでしょうか? |
Q19 まな板やフキンをしっかり洗うようにとよく言われますが、どのように洗えばよいのですか? |
(1) 洗剤(台所用合成洗剤)洗浄 →水洗浄 → 湯(55℃)すすぎ →沸騰水かけ
(2) 洗剤(台所用合成洗剤)洗浄 →水洗浄 →湯(55℃)すすぎ →次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm、1時間浸漬)
(1)、(2)いずれの方法でも、大腸菌群は検出されなくなります。
なお、傷ついた古いまな板(特に木製)は、表面が洗浄されにくいので、十分に注意しましょう。
フキンやスポンジは、菌が増殖しやすいので、十分に煮沸や消毒し、よく乾燥しておくことを心がけましょう。
Q20 電子レンジで加熱すれば菌は死滅するのですか? |
Q21 食器乾燥機を使うと菌は抑えられますか? |
Q22 食肉の安全対策はどのように実施されていますか? |
Q23 食肉は、熱を通せば大丈夫ですか? |
Q24 牛タタキ等加熱不十分な食肉を製造、調理、販売する上で注意することは何ですか? |
Q25 生ハムなどは大丈夫ですか? |
Q26 低温殺菌の牛乳では、腸管出血性大腸菌も殺菌されていますか? |
Q27 子供にヨーグルトを食べさせたいのですが、ヨーグルトの衛生管理は大丈夫ですか? |
Q28 輸入食品はどんな検査をしているのですか? |
Q29 水道水は安全だと聞きましたが、井戸水やマンションの受水槽の水も安全ですか? |
Q30 浄水器を通すと残留塩素が除去できると聞きましたが、飲んでも安全ですか? |
Q31 外食する時腸管出血性大腸菌に感染しないか心配です。大丈夫でしょうか? |
Q32 プールで腸管出血性大腸菌に感染することはありますか? |
Q33 公衆浴場・温泉で感染することがありますか? |
Q34 動物とのふれあいの際にはどのようなことに注意すればよいですか? |
Q35 腸管出血性大腸菌に感染するとどんな症状になるのですか? |
Q36 血便があるのですが、腸管出血性大腸菌に感染したのでしょうか? |
Q37 HUSって何ですか? |
Q38 腸管出血性大腸菌は人からうつるのですか? |
Q39 母乳から感染することはありますか? |
Q40 どんな検査をすると腸管出血性大腸菌だとわかるのですか? |
Q41 診断薬は開発されたのですか? |
Q42 下痢の時にはどうしたらいいのですか? |
Q43 市販の薬は使っていいのですか? |
Q44 治療薬はできたのでしょうか? |
Q45 万一感染していたら、家族はどんなことに注意したらいいのですか? |
Q46 便の検査を受けたところ、症状はないのですが腸管出血性大腸菌が検出されたといわれましたがどうすればよいですか? |
※ | 腸管出血性大腸菌感染症の治療については、「一次、二次医療機関のための腸管出血性大腸菌(O157等)感染症治療の手引き(改訂版)」をご参照ください。 アドレス https://www.mhlw.go.jp/www1/o-157/manual.html |
Q47 感染症法ではどのような取扱いになっていますか? |
Q48 飲食店を経営していますが、感染症法が適用されるとどうなるのですか? |
Q49 飲食店のウェイトレス等が感染した場合に、業務から離れなければいけませんか? |
Q50 腸管出血性大腸菌感染症の患者が発生した場合、どんな調査が行われますか? |
Q51 厚生労働省ではどんな対策を行っているのですか? |
腸管出血性大腸菌による食中毒の発生を予防するため、昨年来、集団給食施設等に対する監視・指導の強化、とちく場・食肉処理場における衛生管理の徹底等を実施してきました。
具体的には、次のことに取り組んでいます。
家庭に対して食中毒を予防するための調理上の注意事項を示した家庭用の手引(平成9年3月作成)の普及を図っています。
集団給食施設等の大量調理施設における食中毒の発生防止を図るため、調理工程等における重要管理事項を定めた大量調理施設衛生管理指針(平成9年3月作成)の普及を図っています。
平成8年及び9年にと畜場法の施設基準及び衛生管理基準を改正し、と畜、解体、処理の過程で腸管出血性大腸菌などの病原微生物を含む牛等の体表の付着物や消化管の内容物が食肉を汚染しないよう措置を講じました。また、枝肉の微生物汚染の全国的な実態を把握し、衛生管理の向上に資するため、毎年、と畜場における枝肉の微生物汚染実態調査を実施しています。
平成10年から腸管出血性大腸菌を含む病原大腸菌、サルモネラ等について、挽肉、生レバー、生食用野菜等の食材の汚染実態について、毎年約3000検体の全国的な調査を行い、、陽性食品の処分や注意喚起を行っています。
集団給食衛生管理者に対し、食品の衛生管理に関する研修を実施するよう、都道府県に対し求めています。
集団給食施設の衛生管理に関する指導用ビデオを作成し、その普及を図っています。
多様な媒体や方法を通じ、国民に対して食中毒の発生防止に役立つ情報を提供しています。
2 原因究明対策
都道府県等において、食中毒が発生した場合の対策要領を予め定める等必要な措置を講じるよう求めています(平成9年3月通知)。
保健所が行う食中毒調査の具体的な実施方法を定めた食中毒調査の指針(平成9年3月作成)の普及を図り、必要に応じ、菌のDNAの型の確認を行うよう都道府県等に対して求めています。
腸管出血性大腸菌の迅速かつ確実な検出・解析等を行うため、国立感染症研究所において地方衛生研究所の研究員等を対象として、パルスフィールド電気泳動法、ビーズ法による菌の分離等に関する研修を実施しました。
研究班の成果を受け、食品中からの腸管出血性大腸菌O157の検出方法を改訂しました(平成9年7月)。また、平成18年11月には、O157に加えてO26を検出する方法に改訂しました。
3 診断治療対策
医療機関においてO157を早期に診断し、早期に適切な治療が実施できるよう医療機関に対する周知を行っています。
腸管出血性大腸菌が産生する毒素に対して特異的に結合中和する「抗II型志賀様毒素ヒト型化モノクローナル抗体」を希少疾病用医薬品に指定しました(平成13年4月)。今後、助成金の交付、試験研究に対する指導・助言等を行い、開発の推進を図ります。
腸管出血性大腸菌感染症と診断した医師は感染症法に基づいて届出を行うこととなっています。それを集計して全国の発生状況は感染症発生動向調査週報(IDWR:国立感染症研究所感染症情報センターホームページ)などにより週単位で公表しており、地域において発生が異常に多い場合等に把握することが可能です。
Q52 腸管出血性大腸菌についてどんな研究をしているのですか? |
Q53 どこに相談すればいいのですか? |
<照会先>
健康局結核感染症課 | : | Q9及びQ10(腸管出血性大腸菌感染症について) Q13及びQ34(動物からの感染について) Q42〜Q46(治療法について) Q47〜Q49(感染症法について) |
健康局水道課 | : | Q29及びQ30(水道水について) |
健康局生活衛生課 | : | Q32及びQ33(プール、公衆浴場及び温泉について) |
医薬食品局審査管理課 | : | Q41(診断薬について) |