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平成12年12月7日
【専門家会議報告書(概要)】
○骨子
提出されたデータだけでは結論を出すのは極めて困難であるCry9Cタンパク質のアレルギー誘発性について、食物アレルギーを誘発する既知のアレルゲンと比較した場合、Cry9Cタンパク質の物理化学的性状からは、食物アレルギーを誘発する可能性を否定する根拠はなく、アレルギーを誘発する蓋然性は中等度と判断した。また、Cry9Cタンパク質の食品としての暴露量等のデータも併せて検討したところ、アレルギーを誘発する蓋然性は低いとしている。
○判断材料
専門家会議は、全てのタンパク質はアレルギー誘発性が完全に否定されるものでないので、タンパク質に関する6つの物理化学的条件に照らし、あえてタンパク質のアレルギー誘発性を高度、中等度、低度の3つに分類した判断基準を示し、Cry9cタンパク質については「中等度」の蓋然性と判断される物理化学的性状をもっているとした。(なお、専門家会議は今回示した判断基準については、科学的妥当性を保証するものではないとコメントしている。)
※ 専門家会議が用いた判断基準(6つの条件)
(1)タンパク質が酸に対して比較的安定である。
(2)タンパク質が消化酵素に対して比較的安定である。
(3)タンパク質の分子量が通常のアレルゲンの分子量の範囲内(10-70KD)である。
(4)タンパク質は糖タンパク質である。
(5)タンパク質(分離されたもの又はトウモロコシ内の)がブラウンノルウェーラットに対するアレルギー反応を誘発する。
(6)タンパク質がラットモデルに対する摂食試験後も血流内に見つかる。
※ 蓋然性の分類
(注)専門家会議においては、Cry9Cについては、(1)〜(3)及び(6)については提出されたデータから明らかであり、(4)については資料が不足しており、(5)については、ブラウンノルウェーラットに対してアレルギー反応を誘発するが、そもそもこの実験系がアレルギー性の評価に適しているか不明であるが、程度の違いこそあれ(to some degree)、この6つの条件に該当するとしている。
一方、Cry9Cタンパク質と既知のアレルゲンとの構造相同性が認められておらず、また、Cry9Cタンパク質が食品に入った場合の暴露量が少なく、アレルギーを誘発する可能性は低いと推定される(ただし暴露量の推定方法は確立していない)と報告している。
○今後必要な情報
なお、専門家会議から勧告のあった、Cry9Cタンパク質のアレルギー誘発性の検討に係る今後必要な情報は次のとおりである。
照会先:厚生省生活衛生局 松原 食品保健課長 担 当:今村(内線2444) 中村(内線2454) 三木(内線2447)
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