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平成12年11月7日
10月25日、国内の消費者団体が、市販トウモロコシ加工品から、わが国で食品としての安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシ品種であるスターリンク由来の原料が含まれているとの検査結果が得られた旨発表した問題について、厚生省としてこれまで下記のとおり対応しましたので、お知らせします。
1 指摘を受けたトウモロコシ加工品について
(1)現在、わが国における遺伝子組換え食品の安全性審査については、「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の法的義務化に関する食品、添加物等の規格基準の一部改正について(平成12年5月1日 生活衛生局長通知)」に基づき行っているところであるが、食品衛生法上未審査のものの輸入、販売等が禁止されるのは、来年4月からとなっており、現時点において法的な回収命令等の行政措置は取ることができない。しかしながら、来年4月以降の安全性審査の法的義務化をにらみ、10月25日、当該トウモロコシ製品の製造・販売業者に対し、念のため、当該製品の販売自粛を指導するとともに、当該トウモロコシ加工品の製造者に対し、原料までの遡り調査の実施・報告を指示している。
(2)また、11月2日、上記消費者団体が検査に用いたトウモロコシ加工品の残余について、同団体から提供を受けたことから、国立医薬品食品衛生研究所において確認検査を実施しているところである。
(注)現在、米国においては、米国農務省(USDA)がスターリンク回収プログラムを実施中である。このプログラムの対象は本年度産スターリンクだけではなく、作付けが始まった98年度産、99年度産のものも含まれる。最新の情報によると、本年度産のスターリンクについては、98%以上が回収済、又はUSDAの管理下にある。残りについては、既に流通しているものと考えられ、USDAは追跡調査を行っているが、本年度産の米国全体のトウモロコシ生産量に比べると、この量は非常に少ない。なお、2001年度以降、スターリンクの作付けを行うことは、法律的に禁じられることとなっている。
(3)先般国内消費者団体から混入が指摘されたスターリンクについては、現在、食品衛生調査会において食品としての安全性について審査中である。これまでに提出された資料において、スターリンク中で発現するタンパク質(Cry9c)のアレルギー誘発性に関するデータが不足していたことから、申請者に対し、平成11年6月、追加データの提出を要求している。これまでに、スターリンクによる健康被害等は報告されておらず、健康被害が生じるという知見は得られていない。
2 指摘を受けたトウモロコシ加工品の原料の流通経路について
厚生省は、当該トウモロコシ加工品の製造業者に対して、使用原料等の調査の実施を指示しているが、これまでの調査の結果、当該トウモロコシ加工品と同一製造日(本年5月19日・賞味期限本年11月15日)の製品は400袋(1袋500g)あったが、当該製品は全て消費済み又は店頭から撤去されているとの報告を受けている。
当該トウモロコシ加工品は、国内で加工されたものであり、その原料トウモロコシについては、本年1月に米国から輸入されたものであったとの報告を受けている。
来年4月以降遺伝子組換え食品の安全性審査が法的に義務化されることから、厚生省の研究班において検査法の研究を進めているところであるが、その研究過程で用いられたトウモロコシ18検体中7検体にスターリンクの混入が確認されたことから、そのトウモロコシの輸入業者に対しては、その国内市場における流通状況の把握を行うよう指示したところであり、その結果をもとに対応することとしている。
3 今後の対策に係る米国政府の対応状況等
(1) 米国政府は、10月26日以降のトウモロコシの輸出について、スターリンクを含む可能性のあるトウモロコシを食用として日本に輸出することを禁止し、輸出前に検査を行う等の必要な措置を講じるよう指示を行っている。従って、これ以降、未検査のトウモロコシの輸出は行われていない。
(2)厚生省は、米国政府に対し、スターリンクが食品としてわが国に輸出されないよう必要な措置を講じるよう強く要請してきたところであるが、これまでに、米国政府が次のような措置を講じることで、日米間で合意に達した。
4 米国における自主回収製品の日本への輸出について
米国で9月18日の消費者団体によるスターリンクの混入に関する発表後、製品の自主回収を行っているが、厚生省のこれまでの調査の結果、一件のみ日本に輸入されている事例があることを確認し、当該製品については使用自粛が行われている。
照会先:厚生省生活衛生局 松原 食品保健課長 担 当:今村(内線2444) 中村(内線2454) 三木(内線2447)
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