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平成12年10月5日

塩酸ピオグリタゾン投与中の急激な水分貯留による心不全について
(緊急安全性情報)

1 製品の概要

一般名: 塩酸ピオグリタゾン
販売名: アクトス錠15、同30(平成11年9月承認、平成11年12月販売)
薬効分類: インスリン非依存型糖尿病治療剤
製薬企業: 武田薬品工業株式会社
販売実績: 約35億円(販売開始以来)
推定使用患者数: 約9万人(販売開始以来)

2 経緯

(1) 塩酸ピオグリタゾンは、武田薬品工業(株)が開発した糖尿病治療薬であり、わが国では平成11年12月から販売されている。また、海外ではこれまでに米国等で承認されている。

(2) 塩酸ピオグリタゾン投与中の心不全の発現は治験段階では認められていなかったが、循環血漿量の増加によると考えられる浮腫の発現が認められたことから、承認時に使用上の注意に重大な副作用として「浮腫」を記載するとともに、慎重投与の項に「重篤な心疾患のある患者」を記載するなどの注意喚起、情報提供を行ってきた。

(3) 国内において市販後これまでに、本剤と因果関係の否定できない心不全の発現が5例(死亡例なし)報告されていることから、今般、「緊急安全性情報」を配布し、塩酸ピオグリタゾン投与中の急激な水分貯留による心不全について注意喚起を図ることとした。

3 対応

(1) 厚生省

 武田薬品工業(株)に対し、使用上の注意の改訂、「緊急安全性情報」の作成及び医療機関等への配布を指示した。

(2) 武田薬品工業(株)

(1) 使用上の注意を改訂するとともに、「緊急安全性情報」を配布し、医療機関等に対して、塩酸ピオグリタゾン投与中の急激な水分貯留による心不全の発現に関し、以下の注意事項を速やかに伝達する。
 循環血漿量の増加によると考えられる浮腫が短期間に発現し、また心不全が増悪あるいは発症することがあるので、下記の点に留意すること。
ア 心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者には投与しないこと。
イ 投与中は観察を十分に行い、浮腫、急激な体重増加、心不全症状等がみられた場合には投与中止、ループ利尿剤(フロセミド等)の投与等適切な処置を行うこと。
ウ 服用中の浮腫、急激な体重増加、症状の変化に注意し、異常がみられた場合には直ちに本剤の服用を中止し、受診するよう患者を指導すること。

(2) 患者向けの説明文書を作成し、医療機関に配布する。
(3) 特別調査等において循環器系の有害事象を調査する。

【参考:製薬企業照会先】
武田薬品工業株式会社 医薬情報部 安全性情報室
電話(06)6204-2306 担当:大窪、野上


(照会先)
医薬安全局安全対策課
倉持、稲生
TEL([現在ご利用いただけません]
内線2750,2756


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