平成12年8月2日
第3回雪印乳業(株)乳処理施設の現地調査に関する
専門評価会議の結果について
昨日13時30分から、また本日10時から標記専門評価会議を開催し、下記のとおり検討結果を取りまとめましたのでお知らせします。
記
1 検討対象工場
花巻工場、仙台工場、日野工場、新潟工場、北陸工場、静岡工場、愛知工場、倉敷工場、高松工場及び都城工場(全10工場)
2 検討内容
各工場について、第1回専門評価会議で取りまとめた調査項目を中心に、7月27日〜31日にかけて実施した厚生省担当官による現地調査結果の報告を基に、(1)逆流防止弁(バルブ)手洗浄部分の洗浄不良、(2)ホースによる配管の使用、(3)屋外における調合作業及び(4)製品の再利用状況等について確認し、大阪工場と同様な食品衛生上の問題の発生の可能性がないか検討した。
また、実際の製造工程を精査し、総合衛生管理製造過程承認後の変更点を中心に検討し、衛生管理が十分か否かについても確認した。
3 調査結果の概要
1) 工場内の一般衛生管理状況
- 調査を行った全ての工場において、工場内にあるバルブ類、ホース等の配管のほか機械及び設備について洗浄等の状況は概ね良好であった。工場内には手洗浄による部分が多くあるが、個別の洗浄作業手順書等が十分に作成されていなかった。また、日野工場及び新潟工場において、原料バター等が前日から長時間室温で放置される工程が確認された。なお、屋外における調合作業は確認されなかった。
2) 製品等の再利用状況
- 一部の工場を除き、充填済みの製品のうち工場から出荷されなかったものについて、品質保持期限内において原料への再利用を行っていたが、今後は行わないとの説明を受けた。
調査を行った全ての工場において、殺菌及び充填時に発生する「調整乳」について原料への再利用を行っており、今後も使用する予定であるとの説明を受けた。再利用までの作業手順は各工場ごとに異なり、個別の作業手順書等も十分に作成されていなかった。
3) 総合衛生管理製造過程承認に基づく製造工程等
- 調査を行った全ての工場において、製品及び「調整乳」の再利用工程に関して承認申請が行われていなかった。
また、高松工場において、「調整乳」の温度管理に不備が見られたほか、温度計の校正が適切に実施されておらず、チェック機能が十分でなかった。
4 検討結果
<結 論>
- 今回検討した10工場については、大阪工場と同様な食品衛生上の問題はないと考えられる。
ただし、HACCPプランにおいて指摘される点はあるので、次の事項について、厚生省は雪印乳業(株)にその実施やデータの提出等を指示し、確実に実行させるべきである。
<指示事項>
- (1) 「調整乳」の取扱いについて、作業工程毎に危害分析を実施し、危害防止方法を含む標準作業手順書等を作成し、確実に実行すること。
- (2) 機械及び設備の手洗浄について、すべての手洗浄箇所を特定し、危害防止に有効な洗浄が行われることを確認の上、各洗浄箇所での洗浄作業手順書を作成し、確実に実行すること。
- (3) 工場の再開にあたっては、テスト生産を行った上で施設の拭き取り検査、サンプル製品の微生物検査、全ての工程における乳等の温度及び保持時間の測定等を行い、危害防止方法の有効性を十分に確認すること。
- (4) 操業再開後は、定期的にデータを採りHACCPプランの実効性を検証すること。また、当面1ヶ月間、各工程毎にデータを集積しその結果を基に、HACCPプランについて検証しその結果を報告すること。なお、念のため、製品中のエンテロトキシンの検査を実施すること。
- (5) 雪印乳業(株)本社において、各工場のHACCPプランの実効性を確認できる社内体制を構築すること。また、各工場のHACCPプランについて外部検証を受けること。
- (6) 「調整乳」ライン等総合衛生管理製造過程の承認時の申請書に含まれていなかった部分については、早急に変更届け出を提出すること。
- (7) 日野工場及び新潟工場にあっては、原料バター等を前日から長時間室温で放置する工程を改善すること。
- (8) 高松工場にあっては、「調整乳」の温度管理等を適切に行うとともに、HACCPチームによるチェック機能の強化を図ること。
(以上)
照会先:厚生省生活衛生局
森 田 乳肉衛生課長
担 当:滝 本 (内線2473)