平成12年4月28日
医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策の推進について
医薬品・医療用具等に関連した医療事故の防止対策を推進するため、別添のとおり、通知を発出いたしましたので情報提供いたします。
別添
医薬発第462号
平成12年4月28日
日本製薬団体連合会会長
日本医療機器関係団体協議会会長
在日米国商工会議所製薬小委員会委員長 殿
在日米国商工会議所医療機器小委員会委員長
欧州ビジネス協議会医薬品委員会委員長
欧州ビジネス協議会医療機器委員会委員長
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厚生省医薬安全局長
医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策の推進について
最近、相次いで医療事故が発生し、国民の医療に対する信頼が大きく揺らいでいます。厚生省ではこのような状況を謙虚にまた真摯に受け止め、省全体としてその防止対策に取り組んでいるところであります(別紙資料参照)。
このような取組の一つとして、医薬品、医療用具その他医療現場で使用される製品について、名称、容器・包装、表示、仕様等を医療事故を引き起こしにくいものに改めることも必要であると考え、現在、これら製品に関連した医療事故事例の情報を医療現場から幅広く収集した上で、具体的な医療事故防止対策を検討し、これを実現していくためのシステムの構築を進めており、今般、具体的な対策の検討を行う場として、「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」を設置することといたしました。
今後、本検討会において、逐次具体的な改善策の提言をいただき、その実施について関係企業の積極的な対応をお願いすることとしておりますので、貴傘下会員に対し、本取組の趣旨を周知いただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、今後の医薬品又は医療用具の開発に当たっては、医療事故防止の観点から十分ご配慮いただくとともに、既存の製品につきましても積極的に改善に取り組まれるよう、貴傘下会員に対し、併せて周知方よろしくお願いします。
なお、医療事故防止対策上重要と認められる製品については、医療現場への速やかな提供を図るため、薬事法上の承認審査を迅速に行うこととしていることを申し添えます。
(別紙資料)
厚生省における医療事故防止対策について
1 これまでの取組
(1) 事故防止マニュアルの作成及び周知徹底
- 「患者誤認事故予防のための院内管理体制の確立方策に関する検討会(座長:菊池晴彦国立循環器病センター総長)」報告書を作成し、都道府県、関係団体等に送付するとともに、厚生省ホームページに掲載し、事故防止への取組の周知徹底を図った。
(2) 特定機能病院の安全管理体制の制度化
- 特定機能病院における安全管理体制の充実を図るため、安全管理のための指針の整備、事故等の院内報告制度の整備、委員会の開催、職員研修の開催の4つの取組を承認要件、管理者の義務及び業務報告事項として明確に位置付けた。
(平成12年1月公布、4月施行。)
(3) 医療事故防止に関する調査研究
- 平成11年度より3年計画で、厚生科学研究費補助金による「医療のリスクマネジメントシステム構築に関する研究(主任研究者:川村治子(杏林大学保健学部教授))」を開始。1年目にはインシデント事例(ヒヤリとしたりハッとした事例)を約1万件収集し、集計・分析を実施中。
(平成11年度―平成13年度)
(4) 厚生大臣から医療関係団体への緊急要請
- 厚生大臣から、日本医師会、日本歯科医師会及び病院団体を含めた関係団体の代表に対して、医療事故防止に関する緊急要請を実施。
今後、この場において、定期的に医療事故防止に関する取組状況の報告や、医療事故防止施策に関する意見交換等を行うこととする。
(5) 医療事故防止の取組に係る再度の周知徹底
- 各都道府県知事宛に関連通知を発出し、医療事故防止の取組に関して周知徹底を図った。
2 今後の取組
(1) 医薬品等関連医療事故防止システムの確立(医薬安全局)(別紙)
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医薬品、医療用具をはじめ医療上使用される製品の容器、仕様、名称などの物的要因による医療ミス事例の情報を幅広く収集・分析し、原因の究明及び具体的な改善策を検討し、実施するシステムの構築を図る。
(平成12年度早期)
(2) リスクマネージメントスタンダードマニュアルの作成(国立病院部)
- 医療事故の発生を防止するため、外部の専門家も加えた作成委員会を組織し、国立病院等における標準的な医療事故防止手順書である「リスクマネージメントスタンダードマニュアル」を作成する。完成したマニュアルについては、国立病院・療養所以外の病院にも広く公開する予定。
(第1回作成委員会 3月28日)
(3) 医療事故防止に関する調査研究の充実
- 平成11年度から開始している医療事故防止方策に関する研究費を12年度以降増額し、インシデント事例の分析及び事故防止方策の研究の充実を図るとともに、他の分野における事故防止の取組等についての調査研究を実施。
平成11年度研究により実施したインシデント事例の集計・分析をもとに、エラーを犯しやすいポイント等について、6月メドに中間的に取りまとめ予定。
また、大規模病院を対象として、安全管理体制の取組状況について実態調査を行うとともに、医療事故の防止に関連した諸外国の状況について調査を実施する。
(4) 特定機能病院における安全管理体制の徹底
- 平成12年4月より実施される安全管理体制の確保に関して、3ヶ月以内に体制整備を図ることを指導するとともに、実施状況について実地調査等を行い、全ての特定機能病院における事故防止に対する取組の徹底を図る。
また、その調査概要について周知することによって、他の医療機関の事故防止対策実施の参考に資することとする。
(別紙)
「医薬品・医療用具等関連医療事故防止システム」の構築について
医薬安全局
1.趣旨
- 医療事故を誘発する要因のひとつとして、医薬品、医療用具等医療上使用される製品の容器、名称、仕様の類似性等の問題があると考えられる。このような物的要因が考えられる医療事故事例(ヒヤリハット事例を含む。)を幅広く情報収集・解析するとともに、具体的な改善策を検討、実施し、医療事故を引き起こしにくい製品を医療の場に提供できるようにするため、新たに「医薬品・医療用具等関連医療事故防止システム」を構築する。
2.システムの概要
- (1)外部の報告収集機関において、医療機関から、広く物的要因に関係する医療事故情報を収集する。
- (2)収集情報を解析・整理し、厚生省へ提供する。
- (3)厚生省では、「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」を設置し、事案毎に具体的な改善策について検討する。
- (4)検討の結果、基準化等の薬事法上の対応が必要な場合等においては、中央薬事審議会の医薬品等安全対策特別部会又は医療用具安全対策特別部会の意見を聴く。
- (5)これらの検討結果に基づき、基準化や関係企業又は関係団体への要請を行い、改善策の具体化を図る。
- (6)医療関係者に幅広く情報(事例及び改善策)を提供するとともに、関係企業から具体的な改良製品を医療の場に提供する。
医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討フロー
(照会先)
医薬安全局安全対策課
担当:俵木、近藤
[現在ご利用いただけません](内)2748,2753