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平成12年3月27日

いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会
報告書の公表について

1.本日開催した「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」において、別添のとおり、「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」報告書が取りまとめられたので公表します。

【別添資料】

1「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」報告書概要
2「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」報告書
3「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」委員名簿

(参考)これまでの日程

第1回 平成10年12月17日(木) 第6回 平成11年9月20日(月)
第2回 平成11年3月11日(木) 第7回 〃 10月18日(月)
第3回 〃 6月3日(木) 第8回 〃 12月8日(水)
第4回 〃 7月2日(金) 第9回 〃 12月20日(月)
第5回 〃 8月2日(月) 第10回 平成12年3月27日(月)

 これまでの本検討会での議論については、議事録を行政相談室またはインターネット上(http://www.mhw.go.jp/shingi/seikatu.html#eiyouhojo)で公開


照会先
厚生省生活衛生局食品保健課
吉田新開発食品保健対策室長(内線2456)
担当:古畑(内線2458)
   浅沼(内線2459)


資料 1

いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会
報告書概要

1.意義及び目的

○栄養の補給・補完としての意義・目的

○QOL(生活の質)、健康の維持増進としての意義・目的

2.定義

○栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に適するものとして販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等通常の食品の形態でないもの

3.範囲

○ ビタミン、ミネラル、ハーブその他の食品成分

4.名称

○ 一般的な総称として「栄養補助食品」の名称を用いる。

5.表示

(1)義務表示
・食品であることと、栄養補助食品の類型を示す表示
 [類型]特定保健用食品、栄養機能食品
・栄養成分の表示
・過剰摂取等に対する注意喚起表示
・一日当たりの摂取量の目安及び適切な摂取方法の表示
・品質保持期限に関する表示

(2)任意表示
・栄養素機能表示(当該栄養素の機能についての表示。身体の成長、発達、正常な機能における栄養素の生理的な役割を表示)
 例:「カルシウムは、歯や骨を丈夫にします。」

・特定保健用途の表示(当該食品が健康の維持増進に役立ち、特定の保健の用途に適することの表示。)
 例:「この食品は、吸収の良いカルシウムを多く含み、歯や骨を丈夫にし、健康の維持増進に役立ちます。」

*疾病リスク低減表示(リスクリダクション表示)は、食品における概念や表示の在り方は未だ検討途上であり、また、医薬品的効能効果と区別がつかないことから、当面、時期尚早。
例:「この食品は、カルシウムを多く含み、将来の骨粗しょう症の危険要因を減らします。」

(3)表示制度の法的枠組み
・ 栄養改善法と食品衛生法の表示制度を併用
・ 「個別許可型」と「規格基準型」

(4)虚偽又は誇大な表示及び広告の規制

6.安全性の確保

(1)食品成分の規格基準及び食品添加物規制
(2)製造施設に係る基準等 など

7.その他

(1) 健康食品全体の類型化

・ 特定保健用食品 →保健用途の表示も認める(個別許可型)
・ 栄養機能食品 →栄養素機能表示まで認める(規格基準型)
・ その他の健康食品 →栄養素含有表示のみ

(特定保健用食品、栄養機能食品の名称については、引き続き検討。)

(2) その他の健康食品の取扱い
・従来のガイドラインに止まらず、食品衛生法の規制上の位置付けを明確にし、適当な表示の義務付け等が必要。

(3) 今後の予定
・ その後、個別の成分ごとの基準設定作業等を行い、施行する。


資料 2

いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会
報告書

平成12年3月

I はじめに

II 検討の背景
1.我が国の現状   2.国際的な動向
III 本論
1.意義及び目的について   6.安全性の確保について
2.定義について 7.監視、情報提供及び
3.範囲について 相談指導について
4.名称について 8.いわゆる健康食品全体の
類型について
5.表示について
IV おわりに

I.はじめに

 我が国では、国民の健康に対する関心、知識の向上や、食経験に基づく知見の積み重ねなどから、特定の栄養成分を摂取することを目的とした製品が商品化され、錠剤、カプセル等の通常の食品の形態以外のものも、食品として扱われるようになってきた。
 このような食品は、適切に摂取すれば国民の健康の維持増進に寄与することができ、積極的に評価できる面もあるが、他方で商品によっては不適切な表示や不適切な方法による摂取などにより、健康を損なうことも考えられる。
 そこで、このような食品について、適切な類型区分を設けて基準を設定し、その機能についての表示を認める一方、摂取上の注意事項などの表示をさせて、消費者が適切に選択できるようにすることが必要となっている。
 既に、政府の規制緩和推進計画及び市場開放問題苦情処理推進会議(OTO)報告において、これまで医薬品として流通してきたビタミン等について、食品としても取り扱えるようにするとともに、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を検討することが決定されている。
 また、アメリカではDietary Supplementという名称で、食品や医薬品とは別のカテゴリーが定められており、英国などEU各国では、食品の一類型として、表示方法等について制度化され、又は検討が進められている。さらに、食品の国際規格を定めるFAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)では、栄養成分表示の在り方について一定の結論が得られているほか、ビタミン及びミネラル補助食品の規格について検討が始められている。

 このような中で、食品衛生調査会及び公衆衛生審議会の関係部会より指示を受け、いわゆる栄養補助食品の在り方に関して検討を行うため、平成10年12月、厚生省生活衛生局長の下に、「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」を設け、これまでに10回の会合を持った。この間、平成11年11月には「論点整理事項」を公表し、一般からの意見を広く求めたほか、関係者から意見聴取を行い、平成12年1月には、中間報告書を公表し、再度意見の公募を行った。
 この中間報告書は食品衛生調査会及び公衆衛生審議会へ提出され、その審議状況等を踏まえ、また、別途検討が行われていた「医薬品の範囲基準の見直しに関する検討会」での結論も踏まえた上で、今般、本検討会として、最終の報告書をとりまとめたものである。

II.検討の背景

1.我が国の現状

 近年、わが国では、国民の健康に対する関心、知識の向上や、食経験に基づく知見の積み重ねなどから、ビタミン等について、特定の栄養成分を摂取することを目的とした製品が商品化され、錠剤、カプセル等の通常の食品の形態以外のものが食品としても取り扱われるようになってきた。このような動きの背景として、以下のような流れがある。

(1)規制緩和推進計画

 平成8年3月には「規制緩和推進計画(改定)」が閣議決定され、医薬品の範囲の見直しについて、次のとおりとされた。

・医薬品の範囲を見直し、医薬品的な形状のカプセル等を使用した一部のビタミンについて、食品として流通を認める。
・ハーブの成分の一種について、医薬品から食品への分類の変更を図る。
・医薬品の範囲を見直し、医薬品的な形状のカプセル等を使用した一部のミネラルについて食品としての流通を認めることの検討に着手する。

(2)OTO(市場開放問題苦情処理対策本部)決定

 また、同月、OTO(市場開放問題苦情処理対策本部)決定がされ、栄養補助食品について、次のとおりとされた。

・医薬品と食品の区分方法について、中長期的には、食品素材や成分に対する規制の緩和を含め、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることを検討する。
・形状(剤型)の制限については、消費者において自ら正しい選択ができ、両者を混同しないよう明確に食品(栄養補助食品)として適切な表示がなされれば、廃止又は大幅な緩和を行う。
・表示の制限については、適切な摂取方法や栄養補助的効能、注意表示等について、消費者が自分に必要なものを的確に選択できるような表示を可能とする。
・通常海外で食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく食品として取扱いできるようにするため、ビタミンについては平成8年度、ハーブ(生薬)については平成9年度に、形状(剤型)及び表示の現行基準をできる限り緩和し、ビタミン、ハーブ以外のものについても、平成10年度からミネラルをはじめとして順次実施する。

(3)医薬品の範囲の見直し

 このような動きを背景として、厚生省では、医薬品の範囲の見直しについては、これまで、下記のビタミン、ハーブ類及びミネラル類については、「当分の間、「食品」の文字等を容器、被包前面及び内袋に分かりやすく記載する等食品である旨が明示されており、かつ、医薬品的な効能効果を標榜しないものについては、その形状がカプセル剤、錠剤又は丸剤であっても医薬品に該当しないものとして取り扱うものであること。」とした。

<ビタミン>
・ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸 (制限なし)

*平成9年3月31日薬務局長通知「ビタミンの取扱いについて」により措置。
 なお、平成12年3月9日医薬安全局長通知により、上限摂取量が撤廃された。

<ハーブ類>
・エキナケア(根、地上部)、エゾウコギ(根、根茎)、ノコギリヤシ(果実)、マリアアザミ(種子)、イチョウ葉、セイヨウオトギリソウ(花、地上部)、メマツヨイグサ(葉、茎、根、種子)、 他161種類

*平成10年3月31日医薬安全局長通知「いわゆるハーブ類の取扱いについて」により措置

<ミネラル類>
・カルシウム、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、亜鉛、クロム (III)、セレン、銅、マンガン、モリブデン、ヨウ素
・1日当たりの摂取量が以下の物 フッ素(4mg以下)

*平成11年3月31日(5月11日改正)医薬安全局長通知「ミネラル類の取扱いについて」により措置。なお、平成12年3月9日医薬安全局長通知により、フッ素を除き、上限摂取量が撤廃された。

(4)注意喚起の通知

 また、いわゆる栄養補助食品に係る注意喚起の問題については、アメリカで、ビタミンAの過剰摂取と奇形発現等の関係に関し、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンA補給剤を1日10,000μgレチノール当量以上継続摂取した女性から出生した児に、奇形発現率の増加が認められると推定されるとの疫学的知見が学術誌に報告されたことを受けて、厚生省では平成7年12月に、ビタミンAを含有する健康食品に関し、過剰摂取を防止するための表示等について、関係営業者の指導等を行うよう、各都道府県等に通知している。さらに、規制緩和推進計画に基づき医薬品の範囲が見直され、今後ビタミン又はミネラルを多量に含む食品の流通増加が予想され、また、「第六次改定日本人の栄養所要量」において、ビタミン又はミネラルの許容上限摂取量が示されたことに伴い、平成11年10月に、これら栄養素を多量に含む食品の過剰摂取の防止等の観点から、その留意点等について、各都道府県等に通知している。

(5)食薬区分の見直しに関する検討

 口から摂取するものが薬事法に規定する医薬品に該当するか否かは、そのものの原材料、効能効果、形状及び用法用量等を総合的に検討し、そのものが消費者に医薬品としての目的を持っているとの認識をもたせるか否かで判断しているが、その基準は、「医薬品の範囲に関する基準」(昭和46年薬務局長通知)により示され、食品と称していても、この基準で医薬品と判断されるものは、薬事法違反として取り締まられている。
 しかし、この基準を示してから約30年が経過しようとしており、近年の食生活の多様化、国民の健康に対する関心の高まり等に伴い、医薬品や食品に対する意識が変化していることなどから、厚生省では、生活衛生局における栄養補助食品の制度の枠組みの検討と並行して、平成11年5月、医薬安全局長の下に「医薬品の範囲基準の見直しに関する検討会」を設置し、基準の見直しについて検討を行っており、平成12年3月23日に、同検討会報告書がとりまとめられている。

2.国際的な動向

 諸外国の現状については、その国の法体系、習慣及び消費者の意識等により取扱いが異なるが、原則的に共通していることは、医薬品的な効能効果を目的としている場合、その物を医薬品と判断している。

(1)アメリカ

 アメリカでは、1990年の「栄養表示教育法(Nutrition Labeling Education Act)」及び1994年の「栄養補助食品・健康・教育法(Dietary Supplement Health and Education Act)」(以下「DSHEA」という。)に基づき、食品への健康強調表示と機能表示が認められている。DSHEAにおいて、栄養補助食品(Dietary Supplement)は、ハーブ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養成分を1種類以上含有する栄養補給のための製品として定義付けられている。また、これらの形状は錠剤、カプセル、粉末、ソフトジェル、ジェルカプセル又は液状といった通常の食物の形以外の形状をとることとされている。栄養補助食品には、一定の機能表示(人体の構造と機能に対する効果)が記載できるとされているが、機能表示の記載に当たっては、表示内容は正しく、誤解を生じさせないものであること、及び「FDAによる評価を得ていないこと」や「疾病の診断・治療・予防に用いられるものではないこと」を記載することが求められている。また、栄養補助食品の構成成分にRDA(栄養所要量)が設定されているものについては、その含有量をRDAのパーセントで記載すること、及び「栄養補助食品」であることを表示しなければならない。しかし、当該栄養補助食品に含まれる食品成分に、服用量の上限を規定する考え方は示されていない。一方、この法律には栄養補助食品に関する品質の確立を図るために、GMP(good manufacturing practice;優良製造規範)の規則制定に関する項目が盛り込まれている。

(2)イギリス

 イギリス農水省(MAFF)は1996年12月「機能性食品と健康強調表示に関するレビュー」を発表しているが、この中で、表示の裏付けとしての科学的データには厳しい要求をしている。これを受けて、産・官・消費者からなる第3セクターの「健康強調表示合同推進機構(JHCI)」が、食品の健康強調表示に関する実行規範(Code of Practice on Health Claims on Foods)の最終案を1998年11月に作成し、各団体での協議が進められている。この規範では、産・官・消費者からなる運営委員会と事務局で構成される管理組織(CAB)」を置くとするとともに、健康強調表示を、科学的に正しいことが既に広く知られている一般健康強調表示(Generic Health Claim)と、新たに企業が科学的に立証した新規健康強調表示(Innovative Health Claim)に分類し、その表示を行う場合は管理組織に提出し、チェックを受けなければない。

(3)カナダ

 Health Canada(日本の厚生省にほぼ相当)が1998年11月Policy Paper: Neutraceutical/ Functional Foods and Health Claims on Foods と題する基本方針を発 表した。この方針に従って、アメリカの栄養表示教育法に基づく10の健 康強調表示の科学的根拠をレビューし、規格基準型の表示を制度化するプ ロジェクトと、新規の健康強調表示について製品毎に個別審査する制度の 検討プロジェクトが設置された。前者のプロジェクトは早期に結論を出す 予定となっているが、後者については長期間の検討を要すると考えられる。

(4)コーデックス

 食品の国際的な規格やガイドラインを設定しているFAO/WHO合同食品規格計画(コーデックス)の栄養・特殊用途食品規格部会において、現在、栄養補助食品のガイドラインが討議中であるが、最終合意には、ある程度の年月を要するものと予想される。また、食品の表示については、コーデックスの食品表示規格部会で検討された結果、栄養強調表示ガイドラインが示されており、エネルギー値、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル含有量等、その食品の栄養上の特性を表示することが認められている。なお、本ガイドラインでは栄養素機能表示についても示している。

III.本 論

1.意義及び目的について

 厚生省が先に示した「第六次改定日本人の栄養所要量−食事摂取基準−」は、栄養素欠乏症から遠ざかり、栄養素過剰症からも遠ざかって、よりよい栄養状態を維持し、健康を増進する上での基準となるものである。しかし、適切な栄養摂取は、その人の身体状況、生活状況等により異なる。このため、いわゆる栄養補助食品については、適切な栄養摂取を補助することにより、国民の健康の維持増進を図る上で有意義であるとして、積極的に評価すべき一面がある。また、さらには、一部の栄養成分には、通常の食生活からは期待することが困難な、健康を維持増進させる働きも期待されている。
 一方、健康を維持増進するためには、バランスが取れた食事が基本であり、可能な限り必要なすべての栄養成分を普通の食事から摂取すべきであって、いわゆる栄養補助食品の普及によって、これがないがしろにされてはならないことも考慮すべきである。このため、栄養補助食品の意義あるいは目的を明らかにすることにより、このような適切かつ安全な摂取を促す必要がある。

 他方、規制緩和の流れの中で、これまで医薬品として使用されていたビタミン等の錠剤等を、適切な表示を認めながら、食品としても流通できるようにすべきとの方向性は固まっており、また、既に栄養補助食品等と称して、機能の表示が許されないままに、ビタミン、ミネラル、ハーブ類等の錠剤等の形状の食品が流通していることから、これらについて、適切な類型区分を行い、表示についての適切なルールを設けることも、その適切かつ安全な摂取の上で必要となっている。

 以上のことを念頭におきつつ、当該食品の意義、目的については、

(1) 高齢化、食生活の乱れ等により通常の食生活を行うことが困難な場合等に、不足しがちな栄養成分を補給する食品として、国民生活上の意義、目的があること

 すなわち、栄養の補給・補完としての意義、目的と、

(2) 通常の食生活における栄養摂取量からは期待することが困難な、一部栄養成分について明らかにされつつある身体の機能や構造に影響を与え健康を維持増進させる働きを評価し、その栄養成分の働きに着眼した栄養補助食品として、生活の質(QOL)の向上を図るとともに、国民の健康の維持増進を図るという意義、目的があること

 すなわち、QOLの向上、健康の維持増進としての意義、目的

について、積極的に評価すべきである。

 なお、QOLの向上、健康の維持増進に関連して、生活習慣病等の罹患リスクの軽減(リスク・リダクション)という観点も、合わせて考慮すべきであるとの意見もあった。

(注)「栄養成分」とは、食品に本来含有される成分で、人体で利用されるものをいい、本報告書では、栄養素のほかハーブ等に含まれる成分等を含めた広い意味に用いる。

2.定義について

 一般的な意味での栄養補助食品の定義としては、

 「栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等通常の食品の形態でないもの」

などと表現することが適切であると考えられる。

3.範囲について

 栄養補助食品の範囲としては、ビタミン、ミネラル、ハーブその他の栄養成分に及ぶが、安全性の確立していない成分を食品として用いることができないことは当然であり、また、栄養成分の機能等の表示も、人において科学的に証明できている場合に限定されることも当然である。

4.名称について

 名称については、日常生活では不足しがちな、又は健康の維持増進のために意義のある栄養成分を補給するものであり、さらに、通常の形態の食品に対して補助的であるという位置付けにふさわしい名称として、既に一般的な使用例が多くなっている「栄養補助食品」の名称を総称として用いる。

5.表示について

(1)表示の意義

 栄養補助食品の適切な選択や摂取を行う上では、消費者に対し適切な情報を提供する必要があり、表示の基準を適切に設定する必要がある。
 表示の内容は、該当するすべての食品に対し表示が義務付けられる「義務表示」と、表示を行うか否かは表示者の任意である「任意表示」があり、次のとおりとすることが適当である。

(1)義務表示
・栄養補助食品の類型を示す表示
・栄養成分の表示
・過剰摂取等に対する注意喚起表示
・品質保持期限に関する表示
(2)任意表示
・栄養成分機能表示、特定保健用途の表示

(2)類型名の表示

 栄養補助食品は、医薬品等との誤認を与えないよう、食品である旨の表示が必要である。
 さらに、栄養補助食品としては、

(1)科学的な審査を経て特定の保健用途の表示を行うもの
(2)科学的に証明された栄養成分の機能の表示を行うもの

といった類型になる。こうした栄養補助食品について、国民に正しい情報が提供されるよう、これらについては、類型の名称の表示を義務付けることが適当である。

(3)栄養成分に関わる表示

(1)栄養成分含有表示
 当該食品が当該栄養成分を含むことの表示。この場合、食品中の栄養成分含有量の多い少ないを表示する場合もある。
例:「この食品はカルシウムを多く含みます。」

(2)栄養成分機能表示
 当該栄養成分の機能についての表示。身体の成長、発達、正常な機能における栄養成分の生理的な役割を表示するもの。
 なお、その機能は、人において科学的な根拠で証明されたものでなければならない。また、その表現に当たっては、消費者に当該食品への正しい理解を促進するために、疾病に言及し疾病の診断・治療又は予防を目的とする旨を表示しない範囲において、できるだけ分かりやすい表示を行うべきである。

例:「カルシウムは、歯や骨を丈夫にします。」

(3)保健用途の表示
 当該食品が健康の維持増進に役立ち、特定の保健の用途に適することの表示。食品に着目した表示。
 なお、その機能は、人において科学的な根拠で証明されたものでなければならない。また、その表現に当たっては、消費者に当該食品への正しい理解を促進するために、疾病に言及し疾病の診断・治療又は予防を目的とする旨を表示しない範囲において、できるだけ分かりやすい表示を行うべきである。

例:「この食品は、吸収の良いカルシウムを多く含み、歯や骨を丈夫にし、健康の維持増進に役立ちます。」

(4)疾病リスク低減表示(リスクリダクション表示)
 特定の疾病罹患リスクの低減ができる旨の表示。
例:「この食品は、カルシウムを多く含み、将来の骨粗鬆症の危険度を減らします。」

 厚生省の「第六次改定日本人の栄養所要量−食事摂取基準−」にあるとおり、健康の維持増進や生活習慣病の予防に果たす適切な食事の役割は大きい。しかし、食品における疾病リスク低減表示については、その概念や表示の在り方は未だ検討途上であり、また、医薬品的効能効果である疾病の予防効果の表示と区別が付きにくいとの意見もあることから、本検討会で結論を得るには時期尚早と考えられる。
 なお、食事を通じた健康の維持増進や生活習慣病の予防の重要性にかんがみ、また、現在、コーデックス食品表示部会において検討されている「健康強調表示の使用に関する勧告案」でも、疾病リスク低減表示を含めて検討がされていることから、その動向をも踏まえつつ、この問題については引き続き検討を進める必要がある。

(4)注意喚起表示

(1)過剰摂取に対する注意喚起表示
 当該食品は、過剰摂取により健康危害をもたらすおそれのある栄養成分を高単位で含むものもあることから、過剰摂取に対する注意喚起表示として、
過剰摂取による危害発生が明らかな成分に関しては、具体的な過剰摂取による症状の表示
を義務付けることとする。
 ただし、成分によっては、過剰摂取による症状が一つに特定できない場合や、摂取量、年齢・性別等により症状が異なる場合などがあることから、個別成分毎に表示方法を検討することが適切である。

(2)一日当たりの摂取量の目安
 当該食品は、医薬品ではないことから、医薬品的な用法用量の表示は適切でないが、過剰摂取を防止し、また、含有栄養成分が効果的に吸収されることを図るため、
一日当たりの摂取量の目安、及び、適切な摂取方法の表示
を義務付けることが必要である。
 また、あわせて、一日当たりの栄養所要量が示されている栄養成分を含有する場合は、
一日当たりの栄養所要量に対する摂取割合の表示
を義務付けることが必要である。
 なお、その場合、栄養所要量が年齢、性別で異なることにも対応できる表示を行えるような方法を考慮することが望ましい。

(3)その他注意喚起表示
 当該食品が含有する成分によっては、特定の人(妊婦や子供、特定の医薬品を服用している人など)にとって摂取が危険である場合もあることから、このような危険事項に関する表示も義務付ける必要がある。
 また、他の栄養補助食品や通常の食品とのいわゆる「食べ合わせ」などの摂取上の注意事項もあわせて表示する必要がある。
 なお、これとあわせて、「健康を維持増進するためには、バランスのとれた食事をすることが基本である」旨も表示すべきとの意見もあった。

(5)品質保持期限に関する表示

 栄養補助食品に含まれる成分には、長期の保存に伴い品質が変化するものもあることから、品質保持期限についても義務表示とする必要がある。

(6)表示制度の法的枠組み  ※本項では適宜記述順序を変更した

(1)食品衛生法の表示制度と栄養改善法の表示制度
 栄養補助食品は、摂取の方法等によっては、健康に危害を生じたり、あるいは、健康に良い影響を期待しながらそれを得られないなどの問題が生じることから、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」ことを目的とする食品衛生法の表示制度を根拠とすることが適切である。
 とりわけ、栄養補助食品に用いられる成分の個別審査や、各種の注意喚起表示や、摂取量の目安等は、健康被害の防止のために重要なものであるから、食品衛生法に根拠を置くことが適当である。

○食品衛生法第11条(食品の表示の基準)
 「厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。」

 また、栄養補助食品には、栄養の補給・補完ないしは健康の維持増進の意義があることを考えると、「国民の栄養を改善する方途を講じて国民の健康及び体力の維持向上を図ること」を目的とする栄養改善法の表示制度の適用を受けることも必要である。
○栄養改善法第12条(特別用途表示の許可)
 「販売の用に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示(以下「特別用途表示」という。)をしようとする者は、厚生大臣の許可を受けなければならない。」

*同法施行規則第8条第1項第5号において、「食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、 その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をするもの(以下「特定保健用食品」という。)」

とされており、特定保健用途の表示を行う場合には、厚生大臣の許可が必要とされている。

○栄養改善法第17条(栄養表示基準)
 「販売に供する食品につき、栄養成分(厚生省令で定めるものに限る。)又は熱量に関する表示(以下「栄養表示」という。)をしようとする者は、厚生大臣の定める栄養表示基準に従い、必要な表示をしなければならない。」

 従って、栄養補助食品の表示については、食品衛生法と栄養改善法の両法の表示制度に基づくものとして検討することが適当と考えられる。

(2)個別許可型(特定保健用食品)と規格基準型(栄養機能食品)

ア.個別許可型
 栄養補助食品に保健の用途の表示を行うためには、食品衛生法において、個別に審査して安全性及び保健の用途を確認して、保健用途の表示を認める仕組みが適当である。また、栄養改善法においても、特定用途表示の許可が必要であり、これまで、錠剤やカプセル形状の特定保健用食品の許可は行ってこなかったが、この規定は、食品である以上、錠剤やカプセル形状の栄養補助食品にも当然に適用されるものであり、保健用途の表示を行うためには、厚生大臣の許可が必要となる。この個別許可型の場合、保健用途の表示及び栄養成分の機能表示が許される。
 なお、「特定保健用食品」については、当初から名称が分かりにくいとの指摘もあり、これを契機に、「保健機能食品」あるいは「健康機能食品」などの消費者にとって分かりやすい名称に改めてはどうかという考え方がある。一方、制度化以来、定着に努力してきた名称であるので、変更は適当でないとの考え方もあり、詳細を具体化するまでに十分検討すべきである。

イ.規格基準型
 一方、個別許可でなくとも、(3)(2)の栄養成分機能表示については、規格基準の設定により、認めうる。
 この場合、表示する栄養成分の機能は、人において科学的な根拠で証明されたものでなければならないことから、食品衛生法の表示基準において、ポジティブリストにより表示可能な個別事項を列挙し、栄養成分機能表示を行うことができる栄養成分の種類と、表示できる機能の内容を規制することが適当である。
 この類型の名称としては、栄養成分の機能を表示する食品であることから、「栄養機能食品」とするなど、国民に分かりやすい適切な名称を検討することが望ましい。なお、個別許可型と名称は分けなくてもよいのではないかという考え方もあり、検討が必要である。

 規格基準型に該当する栄養成分としては、当初は、日本人の栄養所要量における一日当たりの適正摂取量が示されているビタミン、ミネラル等が中心となることが予想される。多様なハーブ類については、その機能の科学的根拠による証明が未だ不十分である場合が多く、その場合は、当面、栄養成分機能表示は認められず、(3)(1)の栄養成分含有表示のみが許されることとなる。
 ただし、当該成分の機能の科学的証明ができていない場合でも、当該成分を含む個別の食品について、その機能の科学的根拠が示されれば、上記の個別許可型の制度を活用して、栄養成分の機能の表示ができる。

(7)食品への具体的な表示方法

 商品によっては、上記の表示をすべて行うには物理的スペースに限りがある場合がある。
 この場合には、商品選択の上で必要な表示(例:危険に関する表示、栄養成分機能表示等)については、外包に表示するとともに、摂取の上で留意すべき表示(例:過剰摂取に関する注意喚起表示)については、添付書に表示するなどの工夫が必要である。

(8)虚偽又は誇大な表示又は広告の規制

 栄養補助食品の信頼を確保するためには、虚偽又は誇大な表示又は広告の規制が重要である。
 このため、食品衛生法第12条(虚偽表示等の禁止)において、

「食品、添加物、器具又は容器包装に関しては、公衆衛生に危害を及ぼす虞がある虚偽の又は誇大な表示又は広告はこれを行ってはならない。」

とされており、この規定等を適切に運用し、適切な措置を講じることが必要である。

6.安全性の確保について

 栄養補助食品も食品である以上、安全性の確保は、何よりも重要であり、食品衛生法の以下の制度について、適切な運用が必要である。

(1)食品成分の規格基準及び食品添加物規制

 ビタミン、ミネラルは、過剰摂取により健康被害を生じるおそれがあり、また、ハーブ等についても、安全な食経験に乏しい植物等が使用されるおそれもある。
 このため、食品衛生法の規格基準において、錠剤、カプセル等の形状の食品として用いられる成分の規制を行い、安全性を確保することが必要である。
 一方、錠剤、カプセル等を形作る材料等、食品添加物の規制が適用される物質については、必要に応じて新規の添加物指定や、使用基準の設定など、制度の適切な運用を行いながら、安全性を確保していくことが必要である。

 なお、食品衛生調査会毒性・添加物合同部会では、栄養補助食品に係る食品添加物規制の在り方の概要を、次のようにまとめている。

(1)栄養補助食品に栄養成分として用いられるものについては、これまでの食品添加物規制とは異なった位置付けとなることは差し支えない。食品成分として取り扱うとしても、品質や安全性を確保するため、栄養成分のうち少なくとも化学的合成品(精製等により通常の食品と成分比率が異なっているものを含む。)については、厳格な審査の必要性が高いものと考えられ、食品添加物と同等の規格を適用することが適切である。また、使用基準についても所要の措置を講じるべきである。

(2) 個別許可型又は規格基準型の栄養補助食品に用いられるビタミン類、ミネラル類等を新たに指定する場合には、審査の際の一部の資料を省略することができるが、これは別枠リストとして指定すべきである。

(3) 通常の食品にビタミン類、ミネラル類等の栄養成分を用いる場合には、従来通り取り扱うことが適切である。

(4) 栄養補助食品に用いられる賦形剤、乳化剤など非有効成分については、食品添加物として取り扱うことが適切である。当該物質の中で、新たに指定する必要があり、我が国で医薬品に対して用いられてきたものについては、評価の際に医薬品としての使用実績や毒性試験結果等を考慮し、審査の際に一部の資料を省略することができるが、これは、別枠リストとして指定するとともに、個別の使用基準を定めるべきである。

(5) 栄養補助食品に用いられる有効成分及び非有効成分についての具体的な検討は、個別の物質で行う必要があり、今後専門的な分科会を本合同部会に設置し、検討する必要がある。

(2)食品衛生法に基づく製造基準(食品GMP)の設定について

(1) 栄養補助食品のように、栄養成分を人為的に調整して製造される食品については、安全性の確保のためには、適切な製造管理・品質管理が重要である。
 また、ビタミン、ミネラル、ハーブ等の栄養成分の中には、過剰摂取により健康被害のおそれがあるものがあり、また、栄養成分の機能の観点からも、栄養補助食品等には、摂取量の目安の表示を義務付けることとされているが、これを目安に一定の摂取量をとることができるようにするためにも、製品の品質の一定性が重要であり、適切な製造管理・品質管理が重要である。
 このような公衆衛生上の観点から、これらの類型の食品には、食品衛生法第7条に基づく製造基準において、食品GMP制度による製造基準を義務付けることが適切と考えられる。

(2) なお、この場合、個別許可型又は規格基準型以外のいわゆるその他の健康食品については、機能についての科学的根拠が明確でなく、機能成分に着目した製造管理を義務付ける根拠が必ずしも明確でないことから、当面、食品GMP制度は、個別許可型及び規格基準型のものに限って義務付けることが適当と考えられる。

(3)施設基準及び営業許可について

 上記の製造基準(食品GMP)を適用する場合、製造に際して栄養成分の量を制御することが必須であるため、一般的な食品の衛生管理を担保するための構造設備のほかに、栄養成分制御の目的で一定の構造設備を備えることを要する。
 従って、これらの類型の健康食品の製造施設にあっては、食品衛生法第20条に基づく施設基準を設定することが適切である。
 なお、施設基準を設定した業種については、法第21条の規定による都道府県知事の営業許可が必要となるが、当該営業許可制度は、この製造基準(食品GMP)を都道府県が効果的に監視指導していく上で有効な制度であると考えられる。

7.監視、情報提供及び相談指導について

(1)監視制度

 栄養補助食品については、その安全性の確保や、表示のルールの遵守徹底のため、監視制度の適切な運用が必要である。
 食品衛生法では、規格基準、表示基準、営業規制の監視については、報告徴収、立入検査、収去など、行政機関の食品衛生監視員等による監視制度が設けられている。
 また、栄養改善法においても、特別用途表示許可制度や栄養表示基準の実施のため、監視制度が設けられている。

(2)消費者への情報提供、相談指導

 消費者が適切かつ安全に栄養補助食品を摂取するためには、この制度の意義が正しく消費者に理解されることが重要である。また、この食品は、消費者が各人の食生活を十分理解した上で適切に摂取することにより、初めてその効果が得られるものである。
 したがって、消費者がこれらの食品を選択する際の適切な情報提供やアドバイス方法について、具体策を検討していく必要がある。

8.いわゆる健康食品全体の類型について

(1)いわゆる健康食品全体の類型化

 本検討会では、「栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等の通常の食品の形態でないもの」を、一般的な用語として「栄養補助食品」ということが適当(8ページ「2.定義について」参照)としたが、この定義の前段の「栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品」は、通常の食品の形態である食品も含めたものであり、「健康食品」と呼ばれるものである。(この概念は、これまで、「健康食品の摂取量及び摂取方法の表示に関する指針」(昭和63年11月30日付厚生省生活衛生局長通知)等において使われてきている。)

 本検討会は、錠剤等の形状の栄養補助食品について検討してきたが、個別許可型(特定保健用食品)と規格基準型(栄養機能食品)等についての取扱いは、添加物規制等の考え方の一部を除き、大部分が、通常形態の食品と、錠剤等の形態の食品とで区別をせずに、共通の制度が適用可能と考えられる。
 そこで、その健康食品全体の類型としては、次の図のとおりに整理することができる。

図

(注)特定保健用食品、栄養機能食品の名称については、引き続き検討。

(2)通常の食品形態である栄養機能食品について

 近年、栄養調整食品などの名称で、シリアルやビスケット状等通常の形状をした食品であって、ビタミン、ミネラル等の栄養成分を強化した食品が広く販売されている。
 このような食品については、その摂取の目的からみて、「栄養補助食品」の範疇に含めることは適当ではないが、錠剤等の形態の食品について栄養成分の機能の表示を認めるのであれば、これらの食品についても、栄養成分の機能の表示を認めることが適当である。
 また、特定栄養成分の過剰摂取等の注意喚起表示も必要であり、適切な栄養摂取バランスを考慮できるよう、個々の栄養成分に関する表示の基準を定めることにより、消費者の商品選択に資するものであること等から、規格基準型の「栄養機能食品」の制度を適用し、通常の食品の形態の栄養機能食品にふさわしい基準を設定すべきである。

(3)その他の健康食品について

 現在、健康の維持増進等に有効であると期待され、あるいは称される様々な食品が、いわゆる健康食品として販売されており、これらについては、身体の機能等に及ぼす働き等の表示は認められていないが、「健康食品の摂取量及び摂取方法の表示に関する指針」(昭和63年厚生省生活衛生局長通知)、「健康食品の表示等に関する指針」(平成元年厚生省生活衛生局長通知)により、適正な摂取についての注意喚起表示を行うことや、誇大な表示、医薬品と紛らわしい表示を行わないよう定められている。
 また、現在、国の認可を受けた公益法人の中には、消費者の適切な選択に資するため、これらの健康食品の種類ごとに、安全性と品質の面から、独自の基準を定めて、認証マークを交付している法人がある。
 今後、本報告書による制度が実施された場合、これまでのいわゆる健康食品で錠剤等の形状のものは、栄養成分の人の健康に対する機能が科学的に証明されれば、逐次、規格基準型の「栄養機能食品」に指定され、当該食品について特定の保健的効果が科学的に証明されれば、個別許可型の「特定保健用食品」として許可されていくこととなる。
 しかし、栄養成分の機能についての科学的な証明はされていないが、古くから、一般に健康に役立ち、何らかの効果があると期待されて、人々の間で利用されてきているものが多数あることは事実である。その中には、効果が疑われるものや、消費者にとって誤った情報を提供して販売されているものもある。このため、消費者が適切に選択し、安全な摂取ができるよう、配慮されなければならない。こうした食品について、消費者の適切な選択に資するためにどのような方策が考えられるのか、実態を踏まえつつ、引き続き検討することが必要である。

IV.おわりに

 本検討会の報告書は、栄養補助食品等についての制度的枠組み案をとりまとめたものであり、実際の制度化に当たっては、今後別途、次のような個別具体的な検討が必要である。
 なお、その際、関連する薬事行政との連携を図る必要がある。

(1)規格基準型「栄養機能食品」の栄養成分のリストアップ
(2)各成分毎の表示方法を含む規格基準、表示基準の検討
(3)個別評価型の「特定保健用食品」の評価方法の検討
(4)個別の食品添加物の取扱いについての検討
(5)その他健康食品を含めた基準の検討
(6)消費者への情報提供、相談指導の検討
(7)その他
 本検討会は、栄養補助食品について、適切な制度化がなされ、国民の健康増進に資することを願って、この報告書をまとめるものである。


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