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概 要 |
○ 平成12年(2000年)には世界最高水準の高齢化率となる中で、高齢者保健福祉施策の一層の充実を図るため、新たなプランを策定。
1 プランの基本方向
(基本的な目標)
I 活力ある高齢者像の構築
「高齢者の世紀」である21世紀を明るく活力ある社会とするため、可能な限り多くの高齢者が健康で生きがいをもって社会参加できるよう、「活力ある高齢者像」を構築する。
II 高齢者の尊厳の確保と自立支援
要援護の高齢者が自立した生活を尊厳をもって送ることができるよう、また、介護家族への支援が図られるよう、在宅福祉を基本として、介護サービス基盤の質・量両面にわたる整備を進める。
III 支え合う地域社会の形成
地域において、介護にとどまらず、生活全般にわたる支援体制が整備されるよう、住民相互に支え合うことのできる地域社会づくりや高齢者の居住環境等の整備に向けて積極的に取り組む。
IV 利用者から信頼される介護サービスの確立 措置から契約への変更が利用者本位の仕組みとして定着するよう、利用者保護の環境整備や介護サービス事業の健全な発展を図り、介護サービスの信頼性を確立する。 |
(プランの期間)
平成12年度から平成16年度までの5か年。状況の変化に応じて適宜見直し。
2 今後取り組むべき具体的施策
介護サービス基盤の整備と生活支援対策等を車の両輪として実施する観点から、以下の事業の適切な実施に努力。また、地方公共団体の自主事業を支援。
(1)介護サービス基盤の整備
〜「いつでもどこでも介護サービス」〜
(2)痴呆性高齢者支援対策の推進
〜「高齢者が尊厳を保ちながら暮らせる社会づくり」〜
(3)元気高齢者づくり対策の推進
〜「ヤング・オールド作戦」の推進〜
(4)地域生活支援体制の整備
〜「支え合うあたたかな地域づくり」〜
(5)利用者保護と信頼できる介護サービスの育成
〜「安心して選べるサービスづくり」〜
(6)高齢者の保健福祉を支える社会的基礎の確立
〜「保健福祉を支える基礎づくり」〜
3 平成16年度における介護サービス提供量
各地方公共団体が作成する介護保険事業計画における介護サービス見込量の集計等を踏まえ、平成16年度における介護サービス提供の見込量は下記のとおりである。
(訪問系サービス) | ||
区 分 | (新GP目標) 平成11年度 |
平成16年度 |
訪問介護 (ホームヘルプサービス) |
− 17万人 |
225百万時間 (35万人)※ |
訪問看護 訪問看護ステーション |
− 5,000か所 |
44百万時間 (9,900か所)※ |
(通所系サービス) | ||
通所介護(デイサービス)/ 通所リハビリテーション(デイ・ケア) |
− 1.7万か所 |
105百万回 (2.6万か所)※ |
(短期入所(ショートステイ)系サービス) | ||
短期入所生活介護/ 短期入所療養介護 |
− 6万人分 (ショートステイ専用床) |
4,785千週 9.6万人分 (短期入所生活介護専用床) |
(施設系サービス) | ||
介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) |
29万人分 | 36万人分 |
介護老人保健施設 | 28万人分 | 29.7万人分 |
(生活支援系サービス) | ||
痴呆対応型共同生活介護 (痴呆性老人グループホーム) |
− | 3,200か所 |
介護利用型軽費老人ホーム (ケアハウス) |
10万人分 | 10.5万人分 |
高齢者生活福祉センター | 400か所 | 1,800か所 |
注1:平成16年度( )※の数値については、一定の前提条件の下で試算した参考値である。
注2:介護療養型医療施設については、療養型病床群等の中から申請を受けて、都道府県知事が指定を行うこととなる。
平成11年12月19日
大蔵・厚生・自治3大臣により合意
高齢者の保健福祉サービスについては、これまで、「新・高齢者保健福祉推進10か年戦略(新ゴールドプラン)」(平成6年12月大蔵・厚生・自治3大臣合意)に基づき着実にその推進を図ってきたところであるが、新ゴールドプランは、平成11年度でその期間を終了することとなった。
平成12年(2000年)には、我が国の高齢化率が世界最高の水準に達することが予想されるとともに、平成12年度から介護保険法が施行され、また、全国の地方公共団体において、老人保健福祉計画と介護保険事業計画が一体的に作成されるなど、我が国の高齢者保健福祉施策は、新たな段階を迎えようとしている。
こうした状況に的確に対応し、高齢者保健福祉施策の一層の充実を図るため、介護サービス基盤の整備を含む総合的なプランを新たに策定する。
1.プランの基本方向
(基本的な目標)
プランは、明るく活力ある高齢社会を実現するため、次のように4つの柱を基本的な目標として掲げ、その実現に向けて施策を展開する。
I 活力ある高齢者像の構築 II 高齢者の尊厳の確保と自立支援 III 支え合う地域社会の形成 IV 利用者から信頼される介護サービスの確立 |
I 活力ある高齢者像の構築
「高齢者の世紀」である21世紀を迎えるに当たり、明るく活力ある社会を築き上げていくことが大きな課題となっている。その鍵は、今後大きな割合を占める高齢者が、社会において積極的な役割を果たしていくことである。高齢者は身体面及び経済面で「社会的弱者」と見なされがちであるが、実際には高齢者の多くは元気で社会的にも十分活躍できる方であり、このような「老人=弱者イメージ」を打破し、できる限り多くの高齢者が健康で生きがいをもって社会参加できるよう総合的に支援し、「活力ある高齢者像」を社会全体で構築していくことを目指す。
II 高齢者の尊厳の確保と自立支援
健康づくりや介護予防に努めても、高齢化の進行に伴い要援護の高齢者は毎年10万人ずつ増え続けることが予想されており、介護の問題は、老後生活の最大の不安要因となっている。高齢者や家族が安心して生活を送れるようにするためには、こうした不安を解消し、家族が長期にわたる介護のために疲れ果てて崩壊することがないようにしていく必要がある。
このため、在宅福祉を基本理念として、必要な介護サービス基盤の整備を進めるとともに、介護サービスの質の確保には特に配慮する。これにより、高齢者が自らの意思に基づき、自立した生活を尊厳を持って送ることができ、家族介護者への支援が図られるような環境づくりを推進する。また、特に重要性が増している痴呆性高齢者への取組みを重点的に進める。
III 支え合う地域社会の形成
すべての高齢者及び家族が住み慣れた地域で生きがいをもって暮らせるためには、地域において介護にとどまらず、生活全般にわたる支援体制を整備していく必要がある。このためには、人と人のつながりが希薄化する現代にあって、高齢者を取り巻く地域社会が果たすべき「支え合い(共助)の役割」を評価し直すことが求められる。そのため、既に幾つかの市町村で取り組まれている、住民同士による支え合いのネットワーク(体制)づくりや地域活動の拠点づくり、市町村行政への住民参画など、支え合う地域社会の形成へ向けての取り組みを積極的に支援するとともに、高齢者の居住や移動といった生活環境の整備を進め、福祉基盤の強化を図る。
IV 利用者から信頼される介護サービスの確立
介護保険法の実施に伴い、高齢者の介護サービス利用は従来の措置を中心とした仕組みから、契約による仕組みへと大きく変わる。この新たな仕組みが「利用者本位」の仕組みとして定着するためには、高齢者が介護サービスを適切に選択し、利用できるような環境づくりが重要となってくる。
このため、利用者保護の環境整備に万全を期す一方で、介護サービスを担う事業者の健全な発展を目指す。これにより、国民の介護サービスへの信頼性を確立するとともに、大きな可能性を秘めた成長分野として、雇用機会の創出にも資することに配慮しながら、介護関連事業の振興を図る。
(プランの期間)
介護保険事業計画及び保健事業第4次計画との整合性を踏まえ、プランの期間を平成12年度から平成16年度までの5か年とする。ただし、今後の老人保健福祉計画及び介護保険事業計画の見直し等、状況の変化に応じて適宜見直すこととする。
2.今後取り組むべき具体的施策
以上の基本的な目標を達成するため、国、都道府県、市町村等がそれぞれの役割を踏まえ、良質な介護サービス基盤の計画的な整備と健康・生きがいづくり、介護予防、生活支援対策の積極的な取組みを車の両輪として進めていくことが重要であり、このような観点から以下の事業の適切な実施に努める。
また、国は地方公共団体が地域の特性に応じて自主的に行う高齢者保健福祉施策を支援する。
(1) 介護サービス基盤の整備
〜「いつでもどこでも介護サービス」〜
(施策の方向)
地方公共団体における介護保険事業計画等の状況を踏まえ、要介護高齢者の需要に応じた良質な介護サービス基盤の計画的な整備を進める。特に多くの高齢者の希望に応え、可能な限り在宅で自立した日常生活が営めるよう、在宅サービスを重視するとともに、必要な施設整備に努める。 このため、訪問介護員(ホームヘルパー)などの在宅サービスを担う人材の養成確保を図るほか、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護関連施設の整備を進める。 また、今後、要介護度の改善を含めた介護サービスの質の確保が極めて重要であり、人材研修を強化するとともに、寝かせきりの防止、リハビリテーションの充実など施設処遇の改善を図る。 さらに、特別養護老人ホーム退所者やひとり暮らしに不安を感じている高齢者など、生活支援を要する高齢者が居住できる施設の整備を推進する。 |
* グループケアユニット 〜 いくつかの居室や共用スペースを一つの生活単位として整備し、家庭的な環境の中で、少人数ごとに処遇する形態。 |
(2) 痴呆性高齢者支援対策の推進
〜「高齢者が尊厳を保ちながら暮らせる社会づくり」〜
(施策の方向)
今後我が国で急速に増加することが見込まれる痴呆性高齢者に対する取り組みは、これからの重点課題である。痴呆に関する医学的な研究を進める一方で、痴呆性高齢者が尊厳を保ちながら穏やかな生活を送ることができ、家族も安心して社会生活を営むことができるような状態を実現することが求められている。 このため、家庭的な環境で少人数で共同生活を送る痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)の整備をはじめとして、痴呆性高齢者に対する介護サービスの充実を図るとともに、痴呆介護の質的な向上を目指す。 また、痴呆が早期の段階からの相談体制や権利擁護の仕組みを充実する。 |
* 痴呆介護研究・研修ネットワーク 〜 高齢者痴呆介護研究センターを中心に、介護技術の研究・研修のための全国ネットワークを整備。 |
(3) 元気高齢者づくり対策の推進
〜「ヤング・オールド(若々しい高齢者)作戦」の推進〜
(施策の方向)
高齢者が健康で生きがいを持って生活を送ることができるよう、健康づくりや介護予防事業を積極的に推進するとともに、地域における生きがいづくりや社会参加を支援する。 これにより、若々しく元気な高齢者(特に心身ともに健康な前期高齢者)が、介護分野をはじめとして地域活動に積極的に参加し、地域社会を支える役割を担うことを可能とする環境を作り出す。 ※寝たきりゼロを目指す「新寝たきり老人ゼロ作戦」を発展させ、元気高齢者づくりを推進する対策として、将来的に自立高齢者の割合を9割程度に引き上げることを目指す「ヤング・オールド作戦」※を新たに推進する。 |
* ヤング・オールド作戦 〜 高齢者が、できる限り「若々しい高齢者(ヤング・オールド)」として、健康で生き生きとした生活を送れるようにするための一連の施策を名付けたもの。特に「前期高齢者(65歳〜74歳、ヤング・オールド)」に関して、積極的な社会参画を進めるねらいも込めている。 |
(4) 地域生活支援体制の整備
〜「支え合うあたたかな地域づくり」〜
(施策の方向)
高齢者に対しては介護にとどまらず、生活全般にわたる支援が必要となってくる。このため、生活圏域での住民相互の支え合い(共助)を基本に置いた、地域生活支援体制の構築を支援する。 また、可能な限り、在宅で暮らし続けられるよう、高齢者に配慮した住宅整備や改修を進めるとともに、福祉施策と住宅施策の一層の連携を図る。 さらに、ボランティアや特定非営利活動法人(NPO法人)をはじめとする民間非営利団体が活動しやすい環境の整備や地方公共団体への住民参画の推進を図る。 |
* シルバーハウジング 〜 福祉施策と住宅施策の緊密な連携の下、高齢者の生活特性に配慮した設備・設計を行うとともに、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による福祉サービス(生活相談や緊急時対応など)を受けられるよう配慮された公共賃貸住宅をいう。 |
(5) 利用者保護と信頼できる介護サービスの育成
〜「安心して選べるサービスづくり」〜
(施策の方向)
利用者が介護サービスを適切に選択し、利用できるような環境づくりを進めるため、介護サービスに関する情報整備や質の評価の普及、適正な契約指導などの利用者保護施策に取り組む。 また、介護サービスの質的な向上と効率化を目指す観点から、介護関連事業の健全な振興とともに、福祉用具の開発・普及を進める。 |
* 福祉用具 〜 車いす、移動用リフトのように、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある高齢者などの日常生活の自立を助けるための用具をいう。 |
(6) 高齢者の保健福祉を支える社会的基礎の確立
〜「保健福祉を支える基礎づくり」〜
(施策の方向)
高齢者保健福祉の質的向上を図るため、その基礎を支える科学技術の研究を推進する。 また、福祉専門職の養成を進めるとともに、国民皆が介護にふれ、参画できる機会を提供する。 そのような環境づくりの中で、広く高齢者や障害者にやさしいまちづくりを進めるとともに、広く国際交流に努め、福祉文化を高める。 |
* 国際高齢者年 〜 「高齢者のための国連原則」(高齢者の「自立」、「参加」、「ケア」、「自己実現」、「尊厳」)の具体化を目的として、1992年の国連総会において1999年を「国際高齢者年」とすることが決定された。 |
3 平成16年度における介護サービス提供量
各地方公共団体が作成する介護保険事業計画における介護サービス見込量の集計等を踏まえ、平成16年度における介護サービス提供の見込量は下記のとおりである。
(訪問系サービス) | ||
区 分 | (新GP目標) 平成11年度 |
平成16年度 |
訪問介護 (ホームヘルプサービス) |
− 17万人 |
225百万時間 (35万人)注1 |
訪問看護 訪問看護ステーション |
− 5,000か所 |
44百万時間 (9,900か所)注2 |
注1:訪問介護員(ホームヘルパー)の人数については、一定の前提条件の下で試算した参考値である。 注2:訪問看護ステーション数については、一定の前提条件の下で試算した参考値である。 |
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(通所系サービス) | ||
通所介護(デイサービス)/ 通所リハビリテーション(デイ・ケア) |
− 1.7万か所 |
105百万回 (2.6万か所) |
注:デイサービス/デイ・ケアのか所数については、一定の前提条件の下で試算した参考値である。 | ||
(短期入所(ショートステイ)系サービス) | ||
短期入所生活介護/ 短期入所療養介護 |
− 6万人分 (ショートステイ専用床) |
4,785千週 9.6万人分 (短期入所生活介護専用床) |
注:短期入所療養介護については、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設の空床により提供される。 | ||
(施設系サービス) | ||
介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) |
29万人分 | 36万人分 |
介護老人保健施設 | 28万人分 | 29.7万人分 |
注:介護療養型医療施設については、
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(生活支援系サービス) | ||
痴呆対応型共同生活介護 (痴呆性老人グループホーム) |
− | 3,200か所 |
介護利用型軽費老人ホーム (ケアハウス) |
10万人分 | 10.5万人分 |
高齢者生活福祉センター | 400か所 | 1,800か所 |
平成11年12月19日
大蔵・厚生・自治3大臣により合意
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