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平成11年10月22日
( 情 報 提 供 )

「遺伝子解析による疾病対策・創薬等に関する研究における
生命倫理問題に関する調査研究」の実施について


【概要】
 厚生省では、平成12年度にミレニアム・プロジェクトとして、次のような目標に向けた研究を実施するため、予算を要求した。

(1) 国立がんセンターなどの国立高度専門医療センター及び国立医薬品食品衛生研究所などの国立試験研究機関において、痴呆、がんなどの高齢者に多い疾病に関連する遺伝子、薬剤に対する反応の程度の違いに関連する遺伝子、を解析。これにより、画期的な治療技術の確立や創薬等をめざす。
(2) 生命工学技術を用い、皮膚、骨などの人の組織・器官を培養する技術の向上を図る。これにより、寝たきりの要因となる骨折、寝たきりにより生ずる床ずれなどの治療水準の向上をめざす。

 この研究では、多くの人の体から生体試料の提供を受け、遺伝子に関する情報等を収集することが必要である。また、この生体試料や情報は、実施機関相互に交換することが研究の促進に有効である。
 しかしながら、生命倫理の観点から、人の生体試料の授受の際には、適切な情報提供と同意(インフォームド・コンセント)を徹底する必要がある。また、個人情報の保護が、それぞれの実施機関において適正かつ統一的に行われる必要がある。

 このため、今般、この研究の実施に当たって、生命倫理や個人情報保護の観点から守るべき条件を検討し、厚生省としての方針を国民に早急に明らかにするため、調査研究を行うこととした。


別添

「遺伝子解析による疾病対策・創薬等に関する研究における
生命倫理問題に関する調査研究」の実施について


1.研究費の位置づけ

 厚生科学研究費補助金 厚生科学特別研究事業
2.主任研究者
 国立がんセンター中央病院長 垣添忠生

3.検討課題

(1) 生体試料採取の際に得る患者・提供者の同意文書の内容と、その同意の取り方
(2) 生体試料の保管方法と、その廃棄方法
(3) 遺伝情報及び解析結果の保管方法と、その無名性確保の方法
(4) 過去に採取した同意を得ていない生体試料の取扱い方法
(5) 生体試料、遺伝情報及び解析結果の譲渡方法(研究者間)
(6) その他

4.実施体制

 本研究の実施にあたっては国立高度専門医療センターや国立試験研究機関等の長、生命倫理に関する有識者等からなる検討委員会(名簿参照)を設ける。また、具体的な作業を実施するため、検討委員会に作業委員会(座長:国立がんセンター研究所副所長 山口健)を設ける。

5.その他

(1) 第1回の検討委員会は、11月上旬開催予定。
(2) 本調査研究の終了後、厚生科学審議会の検討を経て、来年3月を目途に、厚生省としての方針を取りまとめる予定。

(注) 皮膚、骨、神経などの人の組織・器官の採取・培養・保存等の研究における生命倫理問題についても検討の対象とするが、ヒト組織バンクの運営及び譲渡に関する事項は本研究の対象としない。


検討委員会名簿

  雨宮 浩(あめみや ひろし) 国立小児病院小児医療研究センター長
  位田隆一(いだ りゅういち) 京都大学大学院法学研究科教授
  宇都木伸(うつぎ しん) 東海大学法学部法律学科教授
垣添忠生(かきぞえ ただお) 国立がんセンター中央病院長
  金澤一郎(かなざわ いちろう) 東京大学医学部教授(臨床神経精神医学)
  木谷健一(きたに けんいち) 国立療養所中部病院長寿医療研究センター長
  島崎修次(しまざき しゅうじ) 杏林大学医学部教授(救急医学)
  竹田美文(たけだ よしふみ) 国立感染症研究所長
  寺尾允男(てらお ただお) 国立医薬品食品衛生研究所長
  埜中征哉(のなか いくや) 国立精神・神経センター武蔵病院長
  福島義光(ふくしま よしみつ) 信州大学医学部教授(衛生学)
  眞崎知生(まさき ともお) 国立循環器病センター研究所長
  矢崎義雄(やざき よしお) 国立国際医療センター病院長
  山口 建(やまぐち けん) 国立がんセンター研究所副所長

(五十音順 ◎は委員長)


連絡先
厚生省大臣官房厚生科学課
 担当 尾崎(内線3807)
    菊池(内線3813)
 電話 [現在ご利用いただけません](代表)
    03-3595-2171(直通)


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