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平成11年8月2日

厚生科学研究「母乳中のダイオキシン類に関する調査」結果概要

[ポイント]

1 母乳中のダイオキシン類濃度等に関する調査研究

○ 平成10年度に出産後30日目の母乳について全国21地域で調査。
○ 母乳中のダイオキシン類(PCDD+PCDF)とCo−PCB12種類の平均 濃度(脂肪1g当たり)は、22.2pg-TEQ/g fat。
○ 母乳中のダイオキシン類等の濃度は、地域による違いがみられた。

図

○ 同一地域のデータでは、ダイオキシン類(PCDD+PCDF)とCo−PCB 3種類の濃度は平成9年度に比べ10年度は減少していた。
○ 有機塩素系化合物については、いずれも一日許容摂取量を大きく下回っていた。

2 母乳中のダイオキシン類濃度の経時的変化等に関する調査研究

○ 平成9年度から10年度にかけ、4都府県(埼玉県・東京都・石川県・大阪府) において出産後おおむね5日目、30日目、150日目、300日目の母乳を採取。
○ 母乳中のダイオキシン類(PCDD+PCDF)の平均濃度(脂肪1g当たり) は経時的に減少。

図

3 1歳児の健康影響調査

○ 平成9年度に母乳中のダイオキシン類の濃度測定を行った母親の母乳でほ育され た1歳児及び人工栄養で育てられた1歳児について、生後1年時に、採血を行い、 免疫機能、アレルギ−及び甲状腺機能を調査。
○ 1歳児の免疫機能、アレルギー及び甲状腺機能について、母乳栄養群と人工栄養 群との間に有意な差があるかどうか、また、母乳栄養群においてダイオキシン類の 推計摂取量とこれらの機能との間に相関があるかどうかについて解析。
[調査対象]
○平成9年度厚生科学研究による母乳中のダイオキシン類濃度測定に協力した母親の母乳でほ育され た1歳児80名のうち採血に協力した57名(うち2名は母乳を与えていなかったので人工栄養 とした扱った)及び、ほぼ人工栄養のみで育てられた1歳児30名で、合計87名。
[主な調査項目]
○免疫機能
・ウイルスなどを攻撃する細胞 ・・ CD3細胞[Tリンパ球]、CD8細胞[細胞障害性Tリンパ球]、CD16細胞[ナテュラルキラー細胞]
・抗体を産生する細胞 ・・ CD19細胞[Bリンパ球]
・抗体の産生を補助する細胞 ・・ CD4細胞[ヘルパーTリンパ球]
・血清免疫グロブリン(抗体) ・・ IgG、IgA、IgM
○アレルギー
・IgE、ハウスダスト、牛乳、卵白などに対する特異IgE抗体(RAST)
○甲状腺機能
・甲状腺ホルモン[細胞の発達をつかさどるホルモン] ・・ T3[トリヨードチロニン]、T4[サイロキシン]、
FT4、FT3
・甲状腺刺激ホルモン[甲状腺ホルモン分泌を刺激] ・・ TSH
○ 母乳でほ育された1歳児の免疫機能、アレルギー及び甲状腺機能の検査値の平均 はいずれも正常範囲内。また、CD3、CD4、CD16、血清免疫グロブリン等 の免疫機能、アレルギー及び甲状腺機能とダイオキシン類の推計摂取量との間に相 関はみられず、母乳中のダイオキシン類による1歳児の感染防御力、アレルギー、 甲状腺機能及び発育発達への影響はみられなかった。
○ 免疫機能であるCD8及びCD19については、ダイオキシン類の推計摂取量と の間にCD8では正の、CD19では負の統計的に弱い相関がみられたが、いずれ も正常範囲内での動きであり、母乳中のダイオキシン類による免疫グロブリン等の 1歳児の感染防御力への影響はみられなかった。
○ 今回の調査では、対象者数が少なく、かつ、ダイオキシン類の推計摂取量につい ても検討の余地があることから、今年度は調査件数を増やす(約400名)ととも に、調査結果の医学的、統計的評価等について検討を行うなどにより、ダイオキシ ン類と免疫機能、アレルギー及び甲状腺機能との関連について引き続き調査研究を 実施することとしている。

照会先: 厚生省児童家庭局母子保健課
課長補佐 北島(内3173)
福祉係長 青木(内3176)
主 査 武田(内3179)
(代表)[現在ご利用いただけません]
(直通)03-3595-2544


平成9〜10年度厚生科学研究「母乳中のダイオキシン類に関する調査」結果概要

I 母乳中のダイオキシン類濃度等に関する調査研究

1 目的

全国各地域において、母乳中のダイオキシン類(PCDD+PCDF)、コプラナーPCB及び有機塩素系化合物(ヘキサクロロシクロヘキサン、DDT、ディルドリン、ヘプタクロルエポキシド、クロルデン)の濃度を測定する。 また、居住環境や喫食状況等がダイオキシン類等の濃度に与える影響を与える因子を探る。

2 調査計画

A. 実施期間; 平成10年度
B. 対象地域; 岩手県、宮城県、秋田県、茨城県、群馬県、千葉県、神奈川県(藤沢市、相模原市)、新潟県、石川県、山梨県、静岡県、愛知県、大阪府、島根県、広島県、山口県、福岡県、熊本県、沖縄県、横浜市、の合計21地域.
C. 調査対象者; 各調査対象地域において、次のa)〜d)のすべてに該当する者のうち原則25〜29歳の者10名、30〜34歳の者10名の合計20名(石川県は10名、横浜市は25名)。

a)第1子出産直後の授乳婦
b)原則として調査対象地域に10年以上居住しており、1年以内に転居予定のない者とするが、 該当者が少ない場合等については、地域の実情により居住期間を別途考慮する。
c)健康に異常のみられない者
d)本研究に協力が得られる者

D. 母乳の採取

出産後30日目の母乳を採取。合わせて、母親の居住歴、職歴、食習慣等に関するアンケート調査を実施する。

3 調査結果

 母乳中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの脂肪1gあたりの平均濃度(表1)は、22.2pg-TEQ/g fatであったが、地域による違いがみられた。
 また、同一地域(石川県、大阪府)における母乳脂肪1g中のダイオキシン類とコプラナーPCB3種類を加えた濃度は、平成9年度に比べ平成10年度の方が低かった。
 母乳中の有機塩素系化合物の濃度等(表2)については、いずれも一日許容摂取量を下回っていた。ただし、クロルデンについては、一部に一日摂取許容量を上回る者がみられた。
 なお、母乳中のダイオキシン類等の濃度と居住環境や喫食状況等との関連については、現在、とりまとめを行っているところである。

II 母乳中のダイオキシン類濃度の経時的変化等に関する調査研究

1 目的

出産後300日までの間に、母乳中のダイオキシン類濃度等を4回測定することにより、母乳中のダイオキシン類濃度等の経時的変化を調べ、母乳を通じて新生児、乳児に移行するダイオキシン類の量を推計するための基礎資料を得る。

2 調査計画

A. 実施期間;平成9年度〜10年度

B. 対象地域;埼玉県・東京都・石川県・大阪府の4都府県

C. 調査対象者;各調査対象地区において、次のa)〜d)のすべてに該当する者のうち25〜29歳 の者10名、30〜34歳の者10名。

a)第1子出産直後の授乳婦
b)原則として調査対象地域に10年以上居住しており、1年以内に転居予定のない者とするが、 該当者が少ない場合等については、地域の実情により居住期間を別途考慮する。
c)健康に異常のみられない者
d)本研究に協力が得られる者

D. 母乳の採取;出産後おおむね5日目、30日目、150日目、300日目の母乳を採取。

3 調査結果

 本調査研究においては、各地域の調査対象者数を10人としているが、途中で母乳が出なくなるなど母乳のみから人工乳や混合栄養に切り替える者もおり、第1回目(出産後5日)から第4回目(出産後300日)の検体数、脂肪濃度、PCDD+PCDF及びCo−PCB3種類の濃度等は表3のとおりであった。

III 1歳児の健康影響調査

1 目的;母乳を介して摂取したダイオキシン類が1歳児に与える健康影響の有無等について 検討する。

2 調査計画

A. 実施期間;平成10年度

B. 調査対象者;平成9年度厚生科学研究「母乳中のダイオキシン類に関する研究」に参加し, 母乳中のダイオキシン類濃度等の測定に協力してくれた母親の母乳で哺育された1 歳児(母乳栄養群)80名および対照としてほぼ人工栄養のみで育てられた1歳児 (人工栄養群)30名。人工栄養群については、人工栄養中のダイオキシン類濃度が ごく微量のため、ダイオキシン類の推計摂取量は母乳栄養群に比べて無視できる程 度である。なお、母乳栄養群のうち、採血への協力が得られた1歳児は57名で、そ のうち2例は母乳の測定は行ったが、母乳を与えていなかったので人工栄養群に加 えた。この結果、母乳栄養群は55名、人工栄養群は32名となった。

C. 調査方法;1歳時に、発達、健康診査を行うと同時に採血を行い、ダイオキシン類の推計 摂取量や母乳栄養と免疫機能、アレルギ−及び甲状腺機能との関連を検討した。

3 調査結果

A. 免疫機能及びアレルギ−

a)母乳栄養群と人工栄養群の免疫機能及びアレルギ−の比較(表4−1
・Tリンパ球系(CD3、CD4、CD8の各細胞の割合、CD4/CD8比)、ナチュラ ルキラ−細胞(CD16細胞)の割合、リンパ球の幼若化反応、血清免疫グロブリン値
(IgG、IgA、IgM)、IgE、ハウスダスト、牛乳、卵白に対する特異IgE抗体について は、両群間に有意な差はなかった。
・Bリンパ球(CD19細胞)の割合は、人工栄養群に比べて母乳栄養群で低値を示したが、 両群とも正常範囲であった。
b)ダイオキシン類の推計摂取量と免疫機能及びアレルギ−の関連(表4−2
・CD3、CD4、CD16の各細胞の割合、リンパ球の幼若化反応、IgG、IgA、IgM、
IgE値と推計摂取量との間に相関はなかった。
・細胞障害性Tリンパ球(CD8細胞)とダイオキシン類の推計摂取量とは弱い相関を示し、 推計摂取量が増えるとCD8細胞の割合がわずかに増加する傾向がみられたが、正常範囲 内の動きであった。
・CD19細胞の割合は、推計摂取量と弱い逆相関を示し、ダイオキシン類の推計摂取量が増 加するとCD19細胞の割合が低下する傾向がみられたが、正常範囲内での動きであった。

B. 甲状腺機能

a)母乳栄養群と人工栄養群の甲状腺機能の比較(表5−1
・甲状腺ホルモン(T3、T4、FT4)値は正常で両群間に差は無く、自己抗体は全例陰 性であった。
・甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の平均値は人工栄養群に比べ母乳栄養群でわずかに増加 していたが、母乳栄養群、人工栄養群ともに正常範囲内にあった。
b)ダイオキシン類の推計摂取量と甲状腺機能の関連(表5−2
・ダイオキシン類の推計摂取量と甲状腺機能との間に相関関係はみられなかった。

4 考察

A. 免疫機能及びアレルギ−

 ダイオキシン類の推計摂取量が増加するとCD8細胞の割合がわずかに増加する傾向がみられたが、1)母乳栄養群と人工栄養群との間に有意差を認めないこと、2)主にTリンパ球の1つの機能であるPHAに対する幼若化反応も変化しないこと、3)推計摂取量の一部の指標では、相関を認めないこと、4)いずれも正常範囲内での動きであることから、この成績からダイオキシン類の摂取量とTリンパ球との関連について統計的、医学的に十分な結論を得ることはできなかった。
 ダイオキシン類の推計摂取量が増加するとCD19細胞の割合が低下し、さらに母乳栄養群は人工栄養群に比してCD19細胞の割合が低値を示したが、1)いずれも正常範囲内での動きであること、2)Bリンパ球の最も重要な機能である免疫グロブリンの産生状況を示す血清IgG、IgA、IgM値がいずれも正常範囲内にあり、ダイオキシン類の推計摂取量とは相関を示さないこと、3)血清IgG、IgA、IgM値については母乳栄養群と人工栄養群との間に有意な差を認めないことから、ダイオキシン類の摂取量や母乳栄養と乳幼児のCD19細胞との関連について統計的、医学的に十分な結論を得ることはできなかった。
また、CD16細胞や、アレルギ−の指標であるIgEや特異IgE抗体については、ダイオキシン類の推計摂取量との相関や母乳栄養群と人工栄養群の間の有意差は認められなかった。

B.甲状腺機能

 母乳栄養群は人工栄養群に比べて血清TSH値がわずかに高いが、両群間の甲状腺ホルモン値(T3、T4、FT4)には有意差は認められず、また、ダイオキシン類の推計摂取量とTSH及び甲状腺ホルモン値との間に相関がみられないことから、母乳中のダイオキシン類による影響とは考えにくく、血清TSH値に差がみられる理由は不明であった。

C.結論

 今回の調査研究において、甲状腺機能とダイオキシン類の推計摂取量との間に相関関係はみられなかった。免疫機能の一部の検査結果でダイオキシン類の推計摂取量との相関や母乳栄養群と人工栄養群の間に有意差が認められたものがあったが、いずれも正常範囲内での動きであり、1歳児の感染防御力やアレルギー、発育発達への影響はみられなかった。
 今回の調査研究は対象者数が少なく、統計的、医学的な評価について十分な結論を得ることはできなかったため、今後、さらに推定摂取量の算定方法について検討を行うとともに、調査件数を増やし、ダイオキシン類が1歳児の健康に与える影響の有無について引き続き調査研究を実施することとしている。
pg: ピコグラム、1gの1兆分の1の量、10−12g
TEQ: Toxic Equivalents(毒性等量)
ダイオキシン類のそれぞれの毒性を2,3,7,8-TCDDに換算して合計したものなお、本報告では、PCDDとPCDFをダイオキシン類としている。
2,3,7,8-TCDD:2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin
PCDD: polychlorinated dibenzo-p-dioxin
PCDF: polychlorinated dibenzofuran
Co−PCB:Coplanar PCB

参考資料

1 免疫機能及びアレルギ−

○人の免疫系(感染などに対する抵抗力)は、大きく細胞性免疫と液性免疫に分けられる。

○人の血液中に存在する細胞は赤血球、白血球、血小板などがあり、白血球は顆粒球とリンパ球に分けられる。リンパ球は人の免疫の中心的役割を演じており、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラ−(NK)細胞などがある。このうち割合の大きいものはTリンパ球で、これにはさらにヘルパ−Tリンパ球、細胞障害性Tリンパ球などが含まれる。これらのリンパ球が主として細胞性免疫に働く。

○液性免疫の中心は、抗体である免疫グロブリンでIgG、IgA、IgMなどの種類がある。これらはBリンパ球から産生されるが、ヘルパ−Tリンパ球の補助を受けている。

○アレルギ−の指標としてはIgE、ハウスダスト、牛乳、卵白などに対する特異IgE抗体
(RAST、ラスト)がある。

○CD3細胞(基準値58〜84%):Tリンパ球全体

○CD4細胞(基準値25〜56%):ヘルパ−Tリンパ球。Bリンパ球が抗体である免疫グロブリン(IgG、IgA、IgMなど)を産生するのを補助する役割を持つ。その他種々のサイトカイン(リンパ球や単球、マクロファージなどから産生される生理活性物質の総称)を産生して細胞性免疫にも働く。

○CD8細胞(基準値17〜44%):細胞障害性Tリンパ球。キラ−T細胞、サイトトキシックT細胞とも言われ、従来はサプレッサーT細胞とも言われた。ウイルス感染細胞や移植細胞や癌細胞を障害して自分を守る役割を持つ。

○CD4/CD8比(基準値0.6〜2.9):CD4細胞とCD8細胞の割合

○CD16細胞(基準値5〜37%):ナチュラルキラ−(NK)細胞。CD8細胞に類似の役割を持つが、CD8細胞よりも原始的な要素を持つ(感作されなくても働く)。

○CD19細胞(基準値5〜24%):Bリンパ球。抗体である免疫グロブリン(IgG、IgA、IgMなど)を産生する役割を持つ。

○PHAによるリンパ球幼若化反応:Tリンパ球がPHA(ヘムアグルチニン)という物質に対して幼若化反応(増殖反応)を示す。その程度をみることにより、Tリンパ球の1つの機能をみる。

○IgG、IgA、IgM:抗体である免疫グロブリンの種類。液性免疫に働く。すなわち細菌や、ウイルスに対して抵抗する重要な物質である。

○IgEと特異IgE:いずれもアレルギ−の重要な物質。Bリンパ球から免疫グロブリンの1つとして産生される。アレルギーの人では高値を示すことが多い。IgEは全体の量を示す。このうちハウスダスト、牛乳、卵白などの各アレルゲンに対するIgEをそれぞれに対する特異IgEといってRAST(ラスト)という方法で測定しラストスコアで示す。それぞれのアレルギ−の人では多くの場合高値を示す。

2 甲状腺機能

○甲状腺系は間脳(視床下部)−下垂体−甲状腺系から成る構造を有し、各々から視床下部から出る甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、下垂体から放出される甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(T3,T4)が合成、分泌されている。その各々の濃度は主に、下記のネガティブフィ−ドバック機構により、一定の値(恒常性)を保つように調節されている。

○甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone(TSH)):脳下垂体TSH産生細胞から分泌される糖蛋白ホルモンで、甲状腺に作用して甲状腺ホルモンの合成分泌を刺激する。

○甲状腺ホルモン:甲状腺から分泌されるホルモンでサイロキシン(T4)、トリヨ−ドチロニン(T3)からなる。T4は脱ヨード化酵素によりT3に変換した後に作用する。甲状腺ホルモンは血清中で、サイロキシン結合蛋白(TBG)等の結合蛋白と結合して存在している。結合していない甲状腺ホルモンはフリ−T4(FT4)、フリ−T3(FT3)と呼ばれ、結合蛋白の影響がない状態でより正確に甲状腺機能を表していると考えられる。

○ネガティブフィ−ドバック:甲状腺ホルモンを含め、ホルモンは強い生物作用を有している。この過不足はいろいろな症状を現し、生体に影響を及ぼす。生体はホルモンの値を一定に保つための調節機構を持っており、その代表的なものがネガティブフィ−ドバック機構である。甲状腺を例に取ると、甲状腺自体が何らかの影響で甲状腺ホルモンを作れなくなると、血清中の甲状腺ホルモンの濃度は低下する。この情報は間脳−下垂体に伝わり、甲状腺ホルモンの合成を促進すべくTSHの分泌が高くなる。逆に、甲状腺ホルモンが過剰に産生され、血清甲状腺ホルモン値が上昇する。この情報が間脳−下垂体に伝わり、甲状腺ホルモン合成を抑制するようにTSHの分泌が低下する。

○BMI:Body Mass Indexの略で、肥満の判定に用いられる体格指数。BMI=体重Kg/(身長m)2 で求められる。日本肥満学会では、BMI=22を標準体重としており、+10〜20%未満を過体重、+20%以上を肥満としている。

ヘキサクロロシクロヘキサン(BHCの総称:γ−BHCが農薬として登録されていた)

登 録:昭和24年 2月24日
失 効:昭和46年12月30日
種 類:有機塩素系殺虫剤
毒 性:劇物(1.5%以下を含むものを除く)
ADI:0.0125mg/kg/日(γ−BHC)
別用途:殺虫剤
BHCの総称であり、α−、β−、γ−、δ−の4種異性体がある。農薬としてのBHC はγ−異性体のことである。環境や作物への残留、人体への蓄積による慢性毒性が問題とな り、昭和46年に作物残留性農薬に指定。急性毒性はγ>α>δ>βの順だが、慢性毒性は β>α>γ>δの順であり、特にβ−体は化学的にも安定で、農産物や環境中への残留性が 高く、動植物体内に蓄積されやすい。

DDT

登 録:昭和23年 9月27日
失 効:昭和46年 5月 1日
種 類:有機塩素系殺虫剤
毒 性:劇物
ADI:0.005mg/kg/日
別用途:殺虫剤
体内に蓄積されやすい。昭和46年に農薬取締法に基づく販売禁止。昭和56年10月に 化審法により第1種特定化学物質に指定され、環境への流出を防止する見地から製造・輸入 ・使用を原則禁止。

ディルドリン

登 録:昭和29年 6月 3日
失 効:昭和50年 6月 1日
種 類:有機塩素系殺虫剤
毒 性:劇物
ADI:0.0001mg/kg/日
別用途:殺虫剤、羊毛防虫剤
土壌中でも安定で残留性が大きい。昭和46年に土壌残留性農薬に指定。昭和56年
10月化審法により第1種特定化学物質に指定され、環境への流出を防止する見地から製造 ・輸入・使用を原則禁止。

ヘプタクロルエポキシド(ヘプタクロルの酸化物:ヘプタクロルが農薬として登録されてい た)

登 録:昭和32年 4月24日
失 効:昭和50年 5月 4日
種 類:有機塩素系殺虫剤
毒 性:劇物普通物(昭和58年に劇物(6%以下を除く))
ADI:0.0005mg/kg/日
酸、アルカリに安定。光、湿気、空気にも安定。土壌中での残留性はアルドリンと同程度。 動植物体内ではヘプタクロルエポキシドに変化する。

クロルデン

登 録:昭和25年 9月18日
失 効:昭和43年12月17日
種 類:有機塩素系殺虫剤
毒 性:普通物(昭和58年に劇物(6%以下を除く))
ADI:0.001mg/kg/日
別用途:シロアリ駆除剤
水に不溶。アルカリにより分解。昭和61年化審法により第1種特定化学物質に指定され、 環境への流出を防止する見地から製造・輸入・使用を原則禁止。

(参考)クロルデン類を含む木材用防腐剤及び防虫剤について

クロルデンについては、昭和61年に第1種特定化学物質に指定した際、通産省の指導に よりクロルデン含有製品の販売が中止され、また既に販売したものについても回収が図られ た。
さらに、回収後の製品は、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として各社が同法の保管基 準に従って適正に保管することとされている。
出典:農薬ハンドブック、環境庁国立環境研究所環境情報センターホームページ他
今回報告された調査研究結果は、平成9〜10年度にかけて厚生科学研究費補助金により実施された。研究課題名と研究者は次のとおり。

1 平成9年度

厚生科学研究費特別研究事業
「母乳中のダイオキシン類に関する研究」
主任研究者 多田 裕 東邦大学医学部新生児学教室教授
分担研究者 森田昌敏 国立環境研究所統括研究官
中村好一 自治医科大学公衆衛生学教室助教授
田中 卓 埼玉県健康福祉部
吉田健治 東京都生活環境部
林 正男 石川県厚生部
高山佳洋 大阪府環境保健部

2 平成10年度

(1)厚生科学研究費補助金生活安全総合研究事業

「母乳中のダイオキシン類に関する研究」
主任研究者 多田 裕 東邦大学医学部新生児学教室教授
分担研究者 中村好一 自治医科大学公衆衛生学教室助教授
近藤直実 岐阜大学医学部小児科学教室教授
松浦信夫 北里大学医学部小児科学教室教授
森田昌敏 国立環境研究所統括研究官

(2)厚生科学研究費補助金生活安全総合研究事業

「内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の暴露に関する調査研究」
主任研究者 中澤裕之 星薬科大学薬品分析化学教室教授
分担研究 「母乳中の内分泌かく乱化学物質と乳児の健康影響に関する研究」
分担研究者 松浦信夫 北里大学医学部小児科学教室教授
研究協力者 近藤直実 岐阜大学医学部小児科学教室教授
多田 裕 東邦大学医学部新生児学教室教授
中村好一 自治医科大学公衆衛生学教室助教授
森田昌敏 国立環境研究所統括研究官


表1 母乳中のダイオキシン類濃度
平成10年度
試 料 検体数 脂肪含量  TEQ(脂肪当たり)    pg-TEQ/g       TEQ(母乳100g当たり)    pg-TEQ/100gmilk     
ダイオキシン類,Co-PCBs(12種)    ダイオキシン類,Co-PCBs(3種)    ダイオキシン類,Co-PCBs(12種)    ダイオキシン類,Co-PCBs(3種)   
PCDDs+PCDFs Co-PCBs 合 計 PCDDs+PCDFs Co-PCBs 合 計 PCDDs+PCDFs Co-PCBs 合 計 PCDDs+PCDFs Co-PCBs 合 計
岩手県 20.0 3.7 9.1 8.4 17.6 9.1 5.5 14.5 33.4 30.8 64.6 33.4 20.1 53.4
宮城県 20.0 4.7 11.1 9.4 20.5 11.1 6.0 17.1 51.6 43.8 95.3 51.6 27.9 79.6
秋田県 20.0 3.6 9.2 10.4 19.7 9.2 6.9 16.1 33.6 37.8 71.6 33.6 25.2 58.5
茨城県 20.0 3.9 13.2 9.7 23.0 13.2 5.8 19.0 51.9 38.3 90.4 51.9 22.9 75.0
群馬県 20.0 3.5 13.7 9.3 23.0 13.7 5.6 19.3 48.5 32.9 81.1 48.5 19.7 68.0
千葉県 20.0 3.4 13.1 10.8 23.9 13.1 6.8 19.9 45.2 37.3 82.3 45.2 23.4 68.4
神奈川県1 20.0 3.7 14.3 11.3 25.6 14.3 7.2 21.5 52.2 41.4 93.6 52.2 26.3 78.6
神奈川県2 20.0 4.1 14.1 10.5 24.7 14.1 6.6 20.7 58.1 43.4 101.6 58.1 27.1 85.0
新潟県 20.0 3.6 10.4 9.1 19.6 10.4 5.7 16.2 37.6 32.8 70.8 37.6 20.6 58.6
石川県 10.0 3.6 8.4 6.9 15.3 8.4 4.3 12.6 29.9 24.6 54.7 29.9 15.2 45.1
山梨県 20.0 4.5 13.7 9.9 23.7 13.7 6.2 20.0 61.2 44.4 105.9 61.2 27.9 89.3
静岡県 20.0 3.7 12.7 11.5 24.3 12.7 7.1 19.8 46.9 42.3 89.4 46.9 26.1 73.1
愛知県 20.0 4.2 13.4 9.6 23.1 13.4 5.8 19.3 57.1 40.8 98.1 57.1 24.6 81.9
大阪府 20.0 3.9 14.5 10.7 25.3 14.5 6.7 21.3 56.2 41.6 98.0 56.2 26.1 82.3
島根県 20.0 4.1 16.0 13.5 29.5 16.0 8.2 24.3 65.2 55.1 120.3 65.2 33.4 99.3
広島県 20.0 4.2 13.3 10.6 24.0 13.3 6.3 19.6 56.3 44.8 101.3 56.3 26.7 82.9
山口県 20.0 3.7 12.1 10.7 22.8 12.1 6.5 18.7 45.3 40.0 85.4 45.3 24.3 69.9
福岡県 20.0 3.9 12.1 11.4 23.6 12.1 6.9 19.1 47.7 44.7 92.6 47.7 27.3 74.9
熊本県 20.0 3.8 11.8 9.9 21.8 11.8 5.6 17.5 44.7 37.5 82.7 44.7 21.2 66.5
沖縄県 20.0 4.0 6.4 7.0 13.4 6.4 4.3 10.7 25.9 28.1 54.0 25.9 17.6 43.5
横浜市 25.0 3.5 13.5 9.7 23.2 13.5 6.2 19.8 46.8 33.5 80.4 46.8 21.5 68.6
平均 計415 3.9 12.2 10.0 22.2 12.2 6.2 18.4 47.3 38.8 86.3 47.3 24.0 71.4
 
平成9年度
石川 19 4.0       13.0 11.9 24.9       52.1 47.6 100.1
埼玉 14 4.0       14.9 9.5 24.5       59.0 37.5 97.1
東京 19 3.4       15.8 9.3 25.1       53.4 31.4 85.0
大阪 20 3.9       15.6 9.0 24.7       60.5 35.1 95.9
 神奈川1:藤沢市
 神奈川2:相模原市

 

表2 母乳中の有機塩素系化合物濃度

試料 検体数 脂肪濃度(%) ヘキサクロロシクロヘキサン   DDT ディルドリン ヘプタクロルエポキシド   クロルデン
実測濃度 脂肪当り 実測濃度 脂肪当り 実測濃度 脂肪当り 実測濃度 脂肪当り 実測濃度 脂肪当り
岩手県 20 3.68 3.04 84.00 6.06 169.00 0.15 4.12 0.17 4.71 1.17 31.55
宮城県 20 4.65 3.93 79.85 9.17 189.40 0.22 4.70 0.25 5.37 2.11 46.05
秋田県 20 3.64 4.12 108.90 6.72 186.90 0.17 4.86 0.22 5.84 1.67 46.30
茨城県 20 3.94 4.04 103.25 7.66 190.35 0.14 3.76 0.23 5.98 2.22 58.35
群馬県 20 3.53 2.63 77.85 5.82 171.20 0.13 4.14 0.25 7.29 2.01 60.05
千葉県 20 3.45 3.67 100.00 7.08 196.60 0.17 4.81 0.19 5.58 2.31 65.10
神奈川県1 20 3.66 3.18 86.85 7.12 199.70 0.15 4.19 0.21 5.80 2.77 77.90
神奈川県2 20 4.12 5.19 128.15 8.11 202.05 0.25 6.44 0.29 7.19 2.93 72.30
新潟県 20 3.62 3.97 108.55 6.76 195.65 0.31 8.39 0.23 6.27 1.87 51.85
石川県 10 3.57 3.47 98.40 5.08 153.40 0.15 4.09 0.17 4.18 1.20 32.90
山梨県 20 4.48 2.53 57.25 6.12 135.00 0.19 4.22 0.33 7.45 4.06 95.35
静岡県 20 3.69 3.84 113.50 5.68 165.10 0.18 5.15 0.25 7.31 2.59 69.15
愛知県 20 4.25 6.37 146.95 7.37 176.05 0.16 3.75 0.26 6.13 2.22 53.35
大阪府 20 3.88 9.90 230.95 7.07 180.05 0.19 4.87 0.23 5.94 2.37 61.65
島根県 20 4.09 4.74 117.20 7.99 198.50 0.15 3.71 0.21 5.40 2.75 69.80
広島県 20 4.23 7.24 176.35 6.66 166.85 0.20 4.72 0.25 5.98 2.92 72.50
山口県 20 3.74 7.47 221.80 9.91 282.25 0.16 4.64 0.25 6.90 3.43 88.45
福岡県 20 3.93 7.26 184.25 8.31 213.65 0.13 3.08 0.16 4.18 3.92 91.90
熊本県 20 3.80 9.61 243.60 11.19 280.75 0.13 3.76 0.17 5.01 2.34 67.00
沖縄県 20 4.05 4.58 116.80 9.15 241.60 0.21 5.95 0.33 9.67 7.23 219.90
横浜市 25 3.46 3.12 90.44 5.38 159.56 0.15 4.23 0.24 6.62 2.70 77.44
平均 計415 3.88 5.06 127.63 7.38 193.58 0.18 4.65 0.23 6.18 2.74 72.86

神奈川1:藤沢市
神奈川2:相模原市

注:1. 実測濃度:母乳当りの有機塩素系化合物濃度(ng/g,whole basis)
  2. 脂肪当り:脂肪当りの有機塩素系化合物濃度(ng/g,fat basis)
  3. ヘキサクロロシクロヘキサン:α-HCH,β-HCH,γ-HCH及びδ-HCHの合量
  4. DDT:p,p’-DDE,p,p’-DDD,o,p’-DDT及びp,p’-DDTの合量
  5. クロルデン:trans-クロルデン,cis-クロルデン,trans-ノナクロル,cis-ノナクロル及びオキシクロルデンの合量

 

(参考資料1)

大阪府における初産婦の母乳中有機塩素系化合物濃度の年平均値の推移
−乳脂肪中濃度算術平均値−

            
年度
(year)
平均年齢
(years)
試料数
(人数)
平均脂肪含量
(%)
T-BHC T-DDT CHL HCE Diel
1972 25.0 12 2.62 5.430 2.220
1973 24.9 22 3.24 3.520 2.990 0.093
1974 25.1 12 3.00 6.810 3.650 0.090
1975 25.4 11 3.27 4.900 2.660 0.062
1976 25.5 11 2.85 4.070 4.000 0.075
1977 25.8 11 3.27 2.600 2.100 0.047
1978 25.6 9 2.96 3.210 2.240 0.074
1979 26.0 10 3.37 2.730 2.300 0.033
1980 26.0 39 3.23 2.570 2.170 0.033
1981 27.3 29 3.32 2.680 2.340 0.030
1982 26.0 25 3.26 2.240 2.620 0.028
1983 26.2 0  
1984 26.4 0  
1985 26.6 0  
1986 26.7 53 3.38 1.618 1.270 0.1187 0.0346
1987 26.7 55 3.62 1.287 1.090 0.1196 0.0248
1988 25.7 55 3.74 1.672 1.138 0.1013 0.0187
1989 26.6 55 3.83 1.347 0.951 0.0886 0.0124
1990 25.5 58 3.82 0.986 0.639 0.0682 0.0134
1991 26.9 60 4.26 0.854 0.688 0.0691 0.0094
1992 26.8 60 3.78 0.763 0.528 0.0619 0.0104
1993 27.0 58 3.99 0.442 0.644 0.0963 0.0126
1994 26.2 61 4.09 0.473 0.459 0.0882 0.0118
1995 27.0 59 3.68 0.316 0.374 0.0729 0.0146
1996 27.5 57 3.74 0.270 0.283 0.0658 0.0079
1997 27.6 47 3.52 0.209 0.318 0.0700 0.0083
            
注:1. 脂肪当りの有機塩素系化合物濃度(μg/g,fat basis) μg=103ng
  2. T-BHC:ヘキサクロロシクロヘキサン
  3. T-DDT:DDT
  4. CHL:クロルデン
  5. HCE:ヘプタクロルエポキシド
  6. Diel:ディルドリン

 

(参考資料2)

大阪府における初産婦の母乳中有機塩素系化合物濃度の年平均値の推移
−乳脂肪中濃度算術平均値−

図

図

 

(参考資料3)

大阪府における初産婦の母乳中有機塩素系化合物濃度の年平均値の推移
−全乳中濃度算術平均値−
            
年度
(year)
平均年齢
(years)
試料数
(人数)
平均脂肪含量
(%)
T-BHC T-DDT CHL HCE Diel
1972 25.0 12 2.62 142.0 67.00
1973 24.9 22 3.24 114.0 102.00 2.90
1974 25.1 12 3.00 204.0 103.00 2.80
1975 25.4 11 3.27 160.0 81.00 2.00
1976 25.5 11 2.85 116.0 109.00 2.10
1977 25.8 11 3.27 85.0 65.00 1.60
1978 25.6 9 2.96 95.0 64.00 2.20
1979 26.0 10 3.37 92.0 77.00 1.10
1980 26.0 39 3.23 83.0 64.00 1.00
1981 27.3 29 3.32 89.0 84.00 1.00
1982 26.0 25 3.26 73.0 85.00 0.90
1983 26.2 0  
1984 26.4 0  
1985 26.6 0  
1986 26.7 53 3.38 54.77 44.40 4.14 1.203
1987 26.7 55 3.62 46.61 38.62 4.26 0.886
1988 25.7 55 3.74 62.50 39.93 3.44 0.650
1989 26.6 55 3.83 51.59 36.12 3.41 0.478
1990 25.5 58 3.82 37.65 24.12 2.51 0.511
1991 26.9 60 4.26 36.43 30.12 2.82 0.361
1992 26.8 60 3.78 28.85 19.84 2.33 0.389
1993 27.0 58 3.99 17.62 25.40 3.64 0.494
1994 26.2 61 4.09 19.32 18.73 3.85 0.482
1995 27.0 59 3.68 11.66 13.95 2.80 0.565
1996 27.5 57 3.74 10.09 10.68 2.44 0.297
1997 27.6 47 3.52 7.35 11.77 2.60 0.306
            
注:1.母乳当りの有機塩素系化合物濃度(ng/g,whole basis) μg=103ng            
2. T-BHC:ヘキサクロロシクロヘキサン
3. T-DDT:DDT
4. CHL:クロルデン
5. HCE:ヘプタクロルエポキシド
6. Diel:ディルドリン

 

(参考資料4)

大阪府における初産婦の母乳中有機塩素系化合物濃度の年平均値の推移
−全乳中濃度算術平均値−


図

図

 

表3 母乳中のダイオキシン類濃度の経時的変化

測定回 項目 採乳日数 脂肪濃度(%) TEQ(PCDDs+PCDFs)pg/g fat TEQ(Co-PCB)pg/g fat TEQ(total)pg/g fat TEQ(PCDDs+PCDFs)pg/100g milk TEQ(Co-PCB)pg/100g milk TEQ(total)pg/100g milk
第1回 観察数 80 80 80 80 80 80 80 80
  平均 5.2 3.0 17.3 11.1 28.4 49.7 32.0 81.9
  標準偏差 2.0 1.4 7.7 7.3 12.7 25.2 23.7 44.0
  中央値 5 2.9 16.0 8.9 25.0 46.0 23.0 71.1
                   
第2回 観察数 72 72 72 72 72 72 72 72
  平均 31.1 3.8 14.8 9.9 24.8 54.5 36.8 91.7
  標準偏差 3.8 1.2 6.1 5.2 9.5 21.9 23.1 39.6
  中央値 30 3.6 14.0 8.2 23.0 51.5 30.8 82.1
                   
第3回 観察数 45 45 45 45 45 45 45 45
  平均 151.4 3.8 14.0 7.0 21.0 51.6 25.6 77.2
  標準偏差 3.6 1.9 4.2 3.9 7.4 29.4 22.4 48.3
  中央値 151 3.5 13.0 6.0 19.0 42.9 18.9 61.2
                   
第4回 観察数 25 25 25 25 25 25 25 25
  平均 303.0 3.7 11.9 6.2 18.1 43.4 22.6 66.2
  標準偏差 6.9 1.5 4.3 3.6 7.4 22.1 13.4 34.3
  中央値 303 3.2 10.0 5.7 18.0 36.0 19.8 58.0
          
(注)Co-PCB : 3,3'4,4'-T4CB, 3,3'4,4'5-P5CB, 3,3'4,4'5,5'-H6CB

 

表4−1 母乳栄養群と人工栄養群の免疫機能及びアレルギーの比較
   
   CD3(%) CD4(%) CD8(%) CD4/CD8比 CD19(%) CD16(%) IgG(mg/dl) IgA(mg/dl) IgM(mg/dl) IgE(RIST)(U/ml)<5.0=5.0
母乳群 平均 71.0 48.2 23.4 2.3 14.5 11.1 675.1 37.1 102.7 35.6
標準偏差 8.0 8.2 6.6 0.9 5.7 6.5 181.8 20.7 41.6 56.2
55 55 55 55 55 55 54 54 54 55
                     
人工栄養群 平均 69.5 50.5 21.0 2.6 19.2 9.0 668.3 31.2 96.2 16.7
標準偏差 6.8 7.2 5.5 1.0 6.9 6.8 153.3 15.4 24.3 24.3
32 32 32 32 32 32 32 32 32 32
                     
検定結果(有意確率)   0.396 0.204 0.091 0.129 0.001 0.168 0.860 0.166 0.426 0.075
(注)母乳の測定を行ったが母乳を与えなかった者は人工栄養群として扱う

   ハウスダスト2(score) 牛乳(score) 卵白(score)
母乳群 score=0 47 49 38
score=1 0 2 5
score=2 6 3 7
score=3 1 0 4
score=4 0 0 1
       
人工栄養群 score=0 27 23 23
score=1 1 5 4
score=2 1 2 2
score=3 0 0 0
score=4 1 0 1
       
検定結果(有意確率)   0.492 0.077 0.316
(注) スコア0vs1以上、フィッシャーの直接確率

 

表4−2 ダイオキシン類の推計摂取量と免疫機能及びアレルギーの相関
              
    CD3(%) CD4(%) CD8(%) CD4/CD8比 CD19(%) CD16(%) PHAによるリンパ球幼若化(SI) IgG(mg/dl) IgA(mg/dl) IgM(mg/dl) IgE(RIST)(U/ml)<5.0=5.0
(1)30日のPCDDs+PCDFs
濃度(TEQ pg/g fat)
相関係数 0.144 -0.088 0.216 -0.183 -0.172 -0.061 0.212 -0.102 0.019 0.025 -0.052
50 50 50 50 50 50 50 49 49 49 50
検定結果                      
(2) 母乳中止日(生後) 相関係数 0.124 -0.080 0.288 -0.237 -0.278 0.088 0.001 0.056 0.107 0.044 0.203
57 57 57 57 57 57 57 56 56 56 57
検定結果     *   *            
(3)1年間の推計摂取量の合計 相関係数 0.130 -0.057 0.268 -0.203 -0.262 0.072 0.119 0.010 0.061 -0.008 0.113
57 57 57 57 57 57 57 56 56 56 57
検定結果     *   *            
(4)(初回濃度−終回濃度)×BMI 相関係数 0.066 0.236 -0.125 0.165 0.007 -0.026 0.233 0.135 0.178 0.256 0.118
39 39 39 39 39 39 39 38 38 38 39
検定結果                      
(5)(1)×(2) 相関係数 0.165 -0.135 0.332 -0.283 -0.283 -0.024 0.146 -0.039 0.064 0.052 0.092
50 50 50 50 50 50 50 49 49 49 50
検定結果     * * *            
(注)*:P<0.05

 

表5−1 1歳児(母乳栄養群、人工栄養群)の甲状腺機能

母乳群と人工栄養群の平均,分布の比較

    TSH(μU/ml) T3(ng/ml) T4(μg/dl) FT4(ng/dl) 濾紙血TSH 濾紙血FT4
母乳群 平均 2.3 1.6 10.6 1.42 2.71 1.50
標準偏差 1.0 0.2 1.6 0.26 1.25 0.27
55 55 55 55 55 55
             
人工栄養群 平均 1.8 1.7 11.1 1.43 2.19 1.52
標準偏差 0.8 0.3 2.0 0.20 1.05 0.27
32 32 32 32 17 17
             
検定結果(有意確率) 0.027 0.180 0.271 0.828 0.125 0.760
           
(注)母乳の測定を行ったが母乳を与えなかった者は人工栄養群として扱う


表5−2 ダイオキシン類の推計摂取量と甲状腺機能の相関
                   
  TSH(μU/ml) T3(ng/ml) T4(μg/dl) FT4(ng/dl) 濾紙血TSH 濾紙血FT4
(1)30日のPCDDs+PCDFs
濃度(TEQ pg/g fat)
相関係数 0.081 0.052 0.074 0.037 0.034 0.063
50 50 50 50 50 50
検定結果            
(2)母乳中止日(生後) 相関係数 0.050 0.250 0.255 0.036 -0.040 -0.046
57 57 57 57 57 57
検定結果            
(3)1年間の推計摂取量の
合計
相関係数 0.104 0.101 0.214 0.038 -0.027 -0.013
57 57 57 57 57 57
検定結果            
(4)(初回濃度−終回濃度)×BMI 相関係数 -0.086 0.045 -0.044 -0.077 -0.164 -0.178
39 39 39 39 39 39
検定結果            
(5)(1)×(2) 相関係数 0.148 0.133 0.078 -0.042 0.055 -0.046
50 50 50 50 50 50
検定結果            


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