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平成11年5月27日(木)
火葬場から排出されるダイオキシン類の実態等については、平成9年度及び10年度において、厚生科学研究費補助金により研究が行われてきたところである。
(主任研究者:武田 信生京都大学大学院工学研究科教授)
今般、平成10年度の調査結果について報告がまとめられた。その概要は以下の通りである。
1.調査目的
1)平成9年度に引き続き調査を行い、火葬場から排出されるダイオキシン類の実態を把握すること
2)火葬場から排出されるダイオキシン類排出抑制対策の検討
3)現状及び将来の年間排出量の算出
2.調査方法
全国の火葬場から、炉の構造、排ガス処理方式、使用燃料等を考慮し、17施設(平成9年度は10施設)を選定し、各施設において排ガス、集じん灰、残骨灰のダイオキシン類の濃度を2回測定した。また、すべての施設においてコプラナーPCBsの測定も行った。
3.調査結果の概要
1)排ガス中のダイオキシン類濃度は、最も高い施設で24ng-TEQ/Nm3、最も低い施設で0.064ng-TEQ/Nm3であった。コプラナーPCBsを含めると、最も高い施設で25.2ng-TEQ/Nm3、最も低い施設で0.0641ng-TEQ/Nm3であった。(表1)
集じん灰中のダイオキシン類濃度は、最も高い施設で62ng-TEQ/g、最も低い施設で0.0046ng-TEQ/gであった。コプラナーPCBsを含めると、最も高い施設で63.3ng-TEQ/g、最も低い施設で0.00475ng-TEQ/gであった。
2)火葬中の主燃焼室及び再燃焼室それぞれの平均温度を常時800℃以上に保つことにより、排ガス中のダイオキシン類濃度を1ng-TEQ/Nm3以下にすることが可能であると示唆された。
また、集じん灰のダイオキシン類濃度が高かったことから、排ガス中のダイオキシン類はダストに付着していると推測され、高度な集じん装置を設置する必要があると考えられた。さらに集じん装置部分での再合成を抑制するため、低温化してから集じんすることが必要であると示唆された。
3)本研究で得られた遺体一体当たりのダイオキシン類排出量及び平成9年度の火葬件数の実績から、年間排出量は1.8〜3.8g-TEQ/年と求められた。
4.今後の予定
火葬場から排出するダイオキシン類について、平成9年度から2年間にわたり初めて体系的な実態調査を行い、全国のダイオキシン類の排出実態が明らかになった。また、排出抑制対策等についても、一定の知見を得ることができた。
今後、学識経験者を中心とした検討会を設置し、本研究で得られた知見に基づき議論していただき、火葬場から排出されるダイオキシン類の排出抑制のためのガイドラインの作成をする予定である。
メモ
照会先:厚生省生活衛生局企画課 担 当:担当補佐 阿部(内線2415) 担当 水谷(内線2418)
火葬場 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
再燃焼炉 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | ||
集じん機 | 有 | 無 | 無 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 | 有 | ||
排気方式 | 強制 | 自然 | 強制 | 強制 | 自然 | 強制 | 強制 | 強制 | 強制 | ||
主燃焼炉:再燃焼炉 | 1:1 | 2:1 | 4:1 | 1:1 | 3:1 | 1:1 | 1:1 | 1:1 | 1:1 | ||
燃料 | 都市ガス | 灯油 | 灯油 | 灯油 | A重油 | 灯油 | 都市ガス | 都市ガス | 灯油 | ||
排ガス中 | ダイオキシン類濃度 (ng-TEQ/Nm3) |
1回目 | 0.9 | 2 | 4.9 | 3.8 | 0.19 | 0.21 | 1 | 0.14 | 0.064 |
2回目 | 0.36 | 7.5 | 24 | 10 | 1.1 | 3.8 | 0.81 | 0.33 | 0.33 | ||
コプラナーPCBs濃度 (ng-TEQ/Nm3) |
1回目 | 0.026 | 0.062 | 0.16 | 0.063 | 0.0047 | 0.013 | 0.051 | 3.4×10-5 | 0.00013 | |
2回目 | 0.01 | 0.29 | 1.2 | 0.21 | 0.08 | 0.28 | 0.037 | 0.014 | 0.022 | ||
集じん灰 | ダイオキシン類濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | 0.0046 | 0.025 | − | 62 | − | − | 7 | 15 | |
コプラナーPCBs濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | 0.00015 | 0.0021 | 1.3 | 0.1 | 0.36 | |||||
残骨灰 | ダイオキシン類濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | 0.00087 | 0.0021 | 0.0011 | 0.00017 | |||||
コプラナーPCBs濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | 0.00011 | 5×10-7 | 6.3×10-7 | 3.9×10-7 |
火葬場 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | ||
再燃焼炉 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 | 有 | ||
集じん機 | 無 | 無 | 有 | 無 | 無 | 有 | 有 | 無 | ||
排気方式 | 強制 | 強制 | 強制 | 自然 | 強制 | 強制 | 強制 | 強制 | ||
主燃焼炉:再燃焼炉 | 1:1 | 4:1 | 1:1 | 1:0 | 1:1 | 1:1 | 1:1 | 1:1 | ||
燃料 | 灯油 | 灯油 | 灯油 | A重油 | 灯油 | 灯油 | 灯油 | 灯油 | ||
排ガス中 | ダイオキシン類濃度 (ng-TEQ/Nm3) |
1回目 | 1.1 | 0.44 | 2.4 | 1.3 | 0.57 | 3.1 | 1.5 | 0.32 |
2回目 | 0.88 | 0.51 | 1.1 | 1.9 | 0.83 | 2.2 | 3.1 | 0.15 | ||
コプラナーPCBs濃度 (ng-TEQ/Nm3) |
1回目 | 0.015 0.017 |
0.015 0.02 |
0.068 0.02 |
0.054 0.041 |
0.024 0.036 |
0.12 0.078 |
0.028 0.1 |
0.012 0.0059 |
|
集じん灰 | ダイオキシン類濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | − | − | − | − | − | − | − | − |
コプラナーPCBs濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | − | − | − | − | − | − | − | − | |
残骨灰 | ダイオキシン類濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | − | − | − | − | − | − | − | − |
コプラナーPCBs濃度 (ng-TEQ/g) |
1回目 | − | − | − | − | − | − | − | − |
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