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平成11年3月31日 記者発表資料

平成10年度食品中の食中毒菌汚染実態調査報告について


 平成10年度に実施した食品中の食中毒菌汚染実態調査について、結果を下記のとおりとりまとめた。


1 調査目的

 本事業は、汚染食品の排除等、食中毒発生の未然防止対策を図るため、流通食品の細菌汚染実態を把握することを目的とする。

2 調査方法及び項目

(1)実施自治体

 中央卸売市場を管轄する全国20自治体に調査を委託した。

(2)対象食品

(1) 主として生食に供される野菜(ダイコン、ニンジン、キャベツ、ネギ、レタス、 キュウリ、トマト、タマネギ、かいわれダイコン、アルファルファ)
(2) 食肉(ミンチ肉、生食用と称して販売されている牛レバー)

(3)検査項目

(1) E.coli
(2) 腸管出血性大腸菌O157
(3) サルモネラ

3 調査結果の概要

(1)野菜類の汚染状況

 アルファルファについては4検体(全検体とも同一製造者の生産品)からサルモネラが検出されたが、他の野菜類からはサルモネラ、O157は検出されなかった。

(2)肉類の汚染状況

 ミンチ肉、生食用牛レバーともE.coliによる汚染が高率にみられたほか、サルモネラ汚染がミンチ肉40件、生食用牛レバー5件、またO157汚染が生食用牛レバーで2件にみられた。

4 今後の方針

 当該結果については、生産段階における衛生管理を所管する農林水産省に対して情報 提供するとともに、厚生省としては、来年度についても同規模の調査の実施を予定。
 また、厚生省としては、今回の調査結果からみて衛生上注意が必要な事項として、以下の3点について、「大量調理施設衛生管理マニュアル」「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」等に基づき引き続き営業者、消費者に対する注意を喚起する。

(1) ミンチ肉は加熱後摂食する食材であるが、汚染状況を鑑み、家庭、調理場等での保存、適切な加熱調理、二次汚染の防止方策を徹底。
(2) 生食用牛レバーは、「生食用食肉等の安全性確保について」(平成10年9月11日付け生衛発第1358号厚生省生活衛生局長通知、同日付け衛乳第221号同局乳肉衛生課長通知)により取り扱うこととなっているが、今回の調査事例においても、結果的に生食用として不適切な食材が提供される事例がみられたことから、生食用食肉の取扱いについては、自治体から飲食店等に対し引き続き十分な指導、消費者に対する啓発の実施。
(3) 野菜類についても、家庭、調理場等での洗浄、保存、加熱する場合の適切な加熱調理、二次汚染の防止方策を徹底。
 また、専ら生食に供されるアルファルファからは同一製造者の生産品からS.cubanaの検出事例があり、今後とも継続的に調査を行うとともに、営業者、消費者に対する指導・啓発を実施。


照会先:厚生省生活衛生局食品保健課監視係
TEL [現在ご利用いただけません] 内線2450


表1 対象食品別検査成績

  検体数 E.coli陽性数(%) O157陽性数(%) サルモネラ陽性数(%)
ダイコン 202 8(4.0)
ニンジン 203 9(4.4)
キャベツ 190 11(5.8)
ネギ 226 14(6.2)
レタス 197 10(5.1)
キュウリ 198 13(6.6)
トマト 215 2(0.9)
タマネギ 182 1(0.5)
かいわれ 299 67( 22.4 )
アルファルファ 77 11( 14.3 ) 4(5.2)*
ミンチ肉 729 448( 61.5 ) 40(5.5)
牛生レバー 229 162( 70.7 ) 2(0.9) 5(2.2)
2,947 756( 25.7 ) 2(0.1) 49(1.7)

*:4検体とも同一製造者の生産品


表2 検出されたO157の毒素型

O157(VT1+)


表3 検出されたサルモネラの血清型内訳

Salmonella 49
  S.cubana
S.dublin
S.enteritidis
S.hadar
S.infantis 12
S.london
S.schwarzengrund
S.sofia
S.typhimurium
その他・不明 20


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