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平成11年3月18日

平成11年度特定疾患治療研究事業における対象疾患の追加について


 いわゆる難病の治療研究を促進するため、ベーチェット病などの43疾患を対象として、医療費の自己負担分を補助しているところであるが、特定疾患対策懇談会の意見に基づき、平成11年4月1日から、新規疾患として「ファブリー(Fabry)病」を追加することとした。

(資料1〜2)


照会先:厚生省保健医療局
    エイズ疾病対策課
 担当:加藤(内2353)
    三丸(内2355)
 電話:代表 [現在ご利用いただけません]
    直通 3595-2249


追加疾患の概要

ファブリー病

(定義・概念)ファブリー病は細胞内のリソソーム酵素の一つであるα−galactosidaseの活性欠損・低下によりceramido trihexoside(CTH)という物質が全身の臓器、特に皮膚、腎、神経、眼、心臓に蓄積し発症する病気である。
 ファブリー病は基本的に2種類に分類される。一つは、典型的(古典的)ファブリー病と言われるもので、被角血管腫、四肢末端痛、低汗症、角膜混濁などの全身症状を呈し、もう一つは上記の全身症状を欠き、心臓障害を主症状とする心(非定型的)ファブリー病である。

(原因)X染色体上に存在するα−galactosidase酵素の遺伝子の異常により、典型的ファブリー病では酵素活性欠損、心ファブリー病では酵素活性低下がおこり、CTHが蓄積し、臓器傷害をおこす。

(疫学)典型的ファブリー病は大変稀で、心ファブリー病は日本、世界における頻度は不明。α−galactosidase酵素の遺伝子がX染色体上にあり劣性であるため、主に男性に発病する。

(症状)典型的ファブリー病では、症状は幼少時より始まる。四肢痛、腹部や外陰部の皮疹、低汗症、角膜混濁を呈し、青年期以降になると、腎機能障害、20-40歳以降になると、次第に腎不全の状態になる。その他、脳血管障害、心臓障害が出現してくる。女性では通常症状が男性に比べて軽いか、ないのが特徴である。
 心ファブリー病は40歳頃まで通常症状はなく、40歳を過ぎた頃より、人によっては70歳を過ぎてから、心臓肥大が認められる。心臓肥大が進行すると心不全症状が出現する。不整脈も出現するようになり、それを、動悸として感じることもあり、人によっては、脈が遅くなり、心臓ペースメーカーが必要となるときもある。

(治療)根本的治療はなく、対症療法が主。酵素補充療法、遺伝子治療の開発が試みられている。


特定疾患治療研究対象疾患一覧

NO.1

疾患名 実施年月
ベーチェット病 昭和47年 4月
多発性硬化症 昭和48年 4月
重症筋無力症 昭和47年 4月
全身性エリテマトーデス
スモン
再生不良性貧血 昭和48年 4月
サルコイドーシス 昭和49年10月
筋萎縮性側索硬化症
強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎
10 特発性血小板減少性紫斑病
11 結節性動脈周囲炎 昭和50年10月
12 潰瘍性大腸炎
13 大動脈炎症候群
14 ビュルガー病
15 天疱瘡
16 脊髄小脳変性症 昭和51年10月
17 クローン病
18 難治性の肝炎のうち劇症肝炎
19 悪性関節リウマチ 昭和52年10月
20 パーキンソン病 昭和53年10月
21 アミロイドーシス 昭和54年10月
22 後縦靭帯骨化症 昭和55年12月
23 ハンチントン舞踏病 昭和56年10月
24 ウィリス動脈輪閉塞症 昭和57年10月
25 ウェゲナー肉芽腫症 昭和59年 1月
26 特発性拡張型(うっ血型)心筋症 昭和60年 1月
27 シャイ・ドレーガー症候群 昭和61年 1月
28 表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型) 昭和62年 1月
29 膿疱性乾癬 昭和63年 1月
30 広範脊柱管狭窄症 昭和64年 1月

NO.2

疾患名 実施年月
31 原発性胆汁性肝硬変 平成 2年 1月
32 重症急性膵炎 平成 3年 1月
33 特発性大腿骨頭壊死症 平成 4年 1月
34 混合性結合組織病 平成 5年 1月
35 原発性免疫不全症候群 平成 6年 1月
36 特発性間質性肺炎 平成 7年 1月
37 網膜色素変性症 平成 8年 1月
38 クロイツフェルト・ヤコブ病 平成 9年 1月
39 原発性肺高血圧症 平成10年 1月
40 神経線維腫症 平成10年 5月
41 亜急性硬化性全脳炎 平成10年12月
42 バッド・キアリ(Budd-Chiari)症候群
43 特発性慢性肺血栓塞栓症(肺高血圧型)
44 ファブリー(Fabry)病 平成11年 4月予定


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