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平成11年3月10日

福祉専門職の教育課程等に関する検討会報告書

平成11年3月10日


福祉専門職の教育課程等について

 社会福祉を取り巻く環境の変化に対応し、国民の福祉需要の増大・多様化に適切に対応するため、社会福祉基礎構造改革が進められている。この改革においては、利用者本位の利用制度への転換、社会福祉事業の推進、地域福祉の充実と並んで、質の高い福祉サービスの拡充を図ることが改革の大きな柱のひとつとなっている。
 福祉サービスの質の向上を図っていくためには、いうまでもなく、その担い手となる人材の質の確保・向上が不可欠である。なかでも、福祉サービスの提供において中心的な役割を果たす社会福祉士、介護福祉士、社会福祉主事などの専門職の質が極めて重要となる。
 社会福祉士及び介護福祉士の資格制度については、昭和62年の創設以来10年余を経過し、養成施設数及び資格取得者数が大幅に増加するなど量的には順調に推移している。一方、保健・医療との連携の必要性が一層高まるとともに、介護保険制度の導入に伴う介護支援サービスの実施、多様な事業者による在宅サービスの提供などに対応し、これらの専門職に求められる役割も拡大している。
 また、社会福祉主事についても、社会福祉事務所現業員、社会福祉施設長及び生活指導員等に必要な専門職の資格として重要な役割を担っており、今後、社会福祉従事者全体の資質の向上を図る観点から、制度の見直しが必要となっている。
 本検討会は、このような状況を踏まえ、平成10年9月25日に発足して以来、福祉専門職の教育課程等について検討を行ってきた。
 この検討に当たっては、社会福祉士、介護福祉士及び社会福祉主事のそれぞれについて作業班を設置し、養成教育に携わる関係者の参加を得て作業を行った。
 その結果を以下のとおり取りまとめたので報告する。

I 社会福祉士教育課程等の見直し

1 社会福祉士の養成等をめぐる現状及び課題

 昭和62年に社会福祉士の資格制度が創設されてから10年余が経過した。社会福祉士国家試験受験者数は、最近では前年度の2〜3割程度の伸びを示しており、平成10年度(第11回)の国家試験受験者数は、約1万8千人にのぼっている。その結果、社会福祉士登録者数は、13,751人(平成11年1月末現在)となっている。
 社会福祉士の養成の中心を担っているのは、社会福祉士一般養成施設及び福祉系4年制大学である。一般養成施設は、この10年間で15校17課程、入学定員2,435人(平成10年4月)に増加しており、今後さらに増加が見込まれる。
 国民の社会福祉に対する需要の増大・多様化に対応した、介護保険制度の導入や社会福祉基礎構造改革の推進などにより、社会福祉士には、契約による福祉サービスの利用や在宅での生活支援を視野においた、効果的な相談援助の実施が求められている。
 こうした状況を踏まえ、社会福祉士の教育課程及び卒後の継続研修等について見直す必要がある。

2 期待される社会福祉士像

 社会福祉士は、福祉に関する相談援助の専門職として、次のような資質を身につけることが期待される。

○ 生活上の援助を必要としている者及びその家族が抱えている問題を的確に把握し、適切な相談援助技術を活用して必要な援助を提供できること。

○ 具体的な援助過程において、人権の尊重、権利擁護、自立支援等の視点にたった相談援助ができること。

○ 他の保健医療福祉従事者等と連携し、協働して援助ができること。

○ 資質の向上を図るために自己研鑚とともに後進の育成に努めること。

3 教育課程の見直し

(1)教科内容及び時間数

(1) 平成12年度の介護保険制度の導入に対応し、介護保険制度に関する内容を社会保障論に加え、新たに導入される要介護認定や介護支援サービス等の援助の仕組みに関する内容を老人福祉論及び社会福祉援助技術論に加える必要がある。
 さらに、保健医療分野の専門職と協働して、高齢者や障害者等について適切に対応できるように、必要な医学知識の内容を医学一般で強化する必要がある。

(2) 人権の尊重、自立支援等の理念に具体的に対応できるよう、社会福祉原論をはじめとする各種講義科目の内容を強化するとともに、社会福祉援助技術演習等で事例を活用することなどにより、これらの内容を具体的に理解し、援助の過程で的確な対応ができるようにする必要がある。

(3) 社会福祉基礎構造改革において、地域福祉計画を策定することが求められていることから、この計画策定の意義等を地域福祉論等の内容に加える必要がある。

(4) 人間と社会についての理解を深めるために、社会学、法学、心理学、医学一般については、社会福祉士に必要な内容に整理し、強化する必要がある。

(5) 援助の対象(問題)の理解を深めるためには、人の心を理解し、意思疎通をうまく行う必要があり、コミュニケーション及び人との接し方についての内容を社会福祉援助技術論(講義及び演習)で強化する必要がある。

(6) 社会福祉施設等だけでなく、在宅での生活全体への援助を行うための相談援助技術を向上させる必要があり、援助過程を重視し、その際に必要な各種の援助技術を活用し、総合的な援助ができるように社会福祉援助技術論(講義及び演習)を強化する必要がある。

(7) さらに、相談援助の実際の理解を深めるために、実習教育の強化を図る必要がある。そのため実習施設等との連携を強化することや学生の実習計画の作成や実習の評価ができるよう、事前事後の実習指導を充実させることが必要である。
(8) 介護福祉士をはじめとした他の社会福祉事業従事者と協働して援助を行うためには、社会福祉士の実習においても基礎的な内容のひとつである介護について、具体的な理解を深めるよう配慮する必要がある。

(9) 上記の内容を確保するために、社会福祉援助技術論(講義及び演習)及び実習について、各教科の構成及び時間数を見直す必要がある。

(2)教員の要件

 現在の教員歴や学歴を重視した教員要件に加えて、社会福祉制度や社会保障制度に関する教科については、教科の特性から、一定の行政経験者についても教員として認めることを検討する必要がある。

(3)科目等履修制度等

(1) 精神保健福祉士の養成施設卒業者が、社会福祉士の資格を取得しやすいように精神保健福祉士の養成施設で履修した科目のうち、社会学、法学、心理学については、社会福祉士の養成施設での履修を免除することができるよう検討する必要がある。

(2) 福祉系4年制大学等で社会福祉援助技術現場実習についてのみ未履修の者については、卒業後、大学等での科目履修等を認めることができるよう検討する必要がある。

(4)その他

(1) 教育研究機器については、社会福祉援助技術の向上を図るために重要な備品(ビデオカメラ、モニター等)を備える必要がある。

(2) 通信課程
 働きながら資格が取得できるためには、通信課程が不可欠であり、その特性に対応した養成施設指定要件の見直しを行い、教育の質を高める必要がある。

・ 面接授業については、今後は大講義のみではなく演習的要素も取り入れ、その受講者人数の上限を定める必要がある。

・ 添削指導について、添削講師の要件設定、レポート提出回数の設定を行う必要がある。

・ 社会福祉分野以外からの受講者に配慮するため、面接授業の際に、実習指導の時間を加える必要がある。

4 資格取得後の継続研修

(1) 養成教育との連続性を確保しながら、専門職として生涯に渡り、その質的向上を行う必要がある。このため職能団体が中心となって社会福祉士として必要な共通の知識・技術についての研修の体系化を図り継続的に実施する必要がある。
 その内容については、新しい知識の習得、援助技術の向上はもとより、新しい技術開発につながるよう配慮する必要がある。

(2) さらに、社会福祉士としての資質を基にしながらも、成年後見制度における後見人、地域福祉権利擁護制度における自立生活支援専門員、実習施設の実習指導、事業の管理運営などの専門的分野にも対応できる研修を行う。また、その研修修了者に対しては、団体認定資格の付与を行うことを検討する必要がある。

5 養成施設・大学等の養成力強化

 今後、養成施設・大学等の養成力を強化するためには、次のような内容を実施する必要がある。

(1)福祉系大学の付属実習施設の設置

 施設の内容としては、福祉に関する相談援助を行うなど社会福祉援助技術の習得に適したものを中核にし、高度の専門性を有する施設等が考えられる。
 また、その際、その施設を現任者の再教育の場としても活用できるものとする必要がある。

(2)地方公共団体での相談援助実習

 従来の社会福祉施設を中心としたものだけでなく、養成施設・大学等が市町村と連携・協力関係を築く中で、援助を必要としている人の生活とその抱えている問題を理解できるよう、例えばホームステイ等の方法により、在宅での援助を想定したした実習を導入する必要がある。


II 介護福祉士教育課程等の見直し

1 介護福祉士の養成等をめぐる現状及び課題

 介護福祉士登録者数は資格制度創設後順調に増加し、平成11年1月末現在、 約13万2千人となっている。そのうち約6万人は介護福祉士養成施設の卒業 生であり、平成10年度には養成施設が290校(333課程)、入学定員数 は19,706人となっている。
 養成施設卒業生の就業先を見ると、近年、老人福祉施設、老人保健施設などが中心になっているが、今後、在宅重視の観点から施設だけでなく在宅サービスにおいても活躍の場の拡大が期待されている。
 平成12年度からは介護保険制度が実施されることに伴い、介護福祉士には、他の保健医療福祉従事者との一層の連携、介護支援サービスの実施などの新たな役割が求められる。
 こうした状況を踏まえ、介護福祉士の教育課程の見直し、介護福祉士養成施設における共通卒業試験の実施、教員研修及び卒後の継続教育の充実など、介護福祉士の資質の向上を図るための取組が必要である。

2 期待される介護福祉士像

 介護福祉士は、介護に関する専門職として、次のような資質を身につけることが期待される。

○ 感性豊かな人間性と幅広い教養を身につけ、意思疎通をうまく行って介護を必要とする人との信頼関係を築くことができること。
○ 要介護者等の状況を判断し、それに応じた介護を計画的に実施しその結果を自ら評価できること。
○ 介護を必要とする人の生命や人権を尊重し、自立支援の観点から介護できること。
○ 他の保健医療福祉従事者等と連携し、協働して介護できること。
○ 資質の向上を図るために自己研鑽とともに後進の育成に努めること。

3 教育課程の見直し

(1)教育課程(2年)

(1) 一般教養科目
 介護福祉士の専門知識の基礎となる、人間や生活の理解、人権尊重に関連する科目とする必要がある。

(2) 専門科目
ア 人権尊重、自立支援、地域福祉の確立等が社会福祉の理念として一層重要となっている。また、高齢者・児童の虐待が社会問題となっている。
 このため、人の心を理解し意思疎通がうまく行え、利用者から満足される介護が行えるようにコミュニケーションに関する内容を介護技術等において強化すること、人権尊重、自立支援等に関する内容を介護概論等において強化すること、さらに地域福祉に関する内容を関連科目において強化することが必要である。

イ 介護保険制度に関する内容を老人福祉論等に追加すること、ケアマネジメントに関する内容を社会福祉援助技術等に追加すること、保健医療分野の専門職と連携する上で必要な医学知識を医学一般等で強化することが必要である。
ウ 施設での介護だけでなく訪問介護に従事することが求められていることから、訪問介護に関する内容を介護概論・技術等で強化すること、訪問介護実習を必須とすることが必要である。また、家政系の科目を見直し、介護を必要とする人の生活を総合的に理解し、家庭での生活を支援するために必要な知識・技術を強化することが必要である。
エ 高齢者及び身体障害者だけでなく、障害児、知的障害についての一層の理解が必要であることから、児童福祉、知的障害児の介護等を関連科目において強化する必要がある。

オ 介護福祉士の資質の向上、専門性を高めるために介護過程の展開方法(介護問題の解決過程)を介護概論等に取り入れること、事例研究等により研究的姿勢を涵養する内容を取り入れることが必要である。

(2)教育課程(1年)

 上記の見直しに伴い、保育士養成施設卒業者を対象とする1年課程においては、医学一般、障害者・高齢者関連、介護保険制度、訪問介護及びケアマネジメントに関する内容を強化・追加することが必要である。
 また、社会福祉士指定科目履修者を対象とする1年課程においても見直しをする必要がある。

(3)時間数

 上記の見直しに対応して、各科目の時間数、総時間数の見直しが必要である。

(4)単位換算の方法

 各養成施設が独自性のある養成教育ができるようにすることと、学習を継続したい卒業生の4年制大学への編入を容易にするために、時間数だけでなく単位制を導入し併記する必要がある。
 換算方法としては、(1)講義及び演習については15時間から30時間までの範囲を1単位とし、(2)実習については45時間を1単位とする。
 なお、この換算方法については1年課程においても同様とする。

4 教員要件・実習指導者の要件の見直し

 介護系教員等の資質の向上を図り、効果的な教育が実践できるようにするため、実務経験のみを要件とする専任教員等の研修を行うこと、介護系教員等のうち1人以上は介護福祉士とすることが必要である。
 また、実習指導(演習)及び実習先における巡回指導については、介護系教員に限らず社会福祉援助技術等を担当する教員が行うことも可とする必要がある。
 実習施設等において実習指導に当たる職員は、原則、介護福祉士とする必要がある。

5 養成施設における設備の整備

 福祉機器等の開発状況に対応し、訪問介護の重視や自立支援の観点から、養成施設においては、訪問介護実習に備えた設備や自立支援のための福祉機器等を整備し、効果的な介護技術の教育ができるようにする必要がある。

6 介護実習

(1)訪問介護実習先については、現在認められている老人居宅介護等事業、身体障害者居宅介護等事業、児童居宅介護等事業に加え、訪問入浴サービス、在宅介護支援センター等の在宅サービス施設・事業を対象として位置づけるとともに、実習の内容、方法及び指導者の要件を規定する必要がある。

(2)寮母(介護職員)等就業者が働きながら介護福祉士養成の教育課程を学ぶことを容易にするために、弾力的な介護実習の方法等を検討する必要がある。

7 資格取得後の継続研修

 介護福祉士が専門職として生涯に渡り職務を続け社会的評価を得るためには、実務経験年数等による段階別研修、指導者・管理者に対する研修、新しい知識等の習得を目的とした研修、専門性を高める研修等を体系化して実施する必要がある。
 そのためには、介護福祉士の職能団体を公に位置づけ、当該団体が勤務形態や受講者の研修ニーズに配慮した研修を実施できるようにする必要がある。

8 卒業時の共通試験

 養成施設卒業生は卒業と同時に介護福祉士となる資格が得られる仕組みとなっている。各養成施設における教育や卒業生の質に格差が生じないようにするため、卒業試験等を学則等に規定し実施することにより、養成施設が自らの教育を評価し質を高める努力をすることを促進する必要がある。
 さらに、養成施設が共同で実施している共通試験の取組を推進する必要がある。

9 訪問介護員(ホームヘルパー)等関連職種の養成制度との整合性

(1)前述のように、訪問介護実習、ケアマネジメントに関する内容を関連科目において追加することによって、介護福祉士教育課程の科目の内容がホームヘルパー1級の養成研修内容を全て包含することとする。

(2)介護福祉士養成施設における履修科目を評価し、他の資格取得に活用することについては、看護婦養成施設において平成11年度から介護福祉士養成課程の一般教養科目(看護婦養成課程の基礎分野相当)の履修を評価し、当該科目を履修免除とする方向で検討されている。
 なお、他の福祉関連資格間についても、履修科目の互換性等を検討する必要がある。

10 展望

 2年間の養成課程で介護福祉士の登録資格を得ることを前提とするが、ゆとりある教育を推進するために3年課程及び4年課程の設置が進められることを期待する。


III 社会福祉主事教育課程等の見直し

1 社会福祉主事をめぐる現状及び課題

(1)現状

 福祉事務所で生活保護法等の現業を行う所員(福祉事務所現業員)は、社会福祉事業法第18条に規定する社会福祉主事の資格(社会福祉主事任用資格)を満たす者から任用しなければならないこととされている。しかしながら、現在、福祉事務所現業員として職務に当たっている者のうち社会福祉主事任用資格を満たしている者の割合は、都道府県の福祉事務所にあっては約8割、市の福祉事務所にあっては約7割にとどまっている。
 社会福祉主事任用資格を満たす者には、大学等において厚生大臣の指定する社会福祉に関する科目のなかから3科目を修めて卒業した者(三科目主事)と厚生大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者がいる。福祉事務所現業員のうち約7割は三科目主事であり、約2割は全国社会福祉協議会中央福祉学院の課程を修了した者、残りが都道府県の講習会の課程を修了した者などとなっている。
 社会福祉主事養成機関における課程は、福祉事務所現業員のみならず社会福祉施設等従事者などにとっても、社会福祉についての知識を体系的に学ぶことができる機会として注目され、多くの者がそれを履修してきた。社会福祉施設等従事者が増大するなかで、近年、社会福祉主事養成機関も急速に増加し、平成10年4月で76機関、定員約1万人にのぼっている。例えば、全国社会福祉協議会中央福祉学院における受講者をみると、福祉事務所現業員が約2千人、生活指導員等の社会福祉施設等従事者が約3千人となっている。

(2)課題

 社会福祉主事制度の課題を職種ごとに整理すると、以下のようになる。

(1)福祉事務所現業員

○ 生活保護法などの現業業務に的確に対応する能力が求められる。
○ しかし、養成機関の教育内容は昭和56年に見直しが行われたもののその後の福祉需要の変化、法制度の改正などに伴い福祉事務所現業員に求められる職務遂行の資質形成に十分対応できていない。
○ 三科目主事は社会福祉に広く関連する科目のなかから任意の3科目を履修すれば要件を充たしており、福祉事務所現業員としての専門的な資質の担保が必ずしも十分ではない。

(2)社会福祉施設長、生活指導員等

○ 社会福祉施設長、生活指導員等の任用要件として社会福祉主事任用資格が定められている。

○ しかし、社会福祉主事養成機関における教育内容は、必ずしも社会福祉施設等従事者を念頭に置いたものではないため、その職務にふさわしい資質が身につけられるものとなっていない。

(3)社会福祉事業、社会福祉に携わる者等

○ 福祉サービスの拡大に伴い社会福祉事業従事者が増大しており、そのなかには社会福祉に関する基礎知識が不足している者もある。

○ 社会福祉施設長、生活指導員等以外の社会福祉施設等従事者(寮母など)についても、福祉サービスの担い手として一定の資質の確保が求められている。

○ しかし、現在のところ、これらの者に望まれる資質に対応した教育体系が未整備となっている。

○ 住民参加型サービス提供組織、ボランティア活動も活発化しており、これらの担い手が社会福祉について学習する機会を提供することも重要となっている。

2 社会福祉主事養成教育の方向

 こうした社会福祉主事をめぐる現状と課題を踏まえ、社会福祉主事任用資格及び養成教育について次のような見直しを行う必要がある。

(1)三科目主事については、その専門的な資質の向上を図るため、任意の三科目の履修に加え、講習会の受講を要件とする必要がある。

(2)社会福祉主事を福祉事務所現業員、社会福祉施設長、生活指導員等の共通任用資格として位置づけ、養成教育の内容をこれらの職務に必要な専門的知識を学習するものにする。特に社会福祉施設長、生活指導員等については、これに上乗せして、それぞれの職務の特性に応じて学習する課程を設ける。

(3)上記(1)及び(2)の見直しを円滑に実施するため、所要の経過措置を設ける必要がある。

(4)寮母(介護職員)、社会福祉協議会職員等、社会福祉事業などに携わる者の資質向上のためにこれらの養成教育を積極的に活用することが考えられる。

3 養成体系の在り方

 社会福祉主事の新しい養成教育を進めるために、養成機関、都道府県講習会等の養成体系を次のようにする必要がある。

○ 養成機関には、現任者を対象としたものと高校新卒者を対象にしたものがあるので、それぞれの特性に応じ均衡のとれた教育課程とする。
○ 現任者については、勤務の状況などに応じた履修が可能となるよう、通信制や夜間制などの課程を促進する。
○ 福祉系大学等においても、福祉事務所現業員、社会福祉施設長、生活指導員等の特性に応じた科目を開講することができるようにする。

4 養成・研修課程

(1)社会福祉主事の養成教育の内容

 現行の社会福祉主事養成教育課程を見直し、福祉事務所現業員、社会福祉施設長、生活指導員等に共通する専門知識の習得が可能なものとする。

(2)上乗せ課程

 社会福祉施設長、生活指導員等に係る上乗せ課程の内容としては、それぞれの職務に応じ、社会福祉施設長では、社会福祉施設の経営管理・運営などが、生活指導員等では、社会福祉施設の業務運営、サービスの提供及びその組織などの学習が考えられる。
 また、その他の職種についても、職務に必要な学習内容を検討する。

(3)質の確保

 教育の質の確保のために科目名の告示にとどまっていた従来の方式を改め、科目の目標及び内容を明示する。また、養成機関において各科目を教授するのにふさわしい者の要件や設備基準を定める。

(4)実施体制

 これらの養成・研修課程を福祉人材の生涯研修体系の一環に位置づけることが必要である。
 また、養成機関が養成教育の水準向上を図る機会として相互の連絡・協議の場を自主的に設けることが望まれる。


紹介先
社会・援護局企画課
大澗 康夫 (内線2812、直3591-9867)
社会・援護局施設人材課
江波戸一敏 (内線2847、直3592-5944)


福祉専門職の教育課程等に関する検討会委員名簿
氏 名
(五十音順)
現 職
青 木 孝 志 日本社会福祉士会会長
板 山 賢 治 日本介護福祉士養成施設協会理事
浦 野 正 男 全国社会福祉施設経営者協議会協議員
(座長)
江 草 安 彦
中央社会福祉審議会人材確保専門分科会会長
大 橋 謙 策 日本社会事業大学社会福祉学部学部長
岡 本 民 夫 日本社会事業学校連盟会長代行
京 極 高 宣 日本社会事業大学学長
澤 田 信 子 埼玉県立看護福祉系大学設立準備室主幹
関 家 新 助 社会福祉士養成施設協議会会長
田 中 雅 子 日本介護福祉士会会長
西 村 洋 子 山口県立大学看護学部学部長
松 尾 武 昌 全国社会福祉協議会常務理事


福祉専門職の教育課程等に関する検討会各作業班員名簿

(五十音順、各班長には氏名の左に○)

◎社会福祉士班

氏 名 現 職
大 橋 謙 策 日本社会事業大学社会福祉学部学部長・教授
  黒 木 保 博 同志社大学文学部教授
  杉 本 敏 夫 関西福祉科学大学社会福祉学部教授
  高 橋 重 宏 駒沢大学文学部教授
  田 端 光 美 日本女子大学人間社会学部教授
  米 本 秀 仁 北星学園大学社会福祉学部教授

◎介護福祉士班

氏 名 現 職
  井 原 慶 子 龍谷大学短期大学部教授
  泉 順 共栄学園短期大学教授
  佐々木浩子 東京YWCA専門学校教員
澤 田 信 子 埼玉県立看護・福祉系大学設立準備室主幹
  渡 辺 裕 美 日本社会事業大学社会福祉学部助教授

◎社会福祉主事班

氏 名 現 職
蟻 塚 昌 克 厚生省社会・援護局企画課社会福祉専門官
  伊 藤 宣 義 全国社会福祉協議会中央福祉学院事務長
  太 田 義 弘 龍谷大学教授
  新 保 幸 男 愛知教育大学助教授
  中 島 健 一 日本社会事業大学助教授


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