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平成11年3月2日

福祉サービスの質の向上に関する基本方針

平成11年3月2日
福祉サービスの質に関する検討会

1.基本的考え方

(1)社会福祉基礎構造改革において、利用者本位の福祉サービス利用制度への転換を行うに当たっては、利用者の福祉サービス利用を支援するため、権利擁護、苦情解決、事業の透明性の確保のための方策と併せて、サービスに関する基準の策定、サービス評価などの仕組みを充実、強化する必要がある。

(2)このため、

(1) 外形的基準のみならず、サービスの内容に関する基準を設けることにより必要な水準を確保するとともに、
(2) サービスの質を第三者が客観的に評価する仕組みを設けることにより、より良いサービスの提供に向けた事業者の取組を促進することが必要である。

(3)なお、この基本方針は福祉サービス全般を念頭に置いて、サービスに関する基準などの標準的な考え方を整理したものであり、具体的な基準などはそれぞれのサービスの特性を踏まえた検討が必要である。

2.サービスに関する基準

(1)基本的考え方

・ 福祉サービスの提供に関し、それぞれのサービスの特性を踏まえた最低限遵守すべき水準に対応した基準。法令や通知により実行を担保
・ 施設、設備、人員配置などの外形的基準に加えて、サービスの内容に関する基準が必要
(2)サービスに関する基準に盛り込むべき事項

 サービスの内容に関する基準として、以下のサービス提供の基本的方針、サービス提供過程、サービスの自己評価、サービス改善のための措置、苦情解決、サービス提供における専門的な職の位置づけなどに関する事項を盛り込むことが適当

(1)サービス提供の基本的方針
・ 利用者の立場に立ったサービス提供のための施設、事業運営上の基本的考え方、方針など

(2)サービス提供過程に関する事項
・ 利用者の状況把握(アセスメント)、個別支援計画等の作成、サービスの実施、自己評価、処遇会議の実施、サービス提供の記録の継続的管理など

(3)サービスの自己評価に関する事項
・ 自己の提供するサービスの効果や問題点を的確に把握するための評価事項・評価実施者、評価記録の保存など

(4)サービス改善のための措置に関する事項
・ サービス評価などをサービスの向上・改善に結びつける体制など

(5)苦情解決に関する事項
・ 苦情解決のための体制など

(6)サービス提供における専門的な職の位置づけに関する事項
・ 専門的な職をあてるべき職務など

(7)その他
・ 以上のような措置を講じる一方で、利用者の選択に委ねることが適当な事項及びその基準の在り方を検討
3.第三者評価及び評価基準

(1)目的

・ 個々の事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、改善に結びつけること。
・ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となるもの。

(2)サービスに関する基準との関係

・ サービスに関する基準に盛り込むべき事項(2.(2)(1)〜(7))を前提としつつ、より望ましい水準に誘導するためのもの。

(3)評価基準

・ 具体的な項目は、一定の知識・経験に基づく専門的判断や評価が必要なものに重点化
・ できるだけ客観的な評価が可能となる基準
・ サービス提供の過程や組織・体制を中心に評価。利用者の満足度を含めた結果の評価についてはさらに検討が必要
・ それぞれのサービスの特性を踏まえた基準が必要

4.第三者評価の実施体制

(1)評価機関の要件

・ 第三者性(中立性、独立性、倫理性)
・ 評価能力(専門家の確保等)
・ 実行能力(組織体制等)
など、信頼性のある機関で実施することが必要

(2)評価実施者

・ 福祉サービスの評価に必要な知識・経験を有し、かつ、利用者の視点を持って評価を行うことができる者でチームを組織して実施

(3)評価の実施方法

・ 一定の手順を定めることが必要
・ 評価の過程において、利用者の意見を聴くことが必要

(4)その他

・ 評価の過程において最低基準に違反している事例を発見した場合は、行政庁への情報提供を行うことが必要


福祉サービスの質に関する検討会委員名簿

(◎:座長)
氏 名
(五十音順)
職 名
石 橋 真 二 日本介護福祉士会副会長
◎江 草 安 彦 社会福祉法人旭川荘理事長
奥 野 英 子 筑波大学心身障害学系助教授
柏 女 霊 峰 淑徳大学社会学部教授
北 野 誠 一 桃山学院大学社会学部教授
坂 巻 熙 淑徳大学社会学部教授
清 水 鳩 子 主婦連合会会長
杉 村 和 子 日本社会福祉士会副会長
武 居 敏 全国社会福祉施設経営者協議会協議員
竹 内 孝 仁 日本医科大学付属第2病院リハビリテーションセンター教授
外 山 義 京都大学大学院工学研究科教授
中 島 健 一 日本社会事業大学社会福祉学部助教授
橋 本 正 明 立教大学コミュニティー福祉学部教授
長谷川 敏 彦 国立医療・病院管理研究所医療政策部長


照会先
社会・援護局地域福祉課
山本 麻里(内2852,直3591-9862)
社会・援護局施設人材課
小田 正二(内2862,直3591-5060)


参考資料

サービスの質の向上について

(1)社会福祉基礎構造改革における位置づけ

利用者本位の福祉サービス利用制度への転換を行うに当たり、権利擁護、苦情解決、事業の透明性の確保と並び、サービスの質の向上と評価が必要となる。

参考資料図

(2)今後の取組

○今回は、サービスに関する基準、第三者評価について基本的考え方を整理

○今後は、基本方針に沿い、

・サービスに関する基準に盛り込むべき事項
・第三者評価の基準
・第三者評価の実施体制
等について、具体的に検討を進める。



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