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<要旨>
平成11年1月11日
照会先 医薬安全局麻薬課
大重孝・田上秀昭
TEL:[現在ご利用いただけません](2777)
3595-2452(直通)
I 法令と組織
平成9年8月18日〜21日にかけて開催された行政改革会議集中審議において、厚生省の麻薬取締部門は、事務局を改組した国家公安委員会の下に、警察庁、海上保安庁とともに置かれることで整理されたが、数回にわたる議論及び集中審議の結果、与党協議によって海上保安庁は国土交通省に置くことと整理されたことと並び、麻薬取締部門も労働福祉省(仮称)に置くこととされた。
II 麻薬・向精神薬の需要
(3)あへんアルカロイド系麻薬の原料となるあへんについては以前からインドより輸入が行われており、平成9年には126トン(前年100トン)を輸入し、26%増加した。
表1.あへんアルカロイド系麻薬の消費量(Kg)
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主たる用途 | |
リン酸コデイン |
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鎮咳剤 |
リン酸ジヒドロコデイン |
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かぜ薬 |
あへん製剤 |
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あへんアルカロイド製剤 |
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鎮痛・鎮静剤 |
塩酸モルヒネ |
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末期がん患者の |
硫酸モルヒネ |
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疼痛の緩和 |
表2.コカアルカロイド系麻薬の消費量(Kg)
平成8年 | 平成9年 | 増 減 | 主たる用途 | |
塩酸コカイン | 7 | 7 | 0 | 表面麻酔 |
図2 一日あたりのモルヒネ消費量 g/100万人
(国際麻薬統制委員会の各年間統計による)
III 指 導 監 督
図3 麻薬盗難事件施設別件数
図4 向精神薬盗難事件施設別件数
IV 麻薬・覚せい剤乱用防止のための啓発活動
厚生省は、麻薬・覚せい剤の乱用を防止するため、薬物乱用対策推進本部や関係省庁と連携し、都道府県、民間団体及びボランティアの協力を得て、より効果的な啓発活動を展開している。
4.平成9年度において、全国の高等学校に薬物乱用防止ビデオを送付。
V 不正薬物の取締
図5 覚せい剤取締法における未成年者の比率と中高生の検挙者数
表3 法令別検挙件数・人員
平成8年 | 平成9年 | 増減 | |||
麻薬事犯 |
麻薬及び向精神薬取締法違反 | 件数 |
528
|
451
|
-77
|
人員 |
275
|
238
|
-37
|
||
あへん法違反 | 件数 |
190
|
222
|
+32
|
|
人員 |
141
|
161
|
+20
|
||
大麻取締法違反 | 件数 |
2,098
|
1,874
|
-224
|
|
人員 |
1,306
|
1,175
|
-131
|
||
|
件数 |
2,816
|
2,547
|
-269
|
|
人員 |
1,722
|
1,574
|
-148
|
||
覚せい剤取締法違反 | 件数 |
26,959
|
27,152
|
+193
|
|
人員 |
19,666
|
19,937
|
+271
|
||
|
件数 |
29,775
|
29,699
|
-76
|
|
人員 |
21,388
|
21,511
|
+123
|
表 4 主な薬物の押収量
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|
|
|
ヘロイン |
4.0kg
|
6.0kg
|
+2.0kg
|
コカイン |
37.1kg
|
25.5kg
|
-11.6kg
|
LSD |
3,668錠相当
|
3,470.5錠相当
|
-197.5錠相当
|
生あへん |
31.1kg
|
39.0kg
|
+7.9kg
|
大麻樹脂 |
145.1kg
|
107.4kg
|
-37.7kg
|
乾燥大麻 |
172.5kg
|
155.1kg
|
-17.4kg
|
覚せい剤 |
652.2kg
|
172.9kg
|
-479.3kg
|
2.鑑定及び鑑定方法
(1)鑑 定
平成9年は、総勢13名の鑑定官が鑑定業務を行った。
鑑定品目及び機関別の件数及び検体数は以下の表のとおり。
表5 鑑定品目別件数及び検体数
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|
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|
|
202
|
229
|
811
|
813
|
|
191
|
255
|
9,948
|
19,212
|
|
36
|
17
|
8,150
|
1,596
|
|
404
|
405
|
707
|
784
|
|
1,749
|
1,708
|
2,644
|
2,730
|
|
31
|
8
|
216
|
25
|
|
2,613
|
2,622
|
22,476
|
25,160
|
表6 機関別件数及び検体数
機 関
|
|
|
|
|
当該地区事務所 |
2,241
|
2,356
|
14,550
|
22,656
|
他地区事務所 |
166
|
124
|
217
|
129
|
都 道 府 県 |
32
|
26
|
119
|
454
|
関 係 機 関 |
174
|
116
|
7,590
|
1,921
|
税 関
|
26
|
19
|
3,935
|
1,775
|
警 察
|
138
|
41
|
3,636
|
54
|
海 保
|
2
|
56
|
7
|
92
|
そ の 他
|
8
|
0
|
12
|
0
|
合 計
|
2,613
|
2,622
|
22,476
|
25,160
|
3.国際的な取締り
世界で最も乱用されている薬物はマリファナと呼ばれる乾燥大麻やハシッシュと呼ば れる大麻樹脂であり、その乱用は中学生や高校生などの低年齢層を中心に世界中に拡大し て大きな社会問題化となっている。
また、ヘロインについては、その密造地域がこれまでの黄金の三角地帯、黄金の三日月地帯の他に中南米地域でも拡大していることが懸念される。南米で密造されるコカインも 依然として問題となっている。
さらに、最近ではわが国や韓国を中心にその乱用が大きな社会問題となっている覚せい剤乱用が東南アジア全域に拡大する一方で、新たにMDMAやMDAのような麻薬がオランダやベルギーを中心に密造され、ヨーロッパを中心に乱用が拡大している状況にある。
VI 薬物中毒者等の治療・相談・再乱用防止
1.平成9年中における麻薬中毒者の概要及び統計
平成9年中の麻薬中毒者またはその疑いのある者として届出・通報のあった者は6名であった。その状況は以下の表のとおり。また、平成9年における入院措置はなかった。
表7 薬品別届出・通報状況
年次
薬品 |
平成
2年 |
3年 |
4年 |
5年 |
6年 |
7年 |
8年 |
9年 |
|
|
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|||||
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||||||
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||||||||
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|||||
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||||||||
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||||||
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||
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||||||||
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( )内は、措置入院された者で内数である。
なお、平成9年において、年齢、性別で見ると、20歳代の男性2名、女性1名、30歳代 の男性2名、女性1名であった。職業別で見ると、無職が5名で最も多く、旅館業関係者が1名であった。原因・動機別で見ると、好奇心が4名で最も多く、誘惑・模倣が1名、その他が1名であった。都道府県別で見ると、神奈川県が3名で、東京都、京都府、大阪府がそれぞれ1名ずつであった。
2.精神保健指定医
平成9年度は、東海北陸・近畿ブロック(京都市;指定医15名参加)、中国・四国ブロック(山口市;指定医9名参加)及び沖縄ブロック(那覇市;指定医19名参加)の3ブロックにおいて、精神保健指定医ブロック会議が開催された。
3.麻薬中毒相談員
平成9年度における麻薬中毒者相談員の設置状況は、千葉県(5名)、東京都(34名)、神奈川県(30名)、静岡県(12名)、愛知県(10名)、大阪府(28名)、兵庫県(19名)、山口県(13名)、福岡県(25名)、沖縄県(11名)の総勢199名である。
麻薬中毒者相談員全国大会が、平成9年度は東京都で開催され、麻薬中毒者相談員100名の他、厚生省職員(麻薬課及び麻薬取締官事務所)及び麻薬中毒者相談員設置府県職員が集い、観察指導上の情報交換、事例発表、各種問題の検討等を行った。
VII 調査研究
1.麻薬等対策総合研究事業
平成9年度は、(1)乱用薬物の有害性及び依存メカニズムに関する研究、(2)薬物依存・中毒者の疫学調査及び精神医療サービスに関する研究、(3)乱用薬物の検査に関する研究、について研究が実施された。
2.薬物の乱用・依存症の事例に関する調査(依存性薬物情報研究班)
厚生省においては、依存性薬物情報研究班に委託して、全国の精神科医療施設(平成10年7月現在137施設。各都道府県で最低でも1施設。)の協力を得て、各施設に受診した薬物依存症の事例について依存性薬物に関する情報を収集している。
最近6年間の報告事例数と各薬物別の内訳は以下の表のとおりである。乱用薬物として有機溶剤を記載した事例の占める比率は平成4年度以降一貫して減少傾向にある。一方、覚せい剤を記載した事例の占める比率は平成3年度以降一貫して増加、6年度以降は第1位となり、平成9年度においては56.8%と平成8年度以降過半数に達している。
表8 精神科モニター施設に受診した薬物乱用・依存の報告事例数の年次推移及び薬物別内訳
年 次
薬 物 |
平成4年度 | 平成5年度 | 平成6年度 | 平成7年度 | 平成8年度 | 平成9年度 |
報告事例数(人) | 605 | 541 | 613 | 579 | 836 | 840 |
現在の乱用薬物別 | ||||||
内訳(%) | ||||||
麻 薬 | 2 (0.4) | 1 (0.2) | 7 (1.1) | 2 (0.3) | 2 (0.2) | 4 ( 0.5) |
覚 せ い 剤 | 241(39.8) | 198(36.6) | 249(40.6) | 286(49.4) | 441(52.8) | 477(56.8) |
大 麻 | 5 (0.8) | 12(2.2) | 4 (0.7) | 4 (0.7) | 8 (1.0) | 9 ( 1.1) |
有 機 溶 剤 | 270(44.6) | 237(43.8) | 210(34.3) | 181(31.3) | 236(28.2) | 217(25.8) |
第1種向精神薬 | 1 (0.2) | 1 (0.2) | 1 (0.2) | 2 (0.3) | 4 (0.5) | 3 ( 0.4) |
第2種向精神薬 | 9 (1.5) | 7 (1.3) | 10(1.6) | 9 (1.6) | 8 (1.0) | 7 ( 0.8) |
第3種向精神薬 | 22(3.6) | 11(2.0) | 25(4.1) | 18(3.1) | 28(3.3) | 28 ( 3.3) |
医薬品(上記のものは除く) | 30 ( 5.0) | 40 ( 7.4) | 62 (10.1) | 49 ( 8.5) | 62 ( 7.4) | 42 ( 5.0) |
2剤以上 | 18 ( 3.0) | 18 ( 3.3) | 29 ( 4.7) | 23 ( 4.0) | 36 ( 4.3) | 33 ( 3.9) |
アルコール | 5 ( 0.8) | 9 ( 1.7) | 7 ( 1.1) | 0 ( 0.0) | 0 ( 0.0) | 9 ( 1.1) |
その他の物質 | 1 ( 0.2) | 2 ( 0.4) | 8 ( 1.3) | 3 ( 0.5) | 7 ( 0.8) | 5 ( 0.6) |
不 明 | 1 ( 0.2) | 5 ( 0.9) | 1 ( 0.2) | 2 ( 0.3) | 4 ( 0.5) | 6 ( 0.7) |
VIII 国際協力
平成9年3月に、第40回麻薬委員会通常会期がウィーンで開催され、我が国政府からは、厚生省等関係省庁から担当者が出席した。この会期では、1998年に国連総会麻薬特別会期を開催して21世紀における新麻薬戦略を策定することが提案され、同提案は国連経済社会理事会においてその開催が決議された。
国際的な取締に関しては、韓国とは麻薬・覚せい剤関係日韓連絡会議を開催し情報交換を行ったり、厚生省麻薬取締官事務所は、日米麻薬取締協議会を主催して、在日米国側取 締機関との情報交換を行うなど、周辺国との関係強化を行った。
さらに、行政的側面からは、平成9年6月から7月にかけてアジア太平洋地域計11ヶ国から12名の麻薬行政官を我が国に招き第12回海外麻薬行政官研修が開催された。この他、日米包括経済協議での合意を受けて、平成9年10月から11月にかけて第3回日米協力による開発途上国薬物乱用防止啓発活動研修が実施された。
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