報道発表資料 HOME


社会福祉基礎構造改革を進めるに当たって
(追加意見)

平成10年12月8日

中央社会福祉審議会
社会福祉構造改革分科会

 社会福祉基礎構造改革の目的は、21世紀において国民の期待に応えることのできる社会福祉の共通的な基盤を作り上げることにある。その基本は、本年6月の「中間まとめ」に示したとおり、個人が家庭や地域において人としての尊厳をもってその人らしい生活ができることを保障することにあり、そのために個人に対して社会連帯の考え方に立った支援を行うことが、これからの社会福祉の理念となる。
 その実現に向け、従来のような限られた者の保護・救済にとどまらず、国民全体の生活の安定を支えるにふさわしい社会福祉の新たな枠組みを作り上げていく必要がある。そのため、個人の権利や選択を尊重した制度の確立、利用者支援の仕組みや適正な競争などを通じた質の高い福祉サービスの拡充、地域での総合的な支援が行われる体制の構築を目指し、基礎構造の改革、強化を図って行くことが必要である。
 今般、改革の具体的内容に関するこれまでの検討状況について、厚生省から概略別添のとおりの報告があった。厚生省においては、各種の関係団体と数度にわたり意見交換を行うとともに各地のシンポジウムに参加するなど、広く関係者の意見を聴取しつつ、「中間まとめ」の指摘に沿った検討が進められている。今後、基本的にはこの方向に沿って、関係審議会等の意見を十分聴きながら社会福祉事業法等の改正法案の作成等を進められたい。その際には、特に下記の点について配慮する必要がある。
 なお、「中間まとめ」の公表後、関係者の間で、この改革が利用者負担の増大など公的責任の後退を招くのではないかとの懸念が少なからず表明されているが、我々の目指す改革の方向は、「中間まとめ」にもあるように国及び地方公共団体には社会福祉を増進する責務があることを当然の前提としつつ、利用者の視点から福祉制度の再構築を行おうとするものである。この改革においては、国及び地方公共団体は、それぞれの役割に応じ、利用料助成やサービス供給体制の基盤整備などを通じて国民に対する福祉サービス確保のための公的責任を果たすことになっており、この改革の趣旨について、関係者に十分周知しながら、検討を進める必要がある。
 また、この改革を進めるに当たっては、具体的な実施に当たる地方公共団体等の実施体制や財源確保に支障が生じないよう十分配慮する必要がある。

1.利用者の立場に立った福祉制度の構築

○利用者本位の考え方に立った新しい制度については、それぞれのサービスの特性にふさわしい仕組みになるよう、関係各審議会等において十分な検討が行われることを期待するものであること。

○利用者本位の利用制度への転換に伴って導入される、権利擁護、サービスの質の確保、情報開示など利用者のサービス利用を支援するための仕組みについては、効果的かつ適切な運用が行われるものとすること。

○事業者に対する措置費から利用者に対する利用料助成への変更に当たっては、利用者の負担能力に対する十分な配慮を行うとともに、利用者の選択権が保障される助成の仕組みとすること。なお、この場合、事業者にとっても確実な事業運営が可能となるよう配慮すること。

○利用者の選択が実際に確保されるよう、利用しやすい手続きとするとともに、多様なサービスが提供されるよう、施設等の供給体制の整備を促進すること。

○利用者及び事業者の双方が納得できる解決策を円滑に見いだせるよう、すでに行われている地域での自主的な取組みも活かしながら、サービスの特性に対応した中立的な第三者の関与する適切な苦情解決の仕組みとすること。

○新たな利用制度などの構築に当たっては、介護保険制度など関連諸制度との整合性を図ること。

2.社会福祉事業の推進

○多様な需要に応える多様な主体の参入を促進するための環境整備を進める必要がある。その際、利用者保護の観点から、それぞれの事業ごとに、それぞれの主体の性格に応じ、サービスの質、事業の継続性・安定性の確保などを十分考慮すること。

○社会福祉事業運営の効率化を進めるに当たっては、サービスの質及び人材の確保などの面で適切な事業運営に支障を招かないように十分配慮すること。

○一般の社会福祉法人のほか、公立施設の経営委託を受けている社会福祉事業団についても、その活性化のための見直しを行うこと。

3.地域福祉の充実

○都道府県及び市町村が策定する地域福祉計画においては、個別計画との整合性、保健・医療・介護分野との連携を図ること。計画の策定に当たっては、住民本位のまちづくりや幅広い地域住民の参画の視点を持つこと。

○民生委員・児童委員制度の見直しにおいては、主任児童委員制度の積極的活用を含め、児童委員としての機能の強化を図ること。

(注)別添略


照会先
 社会・援護局企画課
 課長補佐 古都
 (電  話)[現在ご利用いただけません](内線2813)
 (夜間直通)03-3591-9867


報道発表資料 HOME