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平成10年11月27日
生活衛生局食品保健課
食品化学課
組換えDNA技術を応用して製造された6品種の食品及び2品目の食品添加物が「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針(以下、「安全性評価指針」という。)」に適合していることの確認を行うことの可否については、平成10年1月27日付けで、厚生大臣より食品衛生調査会あて諮問したところですが、本日付けで、食品衛生調査会より答申されました。
1 食品衛生調査会常任委員会で審議された食品及び食品添加物について
(1) 平成10年1月27日、組換えDNA技術を応用して製造された食品6品種及び食品添加物2品目が安全性評価指針に適合していることを厚生大臣が確認することの可否について、厚生大臣より食品衛生調査会あて諮問され、同日、バイオテクノロジー特別部会あて付議されました。
(2) 平成10年9月29日付けで、次の食品3品種及び食品添加物1品目についてバイオテクノロジー特別部会の報告が提出されましたが、本日、食品衛生調査会常任委員会における審議の結果、次のア〜ウの食品2品種及び食品添加物1品目について、それぞれ安全性評価指針に沿って安全性評価がなされていると判断する旨答申がなされました。
また、エの食品については、11月20日に申請者より追加資料が提出されたことから、バイオテクノロジー特別部会において、再度審議を行うこととなりました。
ア | 対象品種 | なたね(MS8) |
性 質 | 除草剤耐性及び雄性不稔性 | |
申請者 | アグレボ ジャパン株式会社 | |
開発者 | Plant Genetic Systems(ベルギー) |
イ | 対象品種 | なたね(RF3) |
性 質 | 除草剤耐性及び稔性回復性 | |
申請者 | アグレボ ジャパン株式会社 | |
開発者 | Plant Genetic Systems(ベルギー) |
ウ | 対象品目 | α−アミラーゼ |
申請者 | ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社 | |
開発者 | Novo Nordisk A/S(デンマーク) |
エ | 対象品種 | とうもろこし(ラウンドアップ・レディー・トウモロコシ GA21系統) |
性 質 | 除草剤耐性 | |
申請者 | 日本モンサント株式会社 | |
開発者 | Monsanto Company(米国) |
(3) これまでの経緯
平成10年1月27日 | 食品衛生調査会に諮問、バイオテクノロジー特別部会に付議 |
2月2日 | バイオテクノロジー特別部会審議 |
2月2日 | 第1回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
3月23日 | 第2回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
4月27日 | 3回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
6月5日 | 第4回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
7月14日 | 5回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
8月6日 | 第6回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
9月14日 | 第7回組換えDNA技術応用食品等の安全性評価に関する分科会審議 |
9月29日 〃 |
食品衛生調査会バイオテクノロジー特別部会開催 バイオテクノロジー特別部会報告 |
10月5日 | 申請資料公開(社団法人日本食品衛生協会において閲覧) |
2 継続審議の扱いとされている食品及び食品添加物について
継続審議の扱いとされている、次の7品種の食品及び1品目の食品添加物(ア〜エは平成10年1月27日諮問、オ〜クについては平成8年10月24日諮問)のうち、オ及びカについては申請者の申し出に基づき、11月20日付けで申請者がデカルブ・ジェネティックス・コーポレイションに変更されました。
また、ウ及びキについては申請者より申請の取り下げ願いが提出されたことから、11月20日付けで諮問を取り下げました。
ア | 対象品種 | なたね(PHY23) |
性 質 | 除草剤耐性 | |
申請者 | アグレボ ジャパン株式会社 | |
開発者 | Plant Genetic Systems(ベルギー) |
イ | 対象品種 | とうもろこし(CBH351) |
性 質 | 害虫抵抗性及び除草剤耐性 | |
申請者 | アグレボ ジャパン株式会社 | |
開発者 | Plant Genetic Systems(ベルギー) |
ウ | 対象品種 | なたね(HCN19) |
性 質 | 除草剤耐性 | |
申請者 | アグレボ ジャパン株式会社 | |
開発者 | Hoechst Schering AgrEvo GmbH(ドイツ) |
エ | 対象品目 | フィターゼ |
申請者 | ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社 | |
開発者 | Novo Nordisk A/S(デンマーク) |
オ | 対象品種 | とうもろこし(DBT418) |
性 質 | 害虫抵抗性 | |
申請者 | 株式会社 東食 | |
開発者 | Dekalb Genetics Corporation(米国) |
カ | 対象品種 | とうもろこし(DLL25) |
性 質 | 除草剤耐性 | |
申請者 | 株式会社 東食 | |
開発者 | Dekalb Genetics Corporation(米国) |
キ | 対象品種 | とうもろこし(MON809) |
性 質 | 害虫抵抗性 | |
申請者 | パイオニア ハイブレッド ジャパン株式会社 | |
開発者 | Pioneer Hi-Bred International,Inc.(米国) |
ク | 対象品種 | とうもろこし(MS3) |
性 質 | 除草剤耐性 | |
申請者 | ヘキスト・シェーリング・アグレボ株式会社 | |
開発者 | Plant Genetic Systems (ベルギー) |
3 今後の予定
安全性評価の適合性確認がなされた食品2品種及び食品添加物1品目については、答申を受け、速やかに、申請者あてに「厚生大臣による安全性評価指針への適合を確認」した旨の通知を出す予定としています。
参 考
1 「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」について
厚生省では、平成3年に安全性評価指針を策定し、組換えDNA技術を応用して製造された食品・食品添加物(以下、「食品等」という。)であって、生産物が既存の食品等とみなし得る食品等であり、組換え体そのものを食さない場合についての安全性を確保してきた。
しかし、近年の組換えDNA技術の進歩により、組換え体そのものを食する食品等についても、その安全性確保のための対応が必要になったことから、食品衛生調査会の答申に基づき、平成8年2月5日に安全性評価指針を改訂した。
現在の安全性評価指針の適用範囲は下記のとおりである。
2 組換えDNA技術応用作物について
(1) 組換えDNA技術について
組換えDNA技術とは、ある生物から取りだした遺伝子を改良しようとする生物に組み込む技術のことで、この技術を用いることにより、目的とする有用な遺伝子をより正確に、かつ簡便に作物に導入し、作物を改良することができるようになる。
(2) 今回答申された食品2品種、食品添加物1品目について
今回答申された食品2品種の概要については別紙1、食品添加物1品目の概要については別紙2のとおりである。
(3) 組換え体の特徴
土壌中の微生物から得られた、特定の除草剤の働きを阻害する蛋白質を産生する遺伝子をとうもろこしやなたねに導入することにより、これら除草剤に対する耐性を持たせたものである。
これにより、除草剤の散布回数・散布量を減少させることができ、環境保全に資することができる。また、不耕起栽培場面での使用により土壌の流亡を防ぐ他、コストの低減、安定した収穫などの効果も期待できる。
雄性不稔性作物は雄性不稔(花粉を生成しないため自家受粉できない)という性質を組み込み、他家受粉させることにより、雑種強勢(雑種のナタネは純粋なものよりも生命力が強いといったこと)の性質を得ており、このことにより、雑種強勢による高収量が期待できるものとなっている。
稔性回復性作物は、雄性不稔遺伝子を不活化する性質を組み込み、花粉ができない雄性不稔性作物の系統の維持に用いられる。
別紙1
アグレボ社カノーラ (MS8) |
アグレボ社カノーラ (RF3) |
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申 請 者 | アグレボ ジャパン(株) | アグレボ ジャパン(株) |
開 発 者 | Plant Genetic Systems (ベルギー) |
Plant Genetic Systems (ベルギー) |
新たに獲得された性質 | 除草剤(グルホシネート)耐性 | 除草剤(グルホシネート)耐性 |
挿入遺伝子 (供与体) |
bar遺伝子 (Streptomyces hygroscopicus由来) |
bar遺伝子 (Streptomyces hygroscopicus由来) |
雄性不稔性 barnase遺伝子 |
稔性回復性 barstar遺伝子 |
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選択マ-カ- 挿入遺伝子 |
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可食部分に発現する遺伝子産物と発現量 | なたね油に、 PAT蛋白質検出限界以下 (検出限界 0.1ng/g) Barnase蛋白質検出限界以下 (検出限界 1ng/g) |
なたね油に、 PAT蛋白質検出限界以下 (検出限界 0.1ng/g) Barstar蛋白質検出限界以下 (検出限界 1ng/g) |
諸外国での認可状況 | カナダ(1997年3月) | カナダ(1997年3月) |
組み込みによる効果 | 除草剤使用量・回数の削減 (環境保全に資する。) |
除草剤使用量・回数の削減 (環境保全に資する。) |
別紙2
対象品目 | α−アミラーゼ(商品名:BSG−アミラーゼ) |
申請者 | ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社 |
開発者 | Novo Nordisk A/S (デンマーク) |
組換え体の 利用目的 |
Bacillus licheniformisを宿主とし、pUB110をベクターとして用いて、Bacillus stearothermophilusのα−アミラーゼ合成遺伝子を挿入した組換え体を培養し、効率的にα−アミラーゼを生産する。α−アミラーゼは、酵素の一つであり、でんぷん糖、発酵アルコール、パン等の製造過程に用いられる。 |
宿 主 | Bacillus licheniformis CA63株の誘導体であるDN2717株 |
ベ ク タ ー | Staphylococcus aureusの薬剤耐性菌から得られるプラスミドpUB110 |
挿入遺伝子 (供与体) |
Bacillus stearothermophilus DN1792株に由来するα−アミラーゼ合成遺伝子(1.9kb) Bacillus stearothermophilusに由来するプロモーター遺伝子(176bp) Bacillus amyloliquefaciensに由来するプロモーター遺伝子(326bp) |
諸外国での状況等 | オーストラリア、カナダ、韓国、デンマーク、フランス、ポーランドで使用が許可されている。 なお、米国においても販売されている。 |
照会先:厚生省生活衛生局 田中 食品保健課長 担当者:得津、井関、渋谷(内線 2447、2451) 東、宇山(食品化学課、内線 2483、2486)
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